説明

電気コネクタ

【課題】プラグコネクタ20がコジられてもグランドコンタクト同士の接触が瞬断することがなく、安定した接続が得られる構造の電気コネクタを提供。
【解決手段】本目的は、プラグコネクタ20のプラグ側グランドコンタクト26は第3接触部261・第3接続部263と対向する側に第4接触部264・第4接続部265を設け、一方側に第3接触部261と他方側に第3接続部263を有する第1片266と一方側に第4接触部264と他方側に第4接続部265を有する第2片267と第1片266と第2片267を連結する連結部268とを備え、第1片266と第2片267を略並行に配置し、第3接続部263と第4接続部265の間に基板14は挿入・接続され、レセプタクルコネクタ50にはプラグ側グランドコンタクト26に対応する位置にレセ側グランドコンタクト56を配置し、プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と第4接触部264と接触できる構造にする電気コネクタ10により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の電気・電子機器に使用される電気コネクタに関するもので、特にプラグコネクタがコジられた際にも安定したグランドの接続をとることができる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気コネクタについて説明する。電気コネクタはプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを備えている。レセプタクルコネクタとしては、下記に示すような構造のものがあるので、ここでは、プラグコネクタについて説明する。
前記プラグコネクタはプラグコンタクトとプラグ側グランドコンタクトとハウジングと基板と2つのシェルを有している。前記プラグコンタクトには、レセプタクルコンタクトと接触する第2接触部とハウジングに固定される第2固定部と基板に接続する第2接続部が設けられている。前記プラグ側グランドコンタクトには、レセプタクル側グランドコンタクトと接触する第3接触部とハウジングに固定される第3固定部と基板に接続する第3接続部が設けられている。前記ハウジングには前記プラグコンタクト及び前記プラグ側グランドコンタクトが保持・配列されるそれぞれの挿入孔が設けられている。前記基板には、前記プラグコンタクトと前記プラグ側グランドコンタクト及びケーブルが接続されるそれぞれの接触部と該接触部間を繋ぐパターンとが設けられている。2分割された第2及び第3シェルには、互いのシェル同士を固定するための係合手段が設けられ、かつ、組立てられた前記プラグコンタクト及び前記プラグ側グランドコンタクトが保持された前記ハウジングと前記プラグコンタクト及び前記プラグ側グランドコンタクトが接続された基板とが入る空間(互いのシェルが組まれた状態で)が設けられ、さらに、ケーブルが突出できる孔(互いのシェルが組まれた状態で)が設けられている。
前記プラグコンタクト及び前記プラグ側グランドコンタクトと前記レセプタクルコンタクト及び前記レセプタクル側グランドコンタクトの接触構造は、上下のどちらか一方側だけで接触する構造になっている。
下記に電気コネクタとして、本出願人が既に提案した案件を含めた、特許文献1(特開2003−288967)と特許文献2(特開平10−302863号)と特許文献3(特開平11−26105号)と特許文献4(特願2007−53003)と特許文献5(特願2007−116429)の5つの文献を例示する。
【特許文献1】特許文献1の特開2003−288967の要約によると、異物やほこり、水分等がハウジングを通過して内部へ進入し難い構造とし、リセプタクルコネクタの奥行き寸法を小さくして小型化を図ることを目的とし、プラグコネクタのプラグ部内に挿入される挿入端部11とその挿入端部11と相対する位置に形成された背面板12とを有する箱形の絶縁性ハウジング10と、ハウジングに装着された複数のターミナル30と、ハウジングを覆う導電性金属シェル20と、ハウジングの底面に設けられ、ハウジングに対する各ターミナルの装着時に底面側からハウジング内へ各ターミナルを挿入するための複数の挿入口17と、各ターミナルに設けられ、各ターミナルをハウジングに固定するためのアンカー部33と、ハウジングに設けられ、各ターミナルのアンカー部が挿入される複数のアンカー溝18とを備える構造のコネクタが開示されている。
【特許文献2】特許文献2の特開平10−302863号の要約によると、プリント回路基板の実装面積を犠牲にすることなく、相手側の電気コネクタの嵌合部の前方に、広い空間が確保できるようにした基板取付型電気コネクタを提供することを目的とし、複数の端子2が装着された絶縁ハウジング3の外側に、金属シェル4が嵌装されており、金属シェル4に、プリント回路基板15に対する取付脚14a、14bが連設されていると共に、各端子2からプリント回路基板15の導電回路に対するテール19が延びている基板取付型電気コネクタ1である。金属シェル4が、絶縁ハウジング3の前方に、相手側の電気コネクタ21を受け入れる嵌合部8を構成しており、この嵌合部8の嵌合方向Aが、取付脚14a、14bを介してプリント回路基板15の表面15aに対して斜め上向きの方向に設定されている構造のコネクタが開示されている。
【特許文献3】特許文献3の特開平11−26105号の要約によると、相手コネクタ40と繰り返し挿抜してもシェル16の変形がなく、ノイズ効果も影響しないで、コンタクト14が絶縁体12から浮き上がることがなく、安定した接触圧が得られ、コンタクト14が座屈しない電気コネクタ10を提供することを目的とし、シェル16の幅方向両側の板状片18を嵌合口付近まで延長し、その先端部付近に固定用脚部A30と同一方向に突出した固定用脚部20を設け、かつ、この固定用脚部20側の板状片18に係止部24を配置するとともに、シェル16にこの係止部24が嵌入できる位置に係合部22を設け、絶縁体12の突出部50のコンタクト挿入溝52の両側に凸部54を設け、突出部50の自由端側付近に凸部54に繋がるテーパー部56を設ける構造のコネクタが開示されている。
【特許文献4】特願2007−53003の要約によると、コネクタが小型化されても、相手コネクタとの嵌合時に相手コネクタとの確実な位置決めができ、相手コネクタが突き合ってもハウジングが移動することなく、接続不良にも繋がらない電気コネクタを提供することを目的とし、相手コネクタと着脱自在に嵌合する電気コネクタ10であって、複数のコンタクト14とコンタクト14が配列・保持されるハウジング12とハウジング12を覆うとともにハウジング12とで相手コネクタの嵌合口40を形成するシェル16とを備える電気コネクタ10において、シェル16には少なくとも1個以上の係合片42を設け、ハウジング12には係合片42と対応する位置に係止部24を設け、係合片42と係止部24を係合させることにより相手コネクタとの嵌合時に嵌合逆方向へのハウジング12の移動を抑止することにより達成できる構造のものが開示されている。
【特許文献5】特願2007−116429の要約によると、コネクタが小型化されても、相手コネクタとの嵌合時に相手コネクタとの確実な位置決めができ、相手コネクタが突き合ってもハウジングが移動することなく、接続不良にも繋がらない電気コネクタを提供することを目的とし、相手コネクタと着脱自在に嵌合する電気コネクタ10であって、複数のコンタクト14とコンタクト14が配列・保持されるハウジング12とハウジング12を覆うとともにハウジング12とで相手コネクタの嵌合口40を形成するシェル16とを備える電気コネクタ10において、シェル16には少なくとも1個以上の係合片42を設け、ハウジング12には係合片42と対応する位置に係止部24を設け、係合片42と係止部24を係合させることにより相手コネクタとの嵌合時に嵌合逆方向へのハウジング12の移動を抑止することにより達成できる構造のものが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、前記プラグ側グランドコンタクトと前記レセプタクル側グランドコンタクトの接触構造は、下側だけで接触する構造になっているために、前記プラグコネクタがコジられた際に前記プラグ側グランドコンタクトと前記レセプタクル側グランドコンタクトの接触が瞬断するといった課題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、プラグコネクタがコジられてもグランドコンタクト同士の接触が瞬断することがなく、簡単な構造で安定した接続が得られる構造の電気コネクタを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、プラグコネクタ20とレセプタクルコネクタ50が着脱自在に嵌合する電気コネクタ10であって、相手コンタクトと接触する第1接触部541とブロック52に固定される第1固定部542と基板14に接続する第1接続部543を有する複数のレセプタクルコンタクト54と該レセプタクルコンタクト54が保持・配列されるブロック52と該ブロック52を覆う第1シェル58を有する前記レセプタクルコネクタ50と、前記レセプタクルコンタクト54と接触する第2接触部241とハウジング22に固定される第2固定部242と基板14に接続する第2接続部243を有する複数のプラグコンタクト24と前記レセプタクルコンタクト54と接触する第3接触部261とハウジング22に固定される第3固定部262と基板14に接続する第3接続部263を有する所要数のプラグ側グランドコンタクト26と前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26が保持・配列されるハウジング22と前記プラグコンタクト24と前記プラグ側グランドコンタクト26及びケーブル12が接続される基板14と前記ハウジング22及び前記基板14を覆う2分割された第2及び第3シェル28、30を有する前記プラグコネクタ20とを備える電気コネクタ10において、前記プラグコネクタ20のプラグ側グランドコンタクト26は、前記第3接触部261及び前記第3接続部263と対向する側にそれぞれ第4接触部264及び第4接続部265を設け、一方端側に第3接触部261と他方端側に第3接続部263を有する第1片266と一方端側に第4接触部264と他方端側に第4接続部265を有する第2片267と前記第1片266と前記第2片267を連結する連結部268とを備えるとともに前記第1片266と前記第2片267を略並行に配置し、前記第3接続部263と前記第4接続部265の間に前記基板14は挿入・接続され、前記レセプタクルコネクタ50には前記プラグ側グランドコンタクト26に対応する位置にレセ側グランドコンタクト56を配置するとともに前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と第4接触部264と接触できる構造にすることを特徴とする電気コネクタ10により達成できる。
【0006】
請求項2の電気コネクタ10は、前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接続部263と第4接続部265の間に前記基板14は挿入されると、前記第4接続部265が前記基板14によって押し上げられることで前記連結部268の下端を支点にし、前記連結部268の上端が前記第4接触部264側に傾くことによって、前記第4接触部264が前記レセ側グランドコンタクト56に接触されることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ10にある。
また、請求項3の電気コネクタ10は、前記プラグ側グランドコンタクト26を略倒H形状にすることを特徴とする請求項1または2記載の電気コネクタ10にある。
さらに、請求項4の電気コネクタ10は、前記レセ側グランドコンタクト56は、前記ブロック52の突出部522側を折り返すことにより前記第5接触部561を設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気コネクタ10にある。
【0007】
請求項5の電気コネクタ10は、前記ブロック52は前記プラグ側グランドコンタクト56に対応する前記突出部522の挿入溝を上下に貫通させ、前記レセ側グランドコンタクト56は前記挿入溝524の上下の突出させることにより前記第5接触部561を設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気コネクタ10にある。
また、請求項6の電気コネクタ10は、前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接続部263の方が第4接続部265より先に前記基板14に接続(接触)することを特徴とする請求項1、2または3、4、5記載の電気コネクタ10にある。
さらに、請求項7の電気コネクタ10は、前記プラグコンタクト24が前記レセプタクルコンタクト52に接触するより先に前記プラグ側グランドコンタクト26が前記レセ側グランドコンタクト56に接触することを特徴とする請求項1〜6項のうちいずれか1項記載の電気コネクタ10にある。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明の電気コネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1記載の電気コネクタ10は、プラグコネクタ20とレセプタクルコネクタ50が着脱自在に嵌合する電気コネクタ10であって、相手コンタクトと接触する第1接触部541とブロック52に固定される第1固定部542と基板14に接続する第1接続部543を有する複数のレセプタクルコンタクト54と該レセプタクルコンタクト54が保持・配列されるブロック52と該ブロック52を覆う第1シェル58を有する前記レセプタクルコネクタ50と、前記レセプタクルコンタクト54と接触する第2接触部241とハウジング22に固定される第2固定部242と基板14に接続する第2接続部243を有する複数のプラグコンタクト24と前記レセプタクルコンタクト54と接触する第3接触部261とハウジング22に固定される第3固定部262と基板14に接続する第3接続部263を有する所要数のプラグ側グランドコンタクト26と前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26が保持・配列されるハウジング22と前記プラグコンタクト24と前記プラグ側グランドコンタクト26及びケーブル12が接続される基板14と前記ハウジング22及び前記基板14を覆う2分割された第2及び第3シェル28、30を有する前記プラグコネクタ20とを備える電気コネクタ10において、前記プラグコネクタ20のプラグ側グランドコンタクト26は、前記第3接触部261及び前記第3接続部263と対向する側にそれぞれ第4接触部264及び第4接続部265を設け、一方端側に第3接触部261と他方端側に第3接続部263を有する第1片266と一方端側に第4接触部264と他方端側に第4接続部265を有する第2片267と前記第1片266と前記第2片267を連結する連結部268とを備えるとともに前記第1片266と前記第2片267を略並行に配置し、前記第3接続部263と前記第4接続部265の間に前記基板14は挿入・接続され、前記レセプタクルコネクタ50には前記プラグ側グランドコンタクト26に対応する位置にレセ側グランドコンタクト56を配置するとともに前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と第4接触部264と接触できる構造にすることを特徴とする電気コネクタ10により達成できるようにしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができる。
(2)請求項2の電気コネクタ10は、前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接続部263と第4接続部265の間に前記基板14は挿入されると、前記第4接続部265が前記基板14によって押し上げられることで前記連結部268の下端を支点にし、前記連結部268の上端が前記第4接触部264側に傾くことによって、前記第4接触部264が前記レセ側グランドコンタクト56に接触されることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ10にしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができ、かつ、容易に上下2点の接続をすることができる。
(3)請求項3の電気コネクタ10は、前記プラグ側グランドコンタクト26を略倒H形状にすることを特徴とする請求項1または2記載の電気コネクタ10にしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができ、かつ、容易に上下2点の接続をすることができる。
(4)請求項4の電気コネクタ10は、前記レセ側グランドコンタクト56は、前記ブロック52の突出部522側を折り返すことにより前記第5接触部561を設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気コネクタ10にしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができ、かつ、容易に上下2点の接続をすることができる。
(5)請求項5の電気コネクタ10は、前記ブロック52は前記プラグ側グランドコンタクト56に対応する前記突出部522の挿入溝を上下に貫通させ、前記レセ側グランドコンタクト56は前記挿入溝524の上下の突出させることにより前記第5接触部561を設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気コネクタ10にしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができ、かつ、容易に上下2点の接続をすることができる。
(6)請求項6の電気コネクタ10は、前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接続部263の方が第4接続部265より先に前記基板14に接続(接触)することを特徴とする請求項1、2または3、4、5記載の電気コネクタ10にしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができ、かつ、容易に上下2点の接続をすることができ、コジられても確実に上側だけは接触することができる。
(7)請求項7の電気コネクタ10は、前記プラグコンタクト24が前記レセプタクルコンタクト52に接触するより先に前記プラグ側グランドコンタクト26が前記レセ側グランドコンタクト56に接触することを特徴とする請求項1〜6項のうちいずれか1項記載の電気コネクタ10にしているので、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にしているために前記プラグコネクタ20がコジられても瞬断することがなく、安定したグランドの接続を得ることができ、かつ、容易に上下2点の接続をすることができ、コジられても前記プラグコンタクト24と前記レセプタクルコンタクト54同士の接触には影響を受け難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の特徴は、プラグコネクタ20とレセプタクルコネクタ50が着脱自在に嵌合する電気コネクタ10であって、相手コンタクトと接触する第1接触部541とブロック52に固定される第1固定部542と基板14に接続する第1接続部543を有する複数のレセプタクルコンタクト54と該レセプタクルコンタクト54が保持・配列されるブロック52と該ブロック52を覆う第1シェル58を有する前記レセプタクルコネクタ50と、前記レセプタクルコンタクト54と接触する第2接触部241とハウジング22に固定される第2固定部242と基板14に接続する第2接続部243を有する複数のプラグコンタクト24と前記レセプタクルコンタクト54と接触する第3接触部261とハウジング22に固定される第3固定部262と基板14に接続する第3接続部263を有する所要数のプラグ側グランドコンタクト26と前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26が保持・配列されるハウジング22と前記プラグコンタクト24と前記プラグ側グランドコンタクト26及びケーブル12が接続される基板14と前記ハウジング22及び前記基板14を覆う2分割された第2及び第3シェル28、30を有する前記プラグコネクタ20とを備える電気コネクタ10において、前記プラグコネクタ20のプラグ側グランドコンタクト26は、前記第3接触部261及び前記第3接続部263と対向する側にそれぞれ第4接触部264及び第4接続部265を設け、一方端側に第3接触部261と他方端側に第3接続部263を有する第1片266と一方端側に第4接触部264と他方端側に第4接続部265を有する第2片267と前記第1片266と前記第2片267を連結する連結部268とを備えるとともに前記第1片266と前記第2片267を略並行に配置し、前記第3接続部263と前記第4接続部265の間に前記基板14は挿入・接続され、前記レセプタクルコネクタ50には前記プラグ側グランドコンタクト26に対応する位置にレセ側グランドコンタクト56を配置するとともに前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と第4接触部264と接触できる構造にすることを特徴とする電気コネクタ10である。
つまり、前記プラグ側グランドコンタクト26と前記レセ側グランドコンタクト56の接触は上下2点の接触構造にし、前記プラグ側グランドコンタクト26の形状を略倒H形状にすることで基板14を接続部263、265側に挿入することで上下の接触部261、264が前記レセ側グランドコンタクト56に接触するようにしたものである。
【0010】
図に基づいて、本発明の電気コネクタの一実施例を説明する。
図1(A)は嵌合方向からみたプラグコネクタの斜視図であり、(B)は嵌合方向からみたレセプタクルコネクタの斜視図である。図2(A)はあるプラグ側グランドコンタクト部分で断面したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとが嵌合した状態の断面斜視図であり、(B)はあるプラグコンタクト部分で断面したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとが嵌合した状態の断面斜視図である。図3(A)は絶縁体が施されてなく、ケーブルがカシメられてない状態で、あるプラグ側グランドコンタクト部分で断面したプラグコネクタの断面斜視図であり、(B)はあるレセプタクル側グランドコンタクト部分で断面したレセプタクルコネクタの断面斜視図である。図4(A)はプラグ側グランドコンタクトの斜視図であり、(B)はレセプタクル側グランドコンタクトの斜視図である。図5(A)はプラグコンタクトの斜視図であり、(B)はレセプタクルコンタクトの斜視図である。図6(A)はプラグコネクタのハウジングの斜視図であり、(B)はレセプタクルコネクタのブロックの斜視図である。図7(A)はプラグコネクタの第2シェル及び第3シェルの斜視図であり、(B)はレセプタクルコネクタの第1シェルの斜視図である。
【0011】
本発明の電気コネクタ10は、プラグコネクタ20とレセプタクルコネクタ50とを備えている。それぞれのコネクタ20、50ともに、主にコンタクト24、26、54、56とプラスチック製の絶縁物と金属製のシェル28、30、58とから構成されている。
【0012】
まず、プラグコネクタ20について説明する。前記プラグコネクタ20は主にハウジング22とプラグコンタクト24とプラグ側グランドコンタクト26と第2及び第3シェル28、30を有している。前記ハウジング22は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、これらの材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やポニフェニレンサルファイド(PPS)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ハウジング22には、所要数のプラグコンタクト24及びプラグ側グランドコンタクト26が装着される第2挿入孔221と第3挿入孔222が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。
【0013】
前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
【0014】
本発明のポイントであるプラグ側グランドコンタクト26について説明する。前記プラグ側グランドコンタクト26は主にレセ側グランドコンタクト54と接触する第3接触部261と前記ハウジング22に固定される第3固定部262と基板14に接続される第3接続部263と前記第3接触部261の対向側に位置する第4接触部264と前記第3接続部263の対向側に位置する第4接続部265と連結部268とを有している。即ち、一方端側に前記第3接触部261と他方端側に前記第3接続部263を有する第1片266と一方端側に前記第4接触部264と他方端側に前記第4接続部265を有する第2片267と前記第1片266と前記第2片267を連結する連結部268とを備えるとともに前記第1片266と前記第2片267は略並行に配置しており、前記プラグ側グランドコンタクト26は略倒H形状をしている。
【0015】
ここで、前記プラグ側グランドコンタクト26の作用について説明する。前記プラグ側グランドコンタクト26は、第3接続部263と第4接続部265の間に前記基板14は挿入されると、前記第4接続部265が前記基板14によって押し上げられることで前記連結部268の下端を支点にし、前記連結部268の上端が前記第4接触部264側に傾くことによって、前記第4接触部264が前記レセ側グランドコンタクト56に接触されるようになる。前記第1片266の第3接触部261及び第3接続部263と前記第2片267の第4接触部264及び第4接続部265と連結部268の位置関係は、上記作用が満足するように適宜設計する。
【0016】
前記第3接触部261及び前記第4接触部264は前記レセ側グランドコンタクト56の第1接触部541及び第5接触部561と接触する部分である。前記第3接触部261及び前記第4接触部264は接触し易いように凸形状をしており、前記レセ側グランドコンタクト56の第1接触部541及び第5接触部561と接触構造になっている。前記第3接触部261及び前記第4接触部264は前記プラグコネクタ20がコジられた場合でも前記第3接触部261及び前記第4接触部264のどちらか一方が前記レセ側グランドコンタクト56の第1接触部541及び第5接触部561と接触できればよく、接触安定性や嵌合時の電気コネクタ10の省スペース化及び低背化や加工性等を考慮して適宜設計する。前記第3接触部261と前記第4接触部264の間隔は前記レセ側グランドコンタクト26の第1接触部241と第5接触部261の厚さを考慮して適宜設計する。
【0017】
前記第3固定部262は前記ハウジング22の第3挿入孔222に保持される部分である。本実施例では圧入によって保持しているが、保持できればいかなる方法でもよく、コネクタの小型化や強度や保持力等を考慮して適宜設計する。
【0018】
前記第3接続部263及び前記第4接続部265は基板14に接続する部分である。前記第3接続部263及び前記第4接続部265は基板14に接続できれば、いかなる形状(タイプ)でもよいが、本実施例では挟み込みタイプにしている。
前記第3接続部263と前記第4接続部265の間隔は前記基板14の厚さを考慮して適宜設計する。
【0019】
前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接続部263の方が第4接続部265より先に前記基板14に接続(接触)する位置関係にすることが望ましい。
また、前記プラグコンタクト24が前記レセプタクルコンタクト52に接触するより先に前記プラグ側グランドコンタクト26が前記レセ側グランドコンタクト56に接触する位置関係にすることが望ましい。
【0020】
つぎに、プラグコンタクト24について説明する。前記プラグコンタクト24は主にレセプタクルコンタクト54と接触する第2接触部241と前記ハウジング22に固定される第2固定部242と基板14に接続される第2接続部243とを有している。前記プラグコンタクト24は略クランク形状をしている。
【0021】
それぞれの部位は、第2接触部241・第2固定部242・第2接続部243の順に配置されている。以下で、それぞれの部位について説明する。まず、前記第2接触部241はレセクタクルコンタクト54の第1接触部541と接触する部分である。前記第2接触部241は接触し易いように凸形状をしており、前記レセプタクルコンタクト54の第1接触部541と接触構造になっている。前記第2接触部241は前記レセプタクルコンタクト54の第1接触部541と接触できればよく、接触安定性や嵌合時の電気コネクタ10の省スペース化及び低背化や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0022】
前記第2固定部242は前記ハウジング22の第2挿入孔221に保持される部分である。本実施例では圧入によって保持しているが、保持できればいかなる方法でもよく、コネクタの小型化や強度や保持力等を考慮して適宜設計する。
前記第2接続部243は基板14に接続する部分である。前記第2接続部243は基板14に接続できれば、いかなる形状(タイプ)でもよいが、本実施例では表面実装(SMT)タイプにしている。例えば、ディップタイプであってもよい。
【0023】
次に、前記ハウジング22について説明する。前記ハウジング22は略板状をしている。前記ハウジング22には前記プラグコンタクト24が挿入され、保持される第2挿入孔221が前記プラグコンタクト24の芯数分だけ設けられ、
かつ、前記プラグ側グランドコンタクト26が挿入され、保持される第3挿入孔222が前記プラグ側グランドコンタクト26の芯数分だけ設けられている。前記第2挿入孔221及び前記第3挿入孔222の形状・大きさは前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26の大きさや形状や保持力等を考慮して適宜設計する。
【0024】
前記ハウジング22には、前記レセプタクルコネクタ50の前記ブロック52の突出部522が入る嵌合部18が設けられている。前記嵌合部18の大きさ・形状は前記突出部522の大きさや嵌合時の接触安定性を考慮して適宜設計する。
また、前記ハウジング22には、前記レセプタクルコネクタ50との誤嵌合を防止するための切欠部223が設けられている。前記切欠部223の大きさは誤嵌合を防止できれば如何なる大きさでもよく、コネクタの小型化や前記ハウジング22の強度等を考慮して適宜設計する。
【0025】
つぎに、2つの第2シェル28と第3シェル30について説明する。前記第2及び第3シェル28、30は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記第2及び第3シェル28、30の材質としては、EMIやバネ性や強度などが要求されるので、ステンレス鋼(SUS)や黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。前記第2及び第3シェル28、30が組み合わさることで、前記プラグコンタクト24や前記プラグ側グランドコンタクト26が挿入された前記ハウジング22と前記プラグコンタクト24や前記プラグ側グランドコンタクト26が接続された基板14や該基板14に接続(結線)されたケーブル12を覆っている。
【0026】
2つの前記第2シェル28と前記第3シェル30は、組み合わされるために互いに係合手段が設けられている。前記係合手段として、本実施例では前記第2シェル28に切り起こされた係合片281を設け、前記第3シェル30に係止孔301を設けて、前記係合片281を前記係止孔301に係合させることで組合わせている。本実施例では、このような係合手段を用いたが、係合できればどのようなものでもよく、例えば、前記係合片281と前記係止孔301を逆に設けたものであってもよい。組合わせることで、前記プラグコンタクト24や前記プラグ側グランドコンタクト26が挿入された前記ハウジング22と前記プラグコンタクト24や前記プラグ側グランドコンタクト26が接続された基板14や該基板14に接続(結線)されたケーブル12を覆っている。
【0027】
それぞれの前記第2シェル28と前記第3シェル30の部位について説明する。まず、前記第2シェル28には、嵌合方向と反対側に前記ケーブル12をカシメるためのカシメ部282が設けられている。前記カシメ部282の大きさは前記ケーブル12の径や前記ケーブル12の保持力等を考慮して適宜設計する。
【0028】
前記第3シェル30には、嵌合方向に前記レセプタクルコネクタ50と確実なロックをするためのロック部302が設けられている。前記ロック部302の大きさ・形状は、前記レセプタクルコネクタ50と確実なロックができればよく、EMIや嵌合時の保持力やコネクタの小型化等を考慮して適宜設計する。
【0029】
つぎに、絶縁体32について説明する。前記絶縁体32は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、これらの材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリ塩化ビニール(PVC)やポリブチレンテレフタレート(PBT)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記絶縁体32は、EMI対策にために前記レセプタクルコネクタ50に挿入(嵌合)される部分を除いて組み合わされた前記第2シェル28と前記第3シェル30を覆うものである。本実施例ではポリ塩化ビニール(PVC)を用いて、一体成型で覆っている。
【0030】
ここで、基板14について説明する。前記基板14には前記プラグコンタクト24及び前記プラグ側グランドコンタクト26が接続するランドと前記ケーブル12が接続するランドと前記ランド間を繋ぐパターンとが設けられている。
【0031】
次に、レセプタクルコネクタ50について説明する。前記レセプタクルコネクタ50は主にブロック52とレセプタクルコンタクト54とレセ側グランドコンタクト56と第1シェル58と固定具60とを有している。
前記レセプタクルコンタクト54及び前記レセ側グランドコンタクト56は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記レセプタクルコンタクト54及び前記レセ側グランドコンタクト56の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
【0032】
最初に、前記レセ側グランドコンタクト56について説明する。前記レセ側グランドコンタクト56は主にプラグ側グランドコンタクト26と接触する第1接触部541及び第5接触部561と前記ブロック52に固定される第1固定部542と基板15に接続される第1接続部543とを有している。
【0033】
それぞれの部位は、第5接触部561・第1接触部541・第1固定部542・第1接続部543の順に配置されている。以下で、それぞれの部位について説明する。まず、前記第5接触部561は前記第1接触部541の先端をさらに延設し折曲部562で折り返し、前記ブロック52の突出部522を前記第5接触部561と前記第1接触部541とで挟み込むように配置している。前記第5接触部561は前記プラグ側グランドコンタクト26の第4接触部264と接触する部分である。前記第5接触部561は略板状片で、前記プラグ側グランドコンタクト26の第4接触部264と接触する構造になっている。
前記第1接触部541は前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と接触する部分である。前記第1接触部541は略板状片で、前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と接触する構造になっている。前記第1接触部541は前記プラグ側グランドコンタクト26の第3接触部261と接触できればよく、接触安定性や嵌合時の電気コネクタ10の省スペース化及び低背化や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0034】
前記第1固定部542は前記ブロック52の第4挿入孔525に保持される部分である。本実施例では一体成型によって保持しているが、保持できればいかなる方法でもよく、コネクタの小型化や強度や保持力等を考慮して適宜設計する。
前記第1接続部543は基板15に接続する部分である。前記第1接続部543は基板15に接続できれば、いかなる形状(タイプ)でもよいが、本実施例では表面実装(SMT)タイプにしている。例えば、ディップタイプであってもよい。また、前記第1接続部543は省スペース化を考慮して、前記ブロック52から突出しないように配置している。
【0035】
上記のように、第1接触部541を延設し、折り返すことで第5接触部561を形成したが、抜き加工だけで、前記ブロック52の突出部522の厚み方向両側に突出するように形成したものでもよい。
【0036】
つぎに、レセプタクルコンタクト54について説明する。前記レセプタクルコンタクト54は主にプラグコンタクト24と接触する第1接触部541と前記ブロック52に固定される第1固定部542と基板15に接続される第1接続部543とを有している。
【0037】
それぞれの部位は、第1接触部541・第1固定部542・第1接続部543の順に配置されている。以下で、それぞれの部位について説明する。まず、前記第1接触部541は前記プラグコンタクト24の第2接触部241と接触する部分である。前記第1接触部541は略板状片で、前記プラグコンタクト24の第2接触部241と接触する構造になっている。前記第1接触部541は前記プラグコンタクト24の第2接触部241と接触できればよく、接触安定性や嵌合時の電気コネクタ10の省スペース化及び低背化や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0038】
前記第1固定部542は前記ブロック52の第1挿入孔523に保持される部分である。本実施例では圧入によって保持しているが、保持できればいかなる方法でもよく、コネクタの小型化や強度や保持力等を考慮して適宜設計する。
前記第1接続部543は基板15に接続する部分である。前記第1接続部543は基板15に接続できれば、いかなる形状(タイプ)でもよいが、本実施例では表面実装(SMT)タイプにしている。例えば、ディップタイプであってもよい。また、前記第1接続部543は省スペース化を考慮して、前記ブロック52から突出しないように配置している。
【0039】
次に、前記ブロック52について説明する。前記ブロック22は断面略T字形状をしている。前記ブロック52は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、これらの材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やポニフェニレンサルファイド(PPS)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ブロック52には、所要数の前記レセプタクルコンタクト54が装着される第1挿入孔523と前記レセ側グランドコンタクト56が装着される第4挿入孔525が設けられており、一体成型や圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。本実施例では一体成型により固定している。
【0040】
前記ブロック52は、大別すると本体部521と突出部522に分けられる。前記突出部522は前記本体部521から嵌合方向へ突出するように設けられ、前記突出部522には前記本体部521に設けられた前記第1挿入孔523と前記第4挿入孔525に連設して繋がった各々の前記第1挿入孔523と前記第4挿入孔525が設けられ、前記レセプタクルコンタクト54及び前記レセ側グランドコンタクト56の接触部541、561が前記突出部522の表面に露出している。また、前記ブロック52には、弾性体64と係合する係止部526(本実施例では孔である)が設けられている。
【0041】
前記レセ側グランドコンタクト56を抜き加工により前記第5接触部561を形成した場合、前記ブロック52の突出部522に上下に貫通した挿入溝524を設ける。前記挿入溝524は、前記レセ側グランドコンタクト56の第1及び第5接触部541、561が上下に露出し、前記プラグ側グランドコンタクト26の接触部241、244と接触できれば如何なる大きさ、形状であってもよいが、強度やコネクタの小型化等を考慮して適宜設計する。
【0042】
つぎに、前記第1シェル58について説明する。前記第1シェル58は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記第1シェル58の材質としては、EMIやバネ性や強度などが要求されるので、ステンレス鋼(SUS)や黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。前記第1シェル58は略箱型形状をしている。
【0043】
前記第1シェル58は引っ掛け(ランス)等の係合手段によって前記ブロック52に固定されている。また、前記第1シェル58にはEMI対策として、前記プラグコネクタ20の第2及び第3シェル28、30と接触する複数の係止片が設けられている。
【0044】
次に、前記スライダー60について説明する。前記スライダー60は断面略箱型形状をしている。前記スライダー60は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、これらの材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やポニフェニレンサルファイド(PPS)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記スライダー60は前記レセプタクルコネクタ50に前記プラグコネクタ20が嵌合される前に埃等のゴミが嵌合口16内に入る込むことを防ぐものであり、前記プラグコネクタ20が挿入されると前記プラグコネクタ20により挿入方向側へ押し込まれ、移動するものである。前記プラグコネクタ20が抜かれると、スプリング等の弾性体64により元の位置に戻るような構造になっている。つまり、前記スライダー60は前記弾性体64によってのみ保持され、摺動可能になっている。前記スライダー60には、前記弾性体64と係合するための係合部601が設けられている。平行に前記スライダー60が摺動するように、前記係合部601は長手方向両側に設けられている(つまり、前記弾性体64を長手方向両側に配置し、平行に摺動するようにしている)。
【0045】
最後に、固定具62について説明する。前記固定具62は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記固定具62の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。前記固定具62は、略L字形状をし、基板15へ前記レセプタクルコネクタ50を固定した際の保持強度アップを図るためのものである。前記固定具62は前記ブロック52に圧入等によって固定されている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の活用例としては、携帯電話等の電気機器や電子機器に使用される電気コネクタ10に活用され、特に、プラグコネクタがコジられた際にも安定したグランドをとることができる構造に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A) 嵌合方向からみたプラグコネクタの斜視図である。(B) 嵌合方向からみたレセプタクルコネクタの斜視図である。
【図2】(A) あるプラグ側グランドコンタクト部分で断面したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとが嵌合した状態の断面斜視図である。(B) あるプラグコンタクト部分で断面したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとが嵌合した状態の断面斜視図である。
【図3】(A) 絶縁体が施されてなく、ケーブルがカシメられてない状態で、あるプラグ側グランドコンタクト部分で断面したプラグコネクタの断面斜視図である。(B) あるレセプタクル側グランドコンタクト部分で断面したレセプタクルコネクタの断面斜視図である。
【図4】(A) プラグ側グランドコンタクトの斜視図である。(B) レセプタクル側グランドコンタクトの斜視図である。
【図5】(A) プラグコンタクトの斜視図である。(B) レセプタクルコンタクトの斜視図である。
【図6】(A) プラグコネクタのハウジングの斜視図である。(B) レセプタクルコネクタのブロックの斜視図である。(C) レセプタクルコネクタのスライダーの斜視図である。
【図7】(A) プラグコネクタの第2シェル及び第3シェルの斜視図である。(B) レセプタクルコネクタの第1シェルの斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
10 電気コネクタ
12 ケーブル
14、15 基板
16 嵌合口
18 嵌合部
20 プラグコネクタ
22 ハウジング
221 第2挿入孔
222 第3挿入孔
24 プラグコンタクト
241 第2接触部
242 第2固定部
243 第2接続部
26 プラグ側グランドコンタクト
261 第3接触部
262 第3固定部
263 第3接続部
264 第4接触部
265 第4接続部
266 第1片
267 第2片
268 連結部
28 第2シェル
281 係合片
282 カシメ部
30 第3シェル
301 係止孔
302 ロック部
32 絶縁体
50 レセプタクルコネクタ
52 ブロック
521 本体部
522 突出部
523 第1挿入孔
524 挿入溝
525 第4挿入孔
526 係止部
54 レセプタクルコンタクト
541 第1接触部
542 第1固定部
543 第1接続部
56 レセ側グランドコンタクト
561 第5接触部
562 折曲部
58 第1シェル
60 スライダー
601 係合部
62 固定具
64 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタとレセプタクルコネクタが着脱自在に嵌合する電気コネクタであって、
相手コンタクトと接触する第1接触部とブロックに固定される第1固定部と基板に接続する第1接続部を有する複数のレセプタクルコンタクトと該レセプタクルコンタクトが保持・配列されるブロックと該ブロックを覆う第1シェルを有する前記レセプタクルコネクタと、
前記レセプタクルコンタクトと接触する第2接触部とハウジングに固定される第2固定部と基板に接続する第2接続部を有する複数のプラグコンタクトと前記レセプタクルコンタクトと接触する第3接触部とハウジングに固定される第3固定部と基板に接続する第3接続部を有する所要数のプラグ側グランドコンタクトと前記プラグコンタクト及び前記プラグ側グランドコンタクトが保持・配列されるハウジングと前記プラグコンタクトと前記プラグ側グランドコンタクト及びケーブルが接続される基板と前記ハウジング及び前記基板を覆う2分割された第2及び第3シェルを有する前記プラグコネクタとを備える電気コネクタにおいて、
前記プラグコネクタのプラグ側グランドコンタクトは、前記第3接触部及び前記第3接続部と対向する側にそれぞれ第4接触部及び第4接続部を設け、一方端側に第3接触部と他方端側に第3接続部を有する第1片と一方端側に第4接触部と他方端側に第4接続部を有する第2片と前記第1片と前記第2片を連結する連結部とを備えるとともに前記第1片と前記第2片を略並行に配置し、前記第3接続部と前記第4接続部の間に前記基板は挿入・接続され、
前記レセプタクルコネクタには前記プラグ側グランドコンタクトに対応する位置にレセ側グランドコンタクトを配置するとともに前記プラグ側グランドコンタクトの第3接触部と第4接触部と接触できる構造にすることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記プラグ側グランドコンタクトの第3接続部と第4接続部の間に前記基板は挿入されると、前記第4接続部が前記基板によって押し上げられることで前記連結部の下端を支点にし、前記連結部の上端が前記第4接触部側に傾くことによって、前記第4接触部が前記レセ側グランドコンタクトに接触されることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記プラグ側グランドコンタクトを略倒H形状にすることを特徴とする請求項1または2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記レセ側グランドコンタクトは、前記ブロックの突出部側を折り返すことにより前記第5接触部を設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ブロックは前記プラグ側グランドコンタクトに対応する前記突出部の挿入溝を上下に貫通させ、前記レセ側グランドコンタクトは前記挿入溝の上下の突出させることにより前記第5接触部を設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記プラグ側グランドコンタクトの第3接続部の方が第4接続部より先に前記基板に接続(接触)することを特徴とする請求項1、2または3、4、5記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記プラグコンタクトが前記レセプタクルコンタクトに接触するより先に前記プラグ側グランドコンタクトが前記レセ側グランドコンタクトに接触することを特徴とする請求項1〜6項のうちいずれか1項記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−266607(P2009−266607A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114700(P2008−114700)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】