電極基板の製造方法
【課題】基板及びその上に形成された導電パターンに不良を発生させることなく基板の両面に電極を形成できる電極基板の製造方法を提供する。
【解決手段】透光性基板102(h)の両面に第1透光性電極104a及び第2透光性電極104bを有する電極基板1を製造するための製造方法である。透光性基板102の第1主面S1に導電膜104a’を形成する工程(c)と、その導電膜104a’をパターニングする工程(d)と、透光性基板102の第2主面S2に導電膜104b’を形成する工程(f)と、その導電膜104b’をパターニングする工程(g)とを有し、導電膜104b’をパターニングする工程(g)は第1主面S1上に保護膜125を設けた状態で実施される。
【解決手段】透光性基板102(h)の両面に第1透光性電極104a及び第2透光性電極104bを有する電極基板1を製造するための製造方法である。透光性基板102の第1主面S1に導電膜104a’を形成する工程(c)と、その導電膜104a’をパターニングする工程(d)と、透光性基板102の第2主面S2に導電膜104b’を形成する工程(f)と、その導電膜104b’をパターニングする工程(g)とを有し、導電膜104b’をパターニングする工程(g)は第1主面S1上に保護膜125を設けた状態で実施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの基板の両面に導電膜等の導電パターンを有する電極基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機、携帯情報端末機等といった各種の電子機器において、例えば、当該電子機器に関する各種の情報を視覚的に表示するための表示部として、液晶装置やEL(Electro luminessence)装置等といった電気光学装置が広く用いられている。また、これらの電気光学装置にはタッチパネル等といった入力装置が設けられることがある。これらの電気光学装置や入力装置は、一般に、透明導電膜や金属膜等から成る導電パターンが形成された基板を用いて構成されている。
【0003】
基板上に導電パターンを形成する作業、いわゆるパターン形成作業の際には、一般に、スパッタ、露光、現像、エッチング等といった作業を行うのであるが、これらの作業を行う際には、各作業を行う装置が有するテーブルやマガジンに基板を固定してその作業が行われることがある。
【0004】
上記のような基板を製造する方法として、従来から、基板の一方の面に導電パターンを形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法は、2つの基板を平面的に重ねて構成された液晶装置の製造方法であって、2つの基板のうちの一方の基板に導電膜等から成る導電パターンを形成している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−268042号公報(第6頁、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板に形成される導電パターンは、基板の表裏両面に設けられる場合がある。この場合、基板の一方の面にパターン形成を行い、その後、基板の他方の面にパターン形成を行うことが考えられる。しかしながら、特許文献1に開示された基板の製造方法は、専ら基板の一方の面のみにパターンを形成するものであり、パターン形成を行う際、そのパターンを形成する面の反対側の面を保護することに関してなんらの考慮もされていない。そのため、特許文献1に開示された方法を用いて基板の表裏両面にパターンを形成しようとすると、基板の一方の面にパターン形成を行う際、例えば基板を搬送する工程のとき等に、基板の他方の面に傷がついたり異物が付着することがあり、傷がついた面に形成するパターンに不良が発生するおそれがある。
【0007】
また、基板の他方の面にパターン形成を行う際、スパッタ等の作業を行う装置のテーブル等に直接に接触して、既に一方の面に形成されたパターンに傷がつく等の不良が発生するおそれがある。それらのパターン不良が発生することにより、基板を製造する工程における歩留まりが低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、基板及びその基板上に形成された導電パターンに不良を発生させることなく基板の両面に電極を形成できる電極基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の電極基板の製造方法は、基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程とを有し、前記第2パターニング工程は、前記第1パターニング工程の後に行われると共に、前記第1主面上に保護手段を設けた状態で行われることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電極基板の製造方法において、「保護手段」としては、例えば、感光性樹脂膜、ガラス体、金属膜等を用いることができる。また、第1導電膜形成工程及び第2導電膜形成工程では、例えばスパッタ装置を用いて基板の第1主面又は第2主面に導電膜が形成される。また、第1パターニング工程及び第2パターニング工程は、例えば露光装置を用いて行われる露光処理を含む。また、各工程の間には、製造中の基板を搬送する工程が行われる。また、その他必要に応じて種々の工程が実行される。
【0011】
本発明に係る第1の製造方法において、第2パターニング工程は、基板の第1主面上に保護手段を設けた状態で実施される。これにより、第2パターニング工程においては、露光装置等といった製造装置において基板を載置する部分(例えば、テーブルやマガジン等)に、基板の第1主面の表面自体又は第1主面上に形成された電極が直接に触れることがなくなる。その結果、基板の第1主面それ自体又は第1主面上に形成された電極に傷がついたり異物が付着することを防止し、基板上の電極に不良が発生することを防止できる。
【0012】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記第1電極を保護する第1保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、前記第1保護手段形成工程の後に前記基板の第2主面に第2の導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程とを有することが望ましい。
【0013】
この構成の電極基板の製造方法では、第1パターニング工程の後に、第1保護手段形成工程において第1電極を覆う保護手段を形成することができる。これにより、基板の第1主面に形成された第1電極は保護手段によって保護されるので、第2パターニング工程において基板の第2主面に第2電極を形成する際に、露光装置やスパッタ装置等といった製造装置において基板を載置する部分に基板の第1主面及び第1電極が直接に触れることがなくなる。その結果、基板の第1主面の表面及び第1電極に傷がついたり異物が付着することを防止し、第1電極に不良が発生することを防止できる。
【0014】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第1導電膜形成工程の後に前記第2導電膜上に第2の保護手段を形成する第2保護手段形成工程と、前記第2保護手段形成工程の後に前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記第1パターニング工程の後に前記第2保護手段を除去する第2保護手段除去工程と、前記第2保護手段除去工程の後に前記第1電極上に第1の保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、前記第1保護手段形成工程の後に前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程とを有することが望ましい。
【0015】
第1導電膜及び第2導電膜は、一般に、スパッタ処理により基板の表面に成膜される。このスパッタ処理には、高温雰囲気中で行われる高温スパッタ処理や、高温スパッタ処理に比べて低温の雰囲気中で行われる低温又は常温のスパッタ処理がある。本発明態様のように導電膜を形成するには、高温スパッタ処理を行うことが望ましい。
【0016】
しかしながら、仮に基板の第1主面に第1保護手段を設けた状態で、基板の第2主面に第2導電膜を形成する場合には、第2導電膜を形成する際のスパッタ処理において、第1保護手段が高温雰囲気中にさらされることになる。こうなると、仮に第1保護手段が樹脂膜を用いて形成されている場合には、その樹脂膜からガスが発生して第2導電膜の成膜に影響を及ぼすおそれがある。
【0017】
本発明態様では、基板の両面にそれぞれ第1導電膜と第2導電膜を形成した後に、第2導電膜上に第2保護手段を形成し、その後、第1導電膜をパターニングすることにした。これにより、第1導電膜及び第2導電膜を成膜するスパッタ処理の際には保護手段が設けられていないので、保護手段からガスが発生する等といった障害が発生することを防止できる。また、第1パターニング工程の際には第2保護手段によって第2導電膜が保護されるので、第2導電膜に傷がついたり異物が付着することを防止できる。一方、第2パターニング工程の際には第1保護手段によって第1電極が保護されるので、基板の第1主面の表面又は第1電極に、傷がついたり異物が付着することを防止し、第1電極に不良が発生することを防止できる。
【0018】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第1保護手段を形成し、前記第2保護手段形成工程では、前記基板の第2主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第2保護手段を形成することができる。また、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付け、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付ける(すなわち、ラミネートする)こともできる。
【0019】
このように、第1保護手段及び第2保護手段を感光性樹脂を材料とした膜として形成すれば、第1保護手段及び第2保護手段を所定の形状に形成することを容易に行うことができる。なお、第1保護手段及び第2保護手段を感光性樹脂を塗布することによって設ける場合には、第1パターニング工程及び第2パターニング工程において導電膜をパターニングする際に用いるレジストと同じ材料及び装置を用いることができるので、保護手段を容易に形成できる。また、第1保護手段及び第2保護手段を感光性樹脂の膜を貼り付ける(すなわち、ラミネートする)ことによって設ける場合には、基板の表面に感光性樹脂膜を貼り付けるという簡単な作業で保護手段を設けることができる。
【0020】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としてのガラス体を貼り付けることができる。また、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としてのガラス体を貼り付けることができる。この構成において、ガラス体としては、例えば前記基板として用いられるガラス基板と同じものを用いることができる。このガラス体は、例えば、接着材を用いて基板の表面に貼り付けることができる。接着材は、例えば平面的に見て枠状に形成することができ、基板とガラス体との隙間を密閉することができる。これにより、基板の表面自体又は基板の表面に形成された電極を保護できる。また、保護手段としてガラス体を用いれば、接着材を設ける又は除去することにより、保護手段を容易に着脱できる。
【0021】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法においては、第1保護手段除去工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第1保護手段除去工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことが望ましい。
【0022】
電極基板を製造する方法としては、個々の電極基板を1つずつ作る手法と、複数個の電極基板を同時に作る、いわゆる、多数個取りの手法とがある。一般には、後者の多数個取りの手法が用いられる。本発明態様は、この多数個取りの手法に関する。この多数個取りの手法では、一般に、複数個の基板を作ることができる大面積の基板上に複数個分の導電パターンが形成され、その後、個々の基板に分割される。基板を分割する工程では、大面積の基板の表面であって、個々の基板に分割する線に沿って分割用の溝を設ける、いわゆるスクライブ工程が行われ、その後個々の基板に分割する工程が行われる。
【0023】
本発明態様によれば、第1保護手段除去工程の後に、第1電極を覆う保護膜を基板の第1主面に貼り付ける工程、及び第2電極を覆う保護膜を基板の第2主面に貼り付ける工程を設けたので、基板に分割用の溝を設ける際に、基板両側の表面自体、第1電極及び第2電極に傷がついたり異物が付着することを防止できる。また、基板に分割用の溝を設ける工程において溝が設けられた部分には保護膜を設けないので、分割用の溝を設ける工程の際に、保護膜が削られることがなくなる。これにより、保護膜が削られることによって塵が発生することを防止できる。
【0024】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記基板の第1主面に前記第1電極を覆う金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記金属膜形成工程の後に前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記金属膜をパターニングして導電部材を形成する第3パターニング工程とを有することが望ましい。
【0025】
この構成の電極基板の製造方法では、第1パターニング工程の後に金属膜形成工程において第1電極を覆う金属膜を形成することができる。こうすれば、基板の第1主面に形成された第1電極は金属膜によって保護されるので、基板の第2主面に第2電極を形成する際に、スパッタ装置等といった製造装置において基板を載置する部分に基板の第1主面の表面及び第1電極が直接に触れることがなくなる。その結果、基板の第1主面の表面及び第1電極に傷がついたり異物が付着することを防止し、第1電極に不良が発生することを防止できる。
【0026】
また、第2パターニング工程の後に金属膜をパターニングして導電部材を形成することにした。導電部材としては、例えば、金属の配線、金属の端子等が考えられる。それらの導電部材は、一般に、電極基板に設けられるものである。本発明態様では、この導電部材材料層である金属膜を保護手段として用いることができるので、製造工程を増やすことなく保護膜を設けることができる。その結果、製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、第3パターニング工程の後に前記第1電極及び前記導電部材を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第3パターニング工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことが望ましい。
【0028】
本発明態様も多数個取りの手法を用いて電極基板を製造する方法に関する。本発明態様によれば、第3パターニング工程の後に、第1電極と導電部材を覆う第1保護膜を基板の第1主面に貼り付ける工程及び第2電極を覆う第2保護膜を基板の第2主面に貼り付ける工程を設けたので、基板に分割用の溝を設ける際に、基板両側の表面自体、第1電極、第2電極及び導電部材に傷がついたり異物が付着することを防止できる。また、基板に分割用の溝を設ける工程において溝が設けられた部分には、第1保護膜及び第2保護膜を設けないので、分割用の溝を設ける工程の際に、保護膜が削られることがなくなる。これにより、保護膜が削られることによって塵が発生することを防止できる。
【0029】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することが望ましい。液晶装置等といった電気光学装置では、光を用いて表示を行うために透光性の基板が用いられることが多い。本構成の電極基板によれば、基板を透光性とし、さらにその基板の両面に形成される導電膜を透光性の材料を用いて形成することにより、液晶装置等といった電気光学装置に好適に用いることができる。
【0030】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第1導電膜形成工程で用いる前記導電材料はp(ポリ)−ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)であることが望ましい。p−ITOは、いわゆる結晶質ITO又は多結晶ITOである。このp−ITOは、一般に、透明度が高く且つ抵抗値が低い導電材料である。従って、p−ITOを用いて第1導電膜を形成すれば、透明度が高く且つ抵抗値が低い導電膜を基板の表面に設けることができる。
【0031】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第2導電膜形成工程では、前記第2導電膜をアモルファスITOを用いて形成し、前記第2導電膜をパターニングして形成した前記第2電極をポリ化する焼成工程をさらに有することが望ましい。a−ITOは、いわゆる非晶質ITOである。このa−ITOはp−ITOに比べて耐エッチング性が弱いITOである。すなわち、a−ITOは弱いエッチング液でエッチングすることができる。
【0032】
基板の第1主面に形成された第1電極は第1保護手段によって保護されているのであるが、この第1保護手段が何等かの理由で傷つくことが考えられる。この状態で第2パターニング工程を行うと、第2導電膜をエッチングするためのエッチング液が第1保護手段の傷の部分から進入して第1電極を腐蝕させるおそれがある。本発明態様では、第2導電膜をa−ITOを用いて形成するので、仮にエッチング液が第1保護手段から進入して第1電極に達したとしても、p−ITOで形成した第1電極が腐蝕することがなくなる。
【0033】
また、本発明態様では、第2導電膜に用いたa−ITOを焼成工程においてポリ化(すなわち、結晶化又は多結晶化)することができる。a−ITOは、透明度が低く抵抗値が高い導電材料であるが、ポリ化することにより透明度を向上させ、且つ抵抗値を低くでき、第1導電膜と同等の機能を有することができる。また、a−ITOは、p−ITOに比べて低い温度で成膜することができる。そのため、第2導電膜形成工程において第2導電膜を形成する際に、反対側の面に形成された第1保護手段が、熱で硬化することを防止できる。
【0034】
次に、本発明に係る第2の電極基板の製造方法は、基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、第1基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記第1パターニング工程の後に前記第1基板を薄くする工程と、第2基板の第1主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記第2基板を薄くする工程と、前記第1基板の第2主面と前記第2基板の第2主面とを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る第2の電極基板の製造方法は、既述の第1の製造方法と異なり、保護手段を設けることなく基板の両面に電極を形成する方法である。この構成の電極基板の製造方法では、第1基板及び第2基板の両基板において、第1主面に電極を形成することにより、基板の片面に電極を有する電極基板を形成し、それらの電極基板を貼り合わせることにより表裏両面に電極を有する電極基板を形成するようにした。第1基板及び第2基板には、それぞれ基板の片面のみに電極が形成される。従って、第1基板上に電極を形成する際には、第1導電膜形成工程及び第1パターニング工程において基板の第2主面に保護手段を設ける必要がない。また第2基板に電極を形成する際にも、第2導電膜形成工程及び第2パターニング工程において、基板の第2主面に保護手段を設ける必要がない。従って、基板の表面に保護手段を設けることなく、基板の表裏両面に導電パターンを形成できる。
【0036】
また、本発明に係る第2の製造方法では、第1基板及び第2基板の両基板を薄くする工程を設けた。この工程では、例えば電極が形成されていない表面をエッチングすることにより第1基板及び第2基板を薄く形成できる。こうすれば、これらの第1基板よ第2基板とを基板を貼り合わせて形成された電極基板を薄く形成できる。なお、基板を薄くする工程は、第1基板においては第1パターニング工程の後に行い、第2基板においては第2パターニング工程の後に行うことにした。これにより、第1基板の第1主面及び第2基板の第1主面に電極を形成する作業を、第1基板及び第2基板を厚みが十分に厚い状態で行うことができるので、第1基板及び第2基板が作業中に破損等することを防止できる。
【0037】
次に、本発明に係る第2の電極基板の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記電極基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記電極基板を形成する工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記電極基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記電極基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記電極基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことが望ましい。
【0038】
本発明態様も多数個取りの手法を用いて電極基板を製造する方法に関する。本発明態様によれば、電極基板を形成する工程の後に、第1電極を覆う第1保護膜を電極基板の第1主面に貼り付ける工程、及び第2電極を覆う第2保護膜を電極基板の第2主面に貼り付ける工程を設けたので、電極基板に分割用の溝を設ける際に、基板両側の表面自体、第1電極及び第2電極に傷がついたり異物が付着することを防止できる。また、電極基板に分割用の溝を設ける工程において溝が設けられた部分には、第1保護膜及び第2保護膜を設けないので、分割用の溝を設ける工程の際に、保護膜が削られることがなくなる。これにより、保護膜が削られることによって塵が発生することを防止できる。
【0039】
次に、本発明に係る第2の電極基板の製造方法において、前記第1基板及び前記第2基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することが望ましい。こうすれば、液晶装置等といった電気光学装置に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(電極基板の製造方法の第1実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第1実施形態を説明する。なお、本実施形態の説明で例示する電極基板は特定の用途を企図したものではないが、例えば平面領域内において指示された位置を検出する装置、例えばタッチパネルとしての用途が考えられる。また、これ以降に説明する実施形態は本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。また、これからの説明では必要に応じて図面を参照するが、この図面では、複数の構成要素から成る構造のうち重要な構成要素をわかり易く示すため、各要素を実際とは異なった相対的な寸法で示している。
【0041】
図1は、本実施形態に係る製造方法を基板構造の変遷によって示している。先ず、この製造方法によって製造される電極基板を図1(h)を参照して説明すれば、電極基板1は、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性基板102の表裏両面に電極104a,104bを形成することによって形成されている。符号103は配線等といった導電部材を示している。
【0042】
本実施形態の製造方法では、図1(a)において基板102の表面に導電部材103の材料膜103’が形成され、その材料膜103’がフォトエッチング処理等によってパターニングされて、図1(b)に示す導電部材103が形成される。次に、図1(c)において基板102の第1主面S1に第1導電膜104a’を成膜し、この第1導電膜104a’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図1(d)に示す第1電極104aを形成する。さらに、図1(e)において第1電極104aを覆うように保護膜125を成膜する。
【0043】
次に、基板102の表裏を反転し、図1(f)において基板102の第2主面S2上に第2導電膜104b’を成膜し、この第2導電膜104b’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図1(g)の第2電極104bを形成する。この電極形成時、処理面である第2主面S2の反対面である第1主面S1は処理装置の支持台上に支持されるため、傷を生じたり、異物が付着したりする等といった不都合が発生するおそれがある。しかしながら、第1主面S1は保護膜125によって保護されているので、その第1主面S1に傷が付いたり、異物が付着したりすることはない。以上により第2主面S2上に第2電極104bが形成された後、反対面上の保護膜125を除去することにより、図1(h)の電極基板1が完成する。
【0044】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を保護膜125で覆って保護しながら、その第2パターニングを行う。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止する。
【0045】
(電極基板の製造方法の第2実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第2実施形態を図2〜図16を用いて説明する。この第2実施形態は、図1に示した第1実施形態を、より現実に則して実施するものである。
【0046】
まず、本実施形態に係る電極基板の製造方法を用いて製造される電極基板を図2〜図4を用いて説明する。図2は、その電極基板の側面図である。図3は、図2の矢印Z3方向から見た基板の平面図である。これらの図において、電極基板1は透光性基板2を有し、その透光性基板2は第1主面S1とその反対面である第2主面S2とを有する。透光性基板2は、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等を用いて形成される。透光性基板2の第1主面S1には、複数の第1電極としての第1透光性電極4aと、それらの第1透光性電極4aの片側の端部に接続された配線3とが設けられている。第1透光性電極4aは、図3において破線で示すように、縦方向Xに帯状に延び、横方向Yに間隔を空けて配列されている。
【0047】
第1透光性電極4aは、透光性の導電材料であるp(ポリ)−ITOを用いて形成されている。p−ITOは、いわゆる結晶質ITO又は多結晶ITOである。このp−ITOは、一般に、透明度が高く且つ抵抗値が低い導電材料である。従って、p−ITOを用いて第1透光性電極4aを形成すれば、透明度が高く且つ抵抗値が低い電極を基板の表面に設けることができる。なお、第1透光性電極4aは、ITO以外の透光性の導電材料を用いて形成することもできる。
【0048】
配線3は導電材料によって形成され、複数本設けられている。これらの配線3は、透光性基板2の横方向Yに延びる端辺2b及び2cに沿って延在する部分と、縦方向Xへ延在する部分とによって形成されている。個々の配線3同士は互いに間隔を空けて配列されている。
【0049】
図2において、配線3の左側の先端部分6の上に導電部材7が設けられ、その先端部分6及びその導電部材7によって端子部5aが形成されている。以下、先端部分6を端子部5aの第1層といい、導電部材7を端子部5aの第2層という。端子部5aは図3に示すように基板2上に複数個、設けられている。これらの端子部5aは、透光性基板2の縦方向に延びる端辺2aの近傍で縦方向Xに沿って間隔を空けて並んでいる。個々の端子部5aは、平面的に見て正方形状又は長方形状のドット状に形成されている。なお、端子部5aを円形状に形成しても良い。
【0050】
図2において、配線3は第1層6を含めて金属によって形成されている。本実施形態ではその金属としてCr(クロム)の単層構造を用いている。端子部5aの第2層7は、第1透光性電極4aと同じく、透光性の導電材料であるp−ITOを用いて形成されている。なお、配線3は、Cr及びそれを覆うp−ITOから成る積層膜によって形成することも可能である。この場合には、端子部5aの第2層7は第1層6を形成する積層膜の上層そのものとなる。
【0051】
次に、透光性基板2の第2主面S2には、第2電極としての第2透光性電極4bが設けられている。第2透光性電極4bの左側の一端は端子部5bを構成している。端子部5bは反対面上の端子部5aと平面的に重なる位置に設けられている。なお、端子部5aと端子部5bとは平面的に重ならない位置に設けても良い。
【0052】
第2透光性電極4bは、図3において実線で示すように、横方向Yに延びる帯状に形成されている。そしてそれら帯状の第2透光性電極4bの複数が、縦方向Xに沿って間隔を空けて配列されている。従って、帯状に形成された第2透光性電極4bは、反対側の面である第1主面S1上に設けられた第1透光性電極4aと平面的に見て直交する方向に延びている。第2透光性電極4bは、第1透光性電極4aと同じく、透光性の導電材料であるp−ITOを用いて形成されている。なお、第2透光性電極4bも、ITO以外の透光性の導電材料を用いて形成することもできる。
【0053】
本実施形態において、第1透光性電極4a及び端子部5aが第1主面上の電極を構成している。また、第2透光性電極4b及び端子部5bが第2主面上の電極を構成している。本明細書では、電極及びそれ以外の導電要素(例えば、配線3)を総称して導電パターンと呼ぶことがある。
【0054】
以下、上記構成の電極基板1を製造する方法について説明する。
本実施形態では、電極基板を1つずつ作製するのではなく、面積の大きな透光性基板(いわゆる、マザー透光性基板)を用いて複数の電極基板を同時に作製する、いわゆる多数個取りの手法に基づいて電極基板を作製するものとする。このような多数個取りの製造方法においては、図3に示す電極基板1を1つずつ形成するのではなく、図4(a)及び図4(b)に示すように、複数の電極基板1を形成できる大きさの面積を有するマザー透光性基板2’の上に、電極基板1の複数個分の要素(すなわち、第1透光性電極4aや第2透光性電極4b等を含む導電パターン)を同時に形成する。こうして、電極基板1を縦及び横に複数列含む大きさの大面積のパネル構造体1’を作製し、その大面積のパネル構造体1’に対して縦方向及び横方向に分割用の溝を形成し、さらに、その溝に沿ってパネル構造体1’を分割することにより、個々の電極基板1が作製される。
【0055】
図5は、本発明に係る電極基板の製造方法の一実施形態を示している。また、図6〜図15は、図5の各工程において形成される基板の構造の変遷を工程順に示す構造変遷図である。特に、図6〜図10は、図4(a)の上段左寄りに示すZ6−Z6線に従った断面、すなわち端子部5a及び5bを横切る断面を示している。また、図11〜図15は、Z6−Z6断面を含む平面部分Z11を拡大して示す平面図である。これらの図6〜図10の断面図と図11〜図15の平面図は、それぞれ、同一工程における断面構造及び平面構造を示している。
【0056】
なお、図6〜図10の断面図では処理を受ける面を上面として描いている。このため、図6〜図8の状態と図9〜図10の状態は上下が反転している。また、図11〜図15の平面図では処理を受ける面を手前側の面として描いている。このため、図11〜図13の状態と図14〜図15の状態は表裏が反転している。以下、図6〜図15を参照しながら図5の製造方法を説明する。
【0057】
図5において、工程P1〜工程P7は、図4(a)のマザー基板2’の第1主面(裏面)S1に導電パターンを形成するための第1主面形成工程Q1である。図5の工程P8〜工程P11は、図4(a)の第2主面(表面)S2に導電パターンを形成するための第2主面形成工程Q2である。図5の工程P13及びP14は、図4(a)のマザー基板2’を個々の基板へと分割するための工程Q3である。
【0058】
まず、図4(a)に示すマザー基板2’に対する第1主面形成工程Q1について説明する。図5の工程P1において、図4(a)のマザー基板2’を所定の洗浄液によって洗浄する。次に、図5の工程P2において、図6(a)及び図11(a)に示すように、マザー基板2’の第1主面S1上に材料層3’を、例えばCrを材料としてスパッタリングによって約2000Åの膜厚に成膜する。材料層3’は、図2の配線3及びそれの先端部分である端子部5aの第1層6の材料層である。
【0059】
次に、図5の工程P3において、図6(a)及び図11(a)の材料層3’をフォトエッチング処理によってパターニングする。具体的には、まず、図6(b)及び図11(b)に示すように、材料層3’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21aを、例えばスピンコートによって一様な厚さに塗布する。次に、プレベークを行ってレジスト21a内の溶媒を除去する。
【0060】
次に、塗布されたレジスト21aに対して図6(c)及び図11(c)において露光処理を実行する。具体的には、マザー基板2’を露光装置、例えば一括露光装置の所定位置に設置し、さらに、図6(c)に示す露光マスク22Aをマザー基板2’に対向する所定位置に設置する。露光マスク22Aは、ガラス基板23によって形成された完全光透過領域A0と遮光パターン24Aによって形成された完全遮光領域A1の2つの領域を有する2階調の露光マスクである。この露光マスク22Aは、完全光透過領域A0がレジスト21aを除去する部分に対向し、完全遮光領域A1がレジスト21aを残す部分に対向するように、マザー基板2’に対向する位置に設置される。この状態で露光マスク22Aを通してレジスト21aへ一定光量の露光光L1を照射すると、鎖線で示す露光像が形成されて露光された部分B1が可溶化する。
【0061】
次に、図6(c)及び図11(c)のマザー基板2’を現像液に所定時間、浸漬して現像処理を行う。すると、図6(c)において可溶化した部分B1のレジスト21aが除去されて、レジスト21aが図6(d)及び図11(d)に示す形状にパターニングされる。次に、ポストベークを行い、後のエッチング処理に用いるエッチング液に対するレジスト21aの耐性を調整する。その後、材料層3’に対してレジスト21aをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図6(e)及び図11(e)に示すように材料層3’をパターニングする。そしてさらに、マスクとして使用したレジスト21aを、例えば硫酸等によって剥離することにより、図7(f)及び図12(f)に示すように金属膜としての配線3及び端子部5a(図2参照)の第1層6が形成される。
【0062】
次に、第1導電膜形成工程としての図5の工程P4において、図7(g)及び図12(g)の配線3及び第1層6上に、図2の第1透光性電極4aの材料である第1導電膜としてのp(ポリ)−ITO膜4a’を、スパッタリングによって約500Åの膜厚に成膜する。
【0063】
次に、第1パターニング工程としての図5の工程P5を、図7(h)〜図8(k)及び図12(h)〜図13(k)に示すように実行する。具体的には、まず、図7(h)及び図12(h)に示すように、p−ITO膜4a’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21bを、例えばスピンコートによって一様な厚さに塗布する。次に、プレベークを行ってレジスト21b内の溶媒を除去する。
【0064】
次に、塗布されたレジスト21bに対して図7(i)及び図12(i)において露光処理を実行する。具体的には、マザー基板2’を露光装置、例えば一括露光装置の所定位置に設置し、さらに、図7(i)の露光マスク22Bをマザー基板2’に対向する所定位置に設置する。露光マスク22Bは、ガラス基板23によって形成された完全光透過領域A0と遮光パターン24Bによって形成された完全遮光領域A1の2つの領域を有する2階調の露光マスクである。この露光マスク22Bは、完全光透過領域A0がレジスト21bを除去する部分に対向し、完全遮光領域A1がレジスト21bを残す部分に対向するように、マザー基板2’に対向する位置に設置される。この状態で露光マスク22Bを通してレジスト21bへ一定光量の露光光L2を照射すると、破線で示す露光像が形成されて露光された部分B2が可溶化する。
【0065】
次に、図7(i)及び図12(i)のマザー基板2’を現像液に所定時間、浸漬して現像処理を行う。すると、図7(i)において可溶化した部分B2のレジスト21bが除去されて、図8(j)及び図13(j)に示す形状にパターニングされる。次に、ポストベークを行い、後のエッチング処理に用いるエッチング液に対するレジスト21bの耐性を調整する。その後、p−ITO膜4a’に対してレジスト21bをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図8(k)及び図13(k)に示すようにp−ITO膜4a’をパターニングする。
【0066】
次に、マスクとして使用したレジスト21bを、図5の工程P6において、例えば有機溶剤等によって剥離することにより、図8(l)及び図13(l)に示すように第1透光性電極4a及び端子部5aの第2層7が形成される。
【0067】
次に、第1保護手段形成工程としての図5の保護膜形成工程P7を行う。具体的には、図8(m)及び図13(m)において、第1保護手段としての保護膜であるポジ型の感光性樹脂25を、例えばスピンコートによって1μm〜2μmの厚さにマザー基板2’上に塗布し、この保護膜25によって第1透光性電極4a及び端子部5aを覆う。保護膜25は、これ以降の工程において第1透光性電極4a等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止する。以上により、マザー基板2’の第1主面S1に対する第1主面形成工程が終了する。
【0068】
次に、マザー基板2’の第2主面S2に対する第2主面形成工程Q2について説明する。まず、図5の工程P8において、図4(a)の第2主面(表面)S2が処理できるようにマザー基板2’の表裏を反転し、その第2主面S2を所定の洗浄液によって洗浄する。次に、第2導電膜形成工程としての図5の工程P9において、図9(a)及び図14(a)に示すように、マザー基板2’の第2主面S2上に図3の第2透光性電極4bの材料であるa(アモルファス)−ITO膜4b’を、スパッタリングによって約500Åの膜厚に成膜する。
【0069】
次に、第2パターニング工程としての図5の工程P10を、図9(b)〜図10(e)及び図14(b)〜図15(e)に示すように実行する。具体的には、まず、図9(b)及び図14(b)に示すように、a−ITO膜4b’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21cを、例えばスピンコートによって一様な厚さに塗布する。
【0070】
次に、塗布されたレジスト21cに対して、図9(c)及び図14(c)において、露光処理を実行する。具体的には、マザー基板2’を露光装置、例えば一括露光装置の所定位置に設置し、さらに、露光マスク22Cをマザー基板2’に対向する所定位置に設置する。このとき、第2主面S2の裏面である第1主面S1上のパターンと露光マスク22Cとの間で、透光性のマザー基板2’を通してアライメントが行われる。露光マスク22Cは、ガラス基板23によって形成された完全光透過領域A0と遮光パターン24Cによって形成された完全遮光領域A1の2つの領域を有する2階調の露光マスクである。この露光マスク22Cは、完全光透過領域A0がレジスト21cを除去する部分に対向し、完全遮光領域A1がレジスト21cを残す部分に対向するように、マザー基板2’に対向する位置に設置される。この状態で露光マスク22Cを通してレジスト21cへ一定光量の露光光L3を照射すると、破線で示す露光像が形成されて露光された部分B3が可溶化する。
【0071】
次に、図9(c)及び図14(c)のマザー基板2’を現像液に所定時間、浸漬して現像処理を行う。すると、図9(c)において可溶化した部分B3のレジスト21cが除去されて、図10(d)及び図15(d)に示す形状にパターニングされる。次に、ポストベークを行い、後のエッチング処理に用いるエッチング液に対するレジスト21cの耐性を調整する。その後、a−ITO膜4b’に対してレジスト21cをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図10(e)及び図15(e)に示すようにa−ITO膜4b’をパターニングする。
【0072】
次に、第1保護手段除去工程としての図5の工程P11において、マスクとして使用した図10(e)のレジスト21c及び反対面である第1主面S1上の保護膜25を、例えば有機溶剤等によって剥離することにより、図10(f)及び図15(f)に示すように第2透光性電極4b及び端子部5bが形成される。以上により、マザー基板2’の第2主面S2に対する第2主面形成工程が終了し、マザー透光性基板2’の両面に導電パターンが形成された図4のパネル構造体1’が完成する。
【0073】
以上の第2主面形成工程Q2が行われている間、マザー基板2’の第1主面S1は各工程で用いられる処理装置の支持部材上に支持される。この場合、第1主面S1は支持部材の支持面に接触するので、傷が付いたり、異物が付着することが考えられる。しかしながら、本実施形態では第2主面形成工程Q2が行われている間、第1主面S1は保護膜25に覆われて保護されているので、保護膜25には傷等が付くかもしれないが、保護膜25の中の電極等に傷が付くことはない。
【0074】
次に、図5の工程P12において、図4(a)の右辺部に示すZ4−Z4線に従った断面構造を示す図4(b)に示すように、パネル構造体1’の両面上であって個々の電極基板1の部分に対応する領域に保護膜としての樹脂膜26a,26bを設ける。具体的には、マザー基板2’の第1主面S1上において、個々の電極基板1部分に属する第1透光性電極4a、端子部5a(図4(a)参照)及び配線3を覆うことができる形状の、第1保護膜としての複数の島状の樹脂膜26aを個々の電極基板1部分の上に取り付ける(図16(b)参照)。これらの島状の樹脂膜26aは、マザー基板2’の第1主面S1上に貼り付ける(すなわち、ラミネートする)ことによって取り付けられる。互いに隣接する樹脂膜26a同士は、所定の間隔を空けて設けられている。従って、マザー基板2’の第1主面S1上には、樹脂膜26aが設けられない領域、すなわちマザー基板2’の第1主面S1の表面が露出している領域T(図4(a),(b)参照)が設けられている。
【0075】
一方、マザー基板2’の第2主面S2上においては、図4(b)に示すように、個々の電極基板1部分に属する第2透光性電極4b及び端子部5b(図4(a)参照)を覆うことができる形状に、第2保護膜としての複数の島状の樹脂膜26bを個々の電極基板1部分の上に取り付ける(図16(c)参照)。これらの島状の樹脂膜26bも、マザー基板2’の第2主面S2上に貼り付ける(すなわち、ラミネートする)ことによって取り付けられる。互いに隣接する樹脂膜26b同士も、所定の間隔を空けて設けられている。従って、マザー基板2’の第2主面S2上には、樹脂膜26bが設けられない領域、すなわちマザー基板2’の第2主面S2の表面が露出している領域T(図4(a),(b)参照)が設けられている。また、図4(a)に示すように、マザー基板2’の外周に沿った部分にも樹脂膜26a,26bが設けられていない領域T(斜線で示す)が設けられている。樹脂膜26a,26bとしては、例えばアクリル系樹脂や窒化膜等を用いることができる。
【0076】
斜線で示す領域Tのうち鎖線X0に沿った領域は、パネル構造体1’を個々の電極基板1へと分割する際にスクライブ(すなわち、罫書き)によって分割用の溝を形成する領域である。このように分割用溝を形成する領域に樹脂膜26a,26bを設けずにマザー基板2’の表面を露出しておけば、マザー基板2’をスクライブする際に樹脂膜26a,26bが削られることがなく、それ故、削られた樹脂膜26a,26bが塵となって雰囲気を汚すことがなくなる。
【0077】
ところで、樹脂膜26a,26bが貼り付けられたパネル構造体1’はその後に適宜の構造のマガジン(すなわち、収納枠)に収容された上で必要な処理を受ける。領域Tのうちマザー基板2’の外周に沿った領域は、後の工程においてマザー基板2’にマガジンが接触する領域である。本実施形態のようにマザー基板2’の外周に沿った部分において樹脂膜26a,26bを設けることなく基板表面を露出しておけば、後の工程における作業性が向上する。
【0078】
次に、図5において、パネル構造体1’を分割する工程Q3を説明する。まず、工程P13において、図4(a)のパネル構造体1’の第1主面S1で鎖線X0に沿って、例えばガラススクライバによってスクライブを行って分割用の溝を形成する。このとき、マザー基板2’の第1主面S1上であって鎖線X0に沿った部分には樹脂膜26aが設けられていないので、ガラススクライバは樹脂膜26aを削ることなくマザー基板2’の表面を直接にスクライブできる。また、裏面である第2主面S2においても、樹脂膜26bは鎖線X0に沿った部分には設けられていないので、マザー基板2’の第2主面S2もガラススクライバによって直接にスクライブできる。
【0079】
次に、図5の工程P14において、例えばブレイクマシン等を用いて、図16(d)に示すように、パネル構造体1’を、電極基板1の複数個分の要素を一列に含んだ短冊状1a’に分割する(1次ブレイク)。さらにその後、短冊状のパネル構造体1a’を図16(e)に示すように分割用の溝に沿って分割(2次ブレイク)することにより、図3に示す個々の電極基板1を作製する。
【0080】
次に、図5の焼成工程P15において、個々の電極基板1を所定の温度で焼成する。この焼成により、工程P9においてa−ITOによって膜として形成され工程P10においてパターニングされた第2透光性電極4b(図10の符号4’参照)がポリ化する。このポリ化により、第2透光性電極4bの透光性を向上させ、且つ抵抗値を低くすることができる。以上の一連の工程により、電極基板1が完成する。
【0081】
本実施形態の電極基板の製造方法では、図5のp−ITOパターニング工程P5の後に保護膜形成工程P7において、図8(m)及び図13(m)に示すように、第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3(以下、第1主面膜要素という)を覆う形状に保護膜25を形成する。これにより、基板2’の第1主面S1に形成された第1主面膜要素4a,5a,3は保護膜25によって保護されるので、図4(a)のマザー基板2’の第2主面(表側面)S2に第2透光性電極4b及び端子部5bを形成する際に、第1主面(裏面)S1の表面自体及び第1主面膜要素4a,5a,3がスパッタ装置等といった製造装置のテーブルやマガジンに直接に触れることがなくなる。その結果、マザー基板2’の第1主面S1の表面自体及び第1主面膜要素4a,5a,3に傷がついたり異物が付着したりすることを防止でき、第1主面膜要素4a,5a,3に不良が発生することを防止できる。
【0082】
また、本実施形態では、図5の保護膜貼り付け工程P12において、図4(a)に示すように、マザー基板2’の両面S1,S2における個々の電極基板1の部分の領域に対応させて複数の樹脂膜26a,26bを貼り付けることにした。この場合、互いに隣接する樹脂膜26a同士の間及び互いに隣接する樹脂膜26b同士の間には、樹脂膜26a,26bが無くて基板2’の表面が露出する領域Tが設けられている。これにより、図5の分割工程Q3内のスクライブ工程P13の際に、樹脂膜26a又は26bが削られることがなくなる。これにより、削られた樹脂膜26a又は26bが塵となって雰囲気を汚すことを防止できる。
【0083】
また、本実施形態において、図3の第1主面(裏面)S1上の第1透光性電極4aと端子部5aの第2層7は、図5の第1主面形成工程Q1においてp−ITOを用いて形成した。一方、図3の第2主面S2上の第2透光性電極4bと端子部5bは、図5の第2主面形成工程Q2においてa−ITOを用いて形成した上で、焼成工程P15において焼成することによりそのa−ITOをポリ化することにした。
【0084】
本実施形態では、第2主面洗浄工程P8又はa−ITOスパッタ工程P9の際に、それらの処理を受ける第2主面S2の反対面である第1主面S1上に設けた保護膜25に傷がつくかもしれない。このように傷がつくと、a−ITOパターニング工程P10においてエッチング液が保護膜25についた傷へ進入するおそれがある。しかし、a−ITOはp−ITOに比べて弱いエッチング液でエッチングすることができるので、a−ITOパターニング工程P10において弱いエッチング液を用いることにすれば、保護膜25についた傷等から仮にエッチング液が進入して、第1透光性電極4a又は端子部5aに達したとしても、p−ITOで形成した第1透光性電極4aと端子部5aの第2層7が腐蝕することはない。
【0085】
また、本実施形態では、図5の工程P9で成膜されさらに工程P10でパターニングされて第2透光性電極4bを形成しているa−ITO(図10(e)参照)を、図5の焼成工程P15においてポリ化する。これにより、第2透光性電極4bの透明度を向上させ、且つ抵抗値を低くできる。その結果、第2透光性電極4bはp−ITOを用いて形成した第1透光性電極4aと同様に、高い透光性及び低い電気抵抗を有することができる。また、a−ITOはp−ITOに比べて低い温度で成膜することができる。そのため、図5のa−ITOスパッタ工程P9においてa−ITO膜4b’を形成する際に、反対側の面に形成された保護膜25が、熱で硬化することを防止できる。
【0086】
(電極基板の製造方法の第3実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第3実施形態を図17に基づいて説明する。図1及び図5に示した先の実施形態では、基板の両面に電極を形成するに際して、導電膜の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板の片面ごとに順次に行い、そして後工程で行われる第2パターニングの際には先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を保護膜で覆って保護しながら第2パターニングを行った。これに対し、本実施形態では、導電膜の形成の仕方に改変を加えている。具体的には、まず、基板の両面に導電膜を同時に形成し、その後、両面の導電膜を片面ずつパターニングする。以下、本実施形態を具体的に説明する。
【0087】
本実施形態の製造方法では、図17(a)において基板102の第1主面S1に導電部材103(図17(i)参照)の材料膜103’が形成され、その材料膜103’がフォトエッチング処理等によってパターニングされて、図17(b)に示す導電部材103が形成される。次に、図17(c)において基板102の第1主面S1に第1導電膜104a’を成膜し、同時に反対面である第2主面S2に第2導電膜104b’を成膜する。次に、図17(d)において第2導電膜104b’を覆うように保護膜135を成膜する。
【0088】
次に、第1導電膜104a’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図17(e)に示す第1電極104aを形成する。次に、保護膜135を図17(f)に示すように除去する。次に、図17(g)に示すように、第1電極104aを覆うように保護膜125を成膜する。次に、基板102の表裏を反転し、第2導電膜104b’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図17(h)の第2電極104bを形成する。
【0089】
この電極形成時、処理面である第2主面S2の反対面である第1主面S1は処理装置の支持台上に支持されるため、傷を生じたり、異物が付着したりする等といった不都合が発生するおそれがある。しかしながら、第1主面S1は保護膜125によって保護されているので、その第1主面S1に傷が付いたり、異物が付着したりすることはない。以上により第2主面S2上に第2電極104bが形成された後、反対面上の保護膜125を除去することにより、図17(i)の電極基板1が完成する。
【0090】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’を基板102の両面に同時に成膜した後、それらに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を保護膜125で覆って保護しながらその第2パターニングを行う。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止している。
【0091】
(電極基板の製造方法の第4実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第4実施形態を図18〜図20に基づいて説明する。この第4実施形態は、図17に示した第3実施形態を、より現実に則して実施するものである。なお、本実施形態においても、図2に示す電極基板1を製造するものとする。また、以下の説明では、本実施形態を先の実施形態と異なる点を中心として説明するものとし、共通する工程については説明を省略する。
【0092】
図18は、本実施形態に係る電極基板の製造方法を構成する各工程を示す工程図である。図19及び図20は、図18の両面p−ITOスパッタ工程P24から第1レジスト及び第2主面保護膜剥離工程P27に至るまでの各工程に対応する膜構成の変遷を示す断面図である。
【0093】
本実施形態において、図18のP21〜P23に示す工程は、図5のP1〜P3に示す工程と同じである。また、図18のP29〜P30に示す工程は、図5のP10〜P11に示す工程と同じである。従って、これらの工程の詳細な説明は省略する。
【0094】
図18の工程P23が終了した状態で、図7(f)に示すように配線3及び端子部5a(図2参照)の第1層6が形成されている。その後、図18の工程P24において、図19(a)に示すように、マザー基板2’の第1主面S1に第1導電膜としてのp−ITO膜4a’を形成し、マザー基板2’の第2主面S2に第2導電膜としてのp−ITO膜4b’’を形成する。本実施形態では、マザー基板2’の両面に対して同時にスパッタ処理を行うことにより、p−ITO膜4a’とp−ITO膜4b’’とを同時に形成する。
【0095】
次に、第2保護手段形成工程としての図18の工程P25において、図19(b)のp−ITO膜4b’’を覆うように第2保護手段としての保護膜であるポジ型の感光性樹脂35を、例えばスピンコートによって1μm〜2μmの厚さに塗布して成膜する。
【0096】
次に、第1パターニング工程としての図18の工程P26において、図19(b)のp−ITO膜4a’をフォトエッチング処理によってパターニングする。具体的には、まず、図19(c)においてp−ITO膜4a’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21dを一様な厚さに塗布し、プレベークを行ってレジスト21d内の溶媒を除去する。その後、図19(d)において、レジスト21dに対して露光マスク22Dを用いて露光処理を実施する。露光マスク22Dを用いて露光することにより、図19(d)の露光された部分B4が可溶化する。
【0097】
次に、図20(e)において、マザー基板2’を現像液に所定時間浸漬して、可溶化した部分B4(図20(d)参照)のレジスト21dを除去する。その後ポストベークを行い、さらにp−ITO膜4a’に対してレジスト21dをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図20(f)に示すようにp−ITO膜4a’をパターニングする。
【0098】
その後、マスクとして使用したレジスト21d及びその反対面上の保護膜35を、第2保護膜除去工程としての図18の工程P27において剥離することにより、図20(g)に示す第1電極4a及び端子部5aの第2層7が形成される。そして、第1保護手段形成工程としての図18の工程P28において、図20(h)に示すように、端子部5a及び第1電極4aを覆うように、第1保護手段としての保護膜であるポジ型の感光性樹脂25を、例えばスピンコートによって1μm〜2μmの厚さに塗布して成膜する。以上により、マザー基板2’の第1主面形成工程Q1が終了する。
【0099】
この後、第2主面形成工程Q2が実行される。この工程Q2は、図5に示した先の実施形態における工程Q2と略同じであるが、以下の点が異なっている。まず、図5の実施形態では、図9(a)において、第2導電膜としてのa−ITO膜4b’をマザー基板2’の第2主面S2上に成膜している。これに対し、本実施形態では、図18の工程P24において既に第2導電膜としてのp−ITO膜4b’’(図19(a)参照)を成膜しているので、第1主面形成工程Q1が終了した時点で、図9(a)と同じ膜構成が図20(h)にて形成された状態にある。従って、図18に示す本実施形態において第2主面形成工程Q2は、第2パターニング工程としての第2主面p−ITOパターニング工程P29から開始される。
【0100】
既述のように、工程P29〜P30の各工程は、図5に示した先の実施形態における工程P10〜P11と同じである。すなわち、図18の工程P29において、図9(b)〜図10(e)と同様の工程が行われて、図4(a)の第2透光性電極4b及び端子部5bが形成される。そして、工程P30において図10(e)に示すレジスト21c及びその反対面上の保護膜25が剥離されて、図10(f)に示す導電膜パターンが現れ、これにより、第2主面形成工程Q2が終了する。
【0101】
この後、先の第1実施形態と同様に、図5に示す保護膜貼り付け工程P12が実行され、続いて分割工程Q3が実行され、さらに工程P15において焼成が行われて図2の電極基板1が完成する。
【0102】
本実施形態では、図19(a)のマザー基板2’の両面にそれぞれp−ITO膜4a’と4b’’を形成した後に、図19(b)のp−ITO膜4b’’上に保護膜35を形成し、その後p−ITO膜4a’をパターニングすることにした。これにより、p−ITO膜4a’及び4b’’を成膜するスパッタ処理を保護膜が設けられていない状態で行うことができる。そのため、p−ITO膜4a’,4b’’を高温スパッタ処理により成膜したとしても、保護膜からガスが発生する等といった障害が発生することを防止できる。
【0103】
また、図18の第1主面p−ITOパターニング工程26の際には、図19(c)〜図19(f)に示すように、保護膜35によってp−ITO膜4b’’が保護されるので、p−ITO膜4b’’に傷がついたり異物が付着することを防止できる。一方、図18の第2主面p−ITO膜形成工程P29の際には、図20(h)に示すように、保護膜25によって第1透光性電極4a及び端子部5aが保護されるので、基板2’の第1主面S1の表面、第1透光性電極4a及び端子部5aに傷がついたり異物が付着することを防止でき、電極4a及び端子部5aに不良が発生することを防止できる。
【0104】
(変形例)
図18の工程P24では、図19(a)において、マザー基板2’の両面に対して同時にスパッタ処理を行うことにより、第1導電膜としてのp−ITO膜4a’と第2導電膜としてのp−ITO膜4b’’とを同時に形成する場合を例示した。しかしながら、p−ITO膜4a’とp−ITO膜4b’’とを別々の工程で形成することもできる。この場合には、p−ITO膜4a’を形成する工程とp−ITO膜4b’’を形成する工程とを連続して行うことになる。また、このように、第1導電膜と第2導電膜を別々に形成する場合には、第2主面S2上に形成する第2導電膜をa−ITO膜を用いて形成することもできる。こうすれば、先の第1実施形態と同様に、保護膜25に何等かの理由により傷がついた場合に、a−ITOパターニング工程P10において、保護膜25についた傷等から仮にエッチング液が進入して、第1透光性電極4a又は端子部5aに達したとしても、p−ITOで形成した第1透光性電極4aと端子部5aの第2層7とが腐蝕することがなくなる。
【0105】
(電極基板の製造方法の第5実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第5実施形態を図21に基づいて説明する。本実施形態の製造方法の全体的な工程は、図5に示した第2実施形態に係る製造方法と略同じである。図5に示した先の実施形態では、保護膜形成工程P7において、図8(m)に示す第1保護手段としての保護膜25をスピンコート等により成膜した。これに対し本実施形態では、第1保護手段として保護膜25に代えてガラス体を用いている。
【0106】
本実施形態に係る製造方法を図21を用いて工程順に説明すると、図21(a)において基板102の第1主面S1に導電部材103(図21(h)参照)の材料膜103’が形成され、その材料膜103’がフォトエッチング処理等によってパターニングされて、図21(b)に示す導電部材103が形成される。次に、図21(c)において基板102の第1主面S1に第1導電膜104a’を成膜し、さらにその第1導電膜104a’をフォトエッチング処理によってパターニングして図21(d)の第1電極104aを形成する。
【0107】
次に、図21(e)において第1電極104aを覆うガラス体345を接着材346を用いて基板102に接着する。そして、基板102を表裏反転した後、図21(f)において基板102の第2主面S2上に第2導電膜104b’を成膜し、その膜104b’をフォトエッチング処理によってパターニングして図21(g)の第2電極104bを形成する。さらに、図21(g)において接着材346を除去して基板102からガラス体345を取外すことにより、図21(h)に示す電極基板1が完成する。
【0108】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面をガラス体345で覆って保護しながらその第2パターニングを行う。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止している。
【0109】
(電極基板の製造方法の第6実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第6実施形態を図22に基づいて説明する。この第6実施形態は、図21に示した第5実施形態を、より現実に則して実施するものである。なお、本実施形態においても、図2に示す電極基板1を製造するものとする。また、以下の説明では、本実施形態を先の実施形態と異なる点を中心として説明するものとし、共通する工程については説明を省略する。
【0110】
本実施形態において、図5の工程P1から工程P6までの各工程が実行され、図8(l)に示すように、マザー基板2’上に配線3(図3参照)、第1透光性電極4a及び端子部5aが形成される。次に、図5の工程P7が実行され、図22に示す保護構造が作られる。図22は、本実施形態に係る基板の製造方法を構成する各工程のうちの図5に示す保護手段形成工程P7において保護手段を形成した状態を示す断面図である。この断面図は、図4(a)の上段右寄りに示すZ22−Z22線に従った断面、すなわち、マザー基板2’のうち、1つの電極基板1内の端子部5aに対応する部分の断面を示している。
【0111】
本実施形態において保護手段を形成するには、まず、図22において、マザー基板2’の第1主面S1上に接着材46を、例えば印刷することによって形成する。この接着材46としては、エッチング液に対して耐性を有する材料が用いられる。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。また、接着材46は平面的に見て正方形又は長方形で環状に形成されており、図5の工程P6までの工程において、電極基板1部分に対応して形成された第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3を囲む枠状に形成される。なお、接着材46は、個々の基板1部分に対応する枠状に形成することに代えて、大面積のマザー基板2’の周辺に沿って、複数個分の電極4a等を囲む大きな枠状に形成することもできる。また、接着材46は、個々の電極基板1に対応する枠状に形成することに加えて、大面積のマザー基板2’の周辺に沿って、複数個分の電極4a等を囲む大きな枠状に形成することもできる。
【0112】
次に、接着材46を用いて、第1保護手段であるガラス体45を、マザー基板2’の第1主面S1に対向する状態に接着する。このガラス体45は、板状に形成されたガラス板であり、例えば、マザー基板基板2’と同じ材質及び同じ形状のガラス基板を用いることができる。なお、ガラス体45は、基板2’の第1主面S1に形成された電極4a等を覆うことができれば、板状以外の形状に形成することもできる。
【0113】
以上のようにしてマザー基板2’にガラス体45を接着した後、図5の工程P8から工程P15までの各工程が行われ、図2に示す電極基板1が作製される。なお、既述の第1実施形態では、図5の工程P11において、図10(e)の保護膜25とレジスト21cとを有機溶剤等を用いて剥離している。これに対し、本実施形態では、例えば有機溶剤等を用いて接着材46をマザー基板基板2’から剥離することにより、ガラス体45をマザー基板2’から取り除くことがきる。
【0114】
本実施形態においては、図5の保護手段形成工程P7において、図22に示すように、マザー基板2’の第1主面S1に形成された第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3を覆うように接着材46によってガラス体45をマザー基板2’に接着した。これにより、マザー基板2’の第2主面S2に第2透光性電極4b及び端子部5aを形成する際に、マザー基板2’の第1主面S1の表面自体、第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3(すなわち、第1主面膜要素)をガラス体45によって保護できる。その結果、マザー基板2’の第1主面S1の表面自体及び第1主面膜要素4a,5a,3に傷がついたり異物が付着することを防止でき、第1主面膜要素4a,5a,3に不良が発生することを防止できる。
【0115】
また、本実施形態のように、第1保護手段としてガラス体45を用いれば、接着材46を用いてマザー基板基板2’に接着することにより、マザー基板2’上に保護手段を容易に設けることができる。また、接着材46を有機溶剤等を用いて剥離することにより、ガラス体45をマザー基板2’から容易に取り除くことができる。
【0116】
(電極基板の製造方法の第7実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第7実施形態を図23に基づいて説明する。図1、図17、図21に示した先の実施形態は、それぞれ、図1(h)、図17(i)、図21(h)に示したように、電極104aの下に導電部材103が形成される構成の電極基板1を製造する場合に好適な製造方法であった。これに対し、図23に示す本実施形態の製造方法は、図23(f)に示すように、電極104aの上に導電部材103が形成される構成の電極基板1を製造するのに好適な製造方法である。
【0117】
本実施形態では、図23(a)において基板102の第1主面S1上にp−ITO膜104a’を成膜する。次に、そのp−ITO膜104a’をパターニングして図23(b)に示す第1電極104aを形成する。その後、図23(c)において金属膜103’を成膜した上で、図23(d)及び図23(e)においてその金属膜103’を保護手段として用いて基板102の第2主面S2に第2電極104bを形成し、その後、図23(f)において金属膜103’をパターニングして導電部材103を形成することにより、電極基板1を製造する。
【0118】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を金属膜103’で覆って保護しながらその第2パターニングを行う(図23(c)、(d)、(e)参照)。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止している。
【0119】
(電極基板の製造方法の第8実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第8実施形態を図24〜図28に基づいて説明する。この第8実施形態は、図23に示した第7実施形態を、より現実に則して実施するものである。本実施形態では、図24に示す電極基板51を製造するものとする。この電極基板51の矢印Z3側から見た平面構造は、端子部55a及び配線53の層構造を除いて、図3に示す平面構造と同じである。図25は、本実施形態に係る電極基板の製造方法を示す工程図である。図26〜図28は、図25の各工程において形成される基板の構造を工程順に示す構造変遷図である。これらの図26〜図28は、図24の左側に示すZ26−Z26線に従った端子部の断面構造を示している。
【0120】
まず、図24の電極基板51上に設けられる導電パターンについて説明する。電極基板51において、透光性基板2の第2主面S2上に形成される導電パターンは図2及び図3に示す先の実施形態の透光性基板2において第2主面S2上に形成されるパターンと同じである。すなわち、図24において、p−ITOから成る第2電極としての第2透光性電極4bと端子部5bが第2主面S2上に形成されている。
【0121】
他方、第1主面S1上の導電パターンは、金属膜である導電部材としての配線53と、第1電極としての第1透光性電極54aと、端子部55aとを含んでいる。端子部55aは、第1層56と第2層57との積層構造となっている。第1層56は、透光性の導電材料であるp−ITOを用いて形成されている。第2層57は金属、本実施形態ではCrを用いて形成されている。
【0122】
配線53は、複数本設けられている。これらの配線53は、Crを用いた単層の膜に形成されている。配線53は、端子部55aのところまで延びて該端子部55aの第2層57となっている。個々の配線53の一方の端部53aは、第1透光性電極54aの端部に積層されている。これにより、配線53と第1透光性電極54aとが導電接続されている。他方、配線53の他方の端部は端子部55aの第2層57となっているので、配線53と端子部55aとは互いに導電接続されている。すなわち、配線53を介して第1透光性基板54aと端子部55aとが導電接続されている。
【0123】
以下、本実施形態に係る電極基板51の製造方法について説明する。まず、図25における第1主面形成工程Q1について説明する。工程P41において図26(a)のマザー基板2’を所定の洗浄液によって洗浄する。次に、図25の工程P42において、図26(a)に示すように、透光性基板2’の第1主面S1上に図24の第1透光性電極54aの材料である第1導電膜としてのp−ITO膜54a’を、スパッタリングによって約500Åの膜厚に成膜する。
【0124】
次に、第1パターニング工程としての図25の工程P43において、図26(a)のp−ITO膜54a’をフォトエッチング処理によってパターニングする。具体的には、まず、図26(b)においてp−ITO膜54a’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21eを一様な厚さに塗布し、プレベークを行ってレジスト21e内の溶媒を除去する。その後、図26(c)においてレジスト21eに対して露光マスク22Eを用いて露光処理を行う。露光マスク22Eを用いて露光することにより、図26(c)の露光された部分B5が可溶化する。
【0125】
次に、図26(c)のマザー基板2’を現像液に所定時間浸漬して、可溶化した部分B5のレジスト21eを除去して、図26(d)に示すレジストパターン21eを得る。その後ポストベークを行い、さらにp−ITO膜54a’に対してレジスト21eをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図27(e)に示すようにp−ITO膜54a’を得る。その後、図25の工程P44において、マスクとして使用したレジスト21eを剥離することにより、図27(f)に示す第1電極54a及び端子部55a(図24参照)の第1層56が形成される。そして、金属膜形成工程としての図25の工程P45において、図27(g)に示すように、第1層56及び第1電極54aを覆うように金属膜である材料層53’を、例えばCrを材料としてスパッタリングによって約2000Åの膜厚に成膜する。以上により、マザー基板2’の第1主面S1に対する図25の第1主面形成工程Q1が終了する。
【0126】
この後、第2主面形成工程Q2が実行される。この工程Q2では、工程P46〜工程P49において、図24に示す基板2の第2主面S2上に第1透光性電極4b及び端子部5bが形成される。工程P46〜工程P49は図5に示した先の実施形態における第2主面形成工程Q2(工程P8〜工程P11)に相当する工程である。図5の工程P8〜工程P11においては、図9(a)〜図10(f)を参照して説明したように、第2主面S2上に電極4b等といった導電パターンを形成する際に第1主面S1を第1保護手段としての樹脂製の保護膜25で覆って保護した。これに対して本実施形態における工程P46〜P49の工程は、図5の工程P8〜工程P11(図9(a)〜図10(f))における保護膜25に代えて上記の材料層53’を第1保護手段として形成するものであり、その他の処理は図5の工程P8〜工程P11と同じである。従って、図25の工程P46〜P49についての説明は省略することにする。
【0127】
図25の工程P49が終了すると、図5に示した先の実施形態における図10(e)と同様に、図27(m)に示すように、第2透光性電極4b及び端子部5bがマザー基板2’の第2主面S2上に形成される。その後、第3パターニング工程としての図25の工程P50において、材料層53’をパターニングする。具体的には、まず、図28(a)において材料層53’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21fを一様な厚さに塗布し、プレベークを行ってレジスト21f内の溶媒を除去する。その後、図28(b)においてレジスト21fに対して露光マスク22Fを用いて露光処理が実施される。露光マスク22Fを用いて露光することにより、図28(b)の露光された部分B6が可溶化する。
【0128】
次に、図28(c)において、マザー基板2’を現像液に所定時間浸漬して、可溶化した部分B6(図28(b)参照)のレジスト21fを除去する。その後、ポストベークを行い、さらに材料層53’に対してレジスト21fをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図28(d)に示すように材料層53’をパターニングする。その後、マスクとして使用したレジスト21fを図25の工程P51において剥離することにより、図28(e)に示す配線53及び端子部55aの第2層57が形成される。
【0129】
以上により、マザー基板2’の第2主面S2に対する第2主面形成工程Q2が終了する。この後、先の第1実施形態と同様にして、図5に示す保護膜貼り付け工程P12を行い、分割工程Q3を行い、さらに、工程P15において焼成処理を行うことにより、図24の電極基板51が完成する。
【0130】
本実施形態における電極基板の製造方法では、図25のp−ITOパターニング工程P43の後に、金属膜形成工程であるCrスパッタ工程P45において、図27(g)の第1透光性電極54a及び第1層56を覆うように金属膜である材料層53’を形成する。マザー基板2’の第2主面S2に第2透光性電極4b及び端子部5bを形成する際には、第1主面S1がスパッタ装置等といった処理装置の基板支持面に接触するのであるが、本実施形態では、マザー基板2’の第1主面S1に形成された材料層53’によって第1透光性電極54a及び第1層56が保護されるので、マザー基板2’の第2主面S2に第2透光性電極4b及び端子部5bを形成する際に、第1主面S1の表面自体、第1透光性電極54a及び第1層56が処理装置の基板支持面に直接に触れることがなくなる。その結果、第1主面S1の表面自体、第1透光性電極54a及び第1層56に傷がついたり異物が付着したりすることを防止でき、第1透光性電極54a及び第1層56に不良が発生することを防止できる。
【0131】
また、図25のa−ITOパターニング工程P48の後に、Crパターニング工程P50において、図28(b)〜図28(e)に示すように、材料層53’をパターニングして導電部材としての配線53及び端子部55aの第2層57を形成することにした。すなわち、図27(m)のa−ITO膜4b’と異なるエッチングレートによって、図25の第2主面形成工程Q2において保護手段として用いた図28(c)の材料層53’をエッチングすることにより、図28(e)の配線53及び第2層57を形成することにした。こうすれば、製造工程を増やすことなく、マザー基板2’の第1主面S1上に保護手段を設けることができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0132】
(電極基板の製造方法の第9実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第9実施形態を図29を用いて説明する。これまでに説明した各実施形態では、1枚の透光性基板の両面に電極を形成する場合を例示した。これに対し、本実施形態では、片面に電極を形成した2枚の基板を貼り合わせることにより、両面に電極を有する1つの電極基板を形成する。以下、本実施形態を詳しく説明する。
【0133】
本実施形態の製造方法によって製造する電極基板は図29(i)に符号1で示すように、接着材114によって互いに貼り合わされた第1基板102a及び第2基板103aを有する。互いに貼り合わされた第1基板102aと第2基板103aとによって1つの透光性基板が形成されている。この透光性基板の第1主面(すなわち、第1基板102aの表面)S1には、導電部材113及び第1電極104aが形成されている。一方、透光性基板の第2主面(すなわち、第2基板103aの表面)S2には第2電極104bが形成されている。
【0134】
上記構成の電極基板1を製造する際には、一方において第1基板形成工程Q4を実行し、他方において第2基板形成工程Q5を実行する。第1基板形成工程Q4では、図29(a)において第1基板102a上に第1の導電膜113’を成膜し、その導電膜をパターニングして図29(b)の導電部材113を形成し、図29(c)において第2の導電膜104a’を成膜し、その導電膜をパターニングして図29(d)の第1電極104aを形成し、そして、図29(e)において第1基板102aの厚さを研削、研磨、切削、エッチング等によって薄くする。
【0135】
上記の第2基板形成工程Q5では、図29(f)において第2基板03a上に第3の導電膜104b’を成膜し、その導電膜をパターニングして図29(g)の第2電極104bを形成し、そして、図29(h)において第2基板103aの厚さを研削、研磨、切削、エッチング等によって薄くする。
【0136】
その後、図29(i)において、第1基板102a又は第2基板103aのいずれか一方の裏面に接着材114を塗布、印刷等によって付着させ、第1基板102a又は第2基板103aの他方をその接着材114によって上記一方の基板に接着する。これにより、電極基板1が作製される。
【0137】
本実施形態に係る電極基板の製造方法によれば、個々の基板102a及び103aはそれぞれが単独で電極等の形成処理を受けるので、一方の基板に電極等を形成するための処理を行っている最中に他方の基板上に形成された電極等に傷が生じたり、異物が付着したりするという事態が起こり得ない。このため、図29(i)において出来上がった電極基板1の表裏両面には、常に、傷や異物付着の無い高品質の電極が形成されている。
【0138】
(電極基板の製造方法の第10実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第10実施形態を図30〜図32を用いて説明する。この第10実施形態は、図29に示した第9実施形態を、より現実に則して実施するものである。なお、図30は、本実施形態の製造方法で製造される電極基板61の側面図である。図31は、本実施形態に係る電極基板の製造方法を示す工程図である。図32は、図31の工程図に対応した構造変遷図である。
【0139】
まず、図30の電極基板61の構成について説明する。電極基板61は、第1電極基板62と、第2電極基板63とを有する。第1電極基板62は、第1基板としての第1透光性基板62aと、当該第1透光性基板62aの表面に形成された複数の導電パターンから構成されている。導電パターンは、第1電極としての第1透光性電極4aと、配線3と、端子部5aとを含んでいる。
【0140】
第2電極基板63は、第2基板としての第2透光性基板63aと、当該第2透光性基板63aの表面に形成された複数の導電パターンから構成されている。導電パターンは、第2電極としての第2透光性電極4bと、端子部5aとを含んでいる。これらの第1透光性基板62aと第2透光性基板63aとが接着材64によって互いに貼り合わされることにより、両面に導電パターンを備えた電極基板61が形成されている。第1透光性基板62aの接着面の反対面が電極基板61の第1主面S1である。また、第2透光性基板63aの接着面の反対面が電極基板61の第2主面S2である。
【0141】
第1透光性基板62a及び第2透光性基板63aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等を用いて形成されている。矢印Z3側から平面的に見た第1電極基板62上の導電パターンのパターン形状は図3に示した実施形態における透光性基板2の第1主面S1に形成された導電パターンのパターン形状と同じである。配線3は、Crを主とする金属から成る金属膜である。第1透光性電極4aはp−ITOによって形成されている。端子部5aは、Crを主成分とする金属にp−ITOを積層して成る積層構造として形成されている。
【0142】
矢印Z3側から平面的に見た第2電極基板63上の導電パターンのパターン形状は図3に示した実施形態における透光性基板2の第2主面S2に形成された導電パターンのパターン形状と同じである。第2透光性電極4bはp−ITOによって形成されている。端子部5bも、同じくp−ITOによって形成されている。
【0143】
以下、電極基板61を製造する方法について説明する。
本実施形態においても、上記各実施形態と同じく、電極基板61を多数個取りの手法に基づいて作製するものとする。従って、図32においては、第1透光性基板62aのマザー基板を62a’とし、第2透光性基板63aのマザー基板を63a’として示している。また、本実施形態において、図31の工程P61〜工程P66までの一連の工程は、図5に示した実施形態における工程P1〜工程P6までの一連の工程と同じである。また、図31の工程P71〜工程P74までの一連の工程は、図25に示した実施形態におけるP41〜P44に示す工程と同じである。従って、これらの工程の詳細な説明は省略する。
【0144】
図31の第1基板製造工程において工程P66までが終了すると、図32(a)に示すように、第1マザー基板62a’の第1主面S1上に配線3、端子部5a及び第1透光性電極4aが形成される。この後、図31の工程P67において、図32(b)に示すように、第1マザー基板62a’の第2主面S3をエッチングして斜線で示す部分Y1を除去する。これにより、第1マザー基板62a’を薄くする。例えば、エッチング前の基板62a’の厚みt0=0.5mmを、エッチング後の基板62a’の厚みt1=0.2mmまで薄くする。以上により、第1電極基板62の製造工程が終了する。
【0145】
次に、図31の工程P74までが終了すると、図32(c)に示すように、第2マザー基板63a’の第1主面S2上に第2透光性電極4b及び端子部5bが形成される。この後、図31の工程P75において、図32(d)に示すように、第2マザー基板63a’の第2主面S4をエッチングして斜線で示す部分Y2を除去する。これにより、第2透光性基板63a’を薄くすることができる。例えば、エッチング前の基板63a’の厚みt2=0.5mmを、エッチング後の基板63a’の厚みt3=0.2mmまで薄くする。以上により、第2電極基板63の製造工程が終了する。
【0146】
次に、図31の工程P81において、図32(b)に示す第1電極基板62と図32(d)に示す第2電極基板63とを貼り合わせる。具体的には、図32(e)に示すように、第1透光性基板62a’の第2主面S3と第2透光性基板63a’の第2主面S4とを対向させた状態で、両基板を接着材64によって接着する。このとき、接着材64の厚みt4は、例えば0.1mmとする。この後、図5に示す実施形態の場合と同様にして、保護膜貼り付け工程P12が行われ、分割工程Q3が行われ、そして工程P15において焼成処理が行われて、図30に示す電極基板61が完成する。
【0147】
本実施形態では、図32(a)において第1透光性基板62a’の第1主面S1に、配線3、第1透光性電極4a及び端子部5aを形成した。また、図32(c)において第2透光性基板63a’の第1主面S2に、第2透光性電極4b及び端子部5bを形成した。そして、図32(e)において、それらの第1透光性基板62a’と第2透光性基板63a’とを接着材64によって貼り合わせることにより、表裏両面に電極を有する電極基板61を形成するようにした。これにより、第1電極基板62又は第2電極基板63の表面に保護手段を設けなくても各基板に傷や異物付着が生じることを回避できる。このように保護手段を用いる必要がないので、製造コストを上げることなく、表裏両面に導電パターンを有する電極基板を形成できる。
【0148】
また、図31の工程P67において、図32(b)に示すように、第1透光性基板62a’の第2主面S3の表面をエッチングにより除去した。また、図31の工程P75において、図32(d)に示すように、第2透光性基板63a’の第2主面S4の表面をエッチングにより除去した。これにより、図30の第1透光性基板62a’及び第2透光性基板63a’を薄く形成できるので、これらの基板62a’と63a’を貼り合わせて形成された電極基板61を薄く形成できる。
【0149】
なお、第1透光性基板62a’をエッチングする工程P67は、第1パターニング工程であるp−ITOパターニング工程P65より後に行い、第2透光性基板63a’をエッチングする工程P75は第2パターニング工程であるp−ITOパターニング工程P73より後に行うことにした。これにより、基板62a’の第1主面S1及び基板63a’の第1主面S2に導電パターンを形成する作業を、第1透光性基板62a’及び第2透光性基板63a’の厚みが十分に厚い状態で行うことができるので、第1透光性基板62a’及び第2透光性基板63a’が作業中に破損等することを防止できる。
【0150】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記の各実施形態では、基板上に形成される導電パターンの1つである配線3(例えば図3参照)を、Crを主成分とする金属を用いて単層の膜として形成した。しかしながら、配線3は、Cr以外の材料、例えばAl(アルミニウム)系合金、Ag(銀)系合金又はCu(銅)系合金を用いて、単層の膜として形成することもできる。例えば、Cu系合金の添加材としてはMoを用いることができ、Ag系合金の添加材としてはPd、Cu、Ge等を用いることができる。Al系合金、Ag系合金、銅系合金では、いずれの場合でも、2000Åの膜厚に形成することで配線のシート抵抗値を0.3Ω程度にできる。
【0151】
また、配線3は、AlとMoとを積層して形成することもできる。また、配線3は、AlとMo以外の材料、例えば、AlとCrを積層して形成することもできる。また、配線3は、異なる種類の金属材料を2層より多く積層して形成することもできる。このように配線3を積層構造とする場合には、金属成膜とそれに続くフォトエッチングとを2回行うことによって配線3を形成できる。また、連続成膜を1回行って、1回のフォトエッチング処理でパターン形成することもできる。例えば、AlとMoを夫々2000Åと200Åで連続して成膜し、それらの膜を燐硝酢酸のエッチング液で同時にエッチングすれば、1回のフォトエッチング処理で2種類のパターンを形成でき、1回分フォトエッチング工程を省略でき、配線幅も狭くすることが可能である。
【0152】
また、図8(m)において、保護膜25はポジ型の感光性樹脂をスピンコート等によって塗布することによって成膜した。しかしながら、保護膜25は、感光性樹脂のシートを貼り付ける(いわゆる、ラミネートする)ことによって設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明に係る電極基板の製造方法の第1実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図2】本発明に係る電極基板の製造方法の第2実施形態を用いて製造する電極基板を示す側面図である。
【図3】図2の矢印Z3方向から基板を示す平面図である。
【図4】図3の基板上に形成される膜要素を複数組み含んだパネル構造体を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電極基板の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【図6】図5の工程図に対応して基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図7】図6に続いて基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図8】図7に続いて基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図9】図5の工程図に対応して基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図10】図9に続いて基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図11】図6に対応した基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図12】図7に対応した基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図13】図8に対応した基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図14】図9に対応した基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図15】図10に対応した基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図16】図5の工程図における分割工程Q3に対応した構造変遷図である。
【図17】本発明に係る電極基板の製造方法の第3実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図18】本発明に係る基板の製造方法の第4実施形態を示す工程図である。
【図19】図18の工程図に対応して基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図20】図19に続いて基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図21】本発明に係る電極基板の製造方法の第5実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図22】本発明に係る電極基板の製造方法の第6実施形態を用いて製造する電極基板を示す断面図である。
【図23】本発明に係る電極基板の製造方法の第7実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図24】本発明に係る電極基板の製造方法の第8実施形態を用いて製造する基板を示す側面図である。
【図25】本発明に係る電極基板の製造方法の第8実施形態を示す工程図である。
【図26】図25の工程図に対応して基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図27】図26に続いて基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図28】図27に続いて基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図29】本発明に係る電極基板の製造方法の第9実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図30】本発明に係る電極基板の製造方法の第10実施形態を用いて製造する基板を示す側面図である。
【図31】本発明に係る電極基板の製造方法の第10実施形態を示す工程図である。
【図32】図31の工程図に対応して基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【符号の説明】
【0154】
1,51、61.電極基板、 1’.パネル構造体、 2.透光性基板、
2a,2b,2c.端辺、 2’マザー透光性基板、 3,53.配線(金属膜)、
3’,53’.材料層、 4a、54a.第1透光性電極(第1電極)、
4a’,54a’.p−ITO膜(第1導電膜)、
4b.第2透光性電極(第2電極)、 4b’.a−ITO膜(第2導電膜)、
5a,55a.第1端子部(第1電極)、 5b.第2端子部(第2電極)、
6,56.端子部第1層、 7,57.端子部第2層、 L1,L2,L3.露光光、 A0.完全光透過領域、 A1.完全遮光領域、
B1,B2,B3,B4,B5,B6.可溶化領域、
21a,21b,21c,21d,21e,21f.レジスト(ポジ型感光性樹脂)、
22A,22B,22C,22D,22E,22F.露光マスク、
23.ガラス基板、 24A,24B,24C.遮光パターン、
25.保護膜(第1保護手段)、 26a,26b.保護膜、
35.保護膜(第2保護手段)、 45.ガラス体、 46.接着材、
62.第1電極基板、 62a.第1透光性基板(第1基板)、 63.第2電極基板、
63a.第2透光性基板(第2基板)、 64.接着材、 S1.第1主面、
S2.第2主面、 S3.第1透光性基板の第2主面、 S4.第2透光性基板の第2主面
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの基板の両面に導電膜等の導電パターンを有する電極基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機、携帯情報端末機等といった各種の電子機器において、例えば、当該電子機器に関する各種の情報を視覚的に表示するための表示部として、液晶装置やEL(Electro luminessence)装置等といった電気光学装置が広く用いられている。また、これらの電気光学装置にはタッチパネル等といった入力装置が設けられることがある。これらの電気光学装置や入力装置は、一般に、透明導電膜や金属膜等から成る導電パターンが形成された基板を用いて構成されている。
【0003】
基板上に導電パターンを形成する作業、いわゆるパターン形成作業の際には、一般に、スパッタ、露光、現像、エッチング等といった作業を行うのであるが、これらの作業を行う際には、各作業を行う装置が有するテーブルやマガジンに基板を固定してその作業が行われることがある。
【0004】
上記のような基板を製造する方法として、従来から、基板の一方の面に導電パターンを形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法は、2つの基板を平面的に重ねて構成された液晶装置の製造方法であって、2つの基板のうちの一方の基板に導電膜等から成る導電パターンを形成している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−268042号公報(第6頁、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板に形成される導電パターンは、基板の表裏両面に設けられる場合がある。この場合、基板の一方の面にパターン形成を行い、その後、基板の他方の面にパターン形成を行うことが考えられる。しかしながら、特許文献1に開示された基板の製造方法は、専ら基板の一方の面のみにパターンを形成するものであり、パターン形成を行う際、そのパターンを形成する面の反対側の面を保護することに関してなんらの考慮もされていない。そのため、特許文献1に開示された方法を用いて基板の表裏両面にパターンを形成しようとすると、基板の一方の面にパターン形成を行う際、例えば基板を搬送する工程のとき等に、基板の他方の面に傷がついたり異物が付着することがあり、傷がついた面に形成するパターンに不良が発生するおそれがある。
【0007】
また、基板の他方の面にパターン形成を行う際、スパッタ等の作業を行う装置のテーブル等に直接に接触して、既に一方の面に形成されたパターンに傷がつく等の不良が発生するおそれがある。それらのパターン不良が発生することにより、基板を製造する工程における歩留まりが低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、基板及びその基板上に形成された導電パターンに不良を発生させることなく基板の両面に電極を形成できる電極基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の電極基板の製造方法は、基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程とを有し、前記第2パターニング工程は、前記第1パターニング工程の後に行われると共に、前記第1主面上に保護手段を設けた状態で行われることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電極基板の製造方法において、「保護手段」としては、例えば、感光性樹脂膜、ガラス体、金属膜等を用いることができる。また、第1導電膜形成工程及び第2導電膜形成工程では、例えばスパッタ装置を用いて基板の第1主面又は第2主面に導電膜が形成される。また、第1パターニング工程及び第2パターニング工程は、例えば露光装置を用いて行われる露光処理を含む。また、各工程の間には、製造中の基板を搬送する工程が行われる。また、その他必要に応じて種々の工程が実行される。
【0011】
本発明に係る第1の製造方法において、第2パターニング工程は、基板の第1主面上に保護手段を設けた状態で実施される。これにより、第2パターニング工程においては、露光装置等といった製造装置において基板を載置する部分(例えば、テーブルやマガジン等)に、基板の第1主面の表面自体又は第1主面上に形成された電極が直接に触れることがなくなる。その結果、基板の第1主面それ自体又は第1主面上に形成された電極に傷がついたり異物が付着することを防止し、基板上の電極に不良が発生することを防止できる。
【0012】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記第1電極を保護する第1保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、前記第1保護手段形成工程の後に前記基板の第2主面に第2の導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程とを有することが望ましい。
【0013】
この構成の電極基板の製造方法では、第1パターニング工程の後に、第1保護手段形成工程において第1電極を覆う保護手段を形成することができる。これにより、基板の第1主面に形成された第1電極は保護手段によって保護されるので、第2パターニング工程において基板の第2主面に第2電極を形成する際に、露光装置やスパッタ装置等といった製造装置において基板を載置する部分に基板の第1主面及び第1電極が直接に触れることがなくなる。その結果、基板の第1主面の表面及び第1電極に傷がついたり異物が付着することを防止し、第1電極に不良が発生することを防止できる。
【0014】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第1導電膜形成工程の後に前記第2導電膜上に第2の保護手段を形成する第2保護手段形成工程と、前記第2保護手段形成工程の後に前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記第1パターニング工程の後に前記第2保護手段を除去する第2保護手段除去工程と、前記第2保護手段除去工程の後に前記第1電極上に第1の保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、前記第1保護手段形成工程の後に前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程とを有することが望ましい。
【0015】
第1導電膜及び第2導電膜は、一般に、スパッタ処理により基板の表面に成膜される。このスパッタ処理には、高温雰囲気中で行われる高温スパッタ処理や、高温スパッタ処理に比べて低温の雰囲気中で行われる低温又は常温のスパッタ処理がある。本発明態様のように導電膜を形成するには、高温スパッタ処理を行うことが望ましい。
【0016】
しかしながら、仮に基板の第1主面に第1保護手段を設けた状態で、基板の第2主面に第2導電膜を形成する場合には、第2導電膜を形成する際のスパッタ処理において、第1保護手段が高温雰囲気中にさらされることになる。こうなると、仮に第1保護手段が樹脂膜を用いて形成されている場合には、その樹脂膜からガスが発生して第2導電膜の成膜に影響を及ぼすおそれがある。
【0017】
本発明態様では、基板の両面にそれぞれ第1導電膜と第2導電膜を形成した後に、第2導電膜上に第2保護手段を形成し、その後、第1導電膜をパターニングすることにした。これにより、第1導電膜及び第2導電膜を成膜するスパッタ処理の際には保護手段が設けられていないので、保護手段からガスが発生する等といった障害が発生することを防止できる。また、第1パターニング工程の際には第2保護手段によって第2導電膜が保護されるので、第2導電膜に傷がついたり異物が付着することを防止できる。一方、第2パターニング工程の際には第1保護手段によって第1電極が保護されるので、基板の第1主面の表面又は第1電極に、傷がついたり異物が付着することを防止し、第1電極に不良が発生することを防止できる。
【0018】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第1保護手段を形成し、前記第2保護手段形成工程では、前記基板の第2主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第2保護手段を形成することができる。また、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付け、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付ける(すなわち、ラミネートする)こともできる。
【0019】
このように、第1保護手段及び第2保護手段を感光性樹脂を材料とした膜として形成すれば、第1保護手段及び第2保護手段を所定の形状に形成することを容易に行うことができる。なお、第1保護手段及び第2保護手段を感光性樹脂を塗布することによって設ける場合には、第1パターニング工程及び第2パターニング工程において導電膜をパターニングする際に用いるレジストと同じ材料及び装置を用いることができるので、保護手段を容易に形成できる。また、第1保護手段及び第2保護手段を感光性樹脂の膜を貼り付ける(すなわち、ラミネートする)ことによって設ける場合には、基板の表面に感光性樹脂膜を貼り付けるという簡単な作業で保護手段を設けることができる。
【0020】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としてのガラス体を貼り付けることができる。また、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としてのガラス体を貼り付けることができる。この構成において、ガラス体としては、例えば前記基板として用いられるガラス基板と同じものを用いることができる。このガラス体は、例えば、接着材を用いて基板の表面に貼り付けることができる。接着材は、例えば平面的に見て枠状に形成することができ、基板とガラス体との隙間を密閉することができる。これにより、基板の表面自体又は基板の表面に形成された電極を保護できる。また、保護手段としてガラス体を用いれば、接着材を設ける又は除去することにより、保護手段を容易に着脱できる。
【0021】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法においては、第1保護手段除去工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第1保護手段除去工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことが望ましい。
【0022】
電極基板を製造する方法としては、個々の電極基板を1つずつ作る手法と、複数個の電極基板を同時に作る、いわゆる、多数個取りの手法とがある。一般には、後者の多数個取りの手法が用いられる。本発明態様は、この多数個取りの手法に関する。この多数個取りの手法では、一般に、複数個の基板を作ることができる大面積の基板上に複数個分の導電パターンが形成され、その後、個々の基板に分割される。基板を分割する工程では、大面積の基板の表面であって、個々の基板に分割する線に沿って分割用の溝を設ける、いわゆるスクライブ工程が行われ、その後個々の基板に分割する工程が行われる。
【0023】
本発明態様によれば、第1保護手段除去工程の後に、第1電極を覆う保護膜を基板の第1主面に貼り付ける工程、及び第2電極を覆う保護膜を基板の第2主面に貼り付ける工程を設けたので、基板に分割用の溝を設ける際に、基板両側の表面自体、第1電極及び第2電極に傷がついたり異物が付着することを防止できる。また、基板に分割用の溝を設ける工程において溝が設けられた部分には保護膜を設けないので、分割用の溝を設ける工程の際に、保護膜が削られることがなくなる。これにより、保護膜が削られることによって塵が発生することを防止できる。
【0024】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記基板の第1主面に前記第1電極を覆う金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記金属膜形成工程の後に前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記金属膜をパターニングして導電部材を形成する第3パターニング工程とを有することが望ましい。
【0025】
この構成の電極基板の製造方法では、第1パターニング工程の後に金属膜形成工程において第1電極を覆う金属膜を形成することができる。こうすれば、基板の第1主面に形成された第1電極は金属膜によって保護されるので、基板の第2主面に第2電極を形成する際に、スパッタ装置等といった製造装置において基板を載置する部分に基板の第1主面の表面及び第1電極が直接に触れることがなくなる。その結果、基板の第1主面の表面及び第1電極に傷がついたり異物が付着することを防止し、第1電極に不良が発生することを防止できる。
【0026】
また、第2パターニング工程の後に金属膜をパターニングして導電部材を形成することにした。導電部材としては、例えば、金属の配線、金属の端子等が考えられる。それらの導電部材は、一般に、電極基板に設けられるものである。本発明態様では、この導電部材材料層である金属膜を保護手段として用いることができるので、製造工程を増やすことなく保護膜を設けることができる。その結果、製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、第3パターニング工程の後に前記第1電極及び前記導電部材を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第3パターニング工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことが望ましい。
【0028】
本発明態様も多数個取りの手法を用いて電極基板を製造する方法に関する。本発明態様によれば、第3パターニング工程の後に、第1電極と導電部材を覆う第1保護膜を基板の第1主面に貼り付ける工程及び第2電極を覆う第2保護膜を基板の第2主面に貼り付ける工程を設けたので、基板に分割用の溝を設ける際に、基板両側の表面自体、第1電極、第2電極及び導電部材に傷がついたり異物が付着することを防止できる。また、基板に分割用の溝を設ける工程において溝が設けられた部分には、第1保護膜及び第2保護膜を設けないので、分割用の溝を設ける工程の際に、保護膜が削られることがなくなる。これにより、保護膜が削られることによって塵が発生することを防止できる。
【0029】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することが望ましい。液晶装置等といった電気光学装置では、光を用いて表示を行うために透光性の基板が用いられることが多い。本構成の電極基板によれば、基板を透光性とし、さらにその基板の両面に形成される導電膜を透光性の材料を用いて形成することにより、液晶装置等といった電気光学装置に好適に用いることができる。
【0030】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第1導電膜形成工程で用いる前記導電材料はp(ポリ)−ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)であることが望ましい。p−ITOは、いわゆる結晶質ITO又は多結晶ITOである。このp−ITOは、一般に、透明度が高く且つ抵抗値が低い導電材料である。従って、p−ITOを用いて第1導電膜を形成すれば、透明度が高く且つ抵抗値が低い導電膜を基板の表面に設けることができる。
【0031】
次に、本発明に係る第1の電極基板の製造方法において、前記第2導電膜形成工程では、前記第2導電膜をアモルファスITOを用いて形成し、前記第2導電膜をパターニングして形成した前記第2電極をポリ化する焼成工程をさらに有することが望ましい。a−ITOは、いわゆる非晶質ITOである。このa−ITOはp−ITOに比べて耐エッチング性が弱いITOである。すなわち、a−ITOは弱いエッチング液でエッチングすることができる。
【0032】
基板の第1主面に形成された第1電極は第1保護手段によって保護されているのであるが、この第1保護手段が何等かの理由で傷つくことが考えられる。この状態で第2パターニング工程を行うと、第2導電膜をエッチングするためのエッチング液が第1保護手段の傷の部分から進入して第1電極を腐蝕させるおそれがある。本発明態様では、第2導電膜をa−ITOを用いて形成するので、仮にエッチング液が第1保護手段から進入して第1電極に達したとしても、p−ITOで形成した第1電極が腐蝕することがなくなる。
【0033】
また、本発明態様では、第2導電膜に用いたa−ITOを焼成工程においてポリ化(すなわち、結晶化又は多結晶化)することができる。a−ITOは、透明度が低く抵抗値が高い導電材料であるが、ポリ化することにより透明度を向上させ、且つ抵抗値を低くでき、第1導電膜と同等の機能を有することができる。また、a−ITOは、p−ITOに比べて低い温度で成膜することができる。そのため、第2導電膜形成工程において第2導電膜を形成する際に、反対側の面に形成された第1保護手段が、熱で硬化することを防止できる。
【0034】
次に、本発明に係る第2の電極基板の製造方法は、基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、第1基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、前記第1パターニング工程の後に前記第1基板を薄くする工程と、第2基板の第1主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、前記第2パターニング工程の後に前記第2基板を薄くする工程と、前記第1基板の第2主面と前記第2基板の第2主面とを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る第2の電極基板の製造方法は、既述の第1の製造方法と異なり、保護手段を設けることなく基板の両面に電極を形成する方法である。この構成の電極基板の製造方法では、第1基板及び第2基板の両基板において、第1主面に電極を形成することにより、基板の片面に電極を有する電極基板を形成し、それらの電極基板を貼り合わせることにより表裏両面に電極を有する電極基板を形成するようにした。第1基板及び第2基板には、それぞれ基板の片面のみに電極が形成される。従って、第1基板上に電極を形成する際には、第1導電膜形成工程及び第1パターニング工程において基板の第2主面に保護手段を設ける必要がない。また第2基板に電極を形成する際にも、第2導電膜形成工程及び第2パターニング工程において、基板の第2主面に保護手段を設ける必要がない。従って、基板の表面に保護手段を設けることなく、基板の表裏両面に導電パターンを形成できる。
【0036】
また、本発明に係る第2の製造方法では、第1基板及び第2基板の両基板を薄くする工程を設けた。この工程では、例えば電極が形成されていない表面をエッチングすることにより第1基板及び第2基板を薄く形成できる。こうすれば、これらの第1基板よ第2基板とを基板を貼り合わせて形成された電極基板を薄く形成できる。なお、基板を薄くする工程は、第1基板においては第1パターニング工程の後に行い、第2基板においては第2パターニング工程の後に行うことにした。これにより、第1基板の第1主面及び第2基板の第1主面に電極を形成する作業を、第1基板及び第2基板を厚みが十分に厚い状態で行うことができるので、第1基板及び第2基板が作業中に破損等することを防止できる。
【0037】
次に、本発明に係る第2の電極基板の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記電極基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記電極基板を形成する工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記電極基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記電極基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記電極基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことが望ましい。
【0038】
本発明態様も多数個取りの手法を用いて電極基板を製造する方法に関する。本発明態様によれば、電極基板を形成する工程の後に、第1電極を覆う第1保護膜を電極基板の第1主面に貼り付ける工程、及び第2電極を覆う第2保護膜を電極基板の第2主面に貼り付ける工程を設けたので、電極基板に分割用の溝を設ける際に、基板両側の表面自体、第1電極及び第2電極に傷がついたり異物が付着することを防止できる。また、電極基板に分割用の溝を設ける工程において溝が設けられた部分には、第1保護膜及び第2保護膜を設けないので、分割用の溝を設ける工程の際に、保護膜が削られることがなくなる。これにより、保護膜が削られることによって塵が発生することを防止できる。
【0039】
次に、本発明に係る第2の電極基板の製造方法において、前記第1基板及び前記第2基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することが望ましい。こうすれば、液晶装置等といった電気光学装置に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(電極基板の製造方法の第1実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第1実施形態を説明する。なお、本実施形態の説明で例示する電極基板は特定の用途を企図したものではないが、例えば平面領域内において指示された位置を検出する装置、例えばタッチパネルとしての用途が考えられる。また、これ以降に説明する実施形態は本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。また、これからの説明では必要に応じて図面を参照するが、この図面では、複数の構成要素から成る構造のうち重要な構成要素をわかり易く示すため、各要素を実際とは異なった相対的な寸法で示している。
【0041】
図1は、本実施形態に係る製造方法を基板構造の変遷によって示している。先ず、この製造方法によって製造される電極基板を図1(h)を参照して説明すれば、電極基板1は、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性基板102の表裏両面に電極104a,104bを形成することによって形成されている。符号103は配線等といった導電部材を示している。
【0042】
本実施形態の製造方法では、図1(a)において基板102の表面に導電部材103の材料膜103’が形成され、その材料膜103’がフォトエッチング処理等によってパターニングされて、図1(b)に示す導電部材103が形成される。次に、図1(c)において基板102の第1主面S1に第1導電膜104a’を成膜し、この第1導電膜104a’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図1(d)に示す第1電極104aを形成する。さらに、図1(e)において第1電極104aを覆うように保護膜125を成膜する。
【0043】
次に、基板102の表裏を反転し、図1(f)において基板102の第2主面S2上に第2導電膜104b’を成膜し、この第2導電膜104b’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図1(g)の第2電極104bを形成する。この電極形成時、処理面である第2主面S2の反対面である第1主面S1は処理装置の支持台上に支持されるため、傷を生じたり、異物が付着したりする等といった不都合が発生するおそれがある。しかしながら、第1主面S1は保護膜125によって保護されているので、その第1主面S1に傷が付いたり、異物が付着したりすることはない。以上により第2主面S2上に第2電極104bが形成された後、反対面上の保護膜125を除去することにより、図1(h)の電極基板1が完成する。
【0044】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を保護膜125で覆って保護しながら、その第2パターニングを行う。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止する。
【0045】
(電極基板の製造方法の第2実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第2実施形態を図2〜図16を用いて説明する。この第2実施形態は、図1に示した第1実施形態を、より現実に則して実施するものである。
【0046】
まず、本実施形態に係る電極基板の製造方法を用いて製造される電極基板を図2〜図4を用いて説明する。図2は、その電極基板の側面図である。図3は、図2の矢印Z3方向から見た基板の平面図である。これらの図において、電極基板1は透光性基板2を有し、その透光性基板2は第1主面S1とその反対面である第2主面S2とを有する。透光性基板2は、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等を用いて形成される。透光性基板2の第1主面S1には、複数の第1電極としての第1透光性電極4aと、それらの第1透光性電極4aの片側の端部に接続された配線3とが設けられている。第1透光性電極4aは、図3において破線で示すように、縦方向Xに帯状に延び、横方向Yに間隔を空けて配列されている。
【0047】
第1透光性電極4aは、透光性の導電材料であるp(ポリ)−ITOを用いて形成されている。p−ITOは、いわゆる結晶質ITO又は多結晶ITOである。このp−ITOは、一般に、透明度が高く且つ抵抗値が低い導電材料である。従って、p−ITOを用いて第1透光性電極4aを形成すれば、透明度が高く且つ抵抗値が低い電極を基板の表面に設けることができる。なお、第1透光性電極4aは、ITO以外の透光性の導電材料を用いて形成することもできる。
【0048】
配線3は導電材料によって形成され、複数本設けられている。これらの配線3は、透光性基板2の横方向Yに延びる端辺2b及び2cに沿って延在する部分と、縦方向Xへ延在する部分とによって形成されている。個々の配線3同士は互いに間隔を空けて配列されている。
【0049】
図2において、配線3の左側の先端部分6の上に導電部材7が設けられ、その先端部分6及びその導電部材7によって端子部5aが形成されている。以下、先端部分6を端子部5aの第1層といい、導電部材7を端子部5aの第2層という。端子部5aは図3に示すように基板2上に複数個、設けられている。これらの端子部5aは、透光性基板2の縦方向に延びる端辺2aの近傍で縦方向Xに沿って間隔を空けて並んでいる。個々の端子部5aは、平面的に見て正方形状又は長方形状のドット状に形成されている。なお、端子部5aを円形状に形成しても良い。
【0050】
図2において、配線3は第1層6を含めて金属によって形成されている。本実施形態ではその金属としてCr(クロム)の単層構造を用いている。端子部5aの第2層7は、第1透光性電極4aと同じく、透光性の導電材料であるp−ITOを用いて形成されている。なお、配線3は、Cr及びそれを覆うp−ITOから成る積層膜によって形成することも可能である。この場合には、端子部5aの第2層7は第1層6を形成する積層膜の上層そのものとなる。
【0051】
次に、透光性基板2の第2主面S2には、第2電極としての第2透光性電極4bが設けられている。第2透光性電極4bの左側の一端は端子部5bを構成している。端子部5bは反対面上の端子部5aと平面的に重なる位置に設けられている。なお、端子部5aと端子部5bとは平面的に重ならない位置に設けても良い。
【0052】
第2透光性電極4bは、図3において実線で示すように、横方向Yに延びる帯状に形成されている。そしてそれら帯状の第2透光性電極4bの複数が、縦方向Xに沿って間隔を空けて配列されている。従って、帯状に形成された第2透光性電極4bは、反対側の面である第1主面S1上に設けられた第1透光性電極4aと平面的に見て直交する方向に延びている。第2透光性電極4bは、第1透光性電極4aと同じく、透光性の導電材料であるp−ITOを用いて形成されている。なお、第2透光性電極4bも、ITO以外の透光性の導電材料を用いて形成することもできる。
【0053】
本実施形態において、第1透光性電極4a及び端子部5aが第1主面上の電極を構成している。また、第2透光性電極4b及び端子部5bが第2主面上の電極を構成している。本明細書では、電極及びそれ以外の導電要素(例えば、配線3)を総称して導電パターンと呼ぶことがある。
【0054】
以下、上記構成の電極基板1を製造する方法について説明する。
本実施形態では、電極基板を1つずつ作製するのではなく、面積の大きな透光性基板(いわゆる、マザー透光性基板)を用いて複数の電極基板を同時に作製する、いわゆる多数個取りの手法に基づいて電極基板を作製するものとする。このような多数個取りの製造方法においては、図3に示す電極基板1を1つずつ形成するのではなく、図4(a)及び図4(b)に示すように、複数の電極基板1を形成できる大きさの面積を有するマザー透光性基板2’の上に、電極基板1の複数個分の要素(すなわち、第1透光性電極4aや第2透光性電極4b等を含む導電パターン)を同時に形成する。こうして、電極基板1を縦及び横に複数列含む大きさの大面積のパネル構造体1’を作製し、その大面積のパネル構造体1’に対して縦方向及び横方向に分割用の溝を形成し、さらに、その溝に沿ってパネル構造体1’を分割することにより、個々の電極基板1が作製される。
【0055】
図5は、本発明に係る電極基板の製造方法の一実施形態を示している。また、図6〜図15は、図5の各工程において形成される基板の構造の変遷を工程順に示す構造変遷図である。特に、図6〜図10は、図4(a)の上段左寄りに示すZ6−Z6線に従った断面、すなわち端子部5a及び5bを横切る断面を示している。また、図11〜図15は、Z6−Z6断面を含む平面部分Z11を拡大して示す平面図である。これらの図6〜図10の断面図と図11〜図15の平面図は、それぞれ、同一工程における断面構造及び平面構造を示している。
【0056】
なお、図6〜図10の断面図では処理を受ける面を上面として描いている。このため、図6〜図8の状態と図9〜図10の状態は上下が反転している。また、図11〜図15の平面図では処理を受ける面を手前側の面として描いている。このため、図11〜図13の状態と図14〜図15の状態は表裏が反転している。以下、図6〜図15を参照しながら図5の製造方法を説明する。
【0057】
図5において、工程P1〜工程P7は、図4(a)のマザー基板2’の第1主面(裏面)S1に導電パターンを形成するための第1主面形成工程Q1である。図5の工程P8〜工程P11は、図4(a)の第2主面(表面)S2に導電パターンを形成するための第2主面形成工程Q2である。図5の工程P13及びP14は、図4(a)のマザー基板2’を個々の基板へと分割するための工程Q3である。
【0058】
まず、図4(a)に示すマザー基板2’に対する第1主面形成工程Q1について説明する。図5の工程P1において、図4(a)のマザー基板2’を所定の洗浄液によって洗浄する。次に、図5の工程P2において、図6(a)及び図11(a)に示すように、マザー基板2’の第1主面S1上に材料層3’を、例えばCrを材料としてスパッタリングによって約2000Åの膜厚に成膜する。材料層3’は、図2の配線3及びそれの先端部分である端子部5aの第1層6の材料層である。
【0059】
次に、図5の工程P3において、図6(a)及び図11(a)の材料層3’をフォトエッチング処理によってパターニングする。具体的には、まず、図6(b)及び図11(b)に示すように、材料層3’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21aを、例えばスピンコートによって一様な厚さに塗布する。次に、プレベークを行ってレジスト21a内の溶媒を除去する。
【0060】
次に、塗布されたレジスト21aに対して図6(c)及び図11(c)において露光処理を実行する。具体的には、マザー基板2’を露光装置、例えば一括露光装置の所定位置に設置し、さらに、図6(c)に示す露光マスク22Aをマザー基板2’に対向する所定位置に設置する。露光マスク22Aは、ガラス基板23によって形成された完全光透過領域A0と遮光パターン24Aによって形成された完全遮光領域A1の2つの領域を有する2階調の露光マスクである。この露光マスク22Aは、完全光透過領域A0がレジスト21aを除去する部分に対向し、完全遮光領域A1がレジスト21aを残す部分に対向するように、マザー基板2’に対向する位置に設置される。この状態で露光マスク22Aを通してレジスト21aへ一定光量の露光光L1を照射すると、鎖線で示す露光像が形成されて露光された部分B1が可溶化する。
【0061】
次に、図6(c)及び図11(c)のマザー基板2’を現像液に所定時間、浸漬して現像処理を行う。すると、図6(c)において可溶化した部分B1のレジスト21aが除去されて、レジスト21aが図6(d)及び図11(d)に示す形状にパターニングされる。次に、ポストベークを行い、後のエッチング処理に用いるエッチング液に対するレジスト21aの耐性を調整する。その後、材料層3’に対してレジスト21aをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図6(e)及び図11(e)に示すように材料層3’をパターニングする。そしてさらに、マスクとして使用したレジスト21aを、例えば硫酸等によって剥離することにより、図7(f)及び図12(f)に示すように金属膜としての配線3及び端子部5a(図2参照)の第1層6が形成される。
【0062】
次に、第1導電膜形成工程としての図5の工程P4において、図7(g)及び図12(g)の配線3及び第1層6上に、図2の第1透光性電極4aの材料である第1導電膜としてのp(ポリ)−ITO膜4a’を、スパッタリングによって約500Åの膜厚に成膜する。
【0063】
次に、第1パターニング工程としての図5の工程P5を、図7(h)〜図8(k)及び図12(h)〜図13(k)に示すように実行する。具体的には、まず、図7(h)及び図12(h)に示すように、p−ITO膜4a’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21bを、例えばスピンコートによって一様な厚さに塗布する。次に、プレベークを行ってレジスト21b内の溶媒を除去する。
【0064】
次に、塗布されたレジスト21bに対して図7(i)及び図12(i)において露光処理を実行する。具体的には、マザー基板2’を露光装置、例えば一括露光装置の所定位置に設置し、さらに、図7(i)の露光マスク22Bをマザー基板2’に対向する所定位置に設置する。露光マスク22Bは、ガラス基板23によって形成された完全光透過領域A0と遮光パターン24Bによって形成された完全遮光領域A1の2つの領域を有する2階調の露光マスクである。この露光マスク22Bは、完全光透過領域A0がレジスト21bを除去する部分に対向し、完全遮光領域A1がレジスト21bを残す部分に対向するように、マザー基板2’に対向する位置に設置される。この状態で露光マスク22Bを通してレジスト21bへ一定光量の露光光L2を照射すると、破線で示す露光像が形成されて露光された部分B2が可溶化する。
【0065】
次に、図7(i)及び図12(i)のマザー基板2’を現像液に所定時間、浸漬して現像処理を行う。すると、図7(i)において可溶化した部分B2のレジスト21bが除去されて、図8(j)及び図13(j)に示す形状にパターニングされる。次に、ポストベークを行い、後のエッチング処理に用いるエッチング液に対するレジスト21bの耐性を調整する。その後、p−ITO膜4a’に対してレジスト21bをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図8(k)及び図13(k)に示すようにp−ITO膜4a’をパターニングする。
【0066】
次に、マスクとして使用したレジスト21bを、図5の工程P6において、例えば有機溶剤等によって剥離することにより、図8(l)及び図13(l)に示すように第1透光性電極4a及び端子部5aの第2層7が形成される。
【0067】
次に、第1保護手段形成工程としての図5の保護膜形成工程P7を行う。具体的には、図8(m)及び図13(m)において、第1保護手段としての保護膜であるポジ型の感光性樹脂25を、例えばスピンコートによって1μm〜2μmの厚さにマザー基板2’上に塗布し、この保護膜25によって第1透光性電極4a及び端子部5aを覆う。保護膜25は、これ以降の工程において第1透光性電極4a等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止する。以上により、マザー基板2’の第1主面S1に対する第1主面形成工程が終了する。
【0068】
次に、マザー基板2’の第2主面S2に対する第2主面形成工程Q2について説明する。まず、図5の工程P8において、図4(a)の第2主面(表面)S2が処理できるようにマザー基板2’の表裏を反転し、その第2主面S2を所定の洗浄液によって洗浄する。次に、第2導電膜形成工程としての図5の工程P9において、図9(a)及び図14(a)に示すように、マザー基板2’の第2主面S2上に図3の第2透光性電極4bの材料であるa(アモルファス)−ITO膜4b’を、スパッタリングによって約500Åの膜厚に成膜する。
【0069】
次に、第2パターニング工程としての図5の工程P10を、図9(b)〜図10(e)及び図14(b)〜図15(e)に示すように実行する。具体的には、まず、図9(b)及び図14(b)に示すように、a−ITO膜4b’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21cを、例えばスピンコートによって一様な厚さに塗布する。
【0070】
次に、塗布されたレジスト21cに対して、図9(c)及び図14(c)において、露光処理を実行する。具体的には、マザー基板2’を露光装置、例えば一括露光装置の所定位置に設置し、さらに、露光マスク22Cをマザー基板2’に対向する所定位置に設置する。このとき、第2主面S2の裏面である第1主面S1上のパターンと露光マスク22Cとの間で、透光性のマザー基板2’を通してアライメントが行われる。露光マスク22Cは、ガラス基板23によって形成された完全光透過領域A0と遮光パターン24Cによって形成された完全遮光領域A1の2つの領域を有する2階調の露光マスクである。この露光マスク22Cは、完全光透過領域A0がレジスト21cを除去する部分に対向し、完全遮光領域A1がレジスト21cを残す部分に対向するように、マザー基板2’に対向する位置に設置される。この状態で露光マスク22Cを通してレジスト21cへ一定光量の露光光L3を照射すると、破線で示す露光像が形成されて露光された部分B3が可溶化する。
【0071】
次に、図9(c)及び図14(c)のマザー基板2’を現像液に所定時間、浸漬して現像処理を行う。すると、図9(c)において可溶化した部分B3のレジスト21cが除去されて、図10(d)及び図15(d)に示す形状にパターニングされる。次に、ポストベークを行い、後のエッチング処理に用いるエッチング液に対するレジスト21cの耐性を調整する。その後、a−ITO膜4b’に対してレジスト21cをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図10(e)及び図15(e)に示すようにa−ITO膜4b’をパターニングする。
【0072】
次に、第1保護手段除去工程としての図5の工程P11において、マスクとして使用した図10(e)のレジスト21c及び反対面である第1主面S1上の保護膜25を、例えば有機溶剤等によって剥離することにより、図10(f)及び図15(f)に示すように第2透光性電極4b及び端子部5bが形成される。以上により、マザー基板2’の第2主面S2に対する第2主面形成工程が終了し、マザー透光性基板2’の両面に導電パターンが形成された図4のパネル構造体1’が完成する。
【0073】
以上の第2主面形成工程Q2が行われている間、マザー基板2’の第1主面S1は各工程で用いられる処理装置の支持部材上に支持される。この場合、第1主面S1は支持部材の支持面に接触するので、傷が付いたり、異物が付着することが考えられる。しかしながら、本実施形態では第2主面形成工程Q2が行われている間、第1主面S1は保護膜25に覆われて保護されているので、保護膜25には傷等が付くかもしれないが、保護膜25の中の電極等に傷が付くことはない。
【0074】
次に、図5の工程P12において、図4(a)の右辺部に示すZ4−Z4線に従った断面構造を示す図4(b)に示すように、パネル構造体1’の両面上であって個々の電極基板1の部分に対応する領域に保護膜としての樹脂膜26a,26bを設ける。具体的には、マザー基板2’の第1主面S1上において、個々の電極基板1部分に属する第1透光性電極4a、端子部5a(図4(a)参照)及び配線3を覆うことができる形状の、第1保護膜としての複数の島状の樹脂膜26aを個々の電極基板1部分の上に取り付ける(図16(b)参照)。これらの島状の樹脂膜26aは、マザー基板2’の第1主面S1上に貼り付ける(すなわち、ラミネートする)ことによって取り付けられる。互いに隣接する樹脂膜26a同士は、所定の間隔を空けて設けられている。従って、マザー基板2’の第1主面S1上には、樹脂膜26aが設けられない領域、すなわちマザー基板2’の第1主面S1の表面が露出している領域T(図4(a),(b)参照)が設けられている。
【0075】
一方、マザー基板2’の第2主面S2上においては、図4(b)に示すように、個々の電極基板1部分に属する第2透光性電極4b及び端子部5b(図4(a)参照)を覆うことができる形状に、第2保護膜としての複数の島状の樹脂膜26bを個々の電極基板1部分の上に取り付ける(図16(c)参照)。これらの島状の樹脂膜26bも、マザー基板2’の第2主面S2上に貼り付ける(すなわち、ラミネートする)ことによって取り付けられる。互いに隣接する樹脂膜26b同士も、所定の間隔を空けて設けられている。従って、マザー基板2’の第2主面S2上には、樹脂膜26bが設けられない領域、すなわちマザー基板2’の第2主面S2の表面が露出している領域T(図4(a),(b)参照)が設けられている。また、図4(a)に示すように、マザー基板2’の外周に沿った部分にも樹脂膜26a,26bが設けられていない領域T(斜線で示す)が設けられている。樹脂膜26a,26bとしては、例えばアクリル系樹脂や窒化膜等を用いることができる。
【0076】
斜線で示す領域Tのうち鎖線X0に沿った領域は、パネル構造体1’を個々の電極基板1へと分割する際にスクライブ(すなわち、罫書き)によって分割用の溝を形成する領域である。このように分割用溝を形成する領域に樹脂膜26a,26bを設けずにマザー基板2’の表面を露出しておけば、マザー基板2’をスクライブする際に樹脂膜26a,26bが削られることがなく、それ故、削られた樹脂膜26a,26bが塵となって雰囲気を汚すことがなくなる。
【0077】
ところで、樹脂膜26a,26bが貼り付けられたパネル構造体1’はその後に適宜の構造のマガジン(すなわち、収納枠)に収容された上で必要な処理を受ける。領域Tのうちマザー基板2’の外周に沿った領域は、後の工程においてマザー基板2’にマガジンが接触する領域である。本実施形態のようにマザー基板2’の外周に沿った部分において樹脂膜26a,26bを設けることなく基板表面を露出しておけば、後の工程における作業性が向上する。
【0078】
次に、図5において、パネル構造体1’を分割する工程Q3を説明する。まず、工程P13において、図4(a)のパネル構造体1’の第1主面S1で鎖線X0に沿って、例えばガラススクライバによってスクライブを行って分割用の溝を形成する。このとき、マザー基板2’の第1主面S1上であって鎖線X0に沿った部分には樹脂膜26aが設けられていないので、ガラススクライバは樹脂膜26aを削ることなくマザー基板2’の表面を直接にスクライブできる。また、裏面である第2主面S2においても、樹脂膜26bは鎖線X0に沿った部分には設けられていないので、マザー基板2’の第2主面S2もガラススクライバによって直接にスクライブできる。
【0079】
次に、図5の工程P14において、例えばブレイクマシン等を用いて、図16(d)に示すように、パネル構造体1’を、電極基板1の複数個分の要素を一列に含んだ短冊状1a’に分割する(1次ブレイク)。さらにその後、短冊状のパネル構造体1a’を図16(e)に示すように分割用の溝に沿って分割(2次ブレイク)することにより、図3に示す個々の電極基板1を作製する。
【0080】
次に、図5の焼成工程P15において、個々の電極基板1を所定の温度で焼成する。この焼成により、工程P9においてa−ITOによって膜として形成され工程P10においてパターニングされた第2透光性電極4b(図10の符号4’参照)がポリ化する。このポリ化により、第2透光性電極4bの透光性を向上させ、且つ抵抗値を低くすることができる。以上の一連の工程により、電極基板1が完成する。
【0081】
本実施形態の電極基板の製造方法では、図5のp−ITOパターニング工程P5の後に保護膜形成工程P7において、図8(m)及び図13(m)に示すように、第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3(以下、第1主面膜要素という)を覆う形状に保護膜25を形成する。これにより、基板2’の第1主面S1に形成された第1主面膜要素4a,5a,3は保護膜25によって保護されるので、図4(a)のマザー基板2’の第2主面(表側面)S2に第2透光性電極4b及び端子部5bを形成する際に、第1主面(裏面)S1の表面自体及び第1主面膜要素4a,5a,3がスパッタ装置等といった製造装置のテーブルやマガジンに直接に触れることがなくなる。その結果、マザー基板2’の第1主面S1の表面自体及び第1主面膜要素4a,5a,3に傷がついたり異物が付着したりすることを防止でき、第1主面膜要素4a,5a,3に不良が発生することを防止できる。
【0082】
また、本実施形態では、図5の保護膜貼り付け工程P12において、図4(a)に示すように、マザー基板2’の両面S1,S2における個々の電極基板1の部分の領域に対応させて複数の樹脂膜26a,26bを貼り付けることにした。この場合、互いに隣接する樹脂膜26a同士の間及び互いに隣接する樹脂膜26b同士の間には、樹脂膜26a,26bが無くて基板2’の表面が露出する領域Tが設けられている。これにより、図5の分割工程Q3内のスクライブ工程P13の際に、樹脂膜26a又は26bが削られることがなくなる。これにより、削られた樹脂膜26a又は26bが塵となって雰囲気を汚すことを防止できる。
【0083】
また、本実施形態において、図3の第1主面(裏面)S1上の第1透光性電極4aと端子部5aの第2層7は、図5の第1主面形成工程Q1においてp−ITOを用いて形成した。一方、図3の第2主面S2上の第2透光性電極4bと端子部5bは、図5の第2主面形成工程Q2においてa−ITOを用いて形成した上で、焼成工程P15において焼成することによりそのa−ITOをポリ化することにした。
【0084】
本実施形態では、第2主面洗浄工程P8又はa−ITOスパッタ工程P9の際に、それらの処理を受ける第2主面S2の反対面である第1主面S1上に設けた保護膜25に傷がつくかもしれない。このように傷がつくと、a−ITOパターニング工程P10においてエッチング液が保護膜25についた傷へ進入するおそれがある。しかし、a−ITOはp−ITOに比べて弱いエッチング液でエッチングすることができるので、a−ITOパターニング工程P10において弱いエッチング液を用いることにすれば、保護膜25についた傷等から仮にエッチング液が進入して、第1透光性電極4a又は端子部5aに達したとしても、p−ITOで形成した第1透光性電極4aと端子部5aの第2層7が腐蝕することはない。
【0085】
また、本実施形態では、図5の工程P9で成膜されさらに工程P10でパターニングされて第2透光性電極4bを形成しているa−ITO(図10(e)参照)を、図5の焼成工程P15においてポリ化する。これにより、第2透光性電極4bの透明度を向上させ、且つ抵抗値を低くできる。その結果、第2透光性電極4bはp−ITOを用いて形成した第1透光性電極4aと同様に、高い透光性及び低い電気抵抗を有することができる。また、a−ITOはp−ITOに比べて低い温度で成膜することができる。そのため、図5のa−ITOスパッタ工程P9においてa−ITO膜4b’を形成する際に、反対側の面に形成された保護膜25が、熱で硬化することを防止できる。
【0086】
(電極基板の製造方法の第3実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第3実施形態を図17に基づいて説明する。図1及び図5に示した先の実施形態では、基板の両面に電極を形成するに際して、導電膜の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板の片面ごとに順次に行い、そして後工程で行われる第2パターニングの際には先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を保護膜で覆って保護しながら第2パターニングを行った。これに対し、本実施形態では、導電膜の形成の仕方に改変を加えている。具体的には、まず、基板の両面に導電膜を同時に形成し、その後、両面の導電膜を片面ずつパターニングする。以下、本実施形態を具体的に説明する。
【0087】
本実施形態の製造方法では、図17(a)において基板102の第1主面S1に導電部材103(図17(i)参照)の材料膜103’が形成され、その材料膜103’がフォトエッチング処理等によってパターニングされて、図17(b)に示す導電部材103が形成される。次に、図17(c)において基板102の第1主面S1に第1導電膜104a’を成膜し、同時に反対面である第2主面S2に第2導電膜104b’を成膜する。次に、図17(d)において第2導電膜104b’を覆うように保護膜135を成膜する。
【0088】
次に、第1導電膜104a’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図17(e)に示す第1電極104aを形成する。次に、保護膜135を図17(f)に示すように除去する。次に、図17(g)に示すように、第1電極104aを覆うように保護膜125を成膜する。次に、基板102の表裏を反転し、第2導電膜104b’をフォトエッチング処理等によってパターニングして図17(h)の第2電極104bを形成する。
【0089】
この電極形成時、処理面である第2主面S2の反対面である第1主面S1は処理装置の支持台上に支持されるため、傷を生じたり、異物が付着したりする等といった不都合が発生するおそれがある。しかしながら、第1主面S1は保護膜125によって保護されているので、その第1主面S1に傷が付いたり、異物が付着したりすることはない。以上により第2主面S2上に第2電極104bが形成された後、反対面上の保護膜125を除去することにより、図17(i)の電極基板1が完成する。
【0090】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’を基板102の両面に同時に成膜した後、それらに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を保護膜125で覆って保護しながらその第2パターニングを行う。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止している。
【0091】
(電極基板の製造方法の第4実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第4実施形態を図18〜図20に基づいて説明する。この第4実施形態は、図17に示した第3実施形態を、より現実に則して実施するものである。なお、本実施形態においても、図2に示す電極基板1を製造するものとする。また、以下の説明では、本実施形態を先の実施形態と異なる点を中心として説明するものとし、共通する工程については説明を省略する。
【0092】
図18は、本実施形態に係る電極基板の製造方法を構成する各工程を示す工程図である。図19及び図20は、図18の両面p−ITOスパッタ工程P24から第1レジスト及び第2主面保護膜剥離工程P27に至るまでの各工程に対応する膜構成の変遷を示す断面図である。
【0093】
本実施形態において、図18のP21〜P23に示す工程は、図5のP1〜P3に示す工程と同じである。また、図18のP29〜P30に示す工程は、図5のP10〜P11に示す工程と同じである。従って、これらの工程の詳細な説明は省略する。
【0094】
図18の工程P23が終了した状態で、図7(f)に示すように配線3及び端子部5a(図2参照)の第1層6が形成されている。その後、図18の工程P24において、図19(a)に示すように、マザー基板2’の第1主面S1に第1導電膜としてのp−ITO膜4a’を形成し、マザー基板2’の第2主面S2に第2導電膜としてのp−ITO膜4b’’を形成する。本実施形態では、マザー基板2’の両面に対して同時にスパッタ処理を行うことにより、p−ITO膜4a’とp−ITO膜4b’’とを同時に形成する。
【0095】
次に、第2保護手段形成工程としての図18の工程P25において、図19(b)のp−ITO膜4b’’を覆うように第2保護手段としての保護膜であるポジ型の感光性樹脂35を、例えばスピンコートによって1μm〜2μmの厚さに塗布して成膜する。
【0096】
次に、第1パターニング工程としての図18の工程P26において、図19(b)のp−ITO膜4a’をフォトエッチング処理によってパターニングする。具体的には、まず、図19(c)においてp−ITO膜4a’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21dを一様な厚さに塗布し、プレベークを行ってレジスト21d内の溶媒を除去する。その後、図19(d)において、レジスト21dに対して露光マスク22Dを用いて露光処理を実施する。露光マスク22Dを用いて露光することにより、図19(d)の露光された部分B4が可溶化する。
【0097】
次に、図20(e)において、マザー基板2’を現像液に所定時間浸漬して、可溶化した部分B4(図20(d)参照)のレジスト21dを除去する。その後ポストベークを行い、さらにp−ITO膜4a’に対してレジスト21dをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図20(f)に示すようにp−ITO膜4a’をパターニングする。
【0098】
その後、マスクとして使用したレジスト21d及びその反対面上の保護膜35を、第2保護膜除去工程としての図18の工程P27において剥離することにより、図20(g)に示す第1電極4a及び端子部5aの第2層7が形成される。そして、第1保護手段形成工程としての図18の工程P28において、図20(h)に示すように、端子部5a及び第1電極4aを覆うように、第1保護手段としての保護膜であるポジ型の感光性樹脂25を、例えばスピンコートによって1μm〜2μmの厚さに塗布して成膜する。以上により、マザー基板2’の第1主面形成工程Q1が終了する。
【0099】
この後、第2主面形成工程Q2が実行される。この工程Q2は、図5に示した先の実施形態における工程Q2と略同じであるが、以下の点が異なっている。まず、図5の実施形態では、図9(a)において、第2導電膜としてのa−ITO膜4b’をマザー基板2’の第2主面S2上に成膜している。これに対し、本実施形態では、図18の工程P24において既に第2導電膜としてのp−ITO膜4b’’(図19(a)参照)を成膜しているので、第1主面形成工程Q1が終了した時点で、図9(a)と同じ膜構成が図20(h)にて形成された状態にある。従って、図18に示す本実施形態において第2主面形成工程Q2は、第2パターニング工程としての第2主面p−ITOパターニング工程P29から開始される。
【0100】
既述のように、工程P29〜P30の各工程は、図5に示した先の実施形態における工程P10〜P11と同じである。すなわち、図18の工程P29において、図9(b)〜図10(e)と同様の工程が行われて、図4(a)の第2透光性電極4b及び端子部5bが形成される。そして、工程P30において図10(e)に示すレジスト21c及びその反対面上の保護膜25が剥離されて、図10(f)に示す導電膜パターンが現れ、これにより、第2主面形成工程Q2が終了する。
【0101】
この後、先の第1実施形態と同様に、図5に示す保護膜貼り付け工程P12が実行され、続いて分割工程Q3が実行され、さらに工程P15において焼成が行われて図2の電極基板1が完成する。
【0102】
本実施形態では、図19(a)のマザー基板2’の両面にそれぞれp−ITO膜4a’と4b’’を形成した後に、図19(b)のp−ITO膜4b’’上に保護膜35を形成し、その後p−ITO膜4a’をパターニングすることにした。これにより、p−ITO膜4a’及び4b’’を成膜するスパッタ処理を保護膜が設けられていない状態で行うことができる。そのため、p−ITO膜4a’,4b’’を高温スパッタ処理により成膜したとしても、保護膜からガスが発生する等といった障害が発生することを防止できる。
【0103】
また、図18の第1主面p−ITOパターニング工程26の際には、図19(c)〜図19(f)に示すように、保護膜35によってp−ITO膜4b’’が保護されるので、p−ITO膜4b’’に傷がついたり異物が付着することを防止できる。一方、図18の第2主面p−ITO膜形成工程P29の際には、図20(h)に示すように、保護膜25によって第1透光性電極4a及び端子部5aが保護されるので、基板2’の第1主面S1の表面、第1透光性電極4a及び端子部5aに傷がついたり異物が付着することを防止でき、電極4a及び端子部5aに不良が発生することを防止できる。
【0104】
(変形例)
図18の工程P24では、図19(a)において、マザー基板2’の両面に対して同時にスパッタ処理を行うことにより、第1導電膜としてのp−ITO膜4a’と第2導電膜としてのp−ITO膜4b’’とを同時に形成する場合を例示した。しかしながら、p−ITO膜4a’とp−ITO膜4b’’とを別々の工程で形成することもできる。この場合には、p−ITO膜4a’を形成する工程とp−ITO膜4b’’を形成する工程とを連続して行うことになる。また、このように、第1導電膜と第2導電膜を別々に形成する場合には、第2主面S2上に形成する第2導電膜をa−ITO膜を用いて形成することもできる。こうすれば、先の第1実施形態と同様に、保護膜25に何等かの理由により傷がついた場合に、a−ITOパターニング工程P10において、保護膜25についた傷等から仮にエッチング液が進入して、第1透光性電極4a又は端子部5aに達したとしても、p−ITOで形成した第1透光性電極4aと端子部5aの第2層7とが腐蝕することがなくなる。
【0105】
(電極基板の製造方法の第5実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第5実施形態を図21に基づいて説明する。本実施形態の製造方法の全体的な工程は、図5に示した第2実施形態に係る製造方法と略同じである。図5に示した先の実施形態では、保護膜形成工程P7において、図8(m)に示す第1保護手段としての保護膜25をスピンコート等により成膜した。これに対し本実施形態では、第1保護手段として保護膜25に代えてガラス体を用いている。
【0106】
本実施形態に係る製造方法を図21を用いて工程順に説明すると、図21(a)において基板102の第1主面S1に導電部材103(図21(h)参照)の材料膜103’が形成され、その材料膜103’がフォトエッチング処理等によってパターニングされて、図21(b)に示す導電部材103が形成される。次に、図21(c)において基板102の第1主面S1に第1導電膜104a’を成膜し、さらにその第1導電膜104a’をフォトエッチング処理によってパターニングして図21(d)の第1電極104aを形成する。
【0107】
次に、図21(e)において第1電極104aを覆うガラス体345を接着材346を用いて基板102に接着する。そして、基板102を表裏反転した後、図21(f)において基板102の第2主面S2上に第2導電膜104b’を成膜し、その膜104b’をフォトエッチング処理によってパターニングして図21(g)の第2電極104bを形成する。さらに、図21(g)において接着材346を除去して基板102からガラス体345を取外すことにより、図21(h)に示す電極基板1が完成する。
【0108】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面をガラス体345で覆って保護しながらその第2パターニングを行う。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止している。
【0109】
(電極基板の製造方法の第6実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第6実施形態を図22に基づいて説明する。この第6実施形態は、図21に示した第5実施形態を、より現実に則して実施するものである。なお、本実施形態においても、図2に示す電極基板1を製造するものとする。また、以下の説明では、本実施形態を先の実施形態と異なる点を中心として説明するものとし、共通する工程については説明を省略する。
【0110】
本実施形態において、図5の工程P1から工程P6までの各工程が実行され、図8(l)に示すように、マザー基板2’上に配線3(図3参照)、第1透光性電極4a及び端子部5aが形成される。次に、図5の工程P7が実行され、図22に示す保護構造が作られる。図22は、本実施形態に係る基板の製造方法を構成する各工程のうちの図5に示す保護手段形成工程P7において保護手段を形成した状態を示す断面図である。この断面図は、図4(a)の上段右寄りに示すZ22−Z22線に従った断面、すなわち、マザー基板2’のうち、1つの電極基板1内の端子部5aに対応する部分の断面を示している。
【0111】
本実施形態において保護手段を形成するには、まず、図22において、マザー基板2’の第1主面S1上に接着材46を、例えば印刷することによって形成する。この接着材46としては、エッチング液に対して耐性を有する材料が用いられる。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。また、接着材46は平面的に見て正方形又は長方形で環状に形成されており、図5の工程P6までの工程において、電極基板1部分に対応して形成された第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3を囲む枠状に形成される。なお、接着材46は、個々の基板1部分に対応する枠状に形成することに代えて、大面積のマザー基板2’の周辺に沿って、複数個分の電極4a等を囲む大きな枠状に形成することもできる。また、接着材46は、個々の電極基板1に対応する枠状に形成することに加えて、大面積のマザー基板2’の周辺に沿って、複数個分の電極4a等を囲む大きな枠状に形成することもできる。
【0112】
次に、接着材46を用いて、第1保護手段であるガラス体45を、マザー基板2’の第1主面S1に対向する状態に接着する。このガラス体45は、板状に形成されたガラス板であり、例えば、マザー基板基板2’と同じ材質及び同じ形状のガラス基板を用いることができる。なお、ガラス体45は、基板2’の第1主面S1に形成された電極4a等を覆うことができれば、板状以外の形状に形成することもできる。
【0113】
以上のようにしてマザー基板2’にガラス体45を接着した後、図5の工程P8から工程P15までの各工程が行われ、図2に示す電極基板1が作製される。なお、既述の第1実施形態では、図5の工程P11において、図10(e)の保護膜25とレジスト21cとを有機溶剤等を用いて剥離している。これに対し、本実施形態では、例えば有機溶剤等を用いて接着材46をマザー基板基板2’から剥離することにより、ガラス体45をマザー基板2’から取り除くことがきる。
【0114】
本実施形態においては、図5の保護手段形成工程P7において、図22に示すように、マザー基板2’の第1主面S1に形成された第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3を覆うように接着材46によってガラス体45をマザー基板2’に接着した。これにより、マザー基板2’の第2主面S2に第2透光性電極4b及び端子部5aを形成する際に、マザー基板2’の第1主面S1の表面自体、第1透光性電極4a、端子部5a及び配線3(すなわち、第1主面膜要素)をガラス体45によって保護できる。その結果、マザー基板2’の第1主面S1の表面自体及び第1主面膜要素4a,5a,3に傷がついたり異物が付着することを防止でき、第1主面膜要素4a,5a,3に不良が発生することを防止できる。
【0115】
また、本実施形態のように、第1保護手段としてガラス体45を用いれば、接着材46を用いてマザー基板基板2’に接着することにより、マザー基板2’上に保護手段を容易に設けることができる。また、接着材46を有機溶剤等を用いて剥離することにより、ガラス体45をマザー基板2’から容易に取り除くことができる。
【0116】
(電極基板の製造方法の第7実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第7実施形態を図23に基づいて説明する。図1、図17、図21に示した先の実施形態は、それぞれ、図1(h)、図17(i)、図21(h)に示したように、電極104aの下に導電部材103が形成される構成の電極基板1を製造する場合に好適な製造方法であった。これに対し、図23に示す本実施形態の製造方法は、図23(f)に示すように、電極104aの上に導電部材103が形成される構成の電極基板1を製造するのに好適な製造方法である。
【0117】
本実施形態では、図23(a)において基板102の第1主面S1上にp−ITO膜104a’を成膜する。次に、そのp−ITO膜104a’をパターニングして図23(b)に示す第1電極104aを形成する。その後、図23(c)において金属膜103’を成膜した上で、図23(d)及び図23(e)においてその金属膜103’を保護手段として用いて基板102の第2主面S2に第2電極104bを形成し、その後、図23(f)において金属膜103’をパターニングして導電部材103を形成することにより、電極基板1を製造する。
【0118】
以上のように本実施形態によれば、導電膜104a’,104b’の成膜及びそれに続く導電膜のパターニングを基板102の片面ごとに順次に行う。そして、工程的に後で行われる第2パターニングの際には、先に行われた第1パターニングにおいてパターニングされた面を金属膜103’で覆って保護しながらその第2パターニングを行う(図23(c)、(d)、(e)参照)。こうして、第1パターニングによって形成された電極等に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止している。
【0119】
(電極基板の製造方法の第8実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第8実施形態を図24〜図28に基づいて説明する。この第8実施形態は、図23に示した第7実施形態を、より現実に則して実施するものである。本実施形態では、図24に示す電極基板51を製造するものとする。この電極基板51の矢印Z3側から見た平面構造は、端子部55a及び配線53の層構造を除いて、図3に示す平面構造と同じである。図25は、本実施形態に係る電極基板の製造方法を示す工程図である。図26〜図28は、図25の各工程において形成される基板の構造を工程順に示す構造変遷図である。これらの図26〜図28は、図24の左側に示すZ26−Z26線に従った端子部の断面構造を示している。
【0120】
まず、図24の電極基板51上に設けられる導電パターンについて説明する。電極基板51において、透光性基板2の第2主面S2上に形成される導電パターンは図2及び図3に示す先の実施形態の透光性基板2において第2主面S2上に形成されるパターンと同じである。すなわち、図24において、p−ITOから成る第2電極としての第2透光性電極4bと端子部5bが第2主面S2上に形成されている。
【0121】
他方、第1主面S1上の導電パターンは、金属膜である導電部材としての配線53と、第1電極としての第1透光性電極54aと、端子部55aとを含んでいる。端子部55aは、第1層56と第2層57との積層構造となっている。第1層56は、透光性の導電材料であるp−ITOを用いて形成されている。第2層57は金属、本実施形態ではCrを用いて形成されている。
【0122】
配線53は、複数本設けられている。これらの配線53は、Crを用いた単層の膜に形成されている。配線53は、端子部55aのところまで延びて該端子部55aの第2層57となっている。個々の配線53の一方の端部53aは、第1透光性電極54aの端部に積層されている。これにより、配線53と第1透光性電極54aとが導電接続されている。他方、配線53の他方の端部は端子部55aの第2層57となっているので、配線53と端子部55aとは互いに導電接続されている。すなわち、配線53を介して第1透光性基板54aと端子部55aとが導電接続されている。
【0123】
以下、本実施形態に係る電極基板51の製造方法について説明する。まず、図25における第1主面形成工程Q1について説明する。工程P41において図26(a)のマザー基板2’を所定の洗浄液によって洗浄する。次に、図25の工程P42において、図26(a)に示すように、透光性基板2’の第1主面S1上に図24の第1透光性電極54aの材料である第1導電膜としてのp−ITO膜54a’を、スパッタリングによって約500Åの膜厚に成膜する。
【0124】
次に、第1パターニング工程としての図25の工程P43において、図26(a)のp−ITO膜54a’をフォトエッチング処理によってパターニングする。具体的には、まず、図26(b)においてp−ITO膜54a’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21eを一様な厚さに塗布し、プレベークを行ってレジスト21e内の溶媒を除去する。その後、図26(c)においてレジスト21eに対して露光マスク22Eを用いて露光処理を行う。露光マスク22Eを用いて露光することにより、図26(c)の露光された部分B5が可溶化する。
【0125】
次に、図26(c)のマザー基板2’を現像液に所定時間浸漬して、可溶化した部分B5のレジスト21eを除去して、図26(d)に示すレジストパターン21eを得る。その後ポストベークを行い、さらにp−ITO膜54a’に対してレジスト21eをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図27(e)に示すようにp−ITO膜54a’を得る。その後、図25の工程P44において、マスクとして使用したレジスト21eを剥離することにより、図27(f)に示す第1電極54a及び端子部55a(図24参照)の第1層56が形成される。そして、金属膜形成工程としての図25の工程P45において、図27(g)に示すように、第1層56及び第1電極54aを覆うように金属膜である材料層53’を、例えばCrを材料としてスパッタリングによって約2000Åの膜厚に成膜する。以上により、マザー基板2’の第1主面S1に対する図25の第1主面形成工程Q1が終了する。
【0126】
この後、第2主面形成工程Q2が実行される。この工程Q2では、工程P46〜工程P49において、図24に示す基板2の第2主面S2上に第1透光性電極4b及び端子部5bが形成される。工程P46〜工程P49は図5に示した先の実施形態における第2主面形成工程Q2(工程P8〜工程P11)に相当する工程である。図5の工程P8〜工程P11においては、図9(a)〜図10(f)を参照して説明したように、第2主面S2上に電極4b等といった導電パターンを形成する際に第1主面S1を第1保護手段としての樹脂製の保護膜25で覆って保護した。これに対して本実施形態における工程P46〜P49の工程は、図5の工程P8〜工程P11(図9(a)〜図10(f))における保護膜25に代えて上記の材料層53’を第1保護手段として形成するものであり、その他の処理は図5の工程P8〜工程P11と同じである。従って、図25の工程P46〜P49についての説明は省略することにする。
【0127】
図25の工程P49が終了すると、図5に示した先の実施形態における図10(e)と同様に、図27(m)に示すように、第2透光性電極4b及び端子部5bがマザー基板2’の第2主面S2上に形成される。その後、第3パターニング工程としての図25の工程P50において、材料層53’をパターニングする。具体的には、まず、図28(a)において材料層53’上にポジ型の感光性樹脂であるレジスト21fを一様な厚さに塗布し、プレベークを行ってレジスト21f内の溶媒を除去する。その後、図28(b)においてレジスト21fに対して露光マスク22Fを用いて露光処理が実施される。露光マスク22Fを用いて露光することにより、図28(b)の露光された部分B6が可溶化する。
【0128】
次に、図28(c)において、マザー基板2’を現像液に所定時間浸漬して、可溶化した部分B6(図28(b)参照)のレジスト21fを除去する。その後、ポストベークを行い、さらに材料層53’に対してレジスト21fをマスクとしてエッチング処理を行うことにより、図28(d)に示すように材料層53’をパターニングする。その後、マスクとして使用したレジスト21fを図25の工程P51において剥離することにより、図28(e)に示す配線53及び端子部55aの第2層57が形成される。
【0129】
以上により、マザー基板2’の第2主面S2に対する第2主面形成工程Q2が終了する。この後、先の第1実施形態と同様にして、図5に示す保護膜貼り付け工程P12を行い、分割工程Q3を行い、さらに、工程P15において焼成処理を行うことにより、図24の電極基板51が完成する。
【0130】
本実施形態における電極基板の製造方法では、図25のp−ITOパターニング工程P43の後に、金属膜形成工程であるCrスパッタ工程P45において、図27(g)の第1透光性電極54a及び第1層56を覆うように金属膜である材料層53’を形成する。マザー基板2’の第2主面S2に第2透光性電極4b及び端子部5bを形成する際には、第1主面S1がスパッタ装置等といった処理装置の基板支持面に接触するのであるが、本実施形態では、マザー基板2’の第1主面S1に形成された材料層53’によって第1透光性電極54a及び第1層56が保護されるので、マザー基板2’の第2主面S2に第2透光性電極4b及び端子部5bを形成する際に、第1主面S1の表面自体、第1透光性電極54a及び第1層56が処理装置の基板支持面に直接に触れることがなくなる。その結果、第1主面S1の表面自体、第1透光性電極54a及び第1層56に傷がついたり異物が付着したりすることを防止でき、第1透光性電極54a及び第1層56に不良が発生することを防止できる。
【0131】
また、図25のa−ITOパターニング工程P48の後に、Crパターニング工程P50において、図28(b)〜図28(e)に示すように、材料層53’をパターニングして導電部材としての配線53及び端子部55aの第2層57を形成することにした。すなわち、図27(m)のa−ITO膜4b’と異なるエッチングレートによって、図25の第2主面形成工程Q2において保護手段として用いた図28(c)の材料層53’をエッチングすることにより、図28(e)の配線53及び第2層57を形成することにした。こうすれば、製造工程を増やすことなく、マザー基板2’の第1主面S1上に保護手段を設けることができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0132】
(電極基板の製造方法の第9実施形態)
次に、本発明に係る電極基板の製造方法の第9実施形態を図29を用いて説明する。これまでに説明した各実施形態では、1枚の透光性基板の両面に電極を形成する場合を例示した。これに対し、本実施形態では、片面に電極を形成した2枚の基板を貼り合わせることにより、両面に電極を有する1つの電極基板を形成する。以下、本実施形態を詳しく説明する。
【0133】
本実施形態の製造方法によって製造する電極基板は図29(i)に符号1で示すように、接着材114によって互いに貼り合わされた第1基板102a及び第2基板103aを有する。互いに貼り合わされた第1基板102aと第2基板103aとによって1つの透光性基板が形成されている。この透光性基板の第1主面(すなわち、第1基板102aの表面)S1には、導電部材113及び第1電極104aが形成されている。一方、透光性基板の第2主面(すなわち、第2基板103aの表面)S2には第2電極104bが形成されている。
【0134】
上記構成の電極基板1を製造する際には、一方において第1基板形成工程Q4を実行し、他方において第2基板形成工程Q5を実行する。第1基板形成工程Q4では、図29(a)において第1基板102a上に第1の導電膜113’を成膜し、その導電膜をパターニングして図29(b)の導電部材113を形成し、図29(c)において第2の導電膜104a’を成膜し、その導電膜をパターニングして図29(d)の第1電極104aを形成し、そして、図29(e)において第1基板102aの厚さを研削、研磨、切削、エッチング等によって薄くする。
【0135】
上記の第2基板形成工程Q5では、図29(f)において第2基板03a上に第3の導電膜104b’を成膜し、その導電膜をパターニングして図29(g)の第2電極104bを形成し、そして、図29(h)において第2基板103aの厚さを研削、研磨、切削、エッチング等によって薄くする。
【0136】
その後、図29(i)において、第1基板102a又は第2基板103aのいずれか一方の裏面に接着材114を塗布、印刷等によって付着させ、第1基板102a又は第2基板103aの他方をその接着材114によって上記一方の基板に接着する。これにより、電極基板1が作製される。
【0137】
本実施形態に係る電極基板の製造方法によれば、個々の基板102a及び103aはそれぞれが単独で電極等の形成処理を受けるので、一方の基板に電極等を形成するための処理を行っている最中に他方の基板上に形成された電極等に傷が生じたり、異物が付着したりするという事態が起こり得ない。このため、図29(i)において出来上がった電極基板1の表裏両面には、常に、傷や異物付着の無い高品質の電極が形成されている。
【0138】
(電極基板の製造方法の第10実施形態)
以下、本発明に係る電極基板の製造方法の第10実施形態を図30〜図32を用いて説明する。この第10実施形態は、図29に示した第9実施形態を、より現実に則して実施するものである。なお、図30は、本実施形態の製造方法で製造される電極基板61の側面図である。図31は、本実施形態に係る電極基板の製造方法を示す工程図である。図32は、図31の工程図に対応した構造変遷図である。
【0139】
まず、図30の電極基板61の構成について説明する。電極基板61は、第1電極基板62と、第2電極基板63とを有する。第1電極基板62は、第1基板としての第1透光性基板62aと、当該第1透光性基板62aの表面に形成された複数の導電パターンから構成されている。導電パターンは、第1電極としての第1透光性電極4aと、配線3と、端子部5aとを含んでいる。
【0140】
第2電極基板63は、第2基板としての第2透光性基板63aと、当該第2透光性基板63aの表面に形成された複数の導電パターンから構成されている。導電パターンは、第2電極としての第2透光性電極4bと、端子部5aとを含んでいる。これらの第1透光性基板62aと第2透光性基板63aとが接着材64によって互いに貼り合わされることにより、両面に導電パターンを備えた電極基板61が形成されている。第1透光性基板62aの接着面の反対面が電極基板61の第1主面S1である。また、第2透光性基板63aの接着面の反対面が電極基板61の第2主面S2である。
【0141】
第1透光性基板62a及び第2透光性基板63aは、例えば透光性のガラス、透光性のプラスチック等を用いて形成されている。矢印Z3側から平面的に見た第1電極基板62上の導電パターンのパターン形状は図3に示した実施形態における透光性基板2の第1主面S1に形成された導電パターンのパターン形状と同じである。配線3は、Crを主とする金属から成る金属膜である。第1透光性電極4aはp−ITOによって形成されている。端子部5aは、Crを主成分とする金属にp−ITOを積層して成る積層構造として形成されている。
【0142】
矢印Z3側から平面的に見た第2電極基板63上の導電パターンのパターン形状は図3に示した実施形態における透光性基板2の第2主面S2に形成された導電パターンのパターン形状と同じである。第2透光性電極4bはp−ITOによって形成されている。端子部5bも、同じくp−ITOによって形成されている。
【0143】
以下、電極基板61を製造する方法について説明する。
本実施形態においても、上記各実施形態と同じく、電極基板61を多数個取りの手法に基づいて作製するものとする。従って、図32においては、第1透光性基板62aのマザー基板を62a’とし、第2透光性基板63aのマザー基板を63a’として示している。また、本実施形態において、図31の工程P61〜工程P66までの一連の工程は、図5に示した実施形態における工程P1〜工程P6までの一連の工程と同じである。また、図31の工程P71〜工程P74までの一連の工程は、図25に示した実施形態におけるP41〜P44に示す工程と同じである。従って、これらの工程の詳細な説明は省略する。
【0144】
図31の第1基板製造工程において工程P66までが終了すると、図32(a)に示すように、第1マザー基板62a’の第1主面S1上に配線3、端子部5a及び第1透光性電極4aが形成される。この後、図31の工程P67において、図32(b)に示すように、第1マザー基板62a’の第2主面S3をエッチングして斜線で示す部分Y1を除去する。これにより、第1マザー基板62a’を薄くする。例えば、エッチング前の基板62a’の厚みt0=0.5mmを、エッチング後の基板62a’の厚みt1=0.2mmまで薄くする。以上により、第1電極基板62の製造工程が終了する。
【0145】
次に、図31の工程P74までが終了すると、図32(c)に示すように、第2マザー基板63a’の第1主面S2上に第2透光性電極4b及び端子部5bが形成される。この後、図31の工程P75において、図32(d)に示すように、第2マザー基板63a’の第2主面S4をエッチングして斜線で示す部分Y2を除去する。これにより、第2透光性基板63a’を薄くすることができる。例えば、エッチング前の基板63a’の厚みt2=0.5mmを、エッチング後の基板63a’の厚みt3=0.2mmまで薄くする。以上により、第2電極基板63の製造工程が終了する。
【0146】
次に、図31の工程P81において、図32(b)に示す第1電極基板62と図32(d)に示す第2電極基板63とを貼り合わせる。具体的には、図32(e)に示すように、第1透光性基板62a’の第2主面S3と第2透光性基板63a’の第2主面S4とを対向させた状態で、両基板を接着材64によって接着する。このとき、接着材64の厚みt4は、例えば0.1mmとする。この後、図5に示す実施形態の場合と同様にして、保護膜貼り付け工程P12が行われ、分割工程Q3が行われ、そして工程P15において焼成処理が行われて、図30に示す電極基板61が完成する。
【0147】
本実施形態では、図32(a)において第1透光性基板62a’の第1主面S1に、配線3、第1透光性電極4a及び端子部5aを形成した。また、図32(c)において第2透光性基板63a’の第1主面S2に、第2透光性電極4b及び端子部5bを形成した。そして、図32(e)において、それらの第1透光性基板62a’と第2透光性基板63a’とを接着材64によって貼り合わせることにより、表裏両面に電極を有する電極基板61を形成するようにした。これにより、第1電極基板62又は第2電極基板63の表面に保護手段を設けなくても各基板に傷や異物付着が生じることを回避できる。このように保護手段を用いる必要がないので、製造コストを上げることなく、表裏両面に導電パターンを有する電極基板を形成できる。
【0148】
また、図31の工程P67において、図32(b)に示すように、第1透光性基板62a’の第2主面S3の表面をエッチングにより除去した。また、図31の工程P75において、図32(d)に示すように、第2透光性基板63a’の第2主面S4の表面をエッチングにより除去した。これにより、図30の第1透光性基板62a’及び第2透光性基板63a’を薄く形成できるので、これらの基板62a’と63a’を貼り合わせて形成された電極基板61を薄く形成できる。
【0149】
なお、第1透光性基板62a’をエッチングする工程P67は、第1パターニング工程であるp−ITOパターニング工程P65より後に行い、第2透光性基板63a’をエッチングする工程P75は第2パターニング工程であるp−ITOパターニング工程P73より後に行うことにした。これにより、基板62a’の第1主面S1及び基板63a’の第1主面S2に導電パターンを形成する作業を、第1透光性基板62a’及び第2透光性基板63a’の厚みが十分に厚い状態で行うことができるので、第1透光性基板62a’及び第2透光性基板63a’が作業中に破損等することを防止できる。
【0150】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記の各実施形態では、基板上に形成される導電パターンの1つである配線3(例えば図3参照)を、Crを主成分とする金属を用いて単層の膜として形成した。しかしながら、配線3は、Cr以外の材料、例えばAl(アルミニウム)系合金、Ag(銀)系合金又はCu(銅)系合金を用いて、単層の膜として形成することもできる。例えば、Cu系合金の添加材としてはMoを用いることができ、Ag系合金の添加材としてはPd、Cu、Ge等を用いることができる。Al系合金、Ag系合金、銅系合金では、いずれの場合でも、2000Åの膜厚に形成することで配線のシート抵抗値を0.3Ω程度にできる。
【0151】
また、配線3は、AlとMoとを積層して形成することもできる。また、配線3は、AlとMo以外の材料、例えば、AlとCrを積層して形成することもできる。また、配線3は、異なる種類の金属材料を2層より多く積層して形成することもできる。このように配線3を積層構造とする場合には、金属成膜とそれに続くフォトエッチングとを2回行うことによって配線3を形成できる。また、連続成膜を1回行って、1回のフォトエッチング処理でパターン形成することもできる。例えば、AlとMoを夫々2000Åと200Åで連続して成膜し、それらの膜を燐硝酢酸のエッチング液で同時にエッチングすれば、1回のフォトエッチング処理で2種類のパターンを形成でき、1回分フォトエッチング工程を省略でき、配線幅も狭くすることが可能である。
【0152】
また、図8(m)において、保護膜25はポジ型の感光性樹脂をスピンコート等によって塗布することによって成膜した。しかしながら、保護膜25は、感光性樹脂のシートを貼り付ける(いわゆる、ラミネートする)ことによって設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明に係る電極基板の製造方法の第1実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図2】本発明に係る電極基板の製造方法の第2実施形態を用いて製造する電極基板を示す側面図である。
【図3】図2の矢印Z3方向から基板を示す平面図である。
【図4】図3の基板上に形成される膜要素を複数組み含んだパネル構造体を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電極基板の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【図6】図5の工程図に対応して基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図7】図6に続いて基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図8】図7に続いて基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図9】図5の工程図に対応して基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図10】図9に続いて基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図11】図6に対応した基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図12】図7に対応した基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図13】図8に対応した基板の第1主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図14】図9に対応した基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図15】図10に対応した基板の第2主面上の膜構成の変遷を示す平面図である。
【図16】図5の工程図における分割工程Q3に対応した構造変遷図である。
【図17】本発明に係る電極基板の製造方法の第3実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図18】本発明に係る基板の製造方法の第4実施形態を示す工程図である。
【図19】図18の工程図に対応して基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図20】図19に続いて基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図21】本発明に係る電極基板の製造方法の第5実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図22】本発明に係る電極基板の製造方法の第6実施形態を用いて製造する電極基板を示す断面図である。
【図23】本発明に係る電極基板の製造方法の第7実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図24】本発明に係る電極基板の製造方法の第8実施形態を用いて製造する基板を示す側面図である。
【図25】本発明に係る電極基板の製造方法の第8実施形態を示す工程図である。
【図26】図25の工程図に対応して基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図27】図26に続いて基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図28】図27に続いて基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【図29】本発明に係る電極基板の製造方法の第9実施形態を基板構造の変遷によって示す図である。
【図30】本発明に係る電極基板の製造方法の第10実施形態を用いて製造する基板を示す側面図である。
【図31】本発明に係る電極基板の製造方法の第10実施形態を示す工程図である。
【図32】図31の工程図に対応して基板の膜構成の変遷を示す断面図である。
【符号の説明】
【0154】
1,51、61.電極基板、 1’.パネル構造体、 2.透光性基板、
2a,2b,2c.端辺、 2’マザー透光性基板、 3,53.配線(金属膜)、
3’,53’.材料層、 4a、54a.第1透光性電極(第1電極)、
4a’,54a’.p−ITO膜(第1導電膜)、
4b.第2透光性電極(第2電極)、 4b’.a−ITO膜(第2導電膜)、
5a,55a.第1端子部(第1電極)、 5b.第2端子部(第2電極)、
6,56.端子部第1層、 7,57.端子部第2層、 L1,L2,L3.露光光、 A0.完全光透過領域、 A1.完全遮光領域、
B1,B2,B3,B4,B5,B6.可溶化領域、
21a,21b,21c,21d,21e,21f.レジスト(ポジ型感光性樹脂)、
22A,22B,22C,22D,22E,22F.露光マスク、
23.ガラス基板、 24A,24B,24C.遮光パターン、
25.保護膜(第1保護手段)、 26a,26b.保護膜、
35.保護膜(第2保護手段)、 45.ガラス体、 46.接着材、
62.第1電極基板、 62a.第1透光性基板(第1基板)、 63.第2電極基板、
63a.第2透光性基板(第2基板)、 64.接着材、 S1.第1主面、
S2.第2主面、 S3.第1透光性基板の第2主面、 S4.第2透光性基板の第2主面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、
前記基板の前記第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記基板の前記第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、を有し、
前記第2パターニング工程は、前記第1パターニング工程の後に行われると共に前記第1主面上に保護手段を設けた状態で行われる
ことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電極基板の製造方法において、
前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記第1電極を保護する第1保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、
前記第1保護手段形成工程の後に前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第1保護手段を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項4】
請求項2記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に前記第1保護手段としての感光性樹脂を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項5】
請求項2記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としてのガラス体を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の電極基板の製造方法において、
前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第1導電膜形成工程の後に前記第2導電膜上に第2の保護手段を形成する第2保護手段形成工程と、
前記第2保護手段形成工程の後に前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記第1パターニング工程の後に前記第2保護手段を除去する第2保護手段除去工程と、
前記第2保護膜除去工程の後に前記第1電極上に第1の保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、
前記第1保護手段形成工程の後に前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第1保護手段を形成し、前記第2保護手段形成工程では、前記基板の第2主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第2保護手段を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項8】
請求項6記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付け、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項9】
請求項6記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としてのガラス体を貼り付け、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としてのガラス体を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項10】
請求項2又は請求項6記載の電極基板の製造方法において、第1保護手段除去工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第1保護手段除去工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1記載の電極基板の製造方法において、
前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記基板の第1主面に前記第1電極を覆う金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記金属膜形成工程の後に前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記金属膜をパターニングして導電部材を形成する第3パターニング工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の電極基板の製造方法において、第3パターニング工程の後に前記第1電極及び前記導電部材を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第3パターニング工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の電極基板の製造方法において、前記基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の電極基板の製造方法において、前記第1導電膜形成工程で用いる前記導電材料はポリITOであることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1つに記載の電極基板の製造方法において、前記第2導電膜形成工程では、前記第2導電膜をアモルファスITOを用いて形成し、前記第2導電膜をパターニングして形成した前記第2電極をポリ化する焼成工程をさらに有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項16】
基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、
第1基板の前記第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記第1パターニング工程の後に前記第1基板を薄くする工程と、
第2基板の前記第1主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記第2基板を薄くする工程と、
前記第1基板の第2主面と前記第2基板の第2主面とを貼り合わせる工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の電極基板の製造方法において、前記第1基板の第2主面と前記第2基板の第2主面とを貼り合わせる工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記電極基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記電極基板を形成する工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記電極基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記電極基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記電極基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項18】
請求項16又は請求項17記載の電極基板の製造方法において、前記第1基板及び前記第2基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項1】
基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、
前記基板の前記第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記基板の前記第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、を有し、
前記第2パターニング工程は、前記第1パターニング工程の後に行われると共に前記第1主面上に保護手段を設けた状態で行われる
ことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電極基板の製造方法において、
前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記第1電極を保護する第1保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、
前記第1保護手段形成工程の後に前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第1保護手段を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項4】
請求項2記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に前記第1保護手段としての感光性樹脂を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項5】
請求項2記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としてのガラス体を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の電極基板の製造方法において、
前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第1導電膜形成工程の後に前記第2導電膜上に第2の保護手段を形成する第2保護手段形成工程と、
前記第2保護手段形成工程の後に前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記第1パターニング工程の後に前記第2保護手段を除去する第2保護手段除去工程と、
前記第2保護膜除去工程の後に前記第1電極上に第1の保護手段を形成する第1保護手段形成工程と、
前記第1保護手段形成工程の後に前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記第1保護手段を除去する第1保護手段除去工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では、前記基板の第1主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第1保護手段を形成し、前記第2保護手段形成工程では、前記基板の第2主面に感光性樹脂を塗布することにより前記第2保護手段を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項8】
請求項6記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付け、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としての感光性樹脂膜を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項9】
請求項6記載の電極基板の製造方法において、前記第1保護手段形成工程では前記基板の第1主面に前記第1保護手段としてのガラス体を貼り付け、前記第2保護手段形成工程では前記基板の第2主面に前記第2保護手段としてのガラス体を貼り付けることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項10】
請求項2又は請求項6記載の電極基板の製造方法において、第1保護手段除去工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第1保護手段除去工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1記載の電極基板の製造方法において、
前記基板の第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記基板の第1主面に前記第1電極を覆う金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記金属膜形成工程の後に前記基板の第2主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記金属膜をパターニングして導電部材を形成する第3パターニング工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の電極基板の製造方法において、第3パターニング工程の後に前記第1電極及び前記導電部材を覆う第1保護膜を前記基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記第3パターニング工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の電極基板の製造方法において、前記基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の電極基板の製造方法において、前記第1導電膜形成工程で用いる前記導電材料はポリITOであることを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1つに記載の電極基板の製造方法において、前記第2導電膜形成工程では、前記第2導電膜をアモルファスITOを用いて形成し、前記第2導電膜をパターニングして形成した前記第2電極をポリ化する焼成工程をさらに有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項16】
基板の第1主面及び第2主面の両面に電極を有する電極基板の製造方法であって、
第1基板の前記第1主面に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜をパターニングして第1電極を形成する第1パターニング工程と、
前記第1パターニング工程の後に前記第1基板を薄くする工程と、
第2基板の前記第1主面に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記第2導電膜をパターニングして第2電極を形成する第2パターニング工程と、
前記第2パターニング工程の後に前記第2基板を薄くする工程と、
前記第1基板の第2主面と前記第2基板の第2主面とを貼り合わせる工程と
を有することを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の電極基板の製造方法において、前記第1基板の第2主面と前記第2基板の第2主面とを貼り合わせる工程の後に前記第1電極を覆う第1保護膜を前記電極基板の第1主面に貼り付ける工程と、前記電極基板を形成する工程の後に前記第2電極を覆う第2保護膜を前記電極基板の第2主面に貼り付ける工程と、前記第1保護膜及び前記第2保護膜が貼り付けられた前記電極基板に分割用の溝を設ける工程と、前記分割用の溝に沿って前記電極基板を分割する工程とを有し、前記第1保護膜及び第2保護膜は前記分割用の溝が設けられる部分には設けられないことを特徴とする電極基板の製造方法。
【請求項18】
請求項16又は請求項17記載の電極基板の製造方法において、前記第1基板及び前記第2基板は透光性を有し、前記第1導電膜形成工程及び前記第2導電膜形成工程では透光性を有する導電材料を用いて前記第1導電膜及び前記第2導電膜を形成することを特徴とする電極基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2008−83496(P2008−83496A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264507(P2006−264507)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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