説明

電気光学装置および電子機器

【課題】入射する光を効率よく利用可能な電気光学装置、およびこれを備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】本適用例の電気光学装置としての液晶装置は、一対の基板と、一対の基板のうち素子基板10に設けられた画素電極15と、画素電極15に対応して設けられた薄膜トランジスター(TFT)30と、一対の基板のうち対向基板20に設けられた対向電極としての共通電極23と、画素電極15、共通電極23、画素電極15と共通電極23との間に挟持された液晶層50およびTFT30を含む画素と、入射した光を画素に向けて集光させる集光素子としてのマイクロレンズ26と、液晶層50に対してマイクロレンズ26と反対側に設けられると共に、TFT30と平面的に重なって配置され、液晶層50を透過した光の一部を射出側に反射させる光反射部としてのプリズム110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、画素ごとに薄膜トランジスターなどのスイッチング素子が設けられたアクティブ駆動型の液晶装置が知られている。また、このようなアクティブ駆動型の液晶装置をライトバルブとして用いた電子機器としての液晶プロジェクター(投射型表示装置)が知られている。
【0003】
上記ライトバルブは、例えば光源から発せられた白色光をR(赤)、G(緑)、B(青)に分割されたそれぞれの色光に対して配置され、画像情報に基づいて当該色光の透過状態を制御するものである。したがって、液晶プロジェクターとしてより明るく鮮明な画像を投射するには、ライトバルブに入射した当該色光を効率よく利用できることが求められる。
【0004】
例えば、入射した光を集光させる集光素子(第1光学要素)と、集光させた光を所定の方向に射出させる光学素子(第2光学要素)とを備えた画像表示装置(特許文献1)や液晶表示装置(特許文献2)が開示されている。
上記集光素子としてマイクロレンズを用い、上記光学素子としてプリズムを用いた例が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−37686号公報
【特許文献2】特開2009−63888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1や上記特許文献2では、光軸上においてマイクロレンズとプリズムとが対向して配置され、マイクロレンズにて集光された光は、プリズムを透過することにより、所定の方向に射出される構成となっている。したがって、高屈折率体であるプリズムの界面で光が反射したり、あるいはプリズムを透過する際に光が吸収され、マイクロレンズによって集光された光の強度(光量)が低下するおそれがあった。すなわち、入射した光を効率よく利用できないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例の電気光学装置は、一対の基板と、前記一対の基板のうち一方の基板に設けられた画素電極と、前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、前記一対の基板のうち他方の基板に設けられた対向電極と、前記画素電極、前記対向電極、前記画素電極と前記対向電極との間に挟持された液晶層および前記トランジスターを含む画素と、入射した光を前記画素に向けて集光させる集光素子と、前記液晶層に対して前記集光素子と反対側に設けられると共に、前記トランジスターと平面的に重なって配置され、前記液晶層を透過した光の一部を射出側に反射させる光反射部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、光反射部は、画素のトランジスターと平面的に重なるように例えば画素電極の周辺に設けられ、集光素子によって集光され液晶層を透過した光の一部を射出側に反射させる。つまり、画素の液晶層を透過した光のうち光軸を外れた光の大部分は、光反射部によって反射されるので、従来のように集光された光がプリズムを透過することによって所定の方向に射出される場合に比べて、光の利用効率を高めることができる。また、集光素子や光反射部が一対の基板と一体的に設けられている。すなわち、入射する光を高い効率で利用可能であって、より小型な電気光学装置を提供できる。
【0010】
[適用例2]上記適用例の電気光学装置において、前記光反射部は、前記一対の基板のうちいずれか一方において、前記基板をエッチングすることにより形成され、前記液晶層側に開口する断面がV字状の溝部と、前記溝部内に空間を構成するように開口部を封止する遮光性の封止部と、を有することが好ましい。
この構成によれば、光反射部は、基板にエッチング形成されているので、光反射機能を有する例えばプリズムなどを基板に積層形成する場合に比べて、薄型な電気光学装置を提供できる。また、光反射部を構成する溝部の開口部が遮光性の封止部によって封止されているので、集光された光が隣り合う画素間へ漏れることなく利用される。
【0011】
[適用例3]上記適用例の電気光学装置において、前記集光素子は、前記一対の基板のうちいずれか一方において、凸状のレンズ面が前記液晶層と反対側に向くように形成されたマイクロレンズであって、前記液晶層と前記マイクロレンズとの間に、前記基板と屈折率がほぼ同じ材料からなるパス層が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、液晶層とマイクロレンズとの間に設けられたパス層の厚みを調整することで、マイクロレンズを介して画素に取り込まれる光量を調整することができる。言い換えれば、画素に対する光の取り込み量が所望の状態となるようにパス層の厚みを調整する。
【0012】
[適用例4]本適用例の電子機器は、上記適用例の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、入射する光を効率よく利用可能な電気光学装置を備えているので、見栄えのよい電子機器を実現することができる。例えば、上記電気光学装置をライトバルブとして用いれば、明るく鮮明な画像を投射可能な電子機器としての投射型表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は第1実施形態の液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】第1実施形態の液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】第1実施形態の液晶装置における画素電極の配置を示す概略平面図。
【図4】第1実施形態の液晶装置における画素の構造を示す概略断面図。
【図5】第2実施形態の液晶装置における画素の構造を示す概略断面図。
【図6】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【図7】(a)は一般的な超高圧水銀灯の光強度分布を示すグラフ、(b)はLED光源の光強度分布を示すグラフ。
【図8】変形例のマイクロレンズの構成を示す概略断面図。
【図9】変形例の光反射部の構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0015】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えた電気光学装置としてのアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0017】
<液晶装置>
まず、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置について、図1および図2を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0018】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英などのガラス基板が用いられている。
【0019】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0020】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。なお、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0021】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と表示領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
【0022】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。当該遮光構造については後述する。
【0023】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた対向電極としての共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。
【0024】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0025】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0026】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0027】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略水平配向処理が施されたものや、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を気相成長法を用いて成膜して、液晶分子に対して略垂直配向させたものが挙げられる。
【0028】
本実施形態の液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
また、入射する光を効率よく画素Pに取り込むために、画素Pごとに光の入射側には集光素子としてのマイクロレンズが配置されている。また、画素Pを透過した光を射出側に効率よく射出させるために、画素Pごとの射出側に入射した光を全反射させる光反射部としてのプリズムが配置されている。画素Pに対するマイクロレンズやプリズムの配置については、後述する。
【0029】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6a沿って平行するように配置された容量線3bとを有する。
走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
【0030】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0031】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号DA1,DA2,…,DAnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号DA1〜DAnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0032】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号DA1〜DAnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号DA1〜DAnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号DA1〜DAnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。容量線3bは、固定電位に接続されている。
【0033】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0034】
次に、画素Pの平面的な配置と構造について、図3および図4を参照して説明する。図3は画素電極の配置を示す概略平面図、図4は画素の構造を示す概略断面図である。
図3に示すように、液晶装置100における画素Pは、X方向(走査線3aの延在方向)と、Y方向(データ線6aの延在方向)とにマトリックス状に配置されている。
画素Pにおける画素電極15は、平面視で四角形(正方形)であって、後述する遮光部としての信号線などに対して、外縁部が平面的に重なるように配置されている。
言い換えれば、上記遮光部は、遮光性の非開口領域D2を構成するものであって、画素Pは非開口領域D2に囲まれた開口領域D1を有している。本実施形態では、X方向およびY方向における非開口領域D2の幅は同じに設定されている。
また、図3においては図示省略したが、非開口領域D2には、画素Pごとに前述したTFT30、保持容量16が配置されている。
【0035】
図4に示すように、素子基板10は、例えば石英などの透明なガラスからなる基板本体10aと、基板本体10aに形成された光反射部としてのプリズム110とを有している。プリズム110は、液晶層50に向かって開くようにV字状に基板本体10aをエッチングして形成された溝部111と、溝部111内に空間としての空気層113が構成されるように開口部分を封止する封止部114とを有している。
基板本体10aに断面がV字状の溝部111を形成する方法としては、フッ素系の処理ガスを用いてドライエッチングする方法が挙げられる。
【0036】
封止部114は、プリズム110の空気層113に光が進入しないように遮光性を有していることが好ましい。このような封止部114の形成方法としては、溝部111が形成された基板本体10aの表面に、例えばスパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、溝部111の開口部分を塞ぐように例えばWSi(タングステンシリサイド)やW(タングステン)などの高融点金属材料を堆積させる。あるいは、シリコン酸化膜や、フッ素などの不純物を含む低屈折率のシリコン酸化膜を堆積させてもよい。その後に、堆積させた表面が平坦となるように例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行う。
【0037】
このようなプリズム110は開口領域D1を囲む非開口領域D2に設けられる。基板本体10aのプリズム110と重なる位置に走査線3aが形成される。
【0038】
走査線3aは、例えばAl、Ti、Cr、W、Ta、Moなどの金属のうちの少なくとも1つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらが積層されたものを用いることができ、遮光性を有している。
【0039】
走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる第1絶縁膜11aが形成され、第1絶縁膜11a上に島状にTFT30の半導体層30aが形成される。半導体層30aは例えば多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが注入されて、ソース・ドレイン領域と、チャネル領域と、ソース・ドレイン領域とチャネル領域の間の接合領域とを有するLDD構造が形成されている。
【0040】
半導体層30aを覆うようにゲート絶縁膜(図示せず)を形成し、ゲート絶縁膜を介して半導体層30aのチャネル領域と重なる位置にゲート電極(図示せず)を設け、このゲート電極と走査線3aとを電気的に接続させ、TFT30が形成されている。なお、このような所謂トップゲート構造に限らず、第1絶縁膜11aを介して半導体層30aのチャネル領域と重なり合った走査線3aの部分が、ゲート電極として機能する、所謂ボトムゲート構造も採用することができる。
【0041】
TFT30を覆うように酸化シリコンなどからなる第2絶縁膜11bを形成する。図4では図示されていないが、第2絶縁膜11b上にはデータ線6aが形成される。さらには配線層を異ならせて保持容量16の容量電極やこれに繋がる容量線3bが形成される。
【0042】
第2絶縁膜11b上に形成されたデータ線6a、保持容量16、容量線3bなどをさらに覆って層間絶縁膜12が形成される。層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、半導体層30aが設けられた領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えばCMP処理やスピンコート処理などが挙げられる。
【0043】
平坦化された層間絶縁膜12を覆うように例えばITOやIZOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、画素電極15が形成される。画素電極15は、第2絶縁膜11bや層間絶縁膜12に設けられたコンタクトホール(図示省略)によって、TFT30の半導体層30aにおけるドレイン領域と電気的に接続される。
【0044】
一方、液晶層50を介して素子基板10に対向配置される対向基板20は、例えば石英などの透明なガラスからなる基板本体20aと、基板本体20aに形成された集光素子としてのマイクロレンズ26およびパス層25を有している。マイクロレンズ26は、凸状のレンズ面26aが液晶層50と反対側に向くように基板本体20aに形成されている。
【0045】
このようなマイクロレンズ26の形成方法としては、例えば、基板本体20aの表面を選択的にエッチングすることにより、レンズ面26aに対応した凹部を形成する。当該凹部を、基板本体20aよりも高い屈折率を有する例えばSiON(酸窒化シリコン)などのレンズ材料にて埋める。これにより、凸状のレンズ面26aを有するマイクロレンズ26が形成される。続いて、その表面(マイクロレンズ26の底面)を例えばCMP処理などの方法により平坦化する。そして、基板本体20aとほぼ同じ屈折率を有する無機材料によって覆うことにより透明なパス層25を形成する。
【0046】
液晶層50に面するパス層25の表面には、例えば遮光性を有するクロムなどの金属材料が成膜され、これをパターニングすることによって遮光膜21が設けられる。遮光膜21は、画素Pの開口領域D1を規定すべく、やはり非開口領域D2に形成される。すなわち、平面的には図3に示したごとく格子状に形成される。
【0047】
遮光膜21を覆って層間膜層22が形成され、層間膜層22を覆って例えばITOやIZOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、対向電極としての共通電極23が形成される。共通電極23は複数の画素Pに跨って形成される。なお、層間膜層22は共通電極23の液晶層50に面する表面が平坦となるように、遮光膜21を覆うものであって、必須な構成ではなく、導電性の遮光膜21を直接覆うように共通電極23を形成してもよい。
【0048】
画素Pごとに形成されたマイクロレンズ26を有する対向基板20と、同じく画素Pを囲むように配置されたプリズム110を有する素子基板10とは、液晶層50を挟んで所定の位置に対向配置され、前述したシール材40によって接合される。
【0049】
なお、液晶層50に面する画素電極15や共通電極23を覆うように配向膜が形成されるが、図4では図示を省略した。
【0050】
続いて、図4を参照して入射した光がどのように集光され射出されるかについて説明する。図4に示すように、本実施形態では、光は、マイクロレンズ26が形成された対向基板20側から入射する。例えば、画素Pの平面的な中心を通過する光軸に沿って入射した入射光L1はマイクロレンズ26をそのまま直進し液晶層50を通過して素子基板10側に射出される。
【0051】
入射光L1よりも外側から入射し、そのまま直進した場合に、遮光膜21のエッジに到達する入射光L2は、マイクロレンズ26に入射すると屈折して、ほぼ光軸に沿った方向に射出されるので、入射光L1とほぼ並行して素子基板10側に射出される。さらに入射光L2より外側から入射した入射光L3は、マイクロレンズ26に入射すると屈折して集光される。集光された入射光L3は、液晶層50を通過して開口領域D1の内側から射出されてプリズム110の傾斜面112に入射する。傾斜面112は基板本体10aと基板本体10aよりも低い屈折率を有する空気層113との界面であって、傾斜面112に入射した入射光L3はより光軸に沿った方向に全反射されて素子基板10側に射出される。
【0052】
言い換えれば、対向基板20側から入射する光をできる限り画素Pに取り込むように、画素Pにおける開口領域D1の大きさに合わせて、マイクロレンズ26の光学条件を決定する。また、マイクロレンズ26により集光され画素Pを通過する光のうち、光軸から大きく外れた光を概ね光軸方向に全反射させて戻すようにプリズム110の光学的な条件を決定する。
【0053】
マイクロレンズ26側の光学条件としては、以下の数式(1)を満たすことが好ましい。
0≦(P1×L)/W・・・・・(1)
0はマイクロレンズ26の焦点距離、P1が画素Pの配置ピッチ(開口領域D1の幅と非開口領域D2の幅の和)、Lはマイクロレンズ26から遮光膜21までの距離(つまりマイクロレンズ26の高さhとパス層25の厚みとの和)、Wは遮光膜21の幅(非開口領域D2の幅)である。数式(1)を満たすことによって、開口領域D1内に効率よく入射光を集光させることができる。
焦点距離f0は、マイクロレンズ26の屈折率、レンズ面26aの曲率、並びに透過する光の波長に依存することは言うまでもない。したがって、透過する光が可視光領域においてピーク波長を有する場合には、ピーク波長に対応させて光学条件を決めることが望ましい。
本実施形態では、基板本体20aとして屈折率nがおよそ1.46の石英を用い、マイクロレンズ26として屈折率nがおよそ1.5〜1.7のSi−Nを用い、パス層25として屈折率nがおよそ1.46のシリコンの酸化物を用いた。画素ピッチP1がおよそ10μm、遮光膜21の幅Wが1.5μmのとき、マイクロレンズ26の高さhをおよそ5μm〜10μm、パス層25の厚みをおよそ10μm〜50μmとした。
【0054】
プリズム110側の光学条件としては、主に傾斜面112に入射した光を全反射させるための傾斜面112の光軸に対する傾斜角度と、断面がV字状のプリズム110の長さ(高さ)である。本実施形態では、基板本体10aとして屈折率nがおよそ1.46の石英を用い、開口領域D1の幅がおよそ8.5μm、非開口領域D2の幅がおよそ1.5μmのとき、プリズム110の傾斜面112が光軸となす角度を3°としている。そうするとプリズム110の長さ(高さ)はおよそ20μmとなる。
【0055】
プリズム110の傾斜面112が、光軸となす角度の設計については、マイクロレンズ26に対する入射光の角度分布、マイクロレンズ26の集光度、後述する投射型表示装置1000の投射レンズ1207(図6参照)の取り込み角度(F値)によって決定することができる。例えば、入射光の角度分布が光軸からおよそ±13°以内であり、マイクロレンズ26によって、±19°まで角度が付いたとする。投射レンズ1207の最大取り込み角度が16°であれば、光軸側へ3°反射させれば、これらの光を投射レンズ1207で取り込むことが出来る。こういった理由から、本実施形態の傾斜面112が光軸となす角度を3°とし、光の利用効率を高めている。
【0056】
実際には、液晶装置100における素子基板10や対向基板20に屈折率nが異なる絶縁膜や電極膜、液晶層50などが存在し、それらを光が透過するので、マイクロレンズ26やプリズム110の光学条件を異ならせたものを試作して、最も光の利用効率が高まる光学条件を見出すことが望ましい。
【0057】
上記第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)液晶装置100は、画素Pごとに光の入射側に設けられた集光素子としてのマイクロレンズ26と、光の射出側に設けられた光反射部としてのプリズム110とを有している。プリズム110は、画素Pの周辺部である非開口領域D2に設けられ、マイクロレンズ26によって集光され画素Pを透過した光の一部を射出側に全反射させる。つまり、画素Pを透過した光のうち光軸を大きく外れた光の大部分は、プリズム110によって全反射されるので、従来のように集光された光がプリズムを透過することによって所定の方向に射出される場合に比べて、光の利用効率を高めることができる。すなわち、入射する光を高い効率で利用可能な電気光学装置としての液晶装置100を提供できる。
【0058】
(2)対向基板20においてマイクロレンズ26と遮光膜21(あるいは液晶層50)との間に、基板本体20aと屈折率nがほぼ同じパス層25を備えているので、パス層25の厚みを調整することにより、マイクロレンズ26を介して画素Pを通過し、上記投射レンズ1207に取り込まれる光量が最大になるよう調整することができる。言い換えれば、マイクロレンズ26の集光度にあわせて焦点距離を調整することが可能である。
【0059】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電気光学装置としての液晶装置について図5を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して光が素子基板10側から入射することを前提として、マイクロレンズとプリズムとの配置を異ならせたものである。したがって、マイクロレンズやプリズムを除いた構成は、第1実施形態と同じであり、同一構成には同一の符号を付して詳細の説明は省略する。
【0060】
図5は第2実施形態の液晶装置における画素の構造を示す概略断面図である。なお、図5は図4と同じように、図3におけるA−A’線で切った概略断面図を示すものである。
【0061】
図5に示すように、素子基板10は、例えば石英などの透明なガラスからなる基板本体10aと、基板本体10aに形成された集光素子としてのマイクロレンズ120およびパス層121を有している。マイクロレンズ120は、凸状のレンズ面120aが液晶層50と反対側に向くように基板本体10aに形成されている。
【0062】
マイクロレンズ120は、上記第1実施形態と同じ方法を用いて形成することができる。つまり素子基板10の基板本体10aの表面を選択的にエッチングすることにより、画素Pごとに凹部を形成し、これを高屈折率材料で埋めて平坦化することでマイクロレンズ120を形成することができる。パス層121は、基板本体10aとほぼ同じ屈折率nを有する無機材料にて上記平坦化された面を覆って形成される。
【0063】
パス層121上には、走査線3a、第1絶縁膜11a、半導体層30a、第2絶縁膜11b、層間絶縁膜12がこの順に形成される。
【0064】
層間絶縁膜12を覆うように例えばITOやIZOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、画素電極15が形成される。
【0065】
一方、液晶層50を介して素子基板10に対向配置される対向基板20は、例えば石英などの透明なガラスからなる基板本体20aと、基板本体20aに形成された光反射部としてのプリズム130とを有している。
【0066】
プリズム130は、液晶層50に向かって開くようにV字状に基板本体20aをエッチングして形成された溝部131と、溝部131内に空間としての空気層133が構成されるように開口部分を封止する遮光性の封止部134とを有している。
【0067】
プリズム130は、上記第1実施形態と同じ方法を用いて形成することができる。つまり、フッ素系の処理ガスを用いて基板本体20aを断面がV字状となるようにドライエッチングする方法が挙げられる。
【0068】
遮光性の封止部134は、第1実施形態と同じ方法を用いて形成することができる。つまり、溝部131が形成された基板本体20aの表面に、例えばスパッタ法やCVD法によって、溝部131の開口部分を塞ぐように例えばWSi(タングステンシリサイド)やW(タングステン)などの高融点金属材料を堆積させる。あるいは、シリコン酸化膜や、フッ素などの不純物を含む低屈折率のシリコン酸化膜を堆積させてもよい。その後に、堆積させた表面が平坦となるように例えばCMP処理を行う。
【0069】
プリズム130と平面的に重なる位置に遮光膜21が形成される。遮光膜21は画素Pにおける開口領域D1を区画する非開口領域D2に形成されるので、プリズム130は、画素Pの周辺部である非開口領域D2に設けられる。
【0070】
遮光膜21を覆う層間膜層22が形成され、さらに層間膜層22を覆うように例えばITOやIZOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、共通電極23が形成される。前述したように層間膜層22は必須の構成ではない。
【0071】
画素Pごとに形成されたマイクロレンズ120を有する素子基板10と、同じく画素Pを囲むように配置されたプリズム130を有する対向基板20とは、液晶層50を挟んで所定の位置に対向配置され、前述したシール材40によって接合される。
【0072】
なお、液晶層50に面する画素電極15や共通電極23を覆うように配向膜が形成されるが、図5では図示を省略した。
【0073】
続いて、図5を参照して入射した光がどのように集光され射出されるかについて説明する。図5に示すように、本実施形態では、光は、マイクロレンズ120が形成された素子基板10側から入射する。例えば、画素Pの平面的な中心を通過する光軸に沿って入射した入射光L1はマイクロレンズ120をそのまま直進し液晶層50を通過して対向基板20側に射出される。
【0074】
入射光L1よりも外側から入射し、そのまま直進した場合に、遮光部(非開口領域D2)としての走査線3aのエッジに到達する入射光L2は、マイクロレンズ120に入射すると屈折して、ほぼ光軸に沿った方向に射出されるので、入射光L1とほぼ並行して対向基板20側に射出される。さらに入射光L2より外側から入射した入射光L3は、マイクロレンズ120に入射すると屈折して集光される。集光された入射光L3は、液晶層50を通過して開口領域D1の内側から射出されてプリズム130の傾斜面132に入射する。傾斜面132に入射した入射光L3はより光軸に沿った方向に全反射されて対向基板20側に射出される。
【0075】
言い換えれば、素子基板10側から入射する光をできる限り画素Pに取り込むように、画素Pにおける開口領域D1の大きさに合わせて、マイクロレンズ120の光学条件を決定する。また、マイクロレンズ120により集光され画素Pを通過する光のうち、光軸から大きく外れた光を概ね光軸方向に全反射させて戻すように、プリズム130の光学条件を決定する。
【0076】
マイクロレンズ120、プリズム130における光学条件の設定の仕方は、基本的に第1実施形態と同じである。
【0077】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1)および(2)に加えて、以下の効果が得られる。
(3)マイクロレンズ120は素子基板10側に設けられている。マイクロレンズ120により集光された入射光は、遮光部としての走査線3aの半導体層30aが設けられた面側と反対側の面側から液晶層50に入射するので、マイクロレンズ26が対向基板20に設けられた第1実施形態に比べて、入射光に起因する半導体層30aにおける光リーク電流などの発生を防止できる。言い換えれば、マイクロレンズ120による光の集光度合いを第1実施形態に比べて引き上げることができる。つまり、入射光をより効率的に利用可能である。
【0078】
(第3実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について図6を参照して説明する。図6は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図6に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0079】
偏光照明装置1100は、例えば超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0080】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0081】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0082】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0083】
液晶ライトバルブ1210は、上述した第1実施形態または第2実施形態の液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0084】
このような投射型表示装置1000によれば、複数の画素Pが高精細に配置されていても、入射した色光を効率よく利用可能な集光素子と光反射部とを有する液晶装置100を備え、明るく、見栄えのよい表示品位が実現されている。
【0085】
なお、光源(キセノン、水銀、ハロゲン、LEDなど)の種類により、射出光の強度の射出角度分布が異なる。図7(a)は一般的な超高圧水銀灯の光強度分布を示すグラフ、同図(b)はLED光源の光強度分布を示すグラフである。例えば、図7(a)に示すように、一般的な超高圧水銀灯(UHP)は、光軸(0度)を中心に±12度の射出角度において光が射出され、とりわけ±5度の射出角度で強い光が射出される。また、図7(b)に示すように、LED光源は、光軸(0度)を中心±20度の射出角度で光強度がほぼフラットな光が射出される。したがって、LED光源は、超高圧水銀灯(UHP)に比べて斜め方向に強い光が射出されるので、プリズムの傾斜面の角度を比較的に大きくする必要がある。すなわち、光源から発せられる光の射出角度分布を考慮して、マイクロレンズの仕様やプリズムの傾斜角度を調整する必要がある。
【0086】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0087】
(変形例1)上記実施形態の液晶装置100において、マイクロレンズ26の構成はこれに限定されない。図8は変形例のマイクロレンズの構成を示す概略断面図である。
例えば、図8に示すように、対向基板20は、基板本体20aと、基板本体20aをエッチングして得られた集光素子としてのマイクロレンズ27と、マイクロレンズ27を覆う樹脂層28と、樹脂層28に接着された透明な保護基板20bとを有する構成としてもよい。
基板本体20aのマイクロレンズ27と反対側の面に、遮光膜21、層間膜層22、共通電極23が順に形成される。
マイクロレンズ27は基板本体20aをエッチングし、凸状のレンズ面27aが液晶層50と反対側に向くように基板本体20aに形成されている。つまり、基板本体20aにマイクロレンズ27が一体成形されている。
樹脂層28は、基板本体20aよりも低い屈折率nを有する樹脂材料を用いて形成されている。例えば、ネオセラム(登録商標)を用いて基板本体20aと保護基板20bとを構成したとき、その屈折率nは1.5〜1.6となる。そして、凸状のレンズ面27aを覆うようにスピンコート法などで屈折率nがおよそ1.4の例えば樹脂材料を塗布する。樹脂材料が塗布された面に保護基板20bを圧着して樹脂材料を固化する。
【0088】
(変形例2)上記実施形態の液晶装置100において、光反射部はプリズム110に限定されない。図9は変形例の光反射部の構成を示す概略断面図である。
例えば、図9に示すように、素子基板10は、基板本体10aと、基板本体10aに形成された光反射部140とを有する。光反射部140は、基板本体10aを選択的にエッチングして得られた断面がV字状の溝部141と、溝部141を埋めた金属層143とを有している。
金属層143は、例えば光反射性を有するAl(アルミニウム)などの金属材料を用いることができる。溝部141をこのような金属材料で埋めることにより、傾斜面142に入射した光を全反射させることができる。
これによれば、空気層113を有するプリズム110に比べて、隣り合う画素間において迷光に起因する光漏れを防止することができる。
【0089】
(変形例3)上記実施形態の液晶装置100の素子基板10において、画素Pを区画する遮光部は、走査線3aに限定されない。例えば、走査線3aと基板本体10aとの間に絶縁層を介して遮光膜を平面的に画素Pを区画するように格子状に設けてもよい。
【0090】
(変形例4)上記実施形態の液晶装置100を適用可能な電子機器は、投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
3a…遮光部としての走査線、10…一対の基板のうち一方の基板としての素子基板、15…画素電極、20…一対の基板のうち他方の基板としての対向基板、21…遮光部としての遮光膜、23…対向電極としての共通電極、26,27,120…集光素子としてのマイクロレンズ、50…液晶層、100…電気光学装置としての液晶装置、110,130…光反射部としてのプリズム、111,131,141…溝部、112,132,142…傾斜面、113,133…空気層、114,134…封止部、140…光反射部、143…金属層、1000…電子機器としての投射型表示装置、P…画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
前記一対の基板のうち一方の基板に設けられた画素電極と、
前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、
前記一対の基板のうち他方の基板に設けられた対向電極と、
前記画素電極、前記対向電極、前記画素電極と前記対向電極との間に挟持された液晶層および前記トランジスターを含む画素と、
入射した光を前記画素に向けて集光させる集光素子と、
前記液晶層に対して前記集光素子と反対側に設けられると共に、前記トランジスターと平面的に重なって配置され、前記液晶層を透過した光の一部を射出側に反射させる光反射部と、
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記光反射部は、前記一対の基板のうちいずれか一方において、前記基板をエッチングすることにより形成され、前記液晶層側に開口する断面がV字状の溝部と、
前記溝部内に空間を構成するように開口部を封止する遮光性の封止部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記集光素子は、前記一対の基板のうちいずれか一方において、凸状のレンズ面が前記液晶層と反対側に向くように形成されたマイクロレンズであって、
前記液晶層と前記マイクロレンズとの間に、前記基板と屈折率がほぼ同じ材料からなるパス層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−226069(P2012−226069A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92743(P2011−92743)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】