説明

電気コネクタ

【課題】簡易な構成で、コネクタどうしの特に初期嵌合力を軽減して円滑な嵌合操作を行い、しかも小型化を可能とする。
【解決手段】絶縁ハウジングに設けた嵌合突部11bの先端部分の表面に、厚さ方向の一方側表面から先端側に向かって延出する先端ガイド表面11dを設けるとともに、その先端ガイド表面11dから嵌合突部11bの厚さ方向における他方側の表面に向かって延在する埋設保持表面11eを設け、それらの嵌合突部11bの表面を構成する先端ガイド表面11d及び埋設保持表面11eを、厚さ方向において互いに異なる非対称な表面形状とし、先端ガイド表面11dの案内作用により相手方コネクタを円滑に嵌合させるとともに、嵌合突部11dの埋設保持表面11eにより導電コンタクト12の端子先端段差部12bの外方を覆って導電コンタクト12の端子先端段差部12bに短絡等の問題を生じないように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適宜の信号伝送媒体を電気接続するための嵌合構造を備えた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の各種電気機器等においては、同軸ケーブル等からなる信号伝送媒体の端末部分を印刷配線基板等に接続するにあたって電気コネクタが広く用いられている。そのような電気コネクタは、例えば信号伝送媒体が接続される第1コネクタと、印刷配線基板上に実装される第2コネクタとから構成されており、まず第1コネクタの後端縁部分に同軸ケーブル等の信号伝送媒体が接続され、その後に、当該第1コネクタの前端部分に設けられた嵌合突部から第2コネクタの内部に向かって挿入されることにより両コネクタどうしの嵌合が行われる構成になされている。
【0003】
このように両コネクタどうしを嵌合させるにあたっては、例えば図9に示されているように、第1コネクタAの嵌合側部分に設けられた嵌合突部A1の先端部分(図9の左端部分)が、相手方の第2コネクタBの内部に向かって挿入される構成が採用されている。このとき、上記嵌合突部A1の厚さ方向における上側表面(一方側表面)には、導電コンタクトの端子電極部A2が多極状をなすように配置されている。また、その導電コンタクトは、上記端子電極部A2から先端側に向かって段差状をなして延在する端子先端段差部A3を有している。この導電コンタクトの端子先端段差部A3は、前記嵌合突部A1の内部に、例えばインサート成形によって埋設された構成になされており、それによって、導電コンタクトを嵌合突部A1に強固に固定し、当該端子先端段差部A3における短絡等を防止するようにしている。
【0004】
このように導電コンタクトの端子先端段差部A3を良好に埋設させるために従来の電気コネクタでは、上述した嵌合突部A1の先端部分の表面形状を、厚さ方向において上下に対称的な表面形状、例えば側面視で略半円形状としており、それによって前記端子先端段差部A3の外方側領域を完全に覆うようにしている。このような上下に対称的な表面形状の嵌合突部A1は、成型性においても有利なものとなる。
【0005】
このような第1コネクタAを相手方の第2コネクタBの内部に向かって挿入させるにあたっては、その第1コネクタAの嵌合突部A1が第2コネクタBの内部に配置された導電コンタクトB1と接触することとなるが、このとき上述したように、第1コネクタAの嵌合突部A1が厚さ方向において、例えば側面視で略半円形状(略対称的な表面形状)を備えた従来の電気コネクタでは、第1コネクタAの嵌合突部A1における第2コネクタBに対する摺動性、すなわちガイド機能が小さくなってしまう。その結果、第2コネクタBの導電コンタクトの接触部に急激な負荷が掛かって初期嵌合力が大きくなり、第2コネクタBの導電コンタクトが塑性変形するなどによって両コネクタA,Bどうしの円滑な嵌合操作ができなくなるおそれがある。
【0006】
特に、例えば図10に示されているように、一方側の第1コネクタAの後端側部分(図10の右端部分)が下方に下げられてしまうことにより、反対側の前端部分(図10の左端部分)に設けられた嵌合突部A1が、予定以上の位置まで上昇してしまうことなどで、第1コネクタAが相手方の第2コネクタBに対して想定外の角度以上に傾いて挿入される場合がある。このような状態では、第1コネクタAの前端部分に設けられた嵌合突部A1の下方部分が、相手方の第2コネクタB内に配置された導電コンタクトB1の先端部分に衝突してしまい、最悪の場合、相手方の第2コネクタBの導電コンタクトB1に対して座屈等の損傷を生じさせてしまうおそれがある。
【0007】
一方、従来の電気コネクタにおいて、絶縁ハウジングの幅方向両側の外方部分に嵌合用のガイド部を設けたものも提案されているが、そのような構成を採用すると、特に幅方向における寸法が増大してしまい、その結果、コネクタ全体が大型化してしまうという問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開平09−007716号公報
【特許文献2】特開平09−102361号公報
【特許文献3】特開2000−235880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、簡易な構成で、両コネクタどうしの特に初期嵌合力を軽減して円滑な嵌合操作を行うことができ、たとえ想定外の角度以上に傾いた状態で挿入される場合であっても、それら両コネクタどうしを円滑に嵌合させることができ、しかも小型化可能な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明では、絶縁ハウジングに設けられた嵌合突部の先端縁部分から相手方コネクタの内部に向かって挿入されることにより前記相手方コネクタとの嵌合が行われるように構成されたものであって、前記嵌合突部における厚さ方向の一方側表面に、導電コンタクトの端子電極部が多極状をなすように配置されているとともに、その端子電極部から先端側に向かって段差状をなすようにして延出する当該導電コンタクトの端子先端段差部が、前記嵌合突部の厚さ方向における他方側の表面を有する部分の内部側に埋設された構成を有する電気コネクタにおいて、前記嵌合突部の先端部分は、前記一方側表面から先端側に向かって延出して前記相手方コネクタを摺動案内する先端ガイド表面と、その先端ガイド表面から前記嵌合突部の厚さ方向における他方側の表面に向かって延在して前記導電コンタクトの端子先端段差部を埋設する埋設保持表面とが形成され、それら嵌合突部の表面を構成している前記先端ガイド表面及び埋設保持表面は、当該嵌合突部の厚さ方向において互いに異なる非対称な表面形状を有する構成になされている。
【0011】
このような構成を有する電気コネクタによれば、相手方コネクタに対して嵌合させる際に、絶縁ハウジングの嵌合突部に設けられた先端ガイド表面の案内作用によって、上記相手方コネクタに対して円滑に嵌合される。一方、嵌合突部の埋設保持表面が導電コンタクトの端子先端段差部の外方を覆うように形成されていることから、導電コンタクトの端子先端段差部において短絡等の問題を生じることがない。
【0012】
また本発明においては、図7に示されているように前記先端ガイド表面に、前記相手方コネクタの当接受部が摺動可能に接触するように構成されたものであって、前記先端ガイド表面が、前記相手方コネクタに対する嵌合方向に対して適宜の角度θ1をなして延在する略平坦面状の傾斜面から構成され、その先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1は、前記相手方コネクタの当接受部がなす角度θ2と同じか小さくなるように設定されていること(θ1≦θ2)が好ましい。
【0013】
このような構成を有する電気コネクタによれば、両コネクタどうしが予定の角度以上に傾いた状態で挿入されてしまっても、先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1が小さくなるように形成されているため、相手方コネクタの当接受部の傾斜面がなす角度θ2を越えない範囲において上記先端ガイド表面の相手方コネクタの当接受部に対する摺動性が向上し、衝突状態となることがなくなって両コネクタどうしが良好に嵌合されるようになっている。また、前記絶縁ハウジングの嵌合突部において先端ガイド表面の傾斜面が占める面積的な割合が増大されることからも両コネクタどうしの衝突の可能性が低減されるようになっている。
【0014】
このとき、本発明における前記先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1は、前記相手方コネクタに対する嵌合方向に対して45°未満となるように設定されていることが好ましい。
【0015】
このような構成を有する電気コネクタによれば、先端ガイド表面の傾斜面による相手方コネクタに対する案内作用が確実に得られる。
【0016】
また本発明における前記先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1は、前記導電コンタクトの端子先端段差部を外方に露出させることのないようにするための最小角度θminより大きく設定されていること(θmin<θ1)が好ましい。
【0017】
このような構成を有する電気コネクタによれば、先端ガイド表面の傾斜面を設けた場合においても、導電コンタクトの端子先端段差部が外方に露出することがないため、先端ガイド表面を確実に形成できると共に、導電コンタクトの端子先端段差部における短絡等の問題が確実に防止される。
【0018】
また本発明における前記相手方コネクタの当接受部は、当該相手方コネクタの絶縁ハウジングに片持ち状をなすように取り付けられた導電コンタクトの先端部分に設けられた構成とすることが可能である。
【0019】
このような導電コンタクトに座屈のおそれが強い構成に対して本願発明は特に有効である。
【0020】
また本発明における前記嵌合突部の埋設保持表面の形状は、前記相手方コネクタに対する嵌合方向と直交する側面視において略円弧形状をなすように形成されていることが好ましい。
【0021】
このような構成を有する電気コネクタによれば、埋設保持表面を含む嵌合突部の相手方コネクタに対する嵌合抵抗が軽減されることにより良好な嵌合性が得られるとともに、その嵌合突部を成形する金型における樹脂材の流動性が向上されることにより良好な成形性が得られる。
【0022】
また本発明における前記導電コンタクトの端子先端段差部には、当該端子先端段差部の先端部分に先端ガイド表面に沿って延在する面取部が形成されていることが好ましい。
【0023】
このような構成を有する電気コネクタによれば、嵌合突部を成形する金型における樹脂材の流動性が、先端ガイド表面と導電コンタクトの端子先端段差部との間において向上されることとなり、良好な成形性が得られる。
【0024】
また本発明における前記先端ガイド表面の傾斜面と前記埋設保持表面との境界部は、前記相手方コネクタの当接受部を前記先端ガイド表面に接触可能とする位置に配置されていることが望ましい。
【0025】
このような構成を有する電気コネクタによれば、先端ガイド表面の傾斜面による相手方コネクタに対する案内作用が確実に得られる。
【0026】
また本発明における前記相手方コネクタが実装された印刷配線基板の表面上に沿って略水平方向に嵌合される構成になされたものであって、前記相手方コネクタに対して前記嵌合突部の先端ガイド表面が接触した際に、前記印刷配線基板の表面上に滑動可能に接触する後方支持部が設けられている構成とすることが好ましい。
【0027】
このような構成を有する電気コネクタによれば、前方側の先端ガイド表面と後方支持部とによって、両コネクタどうしを嵌合させる際におけるコネクタの姿勢が印刷配線基板の表面に沿った安定した状態に維持されることとなり、両コネクタどうしが予定角度以上に傾くことが回避されることから、両コネクタどうしの嵌合がより良好に行われるようになっている。
【発明の効果】
【0028】
以上述べたように本発明にかかる電気コネクタは、絶縁ハウジングに設けた嵌合突部の先端部分の表面に、厚さ方向の一方側表面から先端側に向かって延出する先端ガイド表面を設けるとともに、その先端ガイド表面から嵌合突部の厚さ方向における他方側の表面に向かって延在する埋設保持表面を設け、それらの嵌合突部の表面を構成している先端ガイド表面及び埋設保持表面を、厚さ方向において互いに異なる非対称な表面形状とし、先端ガイド表面の案内作用によって相手方コネクタを円滑に嵌合させるとともに、嵌合突部の埋設保持表面により導電コンタクトの端子先端段差部の外方を覆うことにより導電コンタクトの端子先端段差部に短絡等の問題を生じないように構成したものであるから、簡易な構成で両コネクタどうしの特に初期嵌合力を軽減して円滑な嵌合操作を行うことができ、たとえ想定外の角度以上に傾いた状態で挿入される場合であっても、それら両コネクタどうしを円滑に嵌合させることができる。また、従来のように両端部分の外方に嵌合ガイド部を設ける必要がなくなることから、コネクタ全体の小型化が可能となり、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、複数本の同軸ケーブルを印刷配線基板側に接続する電気コネクタに本発明を適用した場合の実施形態に関する説明を図面に基づいて詳細に行う。
【0030】
まず、図1及び図2に表された本発明の一実施形態にかかる電気コネクタの組立体は、同軸ケーブルSCの端末部分が連結されたプラグコネクタ1と、図示を省略した印刷配線基板上に実装されるリセプタクルコネクタ2とからなる水平嵌合型のコネクタ組立体を構成している。すなわち、相手方コネクタとしてのリセプタクルコネクタ2に対して、本発明を適用したプラグコネクタ1が略水平方向に対向配置された状態で、印刷配線基板(図2中の二点鎖線参照)の表面に沿って上記プラグコネクタ1が近接するように移動され、図3のようにリセプタクルコネクタ2の嵌合部にプラグコネクタ1の嵌合部が差し込まれるようにして当該両コネクタ1,2どうしの嵌合が行われるようになっている。
【0031】
このように本実施形態では、プラグコネクタ1を差し込む方向、及びその反対方向に抜き出す方向は、印刷配線基板の表面が延在する方向にほぼ一致しているが、以下において印刷配線基板の表面が延在する方向を水平方向とし、それに直交する方向を上下方向とする。また、プラグコネクタ1においては、当該プラグコネクタ1を相手方のリセプタクルコネクタ2に差し込む方向を前方向とし、その反対方向に抜き出す方向を後方向とする。また、相手方のリセプタクルコネクタ2においては、当該リセプタクルコネクタ2から上記プラグコネクタ1を抜き出す方向を前方向とし、その反対方向を後方向とする。
【0032】
ここで、図4及び図5にも示されているように前記プラグコネクタ1の後方側の端縁部(以下、後端縁部という。)には、多極状に並列するように配列された複数本の同軸ケーブルSCの端末部分が連結されている。その同軸ケーブルSCの端末部分には、被覆材が皮剥きされることによってケーブル中心導体(信号線)SCa及びケーブル外部導体(シールド線)SCbが同軸状をなすように露出されており、当該同軸ケーブルSCの中心軸線に沿うようにして配置されたケーブル中心導体SCaが、後述するプラグコネクタ1における信号伝送用の導電コンタクト(導電端子)に接続されることによって信号回路が構成されるようになっている。
【0033】
また、上記ケーブル中心導体SCaの外周側を取り囲むように配置されたケーブル外部導体SCbは、グランド部材を構成している上部グランドバーGUと下部グランドバーGDとの間において上下に挟持されるように配置されており、半田付けやカシメや圧接等により接続されることによりグランド回路が構成されるようになっている。これら上部グランドバーGU及び下部グランドバーGDは、多極配列方向に沿って長尺状に延在する細長の帯板状部材から形成されており、上述した同軸ケーブルSCの多極配列されたケーブル外部導体(シールド線)SCbの上下各面に沿うように載置された状態で長尺状の半田材等を用いて一括接続されている。これらの両グランドバーGU,GDは、後述する導電性シェル等を介してグランド接続される構成になされている。
【0034】
一方、前記両コネクタ、すなわちプラグコネクタ1及びリセプタクルコネクタ2は、細長状の絶縁部材から形成された絶縁ハウジング11,21をそれぞれ備えている。それらの絶縁ハウジング11,21には、長手方向(図2の紙面垂直方向)に沿って多数の導電コンタクト(導電端子)12,22が適宜のピッチ間隔で多極配列されている。図2に表された各導電コンタクト12,22は、信号伝送用として構成されたものであるが、グランド接続用に構成することも可能である。これら複数体の導電コンタクト12,22の各々は、上述した多極配列方向(コネクタ長手方向)に隣接するものどうしが略同一の材質によって略同一の形状をなすように形成されており、絶縁ハウジング11,21に対して例えばインサート成形によって埋設された状態にて配置されている。
【0035】
上述した両コネクタ1,2に設けられた各絶縁ハウジング11,21のうち、プラグコネクタ1側に設けられた絶縁ハウジング11は、当該プラグコネクタ1の内部側に配置された本体支持部11aと、その本体支持部11aから前方外方に向かって延出する嵌合突部11bとを一体的に備えている。そして、上記絶縁ハウジング11の本体支持部11aの上表面には、前記導電コンタクト12の後方側部分、及び上述した同軸ケーブルSCとの接続構成部分が配置されている。また、上記絶縁ハウジング11の嵌合突部11bの上表面には、前記導電コンタクト12の前方側部分を構成している端子電極部12aが、適宜のピッチをもって多極状をなすように配置されている。
【0036】
すなわち、上述したプラグコネクタ1側に設けられた導電コンタクト12は、前記絶縁ハウジング11の上表面に沿って略水平に延在するように配置されており、その延在方向の途中部位に設けられた段差部より後方側に延在する後方側延在部分が、前記絶縁ハウジング11の本体支持部11aの上表面側に配置されている。この導電コンタクト12の後方側延在部分には、前述した同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが上方側から載置するように当接された状態で半田接合されている。この複数体のケーブル中心導体SCaと導電コンタクト12との半田接合も一括的に行われる。
【0037】
一方、上述した導電コンタクト12の段差部より前方側に延在している前方側延在部分を構成している端子電極部12aは、前記絶縁ハウジング11の前端部分を構成するように設けられた嵌合突部11bの上表面に配置されている。その導電コンタクト12の前方側延在部分には、上述したリセプタクルコネクタ2側に対して電気的に接触される接点凹部12cが設けられている。
【0038】
ここで、上述した絶縁ハウジング11の前方側に突出するように設けられた嵌合突部11bは、当該絶縁ハウジング11の前端部分を構成する薄厚平板状部材からなり、両コネクタ1,2どうしを嵌合させる際に、相手方コネクタであるリセプタクルコネクタ2に対して最初に挿入される部分となっている。そして、その嵌合突部11bの前端部分には、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合の円滑化を図るための先端ガイド表面11dが設けられている。この先端ガイド表面11dは本発明の要旨となるものであり、その詳細な構成については後段において説明することとする。
【0039】
一方、前記プラグコネクタ1及びリセプタクルコネクタ2の各絶縁ハウジング11,21における上下両表面は、導電性シェル14及び24によりそれぞれ覆われている。これらの導電性シェル14,24は、薄板状金属部材を適宜の形状に折曲形成したものであって、各コネクタにシールド性を持たせるとともに、グランド回路の一部を構成するように装着されている。このグランド回路を構成する導電性シェル14及び24は、前記両コネクタ1,2どうしを嵌合させる際において最初に電気的な接続が行われる部分である。なお、両コネクタ1,2どうしを嵌合させる際に最初に挿入される部分は、上述したように絶縁ハウジング11の前端部分に設けられた嵌合突部11bである。
【0040】
プラグコネクタ1側に設けられた導電性シェル14は、前述した同軸ケーブルSCに対して両グランドバー(グランド部材)GU,GDが半田接合された後に、前記絶縁ハウジング11に対して上下両側から被せるようにして装着されているが、本実施形態における導電性シェル14の下半側部分は、インサート成形により絶縁ハウジング11と一体的に成形されている。この導電性シェル14の上面側には、多極配列方向であるコネクタ長手方向に沿って複数体のグランド接続舌片14aが切欠き形成されている。それらの各グランド接続舌片14aは、片持ちの板バネ状をなして斜め下方側に延在するように切り起こされており、前述した上部グランドバーGUの上面側に対して半田接合又は弾性接触されている。
【0041】
また、前記導電性シェル14の上面側における後端縁部分には、押圧突起部14bが内部側に向かって折り曲げるように形成されており、上述したようにして導電性シェル14の装着が行われたときに、当該押圧突起部14bが同軸ケーブルSCの絶縁被膜に対して上方側から押圧接触されるようになっている。
【0042】
これに対して、他方側のリセプタクルコネクタ2に設けられた導電性シェル24には、コネクタ長手方向の両端部分及び前後両端部分の各々に、外方側に向かって突出するように折り曲げ形成されたホールドダウン24aがそれぞれ設けられている。それらの各ホールドダウン24aは、前記印刷配線基板(図示省略)上に形成されたグランド導電路(図示省略)に対して半田接合され、それによってグランド回路の電気的な接続が行われるとともに、リセプタクルコネクタ2の全体が強固に固定されるようになっている。
【0043】
また、上記リセプタクルコネクタ2の絶縁ハウジング21に装着された導電コンタクト(導電端子)22は、その後端部分(図2の左端部分)に側面略逆L字状をなす半田接続部22aが設けられている。この半田接続部22aは、実際の使用時に前述した印刷配線基板(図2及び図3中の二点鎖線参照)上の信号導電路又はグランド導電路に載置されてから一括的に半田接合される。
【0044】
さらに、上記導電コンタクト(導電端子)22は、上述した後端側の半田接続部22aから前方に向かって片持ち状をなすように延出している。より具体的には、当該導電コンタクト22は、前記後端側半田接続部22aから略垂直上方に立ち上げられており、その立ち上がり上端部から前方側(図2の右方側)に向かって片持ち状に延在している。そして、その導電コンタクト22の前方側先端部分に、下方側に向かって逆山形状に張り出す接点凸部22bが設けられている。この導電コンタクト22に設けられた接点凸部22bは、上述したプラグコネクタ1に対する当接受部を構成するように設けられたものであって、当該接点凸部(当接受部)22bの下端側頂部は、前述したようにプラグコネクタ1がリセプタクルコネクタ2に嵌合されたときに、プラグコネクタ1側の導電コンタクト12に設けられた接点凹部12cに対してバネ弾性的に接触されるように構成されている。このような接触関係によって前記両接点部12c,22bどうしの電気的な接続が行われるようになっている。
【0045】
ここで、プラグコネクタ1側の接点凹部12cが設けられている導電コンタクト12の前方側延在部分には、端子電極部12aが多極状をなすようにして配置されているが、それらの端子電極部12aは、上述した絶縁ハウジング11の嵌合突部11bにおける一方側表面、すなわち当該嵌合突部11bの厚さ方向における上部側表面に配置されている。さらに、その導電コンタクト12の端子電極部12aから先端側(図5左方側)に向かう部位に、端子先端段差部12bが段差状をなすように延出している。この端子先端段差部12bは、下方側に一段だけ折り曲げられて先端側に延出する形状を有しており、前述した絶縁ハウジング11に設けられた嵌合突部11bの先端部分の内部側に埋設された構成になされている。
【0046】
ここで、前記絶縁ハウジング11に設けられた嵌合突部11bの先端部分(図5の左端部分)には、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合の円滑化を図るための先端ガイド表面11dが、当該嵌合突部11bの厚さ方向における上側表面(一方側表面)に形成されている。また、その先端ガイド表面11dから下方側に向かっての部位には、前記嵌合突部11bの厚さ方向における下方側表面(他方側表面)との間を結ぶように埋設保持表面11eが形成されている。
【0047】
このような嵌合突部11bの先端部分(図5の左端部分)を構成している表面形状のうちの前記先端ガイド表面11dは、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合時に、相手方コネクタとしてのリセプタクルコネクタ2の導電コンタクト22に接触する略平坦面状の傾斜面から構成されている。特に図7及び図8に示されているように、当該プラグコネクタ1側に設けられた先端ガイド表面11dの傾斜面は、前記リセプタクルコネクタ2側の導電コンタクト22の接点凸部(当接受部)22bを形成している前端側(図7の右端側)の傾斜面に接触するように配置されている。このようにプラグコネクタ1側の先端ガイド表面11dとリセプタクルコネクタ2側の接点凸部22bとが接触可能な配置関係になされていることによって、リセプタクルコネクタ2側の接点凸部22bがプラグコネクタ1側の先端ガイド表面11d上に摺動案内されることとなり、それによって上記両コネクタ1,2どうしが円滑に嵌合されていくようになっている。
【0048】
上述したように、プラグコネクタ1の前端部分に設けられた先端ガイド表面11dを構成している略平面状の傾斜面は、前記絶縁ハウジング11における嵌合突部11bの上部側表面(一方側表面)を形成するように設けられていて、当該嵌合突部11bの上半側部分を斜め直線状に面取りするようにして前記先端ガイド表面11dが設けられている。その先端ガイド表面11dは、当該先端ガイド表面11dが最も前方側(図7の左方側)に突出している下端縁部aから、後方(図7の右方)に向かって斜め上方に延在する傾斜面から構成されている。この先端ガイド表面11dの下端縁部aは、当該先端ガイド表面11dが上述したようにリセプタクルコネクタ2側の接点凸部22bに対して接触可能となるような位置に設定されている。
【0049】
このとき、上述した先端ガイド表面11dを構成している略平面状の傾斜面は、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合方向、つまり水平方向に対して角度θ1をなすように形成されている。この先端ガイド表面11dの傾斜面の設定角度θ1は、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合方向である水平方向に対して45°未満の角度に設定されていて、例えば40°に設定されている。また、その先端ガイド表面11dの傾斜面がなす角度θ1は、前記導電コンタクト12の端子先端段差部12bを外方に露出させることのないようにするための最小角度θminより大きく設定されていること(θmin<θ1)が好ましい。
【0050】
すなわち、前記先端ガイド表面11dにおいて最も後方側(図7の右方側)に位置している上端縁部bは、上述した導電コンタクト12の端子先端段差部12bの上方側に位置するように配置されており、そのような配置関係によって当該端子先端段差部12bの全体が、前記絶縁ハウジング11の嵌合突部11bの内部に埋設された状態に維持されるようになっている。そして、その先端ガイド表面11dの上端縁部bは、前記導電コンタクト12の端子先端段差部12bと端子電極部12aとの境界点b’を後方側における限界位置に設定されている。そのような境界点b’よりも後方側に上端縁部bを配置すると、前記導電コンタクト12の端子先端段差部12bが外部に露出されてしまうからである。そして、その境界点b’と、上述した先端ガイド表面11dの下端縁部aとを結んだ傾斜線が、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合方向である水平方向に対してなす角度が、前記最小角度θminとなる。
【0051】
また、そのように先端ガイド表面11dの傾斜面がなす角度θ1が、最小角度θminより大きく設定されていること(θmin<θ1)によって、当該先端ガイド表面11d及び嵌合突部11bを成形する金型における樹脂の充填性が良好に維持されることとなる。
【0052】
さらに、同じく前記嵌合突部11bの樹脂成形性を考慮して、導電コンタクト12の端子先端段差部12bには、当該端子先端段差部12bの先端部分に、傾斜面からなる面取部12dが形成されている。この面取部12dを構成している傾斜面は、上述した先端ガイド表面11dの傾斜面とほぼ平行に沿って延在する略平坦面状をなすように形成されており、当該端子先端段差部12bの面取部12dと、前記嵌合突部11bにおける先端ガイド表面11dとの間部分において、樹脂材の流動性が良好に維持されるようになっている。
【0053】
また、上述したようにリセプタクルコネクタ2側の導電コンタクト22には、プラグコネクタ1側に設けられた先端ガイド表面11dの傾斜面が接触する接点凸部(当接受部)22bが設けられているが、その接点凸部22bには、前記両コネクタ1,2どうしの嵌合方向である水平方向に対して、角度θ2をなす傾斜面が形成されている。そして、本発明においては、前記プラグコネクタ1側に設けられた先端ガイド表面11dの傾斜面における角度θ1が、リセプタクルコネクタ2側に設けられた導電コンタクト22の接点凸部(当接受部)22bの傾斜面における角度θ2と同じか小さくなるように設定されている(θ1≦θ2)。
【0054】
一方、上述した先端ガイド表面11dの下端縁部aからさらに下方側に繋がっている下部側表面、つまり本発明でいう他方側表面を構成している埋設保持表面11eは、前記先端ガイド表面11dを構成している傾斜面とは異なる表面形状を有するように形成されている。すなわち、この前記嵌合突部11bの埋設保持表面11eは、導電コンタクト12の端子先端段差部12bを良好に埋設させると同時に、当該嵌合突部11bを成形するための金型における樹脂充填性を考慮した表面形状になされていて、前述した先端ガイド表面11dとは、嵌合突部11bの厚さ方向において異なる非対称な表面形状を有している。
【0055】
より具体的には、上記埋設保持表面11eは、相手方コネクタであるリセプタクルコネクタ2に対する嵌合方向と直交する側面視において略円弧形状の一部をなすように形成されていて、同じく嵌合方向と直交する方向(厚さ方向)に関して、前記嵌合突部11bの上部側表面(一方側表面)を形成している先端ガイド表面11dの傾斜面と、残りの下部側表面(他方側の表面)を形成している略円弧形状の埋設保持表面11eとは、前記両コネクタ1,2の嵌合方向と直交する厚さ方向において互いに異なる非対称な表面形状を有するように形成されている。
【0056】
一方、本実施形態にかかるプラグコネクタ1は、前述したように相手方コネクタとしてのリセプタクルコネクタ2が実装された印刷配線基板(図示二点鎖線参照)の表面上に沿って嵌合される構成になされているが、当該プラグコネクタ1に装着された導電性シェル14の底面側後端部分には、前記印刷配線基板の表面上に対して滑動可能に接触する後方支持部14cが複数箇所にわたって設けられている。この後方支持部14cは、プラグコネクタ1の後端部分を当該後方支持部14cの高さ分だけ上方に持ち上げる機能を有している。
【0057】
すなわち、上述したようにリセプタクルコネクタ2の導電コンタクト22の接点凸部22bの下方側に対向する導電性シェル14の内部側底面上に、前記プラグコネクタ1の嵌合突部11bの下面が接触した際に、印刷配線基板の表面上に対して後方支持部14cが滑動可能に接触することによって、プラグコネクタ1の全体が、印刷配線基板の表面に沿って略水平に維持される構成になされている。本実施形態にかかる後方支持部14cは、特に図6に示されているように、前記導電性シェル14の長手方向(図6の左右方向)における両端部分及び中央部分にそれぞれ2個ずつ計4個のものが配置されており、例えば当該導電性シェル14を構成している金属板を上方側から反対側の下方側に向かって窪ますことによって底面部から凸状をなすようにした、いわゆるディンプル形状として形成することが可能である。
【0058】
このような構成を有する本実施形態によれば、相手方コネクタであるリセプタクルコネクタ2に対してプラグコネクタ1を嵌合させる際に、プラグコネクタ1における絶縁ハウジング11の嵌合突部11bの上半側に設けられた先端ガイド表面11dの案内作用によって、上記リセプタクルコネクタ2に設けられた接点凸部(当接受部)22bが良好に摺動され、それによって両コネクタ1,2どうしが円滑に嵌合されていく。また、プラグコネクタ1の嵌合突部11bの上半側に設けられた埋設保持表面11eが、導電コンタクト12の端子先端段差部12bの外方を覆うように形成されていることから、その導電コンタクト12の端子先端段差部12bに短絡等の問題を生じることがない。
【0059】
また、両コネクタ1,2どうしを嵌合させる際に、両コネクタ1,2どうしが予定の角度以上に傾いた状態で挿入されてしまっても、プラグコネクタ1側に設けられた先端ガイド表面11dの傾斜面がなす角度θ1が小さくなるように形成されているために、上記先端ガイド表面11dは、相手方リセプタクルコネクタ2の導電コンタクト22に設けられた接点凸部(当接受部)22bに対して衝突状態となることがなくなり、両者が円滑に摺動することによって両コネクタ1,2どうしも良好に嵌合されるようになっている。このような両コネクタ1,2どうしの良好な嵌合状態は、それら両コネクタ1,2どうしの傾きによって、プラグコネクタ1側の先端ガイド表面11dの傾斜角度θ1が相手方リセプタクルコネクタ2側の接点凸部(当接受部)22bの傾斜角度θ2を越えない範囲において維持される。
【0060】
このとき、本実施形態においては、前記先端ガイド表面11dの傾斜面がなす角度θ1は、相手方コネクタであるリセプタクルコネクタ2に対する嵌合方向に対して45°未満の例えば40°に設定されていることから、先端ガイド表面11dの傾斜面によるリセプタクルコネクタ2に対する案内作用が確実に得られるようになっている。
【0061】
また、前記絶縁ハウジング11の嵌合突部11bにおいて先端ガイド表面11dの傾斜面が占める面積的な割合、例えば図7における高さ寸法hが従来よりも増大されることからも、上記両コネクタ1,2どうしの衝突の可能性が低減され、当該両コネクタ1,2どうしが良好に嵌合されるようになっている。
【0062】
また本実施形態では、前記先端ガイド表面11dの傾斜面がなす角度θ1が、導電コンタクト12の端子先端段差部12bを外方に露出させることのないようにするための最小角度θminより大きく設定されていることから(θmin<θ1)、先端ガイド表面11dの傾斜面を設けた場合においても、導電コンタクト12の端子先端段差部12bが外方に露出することがないため、先端ガイド表面11dを確実に形成できると共に、導電コンタクト12の端子先端段差部11bにおける短絡等の問題が確実に防止されるようになっている。
【0063】
さらに本実施形態においては、印刷配線基板の表面上に滑動可能に接触する後方支持部14cが設けられていることから、前方側の先端ガイド表面11dと当該後方支持部14cとによって、両コネクタ1,2どうしを嵌合させる際におけるコネクタ全体の姿勢が印刷配線基板の表面に沿った安定した状態に維持されることとなり、両コネクタ1,2どうしが予定角度以上に傾くことが回避されることから、両コネクタ1,2どうしの嵌合がより良好に行われるようになっている。
【0064】
さらにまた本実施形態においては、相手方リセプタクルコネクタ2の接点凸部(当接受部)22bが、当該リセプタクルコネクタ2の絶縁ハウジング21に片持ち状をなすように取り付けられた導電コンタクト22の先端部分に設けられているが、本発明は、このような導電コンタクト22に座屈のおそれが強い構成に対して特に有効である。
【0065】
また本実施形態においては、絶縁ハウジング11における嵌合突部11bの下部側表面を構成している埋設保持表面11eの表面形状が、相手方リセプタクルコネクタ2に対する嵌合性、及び当該嵌合突部11bを成形する金型における樹脂充填性を考慮して側面略円弧形状をなすように形成されていることから、先端ガイド表面11d及び埋設保持表面11eを含む嵌合突部11b全体の相手方リセプタクルコネクタ2に対する嵌合抵抗が軽減されることにより良好な嵌合性が得られるとともに、その嵌合突部11bを成形する金型における樹脂材の流動性が向上されることにより良好な成形性が得られ、嵌合突部11bの全体が良好かつ容易に製造されるようになっている。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、絶縁ハウジング11の嵌合突部11bにおける上側表面を厚さ方向の一方側表面としており、その嵌合突部11bの上側表面に導電コンタクト12の端子電極部12aを配置することとしているが、それとは反対に、嵌合突部11bの下側表面を一方側表面として端子電極部を配置することによって、いわゆる下側接点とすることも可能である。
【0068】
また上述した実施形態では、プラグコネクタ1の導電性シェル14に後方支持部14cが設けられているが、絶縁ハウジング11の底面部に同様な形状のものを設けることも可能である。
【0069】
さらに上述した実施形態は、先端ガイド表面11dを絶縁ハウジング11のみで形成しているが、導電コンタクト12の一部を含むように構成しても良い。
【0070】
さらにまた上述した実施形態は、水平嵌合型の電気コネクタに本実施形態を適用したものであるが、垂直嵌合型の電気コネクタに対しても同様に適用することができる。
【0071】
さらに本発明は、上述した実施形態のような同軸ケーブル用コネクタに限定されることはなく、絶縁ケーブル用コネクタや、同軸ケーブルと絶縁ケーブルとが複数混合したタイプの電気コネクタや、フレキシブル配線基板等が連結される電気コネクタ、プリント基板同士を接続する基板対基板コネクタ等についても同様に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように本実施形態は、各種電気機器に使用される多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態におけるプラグコネクタを、相手方のリセプタクルコネクタに対して嵌合したコネクタ組立体の外観斜視説明図である。
【図2】図1中のII−II線に沿った横断面説明図である。
【図3】図1に示されたコネクタ組立体の嵌合途中の状態を表した図2相当の横断面説明図である。
【図4】図1に示されたコネクタ組立体のプラグコネクタを単独で表した外観斜視説明図である。
【図5】図4中のV−V線に沿った横断面説明図である。
【図6】図4及び図5に表されたプラグコネクタの底面説明図である。
【図7】図1〜図5に表されたプラグコネクタにおける本発明の要部である先端ガイド表面を拡大して表した側面説明図である。
【図8】図7に表されたプラグコネクタにおける先端ガイド表面の機能を説明した側面拡大説明図である。
【図9】従来の電気コネクタにおける嵌合状態の一例を拡大して表した横断面説明図である。
【図10】従来の電気コネクタにおいて傾いた状態で嵌合された場合の一例を表した横断面説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1 プラグコネクタ
11 絶縁ハウジング
11a 本体支持部
11b 嵌合突部
11d 先端ガイド表面(一方側表面)
a 先端ガイド表面の下端縁部
b 先端ガイド表面の上端縁部
b’端子先端段差部と端子電極部との境界点
11e 埋設保持表面(他方側の表面)
12 導電コンタクト(導電端子)
12a 端子電極部
12b 端子先端段差部
12c 接点凹部
12d 面取部
14 導電性シェル
14a グランド接続舌片
14b 押圧突起部
14c 後方支持部
2 リセプタクルコネクタ
21 絶縁ハウジング
22 導電コンタクト(導電端子)
22a 半田接続部
22b 接点凸部(当接受部)
24 導電性シェル
24a ホールドダウン
SC 同軸ケーブル
SCa ケーブル中心導体(信号線)
SCb ケーブル外部導体(シールド線)
GU 上部グランドバー
GD 下部グランドバー
θ1 先端ガイド表面の傾斜角度
θ2 接点凸部(当接受部)の傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ハウジングに設けられた嵌合突部の先端縁部分から相手方コネクタの内部に向かって挿入されることにより前記相手方コネクタとの嵌合が行われるように構成されたものであって、
前記嵌合突部における厚さ方向の一方側表面に、導電コンタクトの端子電極部が多極状をなすように配置されているとともに、その端子電極部から先端側に向かって段差状をなすようにして延出する当該導電コンタクトの端子先端段差部が、前記嵌合突部の厚さ方向における他方側の表面を有する部分の内部側に埋設された構成を有する電気コネクタにおいて、
前記嵌合突部の先端部分には、前記一方側表面から先端側に向かって延出して前記相手方コネクタを摺動案内する先端ガイド表面と、その先端ガイド表面から前記他方側の表面に向かって延在して前記導電コンタクトの端子先端段差部を埋設する埋設保持表面と、が形成され、
それら嵌合突部の表面を構成している前記先端ガイド表面及び埋設保持表面は、当該嵌合突部の厚さ方向において互いに異なる非対称な表面形状を有するように形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記先端ガイド表面に、前記相手方コネクタの当接受部が摺動可能に接触するように構成されたものであって、
前記先端ガイド表面が、前記相手方コネクタに対する嵌合方向に対して適宜の角度θ1をなして延在する略平坦面状の傾斜面から構成され、
その先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1は、前記相手方コネクタの当接受部がなす角度θ2と同じか小さくなるように設定されていること(θ1≦θ2)を特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1は、前記相手方コネクタに対する嵌合方向に対して45°未満となるように設定されていることを特徴とする請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記先端ガイド表面の傾斜面がなす角度θ1は、前記導電コンタクトの端子先端段差部を外方に露出させることのないようにするための最小角度θminより大きく設定されていること(θmin<θ1)を特徴とする請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記相手方コネクタの当接受部は、当該相手方コネクタの絶縁ハウジングに片持ち状をなすように取り付けられた導電コンタクトの先端部分に設けられていることを特徴とする請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記嵌合突部の埋設保持表面の形状は、前記相手方コネクタに対する嵌合方向と直交する側面視において略円弧形状をなすように形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記導電コンタクトの端子先端段差部には、当該端子先端段差部の先端部分に前記先端ガイド表面に沿って延在する面取部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記先端ガイド表面の傾斜面と前記埋設保持表面との境界部は、前記相手方コネクタの当接受部を前記先端ガイド表面に接触可能とする位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記相手方コネクタが実装された印刷配線基板の表面上に沿って略水平方向に嵌合される構成になされたものであって、
前記相手方コネクタに対して前記嵌合突部の先端ガイド表面が接触した際に、前記印刷配線基板の表面上に滑動可能に接触する後方支持部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−62072(P2010−62072A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228400(P2008−228400)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(394009278)株式会社アイペックス (148)
【Fターム(参考)】