説明

電子部材用基板の塗膜形成方法及び装置

【課題】 従来の塗膜等形成方法は、作業工程が多く生産性が悪かった。塗料の定着性も優れず、二種類のフィルムが積層されるため塗膜基板が厚くなり、コスト高でもあった。
【解決手段】 保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布し、その保護フィルムを基板に貼付することによって、その塗料を基板に塗布(転写)する方法である。塗料が塗布された保護フィルムを加圧又は加熱加圧して基板に貼付することもできる。真空条件下や、真空貼付方式で保護フィルムを基板に貼付して、塗布時に基板のホールへも塗料を充填するのがよい。上記塗膜形成方法を実現する装置として、保護フィルムに塗料を塗布する塗布装置と、その保護フィルムを基板に貼る貼付装置とを設けた。貼付装置を加熱式或は非加熱式の加圧式としたり、真空ラミネート機とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子回路用基板、ICカード、液晶表示用基板といった電子部材用の単層又は積層の基板に、絶縁塗料、感光塗料といった各種塗料で塗膜を形成するための電子部材用基板への塗膜形成方法と、その方法に使用される塗膜形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部材用基板(以下「基板」とする。)に絶縁塗料、感光塗料(レジスト)等の塗料を塗布して塗膜を形成する方法として、従来は以下に示すような方法があった。
(1)基板の一面又は両面に、ロールコーター等によって直接塗料を塗布し、その基板を乾燥させ、乾燥した基板に保護フィルムを貼付して塗装済み基板を形成する方法。
(2)予め塗料が塗布され、乾燥させてあるドライフィルムを加熱し、塗布されている塗料を溶融させて基板の一面又は両面に貼付け(ホットラミネート)、その上に保護フィルムを貼付する方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記(1)の方法の場合、基板に塗料を塗布した後に、塗料を乾燥させる乾燥工程が必要であるが、乾燥には手間や時間が掛かるため、作業性が悪い。また、基板に塗料を塗って乾燥させるだけでは、基板への塗料の定着性が優れず、基板のホール内にまで塗料が充填されにくい。また、この方法によって完成された電子部材用基板は、表面に凹凸が形成され易く、その凹凸部分から基板が破損し易かった。
前記(2)の方法の場合、予め塗料が塗布されたドライフィルムを加熱し、塗料を溶融させる加熱工程が必要であるため、加熱に手間や時間が掛かり、作業性が悪い。また、一旦固まった塗料を溶融させるほどの高熱を加えることで、ドライフィルム又は基板の性質が変化するおそれもある。更に、ドライフィルムの上に保護フィルムを重ねるため、完成した基板が厚くなる。また、ドライフィルムと保護フィルムの二種類のフィルムが必要となり、作業性が悪く、コスト高でもある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、工程が少なく作業性が良く、塗料の定着性にも優れ、完成した基板が厚くならず、且つ安価に基板に塗膜を形成することができる電子部材用基板への塗膜形成方法とそれに使用される塗膜形成装置である。
【0005】
本件出願の電子部材用基板への塗膜形成方法は、保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布し、その保護フィルムを基板の一面又は両面に貼付することにより、その塗料を基板に塗布する方法である。この場合、保護フィルムを加圧又は加熱加圧して基板に貼付することにより基板のホールにまで塗料を充填できるようにすることもできる。また、保護フィルムを真空状態下で又は真空貼付(真空ラミネート)方式で基板に貼付して、保護フィルムの塗料を基板に密着させて塗布(転写)させると共に基板のホールにまで塗料を充填することもできる。保護フィルムのうち基板と接着する面の全面又は所望箇所に塗料を塗布することもできる。
【0006】
本件出願の電子部材用基板の塗膜等形成装置は、保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布する塗布装置と、塗料を塗布した保護フィルムを基板に貼付してその塗料を基板に塗布する貼付装置を備えたものである。貼付装置は加熱式又は非加熱式の加圧式の貼付装置とすることができる。更には、貼付装置を、保護フィルムを基板に真空状態下で貼付するもの又は真空貼付式のもの(真空ラミネータ)とすることもできる。前記貼付装置を加圧式、真空貼付式とすることにより、基板への塗料の塗布時に基板のホールへの塗料の充填も可能とすることができる。前記塗布装置、貼付装置は、基板の一面にだけ塗膜形成する場合は基板の一面側にだけ配置し、基板の両面に形成する場合は基板の両面側に配置する。塗布装置を回転ロール式であって、その表面の全面又は所望箇所を、保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布する塗料塗布部分とすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の電子部材用基板への塗膜等形成方法は次のような効果がある。
(1)保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布してから、その保護フィルムを基板の一面又は両面に貼付することによって、保護フィルムの塗料を基板に塗布するので、塗料が基板に塗布され易い。
(2)また、完成した電子部材用基板の表面は平滑(フラット)に形成され、ロールコーターやスプレーによる塗布に比べて、基板が破損しにくくなる。
(3)基板への塗料の塗布と同時に、基板への保護フィルムの貼付も行なわれるため、基板の塗料を乾燥させる工程が不要となり、作業性がよく、生産性が向上する。
(4)予め塗料が塗布されたドライフィルムを使用する場合は、塗料を溶融させる加熱工程が必要であるが、本願発明では塗料を溶融させるための加熱工程が不要であり、作業性がよく、生産性が向上する。
(5)基板に貼付されるのは保護フィルム層だけであるため、基板にドライフィルムと保護フィルムとの双方を貼付する従来方式に比して基板が厚くならず、扱い易く、材料費もドライフィルムの分が不要になるためコストも低減する。
【0008】
請求項2記載の電子部材用基板への塗膜等形成方法は、基板に貼付した保護フィルムを加圧又は加熱加圧するので、上記各効果に加え、基板への塗料の定着が確実になるという効果もある。加熱加圧した場合は、特に短時間で基板への塗料の定着が確実になり、更に、塗料の乾燥が促進されるという効果もある。また、加圧又は加圧加熱により、電子部材用基板の表面をより平滑に形成することができるようになるという効果もある。
【0009】
請求項3記載の電子部材用基板への塗膜等形成方法は、上記各効果に加え、基板への塗料の塗布時に基板のホールへの塗料の充填を可能とすることで、基板の不要なホールを閉塞することができるという効果もある。
【0010】
請求項4記載の電子部材用基板への塗膜等形成方法は、真空貼付(真空ラミネート)方式で基板に保護フィルムを貼付するので、上記各効果に加え、基板のホール内の気泡、基板表面の空気が取り除かれるため、保護フィルムが基板に密着し、塗料の定着がより確実になるという効果もある。
【0011】
請求項5記載の電子部材用基板への塗膜等形成方法は、保護フィルムのうち基板と接着する面の全面又は所望箇所に塗料を塗布することとしたので、上記各効果に加え、次のような効果を有する。
(1)所望の位置に塗料を塗布した電子部材用基板を製造することができ、種々の用途や目的に適した電子部材用基板を提供することができるようになる。
(2)作業ライン上において、基板と基板の隙間の部分には、塗料を塗布しないようにすることもできる。従って、塗料を無駄に塗布することがなく、コスト減に資する。
【0012】
請求項6記載の電子部材用基板への塗膜形成装置は次のような効果がある。
(1)保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布する塗布装置と、その保護フィルムを基板に貼付する貼付装置を備えるので、基板への塗膜形成が一連の作業で可能となる。
(2)塗料を乾燥させる装置や、塗料を加熱して溶融させる装置等が不要であるため、塗膜形成装置を小型化できる。
【0013】
請求項7記載の電子部材用基板への塗膜等形成装置は、貼付装置を加熱式又は非加熱式の加圧式としたので、前記効果の他に次のような効果もある。
(1)基板への塗料の塗布が、一層確実、均一になる。従って、完成される電子部材用基板の表面を平滑に形成することができる。
(2)加熱加圧装置を備えた場合は、基板に塗料を確実に定着させることができるだけでなく、塗料の乾燥も促進され、短時間での塗膜形成が可能となる。
【0014】
請求項8記載の電子部材用基板への塗膜形成装置は、貼付装置を、保護フィルムを基板に真空状態下で貼付するもの又は真空貼付式のもの(真空ラミネータ)としたため、上記各効果に加え、次のような効果もある。
(1)基板への塗料の塗布時に、基板のホールへの塗料の充填も可能となる。
(2)基板のホール内の気泡、基板表面の空気が除去され、保護フィルムが基板に密に貼付され、塗料の定着がより確実になる。
【0015】
請求項9記載の電子部材用基板への塗膜形成装置は、塗布装置を、回転ロール式であって、その表面の全面又は所望箇所を、保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布する塗料塗布部分とするものとしたため、上記各効果に加え、次のような効果もある。
(1)保護フィルムのうち基板と接着する面の全面又は所望箇所に塗料を塗布することが可能となるため、所望の位置に塗料を塗布した電子部材用基板を製造することができ、種々の用途や目的に適した電子部材用基板を提供することができるようになる。
(2)作業ライン上において、基板と基板の隙間の部分には、塗料を塗布しないようにすることもできる。従って、塗料を無駄に塗布することがなく、コスト減に資する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
本発明の電子部材用基板への塗膜形成方法は図1に示す塗膜形成装置を用いて実施される。本発明の塗膜形成方法を実施する塗膜形成装置の実施形態の一例を図1(a)(b)、図2に基づいて説明する。図1に示す塗膜等形成装置は、横方向に電子部材用基板(以下「基板」とする。)4を搬送する横型装置であって、保護フィルム5のうち基板4と接着する面6に塗料を塗布する塗布装置1と、塗料を塗布した保護フィルム5を基板4に貼付する貼付装置2を備えている。貼付装置2は、基板4に貼付した保護フィルム5を加熱して又は非加熱で加圧して、保護フィルム5の塗料を基板4に塗布(転写)できるようにすることもできる。また、貼付装置2は真空室3内に収容して真空貼付方式とすることもできる。
【0017】
図1の塗布装置1は基板4の上下両面側に夫々一つずつ備えられている。この塗布装置1は回転ロール式であり、その回転ロールが図1の矢印a方向又はその逆方向に回転しながら、リール7から引き出され、ガイドロール10にガイドされる保護フィルム5のうち基板4と接着する面6に押し付けられて、保護フィルム5に塗料を塗布できるようにしてある。塗布装置1の回転ロールには、形成する塗膜の厚さと同じ深さの溝(図示しない)が形成されている。また、塗布装置1には、図1に示すように、塗料供給装置11が塗布装置1に接触させて備えられている。前記塗料供給装置11は、図1に示すように、回転ロールであって、塗料容器12内の塗料16に接触するように備えられている。塗料供給装置11は、矢印d方向に回転して、接触する塗布装置1に塗料を供給する。更に、塗布装置1の表面には、スキージ(図示しない)が当てられており、塗料供給装置11によって塗布装置1の表面に供給された塗料のうち、溝内に収容された塗料以外の余分な塗料を削ぎ落とすことができるようにしてある。従って、塗料供給装置11によって塗布装置1に塗料が供給され、塗布装置1表面にスキージ(図示しない)を当てて余分な塗料を削ぎ落とすと、溝内の塗料のみが塗布装置1に残る。その溝内の塗料を保護フィルムに塗布して、所望の厚さの塗膜を形成することができる。塗布装置1に形成する溝の深さを調節して、保護フィルム5に形成する塗膜の厚さを調節することができる。塗膜の厚さは任意とすることができるが、例えば、0.1μm〜50μm以上とすることができる。また、塗布装置1の表面に、溝を形成しない部分を形成すれば、塗料供給装置11によってその部分に供給された塗料はスキージによって削ぎ落とされ、その部分には塗料が残らず、保護フィルム5に、塗料が塗布されない余白部分を形成することができる。従って、回転ロール式の塗布装置1のうち、溝を形成した部分のみを塗料塗布部分とすることができる。溝の形成位置は任意に決めることができる。前記塗布装置1及び塗料供給装置11はロール状のものに限られず、保護フィルム5に塗料を塗布可能であれば、インクジェット装置や、スプレー装置や、刷毛等、任意の装置とすることができる。塗料を塗布された保護フィルム5は、ガイドロール10によってガイドされ、図1中矢印A方向に搬送される。
【0018】
図1の貼付装置2も基板4の上下両面側に夫々一つずつ配置されている。貼付装置2は上下に対向して配置された二つの回転ロールであり、また、貼付装置2も上下に対向して配置された二つのロールである。このロールは基板4を挟む方向に押し付ける加圧式でも、加圧式であって加熱式のものでも非加熱式であってもよい。二つの回転ロールは図1の矢印c方向に回転して、塗料が塗布された保護フィルム5を基板4の両面に同時に押し付けて保護フィルム5を基板4に貼り付け、保護フィルム5に塗布された塗料を基板4に塗布(転写)する。加熱式ロールの場合は保護フィルム5を加熱加圧して保護フィルム5の塗料を基板4に塗布する。また、貼付装置2は、図1に示すロール状のものには限られず、塗料が塗布された保護フィルム5を基板4に押し付けて保護フィルム5の塗料を基板に塗布(転写)可能であれば、板状のプレスボード等、任意の装置とすることができる。
【0019】
前記基板4は、電子回路用基板、液晶表示用基板等の電子部材用基板であって、樹脂製の板状部材である。基板4にはベークライト等の汎用硬質樹脂や機能性樹脂といった任意の樹脂材を用いることができる。また、基板4には、ガラス材や金属材等、その他電子部材用基板に使用される任意の素材を用いることもできる。基板4は単層板であっても積層板であってもよい。また、基板4には、図3に示すように、有底ホール14、スルーホール15等のホールを形成することもできる。この基板4は、図1に示すように、ローラーコンベア等の搬送体13によって横方向に搬送され、真空室3内に引き込まれる。搬送体13は、図に示すローラーコンベアには限られず、ベルトコンベア、チェーンコンベア等、任意の搬送装置を用いることができる。
【0020】
前記保護フィルム5は塗料を塗布でき、基板4に塗布された塗料を保護できるものであれば、どのような樹脂製のフィルム材であってもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の汎用樹脂や機能性樹脂等の任意の樹脂材を用いることができる。図1の保護フィルム5は矢印b方向に回転可能なリール7に巻回されている。
【0021】
保護フィルム5に塗布される塗料は絶縁塗料、感光塗料といったいずれのものでもよい。保護フィルム5は、塗布されている塗料が基板4に塗布され易い粘土(軟らかさ)の状態で基板4に貼付される。その粘度は、例えば、18〜40センチポアズ(cP)程度が適する。この程度の粘度であれば、図3に示すように、基板4に形成されている有底ホール14やスルーホール15に塗料16が充填される。塗料16は、図1に示す塗料容器12に入れられ、塗料容器12内の塗料に接触するように備えられた前記塗料供給装置11によって、塗料供給装置11に接触する塗布装置1に供給される。
【0022】
(使用例1)
本実施形態の電子部材用基板への塗膜形成装置を用いて、図2(b)に示す塗膜形成基板を形成するには、次のようにする。
(1)基板4の両面側に夫々一つずつ備えられた塗布装置1を図1の矢印a方向に回転させて、リール7から引き出される保護フィルム5のうち基板4と接着する面6に押し付けて、保護フィルム5に塗料を塗布する。
(2)塗料が塗布された保護フィルム5は、ガイドレール1にガイドされて図1の矢印A方向に引かれ、搬送体13によって搬送される基板4と同速で真空室3内に引き込まれる。塗料の粘度は18〜40センチポアズ(cP)程度とする。
(3)塗料が塗布した保護フィルム5が、真空室3内で図1の矢印c方向に回転する貼付装置2によって加熱加圧されて基板4に貼付され(図2a参照)、真空貼付(真空ラミネート)され、塗料が基板4に塗布(転写)されて図2(b)のような、塗膜層8を有する塗料塗布基板が形成される。このとき、図3に示すように、基板4にホールが形成されていればホールに塗料が充填される。塗料塗布基板は、図1中矢印B方向に搬送される。
【0023】
(実施形態2)
前記実施形態1では、本発明の電子部材用基板への塗膜形成装置は、前記図1記載のように、横方向に基板4を搬送する横型装置であったが、これには限られず、図4に示すように、上方向に基板4を搬送する縦型装置とすることもできる。図4に示す塗膜形成装置は、その基本的構成態様及び使用方法は前記図1記載の塗膜形成装置と共通するが、搬送体13による基板4の搬送方向が上方向であり、且つ、塗布装置1及び貼付装置2が基板4の左右両面側に夫々一つずつ備えられている点で異なる。また、本実施形態では、実施形態1とは異なり、ロール状の塗布装置1が塗料容器12内の塗料に接触するように備えられ、塗料供給装置11が備えられていない。もっとも、本発明の電子部材用基板への塗膜形成装置においては、基板の搬送方向は前記各実施形態記載のものには限られず、任意の方向とすることができる。
【0024】
(実施形態3)
前記各実施形態では、貼付装置2を基板4の両面に対向させて配置して、基板4の両面に同時に保護フィルム5を貼付できるようにしているが、これには限られず、二つの貼付装置2をずらして配置し、基板4の両面に対向させずに設けて、基板4の片面に先に保護フィルム5を貼付し、その後他面に保護フィルム5を貼付するようにすることもできる。この場合は、基板4のホール内の気泡や基板4表面の空気を片面ずつ確実に取り除くことができ、保護フィルム5を基板4に密着させ易くなる。
【0025】
(実施形態4)
保護フィルム5を基板4に貼付して、その塗料を基板4に塗布する際には、保護フィルム5に塗布した塗料を、半乾燥させてから基板4に貼り付けることもできる。その場合、前記各実施形態に示す塗膜形成装置の塗布装置1と貼付装置2との間に、ヒータ等の半乾燥装置を備えることができる。
【0026】
(実施形態5)
前記各実施形態では、図1、図3に示すように、ローラーコンベア等の搬送体13によって保護フィルム5を搬送しているが、保護フィルム5の搬送方法はこれには限られず、図5に示すよう方法で搬送することもできる。この実施形態では、図5に示すように、保護フィルム5の幅方向両端部に、孔17が保護フィルム5の長手方向に所定間隔で連続して多数個開口されている。その保護フィルム5の幅方向両端部の孔17の下側には、外周面に突起18を複数個備えた回転板19が、夫々突起18を孔17から保護フィルム5上に突出させて備えられている。従って、回転板19を図の矢印A方向に回転させると、突起18が孔17に引っ掛かった状態で回転板19が回転し、回転板19の外周面の突起18が連続して孔17に挿し込まれ、保護フィルム5が図中矢印B方向に搬送される。回転板19の設置数は、図に示す二枚には限られず、任意の数だけ設置することができる。孔17の開口間隔や孔17の径、回転板19の径や、備えられる突起18の数等も、任意とすることができる。また、図5に示す搬送方法を用いて、電子部材用基板に塗膜を形成する場合には、保護フィルム5の孔17が開口された両端部には塗料を塗布しない。
【0027】
(その他の実施形態)
図1では塗布装置1、リール7、貼付装置2の夫々が、基板4の両面側に一つずつ配置されているが、これら塗布装置1、リール7、貼付装置2は基板4の一面(塗料塗布面)側にのみ配置することもできる。
【0028】
実施形態1では、図2に示す塗膜形成装置には加圧式の貼付装置2と真空室3が備えられていたが、加圧式の貼付装置と真空室に代えて、真空ラミネータ(真空貼付式装置)を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の電子部材用基板への塗膜形成方法及び塗膜形成装置は、基材に塗膜を形成するものであれば、例えば、金属板にペンキ等の塗料を塗布する場合とか、他の分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の塗膜形成装置及び塗膜形成方法の一例を示す説明図。
【図2】(a)は本発明の塗膜形成方法によって塗膜基板を形成する場合の説明図、(b)は本発明の塗膜形成方法によって形成した塗膜基板の正面図である。
【図3】本発明の塗膜形成装置の貼付装置によって、基板に保護フィルムを貼付する様子を示す正面説明図。
【図4】本発明の塗膜形成装置及び塗膜形成方法の他の一例を示す説明図。
【図5】本発明の塗膜形成装置の、保護フィルムの搬送方法の一例を示す説明斜視図。
【符号の説明】
【0031】
1 塗布装置
2 貼付装置
3 真空室
4 基板
5 保護フィルム
6 保護フィルムのうち基板との接着面
7 リール
8 塗膜層
10 ガイドロール
11 塗料供給装置
12 塗料容器
13 搬送体
14 有底ホール
15 スルーホール
16 塗料
17 孔
18 突起
19 回転板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護フィルムのうち電子部材用基板(以下「基板」とする。)と接着する面に塗料を塗布し、その保護フィルムを基板の一面又は両面に貼付することにより、その塗料を基板に塗布することを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の電子部材用基板への塗膜形成方法において、基板に貼付した保護フィルムを加圧又は加熱加圧することを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電子部材用基板への塗膜形成方法において、基板への塗料の塗布時に基板のホールにも塗料を充填することを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部材用基板への塗膜形成方法において、基板に保護フィルムを真空状態下で又は真空貼付方式で貼付することを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子部材用基板への塗膜形成方法において、保護フィルムのうち基板と接着する面の全面又は所望箇所に塗料を塗布することを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成方法。
【請求項6】
保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布する塗布装置と、塗料を塗布した保護フィルムを基板に貼付してその塗料を基板に塗布する貼付装置を備えたことを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の電子部材用基板への塗膜形成装置において、貼付装置が基板に貼り付ける保護フィルムを加圧又は加熱加圧できる加圧式であることを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の電子部材用基板への塗膜形成装置において、貼付装置が保護フィルムを基板に真空状態下で貼付するもの又は真空貼付式のものであることを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の電子部材用基板への塗膜形成装置において、塗布装置が回転ロール式であって、その表面の全面又は所望箇所を、保護フィルムのうち基板と接着する面に塗料を塗布する塗料塗布部分としたことを特徴とする電子部材用基板への塗膜形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−198551(P2006−198551A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14371(P2005−14371)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(391052622)株式会社都ローラー工業 (19)
【Fターム(参考)】