説明

電子部品の半田付け方法および電子部品実装用基板

【課題】電極の大きさの相違に関わりなく半田の山の高さを均一化して電子部品の姿勢の傾きや位置ずれを防止できる半田付け方法および電子部品実装用基板を提供する。
【解決手段】電子部品1の放熱電極3に接するフットパターン7”上の領域内に、電子部品1において最小の大きさの電極となる信号電極2に適合する形状および寸法の半田層6と同形同寸法の半田層8”を間隔を空けて複数個分散して設ける。全ての半田層6,8”の形状および寸法を均一化することで、リフロー槽内で半田層6,8”を融解させた際の各半田層6,8”の山の高さを一様にし、電子部品1の取り付けの際の姿勢の傾きや接触不良および電子部品1の横滑りによる位置ずれを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の半田付け方法および電子部品実装用基板の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦な底面に大小の電極を有する電子部品としては、例えば、Quad Flat Non-leaded Package(以下、QFNという)やSmall Outline Non-leaded Package(以下、SONという)のように、電子部品の底面外周部を取り巻くようにして小面積の信号電極を多数備え、電子部品の底面に放熱電極を持つ電子部品が知れられている。
【0003】
この種の電子部品を電子部品実装用基板に取り付ける際には、大小の電極の各々に適合する大小の半田印刷領域を電子部品実装用基板上に設けてクリーム半田を印刷して半田層を形成し、リフロー槽内に電子部品実装用基板を置いてクリーム半田を融解させ、その上に電子部品を載置することによって電子部品実装用基板に対する電子部品の取りつけ作業を行うのが普通である。
【0004】
平坦な底面に大小の電極を有する電子部品の一例を図6に示す。図6(a)は電子部品を上方から透視して示した平面図、また、図6(b)は其の立面図である。
【0005】
この電子部品1は、その外周部を取り巻くようにして小面積の信号電極2を多数備え、その下面中央部には、信号電極2と比べて遥かに大面積の放熱電極3を1つ備える。
【0006】
図7は電子部品1を実装する電子部品実装用基板4の一部を示した平面図である。電子部品実装用基板4の表面には、電子部品1の信号電極2の大きさに適合したフットパターン5の上に形成された半田印刷領域に印刷されたクリーム半田からなる半田層6と、電子部品1の放熱電極3に適合した大面積のフットパターン7の上に形成された半田印刷領域に印刷されたクリーム半田からなる半田層8とが設けられている。
【0007】
フットパターンの形成やクリーム半田の印刷に関わる技術それ自体に関しては既に公知である。
【0008】
図8は、リフロー槽内に電子部品実装用基板4を置いて半田印刷領域の半田層6,8を融解させ、半田層6,8の位置に電子部品1の信号電極2,放熱電極3の位置を合わせて電子部品1を載置するときの状況について示した作用原理図である。
【0009】
信号電極2の大きさに適合したフットパターン5に印刷された半田層6と放熱電極3に適合した大面積のフットパターン7に印刷された半田層8とでは其の面積が相違し、フットパターン7上のクリーム半田の体積はフットパターン5上のクリーム半田の体積に比べて面積比で大きくなる。
【0010】
クリーム半田の特性は均質でありフットパターン5,7に対する濡れ性やクリーム半田の表面張力は共通であるから、これらの結果として、フットパターン5上で融解した半田層6の山の高さLaに比べ、フットパターン7上で融解した半田層8の山の高さLbが著しく高くなってしまう。
【0011】
従って、この状態で電子部品1を電子部品実装用基板4に接近させていくと、電子部品1の信号電極2がフットパターン5上の半田層6に接触するよりも早く電子部品1の放熱電極3がフットパターン7上の半田層8に接触することになり、例えば、図9に示されるように電子部品1の姿勢が傾いたまま半田層6,8が固化して一部の信号電極2がフットパターン5上の半田層6に接触しなくなったり、あるいは、図10に示されるように電子部品1の姿勢の傾きに従って電子部品1が横滑りを生じた状態で半田層6,8が固化して電子部品1の取り付け位置に位置ずれが生じるといった問題が起こる場合がある。
【0012】
ここで、半田ペーストの表面張力のアンバランスを回避するための発明としては、半導体チップの電極そのものを同一形状・同一面積の4つの電極に分割し、半導体チップを4隅から半田の表面張力で引張するようにしたものが例えば特許文献1として開示されている。このものは、大面積の電極を分割して半田ペーストの表面張力のバランスを保持して半導体チップの位置ずれを防止するものに過ぎず、電極の大きさの相違によって生じる半田の山の高さの違いで発生する問題に対処するものではない。
【0013】
更に、半導体チップの下面の放熱電極を複数に分割構成して電子部品実装用基板に半田で取り付けるようにしたものが特許文献2−6として提案されているが、これらのものは、半田付けの際に生じるガスを上手く逃がしてボイドの発生を抑制することや放熱電極における放熱作用の向上を企図したものに過ぎず、分割された放熱電極と他の信号電極との関連については何らの考察も行なわれていない。
これらの一例として、特許文献4に開示された放熱電極の分割構成を図11に示す。図11中の、符号7’が放熱電極に適合した大面積のフットパターン、また、符号8’が分割構成された放熱電極の位置に対応してフットパターン7’上に設けられた分割構造の半田層である。半田層8’の面積は図8に示した半田層8の面積に比べて小さくなるので、溶融した半田層8の山の高さLb’も図8に示される半田層8の山の高さLbよりは低くなり、半田層6の山の高さLaに多少は近くなるが、依然として、フットパターン5上で融解した半田層6の山の高さLaに比べ、フットパターン7’上で融解した半田層8’の山の高さLbの方が高いので、程度の差こそあれ、信号電極2がフットパターン5上の半田層6に接触しなくなるという問題や電子部品1の取り付け位置に位置ずれが生じるといった問題が起こる。
更に、特許文献7では、電子部品の信号電極に対応して設けられた半田層が融解した際の半田の山の高さに比べて電子部品の放熱電極に対応して設けられた大面積の半田層が融解した際の半田の山の高さが高くなる点と、半田の山の高さの違いによる半田付け不良の発生について言及され、これを解消するための手段として、放熱電極に対応して設けられた大面積の半田層を分断して構成し、信号電極に対応して設けられた半田層の幅と電子部品の放熱電極に対応して設けられた半田層の幅を略一致させ、電子部品の信号電極に対応して設けられた半田層が融解した際の半田の山の高さと電子部品の放熱電極に対応して設けられた半田層が融解した際の半田の山の高さとを略一致させることによって電子部品の取り付けを正確に行なうようにする点が開示されている。
しかしながら、特許文献7に開示される技術思想は半田層の幅を統一する点について明示しているに過ぎず、半田層の長さや形状に関しては何らの考慮もされていない。特許文献7に記載される電子部品は放熱電極が信号電極と同様にして電子部品の側方に張り出す構成であるから、分割構成された放熱電極に対応する半田層の幅を信号電極の半田層の幅に合わせることで結果として放熱電極の半田層の形状および面積が信号電極の半田層の形状および面積に略一致するが、電子部品の下面中央部に大面積の放熱電極を備えたQFNやSON等の電子部品にあっては、分割構成された放熱電極の半田層の幅のみを信号電極の半田層の幅に合わせても、放熱電極の半田層と信号電極の半田層の形状および面積が著しく相違するため、電子部品の信号電極に対応して設けられた半田層が融解した際の半田の山の高さと電子部品の放熱電極に対応して設けられた半田層が融解した際の半田の山の高さとが一致せず、電子部品の取り付けを正確に行なうことが難しくなる。
【0014】
以上、一例として、信号電極よりも大面積の放熱電極を備えた電子部品を電子部品実装用基板に半田付けする場合の不都合について述べたが、大きさや形状が異なる複数種の電極を平坦な底面に備えた電子部品を電子部品実装用基板に半田付けする際には、全て上記と同様の問題が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】実願平3−38631号公報
【特許文献2】特開2002−26468号公報
【特許文献3】特開2006−80168号公報
【特許文献4】特開2006−147723号公報
【特許文献5】特開2006−173154号公報
【特許文献6】特開2007−208276号公報
【特許文献7】特開昭63−110693号公報(第2頁右上欄,第2頁右下欄,第3頁右上欄−同頁左下欄,第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、電子部品の下面中央部に大面積の放熱電極を備えたQFNやSON等の電子部品であっても、電極の大きさの相違に関わりなく半田の山の高さを均一化し、電子部品の姿勢の傾き、ひいては、電子部品における信号電極の接触不良や電子部品の位置ずれを防止することのできる電子部品の半田付け方法および電子部品実装用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明における電子部品の半田付け方法は、リフロー槽内で電子部品実装用基板上の半田層を融解させた状態で、電子部品を電子部品実装用基板上に載置することによって電子部品を電子部品実装用基板上に取り付けるようにした電子部品の半田付け方法であり、
前記目的を達成するため、特に、実装対象となる電子部品が有する電極のうち最小となる電極に適合させて各電子部品毎に半田印刷領域の形状および寸法を決め、
前記最小となる電極に接する電子部品実装用基板上の位置に前記半田印刷領域を設けると共に、
前記最小となる電極以外の他の電極に接する電子部品実装用基板上の位置には、前記最小となる電極に適合する半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域を、前記他の電極の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて複数個分散して設け、
これらの半田印刷領域にクリーム半田を印刷して半田層を形成し、
リフロー槽内で前記半田層を融解させて、前記電子部品を前記電子部品実装用基板上に載置することによって前記各電子部品を前記電子部品実装用基板上に取り付けるようにしたことを特徴とする構成を有する。
【0018】
本発明における電子部品実装用基板は、電子部品を実装する電子部品実装用基板上にクリーム半田を印刷して半田層を形成した電子部品実装用基板であり、
前記と同様の目的を達成するため、特に、実装対象となる電子部品が有する電極のうち最小となる電極に適合させて各電子部品毎に半田印刷領域の形状および寸法が決められ、
前記最小となる電極に接する電子部品実装用基板上の位置に前記半田印刷領域が設けられると共に、
前記最小となる電極以外の他の電極に接する前記電子部品実装用基板上の位置には、前記最小となる電極に適合する半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域が、前記他の電極の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて複数個分散して設けられ、これらの半田印刷領域にクリーム半田が印刷されていることを特徴とする構成を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明における電子部品の半田付け方法および電子部品実装用基板によれば、実装対象となる電子部品が有する電極の大小に関わりなく、最小の大きさの電極に接する電子部品実装用基板上の位置および他の電極に接する電子部品実装用基板上の位置に、実装対象となる電子部品が有する電極のうち最小となる電極に適合する形状および寸法のクリーム半田が印刷されて半田層が形成される。
従って、リフロー槽内で半田層を融解させた際の各半田層の山の高さを一様にすることができ、電子部品の各電極を同時に半田層に接触させることが可能となるので、電子部品の取り付けの際の姿勢の傾き、更には、姿勢の傾きに伴う電極の接触不良や電子部品の横滑りによる取り付け位置の位置ずれの発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した一実施形態の電子部品実装用基板の一部を示した平面図である。
【図2】リフロー槽内に同実施形態の電子部品実装用基板を置いて半田印刷領域の半田層を融解させ、半田層の位置に電子部品の信号電極,放熱電極の位置を合わせて電子部品を載置するときの状況について示した作用原理図である。
【図3】同実施形態の電子部品実装用基板の半田層が固化して電子部品の取り付けが完了した状態について示した作用原理図である。
【図4】半田印刷領域の形状を変更した別の一実施形態における電子部品実装用基板の一部を示した平面図である。
【図5】半田印刷領域の配置を変更した更に別の一実施形態における電子部品実装用基板の一部を示した平面図である。
【図6】大小の電極を有する電子部品の一例を示した図で、図6(a)は其の平面図、また、図6(b)は其の立面図である。
【図7】電子部品を実装する従来型の電子部品実装用基板の一部を示した平面図である。
【図8】リフロー槽内に従来型の電子部品実装用基板を置いて半田印刷領域の半田層を融解させ、半田層の位置に電子部品の信号電極,放熱電極の位置を合わせて電子部品を載置するときの状況について示した作用原理図である。
【図9】半田の山の高さの違いによって電子部品の姿勢が傾いたまま半田層が固化して一部の信号電極が半田層に接触しなくなった状況について示した作用原理図である。
【図10】電子部品の姿勢の傾きに従って電子部品が横滑りを生じた状態で半田層が固化して電子部品の取り付け位置に位置ずれが生じた状況について示した作用原理図である。
【図11】放熱電極に対応して電子部品実装用基板上に信号電極よりも大きな分割構造の半田層を設けた従来の構成例について示した平面図である。
【図12】放熱電極に対応して電子部品実装用基板上に信号電極よりも大きな分割構造の半田層を設けた構成を適用しても解消されない不都合について示した作用原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して本発明における電子部品の半田付け方法および電子部品実装用基板の実施形態について具体的に説明する。
【0022】
図1は本発明を適用した電子部品実装用基板9の一部を示した平面図である。電子部品実装用基板9に取り付ける電子部品1の構成に関しては図6に示した電子部品1と同様であるので図6を援用して説明する。
【0023】
電子部品実装用基板9の表面には、図1に示されるように、電子部品1における信号電極2の大きさに適合したフットパターン5の上に形成された半田印刷領域に印刷されたクリーム半田からなる半田層6と、電子部品1における放熱電極3に適合した大面積のフットパターン7”の上に形成された半田印刷領域に印刷されたクリーム半田からなる半田層8”とが設けられている。フットパターン5,7”の形成に必要とされるエッチング技術屋やクリーム半田の印刷に関わるマスキングの技術それ自体に関しては既に公知であるので、ここでは特に説明しない。
【0024】
電子部品実装用基板9上の半田印刷領域の形状および寸法は、全て、実装対象となる電子部品1が有する電極のうち最小となる電極、つまり、図6の電子部品1の例で言えば信号電極2に適合するように決められており、フットパターン7”上の半田印刷領域に印刷されたクリーム半田からなる半田層8”の形状および寸法と、電子部品1の信号電極2の大きさに適合したフットパターン5上の半田印刷領域に印刷されたクリーム半田からなる半田層6の形状および寸法は完全に等しい。言い方を変えれば、図1中に示される41区画の半田印刷領域の形状および寸法を全て均一とした結果、半田層6の形状および寸法と半田層8”の形状および寸法とが一致していると言ってもよい。
【0025】
フットパターン7”それ自体は電子部品1の放熱電極3に適合した大きさであるが、このフットパターン7”上に定義される17区画の半田印刷領域の形状および寸法は、フットパターン7”それ自体の大きさとは関わりなく、電子部品1の信号電極2の大きさに適合したフットパターン5の寸法および形状と同等、更に言えば、電子部品1の信号電極2の大きさと同等である。要するに、フットパターン7”上に位置する17箇所の半田層8”と重合するフットパターン7”の部分が、電子部品1の放熱電極3に対応した半田印刷領域ということになる。
【0026】
電子部品1において最小の大きさとなる信号電極2以外の他の電極つまり電子部品1の放熱電極3に接するフットパターン7”上に位置する半田印刷領域の数は此の実施形態にあっては17区画に及び、これらの半田印刷領域は、各々、放熱電極3の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて分散してフットパターン7”上に設けられており、その各々にクリーム半田が印刷されて半田層8”が形成されている。
【0027】
また、この実施形態においては、図1に示されるように、電子部品1の放熱電極3に接するフットパターン7”上の位置に印刷された同形同寸法の17区画の半田印刷領域の重心を合成した位置が、実装対象となる電子部品1の重心位置Gに完全に一致している。
【0028】
図2は、リフロー槽内に電子部品実装用基板9を置いて半田印刷領域の半田層6,8”を融解させ、半田層6,8”の位置に電子部品1の信号電極2,放熱電極3の位置を合わせて電子部品1を載置するときの状況について示した作用原理図である。
【0029】
信号電極2の大きさに適合したフットパターン5上に印刷された半田層6と放熱電極3に適合した大面積のフットパターン7”上に印刷された半田層8”は寸法および形状さらには面積において完全に同一であるから、フットパターン7”上の各半田印刷領域のクリーム半田の体積と各フットパターン5上のクリーム半田の体積は同一である。
【0030】
クリーム半田の特性は均質でありフットパターン5,7”に対する濡れ性やクリーム半田の表面張力は共通であるから、これらの結果として、フットパターン5上で融解した半田層6の山の高さLaと、フットパターン7”上で融解した半田層8”の山の高さLb”は図2に示される通りに等しくなる。
【0031】
よって、この状態で電子部品実装用基板9に対する平行状態を維持して電子部品1を電子部品実装用基板9に接近させていけば、電子部品1の信号電極2がフットパターン5上の半田層6に接触するのと全く同じタイミングで電子部品1の放熱電極3がフットパターン7”上の半田層8”に接触することになり、しかも、フットパターン7”上の位置に印刷された同形同寸法の17区画の半田印刷領域の重心を合成した位置つまりフットパターン7”上の17箇所の半田層8”の重心を合成した位置が実装対象となる電子部品1の重心位置Gに完全に一致しているので、信号電極2と半田層6との接触および放熱電極3と半田層8”との接触によって電子部品1が単位面積あたりに受ける反力はどの箇所でも均一となり、電子部品実装用基板9に対する電子部品1の平行度が其のまま保証される。
【0032】
従って、電子部品実装用基板9に対する電子部品1の姿勢に傾きが生じることはなく、図3に示されるように、電子部品実装用基板9に対する電子部品1の平行度が保持されたまま、電子部品1の放熱電極3が半田層8”を介して確実にフットパターン7”に接続され、また、電子部品1の信号電極2も半田層6を介して確実にフットパターン5に接続されることになる。
【0033】
また、電子部品1の姿勢に傾きが生じないので電子部品1に不用意な横滑りが生じることもなく、電子部品実装用基板9上における電子部品1の位置決め精度も保証される。
【0034】
更に、フットパターン7”上に位置する17区画の半田印刷領域は放熱電極3の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて分散してフットパターン7”上に設けられ、隣接する半田層8”と半田層8”との間には、電子部品1の放熱電極3が半田層8”に接触し半田層8”の圧延が進んで電子部品1の取り付けが完了するまでの間に亘って一定の間隙が維持されることになるので、この間隙がガスベントとして機能する。従って、この間隙から半田付けの際に生じるガスを逃がして半田付け部のボイドの発生を抑制することができる。
【0035】
電子部品実装用基板9のフットパターン5,7”上に形成する半田印刷領域の形状に関しては、図1に示されるような矩形状のものに限らず、例えば、図4に示されるように両端部に丸みを付けた小判型の形状であってもよいし、形状および寸法さえ統一されていれば更に別の形状であっても構わない。
また、電子部品実装用基板9のフットパターン7”上に形成する半田印刷領域の配置は、図1あるいは図4に示されるように、フットパターン5上に形成される半田印刷領域に対して必ずしも平行もしくは直交の状態とする必要はなく、形状および寸法さえ統一されていれば、例えば、図5に示されるように、フットパターン5上に形成される半田印刷領域に対して任意の角度で斜交していても構わない。
【0036】
何れの場合も、半田印刷領域の形状や寸法は一つのものに統一されているので、電子部品実装用基板9にクリーム半田を印刷する際に必要とされるマスキングデータ等の作成に際しては、1つの半田印刷領域の形状や寸法を設計し、そのデータを例えばCADシステムのシンボル登録機能等を利用して使いまわせばよいので、電極毎に半田印刷領域の形状や寸法を設計する場合と比べ、設計作業の所要時間やデータ作成時間を短縮することが可能である。
【0037】
以上の例では、放熱電極3と信号電極2といった大小2種の電極を備えた電子部品1を実装対象として説明したが、面積の異なる3種以上の電極を備えた電子部品の場合にあっては、そのうちで最も面積の小さな電極に適合させて半田印刷領域の形状および寸法を決め、他の電極に関しては、その面積の大きさに応じて前記と同一形状同一寸法の半田印刷領域を幾つか設定し、その各々に対してクリーム半田を印刷すればよい。
【0038】
何種類かの電子部品を実装する場合においては、各電子部品によって最も面積の小さな電極の大きさに相違がしょうじる場合があるので、電子部品毎の半田印刷領域の形状および寸法は共通となるが、別の電子部品と比較すると半田印刷領域の形状および寸法が相違するといった場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明における電子部品の半田付け方法および電子部品実装用基板は、平坦な底面に大小の電極を有する電子部品の半田付けに際して問題となる電子部品の姿勢の傾き、姿勢の傾きに伴う電極の接触不良や位置ずれの防止のために、平坦な底面に大小の電極を有する電子部品を実装の対象とする電子部品実装用基板一般に対して適用が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 電子部品
2 信号電極
3 放熱電極
4 電子部品実装用基板
5 信号電極に適合したフットパターン
6 信号電極に適合した半田層
7 放熱電極に適合した大面積のフットパターン
7’ 放熱電極に適合した大面積のフットパターン
7” 放熱電極に適合した大面積のフットパターン
8 放熱電極に適合した大面積の半田層
8’ 分割構造の半田層
8” 信号電極に適合する半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域に印刷された半田層
9 電子部品実装用基板
La,Lb,Lb’,Lb” 半田層の山の高さ
G 電子部品の重心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフロー槽内で電子部品実装用基板上の半田層を融解させた状態で、電子部品を電子部品実装用基板上に載置することによって電子部品を電子部品実装用基板上に取り付けるようにした電子部品の半田付け方法であって、
実装対象となる電子部品が有する電極のうち最小となる電極に適合させて各電子部品毎に半田印刷領域の形状および寸法を決め、
前記最小となる電極に接する電子部品実装用基板上の位置に前記半田印刷領域を設けると共に、
前記最小となる電極以外の他の電極に接する電子部品実装用基板上の位置には、前記最小となる電極に適合する半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域を、前記他の電極の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて複数個分散して設け、
これらの半田印刷領域にクリーム半田を印刷して半田層を形成し、
リフロー槽内で前記半田層を融解させて、前記電子部品を前記電子部品実装用基板上に載置することによって前記各電子部品を前記電子部品実装用基板上に取り付けるようにしたことを特徴とする電子部品の半田付け方法。
【請求項2】
前記半田印刷領域の形状および寸法を、実装対象となる電子部品の信号電極に適合して決めると共に、
この電子部品の放熱電極に接する電子部品実装用基板上の位置には、前記電子部品の信号電極に適合させた半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域を、前記放熱電極の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて複数個分散して設けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子部品の半田付け方法。
【請求項3】
前記放熱電極に接する前記電子部品実装用基板上の位置に設けられた半田印刷領域の重心を合成した位置が、実装対象となる電子部品の重心位置と一致するように前記同形同寸法の半田印刷領域を設けたことを特徴とする請求項2記載の電子部品の半田付け方法。
【請求項4】
電子部品を実装する電子部品実装用基板上にクリーム半田を印刷して半田層を形成した電子部品実装用基板であって、
実装対象となる電子部品が有する電極のうち最小となる電極に適合させて各電子部品毎に半田印刷領域の形状および寸法が決められ、
前記最小となる電極に接する電子部品実装用基板上の位置に前記半田印刷領域が設けられると共に、
前記最小となる電極以外の他の電極に接する前記電子部品実装用基板上の位置には、前記最小となる電極に適合する半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域が、前記他の電極の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて複数個分散して設けられ、これらの半田印刷領域にクリーム半田が印刷されていることを特徴とする電子部品実装用基板。
【請求項5】
前記半田印刷領域の形状および寸法が、実装対象となる電子部品の信号電極に適合して決められると共に、
この電子部品の放熱電極に接する電子部品実装用基板上の位置には、前記電子部品の信号電極に適合する半田印刷領域と同形同寸法の半田印刷領域が、前記放熱電極の形状および寸法の範囲内で間隔を空けて複数個分散して設けられていることを特徴とする請求項4記載の電子部品実装用基板。
【請求項6】
前記放熱電極に接する前記電子部品実装用基板上の位置に印刷された同形同寸法の半田印刷領域の重心を合成した位置が、実装対象となる電子部品の重心位置に一致していることを特徴とする請求項5記載の電子部品実装用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−283039(P2010−283039A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133450(P2009−133450)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】