説明

電気コネクタ

【課題】この発明は、接続するケーブルの取り回し性の向上を図るとともに、製造コストの低減を図った電気コネクタを提供する。
【解決手段】同軸ケーブル1の中心導体に接続するコンタクト12が配設されたハウジング11と、該ハウジング11に嵌着して前記同軸ケーブル1の外部導体1cと接続する金属シェル13とを少なくとも有する電気コネクタ10において、同軸ケーブル1の外部導体1cと前記金属シェル13とを連結カシメ手段20を介し直接カシメて接続させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーブルとケーブル、あるいはケーブルと印刷配線基板等を電気的に接続するケーブル接続用の電気コネクタの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケーブルとケーブル、あるいはケーブルと印刷配線基板等を接続する電気コネクタとしては各種のものが使用されており、特に複数本の同軸ケーブルを接続する従来の電気コネクタとしては以下に説明するものが使用されている。
【0003】
図7は、後述する電気コネクタに複数本の同軸ケーブルを接続する手順を説明する概念斜視図である。
【0004】
まず、中心導体1a、不導体1b、外部導体1c、および外皮1dの順で一端が露出した同軸ケーブル1を複数本用意し、この同軸ケーブル1の各外部導体1cを上下一対の連結用部材(一対の導電性の板体)2,3間に所定のピッチで並設する。その後、この一対の連結用部材2,3と各同軸ケーブル1の外部導体1cとの間を半田付け接続する。
【0005】
次に、図8の斜視図で示すように、プラグコネクタとして機能する電気コネクタ4のハウジング5上面に形成された位置決め凹部6内に一対の連結部材2,3を配置し、その際、各同軸ケーブル1の中心導体1aをハウジング5内に所定のピッチで配設された対応するコンタクト7の接続端子上に載置する。その後各同軸ケーブル1の中心導体1aと対応するコンタクト7の接続端子とをカシメあるいは半田付け等の固着手段により固定する。
【0006】
次に、図9の斜視図で示すように、ハウジング5に金属シェル8を矢印のように被せて嵌着支承させ、これにより図10の斜視図で示すように、連結部材3(図9)の上面を金属シェル8の舌片8aにより押し付けてハウジング5内に固定するとともに、上面の連結部材3に圧接する舌片8aを介して各同軸ケーブル1の外部導体1c(図7)と金属シェル8とを電気的に接続し、これにより複数本の同軸ケーブル1が接続された電気コネクタ4を完成させる。
【0007】
なお、上述した一対の連結部材2,3と金属シェル8との接続は、上述した舌片8aによる圧接接続の他に、両者を半田付け接続する場合もある。
【0008】
なお、上述した電気コネクタ4の各コンタクト7は図示せぬ印刷配線基板に搭載されたリセプタクルコネクタの対応する各コンタクトに接続され、また金属シェル8もリセプタクルコネクタの金属シェルと接続し、その金属シェルを介して図示せぬ印刷配線基板のアース端子と接続する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来の電気コネクタでは、同軸ケーブル1の外部導体1cと一対の連結用部材(一対の導電性の板体)2,3との間を半田付け接続する構造であるから、その半田付けの際、溶融した半田が同軸ケーブル1の外部導体1cに含浸し、そのため半田が冷却固化すると同軸ケーブル1の外部導体1cが硬化してその部分の可撓性が著しく低下する。
【0010】
このように、同軸ケーブル1の外部導体1cが硬化してその可撓性が著しく低下すると、同軸ケーブル1全体の取り回し性が損なわれ、例えば携帯電話、あるいは小型のコンピュータ等の狭い筐体内での電気コネクタの組み付けする際に、その作業性が著しく低下する難点があった。
【0011】
また従来の電気コネクタ4では同軸ケーブル1の外部導体1cと連結用部材2,3とを半田付け工程を経て接続するから組立工程数が多く、このため電気コネクタの製造に際し、コストアップの要因ともなっていた。
【0012】
この発明は、上述した事情に鑑み、接続するケーブルの取り回し性の向上を図るとともに、製造コストの低減を図った電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、この発明では、同軸ケーブルの中心導体に接続するコンタクトが配設されたハウジングと、該ハウジングに嵌着して前記同軸ケーブルの外部導体と接続する金属シェルとを少なくとも有する電気コネクタにおいて、前記同軸ケーブルの外部導体と前記金属シェルとを連結カシメ手段を介し直接カシメて接続させるようにしたことを特徴とする電気コネクタ。
【発明の効果】
【0014】
上述した、本願発明の電気コネクタによると、同軸ケーブルの外部導体と金属シェルとを連結カシメ手段を介し直接カシメて接続させるようにしたから、外部導体と金属シェルとの間の接続に半田を使用することがなく、このため同軸ケーブルの外部導体に半田が含浸してその可撓性を損なうことがないので、同軸ケーブル全体の取り回し性が向上し、例えば携帯電話、あるいは小型のコンピュータ等の狭い筐体内での電気コネクタの組み付け作業を行う際に、その作業性を著しく向上させることが出来る。また同軸ケーブルの外部導体と金属シェル間の接続に半田付け工程がなくなるので組立工程数が低減し、このため電気コネクタの製造コストを著しく低下させ、安価な電気コネクタを提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明に係る電気コネクタの一実施例を詳述する。
【0016】
図1はこの発明に係る電気コネクタ10を示す要部破断面図で、図1と同一部分を同一符号で示す。
【0017】
この実施例の電気コネクタ10は、下方に位置する図示せぬリセプタクルに嵌着してケーブルを電気的に接続するプラグタイプのコネクタである。
【0018】
この電気コネクタ10も、従来と同様にプラスチック等の合成樹脂で形成された絶縁体のハウジング11と、このハウジング11の幅方向(図面垂直方向)に沿って所定のピッチで配設された複数本のコンタクト12と、前記ハウジング11を覆う金属等の導電体で形成された金属シェル13とから構成され、同軸ケーブル1の外部導体1cと前記金属シェル13とは、連結カシメ手段20を介して直接カシメられて電気的に接続されている。
【0019】
次に、上述した本願にかかわる電気コネクタ10に複数本の同軸ケーブル1を配設する手順を説明し、併せて構成をより詳細に説明する。
【0020】
図2は上述した連結カシメ手段20を示す概念斜視図である。
【0021】
この連結カシメ手段20は、導電性を有する金属製の板体21からなり、この板体21の互いに対向する位置には一対のカシメ突起22からなるカシメ部材23が櫛歯状に立設され、このカシメ部材23は板体21の長手方向に沿って所定のピッチ(具体的には外部導体1cの径よりも若干小さいピッチ)で複数個並設されている。
【0022】
そして、この連結カシメ手段20に複数本の同軸ケーブル1を位置決めさせるには、図2に示すように、一対のカシメ突起22からなる一対のカシメ部材23間に同軸ケーブル1の外部導体1cを嵌着する。このように、一対のカシメ部材23間に各同軸ケーブル1の外部導体1cを嵌着させると、複数本の各同軸ケーブル1はこの連結カシメ手段20の長手方向に沿って所定のピッチで併設され、さらに各外部導体1cはこの導電性を有する金属製の板体21と電気的に接続する。
【0023】
次に、このように、複数本の同軸ケーブル1を所定のピッチで板体21に併設した連結カシメ手段20を、図3に示すハウジング11の上面に形成された位置決め凹部11a内に配設して位置決めする。その際、図1で示すように、各同軸ケーブル1の各中心導体1aはハウジング11内に所定のピッチで配設された対応する各コンタクト12の接続端子12a上に位置決めされ、その後各同軸ケーブル1の中心導体1aと対応するコンタクト12の接続端子12aとはカシメあるいは半田付け等の固着手段により電気的に接続される。
【0024】
このように、複数本の同軸ケーブル1を所定のピッチで併設した連結カシメ手段20をハウジング11の上面に形成された位置決め凹部11a内に位置決め配設した後、図4で示すように、上方から金属シェル13をハウジング11に嵌着する。
【0025】
この金属シェル13には、その上面にプレス等の機械加工により予め連結カシメ手段20と対向する位置に凹部13aが形成され、さらにその凹部13aの底部両側方であって、前記連結カシメ手段20のカシメ突起22と対向する位置には、このカシメ突起22を嵌挿させる一対の嵌挿孔13bが形成されている。
【0026】
従って、図4で示すように、上方から金属シェル13をハウジング11に嵌着させると、図5で示すように、金属シェル13の凹部13a内において、各カシメ突起22が各嵌挿孔13bから凹部13a内へ突出することとなる。
【0027】
その後、図6で示すように、金属シェル13の凹部13aに形成された嵌挿孔13b内から突出した各カシメ突起22を金属シェル13の凹部13aを抱え込むようにカシメると、図1で示すように、各同軸ケーブル1の各外部導体1cと金属シェル13とが連結カシメ手段20を介し直接カシメられて機械的かつ電気的に接続されることとなる。
【0028】
従って、上述した本願発明に係る電気コネクタ10によると、複数本の同軸ケーブル1の各外部導体1cと金属シェル13とを連結カシメ手段20を介し直接カシメて電気的に接続するようにしたから、従来の如く外部導体と金属シェルとの間の接続に半田を使用する場合に比較して外部導体の可撓性が損なわれず、このため同軸ケーブル1全体の取り回し性が向上し、例えば携帯電話、あるいは小型のコンピュータ等の狭い筐体内での電気コネクタ10の組み付け作業を行う際に、その作業性を著しく向上させることが出来ることとなる。また同軸ケーブル1の外部導体1cと金属シェル13との間の接続に半田付け工程がなくなるので組立工程数が低減し、このため電気コネクタ10の製造コストを著しく低下させ、安価な電気コネクタを提供することが出来ることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上説明したように、この発明は、接続するケーブルの取り回し性の向上を図るとともに、製造コストの低減を図った電気コネクタに適している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1はこの発明に係る電気コネクタの要部断面図。
【図2】図2は連結カシメ手段の概念斜視図。
【図3】図3は連結カシメ手段をハウジング内に配設した状態を示す概念斜視図。
【図4】図4は金属シェルの概念斜視図。
【図5】図5は金属シェルをはう金属シェルをハウジングに嵌着した状態を示す概念斜視図。
【図6】図6はこの発明に係る電気コネクタの完成した状態を示す概念斜視図。
【図7】図7は従来の電気コネクタの組立て手順を示す概念斜視図。
【図8】図8は従来の電気コネクタの組立て手順を示す概念斜視図。
【図9】図9は従来の電気コネクタの組立て手順を示す概念斜視図。
【図10】図10は従来の電気コネクタの完成した状態を示す概念斜視図。
【符号の説明】
【0031】
1…同軸ケーブル
1a…中心導体
11…ハウジング
12…コンタクト
13…金属シェル
13b…嵌挿孔
20…連結カシメ手段
21…板体
22…カシメ突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの中心導体に接続するコンタクトが配設されたハウジングと、該ハウジングに嵌着して前記同軸ケーブルの外部導体と接続する金属シェルとを少なくとも有する電気コネクタにおいて、
前記同軸ケーブルの外部導体と前記金属シェルとを連結カシメ手段を介し直接カシメて電気的に接続させるようにしたことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記連結カシメ手段は、導電性を有する金属製の板体と該板体から櫛歯状に立設されるとともに前記同軸ケーブルの外部導体を位置決め支承するカシメ突起からなり、前記金属シェルには前記カシメ突起を嵌挿させる嵌挿孔が形成され、該金属シェルの嵌挿孔から突出する前記カシメ突起をカシメることにより前記同軸ケーブルの外部導体と前記金属シェルとを電気的に接続させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−310113(P2006−310113A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131927(P2005−131927)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(394009278)株式会社アイペックス (148)
【Fターム(参考)】