説明

電子部品及びその製造方法

【課題】製造が容易な電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、筐体20と、電子部品本体10とを備えている。筐体20は、底壁部21aと、額縁部21bと、支持部21c1とを有する。額縁部21bは、底壁部21aの周囲に設けられている。額縁部21bは、底壁部21aから突出している。支持部21c1は、底壁部21aの上に突出して設けられている。電子部品本体10は、支持部21c1によって支持されている。底壁部21aは、少なくとも一つの角部21a1を有する。支持部21c1は、角部21a1において、額縁部21bからの距離が角部21a1の先端側に向かって単調減少するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電装置や、弾性波装置など、筐体と、筐体に支持されている電子部品本体とを備える電子部品が種々知られている。例えば、下記の特許文献1には、図7に示す圧電装置100が開示されている。
【0003】
圧電装置100は、筐体110と、水晶振動子120とを備えている。筐体110は、筐体本体111と、蓋112とを有する。筐体本体111は、矩形状の底壁部111aと、底壁部111aの周囲に設けられており、底壁部111aから突出している額縁部111bとを有する。また、底壁部111aの角部の上には、支持部111cが形成されている。この支持部111cによって水晶振動子120が支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−57087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筐体本体111の作製方法としては、例えば、底壁部111aの支持部111cを形成しようとする部分を除いた部分の上に、レジストを塗布し、硬化させることにより、レジストマスクを形成し、そのレジストマスクを用いて支持部111cを形成する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、支持部111cの形成後にレジストマスクを剥離するリフトオフ工程において、レジストマスクが損傷し、レジストマスクの一部が筐体本体111側に残存してしまう恐れがあり、筐体本体111を容易に作製できないという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造が容易な電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子部品は、筐体と、電子部品本体とを備えている。筐体は、底壁部と、額縁部と、支持部とを有する。額縁部は、底壁部の周囲に設けられている。額縁部は、底壁部から突出している。支持部は、底壁部の上に突出して設けられている。電子部品本体は、支持部によって支持されている。底壁部は、少なくとも一つの角部を有する。支持部は、角部において、額縁部からの距離が角部の先端側に向かって単調減少するように形成されている。
【0008】
本発明に係る電子部品のある特定の局面では、支持部は、底壁部の角部に向かって延び、底壁部の角部よりも角度が小さい角部を有する。
【0009】
本発明に係る電子部品の製造方法は、上記本発明に係る電子部品を製造するための方法に関する。本発明に係る電子部品の製造方法は、基板の上にレジストを塗布し、硬化させることにより、基板の表面の一部分を覆うレジストマスクを形成する工程と、レジストマスクを用いて基板の上に、額縁部及び支持部を形成する形成工程と、形成工程の後に、レジストマスクを剥離する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子部品において、支持部は、角部において、額縁部からの距離が角部の先端側に向かって単調減少するように形成されている。このため、本発明に係る電子部品は、レジストマスクを用いて容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施した一実施形態に係る電子部品の略図的平面図である。
【図2】図1の線II−IIにおける略図的断面図である。
【図3】図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【図4】本発明を実施した一実施形態における筐体本体の作製工程を説明するための略図的断面図である。
【図5】本発明を実施した一実施形態における筐体本体の作製工程を説明するための略図的断面図である。
【図6】本発明を実施した一実施形態における筐体本体の作製工程を説明するための略図的断面図である。
【図7】特許文献1に記載の圧電装置の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図1に記載の電子部品1を例に挙げて説明する。但し、電子部品1及びその製造方法は単なる一例である。本発明は、以下の電子部品1及びその製造方法に何ら限定されない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電子部品の略図的平面図である。図2は、図1の線II−IIにおける略図的断面図である。図3は、図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【0014】
図1〜図3に示すように、電子部品1は、電子部品本体10と、筐体20とを備えている。電子部品本体10は、筐体20の内部空間20aにおいて、筐体20に支持されている。電子部品本体10は、電子部品1の機能を発現する機能発現部を構成している。例えば、電子部品1が圧電装置である場合は、電子部品本体10は、圧電機能を具備している。この場合、例えば、電子部品本体10は、例えば、圧電体と圧電体に電圧を印加するための一対の電極とを有するものとすることができる。例えば、電子部品本体10は、互いに対向する一対の主面を有する平面視長方形状の圧電体と、その圧電体の各主面の上に形成されている駆動電極とを備える圧電振動子により構成することができる。
【0015】
筐体20は、筐体本体21と、蓋22とを有する。この蓋22により筐体本体21に形成されている凹部が密閉され、内部空間20aが区画形成されている。蓋22の材質は特に限定されない。蓋22は、例えば、金属、合金、セラミックス、樹脂などにより形成することができる。
【0016】
筐体本体21は、平板状の底壁部21aと、額縁部21bと、支持部21cとを有する。底壁部21aは、少なくとも一つの角部を有する。本実施形態では、底壁部21aは、図1及び図3に示すように、4つの角部21a1〜21a4を有する矩形状に形成されている。なお、4つの角部21a1〜21a4のそれぞれは、R面取り状に形成されている。
【0017】
額縁部21bは、底壁部21aの周囲に、底壁部21aを包囲するように設けられている。額縁部21bは、底壁部21aから、底壁部21aの法線方向に突出している。額縁部21bの平面視における中央部には、開口部が形成されている。その開口部は、底壁部21aの4つの角部のそれぞれに対応した角部を有する長方形状に形成されている。なお、本実施形態では、開口部の各角部は、R面取り状に形成されている。この額縁部21bの先端部に蓋22が接合されている。なお、額縁部21bと蓋22との接合は、例えば、接着剤や半田などを用いて行ってもよいし、レーザーなどによる溶接によって行ってもよい。
【0018】
支持部21cは、底壁部21aの上に、底壁部21aから突出するように設けられている。具体的には、支持部21cとして、第1の角部21a1に設けられている第1の支持部21c1と、第2の角部21a2に設けられている第2の支持部21c2とが形成されている。第1の支持部21c1と第2の支持部21c2とは、底壁部21aの短辺の延びる方向に沿って配列されている。これら第1及び第2の支持部21c1,21c2によって電子部品本体10が支持されている。ここで、第1及び第2の支持部21c1,21c2間の距離、及び、支持部21c1,21c2と額縁部21との間の距離とは、R面取り状に形成された角部21a2,21a4がR面取りされていないとした場合の角部21a2の先端と、角部21a4の先端とを結ぶ直線に対して垂直な方向における距離である。電子部品本体10の支持態様は特に限定されない。電子部品本体10は、例えば、接着剤や半田などを用いて第1及び第2の支持部21c1,21c2に接合されることにより支持されていてもよい。
【0019】
なお、底壁部21a、額縁部21b及び支持部21cは、一体に形成されていてもよいし、別体に形成されていてもよい。本実施形態では、底壁部21a、額縁部21b及び支持部21cが別体に形成されている例について説明する。具体的には、本実施形態では、底壁部21aが金属板により構成されており、支持部21c及び額縁部21bがめっき膜により構成されている。もっとも、底壁部21a、額縁部21b及び支持部21cのそれぞれの材質は、特に限定されない。底壁部21a、額縁部21b及び支持部21cのそれぞれは、金属や合金により形成されていてもよいし、セラミックス、樹脂などにより形成されていてもよい。
【0020】
本実施形態において、第1及び第2の支持部21c1,21c2のそれぞれは、額縁部21bからの距離が第1または第2の角部21a1,21a2の先端側に向かって単調減少するように形成されている。具体的には、第1及び第2の支持部21c1,21c2のそれぞれは、多角形状、より詳細には、四辺形状に形成されている。そして、第1及び第2の支持部21c1,21c2の角部23a、23bは、第1または第2の角部21a1,21a2に向かって延びており、かつ、角部23a、23bの角度は、第1または第2の角部21a1,21a2の角度よりも小さい。このため、第1の支持部21c1の側壁24a1と額縁部21bの内壁21b1との距離が、第1の角部21a1の先端側に向かって狭くなっている。第1の支持部21c1の側壁24a2と額縁部21bの内壁21b2との距離が、第1の角部21a1の先端側に向かって狭くなっている。第2の支持部21c2の側壁24b1と額縁部21bの内壁21b3との距離が、第2の角部21a2の先端側に向かって狭くなっている。第2の支持部21c2の側壁24b2と額縁部21bの内壁21b2との距離が、第2の角部21a2の先端側に向かって狭くなっている。つまり、支持部の側壁と額縁部の内壁との距離が、額縁部の角部に近づくにつれて単調減少して、額縁部の角部で最小値をとっている。
【0021】
次に、本実施形態の電子部品1の製造方法について、図4〜図6を主として参照しながら説明する。
【0022】
まず、基板30(図4を参照)を用意する。この基板30は、底壁部21aを構成するための基板である。次に、基板30の上に、基板30の表面の一部分を覆うレジストマスク31(図5を参照)形成する。具体的には、まず、図4に示すように、基板30の上に、レジスト32を塗布する。その後、レジスト32を露光し、現像することにより、基板30の表面の、額縁部21b及び支持部21cを形成しようとする部分を除いた部分を覆うレジストマスク31を形成する。
【0023】
次に、図6に示すように、レジストマスク31を用いて、レジストマスク31の上から基板30の上に、額縁部21b及び支持部21cを形成するための層33を形成する。層33の形成方法は特に限定されない。本実施形態のように、額縁部21b及び支持部21cが金属製である場合は、例えば、めっきにより層33を形成することができる。
【0024】
次に、レジストマスク31を剥離することにより、基板30と層33とからなる筐体本体21を作製する。その後、筐体本体21に電子部品本体10を接合する。最後に、蓋22を取り付けることにより電子部品1を完成させることができる。
【0025】
ところで、特許文献1に記載の圧電装置100のように、支持部111cと額縁部111bとの互いに対向する側壁が平行である場合は、レジストマスクを用いて支持部111cを形成した後に、レジストマスクを剥離しようとすると、額縁部111bと支持部111cとの間にレジストマスクが引っかかり、レジストマスクの残留物が筐体本体に残存してしまう不良が発生しやすい。
【0026】
それに対して本実施形態では、第1及び第2の支持部21c1,21c2のそれぞれは、額縁部21bからの距離が第1または第2の角部21a1,21a2の先端側に向かって単調減少するように形成されている。このため、レジストマスク31を剥離する際に、レジストマスク31が額縁部21bと支持部21cとの間に引っかかって残留しにくい。詳細には、角部21a3,21a4の間の短辺側から、他方の短辺側へとレジストマスク31を剥離する場合、支持部21cと額縁部21bとの間の距離が単調減少するため、レジストマスク31の剥離が進むにつれて、レジストマスク31に加わる応力が徐々に小さくなる。また、レジストマスク31の幅が最も狭く、最も脆弱な部分は、剥離方向における終端部である額縁部21bの角部に位置している。このため、レジストマスク31を剥離している最中にレジストマスク31が破断し、額縁部21bや底壁部21aにレジストマスク31が残存ずることを抑制することができる。従って、レジストマスク31の残留物が生じるという不良が発生しにくく、電子部品1を容易に製造することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、支持部が四辺形状に形成されている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。支持部は、例えば、平面視において、多角形状や三角形状であってもよい。支持部が角部を有する形状に形成されている場合、支持部の角部は面取り状またはR面取り状に形成されていてもよい。
【0028】
また、支持部の形成方法は、めっきに限定されず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などの薄膜形成法により支持部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…電子部品
10…電子部品本体
20…筐体
20a…内部空間
21…筐体本体
21a…底壁部
21a1〜21a4…角部
21b…額縁部
21b1〜21b3…内壁
21c…支持部
21c1…第1の支持部
21c2…第2の支持部
22…蓋
23a、23b…角部
24a1,24a2,24b1,24b2…側壁
30…基板
31…レジストマスク
32…レジスト
33…層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、前記底壁部の周囲に設けられており、前記底壁部から突出する額縁部と、前記底壁部の上に突出して設けられている支持部とを有する筐体と、
前記支持部によって支持されている電子部品本体と、
を備え、
前記底壁部は、少なくとも一つの角部を有し、
前記支持部は、前記角部において、前記額縁部からの距離が前記角部の先端側に向かって単調減少するように形成されている、電子部品。
【請求項2】
前記支持部は、前記底壁部の角部に向かって延び、前記底壁部の角部よりも角度が小さい角部を有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品の製造方法であって、
基板の上にレジストを塗布し、硬化させることにより、前記基板の表面の一部分を覆うレジストマスクを形成する工程と、
前記レジストマスクを用いて前記基板の上に、前記額縁部及び前記支持部を形成する形成工程と、
前記形成工程の後に、前記レジストマスクを剥離する工程と、
を備える、電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−64740(P2012−64740A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207573(P2010−207573)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】