説明

電子音楽システムを制御する制御方法を実現するためのプログラム

【課題】トラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、そのトラックあるいはサブトラック内の目的のパラメータを簡単かつ素早く設定することが可能となる電子音楽システムを制御する制御方法を実現するためのプログラムを提供する。
【解決手段】モータフェーダ103では、オーディオ1トラックが選択されたときには、オーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部での入力アッテネータの値(ただし、経時的に変動しない値)が設定され、ボリュームサブトラックが選択されたときには、オーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部での入力アッテネータの値(ただし、経時的に変動する値((b)では、時系列データv))が設定され、パンサブトラックが選択されたときには、オーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部でのパンの値(ただし、経時的に変動する値((b)では、時系列データp))が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子音楽装置と該電子音楽装置をリモート制御する音楽制御装置からなる電子音楽システムを制御する制御方法を実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子音楽装置と該電子音楽装置をリモート制御する音楽制御装置からなる電子音楽システムは、従来から知られている。
【0003】
たとえば、電子音楽装置としてDAW(digital audio workstation)ソフトウェアがインストールされ起動されたPC(パーソナルコンピュータ)を採り、音楽制御装置として1つのモータフェーダを含むコンパクトなフィジカル・コントローラ(physical controller)を採り、フィジカル・コントローラを用いてDAWソフトウェアを制御するようにした電子音楽システムがある。
【0004】
DAWソフトウェアの一例である、STEINBERG社のCubase(登録商標)は、シーケンサ機能とミキサ機能を備え、たとえば各オーディオトラックに記録された各音声波形をシーケンサ機能によって再生して生成した各オーディオ信号を、ミキサ機能によってミキシングして出力することができる。さらにCubase(登録商標)では、オーディオトラック毎に、ミキサのチャンネルパラメータなどの値を時系列に設定する(オートメーション)サブトラックを作成でき、再生しようとするオーディオトラックにオートメーションサブトラックが作成されている場合には、オーディオトラックの再生に同期させてオートメーションサブトラックも再生するようにしている。
【0005】
またフィジカル・コントローラの一例である、STEINBERG社のアドバンスド・インテグレーション・コントローラCC121(以下、「コントローラCC121」という)は、Cubase(登録商標)側の各オーディオトラックを切り替えることができ、現在選択されているオーディオトラックが他のオーディオトラックに切り替えられると、前記モータフェーダの指示位置(フェーダ位置)を現位置から当該他のオーディオトラックで設定されている値を指示する位置に自動的に移動させるようにしている(たとえば、非特許文献1の第15頁参照)。
【0006】
さらにコントローラCC121には、Cubase(登録商標)側の様々なパラメータから任意に選択した一部をボタンに割り当てておいた後、そのボタンを押すことで当該パラメータを指定し、ノブを回すことで当該パラメータの値を設定するようにした機能もある(たとえば、非特許文献1の第17頁参照)。
【0007】
またコントローラCC121には、ユーザがCubase(登録商標)側の様々なパラメータのうちの1つを予め指定した状態で、コントローラCC121の所定の操作子を操作すると、いずれのオーディオトラックが選択されていたとしても、そのオーディオトラックの選択とは無関係に、当該1つのパラメータの値を変更するようにした機能もある(たとえば、非特許文献1の第19頁参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】CC121 取扱説明書,2008年,ヤマハ株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の音楽制御装置、つまりコントローラCC121では、モータフェーダに割り当てられているパラメータ、つまりモータフェーダによって設定できるパラメータは、いずれのオーディオトラックについても固定的に決まったもの(具体的には、各オーディオトラックのオーディオ信号をミキサに入力する際の信号レベルを規定するボリュームパラメータ)であるので、ユーザがモータフェーダを用いて、オーディオトラック毎に異なった種類のパラメータを設定したいという要望を持っていたとしても、その要望に応えることはできなかった。特に、モータフェーダをサブトラックで用いることは想定されていないので、サブトラックにおけるパラメータの設定に際して、モータフェーダを用いることはなかった。
【0010】
またコントローラCC121では、ボタンに好みのパラメータを割り当てておいた後、そのボタンとノブを操作することで、そのボタンに割り当てたパラメータの値を設定することができるので、この機能をモータフェーダに適用することにより、モータフェーダを用いて任意のパラメータを設定することもできる。しかし、モータフェーダへのパラメータの割り当ては事前に済ませておく必要があるので、トラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、モータフェーダで設定されるパラメータの種類が順次切り替わって行くように設定することは困難である。
【0011】
さらにコントローラCC121では、オーディオトラックの選択とは無関係に、目的のパラメータの値を所定の操作子によって設定することもできるが、Cubase(登録商標)側で当該目的のパラメータを予め指定しておく必要があるので、トラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、そのトラックあるいはサブトラック内の目的のパラメータを素早く設定することも困難である。
【0012】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、トラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、そのトラックあるいはサブトラック内の目的のパラメータを簡単かつ素早く設定することが可能となる電子音楽システムを制御する制御方法を実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のプログラムは、少なくとも1つのトラックと、該トラックを時系列で制御する、少なくとも1つのサブトラックとを備えた曲データの前記トラックおよび前記サブトラックを時系列に表示手段上に表示するとともに、該表示された曲データの前記トラックおよび前記サブトラックを編集および再生する電子音楽装置であって、前記トラックあるいは前記サブトラックを選択する選択手段を備えたものと、編集操作子を備え、前記電子音楽装置をリモート制御する音楽制御装置とからなる電子音楽システムを制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記制御方法は、前記表示された曲データのサブトラックが選択されたことを検出する検出ステップと、前記検出ステップによって前記表示された曲データのサブトラックが選択されたことに応じて、前記編集操作子を、当該サブトラックに割り当てられているパラメータを設定するための操作子に割り当てる割当ステップと、前記編集操作子の操作に応じて、当該サブトラックに割り当てられているパラメータを設定する設定ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載のプログラムは、請求項1のプログラムにおいて、前記編集操作子は、設定対象のパラメータの現在値を提示する提示手段を含み、前記制御方法はさらに、前記選択されたサブトラックに割り当てられているパラメータの現在値を提示させるように前記提示手段を制御する第1の制御ステップを有することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載のプログラムは、請求項1のプログラムにおいて、前記音楽制御装置はさらに、前記トラックあるいは前記サブトラックを選択する選択操作子を有し、前記制御方法はさらに、前記選択操作子の操作に応じて前記トラックあるいは前記サブトラックを選択させる前記選択手段を制御する第2の制御ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、表示された曲データのサブトラックが選択されたことに応じて、編集操作子が当該サブトラックに割り当てられているパラメータを設定するための操作子に割り当てられ、前記編集操作子の操作に応じて、当該サブトラックに割り当てられているパラメータが設定されるので、トラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、そのトラックあるいはサブトラック内の目的のパラメータを簡単かつ素早く設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子音楽システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の音楽制御装置および電子音楽装置の各機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1の音楽制御装置のパネル面の構成の一例((a))と、図1中のディスプレイ上に表示されたシーケンサ画面の一例((b))を示す図である。
【図4】図1の電子音楽装置、特にCPUが実行する初期化処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の電子音楽装置、特にCPUが実行するトラック選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1中の制御操作子およびモータフェーダのうちのいずれかが操作されたときに、音楽制御装置および電子音楽装置、特に各CPUが実行する操作制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図1の電子音楽装置、特にCPUが実行する表示部品の状態変化処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子音楽システムの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施の形態の電子音楽システムは、音楽制御装置1と電子音楽装置2によって構成されている。音楽制御装置1としては、「背景技術」で例示したコントローラCC121のような、1つのモータフェーダを含むコンパクトなフィジカル・コントローラを採用し、電子音楽装置2としては、DAWソフトウェアがインストールされ起動されているPCを採用している。
【0020】
音楽制御装置1は、各種制御情報や各種設定情報を入力するためのノブやスイッチ等からなる制御操作子101と、制御操作子101の操作状態を検出する検出回路102と、前記モータフェーダ103と、装置1全体の制御を司るCPU104と、該CPU104が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM105と、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM106と、各種情報等を表示する表示器107と、USB(universal serial bus)ケーブル300を介して、電子音楽装置2とUSB形式のデータの送受信を行うUSBインターフェース(I/F)108とにより構成されている。
【0021】
上記構成要素103〜108は、バス109を介して相互に接続され、USBI/F108にはUSBケーブル300が接続されている。
【0022】
モータフェーダ103は、フェーダ位置を検出する検出部103aと、フェーダ位置を目標位置に自動的に移動させる駆動部103bとを備えている。
【0023】
表示器107は、本実施の形態では複数のLED(light emitting diode)からなり、大部分のLEDは、それぞれ対応するボタン内に埋め込まれて、ボタンが押下されたときなどの所定のタイミングで点灯/消灯/点滅するようになっている。もちろん、LEDに加えて小型のLCD(liquid crystal display)を備えるようにし、LCD上に各種情報を表示するようにしてもよい。
【0024】
電子音楽装置2は、文字数字入力用キーボードおよびマウス等を含む設定操作子201と、該設定操作子201の各操作子の操作状態を検出する検出回路202と、オーディオ信号を入力するためのオーディオ信号入力回路203と、装置2全体の制御を司るCPU204と、該CPU204が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM205と、曲データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM206と、各種情報等を表示する、たとえばLCDおよびLED等を備えたディスプレイ207と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種曲データ、各種データ等を記憶する記憶装置208と、USBケーブル300を介して、音楽制御装置1とデータの送受信を行うUSBI/F209と、圧縮されたデジタルオーディオ信号を伸長した後アナログオーディオ信号に変換するCODEC(coder-decoder)210と、該CODEC210からのオーディオ信号を音響に変換する、たとえばアンプやスピーカ等のサウンドシステム211とにより構成されている。
【0025】
上記構成要素202〜210は、バス212を介して相互に接続され、USBI/F209にはUSBケーブル300が接続され、CODEC210にはサウンドシステム211が接続されている。
【0026】
記憶装置208は、たとえば、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光磁気ディスク(MO)および半導体メモリなどの記憶媒体とその駆動装置である。記憶媒体は、駆動装置から着脱可能であってもよいし、記憶装置208自体が、電子音楽装置2から着脱可能であってもよい。あるいは、記憶媒体も記憶装置208も着脱不可能であってもよい。なお、記憶装置208(の記憶媒体)には、前述のように、CPU204が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM205に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置208に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM206に読み込むことにより、ROM205に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU204にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0027】
なお本実施の形態では、電子音楽装置2として、DAWソフトウェアがインストールされ起動されているPCを採用しているが、これに限らず、DAWを実現する専用の装置を採用してもよい。また、DAWソフトウェアという範疇に含まれない音楽ソフトウェアをインストールし起動したPCを電子音楽装置2としてもよい。DAWソフトウェアは、図2を用いて後述するように、ソフトウェア音源部2d、レコーダ(図示せず)を含むシーケンサ部2e、およびミキサ部2gの各機能をすべて含んでいるが、これらの機能をすべて含む必要はなく、DAWソフトウェアとしては、それらの一部のみ含んだものを採用し、それ以外は必要なときに、DAWソフトウェアにアドオンする形式でインストールし起動するようにしてもよいし、あるいは、各機能がそれぞれ単体で存在し、DAWソフトウェアとしては、それらを統括する機能のみ備えたものを採用してもよい。つまり、最終的に、少なくともシーケンサと音源とミキサを有する構成になればよい。
【0028】
図2は、音楽制御装置1および電子音楽装置2の各機能構成を示すブロック図である。
【0029】
音楽制御装置1は、前述のように、制御操作子101、モータフェーダ103および表示器107を備えている。
【0030】
制御操作子101には、トラックを指定するための操作子101a、トラックの指定とは無関係に指定可能なパラメータの値を指定するための操作子101b、トラックの指定に応じて指定可能なパラメータの値を指定するための操作子101c、およびサブトラックの指定に応じて指定可能なパラメータの値を指定するための操作子101dの4種類の操作子がある。モータフェーダ103は、本実施の形態では操作子101dと同様に、サブトラックの指定に応じて指定可能なパラメータの値を指定するためのものである。なおサブトラックとは、本実施の形態では、特に明示しなくても「背景技術」で前述した「オートメーションサブトラック」のこととする。
【0031】
表示器107は、前述のように複数のLEDからなり、その大部分は、それぞれ対応するボタン(操作子)内に埋め込まれているので、表示器107にも、制御操作子101と同様に、トラックの指定とは無関係に指定可能なパラメータについての表示器107b、トラックの指定に応じて指定可能なパラメータについての表示器107c、およびサブトラックの指定に応じて指定可能なパラメータについての表示器107dがある。ただし本実施の形態では、トラックを指定するための表示器は設けられていない。もちろん、これに限らず、トラックを指定するための表示器を設けるようにしてもよい。
【0032】
制御部1aは、主として前記図1のCPU104、ROM105およびRAM106に相当し、操作子101a〜101dおよびモータフェーダ103のうち、操作状態に変化のあった操作子の操作状態(ノブやモータフェーダ103の場合には指示位置であり、ボタンの場合にはオン/オフ状態である)をMIDI(musical instrument digital interface)メッセージに変換した上で、USBの通信プロトコルに従って電子音楽装置2側に出力する。一方、電子音楽装置2からも音楽制御装置1側に任意のタイミングで、MIDIメッセージがUSBの通信プロトコルに従って送信されてくるので、制御部1aは、これを常時監視し、MIDIメッセージが送信されてくると、このMIDIメッセージを受信してその内容を解析し、操作子の操作状態(本実施の形態では、モータフェーダ103の指示位置)や表示器(本実施の形態では、LEDの点灯/消灯/点滅)に適宜反映させる。なお、MIDIメッセージの送受信は、図2では図示しないものの、音楽制御装置1側ではUSBI/F108を介して、電子音楽装置2側ではUSBI/F209を介して行われる。
【0033】
電子音楽装置2には、USBドライバおよびMIDIドライバ2aがインストールされている。USBドライバおよびMIDIドライバ2aは、音楽制御装置1との間でMIDIメッセージをUSBの通信プロトコルに従って送受信するためのものである。したがって、図2には図示されていないが、音楽制御装置1側にも、USBドライバおよびMIDIドライバが備わっていることは言うまでもない。
【0034】
エクステンション部2bは、アプリケーション、つまり前記DAWソフトウェアの機能を拡張するためのものであり、音楽制御装置1専用に作成されたものである。エクステンション部2bは、CPU204がエクステンションソフトウェアを実行することによって実現されている。このエクステンションソフトウェアは、DAWソフトウェアが通常備えているものではなく、本発明を実現するために新たに作成したものである。したがって、DAWソフトウェアを起動したとしても、それに応じて自動的にエクステンション部2bは生成されない。このため本実施の形態では、DAWソフトウェアを起動するときに同時に、あるいはDAWソフトウェアを起動した後、エクステンション部2bが必要になった時点で、そのエクステンションソフトウェアも記憶装置208からRAM206内に読み込んで起動するようにしている。
【0035】
DAWソフトウェアは、本実施の形態では主として、ユーザインターフェース部2c、ソフトウェア音源部2d、シーケンサ部2e、エフェクト部2fおよびミキサ部2gによって構成されている。ただし、各部2c〜2gは、その各機能をソフトウェア的に明確に区別できないので、各部2c〜2gのブロックは、破線で描かれている。
【0036】
ユーザインターフェース部2cには、前記設定操作子201に含まれる文字数字入力用キーボード(以下、「キーボード」と略す)201aおよびマウス201bと、前記ディスプレイ207とが接続され、ユーザインターフェース部2cは、電子音楽装置2のGUI(graphical user interface)環境を提供する。つまりユーザインターフェース部2cは、ユーザがキーボード201aおよびマウス201bを介してユーザインターフェース部2cに対して行った操作入力を受け付け、その操作入力の対象となる機能に対してその操作入力に応じた指示を行うという通常の制御処理に加えて、ユーザが音楽制御装置1の制御操作子101を用いて行った操作入力をエクステンション部2bを介して受け付け、その操作入力の対象となる機能に対してその操作入力に応じた指示を行うという制御処理も実行する。これにより、音楽制御装置1はDAWソフトウェアの各種機能をリモート制御することができる。
【0037】
ソフトウェア音源部2dは、ソフトウェアによってデジタルオーディオ信号を生成する。ソフトウェア音源部2dは、複数種類のソフトウェア音源(複数の楽音生成アルゴリズムによって生成されたもの、複数のメーカによって製造されたものなど)を備え、その中から1または複数の音源を選択して用いるようにしている。なおソフトウェア音源部2dは、本実施の形態ではすべてソフトウェア音源によって構成したが、これに限らず、すべてハードウェア音源によって構成してもよいし、ソフトウェア音源とハードウェア音源の双方を使用できるようにしてもよい。後者の場合、ソフトウェア音源とハードウェア音源とを区別してユーザに提示してもよいし、混在させて(ユーザにその区別を認識させずに)提示してもよい。
【0038】
シーケンサ部2eは、前記記憶装置208に記憶されている各種曲データのうち、ユーザによって選択され、RAM206の所定位置に確保された曲データ格納領域(図示せず)に格納された曲データを再生する。曲データはそれぞれ、複数のトラックによって構成され、各トラックには、複数のサブトラックを生成することができるようになっている。トラックおよびサブトラックの例としては、次を挙げることができる。
(a)オーディオトラック:曲のパートを構成する、音声波形からなるトラックである。曲再生時には、オーディオトラックの音声波形はシーケンサ部2eで再生され、そのままミキサ部2gに出力される。一方、録音時には、前記オーディオ信号入力回路203から入力された音声波形がオーディオトラックに記録される。オーディオトラックのサブトラックとしては、ボリューム(オーディオトラック出力に対する、ミキサ部2gでの入力アッテネータ)、ミュート(オーディオトラック出力に対する、ミキサ部2gでの入力ミュートオン/オフ)、パン(オーディオトラック出力に対する、ミキサ部2gでのパン設定)、センド(ミキサ部2gに入力されたオーディオトラック出力をミキサ部2gからエフェクト部2fへセンドするレベル設定)などを規定するサブトラックを生成することができる。
(b)MIDIトラック:曲のパートを構成する、MIDI形式の演奏データからなるトラックである。MIDIトラックの演奏データは、シーケンサ部2eで再生される。そして、生成されたMIDIイベントは、内部のソフトウェアMIDIモジュール(前記ソフトウェア音源部2dの一部)や外部のMIDI機器に送信されて、楽音生成などに用いられる。MIDIトラックのサブトラックとしては、オーディオトラックのサブトラックと同様に、ボリューム、ミュート、パンなどのパラメータを規定するサブトラックを生成することができるが、その設定値は、MIDI音源を制御するために用いられる。この他に、MIDIトラックのサブトラックには、ピッチベンドなど、MIDI特有のコントロールチェンジメッセージの列を置くようにしてもよい。
(c)Fxチャンネルトラック:ミキサ部2gからエフェクト部2fや外部のエフェクト機器に音声信号を送った後に、ミキサ部2gに返されるエフェクトリターン信号を制御するトラックである。Fxチャンネルトラックのサブトラックとしては、オーディオトラックのサブトラックと同様のパラメータを規定するサブトラックを生成することができる。
(d)グループチャンネルトラック:複数のオーディオトラックをサブミックスするトラックである。グループチャンネルトラックのサブトラックとしては、オーディオトラックのサブトラックと同様のパラメータを規定するサブトラックを生成することができる。
【0039】
シーケンサ部2eは、前述のように、曲データのオーディオトラックを再生して生成したオーディオ信号をミキサ部2gに出力する一方、曲データのMIDIトラックを再生して生成したMIDIイベントをソフトウェア音源部2d(のMIDI音源モジュール)に出力する。
【0040】
ミキサ部2gは、ソフトウェア音源部2dから出力されたデジタルオーディオ信号と、シーケンサ部2eから出力されたデジタルオーディオ信号とをミックスし、そのミックス信号に、エフェクト部2fを介して適宜効果を付与した後、CODEC210に出力する。
【0041】
CODEC210は、ミキサ部2gから出力されたデジタルオーディオ信号(このデジタルオーディオ信号が圧縮されたものである場合には、伸長した後)をアナログオーディオ信号に変換し、そのアナログオーディオ信号を前記サウンドシステム211に出力する。サウンドシステム211は、このアナログオーディオ信号を音響に変換する。
【0042】
以上のように構成された電子音楽システムが実行する制御処理を、まず図3を参照してその概要を説明し、次に図4〜図7を参照して詳細に説明する。
【0043】
図3(a)は、音楽制御装置1のパネル面の構成の一例を示す図である。同図(a)に示すように、音楽制御装置1のパネル面には、前記4種類の制御操作子101a〜101dとモータフェーダ103が設けられている。
【0044】
図3(b)は、DAWソフトウェア上のアプリケーション内に曲データが読み込まれたり、新規に作成されたりして、シーケンサ部2eが使用できる状態になったときに、ディスプレイ207上に表示されたシーケンサ画面207aの一例を示す図である。同図(b)のシーケンサ画面207aでは、オーディオ1(Audio1)トラックのボリュームサブトラックに斜線が施され、当該ボリュームサブトラックが選択された状態が図示されている。ここで、トラックあるいはサブトラックの選択は、音楽制御装置1側では制御操作子101a(図3(a)のチャンネルセレクト(CHANNEL SELECT)ボタン)を操作することでなされ、電子音楽装置2側ではカーソル(図示せず)を目的のトラックあるいはサブトラックに合わせた状態で、前記マウス201bをクリック操作することでなされる。
【0045】
本発明の特徴は、選択されるトラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、モータフェーダ103によって設定されるパラメータの種類を当該切替後のトラックあるいはサブトラックに応じた種類に自動的に切り替えることにある。具体的には、モータフェーダ103は、オーディオ1トラックが選択されたときには、オーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部2gでの入力アッテネータの値(ただし、経時的に変動しない値)を設定でき、ボリュームサブトラックが選択されたときには、オーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部2gでの入力アッテネータの値(ただし、経時的に変動する値(図3(b)では、時系列データv))を設定でき、パンサブトラックが選択されたときには、オーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部2gでのパンの値(ただし、経時的に変動する値(図3(b)では、時系列データp))を設定できる。なおモータフェーダ103のフェーダ位置は、選択されるトラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、当該切替後のトラックあるいはサブトラックにおいて設定されているパラメータ値を指示する位置に自動的に移動する。
【0046】
このように本実施の形態では、選択されるトラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、モータフェーダ103によって設定されるパラメータの種類が当該切替後のトラックあるいはサブトラックに応じた種類に自動的に切り替わるので、当該切替後のトラックあるいはサブトラック内の目的のパラメータを簡単かつ素早く設定することが可能となる。
【0047】
次に、この制御処理を詳細に説明する。
【0048】
図4は、電子音楽装置2、特にCPU204が実行する初期化処理の手順を示すフローチャートであり、同図には、DAWソフトウェア上のアプリケーションで実行される初期化処理とエクステンション部2bで実行される初期化処理とが示されている。
【0049】
ユーザの起動指示に応じてアプリケーションが起動すると、CPU204は、初期化処理を開始し、所定のエクステンションソフトウェアを前記RAM206内にロードする(ステップS101)。ここで、所定のエクステンションソフトウェアとは、音楽制御装置の機種に応じたエクステンション部を生成するためのものである。エクステンションソフトウェアは、本実施の形態では、音楽制御装置の各種機種について作成され、前記記憶装置208内に予め記憶されている。したがって上記ステップS101では、記憶装置208内の複数のエクステンションソフトウェアのうち、音楽制御装置1に対応するものを読み出してロードしている。もちろん、エクステンションソフトウェアはすべて記憶装置208内に記憶されているとせずに、その一部が記憶装置208内に記憶され、ロードすべきエクステンションソフトウェアが記憶装置208内に記憶されていないときには、そのエクステンションソフトウェアは、通信インターフェース(図1の電子音楽装置2には図示されていないが、電子音楽装置2は通常備えている)を介して外部機器(たとえば、サーバ)から取得するようにしてもよい。
【0050】
このようにして所定のエクステンションソフトウェアがロードされると、エクステンション部2bが、前記図2のように生成される。これに応じてエクステンション部2bでも、初期化処理が開始される。この初期化処理では、まずCPU204は、音楽制御装置1の表示器107/駆動部103bに対応する表示部品についてのコールバック設定をアプリケーションに指示する(ステップS201)。ここで「表示部品」とは、前記ディスプレイ207の前記LCD上に表示されている各種表示部品(たとえば前記図3(b)のシーケンサ画面207aでは、“m”,“s”,“R”,“w”などのボタンや「ボリューム」および「左右パン」などのパラメータ名表示部など)である。そして「音楽制御装置1の表示器107/駆動部103bに対応する表示部品」とは、当該各種表示部品のうち、表示器107(のLED)/駆動部103bに対応するものである。ただし、表示器107/駆動部103bの中には、トラックあるいはサブトラックが決まって初めて、対応する表示部品が決まるものもあるので、初期化処理では、いずれのトラックあるいはサブトラックを選択状態にするかの問題があるが、たとえば、最初に選択状態にするトラックあるいはサブトラックが固定的に決まっていてもよいし、最初に選択状態にするトラックあるいはサブトラックは決まっておらず、ユーザがトラックあるいはサブトラックを選択して初めて、当該トラックあるいはサブトラックを選択状態にするようにしてもよい。さらに「コールバック設定」とは、表示器107/駆動部103bに対応する表示部品の表示状態が変化したときに、エクステンション部2bに用意された各種関数のうち、アプリケーションが呼び出すべき関数を特定して設定することである。
【0051】
ステップS201の指示に応じて、アプリケーションではコールバック設定を行う(ステップS102)。次にCPU204は、エクステンション部2bからの問い合わせに応じて、表示部品の状態(設定値)をエクステンション部2bに通知する(ステップS103)。
【0052】
エクステンション部2bは、これに応じて音楽制御装置1の表示器107/駆動部103bに対応する表示部品の状態(設定値)をアプリケーションから取得し(ステップS202)、取得した表示部品の状態(設定値)をMIDIメッセージに変換して音楽制御装置1に通知する(ステップS203)。
【0053】
音楽制御装置1のCPU104は、このMIDIメッセージを受信すると、受信したMIDIメッセージを解析し、解析結果を自身の表示器107/駆動部103bに反映させる。これに応じて表示器107/駆動部103bの状態は、前記取得された表示部品の状態(設定値)に一致する。なお、音楽制御装置1側の上記処理は、MIDIメッセージの通常の受信処理と変わらないので、図示されていない。
【0054】
図5は、電子音楽装置2、特にCPU204が実行するトラック選択処理の手順を示すフローチャートであり、同図には、アプリケーションで実行されるトラック選択処理とエクステンション部2bで実行されるトラック選択処理とが示されている。
【0055】
アプリケーション側のトラック選択処理は、たとえば前記図3(b)のシーケンサ画面207aが表示された状態で、いずれかのトラック(サブトラックは含まない)が選択されたときに起動される。トラックの選択は、前述のように、音楽制御装置1側からでも電子音楽装置2側からでも行うことができるが、図5のフローチャートは、後者の場合、つまり電子音楽装置2側からトラック選択を行った場合を示している。ただし、前者の場合、つまり音楽制御装置1からトラック選択を行った場合は、後述する図6の操作制御処理を実行した後、それに続いて本トラック選択処理を実行すればよい。アプリケーション側のトラック選択処理が起動されると、まずCPU204は、トラック選択があったことをコールバックでエクステンション部2bに通知する(ステップS111)。なお、トラック選択がなされたときに、エクステンション部2bに用意された関数のいずれを呼び出すかは、前記初期化処理のコールバック設定(前記図4のステップS102参照)により特定されているので、上記ステップS111の処理では、CPU204はコールバックでその関数に処理を渡している、つまりその関数を呼び出している。
【0056】
エクステンション部2bでは、これに応じてトラック選択処理を開始する。このトラック選択処理では、CPU204は、アプリケーションに対して選択されたトラックがどのトラックであるかを問い合わせる(ステップS211)。これに応じてアプリケーションからエクステンション部2bに、選択されたトラックを特定する情報が通知される(ステップS112)ので、エクステンション部2bは、この情報を受信する(ステップS211)。
【0057】
エクステンション部2bは、受信したトラックの情報に基づいて、コールバック設定の更新をアプリケーションに指示する(ステップS212)。前記図3(b)のシーケンサ画面207aは、前述のようにオーディオ1トラックのボリュームサブトラックが選択された状態を示しているが、このシーケンサ画面207aからユーザがオーディオ1トラック、つまりその親トラックを選択すると、音楽制御装置1の表示器107/駆動部103bのうち、その親トラックの選択に応じて表示状態を変更すべきものは、操作子101cおよび101d内に埋め込まれた各LEDの点灯/消灯/点滅の状態とモータフェーダ103のフェーダ位置(駆動部103bへの設定値)である。したがってこの場合、他の操作子101b内に埋め込まれた各LEDの点灯/消灯/点滅の状態は、現在の状態を維持すればよい(なお操作子101a内には、本実施の形態では前述のように、LEDは埋め込まれていないので、操作子101aに対する表示状態の変更は考えなくてもよい)。つまり、前記ステップS212の「コールバック設定の更新」とは、表示器107/駆動部103bのうち、トラックの選択に応じて表示状態を変更すべきものに対応する表示部品についてのコールバック設定の更新を意味する。
【0058】
これ以降の処理、つまりステップS113,S114,S213およびS214の各処理と、ステップS214の処理に応じて音楽制御装置1が実行する処理は、前記図4の初期化処理中の対応する処理とほぼ同様である(同様ではないとしても、簡単に類推適用できる)ので、その説明は省略する。
【0059】
電子音楽装置2側からサブトラック選択を行った場合のサブトラック選択処理は、図5のトラック選択処理を次のように変更することで、簡単に得ることができる。つまり、
S111:「トラック選択」を「サブトラック選択」に変更
S211:「選択されたトラックがどれか」を「選択されたサブトラックがどれかと、その親トラックがどれか」に変更
S112:「選択されたトラック」を「選択されたサブトラックとその親トラック」に変更
S213:「トラック」を「サブトラック」に変更
である。
【0060】
図6は、制御操作子101およびモータフェーダ103のうちのいずれかが操作されたときに、音楽制御装置1および電子音楽装置2、特にCPU104およびCPU204が実行する操作制御処理の手順を示すフローチャートであり、同図には、音楽制御装置1で実行される操作制御処理と、エクステンション部2bで実行される操作制御処理と、アプリケーションで実行される操作制御処理とが示されている。
【0061】
制御操作子101およびモータフェーダ103のうち、たとえばモータフェーダ103が操作されると、CPU104は、操作された対象、つまりモータフェーダ103であることと、その操作量、つまりフェーダ位置をMIDIメッセージに変換して電子音楽装置2に送信する(ステップS321)。エクステンション部2bでは、このMIDIメッセージから操作された対象とその操作量を取得し(ステップS221)、操作された対象に対応する表示部品がその操作量に対応する状態(設定値)になるように、アプリケーションに指示する(ステップS222)。
【0062】
アプリケーションは、これに応じて、指示された表示部品を指示された状態(設定値)に設定する(ステップS121)とともに、変更に伴う各種処理を実行する(ステップS122)。
【0063】
たとえば前記図3(b)のシーケンサ画面207aにおいて、ユーザが操作子101dに含まれる“w”ボタンを押下して、オートメーションサブトラック(ボリュームサブトラック)への書き込み機能を選択した状態で、モータフェーダ103を上方向/下方向に操作すると、ボリュームパラメータの値、つまりオーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部2gでの入力アッテネータの値の時系列データvが、選択されているオートメーションサブトラックに書き込まれて行く。ここで、パラメータの種類は、ユーザが前記パラメータ名表示部(たとえば「ボリューム」が表示されている部分)に前記カーソルを合わせた状態で、前記マウス201bをクリック操作すると、選択可能なパラメータの名称が記載されたリストが表示され、その中からいずれかの名称を選択すると、その名称のパラメータに変更することができる。したがって、オーディオ1トラックの第1のサブトラック(ボリュームサブトラック)でも、第2のサブトラック(パンサブトラック)に割り当てられているパンパラメータを選択することができる。第1のサブトラックにパンパラメータが選択されているときに、前記“w”ボタンが押下されて、オートメーションサブトラック(ボリュームサブトラック)への書き込み機能が選択された状態で、モータフェーダ103が上方向/下方向に操作されると、パンパラメータの値、つまりオーディオ1トラック出力に対する、ミキサ部2gでのパンの値の時系列データpが、第2のサブトラックでの図示例と同様に、第1のサブトラックに書き込まれて行く。
【0064】
図7は、電子音楽装置2、特にCPU204が実行する表示部品の状態変化処理の手順を示すフローチャートであり、同図には、アプリケーションで実行される表示部品の状態変化処理とエクステンション部2bで実行される表示部品の状態変化処理とが示されている。
【0065】
アプリケーションでは、まず各表示部品の状態(設定値)を更新し(ステップS131)、この結果、状態(設定値)が変動した表示部品のうち、コールバック設定されているものについてはコールバックを実行する(ステップS132)。
【0066】
エクステンション部2bでは、これに応じて表示部品の状態変化処理を開始し、表示部品の状態(設定値)をアプリケーションに問い合わせる(ステップS231)。これに応じてアプリケーションからエクステンション部2bに、表示部品の状態(設定値)が通知される(ステップS133)ので、エクステンション部2bは、この情報を受信する(ステップS231)。
【0067】
エクステンション部2bは、受信した表示部品の状態(設定値)をMIDIメッセージに変換して音楽制御装置1に通知する(ステップS232)。このステップS232の処理に応じて音楽制御装置1が実行する処理は、前記図4のステップS203の処理に応じて音楽制御装置1が実行する処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0068】
このようにして、電子音楽装置2のディスプレイ207のLCD上に表示されている各種表示部品の状態(設定値)が変動したとしても、音楽制御装置1の表示器107/駆動部103bの表示状態は、変動後の状態(設定値)に一致することになる。
【0069】
なお本実施の形態では、トラックあるいはサブトラックが切り替わる度に、当該切替後のトラックあるいはサブトラックに応じた種類のパラメータを自動的に割り当てて行く操作子として、1つのモータフェーダ103を採用したが、操作子の種類は、モータフェーダに限らず、駆動部103bのない単なるフェーダでもよいし(ただしこの場合、フェーダ位置は自動的に移動しない)、フェーダではない種類の操作子であってもよい。さらに操作子の個数も、1つに限る必要はない。ただし、操作子の数が多くなると、どの操作子でどのパラメータが操作されるのか見分け辛くなるので、操作子の色とパラメータの表示色を合わせたりして、両者の対応付けを明確化する必要がある。
【0070】
また本実施の形態では、前記図3(b)のシーケンサ画面207aで例示したように、選択されているトラックあるいはサブトラックは、他の選択されていないトラックあるいはサブトラックと区別するために「斜線」を施したが、両者を区別するための表示態様は、斜線に限らず、表示色や反転表示など、どのようなものを採用しても構わない。
【0071】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0072】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードおよび該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0073】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0074】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0075】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1…音楽制御装置,2…電子音楽装置,101a…操作子(選択操作子),103…モータフェーダ(編集操作子),103b…駆動部(提示手段),204…CPU(選択手段),207…ディスプレイ(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのトラックと、該トラックを時系列で制御する、少なくとも1つのサブトラックとを備えた曲データの前記トラックおよび前記サブトラックを時系列に表示手段上に表示するとともに、該表示された曲データの前記トラックおよび前記サブトラックを編集および再生する電子音楽装置であって、前記トラックあるいは前記サブトラックを選択する選択手段を備えたものと、編集操作子を備え、前記電子音楽装置をリモート制御する音楽制御装置とからなる電子音楽システムを制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記表示された曲データのサブトラックが選択されたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップによって前記表示された曲データのサブトラックが選択されたことに応じて、前記編集操作子を、当該サブトラックに割り当てられているパラメータを設定するための操作子に割り当てる割当ステップと、
前記編集操作子の操作に応じて、当該サブトラックに割り当てられているパラメータを設定する設定ステップと
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記編集操作子は、設定対象のパラメータの現在値を提示する提示手段を含み、
前記制御方法はさらに、前記選択されたサブトラックに割り当てられているパラメータの現在値を提示させるように前記提示手段を制御する第1の制御ステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記音楽制御装置はさらに、前記トラックあるいは前記サブトラックを選択する選択操作子を有し、
前記制御方法はさらに、前記選択操作子の操作に応じて前記トラックあるいは前記サブトラックを選択させる前記選択手段を制御する第2の制御ステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−59232(P2011−59232A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206813(P2009−206813)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】