電子機器
【課題】 情報の表示位置を常に適正に制御する。
【解決手段】 転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体(2)と、その筐体の外周面に設けられた表示部(3)と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段(11)と、前記筐体の姿勢を検出する検出手段(12)とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御する。
【解決手段】 転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体(2)と、その筐体の外周面に設けられた表示部(3)と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段(11)と、前記筐体の姿勢を検出する検出手段(12)とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの電子機器に関し、特にユーザインターフェースの改善技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に携帯電話機等の電子機器のユーザインターフェースは、液晶ディスプレイなどの「表示部」と物理的なキースイッチ群からなる「操作部」とにより構成されており、この場合、操作部は入力用インターフェース、表示部は出力用インターフェースとなる。なお、タッチパネル付表示部の場合は入出力兼用のインターフェースとなる。
【0003】
このようなインターフェースにおいて、物理的なキースイッチ群からなる操作部は設置スペースの制約などから、必要最小限の少ないキースイッチとせざるを得ず、めったに使われない操作などは、多くの場合、階層化されたメニュー構造に依存することになるが、このような階層化メニューは意図した項目にたどり着くまでに何度も操作を行う必要があり、面倒を否めない。
【0004】
かかる点に鑑み、たとえば、液晶パネルに所望のキースイッチをオブジェクトとして描くという、いわゆるソフト的手法も知られているが、この手法では、待受け中にも液晶パネルに電源を供給し続けなければならず、電池の寿命を短くするという不都合がある。
【0005】
そこで、下記の特許文献1には、表示情報の更新時(書き換え時)にだけごく少ない電力を消費する、いわゆる「電子ペーパー」と呼ばれる表示デバイスを、電子機器の筐体外面に張り付け、その表示デバイスに、操作部等のインターフェースを描画するようにした技術が記載されている。
【0006】
これによれば、電池の寿命を延ばしつつ、操作部等のオブジェクトを常時表示し続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−264923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載のものは、その文献全体を自然に読む限り、“箱型”の筐体を有する携帯電話機への適用を意図していると認められるが、他の形の筐体、たとえば、円筒状のように、転がりやすく、しかも、天地がわかりにくい形の筐体に適用した場合には、以下の不都合を招く。
【0009】
今、円筒状筐体の外周面に電子ペーパーを巻き付け、その電子ペーパーにソフト的手法によって操作部を表示したと仮定する。この場合、操作部を表示した面が主面、すなわち、ユーザから見える面となるべきであるが、必ずしもそうはならない。卓上にあっては転がりやすく、どの面が見やすい位置に来るのか不定であるからであり、また、手持ちの場合は、どの面が自分に向かっているのかわからないからである。
【0010】
したがって、上記の引用文献1にあっては、とりわけ転がりやすい形の筐体を有する電子機器に適用した場合に、情報の表示面を適正な方向に向けられないことがあり、この場合、意図的に向きを変えたりしなければならず、操作性を悪くするという問題点がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、情報の表示位置を常に適正に制御することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の姿勢を検出する検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの顔を検出する検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体に働く加速度を検出する検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の中心から偏心して該筐体の内部に実装された非接触通信部とを備え、前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置を考慮して前記表示部の情報の表示位置を制御することを特徴とする
【0016】
なお、上述した請求項1〜4記載の発明は次のようなものであってもよい。
請求項4に記載の発明において、前記筐体の姿勢を検出する検出手段、もしくは、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの方向を検出する検出手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置と前記検出手段の検出結果とに基づいて前記表示部の情報の表示位置を制御し、且つ、前記検出手段の検出結果に基づいて前記表示部の情報の内容を設定する(請求項5記載の発明)。
請求項1〜4いずれかに記載の発明において、前記表示部はフレキシブル入出力インターフェースデバイスで構成されている(請求項6記載の発明)。
請求項6に記載の発明において、前記フレキシブル入出力インターフェースデバイスは電子ペーパーの上にタッチパネルを積層したものである(請求項7記載の発明)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報の表示位置を常に適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態にかかる携帯電話機の外観図及び断面構造図である。
【図2】フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の巻きつけ状態図及び展開図である。
【図3】表示の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る携帯電話機1のブロック図である。
【図5】本実施形態の思想を実現するための制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図6】天地判定に基づく表示位置制御の概念図である。
【図7】顔抽出の概念図である。
【図8】図5のステップS4の変更例を示す図、及び、加速度検出による表示位置制御の様子を示す図である。
【図9】表示位置制御の他のフローチャートである。
【図10】図9の表示位置制御の概念説明図である。
【図11】表示位置制御のさらに他のフローチャートである。
【図12】図11の表示位置制御の概念説明図である。
【図13】顔の位置に対応した警告メッセージの表示位置制御のフローチャートである。
【図14】顔警告メッセージのいくつかの例を示す図である。
【図15】筐体2の他の形状を示す図である。
【図16】矩形断面形状を有する筐体への適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、携帯電話機への適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態にかかる携帯電話機の外観図及び断面構造図であり、図1(a)は外観図、図1(b)は断面構造図である。これらの図において、携帯電話機1は、両端面が閉鎖された円筒状の形状を有する筐体2を備えている。ただし、“円筒状”は、転がりやすい形状、または、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の一例である。
【0020】
筐体2の外周面はその全体が表示面となっており、その表示面の任意位置に所要の情報を表示できるようになっている。かかる表示面を構成するために、この実施形態では、筐体2の外周面に、柔軟性を有するフレキシブル入出力インターフェースデバイス3が巻きつけられており、このフレキシブル入出力インターフェースデバイス3は、筐体2の外周面に接する電子ペーパー4と、その電子ペーパー4の上に積層されたタッチパネル5とにより構成されているが、これに限定されない。他の表示デバイス(たとえば、液晶パネルやELパネル等)であっても構わない。
【0021】
また、表示部の“柔軟性”は、筐体の外周面の曲面に沿わせるための必要上の事項に過ぎない。したがって、曲面がほとんどない形状の筐体の場合には“柔軟性”を有さない表示デバイスであってもよい。さらに、その実装態様も「巻きつけ」に限らず、たとえば、印刷的な手法で実装してもよいし、あるいは、機械的にはめ込んだり、勘合させたり、係合させたりしたものであってもよい。なお、印刷的な手法とは、対象面上にベース剤を印刷し、その上に液晶等の表示層や隔壁層及び透明保護膜などを順次に積み重ねて印刷する公知の表示デバイス製造手法のことをいう。
【0022】
電子ペーパーとは、紙の長所とされる視認性や携帯性を保った表示媒体のうち、表示内容を電気的に書き換えることができるものをいう。表示中に消費電力が不用か又は極小となり、書き換え時の消費電力も非常に少ないという低消費電力性能のほかに、応答性に優れ(電気泳動方式では非常に遅く、動画用途には向かなかったが、電子粉流体では液晶よりも高速になっている)、且つ、紙と同じように反射光を利用して表示を行うため、視野角が広く直射日光に当たっても見やすく目への負担が少ないという高い視認性を誇り、さらに、薄くフレキシブルで紙のように薄く作れ、表示基板にプラスチック・フィルムを使えば、曲げても品質を損なわずに表示できるという数々の優れた特徴がある。構造の種類としては、マイクロカプセル方式(Gyricon方式)、電子粉流体方式 、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、電気泳動方式、化学変化方式などがある。
【0023】
筐体2の内部には、様々な構成部品、たとえば、電話通信部6、ブルーツース7、テレビ受信部8、カメラ9、画像処理部10、制御部11、センサ部12、マイク13、スピーカ14、非接触通信部通信部15、電源部16、電池17などが実装されている。
【0024】
電話通信部6は、最寄の基地局との間で音声通信やデータ通信を行うための電話アンテナと無線通信部を含み、同様に、ブルーツース7は近距離に位置するブルーツース対応機器との間で所要のデータ通信を行うためのブルーツースアンテナと無線通信部を含み、また、テレビ受信部8は最寄の放送局からのテレビ放送電波を受信するためのテレビ受信アンテナとテレビ放送受信部を含む。
【0025】
カメラ9は、一般的な携帯電話機に備えられているものとは用途が異なるものである。すなわち、一般的な携帯電話機に備えられているカメラは、いわゆるデジタルカメラと同様の用途(ポートレート等の写真をデジタル撮影するもの)であるが、本実施形態のカメラ9は、詳細は後述するが、図示の携帯電話機1がユーザに手持ちされた場合に、そのユーザの顔を検出して、筐体2の外周面のうちどの方向がユーザに見えているのかを判定するために用いられるものである。この用途(方向判定)のために、本実施形態のカメラ9は視野角ほぼ180度の光学レンズ(半円球レンズまたは魚眼レンズ、以下、半円球レンズで代表する)18を付属する。この半円球レンズ18は、筐体2の上端面に取り付けられており、且つ、その半円球レンズ18の光軸19をカメラ9の撮影方向に一致させている。
【0026】
画像処理部10は、カメラ9で撮影した画像を処理し、制御部11は携帯電話機1の全体動作を統括制御する。また、センサ部12は携帯電話機1の姿勢や重力方向及び加速度などを検出し、マイク13は受話器、スピーカ14は送話器として動作する。
【0027】
また、非接触通信部通信部15は電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を行うための専用通信アンテナと通信部とを含み、たとえば、電子乗車券の場合は、筐体2の特定面(図では非接触通信部通信部15が実装されている下面)を自動改札機の受信部に「タッチ」させることにより、運賃の自動精算を行うことができる。また、電源部16は電池17の充電を制御し、この電池17の電力から各部の動作に必要な電源を発生して各部に供給する。
【0028】
ここで、非接触通信部通信部15の実装位置は、図示の例の場合、筐体2の内部の図面に向かって下側であり、要するに、筐体2の中心から下側に偏心して実装されている。これは、非接触通信が微弱電力の数センチ程度の短距離通信であるからであり、できるだけ筐体2の外面近くに位置させる必要があるからである。
【0029】
筐体2の上端面にはスピーカ14のための拡声穴2aが形成されており、筐体2の下端面にはマイク13のための収音穴2bが形成されている。さらに、その収音穴2bの周りに2条の電池充電用電極2cが設けられ、且つ、電池17の収納蓋2dが設けられている。
【0030】
また、筐体2の下端面には、さらに、この携帯電話機1の動作モードを切り替えるためのモード切替キーMが設けられており、このモード切替キーMを押すたびに、携帯電話機1の動作モードが携帯電話モード、カレンダ表示モード、テレビ放送受信モード等に順次切り替わるようになっている。なお、ここでは、機械的なモード切替キーMとしたが、これに限らない。後述する表示情報22の副表示部21(図3参照)にソフト的手法で描いたものであってもよい。あるいは、これらの機械的なキーやソフト的なキーのみならず、たとえば、音声認識によるもの(ユーザの音声を認識して動作モードを切り替えるもの)であってもよい。
【0031】
図2は、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の巻きつけ状態図及び展開図であり、図2(a)は巻き付け状態図、図2(b)は展開図である。なお、先にも説明したとおり、“巻きつけ”はフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の実装態様の一例に過ぎないが、ここでは説明の便宜上、“巻きつけ”で話を進めることにする。
【0032】
これらの図において、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3は、縦寸法A×横寸法Bの矩形状平面をなしており、その縦寸法Aは、筐体2の外周面に形成されたデバイス取り付け用凹部2eの縦寸法とほぼ一致し、その横寸法Bは、筐体2の外周面の一周長とほぼ一致する。フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の一側端から、電子ペーパー4の表示データ伝送用及びタッチパネル5のタッチデータ伝送用のフレキシブルフラットケーブル3aが引き出されており、このフレキシブルフラットケーブル3aは、筐体2の外周面に形成された長溝2fから筐体2の内部に引き込まれ、制御部11に接続されている。
【0033】
ここで、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の横方向に対して便宜的な角度指標を示す。角度指標は図面の左端が0度、中央が180度、右端が360度であるものとする。このフレキシブル入出力インターフェースデバイス3に任意の情報を表示する場合、その表示中心を角度指標中の角度αで指定する。
【0034】
図3は、表示の一例を示す図であり、図3(a)は角度指標と表示位置との対応関係図、図2(b)は実際の表示状態図である。これらの図において、α=180度とした場合、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の中央部に情報が表示される。図示の例の場合、表示情報22は、メイン表示部20と副表示部21とからなり、メイン表示部20は通常の携帯電話における「出力部」に相当し、副表示部21は通常の携帯電話における「入力部」に相当する。つまり、メイン表示部20は電波の強さや電池の残量及び着信メール件数などのピクト表示ならびに日時などのカレンダ表示および待受け画像表示(図示略)などを行うために用いられるほか、さらに、電話発着信時の電話番号表示等の操作情報表示、メール閲覧表示、メール編集表示、インターネット上のコンテンツ表示、メニュー表示、等々、に用いられ、一方、副表示部21はテンキーやオン/オフフックキー、クリアキー、メールキー、メニューキーなどの各種キーオブジェクトの表示に用いられる。
【0035】
図4は、実施形態に係る携帯電話機1のブロック図である。この図において、制御部11は、CPU11a、ROM11b、RAM11c、PROM11dを含み、電源部16からの電源供給を受けて動作し、携帯電話機1の各部を統括制御する。具体的には、ROM11bにあらかじめ格納されている制御プログラムと必要であればPROM11dに格納されているユーザデータとをRAM11cに読み出し、その制御プログラムをCPU11aで実行することにより、この携帯電話機1の「各種機能」をソフト的に実現する。各種機能は、電話機能、メール送受信機能、ブルーツース通信機能、テレビ放送受信機能、非接触通信機能などであるが、とりわけ本実施形態では、これらの各種機能と平行して、筐体2の外周面に巻きつけられたフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を適正に制御する表示位置制御機能を実行する点に特徴がある。
【0036】
すなわち、前出の図3においては、表示位置としてα=180度を例にした。この表示位置は、α=180度の方向にユーザが居ることを前提としているが、仮にユーザが別の方向、たとえば、0度方向(つまり図面の裏側の方向)に居た場合、表示された情報が筐体の裏側になるため、ユーザからまったく情報を見ることができない。この場合、ユーザは筐体2を回転させなければならないので、操作性を悪くする。
【0037】
本実施形態の思想は、要するに、携帯電話機1の状態(卓上等に置かれている場合や手持ちされている場合など)にかかわらず、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を常に適正に維持するように制御することにある。
【0038】
図5は、本実施形態の思想を実現するための制御プログラム(表示位置制御処理)の一例を示すフローチャートである。表示位置制御処理は、ROM11bにあらかじめ格納されている制御プログラムに含まれており、この制御プログラムが周期的にRAM11cに読み出され、表示位置制御処理としてCPU11aで実行されるようになっている。
【0039】
図5において、このフローチャートでは、まず、携帯電話機1が静止状態であるか否かを判定する(ステップS1)。「静止状態」とは携帯電話機1が卓上等に置かれていることをいう。ユーザによって持ち運ばれているときや操作されているときは静止状態でない。静止状態の判定はセンサ部12の検出信号に基づいて行われる。静止状態と判定されたときは、次に、天地判定、すなわち、携帯電話機1の筐体2のどの方向が天地を向いているのかを判定(ステップS2)してから、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を「天側」、すなわち重力方向の反対側にする(ステップS3)。この天地判定もセンサ部12の検出信号に基づいて行われる。
【0040】
図6は、天地判定に基づく表示位置制御の概念図であり、図6(a)は概念図、図6(a)は表示状態図である。図6(a)において、卓上等に静止状態で置かれた筐体2の重力方向Gをセンサ部12で検出し、その重力方向Gに一致する角度F(フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の角度;図2の角度指標参照)を求める。そして、その角度Fと反対の角度H(つまり、H=F−180度)を「天側」とし、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置をその「天側」になるように制御(ステップS3)した後、表示位置制御処理を終了する。
【0041】
このようにすると、図6(b)に示すように、卓上等に置かれた携帯電話機1の外周面、つまり、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3によって構成された表示面のほぼ真上の位置(天側の位置)に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示することができるから、たとえ、転がりやすい形の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示し続けることができ、表示情報の視認性を損なうことがない。
【0042】
一方、ステップS1において、静止状態が判定されなかった場合は、ユーザによって持ち運ばれているときや操作されているときであると判断して、使用環境下における表示位置制御(ステップS4)を実行する。
【0043】
このステップS4の表示位置制御においても、携帯電話機1のフレキシブル入出力インターフェースデバイス3のどの面に情報を表示すればよいかを判定し、その判定結果に従って情報の表示位置制御を行う点で前記の静止状態における表示位置制御(ステップS2及びステップS3)と共通するが、前記の静止状態における表示位置制御は単純に「天側」を表示位置とするのに対して、このステップS4の表示位置制御では、携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザから見える位置に制御する点で相違する。
【0044】
すなわち、このステップS4では、まず、カメラ9を用いて携帯電話機1の周辺画像を撮影し(ステップS5)、ついで、その画像から人物の顔を抽出する(ステップS6)。なお、顔の抽出(認識)は、たとえば、特開2001−291108号公報などに記載されている公知技術を利用して行うことができる。次に、顔抽出が行われたか否かを判定し(ステップS7)、顔抽出が行われなかった場合は、たとえば、携帯電話機1をポケットやかばんの中に入れたまま移動しているものとみなし、この場合は、表示位置制御の必要性がないので、そのまま、表示位置制御処理を終了する。
【0045】
顔抽出が行われた場合は、次に、抽出した顔が複数であるか否かを判定する(ステップS8)。そして、複数の顔でなければ、つまり、一人の顔だけを抽出した場合は、その顔を選択し(ステップS9)、複数の顔が抽出された場合は、最大の大きさの顔を手持ち中または操作中のユーザの顔であると判断して、その最大の顔を選択する(ステップS10)。そして、いずれの場合も、次に、選択した顔の方向を判定し(ステップS11)、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置をその「顔の方向」になるように制御(ステップS12)した後、表示位置制御処理を終了する。
【0046】
図7は、顔抽出の概念図であり、図7(a)は撮像概念図、図7(a)は撮像結果図、図7(a)は人物の顔と表示位置の対応関係図である。図7(a)において、カメラ9はCCDやCMOS等の半導体二次元撮像デバイス23、及び、その半導体二次元撮像デバイス23の撮像面23aの直前に配置された結像レンズ24などを含み、この結像レンズ24の前面に設置された半円球レンズ18から取り込まれた視野角ほぼ180度の周辺画像を半導体二次元撮像デバイス23で画像信号に変換して画像処理部10に出力する。
【0047】
画像処理部10の出力画像の一例を図7(b)に示す。この画像25は半導体二次元撮像デバイス23の画素配列に応じた縦横n×m画素の大きさを有する矩形状であり、中央の円形範囲が半円球レンズ18から取り込まれた視野角ほぼ180度の周辺画像26である。ここでは、この周辺画像26に二人の人物27、28が写りこんでいるが、携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザは間近に位置しているので、多くの場合、顔の大きさが最も大きくなるはずである。このため、最大の大きさの顔を持つ人物を「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」であるとみなし(ステップS10)、その顔の方向に、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御する。なお、周辺画像26に一人の人物だけが写りこんでいる場合は、当然ながら、その人物を「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」であるとみなして(ステップS9)差し支えない。
【0048】
このようにすると、図7(c)に示すように、ユーザ27によって手持中または操作中の携帯電話機1の外周面、つまり、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3によって構成された表示面の“所定位置”に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示することができ、この“所定位置”は、前記のとおり、「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」の顔の方向(白抜き矢印22a)に対応する位置であるから、たとえ、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示することができ、表示情報の視認性を損なうことがない。
【0049】
なお、以上の説明では、カメラ9の撮影画像から顔を抽出し、その抽出結果に基づいてフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御しているが、これは、携帯電話機1の使用環境下における表示位置制御の一例を示しているに過ぎない。たとえば、マイク13をステレオ方式(少なくとも2個のマイクを左右に離隔配置したものであって、各々のマイクの音量差に基づいて音の方向を特定することができるもの)とし、そのマイク13で声の方向を検出して、その声の方向に、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御するようにしてもよい。
【0050】
また、上記の図5のステップS4を、次のように変更してもよい。
図8(a)は、ステップS4の変更例を示す図である。この変更例のステップS4´に示すように、センサ部12の検出信号から加速度に関する情報(加速度の方向と加速度の強さ)を取り出し(ステップS13)、その情報に基づいてフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御するようにしてもよい(ステップS14)。たとえば、ユーザによって携帯電話機1が特定方向に振られたときに、その方向に情報を表示するように制御してもよい。このようにすると、ユーザによる意図的な振る舞い(携帯電話機1を特定方向に振る)に応答して表示位置を制御することができ、たとえば、第三者が見やすい方向に情報を表示するなど、より柔軟性に富んだ表示位置制御を行うことができる。
【0051】
図8(b)は、加速度検出による表示位置制御の様子を示す図である。この図に示すように、ユーザ27によって、たとえば、自分の顔の方向に携帯電話機1が素早く動かされたとき、その動きの強さと方向が加速度信号としてセンサ部12で検出され、その検出信号に基づいてフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置が制御される。
【0052】
このとき、加速度の方向に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示する仕組みにしておけば、この場合、「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」の顔の方向に対応する位置を情報の表示位置とすることができるから、たとえ、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示することができ、表示情報の視認性を損なうことがない。あるいは、ユーザ27以外の第三者に表示情報を見せたい場合には、その第三者の顔の方向に携帯電話機1を素早く動かせばよい。同様に、第三者の顔の方向に対応する位置を情報の表示位置とすることができる。
【0053】
あるいは、図5の表示位置制御を次のように変更してもよい。
図9は、表示位置制御の他のフローチャートである。この図において、まず、センサ部12の出力信号に基づいて携帯電話機1の筐体2に働く重力方向を判定する(ステップS15)。次に、その重力方向を基準に最適な表示方向を算出し(ステップS16)、最後に、算出した表示方向となるように、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御する(ステップS17)。
【0054】
図10は、図9の表示位置制御の概念説明図であり、図10(a)と図10(b)は情報表示の二つの例を示し、図10(c)は重力方向と表示位置の関係を示している。まず、図10(a)及び図10(b)において、筐体2の外周面上のフレキシブル入出力インターフェースデバイス3には適当な情報が表示されている。たとえば、図10(a)の例ではテレビ放送画像29が表示されており、また、図10(b)の例ではカレンダ画像30が表示されている。
【0055】
これらの表示情報は、多くの場合、筐体2を卓上に置いた状態でユーザに見られるが、その際の適切な表示方向は、たとえば、重力方向Gに対して所定の角度β(120度程度)になるはずである。
【0056】
したがって、かかる適切な表示方向を算出する場合は、図10(c)に示すように、卓上等に静止状態で置かれた筐体2の重力方向Gをセンサ部12で検出し、その重力方向Gに一致する角度F(フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の角度;図2の角度指標参照)を求め、そして、その角度Fに所定の角度βを加えた角度I(つまり、I=F+β)を、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置として制御すればよい。
このようにすれば、転がりやすい円筒状の筐体2であっても常に最適な位置に情報(テレビ放送画像29やカレンダ画像30)を表示することができる。
【0057】
なお、ここでは、携帯電話機1を例にしたがこれに限定されない。卓上等で用いられ、且つ、転がりやすい形状の筐体の外周面上にフレキシブル性を有する表示デバイスを張り付けたものであれば、たとえば、卓上型テレビ受信機、卓上型電子カレンダ、卓上時計など、いかなるものであってもよい。
【0058】
あるいは、図5の表示位置制御を次のように変更してもよい。
図11は、表示位置制御のさらに他のフローチャートである。この図において、まず、電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を行うか否かを判定し(ステップS18)、非接触通信を行わない場合は、先の図5のステップS1〜ステップS12の処理に進むが、非接触通信を行う場合には、非接触通信アンテナ(非接触通信部通信部15に含まれている)の反対側を所定の警告メッセージの表示位置とする(ステップS19)。
【0059】
図12は、図11の表示位置制御の概念説明図であり、図12(a)は警告メッセージを示し、図12(b)は表示位置を示している。図12(a)において、筐体2の外周面上に巻きつけられたフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の所定位置に、たとえば、“この面を上にして非接触通信の受信機にタッチしてください”などの文言を有する警告メッセージ31を表示している。この警告メッセージ31の表示位置は、図12(b)に示すように、筐体2の内部に設けられている非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)の丁度反対側の位置になる。
【0060】
したがって、ユーザはこの警告メッセージが上になるようにして筐体2を持ち、非接触通信の受信機32にタッチさせることにより、電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を支障なく行うことができるようになる。
【0061】
なお、ここでは、非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)の丁度反対側の位置に警告メッセージを表示しているが、これに限定されない。先に説明したアルゴリズム(図5等)に従って顔認識や声認識によりユーザの顔の方向を特定し、その顔の方向に警告メッセージを表示するようにしてもよい。この場合、警告メッセージの表示位置によって、そのメッセージの内容を変化させる必要がある。これは、図12に示すように、非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)の丁度反対側に顔が位置している場合は、図と同様のメッセージ内容(“この面を上にして非接触通信の受信機にタッチしてください”)で構わないが、もし、顔の位置が違う場合、たとえば、非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)と同じ側に顔が位置している場合は、たとえば、メッセージ内容を(“この面を下にして・・・・)と手直しする必要があるからである。
【0062】
図13は、顔の位置に対応した警告メッセージの表示位置制御のフローチャートであり、図11のステップS19に置き換わるものである。このフローチャートでは、まず、顔認識や声認識によってユーザの顔の方向を判定する(ステップS19a)。次いで、顔の方向を警告メッセージの表示位置として決定し(ステップS19b)、警告メッセージの内容を設定(ステップS19c)した後、その警告メッセージをステップS19bで決定した位置に表示する(ステップS19d)という流れになる。
【0063】
図14は、警告メッセージのいくつかの例を示す図である。図14(a)は非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)と同じ側に顔が位置している場合を示し、この場合の好ましいメッセージは、“この面を下にして非接触通信の受信機にタッチしてください”となる。また、図14(b)は非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)が左側面に位置し顔が真上に位置している場合を示し、この場合の好ましいメッセージは、“左側面を下にして非接触通信の受信機にタッチしてください”となる。また、図14(c)は非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)が右側面に位置し顔が真上に位置している場合を示し、この場合の好ましいメッセージは、“右側面を下にして非接触通信の受信機にタッチしてください”となる。
【0064】
なお、ここでは、電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を例にしたがこれに限定されない。要するに、筐体2の向きや姿勢に影響される可能性がある外部インターフェースであればよく、たとえば、赤外線通信や電池の非接触充電などに応用してもよい。
【0065】
また、以上の説明では、筐体2の形を“円筒状”としたが、これは一例に過ぎない。転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状であればよい。
図15は、筐体2の他の形状を示す図であり、たとえば、図15(a)に示すような三角断面形状の筐体2、図15(b)に示すような多面体断面形状の筐体2、あるいは、図15(c)に示すような楕円断面形状の筐体2などであってもよい。また、筐体2は、軸方向に同一の断面形状である必要もない。要は、転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状であればよい。
【0066】
ここで、「転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状」の典型は、図1等で説明した円筒状のものや、図15で説明した三角断面形状、多面体断面形状、楕円断面形状であるが、「手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状」に着目した場合は、たとえば、矩形断面形状を有する筐体もそのような形状に相当するということができる。とりわけ正方断面柱状筐体の場合、同一形状且つ同じ大きさの四側面を有するが、主面(表示面)を示すマークや印等がなければ、どの側面が主面であるかを即座に判断できない。したがって、このような矩形断面形状を有する筐体に本実施形態を適用することも有効である。
【0067】
図16は、矩形断面形状を有する筐体への適用を示す図であり、図16(a)は矩形断面形状を有する筐体のイ側面に任意の情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示した例、図16(b)は同筐体のニ側面に任意の情報を表示した例、図16(c)は同筐体のハ側面に任意の情報を表示した例、図15(d)は同筐体のロ側面に任意の情報を表示した例である。いずれも、情報の表示面はユーザの顔の方向である。
このような、イ〜ニまでの四側面を有する矩形断面形状の筐体に上記の実施形態を適用した場合、イ〜ニまでの四側面のいずれが主面になっていたとしても、いずれの主面にも支障なく任意の情報を表示することができ、情報の視認性を損なわない。
【符号の説明】
【0068】
1 携帯電話機(電子機器)
2 筐体
3 フレキシブル入出力インターフェースデバイス(表示部)
4 電子ペーパー
5 タッチパネル
9 カメラ(検出手段)
10 画像処理部(検出手段)
11 制御部(表示制御手段、検出手段)
12 センサ部(検出手段)
18 半円球レンズ(検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの電子機器に関し、特にユーザインターフェースの改善技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に携帯電話機等の電子機器のユーザインターフェースは、液晶ディスプレイなどの「表示部」と物理的なキースイッチ群からなる「操作部」とにより構成されており、この場合、操作部は入力用インターフェース、表示部は出力用インターフェースとなる。なお、タッチパネル付表示部の場合は入出力兼用のインターフェースとなる。
【0003】
このようなインターフェースにおいて、物理的なキースイッチ群からなる操作部は設置スペースの制約などから、必要最小限の少ないキースイッチとせざるを得ず、めったに使われない操作などは、多くの場合、階層化されたメニュー構造に依存することになるが、このような階層化メニューは意図した項目にたどり着くまでに何度も操作を行う必要があり、面倒を否めない。
【0004】
かかる点に鑑み、たとえば、液晶パネルに所望のキースイッチをオブジェクトとして描くという、いわゆるソフト的手法も知られているが、この手法では、待受け中にも液晶パネルに電源を供給し続けなければならず、電池の寿命を短くするという不都合がある。
【0005】
そこで、下記の特許文献1には、表示情報の更新時(書き換え時)にだけごく少ない電力を消費する、いわゆる「電子ペーパー」と呼ばれる表示デバイスを、電子機器の筐体外面に張り付け、その表示デバイスに、操作部等のインターフェースを描画するようにした技術が記載されている。
【0006】
これによれば、電池の寿命を延ばしつつ、操作部等のオブジェクトを常時表示し続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−264923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載のものは、その文献全体を自然に読む限り、“箱型”の筐体を有する携帯電話機への適用を意図していると認められるが、他の形の筐体、たとえば、円筒状のように、転がりやすく、しかも、天地がわかりにくい形の筐体に適用した場合には、以下の不都合を招く。
【0009】
今、円筒状筐体の外周面に電子ペーパーを巻き付け、その電子ペーパーにソフト的手法によって操作部を表示したと仮定する。この場合、操作部を表示した面が主面、すなわち、ユーザから見える面となるべきであるが、必ずしもそうはならない。卓上にあっては転がりやすく、どの面が見やすい位置に来るのか不定であるからであり、また、手持ちの場合は、どの面が自分に向かっているのかわからないからである。
【0010】
したがって、上記の引用文献1にあっては、とりわけ転がりやすい形の筐体を有する電子機器に適用した場合に、情報の表示面を適正な方向に向けられないことがあり、この場合、意図的に向きを変えたりしなければならず、操作性を悪くするという問題点がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、情報の表示位置を常に適正に制御することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の姿勢を検出する検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの顔を検出する検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体に働く加速度を検出する検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の中心から偏心して該筐体の内部に実装された非接触通信部とを備え、前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置を考慮して前記表示部の情報の表示位置を制御することを特徴とする
【0016】
なお、上述した請求項1〜4記載の発明は次のようなものであってもよい。
請求項4に記載の発明において、前記筐体の姿勢を検出する検出手段、もしくは、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの方向を検出する検出手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置と前記検出手段の検出結果とに基づいて前記表示部の情報の表示位置を制御し、且つ、前記検出手段の検出結果に基づいて前記表示部の情報の内容を設定する(請求項5記載の発明)。
請求項1〜4いずれかに記載の発明において、前記表示部はフレキシブル入出力インターフェースデバイスで構成されている(請求項6記載の発明)。
請求項6に記載の発明において、前記フレキシブル入出力インターフェースデバイスは電子ペーパーの上にタッチパネルを積層したものである(請求項7記載の発明)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報の表示位置を常に適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態にかかる携帯電話機の外観図及び断面構造図である。
【図2】フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の巻きつけ状態図及び展開図である。
【図3】表示の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る携帯電話機1のブロック図である。
【図5】本実施形態の思想を実現するための制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図6】天地判定に基づく表示位置制御の概念図である。
【図7】顔抽出の概念図である。
【図8】図5のステップS4の変更例を示す図、及び、加速度検出による表示位置制御の様子を示す図である。
【図9】表示位置制御の他のフローチャートである。
【図10】図9の表示位置制御の概念説明図である。
【図11】表示位置制御のさらに他のフローチャートである。
【図12】図11の表示位置制御の概念説明図である。
【図13】顔の位置に対応した警告メッセージの表示位置制御のフローチャートである。
【図14】顔警告メッセージのいくつかの例を示す図である。
【図15】筐体2の他の形状を示す図である。
【図16】矩形断面形状を有する筐体への適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、携帯電話機への適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態にかかる携帯電話機の外観図及び断面構造図であり、図1(a)は外観図、図1(b)は断面構造図である。これらの図において、携帯電話機1は、両端面が閉鎖された円筒状の形状を有する筐体2を備えている。ただし、“円筒状”は、転がりやすい形状、または、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の一例である。
【0020】
筐体2の外周面はその全体が表示面となっており、その表示面の任意位置に所要の情報を表示できるようになっている。かかる表示面を構成するために、この実施形態では、筐体2の外周面に、柔軟性を有するフレキシブル入出力インターフェースデバイス3が巻きつけられており、このフレキシブル入出力インターフェースデバイス3は、筐体2の外周面に接する電子ペーパー4と、その電子ペーパー4の上に積層されたタッチパネル5とにより構成されているが、これに限定されない。他の表示デバイス(たとえば、液晶パネルやELパネル等)であっても構わない。
【0021】
また、表示部の“柔軟性”は、筐体の外周面の曲面に沿わせるための必要上の事項に過ぎない。したがって、曲面がほとんどない形状の筐体の場合には“柔軟性”を有さない表示デバイスであってもよい。さらに、その実装態様も「巻きつけ」に限らず、たとえば、印刷的な手法で実装してもよいし、あるいは、機械的にはめ込んだり、勘合させたり、係合させたりしたものであってもよい。なお、印刷的な手法とは、対象面上にベース剤を印刷し、その上に液晶等の表示層や隔壁層及び透明保護膜などを順次に積み重ねて印刷する公知の表示デバイス製造手法のことをいう。
【0022】
電子ペーパーとは、紙の長所とされる視認性や携帯性を保った表示媒体のうち、表示内容を電気的に書き換えることができるものをいう。表示中に消費電力が不用か又は極小となり、書き換え時の消費電力も非常に少ないという低消費電力性能のほかに、応答性に優れ(電気泳動方式では非常に遅く、動画用途には向かなかったが、電子粉流体では液晶よりも高速になっている)、且つ、紙と同じように反射光を利用して表示を行うため、視野角が広く直射日光に当たっても見やすく目への負担が少ないという高い視認性を誇り、さらに、薄くフレキシブルで紙のように薄く作れ、表示基板にプラスチック・フィルムを使えば、曲げても品質を損なわずに表示できるという数々の優れた特徴がある。構造の種類としては、マイクロカプセル方式(Gyricon方式)、電子粉流体方式 、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、電気泳動方式、化学変化方式などがある。
【0023】
筐体2の内部には、様々な構成部品、たとえば、電話通信部6、ブルーツース7、テレビ受信部8、カメラ9、画像処理部10、制御部11、センサ部12、マイク13、スピーカ14、非接触通信部通信部15、電源部16、電池17などが実装されている。
【0024】
電話通信部6は、最寄の基地局との間で音声通信やデータ通信を行うための電話アンテナと無線通信部を含み、同様に、ブルーツース7は近距離に位置するブルーツース対応機器との間で所要のデータ通信を行うためのブルーツースアンテナと無線通信部を含み、また、テレビ受信部8は最寄の放送局からのテレビ放送電波を受信するためのテレビ受信アンテナとテレビ放送受信部を含む。
【0025】
カメラ9は、一般的な携帯電話機に備えられているものとは用途が異なるものである。すなわち、一般的な携帯電話機に備えられているカメラは、いわゆるデジタルカメラと同様の用途(ポートレート等の写真をデジタル撮影するもの)であるが、本実施形態のカメラ9は、詳細は後述するが、図示の携帯電話機1がユーザに手持ちされた場合に、そのユーザの顔を検出して、筐体2の外周面のうちどの方向がユーザに見えているのかを判定するために用いられるものである。この用途(方向判定)のために、本実施形態のカメラ9は視野角ほぼ180度の光学レンズ(半円球レンズまたは魚眼レンズ、以下、半円球レンズで代表する)18を付属する。この半円球レンズ18は、筐体2の上端面に取り付けられており、且つ、その半円球レンズ18の光軸19をカメラ9の撮影方向に一致させている。
【0026】
画像処理部10は、カメラ9で撮影した画像を処理し、制御部11は携帯電話機1の全体動作を統括制御する。また、センサ部12は携帯電話機1の姿勢や重力方向及び加速度などを検出し、マイク13は受話器、スピーカ14は送話器として動作する。
【0027】
また、非接触通信部通信部15は電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を行うための専用通信アンテナと通信部とを含み、たとえば、電子乗車券の場合は、筐体2の特定面(図では非接触通信部通信部15が実装されている下面)を自動改札機の受信部に「タッチ」させることにより、運賃の自動精算を行うことができる。また、電源部16は電池17の充電を制御し、この電池17の電力から各部の動作に必要な電源を発生して各部に供給する。
【0028】
ここで、非接触通信部通信部15の実装位置は、図示の例の場合、筐体2の内部の図面に向かって下側であり、要するに、筐体2の中心から下側に偏心して実装されている。これは、非接触通信が微弱電力の数センチ程度の短距離通信であるからであり、できるだけ筐体2の外面近くに位置させる必要があるからである。
【0029】
筐体2の上端面にはスピーカ14のための拡声穴2aが形成されており、筐体2の下端面にはマイク13のための収音穴2bが形成されている。さらに、その収音穴2bの周りに2条の電池充電用電極2cが設けられ、且つ、電池17の収納蓋2dが設けられている。
【0030】
また、筐体2の下端面には、さらに、この携帯電話機1の動作モードを切り替えるためのモード切替キーMが設けられており、このモード切替キーMを押すたびに、携帯電話機1の動作モードが携帯電話モード、カレンダ表示モード、テレビ放送受信モード等に順次切り替わるようになっている。なお、ここでは、機械的なモード切替キーMとしたが、これに限らない。後述する表示情報22の副表示部21(図3参照)にソフト的手法で描いたものであってもよい。あるいは、これらの機械的なキーやソフト的なキーのみならず、たとえば、音声認識によるもの(ユーザの音声を認識して動作モードを切り替えるもの)であってもよい。
【0031】
図2は、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の巻きつけ状態図及び展開図であり、図2(a)は巻き付け状態図、図2(b)は展開図である。なお、先にも説明したとおり、“巻きつけ”はフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の実装態様の一例に過ぎないが、ここでは説明の便宜上、“巻きつけ”で話を進めることにする。
【0032】
これらの図において、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3は、縦寸法A×横寸法Bの矩形状平面をなしており、その縦寸法Aは、筐体2の外周面に形成されたデバイス取り付け用凹部2eの縦寸法とほぼ一致し、その横寸法Bは、筐体2の外周面の一周長とほぼ一致する。フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の一側端から、電子ペーパー4の表示データ伝送用及びタッチパネル5のタッチデータ伝送用のフレキシブルフラットケーブル3aが引き出されており、このフレキシブルフラットケーブル3aは、筐体2の外周面に形成された長溝2fから筐体2の内部に引き込まれ、制御部11に接続されている。
【0033】
ここで、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の横方向に対して便宜的な角度指標を示す。角度指標は図面の左端が0度、中央が180度、右端が360度であるものとする。このフレキシブル入出力インターフェースデバイス3に任意の情報を表示する場合、その表示中心を角度指標中の角度αで指定する。
【0034】
図3は、表示の一例を示す図であり、図3(a)は角度指標と表示位置との対応関係図、図2(b)は実際の表示状態図である。これらの図において、α=180度とした場合、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の中央部に情報が表示される。図示の例の場合、表示情報22は、メイン表示部20と副表示部21とからなり、メイン表示部20は通常の携帯電話における「出力部」に相当し、副表示部21は通常の携帯電話における「入力部」に相当する。つまり、メイン表示部20は電波の強さや電池の残量及び着信メール件数などのピクト表示ならびに日時などのカレンダ表示および待受け画像表示(図示略)などを行うために用いられるほか、さらに、電話発着信時の電話番号表示等の操作情報表示、メール閲覧表示、メール編集表示、インターネット上のコンテンツ表示、メニュー表示、等々、に用いられ、一方、副表示部21はテンキーやオン/オフフックキー、クリアキー、メールキー、メニューキーなどの各種キーオブジェクトの表示に用いられる。
【0035】
図4は、実施形態に係る携帯電話機1のブロック図である。この図において、制御部11は、CPU11a、ROM11b、RAM11c、PROM11dを含み、電源部16からの電源供給を受けて動作し、携帯電話機1の各部を統括制御する。具体的には、ROM11bにあらかじめ格納されている制御プログラムと必要であればPROM11dに格納されているユーザデータとをRAM11cに読み出し、その制御プログラムをCPU11aで実行することにより、この携帯電話機1の「各種機能」をソフト的に実現する。各種機能は、電話機能、メール送受信機能、ブルーツース通信機能、テレビ放送受信機能、非接触通信機能などであるが、とりわけ本実施形態では、これらの各種機能と平行して、筐体2の外周面に巻きつけられたフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を適正に制御する表示位置制御機能を実行する点に特徴がある。
【0036】
すなわち、前出の図3においては、表示位置としてα=180度を例にした。この表示位置は、α=180度の方向にユーザが居ることを前提としているが、仮にユーザが別の方向、たとえば、0度方向(つまり図面の裏側の方向)に居た場合、表示された情報が筐体の裏側になるため、ユーザからまったく情報を見ることができない。この場合、ユーザは筐体2を回転させなければならないので、操作性を悪くする。
【0037】
本実施形態の思想は、要するに、携帯電話機1の状態(卓上等に置かれている場合や手持ちされている場合など)にかかわらず、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を常に適正に維持するように制御することにある。
【0038】
図5は、本実施形態の思想を実現するための制御プログラム(表示位置制御処理)の一例を示すフローチャートである。表示位置制御処理は、ROM11bにあらかじめ格納されている制御プログラムに含まれており、この制御プログラムが周期的にRAM11cに読み出され、表示位置制御処理としてCPU11aで実行されるようになっている。
【0039】
図5において、このフローチャートでは、まず、携帯電話機1が静止状態であるか否かを判定する(ステップS1)。「静止状態」とは携帯電話機1が卓上等に置かれていることをいう。ユーザによって持ち運ばれているときや操作されているときは静止状態でない。静止状態の判定はセンサ部12の検出信号に基づいて行われる。静止状態と判定されたときは、次に、天地判定、すなわち、携帯電話機1の筐体2のどの方向が天地を向いているのかを判定(ステップS2)してから、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を「天側」、すなわち重力方向の反対側にする(ステップS3)。この天地判定もセンサ部12の検出信号に基づいて行われる。
【0040】
図6は、天地判定に基づく表示位置制御の概念図であり、図6(a)は概念図、図6(a)は表示状態図である。図6(a)において、卓上等に静止状態で置かれた筐体2の重力方向Gをセンサ部12で検出し、その重力方向Gに一致する角度F(フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の角度;図2の角度指標参照)を求める。そして、その角度Fと反対の角度H(つまり、H=F−180度)を「天側」とし、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置をその「天側」になるように制御(ステップS3)した後、表示位置制御処理を終了する。
【0041】
このようにすると、図6(b)に示すように、卓上等に置かれた携帯電話機1の外周面、つまり、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3によって構成された表示面のほぼ真上の位置(天側の位置)に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示することができるから、たとえ、転がりやすい形の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示し続けることができ、表示情報の視認性を損なうことがない。
【0042】
一方、ステップS1において、静止状態が判定されなかった場合は、ユーザによって持ち運ばれているときや操作されているときであると判断して、使用環境下における表示位置制御(ステップS4)を実行する。
【0043】
このステップS4の表示位置制御においても、携帯電話機1のフレキシブル入出力インターフェースデバイス3のどの面に情報を表示すればよいかを判定し、その判定結果に従って情報の表示位置制御を行う点で前記の静止状態における表示位置制御(ステップS2及びステップS3)と共通するが、前記の静止状態における表示位置制御は単純に「天側」を表示位置とするのに対して、このステップS4の表示位置制御では、携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザから見える位置に制御する点で相違する。
【0044】
すなわち、このステップS4では、まず、カメラ9を用いて携帯電話機1の周辺画像を撮影し(ステップS5)、ついで、その画像から人物の顔を抽出する(ステップS6)。なお、顔の抽出(認識)は、たとえば、特開2001−291108号公報などに記載されている公知技術を利用して行うことができる。次に、顔抽出が行われたか否かを判定し(ステップS7)、顔抽出が行われなかった場合は、たとえば、携帯電話機1をポケットやかばんの中に入れたまま移動しているものとみなし、この場合は、表示位置制御の必要性がないので、そのまま、表示位置制御処理を終了する。
【0045】
顔抽出が行われた場合は、次に、抽出した顔が複数であるか否かを判定する(ステップS8)。そして、複数の顔でなければ、つまり、一人の顔だけを抽出した場合は、その顔を選択し(ステップS9)、複数の顔が抽出された場合は、最大の大きさの顔を手持ち中または操作中のユーザの顔であると判断して、その最大の顔を選択する(ステップS10)。そして、いずれの場合も、次に、選択した顔の方向を判定し(ステップS11)、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置をその「顔の方向」になるように制御(ステップS12)した後、表示位置制御処理を終了する。
【0046】
図7は、顔抽出の概念図であり、図7(a)は撮像概念図、図7(a)は撮像結果図、図7(a)は人物の顔と表示位置の対応関係図である。図7(a)において、カメラ9はCCDやCMOS等の半導体二次元撮像デバイス23、及び、その半導体二次元撮像デバイス23の撮像面23aの直前に配置された結像レンズ24などを含み、この結像レンズ24の前面に設置された半円球レンズ18から取り込まれた視野角ほぼ180度の周辺画像を半導体二次元撮像デバイス23で画像信号に変換して画像処理部10に出力する。
【0047】
画像処理部10の出力画像の一例を図7(b)に示す。この画像25は半導体二次元撮像デバイス23の画素配列に応じた縦横n×m画素の大きさを有する矩形状であり、中央の円形範囲が半円球レンズ18から取り込まれた視野角ほぼ180度の周辺画像26である。ここでは、この周辺画像26に二人の人物27、28が写りこんでいるが、携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザは間近に位置しているので、多くの場合、顔の大きさが最も大きくなるはずである。このため、最大の大きさの顔を持つ人物を「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」であるとみなし(ステップS10)、その顔の方向に、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御する。なお、周辺画像26に一人の人物だけが写りこんでいる場合は、当然ながら、その人物を「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」であるとみなして(ステップS9)差し支えない。
【0048】
このようにすると、図7(c)に示すように、ユーザ27によって手持中または操作中の携帯電話機1の外周面、つまり、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3によって構成された表示面の“所定位置”に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示することができ、この“所定位置”は、前記のとおり、「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」の顔の方向(白抜き矢印22a)に対応する位置であるから、たとえ、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示することができ、表示情報の視認性を損なうことがない。
【0049】
なお、以上の説明では、カメラ9の撮影画像から顔を抽出し、その抽出結果に基づいてフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御しているが、これは、携帯電話機1の使用環境下における表示位置制御の一例を示しているに過ぎない。たとえば、マイク13をステレオ方式(少なくとも2個のマイクを左右に離隔配置したものであって、各々のマイクの音量差に基づいて音の方向を特定することができるもの)とし、そのマイク13で声の方向を検出して、その声の方向に、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御するようにしてもよい。
【0050】
また、上記の図5のステップS4を、次のように変更してもよい。
図8(a)は、ステップS4の変更例を示す図である。この変更例のステップS4´に示すように、センサ部12の検出信号から加速度に関する情報(加速度の方向と加速度の強さ)を取り出し(ステップS13)、その情報に基づいてフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御するようにしてもよい(ステップS14)。たとえば、ユーザによって携帯電話機1が特定方向に振られたときに、その方向に情報を表示するように制御してもよい。このようにすると、ユーザによる意図的な振る舞い(携帯電話機1を特定方向に振る)に応答して表示位置を制御することができ、たとえば、第三者が見やすい方向に情報を表示するなど、より柔軟性に富んだ表示位置制御を行うことができる。
【0051】
図8(b)は、加速度検出による表示位置制御の様子を示す図である。この図に示すように、ユーザ27によって、たとえば、自分の顔の方向に携帯電話機1が素早く動かされたとき、その動きの強さと方向が加速度信号としてセンサ部12で検出され、その検出信号に基づいてフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置が制御される。
【0052】
このとき、加速度の方向に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示する仕組みにしておけば、この場合、「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」の顔の方向に対応する位置を情報の表示位置とすることができるから、たとえ、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示することができ、表示情報の視認性を損なうことがない。あるいは、ユーザ27以外の第三者に表示情報を見せたい場合には、その第三者の顔の方向に携帯電話機1を素早く動かせばよい。同様に、第三者の顔の方向に対応する位置を情報の表示位置とすることができる。
【0053】
あるいは、図5の表示位置制御を次のように変更してもよい。
図9は、表示位置制御の他のフローチャートである。この図において、まず、センサ部12の出力信号に基づいて携帯電話機1の筐体2に働く重力方向を判定する(ステップS15)。次に、その重力方向を基準に最適な表示方向を算出し(ステップS16)、最後に、算出した表示方向となるように、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御する(ステップS17)。
【0054】
図10は、図9の表示位置制御の概念説明図であり、図10(a)と図10(b)は情報表示の二つの例を示し、図10(c)は重力方向と表示位置の関係を示している。まず、図10(a)及び図10(b)において、筐体2の外周面上のフレキシブル入出力インターフェースデバイス3には適当な情報が表示されている。たとえば、図10(a)の例ではテレビ放送画像29が表示されており、また、図10(b)の例ではカレンダ画像30が表示されている。
【0055】
これらの表示情報は、多くの場合、筐体2を卓上に置いた状態でユーザに見られるが、その際の適切な表示方向は、たとえば、重力方向Gに対して所定の角度β(120度程度)になるはずである。
【0056】
したがって、かかる適切な表示方向を算出する場合は、図10(c)に示すように、卓上等に静止状態で置かれた筐体2の重力方向Gをセンサ部12で検出し、その重力方向Gに一致する角度F(フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の角度;図2の角度指標参照)を求め、そして、その角度Fに所定の角度βを加えた角度I(つまり、I=F+β)を、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置として制御すればよい。
このようにすれば、転がりやすい円筒状の筐体2であっても常に最適な位置に情報(テレビ放送画像29やカレンダ画像30)を表示することができる。
【0057】
なお、ここでは、携帯電話機1を例にしたがこれに限定されない。卓上等で用いられ、且つ、転がりやすい形状の筐体の外周面上にフレキシブル性を有する表示デバイスを張り付けたものであれば、たとえば、卓上型テレビ受信機、卓上型電子カレンダ、卓上時計など、いかなるものであってもよい。
【0058】
あるいは、図5の表示位置制御を次のように変更してもよい。
図11は、表示位置制御のさらに他のフローチャートである。この図において、まず、電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を行うか否かを判定し(ステップS18)、非接触通信を行わない場合は、先の図5のステップS1〜ステップS12の処理に進むが、非接触通信を行う場合には、非接触通信アンテナ(非接触通信部通信部15に含まれている)の反対側を所定の警告メッセージの表示位置とする(ステップS19)。
【0059】
図12は、図11の表示位置制御の概念説明図であり、図12(a)は警告メッセージを示し、図12(b)は表示位置を示している。図12(a)において、筐体2の外周面上に巻きつけられたフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の所定位置に、たとえば、“この面を上にして非接触通信の受信機にタッチしてください”などの文言を有する警告メッセージ31を表示している。この警告メッセージ31の表示位置は、図12(b)に示すように、筐体2の内部に設けられている非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)の丁度反対側の位置になる。
【0060】
したがって、ユーザはこの警告メッセージが上になるようにして筐体2を持ち、非接触通信の受信機32にタッチさせることにより、電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を支障なく行うことができるようになる。
【0061】
なお、ここでは、非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)の丁度反対側の位置に警告メッセージを表示しているが、これに限定されない。先に説明したアルゴリズム(図5等)に従って顔認識や声認識によりユーザの顔の方向を特定し、その顔の方向に警告メッセージを表示するようにしてもよい。この場合、警告メッセージの表示位置によって、そのメッセージの内容を変化させる必要がある。これは、図12に示すように、非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)の丁度反対側に顔が位置している場合は、図と同様のメッセージ内容(“この面を上にして非接触通信の受信機にタッチしてください”)で構わないが、もし、顔の位置が違う場合、たとえば、非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)と同じ側に顔が位置している場合は、たとえば、メッセージ内容を(“この面を下にして・・・・)と手直しする必要があるからである。
【0062】
図13は、顔の位置に対応した警告メッセージの表示位置制御のフローチャートであり、図11のステップS19に置き換わるものである。このフローチャートでは、まず、顔認識や声認識によってユーザの顔の方向を判定する(ステップS19a)。次いで、顔の方向を警告メッセージの表示位置として決定し(ステップS19b)、警告メッセージの内容を設定(ステップS19c)した後、その警告メッセージをステップS19bで決定した位置に表示する(ステップS19d)という流れになる。
【0063】
図14は、警告メッセージのいくつかの例を示す図である。図14(a)は非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)と同じ側に顔が位置している場合を示し、この場合の好ましいメッセージは、“この面を下にして非接触通信の受信機にタッチしてください”となる。また、図14(b)は非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)が左側面に位置し顔が真上に位置している場合を示し、この場合の好ましいメッセージは、“左側面を下にして非接触通信の受信機にタッチしてください”となる。また、図14(c)は非接触通信部通信部15(非接触通信アンテナを含むもの)が右側面に位置し顔が真上に位置している場合を示し、この場合の好ましいメッセージは、“右側面を下にして非接触通信の受信機にタッチしてください”となる。
【0064】
なお、ここでは、電子乗車券や電子マネーなどの非接触通信を例にしたがこれに限定されない。要するに、筐体2の向きや姿勢に影響される可能性がある外部インターフェースであればよく、たとえば、赤外線通信や電池の非接触充電などに応用してもよい。
【0065】
また、以上の説明では、筐体2の形を“円筒状”としたが、これは一例に過ぎない。転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状であればよい。
図15は、筐体2の他の形状を示す図であり、たとえば、図15(a)に示すような三角断面形状の筐体2、図15(b)に示すような多面体断面形状の筐体2、あるいは、図15(c)に示すような楕円断面形状の筐体2などであってもよい。また、筐体2は、軸方向に同一の断面形状である必要もない。要は、転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状であればよい。
【0066】
ここで、「転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状」の典型は、図1等で説明した円筒状のものや、図15で説明した三角断面形状、多面体断面形状、楕円断面形状であるが、「手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状」に着目した場合は、たとえば、矩形断面形状を有する筐体もそのような形状に相当するということができる。とりわけ正方断面柱状筐体の場合、同一形状且つ同じ大きさの四側面を有するが、主面(表示面)を示すマークや印等がなければ、どの側面が主面であるかを即座に判断できない。したがって、このような矩形断面形状を有する筐体に本実施形態を適用することも有効である。
【0067】
図16は、矩形断面形状を有する筐体への適用を示す図であり、図16(a)は矩形断面形状を有する筐体のイ側面に任意の情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示した例、図16(b)は同筐体のニ側面に任意の情報を表示した例、図16(c)は同筐体のハ側面に任意の情報を表示した例、図15(d)は同筐体のロ側面に任意の情報を表示した例である。いずれも、情報の表示面はユーザの顔の方向である。
このような、イ〜ニまでの四側面を有する矩形断面形状の筐体に上記の実施形態を適用した場合、イ〜ニまでの四側面のいずれが主面になっていたとしても、いずれの主面にも支障なく任意の情報を表示することができ、情報の視認性を損なわない。
【符号の説明】
【0068】
1 携帯電話機(電子機器)
2 筐体
3 フレキシブル入出力インターフェースデバイス(表示部)
4 電子ペーパー
5 タッチパネル
9 カメラ(検出手段)
10 画像処理部(検出手段)
11 制御部(表示制御手段、検出手段)
12 センサ部(検出手段)
18 半円球レンズ(検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の姿勢を検出する検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの顔を検出する検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体に働く加速度を検出する検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の中心から偏心して該筐体の内部に実装された非接触通信部とを備え、
前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置を考慮して前記表示部の情報の表示位置を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記筐体の姿勢を検出する検出手段、もしくは、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの方向を検出する検出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置と前記検出手段の検出結果とに基づいて前記表示部の情報の表示位置を制御し、且つ、前記検出手段の検出結果に基づいて前記表示部の情報の内容を設定することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示部はフレキシブル入出力インターフェースデバイスで構成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記フレキシブル入出力インターフェースデバイスは電子ペーパーの上にタッチパネルを積層したものであることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項1】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の姿勢を検出する検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの顔を検出する検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体に働く加速度を検出する検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部の情報の表示位置を前記検出手段の検出信号に基づいて制御することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
転がりやすい形状または手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体と、その筐体の外周面に設けられた表示部と、この表示部に所要の情報を表示する表示制御手段と、前記筐体の中心から偏心して該筐体の内部に実装された非接触通信部とを備え、
前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置を考慮して前記表示部の情報の表示位置を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記筐体の姿勢を検出する検出手段、もしくは、前記筐体を手持ち中または操作中のユーザの方向を検出する検出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記非接触通信部の実装位置と前記検出手段の検出結果とに基づいて前記表示部の情報の表示位置を制御し、且つ、前記検出手段の検出結果に基づいて前記表示部の情報の内容を設定することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示部はフレキシブル入出力インターフェースデバイスで構成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記フレキシブル入出力インターフェースデバイスは電子ペーパーの上にタッチパネルを積層したものであることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−34029(P2011−34029A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183153(P2009−183153)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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