説明

電気光学素子の製造方法、電気光学装置

【課題】 色再現性を向上しながらも生産性を向上した電気光学素子の製造方法、電気光学装置を提供する。
【解決手段】 有機EL素子は陽極(反射層、スペーサ)、有機EL層及び陰極から構成されている。そして、赤色、緑色、青色を表現する各サブピクセル15R,15G,15Bに応じて異なる膜厚のスペーサを液滴吐出装置(液滴吐出ヘッド44)により形成した。各スペーサはITOから形成されており、液滴吐出ヘッド44が吐出するITO形成材料Puの吐出量を制御するだけで、各色に対応して異なる膜厚のスペーサを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学素子の製造方法、電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ装置や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置(有機ELディスプレイ装置)等の電気光学装置は、表示モジュールとして携帯電話やPDA等の携帯用の電子機器に搭載されている。近年、これら電子機器においても精細な画像を見ることが多くなっているため、前記電気光学装置を構成する電気光学素子の色再現性の向上が望まれていた。
【0003】
そこで、こうした電気光学素子の色再現性を改善させたマイクロキャビティ構造が提案されている(例えば、非特許文献1)。この非特許文献1のマイクロキャビティ構造では、いわゆるトップエミッション構造において、反射層を有した陽極と半透過性のある陰極とその間に配置された有機EL層から構成されている。このマイクロキャビティ構造は、有機EL層から発光された光の波長のうち、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかに対応する波長を選択して出力する一種の光学フィルタとして機能する。
【0004】
すなわち、有機EL層から発光されて陽極で反射した光(反射光)と、同様に有機EL層から発光されて陰極を透過する光(透過光)とが多重干渉し、所定の波長の光を出射している。そして、陽極と陰極との間の光学的距離を変化させることによって前記反射光と透過光との干渉が変化し、赤色、緑色、青色それぞれ異なる波長の光を選択的に出力することができる。そのため、このマイクロキャビティ構造においては、陽極と陰極との間に赤色、緑色、青色それぞれ異なる膜厚のITO(Indium Tin Oxide)を配置することにより各色に応じて光学的距離を変化させ、各色に対応した波長の光を出射させていた。この結果、色純度の高い発光が得られ、鮮やかな色再現性を実現していた。
【非特許文献1】Mitsuhiro Kashiwabara 他著 「Advanced AM-OLED Display Based on White Emitter with Microcavity Structure」SID 04 DIGEST p1017-1019, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このマイクロキャビティ構造は、従来、フォトリソグラフィ法により生産されていたので、ITOの膜厚を赤色、緑色、青色のそれぞれにおいて異ならせて成膜するためには、複数回のフォトリソグラフィ工程を必要としていた。この結果、電気光学装置を形成するための製造工程数が多くなり、その生産性を損なっていた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、色再現性を向上しながらも生産性を向上した電気光学素子の製造方法、電気光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の電気光学素子の製造方法は、基板上に積層される発光層に第1の電極と第2の電極とを形成し、前記第1及び第2の電極を介して前記発光層に電流を流すことによって前記発光層が発光する電気光学素子の製造方法において、前記第1の電極の発光層側に、導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成した。
【0008】
この発明によれば、第1の電極の発光層側に、導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装
置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成した。この結果、液滴吐出装置にて機能液を吐出するだけで、容易に光透過性の導電性スペーサを形成することができる。従って、例えば、フォトリソグラフィ工程によって光透過性の導電性スペーサを形成するときと比較して、製造工程数を削減することができるので、生産性を向上させることができる。
【0009】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記第2の電極は光透過性の電極であり、前記第1の電極は光反射性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成した。
【0010】
この発明によれば、第2の電極は光透過性の電極であり、第1の電極は光反射性の電極であって、第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成した。この結果、例えば、トップエミッション構造の電気光学素子において、液滴吐出装置が吐出する機能液によって光透過性の導電性スペーサを形成することができる。従って、高輝度でありながらも生産性を向上させることができる。
【0011】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記第2の電極は光透過性の電極であり、前記第1の電極は光透過性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成し、前記第1の電極と前記基板の間に光反射層を形成した。
【0012】
この発明によれば、第2の電極は光透過性の電極であり、第1の電極は光透過性の電極であって、第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成し、第1の電極と基板の間に光反射層を形成した。この結果、例えば、第1及び第2の電極が共に光透過性を有する電極であるトップエミッション構造の電気光学素子において、液滴吐出装置が吐出する機能液によって光透過性の導電性スペーサを形成することができる。従って、高輝度でありながらも生産性を向上させることができる。
【0013】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記基板は透明基板であり、前記第2の電極は光反射性の電極であり、前記第1の電極は光透過性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成した。
【0014】
この発明によれば、基板は透明基板であり、第2の電極は光反射性の電極であり、第1の電極は光透過性の電極であって、第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成した。この結果、例えば、ボトムエミッション構造の電気光学素子において、液滴吐出装置が吐出する機能液によって光透過性の導電性スペーサを形成することができる。従って、生産性を向上させることができる。
【0015】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記基板は透明基板であり、前記第2の電極は光透過性の電極であり、前記第1の電極は光透過性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成し、前記第2の電極の前記発光層と反対側に光反射層を形成した。
【0016】
この発明によれば、基板は透明基板であり、第2の電極は光透過性の電極であり、第1の電極は光透過性の電極であって、第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成し、第2の電極の発光層と
反対側に光反射層を形成した。この結果、例えば、第1及び第2の電極が共に光透過性を有する電極であるボトムエミッション構造の電気光学素子において、液滴吐出装置が吐出する機能液によって光透過性の導電性スペーサを形成することができる。従って、生産性を向上させることができる。
【0017】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記発光層は有機材料で形成され、前記電気光学素子は有機エレクトロルミネッセンス素子である。
この発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の生産性を向上することができる。
【0018】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記発光層は白色光を発光する有機材料で形成されている。
この発明によれば、発光層が白色光を発光する有機材料で形成されている電気光学素子の生産性を向上することができる。
【0019】
本発明の電気光学素子の製造方法において、前記液滴吐出装置から吐出される前記導電性材料を含んだ機能液の吐出量は、前記光透過性の導電性スペーサの膜厚が、前記電気光学素子が出射する光の波長に応じた膜厚となる吐出量である。
【0020】
この発明によれば、液滴吐出装置から吐出される導電性材料を含んだ機能液の吐出量は、光透過性の導電性スペーサの膜厚が、電気光学素子が出射する光の波長に応じた膜厚となる吐出量である。この結果、液滴吐出装置が吐出する機能液の吐出量を制御するだけで、電気光学素子が出射する光の波長に応じて異なる膜厚の光透過性の導電性スペーサを容易に形成することができる。従って、例えば、複数回のフォトリソグラフィ工程によって異なる膜厚の光透過性の導電性スペーサを形成するときと比較して製造工程数を削減することができるので、色再現性を向上させながらも生産性を向上させることができる。
【0021】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学素子の製造方法で製造した電気光学素子を備えた。
この発明によれば、上記に記載の電気光学素子を備えた電気光学装置の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。図1は、表示モジュールとしての有機エレクトロルミネッセンス表示モジュール10(有機EL表示モジュール)の概略平面図を示す。
【0023】
図1に示すように、有機EL表示モジュール10は、電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)11を有しており、その有機ELディスプレイ11の図中下側にはフレキシブル基板12が接続されている。
【0024】
有機ELディスプレイ11は、本実施形態ではトップエミッション型のディスプレイであって、平面板状の基板としてのガラス基板13を備えている。そのガラス基板13の表面(画素形成面13a)の略中央位置には、四角形状の表示領域14が形成されている。その表示領域14内には、図1において上下方向(列方向)に延びる複数のデータ線Ldと、同データ線Ldに併設される電源線Lvが所定の間隔をおいて配列されている。そのデータ線Ldと直交する方向(行方向)には、同行方向に延びる複数の走査線Lsが所定の間隔をおいて配列されている。これらデータ線Ldと走査線Lsの交差する位置には、それぞれ赤色(R),緑色(G),青色(B)にそれぞれ対応したサブピクセル15R,15G,15Bが形成されている。つまり、サブピクセル15R,15G,15Bが、そ
れぞれ対応するデータ線Ld、電源線Lv及び走査線Lsに接続されることによってマトリックス状に、繰り返し配列されている。そして、走査線Ls上の、順番に繰り返し配設される赤色、緑色、青色に対応したサブピクセル15R,15G,15Bをそれぞれ一つの組として、画素回路15を構成している。
【0025】
画素回路15は、駆動電流が供給されることによって発光する電気光学素子としての有機エレクロトルミネッセンス素子(有機EL素子)16、その有機EL素子16の発光を制御する薄膜トランジスタ(TFT)17、さらには図示しない容量素子等を有している。
【0026】
画素形成面13aの一側端であって表示領域14の左側には、COG(Chip on glass )方式で実装される走査線駆動回路18が形成されている。走査線駆動回路18は、前記各走査線Lsに対して、走査線Ls上のサブピクセル15R,15G,15Bを選択するための走査信号を出力するようになっている。また、走査線駆動回路18は、図示しないプリント基板に接続されて、同プリント基板の制御用IC等から出力される制御信号に基づいて、前記走査信号を所定の走査線Lsに所定のタイミングで出力するようになっている。そして、画素形成面13aの略全面を四角形状の保護ガラス基板13b(図1における2点鎖線)で覆うことによって、これら走査線駆動回路18及び表示領域14が保護されるようになっている。
【0027】
画素形成面13aの一側端であって表示領域14の下側には、データ線端子形成部19が形成されている。そのデータ線端子形成部19には、各データ線Ldに対応する複数のデータ線端子(図示しない)が形成されている。各データ線端子は、銅箔等で形成される端子であって、ガラス基板13の下側辺13cに沿って等ピッチで配列されてそれぞれ対応するデータ線Ldに電気的に接続されている。そして、各データ線端子が前記保護ガラス基板13bから露出することによって、各データ線Ldが、外部との電気的な接続を可能にする。
【0028】
図1に示すように、画素形成面13aの一側端であってデータ線端子形成部19の表側には、フレキシブル基板12が接続されている。そのフレキシブル基板12には、基板本体20が備えられている。基板本体20は、上下方向に長い長尺状に形成された可撓性基板であって電気的絶縁性を有するポリイミド樹脂で形成されている。そして、フレキシブル基板12は、その基板本体20の表面(図1における裏側の面)を画素形成面13aと向かい合わせるように配設されている。基板本体20の表面であって、前記データ線端子形成部19と対向する位置には、外部端子形成部23が設けられている。その外部端子形成部23には、複数の接続端子(図示しない)が前記データ線端子と相対するピッチ幅で形成されている。そして、フレキシブル基板12は、いわゆる異方性導電膜(ACF)方式によって各接続端子と対応するデータ線端子とを電気的に接続して有機ELディスプレイ11(有機EL表示モジュール10)に実装される。
【0029】
外部端子形成部23の下側には、駆動用ICチップ27が配設されている。駆動用ICチップ27は、有機EL素子16を発光させるための駆動信号及び駆動電圧を生成し供給する。駆動用ICチップ27は、前記異方性導電膜(ACF)方式によって基板本体20(フレキシブル基板12)に実装されている。
【0030】
そして、その駆動用ICチップ27の出力側(有機ELディスプレイ11側)に形成された図示しない接続端子と前記外部端子形成部23に形成された接続端子とが出力配線30によって接続されることによって、駆動用ICチップ27が、各データ線Ld及び電源線Lvと電気的に接続される。また、駆動用ICチップ27の入力側(図1中下側)に形成された図示しない接続端子と図示しないプリント基板の制御用ICが入力配線31によ
って接続されることによって、駆動用ICチップ27が、その制御用ICと電気的に接続される。
【0031】
そして、駆動用ICチップ27は、制御用ICから出力される制御信号に基づいて、駆動電圧を電源線Lvに供給するとともに、データ信号を所定のデータ線Ldに所定のタイミングで出力する。すなわち、駆動用ICチップ27が前記走査信号によって選択された画素回路15(サブピクセル15R,15G,15B)に前記データ信号を出力すると、画素回路15(サブピクセル15R,15G,15B)の有機EL素子16が同データ信号に基づいて発光する。
【0032】
図2は、有機ELディスプレイ11のガラス基板13上に形成されたサブピクセル15R,15G,15Bのうち、赤色に対応したサブピクセル15Rの断面図である。なお、他のサブピクセル15G,15Bも後述する陽極Pcの膜厚以外はサブピクセル15Rと同様の構成であるため、その図示と説明を省略する。本実施形態では、図4に示すように、サブピクセル15R,15G,15Bにそれぞれ配置されている白色光を発光する有機EL素子16の上面に赤色、緑色、青色に対応したカラーフィルタCFR,CFG,CFBをそれぞれ配置してフルカラー表示を行うように構成されている。図4は、各色に対応する画素回路15(サブピクセル15R,15G,15B)からの光の出射を説明する説明図である。
【0033】
図2に示すように、TFT17は、その最下層にチャンネル膜B1を備えている。チャンネル膜B1は、画素形成面13a上に形成される島状のp型ポリシリコン膜であって、図2における左右両側には、活性化した図示しないn型領域(ソース領域及びドレイン領域)を備えている。つまり、TFT17は、いわゆるポリシリコン形TFTである。
【0034】
チャンネル膜B1の上側中央位置には、画素形成面13a側から順に、ゲート絶縁膜D0、ゲート電極Pg及びゲート配線M1が形成されている。ゲート絶縁膜D0は、シリコン酸化膜等の光透過性を有する絶縁膜であって、画素形成面13aの略全面に堆積されている。ゲート電極Pgは、タンタル等の低抵抗金属膜であって、チャンネル膜B1の略中央位置に形成されている。ゲート配線M1は、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、ゲート電極Pgと駆動用ICチップ27(図1参照)とを電気的に接続している。そして、駆動用ICチップ27がゲート配線M1を介してゲート電極Pgにデータ信号を入力すると、TFT17は、そのデータ信号に基づいてオン状態となる。
【0035】
チャンネル膜B1であって前記ソース領域及びドレイン領域の上側には、図2における上側に延びるソースコンタクトSc及びドレインコンタクトDcが形成されている。各コンタクトSc,Dcは、チャンネル膜B1とのコンタクト抵抗を低くする金属シリサイド等の金属膜で形成されている。そして、これら各コンタクトSc,Dc及びゲート電極Pg(ゲート配線M1)は、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜D1によってそれぞれ電気的に絶縁されている。
【0036】
各コンタクトSc,コンタクトDcの上側には、それぞれアルミニウム等の低抵抗金属膜からなる電源線M2s及び陽極線M2dが形成されている。電源線M2sは、ソースコンタクトScと図示しない駆動電源とを電気的に接続している。陽極線M2dは、ドレインコンタクトDcと有機EL素子16とを電気的に接続している。これら電源線M2s及び陽極線M2dは、シリコン酸化膜等の絶縁性材料からなる平坦化膜D2によってそれぞれ電気的に絶縁されている。また、この平坦化膜D2を形成することで、同平坦化膜D2上に形成される有機EL素子16を平坦化することができる。そして、TFT17がデータ信号に基づいてオン状態となると、そのデータ信号に応じた駆動電流が、電源線M2s(駆動電源)から陽極線M2d(有機EL素子16)に供給される。
【0037】
図2に示すように、平坦化膜D2の上側には、有機EL素子16が形成されている。その有機EL素子16の最下層には、陽極Pc(請求項1及び請求項2に記載の第1の電極に相当する)が形成されている。
【0038】
陽極Pcは、図3に示すように、反射層Prとこの上部に積層された光透過性の導電性スペーサとしてのスペーサPsとの積層構造で構成されている。なお、図3は、有機EL素子16の断面図である。反射層Prは、本実施形態では、例えば、Cr等の金属材料で形成されている。
【0039】
スペーサPsは、本実施形態では、例えば、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、10nm以上の膜厚で形成されている。このスペーサPsは、本実施形態では、各色に応じてその膜厚を異ならせており、図4に示すように、青色に対応するサブピクセル15BのスペーサPsb、緑色に対応するサブピクセル15GのスペーサPsg、赤色に対応するサブピクセル15RのスペーサPsrの順で厚くなるように形成されている。
【0040】
図2に示すように、陽極Pcは、その一端が陽極線M2dに接続されている。その陽極Pcの上側外周には、同陽極Pcを囲むように第3層間絶縁膜D3が堆積されている。第3層間絶縁膜D3は、感光性ポリイミドやアクリル等の樹脂膜で形成され、各有機EL素子16の陽極Pcを電気的に絶縁している。また、第3層間絶縁膜D3は、陽極Pcの上側を開放して、その内周面からなる隔壁D3aを形成している。
【0041】
陽極Pcの上側にあって隔壁D3aの内側には、有機材料からなる有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)Oeが形成されている。有機EL層Oeは、図3に示すように、正孔輸送層Otと発光層Orの2層からなる有機化合物層である。なお、本実施形態では、この発光層Orは、白色光を発光する発光層である。その有機EL層Oeの上側には、ITO等の光透過性を有する透明導電膜と、有機EL層Oeとの界面に形成されたMg等の金属膜からなる陰極Pa(請求項1及び請求項2に記載の第2の電極に相当する)が形成されている。図2に示すように、陰極Paは、画素形成面13a側全面を覆うように形成され、各画素回路15が共有することによって各有機EL素子16に共通する電位を供給するようになっている。
【0042】
すなわち、有機EL素子16は、これら陽極Pc(反射層Pr、スペーサPs)、有機EL層Oe及び陰極Paによって形成される有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)である。
【0043】
陰極Paの上側には、樹脂等のコーティング材で形成され、各種金属膜や有機EL層Oeの酸化等を防止するための封止部P1が形成されている。そして、その封止部P1の上面には第4層間絶縁膜D4が形成されている。第4層間絶縁膜D4は、感光性ポリイミドやアクリル等の樹脂膜から形成されている。また、第4層間絶縁膜D4は、前記有機EL層Oeの上側を開放して、その内周面からなる隔壁D4aを形成している。そして、封止部P1の上側にあって隔壁D4aの内側には、カラーフィルタCFRが形成されている。カラーフィルタCFRは、赤色に対応した顔料から形成されている。そして、カラーフィルタCFRの上側には、樹脂等のコーティング材で形成され、カラーフィルタCFRの酸化等を防止するための封止部P2が形成されている。
【0044】
そして、データ信号に応じた駆動電流が陽極線M2dに供給されると、有機EL層Oeは、その駆動電流に応じた輝度で発光する。この際、有機EL層Oeから陰極Pa側(図2における上側)に向かって発光された光は、陰極Pa、封止部P1、カラーフィルタCFR、封止部P2を通過する(以下、透過光という)。また、有機EL層Oeから陽極P
c側(図2における下側)に向かって発光された光は、陽極Pcの反射層Prによって反射され(以下、反射光という)、スペーサPs、有機EL層Oe、陰極Pa、封止部P1、カラーフィルタCFR、封止部P2を通過する。そして、前記透過光と反射光とが干渉した光が保護ガラス基板13b側に出射される。
【0045】
この出射された光のスペクトルの波長λは、反射層Prと陰極Paとの距離である光学的距離Lr,Lg,Lb(図4参照)に依存するので、各色(赤色、緑色、青色)に応じてこの光学的距離Lr,Lg,Lbを変化させることによって、各色に対応した光の波長λを得ることができる。本実施形態では、各色に応じて異なる厚さのスペーサPs(Psr,Psg,Psb)を形成することによって光学的距離Lr,Lg,Lbを変化させ、各色に対応した光の波長λを得ている。
【0046】
すなわち、図4に示すように、光の波長が最も長い赤色に対応したサブピクセル15Rにおいては、光学的距離Lrが最も長くなるように、スペーサPsrの膜厚を最も厚く形成する。一方、光の波長が最も短い青色に対応したサブピクセル15Bにおいては、光学的距離Lbが最も短くなるように、スペーサPsbの膜厚を最も薄く形成する。そして、光の波長が両者の中間である緑色に対応したサブピクセル15Gにおいては、光学的距離Lgが両者の中間となるように、スペーサPsgを形成する。
【0047】
次に、画素回路15(サブピクセル15R,15G,15R)の製造方法について以下に説明する。
まず、画素形成面13a全面に、ジシラン等を原料ガスにするCVD法等によってアモルファスシリコン膜を堆積する。次に、エキシマレーザ等によって同アモルファスシリコン膜に紫外光を照射し、画素形成面13a全面に結晶化したポリシリコン膜を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法及びエッチング法等によって同ポリシリコン膜をパターニングし、チャンネル膜B1を形成する。
【0048】
チャンネル膜B1を形成すると、シラン等を原料ガスにするCVD法等によってチャンネル膜B1及び画素形成面13aの上側全面にシリコン酸化膜等を堆積してゲート絶縁膜D0を形成する。ゲート絶縁膜D0を形成すると、スパッタ法等によって同ゲート絶縁膜D0の上側全面にタンタル等の低抵抗金属膜を堆積し、同低抵抗金属膜をパターニングすることによって、ゲート絶縁膜D0の上側にゲート電極Pgを形成する。ゲート電極Pgを形成すると、同ゲート電極Pgをマスクにしたイオンドーピング法によって、チャンネル膜B1にn型領域(ソース領域及びドレイン領域)を形成する。続いて、スパッタ法等によってゲート電極Pg及びゲート絶縁膜D0の上側全面にITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、同透明導電膜をパターニングすることによって、ゲート電極Pgの上側にゲート配線M1を形成する。
【0049】
ゲート配線M1を形成すると、TEOS(テトラエトキシシラン)等を原料にするCVD法によってゲート配線M1及びゲート絶縁膜D0の上側全面にシリコン酸化膜等を堆積して第1層間絶縁膜D1を形成する。第1層間絶縁膜D1を形成すると、フォトリソグラフィ法やエッチング法等によって、ソース領域及びドレイン領域から図2における上側に第1層間絶縁膜D1の上側までを開放する一対の円形孔(コンタクトホールHd,Hs)を形成する。コンタクトホールHd,Hsを形成すると、スパッタ法等によって同コンタクトホールHd,Hs内を金属シリサイド等で埋め込みながら第1層間絶縁膜D1の上側全面に金属膜を堆積する。そして、エッチング法等によって同コンタクトホールHd,Hs内以外の金属膜を除去し、ソースコンタクトSc及びドレインコンタクトDcを形成する。
【0050】
各コンタクトSc,Dcを形成すると、スパッタ法等によって同コンタクトSc,Dc
及び第1層間絶縁膜D1の上側全面にアルミニウム等の金属膜を堆積し、同金属膜をパターニングして各コンタクトSc,Dcに接続する電源線M2s及び陽極線M2dを形成する。次に、TEOS(テトラエトキシシラン)等を原料にするCVD法によって、これら電源線M2s、陽極線M2d及び第1層間絶縁膜D1の上側全面にシリコン酸化膜等を堆積して平坦化膜D2を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法やエッチング法等によって、陽極線M2dの一部から図2における上側に平坦化膜D2の上側まで開放する円形孔(ビアホールHv)を形成する。ビアホールHvを形成すると、スパッタ法等によって、同ビアホールHv内を埋め込みながら平坦化膜D2の上側全面にクロム等の金属膜を堆積する。そして、この金属膜をパターニングして、ビアホールHvを介して陽極線M2dと接続する陽極Pc(反射層Pr)を形成する。
【0051】
反射層Prを形成すると、同反射層Pr上にレジスト等のマスクを形成して、同反射層Pr及び平坦化膜D2の上側全面に感光性ポリイミドやアクリル等の樹脂膜を堆積する。そして、前記レジスト等を剥離して、隔壁D3aを備えた第3層間絶縁膜D3を形成する。
【0052】
隔壁D3aを形成すると、続いて、その隔壁D3a内に陽極Pc(スペーサPs)を形成する。図5は、スペーサPsの形成方法を説明する説明図である。まず、スペーサPsを形成するための液滴吐出装置の構成について説明する。
【0053】
図5に示すように、ガラス基板13の上側には、液滴吐出装置を構成する液滴吐出ヘッド44が配置されている。その液滴吐出ヘッド44には、ノズルプレート45が備えられている。そのノズルプレート45の一側面であってガラス基板13側の面(ノズル形成面45a)には、導電性材料を含んだ機能液としてのITO形成材料Puを吐出する多数のノズルNが鉛直方向Zに沿って形成されている。また、ガラス基板13は、その画素形成面13aをノズル形成面45aと平行にして、かつ各隔壁D3aの中心位置をそれぞれノズルNの中心位置と相対向するように位置決めされている。
【0054】
各ノズルNの上側には、図示しない収容タンクに連通してITO形成材料PuをノズルN内に供給可能にする供給室46R、46G、46Bがそれぞれ赤色、緑色、青色の各色に対応して形成されている。各供給室46R,46G,46Bの上側には、鉛直方向Zに沿って往復振動して各供給室46R,46G,46B内の容積を拡大縮小する振動板47が配設されている。その振動板47の上側であって各供給室46R,46G,46Bと相対向する位置には、それぞれ鉛直方向Zに沿って伸縮動して振動板47を振動させる圧電素子48R,48G,48Bがそれぞれ赤色、緑色、青色の各色に対応して配設されている。
【0055】
次に、上記した液滴吐出装置によるスペーサPsの形成方法について説明する。
まず、液滴吐出ヘッド44にスペーサPsを形成するため駆動信号を入力する。すると、同駆動信号に基づいて各圧電素子48R,48G,48Bがそれぞれ伸縮動し、各供給室46R,46G,46Bの容積がそれぞれ拡大縮小する。この時、各供給室46R,46G,46Bの容積が縮小すると、縮小した容積分のITO形成材料Puが、各ノズルNから液滴Dsとして対応する隔壁D3a内に吐出される。続いて、各供給室46R,46G,46Bの容積が拡大すると、拡大した容積分のITO形成材料Puが、図示しない収容タンクから供給室46R,46G,46B内にそれぞれ供給される。
【0056】
つまり、液滴吐出ヘッド44は、こうした各供給室46R,46G,46Bをそれぞれ拡大縮小させることによって、各色についてそれぞれ異なる膜厚に対応した所定の容量のITO形成材料Puを隔壁D3a内に吐出する。そして、吐出したITO形成材料Puを所定時間だけ放置してそのITO形成材料Puを乾燥させた後、ガラス基板13を図示し
ない焼成室に搬送して焼成することにより、導電性を有するスペーサPs(Psr,Psg,Psb)が、色毎にそれぞれ異なる膜厚で形成される。
【0057】
この結果、例えば、フォトリソグラフィ法によってスペーサPs(Psr,Psg,Psb)を形成するときのように、色毎に膜厚を変えるための複数回のフォトリソグラフィ工程が不要となるため、製造工程を低減することができる。また、フォトリソグラフィ法やエッチングによってスペーサPs(Psr,Psg,Psb)以外の箇所に堆積したITOを削除する必要がなくなるため、製造工程におけるITOの使用量を低減することができる。
【0058】
スペーサPsを形成すると、インクジェット法等によって、隔壁D3aに囲まれたスペーサPs上に正孔輸送層Otの構成材料を吐出し、その構成材料を乾燥及び固化することによって正孔輸送層Otを形成する。さらに、インクジェット法等によって、同正孔輸送層Ot上に発光層Orの構成材料を吐出し、その構成材料を乾燥及び固化することによって発光層Orを形成する。これによって、正孔輸送層Otと発光層Orとを備えた有機EL層Oeを形成する。
【0059】
有機EL層Oeを形成すると、スパッタ法等によって、同有機EL層Oe及び第3層間絶縁膜D3の上側全面にアルミニウム等の金属膜を堆積して陰極Paを形成する。陰極Paを形成すると、CVD法等によって、陰極Paの上側全面に樹脂等のコーティング材を堆積して封止部P1を形成する。続いて、同封止部P1上にレジスト等のマスクを形成して、同封止部P1の上側全面に感光性ポリイミドやアクリル等の樹脂膜を堆積する。そして、前記レジスト等を剥離して、隔壁D4aを備えた第4層間絶縁膜D4を形成する。そして、隔壁D4a内にカラーフィルタCFR(CFG,CFB)を形成して封止部P2によって封止することにより、画素形成面13a上に有機EL素子16を備えた画素回路15(サブピクセル15R,15G,15B)が形成される。
【0060】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、有機EL素子16は陽極Pc(反射層Pr、スペーサPs)、有機EL層Oe及び陰極Paを積層して構成した。そして、スペーサPsの膜厚を赤色、緑色、青色の各色に応じて異ならせた。この結果、有機EL素子16から赤色、緑色、青色の各色に応じた光を精度良く取出すことができる。従って、有機EL素子16を用いた有機ELディスプレイ11の色再現性を向上することができる。
【0061】
(2)本実施形態によれば、赤色、緑色、青色の各色に応じて異なる膜厚のスペーサPsr,Psg,Psbを液滴吐出装置(液滴吐出ヘッド44)により形成した。この結果、ITO形成材料Puの吐出量を制御するだけで、異なる膜厚のスペーサPsr,Psg,Psbを容易に形成することができる。従って、例えば、複数回のフォトリソグラフィ工程によって異なる膜厚のスペーサPsr,Psg,Psbを形成するときと比較して、製造工程数を削減することができる。
【0062】
(3)本実施形態によれば、赤色、緑色、青色の各色に応じて異なる膜厚のスペーサPsr,Psg,Psbを液滴吐出装置(液滴吐出ヘッド44)により形成した。この結果、スペーサPsr,Psg,Psbを形成したい部分(有機EL素子16に対応した箇所)にのみ機能液を吐出することができる。従って、例えば、エッチングによって有機EL素子16以外の部分に堆積したITOを削る必要がないため、製造に使用する材料量を低減することができる。
【0063】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、ガラス基板13は透明であったが、ステンレス等の透明でない基
板であってもよい。
【0064】
○上記実施形態では、有機EL素子16はトップエミッション構造として具体化したが、図6に示すように、ボトムエミッション構造であってもよい。なお、図6は、ボトムエミッション構造として具体化したサブピクセル15Rのうち、カラーフィルタCFRを除いた断面図である。この場合、基板は透明基板であって、陽極Pc(請求項1及び請求項4に記載の第1の電極に相当する)をITOで形成し、その陽極Pcの膜厚の厚さを液滴吐出装置が吐出する機能液の吐出量を変化させることによって各色に対応する画素回路15(サブピクセル15R,15G,15B)毎に異ならせる。そして、陰極Pa(請求項1及び請求項4に記載の第2の電極に相当する)と陽極Pcとの距離である光学的距離Lr,Lg,Lbを異ならせる。
【0065】
また、このボトムエミッション構造において、陰極Paを光透過性の電極から構成し、陰極Paの発光層Orと反対側にCr等の金属材料からなる反射層Pr(請求項5に記載の光反射層に相当する)を形成する構成としてもよい。
【0066】
○上記実施形態では、陽極Pcは、反射層PrとスペーサPsから構成したが、これを陽極PcはスペーサPsから構成し、平坦化膜D2と陽極Pc(請求項1及び請求項3に記載の第1の電極に相当する)との間に反射層Pr(請求項3に記載の光反射層に相当する)を形成する構成としてもよい。
【0067】
○上記実施形態では、有機EL素子16はトップエミッション構造として具体化したが、図7に示すように、トップエミッション構造の有機EL素子16を積層したマルチフォトン構造であってもよい。なお、図7は、有機EL素子16部分の拡大図である。この場合も、スペーサPsの膜厚を液滴吐出装置が吐出する機能液の吐出量を変化させることによって各色に対応するサブピクセル15R,15G,15B毎に異ならせて、陰極Paと陽極Pcとの距離である光学的距離Lr,Lg,Lbを異ならせる。また、マルチフォトン構造、すなわち有機EL層Oe(発光層Or)を重ねることによって発生フォトンが増加し、100%超相当の内部量子効率が可能となる。この結果、色再現性を向上しながらも、輝度が明るく長寿命の有機EL素子16を少ない製造工程数で製造することができる。
【0068】
○上記実施形態では、画素回路15は白色光を発光する発光層Orを備えた有機EL素子16の上面にカラーフィルタCFR,CFG,CFBを配置してフルカラー表示を行うように構成した。これを、カラーフィルタCFR,CFG,CFBを設けずに、サブピクセル15R,15G,15Bの発光層Orとして赤色、緑色、青色の3つの有機材料をそれぞれ使い、フルカラー表示を行うように構成してもよい。
【0069】
○上記実施形態では、有機EL素子16は白色光を発光する発光層Orを備えた有機EL素子16の上面にカラーフィルタCFR,CFG,CFBを配置してフルカラー表示を行うように構成した。これを、青色光を発光する発光層を備えた有機EL素子の上面に、サブピクセル15Rに対応して赤色の蛍光膜、サブピクセル15Gに対応して緑色の蛍光膜を配置して、フルカラー表示を行うように構成してもよい。
【0070】
○上記実施形態では、有機EL素子16のスペーサPsr,Psg,Psbのパターニングは隔壁D3aを生成することによって行った。これを、隔壁D3aを生成せずに、平坦化膜D2上に撥液パターンを予め形成してもよい。このとき、その撥液パターン上に液滴吐出装置によりITO形成材料Puを吐出することによって、上記実施形態と同様にスペーサPsr,Psg,Psbを形成することができる。
【0071】
○上記実施形態では、有機EL素子16のスペーサPsr,Psg,Psbのパターニングは隔壁D3aを生成することによって行った。これを、隔壁D3aを生成せずに、平坦化膜D2上に親液パターンを予め形成してもよい。このとき、その親液パターン上に液滴吐出装置によりITO形成材料Puを吐出することによって、上記実施形態と同様にスペーサPsr,Psg,Psbを形成することができる。
【0072】
○上記実施形態では、液滴吐出装置が吐出する機能液をITO形成材料Puとして具体化したが、これに限らず、光透過性を有する機能液であって、焼成して硬化した時に導電性を有する機能液であればよい。
【0073】
○上記実施形態では、スペーサPsr,Psg,Psbを形成する透明電極材料としてITOを用いた。これを、透明電極材料、半透明電極材料として、ITO、IZO、ATO、FTO、SnO、ZnO、CdO、TiO、V等を用いてもよい。
【0074】
○上記実施形態では、有機EL素子16の反射層Prを形成する材料としてCrを用いた。これを、Ti、Ag、Au、Ni、Al及びこれらの合金等を用いてもよい。
○上記実施形態では、表示モジュールを有機EL表示モジュール10として具体化した。これに限らず、例えば液晶ディスプレイを備えた表示モジュールであってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型ディスプレイ(FEDやSED等)を備えた表示モジュールであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明を具体化した有機EL表示モジュールを示す概略平面図。
【図2】同じく、サブピクセルを示す概略断面図。
【図3】同じく、有機EL素子を示す概略断面図。
【図4】同じく、サブピクセルからの光の出射を説明する説明図。
【図5】同じく、液滴吐出装置を示す概略正断面図。
【図6】別例のボトムエミッション構造の有機EL素子を示す概略断面図。
【図7】別例のマルチフォトン構造の有機EL素子を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0076】
10…有機EL表示モジュール、11…有機ELディスプレイ、13…ガラス基板、15…画素回路、15R,15G,15B…サブピクセル、16…有機EL素子、44…液滴吐出ヘッド、Ds…液滴、Lr,Lg,Lb…光学的距離、Oe…有機EL層、Or…発光層、Ot…正孔輸送層、Pa…陰極、Pc…陽極、Pr…反射層、Ps,Psr,Psg,Psb…スペーサ、Pu…ITO形成材料、N…ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に積層される発光層に第1の電極と第2の電極とを形成し、前記第1及び第2の電極を介して前記発光層に電流を流すことによって前記発光層が発光する電気光学素子の製造方法において、
前記第1の電極の発光層側に、導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成したことを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記第2の電極は光透過性の電極であり、
前記第1の電極は光反射性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成したことを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記第2の電極は光透過性の電極であり、
前記第1の電極は光透過性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成し、
前記第1の電極と前記基板の間に光反射層を形成したことを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記基板は透明基板であり、
前記第2の電極は光反射性の電極であり、
前記第1の電極は光透過性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成したことを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記基板は透明基板であり、
前記第2の電極は光透過性の電極であり、
前記第1の電極は光透過性の電極であって、前記第1の電極の発光層側に導電性材料を含んだ機能液を液滴吐出装置にて吐出させて光透過性の導電性スペーサを形成し、
前記第2の電極の前記発光層と反対側に光反射層を形成したことを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記発光層は有機材料で形成され、前記電気光学素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記発光層は白色光を発光する有機材料で形成されていることを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気光学素子の製造方法において、
前記液滴吐出装置から吐出される前記導電性材料を含んだ機能液の吐出量は、前記光透過性の導電性スペーサの膜厚が、前記電気光学素子が出射する光の波長に応じた膜厚となる吐出量であることを特徴とする電気光学素子の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電気光学素子の製造方法で製造した電気光学素子
を備えた電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−154169(P2006−154169A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343423(P2004−343423)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】