説明

電気ミキサー

【課題】パッキングをミキサー容器とカッター台との間にのみ挿入することを確実にし、誤挿入を防止する電気ミキサーを提供する。
【解決手段】1はミキサー本体、2は容器台、3はカッター、5は液漏れ防止用のパッキング、6はミキサー容器、7は容器蓋、8はベアリング支持部、9はカッター台のフランジ、10は容器台2の内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部、11は電動機である。パッキング5の内寸よりカッター台の下面の寸法を大きくしたことにより、パッキング5の誤挿入時不安定となり、図において、液漏れ防止用のパッキング5はカッター台のフランジ9の上に正しく載置され、カッター台とミキサー容器6との間に確実に挿入されネジ込み締め付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気ミキサーに関し、特に電気ミキサーの液漏れパッキン誤挿入防止に関する。
【背景技術】
【0002】
電気ミキサーは、図1に示すように、本体1の上に容器台2を載置し、更に容器台2に容器蓋7を有するミキサー容器6をネジ込んで組み立てられる。通常、ミキサー容器6と容器台2が取り外しできるようになっていて容器内の調理物を注ぎ出出すことができる共に、ミキサー容器6を洗浄することができる。このようなタイプのミキサーでは、容器台2の内部の汚れを掃除したい場合、隅々まで容易に掃除を行なうことができなかった。そのために、図2のように、ミキサー容器6とカッター台4と容器台2とに分離できるようにしておき、それぞれのカッター台のフランジ9の上にパッキング5,環状棚部10の上にパッキング5’を介してネジ構造により締め付け、かつ3分割できる構成としたものが知られている。
【0003】
その一例として、ミキサー容器とカッター台と容器台とをそれぞれネジ構造により3分割できる構成とし、カッター台と容器台との間に第1パッキングを、ミキサー容器とカッター台との間に第2パッキングを設けて、液漏れを防ぐものは公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ミキサー容器とカッター台と容器台とをそれぞれネジ構造により3分割できる構成のもので、ミキサー容器とカッター台との間にのみ1つのパッキングを設けて、液漏れを防ぐものも公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このように、ミキサー容器とカッター台との間にのみ1つのパッキングを設けて、液漏れを防ぐタイプのものはパッキングが1つで済むので部品構成上簡単であるが、分解後の組立時にパッキングをカッター台と容器台との間に誤って挿入して締め付けてしまい、その結果、ミキサー容器からの液漏れを生じることがあった。
【0006】
図3を参照して、誤ってパッキングが挿入され設置された一例を次に説明する。1はミキサー本体、2は容器台、3はカッター、5’は液漏れ防止用のパッキング、6はミキサー容器、7は容器蓋、8はベアリング支持部、9はカッター台のフランジ、10は容器台2の内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部、11は電動機である。図において、液漏れ防止用のパッキング5’はカッター台のフランジ9と容器台2の環状棚部10との間に誤って挿入され締め付けられている。
【特許文献1】特開昭63−77527号公報
【特許文献2】特開2000−210206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ミキサー容器とカッター台との間にのみ1つのパッキングを設けて、液漏れを防ぐタイプのものはパッキングが1つで済むので部品構成上簡単であるが、分解後の組立時にパッキングをカッター台と容器台との間に誤って挿入して締め付けてしまい、その結果、ミキサー容器からの液漏れや連結部品の破損を生じることがあった。そこで本発明は、分解後の組立時にパッキングをミキサー容器とカッター台との間にのみ正しく挿入することを確実にし、誤挿入を防止することができる電気ミキサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る電気ミキサーは、電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、分解後の組立時に前記パッキングをミキサー容器とカッター台との間にのみ確実に挿入する手段を設けた構成とした。
【0009】
本発明の請求項2に係る電気ミキサーは、電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、前記パッキングの内寸よりカッター台の下面の寸法を大きくした構成とした。
【0010】
こうして、ミキサー容器とカッター台とを分解後の組立時にパッキングをミキサー容器とカッター台との間にのみ正しく挿入することを確実にし、パッキングの組込み間違いを防止し、組み込み間違いによる液漏れを防止すると共に、組み込み間違いによる連結部品の破損を防止できるものである。
【0011】
本発明の請求項3に係る電気ミキサーは、電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、前記環状棚部の脚部と接触し、前記カッター台の側方で垂直方向に延びる複数の弾性を有する嵌合用の爪を設けた構成とした。
【0012】
本発明の請求項4に係る電気ミキサーは、電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、前記環状棚部の脚部と接触し、前記カッター台の側方で垂直方向に延びる複数の弾性を有する嵌合用の爪を設け、嵌合用の爪の下方部の外方に突起部を形成した構成とした。
【0013】
こうして、環状棚部の脚部が無理に押し込まれると嵌合用の爪を内側に押し、嵌合用の爪はその弾力により反発し外方の力を発生し、脚部に上向きの分力を生じて、操作者に動作の違和感を伝えることになり、パッキングの位置が間違っていることを認識させることができる。この結果、組立て間違いに気づき、ミキサー容器6からの液漏れや連結部品の破損を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明の電気ミキサーは、ミキサー容器とカッター台とを分解後の組立時にパッキングをミキサー容器とカッター台との間にのみ正しく挿入することを確実にし、パッキンの組込み間違いを防止し、組み込み間違いによる液漏れを防止すると共に、組み込み間違いによる連結部品の破損を防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の電気ミキサーの実施形態について図を参照して説明する。図4、図5は本発明の第1の実施形態であり、図6、図7は本発明の第2の実施形態である。
【0016】
次に、本発明の電気ミキサーの第1の実施形態を説明する。図4はカッター台とミキサーの容器台及び漏れ防止用パッキングの断面図であり、図4(A)は従来のパッキング誤挿入状態図、図4(B)は本発明のパッキング挿入状態図である。図5は漏れ防止用パッキングが正常に挿入された本発明の電気ミキサーの組立図である。
【0017】
図4(A)では、容器台の環状棚部上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定する電気ミキサーにおいて、パッキング5の内寸の方がカッター台4の下面の寸法より大きいため、ベアリング支持部8のフランジ9上にパッキング5を載置する、正常な状態と同様に、容器台2の環状棚部10上にパッキング5’が誤って載置されるため、どちらの場合でもミキサー容器6をネジ込むことができることになる。この結果、組立て間違いに気づくことなく、ミキサー容器からの液漏れや連結部品の破損を生じることになる。
【0018】
これに対し、本発明の電気ミキサーでは、図4(B)に示すように、パッキングの内寸よりカッター台の下面の寸法を大きくしたことにより、ベアリング支持部8のフランジ9上にパッキング5を載置する正常な状態では問題ないが、容器台2の環状棚部10上にパッキング5’に誤って載置されたとしても、パッキング5’の上にカッター台4の下面が乗ることになり、カッター台4が正しく位置されることはない。従って、ミキサー容器6を正常にネジ込むことができない。この結果、組立て間違いに気づき、ミキサー容器6からの液漏れや連結部品の破損を防止できる。
【0019】
次に正常にパッキングが挿入され設置された例を図5に示す。1はミキサー本体、2は容器台、3はカッター、5は液漏れ防止用のパッキング、6はミキサー容器、7は容器蓋、8はベアリング支持部、9はカッター台のフランジ、10は容器台2の内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部、11は電動機である。図において、液漏れ防止用のパッキング5はカッター台のフランジ9の上に正しく載置され、カッター台とミキサー容器6との間に確実に挿入されネジ込み締め付けられている。
【0020】
次に、本発明の電気ミキサーの第2の実施形態を図6、図7に示す。図において、図3、図5のものと同一物には同じ符号を付している。図6は正常にパッキングが挿入され本発明の電気ミキサーの断面図、図7は誤ってパッキングが挿入された本発明の電気ミキサーのカッター台と容器台の断面図である。
【0021】
図6の実施態様では、フランジ9の内側にカッター台と容器台4との組合せ時の嵌合用の爪14が設けられている。この部分を図7(B)に拡大すると、嵌合用の爪14はカッター台の側方で垂直方向に延びる弾性を有する爪であり、嵌合用の爪14はフランジ9の内側に複数個配置されている。また、爪14の下方部の外方に突起部15が形成されている。一方、環状棚部10には内向きに脚部13が形成されていて、これら嵌合用の爪14は環状棚部10の脚部13とは接触している。
【0022】
そして、これら嵌合用の爪14の突起部15と環状棚部10の脚部13は、フランジ9上にパッキング5が正常に挿入されている時には、相互に係合して位置決めの仮止めの役目を果たしている。
【0023】
次に、図7(A)において、容器台2の環状棚部10上にパッキング5’が誤って載置された場合の状態について説明する。容器台2の環状棚部10上にパッキング5’が誤って載置された状態で、ミキサー容器6を容器台2にネジ込むと、環状棚部10の脚部13が無理に押し込まれて嵌合用の爪14の突起部15を内側に圧迫して、嵌合用の爪14を内側に押し、嵌合用の爪14はその弾力により反発し外方の力を発生し、その結果、脚部13に上向きの分力を生じて、カッター台が不安定になって、操作者に動作の違和感を伝えることになり、パッキングの位置が間違っていることを認識させることができる。この結果、組立て間違いに気づき、ミキサー容器6からの液漏れや連結部品の破損を防止できる。
【0024】
電気ミキサーの使用後の処置として、ミキサー容器内の洗浄は欠かせないことである。ミキサー容器と容器台を分離して手作業で洗浄することも一つの方法であるが、より簡便なミキサー容器内の洗浄方法としては、従来は容器に水又はぬるま湯を入れ、中性洗剤を少量加え数十秒運転する方法や、電動機を中性洗剤を少量加え低速回転で運転する方法(特開2003−135289号公報参照)があった。しかしこれらでは、まだ十分に汚れを落とせない場合があった。
【0025】
そこで、本発明が提供するミキサー容器の洗浄方法は、水又はぬるま湯をボトルに1/3程度入れ少量の洗剤を加え、洗浄コースボタンを押し、電動機の間欠運転を繰り返すことにより、水流が不規則に変化することを利用して、隙間に付着したしつこい汚れを落とすことが可能とすることである。
【0026】
図8の実施態様は間欠運転の制御回路図である。電動機11の運転回路中に正転スイッチ21と逆転スイッチ22を介在させる。主電源スイッチ(図示せず)をオンにし、信号発生部20から正転スイッチ21又は逆転スイッチ22のいずれかに、例えば、4秒ON4秒OFFの間欠信号を供給することにより、電動機の間欠運転を繰り返えし、それに伴ってカッターを正転又は逆転のいずれかの方向に間欠運転させることにより、水流が不規則に変化するため、従来の連続運転では落としにくかった、隙間に付着したしつこい汚れを落とすことが可能となる。
【0027】
図9の実施態様は正逆切替間欠運転の場合であり、図11(A)は制御回路図である
。電動機11の運転回路中に正転スイッチ21と逆転スイッチ22を介在させる。主電源スイッチをオンにし、信号発生部20から正転スイッチ21と逆転スイッチ22に、図11(B)に示す信号発生部20の信号を交互に動作信号として供給する。例えば、4秒正回転、4秒逆回転の正逆切替信号を供給することにより、電動機の正逆切替間欠運転を繰り返えすこととなり、それに伴ってカッターを正転、逆転の方向に間欠運転させて、水流が不規則に変化することになり、従来の連続運転では落としにくかった、隙間に付着したしつこい汚れを落とすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一般の電気ミキサーの外観図。
【図2】本発明のミキサー容器とカッター台と容器台との分離図。
【図3】パッキング誤挿入時の電気ミキサーの断面図。
【図4】カッター台と容器台及びパッキングの関係図。
【図5】パッキングの正常挿入時の電気ミキサー断面図。
【図6】パッキングの正常挿入時の電気ミキサー断面図。
【図7】パッキング誤挿入時の電気ミキサーの断面図。
【図8】間欠運転の制御回路図。
【図9】正逆切替間欠運転回路図。
【符号の説明】
【0029】
1 ミキサー本体
2 容器台
3 カッター
4 カッター台
5,5’ 液漏れ防止用のパッキング
6 ミキサー容器
7 容器蓋
8 ベアリング支持部
9 カッター台のフランジ
10 環状棚部
11 電動機
13 環状棚部の脚部
14 嵌合用の爪
15 突起部
20 信号発生部
21 正転スイッチ
22 逆転スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、分解後の組立時に前記パッキングをミキサー容器とカッター台との間にのみ確実に挿入する手段を設けたことを特徴とする電気ミキサー。
【請求項2】
電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、前記パッキングの内寸よりカッター台の下面の寸法を大きくしたことを特徴とする電気ミキサー。
【請求項3】
電気ミキサー本体と、本体上に載置され、内周に周方向に沿って内方に延びる環状棚部を設けた容器台と、容器台に取り付けられるミキサー容器と、容器台とミキサー容器との間に挟持され、中心にカッターを回転自在に軸支するベアリング支持部を有するカッター台とから成り、前記カッター台の上にベアリング支持部のフランジを載置させ、前記フランジ上にパッキングを介して前記ミキサー容器の下端面を圧接させ、前記容器台と前記ミキサー容器により前記カッター台を挟持固定した電気ミキサーにおいて、前記環状棚部の脚部と接触し、前記カッター台の側方で垂直方向に延びる複数の弾性を有する嵌合用の爪を設けたことを特徴とする電気ミキサー。
【請求項4】
前記弾性を有する嵌合用の爪の下方部の外方に突起部を形成したことを特徴とする請求項3記載の電気ミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−148533(P2010−148533A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326694(P2008−326694)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】