説明

電子装置

【課題】反りなどによる製造ばらつきが生じても、外部コネクタとの電気的な接続信頼性を向上することのできる電子装置を提供する。
【解決手段】プリント基板の表面にはランドが設けられ、ケースにおけるプリント基板の表面との対向部位には、外部コネクタとの嵌合方向に沿って伸び、嵌合状態で、外部コネクタの端子を内部空間に収納するための貫通孔が設けられている。そして、プリント基板の各ランド上には、弾性を有する導電性部材がそれぞれ配置され、外部コネクタの嵌合により、端子が、導電性部材を介して対応するランドと電気的に接続されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの内部空間にプリント基板が収納された電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、ケースの内部空間にプリント基板が収納されてなる電子装置が知られている。
【0003】
特許文献1の電子装置(コネクタ一体型電子機器)では、ケースに収納されたプリント基板(プリント配線基板)に、端子(コネクタピン)の一端がはんだ付けによって固定され、端子の他端が、ケースにおけるプリント基板と対向する部位に設けられた貫通孔を介して、ケースの外部に露出されている。そして、ケースの嵌合部(コネクタハウジング)に、外部コネクタ(メスコネクタ)のハウジングが嵌合された状態で、外部に露出された端子の端部が外部コネクタと電気的に接続されるようになっている。
【0004】
一方、特許文献2には、プリント基板の端部がケースから露出され、端部に設けられたランド(端子)に、端子(導電端子の当接部)を当接せしめて電気的に接続する外部コネクタ(カードエッジコネクタ)が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−243087号公報
【特許文献2】特開平7−142128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される電子装置では、ケースの嵌合部及び外部コネクタの嵌合方向と、プリント基板と外部コネクタとの電気的な接続方向とが一致した構成となっており、プリント基板(電子装置)と外部コネクタとの電気的な接続構造が簡素である。また、端子の一端をプリント基板に固定しているものの、他端がケースに固定されていないため、使用環境での温度変化によって各部材が伸縮しても、端子、ひいては端子のはんだ付け部に加わる応力を緩和することができる。
【0007】
しかしながら、プリント基板やケースなどの反り、寸法公差、組み付け公差などによる製造ばらつきが生じると、端子の一端がプリント基板に固定されているため、外部コネクタとプリント基板との間で、少なくとも一部の端子の電気的な接続状態を確保することができない恐れがある。
【0008】
一方、特許文献2に示される構成でも、ケースの嵌合部及び外部コネクタの嵌合方向と、プリント基板と外部コネクタとの電気的な接続方向とが一致した構成となっている。しかしながら、特許文献2に示される構成でも、上記した製造ばらつきが生じると、少なくとも一部の端子が、対応するランドに当接しない恐れがある。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み、反りなどによる製造ばらつきが生じても、外部コネクタとの電気的な接続信頼性を向上することのできる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する為に請求項1に記載の電子装置は、表面に複数のランドが設けられたプリント基板と、外部コネクタのハウジングが嵌合される嵌合部、及び、プリント基板が収納される内部空間を有するケースと、を備えている。そして、ケースには、プリント基板の表面との対向部位に、ハウジングと嵌合部との嵌合方向に沿って伸び、ハウジングと嵌合部とを嵌合させた状態で、ハウジングから延出された外部コネクタの各端子を内部空間に収納するための貫通孔が設けられ、プリント基板の各ランド上には、弾性を有する導電性部材がそれぞれ配置されており、嵌合部とハウジングとの嵌合により、端子が、導電性部材を介して対応するランドと電気的に接続されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
このように本発明によれば、プリント基板のランド上に、弾性を有する導電性部材を配置しており、外部コネクタが嵌合した際に、端子が導電性部材を介して対応するランドと電気的に接続されるようになっている。したがって、反りや寸法公差、組み付け公差などによる製造ばらつきが生じても、導電性部材の弾性変形により、ばらつきを低減し(ばらつきの幅を小さくし)、ひいては、外部コネクタとの電気的な接続信頼性を向上することができる。
【0012】
また、導電性部材は、弾性変形可能であるので、端子を導電性部材に押し付けると、導電性部材が弾性変形し、端子との接触面積が増えるので、端子と導電性部材との電気的な接触抵抗を低減することもできる。
【0013】
また、電子装置の嵌合部及び外部コネクタのハウジングの嵌合方向と、プリント基板のランド(電子装置)及び端子(外部コネクタ)との電気的な接続方向が一致する構成としている。すなわち、プリント基板(電子装置)と外部コネクタとの電気的な接続構造が簡素化されている。特に本発明では、プリント基板に端子を設けていないので、電子装置の製造コストを低減することもできる。また、電子装置の嵌合部に外部コネクタのハウジングを嵌合させる力を利用して、外部コネクタの端子を導電性部材に押し付けるので、端子とランドとの電気的な接続状態を確保することができる。
【0014】
なお、電子装置側に導電性部材を設けているので、外部コネクタとの電気的な接続信頼性を向上しながらも、外部コネクタの構造を簡素化することも可能である。
【0015】
請求項2に記載のように、ランドと貫通孔とが、互いに対向する位置に設けられた構成、換言すれば、貫通孔の真下にランドが位置する構成、とすると良い。これによれば、外部コネクタの端子を直線形状とすることもできるので、ケースの内部空間におけるプリント基板の表面上において、端子が占める領域を小さくすることが可能である。すなわち、プリント基板の表面に実装される電子部品の実装位置の自由度向上や、実装密度向上を図ることが可能である。なお、上記したように、端子を直線形状とすることもできるので、外部コネクタの構成も簡素化し、製造コストの低減を図ることもできる。
【0016】
導電性部材としては、例えば請求項3に記載のように、弾性を有する高分子材料に導電性フィラーが分散され、硬化処理されてなるものを採用することもできる。なお、高分子材料とは、合成樹脂やゴムなどである。特にゴムを採用すると、ゴム弾性により、導電性部材の弾性変形量を高めることができる。
【0017】
ところで、各ランドに対し、導電性部材を1つずつ配置するには工数を要する。これに対し、請求項4に記載のように、導電性部材が、対応するランドに接着した構成としても良い。
【0018】
高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性ペーストをランド上に塗布し、熱や光によって硬化させると、導電性部材がランドに直接接着する。したがって、導電性部材を一括で各ランドに配置且つ固定することができる。また、ペーストがランドに密着し、硬化時に接着固定されるので、例えば車両振動など外力の印加による導電性部材の位置ズレや、該位置ズレによるランド間の短絡を抑制することができる。
【0019】
請求項5に記載のように、導電性部材が、プリント基板の表面におけるランドの周辺部位にも接着した構成とするとなお良い。プリント基板の表面、例えば絶縁基材やレジストの表面は、ランドの表面に比べて凹凸があるため、接触面積増加とアンカー効果により、導電性部材の位置ズレをより効果的に抑制することができる。
【0020】
一方、導電性部材の配置における工数を削減するには、請求項6に記載のように、各ランド上に配置される複数の導電性部材が、電気絶縁性の材料からなる同一のホルダに、一体的に保持された構成としても良い。
【0021】
これによれば、複数のランド上に、導電性部材を一括して配置することができる。また、複数の導電性部材が、ホルダによって保持されているので、導電性部材の位置ズレによるランド間の短絡を防止することができる。なお、このような構成は、ホルダに設けた貫通孔への導電性部材の圧入固定や、インサート成形などにより実現することができる。
【0022】
その際、請求項7に記載のように、導電性部材が、ホルダにおけるプリント基板側の面から突出した構成とすると、導電性部材を、より確実にランドに接触させることができる。
【0023】
また、請求項8に記載のように、柱状の導電性部材における嵌合部側の一端面が、縁部から中央部に向けてプリント基板に近づくテーパを有した凹状とされた構成とすると、外部コネクタの嵌合の際に、テーパによって、端子を所望の位置に導くことができる。また、端子が導電性部材に接触した瞬間に、端子と導電性部材との間に生じる力を低減することができる。
【0024】
請求項9に記載のように、ホルダが、複数の導電性部材を保持する基部から、嵌合方向に沿ってプリント基板側に伸びる第1脚部を有し、プリント基板が、第1脚部に対応する第1貫通孔を有した構成とすると良い。
【0025】
これによれば、第1脚部を第1貫通孔に挿入することで、嵌合方向に垂直な方向において、プリント基板に対するホルダの位置を決定することができる。また、垂直な方向において、ホルダの位置ズレを抑制することもできる。
【0026】
請求項10に記載のように、プリント基板が第2貫通孔を有し、ホルダが、複数の導電性部材を保持する基部から、嵌合方向に沿いつつ第2貫通孔に対応してプリント基板側に伸びる第2脚部と、該第2脚部の先端から突出し、プリント基板の裏面側において第2貫通孔の開口周辺部位に係止する係止部を有し、係止部は、プリント基板の裏面との対向部位が、嵌合方向に垂直な方向において第2脚部から離れるほど、嵌合方向において基部から離れるテーパ状とされた構成としても良い。
【0027】
これによれば、ホルダの基部が、プリント基板の表面側に位置し、係止部が裏面側に位置するので、嵌合方向におけるホルダの位置ズレを抑制することができる。特に本発明では、係止部がテーパ状の部位を有するため、プリント基板の反りなどにより、製造ばらつきが生じても、係止部のテーパ部位をプリント基板に係止させることができる。すなわち、嵌合方向におけるホルダの位置ズレをより効果的に抑制し、導電性部材とランドとの間に、より良好な接続状態を確保することができる。
【0028】
また、導電性部材の位置ズレを抑制するには、例えば請求項11に記載のように、ケースが絶縁材料からなり、導電性部材は、ケースにおけるプリント基板の表面との対向面であって、貫通孔の開口周辺部位と接触する構成としても良い。これによれば、プリント基板の表面(ランド)とケースの対向面との間で、導電性部材を挟持することができるので、導電性部材の位置ズレを抑制することができる。
【0029】
なお、上記によれば、嵌合方向において狭持するので、主として嵌合方向の位置ズレを抑制することができるが、例えば請求項12に記載のように、ケースは、対向面の開口周辺部位に隣接する部位からプリント基板側に突出する突起部を有する構成とすると、突起部により、嵌合方向に垂直な方向における導電性部材の位置ズレをより効果的に抑制することができる。
【0030】
なかでも、請求項13に記載のように、各導電性部材をそれぞれ取り囲むように突起部を設けると、嵌合方向に垂直な方向における導電性部材の位置ズレを、さらに効果的に抑制することができる。
【0031】
また、端子と導電性部材との接触面積を向上させるには、例えば請求項14に記載のように、ランドが、周辺領域に囲まれた中央領域に貫通孔を有し、プリント基板の表面に沿うランドの平面形状が環状とされた構成としても良い。
【0032】
これによれば、ランドの貫通孔内に導電性部材を配置させることも可能である。この場合、ランド表面からの導電性部材の高さが同じであれば、端子を導電性部材内に押し込むことで、貫通孔の深さの分、端子と導電性部材との接触面積を増やし、端子と導電性部材との電気的な接触抵抗を低減させることも可能である。
【0033】
同じく、請求項15に記載のように、プリント基板に表面に開口する孔が設けられ、プリント基板の孔の壁面及び表面における孔の周辺部位に、ランドが一体的に設けられた構成としても、孔の深さの分、端子と導電性部材との接触面積を増やし、端子と導電性部材との電気的な接触抵抗を低減させることも可能である。
【0034】
ところで、外部コネクタと電子装置とを嵌合する際、端子は嵌合方向に沿ってプリント基板に近づき、導電性部材に接触する。したがって、端子の当接により、導電性部材が嵌合方向に弾性変形するため、変形による応力がプリント基板に作用し、プリント基板が撓む。一般に高密度実装の観点から、ランドの周辺にも電子部品が実装されるため、上記撓みが電子部品に、例えばはんだ接合部の接続信頼性の低下といった影響を与える恐れがある。
【0035】
そこで、請求項16に記載のように、ケースが、プリント基板におけるランド形成位置の裏面側部位に向けて、プリント基板の裏面との対向面から突出し、裏面側部位を支持する支持用突起部を有する構成とすると良い。これによれば、ケースの支持用突起部が、プリント基板におけるランドの裏面部位を支持するため、嵌合時におけるプリント基板の撓みを抑制することができる。なお、支持用突起部とは、各ランドに対して1つの支持用突起部としても良いし、全てのランドに対して1つの支持用突起部としても良い。
【0036】
その際、請求項17に記載のように、プリント基板の裏面側部位と、支持用突起部との間に、弾性を有する緩衝部材が介在された構成とすると、プリント基板の反りやケース寸法のばらつきなどの製造要因、両者の組み付けばらつきなどを、緩衝部材にて吸収し、支持用突起部にて、各ランドの裏面部位を支持することが可能となる。
【0037】
また、請求項18に記載のように、プリント基板が第3貫通孔を有し、ランドが、プリント基板における第3貫通孔の壁面及び表面の第3貫通孔の開口周辺部位に一体的に設けられ、導電性部材は、第3貫通孔の内部、及び、プリント基板の表面における第3貫通孔の開口周辺部位上に一体的に配置され、支持用突起部が、導電性部材におけるプリント基板の裏面側部位と接触する構成としても良い。
【0038】
これによれば、導電性部材が上記した緩衝部材を兼ねることとなり、緩衝部材を不要とすることができる。また、ランドと導電性部材との接触面積を向上することができる。さらに、導電性部材は、第3貫通孔の内部、及び、プリント基板の表面における第3貫通孔の開口周辺部位上に一体的に配置されているので、これにより、導電性部材の位置ズレを抑制することができる。
【0039】
次に、請求項19に記載の発明は、外部コネクタのハウジングが嵌合される嵌合部を有するケースの内部空間に、表面に複数のランドを設けたプリント基板を収納してなる電子装置の製造方法であって、弾性を有する高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性ペーストを、スクリーン印刷法を用いて、プリント基板における複数のランドに一括塗布する工程と、塗布後、導電性ペーストを硬化させて弾性を有する導電性部材とする工程と、硬化後、プリント基板をケースの内部空間に収納する工程と、を備えることを特徴とする。
【0040】
本発明の作用効果は、請求項3及び請求項4に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】上ケースの貫通孔、接続用ランド、及び支持用突起部の位置関係を示す模式的な平面図である。
【図3】外部コネクタを嵌合した状態での、外部コネクタの端子と導電性部材との接触状態を示す、接続用ランド周辺を拡大した断面図である。
【図4】導電性部材を形成するためのペーストの塗布工程を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランドの周辺を拡大した断面図である。
【図6】第3実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランド周辺の断面図である。
【図7】ホルダを説明するための断面図であり、(a)はホルダ単体、(b)はプリント基板に固定した状態を示している。
【図8】第4実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランド周辺の断面図である。
【図9】接続用ランド周辺を拡大した断面図である。
【図10】上ケースの貫通孔と導電性部材との位置関係を示す模式的な平面図である。
【図11】第5実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランド周辺を拡大した断面図である。
【図12】変形例を示す断面図である。
【図13】その他変形例を示す接続用ランド周辺の断面図であり、(a)は電子制御装置単体、(b)は外部コネクタを嵌合した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す断面図である。図1では、外部コネクタも参考図示している。図2は、上ケースの貫通孔、接続用ランド、及び支持用突起部の位置関係を示す模式的な平面図である。図3は、外部コネクタを嵌合した状態での、外部コネクタの端子と導電性部材との接触状態を示す、接続用ランド周辺を拡大した断面図である。なお、本実施形態に係る電子制御装置は、車載用の電子制御装置(例えば車両のエンジンECU(Electric Control Unit))として構成されている。また、以下においては、外部コネクタと電子制御装置との嵌合方向を単に嵌合方向とし、嵌合方向に垂直な方向を単に垂直方向と示す。
【0043】
図1に示す電子制御装置1は、特許請求の範囲に記載の電子装置に相当するものであり、要部として、回路基板2と、該回路基板2を内部空間S1に収納するケース3と、を有している。
【0044】
回路基板2は、図1に示すように、絶縁基材に、配線パターンなどを配置してなるプリント基板10を含んでいる。絶縁基材の構成材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、セラミック、ガラス(例えばガラス布)と合成樹脂との複合体等の周知材料を採用することができる。また、絶縁基材に配置される配線パターンの層数も特に限定されるものではない。そして、プリント基板10の表面10aには、配線パターンの一部としてのランド11が複数形成されており、ランド11として、後述する導電性部材13が配置され、外部コネクタ102のコネクタピン104と電気的に接続される接続用ランド11aを含んでいる。この接続用ランド11aが、特許請求の範囲に記載のランドに相当する。
【0045】
本実施形態では、平面矩形状のプリント基板10の表面10a及び裏面10bに、ランド11が形成されている。接続用ランド11aを除くランド11には、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサなどの電子部品12が実装されており、図1に示す符号12aは、他の電子部品12よりも背の高い、例えばアルミ電界コンデンサなどの高背部品である。なお、本実施形態では、プリント基板10の表面10aに露出する部分、具体的には、図3に示すように、ソルダレジスト14から露出する部分、をランド11とする。
【0046】
一方、接続用ランド11aは、プリント基板10の表面10aにおける一部位のみに、コネクタピン104の本数に対応して複数形成されており、表面10aにおける複数の接続用ランド11aの配置は、例えば図2に示すようにマトリクス状となっている。そして、各接続用ランド11aの表面には、導電性部材13が接触配置されている。なお、接続用ランド11aの配置は、特に限定されるものではなく、例えば千鳥状の配置としても良い。
【0047】
導電性部材13は、導電性を有しつつ、弾性変形可能に構成されたものであり、コネクタピン104と接続用ランド11aとを電気的に接続する中継機能を果たす。したがって、接続用ランド11aの露出する表面の少なくとも一部に配置されていれば良いが、好ましくは接続用ランド11aの露出する表面全面に配置されると良い。
【0048】
このような導電性部材13として、本実施形態では、弾性を有する高分子材料に導電性フィラーが分散され、硬化処理されてなるものを採用している。なお、高分子材料とは、合成樹脂やゴム(エラストマーも含む)などであり、特にゴムを採用すると、ゴム弾性により、導電性部材13の弾性変形量を高めることができる。そして、プリント基板10やケース3などに、反りや寸法公差、組み付け公差による製造ばらつきが生じても、外部コネクタ102を電子制御装置1に嵌合した際に、コネクタピン104が、導電性部材13と接触し、且つ、プリント基板10の表面10aと接触しないような高さを有して、接続用ランド11a上に配置されている。
【0049】
特に本実施形態では、後述するように、高分子材料、金属粒子,金属粉末,表面をめっき処理した粒子などの導電性フィラー、硬化剤、溶剤、必要に応じて用いられるその他添加剤など混練してなる導電性ペーストを、少なくとも接続用ランド11a上に塗布し、熱や、紫外線などの光照射によって硬化させることで、導電性部材13を形成するとともに、自身の密着によって接続用ランド11aに接着固定している。
【0050】
また、図3に示すように、ソルダレジスト14から露出する接続用ランド11a全面だけでなく、プリント基板10の表面10a、具体的には、プリント基板10を構成する絶縁基材上に設けられたソルダレジスト14の表面、における接続用ランド11aの周辺部位にも、導電性部材13が一体的に配置されている。すなわち、導電性部材13が、接続用ランド11aの周辺部位にも密着している。
【0051】
このように構成される回路基板2は、プリント基板10の厚さ方向が、嵌合方向とほぼ一致するように、ケース3の内部空間S1に収納されるとともに、ケース3に固定されている。
【0052】
ケース3は、内部空間S1を形成し、且つ、内部空間S1に回路基板2を収納すべく、アルミニウム、鉄等の金属材料や合成樹脂材料からなる複数の部材により構成されている。本実施形態においては、図1に示すように、一面が開放された箱状の上ケース20と、上ケース20の開放面を閉塞する略矩形板状の底の浅い下ケース30との2つの部材によって構成されている。なお、ケース3のうち、上ケース20が、主としてプリント基板10の表面10a側に位置し、下ケース30が、主としてプリント基板10の裏面10b側に位置する。そして、上ケース20と下ケース30とを組み付けることで、回路基板2を収納する内部空間S1を備えたケース3となっている。本実施形態では、両ケース20,30における環状の縁部21,31を互いに重ね合わせた状態で、螺子40による締結で、ケース3となっている。
【0053】
上ケース20には、環状の縁部21に対して凹んだ凹部22として、ケース3を構成した状態で、凹部底面(内面)とプリント基板10の表面10aとの対向距離の短い部位22aと、該領域U1よりも凹部底面(内面)とプリント基板10の表面10aとの対向距離が長い部位22bを有している。すなわち、凹部22が、縁部21を基準とした深さの異なる2つの凹部22a,22bを有する2段構造となっている。
【0054】
浅い凹部22aは、ケース3を構成した状態で、プリント基板10の表面10aにおける接続用ランド11aの形成領域を含む一部位と対向しており、この凹部22aにおける接続用ランド11aの形成領域の上方に位置する部分には、その外面から嵌合方向と反対側に突出する態様で、嵌合部23が一体的に設けられている。この嵌合部23は、外部コネクタ102のハウジング103の嵌合部位と嵌合するように構成されている。
【0055】
また、凹部22aにおける接続用ランド11aの形成領域の上方に位置する部分、換言すれば嵌合部23の底部を構成する部位には、嵌合方向に沿う貫通孔24が設けられており、嵌合部23に外部コネクタ102のハウジング103を嵌合させた状態で、ハウジング103の一面から延出された複数のコネクタピン104が、貫通孔24を挿通して、内部空間S1に配置されるようになっている。なお、複数のコネクタピン104に対して1つの大きな貫通孔24としても良いが、異物の混入や、コネクタピン104同士の接触による短絡を抑制するために、本実施形態では、垂直方向において、コネクタピン104よりも若干大きく、接続用ランド11aよりも若干小さい貫通孔24を、各コネクタピン104に対してそれぞれ設けている。
【0056】
また、貫通孔24の形成位置は、内部空間S1に回路基板2を収納した状態で、図2に示すように、垂直方向において対応する接続用ランド11aと重なる位置、換言すれば、接続用ランド11a(図2の実線)と貫通孔24(図2の破線)とが互いに対向する位置となっており、図1に示すように、貫通孔24の真下に接続用ランド11aが位置している。このような接続用ランド11aと貫通孔24との位置関係を採用することで、図1に示すように、ハウジング103から延出されたコネクタピン104の形状が、嵌合方向に沿う直線形状となっている。
【0057】
一方、深い凹部22bは、ケース3を構成した状態で、プリント基板10の表面10aにおける接続用ランド11aの形成領域を含まない残りの部位、換言すれば高背部品12aが実装された一部位と対向している。
【0058】
このように、上ケース20が、凹部22として、深さの異なる2つの凹部22a,22bを有する構造とすると、全体を同じ深さとした構造、すなわち、高背部品12aに合わせた深い凹部22bのみを有する構造に比べて、外部コネクタ102と嵌合部23との嵌合位置から、コネクタピン104と導電性部材13との接触位置までの距離を短くすることができる。これにより、コネクタピン104の曲がりなどを抑制することができる。また、プリント基板10の裏面10b側に高背部品12aが実装された構造に比べて、ケース3、すなわち電子制御装置1の体格を小型化することができる。
【0059】
しかしながら、上ケース20が、凹部22として、高背部品12aに合わせた深い凹部22bのみを有する構成や、プリント基板10の裏面10b側に高背部品12aが実装され、凹部22として、浅い凹部22aのみを有する構成も、採用することができる。
【0060】
一方、下ケース30には、環状の縁部31に対して凹んだ凹部32として、プリント基板10の縁部を支持する例えば環状の凹部32aと、凹部32aからさらに凹んだ凹部32bを有している。すなわち、凹部32も、縁部31を基準とした深さの異なる2つの凹部32a,32bを有する2段構造となっている。
【0061】
浅い凹部32aは、縁部31に対して、プリント基板10の厚みとほぼ同じか、プリント基板10の厚みよりも若干深くなっており、上ケース20と下ケース30を組み付けた状態で、下ケース30の凹部32aの底面(プリント基板10の裏面10bが接する面)と、該底面と対向する上ケース20の縁部21との間で、プリント基板10を挟み込んで保持するようになっている。
【0062】
一方、深い凹部32bは、プリント基板10の裏面10bにおける縁部、すなわち凹部32aにて支持される部位、を除く部位と対向している。そして、凹部32bの内面には、プリント基板10における接続用ランド形成位置の裏面側部位に向けて突出する支持用突起部33が一体的に設けられている。この支持用突起部33は、プリント基板10における接続用ランド形成位置の裏面側部位を支持するためのものであり、直接的に接続用ランド形成位置の裏面側部位に接して支持する構成としても良いが、本実施形態では、プリント基板10における接続用ランド形成位置の裏面側部位と支持用突起部33との間に、ゴムなどの弾性を有する緩衝部材34を介在させている。本実施形態では、緩衝部材34が、支持用突起部33の先端に接着固定されているが、それ以外にも、嵌合などによって支持用突起部33の先端に固定した構成を採用することもできる。また、緩衝部材34を、プリント基板10における接続用ランド形成位置の裏面側部位に固定した構成を採用することもできる。
【0063】
また、本実施形態では、支持用突起部33が、凹部32bの内面から嵌合方向とは反対方向に沿って直線状に伸びており、支持用突起部33の形成位置が、凹部32aに回路基板2を配置した状態で、図2に示すように、垂直方向において対応する接続用ランド11aと重なる位置、換言すれば、接続用ランド11a(図2の実線)と支持用突起部33(図2の二点鎖線)とが互いに対向する位置となっている。すなわち、図1に示すように、支持用突起部33の真上に接続用ランド11aが位置している。したがって、図2に示すように、垂直方向において、対応する貫通孔24、接続用ランド11a、及び支持用突起部33が、互いに重なる位置となっている。
【0064】
このような支持用突起部33としては、複数の接続用ランド11aに対して1つの大きな支持用突起部33としても良いが、本実施形態では、各接続用ランド11aに対して、接続用ランド11aとほぼ同じ大きさの支持用突起部33をそれぞれ設けている。
【0065】
なお、図1に示す符号100は、電子制御装置1と電気的に接続される外部機器(例えば外部ECU)を、符号101は、外部機器100と外部コネクタ102とを電気的に接続するハーネスを示している。外部コネクタ102は、外部機器100のコネクタであり、絶縁材料からなるハウジング103の一面から延出されたコネクタピン104を端子として有している。すなわち、外部コネクタ102は、オス型のコネクタとして構成されている。これに対し、電子制御装置1は、コネクタピンを有しておらず、導電性部材13及び接続用ランド11aが、電子制御装置1側の端子部分となっている。すなわち、電子制御装置1には、上記したプリント基板10の接続用ランド11aや導電性部材13、上ケース20の嵌合部23及び貫通孔24などにより、メス型のコネクタと同等の機能が構成されている。
【0066】
次に、上記した電子制御装置1の製造手順(組み付け手順)について説明する。図4は、導電性部材を形成するためのペーストの塗布工程を示す図である。
【0067】
先ず、合成樹脂などの高分子材料、金属粒子,金属粉末,表面をめっき処理した粒子などの導電性フィラー、硬化剤、溶剤、必要に応じて用いられるその他添加剤など混練してなる所定粘度の導電性ペースト13aを準備する。そして、図3に示すように、スクリーン印刷法を用いてプリント基板10の接続用ランド11a上に、導電性ペースト13aを塗布(転写)する。図3に示す符号41は、スクリーン(マスク)であり、符号42は、スキージである。なお、本実施形態では、上記したように、接続用ランド11aの周囲のソルダレジスト14上(プリント基板10の表面10a)にも、導電性ペースト13aを塗布する。流動性を有する導電性ペースト13aは、接続用ランド11aの表面及びソルダレジスト14の表面に密着する。
【0068】
塗布後、加熱や、紫外線などの光照射により、溶剤を揮発させるとともに導電性ペースト13aを硬化させる。これにより、接続用ランド11aに接着固定された状態で、弾性を有する導電性部材13が形成される。そして、接続用ランド11aを除くランド11に対し、リフローによって、電子部品12をはんだ接合することで、回路基板2を得ることができる。なお、紫外線などの光照射によって導電性ペースト13aを硬化させる場合には、リフローによる電子部品12の実装を先に実施した後、導電性ペースト13aの塗布や硬化処理を行うこともできる。
【0069】
次に、得られた回路基板2を、プリント基板10の裏面10b側を搭載面として、下ケース30の凹部32a上に配置し、その後、下ケース30の開放面を蓋するように、互いの縁部21,31を一致させながら上ケース20を下ケース30上に配置する。そして、螺子40の締結により、内部空間S1に回路基板2が収納された電子制御装置1となる。
【0070】
次に、上記した電子制御装置1の特徴部分の効果について説明する。先ず、本実施形態では、プリント基板10の接続用ランド11a上に、弾性を有する導電性部材13をそれぞれ配置しており、外部コネクタ102が嵌合した際に、コネクタピン104が導電性部材13を介して対応する接続用ランド11aと電気的に接続されるようになっている。また、導電性部材13は、プリント基板10やケース3などの反り、公差内での寸法ばらつき、公差内での組み付けばらつき等に基づく製造ばらつきが生じても、外部コネクタ102を電子制御装置1に嵌合した際に、コネクタピン104が、導電性部材13と接触し、且つ、プリント基板10の表面10aと接触しないような高さを有して、接続用ランド11a上に配置されている。すなわち、反りなどによる製造ばらつきが生じていない場合には、図3に示すように、コネクタピン104の尖った先端から一部が、導電性部材13を弾性変形させつつ押し込まれ、且つ、コネクタピン先端が接続用ランド11aとは離れた状態となっている。したがって、例えばプリント基板10に反りが生じても、導電性部材13の弾性変形により、反り分を緩衝させ、ひいては、外部コネクタ102との電気的な接続信頼性を向上することができる。具体的には、下ケース30側に凸となる反りを生じた場合には、導電性部材13の弾性変形量が小さくなり、上ケース20側に凸となる反りを生じた場合には、導電性部材13の弾性変形量が大きくなる。
【0071】
また、導電性部材13は、弾性変形可能であるので、コネクタピン104を導電性部材13に押し付けると、上記したように導電性部材13が弾性変形し、図3に例示のごとくコネクタピン104との接触面積が増える。したがって、コネクタピン104と接続用ランド11aとを直接接触させる構造に比べ、電気的な接触抵抗を低減することもできる。
【0072】
本実施形態では、接続用ランド11aとコネクタピン104との電気的な接続方向と、嵌合方向とを一致させているため、これにより、回路基板2(電子制御装置1)と外部コネクタ102との電気的な接続構造を簡素化することができる。また、嵌合部23に外部コネクタ102のハウジング103を嵌合させる力を利用して、コネクタピン104を導電性部材13に押し付けるので、コネクタピン104と導電性部材13、ひいてはコネクタピン104と接続用ランド11a、との電気的な接続状態を確保することができる。
【0073】
本実施形態では、接続用ランド11aが貫通孔24の真下に位置するように構成されており、これに合わせて、外部コネクタ102のコネクタピン104の形状を、嵌合方向に沿う直線形状としている。したがって、ケース3の内部空間S1におけるプリント基板10の表面10a上において、コネクタピン104が占める領域を小さくし、ひいては、プリント基板10の表面10aに実装される電子部品12の実装位置の自由度向上や、実装密度向上を図ることもできる。また、上記したように、コネクタピン104を直線形状とすることもできるので、外部コネクタ102の構成も簡素化し、回路基板2(電子制御装置1)と外部コネクタ102との電気的な接続構造として、製造コストの低減を図ることもできる。
【0074】
なお、本実施形態では、プリント基板10側にコネクタピンを設けていないので、電子制御装置1の製造コストを低減することもできる。
【0075】
本実施形態では、弾性を有する導電性部材13として、高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性ペースト13aを、スクリーン印刷法を用いて、各接続用ランド11a上に一括塗布し、その後、熱や光によって硬化させてなる例を示した。これによれば、導電性ペースト13aが接続用ランド11aの表面に密着するので、硬化させると、導電性部材13を形成すると共に、接続用ランド11aに導電性部材13を接着固定する(密着させる)ことができる。したがって、導電性部材13を一括で各接続用ランド11aに配置且つ固定することができる。また、導電性部材13を接続用ランド11aに接着固定しているので、例えば車両振動など外力の印加による導電性部材13の位置ズレや、該位置ズレによる接続用ランド11a間の短絡を抑制することができる。
【0076】
特に本実施形態では、導電性ペースト13aを、接続用ランド11aの表面だけでなく、プリント基板10の表面10aにおける接続用ランド11aの周辺部位(ソルダレジスト14)にも塗布する。プリント基板10の表面10a、例えば絶縁基材やソルダレジスト14の表面は、接続用ランド11aの表面に比べて凹凸があるため、導電性ペースト13aとの接触面積を稼ぐとともに、アンカー効果も期待することができる。これにより、導電性部材13の位置ズレをより効果的に抑制することができる。なお、本実施形態では、接続用ランド11aの周辺部位において、ソルダレジスト14の表面に導電性部材13が密着する例を示したが、上記したように、ソルダレジスト14以外にも、絶縁基材の表面など、プリント基板10の表面10aに密着する構成としても良い。
【0077】
ところで、外部コネクタ102と電子制御装置1とを嵌合する際、コネクタピン104は嵌合方向に沿ってプリント基板10に近づき、導電性部材13に接触する。したがって、コネクタピン104の当接により、導電性部材13が嵌合方向に弾性変形し、変形による応力がプリント基板に作用するため、プリント基板10がケース30側を凸として撓む。一般に高密度実装の観点から、接続用ランド11aの周辺にも電子部品12が実装されるため、上記撓みが電子部品12に、例えばはんだ接合部の接続信頼性の低下といった影響を与える恐れがある。これに対し、本実施形態では、下ケース30に、支持用突起部33を設けており、支持用突起部33が、プリント基板10における接続用ランド11aの裏面部位を支持するようになっている。したがって、コネクタピン104に押されて弾性変形した導電性部材13の応力がプリント基板10に作用しても、下ケース30側に凸となるプリント基板10の撓みを、支持用突起部33にて抑制することができる。
【0078】
特に本実施形態では、プリント基板10における接続用ランド11aの裏面部位と、支持用突起部33との間に、弾性を有する緩衝部材34を介在させている。したがって、プリント基板10の反りやケース3の寸法ばらつきなどの製造要因、両者の組み付けばらつきなどを、緩衝部材34にて吸収(緩衝)し、各接続用ランド11aの裏面部位を、支持用突起部33にて確実に支持することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、弾性を有する導電性部材13として、高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性ペースト13aを、スクリーン印刷法を用いて、各接続用ランド11a上に一括塗布し、その後、熱や光によって硬化させてなる例を示した。しかしながら、ディスペンサによって、各接続用ランド11a上に、導電性ペースト13aを塗布しても良い。また、ゴムや合成樹脂などの高分子材料に導電性フィラーや硬化剤などを分散配合し、圧縮成形、押出成形、射出成形などによる成形を経て、高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性部材13を形成し、この導電性部材13が、例えば導電性接着剤により、接続用ランド11a上に固定された構成としても良い。また、高分子材料以外にも、金属材料を弾性変形可能に加工することで、弾性(ばね性)を有する導電性部材13とし、この導電性部材13が、導電性接着剤(はんだも含む)を介して、接続用ランド11a上に固定された構成としても良い。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図5に基づいて説明する。図5は、第2実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランドの周辺を拡大した断面図である。
【0081】
第2実施形態における電子制御装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同一の要素について、同一の符号を付与するものとする。
【0082】
第1実施形態においては、プリント基板10の表面10a上にのみ、接続用ランド11aと導電性部材13が設けられ、下ケース30に設けた支持用突起部33と、プリント基板10における接続用ランド11aの裏面部位との間に、弾性を有する緩衝部材34が介在される例を示した。
【0083】
これに対し、本実施形態では、図5に例示するように、プリント基板10に、嵌合方向に沿う貫通孔15が設けられ、接続用ランド11aが、プリント基板10における貫通孔15の壁面及び表裏面10a,10bの貫通孔15の開口周辺部位に一体的に設けられている。また、導電性部材13が、上記した接続用ランド11a上、すなわち、貫通孔15の内部、及び、プリント基板10の表裏面10a,10bにおける貫通孔15の開口周辺部位上に一体的に配置されている。そして、支持用突起部33が、導電性部材13におけるプリント基板10の裏面側部位、詳しくは、接続用ランド11aの裏面側部位上に位置する導電性部材13と接触する構成となっている。なお、貫通孔15は、特許請求の範囲に記載の第3貫通孔に相当する。
【0084】
図5に示す形態の接続用ランド11aは、メッキ法など周知の方法により、形成することができる。また、導電性部材13は、弾性変形させながら貫通孔15を挿通させることで、上記した形態の配置とすることができる。また、それ以外にも、例えば弾性を有するナット様の2つの部材を、プリント基板10の表面10aと裏面10bのそれぞれから圧入し、貫通孔15内で接触させて、1つの導電性部材13としても良い。さらには、プリント基板10の一面(例えば表面10a)側において、第1実施形態同様、スクリーン印刷と硬化処理を行い、次に、プリント基板10の他方の面(例えば裏面10b)側において、第1実施形態同様、スクリーン印刷と硬化処理を行うことで、1つの導電性部材13としても良い。
【0085】
このように本実施形態によれば、第1実施形態で示した緩衝部材34を、弾性を有する導電性部材13が兼ねているので、緩衝部材34を不要とすることができる。
【0086】
また、接続用ランド11aと導電性部材13との接触面積を向上することができる。
【0087】
さらに、導電性部材13は、貫通孔15の内部に配置されているので、これにより、主として垂直方向における導電性部材13の位置ズレを抑制することができる。また、プリント基板10の表裏面10a,10bにおける貫通孔15の開口周辺部位上にも、導電性部材13が配置されているので、これにより、主として嵌合方向における導電性部材13の位置ズレを抑制することができる。
【0088】
なお、図5に示す例では、接続用ランド11aが、プリント基板10の裏面10bにおける貫通孔15の周辺にも設けられ、導電性部材13も、接続用ランド11aにおける裏面10b側の貫通孔15の周辺部位上に位置する例を示した。しかしながら、導電性部材13が緩衝部材34を兼ねるには、接続用ランド11aが、プリント基板10における貫通孔15の壁面及び表面10aの貫通孔15の開口周辺部位に一体的に設けられ、導電性部材13が、貫通孔15の内部、及び、プリント基板10の表面10aにおける貫通孔15の開口周辺部位上に一体的に配置されるとともに、プリント基板10aの裏面10bよりも突出していれば良い。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図6及び図7(a),(b)に基づいて説明する。図6は、第3実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランド周辺の断面図であり、図1に対応している。図7は、ホルダを説明するための断面図であり、(a)はホルダ単体、(b)はプリント基板に固定した状態を示している。
【0090】
第3実施形態における電子制御装置は、上記した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、上記各実施形態と同一の要素について、同一の符号を付与するものとする。
【0091】
第1実施形態においては、高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性ペースト13aを、スクリーン印刷法を用いて各接続用ランド11a上に一括塗布し、その後、熱や光によって硬化させることで、弾性を有する導電性部材13を形成しつつ接続用ランド11aに接着固定する例を示した。
【0092】
これに対し、本実施形態では、各接続用ランド11a上に配置される複数の導電性部材13が、図6に示すように、電気絶縁性の材料からなる同一のホルダ50に、一体的に保持されている点を特徴とする。なお、このような構成は、ホルダ50に設けた貫通孔への導電性部材13の圧入固定や、導電性部材13をインサート部品とした射出成形(インサート成形)などにより実現することができる。
【0093】
特に図7(a)に示す例では、ホルダ50における平板状の基部51に、嵌合方向に沿う貫通孔52が形成されており、この貫通孔52に、別途略柱状に成形された導電性部材13を圧入することで、導電性部材13がホルダ50に保持されている。このような貫通孔52は、ホルダ50の成形時に設けることもできるし、後から加工して設けることもできる。
【0094】
導電性部材13は、図7(a)に示すように、ホルダ50に固定された状態で、柱状の一端13bが、基部51におけるプリント基板10側の面51aから突出しており、他端13cが、基部51の上ケース20側の面51bから突出せずに、垂直方向において縁部から中央部(中心)に近づくほど、嵌合方向においてプリント基板10に近づくテーパを有した凹状、換言すればすり鉢様となっている。
【0095】
一方、ホルダ50は、図7(a)に示すように、複数の導電性部材13を保持する平板状の基部51から、嵌合方向に沿ってプリント基板10側に伸びる第1脚部53を有しており、図7(b)に示すように、プリント基板10にも、第1脚部53に対応する貫通孔16が形成されている。なお、貫通孔16が、特許請求の範囲に記載の第1貫通孔に相当する。この貫通孔16は、垂直方向において、直線形状の第1脚部53の断面よりも若干大きい程度の径(大きさ)をもって形成されている。
【0096】
また、図7(b)に示すように、プリント基板10が第2貫通孔としての貫通孔17を有しており、ホルダ50が、基部51から、嵌合方向に沿いつつ貫通孔17に対応してプリント基板10側に伸びる第2脚部54と、該第2脚部54の先端から突出し、プリント基板10の裏面10b側において貫通孔17の開口周辺部位に係止する係止部55を有している。そして、係止部55は、プリント基板10の裏面10bとの対向部位55aが、垂直方向において第2脚部54から離れるほど、嵌合方向において基部51から離れるテーパ状となっている。なお、貫通孔17は、係止部55を有する第2脚部54が、プリント基板10の表面10b側から、係止部55を先頭として挿入され、係止部55を裏面10b側に挿通させることのできる程度の径(大きさ)をもって形成されている。
【0097】
このように構成される電子制御装置1では、同一のホルダ50に、複数の導電性部材13が一体的に保持されているため、各接続用ランド11a上に導電性部材13を一括して配置することができる。また、複数の導電性部材13が、ホルダ50によって保持されているので、導電性部材13の位置ズレによる接続用ランド11a間の短絡を防止することができる。
【0098】
また、図7(a)に示す例では、柱状の導電性部材13のうち、一端13bが基部51におけるプリント基板10側の面51aから突出しているので、図7(b)に示すように、導電性部材13を、より確実に接続用ランド11aに接触させることができる。特に、垂直方向において、貫通孔52におけるプリント基板側の端部が接続用ランド11aよりも小さくとも、導電性部材13を、接続用ランド11aに接触させることができる。
【0099】
また、柱状の導電性部材13の他端13cが、上記したテーパを有する凹状となっているので、外部コネクタ102の嵌合の際に、図7(b)に破線矢印で示すように、テーパによって、コネクタピン104を所望の位置、具体的には、垂直方向における導電性部材13の中心側に導くことができる。さらに、コネクタピン104が導電性部材13に接触した瞬間に、コネクタピン104と導電性部材13との間に生じる力を低減することができる。
【0100】
また、第1脚部53を貫通孔16に挿入することで、垂直方向において、プリント基板10に対するホルダ50の位置を決定するとともに、垂直方向において、ホルダ50の位置ズレを抑制することもできる。
【0101】
また、プリント基板10の表面10b側から裏面10b側に、係止部55を挿通させた状態で、図7(b)に示すように、ホルダ50の基部51が、プリント基板10の表面10a側に位置し、係止部55が裏面10b側に位置する。したがって、嵌合方向におけるホルダ50の位置ズレを抑制することができる。特に上記した例では、係止部55がテーパ状の部位55aを有するため、プリント基板10の反りなどにより、製造ばらつきが生じても、テーパ部位55aをプリント基板10の裏面10bに係止させることができる。すなわち、主として嵌合方向におけるホルダ50の位置ズレをより効果的に抑制するとともに、導電性部材13と接続用ランド11aとの間、ひいては、コネクタピン104と接続用ランド11aとの間に、より良好な接続状態を確保することも可能である。
【0102】
なお、ホルダ50の固定構造は、上記例に限定されるものではない。例えば、フィルム状(シート状)のホルダ50(基部51)を、プリント基板10の表面10aに接着固定しても良いし、ホルダ50に保持された導電性部材13の各々を、導電性接着剤によって接続用ランド11aに固定しても良い。さらには、基部51を、上ケース20の凹部22aの内面に接着固定したり、嵌合によって凹部22aに固定することも可能である。しかしながら、接続用ランド11aと導電性部材13との位置精度や電気的な接触抵抗を考慮すると、プリント基板10に対してホルダ50を位置決め固定する構成を採用することが好ましく、組み付け工数の観点から、第1脚部53及び係止部55を備えた第2脚部54による位置決め固定の構成を採用することがより好ましい。
【0103】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図8〜10に基づいて説明する。図8は、第4実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランド周辺の断面図であり、図1に対応している。図9は、接続用ランド周辺を拡大した断面図である。図10は、上ケースの貫通孔と導電性部材との位置関係を示す模式的な平面図である。
【0104】
第4実施形態における電子制御装置は、上記した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、上記各実施形態と同一の要素について、同一の符号を付与するものとする。
【0105】
第3実施形態においては、複数の導電性部材13が、ホルダ50によって一体的に保持され、ホルダ50がプリント基板10に固定されることで、導電性部材13の位置ズレが抑制された例を示した。
【0106】
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、導電性部材13が、絶縁材料からなる上ケース20の内面であって、貫通孔24の開口周辺部位と接触するように構成されている点を特徴とする。すなわち、導電性部材13が、プリント基板10と上ケース20とで挟持され、この状態でさらに弾性変形可能となっている点を特徴とする。
【0107】
特に図9及び図10に示す例では、上ケース20の凹部22aにおける内面25のうち、貫通孔24の開口周辺部位25aによって、導電性部材13の上面の縁部を環状に押さえている。換言すれば、導電性部材13が、垂直方向において、貫通孔24における内面25側端部の部位と重なり、且つ、該部位よりも大きく設けられている。また、上ケース20には、開口周辺部位25aに隣接する内面25の部位から、プリント基板10側に突出する突起部26が一体的に設けられている。具体的には、突起部26が、嵌合方向に沿って内面25から伸びており、プリント基板10の表面10aとの間には隙間を有している。また、各導電性部材13をそれぞれ取り囲むように環状に設けられている。そして、導電性部材13は、突起部26の内周側面と接している。
【0108】
また、図9及び図10に示す例では、上ケース20の凹部22aにおける貫通孔24の壁面27が、貫通方向においてプリント基板10に近づくほど、貫通孔24の断面が小さくなるテーパ状となっており、壁面27における内面25側の端部27aが、貫通孔24の断面の最も小さい部位となっている。
【0109】
さらに、図9に示す例では、上ケース20に、内面25からプリント基板10側に突出し、嵌合方向に沿って伸びる貫通突起部28が、突起部26は別に設けられており、図9に示すように、プリント基板10にも、貫通突起部28に対応する貫通孔18が形成されている。この貫通孔18は、垂直方向において、直線形状の貫通突起部28の断面よりも若干大きい程度の径(大きさ)をもって形成されている。
【0110】
このように構成される電子制御装置1では、導電性部材13が、プリント基板10と上ケース20とで挟持される構成となっているので、主として、嵌合方向における導電性部材13の位置ズレを抑制することができる。
【0111】
また、上ケース20に上記した突起部26を設けているので、垂直方向への導電性部材13の位置ズレに対して突起部26が抵抗となり、垂直方向における導電性部材13の位置ズレを効果的に抑制することができる。特に本実施形態では、環状の突起部26にて、導電性部材13を取り囲んでいるので、垂直方向における導電性部材13の位置ズレを、より効果的に抑制することができる。
【0112】
また、上ケース20の凹部22aにおける貫通孔24の壁面27を、上記した形態のテーパ状としているので、外部コネクタ102の嵌合の際に、図9に破線矢印で示すように、テーパによって、コネクタピン104を所望の位置、具体的には、垂直方向における中心側に導くことができる。
【0113】
また、貫通突起部28を貫通孔18に挿入することで、垂直方向において、プリント基板10と上ケース20との組み付け誤差を低減し、貫通孔24と対応する導電性部材13との位置ズレを抑制することができる。これにより、突起部26の効果や、テーパ状の壁面27の効果を高めることもできる。
【0114】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図11に基づいて説明する。図11は、第5実施形態に係る電子制御装置のうち、接続用ランド周辺を拡大した断面図である。
【0115】
第5実施形態における電子制御装置は、上記した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、上記各実施形態と同一の要素について、同一の符号を付与するものとする。
【0116】
本実施形態では、図11に例示するように、接続用ランド11aの、周辺領域と該周辺領域に囲まれた中央領域のうち、中央領域に貫通孔11bが設けられて、接続用ランド11aが環状となっており、貫通孔11b内にも、弾性を有する導電性部材13が配置されている点を特徴とする。一例として、本実施形態では、第1実施形態に示したように、導電性ペースト13aを、貫通孔11b内にも塗布することで、上記構成を実現している。
【0117】
このように構成される電子制御装置1では、接続用ランド11aの表面、若しくは、プリント基板10の表面10a、を基準とする導電性部材13の高さが同じであれば、貫通孔11bの深さの分、導電性部材13の厚みを厚くすることができる。したがって、接続用ランド11aを含むプリント基板10の表面とコネクタピン104との間の距離を同じとすれば、貫通孔11bの深さの分、導電性部材13に対してコネクタピン104をより深く押し込むことができ、これにより、コネクタピン104と導電性部材13との接触面積を増やして、コネクタピン104と導電性部材13との電気的な接触抵抗を低減させることもできる。
【0118】
また、貫通孔11bを設けることで、プリント基板10の表面10aにおける接続用ランド11aの部分に凹凸ができ、これにより、導電性部材13をプリント基板10により密着させることができる。
【0119】
なお、図11では、導電性部材13の厚みを稼ぐために、接続用ランド11aに貫通孔11bを設ける例を示した。しかしながら、接続用ランド11aに未貫通の孔を設けても、多少なりとも導電性部材13の厚みを稼いで、コネクタピン104と導電性部材13との接触面積を増やすことが可能である。
【0120】
また、図12に示すように、表面10aに開口する孔19をプリント基板10(絶縁基材)に設け、プリント基板10の孔19の壁面、及び、少なくとも表面10aにおける孔19の周辺部位に、接続用ランド11aが一体的に設けた構成としても良い。図12に示す例では、孔19として、未貫通の孔を採用している。この場合も、孔19の深さの分、導電性部材13の厚みを厚くすることができる。したがって、接続用ランド11aを含むプリント基板10の表面とコネクタピン104との間の距離を同じとすれば、孔19の深さの分、導電性部材13に対してコネクタピン104をより深く押し込むことができ、これにより、コネクタピン104と導電性部材13との接触面積を増やして、コネクタピン104と導電性部材13との電気的な接触抵抗を低減させることもできる。また、導電性部材13をプリント基板10により密着させることができる。図21は、変形例を示す断面図である。なお、図12に示す例では、孔19として、未貫通の孔の例を示したが、孔19として貫通孔を採用することもできる(図5参照)。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0122】
本実施形態においては、電子装置として電子制御装置1の例を示した。しかしながら、電子制御装置に限定されるものでもない。なお、電子制御装置としては、防水構造、非防水構造のいずれとしても良い。
【0123】
各実施形態で示した電子制御装置1は、上ケース20に、コネクタピン104を挿通させるための貫通孔24が設けられ、プリント基板10の接続用ランド11aとコネクタピン104とを電気的に接続する構成となっている。すなわち、電子制御装置1側に、メス型のコネクタと同等の機能が構成されている。したがって、外部コネクタ102が嵌合される前の状態で、貫通孔24を介して、内部空間S1に異物が侵入し、これにより接続用ランド11a間の短絡等の問題が生じる恐れがある。
【0124】
そこで、図13(a)に示すように、上ケース20の凹部22aの外面に、貫通孔24を蓋する保護部材43を固定した構成を採用すると良い。保護部材43としては、電気絶縁性の材料からなり、外部コネクタ102の嵌合時に、図13(b)に示すように、コネクタピン104が保護部材43を突き破って内部空間S1に配置可能な構成であれば良い。一例としては、保護部材43として薄い合成樹脂シートを採用し、凹部22aの外面に接着固定した構成を採用することができる。これによれば、外部コネクタ102が嵌合される前の状態で、貫通孔24を介して内部空間S1に異物が侵入するのを防ぐことができる。なお、図13は、その他変形例を示す接続用ランド周辺の断面図であり、(a)は電子制御装置単体、(b)は外部コネクタを嵌合した状態を示している。
【0125】
本実施形態では、電子制御装置1を構成する下ケース30に支持用突起部33が設けられる例を示した。しかしながら、支持用突起部33を有さない構成としても良い。また、緩衝部材34を有さない構成としても良い。
【符号の説明】
【0126】
1・・・電子制御装置(電子装置)
3・・・ケース
10・・・プリント基板
11a・・・接続用ランド(ランド)
13・・・導電性部材
20・・・上ケース
24・・・貫通孔
30・・・下ケース
33・・・支持用突起部
S1・・・内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数のランドが設けられたプリント基板と、
外部コネクタのハウジングが嵌合される嵌合部、及び、前記プリント基板が収納される内部空間を有するケースと、を備える電子装置であって、
前記ケースには、前記プリント基板の表面との対向部位に、前記ハウジングと前記嵌合部との嵌合方向に沿って伸び、前記ハウジングと前記嵌合部とを嵌合させた状態で、前記ハウジングから延出された前記外部コネクタの各端子を前記内部空間に収納するための貫通孔が設けられ、
前記プリント基板の各ランド上には、弾性を有する導電性部材がそれぞれ配置されており、
前記嵌合部と前記ハウジングとの嵌合により、前記端子が、前記導電性部材を介して対応する前記ランドと電気的に接続されるようにしたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記ランドと前記貫通孔は、互いに対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記導電性部材は、弾性を有する高分子材料に導電性フィラーが分散され、硬化処理されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記導電性部材は、対応するランドに接着していることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記導電性部材は、前記プリント基板の表面における前記ランドの周辺部位にも接着していることを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
各ランド上に配置される複数の前記導電性部材が、絶縁材料からなる同一のホルダに一体的に保持されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記導電性部材は、前記ホルダにおけるプリント基板側の面から突出していることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
柱状の前記導電性部材における嵌合部側の一端面が、縁部から中央部に向けて前記プリント基板に近づくテーパを有した凹状とされていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記ホルダは、複数の前記導電性部材を保持する基部から、前記嵌合方向に沿ってプリント基板側に伸びる第1脚部を有し、
前記プリント基板は、前記第1脚部に対応する第1貫通孔を有していることを特徴とする請求項6〜8いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項10】
前記プリント基板は、第2貫通孔を有し、
前記ホルダは、複数の前記導電性部材を保持する基部から、前記嵌合方向に沿いつつ前記第2貫通孔に対応してプリント基板側に伸びる第2脚部と、該第2脚部の先端から突出し、前記プリント基板の裏面側において前記第2貫通孔の開口周辺部位に係止する係止部を有し、
前記係止部は、前記プリント基板の裏面との対向部位が、前記嵌合方向に垂直な方向において前記第2脚部から離れるほど、前記嵌合方向において前記基部から離れるテーパ状となっていることを特徴とする請求項6〜9いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記ケースは絶縁材料からなり、
前記導電性部材は、前記ケースにおけるプリント基板の表面との対向面であって、前記貫通孔の開口周辺部位と接触していることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記対向面の開口周辺部位に隣接する部位からプリント基板側に突出する突起部を有していることを特徴とする請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記突起部は、各導電性部材をそれぞれ取り囲むように設けられていることを特徴とする請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記ランドは、周辺領域に囲まれた中央領域に貫通孔を有し、前記プリント基板の表面に沿う形状が環状とされていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項15】
前記プリント基板に表面に開口する孔が設けられ、
前記プリント基板の孔の壁面及び表面における孔の周辺部位に、前記ランドが一体的に設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項16】
前記ケースは、前記プリント基板におけるランド形成位置の裏面側部位に向けて、前記プリント基板の裏面との対向面から突出し、前記裏面側部位を支持する支持用突起部を有していることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項17】
前記プリント基板の裏面側部位と、前記支持用突起部との間に、弾性を有する緩衝部材が介在されることを特徴とする請求項16に記載の電子装置。
【請求項18】
前記プリント基板は、第3貫通孔を有し、
前記ランドは、前記プリント基板における第3貫通孔の壁面及び表面の前記第3貫通孔の開口周辺部位に一体的に設けられ、
前記導電性部材は、前記第3貫通孔の内部、及び、前記プリント基板の表面における第3貫通孔の開口周辺部位上に、一体的に配置され、
前記支持用突起部は、前記導電性部材におけるプリント基板の裏面側部位と接触していることを特徴とする請求項16に記載の電子装置。
【請求項19】
外部コネクタのハウジングが嵌合される嵌合部を有するケースの内部空間に、表面に複数のランドを設けたプリント基板を収納してなる電子装置の製造方法であって、
弾性を有する高分子材料に導電性フィラーが分散された導電性ペーストを、スクリーン印刷法を用いて、前記プリント基板における複数のランドに一括塗布する工程と、
前記塗布後、前記導電性ペーストを硬化させて弾性を有する導電性部材とする工程と、
前記硬化後、前記プリント基板を前記ケースの内部空間に収納する工程と、を備えることを特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−192163(P2010−192163A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33105(P2009−33105)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】