説明

電子機器

【課題】選択操作部材による選択対象の数が増加しても、操作部の小径化を図りつつ、良好な操作性を確保することができるとともに、組立工数を削減して低コスト化を図ることができるデジタル一眼レフカメラを提供する。
【解決手段】デジタル一眼レフカメラは、回転操作ダイヤル54と、回転操作ダイヤル54の中央部に配置され、周方向の複数の箇所で傾倒操作が可能な選択操作部材52と、選択操作部材52の裏面側に配置され、選択操作部材52を傾倒可能に支持する支持部材64と、を備える。選択操作部材52の裏面側には、傾倒操作時に支持部材64により傾倒方向に案内される腕部52iが形成され、腕部52iには、支持部材64に対して軸方向に係合する係合部52jが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の電子機器に設けられる操作部の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の電子機器に設けられる操作部として、円環状の回転操作ダイヤルの中央部に、複数の押圧操作キーを有する選択操作部材を配置したものがある(特許文献1)。回転操作ダイヤルは、露出補正や撮影情報の設定操作を行うための操作部材であり、回転方向や回転量に応じて設定量が変更される。また、選択操作部材は、ファインダ内に表示された複数の焦点検出領域のうち任意の焦点検出領域を選択操作するための操作部材である。これらの操作部材を備える操作部は、ユーザがカメラ本体を把持した状態でレリーズボタンを人指し指で押しながら、或いはファインダを覗きながら親指で操作しやすい位置に配置され、通常はカメラ本体の背面側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−49463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のデジタルカメラの高機能化に伴い、焦点検出領域の数が増えて、ファインダ内に表示される焦点検出領域の数も同様に増加し、選択操作部材による選択対象の数が増加している。また、近年、デジタルカメラの背面側に配置される液晶表示装置の大型化が進む一方で、カメラ本体の小型化の要請に伴い、カメラ本体の背面に操作部を配置するスペースが小さくなってきている。このため、操作部の小径化を図りつつ、良好な操作性を確保することが望まれる。
【0005】
しかし、上記特許文献1では、略円形状の選択操作部材に複数の押圧操作キーが円周方向に独立して配置されるとともに、選択操作部材の全体が複数の押圧操作キーを外部に露出させた状態でカバーにより覆われることで支持台に固定されている。
【0006】
このため、押圧操作キーを良好な操作性を確保できる大きさにして選択対象となる焦点検出領域の数の増加に合わせて押圧操作キーの数を増やすと、選択操作部材が大径化するとともに、カバーの径方向の肉厚分も加わるため、操作部の小径化が困難となる。反対に、操作部の小径化を優先し、操作押圧キーの大きさを小さくして選択対象となる焦点検出領域の数の増加に合わせて押圧操作キーの数を増やすと、操作性が低下して誤操作の原因になる。また、上記特許文献1では、選択操作部材を覆った状態で支持台に固定するカバーが必須となるため、部品点数が増して、組立て工数が増加するという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、選択操作部材による選択対象の数が増加しても、操作部の小径化を図りつつ、良好な操作性を確保することができるとともに、組立工数を削減して低コスト化を図ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、回転操作ダイヤルと、前記回転操作ダイヤルの中央部に設けられ、周方向の複数の箇所で傾倒操作が可能な選択操作部材と、前記選択操作部材の裏面側に配置され、前記選択操作部材を傾倒可能に支持する支持部材と、を備え、前記選択操作部材の裏面側には、前記傾倒操作時に前記支持部材により傾倒方向に案内される腕部が形成され、前記腕部には、前記支持部材に対して軸方向に係合する係合部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、選択操作部材による選択対象の数が増加しても、操作部の小径化を図りつつ、良好な操作性を確保することができるとともに、組立工数を削減して低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタル一眼レフカメラを上面側から見た図である。
【図2】デジタル一眼レフカメラのレリーズボタン及び設定ボタンの部位を部分的に示す縦断面図である。
【図3】デジタル一眼レフカメラのカメラ本体を背面側から見た図である。
【図4】ユーザがファインダから被写体を観察した際のファインダ内での表示例を示す図である。
【図5】操作部の斜め上方から見た分解斜視図である。
【図6】操作部を斜め下方から見た分解斜視図である。
【図7】操作部の組立状態における断面図である。
【図8】(a)は図7のA部拡大図、(b)は図7のB部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタル一眼レフカメラを上面側から見た図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のデジタル一眼レフカメラは、カメラ本体1の背面側から見て右側の外装が撮影時にユーザが把持するグリップ部10とされている。カメラ本体1の上面部において、グリップ部10を把持したユーザの人指し指に近い位置には、レリーズボタン2が設けられている。
【0014】
また、カメラ本体1の上面部には、AF(オートフォーカス)、露出、連写等の設定を変更する際に操作する複数の設定ボタンがカメラ本体1の幅方向に略等間隔で設けられている。更に、カメラ本体1の上面部には、設定ボタン3を操作することにより変更できる設定項目を表示するための表示部4が設けられている。
【0015】
レリーズボタン2の押し下げ方向5は、カメラ本体1の上面側から見て撮影光軸方向に対してレンズ鏡筒からグリップ部10側に離れる方向に角度αだけ傾斜している。このため、ユーザが撮影時にグリップ部10を把持してレリーズボタン2の操作面に人差指の腹を当てると、腹に対して略面直方向へレリーズボタン2を押し下げることができる。
【0016】
また、複数の設定ボタン3の各中心を結ぶ線6は、レリーズボタン2の押し下げ方向5に対して直交するようになっている。これにより、ユーザは、グリップ部10を把持した状態で複数の設定ボタン3間で人差指を自然な状態で移動させることができ、特にファインダ11を覗きながら設定ボタン3を操作する際の操作性を向上させることができる。
【0017】
図2は、デジタル一眼レフカメラのレリーズボタン2及び設定ボタン3の部位を部分的に示す縦断面図である。
【0018】
図2に示すように、レリーズボタン2の操作面21は、カメラ本体1を水平面に設置した場合に、水平方向に対して角度βだけ前側(被写体側)が下方に傾斜している。また、設定ボタン3も同様に、水平方向に対して前側が下方に傾斜した形状になっており、その前側傾斜方向23とレリーズボタン2の操作面21の頂点面での断面投影接線22とは、略平行になっている。これにより、設定ボタン3とレリーズボタン2の押し下げ向が略同一となるため、特にファインダ11を覗きながら設定ボタン3とレリーズボタン2の両方を操作する際の操作性を向上させることができる。
【0019】
図3は、デジタル一眼レフカメラのカメラ本体1を背面側から見た図である。以下、図3を参照して、カメラ本体1の背面部に設けられる各部材について説明する。
【0020】
図3において、視度調整ダイヤル42は、ファインダ11内に配設された不図示のレンズを撮影者の視度に合うように移動させるためのものである。AFスタートボタン43は、不図示のレンズの焦点検出動作(AF)を任意のタイミングで始動するためのボタンである。AEロックボタン44は、露出値のロック等に用いられるボタンである。焦点検出領域選択ボタン45は、後述する焦点検出領域の選択を行う際に操作するボタンである。
【0021】
メニュー選択設定ボタン46は、LCD等の表示装置47に表示される各メニュー項目の設定や画像の再生、消去、情報表示を行うためのボタンである。電源スイッチ48は、カメラの電源をON/OFFするためのスイッチである。メディアカバー49は、開閉可能に設けられ、開状態で撮像画像を保存するためのメモリカードをカードスロットに対して着脱することができる。アクセスランプ窓50は、メモリカードに画像を保存するなどのアクセス中に点灯して、ユーザにアクセス中であることを知らせる。
【0022】
操作部51は、円環状の回転操作ダイヤル54、回転操作ダイヤル54の中央部に設けられた円環状の方向選択操作部材52、及び方向選択操作部材52の中央部に設けられた押圧操作ボタン53とを備える。ここで、押圧操作ボタン53は、本発明の押圧操作部材の一例に相当する。
【0023】
回転操作ダイヤル54は、露出補正を行うための部材であり、回転方向や回転量に応じて設定量が変更される。方向選択操作部材52及び押圧操作ボタン53は、ファインダ11内に表示された選択対象の複数の焦点検出領域のうち任意の焦点検出領域を選択操作するために用いられる。方向選択操作部材52は、円周方向に複数(本実施形態では8つ)の突起52a〜52hが略等間隔で設けられており、8方向に傾倒操作が可能になっている。
【0024】
なお、AFスタートボタン43、AEロックボタン44、焦点検出領域選択ボタン45、及び操作部51は、カメラ本体1の背面部において、ユーザがグリップ部10を右手55で把持した際に親指55aで操作可能な位置に配置することが好ましい。このように配置すると、ユーザが右手55でグリップ部10を把持した状態でレリーズボタン2を人差し指55bで操作する際に、AFスタートボタン43、AEロックボタン44、焦点検出領域選択ボタン45及び操作部51の親指55aでの操作性が向上する。
【0025】
図4は、ユーザがファインダ11から被写体を観察した際のファインダ11内での表示例を示す図である。
【0026】
図4において、撮影画面200には、被写体像が表示されるとともに、複数の焦点検出領域201a〜201iが表示され、これらの焦点検出領域201a〜201iのうちいずれか一つの焦点検出領域の被写体にピントが合わせられる。撮影画面200の下方には、条件表示部202が表示される。条件表示部202は、シャッタ秒時を示すシャッタ秒時表示部202a、絞り値を示す絞り表示部202b、適正露出に対するシフト量を示すシフト量表示部202c、シフト量の指標となる指標部202d、及び合焦表示部202eにより構成される。合焦表示部202eは、点灯することでユーザに被写体が合焦したことを知らせる。
【0027】
次に、方向選択操作部材52、押圧操作ボタン53及び回転操作ダイヤル54の操作方法について説明する。
【0028】
まず、ユーザが焦点検出領域選択ボタン45を押すと、ファインダ11内に表示される焦点検出領域201a〜201iのうちで現在の選択されている焦点検出領域、例えば中央の焦点検出領域201eが点灯してユーザに知らせる。この状態では、露出補正を行っていないため、条件表示部202の指標部202dは、シフト量「0」を示している。
【0029】
そして、ユーザは、合焦させたい被写体を変更したい場合は、方向選択操作部材52又は押圧操作ボタン53を操作することにより、合焦させたい被写体に対応する焦点検出領域を選択する。具体的には、例えば焦点検出領域201aを選択する場合は、方向選択操作部材52の突起52aを押して傾倒操作する。同様に、焦点検出領域201b〜201hを選択する場合は、方向選択操作部材52の突起52b〜52hを押して傾倒操作する。また、焦点検出領域201iを選択する場合は、押圧操作ボタン53を押圧操作する。
【0030】
次に、測光値により設定されたシャッタ秒時と絞り値を変更(露出補正)したい場合には、回転操作ダイヤル54を例えば時計方向に3ステップ回転操作することで、+1/3段、+2/3段、+1段と露出シフト量を変更することができる。反対に、回転操作ダイヤル54を反時計方向に3ステップ回転操作することで、−1/3段、−2/3段、−1段と露出シフト量を変更することができる。
【0031】
ここで、撮影モードがシャッタ速度優先モードに設定されているときは、絞り値のシフトを行い、絞り優先モードに設定されているときは、シャッタ秒時のシフトを行う。これにより、シャッタ秒時表示部202a、絞り表示部202b、シフト量表示部202dには、露出値がシフトされた状態で表示される。
【0032】
次に、図5〜図8を参照して、操作部51について詳しく説明する。
【0033】
図5は操作部51の斜め上方から見た分解斜視図、図6は操作部51を斜め下方から見た分解斜視図である。
【0034】
図5及び図6に示すように、方向選択操作部材52と回転操作ダイヤル54との間には、支持台61、フレキシブル基板62、及び受け台64が方向選択操作部材52から回転操作ダイヤル54側に向けて軸方向に略同心に配置されている。方向選択操作部材52の裏面には、表面側の突起52a,52c,52e,52gに対応する位置に、突起52a−1,52c−1,52e−1,52g−1が設けられている。
【0035】
フレキシブル基板62は、裏面側に配置された支持板63により支持されており、支持板63は、受け台64により支持されている。フレキシブル基板62の表面側には、方向選択操作部材52の突起52a−1,52c−1,52e−1,52g−1に対応する位置にそれぞれメタルドームスイッチ62a,62c,62e,62gが設けられている。また、フレキシブル基板62には、方向選択操作部材52の傾倒操作によりメタルドームスイッチから出力される信号を不図示の制御部に接続するためのリード線62jが設けられている。
【0036】
そして、例えば、ユーザが方向選択操作部材52の突起52aを傾倒操作すると、突起52a−1がフレキシブル基板62のメタルドームスイッチ62aを弾性的に押圧して信号が発生する。この信号に基づき、不図示の制御部は、方向選択操作部材52の突起52aの方向が選択されたと判断する。また、ユーザが方向選択操作部材52の突起52bを傾倒操作すると、突起52a−1,52c−1がフレキシブル基板62のメタルドームスイッチ62a,62cを弾性的に押圧して信号が発生する。この信号に基づき、不図示の制御部は、方向選択操作部材52の突起52bの方向が選択されたと判断する。
【0037】
方向選択操作部材52の中央開口部には、押圧操作ボタン53が嵌め込まれる。押圧操作ボタン53は、裏面側に略同心に突設された嵌合軸53aが支持台61に対して軸方向に摺動可能に嵌合される。また、支持台61の裏面側には、下方に突出する係合腕部61aが円周方向の互いに180°離間して2カ所設けられている。2カ所の係合腕部61aは、フレキシブル基板62及び支持板63に貫通して設けられた2ヶ所の穴部63aに嵌合されて固定される。
【0038】
また、方向選択操作部材52の突起52a−1,52c−1,52e−1,52g−1の径方向外方位置には、下方に突出する係合腕部52iが円周方向に略等間隔で4ヶ所設けられている。4ヶ所の係合腕部52iは、受け台64に設けられた4ヶ所の溝部64aに対して方向選択操作部材52の傾倒方向に摺動可能に支持される。受け台64の裏面側中心部には、嵌合軸64bが略同心に設けられており、嵌合軸64bには、リード線62jを軸方向に挿通させるための開口部64cが設けられている。ここで、受け台64は、本発明の支持部材の一例に相当する。
【0039】
回転操作ダイヤル54の表面側中央部には、受け台64、フレキシブル基板62、支持板63、支持台61、方向選択操作部材52、及び押圧操作ボタン53が収納される凹部が設けられている。また、回転操作ダイヤル54の裏面側には、軸部54bが略同心に設けられており、軸部54bには、凹部の底面から軸部54bの先端面まで貫通する嵌合穴54aが形成されている。嵌合穴54aには、受け台64の嵌合軸64bが嵌合され、これにより、回転操作ダイヤル54が受け台64の嵌合軸64bに対して回転可能に支持される。
【0040】
また、軸部54bは、カメラ本体1の背面カバー55に設けられた軸穴55aに嵌め込まれ、これにより、回転操作ダイヤル54と後述する接片押さえ板66、接片67及びクリック板68とによって背面カバー55を挟み込む構造となる。このとき、回転操作ダイヤル54に設けられたレール面54cが背面カバー55に設けられたレール面55aに摺動可能に当接することで、回転操作ダイヤル54をスムーズに回転させることができる。
【0041】
回転操作ダイヤル54とカメラ本体1内に設けられるベース部材72との間には、位相フレキシブル基板65、接片押さえ板66、接片67、及びクリック板68が回転操作ダイヤル54からベース部材72側に向けて順番に配置されている。
【0042】
接片押さえ板66、接片67及びクリック板68は、軸方向に積層された状態で回転操作ダイヤル54の軸部54bの先端面にねじ等により略同心に固定される。ここで、接片押さえ板66、接片67、及びクリック板68の中央部に形成された穴部は、回転操作ダイヤル54の嵌合穴54aより大径に形成されており、従って、受け台64の嵌合軸64bは嵌合穴54aにのみ嵌合される。
【0043】
位相フレキシブル基板65は、回転操作ダイヤル54の回転位相を検出するためのものであり、裏面に導通パターン65aが設けられ、背面カバー55の裏面に設けられた平面部55bに貼付け固定されている。接片押さえ板66は、クリック板68とともに接片67を挟み込んで固定する。接片67は、位相フレキシブル基板65の導通パターン65aに当接し、回転操作ダイヤル54の回転を電気信号に変換して、不図示の制御部に出力する。
【0044】
クリック板68は、回転操作ダイヤル54を回転操作する際に、ユーザに対してクリック感を与えるためのものであり、外周部には、波形状部68aが周方向に沿って形成されている。クリック板68の外周側には、クリックボール69及びクリックばね70を配置するための溝を有するガイド部材71が配置されており、ガイド部材71は、ねじ等により背面カバー55に固定される。クリックボール69は、クリックばね70の付勢力を受けてクリック板68の波形状部68aに係合しており、回転操作ダイヤル54の回転操作に伴って波形状部68aの凹凸に合わせて進退することで、ユーザに対してクリック感を与えることができる。
【0045】
ベース部材72は、受け台64の嵌合軸64bを固定するための部材であり、背面カバー55にねじ等により固定される。また、ベース部材72には、リード線62jを挿通させるための開口部72aが設けられている。
【0046】
図7は、操作部51の組立状態において、図5の押圧操作ボタン53の中心から方向選択操作部材52の突起52h方向、及び突起52c方向に切断した断面図である。図8(a)は図7のA部拡大図、図8(b)は図7のB部拡大図である。
【0047】
図7及び図8(a)に示すように、受け台64の溝部64aに嵌合された方向選択操作部材52の係合腕部52iの先端には、本発明の係合部の一例に相当する係合爪52jが設けられている。係合爪52jは、方向選択操作部材52の突起52a−1,52c−1,52e−1,52g−1がそれぞれメタルドームスイッチ62a,62c,62e,62gに当接した状態で溝部64aの係合壁64dに軸方向に係合することで抜け止めがなされる。
【0048】
また、受け台64の溝部64aは、係合壁64dに係合した係合爪52jの下方に空間を有しており、これにより、方向選択操作部材52の傾倒操作を可能にし、該傾倒操作時には、係合腕部52iが溝部64dの内壁面を摺動しながら傾倒方向に案内される。
【0049】
また、図7及び図8(b)に示すように、フレキシブル基板62及び支持板63に貫通して設けられた穴部63aに嵌合された支持台61の係合腕部61aの先端には、係合爪62kが設けられている。支持台61には、押圧操作ボタン53の嵌合軸53aがメタルドームスイッチ62iに当接した状態で軸方向に摺動可能に嵌合されており、係合爪62kは、支持板63の裏面に対して軸方向に係合して抜け止めがなされている。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、円周方向の複数の箇所で多方向に傾倒可能な方向選択操作部材52の傾倒操作によりファインダ11に表示された複数の焦点検出領域から任意の焦点検出領域を選択する。また、方向選択操作部材52の係合爪52jが受け台64の溝部64aの係合壁64dに軸方向に係合することで方向選択操作部材52の抜け止めがなされている。
【0051】
これにより、従来必要であった方向選択操作部材52を覆うカバーが不要になると共に、選択対象である複数の焦点検出領域が増加しても、方向選択操作部材52を大径化することなく、良好な操作性を確保することができる。このため、方向選択操作部材52の良好な操作性を確保しつつ、方向選択操作部材52、回転操作ダイヤル54及び押圧操作ボタン53を含む操作部51の小径化を図ることができる。また、方向選択操作部材52を覆うカバーが不要になるため、組立工数が削減されて、低コスト化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、方向選択操作部材52の中央部に1つの焦点検出領域201iを押圧操作により選択するための押圧操作ボタン53を設けているので、より複雑な情報入力を可能にすることができる。
【0053】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、電子機器としてデジタル一眼レフカメラを例示したが、デジタルコンパクトカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置や撮像装置以外の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 カメラ本体
2 レリーズボタン
51 操作部
52 方向選択操作部材
52i 係合腕部
52j 係合爪
53 押圧操作ボタン
54 回転操作ダイヤル
64 受け台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作ダイヤルと、
前記回転操作ダイヤルの中央部に配置され、複数の箇所で傾倒操作が可能な選択操作部材と、
前記選択操作部材の裏面側に配置され、前記選択操作部材を傾倒可能に支持する支持部材と、を備え、
前記選択操作部材の裏面側には、前記傾倒操作時に前記支持部材により傾倒方向に案内される腕部が形成され、前記腕部には、前記支持部材に対して軸方向に係合する係合部が形成されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記選択操作部材の中央部に、押圧操作部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43707(P2012−43707A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185461(P2010−185461)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】