説明

電子部品搬送装置および実装機

【課題】床面の平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態においてウエハ収納装置と部品供給装置との相対的な位置関係が平行からずれてしまうことを抑制することが可能な実装機を提供する。
【解決手段】この実装機は、実装機本体100にガイドレール14および15が設けられており、ウエハ収納装置200にガイドコロ205および206が設けられており、実装機本体100とウエハ収納装置200とが連結された状態で、ガイドコロ205および206がガイドレール14および15に乗り上げることによって、ウエハ収納装置200の実装機本体100側の床面に対する支持部分が床面から離間するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品搬送装置および実装機に関し、特に、床面に対して移動可能なウエハ収納装置と、床面に設置されるとともにウエハ収納装置を連結可能な部品供給装置とを備える電子部品搬送装置および実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルを収納し、床面に対して移動可能な搬送台車と、床面に設置されるとともに搬送台車を連結可能な液晶パネル製造装置とを備える搬送移載装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、搬送台車を液晶パネル製造装置に連結するための構造が開示されている。上記特許文献1の液晶パネル製造装置には、連結時に搬送台車の移動をガイドする一対のガイドレールと、一対のブッシュ穴とが設けられている。搬送台車には、一対のガイドレールに対応する位置に一対のガイドブロックが設けられているとともに、一対のブッシュ穴に対応する位置に一対の位置決めピンが設けられている。
【0004】
上記特許文献1において、搬送台車と液晶パネル製造装置とを連結する際の動作としては、搬送台車を液晶パネル製造装置に向かって移動させていく際に、搬送台車の一対のガイドブロックが液晶パネル製造装置の一対のガイドレールに沿ってガイドされる。そして、さらに搬送台車を移動させると、搬送台車の一対の位置決めピンが液晶パネル製造装置の一対のブッシュ穴に挿入されて、連結が完了する。連結状態における搬送台車と液晶パネル製造装置との位置関係は、ブッシュ穴および位置決めピンによって定められるように構成されている。ここで、上記特許文献1では、床面の平坦度合いが良好でない場合にもブッシュ穴に位置決めピンが挿入されるように、ブッシュ穴の大きさは位置決めピンに対して余裕(遊び)を持たせていると考えられる。
【0005】
また、従来、床面に対して移動可能なウエハ収納装置と、床面に設置されるとともにウエハ収納装置を連結可能な部品供給装置とを備える電子部品搬送装置が知られている。このような電子部品搬送装置では、ウエハ収納装置が部品供給装置に連結された状態で、ウエハ収納装置から部品供給装置にウエハが移送される。そして、部品供給装置内においてウエハが所定の姿勢で保持された状態で、ウエハを構成する電子部品が基板に電子部品を実装するための実装機構に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−176021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、搬送台車と液晶パネル製造装置との位置関係を定めるブッシュ穴の大きさに位置決めピンに対する余裕(遊び)を持たせているため、床面の平坦度合いが良好でない場合には、連結状態において搬送台車と液晶パネル製造装置との相対的な位置関係が平行からずれてしまう場合があるという不都合がある。また、上記特許文献1の装置間の連結に関する構成を上記したウエハ収納装置と部品供給装置とを備える従来の電子部品搬送装置に適用した場合にも、同様の不都合が生じる。すなわち、床面の平坦度合いが良好でない場合には、ウエハ収納装置と部品供給装置との相対的な位置関係が平行からずれてしまい、ウエハ収納装置から部品供給装置側にウエハを移送する際に、部品供給装置に対してウエハが傾いた状態で移送されてしまう。このため、移送中に部品供給装置とウエハとが干渉したり、部品供給装置においてウエハが適正な姿勢で保持されなくなったりする場合があるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、床面の平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態においてウエハ収納装置と部品供給装置との相対的な位置関係が平行からずれてしまうことを抑制することが可能な電子部品搬送装置および実装機を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電子部品搬送装置は、電子部品を含むウエハを収納し、床面に対して移動可能なウエハ収納装置と、基板に電子部品を実装する実装機構に電子部品を供給するために設けられ、床面に設置されるとともにウエハ収納装置を連結可能な部品供給装置とを備える電子部品搬送装置であって、部品供給装置およびウエハ収納装置の一方に、ガイドレールが設けられており、部品供給装置およびウエハ収納装置の他方に、ウエハ収納装置を部品供給装置に連結または分離する際にガイドレールに沿ってウエハ収納装置を移動させるためのガイド部材が設けられており、部品供給装置とウエハ収納装置とが連結された状態で、ウエハ収納装置に設けられたガイドレールまたはガイド部材の一方が部品供給装置に設けられたガイドレールまたはガイド部材の他方に乗り上げることによって、ウエハ収納装置の部品供給装置側の床面に対する支持部分が床面から離間するように構成されている。
【0010】
この第1の局面による電子部品搬送装置では、上記のように、部品供給装置とウエハ収納装置とが連結された状態で、ウエハ収納装置に設けられたガイドレールまたはガイド部材の一方が部品供給装置に設けられたガイドレールまたはガイド部材の他方に乗り上げることによって、ウエハ収納装置の部品供給装置側の床面に対する支持部分が床面から離間するように構成することにより、ガイドレールおよびガイド部材により、連結状態におけるウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係を床面の平坦度合いに依存することなく決めることができる。これにより、ガイドレールおよびガイド部材の位置を適切に設定することにより、床面の平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態におけるウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係が平行からずれることを抑制することができる。このため、ウエハ収納装置から部品供給装置側にウエハを移送する際に、部品供給装置に対してウエハが傾いた状態で移送されてしまうのを抑制することができる。その結果、移送中に部品供給装置とウエハとが干渉したり、部品供給装置においてウエハが適正な姿勢で保持されなくなったりするのを抑制することができる。また、ガイドレールおよびガイド部材をそれぞれ複数設けた場合には、ウエハ収納装置を部品供給装置に対して2点以上で支持させることができるので、より精度良くウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係(特に、正面から見た場合のウエハ収納装置の左右の傾き)が平行からずれることを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による電子部品搬送装置において、好ましくは、支持部分は、転動可能に床面に対してウエハ収納装置を支持するキャスターを含み、ガイドレールは部品供給装置に設けられており、ガイド部材は、ウエハ収納装置に設けられており、部品供給装置とウエハ収納装置とが連結された状態で、ガイドレールの上面にガイド部材が乗り上げることによって、ウエハ収納装置の部品供給装置側のキャスターが床面から離間するように構成されている。このように構成すれば、固定的に設置され、比較的大きいサイズの部品供給装置に比較的大きいスペースを要するガイドレールを設け、移動する比較的小さいウエハ収納装置に比較的小さいスペースを要するガイド部材を設けるので、ウエハ収納装置にガイドレールを設ける場合と異なり、ウエハ収納装置が大きくなるのを抑制することができる。また、ウエハ収納装置のキャスターが床面から離間するように構成することによって、キャスターの接触する床面の平坦度合いが良好でない場合にも、容易に部品供給装置とウエハ収納装置との相対的な位置関係を平行に保つことができる。
【0012】
上記第1の局面による電子部品搬送装置において、好ましくは、ガイド部材は、ガイドレールとの接触面において転動する転動体を含む。このように構成すれば、ガイドレールとガイド部材との間の接触抵抗を小さくすることができるので、部品供給装置とウエハ収納装置とを連結または分離する際に、ガイドレールとガイド部材とを接触させながらウエハ収納装置を円滑に移動させることができる。
【0013】
上記第1の局面による電子部品搬送装置において、好ましくは、ウエハ収納装置の部品供給装置と反対側の部分には、部品供給装置とウエハ収納装置とが連結された状態で床面に対してウエハ収納装置を支持することが可能な支持機構が設けられており、支持機構は、ウエハ収納装置の部品供給装置と反対側の部分の高さ位置を調整することが可能に構成されている。このように構成すれば、ウエハ収納装置と部品供給装置とが連結された状態で、支持機構によりウエハ収納装置の部品供給装置と反対側の部分の高さ位置を調整することができる。これにより、連結状態におけるウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係(特に、前後方向の傾き)を床面の平坦度合いに依存することなく決めることができる。これにより、床面の平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態におけるウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係が平行からずれることをさらに抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による電子部品搬送装置において、好ましくは、部品供給装置およびウエハ収納装置の少なくとも一方には、ウエハ収納装置を部品供給装置に連結させるためにウエハ収納装置が部品供給装置側に向かう連結方向に移動する際に、ウエハ収納装置の部品供給装置側の部分が床面から離間した状態で、ウエハ収納装置の連結方向への移動を規制するストッパが設けられている。このように構成すれば、ユーザはウエハ収納装置をストッパにより停止されて動かなくなるまで連結方向に移動するだけで、ウエハ収納装置の部品供給装置側の部分を床面から離間させながら、部品供給装置とウエハ収納装置とを連結することができる。このストッパの位置を適切に設定することにより、連結状態におけるウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的なずれが生じるのを抑制することができる。また、ストッパを複数設けた場合には、ウエハ収納装置の部品供給装置に対する移動を2点以上で規制することができるので、より精度良くウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係(特に、上から見た場合の平面的な回転方向のずれ)が平行からずれることを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による電子部品搬送装置において、好ましくは、部品供給装置は、基台を含み、基台には、ウエハ収納装置が連結された状態でウエハ収納装置が嵌り込む、平面的に見て凹形状の連結部が設けられている。このように構成すれば、連結状態においてウエハ収納装置の少なくとも一部が部品供給装置に嵌りこむので、連結状態における電子部品搬送装置の全体の大きさを小型化することができる。また、連結状態における部品供給装置とウエハ収納装置との距離を小さくすることができるので、ウエハ収納装置から部品供給装置へのウエハの受け渡しを円滑に行うことができる。
【0016】
上記部品供給装置の基台に平面的に見て凹形状の連結部を設けた構成において、好ましくは、基台は、連結部の前方壁部を構成する第1部分と、連結部の両側の側方壁部を構成する第2部分とを含み、第2部分に部品供給装置の電装品が収納されている。このように構成すれば、ウエハ収納装置を嵌め込むための基台の第2部分のスペースを有効に利用して電装品を配置することができる。
【0017】
上記部品供給装置の基台に平面的に見て凹形状の連結部を設けた構成において、好ましくは、基台は、連結部の前方壁部を構成する第1部分と、連結部の両側の側方壁部を構成する第2部分とを含み、部品供給装置に設けられるガイドレールまたはガイド部材は、第2部分の側方壁部に固定されている。このように構成すれば、強固な部材である基台にガイドレールまたはガイド部材を設けるので、連結時にウエハ収納装置を支持するためのガイドレールまたはガイド部材の強度を大きくすることができる。
【0018】
この発明の第2の局面による実装機は、基板に電子部品を実装する実装機構と、実装機構に電子部品を供給するために設けられる、上記第1の局面による電子部品搬送装置とを備えている。
【0019】
この第2の局面による実装機では、上記第1の局面による電子部品搬送装置を設けることによって、床面の平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態におけるウエハ収納装置の部品供給装置に対する相対的な位置関係が平行からずれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による実装機(ウエハ収納装置を連結していない状態)の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態による実装機の全体構成(ウエハ収納装置を連結していない状態)を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による実装機(ウエハ収納装置が連結された状態)の全体構成を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態による実装機の全体構成(ウエハ収納装置が連結された状態)を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態による実装機の主な構成要素を概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による実装機の基台に設けられたガイドレールを示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の側部を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の支持機構を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による実装機の制御系を示すブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態による実装機の基台の内部を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の連結動作(連結前)を説明するための底面図である。
【図13】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の連結動作(連結前)を説明するための側面から見た部分断面図である。
【図14】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の連結動作(連結の途中)を説明するための側面から見た部分断面図である。
【図15】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の連結動作(連結後)を説明するための底面図である。
【図16】本発明の一実施形態による実装機のウエハ収納装置の連結動作(連結後)を説明するための側面から見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
以下、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による実装機の構造について説明する。なお、方向関係を明確にするために図中には適宜XYZ直角座標軸を示している。X軸方向は水平面と平行な方向であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向であり、Z軸方向はX軸、Y軸にそれぞれ直交する方向である。
【0023】
実装機は、ダイシングされたウエハWからベアチップを取り出してプリント基板P上に実装(装着)するとともに、部品供給装置300により供給されるパッケージ部品等をプリント基板P上に実装することが可能ないわゆる複合型の実装機である。図1〜図4に示すように、実装機は、床面Fに対して固定的に設置される実装機本体100と、床面Fに対して移動可能であるとともに、実装機本体100に連結可能なウエハ収納装置200とから構成されている。なお、実装機は、本発明の「電子部品搬送装置」の一例であり、実装機本体100は、本発明の「部品供給装置」の一例である。
【0024】
この実装機本体100は、図1〜図4に示すように、基台1と、所定の実装作業位置にプリント基板Pを搬入および搬出するためのコンベア2と、チップ部品を供給するためのチップ部品供給部3とを備えている。また、図1、図3および図5に示すように、実装機本体100は、プリント基板P上に部品(ベアチップまたはチップ部品)を実装するための実装部4と、ウエハ収納装置200から引き出されたウエハWを支持するウエハ保持テーブル5と、ウエハ保持テーブル5に支持されたウエハWからベアチップを取り出して実装部4に受け渡す取出装置6と、取出装置6によるベアチップの取出時にそのベアチップを下方から突き上げる突上げ装置7と、取出装置6によるベアチップの取出動作の前にそのベアチップを撮像する部品位置認識用の移動可能なカメラ8とを含む。なお、ベアチップは、本発明の「電子部品」の一例である。
【0025】
基台1は、たとえば金属製の強固な部材から構成されており、コンベア2、チップ部品供給部3、実装部4、ウエハ保持テーブル5などを支持している。基台1は複数の脚11により床面Fに対して固定的に設置されている。また、図1および図2に示すように、実装機本体100の基台1の手前側の中央部には、平面的に見て凹形状の連結部1aが設けられている。連結部1aにウエハ収納装置200を嵌め込んだ状態で、ウエハ収納装置200を実装機本体100に固定することが可能である。以下、連結時のウエハ収納装置200の移動方向(Y1方向)を連結方向と呼び、分離時のウエハ収納装置200の移動方向(Y2方向)を分離方向と呼ぶ。
【0026】
平面的に見て凹形状の連結部1aは、ウエハ収納装置200から見て正面に相対する前方壁部12と、ウエハ収納装置200の両側面にそれぞれ相対する一対の側方壁部13とを有している。第2部分1cは、平面的に見て、第1部分1bに対してウエハ収納装置200側(分離方向(Y2方向)側)に突出している。
【0027】
また、一対の側方壁部13には、それぞれ、ガイドレール14およびガイドレール15が設けられている。ガイドレール14および15は、実装機本体100にウエハ収納装置200が連結された状態で、ウエハ収納装置200の前側(実装機本体100側)の部分を支持するために設けられている。
【0028】
図1および図6に示すように、ガイドレール14は、側方壁部13から内側に突出するブロック状の部材である。ガイドレール14はY方向に延びるように形成されている。ガイドレール14は、手前側(分離方向(図6のY2方向)側)の部分の上面14aは、連結方向(図6のY1方向)に向かうに従って高くなる傾斜面になっている。ガイドレール14の後側(連結方向(Y1方向)側)の部分の上面14bは水平面となっている。また、ガイドレール14は、下面から下方に突出するストッパとしての突起部14cを含んでいる。また、ガイドレール14の手前側(Y2方向側)の側面には、ねじ穴14dが設けられている。同様に、ガイドレール15は、ガイドレール14と寸法や位置などが対応するように形成されており、傾斜面からなる上面15a、水平面からなる上面15b、突起部15cおよびねじ穴15dを有している。
【0029】
コンベア2は、プリント基板Pを搬送するX方向に延びるコンベア本体と、このコンベア本体上でプリント基板Pを持ち上げて位置決めする図示しない位置決め機構とを含む。コンベア2は、図1〜図4の右側から左側に向かってプリント基板Pをほぼ水平姿勢でX軸方向に搬送し、所定の実装作業位置にプリント基板Pを位置決め固定する。本実施形態では、コンベア2による搬送経路上であってX軸方向に所定間隔だけ離間する位置(図2および図4のプリント基板Pの位置)がそれぞれ実装作業位置とされる。なお、以下の説明では、実装作業位置のうちプリント基板Pの搬送方向上流側の位置を第1作業位置S1と呼び、下流側の位置を第2作業位置S2と呼ぶ。
【0030】
チップ部品供給部3は、実装機本体100の手前側の両端に設けられている。チップ部品供給部3は、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等のチップ部品を供給するために設けられている。チップ部品供給部3には、例えばテープフィーダ等の部品供給装置300がコンベア2に沿って並んで配置されている。各テープフィーダは、トランジスタ等のチップ部品を所定間隔で保持したテープが巻回されるリールと、リールを保持する保持部材と、リールからテープを引出しながらテープフィーダ先端の部品供給位置にチップ部品を送り出す部品送り機構等とを含む。テープフィーダはチップ部品供給部3に取り付けられた状態で、実装機本体100と連動してチップ部品の送り出し動作を行うように構成されている。すなわち、実装機本体100の実装部4により部品供給位置においてチップ部品をピックアップさせるとともに、このピックアップに伴い次のチップ部品を部品供給位置に繰り出すように構成されている。なお、チップ部品供給部3は、テープフィーダの代わりに、半導体パッケージ等の大型のパッケージ部品を載置したトレイ(図示せず)を設置することも可能である。この場合には、実装部4により当該トレイ上から直接パッケージ部品がピックアップされる。
【0031】
実装部4は、ベアチップまたはチップ部品をプリント基板P上に実装するものであり、コンベア2の上方位置においてそれぞれ水平方向(XY方向)に移動することが可能な2つのヘッドユニット(第1ヘッドユニット41、第2ヘッドユニット42という)と、これらを個別に駆動する駆動手段とを含む。なお、実装部4は、本発明の「実装機構」の一例である。
【0032】
第1ヘッドユニット41は、基台1上のうち主に第1作業位置S1を含む上流側の領域を可動領域としてこの領域内でのみ移動可能とされ、他方、第2ヘッドユニット42は、基台1上のうち主に第2作業位置S2を含む下流側の領域を可動領域としてこの領域内でのみ移動可能となっている。第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、X軸方向に並ぶ2つの部品実装用ヘッド41aおよび1つのカメラ41b(2つの部品実装用ヘッド42aおよび1つのカメラ42b)を備えている。
【0033】
第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、部品供給装置300(テープフィーダ)によって供給されるチップ部品をこれら部品実装用ヘッド41a(42a)により吸着してプリント基板P上に実装するとともに、取出装置6によりウエハWから取り出されるベアチップを部品実装用ヘッド41a(42a)により吸着してプリント基板P上に実装する。これにより、トランジスタ、コンデンサ等のチップ部品とベアチップ(ベアチップ)との双方がプリント基板P上に実装される。また、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、プリント基板Pへの部品の実装に先立ってカメラ41b(42b)によりプリント基板Pに付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を認識することにより、プリント基板Pの位置ずれが認識され、実装時に位置ずれ補正がされる。
【0034】
図1に示すように、第1ヘッドユニット41および42の駆動手段は、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42をそれぞれX軸方向に移動可能に支持する支持部材43および44と、実装機本体100の天井100aに設けられ、支持部材43および44を別個にY軸方向に移動可能に支持する固定レール45および46と、支持部材43および44に対して第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42をX軸方向に移動させるためのリニアモータからなる移動機構(図示せず)と、支持部材43および44をそれぞれ固定レール45および46に沿って別個にY軸方向に移動させるためのリニアモータからなる移動機構(図示せず)とを含む。
【0035】
また、図2および図4に示すように、基台1上であって第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42のそれぞれの可動領域内には、部品認識用の固定カメラ9aおよび9bが設置されている。固定カメラ9aおよび9bは、例えばCCDやCMOS等の撮像素子を備えるカメラである。固定カメラ9aおよび9bは、第1ヘッドユニット41の部品実装用ヘッド41aおよび第2ヘッドユニット42の部品実装用ヘッド42aにより吸着されている部品を下側から撮像して、その画像信号を後述する制御装置110に出力するものである。
【0036】
ウエハ収納装置200は、図7に示すように、ダイシングされた複数枚のウエハWを収容するものである。このウエハ収納装置200は、ウエハWが保持された略円環状のホルダWhを上下複数段に収容するラック201と、ラック201を昇降可能に保持する箱状の本体202と、本体202を支持する底板203と、底板203に取り付けられた4つのキャスター204とを含んでいる。本体202にはラック201を昇降駆動するモータなどの駆動手段が設けられている。ウエハ収納装置200は、ラック201の昇降によって、所望のウエハWをウエハ保持テーブル5に対して出し入れ可能な所定の出し入れ高さ位置に配置する。
【0037】
ウエハ収納装置200に収容されている各ウエハWは、それぞれベアチップがフェイスアップ状態(回路形成面(プリント基板Pに対する実装面)が上向きの状態)となるようにフィルム状のウエハシート上に貼り着けられており、このウエハシートを介してホルダWhにより保持されている。
【0038】
また、キャスター204は、ウエハ収納装置200の連結方向側の端部と分離方向側の端部とにそれぞれ一対取り付けられている。これにより、ウエハ収納装置200は床面Fに対して移動可能に4点で支持されている。
【0039】
また、本実施形態では、本体202の一方の側部の分離方向(Y2方向)側の端部の近傍には、ガイドレール14に対応する車輪状のガイドコロ205が設けられており、本体202の他方の側部の分離方向(Y2方向)側の端部の近傍には、ガイドレール15に対応する車輪状のガイドコロ206が設けられている。ガイドコロ205および206は、それぞれ、本体202の側部から外側に突出する固定ブロック207および208(図7参照)の側面にYZ平面で回転可能に取り付けられている。連結方向(Y1方向)にウエハ収納装置200を移動させた場合に、これらのガイドコロ205および206がそれぞれガイドレール14および15上に乗り上げるように構成されている。これにより、連結状態において、ウエハ収納装置200の連結方向(Y1方向)側の部分は一対のガイドレール14および15と一対のガイドコロ205および206とによって支持されるとともに、ウエハ収納装置200の連結方向(Y1方向)側の一対のキャスター204が床面Fから離間するように構成されている。なお、ガイドコロ205および206は、本発明の「ガイド部材」および「転動体」の一例である。
【0040】
また、ガイドコロ206は固定ブロック208に直接取り付けられている一方、図8に示すように、ガイドコロ205は固定ブロック207に対して上下方向(Z方向)に移動可能な可動ブロック209に取り付けられている。可動ブロック209は、固定ブロック207の上面およびX1方向側の側面を覆うようにL字形状に形成されている。可動ブロック209の側面には上下方向に延びる一対の長穴209aが形成されており、固定ブロック207のX1方向側の側面にはねじ穴(図示せず)が形成されている。これらの可動ブロック209の長穴209aと固定ブロック207のねじ穴(図示せず)とがねじ210により締結されている。可動ブロック209は長穴209aの長さ分だけ上下方向に移動可能である。このように、一対のガイドコロ205および206のうち、一方のガイドコロ205の高さ位置を調節することが可能に構成されている。
【0041】
また、図2、図7および図8に示すように、本体202の一方側の側部のガイドコロ205の手前側(分離方向(Y2方向)側)の位置には、外側に突出する平板状の当接部材211が設けられている。当接部材211の連結方向(Y1方向)側の端面からなる当接部211aは、平面的に見てX方向に延びる直線状(図2参照)となるように形成されている。ウエハ収納装置200が連結方向(Y1方向)に移動された場合に、ガイドコロ205がガイドレール14の上面14bに乗り上げた状態で、この当接部211aがガイドレール14の突起部14c(図6参照)に当接することにより、それ以上の連結方向(Y1方向)への移動が規制されるように構成されている。なお、ガイドレール14の突起部14cおよび当接部211aは、本発明の「ストッパ」の一例である。
【0042】
また、図8に示すように、当接部材211には、板部材212が固定されている。板部材212にはねじ挿入穴が形成されているとともに、そのねじ挿入穴にはねじ213が回転可能に取り付けられている。このねじ挿入穴およびねじ213は、連結時にガイドレール14のねじ穴14dに位置が合わさるように配置されている。
【0043】
また、図2および図7に示すように、本体202の他方側の側部のガイドコロ206の手前側(分離方向(Y2方向)側)の位置には、外側に突出する平板状の当接部材214が設けられている。当接部材214の連結方向(Y1方向)側の端面からなる当接部214aは、平面的に見て凹形状(切欠状)を有している。ウエハ収納装置200が連結方向(Y1方向)に移動された場合に、ガイドコロ206がガイドレール15の上面15bに乗り上げた状態で、この切欠状の当接部214aの奥部分がガイドレール15の突起部15cに当接することにより、それ以上の連結方向(Y1方向)への移動が規制されるように構成されている。なお、ガイドレール15の突起部15cおよび当接部214aは、本発明の「ストッパ」の一例である。
【0044】
なお、図2の線Eにより示すように、当接部214aの凹部の奥部分のY方向の位置は、当接部材211の当接部211aのY方向の位置と等しくなっている。また、ガイドレール14の突起部14cとガイドレール15の突起部15cとのY方向の位置も等しくなっている。これにより、ガイドレール14の突起部14cおよびガイドレール15の突起部15cにそれぞれ当接部211aおよび当接部214aが当接した状態で、ウエハ収納装置200の実装機本体100に対する平面的な回転方向のずれが規制される。
【0045】
また、当接部材214の切欠幅(図2に示すX方向の幅D)は、ガイドレール15の突起部15cの径と略等しい大きさである。これにより、連結状態において、ウエハ収納装置200が実装機本体100に対して横方向(X方向)に移動すること(ずれること)が抑制される。
【0046】
また、当接部材214には、板部材215が固定されている。板部材215にはねじ挿入穴が形成されているとともに、そのねじ挿入穴にはねじ216が回転可能に取り付けられている。このねじ挿入穴およびねじ216は、連結時にガイドレール15のねじ穴15dに位置が合わさるように配置されている。そして、連結時には、ねじ挿入穴が設けられた板部材212とガイドレール14のねじ穴14dとをねじ213により締結するとともに、ねじ挿入穴が設けられた板部材215とガイドレール15のねじ穴15dとをねじ216により締結することにより、連結状態でウエハ収納装置200と実装機本体100とを固定することが可能である。
【0047】
また、図7に示すように、ウエハ収納装置200の手前側(分離方向(Y2方向)側)には、キャスター204とは別に床面Fに対してウエハ収納装置200を支持することが可能な支持機構220が設けられている。支持機構220は、X方向の中央部に1つ設けられている。支持機構220は、連結状態(ガイドコロ205および206がガイドレール14および15に乗り上げることによりウエハ収納装置200の連結方向側のキャスター204が床面Fから離間した状態)において、ウエハ収納装置200の後側部分の高さ位置を調節可能に構成されている。
【0048】
具体的には、図7および図9に示すように、支持機構220は、床面Fに接地する接地部221aを含む第1脚部221と、第1脚部221と連結される第2脚部222と、第2脚部222をユーザが回転させるためのハンドル223と、本体202の底部202aに固定され、第2脚部222を支持するフレーム224とを含んでいる。
【0049】
第2脚部222は、フレーム224に挿入される上部222aと、フレーム224内に位置する胴部222bと、本体202の底部202aよりも下方に突出する下部222cとを一体的に含んでいる。上部222aはハンドル223に固定されており、ハンドル223の回転によって第2脚部222の全体が回転するように構成されている。また、第2脚部222の上部222aの外表面には雄ねじが形成されているとともに、フレーム224の上部224aには第2脚部222の上部222aの雄ねじに対応する雌ねじが形成されている。これにより、ユーザがハンドル223を回転させることによって第2脚部222全体がフレーム224に対して上下方向(Z方向)に昇降可能である。なお、第2脚部222が下降する向きにハンドル223を回転させていった場合に、第2脚部222の胴部222bの下面がフレーム224の底部224bの上面に当接することにより、ハンドル223(第2脚部222)がそれ以上回転しなくなるように構成されている。したがって、第2脚部222の最下位置はユーザが容易に再現可能である。
【0050】
また、第2脚部222の下部222cには雌ねじが形成されているとともに、第1脚部221の外表面には、第2脚部222の下部222cの雌ねじに対応する雄ねじが形成されている。これにより、ユーザが第1脚部221を回転させることによって、第1脚部221が第2脚部222の下部222cに対して上下方向に昇降可能である。また、第1脚部221の雄ねじにはナット225が螺合している。ナット225を第2脚部222側に締め付けることにより、第1脚部221が第2脚部222の下部222cに対して回転することが防止される。これにより、ナット225を緩めた状態で第1脚部221の第2脚部222の下部222cに対する突出長さを調節可能であるとともに、調節後にナット225を締め付けることにより、第1脚部221の突出長さを調節した長さに固定することが可能である。
【0051】
また、図7に示すように、第2脚部222の胴部222bの手前側には、胴部222bに向かって抜き差し可能なピン226が設けられている。ピン226はフレーム224の底部224bに固定されたピン支持部材227に取り付けられている。そして、第2脚部222の胴部222bにはピン挿入穴222dが設けられている。第2脚部222が最下位置に位置する状態で、胴部222bのピン挿入穴222dにピン226を挿入することにより、第2脚部222の回転(ハンドル223の回転)を防止することが可能である。また、ピン挿入穴222dからピン226を抜き出した状態で、ハンドル223を回転させることにより、第2脚部222を第1脚部221と共に上昇させることが可能である。
【0052】
また、図1および図2に示すように、ウエハ保持テーブル5は、ウエハWの出し入れ機構5aを備えている。この出し入れ機構5aは、ウエハ保持テーブル5に対して前後(Y方向)に移動可能に構成され、先端にホルダ把持機構5bを備えたアームである。出し入れ機構5aは、ウエハ保持テーブル5がウエハ受取位置(最も手前側(Y2方向側)の位置)に配置された状態で、出し入れ高さ位置に配置されたラック201内のウエハW(ホルダWh)をウエハ収納装置200からウエハ保持テーブル5上に引き出すとともに、ウエハ部品が取り出されて実装された後にウエハ保持テーブル5上のホルダWhをラック201内に収容する(戻す)ことが可能に構成されている。
【0053】
ウエハ保持テーブル5は、中央部に円形状の開口部を有しており、ウエハWを保持するホルダWhの開口部とウエハ保持テーブル5の開口部とが重なるようにホルダWhを保持可能である。これにより、ウエハ保持テーブル5にウエハW(ホルダWh)が保持された状態で、ウエハ保持テーブル5の下方から後述する突上げ装置7によりベアチップを突き上げることが可能である。
【0054】
ウエハ保持テーブル5は、部品取出作業位置(最も奥側(Y1方向側)の位置、図2参照)とウエハ受取位置との間で、基台1上をY方向に移動可能に構成されている。具体的には、ウエハ保持テーブル5は、基台1上にY軸方向に延びるように設けられた一対の固定レール51に移動可能に支持されており、所定の駆動手段によって固定レール51に沿って移動される。駆動手段は、固定レール51と平行に延びかつウエハ保持テーブル5のナット部分に螺合挿入されるボールねじ軸52と、ボールねじ軸52を回転駆動するための駆動モータ53とを含む。図1に示すように、ウエハ保持テーブル5は、コンベア2の下方位置を通って、所定の部品取出作業位置とウエハ収納装置200近傍のウエハ受取位置との間を移動する。
【0055】
突上げ装置7は、部品取出作業位置に配置されたウエハ保持テーブル5上のウエハWのうち、取出し対象となるベアチップをその下側から突き上げることにより、当該ベアチップをウエハシートから剥離させながら持ち上げるものである。
【0056】
この突上げ装置7は、図5に示すように、それぞれ突上げピン(図示せず)を内蔵する一対の小径の突上げロッド(第1突上げロッド71a、第2突上げロッド71bという)備えた突上げヘッド71と、これを基台1上においてX軸方向に移動可能に支持する固定レール72と、突上げヘッド71を固定レール72に沿って移動させるための駆動手段とを含む。この駆動手段は、固定レール72と平行に延びかつ突上げヘッド71に螺合挿入される図外のボールねじ軸とこれを回転駆動するための突上げヘッド駆動モータ(図示せず)とを含む。突上げ装置7をX方向に移動可能に構成することにより、Y方向にのみ移動可能なウエハ保持テーブル5上に支持されているウエハWに対し、突上げヘッド71が任意のベアチップを突き上げることが可能となっている。
【0057】
突上げヘッド71の第1突上げロッド71aおよび第2突上げロッド71bは、上下方向に延び、それぞれ図示しないアクチュエータ(エアシリンダ等)により個別に昇降駆動される。つまり、ウエハ保持テーブル5の開口部の内側にこれら第1突上げロッド71aまたは第2突上げロッド71bが配置された状態で、第1突上げロッド71aまたは第2突上げロッド71bがウエハシートの下側のほぼ接触する位置まで上昇駆動され、その後所望のベアチップのXY方向位置に位置付けられた後、第1突上げロッド71aまたは第2突上げロッド71bから突上げピンが駆動モータ(図示せず)により上昇駆動されることによりベアチップを突き上げる。なお、第1突上げロッド71aおよび第2突上げロッド71bは、突上げ対象の部品の大きさなどに応じて突上げピンの太さなどを変更することが可能である。たとえば、異なる突上げピンを第1突上げロッド71aおよび第2突上げロッド71bに装着させておくことにより、部品の大きさなどにより第1突上げロッド71aまたは第2突上げロッド71bを使い分けて使用することが可能である。
【0058】
第1突上げロッド71aおよび第2突上げロッド71bは、2段階の高さ位置に昇降駆動可能である。すなわち、ウエハ保持テーブル5を部品取出作業位置とウエハ収納装置200近傍のウエハ受取位置との間で移動させる際に、ウエハ保持テーブル5との干渉を避けるための最下位置と、ウエハ保持テーブル5が部品取出作業位置に位置する状態で、ホルダWhの開口部内側においてウエハWの下面近傍に位置する突上げ待機位置との間で昇降駆動可能であり、突上げピンは、待機位置にある第1突上げロッド71aまたは第2突上げロッド71bに内蔵される位置とウエハ保持テーブル5の上面よりも上方に位置する部品突上げ位置との間で昇降駆動可能である。
【0059】
取出装置6は、突上げ装置7により突き上げられたベアチップを吸着して第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42に受け渡すものである。
【0060】
この取出装置6は、所定の駆動手段により部品取出作業位置の上方位置において水平方向(XY方向)に移動される。この駆動手段は、以下のような構成を有する。
【0061】
すなわち、部品取出作業位置には、X軸方向に所定間隔を隔てて配置されかつY軸方向に互いに平行に延びる一対の高架の固定レール61と、両端をそれぞれ固定レール61上に移動可能に支持されX軸方向に延びるフレーム部材62と、固定レール61に近接する位置に配置されてY軸方向に延び、かつフレーム部材62両端のナット部材(図示省略)にそれぞれ螺合挿入される一対のボールねじ軸63と、ボールねじ軸63を回転駆動する一対のフレーム駆動モータ64とが設けられている。
【0062】
フレーム部材62には、その手前側に固定されてX軸方向に延びる第1レール(図示省略)と、後側に固定されてX軸方向に延びる第2レール(図示省略)とが設けられている。第1レールに取出装置6が移動可能に支持されており、第2レールにカメラ8がそれぞれ移動可能に支持されている。そして、フレーム部材62に、X軸方向に延びて取出装置6のナット部材(図示省略)に螺合挿入されるボールねじ軸(図示省略)と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータ65と、X軸方向に延びてカメラ8のナット部材(図示省略)に螺合挿入されるボールねじ軸(図示省略)と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータ66とが備えられている。すなわち、各フレーム駆動モータ64の作動によりフレーム部材62を固定レール61に沿って移動させ、このフレーム部材62の移動に伴い取出装置6およびカメラ8を一体的にY軸方向に移動させる。
【0063】
また、駆動モータ65の作動によりフレーム部材62のY方向手前側の位置で取出装置6をX軸方向に移動させるとともに、駆動モータ66の作動によりフレーム部材62のY方向の後側の位置でカメラ8をX軸方向に移動させる。これにより取出装置6およびカメラ8が部品取出作業位置の上方位置において水平方向(XY方向)にそれぞれ独立に移動可能となっている。
【0064】
取出装置6のXY方向における可動領域と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42のXY方向における可動領域とは一部重複している。これにより、後述するように取出装置6から第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42へのベアチップの受渡しが可能となっている。なお、図1に示すように、取出装置6、カメラ8および上記したこれらの駆動手段は、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42およびこれらの駆動手段よりも下方に位置している。従って、取出装置6等の可動領域と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42の各可動領域とは上記のように一部重複するが、取出装置6と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42とが互いに干渉することは無い。
【0065】
取出装置6は、一対のウエハヘッド(第1ウエハヘッド6a、第2ウエハヘッド6bと呼ぶ)を備えている。
【0066】
図5に示すように、第1ウエハヘッド6aおよび第2ウエハヘッド6bは、ドラム型のヘッドである。すなわち、第1ウエハヘッド6aおよび第2ウエハヘッド6bは、X軸方向と平行な軸線回りに回転が可能で、かつ上下方向への移動(昇降)が可能となるように、取出装置6のフレーム部材6cにそれぞれ昇降可能に支持されるブラケット部材6dと、ブラケット部材6dにX軸回りに回転可能に支持されるとともに、両ブラケット部材6dの内側に設けられる部品吸着用の一対のノズル6eとを有する。
【0067】
第1ウエハヘッド6aの一対のノズル6eは、上下真逆の位置に設けられており、一方側のノズル6eが真下に向くときに他方側のノズル6eが真上を向くように設けられている。両ブラケット部材6dの外側にそれぞれ設けられた駆動モータ6fが回転駆動されることにより、一対のノズル6eの位置が交互に入れ替わる。また、図示しない駆動モータの駆動により、ブラケット部材6dがフレーム部材6cに対し昇降し、ノズル6eを含む第1ウエハヘッド6a全体が昇降する。第2ウエハヘッド6bも同様の構成である。なお、第1ウエハヘッド6aおよび第2ウエハヘッド6bのノズル6e同士の間隔(X軸方向の間隔)は、第1ヘッドユニット41に搭載される部品実装用ヘッド41aの間隔および第2ヘッドユニット42に搭載される部品実装用ヘッド42aの間隔と同間隔とされている。これにより、2つのウエハヘッド(第1ウエハヘッド6aおよび第2ウエハヘッド6b)から第1ヘッドユニット41の2つの部品実装用ヘッド41aまたは第2ヘッドユニット42の2つの部品実装用ヘッド42aに対して、同時に2つのベアチップの受渡しが可能となっている。
【0068】
カメラ8は、例えばCCDやCMOS等の撮像素子を備えるカメラである。カメラ8は、ウエハWからのベアチップの取り出しに先立ち、取り出し対象となるベアチップを撮像し、その画像信号を制御装置110に出力するものである。なお、取出装置6がヘッドユニットに部品を受け渡す時には、取出装置6はコンベア2に最も近接した位置に移動される。
【0069】
図10は、この実装機本体100の制御系をブロック図で示している。図10に示すように、この実装機本体100は、CPUや各種メモリ、HDD等からなる制御装置110を備えている。この制御装置110には、上記した各駆動モータ等(駆動モータ53、フレーム駆動モータ64、駆動モータ65、駆動モータ66、駆動モータ6f、その他の駆動モータ、さらに第1突上げロッド71a昇降用エアシリンダおよび第2突上げロッド71b昇降用エアシリンダへの空気回路における制御弁駆動ソレノイドを含む)、カメラ8、固定カメラ9aおよび9b等がそれぞれ電気的に接続されており、これにより各部の動作が制御装置110によって統括的に制御される。また、この制御装置110には、図外の入力装置が電気的に接続されており、オペレータによる各種情報がこの入力装置の操作に基づき入力されるとともに、各駆動モータに内蔵される図外のエンコーダ等の位置検出手段からの出力信号も入力される。また、連結状態においてはウエハ収納装置200と制御装置110とがケーブル200aにより電気的に接続され、ウエハ収納装置200のラック201の昇降のためのモータなども制御装置110により制御される。
【0070】
この制御装置110は、その機能要素として、上記各駆動モータの駆動や各制御弁の駆動ソレノイドを制御する軸制御部111と、各カメラ(固定カメラ9aおよび9b、カメラ41b、42bなど)からの画像信号に所定の処理を施す画像処理部112と、図外のセンサからの信号の入力および各種制御信号の出力等を制御するI/O処理部113と、外部装置との通信を制御する通信制御部114と、実装プログラム等の各種プログラムや各種データを記憶する記憶部115と、これらを統括的に制御するとともに、各種の演算処理を実行する主演算部116とを含んでいる。
【0071】
そして、この制御装置110は、各駆動モータ等を予め定められたプログラムに基づいて制御することにより、コンベア2、ウエハ保持テーブル5、取出装置6、突上げ装置7、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42等を制御する。これにより、ウエハ収納装置200に対するウエハWの出し入れ、ウエハWからのベアチップの取り出しおよび第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42による部品の実装等の一連の動作(部品実装動作)を実行させる。
【0072】
制御装置110は、主に基台1の内部に収納されている。ここで、本実施形態では、制御装置110の一部が第2部分1cに収納されている。具体的には、図11に示すように、上記した画像処理部112、通信制御部114、記憶部115および主演算部116が一体となったコントロールボックス117が一方の第2部分1cに収納されている。また、他方の第2部分1cの外部にはメインスイッチ118(図11でのみ図示)が設けられており、他方の第2部分1cの内部には、メインブレーカ119が収納されている。なお、コントロールボックス117は、本発明の「電装品」の一例である。
【0073】
なお、第1部分1bの内部には、上記した軸制御部111およびI/O処理部113が収納されている。また、変電圧器120、トランス121、真空源122などの各種の装置も第1部分1bに収納されている。
【0074】
次に、この制御装置110による部品実装動作の制御について説明する。なお、以下の説明は、ウエハ収納装置200が実装機本体100に連結されている状態で行われる。
【0075】
まず、制御装置110は、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pを実装機本体100内に搬入する。そして、制御装置110は、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pを第1作業位置S1および第2作業位置S2に配置した状態で固定する。
【0076】
この後、制御装置110は、ウエハ保持テーブル5を制御することによりウエハ収納装置200からウエハWを引き出す。具体的には、駆動モータ53を駆動することによりウエハ保持テーブル5をウエハ受取位置に移動させる。そして、出し入れ機構5aによりウエハW(ホルダWh)をウエハ収納装置200からウエハ保持テーブル5上に引き出す。そして、引き出したウエハWをウエハ保持テーブル5に固定する。この後、ウエハ保持テーブル5を制御することにより、部品取出作業位置に配置する。
【0077】
ウエハWが部品取出作業位置に配置されると、制御装置110は、カメラ8を制御することにより、取出し対象のベアチップの撮像を行う。
【0078】
次に、制御装置110は、カメラ8による撮像結果に基づき、突上げ装置7、取出装置6およびウエハ保持テーブル5を制御し、突上げヘッド71の突上げピンと、取出装置6のノズル6eと、取り出し対象となるベアチップとをXY平面上の同一位置に移動させる。
【0079】
そして、制御装置110は、部品の大きさなどに応じて第1突上げロッド71aまたは第2突上げロッド71bから突上げピンを上昇させる(駆動する)ことにより当該ベアチップをその下側から突き上げる。この際、突上げロッド71aまたは71bの先端面に負圧を発生させてベアチップが貼り付けられているウエハシートを吸着保持しがら、突上げロッド71aまたは71bの先端面中央部から突上げピンを突き上げる。その一方で、第1ウエハヘッド6aあるいは第2ウエハヘッド6bを下降させて、突上げられることによりウエハシートから剥がされたベアチップをノズル6eの先端部の負圧により吸着させる。これによりウエハWからのベアチップの取り出しを行う。
【0080】
次に、制御装置110は、取出装置6からヘッドユニットへのベアチップの受け渡しを行う。具体的には、制御装置110は、取出装置6を制御することにより所定の部品受渡し位置(コンベア2に最も近接した位置)に取出装置6を移動させるとともに、実装部4を制御することにより第1ヘッドユニット41(又は第2ヘッドユニット42)を部品受渡し位置に移動させる。これにより部品受渡し位置において取出装置6と第1ヘッドユニット41(又は第2ヘッドユニット42)とを上下に配置する。
【0081】
取出装置6および第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)が部品受渡し位置に配置されるまでの移動中に、制御装置110は、第1ウエハヘッド6aおよび第2ウエハヘッド6bを回転させ、これにより各ノズル6eに吸着されているベアチップを反転(フェイスダウンの状態に反転)させた後、当該ベアチップを第1ヘッドユニット41の下降させた2つの部品実装用ヘッド41aまたは第2ヘッドユニット42の下降させた2つの部品実装用ヘッド42aにより吸着させる。これにより取出装置6から第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)へのベアチップの受渡しを行う。
【0082】
次に、制御装置110は、第1ヘッドユニット41を固定カメラ9a(第2ヘッドユニット42の場合は固定カメラ9b)上方に移動させ、各部品実装用ヘッドに吸着されたベアチップを固定カメラに撮像させるとともに、その画像データに基づき各部品実装用ヘッドに対するベアチップの吸着ずれを演算する。
【0083】
次に、制御装置110は、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)のカメラ41b(42b)により、コンベア2に固定されているプリント基板Pに付されているフィデューシャルマーク(図示せず)を認識する。これにより、制御装置110はプリント基板Pのコンベア2に対する位置ずれを認識する。
【0084】
そして、制御装置110は、ベアチップの吸着ずれおよびプリント基板Pの位置ずれに基づいて第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)をプリント基板P上方の補正した位置に移動させる。そして、所定の実装位置で部品実装用ヘッドを下降させることによりベアチップをプリント基板P上に実装する。
【0085】
上記の動作を繰り返し、全てのベアチップの実装が完了した場合には、制御装置110は、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pの固定を解除する。そして、制御装置110は、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pを実装機本体100外に搬出する。
【0086】
次に、図12〜図16を参照して、本実施形態による実装機の連結動作を説明する。
【0087】
まず、図12および図13に示すように、ユーザはウエハ収納装置200を連結方向(Y1方向)に移動させることにより、実装機本体100の連結部1aに嵌め込む。なお、この時、支持機構220の接地部221aは床面Fから離間している。
【0088】
嵌め込む際には、まずガイドコロ205および206がそれぞれガイドレール14の傾斜面(上面14a)およびガイドレール15の傾斜面(上面15a)に乗り上げる。そして、ユーザがさらに連結方向(Y1方向)にウエハ収納装置200を移動させると、ガイドコロ205および206はそれぞれ水平面(上面14b)および水平面(上面15b)に乗り上げる。ガイドコロが水平面に乗り上げた状態では、図14に示すように、傾斜面の高さ分だけガイドコロが上昇するので、ガイドコロが取り付けられている本体202、底板203およびキャスター204も上昇する。これにより、ウエハ収納装置200の連結方向(Y1方向)側のキャスター204が離間した状態となる。この状態では、ウエハ収納装置200の手前側の部分のキャスター204は床面Fに接地したままである。
【0089】
そして、ウエハ収納装置200をさらに連結方向(Y1方向)に移動させると、ガイドレール14の突起部14cおよびガイドレール15の突起部15cにそれぞれ当接部材211の当接部211aおよび当接部材214の当接部214aが当接する。これにより、それ以上の連結方向(Y1方向)への移動はできなくなる。この状態で正面から見た場合の左右の高さ方向の傾きがある場合には、移動ブロック209の高さ位置を調節することによりガイドコロ205の高さ位置を調節する。
【0090】
次に、支持機構220のハンドル223を回すことにより、第2脚部222および第1脚部221を降下させる。ハンドル223が回らなくなるまで回すと、図15および図16に示すように、第1脚部221が床面Fに当接するとともに手前側(分離方向側)の一対のキャスター204が床面Fから離間する。これにより、ウエハ収納装置200の手前側の部分は支持機構220により支持される。
【0091】
この状態で、ナット225を緩めるとともに、第2脚部222に対して第1脚部221を回転させることにより、第1脚部221の突出長さを調節する。そして、ウエハ収納装置200の実装機本体100に対する前後方向の傾きがなくなるように第1脚部221の突出長さを調節した状態で、ナット225を締め付ける。これにより、ウエハ収納装置200は実装機本体100に対して平行な状態でガイドコロ205、ガイドコロ206および支持機構220の3点で支持される。この状態では図16に示すように、4つのキャスター204は全て床面Fから離間している。
【0092】
そして、調整が終わった後に、ねじ213をガイドレール14のねじ穴14dに螺合挿入するとともに、ねじ216をガイドレール15のねじ穴15dに螺合挿入する。これにより、ウエハ収納装置200が分離方向に移動するのが防止される。これによりウエハ収納装置200と実装機本体100との連結が完了し、この状態でウエハ収納装置200から実装機本体100へのウエハWの受け渡しなどのウエハWの搬送が行われる。
【0093】
また、実装機の実装動作中などに実装機本体100のメンテナンスのためにウエハ収納装置200を一旦分離する場合がある。この場合には、まず、ねじ213をガイドレール14のねじ穴14dから抜き取るとともに、ねじ216をガイドレール15のねじ穴15dから抜き取る。そして、ハンドル223を回すことにより、支持機構220を上昇させてキャスター204を床面Fに接地させる。その後、ウエハ収納装置200を分離方向(Y2方向)に移動させることによりウエハ収納装置200を実装機本体100から分離させる。
【0094】
そして、実装機本体100のメンテナンスが終わった後に、再度ウエハ収納装置200を実装機本体100に連結する。この場合には、連結方向(Y1方向)への移動ができなくなるまでウエハ収納装置200を連結方向(Y1方向)に移動させた後、ハンドル223をそれ以上回らなくなるまで回して支持機構220を下降させる。この状態で、第1脚部221の突出長さは最初に調整した突出長さとなっているので、ウエハ収納装置200と実装機本体100との平行がとれている状態となっている。すなわち、本実施形態の実装機では、初回の連結時にウエハ収納装置200と実装機本体100との相対位置の調整を行うと、2回目以降の連結時には調整作業を行うことなくウエハ収納装置200と実装機本体100との相対位置を互いに平行な状態にすることが可能である。
【0095】
本実施形態では、上記のように、実装機本体100とウエハ収納装置200とが連結された状態で、ウエハ収納装置200に設けられたガイドコロ205および206が実装機本体100に設けられたガイドレール14および15に乗り上げることによって、ウエハ収納装置200の実装機本体100側のキャスター204が床面Fから離間するように構成することにより、ガイドレール14および15とガイドコロ205および206とにより、連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的な位置関係を床面Fの平坦度合いに依存することなく決めることができる。これにより、ガイドレール14および15とガイドコロ205および206との位置を適切に設定することにより、床面Fの平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的な位置関係が平行からずれることを抑制することができる。このため、ウエハ収納装置200から実装機本体100側にウエハWを移送する際に、実装機本体100に対してウエハWが傾いた状態で移送されてしまうのを抑制することができる。その結果、移送中に実装機本体100とウエハWとが干渉したり、実装機本体100においてウエハWが適正な姿勢で保持されなくなったりするのを抑制することができる。
【0096】
また、ガイドレール14および15とガイドコロ205および206とによりウエハ収納装置200を実装機本体100に対して2点で支持させることができるので、より精度良く連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的な位置関係(特に、正面から見た場合の左右の傾き)が平行からずれることを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、ガイドレール14および15を実装機本体100に設けるとともに、ガイドコロ205および206をウエハ収納装置200に設けることによって、固定的に設置され、比較的大きいサイズの実装機本体100に比較的大きいスペースを要するガイドレール14および15を設け、移動する比較的小さいウエハ収納装置200に比較的小さいスペースを要するガイドコロ205および206を設けるので、ウエハ収納装置200にガイドレールを設ける場合と異なり、ウエハ収納装置200が大きくなるのを抑制することができる。また、ウエハ収納装置200のキャスター204が床面Fから離間するように構成することによって、キャスター204の接触する床面Fの平坦度合いが良好でない場合にも、容易に実装機本体100とウエハ収納装置200との相対的な位置関係を平行に保つことができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、ガイドレール14および15との接触面において転動可能なガイドコロ205および206を設けることによって、ガイドレールとガイド部材との間の接触抵抗を小さくすることができるので、実装機本体100とウエハ収納装置200とを連結または分離する際に、ガイドレール14および15とガイドコロ205および206とを接触させながらウエハ収納装置200を円滑に移動させることができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、ウエハ収納装置200の実装機本体100と反対側の部分に、連結状態で床面Fに対してウエハ収納装置200を支持することが可能な支持機構220を設けることによって、ウエハ収納装置200と実装機本体100とが連結された状態で、支持機構220によりウエハ収納装置200の実装機本体100と反対側の部分の高さ位置を調整することができる。これにより、連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的な位置関係(特に、前後方向の傾き)を床面Fの平坦度合いに依存することなく決めることができる。これにより、床面Fの平坦度合いが良好でない場合にも、連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的な位置関係が平行からずれることをさらに抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、ウエハ収納装置200が実装機本体100側に向かう連結方向に移動する際に、ウエハ収納装置200の実装機本体100側の部分が床面Fから離間した状態で、ウエハ収納装置200の連結方向への移動を規制するストッパ(突起部14cおよび当接部211aからなるストッパと、突起部15cおよび当接部214aからなるストッパ)を設けている。このように構成することによって、ユーザはウエハ収納装置200をストッパにより停止されて動かなくなるまで連結方向に移動するだけで、ウエハ収納装置200の実装機本体100側の部分を床面Fから離間させながら、実装機本体100とウエハ収納装置200とを連結することができる。このストッパの位置を適切に設定することにより、連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的なずれが生じるのを抑制することができる。また、ストッパを2つ設けているので、ウエハ収納装置200の実装機本体100に対する移動を2点で規制することができる。これにより、連結状態におけるウエハ収納装置200の実装機本体100に対する相対的な位置関係(特に、上から見た場合の平面的な回転方向のずれ)が平行からずれることを抑制することができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、実装機本体100の基台1に、ウエハ収納装置200が連結された状態でウエハ収納装置200が嵌り込む、平面的に見て凹形状の連結部1aを設けている。このように構成することによって、連結状態においてウエハ収納装置200の一部が実装機本体100に嵌りこむので、連結状態における実装機の全体の大きさを小型化することができる。また、連結状態における実装機本体100とウエハ収納装置200との距離を小さくすることができるので、ウエハ収納装置200から実装機本体100へのウエハWの受け渡しを円滑に行うことができる。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、凹形状の連結部1aの両側の側方壁部13を構成する第2部分1cに実装機本体100のコントロールボックス117を収納することによって、ウエハ収納装置200を嵌め込むための基台1の第2部分1cのスペースを有効に利用してコントロールボックス117を配置することができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、基台1の第2部分1cの側方壁部13にガイドレール14および15を固定することによって、強固な部材である基台1にガイドレールを設けるので、連結時にウエハ収納装置200を支持するためのガイドレールの強度を大きくすることができる。
【0104】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0105】
たとえば、上記実施形態では、実装機本体100にガイドレールを設け、ウエハ収納装置200にガイド部材を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、実装機本体100にガイド部材を設け、ウエハ収納装置200にガイドレールを設けてもよい。この場合、実装機本体のガイド部材にガイドレールが乗り上げることにより、ウエハ収納装置の実装機本体側の部分が床面から離間することになる。
【0106】
また、上記実施形態では、ガイドレール上を車輪状のガイドコロ(転動体)により転動させる例を示したが、本発明はこれに限らず、球状の転動体により転動させてもよい。また、ガイドレールとガイド部材との摩擦が小さければ、ガイド部材を転動体にしなくてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、支持機構220をキャスター204と別個に設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、後側のキャスター自体に高さ調整機構を設けてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、ウエハ収納装置200の前側部分(連結方向側の部分)のみをガイドレールに乗り上げるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、前側部分のみならず、後側部分(手前側部分)もガイドレールに乗り上げるように構成してもよい。これにより、支持機構220を設ける必要がなくなる。
【符号の説明】
【0109】
1 基台
1a 連結部
1b 第1部分
1c 第2部分
4 実装部(実装機構)
12 前方壁部
13 側方壁部
14、15 ガイドレール
14c、15c 突出部(ストッパ)
100 実装機本体(部品供給装置)
117 コントロールボックス
200 ウエハ収納装置
204 キャスター(支持部分)
205、206 ガイドコロ(ガイド部材、転動体)
211a、214a 当接部(ストッパ)
220 支持機構
P プリント基板(基板)
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を含むウエハを収納し、床面に対して移動可能なウエハ収納装置と、基板に前記電子部品を実装する実装機構に前記電子部品を供給するために設けられ、床面に設置されるとともに前記ウエハ収納装置を連結可能な部品供給装置とを備える電子部品搬送装置であって、
前記部品供給装置および前記ウエハ収納装置の一方に、ガイドレールが設けられており、
前記部品供給装置および前記ウエハ収納装置の他方に、前記ウエハ収納装置を前記部品供給装置に連結または分離する際に前記ガイドレールに沿って前記ウエハ収納装置を移動させるためのガイド部材が設けられており、
前記部品供給装置と前記ウエハ収納装置とが連結された状態で、前記ウエハ収納装置に設けられた前記ガイドレールまたは前記ガイド部材の一方が前記部品供給装置に設けられた前記ガイドレールまたは前記ガイド部材の他方に乗り上げることによって、前記ウエハ収納装置の前記部品供給装置側の床面に対する支持部分が床面から離間するように構成されている、電子部品搬送装置。
【請求項2】
前記支持部分は、転動可能に前記床面に対して前記ウエハ収納装置を支持するキャスターを含み、
前記ガイドレールは前記部品供給装置に設けられており、
前記ガイド部材は、前記ウエハ収納装置に設けられており、
前記部品供給装置と前記ウエハ収納装置とが連結された状態で、前記ガイドレールの上面に前記ガイド部材が乗り上げることによって、前記ウエハ収納装置の前記部品供給装置側の前記キャスターが床面から離間するように構成されている、請求項1に記載の電子部品搬送装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記ガイドレールとの接触面において転動する転動体を含む、請求項1または2に記載の電子部品搬送装置。
【請求項4】
前記ウエハ収納装置の前記部品供給装置と反対側の部分には、前記部品供給装置と前記ウエハ収納装置とが連結された状態で前記床面に対して前記ウエハ収納装置を支持することが可能な支持機構が設けられており、
前記支持機構は、前記ウエハ収納装置の前記部品供給装置と反対側の部分の高さ位置を調整することが可能に構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品搬送装置。
【請求項5】
前記部品供給装置および前記ウエハ収納装置の少なくとも一方には、前記ウエハ収納装置を前記部品供給装置に連結させるために前記ウエハ収納装置が前記部品供給装置側に向かう連結方向に移動する際に、前記ウエハ収納装置の前記部品供給装置側の部分が床面から離間した状態で、前記ウエハ収納装置の前記連結方向への移動を規制するストッパが設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品搬送装置。
【請求項6】
前記部品供給装置は、基台を含み、
前記基台には、前記ウエハ収納装置が連結された状態で前記ウエハ収納装置が嵌り込む、平面的に見て凹形状の連結部が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品搬送装置。
【請求項7】
前記基台は、前記連結部の前方壁部を構成する第1部分と、前記連結部の両側の側方壁部を構成する第2部分とを含み、
前記第2部分に前記部品供給装置の電装品が収納されている、請求項6に記載の電子部品搬送装置。
【請求項8】
前記基台は、前記連結部の前方壁部を構成する第1部分と、前記連結部の両側の側方壁部を構成する第2部分とを含み、
前記部品供給装置に設けられる前記ガイドレールまたは前記ガイド部材は、前記第2部分の側方壁部に固定されている、請求項6または7に記載の電子部品搬送装置。
【請求項9】
基板に電子部品を実装する実装機構と、
前記実装機構に前記電子部品を供給するために設けられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子部品搬送装置とを備えた、実装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−33592(P2012−33592A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170170(P2010−170170)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】