電子装置のための熱サイフォンシステム
【課題】本願発明の目的は、熱伝導効率を改善した熱サイフォンシステムを提供することである。
【解決手段】熱サイフォンシステムは、凝縮器と、凝縮物ラインによって前記凝縮器に流体的に連結される蒸発器と、を含む。前記蒸発器はハウジングを有し、該ハウジングは、凝縮物ラインへの開口部と、該ハウジング内に位置したウィックと、前記ハウジング内に位置した流れ抵抗機構であって、前記凝縮物ラインから前記ウィックの一部上への作動流体の流れを制限するように構成された流れ抵抗機構と、を有する。
【解決手段】熱サイフォンシステムは、凝縮器と、凝縮物ラインによって前記凝縮器に流体的に連結される蒸発器と、を含む。前記蒸発器はハウジングを有し、該ハウジングは、凝縮物ラインへの開口部と、該ハウジング内に位置したウィックと、前記ハウジング内に位置した流れ抵抗機構であって、前記凝縮物ラインから前記ウィックの一部上への作動流体の流れを制限するように構成された流れ抵抗機構と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、電子装置から熱を取り除くための熱サイフォンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ使用者は多くの場合、コンピュータのマイクロプロセッサの速度(例えば、メガヘルツ及びギガヘルツ)に注目している。多くの人々は、この速度が多くの場合、費用、すなわち高い電力消費(cost−higher power consumption)と伴うことを忘れている。この電力消費はまた、熱を発生させる。これは、単純な物理法則によって、全ての電力がどこかへ行かなければならず、最終的には、どこかで熱に変換されるからである。単一のマザーボード上に取り付けられた一対のマイクロプロセッサは、数百ワット以上の電力を使用する場合がある。巨大なデータセンターにおける多くのコンピュータからなるように、数千(数万)の数に増大し、発生し得る熱の量を容易に理解することができる。データセンター内での致命的な負荷によって消費された電力の効果は、致命的な負荷をサポートするように要求された全ての補助的な設備を組み込む場合に、多くの場合複雑になる。
【0003】
多くの技術は、サーバーラックトレイ上に位置する電子装置(例えば、プロセッサ、メモリ、及び他の発熱装置)を冷却するために使用される場合がある。例えば、強制対流は、電子装置の上方に冷たい空気の流れを提供することによって生み出される場合がある。電子装置に隣接して位置したファン、コンピュータサーバールームに位置したファン、及び/又は電子装置を取り囲む空気と流体連通する管路に位置したファンは、電子装置を含むトレイの上方に冷たい空気の流れを強制させる場合がある。いくつかの実施例において、サーバーラックトレイ上の1つ又は複数の構成要素又は装置は、トレイにおける冷却することが難しい領域、例えば、強制対流が特に効果的ではない領域、又は強制流体が特に利用可能ではない領域において、位置する場合がある。
【0004】
不適切な冷却及び/又は不十分な冷却の結果は、最大定格温度を超えた電子装置の温度に起因にして、トレイ上の1つ又は複数の電子装置の故障とされる場合がある。ある程度の冗長性はコンピュータのデータセンター内、サーバーラック内、及び個々のトレイ内にさえ構築されてもよいが、過熱に起因する電子装置の故障は、速度、効率、費用の観点から、莫大な費用に達する可能性がある。
【0005】
熱サイフォンシステム(thermosiphon system)は、相変化を受ける流体を使用して動作する熱交換器である。流体の液体形態は蒸発器内で蒸発され、熱は、流体の蒸気形態によって、蒸発器から凝縮器へ運ばれる。凝縮器において、蒸気は凝縮され、流体の液体形態は次いで、重力によって蒸発器へ戻される。それ故に、蒸発器と凝縮器との間の流体回路は、機械的なポンプを必要としていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、電子装置、例えば、プロセッサ及びメモリなどのコンピュータの構成要素は、熱を発生させる。熱サイフォンシステムは、そのような電子装置から熱を取り除くために使用されることができる。いくつかのシステムがコンピュータの構成要素から熱を取り除くために提案されてきたけれども、サーバーラック環境で制限された利用可能な空間は、さらなる挑戦を熱サイフォンシステムの設計に持ち込む。さらに、商業的利用のために、熱サイフォンシステムは、高い効率で動作する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
効率を改善するために、独立して又は組み合わせて使用されることができる複数のアプローチが記載されている。該凝縮器は、複数の垂直方向のチャンバーを有することができるが、サーバーラックの制限された垂直方向の空間内に装着するために、上部ヘッダーを欠く場合がある。該凝縮器の内部表面は複数の起伏を含むことができ、該起伏は該凝縮器内で液体フィルム(liquid film)に亘って熱抵抗を減少させる。蒸発器における流れ抵抗機構は、蒸発器が電子装置と接触する領域に亘って液体の薄い層を形成するために使用されることができ、それによって、蒸発器の熱抵抗を減少させる。
【0008】
一の態様において、熱サイフォンシステムは、凝縮器と、凝縮物ラインによって前記凝縮器に流体的(fluidically)に連結される蒸発器と、を含む。該蒸発器はハウジングを含んでおり、該ハウジングは、前記凝縮物ラインへの開口部と、前記ハウジング内に位置するウィック(wick)と、前記ハウジング内に位置した流れ絞り機構であって、前記凝縮物ラインから前記ウィックの一部上への作動流体の流れを制限するように構成される流れ絞り機構と、を含む。
【0009】
実施例は、以下の1つ又は複数を含むことができる。前記ハウジングは底部内面を有してもよく、前記ウィックは前記底部内面上に位置付けられてもよく、前記流れ絞り機構は、前記ウィックと前記開口部との間の前記底部内面上に液体不透過性バリアを含んでもよい。前記バリアは複数の孔を有してもよく、該複数の孔は、前記作動流体が前記ウィックに流れることを可能にする。前記バリアを貫通する前記複数の孔は、前記底部内面に隣接して位置付けられてもよい。前記底部内面は、平面とされてもよい。前記液体不透過性バリアは、前記作動流体をせき止めてもよく、それによって、前記作動流体は、前記開口部に最も近い前記バリアの側に溜められる。該流れ絞り機構は、前記作動流体の深さが、前記ウィックの前記一部に亘る箇所より、前記バリアと前記開口部との間の前記ハウジングの領域に亘る箇所において高くなるように構成されてもよい。前記流体不透過性バリアが前記ウィックの前記一部を取り囲んでもよい。前記ハウジングは上部内面を含み、前記バリアと前記ハウジングの前記上部内面との間に間隙が存在してもよい。蒸気ラインは、前記蒸発器を前記凝縮器に流体的に連結してもよく、前記ハウジングにおける前記蒸気ラインへの開口部は、前記ハウジングの内部上面に位置してもよく、前記ハウジングにおける前記凝縮物ラインへの前記開口部は、前記ハウジングの内部側面に位置してもよい。前記凝縮物ラインは、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインを含んでもよく、前記蒸発器と前記凝縮器との間の流体的連結は、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインからなってもよい。
【0010】
他の態様において、熱サイフォンシステムは、蒸発器と、複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーを備える凝縮器であって、該チャンバーが閉鎖された上端を有する、凝縮器と、前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインと、を含む。
【0011】
実施例は、以下の1つ又は複数の特徴を含むことができる。凝縮器は、底部ヘッダーと、前記底部ヘッダーから上向きに突出している複数の凝縮チューブと、を備えてもよく、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、前記複数の凝縮チューブ内に位置してもよい。前記凝縮物ラインは、前記凝縮器の前記底部ヘッダーを前記蒸発器に流体的に連結してもよい。前記凝縮器は、上部ヘッダーを含まない。前記凝縮器は、前記凝縮チューブから外側へ突出している複数の導熱フィンを含んでもよい。前記凝縮チューブは、前記底部ヘッダーに対して垂直に延在してもよく、前記複数の導熱フィンは、前記底部ヘッダーに平行に延在してもよい。前記凝縮器は、本体に形成されたキャビティーを有する本体と、前記キャビティーにおける複数の壁であって、前記キャビティーを前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに分割する、複数の壁と、を有してもよい。前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、中央チャンネルから横方向に延在する場合がある。前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第1の組は、前記中央チャンネルの第1の側から横方向に延在してもよく、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第2の組は、前記中央チャンネルの反対側の第2の側から横方向に延在してもよい。複数の導熱フィンは、前記本体から外側に突出してもよい。前記複数の導熱フィンは、前記本体から垂直に突出してもよい。前記複数の導熱フィンは、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに対して垂直に方向付けられてもよい。
【0012】
他の態様において、熱サイフォンシステムは、蒸発器と、略垂直方向の内面によって境界付けられた内部容積を備えている凝縮器と、前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結される凝縮物ラインと、を備えている。前記内面は複数の起伏を含んでおり、該起伏は、垂直方向の第1の軸に対して垂直な第2の軸上で内部容積内に内向きに突出しており、前記起伏のピークが前記第1の軸及び前記第2の軸に対して垂直な第3の軸に沿って離隔して配置される。
【0013】
実施例は、以下の1つ又は複数の特徴を含むことができる。前記内部容積は、前記第3の軸に沿った長さと、前記第2の軸沿った幅とを有してもよく、前記長さは、前記幅より大きくてもよい。前記起伏のピークは、前記第3の軸に沿って一定の間隔で配置さてもよい。前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第3の軸に沿ったピッチを有してもよい。前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第2の軸に沿った振幅(amplitude)を有してもよい。前記起伏は、前記第3の軸に沿ったピッチと、前記第2の軸に沿った振幅と、を有してもよく、前記振幅に対するピッチの比は、約1:1から約2:1とされる。前記起伏は、正弦波とされてもよい。前記起伏は、複数の湾曲した区間を備えてもよく、dK/dSが一定の値に等しく、Kが前記起伏の曲率半径の逆数であり、Sが湾曲した区間に沿った距離とされる。
【0014】
他の態様において、熱サイフォンシステムは、蒸発器と、共通のチャンネルに接続された複数の平行なチャンバーを備える凝縮器と、前記凝縮器の前記共通のチャンネルを前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインと、を含む。前記凝縮器は、前記作動流体の液相が前記凝縮物ラインの内部容積の底部を満たす状態で、前記蒸発器より上の高さに位置しており、前記液相の上面が前記凝縮器から前記蒸発器への水平方向に対してゼロではない角度を有しており、前記作動流体の気相が前記凝縮物ラインの前記内部容積の上部を通過することができ、前記上部は、前記凝縮器から前記蒸発器に延在している。
【0015】
他の態様において、サーバーラックサブアセンブリは、サーバーラック内にスライド可能に挿入するために構成されたトレイと、前記トレイ上に取り付けられ、且つ平面に載置しているマザーボードであって、前記マザーボードの下側が間隙によって前記トレイから分離される、マザーボードと、前記マザーボードの上側に取り付けられた、熱を発生させる電子装置と、熱サイフォンシステムと、を含む。該熱サイフォンシステムは、前記熱を発生させる電子装置に支持された蒸発器と、前記トレイに支持されており、且つ前記蒸発器に流体的に連結される凝縮器と、を含む。該蒸発器は、熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ前記熱を発生させる電子装置に熱伝導的に連結される底面を有する。該凝縮器は、前記マザーボードの平面の上方に位置付けられた凝縮収集器と、前記マザーボードの前記平面の下方に、前記凝縮収集器から下向きに延在する複数の導熱フィンと、を含む。ファンは、前記トレイに取り付けられており、前記マザーボードの上方で、且つ前記蒸発器の前記導熱フィンの間で空気流れを発生させるように方向付けられている。
【0016】
実施例は、以下の1つ又は複数を含むことができる。第2の熱を発生させる電子装置は、前記マザーボード上に取り付けられてもよく、該熱サイフォンシステムは第2の蒸発器を含んでもよく、第2の蒸発器は、第2の熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ熱伝導的に連結された第2の底面を含んでもよい。該トレイは、13インチ又は19インチのサーバーラック内へ挿入するために構成されてもよい。該トレイの底部から導熱フィンの上部までの合計の高さは、最大で6インチとされてもよい。
【0017】
以下の1つ又は複数の利点は実現されることができる。熱サイフォンシステムは、サーバーラックの制限された水平方向及び垂直方向の空間内に装着することができる。液体の薄い層は、蒸発器が電子装置と接触している領域に亘って、蒸発器内に維持されることができ、それ故に、電子装置からの熱の吸収に対する蒸発器の熱抵抗を減少させる。さらに、この領域のフラッシング(flooding)の可能性は減少することができ、それ故に、増大した熱抵抗に起因する熱サイフォンシステムの故障の可能性を減少させる。凝縮器の内部表面における起伏は、液体の薄い層をもたらすことができ、それ故に、凝縮器の熱抵抗を減少させ、それによって、熱サイフォンシステムからの熱放射効果を改善させる。
【0018】
1つ又は複数の実施例の詳細は、添付した図面及び以下の詳細な説明で提供される。本願発明の他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】サーバーラックと、前記サーバーラック内に取り付けるように構成されたサーバーラックサブアセンブリと、の側面図を図示する図である。
【図2】サーバーラックサブアセンブリの側面図を図示する図である。
【図3】サーバーラックサブアセンブリの平面図を図示する図である。
【図4】サーバーラックサブアセンブリの斜視図を図示する図である(しかし、フレームのより良い視点を提供するために、プリント回路基板及び熱発生要素を省いている)。
【図5】熱サイフォンシステムから蒸発器の平面図を図示する図である。
【図6】熱サイフォンシステムから蒸発器の側面断面図を図示する図である。
【図7】熱サイフォンシステムから蒸発器の部分的に切断された斜視図を図示する図である。
【図8】熱サイフォンシステムから凝縮器の側面断面図である。
【図9】熱サイフォンシステムから凝縮器の側面断面図である。
【図10】図8の熱サイフォンシステムの平面断面図を図示する図である。
【図11】図9の熱サイフォンシステムの平面断面図を図示する図である。
【図12】熱サイフォンシステムから凝縮器の切断斜視図を図示する図である。
【図13】凝縮器の他の実施例の平面断面図を図示する図である。
【図14】凝縮器の他の実施例の側面断面図を図示する図である。
【図15】他の凝縮器の切断斜視図を図示する図である。
【図16】前記凝縮器におけるチャンバーの拡大された平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
複数の図面における同様の参照符号は、同様の要素を指し示す。
【0021】
この明細書は、電子装置、例えば、プロセッサ又はメモリなどの電子計算装置の構成要素から熱を除去するために実装されることができる熱サイフォンシステムについて論じる。熱サイフォンシステムの蒸発器は、電子装置と接触しており、それによって、電子装置は、伝導性熱伝達効果を経験する。それ故に、熱サイフォンシステムは、電子装置のためのヒートシンクとして作用することができ、電子装置の過熱及びその後の故障の可能性を低減させる。
【0022】
特に、熱サイフォンシステムは、サーバーラック内に挿入するためのサーバーラックサブアセンブリに取り付けられることができる、又は該サーバーラックサブアセンブリと一体化されることができる。サーバーラックサブアセンブリは、熱を発生させる複数の電子装置を含むことができる、又は熱を発生させる複数の電子装置を支持することができる。そして、熱サイフォンシステムの蒸発器は、1つ以上の電子装置と接触することができる。さらに、熱サイフォンシステムは、回路カードアセンブリに、ドーターカードに、及び/又は熱を発生させる電子装置を装着する他のボードに、取り付けられることができる。
【0023】
図1は例示的なシステム100を図示し、例示的なシステム100は、13インチ又は19インチのサーバーラックなどのサーバーラック105と、該サーバーラック105内に取り付けられた複数のサーバーラックサブアセンブリ110と、を含む。単一のサーバーラック105が図示されるけれども、サーバーラック105は該システム100内の複数のサーバーラックのうちの1つとされてもよく、様々なラック取り付け型コンピュータシステムを含むサーバーファーム又は設備設置施設(co−location facility)を含んでもよい。同様に、複数のサーバーラックサブアセンブリ110が図示されるけれども、単一のサーバーラックサブアセンブリのみが存在してもよい。一般的に、サーバーラック105は複数のスロット107を画定しており、該複数のスロット107は、整然とした繰り返し方式(orderly and repeating fashion)でサーバーラック105内に配置され、各スロット107は、対応するサーバーラックサブアセンブリ110が該ラック内で着脱されることができるサーバーラック内の空間である。例えば、サーバーラックサブアセンブリは、レール112に支持されることができる。該レール112は、ラック105の両側から突出しており、スロット107の位置を画定することができる。該スロット及びサーバーラックサブアセンブリ110は、(重力に対して)図示された水平方向の配置で方向付けられることができる。代替的には、スロット107及びサーバーラックサブアセンブリ110は、(重力に対して)垂直方向に方向付けられることができるけれども、これは、以下に記載される蒸発器及び凝縮器の構造におけるいくつかの再構成を必要とするであろう。スロットが水平方向に方向付けられる場合に、それらは、ラック105内で垂直方向に積層されることができる。そして、スロットが垂直方向に方向付けられる場合に、それらがラック105内に水平方向に積層されてもよい。
【0024】
サーバーラック105は、例えば巨大なデータセンターの一部としてデータ処理能力及びデータ格納能力を提供することができる。動作時に、データセンターは、ネットワークに接続されてもよく、データを検索する、データを処理する、且つ/又はデータを格納するためにネットワークからの様々な要求を受信し、該様々な要求に対して応答することができる。動作時に、例えば、サーバーラック105は典型的に、使用者のウェブブラウザーアプリケーションによって発生したユーザーインターフェースで、ネットワークに亘って情報通信を容易にしており、該使用者は、データセンターでコンピュータを動かしているアプリケーションによって提供されたサービスを要求する。例えば、サーバーラック105は、ウェブブラウザーを使用している使用者に、インターネット又はワールドワイドウェブ上のウェブサイトにアクセスすることを提供してもよく、又は該使用者に、インターネット又はワールドワイドウェブ上のウェブサイトにアクセスすることを提供するのを支援してもよい。
【0025】
サーバーラックサブアセンブリ110は、サーバーラックに取り付けられることができる複数の構造のうちの1つとされてよい。例えば、いくつかの実施例において、サーバーラックサブアセンブリ110は、サーバーラック105内にスライド可能に挿入されることができる「トレイ」又はトレイアセンブリとされてもよい。「トレイ」との用語は、特定の配置構成に限定されないが、その代わりに、ラック構造において、マザーボードを所定の位置に支持するために、マザーボードに適用される、又はマザーボードに付属している他の比較的平坦な構造に適用される。いくつかの実施例において、サーバーラックサブアセンブリ110は、サーバーシャーシ又はサーバーコンテナ(例えば、サーバーボックス)とされてもよい。いくつかの実施例において、サーバーラックサブアセンブリ110は、ハードディスクドライブケージ(hard drive cage)とされてもよい。
【0026】
図2〜図4を参照すると、サーバーラックサブアセンブリ110は、フレーム又はケージ120と、前記フレーム120に支持された例えばマザーボードなどのプリント回路基板122と、プリント回路基板122に取り付けられた例えばプロセッサ又はメモリなどの1つ又は複数の熱を発生させる電子装置124と、熱サイフォンシステム130と、を含む。1つ又は複数のファン126はまた、フレーム120に取り付けられることができる。
【0027】
フレーム120は、マザーボード122が配置される又は取り付けられる平坦な構造を含んでもよく、又は単に平坦な構造とされてもよく、それによって、フレーム120は、技術者によってマザーボードを所定の位置に移動させ、且つラック105内の所定の位置にマザーボードを保持するために把持されることができる。例えば、サーバーラックサブアセンブリ110は、ランチトレイ(lunch tray)をカフェテリアラック(cafeteria rack)内にスライドさせるのと同じように、例えばフレーム120をスロット107内にスライドさせ、且つサーバーラックサブアセンブリ110の両側でラック105内の一対のレール上でスライドさせることによって、サーバーラック105内に水平方向に取り付けられてもよい。図2及び図3がマザーボード122の下に延在しているフレーム120を図示するけれども、該フレームは、(例えば、該フレームをマザーボードの周りの周辺フレームとして実装することによって)他の形態を有することができる、又は、マザーボード自体がラック105内に位置する、例えばスライド可能に係合するように除去されることができる。さらに、図2が平坦なプレートとしてフレーム120を図示するけれども、フレーム120は、(図4に示される)平坦なプレートの縁部から上向きに突出している1つ以上の側壁121を含むことができ、この平坦なプレートは、上部が閉じたボックス又はケージ、もしくは上部が開いたボックス又はケージとされてもよい。
【0028】
図示されたサーバーラックサブアセンブリ110は、例えばマザーボードなどのプリント回路基板122を含んでおり、該プリント回路基板122上に、複数の構成要素が、熱を発生させる電子装置124を含んで取り付けられる。1つのマザーボード122がフレーム120上に取り付けられるように図示されるけれども、複数のマザーボードが、特定の用途の必要性に応じて、フレーム120上に取り付けられてもよい。いくつかの実施例において、1つ又は複数のファン126は、フレーム120に配置されることができる。それによって、空気は、(図3の左手側で)サーバーラックサブアセンブリ110がラック110内に設置される場合にラック105の前部に近接する、該サーバーラックサブアセンブリ110の前方縁部から入り、(図4における矢印Aに示されるように)マザーボードの上方、及びマザーボード122上の熱を発生させる複数の構成要素のいくつかの上方を流れ、該サーバーラックサブアセンブリ110がラック105内に設置される場合に、ラック105の後部に近接する、(図3の右手側で)後方縁部でサーバーラックサブアセンブリ110から排出される。1つ又は複数のファン126は、ブラケット127によってフレーム120に固定されることができる。それ故に、複数のファン126は、フレーム120の領域内から空気を引き出し、暖められた後の空気をラック105の外側へ押し出すことができる。マザーボード122の下側は、間隙によってフレーム120から分離されることができる。
【0029】
熱サイフォンシステム130は、蒸発器132、凝縮器134、及び/又は蒸発器132を凝縮器134に接続する凝縮物/蒸気ライン136を含む。蒸発器は電子装置124と接触しており、それによって、熱は、伝導性熱伝達によって電子装置124から蒸発器132へ引き出される。特に、蒸発器132の底部は、電子装置124の上部と接触する。動作時に、電子装置124からの熱は、蒸発器132内の作動流体を蒸発させる。蒸気は次いで、凝縮物/蒸気ライン136を通過して、凝縮器134へ移動する。熱は、凝縮器134から離れるように放射され、例えば凝縮器134を横切って通過する、1つ又は複数のファン126によって送風された空気又は引き込まれた空気内へ放射されており、作動流体を凝縮させている。図2に示されるように、凝縮器134は、蒸発器132から1つ又は複数のファン126の反対側に位置することができる。代替的には、又はさらに、凝縮器134は、蒸発器132と1つ又は複数のファン126のうちの1つ以上の同じ側に位置することができる。
【0030】
図2に示されるように、凝縮物/蒸気ライン136は、僅かな角度(ゼロではない角度)であり、それによって、重力によって、凝縮した作動流体が凝縮物/蒸気ライン136を通じて蒸発器132へ戻るように流れる。それ故に、いくつかの実施形態において、凝縮物/蒸気ライン136の少なくとも一部は、フレーム120の主表面に対して平行ではない。例えば、凝縮物/蒸気ライン136の凝縮器側端は、凝縮物/蒸気ライン136の蒸発器側端より約1〜5mm高い、例えば2mm高いとされることができる。しかしながら、凝縮物/蒸気ライン136が、水平な管路とされる、又は僅かな負の角度でさえとされることも可能である(けれども、正の角度は、凝縮器から蒸発器への液体の流れを改善させる重力の利点を提供する)。複数の熱を発生させる電子装置が単一のマザーボード上に存在する場合があるので、複数の蒸発器が該マザーボード上に存在することができ、この構成において、各蒸発器は、単一の電子装置に対応する。図2に示されるように、第1の電子装置124及び第2の電子装置124と同様に、第1の蒸発器132及び第2の蒸発器132が存在する。第1の蒸発器を第2の蒸発器に接続する凝縮物/蒸気ライン136は、水平とされることができる。
【0031】
動作中に、凝縮器の内側の液体の上面は、蒸発器内の液体の上面より高い、例えば1mm〜10mmだけ高いとされるだろう。僅かな角度(ゼロではない正の角度)とされる凝縮物/蒸気ライン136とともに、これを達成することは容易とされ得るが、熱サイフォンシステムのための期待される熱輸送要求の観点において、作動流体の熱的性質及び機械的性質の適切な選択はさらに、水平の角度又は僅かに負の角度とされる凝縮物/蒸気ライン136のために、これを達成する場合がある。動作中に、作動流体の液相は、該底部が凝縮器から蒸発器へ延在する状態で、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の底部を満たすことができる。そして、作動流体の気相は、該上部が凝縮器から蒸発器へ延在する状態で、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の上部を通過することができる。
【0032】
いくつかの実施例において、凝縮器134は、蒸発器132より高い高さに位置することができ、それによって、作動流体の液相は、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の底部を満たし、且つそれによって、動作中に、液相の上面が、凝縮器132から蒸発器134への水平方向に対してゼロではない角度を有し、作動流体の液相は、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の上部を通過することができ、該上部が凝縮器132から蒸発器134へ延在する。
【0033】
図2〜図4は、複数の蒸発器132を有する熱サイフォンシステム130を図示する。各蒸発器132は、異なる電子装置124と接触することができる、又は例えば、電子装置が特に大きく、又は複数の熱発生領域を有する場合に、複数の蒸発器132は、同一の電子装置と接触することができる。図2〜図4に示されるように、複数の蒸発器132は、凝縮物/蒸気ライン136によって、直列で凝縮器134に接続されることができる。すなわち、第1の凝縮物/蒸気ラインは、凝縮器を第1の蒸発器に接続し、第2の凝縮物/蒸気ラインは、第1の蒸発器を第2の蒸発器に接続する。代替的には、複数の蒸発器132のいくつか又は全ては、凝縮物/蒸気ライン136によって、並列で凝縮器134に接続されることができる。すなわち、第1の凝縮物/蒸気ラインは凝縮器を第1の蒸発器に接続し、第2の凝縮物/蒸気ラインは凝縮器134を第2の蒸発器に接続させる。直列の実施例の利点は、より少ないチューブであるのに対して、並列のチューブの利点は、チューブ径がより小さくなり得ることである。
【0034】
図2〜図4は、共通のラインが、凝縮器134から蒸発器132への凝縮物流れ及び蒸発器132から凝縮器134への蒸気流れの両方のために使用される熱サイフォンシステム130を図示する。それ故に、この実施例において、蒸発器132と凝縮器134との間の流体的な連結は、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインからなる。いくつかの実施例において、凝縮物及び蒸気のための別々のラインとされることができる。しかしながら、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインの潜在的な利点は、該ラインが凝縮器側に接続されることができ、蒸気ラインが一般的に蒸発器の上部に連結される、又は蒸発器の上部に隣接して連結されるので、蒸気のための別個のラインを有するシステムに対して、該システムの垂直方向の高さを減少させることができることである。該凝縮物及び蒸気移送ライン136は、例えば銅又はアルミニウムからなるチューブ又はパイプとされることができる。
【0035】
図5〜図7は、ハウジングを含む蒸発器132を図示しており、該ハウジングはチャンバー146、ウィック(wick)142、及び流れ絞り機構(flow restrictor)150を取り囲む。該ハウジングは、ベース140と、該ベース140に固定されるケース144と、を含むことができる。該ハウジングは、チャンバー146を凝縮物ライン136に接続する開口部(又は、複数のライン136が存在する場合に、各ライン136のための開口部)を有するが、さもなければ、チャンバー146は密封され、且つ液密とされることができる。
【0036】
該流れ絞り機構150は、凝縮物ライン136からウィック142の一部上への作動流体の流れを絞るように構成される。動作時に、液状の作動流体160は、凝縮物ライン136からチャンバー146内に流れ、且つ流れ絞り機構150の前で溜まる(図6に見られる)。流れ絞り機構150は、作動流体の少ない部分が通過することを可能にしており、ハウジングの底部内面上の活動領域、例えばベース140の上部上の活動領域に作動流体160の薄い層162を形成する。作動流体の薄い層162を形成することによって、蒸発器の熱抵抗は効果的に減少させる(作動流体が薄い層からより迅速に蒸発することができるので、より大きな熱伝達を可能にする)。
【0037】
ベース140は、熱伝導材料、例えば銅から形成される。ハウジング、例えばベース140の底部は、電子装置124と、例えば電子装置124の上面と直接的に接触することができる。代替的には、ハウジング、例えばベース140の底部は、熱伝導性インターフェース材料141によって、例えば、熱伝導性パッド又は層によって、例えば、熱伝導性グリース又は熱伝導性接着剤によって、電子装置124と、例えば電子装置124の上面と接続されることができる。
【0038】
ウィック142は、ハウジングの底部内面に、例えばベース140の上面に形成されることができる。ウィック142は、熱をベース140から作動流体160へ伝達する熱伝導性領域である。さらに、ウィック142は、毛管作用(capillary action)によって作動流体160を引き込むように構成されることができる。いくつかの実施例において、ウィック142は、ベース140の上面の多孔性領域又は粗面領域とされることができる。例えば、ウィック142は、ベース140の上面に接合される銅粒子から形成されることができる。例えば、25ミクロンの平均直径を有する銅粒子は、ベース140の上面に約0.25mmの深さまで堆積されることができ、次いで焼結されることができる。ウィック142のための他の可能性は、ベース140上に位置する多孔性材料、ベース140上の微細な溝形成、又はスクリーンウィック(screen wick)を含む。ウィック142の粗さは別として、ハウジングの底部内面は、平坦な表面とされ得る。
【0039】
流れ絞り機構150は、ウィック142と凝縮物ライン136への開口部との間のハウジングの底部内面上に設けられた、液体不透過材料のバリア150aとされることができる。バリア150aは、ハウジングの底部内面を、液状の作動流体が容易に流れることができる第1の部分152と、作動流体の流れが制限される第2の部分154とに区切る。すなわち、作動流体は、第1の部分152から第2の部分154へ流れるために、バリアの下を通らなければならない、又はバリアを通過しなければならない。第1の部分152は、凝縮物ライン136への開口部に隣接することができる。第2の部分154は、電子装置124の上方に直接的に位置付けられることができる。それ故に、電子装置124から最も多くの熱を受容するハウジングの底部内面の活動領域は、作動流体の薄い層162が形成される領域とされ得る。
【0040】
バリア150aは、ウィック142の一部又は全てを取り囲むことができ、それによって、第2の部分154はウィック142に部分的に、又は全体的に積層することができる(バリア150aは、それがウィック142上に載置する場合に、ウィック142の一部を取り囲むようにさらに考慮されることができる)。
【0041】
必要に応じて、ウィック142のいくつかの部分は、バリア150aを越えて第2の部分154に延在することができる。図5〜図7に図示された実施例において、バリア150a及び第1の部分152は、第2の部分154を、例えば水平方向平面の第2の部分154を全体的に取り囲んでいる。しかしながら、いくつかの実施例において、第2の部分154は、ハウジングを当接することができ、例えば、ケース144を当接することができる。それによって、ハウジングの壁は、バリア150aが周囲の残りの部分を提供する状態で、第2の部分154の周囲の一部を形成する。
【0042】
流れ絞り機構150、例えばバリア150aは、液状の作動流体が孔156を通じて第2の部分154内に流れ込むことを可能にするように、複数の孔156を有することができる。複数の孔は、ハウジングの底部内面に隣接して、例えば、ベース140の上面に隣接して位置付けられることができる。複数の孔は、作動流体の熱的性質及び熱サイフォンシステムの期待された熱伝達に基づいて寸法決めされており、それによって、作動流体の小さな部分がバリア150aを通過し、活動領域上に作動流体160の層162を形成する。さらに、又は代替的には、バリア150aの一部がウィック142上に載置する場合に、作動流体は、ウィック142自体を通じてバリア150aの下に引き込まれる場合がある。
【0043】
バリア150aは作動流体160をせき止め、それによって、作動流体の一部は、開口部に近接するバリア150aの側に、例えば底部内面の第1の部分152に亘って溜まる。要するに、流れ絞り機構は、作動流体の深さが、ウィックの部分に亘る箇所より、例えば第2の部分154に亘る箇所より、バリアと開口部との間のハウジングの領域に亘る箇所で、例えば、第1の部分152に亘る箇所で、大きくなるように構成される。
【0044】
ハウジングは、例えばケース144によって提供された、上部内面を含む。バリア150aと上部内面との間の間隙が存在する場合がある。チャンバー144から凝縮物ライン136への開口部は、ハウジングの内部側面に位置することができる。例えば、チャンバー144から凝縮物ライン136への開口部は、ハウジングの底部内面に隣接して、例えばベース140の上面に隣接して位置付けられることができる。別個の蒸気ラインが存在する場合に、その結果、蒸気ラインへのハウジングにおける開口部は、ハウジングの上部内面に、例えば、凝縮物ライン136への開口部より垂直方向に高い位置で、ケースの天井部又はケースの側部に位置することができる。ケース144は、蒸発器132の内部の観察を可能にするために透明な材料とされることができる。
【0045】
図5〜図7によって図示されたベース142及びケース144からなるハウジングが直方体とされるけれども、これは必要とされておらず、ハウジングは他の立方体、例えば円柱形状又は他の形状とされることができる。同様に、ハウジングの底部内面の第1の部分152及び第2の部分154は矩形状とされるけれども、例えば、凸型多角形(convex polygon)などの他の単純な多角形、又は、例えば円形状又は楕円形状などの自身に交差しない湾曲形状(non−self−intersecting curved shapes)が可能であり、第1の部分及び第2の部分は、幾何学的に類似とされる必要がない。
【0046】
凝縮器132は、複数のチャンバー、及び、複数の導熱フィンを含む。複数のチャンバーは、平行且つ垂直方向に延在することができる。複数のチャンバーの上端は塞がれることができる、すなわち、複数のチャンバーの上端を相互連結する上部ヘッダーが存在しない。
【0047】
図8〜図12は、凝縮器134の第1の実施例を図示しており、該凝縮器134は、本体170に形成されたキャビティー174を有する本体170と、該キャビティー内の複数の壁172であって、キャビティー174を複数の平行な垂直方向に延在するチャンバー174aに分割する、複数の壁172と、を有する。該複数のチャンバー174aは、平行且つ垂直方向に延在することができる。該チャンバー174aの上端は塞がれることができる、すなわち、チャンバー174aの上端を相互連結する上部ヘッダーが存在しない。複数の壁174は、凝縮表面として作用し、熱を蒸気から本体を通じて導熱フィンへ伝達させるように作用させる。
【0048】
キャビティー174はまた、凝縮物ライン136に連結される本体170の外部への開口部を有する中央チャンネル176を含む。垂直方向に延在する複数のチャンバー174aは、中央チャンネル176から横方向に延在することができる。該複数のチャンバー174aは、本体170の長軸に対して平行に延在することができる(すなわち、本体は、その幅より長い長さを有し、該長軸はその長さに沿っている)。中央チャンネル176は、長軸に対して横方向垂直に延在することができる。凝縮器134がフレームに設置される場合に、中央チャンネル176は、本体170の前方から本体170の後方に向けて延在することができる。第1組の垂直方向に延在する複数のチャンバー174は、中央チャンネル176の第1の側部から横方向に延在することができ、第2組の垂直方向に延在する複数のチャンバー174は、中央チャンネル176の反対側の第2の側部から横方向に延在することができる。本体170は略直方体とされることができるけれども、他の形状も可能である。
【0049】
図8〜図12は、凝縮器134の第1の実施例を図示しており、該凝縮器134は、本体170から外側に突出する複数の導熱フィン180を有する。例えば、導熱フィン180は、本体170から垂直方向に突出することができる。導熱フィン170は、略平坦な細い複数のシート(generally flat, narrow sheets)とされることができる。導熱フィン180は、互いに対して平行に本体170から突出することができ、それらの平坦な主表面に対して垂直な方向に沿って一定のピッチで離隔して配置されることができる。いくつかの実施例において、導熱フィン180は少なくとも複数の第1のフィン180aを含んでおり、該複数の第1のフィン180aは、本体170の上面から上向きに突出する。いくつかの実施例において、導熱フィン180はまた、少なくとも複数の第2のフィン180bを含んでおり、該複数の第2のフィン180bは、本体170の底面から下向きに突出する。
【0050】
凝縮器134がフレームに設置される場合に、導熱フィン180は、導熱フィンの長さが導熱フィンによって発生した空気流れの方向に対して平行に延在する状態、又は略平行に延在する状態で、例えば、導熱フィンの長さが、本体170の前方から本体170の後方に向けて延在する状態で、方向付けられることができる。導熱フィン180は、導熱フィンの長軸がチャンバー174a及び/又は本体170の長軸に対して垂直とされる、又は該長軸に対して僅かな角度とされる状態で、方向付けられることができる。
【0051】
図2に戻ると、凝縮器134は、フレーム120上に載置することができ、本体170の底面から下向きに突出するフィン180bは、マザーボード122の平面の下に突出することができる。これは、凝縮器134の放射効率を改善するために、フィンのための利用可能な表面領域を改善することができる。これはまた、凝縮器134の垂直方向の高さを制限するのを支援することができ、それによって、熱サイフォンシステム130は、サーバーラック環境内で利用可能な制限された高さと適合する。例えば、トレイの底部から導熱フィンの上部までの合計の高さは、最大で6インチ、例えば最大で4インチとされることができる。
【0052】
図13〜図15は、凝縮器134の第2の実施例を図示しており、該凝縮器134はまた、本体170から外側に突出する複数の導熱フィン180を有する。しかしながら、この実施例において、垂直方向に延在する複数のチャンバー174aは、中央チャンネル176から垂直方向に延在する。特に、本体は、中央チャンネル176を含む底部ヘッダー190と、該底部ヘッダー190から垂直方向に突出しており、且つ垂直方向に延在する複数のチャンバー174aを含む複数のチューブ192と、を含むことができる。凝縮物ライン136は、凝縮器134の底部ヘッダー190に流体的に連結される。
【0053】
各チャンバー174aは、それ自体によって形成されることができ、垂直方向に延在する複数のチャンバー174aの境界を形成する壁172は、チューブ192の壁とされることができる。チャンバー174aは、本体170の長軸に対して垂直方向に延在することができる。垂直方向に延在する複数のチャンバー174aが、底部ヘッダー190に接続されるけれども、複数のチャンバー174aの上端は塞がれることができる、すなわち、凝縮器134は上部ヘッダーを含まない。
【0054】
フィン180は、本体170から水平方向に、例えばチューブ192から水平方向に突出することができる。フィン180は、底部ヘッダー190の長軸に対して平行に延在することができる。フィン180は略平坦な細いシートとされることができる。フィン180は、本体170から互いに平行に突出することができ、離隔して配置されることができ、例えばそれらの平坦な主表面に垂直な方向に沿って一定のピッチで離隔して配置されることができる。
【0055】
凝縮器134がフレームに設置される場合に、導熱フィン180は、導熱フィンの長さがファンによって発生した空気流れの方向に対して平行に延在する状態、又は略平行に延在する状態で、例えば、該導熱フィンの長さが本体170の前方から本体170の後方に向けて延在する状態で、方向付けられることができる。導熱フィン180は、導熱フィンの長軸が複数のチャンバー174aの長軸に対して平行である状態で方向付けられることができる。複数のチャンバー174aは、それらが長くなるよりも短くなることができる。
【0056】
凝縮器の実施例のいずれかにおいて、凝縮器134の本体170及び導熱フィン180の両方は、例えば少なくとも200W/mKのアルミニウムと比較して良好な熱伝導性、又は該アルミニウムより良好な熱伝導性を有する材料から形成されることができる。ニッケルめっき(nickel plating)は、本体170に導熱フィン180を半田付けする(sold)ように使用されることができ、又は導熱フィン180が本体170にロウ付けされる(braze)ことができる。
【0057】
図11、図13、及び図16を参照すると、凝縮器の少なくともいくつかの内面、例えばキャビティー174を境界付ける表面は、必要に応じてテクスチャーを加えられてもよい(texturized)。テクスチャー化は、凝縮器のいずれかの実施例に適用することができる。キャビティー174は、略垂直の内面、例えば複数の壁174の表面によって境界付けられる内部容積を提供する。内面のテクスチャー化は、内部容積内に内向きに突出する複数の起伏(undulations)を含むことができる。該起伏は、垂直方向の第1の軸に沿って均一とされることができ、垂直方向の第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って、内部容積内に突出することができる。複数の起伏の複数のピークは第1の軸及び第2の軸に対して垂直な第3の軸に沿って、例えば一定のピッチで、離隔して配置されることができる。第3の軸は、本体170及び/又はチャンバー174aの長軸に平行とされることができる。各チャンバー174aは、第3の軸に沿った長さと、第2の軸に沿った幅と、を有しており、該長さは幅より長くなっている。複数の起伏は滑らかとされることができ、例えば第2の軸に沿った表面において不連続がないとされることができる。
【0058】
起伏は、0.1mmと1mmとの間の第3の軸に沿ったピッチを有することができ、0.1mmと1mmとの間の第2の軸に沿った振幅(amplitude)を有することができる。いくつかの実施例において、振幅に対するピッチの比は、約1:1から約2:1の間とされる。いくつかの実施例において、複数の起伏は、正弦波を形成することができる。
いくつかの実施例において、複数の起伏は、複数の湾曲した区間によって形成される。該湾曲した区間は、dK/dSが一定の値であり、Kが起伏の曲率半径の逆数とされており、Sが湾曲した区間に沿った長さである。起伏のための他の形状は、可能である。それらの起伏は、垂直方向の内面に形成された、凝縮した作動流体のフィルムを薄くさせ、それによって、凝縮器の熱抵抗を減少させる。
【0059】
作動流体は、低い毒性を有する絶縁性の不燃性の流体とされることができるけれども、しかし、メタノール、エタノール、又はアセトンなどの炭化水素はまた、適切とされることができる。作動流体の成分及び熱サイフォンシステムの内部圧力は、電子装置のためのおおよその所望動作温度で、例えば30℃〜100℃付近で、例えば45℃〜55℃付近で、蒸発器内で作動流体の沸点を提供するように選択されることができる。作動流体の例は、デュポン社によって販売されたVextral XFと、3M社によって販売されたFlourinet Electronic Liquid FC−72と、3M社によって販売されたNovec7100と、を含む。
【0060】
蒸発器132、凝縮器134、及び蒸気/凝縮物ライン136の内部を含む熱サイフォンシステム130の全体的な内部は、真空で満たされており、且つ密封される。初期の真空は、熱サイフォンシステム130から空気を除去するように、0.05ミリバール(5Pa)以下の内部絶対圧力を達成するために引き出されることができ、次いで作動流体は、熱サイフォンシステム130内に導入されることができる。
【0061】
サーバーラックサブアセンブリが上記に記載されているけれども、熱サイフォンシステムは、サーバーラックサブアセンブリの一部ではないマザーボード上に、例えば、ディスクトップ型コンピュータ内のマザーボード上に、取り付けられた熱を発生させる電子装置と共に使用されることができ、マザーボード上に取り付けられていない熱を発生させる電子装置とともに使用されることができる。
【0062】
本願発明の複数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、様々な変更が、本願発明の精神及び技術的範囲から逸脱することなく行われることができることは、理解されるであろう。それによって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0063】
100 例示的なシステム
105 サーバーラック
107 スロット
110 サーバーラックサブアセンブリ
112 レール
120 フレーム、ケージ
121 側壁
122 プリント回路基板、マザーボード
124 電子装置
126 ファン
130 熱サイフォンシステム
132 蒸発器
134 凝縮器
136 凝縮物/蒸気ライン
140 ベース
141 熱伝導性インターフェース材料
142 ウィック
144 ケース
146 チャンバー
150 流れ絞り機構
170 本体
172 壁
174 キャビティー
174a チャンバー
176 中央チャンネル
180 導熱フィン
190 底部ヘッダー
192 チューブ
【技術分野】
【0001】
この出願は、電子装置から熱を取り除くための熱サイフォンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ使用者は多くの場合、コンピュータのマイクロプロセッサの速度(例えば、メガヘルツ及びギガヘルツ)に注目している。多くの人々は、この速度が多くの場合、費用、すなわち高い電力消費(cost−higher power consumption)と伴うことを忘れている。この電力消費はまた、熱を発生させる。これは、単純な物理法則によって、全ての電力がどこかへ行かなければならず、最終的には、どこかで熱に変換されるからである。単一のマザーボード上に取り付けられた一対のマイクロプロセッサは、数百ワット以上の電力を使用する場合がある。巨大なデータセンターにおける多くのコンピュータからなるように、数千(数万)の数に増大し、発生し得る熱の量を容易に理解することができる。データセンター内での致命的な負荷によって消費された電力の効果は、致命的な負荷をサポートするように要求された全ての補助的な設備を組み込む場合に、多くの場合複雑になる。
【0003】
多くの技術は、サーバーラックトレイ上に位置する電子装置(例えば、プロセッサ、メモリ、及び他の発熱装置)を冷却するために使用される場合がある。例えば、強制対流は、電子装置の上方に冷たい空気の流れを提供することによって生み出される場合がある。電子装置に隣接して位置したファン、コンピュータサーバールームに位置したファン、及び/又は電子装置を取り囲む空気と流体連通する管路に位置したファンは、電子装置を含むトレイの上方に冷たい空気の流れを強制させる場合がある。いくつかの実施例において、サーバーラックトレイ上の1つ又は複数の構成要素又は装置は、トレイにおける冷却することが難しい領域、例えば、強制対流が特に効果的ではない領域、又は強制流体が特に利用可能ではない領域において、位置する場合がある。
【0004】
不適切な冷却及び/又は不十分な冷却の結果は、最大定格温度を超えた電子装置の温度に起因にして、トレイ上の1つ又は複数の電子装置の故障とされる場合がある。ある程度の冗長性はコンピュータのデータセンター内、サーバーラック内、及び個々のトレイ内にさえ構築されてもよいが、過熱に起因する電子装置の故障は、速度、効率、費用の観点から、莫大な費用に達する可能性がある。
【0005】
熱サイフォンシステム(thermosiphon system)は、相変化を受ける流体を使用して動作する熱交換器である。流体の液体形態は蒸発器内で蒸発され、熱は、流体の蒸気形態によって、蒸発器から凝縮器へ運ばれる。凝縮器において、蒸気は凝縮され、流体の液体形態は次いで、重力によって蒸発器へ戻される。それ故に、蒸発器と凝縮器との間の流体回路は、機械的なポンプを必要としていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、電子装置、例えば、プロセッサ及びメモリなどのコンピュータの構成要素は、熱を発生させる。熱サイフォンシステムは、そのような電子装置から熱を取り除くために使用されることができる。いくつかのシステムがコンピュータの構成要素から熱を取り除くために提案されてきたけれども、サーバーラック環境で制限された利用可能な空間は、さらなる挑戦を熱サイフォンシステムの設計に持ち込む。さらに、商業的利用のために、熱サイフォンシステムは、高い効率で動作する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
効率を改善するために、独立して又は組み合わせて使用されることができる複数のアプローチが記載されている。該凝縮器は、複数の垂直方向のチャンバーを有することができるが、サーバーラックの制限された垂直方向の空間内に装着するために、上部ヘッダーを欠く場合がある。該凝縮器の内部表面は複数の起伏を含むことができ、該起伏は該凝縮器内で液体フィルム(liquid film)に亘って熱抵抗を減少させる。蒸発器における流れ抵抗機構は、蒸発器が電子装置と接触する領域に亘って液体の薄い層を形成するために使用されることができ、それによって、蒸発器の熱抵抗を減少させる。
【0008】
一の態様において、熱サイフォンシステムは、凝縮器と、凝縮物ラインによって前記凝縮器に流体的(fluidically)に連結される蒸発器と、を含む。該蒸発器はハウジングを含んでおり、該ハウジングは、前記凝縮物ラインへの開口部と、前記ハウジング内に位置するウィック(wick)と、前記ハウジング内に位置した流れ絞り機構であって、前記凝縮物ラインから前記ウィックの一部上への作動流体の流れを制限するように構成される流れ絞り機構と、を含む。
【0009】
実施例は、以下の1つ又は複数を含むことができる。前記ハウジングは底部内面を有してもよく、前記ウィックは前記底部内面上に位置付けられてもよく、前記流れ絞り機構は、前記ウィックと前記開口部との間の前記底部内面上に液体不透過性バリアを含んでもよい。前記バリアは複数の孔を有してもよく、該複数の孔は、前記作動流体が前記ウィックに流れることを可能にする。前記バリアを貫通する前記複数の孔は、前記底部内面に隣接して位置付けられてもよい。前記底部内面は、平面とされてもよい。前記液体不透過性バリアは、前記作動流体をせき止めてもよく、それによって、前記作動流体は、前記開口部に最も近い前記バリアの側に溜められる。該流れ絞り機構は、前記作動流体の深さが、前記ウィックの前記一部に亘る箇所より、前記バリアと前記開口部との間の前記ハウジングの領域に亘る箇所において高くなるように構成されてもよい。前記流体不透過性バリアが前記ウィックの前記一部を取り囲んでもよい。前記ハウジングは上部内面を含み、前記バリアと前記ハウジングの前記上部内面との間に間隙が存在してもよい。蒸気ラインは、前記蒸発器を前記凝縮器に流体的に連結してもよく、前記ハウジングにおける前記蒸気ラインへの開口部は、前記ハウジングの内部上面に位置してもよく、前記ハウジングにおける前記凝縮物ラインへの前記開口部は、前記ハウジングの内部側面に位置してもよい。前記凝縮物ラインは、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインを含んでもよく、前記蒸発器と前記凝縮器との間の流体的連結は、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインからなってもよい。
【0010】
他の態様において、熱サイフォンシステムは、蒸発器と、複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーを備える凝縮器であって、該チャンバーが閉鎖された上端を有する、凝縮器と、前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインと、を含む。
【0011】
実施例は、以下の1つ又は複数の特徴を含むことができる。凝縮器は、底部ヘッダーと、前記底部ヘッダーから上向きに突出している複数の凝縮チューブと、を備えてもよく、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、前記複数の凝縮チューブ内に位置してもよい。前記凝縮物ラインは、前記凝縮器の前記底部ヘッダーを前記蒸発器に流体的に連結してもよい。前記凝縮器は、上部ヘッダーを含まない。前記凝縮器は、前記凝縮チューブから外側へ突出している複数の導熱フィンを含んでもよい。前記凝縮チューブは、前記底部ヘッダーに対して垂直に延在してもよく、前記複数の導熱フィンは、前記底部ヘッダーに平行に延在してもよい。前記凝縮器は、本体に形成されたキャビティーを有する本体と、前記キャビティーにおける複数の壁であって、前記キャビティーを前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに分割する、複数の壁と、を有してもよい。前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、中央チャンネルから横方向に延在する場合がある。前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第1の組は、前記中央チャンネルの第1の側から横方向に延在してもよく、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第2の組は、前記中央チャンネルの反対側の第2の側から横方向に延在してもよい。複数の導熱フィンは、前記本体から外側に突出してもよい。前記複数の導熱フィンは、前記本体から垂直に突出してもよい。前記複数の導熱フィンは、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに対して垂直に方向付けられてもよい。
【0012】
他の態様において、熱サイフォンシステムは、蒸発器と、略垂直方向の内面によって境界付けられた内部容積を備えている凝縮器と、前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結される凝縮物ラインと、を備えている。前記内面は複数の起伏を含んでおり、該起伏は、垂直方向の第1の軸に対して垂直な第2の軸上で内部容積内に内向きに突出しており、前記起伏のピークが前記第1の軸及び前記第2の軸に対して垂直な第3の軸に沿って離隔して配置される。
【0013】
実施例は、以下の1つ又は複数の特徴を含むことができる。前記内部容積は、前記第3の軸に沿った長さと、前記第2の軸沿った幅とを有してもよく、前記長さは、前記幅より大きくてもよい。前記起伏のピークは、前記第3の軸に沿って一定の間隔で配置さてもよい。前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第3の軸に沿ったピッチを有してもよい。前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第2の軸に沿った振幅(amplitude)を有してもよい。前記起伏は、前記第3の軸に沿ったピッチと、前記第2の軸に沿った振幅と、を有してもよく、前記振幅に対するピッチの比は、約1:1から約2:1とされる。前記起伏は、正弦波とされてもよい。前記起伏は、複数の湾曲した区間を備えてもよく、dK/dSが一定の値に等しく、Kが前記起伏の曲率半径の逆数であり、Sが湾曲した区間に沿った距離とされる。
【0014】
他の態様において、熱サイフォンシステムは、蒸発器と、共通のチャンネルに接続された複数の平行なチャンバーを備える凝縮器と、前記凝縮器の前記共通のチャンネルを前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインと、を含む。前記凝縮器は、前記作動流体の液相が前記凝縮物ラインの内部容積の底部を満たす状態で、前記蒸発器より上の高さに位置しており、前記液相の上面が前記凝縮器から前記蒸発器への水平方向に対してゼロではない角度を有しており、前記作動流体の気相が前記凝縮物ラインの前記内部容積の上部を通過することができ、前記上部は、前記凝縮器から前記蒸発器に延在している。
【0015】
他の態様において、サーバーラックサブアセンブリは、サーバーラック内にスライド可能に挿入するために構成されたトレイと、前記トレイ上に取り付けられ、且つ平面に載置しているマザーボードであって、前記マザーボードの下側が間隙によって前記トレイから分離される、マザーボードと、前記マザーボードの上側に取り付けられた、熱を発生させる電子装置と、熱サイフォンシステムと、を含む。該熱サイフォンシステムは、前記熱を発生させる電子装置に支持された蒸発器と、前記トレイに支持されており、且つ前記蒸発器に流体的に連結される凝縮器と、を含む。該蒸発器は、熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ前記熱を発生させる電子装置に熱伝導的に連結される底面を有する。該凝縮器は、前記マザーボードの平面の上方に位置付けられた凝縮収集器と、前記マザーボードの前記平面の下方に、前記凝縮収集器から下向きに延在する複数の導熱フィンと、を含む。ファンは、前記トレイに取り付けられており、前記マザーボードの上方で、且つ前記蒸発器の前記導熱フィンの間で空気流れを発生させるように方向付けられている。
【0016】
実施例は、以下の1つ又は複数を含むことができる。第2の熱を発生させる電子装置は、前記マザーボード上に取り付けられてもよく、該熱サイフォンシステムは第2の蒸発器を含んでもよく、第2の蒸発器は、第2の熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ熱伝導的に連結された第2の底面を含んでもよい。該トレイは、13インチ又は19インチのサーバーラック内へ挿入するために構成されてもよい。該トレイの底部から導熱フィンの上部までの合計の高さは、最大で6インチとされてもよい。
【0017】
以下の1つ又は複数の利点は実現されることができる。熱サイフォンシステムは、サーバーラックの制限された水平方向及び垂直方向の空間内に装着することができる。液体の薄い層は、蒸発器が電子装置と接触している領域に亘って、蒸発器内に維持されることができ、それ故に、電子装置からの熱の吸収に対する蒸発器の熱抵抗を減少させる。さらに、この領域のフラッシング(flooding)の可能性は減少することができ、それ故に、増大した熱抵抗に起因する熱サイフォンシステムの故障の可能性を減少させる。凝縮器の内部表面における起伏は、液体の薄い層をもたらすことができ、それ故に、凝縮器の熱抵抗を減少させ、それによって、熱サイフォンシステムからの熱放射効果を改善させる。
【0018】
1つ又は複数の実施例の詳細は、添付した図面及び以下の詳細な説明で提供される。本願発明の他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】サーバーラックと、前記サーバーラック内に取り付けるように構成されたサーバーラックサブアセンブリと、の側面図を図示する図である。
【図2】サーバーラックサブアセンブリの側面図を図示する図である。
【図3】サーバーラックサブアセンブリの平面図を図示する図である。
【図4】サーバーラックサブアセンブリの斜視図を図示する図である(しかし、フレームのより良い視点を提供するために、プリント回路基板及び熱発生要素を省いている)。
【図5】熱サイフォンシステムから蒸発器の平面図を図示する図である。
【図6】熱サイフォンシステムから蒸発器の側面断面図を図示する図である。
【図7】熱サイフォンシステムから蒸発器の部分的に切断された斜視図を図示する図である。
【図8】熱サイフォンシステムから凝縮器の側面断面図である。
【図9】熱サイフォンシステムから凝縮器の側面断面図である。
【図10】図8の熱サイフォンシステムの平面断面図を図示する図である。
【図11】図9の熱サイフォンシステムの平面断面図を図示する図である。
【図12】熱サイフォンシステムから凝縮器の切断斜視図を図示する図である。
【図13】凝縮器の他の実施例の平面断面図を図示する図である。
【図14】凝縮器の他の実施例の側面断面図を図示する図である。
【図15】他の凝縮器の切断斜視図を図示する図である。
【図16】前記凝縮器におけるチャンバーの拡大された平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
複数の図面における同様の参照符号は、同様の要素を指し示す。
【0021】
この明細書は、電子装置、例えば、プロセッサ又はメモリなどの電子計算装置の構成要素から熱を除去するために実装されることができる熱サイフォンシステムについて論じる。熱サイフォンシステムの蒸発器は、電子装置と接触しており、それによって、電子装置は、伝導性熱伝達効果を経験する。それ故に、熱サイフォンシステムは、電子装置のためのヒートシンクとして作用することができ、電子装置の過熱及びその後の故障の可能性を低減させる。
【0022】
特に、熱サイフォンシステムは、サーバーラック内に挿入するためのサーバーラックサブアセンブリに取り付けられることができる、又は該サーバーラックサブアセンブリと一体化されることができる。サーバーラックサブアセンブリは、熱を発生させる複数の電子装置を含むことができる、又は熱を発生させる複数の電子装置を支持することができる。そして、熱サイフォンシステムの蒸発器は、1つ以上の電子装置と接触することができる。さらに、熱サイフォンシステムは、回路カードアセンブリに、ドーターカードに、及び/又は熱を発生させる電子装置を装着する他のボードに、取り付けられることができる。
【0023】
図1は例示的なシステム100を図示し、例示的なシステム100は、13インチ又は19インチのサーバーラックなどのサーバーラック105と、該サーバーラック105内に取り付けられた複数のサーバーラックサブアセンブリ110と、を含む。単一のサーバーラック105が図示されるけれども、サーバーラック105は該システム100内の複数のサーバーラックのうちの1つとされてもよく、様々なラック取り付け型コンピュータシステムを含むサーバーファーム又は設備設置施設(co−location facility)を含んでもよい。同様に、複数のサーバーラックサブアセンブリ110が図示されるけれども、単一のサーバーラックサブアセンブリのみが存在してもよい。一般的に、サーバーラック105は複数のスロット107を画定しており、該複数のスロット107は、整然とした繰り返し方式(orderly and repeating fashion)でサーバーラック105内に配置され、各スロット107は、対応するサーバーラックサブアセンブリ110が該ラック内で着脱されることができるサーバーラック内の空間である。例えば、サーバーラックサブアセンブリは、レール112に支持されることができる。該レール112は、ラック105の両側から突出しており、スロット107の位置を画定することができる。該スロット及びサーバーラックサブアセンブリ110は、(重力に対して)図示された水平方向の配置で方向付けられることができる。代替的には、スロット107及びサーバーラックサブアセンブリ110は、(重力に対して)垂直方向に方向付けられることができるけれども、これは、以下に記載される蒸発器及び凝縮器の構造におけるいくつかの再構成を必要とするであろう。スロットが水平方向に方向付けられる場合に、それらは、ラック105内で垂直方向に積層されることができる。そして、スロットが垂直方向に方向付けられる場合に、それらがラック105内に水平方向に積層されてもよい。
【0024】
サーバーラック105は、例えば巨大なデータセンターの一部としてデータ処理能力及びデータ格納能力を提供することができる。動作時に、データセンターは、ネットワークに接続されてもよく、データを検索する、データを処理する、且つ/又はデータを格納するためにネットワークからの様々な要求を受信し、該様々な要求に対して応答することができる。動作時に、例えば、サーバーラック105は典型的に、使用者のウェブブラウザーアプリケーションによって発生したユーザーインターフェースで、ネットワークに亘って情報通信を容易にしており、該使用者は、データセンターでコンピュータを動かしているアプリケーションによって提供されたサービスを要求する。例えば、サーバーラック105は、ウェブブラウザーを使用している使用者に、インターネット又はワールドワイドウェブ上のウェブサイトにアクセスすることを提供してもよく、又は該使用者に、インターネット又はワールドワイドウェブ上のウェブサイトにアクセスすることを提供するのを支援してもよい。
【0025】
サーバーラックサブアセンブリ110は、サーバーラックに取り付けられることができる複数の構造のうちの1つとされてよい。例えば、いくつかの実施例において、サーバーラックサブアセンブリ110は、サーバーラック105内にスライド可能に挿入されることができる「トレイ」又はトレイアセンブリとされてもよい。「トレイ」との用語は、特定の配置構成に限定されないが、その代わりに、ラック構造において、マザーボードを所定の位置に支持するために、マザーボードに適用される、又はマザーボードに付属している他の比較的平坦な構造に適用される。いくつかの実施例において、サーバーラックサブアセンブリ110は、サーバーシャーシ又はサーバーコンテナ(例えば、サーバーボックス)とされてもよい。いくつかの実施例において、サーバーラックサブアセンブリ110は、ハードディスクドライブケージ(hard drive cage)とされてもよい。
【0026】
図2〜図4を参照すると、サーバーラックサブアセンブリ110は、フレーム又はケージ120と、前記フレーム120に支持された例えばマザーボードなどのプリント回路基板122と、プリント回路基板122に取り付けられた例えばプロセッサ又はメモリなどの1つ又は複数の熱を発生させる電子装置124と、熱サイフォンシステム130と、を含む。1つ又は複数のファン126はまた、フレーム120に取り付けられることができる。
【0027】
フレーム120は、マザーボード122が配置される又は取り付けられる平坦な構造を含んでもよく、又は単に平坦な構造とされてもよく、それによって、フレーム120は、技術者によってマザーボードを所定の位置に移動させ、且つラック105内の所定の位置にマザーボードを保持するために把持されることができる。例えば、サーバーラックサブアセンブリ110は、ランチトレイ(lunch tray)をカフェテリアラック(cafeteria rack)内にスライドさせるのと同じように、例えばフレーム120をスロット107内にスライドさせ、且つサーバーラックサブアセンブリ110の両側でラック105内の一対のレール上でスライドさせることによって、サーバーラック105内に水平方向に取り付けられてもよい。図2及び図3がマザーボード122の下に延在しているフレーム120を図示するけれども、該フレームは、(例えば、該フレームをマザーボードの周りの周辺フレームとして実装することによって)他の形態を有することができる、又は、マザーボード自体がラック105内に位置する、例えばスライド可能に係合するように除去されることができる。さらに、図2が平坦なプレートとしてフレーム120を図示するけれども、フレーム120は、(図4に示される)平坦なプレートの縁部から上向きに突出している1つ以上の側壁121を含むことができ、この平坦なプレートは、上部が閉じたボックス又はケージ、もしくは上部が開いたボックス又はケージとされてもよい。
【0028】
図示されたサーバーラックサブアセンブリ110は、例えばマザーボードなどのプリント回路基板122を含んでおり、該プリント回路基板122上に、複数の構成要素が、熱を発生させる電子装置124を含んで取り付けられる。1つのマザーボード122がフレーム120上に取り付けられるように図示されるけれども、複数のマザーボードが、特定の用途の必要性に応じて、フレーム120上に取り付けられてもよい。いくつかの実施例において、1つ又は複数のファン126は、フレーム120に配置されることができる。それによって、空気は、(図3の左手側で)サーバーラックサブアセンブリ110がラック110内に設置される場合にラック105の前部に近接する、該サーバーラックサブアセンブリ110の前方縁部から入り、(図4における矢印Aに示されるように)マザーボードの上方、及びマザーボード122上の熱を発生させる複数の構成要素のいくつかの上方を流れ、該サーバーラックサブアセンブリ110がラック105内に設置される場合に、ラック105の後部に近接する、(図3の右手側で)後方縁部でサーバーラックサブアセンブリ110から排出される。1つ又は複数のファン126は、ブラケット127によってフレーム120に固定されることができる。それ故に、複数のファン126は、フレーム120の領域内から空気を引き出し、暖められた後の空気をラック105の外側へ押し出すことができる。マザーボード122の下側は、間隙によってフレーム120から分離されることができる。
【0029】
熱サイフォンシステム130は、蒸発器132、凝縮器134、及び/又は蒸発器132を凝縮器134に接続する凝縮物/蒸気ライン136を含む。蒸発器は電子装置124と接触しており、それによって、熱は、伝導性熱伝達によって電子装置124から蒸発器132へ引き出される。特に、蒸発器132の底部は、電子装置124の上部と接触する。動作時に、電子装置124からの熱は、蒸発器132内の作動流体を蒸発させる。蒸気は次いで、凝縮物/蒸気ライン136を通過して、凝縮器134へ移動する。熱は、凝縮器134から離れるように放射され、例えば凝縮器134を横切って通過する、1つ又は複数のファン126によって送風された空気又は引き込まれた空気内へ放射されており、作動流体を凝縮させている。図2に示されるように、凝縮器134は、蒸発器132から1つ又は複数のファン126の反対側に位置することができる。代替的には、又はさらに、凝縮器134は、蒸発器132と1つ又は複数のファン126のうちの1つ以上の同じ側に位置することができる。
【0030】
図2に示されるように、凝縮物/蒸気ライン136は、僅かな角度(ゼロではない角度)であり、それによって、重力によって、凝縮した作動流体が凝縮物/蒸気ライン136を通じて蒸発器132へ戻るように流れる。それ故に、いくつかの実施形態において、凝縮物/蒸気ライン136の少なくとも一部は、フレーム120の主表面に対して平行ではない。例えば、凝縮物/蒸気ライン136の凝縮器側端は、凝縮物/蒸気ライン136の蒸発器側端より約1〜5mm高い、例えば2mm高いとされることができる。しかしながら、凝縮物/蒸気ライン136が、水平な管路とされる、又は僅かな負の角度でさえとされることも可能である(けれども、正の角度は、凝縮器から蒸発器への液体の流れを改善させる重力の利点を提供する)。複数の熱を発生させる電子装置が単一のマザーボード上に存在する場合があるので、複数の蒸発器が該マザーボード上に存在することができ、この構成において、各蒸発器は、単一の電子装置に対応する。図2に示されるように、第1の電子装置124及び第2の電子装置124と同様に、第1の蒸発器132及び第2の蒸発器132が存在する。第1の蒸発器を第2の蒸発器に接続する凝縮物/蒸気ライン136は、水平とされることができる。
【0031】
動作中に、凝縮器の内側の液体の上面は、蒸発器内の液体の上面より高い、例えば1mm〜10mmだけ高いとされるだろう。僅かな角度(ゼロではない正の角度)とされる凝縮物/蒸気ライン136とともに、これを達成することは容易とされ得るが、熱サイフォンシステムのための期待される熱輸送要求の観点において、作動流体の熱的性質及び機械的性質の適切な選択はさらに、水平の角度又は僅かに負の角度とされる凝縮物/蒸気ライン136のために、これを達成する場合がある。動作中に、作動流体の液相は、該底部が凝縮器から蒸発器へ延在する状態で、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の底部を満たすことができる。そして、作動流体の気相は、該上部が凝縮器から蒸発器へ延在する状態で、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の上部を通過することができる。
【0032】
いくつかの実施例において、凝縮器134は、蒸発器132より高い高さに位置することができ、それによって、作動流体の液相は、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の底部を満たし、且つそれによって、動作中に、液相の上面が、凝縮器132から蒸発器134への水平方向に対してゼロではない角度を有し、作動流体の液相は、凝縮物/蒸気ライン136の内部容積の上部を通過することができ、該上部が凝縮器132から蒸発器134へ延在する。
【0033】
図2〜図4は、複数の蒸発器132を有する熱サイフォンシステム130を図示する。各蒸発器132は、異なる電子装置124と接触することができる、又は例えば、電子装置が特に大きく、又は複数の熱発生領域を有する場合に、複数の蒸発器132は、同一の電子装置と接触することができる。図2〜図4に示されるように、複数の蒸発器132は、凝縮物/蒸気ライン136によって、直列で凝縮器134に接続されることができる。すなわち、第1の凝縮物/蒸気ラインは、凝縮器を第1の蒸発器に接続し、第2の凝縮物/蒸気ラインは、第1の蒸発器を第2の蒸発器に接続する。代替的には、複数の蒸発器132のいくつか又は全ては、凝縮物/蒸気ライン136によって、並列で凝縮器134に接続されることができる。すなわち、第1の凝縮物/蒸気ラインは凝縮器を第1の蒸発器に接続し、第2の凝縮物/蒸気ラインは凝縮器134を第2の蒸発器に接続させる。直列の実施例の利点は、より少ないチューブであるのに対して、並列のチューブの利点は、チューブ径がより小さくなり得ることである。
【0034】
図2〜図4は、共通のラインが、凝縮器134から蒸発器132への凝縮物流れ及び蒸発器132から凝縮器134への蒸気流れの両方のために使用される熱サイフォンシステム130を図示する。それ故に、この実施例において、蒸発器132と凝縮器134との間の流体的な連結は、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインからなる。いくつかの実施例において、凝縮物及び蒸気のための別々のラインとされることができる。しかしながら、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインの潜在的な利点は、該ラインが凝縮器側に接続されることができ、蒸気ラインが一般的に蒸発器の上部に連結される、又は蒸発器の上部に隣接して連結されるので、蒸気のための別個のラインを有するシステムに対して、該システムの垂直方向の高さを減少させることができることである。該凝縮物及び蒸気移送ライン136は、例えば銅又はアルミニウムからなるチューブ又はパイプとされることができる。
【0035】
図5〜図7は、ハウジングを含む蒸発器132を図示しており、該ハウジングはチャンバー146、ウィック(wick)142、及び流れ絞り機構(flow restrictor)150を取り囲む。該ハウジングは、ベース140と、該ベース140に固定されるケース144と、を含むことができる。該ハウジングは、チャンバー146を凝縮物ライン136に接続する開口部(又は、複数のライン136が存在する場合に、各ライン136のための開口部)を有するが、さもなければ、チャンバー146は密封され、且つ液密とされることができる。
【0036】
該流れ絞り機構150は、凝縮物ライン136からウィック142の一部上への作動流体の流れを絞るように構成される。動作時に、液状の作動流体160は、凝縮物ライン136からチャンバー146内に流れ、且つ流れ絞り機構150の前で溜まる(図6に見られる)。流れ絞り機構150は、作動流体の少ない部分が通過することを可能にしており、ハウジングの底部内面上の活動領域、例えばベース140の上部上の活動領域に作動流体160の薄い層162を形成する。作動流体の薄い層162を形成することによって、蒸発器の熱抵抗は効果的に減少させる(作動流体が薄い層からより迅速に蒸発することができるので、より大きな熱伝達を可能にする)。
【0037】
ベース140は、熱伝導材料、例えば銅から形成される。ハウジング、例えばベース140の底部は、電子装置124と、例えば電子装置124の上面と直接的に接触することができる。代替的には、ハウジング、例えばベース140の底部は、熱伝導性インターフェース材料141によって、例えば、熱伝導性パッド又は層によって、例えば、熱伝導性グリース又は熱伝導性接着剤によって、電子装置124と、例えば電子装置124の上面と接続されることができる。
【0038】
ウィック142は、ハウジングの底部内面に、例えばベース140の上面に形成されることができる。ウィック142は、熱をベース140から作動流体160へ伝達する熱伝導性領域である。さらに、ウィック142は、毛管作用(capillary action)によって作動流体160を引き込むように構成されることができる。いくつかの実施例において、ウィック142は、ベース140の上面の多孔性領域又は粗面領域とされることができる。例えば、ウィック142は、ベース140の上面に接合される銅粒子から形成されることができる。例えば、25ミクロンの平均直径を有する銅粒子は、ベース140の上面に約0.25mmの深さまで堆積されることができ、次いで焼結されることができる。ウィック142のための他の可能性は、ベース140上に位置する多孔性材料、ベース140上の微細な溝形成、又はスクリーンウィック(screen wick)を含む。ウィック142の粗さは別として、ハウジングの底部内面は、平坦な表面とされ得る。
【0039】
流れ絞り機構150は、ウィック142と凝縮物ライン136への開口部との間のハウジングの底部内面上に設けられた、液体不透過材料のバリア150aとされることができる。バリア150aは、ハウジングの底部内面を、液状の作動流体が容易に流れることができる第1の部分152と、作動流体の流れが制限される第2の部分154とに区切る。すなわち、作動流体は、第1の部分152から第2の部分154へ流れるために、バリアの下を通らなければならない、又はバリアを通過しなければならない。第1の部分152は、凝縮物ライン136への開口部に隣接することができる。第2の部分154は、電子装置124の上方に直接的に位置付けられることができる。それ故に、電子装置124から最も多くの熱を受容するハウジングの底部内面の活動領域は、作動流体の薄い層162が形成される領域とされ得る。
【0040】
バリア150aは、ウィック142の一部又は全てを取り囲むことができ、それによって、第2の部分154はウィック142に部分的に、又は全体的に積層することができる(バリア150aは、それがウィック142上に載置する場合に、ウィック142の一部を取り囲むようにさらに考慮されることができる)。
【0041】
必要に応じて、ウィック142のいくつかの部分は、バリア150aを越えて第2の部分154に延在することができる。図5〜図7に図示された実施例において、バリア150a及び第1の部分152は、第2の部分154を、例えば水平方向平面の第2の部分154を全体的に取り囲んでいる。しかしながら、いくつかの実施例において、第2の部分154は、ハウジングを当接することができ、例えば、ケース144を当接することができる。それによって、ハウジングの壁は、バリア150aが周囲の残りの部分を提供する状態で、第2の部分154の周囲の一部を形成する。
【0042】
流れ絞り機構150、例えばバリア150aは、液状の作動流体が孔156を通じて第2の部分154内に流れ込むことを可能にするように、複数の孔156を有することができる。複数の孔は、ハウジングの底部内面に隣接して、例えば、ベース140の上面に隣接して位置付けられることができる。複数の孔は、作動流体の熱的性質及び熱サイフォンシステムの期待された熱伝達に基づいて寸法決めされており、それによって、作動流体の小さな部分がバリア150aを通過し、活動領域上に作動流体160の層162を形成する。さらに、又は代替的には、バリア150aの一部がウィック142上に載置する場合に、作動流体は、ウィック142自体を通じてバリア150aの下に引き込まれる場合がある。
【0043】
バリア150aは作動流体160をせき止め、それによって、作動流体の一部は、開口部に近接するバリア150aの側に、例えば底部内面の第1の部分152に亘って溜まる。要するに、流れ絞り機構は、作動流体の深さが、ウィックの部分に亘る箇所より、例えば第2の部分154に亘る箇所より、バリアと開口部との間のハウジングの領域に亘る箇所で、例えば、第1の部分152に亘る箇所で、大きくなるように構成される。
【0044】
ハウジングは、例えばケース144によって提供された、上部内面を含む。バリア150aと上部内面との間の間隙が存在する場合がある。チャンバー144から凝縮物ライン136への開口部は、ハウジングの内部側面に位置することができる。例えば、チャンバー144から凝縮物ライン136への開口部は、ハウジングの底部内面に隣接して、例えばベース140の上面に隣接して位置付けられることができる。別個の蒸気ラインが存在する場合に、その結果、蒸気ラインへのハウジングにおける開口部は、ハウジングの上部内面に、例えば、凝縮物ライン136への開口部より垂直方向に高い位置で、ケースの天井部又はケースの側部に位置することができる。ケース144は、蒸発器132の内部の観察を可能にするために透明な材料とされることができる。
【0045】
図5〜図7によって図示されたベース142及びケース144からなるハウジングが直方体とされるけれども、これは必要とされておらず、ハウジングは他の立方体、例えば円柱形状又は他の形状とされることができる。同様に、ハウジングの底部内面の第1の部分152及び第2の部分154は矩形状とされるけれども、例えば、凸型多角形(convex polygon)などの他の単純な多角形、又は、例えば円形状又は楕円形状などの自身に交差しない湾曲形状(non−self−intersecting curved shapes)が可能であり、第1の部分及び第2の部分は、幾何学的に類似とされる必要がない。
【0046】
凝縮器132は、複数のチャンバー、及び、複数の導熱フィンを含む。複数のチャンバーは、平行且つ垂直方向に延在することができる。複数のチャンバーの上端は塞がれることができる、すなわち、複数のチャンバーの上端を相互連結する上部ヘッダーが存在しない。
【0047】
図8〜図12は、凝縮器134の第1の実施例を図示しており、該凝縮器134は、本体170に形成されたキャビティー174を有する本体170と、該キャビティー内の複数の壁172であって、キャビティー174を複数の平行な垂直方向に延在するチャンバー174aに分割する、複数の壁172と、を有する。該複数のチャンバー174aは、平行且つ垂直方向に延在することができる。該チャンバー174aの上端は塞がれることができる、すなわち、チャンバー174aの上端を相互連結する上部ヘッダーが存在しない。複数の壁174は、凝縮表面として作用し、熱を蒸気から本体を通じて導熱フィンへ伝達させるように作用させる。
【0048】
キャビティー174はまた、凝縮物ライン136に連結される本体170の外部への開口部を有する中央チャンネル176を含む。垂直方向に延在する複数のチャンバー174aは、中央チャンネル176から横方向に延在することができる。該複数のチャンバー174aは、本体170の長軸に対して平行に延在することができる(すなわち、本体は、その幅より長い長さを有し、該長軸はその長さに沿っている)。中央チャンネル176は、長軸に対して横方向垂直に延在することができる。凝縮器134がフレームに設置される場合に、中央チャンネル176は、本体170の前方から本体170の後方に向けて延在することができる。第1組の垂直方向に延在する複数のチャンバー174は、中央チャンネル176の第1の側部から横方向に延在することができ、第2組の垂直方向に延在する複数のチャンバー174は、中央チャンネル176の反対側の第2の側部から横方向に延在することができる。本体170は略直方体とされることができるけれども、他の形状も可能である。
【0049】
図8〜図12は、凝縮器134の第1の実施例を図示しており、該凝縮器134は、本体170から外側に突出する複数の導熱フィン180を有する。例えば、導熱フィン180は、本体170から垂直方向に突出することができる。導熱フィン170は、略平坦な細い複数のシート(generally flat, narrow sheets)とされることができる。導熱フィン180は、互いに対して平行に本体170から突出することができ、それらの平坦な主表面に対して垂直な方向に沿って一定のピッチで離隔して配置されることができる。いくつかの実施例において、導熱フィン180は少なくとも複数の第1のフィン180aを含んでおり、該複数の第1のフィン180aは、本体170の上面から上向きに突出する。いくつかの実施例において、導熱フィン180はまた、少なくとも複数の第2のフィン180bを含んでおり、該複数の第2のフィン180bは、本体170の底面から下向きに突出する。
【0050】
凝縮器134がフレームに設置される場合に、導熱フィン180は、導熱フィンの長さが導熱フィンによって発生した空気流れの方向に対して平行に延在する状態、又は略平行に延在する状態で、例えば、導熱フィンの長さが、本体170の前方から本体170の後方に向けて延在する状態で、方向付けられることができる。導熱フィン180は、導熱フィンの長軸がチャンバー174a及び/又は本体170の長軸に対して垂直とされる、又は該長軸に対して僅かな角度とされる状態で、方向付けられることができる。
【0051】
図2に戻ると、凝縮器134は、フレーム120上に載置することができ、本体170の底面から下向きに突出するフィン180bは、マザーボード122の平面の下に突出することができる。これは、凝縮器134の放射効率を改善するために、フィンのための利用可能な表面領域を改善することができる。これはまた、凝縮器134の垂直方向の高さを制限するのを支援することができ、それによって、熱サイフォンシステム130は、サーバーラック環境内で利用可能な制限された高さと適合する。例えば、トレイの底部から導熱フィンの上部までの合計の高さは、最大で6インチ、例えば最大で4インチとされることができる。
【0052】
図13〜図15は、凝縮器134の第2の実施例を図示しており、該凝縮器134はまた、本体170から外側に突出する複数の導熱フィン180を有する。しかしながら、この実施例において、垂直方向に延在する複数のチャンバー174aは、中央チャンネル176から垂直方向に延在する。特に、本体は、中央チャンネル176を含む底部ヘッダー190と、該底部ヘッダー190から垂直方向に突出しており、且つ垂直方向に延在する複数のチャンバー174aを含む複数のチューブ192と、を含むことができる。凝縮物ライン136は、凝縮器134の底部ヘッダー190に流体的に連結される。
【0053】
各チャンバー174aは、それ自体によって形成されることができ、垂直方向に延在する複数のチャンバー174aの境界を形成する壁172は、チューブ192の壁とされることができる。チャンバー174aは、本体170の長軸に対して垂直方向に延在することができる。垂直方向に延在する複数のチャンバー174aが、底部ヘッダー190に接続されるけれども、複数のチャンバー174aの上端は塞がれることができる、すなわち、凝縮器134は上部ヘッダーを含まない。
【0054】
フィン180は、本体170から水平方向に、例えばチューブ192から水平方向に突出することができる。フィン180は、底部ヘッダー190の長軸に対して平行に延在することができる。フィン180は略平坦な細いシートとされることができる。フィン180は、本体170から互いに平行に突出することができ、離隔して配置されることができ、例えばそれらの平坦な主表面に垂直な方向に沿って一定のピッチで離隔して配置されることができる。
【0055】
凝縮器134がフレームに設置される場合に、導熱フィン180は、導熱フィンの長さがファンによって発生した空気流れの方向に対して平行に延在する状態、又は略平行に延在する状態で、例えば、該導熱フィンの長さが本体170の前方から本体170の後方に向けて延在する状態で、方向付けられることができる。導熱フィン180は、導熱フィンの長軸が複数のチャンバー174aの長軸に対して平行である状態で方向付けられることができる。複数のチャンバー174aは、それらが長くなるよりも短くなることができる。
【0056】
凝縮器の実施例のいずれかにおいて、凝縮器134の本体170及び導熱フィン180の両方は、例えば少なくとも200W/mKのアルミニウムと比較して良好な熱伝導性、又は該アルミニウムより良好な熱伝導性を有する材料から形成されることができる。ニッケルめっき(nickel plating)は、本体170に導熱フィン180を半田付けする(sold)ように使用されることができ、又は導熱フィン180が本体170にロウ付けされる(braze)ことができる。
【0057】
図11、図13、及び図16を参照すると、凝縮器の少なくともいくつかの内面、例えばキャビティー174を境界付ける表面は、必要に応じてテクスチャーを加えられてもよい(texturized)。テクスチャー化は、凝縮器のいずれかの実施例に適用することができる。キャビティー174は、略垂直の内面、例えば複数の壁174の表面によって境界付けられる内部容積を提供する。内面のテクスチャー化は、内部容積内に内向きに突出する複数の起伏(undulations)を含むことができる。該起伏は、垂直方向の第1の軸に沿って均一とされることができ、垂直方向の第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って、内部容積内に突出することができる。複数の起伏の複数のピークは第1の軸及び第2の軸に対して垂直な第3の軸に沿って、例えば一定のピッチで、離隔して配置されることができる。第3の軸は、本体170及び/又はチャンバー174aの長軸に平行とされることができる。各チャンバー174aは、第3の軸に沿った長さと、第2の軸に沿った幅と、を有しており、該長さは幅より長くなっている。複数の起伏は滑らかとされることができ、例えば第2の軸に沿った表面において不連続がないとされることができる。
【0058】
起伏は、0.1mmと1mmとの間の第3の軸に沿ったピッチを有することができ、0.1mmと1mmとの間の第2の軸に沿った振幅(amplitude)を有することができる。いくつかの実施例において、振幅に対するピッチの比は、約1:1から約2:1の間とされる。いくつかの実施例において、複数の起伏は、正弦波を形成することができる。
いくつかの実施例において、複数の起伏は、複数の湾曲した区間によって形成される。該湾曲した区間は、dK/dSが一定の値であり、Kが起伏の曲率半径の逆数とされており、Sが湾曲した区間に沿った長さである。起伏のための他の形状は、可能である。それらの起伏は、垂直方向の内面に形成された、凝縮した作動流体のフィルムを薄くさせ、それによって、凝縮器の熱抵抗を減少させる。
【0059】
作動流体は、低い毒性を有する絶縁性の不燃性の流体とされることができるけれども、しかし、メタノール、エタノール、又はアセトンなどの炭化水素はまた、適切とされることができる。作動流体の成分及び熱サイフォンシステムの内部圧力は、電子装置のためのおおよその所望動作温度で、例えば30℃〜100℃付近で、例えば45℃〜55℃付近で、蒸発器内で作動流体の沸点を提供するように選択されることができる。作動流体の例は、デュポン社によって販売されたVextral XFと、3M社によって販売されたFlourinet Electronic Liquid FC−72と、3M社によって販売されたNovec7100と、を含む。
【0060】
蒸発器132、凝縮器134、及び蒸気/凝縮物ライン136の内部を含む熱サイフォンシステム130の全体的な内部は、真空で満たされており、且つ密封される。初期の真空は、熱サイフォンシステム130から空気を除去するように、0.05ミリバール(5Pa)以下の内部絶対圧力を達成するために引き出されることができ、次いで作動流体は、熱サイフォンシステム130内に導入されることができる。
【0061】
サーバーラックサブアセンブリが上記に記載されているけれども、熱サイフォンシステムは、サーバーラックサブアセンブリの一部ではないマザーボード上に、例えば、ディスクトップ型コンピュータ内のマザーボード上に、取り付けられた熱を発生させる電子装置と共に使用されることができ、マザーボード上に取り付けられていない熱を発生させる電子装置とともに使用されることができる。
【0062】
本願発明の複数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、様々な変更が、本願発明の精神及び技術的範囲から逸脱することなく行われることができることは、理解されるであろう。それによって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0063】
100 例示的なシステム
105 サーバーラック
107 スロット
110 サーバーラックサブアセンブリ
112 レール
120 フレーム、ケージ
121 側壁
122 プリント回路基板、マザーボード
124 電子装置
126 ファン
130 熱サイフォンシステム
132 蒸発器
134 凝縮器
136 凝縮物/蒸気ライン
140 ベース
141 熱伝導性インターフェース材料
142 ウィック
144 ケース
146 チャンバー
150 流れ絞り機構
170 本体
172 壁
174 キャビティー
174a チャンバー
176 中央チャンネル
180 導熱フィン
190 底部ヘッダー
192 チューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器と、
凝縮物ラインによって前記凝縮器に流体的に連結される蒸発器であって、該蒸発器がハウジングを備えており、該ハウジングは、凝縮物ラインへの開口部と、前記ハウジング内に位置するウィックと、前記ハウジング内に位置した流れ絞り機構であって、前記凝縮物ラインから前記ウィックの一部上への作動流体の流れを制限するように構成される流れ絞り機構と、を有する、蒸発器と、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、底部内面を有し、前記ウィックは、前記底部内面上に位置付けられており、前記流れ絞り機構は、前記ウィックと前記開口部との間の前記底部内面上に液体不透過性バリアを備えることを特徴とする請求項1に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項3】
前記バリアは複数の孔を有しており、該複数の孔は、前記作動流体が前記ウィックに流れることを可能にすることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項4】
前記バリアを貫通する前記複数の孔は、前記底部内面に隣接して位置付けられることを特徴とする請求項3に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項5】
前記底部内面は、平面とされることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項6】
前記液体不透過性バリアは、前記作動流体をせき止め、それによって、前記作動流体は、前記開口部に最も近い前記バリアの側部に溜められることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項7】
前記流れ絞り機構は、前記作動流体の深さが、前記ウィックの前記一部に亘る箇所より、前記バリアと前記開口部との間の前記ハウジングの領域に亘る箇所で高くなるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項8】
前記流体不透過性バリアが前記ウィックの前記一部を取り囲むことを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項9】
前記ハウジングは上部内面を含み、前記バリアと前記ハウジングの前記上部内面との間に間隙が存在することを特徴とする請求項1に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項10】
蒸気ラインをさらに備えており、該蒸気ラインは、前記蒸発器を前記凝縮器に流体的に連結しており、前記ハウジングにおける前記蒸気ラインへの開口部は、前記ハウジングの内部上面に位置しており、前記ハウジングにおける前記凝縮物ラインへの前記開口部は、前記ハウジングの内部側面に位置することを特徴とする請求項9に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項11】
前記凝縮物ラインは、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインを備えており、前記蒸発器と前記凝縮器との間の流体的連結は、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインからなることを特徴とする請求項1に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項12】
蒸発器と、
複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーを備える凝縮器であって、閉鎖された上端を有する、凝縮器と、
前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインと、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項13】
前記凝縮器は、底部ヘッダーと、前記底部ヘッダーから上向きに突出している複数の凝縮チューブと、を備えており、
前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、前記複数の凝縮チューブ内に位置することを特徴とする請求項12に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項14】
前記凝縮物ラインは、前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結することを特徴とする請求項13に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項15】
前記凝縮器は、上部ヘッダーを含まないことを特徴とする請求項13に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項16】
前記凝縮器は、前記複数の凝縮チューブから外側へ突出している複数の導熱フィンを含む、請求項13に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項17】
前記複数の凝縮チューブは、前記底部ヘッダーに対して垂直に延在しており、前記複数の導熱フィンは、前記底部ヘッダーに平行に延在していることを特徴とする請求項16に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項18】
前記凝縮器は、本体に形成されたキャビティーを有する本体と、前記キャビティーにおける複数の壁であって、前記キャビティーを、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに分割する、複数の壁と、を有していることを特徴とする請求項12に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項19】
前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、中央チャンネルから横方向に延在することを特徴とする請求項18に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項20】
前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第1の組は、前記中央チャンネルの第1の側から横方向に延在しており、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第2の組は、前記中央チャンネルの反対側の第2の側から横方向に延在していることを特徴とする請求項19に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項21】
複数の導熱フィンをさらに備えており、前記導熱フィンは前記本体から外側に突出していることを特徴とする請求項18に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項22】
前記複数の導熱フィンは、前記本体から垂直に突出していることを特徴とする請求項21に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項23】
前記複数の導熱フィンは、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに対して垂直に方向付けられることを特徴とする請求項22に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項24】
蒸発器と、
略垂直方向の内面によって境界付けられた内部容積を備えている凝縮器であって、前記内面が複数の複数の起伏を含んでおり、該起伏は、垂直方向の第1の軸に対して垂直な第2の軸上で内部容積内に内向きに突出しており、前記複数の起伏のピークが前記第1の軸及び前記第2の軸に対して垂直な第3の軸に沿って離隔して配置される、凝縮器と、
前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結される凝縮物ラインと、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項25】
前記内部容積は、前記第3の軸に沿った長さと、前記第2の軸沿った幅と、を有しており、前記長さは、前記幅より大きいことを特徴とする請求項23に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項26】
前記複数の起伏のピークは、前記第3の軸に沿って一定の間隔で配置されることを特徴とする請求項24に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項27】
前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第3の軸に沿ったピッチを有することを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項28】
前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第2の軸に沿った振幅を有することを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項29】
前記起伏は、前記第3の軸に沿ったピッチと、前記第2の軸に沿った振幅と、を有しており、前記振幅に対するピッチの比は、約1:1から約2:1とされることを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項30】
前記起伏は、正弦波であることを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項31】
前記起伏は、複数の湾曲した区間を備えており、dK/dSが一定の値に等しく、Kが前記起伏の曲率半径の逆数であり、Sが湾曲した区間に沿った距離とされることを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項32】
蒸発器と、
共通のチャンネルに接続された複数の平行なチャンバーを備える凝縮器と、
前記凝縮器の前記共通のチャンネルを前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインであって、前記作動流体の液相が前記凝縮物ラインの内部容積の底部を満たす状態で、前記凝縮器が前記蒸発器より上の高さに位置し、それによって、動作中に、前記液相の上面が前記凝縮器から前記蒸発器への水平方向に対してゼロではない角度を有し、前記作動流体の気相が前記凝縮物ラインの前記内部容積の上部を通過することができ、前記上部は、前記凝縮器から前記蒸発器に延在している、凝縮物ラインと、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項33】
サーバーラック内にスライド可能に挿入されるように構成されたトレイと、
前記トレイに取り付けられ、且つ平面に載置しているマザーボードであって、前記マザーボードの下側が間隙によって前記トレイから分離される、マザーボードと、
前記マザーボードの上側に取り付けられた熱を発生させる電子装置と、
前記熱を発生させる電子装置に支持された蒸発器と、前記トレイに支持されており、且つ前記蒸発器に流体的に連結される凝縮器と、を備えている熱サイフォンシステムであって、前記蒸発器が、前記熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ前記熱を発生させる電子装置に熱伝導的に連結される底面を有し、前記凝縮器は、前記マザーボードの前記平面の上方に位置付けられた凝縮収集器と、前記マザーボードの前記平面の下方に、前記凝縮収集器から下向きに延在する複数の導熱フィンと、を備えている、熱サイフォンシステムと、
前記トレイに取り付けられたファンであって、前記マザーボードの上方で、且つ前記蒸発器の前記導熱フィンの間で空気流れを発生させるように方向付けられている、ファンと、
を備えていることを特徴とするサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項34】
第2の熱を発生させる電子装置は、前記マザーボード上に取り付けられており、前記熱サイフォンシステムは第2の蒸発器を備えており、前記第2の蒸発器は、前記第2の熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ前記第2の熱を発生させる電子装置に熱伝導に連結される第2の底面を備えていることを特徴とする請求項33に記載のサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項35】
前記トレイは、13インチ又は19インチのサーバーラック内に挿入するために構成されることを特徴とする請求項33に記載のサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項36】
前記トレイの底部から導熱フィンの上部までの合計高さが、最大6インチとされることを特徴とする請求項33に記載のサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項1】
凝縮器と、
凝縮物ラインによって前記凝縮器に流体的に連結される蒸発器であって、該蒸発器がハウジングを備えており、該ハウジングは、凝縮物ラインへの開口部と、前記ハウジング内に位置するウィックと、前記ハウジング内に位置した流れ絞り機構であって、前記凝縮物ラインから前記ウィックの一部上への作動流体の流れを制限するように構成される流れ絞り機構と、を有する、蒸発器と、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、底部内面を有し、前記ウィックは、前記底部内面上に位置付けられており、前記流れ絞り機構は、前記ウィックと前記開口部との間の前記底部内面上に液体不透過性バリアを備えることを特徴とする請求項1に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項3】
前記バリアは複数の孔を有しており、該複数の孔は、前記作動流体が前記ウィックに流れることを可能にすることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項4】
前記バリアを貫通する前記複数の孔は、前記底部内面に隣接して位置付けられることを特徴とする請求項3に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項5】
前記底部内面は、平面とされることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項6】
前記液体不透過性バリアは、前記作動流体をせき止め、それによって、前記作動流体は、前記開口部に最も近い前記バリアの側部に溜められることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項7】
前記流れ絞り機構は、前記作動流体の深さが、前記ウィックの前記一部に亘る箇所より、前記バリアと前記開口部との間の前記ハウジングの領域に亘る箇所で高くなるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項8】
前記流体不透過性バリアが前記ウィックの前記一部を取り囲むことを特徴とする請求項2に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項9】
前記ハウジングは上部内面を含み、前記バリアと前記ハウジングの前記上部内面との間に間隙が存在することを特徴とする請求項1に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項10】
蒸気ラインをさらに備えており、該蒸気ラインは、前記蒸発器を前記凝縮器に流体的に連結しており、前記ハウジングにおける前記蒸気ラインへの開口部は、前記ハウジングの内部上面に位置しており、前記ハウジングにおける前記凝縮物ラインへの前記開口部は、前記ハウジングの内部側面に位置することを特徴とする請求項9に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項11】
前記凝縮物ラインは、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインを備えており、前記蒸発器と前記凝縮器との間の流体的連結は、組み合わされた凝縮物及び蒸気移送ラインからなることを特徴とする請求項1に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項12】
蒸発器と、
複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーを備える凝縮器であって、閉鎖された上端を有する、凝縮器と、
前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインと、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項13】
前記凝縮器は、底部ヘッダーと、前記底部ヘッダーから上向きに突出している複数の凝縮チューブと、を備えており、
前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、前記複数の凝縮チューブ内に位置することを特徴とする請求項12に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項14】
前記凝縮物ラインは、前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結することを特徴とする請求項13に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項15】
前記凝縮器は、上部ヘッダーを含まないことを特徴とする請求項13に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項16】
前記凝縮器は、前記複数の凝縮チューブから外側へ突出している複数の導熱フィンを含む、請求項13に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項17】
前記複数の凝縮チューブは、前記底部ヘッダーに対して垂直に延在しており、前記複数の導熱フィンは、前記底部ヘッダーに平行に延在していることを特徴とする請求項16に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項18】
前記凝縮器は、本体に形成されたキャビティーを有する本体と、前記キャビティーにおける複数の壁であって、前記キャビティーを、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに分割する、複数の壁と、を有していることを特徴とする請求項12に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項19】
前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーは、中央チャンネルから横方向に延在することを特徴とする請求項18に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項20】
前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第1の組は、前記中央チャンネルの第1の側から横方向に延在しており、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーの第2の組は、前記中央チャンネルの反対側の第2の側から横方向に延在していることを特徴とする請求項19に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項21】
複数の導熱フィンをさらに備えており、前記導熱フィンは前記本体から外側に突出していることを特徴とする請求項18に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項22】
前記複数の導熱フィンは、前記本体から垂直に突出していることを特徴とする請求項21に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項23】
前記複数の導熱フィンは、前記複数の平行な垂直方向に延在するチャンバーに対して垂直に方向付けられることを特徴とする請求項22に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項24】
蒸発器と、
略垂直方向の内面によって境界付けられた内部容積を備えている凝縮器であって、前記内面が複数の複数の起伏を含んでおり、該起伏は、垂直方向の第1の軸に対して垂直な第2の軸上で内部容積内に内向きに突出しており、前記複数の起伏のピークが前記第1の軸及び前記第2の軸に対して垂直な第3の軸に沿って離隔して配置される、凝縮器と、
前記凝縮器を前記蒸発器に流体的に連結される凝縮物ラインと、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項25】
前記内部容積は、前記第3の軸に沿った長さと、前記第2の軸沿った幅と、を有しており、前記長さは、前記幅より大きいことを特徴とする請求項23に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項26】
前記複数の起伏のピークは、前記第3の軸に沿って一定の間隔で配置されることを特徴とする請求項24に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項27】
前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第3の軸に沿ったピッチを有することを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項28】
前記起伏は、0.1mmと1mmとの間の第2の軸に沿った振幅を有することを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項29】
前記起伏は、前記第3の軸に沿ったピッチと、前記第2の軸に沿った振幅と、を有しており、前記振幅に対するピッチの比は、約1:1から約2:1とされることを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項30】
前記起伏は、正弦波であることを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項31】
前記起伏は、複数の湾曲した区間を備えており、dK/dSが一定の値に等しく、Kが前記起伏の曲率半径の逆数であり、Sが湾曲した区間に沿った距離とされることを特徴とする請求項26に記載の熱サイフォンシステム。
【請求項32】
蒸発器と、
共通のチャンネルに接続された複数の平行なチャンバーを備える凝縮器と、
前記凝縮器の前記共通のチャンネルを前記蒸発器に流体的に連結する凝縮物ラインであって、前記作動流体の液相が前記凝縮物ラインの内部容積の底部を満たす状態で、前記凝縮器が前記蒸発器より上の高さに位置し、それによって、動作中に、前記液相の上面が前記凝縮器から前記蒸発器への水平方向に対してゼロではない角度を有し、前記作動流体の気相が前記凝縮物ラインの前記内部容積の上部を通過することができ、前記上部は、前記凝縮器から前記蒸発器に延在している、凝縮物ラインと、
を備えることを特徴とする熱サイフォンシステム。
【請求項33】
サーバーラック内にスライド可能に挿入されるように構成されたトレイと、
前記トレイに取り付けられ、且つ平面に載置しているマザーボードであって、前記マザーボードの下側が間隙によって前記トレイから分離される、マザーボードと、
前記マザーボードの上側に取り付けられた熱を発生させる電子装置と、
前記熱を発生させる電子装置に支持された蒸発器と、前記トレイに支持されており、且つ前記蒸発器に流体的に連結される凝縮器と、を備えている熱サイフォンシステムであって、前記蒸発器が、前記熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ前記熱を発生させる電子装置に熱伝導的に連結される底面を有し、前記凝縮器は、前記マザーボードの前記平面の上方に位置付けられた凝縮収集器と、前記マザーボードの前記平面の下方に、前記凝縮収集器から下向きに延在する複数の導熱フィンと、を備えている、熱サイフォンシステムと、
前記トレイに取り付けられたファンであって、前記マザーボードの上方で、且つ前記蒸発器の前記導熱フィンの間で空気流れを発生させるように方向付けられている、ファンと、
を備えていることを特徴とするサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項34】
第2の熱を発生させる電子装置は、前記マザーボード上に取り付けられており、前記熱サイフォンシステムは第2の蒸発器を備えており、前記第2の蒸発器は、前記第2の熱を発生させる電子装置に隣接して位置付けられ、且つ前記第2の熱を発生させる電子装置に熱伝導に連結される第2の底面を備えていることを特徴とする請求項33に記載のサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項35】
前記トレイは、13インチ又は19インチのサーバーラック内に挿入するために構成されることを特徴とする請求項33に記載のサーバーラックサブアセンブリ。
【請求項36】
前記トレイの底部から導熱フィンの上部までの合計高さが、最大6インチとされることを特徴とする請求項33に記載のサーバーラックサブアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−229909(P2012−229909A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−98487(P2012−98487)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(507103802)グーグル・インコーポレーテッド (191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98487(P2012−98487)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(507103802)グーグル・インコーポレーテッド (191)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]