説明

電気コネクタ組立体

【課題】 電気コネクタ組立体の嵌合方向の低背化を達成できるとともに、挿抜耐久性の高い電気コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】電気コネクタ組立体1は、互いに嵌合する1対のコネクタ10,40からなる。一方のコネクタ10は、第1コンタクト30を備えている。第1コンタクト30は、固定部31から延び、1対のコネクタ10,40が嵌合した際に、他方のコネクタ40をロックするロックアーム34とを備えている。ロックアーム34は、前記1対のコネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する方向(矢印Yy方向)に撓む。ロックアーム34の固定部31から延びる方向は、1対のコネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交している(矢印Xx方向)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板同士あるいは回路基板と電線とを接続するために用いられる、互いに嵌合する1対のコネクタからなる電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、携帯電話機等の小型電子機器においては、回路基板同士あるいは回路基板と電線とを接続するために、互いに嵌合する1対のコネクタからなる電気コネクタ組立体が用いられている。図9に従来例の電気コネクタ組立体を示す(特許文献1参照)。
図9に示す電気コネクタ組立体100は、回路基板(図示せず)同士を接続するものであって、互いに嵌合するプラグコネクタ110及びリセプタクルコネクタ120で構成される。
【0003】
プラグコネクタ110は、絶縁性の第1ハウジング111と、第1ハウジング111に取り付けられる複数対の金属製の第1コンタクト112とを備えている。各第1コンタクト112は、第1ハウジング111に固定される固定部113と、固定部113から延びる接触アーム114と、固定部113から延びる基板接続部116とを備えている。接触アーム114は、固定部113から上方(図9における矢印A向き)に延び更に下方(図9における矢印a向き)に折り返し湾曲して形成され、その先端にはロック用突部115が設けられている。基板接続部116は、一方の回路基板(図示せず)上に半田接続される。
【0004】
一方、リセプタクルコネクタ120は、プラグコネクタ110を受容する絶縁性の第2ハウジング121と、第2ハウジング121に取り付けられる複数対の金属製の第2コンタクト122とを備えている。各第2コンタクト122は、第2ハウジング121に固定される固定部123と、固定部123から延びる接触部124と、固定部123から延びる基板接続部126とを備えている。接触部124は、固定部123から下方(図9における矢印a向き)に略直線状に延びており、第1コンタクト114のロック用突起115に接触するよう構成される。接触部124の先端には、ロック用突起125が設けられている。このロック用突起125は、プラグコネクタ110及びリセプタクルコネクタ120が嵌合した際に、第1コンタクト112のロック用突起115と互いに弾性的に係合して両コネクタ110,120のはずれを防止するようになっている。基板接続部126は、他方の回路基板(図示せず)上に半田接続される。
図9に示す電気コネクタ組立体100によれば、プラグコネクタ110及びリセプタクルコネクタ120の第1及び第2コンタクト112,122の係合により両コネクタ110,120の嵌合をロックすることができる。
【0005】
また、回路基板同士を接続する電気コネクタ組立体として、例えば、図10に示すもの(特許文献2参照)も知られている。
図10に示す電気コネクタ組立体200は、互いに嵌合する第1コネクタ210及び第2コネクタ220で構成される。
第1コネクタ210は、絶縁性の第1ハウジング211と第1ハウジング211に取り付けられる複数対の金属製の第1コンタクト212とを備えている。各第1コンタクト212は、基部213と、基部213から上方(図10における矢印B向き)に延び、第1ハウジング211に固定される固定部214とを備えている。また、第1コンタクト212は、基部213から内側に延び更に上方(図10における矢印B向き)に延びる接触アーム215と、基部213から外側に延びる基板接続部218とを備えている。更に、第1コンタクト212は、固定部214から上方(図10における矢印B向き)に延びるロック片216を備え、このロック片216の先端にはロック用突起217が設けられている。基板接続部218は、一方の回路基板(図示せず)上に半田接続される。
【0006】
一方、第2コネクタ220は、第1コネクタ210と嵌合する絶縁性の第2ハウジング221と、第2ハウジング221に取り付けられる複数対の金属製の第2コンタクト222とを備えている。各第2コンタクト222は、第2ハウジング221に固定される固定部223と、固定部223から延びる接触部224と、固定部223から外側に延びる基板接続部225とを備えている。接触部224は、固定部223から下方(図10における矢印b向き)に略直線状に延びており、第1コンタクト212の接触アーム215に接触するよう構成される。また、第2ハウジング221の側壁には、ロック用溝226が設けられている。このロック用溝226には、第1コネクタ210及び第2コネクタ220が嵌合した際に、第1コンタクト212のロック片216のロック用突起217が入り込み、両コネクタ210,220のはずれが防止される。基板接続部225は、他方の回路基板(図示せず)上に半田接続される。
図10に示す電気コネクタ組立体200によれば、ロック用溝226に機械的にロックするロック片216を第1コンタクト212に設けた。このため、第1コネクタ210と相手側の第2コネクタ220との嵌合保持力を安定して保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−43579号公報
【特許文献2】実用新案登録第3040314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図9及び図10に示した従来の電気コネクタ組立体100,200にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図9に示した電気コネクタ組立体100の場合、プラグコネクタ110及びリセプタクルコネクタ120が嵌合した際に、ロック用突起115とロック用突起125とが互いに弾性的に係合して両コネクタ110,120のはずれを防止する。ここで、ロック機能を有する第1コンタクト112のロック用突起115と第2コンタクト122のロック用突起125とが弾性的に係合することから、プラグコネクタ110とリセプタクルコネクタ120との挿抜耐久性を高くすることができる。
【0009】
しかし、ロック機能を有する第1コンタクト112の接触アーム114の延びる方向は固定部113から上下方向(図9における矢印Aa方向)、第2コンタクト122の接触部124は固定部123から下方向(図9における矢印a向き)である。これらの方向は、プラグコネクタ110及びリセプタクルコネクタ120の嵌合方向(図9における矢印Aa方向)と略一致している。このため、電気コネクタ組立体100の嵌合方向(矢印Aa方向)の高さを小さくすることができない。
【0010】
また、図10に示した電気コネクタ組立体200の場合、第1コネクタ210及び第2コネクタ220が嵌合した際に、ロック用突起217がロック用溝226に入り込み、両コネクタ210,220のはずれが防止される。ここで、ロック機能を有する第1コンタクト212のロック片216は弾性的に変位することから、第1コネクタ210と第2コネクタ220との挿抜耐久性を高くすることができる。
【0011】
しかし、この電気コネクタ組立体200にあっても、ロック機能を有する第1コンタクト212のロック片216の延びる方向は、固定部214から上方向(図10における矢印B向き)である。この方向は、第1コネクタ210及び第2コネクタ220の嵌合方向(図10における矢印Bb方向)と略一致している。従って、電気コネクタ組立体200にあっても、電気コネクタ組立体200の嵌合方向(矢印Bb方向)の高さを小さくすることができない。
【0012】
近年、携帯電話機等の小型電子機器においては、回路基板同士や回路基板と電線とを接続する電気コネクタ組立体においても、1対のコネクタの嵌合方向の高さを低背化することが望まれている。
従って、本発明は、これら問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気コネクタ組立体の嵌合方向の低背化を達成できるとともに、挿抜耐久性の高い電気コネクタ組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る電気コネクタ組立体は、互いに嵌合する1対のコネクタからなる電気コネクタ組立体であって、前記1対のコネクタのうちの一方のコネクタは、絶縁性の第1ハウジングと、該第1ハウジングに取り付けられた第1コンタクトとを有し、該第1コンタクトが、前記第1ハウジングに固定される固定部と、該固定部から延びる接触部と、前記固定部から延びる基板接続部と、前記固定部から延び、前記1対のコネクタが嵌合した際に、前記1対のコネクタのうちの他方のコネクタをロックするロックアームとを備え、該ロックアームは、前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する方向に撓むとともに、前記ロックアームの前記固定部から延びる方向が、前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交していることを特徴としている。
【0014】
また、本発明のうち請求項2に係る電気コネクタ組立体は、請求項1記載の電気コネクタ組立体において、前記固定部が、水平方向に延びる水平部と、該水平部の略中央部から立ち下がる基部と、前記水平部の端部から立下り、前記第1ハウジングに固定される側板部とを具備し、前記接触部が、前記基部の側縁から前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する内方向に延び、前記基板接続部が、前記基部の下端から前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する外方向に延び、前記ロックアームが、前記側板部から前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する内方向に延びることを特徴としている。
【0015】
更に、本発明のうち請求項3に係る電気コネクタ組立体は、請求項1又は2記載の電気コネクタ組立体において、前記1対のコネクタのうちの他方のコネクタは、一端に電線が導出される電線導出口を有する絶縁性の第2ハウジングと、該第2ハウジングに取付けられ、前記電線に接続されるとともに前記第1コンタクトの接触部に接触する第2コンタクトとを備え、前記第2ハウジングの前記電線導出口の近傍には、前記ロックアームに係止する係止部が設けられていることを特徴としている。
加えて、本発明のうち請求項4に係る電気コネクタ組立体は、請求項3記載の電気コネクタ組立体において、前記係止部が、前記第2コンタクトに設けられたロック補強部により補強されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電気コネクタ組立体によれば、ロックアームは、1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する方向に撓むので、1対のコネクタの挿抜耐久性を高くすることができる。また、ロックアームの固定部から延びる方向が、1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交しているので、1対のコネクタの嵌合方向の高さ、即ち電気コネクタ組立体の嵌合方向の低背化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電気コネクタ組立体の斜視図である。但し、電線をともに示してある。
【図2】図1の2−2線に沿う電気コネクタ組立体の断面斜視図である。
【図3】図1の2−2線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す電気コネクタ組立体におけるリセプタクルコネクタを表面側から見た斜視図である。
【図5】図4に示すリセプタクルコネクタにおいて、一方側のリセプタクルコンタクトを取り外して分解した状態の分解斜視図である。
【図6】図1に示す電気コネクタ組立体におけるプラグコネクタを裏面側から見た斜視図である。但し、電線を共に示してある。
【図7】図6に示すプラグコネクタであって電線を接続する前のプラグコンタクトをインサートモールドした状態の斜視図である。
【図8】図6に示すプラグコネクタにおける1対のプラグコンタクトの斜視図である。
【図9】従来例の電気コネクタ組立体の断面図である。
【図10】従来の他の例の電気コネクタ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1乃至図8を参照して説明する。
図1乃至図3に示す電気コネクタ組立体1は、携帯電話機等の小型電子機器における、回路基板(図示せず)と電線Wとを電気的に接続する際に使用される。
ここで、電気コネクタ組立体1は、互いに嵌合するリセプタクルコネクタ(一方のコネクタ)10及びプラグコネクタ(他方のコネクタ)40からなる。プラグコネクタ40には電線Wが接続されている。その一方、リセプタクルコネクタ10は、回路基板上に実装されている。プラグコネクタ40をリセプタクルコネクタ10に嵌合することにより、電線と回路基板とが電気的に接続される。
【0019】
図1乃至図3において、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ40の嵌合方向は矢印Zz方向、当該嵌合方向と直交する方向は矢印Xx方向と矢印Yy方向で示される。当該嵌合方向と直交する方向のうち矢印Xx方向はリセプタクルコネクタ10の幅方向、矢印Yy方向は当該リセプタクルコネクタ10の幅方向と直交する方向と同一である。以後、この矢印Xx方向、Yy方向及びZz方向を前提に説明する。
リセプタクルコネクタ10は、図4及び図5に示すように、リセプタクルハウジング(第1ハウジング)20と、このリセプタクルハウジング20に取り付けられた1対のリセプタクルコンタクト(第1コンタクト)30とを具備している。
【0020】
ここで、リセプタクルハウジング20は、図4に示すように、略矩形形状に絶縁性の樹脂を成形することによって形成される。リセプタクルハウジング20には、コネクタ受容凹部21がリセプタクルハウジング20の頂面に開口するように形成される。コネクタ受容凹部21は、プラグコネクタ40の後述する壁部52、隆起部53及びプラグコンタクト60の接触部63を受容する。また、リセプタクルハウジング20の頂面には、プラグコネクタ40の平板状部51を受容する凹部22が形成されている。そして、リセプタクルハウジング20の幅方向両端部(矢印Xx方向の両端部)には、1対のリセプタクルコンタクト取付部26が設けられている。各リセプタクルコンタクト取付部26の矢印Yy方向の両側部には、後述する各リセプタクルコンタクト30の側板部31cを圧入固定するための1対の圧入用溝24が設けられている。そして、各圧入用溝24からリセプタクルハウジング20の矢印Xx方向内側に向けてロックアーム挿入用溝25が形成されている。また、各リセプタクルコンタクト取付部26の下方部には、該リセプタクルコンタクト取付部26から矢印Xx方向外側に向けて突出する突起23が設けられている。また、リセプタクルハウジング20のコネクタ受容凹部21の底壁21aには、嵌合されるプラグコネクタ40の1対の隆起部53が位置する部分に、1対の貫通孔27が形成されている。これら貫通孔27は、電気コネクタ組立体1を嵌合方向に低背としながら、プラグコンタクト60とリセプタクルコンタクト30との嵌合長を十分に確保するために形成されている。
【0021】
また、1対のリセプタクルコンタクト30は、図1、図4及び図5に示すように、リセプタクルハウジング20の幅方向両端、即ち矢印Xx方向の両端に設置される。リセプタクルハウジング20の幅方向一端に設置されるリセプタクルコンタクト30と、幅方向他端に設置されるリセプタクルコンタクト30は、対称形状となっていると共に、同一形状である。このため、リセプタクルコンタクト30の形状については、リセプタクルハウジング20の幅方向一端(図5における右端)に設置されるリセプタクルコンタクト30の形状、構造のみについて説明する。
リセプタクルコンタクト30は、図4及び図5に示すように、固定部31、1対の接触部32、基板接続部33及び1対のロックアーム34を備え、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。
【0022】
固定部31は、リセプタクルハウジング20に固定されるものであり、図1、図4及び図5に示すように、水平方向(矢印Xx方向及び矢印Yy方向)に延びる水平部31aを備えている。固定部31は、水平部31aの矢印Yy方向の略中央部側縁から立ち下がる基部31bを備えている。また、固定部31は、水平部31aの矢印Yy方向の両端部から立ち下がる1対の側板部31cを備えている。固定部31の水平部31aは、図4及び図5に示すように、リセプタクルハウジング20のリセプタクルコンタクト取付部26の上面に載置される。また、固定部31に設けられた各側板部31cは、リセプタクルコンタクト取付部26の側部に設けられた圧入用溝24に入り込んで圧入固定される。更に、基部31bには、基板接続部33を跨ぐように開口35が形成されている。この開口35には、図1及び図4に示すように、リセプタクルハウジング20の突起23が入り込む。これにより、リセプタクルコンタクト30を支持する。
【0023】
また、1対の接触部32の各々は、図1及び図5に示すように、基部31bの側縁から両コネクタ10,40の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する内方向(矢印矢印x向き)に延びるよう折り曲げ形成される。各接触部32は、図5に示すように、アーム部分32aと、支持部32bと、接点32cとを備えている。アーム部分32aは、基部31bの側縁から矢印x向きに延び、支持部32bは、アーム部分32aの先端に設けられる。接点32cは、支持部63bの先端に設けられる。ここで、支持部32bは、アーム部分32aの先端から下方に延びる下方延出部分と、下方延出部分の下端から矢印Yy方向内側(相対する接触アーム側)に折り曲げられた折り曲げ部分と、折り曲げ部分から立ち上がる立ち上がり部分とを備えている。折り曲げ部分のプレス面は、接触部32が下方に変位するときに、リセプタクルハウジング20のコネクタ受容凹部21の底壁21aに支持される。また、接点32cは、支持部32bの立ち上がり部分の上端に位置し、接触部32の先端部分に設けられている。接点32cは、そのせん断面で、プラグコンタクト60のU形状に湾曲した各接触部63の両側面に接触する。
また、基板接続部33は、図1及び図5に示すように、基部31bの下端から両コネクタ10,40の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する外方向(矢印X向き)に延びるよう折り曲げ形成される。基板接続部33は、略矩形平板状に形成され、回路基板(図示せず)上に半田接続される。
【0024】
更に、1対のロックアーム34の各々は、図1及び図5に示すように、1対の側板部31cの各々から両コネクタ10,40の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する内方向(矢印矢印x向き)に延びている。これらロックアーム34は、図4及び図5に示すように、両圧入用溝24から延びるロックアーム挿入用溝25に挿入され、側板部31cが圧入固定されると、先端が第1ハウジング20から突出した状態になる。ロックアーム34は、両コネクタ10,40の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する方向(矢印Yy方向)に撓むように構成されている。これら1対のロックアーム34のうちリセプタクルコネクタ10の幅方向と直交する矢印Yy方向手前側(図1、図4及び図5における手前側)のロックアーム24は、両コネクタ10,40が嵌合した際に、プラグコネクタ40をロックする機能を有する。即ち、図2及び図3に示すように(図2及び図3には、リセプタクルハウジングの幅方向他端に設置されるリセプタクルコンタクト30のロックアーム34が示されている)、当該矢印Yy方向手前側のロックアーム24は、両コネクタ10,40が嵌合した際に、後述するプラグコネクタ40に設けられた凹形状の係止部54に係止されてプラグコネクタ40をロックする。その一方、当該矢印Yy方向反対側のロックアーム24は、プラグコネクタ40をロックする機能を有しない。強度の観点から、当該矢印Yy方向片側のロックアーム24による保持力で足りる。その一方、ロックアーム24を当該矢印Yy方向両側に設けてリセプタクルハウジング20の幅方向一端に設置されるリセプタクルコンタクト30と、幅方向他端に設置されるリセプタクルコンタクト30を左右対称形状にするとともに同一形状とし、部品の共通化を図っている。
【0025】
次に、プラグコネクタ40は、図6及び図7に示すように、プラグハウジング(第2ハウジング)50と、このプラグハウジング50に取り付けられた1対のプラグコンタクト(第2コンタクト)60とを具備している。
プラグハウジング50は、図6及び図7に示すように、薄肉の水平方向(矢印Xx方向及び矢印Yy方向)に延びる略長方形の平板状部51を備えている。プラグハウジング50は、絶縁性の樹脂を成形することによって形成される。プラグハウジング50の平板状部51は、図1に示すように、プラグコネクタ40がリセプタクルコネクタ10と嵌合したときに、リセプタクルハウジング20の頂面に形成された後述の凹部22に受容される。平板状部51の裏面(図6では裏面側が上を向いている)には、中央に半田付け用開口52eを有する四角形状の壁部52が立設されている。壁部52は、平板状部51の幅方向(矢印Xx方向)に延びる前壁52aと、前壁52aに対して平行に延びる後壁52bと、前壁52a及び後壁52bに対して直交する方向(矢印Yy方向)に延びる左壁52c及び右壁52dを備えている。また、平板状部51の裏面には、平板状部51の矢印Yy方向の略中間部に、左壁52c及び右壁52dのそれぞれから外方へ突出する1対の隆起部53が設けられている。各隆起部53は、平板状部51の裏面から左壁52c及び右壁52dよりもやや高くなる位置まで隆起している。1対の隆起部53は、矢印Yy方向同一位置から矢印Xx方向に一直線状に延び、平板状部51に対して梁のような機能を果たし、平板状部51の機械的強度を補強する。壁部52及び1対の隆起部53は、プラグコネクタ40がリセプタクルコネクタ10と嵌合したときに、リセプタクルハウジング20に形成されたコネクタ受容凹部21に受容される。
【0026】
そして、プラグハウジング50の後壁52bには、図1、図6及び図7に示すように、1対の電線導出口55が矢印Yy方向に貫通するように形成されている。1対の電線導出口55は、互いに連通するように切り欠かれている。
また、プラグハウジング50の後壁52bの1対の電線導出口55の近傍には、図1、図6及び図7に示すように、1対の凹形状の係止部54が形成されている。各係止部54は、電線導出口55に対して矢印Xx方向の外側に設けられる。そして、各係止部54は、図1乃至図3に示すように、プラグコネクタ40がリセプタクルコネクタ10に嵌合した際に、1対のロックアーム34のうち矢印Yy方向手前側のロックアーム24が係止されるようになっている。
【0027】
次に、1対のプラグコンタクト60は、図7及び図8に示すように、平板状部21の幅方向(矢印Xx方向)に並べてプラグハウジング50に取り付けられる。平板状部51の幅方向一方側(図7における上側)に取り付けられるプラグコンタクト60と、幅方向他方側(図7における下側)に取り付けられるプラグコンタクト60は、図8によく示すように、対称形状となっている。
【0028】
各プラグコンタクト60は、図8に示すように、補強部61と、電線接続部62と、接触部63と、ロック補強部65とを備えている。各プラグコンタクト60は、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。補強部61は、水平方向(矢印Xx方向及び矢印Yy方向)に延びるほぼ平板状に形成されるが、前後方向(矢印Yy方向)の略中央部に設けられる接触部63によって前後に分断されている。後側の補強部61aは、接触部63の根元から後側に延び、その後端が図6及び図7に示すようにプラグハウジング50の平板状部51にインサート成形される。これにより、薄肉の平板状部51を補強する。また、前側の補強部61bは、接触部63の根元から前側に延び、その側部(幅方向一方側のプラグコンタクトの場合は右側部、幅方向他方側のプラグコンタクトの場合は左側部)がプラグハウジング50の平板状部51にインサート成形される。これにより、薄肉の平板状部51を補強する。
【0029】
また、各プラグコンタクト60の電線接続部62は、前側の補強部61bの側部(幅方向一方側のプラグコンタクトの場合は左側部、幅方向他方側のプラグコンタクトの場合は右側部)から延びる連結部64を介して延びている。電線接続部62は、平板状に形成され、連結部64から平板状部51の表面に沿うように、補強部61と平行かつ後方(矢印y向き)に向けて延びている。図6及び図7に示すように、連結部64及び電線接続部62の一部は、プラグハウジング50の平板状部51にインサート成形される。これにより、薄肉の平板状部51を補強する。そして、電線接続部62の残部は、図7に示すように、プラグハウジング50の半田付け用開口52eの位置に配置される。そして、電線接続部52上には、図6に示すように、電線Wの芯線W1が半田接続される。
【0030】
また、各プラグコンタクト60の接触部63は、前述したように、補強部61の前後方向略中央部に設けられ、前側の根元が前側の補強部61bに、後側の根元が後側の補強部61aに連結される。接触部63は、前側の補強部61bと後側の補強部61aとの間でU形状に湾曲して形成される。接触部63は、前側の補強部61bから前側の根元で折り曲げて立ち上がり、U形状の頂面で湾曲して立下り、後側の根元で折り曲げて後側の補強部61aに至る。各プラグコンタクト60の接触部63は、各隆起部53を覆うように配置される。ただし、各接触部63の最外側(幅方向一方側のプラグコンタクトの場合は最右側、幅方向他方側のプラグコンタクトの場合は最左側)の隅部は、隆起部53の絶縁材料に覆われている。そして、U形状に湾曲した各接触部63の両側面(前面及び後面)には、リセプタクルコンタクト30の1対の接触部32が接触する。
【0031】
更に、各プラグコンタクト60のロック補強部65は、後側の補強部61aの後端から延びる。ロック補強部65は、図3に示すように、プラグハウジング50の後壁52bの係止部54の近傍にインサート成形されて係止部54を補強するよう機能する。ロック補強部65は、図3及び図8に示すように、後側の補強部61aの後端部側縁(幅方向一方側のプラグコンタクトの場合は左側縁、幅方向他方側のプラグコンタクトの場合は右側縁)から立ち上がる起立部65aを備えている。また、ロック補強部65は、起立部65aの上下方向(矢印Zz方向)略中央部から前方(矢印Y向き)に延びる第1補強部65bと、起立部65aの上端から後方(矢印y向き)に延びる第2補強部65cとを備えている。第1補強部65bは、図3に示すように、凹形状に形成された係止部54の底側(図3において右側)を補強し、第2補強部65cは、係止部54の上側(図3において下側)を補強する。
【0032】
次に、電気コネクタ組立体1の組立方法及びプラグコネクタ40とリセプタクルコネクタ10との嵌合方法について説明する。
先ず、リセプタクルコネクタ10を構成するプラグコンタクト30の基板接続部33を、回路基板(図示せず)上に半田接続する。これにより、リセプタクルコネクタ10が回路基板上に実装される。
【0033】
次に、図6に示すように、2本の電線Wの一端をプラグコネクタ40の電線導出口55から電線接続部62上に位置させ、それら電線Wの芯線W1を半田付け用開口52eから電線接続部62に半田接続する。そして、プラグコネクタ40の壁部52、隆起部53及びプラグコンタクト60の接触部63を、図1に示すように、リセプタクルコネクタ10のコネクタ受容凹部21内に挿入する。これにより、図1乃至図3に示すように、リセプタクルコネクタ10のロックアーム34がプラグコネクタ40の係止部54に係止され、プラグコネクタ40とリセプタクルコネクタ10とが嵌合する。
【0034】
この両コネクタ10,40の嵌合の際には、リセプタクルコネクタ10のロックアーム34は、プラグコネクタ40の後壁52bによって一旦後方(矢印y向き)に撓む。そして、嵌合が進んでプラグコネクタ40の係止部54がロックアーム34のところまでくると、ロックアーム34は前方(矢印Y向き)に撓んで元の状態に復元し、係止部54に係止される。これにより、プラグコネクタ40はリセプタクルコネクタ10にロックされる。
【0035】
このように、本実施形態の電気コネクタ組立体1にあっては、ロックアーム34は、両コネクタ10,40の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する方向(矢印Yy方向)に撓むように構成されている。このため、プラグコネクタ40をリセプタクルコネクタ10に対して挿抜する回数を多くしてもロックアーム34の機能に支障は生じることなく、両コネクタ10,40の挿抜耐久性を高くすることができる。
【0036】
また、ロックアーム34の固定部31(側板部31c)から延びる方向が、両コネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交している。つまり、各ロックアーム34は、1対の側板部31cの各々から両コネクタ10,40の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する内方向(矢印x向き)に延びている。このため、両コネクタ10,40の嵌合方向の高さ、即ち電気コネクタ組立体1の嵌合方向の低背化を達成することができる。
そして、プラグコネクタ40とリセプタクルコネクタ10とが嵌合すると、プラグコンタクト60各接触部63のU形状両側面が、リセプタクルコンタクト30の1対の接触部32における接点32cに接触する。これにより、電線Wと回路基板とが電気的に接続される。
【0037】
なお、プラグコネクタ40及びリセプタクルコネクタ10を嵌合した後において、作業者により電線Wが引っ張られて両コネクタ40,10の嵌合が解除されてしまうことがある。ここで、電線Wが引っ張られた際に、電線Wを引っ張る部分から両コネクタ40,10をロックする部分までの距離が短ければ、両コネクタ40,10をロックする部分にかかる曲げモーメントが小さくなる。このため、この場合、両コネクタ10,40の嵌合が解除されにくい。本実施形態の電気コネクタ組立体1においては、ロックアーム34に係止する係止部54は、プラグハウジング50に設けられた電線導出口55の近傍に設けられている。このため、両コネクタ40,10をロックする部分が電線Wを導出する部分に近接しており、電線Wを引っ張る部分から両コネクタ40,10をロックする部分までの距離を極力短くすることができる。従って、電線Wが引っ張られた際に両コネクタ40,10をロックする部分にかかる曲げモーメントを小さくでき、電線Wが引っ張られても不用意な嵌合解除を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態の電気コネクタ組立体1においては、係止部54が、プラグコンタクト60に設けられたロック補強部65により補強されている。このため、両コネクタ10,40の挿抜を繰り返しても係止部54が損傷しがたく、挿抜の耐久性を更に高くすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
【0039】
例えば、リセプタクルコネクタ10側のリセプタクルコンタクト30にロックアーム34を設け、その相手側のプラグコネクタ40側のプラグハウジング50に係止部54を設けてあるが、その反対に、リセプタクルコネクタ10側のリセプタクルハウジング20に係止部を設け、プラグコネクタ10側のプラグコンタクト60にロックアームを設けてもよい。
【0040】
また、固定部31は、水平方向に延びる水平部31aと、水平部31aの略中央部から立ち下がる基部31bと、水平部31aの端部から立下り、リセプタクルハウジング(第1ハウジング)20に固定される側板部31cとを具備している。しかし、固定部31は、リセプタクルハウジング(第1ハウジング)20に固定される機能を有する構成を備えていれば良く、これら水平部31aと、基部31bと、側板部31cとを備える構成に限られない。
【0041】
また、接触部32は、基部31bの側縁から1対のコネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する内方向(矢印x向き)に延びているが、これに限らず、固定部31から延びている構成であればよい。また、基板接続部33は、基部31bの下端から1対のコネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する外方向(矢印X向き)に延びているが、これに限らず、固定部31から延びている構成であればよい。
【0042】
更に、ロックアーム34の延びる方向が、側板部31cから1対のコネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する内方向(矢印x向き)であるが、これに限らず、固定部31から1対のコネクタ10,40同士の嵌合方向(矢印Zz方向)とほぼ直交する内方向(矢印x向き)及び外方向(矢印X向き)のいずれであってもよい。
また、いわゆる基板対電線の電気コネクタ組立体について説明したが、本発明は、これに限定されず、基板対基板の電気コネクタ組立体にも適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 電気コネクタ組立体
10 リセプタクルコネクタ(一方のコネクタ)
20 リセプタクルハウジング(第1ハウジング)
30 リセプタクルコンタクト(第1コンタクト)
31 固定部
31a 水平部
31b 基部
31c 側板部
32 接触部
33 基板接続部
34 ロックアーム
40 プラグコネクタ(他方のコネクタ)
50 プラグハウジング(第2ハウジング)
54 係止部
55 電線導出口
60 プラグコンタクト(第2コンタクト)
65 ロック補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合する1対のコネクタからなる電気コネクタ組立体であって、
前記1対のコネクタのうちの一方のコネクタは、絶縁性の第1ハウジングと、該第1ハウジングに取り付けられた第1コンタクトとを有し、
該第1コンタクトが、前記第1ハウジングに固定される固定部と、該固定部から延びる接触部と、前記固定部から延びる基板接続部と、前記固定部から延び、前記1対のコネクタが嵌合した際に、前記1対のコネクタのうちの他方のコネクタをロックするロックアームとを備え、
該ロックアームは、前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する方向に撓むとともに、前記ロックアームの前記固定部から延びる方向が、前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交していることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項2】
前記固定部が、水平方向に延びる水平部と、該水平部の略中央部から立ち下がる基部と、前記水平部の端部から立下り、前記第1ハウジングに固定される側板部とを具備し、
前記接触部が、前記基部の側縁から前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する内方向に延び、
前記基板接続部が、前記基部の下端から前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する外方向に延び、
前記ロックアームが、前記側板部から前記1対のコネクタ同士の嵌合方向とほぼ直交する内方向に延びることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
前記1対のコネクタのうちの他方のコネクタは、一端に電線が導出される電線導出口を有する絶縁性の第2ハウジングと、該第2ハウジングに取付けられ、前記電線に接続されるとともに前記第1コンタクトの接触部に接触する第2コンタクトとを備え、
前記第2ハウジングの前記電線導出口の近傍には、前記ロックアームに係止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気コネクタ組立体。
【請求項4】
前記係止部が、前記第2コンタクトに設けられたロック補強部により補強されていることを特徴とする請求項3記載の電気コネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−249230(P2011−249230A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123122(P2010−123122)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】