説明

電子部品のめっき方法およびそれを用いた電子部品の製造方法

【課題】小型の電子部品にめっきを施す場合にも、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良や、めっき膜の均一性の低下などの発生を抑制、防止して、歩留まりよく良好なめっきを施すことが可能な電子部品のめっき方法および該めっき方法を用いた電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品(積層セラミックコンデンサ)10が、長さ(L)0.6mm以下、幅(W)0.3mm以下、高さ(T)0.3mm以下の、略直方体形状を有するものである場合に、通電用メディア11として、直径が電子部品10の最短辺寸法の0.9〜1.1倍の略球形の通電用メディアを用いる。
また、略球形ほぐし用絶縁性粒体(撹拌用メディア)12をさらに添加して振動めっきを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子部品にめっきを施す際に用いられるめっき方法に関し、詳しくは、めっき用電極を備えた容器内に収納された電子部品と通電用メディアをめっき液に浸漬し、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施すようにした電子部品のめっき方法およびそれを用いた電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ型の電子部品の代表的なものの1つに、図3に示すような積層セラミックコンデンサがある。この積層セラミックコンデンサ60は、複数の内部電極53a,53bがセラミック層52を介して互いに対向するように配設され、かつ、その一端側が交互に異なる側の端面に引き出されたセラミック素子51の両端側に、内部電極53a,53bと導通するように一対の外部電極54a,54bが配設された構造を有している。なお、外部電極54a,54bは、例えば、Ag粉末を導電成分とする導電性ペーストを塗布、乾燥、焼成することにより形成されており、外部電極54a,54bの表面にはAg電極のはんだくわれを防止するためのNiめっき膜55およびはんだ付け性を向上させるためのSnめっき膜56が形成されている。
【0003】
そして、外部電極にめっき膜を形成する方法としては、めっき用電極を備えた容器に、電子部品と通電用メディアを入れ、電極に通電しながら容器を振動させることによりめっきを行う容器めっき法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、めっき用電極を備えた容器内に、電子部品と通電用メディアを収容し、容器をめっき液に浸漬して振動を与えながら、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施す振動めっき方法も用いられている(特許文献2および3参照)。
【0005】
ところで、特許文献1のめっき方法では、めっき用電極(陰極)にめっきが樹枝状に成長してめっき効率が低下したり、めっき膜厚のばらつきが発生したりするというような問題点を解決するために、通電用メディアとして、直径が被めっき物である電子部品の最小投影面積の最大寸法の0.8〜1.3倍のものを用いるようにしている。
【0006】
また、特許文献2の振動めっき方法では、通電用メディアとして、直径が被めっき物である電子部品の最長辺寸法の0.93〜1.8倍の通電用メディアを用いるようにしている。
【0007】
さらに、特許文献3の振動めっき方法では、電子部品に割れや欠けが発生することを防止しつつ、電子部品の凝集を抑制して、確実にめっきを行うことができるように、表面硬度が、電子部品の表面硬度よりも低い絶縁性ゴムまたは樹脂で表面を覆われた絶縁性粒体を用いる方法が提案されている。また、特許文献3には、絶縁性粒体の直径が電子部品の外形における最小寸法の5倍以上、最大寸法の10倍以下とすることが開示されている。
【0008】
しかしながら、上記従来のめっき方法の場合、例えば、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下というような小型の電子部品にめっきを施そうとした場合、被めっき物である電子部品の寸法が小さくなると、めっき中に電子部品が凝集し、電子部品どうしが着合してしまう、いわゆるくっつき不良が発生したり、形成されるめっき膜の均一性が低下したりするという問題点がある。
【特許文献1】特開平9−137296号公報
【特許文献2】特開2002−129395号公報
【特許文献3】特開2003−73898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、上記の問題点を解決するものであり、小型の電子部品にめっきを施す場合にも、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良や、めっき膜の均一性の低下などの発生を抑制、防止して、歩留まりよく良好なめっきを施すことが可能な電子部品のめっき方法および該めっき方法を用いた電子部品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の電子部品のめっき方法は、
めっき用電極を備えた容器内に収納された電子部品と通電用メディアをめっき液に浸漬し、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施す電子部品のめっき方法において、
前記電子部品が、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下の、略直方体形状を有する電子部品である場合に、
通電用メディアとして、直径が前記電子部品の最短辺寸法の0.9〜1.1倍の略球形の通電用メディアを用いること
を特徴としている。
【0011】
また、請求項2の電子部品のめっき方法は、前記容器内に、略球形のほぐし用絶縁性粒体をさらに添加してめっきを行うことを特徴としている。
【0012】
また、請求項3の電子部品のめっき方法は、前記容器に振動を与えながら、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施すことを特徴としている。
【0013】
また、本願発明(請求項4)の電子部品の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載のめっき方法により、電子部品に配設された電極の表面にめっき膜を形成する工程を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願発明(請求項1)の電子部品のめっき方法は、電子部品が、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下の、略直方体形状を有する電子部品である場合に、通電用メディアとして、直径が電子部品の最短辺寸法の0.9〜1.1倍の略球形の通電用メディアを用いるようにしているので、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良が発生したり、めっき膜の均一性が低下したりすることを抑制、防止して、歩留まりよく良好なめっきを施すことが可能になる。
【0015】
すなわち、電子部品の最短辺寸法の0.9〜1.1倍の略球形の通電用メディアを用いることにより、電子部品が上述のような小型のものである場合にも、通電用メディアと電子部品との間の十分な接触確率を確保することが可能になる。その結果、電子部品へのめっき分配率(電子部品、めっき電極、通電用メディアへの全めっき量に対する、電子部品にめっきされる量の割合)を増大させて、目標とする膜厚のめっき膜を形成するために必要な電流密度を減少させることが可能になり、くっつき不良を抑制することができるようになるとともに、通電用メディアと電子部品との接触確率を増大させて、めっき膜の均一性を向上させることが可能になり、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下の微細な電子部品に効率よくめっきを施すことが可能になる。
なお、通電用メディアとして、直径が電子部品の最短辺寸法の0.9〜1.1倍の略球形の通電用メディアを用いるようにしているのは、通電用メディアの直径が電子部品の最短辺寸法の0.9倍未満になると、通電用メディア上に電子部品素子が浮き出し、高電流密度でめっきが施されることになり、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が高くなり、また、1.1倍を超えると、目標とする膜厚を得るために必要な電流密度が高くなり、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が高くなることによる。
本願請求項1の発明の電子部品のめっき方法においては、通常、容器内に収納された電子部品と通電用メディアをめっき液に浸漬した状態で、撹拌、揺動、振動などを与えながらめっきを施すことになるが、本願請求項1の発明において、撹拌、揺動、振動などを与える方法やそれらの態様に特別の制約はない。
【0016】
また、請求項2の電子部品のめっき方法のように、容器内に略球形のほぐし用絶縁性粒体(撹拌用メディア)をさらに添加してめっきを行うようにした場合、電子部品の凝集(集合)や、電子部品と通電用メディアの凝集(集合)を抑制し、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良が発生したり、めっき膜の均一性が低下したりすることをより確実に抑制、防止して、歩留まりよく電子部品に良好なめっきを施すことが可能になる。
【0017】
また、請求項3の電子部品のめっき方法のように、容器に振動を与えながら、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施すようにした場合、電子部品が上述のような小型のものである場合にも、通電用メディアと電子部品との間の十分な接触確率を確保することが可能になり、電子部品へのめっき分配率を増大させて、目標とする膜厚のめっき膜を形成するために必要な電流密度を減少させてくっつき不良の発生を抑制することが可能になるとともに、めっき膜の均一性を向上させることが可能になり、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下の微細な電子部品に、効率よくしかも確実にめっきを施すことが可能になる。
【0018】
また、本願発明(請求項4)の電子部品の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載のめっき方法により、電子部品に配設された電極の表面にめっき膜を形成するようにしているので、例えば、電子部品の表面に形成された外部電極に、NiめっきやSnめっきなどを施す際に、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生や、めっき膜の均一性の低下の発生などを抑制、防止して、歩留まりよく良好なめっきを施すことが可能になる。
その結果、小型で信頼性の高い電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0020】
この実施例(実施例1)では、図1(a),(b)に示すように、寸法が、長さ(L)0.6mm、幅(W)0.3mm、高さ(T)0.3mmの、略直方体形状を有する積層セラミックコンデンサ10の外部電極4a,4b(表面にNiめっき膜5が形成されている)にSnめっきを施して、Niめっき膜5の表面にSnめっき膜6を形成する場合を例にとって説明する。
【0021】
この実施例1における被めっき物である積層セラミックコンデンサ(電子部品)10は、図1(a),(b)に示すように、セラミック素子1中に、複数の内部電極3a,3bがセラミック層2を介して積層され、かつ、セラミック層2を介して互いに対向する内部電極3a,3bが交互にセラミック素子1の逆側の端面に引き出されて、該端面に形成された外部電極4a,4bに接続された構造を有している。
【0022】
なお、この実施例1において、めっきを施す対象とした積層セラミックコンデンサ10は、図1(a)に示すように、導電ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成された外部電極4a,4bの表面にNiめっき5が施された状態のものである。
【0023】
また、図2は本願発明の一実施例にかかるめっき電子部品のめっき方法を実施するのに用いためっき装置の一例を示す図である。
このめっき装置20は、積層セラミックコンデンサ(電子部品)10、通電用の媒体として機能する通電用メディア11、およびほぐし用絶縁性粒体(撹拌用メディア)12を収容する、少なくとも一部がめっき液を通過させるような材料(例えば金網)で構成された容器13と、容器13に振動を与えるための駆動手段14と、下端側が容器13を保持するとともに、上端側が駆動手段14に接続された容器保持部材15と、容器13の底部16に配設された陰極(陰極用電極)17と、陽極用電極18と、めっき液を収容するめっき槽(Snめっき槽)19とを備えている。
【0024】
次に、上述のめっき装置を用いて、積層セラミックコンデンサ10の外部電極4a,4bにSnめっきを施す方法について説明する。
まず、上記の長さ(L)0.6mm、幅(W)0.3mm、高さ(T)0.3mmの積層セラミックコンデンサ10を30万個と、直径が0.22〜0.55mmの通電用メディア11を50ccと、直径が7.5mmのほぐし用絶縁性粒体12を80個とを混在させ、陰極用電極17を備えた容器13に投入して、これをSnめっき槽19に浸漬する。
【0025】
なお、通電用メディア11としては、スチールボールを用い、表1に示すように、その直径を0.22〜0.55mmの範囲で変化させたものを用いた。
また、ほぐし用絶縁性粒体(撹拌用メディア)12としては、鉄からなる球体の表面をゴムなどの絶縁材料で被覆したものを用いた。
なお、通電用メディアとしては、スチールボールに限らず、容器内に収納された電子部品と通電用メディアをめっき液に浸漬し、通電することによりめっきを行うめっき方法において通電用メディアとして用いられる種々の材料からなるものを用いることが可能である。
【0026】
それから、駆動手段14から振動を加え、容器13を振動させて、容器13内の積層セラミックコンデンサ10、通電用メディア11、ほぐし用絶縁性粒体12を撹拌しつつ、容器13の陰極用電極17に通電することにより、積層セラミックコンデンサ10の外部電極4a,4bにSnめっきを施した。なお、この実施例1では、目標めっき膜厚が3.5μmのSnめっき膜が200分間で形成されるように電流密度を変化させた。
【0027】
そして、上述のようにしてSnめっきを施すことにより得られた積層セラミックコンデンサについて、Snめっき膜厚を調べるとともに、積層セラミックコンデンサ(電子部品)どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率を調べた。
その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
なお、表1において、「試料番号」の欄および「通電用メディア直径の電子部品最短辺寸法に対する比率」の欄に*印を付したものは本願発明の範囲外のものである。
【0030】
表1に示すように、通電用メディアとして、試料番号6,7,8のように、直径が電子部品最短辺寸法の0.9〜1.1倍の範囲にあるもの、すなわち、直径が0.27〜0.33mmの範囲にある通電用メディア11を用いた場合には、くっつき不良率が0.05%以下になることが確認された。
【0031】
これは、直径が電子部品最短辺寸法の0.9〜1.1倍の範囲にある通電用メディアを用いることにより、撹拌が良好になり、電子部品との接触確率が増大して電子部品へのめっき分配率が増加し、目標とする膜厚を得るための電流密度が減少する結果、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が抑制されたものと考えられる。
【0032】
一方、試料番号1〜5のように、通電用メディアとして、直径が電子部品最短辺寸法の1.1倍を超えるものを用いた場合、目標とする膜厚を得るために必要な電流密度が高くなり、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が高くなることが確認された。
【0033】
また、試料番号9および10のように、通電用メディアとして、直径が電子部品最短辺寸法の0.9倍を下回るものを用いた場合にも、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が高くなることが確認された。これは、通電用メディアの直径が小さくなりすぎて、通電用メディア上に電子部品素子が浮き出し、高電流密度でSnめっきが施されることによるものと考えられる。
【実施例2】
【0034】
この実施例(実施例2)では、上記実施例1の場合と同様のめっき装置を用いて、寸法が、長さ(L)0.4mm、幅(W)0.2mm、高さ(T)0.2mmの、略直方体形状を有する積層セラミックコンデンサの外部電極にSnめっきを施した。
【0035】
なお、Snめっきを施すにあたっては、長さ(L)0.4mm、幅(W)0.2mm、高さ(T)0.2mmの積層セラミックコンデンサを50万個と、直径が0.14〜0.40mmの通電用メディア50ccと、直径が7.5mmのほぐし用絶縁性粒体80個とを混在させて陰極を備えた容器に投入し、これをSnめっき槽に浸漬してめっきを施した。めっき方法の具体的な手順は、上記実施例1の場合と同様とした。
【0036】
そして、上述のようにしてSnめっきを施すことにより得られた積層セラミックコンデンサについて、Snめっき膜厚を調べるとともに、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率を調べた。
その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
なお、表2において、「試料番号」の欄および「通電用メディア直径の電子部品最短辺寸法に対する比率」の欄に*印を付したものは本願発明の範囲外のものである。
【0039】
表2に示すように、通電用メディア11として、試料番号15,16,17のように、直径が電子部品最短辺寸法の0.9〜1.1倍の範囲にあるもの、すなわち、直径が0.18〜0.22mmの範囲にある通電用メディアを用いた場合には、くっつき不良率が0.05%以下になることが確認された。
【0040】
これは、上記実施例1の場合にも説明したように、直径が電子部品最短辺寸法の0.9〜1.1倍の範囲にある通電用メディアを用いることにより、撹拌が良好になり、電子部品との接触確率が増大して電子部品へのめっき分配率が増加し、目標とする膜厚を得るための電流密度が減少する結果、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が抑制されたものと考えられる。
【0041】
一方、試料番号11〜14のように、通電用メディアとして、直径が電子部品最短辺寸法の1.1倍を超えるものを用いた場合、目標とする膜厚を得るために必要な電流密度が高くなり、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が高くなった。
【0042】
また、試料番号18および19のように、通電用メディアとして、直径が電子部品最短辺寸法の0.9倍を下回るものを用いた場合にも、電子部品どうしが着合してしまうくっつき不良の発生率が高くなった。これは、上記実施例1の場合にも説明したように、通電用メディアの直径が小さくなりすぎて、通電用メディア上に電子部品素子が浮き出し、高電流密度でSnめっきが施されてしまうことによるものと考えられる。
【0043】
なお、上記実施例1及び2では、積層セラミックコンデンサ(セラミック素子)の外部電極の表面にNiめっき膜を形成した状態のものを被めっき部品とし、Niめっき膜上にSnめっきを施す場合を例にとって説明したが、めっきすべき対象となる金属の種類(実施例1および2ではNi)や、めっきすべき金属(この実施例1,2ではSn)の種類には、特に制約はなく、例えば、Ag電極上にNiめっきを施す場合、Niめっき膜上にはんだめっきを施す場合など、種々の条件下でめっきを行う場合に広く本願発明を適用することが可能である。
【0044】
また、上記実施例では、積層セラミックコンデンサの外部電極にめっきを施す場合を例にとって説明したが、本願発明は、積層セラミックコンデンサ以外の他の電子部品(例えば、チップ抵抗、チップコイル、チップLC部品、チップサーミスタ、チップフェライトなど)にめっきを施す場合にも適用することが可能である。
【0045】
また、上記実施例1および2では、被めっき物である電子部品(積層セラミックコンデンサ)を、通電用メディアとともに、ほぐし用絶縁性粒体(撹拌用メディア)を容器に投入してめっきを行うようにしているが、ほぐし用絶縁性粒体(撹拌用メディア)を添加することなくめっきを行うことも可能であり、その場合にも上記実施例1および2の場合に準じる作用効果を得ることができる。
【0046】
また、上記実施例1および2では、上面側が開口した容器に被めっき物である電子部品(積層セラミックコンデンサ)および通電用メディアを入れてめっきを行うようにした場合を例にとって説明したが、本願発明の電子部品のめっき方法を実施するためのめっき装置の構成には特別の制約はなく、回転可能なバレルに被めっき部品および通電用メディアを入れ、バレルを回転させながらめっきを行うバレルめっき法を用いる場合にも本願発明を適用することが可能である。
【0047】
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明の電子部品のめっき方法のように、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下の、略直方体形状を有する電子部品の表面にめっきを施す場合において、通電用メディアとして、直径が電子部品最短辺寸法の0.9〜1.1倍の範囲にある略球形の通電用メディアを用いることにより、電子部品どうしのくっつき不良や、めっき膜の均一性の低下などの発生を抑制、防止して、歩留まりよく良好なめっきを施すことが可能になり、信頼性の高い小型の電子部品を効率よく製造することが可能になる。
したがって、本願発明は、例えば、めっき膜を備えた外部電極を有する小型の電子部品の製造工程などに広く用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本願発明の実施例1にかかる電子部品のめっき方法によりにめっきが施される電子部品(積層セラミックコンデンサ)を示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図2】本願発明の一実施例にかかるめっき電子部品のめっき方法を実施するのに用いためっき装置の一例を示す図である。
【図3】従来のめっき方法によりめっきが施される電子部品(積層セラミックコンデンサ)の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 セラミック素子
2 セラミック層
3a,3b 内部電極
4a,4b 外部電極
5 Niめっき膜
6 Snめっき膜
10 積層セラミックコンデンサ(電子部品)
11 通電用メディア(金属球メディア)
12 撹拌用メディア(ほぐし用絶縁性粒体)
13 容器
14 駆動手段
15 容器保持部材
16 容器の底部
17 陰極用電極
18 陽極用電極
19 めっき槽(Snめっき槽)
20 めっき装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき用電極を備えた容器内に収納された電子部品と通電用メディアをめっき液に浸漬し、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施す電子部品のめっき方法において、
前記電子部品が、長さ0.6mm以下、幅0.3mm以下、高さ0.3mm以下の、略直方体形状を有する電子部品である場合に、
通電用メディアとして、直径が前記電子部品の最短辺寸法の0.9〜1.1倍の略球形の通電用メディアを用いること
を特徴とする電子部品のめっき方法。
【請求項2】
前記容器内に、略球形のほぐし用絶縁性粒体をさらに添加してめっきを行うことを特徴とする請求項1記載の電子部品のめっき方法。
【請求項3】
前記容器に振動を与えながら、めっき用電極に通電することにより電子部品にめっきを施すことを特徴とする請求項1または2記載の電子部品のめっき方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のめっき方法により、電子部品に配設された電極の表面にめっき膜を形成する工程を備えていることを特徴とする電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−28571(P2006−28571A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207710(P2004−207710)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】