説明

電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器

【課題】従来よりも製造時の手間を軽減するとともに電気的信頼性を確保する。
【解決手段】本発明の電気光学装置は、第1の基板11と、第1の基板に対向して配置された第2の基板12と、第1の基板と第2の基板の間に配置された電気光学物質13と、第2の基板に設けられ、第1の基板と対向するとともに電気光学物質の配置されていない平面範囲内に開口し、第1の基板側の面から反対側の面まで貫通する開口部12cと、第2の基板の前記反対側の面上に設けられるとともに開口部を閉塞しない態様で開口部の内面上に延在する導電膜29と、第1の基板における第2の基板側の面の、前記開口部の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続された接地用電極19と、第1の基板と第2の基板の間に配置され、導電膜と接地用電極に共に導電接触する導電材14bと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器に係り、特に、基板上に導電膜が形成されてなる電気光学装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気光学装置の一つとして横電界方式の液晶装置が注目されている。この方式は、液晶に印加する電界の方向を基板に略平行とする方式であり、TN方式などと比較して視角特性に優れているという利点がある。このような横電界方式の液晶装置としては、例えば、IPS(In-Plane Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式などが挙げられる。この横電界方式の液晶装置では、一般に、相互に対向する一対の基板間に液晶が挟持され、一方の基板上に画素電極と共通電極が共に設けられ、この画素電極と共通電極との間に横電界が形成される。
【0003】
ところで、上記の横電界方式の液晶装置では、一方の基板に形成された画素電極と共通電極とで液晶に与える横電界を調整することで液晶の配向状態を制御するようにしているため、外部の静電気が電極を有さない基板に帯電することにより縦電界が発生すると液晶の配向状態が影響を受けやすく、適切な表示態様を得ることができなくなる虞がある。そこで、静電気の影響を低減するために、以下の特許文献1に記載された構造が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された液晶表示装置においては、上側基板と偏光板の間に、導電性の微粒子が分散された粘着層やスパッタリングにより形成されたITO膜などの導電膜が形成されている。当該導電膜は接地された状態にすることにより外部の静電気に対するシールドを構成する。このため、導電膜によって基板に静電気が帯電しにくくなることから、表示態様に異常が発生することを防止することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2758864号公報
【特許文献2】特開2009−008971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1には上記の導電膜を接地するための構成として、上側基板上の導電膜と下側基板上のアース端子とを表示領域の側方においてケーブルを用いて導電接続することにより、導電膜を接地するようにしている。しかしながら、この構成では、導電膜とアース端子を接続するケーブルを基板の端部近傍において導電膜とアース端子にそれぞれ導電接続する必要があるため、それぞれの基板上にケーブルの接続領域を確保する必要が生ずることから、装置のコンパクト化が困難になるとともに、導電接続構造が外部に露出するため、信頼性を確保するための処理が必要になる上、製造時にケーブルの両端を接続する煩雑な作業が必要になる
【0007】
また、図12及び図13に示すように、偏光板7が貼着された下側基板1と偏光板8が貼着された上側基板2の間に液晶を封入してなる液晶表示体を構成するパネル構造において、上側基板2上の導電膜3から、下側基板1上の接地用電極4にかけて導電ペースト5を塗布する方法も知られている。しかしながら、この構造では、上記導電ペースト5が外部に露出した構造となっていることから、導電ペースト5硬化するまでに時間がかかるため、製造効率が低下するとともに、フレキシブル配線基板6などの他の部品に導電ペースト5が付着する虞があったり、上側基板2の端部の角部2aで導電ペースト5が切断されてしまう虞があるなど、製造上や信頼性上の問題点があった。なお、この構造でも上記と同様に導電膜3と導電ペースト5の導電接続部を上側基板2上に確保する必要があるので、装置のコンパクト化が困難になる。
【0008】
さらに、上記の構成の代わりに、上側基板の端部に貫通孔を形成し、この貫通孔に導電ペーストを充填することにより、導電層が導電ペーストを介して下側基板上に形成された接地用電極に導電接続されるようにした構造を採用してなる電気光学装置も提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
この特許文献2に記載された構造及び製造方法では、電気光学パネルを形成した後の導電体配置工程において導電ペーストを貫通孔内に充填するようにしている。しかし、この工程では、導電ペーストを微細な貫通孔に充填するだけでなく、当該貫通孔の奥にある接地用電極に確実にコンタクトさせる必要があるので、煩雑な作業を要するだけでなく、歩留まりの低下や信頼性の低下を招く虞がある。
【0010】
なお、上記のような静電気等による電界の影響を防止する構造は、上述の横電界方式の電気光学装置に限らず、外部電界の影響を低減するために有効な手段であり、電気光学物質に対して電界を印加することにより動作させる各種の電気光学装置に共通に用いることができるものである。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、従来よりも製造時の手間を軽減できるとともに電気的信頼性を確保することができる電気光学装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
斯かる実情に鑑み、本発明の電気光学装置は、第1の基板と、該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、前記第2の基板に設けられ、前記第1の基板と対向するとともに前記電気光学物質の配置されていない平面範囲内に開口し、前記第1の基板側の面から反対側の面まで貫通する開口部と、前記第2の基板の前記反対側の面上に設けられるとともに前記開口部を閉塞しない態様で前記開口部の内面上に延在する導電膜と、前記第1の基板における前記第2の基板側の面の、前記開口部の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続された接地用電極と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、前記導電膜と前記接地用電極に共に導電接触する導電材と、を具備することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第2の基板の第1の基板とは反対側の面上に形成された導電膜が開口部の内面上に延在するように構成され、第1の基板の第2の基板側の面の上記開口部の少なくとも一部と平面的に重なる位置に配置された接地用電極と導電膜に導電材が導電接触することにより、導電膜が導電材を介して接地用電極に導電接続されることとなるので、第2の基板の帯電に起因する電気光学物質への影響を低減できる。また、導電膜は開口部を閉塞しない態様で開口部の内面上に形成されるので、導電材が開口部内の導電膜に接触しやすくなることから、十分な導電接触状態を得ることができる。したがって、第1の基板と第2の基板の間に導電材を挟みこむだけで導電膜を接地させることができるので、従来よりも製造時の手間を軽減することができるとともに、電気的信頼性を高めることができる。
【0014】
ここで、上記導電材は、導電体のみを素材とするものに限らず、たとえば、絶縁材料中に導電性粒子が分散配置されたものなど、結果として導電膜と接地用電極とを導電接続することができるものであればよく、後述する実施形態に例示される態様に特に限定されるものではない。なお、上記導電膜は上記開口部の第1の基板側の面の開口縁まで到達するように構成されることが望ましい。これによって導電膜と導電材の導電接触をさらに容易かつ確実に実現できる。
【0015】
本発明の一の態様においては、前記導電膜は前記開口部の内面全体に形成されるとともに前記開口部の前記第1の基板側の開口縁の全周に到達している。これによれば、導電膜のうち開口部の内部を通過する部分の断面積を大きく確保することができるので、当該部分の電気抵抗を低減できる。また、導電膜が開口縁全周に形成されることで導電膜と導電材との接触面積を増大させることができるので、両者の導電接触状態をさらに良好かつ確実に得ることができる。
【0016】
本発明の他の態様においては、前記導電膜は、前記開口部の前記第1の基板側の開口縁から前記第2の基板の前記第1の基板側の面上に張り出す部分を有する。これによれば、導電膜が開口縁から周囲に張り出す部分を有することで導電材との導電接触状態をさらに容易かつ確実に得ることが可能になるとともに、導電接触面積も増大させることができる。
【0017】
本発明の別の電気光学装置は、第1の基板と、該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、前記第2の基板に設けられ、前記第1の基板と対向するとともに前記電気光学物質の配置されていない平面範囲内に開口し、前記第1の基板側の面から反対側の面まで貫通する開口部と、前記第2の基板の前記反対側の面上に設けられるとともに前記開口部を閉塞しない態様で前記開口部の内面上を経て前記第1の基板側の開口縁から周囲に張り出す導電膜と、前記第1の基板における前記第2の基板側の面の、前記周囲に張り出した前記導電膜の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続された接地用電極と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、前記導電膜の前記開口縁から張り出す部分に導電接触するとともに前記接地用電極に導電接触する導電材と、を具備することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、第2の基板の第1の基板とは反対側の面上に形成された導電膜が開口部の内面上を経て第1の基板側の開口縁から周囲に張り出す部分を有するように構成され、第1の基板の第2の基板側の面の上記張り出す部分の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられた接地用電極と上記導電膜の張り出す部分に導電材が導電接触することにより、導電膜が導電材を介して接地用電極に導電接続されることとなるので、第2の基板の帯電に起因する電気光学物質への影響を低減できる。また、第2の基板の前記反対側の面上に形成される導電膜は開口部を閉塞しない態様で開口部の内面上を通過して第1の基板側の面上に張り出す部分を有しているので、当該張り出す部分と接地用電極との間に導電材を介在させるだけで十分な導電接触状態を得ることができる。したがって、第1の基板と第2の基板の間に導電材を挟みこむだけで導電膜を接地させることができるので、従来よりも製造時の手間を軽減することができるとともに、電気的信頼性を高めることができる。
【0019】
本発明においては、前記導電材は、前記第1の基板と前記第2の基板の間に前記電気光学物質を包囲する枠状に形成されたシール材の内部に配置されていることが好ましい。これによれば、第1の基板と第2の基板の間に配置されるシール材の内部に導電材が配置されることにより、導電材を安定させることができるため、導電接続状態の安定性や電気的信頼性を高めることができ、さらにシール材の配置工程や基板貼り合わせ工程において製造時の手間を低減することが可能になる。
【0020】
この場合に、前記シール材は、絶縁材料中に、前記導電材として、前記第1の基板と前記第2の基板の基板間隔に対応する径を備えた複数の前記導電性粒子が分散配置されたものであることがさらに好ましい。これによれば、第1の基板と第2の基板の基板間隔に沿った方向の導電接続状態を確実に得ることができるとともに平面方向の絶縁性を確保することが可能となる。
【0021】
本発明においては、前記導電材は導電ペーストであることが好ましい。これによれば、開口部や導電膜の表面形状に応じて柔軟に変形した状態で導電接触するので、導電接続状態の安定性や確実性をさらに高めることができる。
【0022】
本発明においては、前記開口部の前記反対側の面の前記開口縁が傾斜面状に構成されることが好ましい。開口部の反対側の面の開口縁を傾斜面状とすることにより、開口縁上の導電膜と導電材との接触面積の増大や接触状態の安定性の向上を図ることができる。また、導電膜が開口縁の周囲に張り出す部分を有する場合には、導電膜のうち開口部の内面上に形成される部分と周囲に張り出す部分との導電接続状態を確実に得ることができる。ここで、開口縁が傾斜面状に構成されるとは、開口縁の角部が面取り加工や丸め加工を施された態様に形成されることで、開口部の内面と反対側の面の間に、両面のいずれの面方位とも異なる中間の面方位を有する傾斜面(平面でなくても曲面でもよい)が設けられることを言う。
【0023】
本発明においては、前記開口部の前記一側の面の開口縁が傾斜面状に構成されることが好ましい。開口部の一側の面の開口縁を傾斜面状に構成することにより、導電膜のうち第2の基板の一側の面上の部分と、開口部の内面上の部分との間の導電接続状態を確実に得ることができるので、電気的信頼性をさらに高めることができる。ここで、開口縁が傾斜面状に構成されるとは、開口縁の角部が面取り加工や丸め加工を施された態様に形成されることで、開口部の内面と一側の面の間に、両面のいずれの面方位とも異なる中間の方位を有する傾斜面(平面でなくても曲面でもよい)が設けられることを言う。
【0024】
本発明の異なる態様においては、前記第1の基板は前記第2の基板の端部より外側に張り出した基板張出部を有し、前記開口部は前記第2の基板の前記端部に設けられ、前記接地用電極は前記第2の基板と平面的に重なる領域から前記基板張出部上に延在し、前記導電材は前記接地用電極の前記第2の基板と平面的に重なる領域に導電接触している。これによれば、導電材は第2の基板と平面的に重なる領域において導電膜と接地用電極とに導電接触するため、導電材をコンパクトに設けることができる。また、接地用電極が基板張出部上に延在することで、接地用電極を接地電位が供給される配線等に容易に接続することができるようになる。ここで、導電材及び接地用電極は、開口部と平面的に重なる領域に配置され、当該領域において導電膜、導電材及び接地用電極が導電接触していることが好ましい。
【0025】
本発明のさらに異なる態様においては、前記第1の基板には、前記電気光学物質に前記第1の基板に沿った横電界を与えるための画素電極と共通電極が共に設けられ、前記第2の基板には前記画素電極と前記共通電極が設けられない。これによれば、第1の基板に画素電極と共通電極が共に設けられる場合には、第2の基板には本来的に電極を設ける必要がないが、電極が設けられていない第2の基板が帯電すると、上記横電界が第2の基板の帯電により変化し、電気光学物質の作用効果が大きく影響を受ける。したがって、上記構成の場合には特に本願発明の効果が高いものとなる。
【0026】
次に、本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の基板と、該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、を具備する電気光学装置の製造方法であって、前記第2の基板に一側の面から反対側の面に貫通する開口部を形成する工程と、導電材料を被着させることにより前記第2の基板の前記反対側の面上から前記開口部の内面上に延在する導電膜を形成する工程と、前記第1の基板の一側の面上に前記開口部の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続される接地用電極を形成する工程と、前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面の間に導電材を介在させて、該導電材が前記導電膜と前記接地用電極とに共に導電接触する態様で、前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面が前記電気光学物質を介して対向配置されるパネル構造を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明においては、前記導電膜を形成する工程は、前記第2の基板の前記反対側の面側から前記反対側の面と前記開口部の内面に第1の導電膜を被着させる第1の段階と、前記第2の基板の前記一側の面側から前記開口部の内面に第2の導電膜を被着させる第2の段階とを有し、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が前記開口部の内部にて導電接続されることにより前記導電膜が形成されることが好ましい。ここで、第1の段階と第2の段階とはいずれを先に実施しても構わない。これによれば、導電膜の一部として開口部の内面上に一側の面から反対側の開口縁に到達する導電経路を確実に形成することができる。
【0028】
また、本発明の別の電気光学装置の製造方法は、第1の基板と、該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、を具備する電気光学装置の製造方法であって、前記第2の基板に一側の面から反対側の面に貫通する開口部を形成する工程と、導電材料を被着させることにより前記第2の基板の前記反対側の面上から前記開口部の内面上を通過して前記一側の面の開口縁の周囲に張り出す導電膜を形成する工程と、前記第1の基板の一側の面上に前記周囲に張り出した前記導電膜の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続される接地用電極を形成する工程と、前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面の間に導電材を介在させて、該導電材が前記導電膜の前記開口縁の周囲に張り出す部分と前記接地用電極とに共に導電接触する態様で、前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面が前記電気光学物質を介して対向配置されるパネル構造を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0029】
本発明においては、前記導電膜を形成する工程は、前記第2の基板の前記反対側の面側から前記反対側の面と前記開口部の内面に第1の導電膜を被着させる第1の段階と、前記第2の基板の前記一側の面側から前記一側の面の前記開口縁の周囲部分と前記開口部の内面に第2の導電膜を被着させる第2の段階とを有し、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が前記開口部の内部にて導電接続されることにより前記導電膜が形成されることが好ましい。ここで、第1の段階と第2の段階とはいずれを先に実施しても構わない。これによれば、導電膜の一部として開口部の内面上に一側の面から反対側の開口縁に到達する導電経路を確実に形成することができる。
【0030】
本発明の上記製造方法においては、前記開口部を形成する工程では、前記開口部の前記反対側の面の前記開口縁が傾斜状に構成されることが好ましい。また、前記開口部の前記一側の面の開口縁も傾斜状に構成されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態の電気光学装置の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図。
【図2】第1実施形態の電気光学装置の全体構成を示す概略斜視図。
【図3】第1実施形態の電気光学装置の画素構造を示す拡大平面図。
【図4】第1実施形態の電気光学装置の画素構造を示す拡大縦断面図。
【図5】第2実施形態の電気光学装置の導電接続部を拡大して示す拡大部分縦断面図(a)及び(b)。
【図6】第2実施形態の電気光学装置の他の導電接続部を拡大して示す拡大部分縦断面図(a)及び(b)。
【図7】第3実施形態の電気光学装置の導電接続部を拡大して示す拡大部分縦断面図(a)及び第4実施形態の電気光学装置の導電接続部を拡大して示す拡大部分縦断面図(b)。
【図8】第5実施形態の電気光学装置の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図(a)及び第6実施形態の電気光学装置の導電接続部を拡大して示す拡大部分縦断面図(b)。
【図9】第1実施形態の電気光学装置のパネル構造を模式的に示す概略平面図。
【図10】第7実施形態の電気光学装置の製造方法を模式的に示す概略フローチャート。
【図11】第7実施形態の製造工程をそれぞれ示す概略断面図(a)及び(b)。
【図12】第7実施形態の製造工程を示す概略断面図。
【図13】従来の電気光学装置の全体構成を模式的に示す概略斜視図。
【図14】従来の電気光学装置の一部を拡大して示す概略部分縦断面図。
【図15】電子機器の外観を示す斜視図。
【図16】電子機器の表示制御系の構成を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る第1実施形態の電気光学装置の一部の構成を模式的に示す概略断面図、図2は電気光学装置の全体構成を示す概略斜視図である。本実施形態の電気光学装置は、第1の基板11と第2の基板12とが対向配置され、その間に電気光学物質である液晶13が配置されたパネル構造10Pを備えている。このパネル構造10Pは、第1の基板11と第2の基板12を張り合わせるための枠状のシール材14を有し、このシール材14の内側に上記液晶13が封入された状態とされている。
【0034】
第1の基板11の一側の面(第2の基板12側の面、以下、単に「内面」という。)11a上には、シール材14の内側において後述する内面構造110が形成される。また、この内面11a上には、ITO(インジウムスズ酸化物)や金属材料などからなる接地用電極19が形成される。この接地用電極19は、第1の基板11が第2の基板12と平面的に重なる領域(図示例ではシール材14の形成領域と重なる領域)から第1の基板11の第2の基板12の端部より外側に張り出してなる基板張出領域11Tまでシール材14の外側へ向けて延在するように構成されている。この接地用電極19は、上記第1の基板11が第2の基板12と平面的に重なる領域のうち、特に、後述する開口部12cの少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられるように構成される。
【0035】
第2の基板12の一側の面(第1の基板11側の面、以下、単に「内面」という。)12a上には、シール材14の内側において後述する内面構造120が形成される。また、第2の基板12の端部であって、上記シール材14と平面的に重なる領域には、上記内面12aから当該内面12aとは反対側の面(以下、単に「外面」という。)12bまで貫通する開口部12cが設けられている。この開口部12cは図示例では開口断面が円形の孔として示されている。ただし、開口断面の形状は任意であり、例えば、開口部12cは開口断面形状が多角形とされた角孔であってもよい。また、開口部12cは、図示例のような孔ではなく、第2の基板12の端部に開放された切り欠き状の開口部であってもよい。
【0036】
第2の基板12の外面12b上にはITO等の透明導電体よりなる導電膜29が形成されている。この導電膜29は、第2の基板12の外面12bのうち、少なくとも後述する有効表示領域Aの全体を覆うように形成される。導電膜29は、外面12b上に形成された外側部分29aと、この外側部分29aに対して上記開口部12cの外面12b側の開口縁12eを越えて導電接続され、開口部12cの内部の表面である内面12d上に形成された内側通過部分29bとを有する。図示例では、当該内側通過部分29bは内面12d上から開口部12cの内面12a側の開口縁12fまで到達している。また、図示例では、導電膜29は上記内側通過部分29bに対して上記開口縁12fを越えて導電接続され、開口縁12fの周囲の内面12a上に張り出した内側張出部29cを備えている。なお、上記内側通過部分29bは開口部12cを閉塞しないように形成され、その結果、内側通過部分29bの内側は空洞となっている。
【0037】
シール材14は液晶13を取り巻くように枠状(図示例では矩形枠状)に構成される。このシール材14は、上記開口部12cと平面的に重なる部分において図1に示すように導電膜29の内側通過部分29b及び内側張出部分29cと導電接触している。図示例の場合、シール材14は絶縁樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)14a中に導電性粒子14bが混入されたものであり、当該導電性粒子14bは導電膜29と接地用電極19とに共に導電接触した状態とされている。また、シール材14は開口部12cの内部に嵌合し、その第2の基板12側の一部が開口部12cの内部に第2の基板12の厚さを超えない範囲で入り込んだ形状となっている。図示例の場合、シール材14は開口部12cの全体を内側から覆い、これによって開口部12cの内部の空洞は内側から完全に閉鎖されている。
【0038】
第1の基板11の第2の基板12とは反対側の面(以下、単に「外面」という。)11b上には偏光板17が貼着され、上記有効表示領域Aの全体を覆っている。また、第2の基板12の外面12b上にも偏光板18が貼着され、上記有効表示領域Aの全体を覆っている。図示例の場合、上記開口部12cは偏光板18によって外側から完全に覆われ、これによって開口部12cの内部の空洞は外側から完全に閉鎖されている。
【0039】
なお、図2に示すように、上記開口部12cは第2の基板12の角部(第1の基板11の基板張出部11T側の二つの角部)に設けられている。当該角部は他の部位に比べて第1の基板11及び第2の基板12の変形が生じにくいことから、上記のように開口部12cを第2の基板12の角部に形成することにより、導電膜29、導電材(導電性粒子)14b及び接地用電極19の導電接続部に変形応力が加わり難くなるため、安定した導電接続状態が確保され、電気的信頼性を高めることが可能になる。
【0040】
第1の基板の上記基板張出部11T上には、図2に示すように、上記接地用電極19とともに有効表示領域Aから引き出された複数の表示側配線112p、113p、116pが延在している。これらの表示側配線112p、113p、116pは、基板張出部11Tの中央部上に実装された駆動回路を構成する駆動IC150に導電接続されている。また、基板張出部11T上には複数の入力側配線118pが形成され、これらの入力側配線118pは、上記駆動IC150と、基板張出部11Tの端縁に実装されたフレキシブル配線基板等で構成される配線部材170に接続されている。なお、配線部材170の先端には電子機器の本体への接続コネクタ173が形成される。ここで、接続コネクタ173は、上記基板張出部11Tの幅方向側方に配置されているが、本発明は特に配線部材170の形状を何ら限定するものではない。
【0041】
本実施形態は、上述のように電気光学物質として液晶13を用いた液晶表示体を構成する上記パネル構造10Pを備えたものである。しかし、本発明は、液晶表示体に限らず、上記導電膜29による静電気の影響を低減する意義のある各種の電気光学装置、例えば、電気泳動表示体、有機EL表示体などにも適用できる。
【0042】
また、本実施形態は、上述のように液晶表示体を構成するパネル構造10Pを有するものであるが、各種の液晶表示体の中でもIPS方式やFFS方式といった横電界方式の液晶表示体に対して適用する場合に高い効果を奏するものであるので、以下、本実施形態のパネル構造10Pの構成例としてFFS方式の構造について説明する。
【0043】
図9は本実施形態のパネル構造10Pの全体構成を示す概略平面図である。本実施形態において、シール材14の内側には有効表示領域Aが設けられ、この有効表示領域A内には多数のサブ画素SGが縦横にマトリクス状に配列されている。有効表示領域A内においては、上記サブ画素SGの配列方向のうち上記基板張出部11Tの側から反対側に向けた方向に複数のデータ線116が並行に延在している。また、有効表示領域A内においては、上記のデータ線116と直交する方向に複数のゲート線112及びコモン線113が並行に延在している。そして、有効表示領域A内においては、全体として格子状に構成された上記データ線116とゲート線112及びコモン線113とによって囲まれた平面領域にそれぞれ上記サブ画素SGが構成される。
【0044】
本実施形態の液晶装置10は、図1に示すように、第1の基板11の内面11a上に第1の内面構造110が形成され、第2の基板12の内面12a上に第2の内面構造120が形成される。そして、第1の内面構造110と第2の内面構造120により、上記の各サブ画素SGが画成されるとともに各サブ画素SGにおいてそれぞれ独立した電界が液晶13に付与可能とされる。本実施形態においてカラー表示を可能とする表示体を構成する場合には、図3に示すように、複数の隣接するサブ画素SGとして後述するように異なる色のフィルタ層Gr、Gg、Gbが配置された複数のサブ画素SGが一組となって画素(ピクセル;絵素)Gを構成する。
【0045】
図3及び図4に示すように、第1の内面構造110は、第1の基板11上に下地絶縁層111を介して形成されたゲート線112及びコモン線113と、このコモン線113に導電接続された共通電極114と、ゲート線112に対しゲート絶縁膜112aを介して上方に対向配置されるシリコン等の半導体層115と、上記ゲート線112及びコモン線113とは交差する方向に伸びるデータ線(ソース線)116と、データ線116に導電接続され、半導体層115に導電接続されたソース電極116aと、当該ソース電極116aに対し半導体層115のチャネル領域(ゲート線112の一部のゲート電極となる部分と対向する活性領域)を挟んで半導体層115に導電接続されるドレイン電極116bと、このドレイン電極116bに導電接続されるとともに、上記共通電極114と絶縁層119を介して平面的に重ねて配置され、共通電極114と平面的に重なる範囲に開口部117aを備えた画素電極117とを有する。なお、この第1の画素構造110には上述の配向膜16も含まれる。
【0046】
上記ゲート線112のゲート電極部分、ゲート絶縁膜112a、半導体層115、ソース電極116及びドレイン電極116bは画素G毎に設けられるスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)を構成し、このゲート線112の電位によってオンオフ制御される当該TFTを介してデータ線116の電位が画素電極117に供給される。そして、共通電極114と画素電極117との間に電位差が与えられると、画素電極117の開口部117aを通して第1の内面構造110の表面に沿った横電界が形成され、これが液晶13に付与される。
【0047】
一方、第2の内面構造120には、第2の基板12上にCrやCr合金等よりなる遮光膜121が形成され、この遮光膜121の非形成領域がサブ画素SGを画成するとともに、遮光膜121の形成領域が画素間領域Hを構成する。また、その上にはカラーフィルタ122が形成される。このカラーフィルタ122は、サブ画素SG毎に対応する色を備えたフィルタ層が配列されたものである。図示例では、赤色のフィルタ層を備えた画素Gr、緑色のフィルタ層を備えた画素Gg、青色のフィルタ層を備えた画素Gbが順番に配列されている様子を示してある。これらのフィルタ層の配列パターンとしては、本実施形態の場合にはストライプ配列、斜めモザイク配列などが例示される。各色のフィルタ層の境界は上記遮光膜121の設けられた画素間領域Hに配置される。なお、この第2の内面構造120にも配向膜123が含まれる。
【0048】
図9に示すように、上記ゲート線112は基板張出領域11T上に引き出されて上記表示用配線112pとなり、上記コモン線113も基板張出領域11T上に引き出されて上記表示用配線113pとなり、上記データ線116は基板張出領域11T上に引き出されて上記表示用配線116pとなり、それぞれ駆動IC150に導電接続される。また、上記入力用配線118pは駆動IC150と配線部材170とに導電接続され、配線部材170に設けられた複数の主配線パターン171に導電接続される。また、上記接地側電極19は、配線部材170に設けられた接地用配線パターン172に導電接続される。
【0049】
再び図1及び図2を参照して説明を続ける。本実施形態において、上記導電膜29の外側部分29aは第2の基板12の少なくとも上記有効表示領域A内を完全に被覆している。そして、有効表示領域Aからの光の出射を可能とするために、導電膜29の外側部分29aは透光性、好ましくは透明性を有したものとされる。このような導電膜29の外側部分29aを構成する素材としては、ITO、SnOなどの透明導電体が挙げられる。上記の外側部分29aは有効表示領域Aの外側においては少なくとも開口部12cの開口縁12eの少なくとも一部に到達するように形成される。第2の基板12の開口部12cは、上記有効表示領域Aの外側であって、しかも、液晶13等の電気光学物質の配置されている平面範囲の外側に形成される。
【0050】
本実施形態では、開口部12cの形成位置は、電気光学物質の配置されている平面範囲の外側にあり、シール材14が配置されている領域と平面的に重なる。これは、本実施形態の導電材がシール材14の内部に配置された導電性粒子14bとなっているためである。しかしながら、一般的には、開口部12cの形成位置をシール材14よりもさらに外側に配置するとともに、導電材をシール材14の外側に設けても構わない。なお、図示例ではシール材14を絶縁樹脂14a内に導電性粒子14bが分散配置されたものとしているが、例えば、シール材14を導電ペースト等の導電性材料で構成してもよい。この場合には、図9に示すように各種配線112p、113p、116pに対する絶縁のための絶縁層14xを形成する。
【0051】
最も好ましい態様としては、外側部分29aは、開口部12cの開口縁12eを全周にわたって覆うように設けられる。また、この場合には、内側通過部分29bもまた、開口部12cの内面12dの全体を覆うように構成されることが好ましい。このようにすると、導電膜29の外側部分29aと内側通過部分29bとが開口縁12eの全周にわたって導電接続されることとなるので、導電膜29の当該部分の電気抵抗を低減することができる。なお、上記のように開口部12cの内面12dの全体に形成された導電膜を介して導電接続する態様は、導電接続部をコンパクトに構成しつつ導電接触面積を確保して電気抵抗を低減する上で好適な構成である。
【0052】
なお、導電膜29の全てが同一素材で一体に構成されている必要はなく、例えば、外側部分29aと、内側通過部分29bと、内側張出部分29cとが別々の素材で構成されていてもよいなど、任意の部分が他の部分と異なる素材で構成されていてもよい。例えば、典型的には、有効表示領域A内の部分が透明導電体で構成され、有効表示領域A以外の部分が金属材料で構成されてもよい。また、導電膜29の全体が同一素材で構成されるか異なる二以上の素材で構成されるかを問わず、導電膜29は単一の工程で形成されたものであってもよく、或いは、二以上の工程で形成されたものであってもよい。
【0053】
本実施形態において、導電膜29と導電性粒子14bとの導電接触の態様は、開口部12cとの位置関係において種々考えられる。図示例では、導電性粒子14bは開口部12cの少なくとも一部と平面的に重なる位置に配置され、導電性粒子14bが内側通過部分29b及び内側張出部分29cに導電接触している。このとき、内側通過部分29b及び内側張出部分29cは開口部12cの開口縁12fの全周にわたって形成されているので、導電性粒子14bとの導電接触状態を確実に得ることができる。ここで、導電性粒子14bが開口部12cの開口領域の全体と平面的に重なる位置に配置され、開口縁12fの全周上に形成された導電膜29と全周にわたって導電接触することが電気抵抗を低減する上で好ましい。ただし、シール材14内に含まれる導電性粒子14bを正確に開口部12cと平面的に一致した位置に配置することは必ずしも容易ではない。この場合、導電材を後述する導電ペーストなどの均質な導電体とみなし得る素材で形成したときには、当該導電ペーストを開口部12cと平面的に重なる範囲を含むように配置することは容易に実現できる。
【0054】
以上のように構成された本実施形態では、第2の基板12に開口部12cが設けられ、この開口部12cの内面12d上に形成されて開口縁12fに到達する導電膜29の内側通過部分29b及びこの内部通過部分29bから更に張り出した内側張出部分29cがシール材14の導電材である導電性粒子14bに導電接触し、この導電性粒子14bがさらに接地用電極19に導電接触されている。したがって、第2の基板12に設けられた導電膜29は導電材であるシール材14内の導電性粒子14bを介して接地用電極19に導電接続されることで、外部の静電気等により第2の基板12が帯電することを防止でき、これによって有効表示領域A内の電界の異常を回避して表示態様の適正化を図ることができる。
【0055】
また、接地用電極19は開口部12cの少なくとも一部と平面的に重なる領域を含むので、導電性粒子14bである導電材を間に配置するだけで、開口縁上の導電膜29と接地用電極19とを容易かつ確実に導通させることができる。
【0056】
特に、第2の基板12の外面12b上に形成された導電膜29の外側部分29aは、開口部12cの内部を通って第1の基板11と第2の基板12の間に配置される導電材(導電性粒子14b)に導電接続されるので、従来の特許文献1や図12及び図13に示された導電接続構造のように外部に露出した状態にはならず、導電接続構造が第2の基板12の開口部12c内を通過して第1の基板11と第2の基板12の間の導電材を経て接地されるので、断線の虞を低減できるとともに、装置をコンパクトに構成することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態では、従来の特許文献2に記載されているように導電膜を接地するために導電ペースト等の導電材を第2の基板の貫通孔を通してさらに第1の基板上まで到達させる必要がなく、第1の基板11と第2の基板12の間に配置された導電材を、第2の基板12に設けられた開口部12cの開口縁若しくはその周囲上の導電膜29に導電接触させるだけで足りるので、導電接続構造の形成を容易に行うことができるとともに、電気的信頼性も高めることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、開口部12cと平面的に重なった位置にシール材14が配置され、このシール材14の一部が開口縁12fから開口部12cの内部に第2の基板12の厚さを超えない範囲で入り込む態様で導電膜29と導電性粒子14bとが導電接触しているので、導電接続構造を容易に実現できるとともに導電接続状態を安定させることができ、電気的信頼性をさらに向上させることが可能となっている。
【0059】
本実施形態では、開口部12cの内面12d上に導電膜29の一部である内側通過部分29bが形成されるが、この内側通過部分29cは開口部12cを閉塞しないように、すなわち、内側通過部分29cが形成されても、開口部12cの内部に内面12aから外面12bまでの通路(空洞)が確保されるように構成される。これによって、導電性粒子14bなどの導電材が内側通過部分29bに直接導電接触するように構成することも可能になる。これは、特に後述するように導電ペーストのような開口部12cに第2の基板12の厚さを超えない範囲で入り込むことができる導電材を用いる場合には特に有用である。この場合には、導電膜29に上記内側張出部分29cを設ける必要はなく、内側通過部分29bがある程度内面12aに近いところまで形成されていれば足りる。
【0060】
また、図示例ではシール材14の一部が開口部12cの内部に入り込んだ状態とされているが、これによって導電膜29と導電性粒子14bとの導電接触状態が安定化し、電気的信頼性を高めることができる。ただし、シール材14は開口部12cの内部に完全に充填されることのないように、すなわち、開口部12cの内部(少なくとも上部)に空洞が残存するように構成されることが好ましい。特に、開口部12c内に入り込んだシール材14は少なくとも外面12b側の開口縁12eよりも外側に突出することがないように構成されることが望ましい。
【0061】
[第2実施形態]
次に、図5を参照して本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、開口部12cの断面形状以外は先の第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0062】
本実施形態では第1実施形態における開口部12cの開口縁12e、12fを傾斜面状に構成している。ここで、図5(a)に示す開口縁12e′、12f′は丸め加工された場合と同様の形状とされ、図5(b)に示す開口縁12e″、12f″は面取り加工された場合と同様の形状とされたものである。ここで、傾斜状とは、第2の基板12の外面12b若しくは内面12aと、開口部12cの内面12dとの間の開口縁にいずれの面の方位とも異なる中間の傾斜した面方位を有する傾斜面が設けられることを言う。ここで、当該傾斜面は平坦である必要はなく、図5(a)に示すように方位が変化する曲面状(凸曲面状)であってもよい。
【0063】
また、図6(a)に示すように、内面12d′が外面12b側から内面12a側に向けて全体的に開口部12c′が拡径する態様で軸線方向全体にわたる傾斜面となっていてもよく、これとは逆に、図6(b)に示すように、内面12d″が内面12a側から外面12b側に向けて全体的に開口部12c″が拡径する態様で軸線方向全体にわたる傾斜面となっていてもよい。すなわち、内面12d′、12d″が外面12bと内面12aとのいずれか一方から他方にわたる傾斜面となっていてもよい。
【0064】
なお、図6に示す例でも、開口縁12g、12g′、12h、12h′が丸め加工された状態を示すが、これに限定されるものではなく、上記の面取り加工された形状でもよく、或いは、このような傾斜面が設けられていなくてもよい。
【0065】
上記のような傾斜面状の開口縁12e′、12e″、12f′、12f″・・・・を設けることで、当該開口縁上に導電膜29を形成しやすくなり、導電膜29の外側部分29a若しくは内側張出部分29cと、内側通過部分29bとの導電接続性を確保しやすくなるので、開口部12cの内部を通過する導電経路において断線が発生することを防止でき、電気的信頼性を高めることができる。
【0066】
特に、導電膜29を後述するように外側及び内側から被着させる方法で形成する場合には、上記のような傾斜面状の開口縁が設けられることで導電膜29の素材が開口部12cの内部に入り込みやすくなるので、導電膜29の内側通過部分29bを確実に形成することができる。なお、上記構成において、開口部12cの内面12a上の開口縁と外面12b上の開口縁の何れか一方のみを上記のように傾斜面状に構成してもよい。また、本実施形態の以上の構成は、本明細書中の他の実施形態にも適用できる。
【0067】
また、本実施形態では、シール材14が開口縁12f′、12f″によって開口部12cの内部に入り込みやすくなるので、開口部12cに対するシール材14の安定性が向上し、これによって導電膜29と導電性粒子14bの導電接触状態の信頼性を高めることができるという効果もある。
【0068】
「第3実施形態」
次に、図7(a)を参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本実施形態では、開口部12cとシール材14′とが平面的に重なる位置に配置されている点では先の第1実施形態及び第2実施形態と同様である。しかしながら、絶縁樹脂等の絶縁材料で構成されるシール材14′の内部における開口部12cと平面的に重なる領域に導電ペースト等の導電材14cが配置され、この導電材14cが開口部12cの開口縁12f上の導電膜29(内側通過部分29b及び内側張出部分29c)に導電接触している点で異なる。
【0069】
この実施形態では、導電材14cが開口部21cと平面的に重なる範囲全体に配置され、当該導電材14cが開口縁12f上の導電膜29と全周にわたって導電接触しているため、電気抵抗を低減できるとともに導電接続状態を確実に得ることができるため電気的信頼性を向上させることができる。図示例では導電材14cは導電ペーストにより構成され、導電材14cの一部が開口部12cの内部に第2の基板12の厚さを超えない範囲で入り込んだ状態とされているので、導電膜29と導電材14cの導電接続部の安定性が向上し、かつ、導電接触面積もさらに増大している。
【0070】
なお、上述のように第1実施形態に置いて説明した内側通過部分29bに導電材が直接導電接触する構成や内側張出領域29cを設けなくてもよい点は、本実施形態でも同様であり、第2実施形態や後述する第6実施形態でも同様である。
【0071】
[第4実施形態]
次に、図7(b)を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本実施形態では、シール材14が絶縁材料14a中に導電性粒子14bを含む点で上記第1実施形態と同様である。しかしながら、開口部12cが当該シール材14と平面的に重ならない位置、図示例ではシール材14よりも外側(有効表示領域Aとは反対側)に配置されている点で異なる。
【0072】
そして、開口部12cの内面上に形成された内側通過部分29bと導電接続された内側張出部分29cがシール材14と平面的に重なる位置まで延在し、この内側張出部分29cと、第1の基板11上の接地用電極19とが平面的に重なるように構成される。内側張出部分29cと接地用電極19とはシール材14中の導電性粒子14bを介して導電接触している。
【0073】
本実施形態では、導電膜29の内側張出部分29cと接地用電極19とが導電材を介して導電接続されているので、上記と同様に導電膜29が接地されることによる効果を得ることができる。このように、本発明では、開口部12cと導電材とが平面的に重なる必要はなく、結果的に開口部12cの内面上に形成された内側通過部分29bを介して第1の基板11と第2の基板12の間に配置される導電材により導電膜29が接地用電極19に導電接続されていればよい。
【0074】
[第5実施形態]
次に、図8(a)を参照して本発明に係る第5実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本実施形態では、開口部12cとシール材14″とが平面的に重なる位置に配置され、シール材14が開口部12cの開口縁12f上の導電膜29に接触している点では上記第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態のシール材14″は絶縁材料のみで構成されているので、導電膜29と導電接続する機能を有するものではない。
【0075】
本実施形態では、導電膜29の内側張出部分29cがシール材14″と平面的に重ならない領域まで延在し、当該領域において第1の基板11上の接地用電極19と平面的に重なっている。そして、第1の基板11と第2の基板12の間に配置される導電材15がシール材14″とは異なる位置において内側張出部分29cと接地用電極19とを導電接続している。図示例の場合、導電材15はシール材14″に対して有効表示領域Aとは反対側の外側に配置される。また、導電材15は導電ペースト等によって構成される。
【0076】
[第6実施形態]
次に、図8(b)を参照して本発明に係る第6実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本実施形態では、開口部12cと導電材15とが平面的に重なる位置に配置され、導電材15が開口部12cの開口縁12f上の内側通過部分29b及びその周囲の内側張出部分29cと導電接触している。シール材14″は第5実施形態と同様に絶縁材料のみで構成され、そのシール材14″の外側(有効表示領域Aとは反対側)に上記開口部12c及び導電材15が配置されている。導電材15は第5実施形態と同様に導電ペースト等によって構成される。また、導電材15は開口部12cの内部に第2の基板12の厚さを超えない範囲で入り込む態様で嵌合している。
【0077】
本実施形態では、開口部12cと導電材15とが平面的に重なり合う位置に配置され、導電膜29と導電材15とが開口部12cに嵌入した状態で導電接触しているので、導電接触面積を増大させることができるとともに導電接続構造を安定させることができるため、電気的信頼性をさらに高めることが可能になる。この場合、シール材14″の位置に制約されずに導電接続構造を構成することができるので、設計上の自由度を高めることができるという利点もある。
【0078】
[第7実施形態]
次に、図10乃至図12を参照して本発明の電気光学装置の製造方法を第7実施形態として説明する。本実施形態では、図10に示すように、第2の基板12に開口部12cを形成する穿孔加工工程S1と、第2の基板12に導電膜29を形成する導電膜形成工程S2とを有する。また、第2の基板12の内面12a上に第2の内面構造120を形成する工程S3と、第1の基板11の内面11a上に第1の内面構造110を形成する工程S4とを有する。さらに、その後に第1の基板11の内面11aと第2の基板12の内面12aとを向かい合わせにして、いずれか一方の内面上にシール材14、14′、14″を配置することで両基板の間にシール材を介在させ、必要に応じて導電材14c、15をも介在させた状態で、両基板を貼り合わせる工程S5を実施し、上記パネル構造10Pを形成する。最後に、駆動IC150や配線部材170の実装等を行う(工程S6)。
【0079】
上記穿孔加工工程S1は、例えば、セラミックス等の硬質粒子を吹き付けて穿孔を行うブラスト加工(サンドブラスト加工)によって行うことができる。また、ウエットエッチング加工やドライエッチング加工などによっても実施することが可能である。このような加工方法は、第2の基板12がガラス、石英、プラスチックなどのいずれの素材で構成されていても可能である。また、プラスチック基板であれば、ドリル加工、加熱成形などによっても開口部12cを形成することができる。また、上記第2実施形態のような傾斜面状の開口縁も、機械的加工や加熱成形のほか、上記の加工方法による加工範囲を周囲に広げることで容易に形成できる。
【0080】
また、上記導電膜形成工程S2は、図11(a)に示すように、第2の基板12の外面12bに対して当該外面12bの側(外側、図示上側)から導電膜29を被着する。導電膜29は、例えば、スパッタリング法によって透明導電膜を外面12b上に成膜することによって形成される。このとき、導電膜29が外面12b上に被着されて外側部分29aが形成されるとともに、開口部12cの内面12d上にも被着されて内側通過部分29bの一部29b−1が形成される。
【0081】
なお、上記導電膜形成工程S2では、スパッタリング法の他に、CVD法や蒸着法を用いることもできる。また、導電ペーストのような塗布可能な態様の材料であれば、導電材料を塗布することによって形成することも可能である。ただし、少なくとも有効表示領域A内に形成される導電膜29の部分は透光性を有する材料で形成する必要がある。
【0082】
ここで、上記の図11(a)に示す第1の段階で、開口部12cの内面12d上に形成される内側通過部分29bが内面12a側の開口縁12fの近傍まで到達するのであれば、導電膜形成工程S2はそれで完了させることができる。しかしながら、上記のように開口部12cのうち外面12b側の内面12dにのみ導電膜29の部分29−1が形成され、導電膜29が内面12a側の開口縁12fの近傍に到達しない場合には、その後、図10(b)に示すように、内側から導電膜29を被着する第2の段階を実施する。
【0083】
第2の段階では、第2の基板12の内面12a側(内側、図示下側)から上記と同様に導電膜29を被着させ、開口部12cの内面12d上(開口縁12f上をも含む範囲であることが好ましい。)に内側通過部分29bの他の一部29b−2を形成する。ここで、当該一部29b−2は少なくとも上記一部29b−1と導電接続された状態となるように構成される。また、この第2の段階では、図示例のように内面12aにおける開口縁12fの周囲部分に内側張出部分29cを形成することが好ましい。ただし、この内側張出部分29cは第1実施形態、第3実施形態及び第6実施形態では必須の構成ではない。しかしながら、これらの場合でも、内側通過部分29bが結果として開口縁12fに到達するように構成されることが好ましい。
【0084】
なお、上記の第2の段階は、第2の基板12の内面上に上記第2の内面構造120を形成する工程中の少なくとも一つの段階と同時に実施することができる場合がある。例えば、上記第1実施形態であれば、第2の基板12の内面12a上には遮光膜121を形成する段階が設けられるので、上記一部29b−2及び内側張出部分29cを遮光膜121と同じ材料及び同じ方法で同時に形成することが可能である。ここで、遮光膜121はCr等の金属で形成する場合があり、また、蒸着法やスパッタリング法で形成する場合があるので、これらの場合には上記一部29b−2及び内側張出部分29cを同じ金属材料で同じ成膜方法で遮光膜121と同時に形成することができる。このようにすると、第2の段階を別途新たに設ける必要がなくなる。
【0085】
なお、導電膜29については、前述のように少なくとも第2の基板12の外面12b(の有効表示領域A)上に形成される部分が透光性を有する必要があり、他の部分は導電性を有していれば足りるので、第1の段階で形成される部分をITO等の透明導電体で形成し、第2の段階で形成される部分を金属材料で形成することが好ましい。
【0086】
第1の基板11の内面11a上に第1の内面構造110を形成する工程S4と、第2の基板12の内面12a上に第2の内面構造120を形成する工程S3は、公知の手段によって適宜に実施することができる。この場合、工程S3とS4は同時並行して行ってもよく、いずれを先に実施してもよい。ここで、第1の基板11に第1の内面構造110を形成する工程中の少なくとも一つの段階において上記接地用電極19が同時に形成されることが好ましい。当該接地用電極19は導電材料で構成される必要があるので、第1の内面構造110の配線を形成する工程、他の電極(例えば、画素電極、共通電極、トランジスタのゲート電極など)を形成する工程と同時に形成することができる。このようにすると、接地用電極19を形成する段階を別途新たに設ける必要がなくなる。
【0087】
しかる後に、図12に示すように、工程S5において、第1の基板11の内面11aと第2の基板12の内面12aとをシール材14、14′、14″を挟んで貼り合わせる。このとき、必要に応じて上述の導電材14cや15も両基板の間に挟まれるようにする。いずれの場合でも、シール材14、14′、14″及び導電材14c、15は、第1の基板11と第2の基板12との間で挟圧されることで両基板の内面11a、12aに圧着され、これによって、導電膜29と接地用電極19がシール材14、導電材14c、15によって導電接続される。このようにすると、導電材(導電性粒子14bを含む。)を導電膜29及び接地用電極19に導電接触させるための段階を別途新たに設ける必要がなくなる。
【0088】
その後、工程S6において、図1及び図2に示す駆動IC150及び配線部材170の実装、偏光板17、18の貼着などを実施し、上記パネル構造10Pを完成させる。本実施形態の製造方法では、通常のパネル構造10Pが完成したときには既に上記導電膜29は接地用電極19に導電接続されていて、しかも、当該導電接続構造が内部に隠れた状態にあるので、図13及び図14に示す構造のように外部に露出した導電ペースト5が硬化するまで待つ必要がないため、迅速かつ容易に製造することができ、装置もコンパクトに構成できる。
【0089】
[電子機器]
最後に、図15及び図16を参照して、電気光学装置100を備えた電子機器の実施形態について説明する。この電子機器200は、上記のパネル構造10Pを含む電気光学装置100を内部に搭載したものであり、図15は当該電子機器200の一例として携帯電話機を示している。
【0090】
電子機器200は、複数の操作ボタン、送話口などを備えた操作部201と、受話口などを備えた表示部202とを有し、表示部202の内部に電気光学装置100が組み込まれてなる。そして表示部202の表面(内面)上において電気光学装置100のパネル構造10Pの有効表示領域A(図8参照)を視認することができるようになっている。この場合、電子機器200の内部には、上記電気光学装置100を制御する後述する表示制御回路が設けられる。この表示制御回路は、上記パネル構造10Pを駆動する駆動回路150に対して所定の制御信号を送り、電気光学装置100の表示態様を決定する。
【0091】
図16は電子機器200に搭載された電気光学装置100に対する制御系(表示制御系)の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器200は、表示情報出力源291と、表示情報処理回路292と、電源回路293と、タイミングジェネレータ294と、照明装置160への電力供給を行う光源制御回路295とを含む表示制御回路290を有する。また、電気光学装置100には、上述の構成を有するパネル構造10Pと、このパネル10Pを駆動する駆動回路150と、パネル構造10Pを照明する照明装置(バックライト)160とが設けられている。
【0092】
表示情報出力源291は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ294によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路292に供給するように構成されている。
【0093】
表示情報処理回路292は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路150へ供給する。駆動回路150は、走査線駆動回路、信号線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路293は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0094】
光源制御回路295は、電源回路293から供給される電圧に基づいて照明装置160の光源に電力を供給し、所定の制御信号に基づいて光源の点灯の有無及びその輝度等を制御するようになっている。
【0095】
また、本発明に係る電子機器としては、図15に示す携帯電話機の他に、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末機などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として本発明に係る電気光学装置を用いることができる。ただし、本発明は電気光学装置100の小型化(コンパクト化)を妨げないという特徴を有するため、特に、携帯電話、電子時計、携帯型情報端末などといった携帯型電子機器に用いる場合に有効である。
【0096】
尚、本発明の電気光学装置及びその製造方法並びに電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、第1の基板11を背後に、第2の基板12を視認側に配置してなるパネル構造10Pについて説明したが、これとは逆に、第1の基板11を視認側に、第2の基板12を背後に配置してなる構造であっても構わない。
【符号の説明】
【0097】
10P…パネル構造、100…電気光学装置、11…第1の基板、12…第2の基板、12c…開口部、12d…開口部の内面、13…液晶、14、14′、14″…シール材、14c、15…導電材、19…接地用電極、29…導電膜、29a…外側部分、29b…内側通過部分、29c…内側張出部分、110…第1の内面構造、120…第2の内面構造、150…駆動IC、160…照明装置、170…配線部材、200…電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、
前記第2の基板に設けられ、前記第1の基板と対向するとともに前記電気光学物質の配置されていない平面範囲内に開口し、前記第1の基板側の面から反対側の面まで貫通する開口部と、
前記第2の基板の前記反対側の面上に設けられるとともに前記開口部を閉塞しない態様で前記開口部の内面上に延在する導電膜と、
前記第1の基板における前記第2の基板側の面の、前記開口部の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続された接地用電極と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、前記導電膜と前記接地用電極に共に導電接触する導電材と、
を具備することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記導電膜は前記開口部の内面全体に形成されるとともに前記開口部の前記第1の基板側の開口縁の全周に到達していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記導電膜は、前記開口部の前記第1の基板側の開口縁から前記第2の基板の前記第1の基板側の面上に張り出す部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
第1の基板と、
該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、
前記第2の基板に設けられ、前記第1の基板と対向するとともに前記電気光学物質の配置されていない平面範囲内に開口し、前記第1の基板側の面から反対側の面まで貫通する開口部と、
前記第2の基板の前記反対側の面上に設けられるとともに前記開口部を閉塞しない態様で前記開口部の内面上を経て前記第1の基板側の開口縁から周囲に張り出す導電膜と、
前記第1の基板における前記第2の基板側の面の、前記周囲に張り出した前記導電膜の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続された接地用電極と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、前記接地用電極に導電接触する導電材と、
を具備することを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
前記導電材は、前記第1の基板と前記第2の基板の間に前記電気光学物質を包囲する枠状に形成されたシール材の内部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記シール材は、絶縁材料中に、前記導電材として、前記第1の基板と前記第2の基板の基板間隔に対応する径を備えた複数の前記導電性粒子が分散配置されたものであることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記導電材は導電ペーストであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記開口部の前記反対側の面の前記開口縁は傾斜面状に構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記開口部の前記一側の面の開口縁が傾斜面状に構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
第1の基板と、該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、を具備する電気光学装置の製造方法であって、
前記第2の基板に一側の面から反対側の面に貫通する開口部を形成する工程と、
導電材料を被着させることにより前記第2の基板の前記反対側の面上から前記開口部の内面上に延在する導電膜を形成する工程と、
前記第1の基板の一側の面上に前記開口部の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続される接地用電極を形成する工程と、
前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面の間に導電材を介在させて、該導電材が前記導電膜と前記接地用電極とに共に導電接触する態様で、前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面が前記電気光学物質を介して対向配置されるパネル構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
前記導電膜を形成する工程は、前記第2の基板の前記反対側の面側から前記反対側の面と前記開口部の内面に第1の導電膜を被着させる第1の段階と、前記第2の基板の前記一側の面側から前記開口部の内面に第2の導電膜を被着させる第2の段階とを有し、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が前記開口部の内部にて導電接続されることにより前記導電膜が形成されることを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項12】
第1の基板と、該第1の基板に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置された電気光学物質と、を具備する電気光学装置の製造方法であって、
前記第2の基板に一側の面から反対側の面に貫通する開口部を形成する工程と、
導電材料を被着させることにより前記第2の基板の前記反対側の面上から前記開口部の内面上を通過して前記一側の面の開口縁の周囲に張り出す導電膜を形成する工程と、
前記第1の基板の一側の面上に前記周囲に張り出した前記導電膜の少なくとも一部と平面的に重なる位置に設けられ、外部に導電接続される接地用電極を形成する工程と、
前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面の間に導電材を介在させて、該導電材が前記導電膜の前記開口縁の周囲に張り出す部分と前記接地用電極とに共に導電接触する態様で、前記第1の基板の前記一側の面と前記第2の基板の前記一側の面が前記電気光学物質を介して対向配置されるパネル構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
前記導電膜を形成する工程は、前記第2の基板の前記反対側の面側から前記反対側の面と前記開口部の内面に第1の導電膜を被着させる第1の段階と、前記第2の基板の前記一側の面側から前記一側の面の前記開口縁の周囲部分と前記開口部の内面に第2の導電膜を被着させる第2の段階とを有し、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が前記開口部の内部にて導電接続されることにより前記導電膜が形成されることを特徴とする請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−217636(P2010−217636A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65660(P2009−65660)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】