電気光学装置及び電子機器
【課題】 画素選択トランジスタにて光リークが生じたとしても、電気光学素子の階調が劣化しない画素回路、それを用いた電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器を提供すること。
【解決手段】 電気光学装置の画素回路10は、一端にデータ線DLが接続され、かつ走査線WLによってオン/オフが制御される画素選択トランジスタ12と、画素選択トランジスタ12を経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学素子40と、画素選択トランジスタ12と電気光学素子40との間に設けられたメカニカルスイッチ20と、を有する。メカニカルスイッチ20は、画素選択トランジスタ12と電気光学素子40との間の導通経路上の固定接点26と、固定接点26に対して接離される可動接点24とを備える。
【解決手段】 電気光学装置の画素回路10は、一端にデータ線DLが接続され、かつ走査線WLによってオン/オフが制御される画素選択トランジスタ12と、画素選択トランジスタ12を経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学素子40と、画素選択トランジスタ12と電気光学素子40との間に設けられたメカニカルスイッチ20と、を有する。メカニカルスイッチ20は、画素選択トランジスタ12と電気光学素子40との間の導通経路上の固定接点26と、固定接点26に対して接離される可動接点24とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素回路、それを用いた電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置例えば液晶装置では、画素選択トランジスタとして使用される薄膜トランジスタに光が入射すると、薄膜トランジスタのチャネル中にキャリアが発生する。N型トランジスタであれば電子が、P型トランジスタであれば正孔が、それぞれキャリアとして発生する。このキャリアは、薄膜トランジスタのゲート電圧がたとえオフ電圧であったとしても、ソース−ドレイン間の電圧によってチャネル内を移動して、ソース−ドレイン間に電流が流れてしまう。この現象が光リークと呼ばれている。
【0003】
アクティブマトリクス液晶の表示原理は、画素の選択期間に液晶に表示電圧を印加し、画素の非選択期間にて液晶容量にて電圧を保持して階調を維持するというものである。しかし、光リークによって、薄膜トランジスタのオフ期間である非選択期間中に液晶印加電圧が低減し、画質が劣化してしまう。各画素にて、液晶に印加される表示電圧を保持する保持容量を設けているが、薄膜トランジスタへの光入射の有無でリーク量は二桁以上も異なり、光リークが支配的となって画質が劣化している。この種の光リーク電流発生のメカニズムは明らかになっている(例えば特許文献1)。
【0004】
薄膜トランジスタへの光入射を物理的に低減するために、走査線等の形状を改善したものが提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、電気光学装置では反射などによって様々な角度から光が入射するので、薄膜トランジスタを完全に遮光することは不可能である。
【0006】
このような物理的な遮光以外に、例えば薄膜トランジスタのチャネルドーズ量を調整することにより、電子−正孔対を積極的に再結合させて光リークを低減する提案もなされている(特許文献3)。
【0007】
しかし、チャネルドーズ量の調整により薄膜トランジスタの特性が変化し、例えば薄膜トランジスタの電流駆動能力が低下してしまう。このため、画素数が多い例えば大型画面のパネルのように、書き込み時間が短時間となる高速駆動では、薄膜トランジスタの電流駆動能力が低いもの不向きである。
【0008】
なお、本発明者が課題解決のために着目したメカニカルスイッチは、電子回路を一つのシリコン基板上に集積化したデバイスを構築するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術の一つとして実用化に至っている(特許文献4)。
【0009】
さらに、本出願人もこの種のメカニカルスイッチを利用したデバイスを開発している(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−100245号公報
【特許文献2】特開2001−158360号公報
【特許文献3】特開平7−181519号公報
【特許文献4】特開平5−150173号公報
【特許文献5】特開平9−159937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遮光やトランジスタ特性の改良に頼らずに、たとえと画素選択トランジスタにて光リークが生じたとしても、電気光学素子の階調が劣化しない画素回路、それを用いた電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る画素回路は、一端にデータ線が接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間に設けられたメカニカルスイッチと、
を有し、
前記メカニカルスイッチは、前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間の導通経路上の固定接点と、前記固定接点に対して接離される可動接点とを備え、前記可動接点を機械的に開閉して、前記可動接点の閉鎖時に前記表示電圧を前記電気光学素子に印加し、前記可動接点の開放時に前記導通経路を完全に遮断することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様は、その画素回路を用いた電気光学装置を定義している。
【0014】
本発明の一態様及び他の態様によれば、画素選択トランジスタと電気光学素子との間はメカニカルスイッチによって導通経路を遮断でき、電気光学素子をフローティング状態とすることができ。よって、画素選択トランジスタのオフ時に光リークが生じたとしても、電気光学素子への悪影響はない。
【0015】
本発明の一態様及び他の態様では、前記画素選択トランジスタと前記メカニカルスイッチとの間に、前記表示電圧を記憶するメモリ回路をさらに有することができる。
【0016】
メモリ回路とメカニカルススイッチとを用いることで、メモリ回路への電圧書き込みと、電気光学素子への電圧書き込みとを分離できる。よって、メモリ回路に順次書き込まれた電圧を、メカニカルスイッチを介して全画素の電気光学素子に同時に印加する面順次駆動法を採用することができる。また、メモリ回路は、トランスファーゲートとして機能する画素選択トランジスタとは異なり、例えばフリップフッロプのように電流駆動能力を持つため、電気光学素子への書き込み電圧の劣化を防止できる。
【0017】
本発明の一態様及び他の態様では、前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量をさらに有することができる。電気光学素子の容量値が少ない場合や、電気光学素子自体が容量を待たない場合に保持容量は有効である。
【0018】
本発明の一態様及び他の態様では、前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量と、前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、さらに有することができる。
【0019】
例えば、極性反転駆動のように、メモリ回路に今回書き込まれた電圧の極性と、保持容量に前回書き込まれた電圧の極性が異なるので、メカニカルスイッチのオン時の初期吸引力を高めることができる。この他、メモリ回路と保持容量の保持電圧が同一である再書き込みを、メカニカルスイッチに作用する反発力によって防止できる効果がある。
【0020】
本発明の一態様及び他の態様では、前記メカニカルスイッチは、前記可動接点と対向して配置される電極を含み、前記電極にオフ電圧とオン電圧とが切り換えて印加されることで、前記可動接点をクーロン力によって開閉することができる。この種のメカニカルスイッチはMEMS技術で確立されているので信頼性が高い。
【0021】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記複数の走査線の各々には、前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と、前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、前記複数の制御線の各々には、前記選択期間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることで、マトリクス駆動が実現できる。つまり、同一走査線上の全画素を同時に駆動する線順次駆動や、一画素ずつ駆動する点順次駆動や、複数画素を1ブロックとしてブロック単位で駆動するブロック順次駆動が可能となる。
【0022】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記複数の走査線の各々には、1フィールド中にて前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、
前記複数の制御線の各々には、前記選択期間外の所定時間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることでも、マトリクス駆動が可能である。
【0023】
メモリ回路を有する場合には、メモリ回路への電圧書き込みと、その後の電気光学素子への電圧書き込みとを、メカニカルスイッチによって分離できる。従って、メモリ回路への電圧書き込みが行なわれる選択期間外にて、電気光学素子への電圧書き込みを実施できる。
【0024】
上述した線順次駆動などの場合、前記少なくとも1本の制御線を、前記複数の走査線と平行に複数本配置することできる。同一走査線上の全画素に、同一の制御電圧を印加すれば良いからである。
【0025】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記複数の制御線に供給される前記制御信号は、前記1フィールド中にて、前記複数の走査線の全てに対して前記選択期間が設定された後の非選択期間内に、前記オン電圧を供給することができる。つまり、面順次駆動法が可能である。メモリ回路を有する場合には、メモリ回路への電圧書き込みと、その後の電気光学素子への電圧書き込みとを、メカニカルスイッチによって分離できるからである。
【0026】
面順次駆動法を採用する場合には、前記少なくとも1本の制御線を、前記複数の画素回路の全てに共用できる。従って、この場合には制御線は1本あれば足りる。
【0027】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充放電する保持容量と、前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、さらに有することができる。
【0028】
メモリ回路に書き込まれた電圧を補助容量に保持することで、メカニカルスイッチのオン時に保持容量が急激に充放電されても、それに起因してメモリ回路がデータ破壊することを防止できる。
【0029】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記画素選択トランジスタが形成されるアクティブマトリクス基板を有し、
前記アクティブマトリクス基板の表面側に前記電気光学素子が配置され、前記アクティブマトリクス基板の裏面側に前記メカニカルスイッチが配置され、
前記アクティブマトリクス基板に複数の貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔の1つを介して前記メカニカルスイッチと前記電気光学素子とを電気的に導通することができる。
【0030】
このようにすれば、アクティブマトリクス基板外にメカニカルスイッチをMEMS技術で製造しても、そのメカニカルスイッチと電気光学素子とを電気的に導通させることができる。
【0031】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記メカニカルスイッチの前記可動接点が配置される空間は密閉され、かつ、密閉空間を非酸素雰囲気に設定することができる。これにより、可動接点と固定接点との酸化に起因した接触不良を防止でき、信頼性が向上する。
【0032】
本発明のさらに他の態様に係る電子機器は、上述に記載の電気光学装置を有することを定義している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画素回路を示す図である。
【図2】図1の画素回路を用いた液晶装置を示す図である。
【図3】図2に示す液晶装置での線順次駆動を示す図である。
【図4】走査信号を示す図である。
【図5】図1に示す画素回路の動作タイミングチャートである。
【図6】比較例の画素回路を示す図である。
【図7】図3に示す薄膜トランジスタでの光リークを説明する図である。
【図8】図3に示す画素回路の動作タイミングチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画素回路を示す図である。
【図10】図10(A)は図9に示す画素回路の動作タイミングチャート、図10(B)はノーマリホワイトの場合の液晶への印加電圧を示す特性図である。
【図11】図9中のフリップフロップの回路図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る液晶装置を示す図である。
【図13】図12に示す画素回路の動作タイミングチャートである。
【図14】図12の動作に基づく面順次駆動での表示例を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る画素回路を示す図である。
【図16】電気光学装置の構造例を示す図である。
【図17】図16に示す構造の一部の断面図である。
【図18】トーションバーで連結された揺動部を有するメカニカルスイッチの斜視図である。
【図19】図18に示すメカニカルスイッチを使用した画素回路を示す図である。
【図20】本発明に係る電子機器の一例であるプロジェクタの概略説明図である。
【図21】本発明に係る電子機器の他の一例であるパーソナルコンピュータの概略図である。
【図22】本発明に係る電子機器のさらに他の一例である携帯電話機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0035】
1.第1実施形態
1.1.画素回路
図1は、本実施形態に係る画素回路を示している。図1に示す画素回路10は、走査線WLと、データ線DLと、例えば2本の第1,第2の制御線CL1,CL2とによって駆動される。なお、制御線は必ずしも2本必要でなく、後述する通り少なくとも1本あればよい。
【0036】
この画素回路10は、例えばアクティブマトリクス型液晶装置に用いられる。画素回路10を選択するための画素選択トランジスタ例えば薄膜トランジスタ(TFT)12は、ゲートが走査線WLに接続され、例えばソースがデータ線DLに接続されている。このTFT12の例えばドレインは、通常は液晶40の一端、つまり液晶40と接する画素電極に接続される。本実施形態では、TFT12のドレインと液晶40の一端(画素電極)との間に、メカニカルスイッチ20を設けている。
【0037】
このメカニカルススイッチ20は、後述する通りシーソーのように揺動することができる。TFT12のドレインに接続される固定接点としての電極、例えばメカニカルスイッチ20の揺動支点となる位置に支点電極22を有する。TFT12のドレインに常時接続される固定接点は、後述するように支点以外の位置に設けることもできる。メカニカルスイッチ20の自由端部が可動接点24である。この可動接点24は、液晶40の一端と接続される固定接点26に対して接離可能である。固定接点26は、揺動されるメカニカルスイッチ20の一方位置でのストッパとしても機能する。
【0038】
メカニカルスイッチ20を支点電極20を支点として揺動させるために、例えば2つの第1,第2の電極30,32を有する。この電極も必ずしも2つ必要でなく、1本の制御線に対応して一つの電極を設けるものでも良い。また、揺動されるメカニカルスイッチ20の他方位置でのストッパ34が設けられている。
【0039】
メカニカルスイッチ20は、特許文献5に記載されている微小ミラーと同じく、例えばシリコンにて形成され、そのシリコンに不純物をドープすることで導電体とすることができる。よって、第1,第2の電極30,32に、第1,第2の制御線CL1,CL2を介して所定の電圧を供給することで、メカニカルスイッチ20と第1,第2の電極30,32との間にクーロン力が発生する。従って、第1の電極30に対して反発し、第2の電極32に対して吸引される電圧(以下、オン電圧と称する)を第1,第2の電極30,32に印加すると、メカニカルスイッチ20は図1の実線で示すニュートラル一(無印加状態)から、図1の破線で示すように揺動する。このときに、これにより、可動接点24と固定接点26とをショートさせて、TFT12のドレインと液晶40の一端とを導通させることができる。従って、走査線WLによりTFT12がオンされた時、データ線DLから書き込まれる表示電圧は、TFT12のソース−ドレインと、メカニカルスイッチ20の可動接点24−固定接点26それぞれ経由して液晶40の一端に印加される。これにより、液晶40は表示電圧に基づいて光透過率が変化する。
【0040】
一方、メカニカルスイッチ20は、可動接点24と固定接点26との接触を解除することができる。この際、図1に実線で示すように、第1,第2の電極30,32を電圧の無印加状態としても良い。ただし、確実な切断のためには、第1の電極30に対して吸引され、第2の電極32に対して反発する電圧(以下、オフ電圧と称する)を第1,第2の電極30,32に印加すると、メカニカルスイッチ20は図1のストッパ34側に揺動する。このオフ電圧により、TFT12と液晶40との間の導通経路は完全に遮断される。
【0041】
このように、メカニカルスイッチ20によってTFT12と液晶40との間の導通経路は完全に遮断することで、メカニカルスイッチ20により導通経路を遮断した後にTFT12側にて電気的状況が変化しても、液晶40には影響がない。つまり、TFT12にて光リークが生じても、電気的にフローティング状態である液晶40に全く影響を及ぼさない。これにより本発明の課題が解決できる。
【0042】
1.2.電気光学装置
図2は、図1に示す画素回路10を用いた電気光学装置、例えば液晶装置50の一例を示している。
【0043】
液晶装置50は、図2のように、画素回路10がマトリクス状に配置されたマトリクス領域52と、走査線ドライバ(Yドライバ)54と、データ線ドライバ(Xドライバ)56と、メカニカルスイッチ駆動回路58とを有する。本実施形態では、走査線WL(WL1,WL2,…)及び第1,第2の制御線CL1,CL2(CL11,CL21,CL21,CL22,…)はX方向に沿って延び、データ線DL(DL1,DL2,…)はY方向に延びている。
【0044】
走査線ドライバ54はX方向の一端位置に、メカニカルスイッチ駆動回路58はX方向の他端位置に、データ線ドライバ56はY方向の一端位置にそれぞれは位置されている。なお、メカニカルスイッチ駆動回路58は走査線ドライバ54の中に配置しても良い。
【0045】
図3は、図2の液晶装置50にて採用される駆動方法の一つである線順次駆動を示している。線順次駆動とは、図3に示すように、一走査線、例えば走査線WL1に接続された全ての画素回路10を、図4に示す一水平走査期間(1H)である選択期間内に同時に選択する駆動法である。図3及び図4に示すように、次の一水平選択期間(1H)に対応する選択期間では走査線WL2に接続された全ての画素回路10を同時に選択し、さらに次の一水平選択期間(1H)に対応する選択期間では走査線WL2に接続された全ての画素回路10を同時に選択する。そして、一フィールド(または一サブフィールド)内にて全走査線に対する水平走査が終了したら(一垂直走査期間の終了)、次のフィールド(またはサブフィールド)に移行して走査線WL1から順次選択する操作が繰り返される。
【0046】
なお、図2の液晶装置50では、線順次駆動に限らず、一水平走査期間(1H)内に一走査線上の画素回路10を一つずつ順次選択する点順次駆動、あるいは一水平走査期間(1H)内に一走査線上の複数の画素回路10を位置ブロックとして一ブロックずつ順次選択するブロック順次駆動を採用しても良い。
【0047】
図5は、走査線WL1及びデータ線DL1に接続された画素回路10の動作タイミングチャートである。なお、本実施形態では1フィールドが、時間軸上でn(nは2以上の整数)個のサブフィールドSf1−Sfnに分割されている。つまり、1フィールド中に液晶40に印加される電圧パルスの印加時間を、各サブフィールドにて印加されるニ値電圧にて制御して、液晶40を階調駆動している。このため、データ線ドライバ56から供給されるデータ電位は、VDD(3Vまたは5V)かVSS(0V)の一方である。なお、以下の説明ではサブフィールドをフィールドと略記する。
【0048】
図5において、期間T2が一水平走査期間(1H)に対応する選択期間である。期間T2の前期間T1は、前のフィールドから引き続く非選択期間である。期間T2の後期間T3は本フィールドでの非選択期間である。
【0049】
図5に示すように、走査線WL1は、選択期間T2にて選択電圧VWLが印加される。選択電圧VWLは、(表示電圧VDD)+(TFT12のしきい値電圧Vth)+αであり、αは基板効果や設計マージンを考慮して決定される。
【0050】
選択期間T2では、メカニカルスイッチ20も同時に閉鎖駆動される。このため、第1,第2の制御線CL11,CL21にオン電圧(VA,VB)が供給される。なお、選択期間T2以前では、メカニカルスイッチ20は開放駆動するため、第1,第2の制御線CL11,CL21にオフ電圧(VB,VA)が供給される。ここで、本実施形態では、たとえばVA=+20V、VB=−15Vに設定している。オン電圧印加時には、図1において、表示電圧である0VまたはVDD(3Vまたは5V)に設定されるメカニカルスイッチ20は、VB=−15Vに設定された第2の電極32には吸引される一方で、VA=+20Vに設定された第1の電極30とは反発するので、図1の破線に示す位置に揺動する。これにより、TFT12と液晶40とは導通する。
【0051】
選択期間T2の当初の期間T21は、前フィールドに液晶40に印加された表示電圧を放電させる期間である。この期間T21では、データ線DL1がデータ電位でなく、前回選択時の表示電圧(例えば0V)のとなっている。期間T21では、上記の通りTFT12及びメカニカルスイッチ20が共にオンしているので、液晶40はデータ線DL1との間で充放電される。なお、図5の例では、期間T21でのデータ線DL1の電位と液晶40の電位VLIQは共に0Vなので充放電はない。
【0052】
期間T21が終了すると、選択期間T2の残り期間T22にて、データ線DL1が表示電圧例えば電位VDDに設定される。この電位VDDは、共にオンされたTFT12及びメカニカルスイッチ20を介して液晶40の一端に印加される。これにより、液晶40の透過率が変化する。
【0053】
選択期間T2が終了すると、走査線W1の電位は非選択電位(例えば0V)となり、第1,第2の制御線CL11,CL12の電位はオフ電圧(VB,VA)となる。よって、TFT12及びメカニカルスイッチ20は共にオフする。なお、メカニカルスイッチ20のオン・オフタイミングは必ずしも選択期間T2に一致させる必要はなく、メカニカルスイッチ20を介して液晶40を充放電させられるように選択期間T2と一部一致する期間が設定されれば良い。
【0054】
メカニカルスイッチ20がオフされると、液晶40とTFT12との導通経路は完全に遮断されてフローティング状態となる。このため、TFT12に光リークが生じても液晶40の光透過率には全く悪影響がない。その意味で、本実施形態では、液晶40に印加される表示電圧を保持容量を設けていない。保持容量は、主として光リークによる液晶40の電圧変動を低減するために設けられた経緯があるからである。液晶40そのものの容量のみを利用して、光学的表示が可能となる。
【0055】
ただし、図1の画素回路10に保持容量を追加しても良い。この際、追加される保持容量は、メカニカルスイッチ20の支点電極22ではなく固定接点26に接続される(図9参照)。保持容量を、TFT12とメカニカルスイッチ20との間に設けても、メカニカルスイッチ20がオフされる非選択期間中に、液晶40の電圧を保持できず意味をなさないからである。なお、保持容量を追加する利点については後述する。
【0056】
1.3.比較例
図6は、比較例の画素回路を示している。図6に示すように、TFT12のドレインには、液晶40に印加される表示電圧を保持する保持容量C1の一端が接続され、その他端には共通電圧VCOMが供給される。
【0057】
図6の例では、図7に示すようにN型トランジスタにて形成されたTFT12に光が照射されると、キャリアである電子がチャネル内を移動して、リーク電流が発生する。この現象は図1の実施形態でも同様であるが、図6では保持容量C1及び液晶40の一端電圧が変化するので、画質が劣化してしまう。
【0058】
図7がその様子を示している。図7において、非選択期間T1では保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQが、データ線DL1の電位(0V)よりも高いので、充放電期間T21にて放電が生じている。この後、期間T22にて保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQが、表示電圧(VDD)まで充電される。なお、選択期間Tの終了直後にて走査線WL1の電圧が立ち下がると、保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQが少し低下している(矢印A)。これは、TFT12のゲート−ドレイン(またはソース)間寄生容量Cgd(またはCgs)により、走査線WL1の立下り時に保持容量C1で保持している電圧がカップリングにより低下するからである。
【0059】
比較例の画素回路での問題は、非選択期間T3にて、例えば矢印Bのタイミングで光リークが生じると、保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQはさらに低下することである。
【0060】
本実施形態では、比較例では実現し得なかった、非洗濯期間T3での光リークに伴う液晶40の光透過率特性への影響を完全に回避することができる。
【0061】
2.第2実施形態
図9に示す第2実施形態では、図1の画素回路10に、メモリ回路例えばフリップフロップF/Fと、保持容量C1とが追加された画素回路60が示されている。なお、保持容量C1については必須ではなく、第1実施形態にて説明した理由により削除することも可能である。
【0062】
フリップフロップF/Fは、2つのインバータIV1,IV2を直列接続した閉回路にて形成され、インバータIV1の入力端がTFT12のドレインに接続され、その出力端がメカニカルスイッチ20の支点電極22に接続されている。保持容量C1は、その一端がメカニカルスイッチ20の固定接点26に接続され、その他端には共通電圧VCOMが供給される。
【0063】
この画素回路60の動作について、図10(A)を参照して説明する。図10(A)は、図2に示す液晶装置50中の画素回路10を図9に示す画素回路60に置き換え、第1実施形態と同じ線順次にて駆動した時の動作タイミングチャートである。図10(A)中で図5に示す同一符号は、図5と同じ意味を有するので、説明は省略する。図10(A)に示すように、データ線DL1の電位は、図5とは反転している。この理由は、液晶40への電位が、データ線DL1の電位をフリップフロップF/FのインバータIV1にて反転されるからである。
【0064】
図9の画素回路60にフリップフロップF/Fを設けた一つの理由は、TFT12よりも高いフリップフロップF/Fの電流駆動能力である。TFT12は一種のトランスファースイッチであるから電流を増幅することができない。フリップフロップF/Fを構成するインバータIV1,IV2は、図11に示すように電源電圧VDD−VSS間に直列接続されたCMOSで構成されるので、電源電圧VDDに基づいて電流を供給できるからである。このため、配線負荷など起因して生ずる液晶40への印加電圧ロスは低減できる。
【0065】
図9の画素回路60にフリップフロップF/Fを設けた他の理由は、選択期間T2を短縮できることである。図9の画素回路60では、選択期間T2が、保持容量C1や液晶40を充放電するに足る時間を要しない。つまり、フリップフロップF/F内でロジックが決定するに足る時間が選択期間T2に確保されればよいからである。
【0066】
図9の画素回路60にフリップフロップF/Fを設けたさらに他の理由は、選択期間T2とは切り離して、液晶40を充放電できることである。なぜなら、選択期間T2外であっても、データ線DL1から供給された表示電圧を、フリップフロップF/Fにて保持できるからである。
【0067】
つまり、図3と比較して図10(A)が異なる点は、メカニカルスイッチ20のオン期間T31である。図3では、メカニカルスイッチ20のオン期間は選択期間T2の期間と一致させる必要があった。
【0068】
しかし、図9に示す画素回路60は、表示電圧を記憶できるフリップフロップF/Fを有するので、図10(A)に示すように、メカニカルスイッチ20のオン期間T31は、選択期間T2と必ずしも一致させる必要はなく、非選択期間T3中に設けることができる。ただし、線順次駆動ではあまり意味がないが、次の第3実施形態に説明する面順次駆動が実現可能となる。
【0069】
図10(B)は、一例として、ノーマリホワイトでの駆動での液晶40への印加電圧を示している。液晶40は後述する例えば図16のようにアクティブマトリクス基板110と対向基板120との間に封入される。よって、液晶40の一端の電圧VLIQは画素毎に印加されると共に、他端の電圧は対向基板120への印加される電圧となり、液晶40の両端への各印加電圧の差電圧が液晶40に印加される。ここで、図10(B)は、ノーマリーホワイトタイプ(電圧を印加しない場合に光を透過するタイプ)のYN液晶の駆動例である。図10(B)では、対向基板120の電圧が、全画素に共通の固定電圧VCOM(例えば0V)となっている。
【0070】
液晶40の焼き付きを防止する観点から、遮光時に液晶40に印加される電圧は、対向基板120の電圧VCOMを中心として正負に反転した±VDDが交互に印加される。極性反転タイミングとしては、1フィールド(または1サブフィールド)毎に画素毎の液晶印加電圧VLIQを反転させても良いし(図10(B)の上側の図)、1フィールド(または1サブフィールド)内の所定期間毎にて反転させても良い(図10(B)の下側の図)。
【0071】
次に、保持容量C1を設けた利点について言及する。保持容量C1の存在により、メカニカルスイッチ20の可動接点24を固定接点26に対して開閉するための補助的な吸引力また反発力として利用できる利点がある。極性反転駆動では、今回のフィールドにてフリップフロップF/Fに保持された電圧と、前回のフィールドにて保持容量C1に保持された電圧とは、極性が異なる。よって、この極性差は可動接点24と固定説点26との間に吸引力を生じさせる。この吸引力を、メカニカルスイッチ20のオン駆動の初期に利用できる。なお、オン駆動後はフリップフロップF/Fと保持容量C1とはショートされるので吸引力は消滅する。よって、吸引力を維持する電極30,32の駆動は不可欠である。また逆に、メカニカルスイッチ20に反発力を付与することもできる。この場合とは、リップフロップF/Fと保持容量C1とが同電圧を保持しているときである。よって、同じ電圧を補助容量C1に再書き込みすることを防止できる。同一電圧を再書き込みすると、液晶40への印加電圧が微妙に変化して光透過特性に変化をきたすので、この意味で効果的である。
【0072】
3.第3実施形態
図12は、面順次駆動に液晶装置70を示している。図2の液晶装置と比較して相違する点は、画素回路が図12に示す画素回路60である点と、第1,第2の制御線CL1,CL2の配線である。図12では、第1,第2の制御線CL1,CL2を1本の線で簡略して示しているが、要は、全ての画素回路60に接続される第1の制御線CL1はショートして共用され、同様に、全ての画素回路60に接続される第1の制御線CL1はショートして共用されていることである。
【0073】
なお、図12では説明の便宜上、X方向に4列(第1列〜第4列)、Y方向に4行(A行〜D行)の4×4=16個の画素回路60を示している。
【0074】
面順次駆動について、図13を参照して説明する。4本の走査線WLA〜WLDは、図4と同様に、一水平走査期間(1H)に相当する選択期間が順次ずれており、各選択期間にて選択電位VWLとなり、それ以外の非選択期間では非選択電位(例えば0V)となる。
【0075】
従って、先頭の第A列の走査線WLAに接続された4つの画素A0−A3の各画素回路60では、各選択期間内にTFT12がオンして、データ線DL0〜DL3の各表示電圧(VDDまたはVSS)が各フリップフッロプF/Fに順次保持される。図13では、フリップフロップF/Fの出力電圧は電圧VPIXA〜VPIXDにて示されている。
【0076】
1フィールド(または1サブフィールド)にて4本の走査線WLA〜WLDにて選択期間が設定された後に、第1,第2の制御線CL1,CL2は、オフ電圧(VB,VA)からオン電圧(VA,VB)に変化する。これにより、16個の全画素(A0−D3)の画素回路60にて、メカニカルスイッチ20が一斉にオンする。したがって、図13に示すように、今回のフィールド(またはサブフィールド)の各選択期間毎にデータ線DL0〜DL3に供給された各表示電圧が、対応する画素の液晶40に一斉に印加される。
【0077】
このように、画素回路60にフリップフロップF/Fとメカニカルスイッチ20を設けることで、各画素のフリップフロップF/Fへの線順次での書き込みタイミングと、液晶40に表示電圧を一斉印加するタイミングとを完全に分離でき、面順次駆動方が実現できる。
【0078】
この面順次駆動を図14に示す。フリップフロップF/Fへの表示電圧書き込み期間中は前フィールドの表示が維持され、メカニカルスイッチ20が一斉にオンすることで、今回のフィールドにて書き込まれた表示電圧に基づく画像が表示される。
【0079】
なお、図2に示す液晶装置において、画素回路10を画素回路60に置き換えれば、線順次駆動と面順次駆動とを切り換えて実施することが可能である。この際、面順次駆動を行なうには、図2に示す複数の第1の制御線CL11,CL12,…と、複数の第2の制御線CL21,CL22,…を、図13の通りに一斉にオン電圧に切り換えれば良い。
【0080】
4.第4実施形態
図15は、第4実施形態に係る画素回路80を示している。図15の画素回路80が図9の画素回路60と相違する点は、フリップフロップF/Fとメカニカルスイッチ20との間に、保持容量C1の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量C2を設けた点である。補助容量C2の一端はフリップフッロプF/Fの出力端に接続され、他端は例えば接地電位(GND)となっている。
【0081】
図9の画素回路60では、メカニカルスイッチ20がオンされた瞬間に、保持容量C1にて急激な充放電が発生する虞がある。この時、保持容量C1での充放電の影響が、メカニカルスイッチ20を介してフリップフッロプF/Fに悪影響を与えることが懸念される。最悪の場合、フリップフロップF/Fに既に書き込まれた表示電圧(VDDまたは0V)が反転し、データ破壊となることも配慮しなければならない。
【0082】
フリップフロップF/Fの出力段に補助容量C2が接続されると、フリップフロップF/Fに書き込みが終了さえすれば、フリップフロップF/Fでのデータ破壊は生じない。なぜなら、フリップフッロプF/Fの特性である双安定性により、時間経過と共に補助容量C2にも表示電圧を充電できるからである。したがって、もし保持容量C1での充放電の影響がフリップフロップF/Fに作用しても、補助容量C2に充電された表示電圧によりデータ破壊は生じ得ない。このため、補助容量C2の容量値としては、保持容量C1の容量値より大きくする必要はなく、それと同等以下であれば良い。
【0083】
5.電気光学装置の構造
第1〜第4実施例にて用いたメカニカルスイッチ20は、上述の通り、電子回路を一つのシリコン基板上に集積化したデバイスを構築するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術の一つとして実用化に至っている(特許文献4,5参照)。
【0084】
よって、MEMS技術を用いれば、アクティブマトリクス基板との一体化は可能である。一例として、図16に反射型液晶装置100を示す。この反射型液晶装置100は、アクティブマトリクス基板110と透明な対向基板(ガラス基板)120との間に液晶40が封入された液晶層130を有する。アクティブマトリクス基板120の裏側には、メカニカルスイッチ20をMEMS技術にて製造したメカニカルスイッチボックス140が配置される。
【0085】
メカニカルスイッチボックス140は、例えば特許文献5に記載のように、陽極接合や接着などで複数部材を張り合わせることで、メカニカルスイッチボックス140の内部は密閉された空洞部142とされる。これにより、空洞部142内にてメカニカルスイッチ20の揺動が可能とる。また、この空洞部142は、真空または不活性ガス雰囲気などの非酸素雰囲気とされる。これにより、メカニカルスイッチ20の可動接点24と固定接点26の電気的接触面が酸化されることが防止される。
【0086】
アクティブマトリクス基板110に、画素回路10,60,80の構成要素のうち、メカニカルスイッチ20及び液晶40以外の要素を搭載できることは、従来技術と同様である。ただし、アクティブマトリクス基板110に搭載される要素のうち、例えばフリップフロップF/F等のメモリ回路をメカニカルスイッチボックス140に搭載しても良い。メカニカルスイッチボックス140のうち、アクティブマトリクス基板110と接合されるベース板142をシリコン基板とすれば、そのシリコン基板142にフリップフロップF/F等の半導体回路を搭載可能である。さらには、メカニカルスイッチボックス140のベース板142をアクティブマトリクス基板110で兼用してもよい。
【0087】
図16に示す構造例の場合、メカニカルスイッチ20の固定接点26とアクティブマトリクス基板110上の少なくとも液晶40の画素電極とを電気的に接続しなければならない。アクティブマトリクス基板110上にフリップフロップF/Fを搭載する場合や、フッリプフロップF/Fを使用しない場合も、メカニカルスイッチ20の支点電極22を、アクティブマトリクス基板110上のフリップフロップF/Fや画素選択トランジスタ12に接続しなければならない。
【0088】
この接続の一例を図17に示す。図17に示すように、アクティブマトリクス基板110のベースとなるシリコン基板111とその上の積層部112には、表裏に貫通する貫通孔113か形成される。アクティブマトリクス基板110の最上層にて露出している画素電極114は、貫通孔113に埋め込まれた金属層115と接続される。この金属層115はシリコン基板111の裏面に露出するので、この金属層115をメカニカルスイッチボックス140のベース板142側に形成される固定接点26に接続することができる。他の部位の電気的導通も、貫通孔113を用いて同様に接続すれば良い。
【0089】
また、特許文献4の構造には、メカニカルスイッチ20の支点電極22に相当する箇所があるが、特許文献5に開示された構造は図18の通りであり、メカニカルスイッチ20となる揺動部位150はトーションバー152にて連結されている。そこで、このようにトーションバー152で連結された揺動部位150をメカニカルスイッチ20として利用するには、図19の通りとすれば良い。
【0090】
図19では、揺動部位150のうち固定接点26側の自由端部154にのみ不純物ドープして導体とし、他の部位はノンドープシリコンとする。また、上述のような支点電極22の代わりに、固定説点26に加えて他の固定接点28を設ける。自由端部154には、可動接点24の他に、固定接点28に接離される可動接点156を設ける。こうすると、揺動部152がトーションバー152で他の画素の揺動部位152と連結していても、各揺動部位150の自由端部154に画素固有の導通経路を確保できる。
【0091】
6.電子機器
本実施形態では、本発明の電気光学装置を搭載した電子機器の例について説明する。
【0092】
(プロジェクタ)
まず、本発明の電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図20は、本発明の電気光学装置(反射型液晶装置)を搭載したプロジェクタの全体構成を示す図である。図示されるように、プロジェクタ1100内部には、偏光照明装置1110がシステム光軸PLに沿って配置されている。この偏光照明装置1110において、ランプ1112からの出射光は、リフレクタ1114による反射で略平行な光束となって、第1のインテグレータレンズ1120に入射する。これにより、ランプ1112からの出射光は、複数の中間光束に分割される。この分割された中間光束は、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130によって、偏光方向が略々揃った一種類の偏光光束(s偏光光束)に変換されて、偏光照明装置1110から出射される。
【0093】
偏光照明装置1110から出射されたs偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のs偏光光束反射面1141によって反射される。この反射光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1151の青色光反射層にて反射され、反射型の電気光学装置10Bによって変調される。また、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層にて反射され、反射型の液電気光学装置1000Rによって変調される。
【0094】
一方、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、緑色光(G)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層を透過して、反射型の電気光学装置100Gによって変調される。
【0095】
このようにして、電気光学装置1000R、1000G、1000Bによってそれぞれ色光変調された赤色、緑色、青色の光は、ダイクロイックミラー1152、1151、偏光ビームスプリッタ1140によって順次合成された後、投射光学系1160によって、スクリーン1170に投射されることとなる。なお、電気光学装置1000R、1000Bおよび1000Gには、ダイクロイックミラー1151、1152によって、R、G、Bの各原色に対応する光束が入射するので、カラーフィルタは必要ない。
【0096】
上述のとおり、本発明の電気光学装置(1000R、1000G、1000B)は、サブフィールド数を増加させることなく、より細かな階調表現が可能である。よって、図20のプロジェクタは、低消費電力性を維持しつつ、より高精細な画像表示が可能であり、例えば、ホームシアター用のプロジェクタとして有用である。
【0097】
なお、上述の例では反射型の電気光学装置を用いたが、透過型表示の電気光学装置を用いたプロジェクタとすることもできる。
【0098】
(モバイル型コンピュータ)
次に、本発明の電気光学装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図21は、本発明の電気光学機器を搭載したパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0099】
図21において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、表示ユニット1206とから構成されている。この表示ユニット1206は、上述した実施形態が適用される電気光学装置1000の前面にフロントライトを付加することにより構成されている。なお、この構成では、電気光学装置1000を反射直視型として用いることになるので、画素電極118において、反射光が様々な方向に散乱するように、凹凸が形成される構成が望ましい。
【0100】
(携帯電話端末)
図22は、本発明の電気光学装置1000を搭載した携帯電話端末の概観を示す斜視図である。携帯電話端末1300は、複数の操作キー1302と、スピーカ1304と、マイク1306と、本発明の電気光学装置1000と、を備える。
【0101】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0102】
例えば、上述した実施形態では2本の第1,第2の制御線CL1,CL2と2つの電極30,32を必要としたが、これに限定されない。第1の制御線1CL1と電極30を排除しても良い。つまり、図1などに図示された固定接点26側の電極32のみで、メカニカルスイッチ20を揺動駆動してもよい。MENS技術の進歩によりメカニカル部の微細化が進んでいるのでメカニカルスイッチ20を薄型化でき、駆動に要するクーロン力は片側だけで付与できるからである。特に、保持容量C1を使用する場合には、上述したようにオン時の吸引力を利用できるので、起動時に電極32によって付与するクーロン力は少なくてもよいからである。
【0103】
従って、各画素回路には1本の制御線のみを接続すれば足りる。特に、面順次駆動の場合には電気光学装置全体として1本の制御線CL2のみで駆動できる。線順次駆動の場合には、走査線と同じ本数分だけ制御線を設ければよい。
【0104】
また、本発明が適用される電気光学素子は液晶に限らず、印加電圧によって光学的特性が変化する素子であればよい。
【0105】
なお、上述した実施形態では画素選択トランジスタをTFTとしたが、反射型液晶などの場合にはシリコン基板上に画素選択トランジスタを形成することができる。
【符号の説明】
【0106】
10,60,80 画素回路、12 画素選択トランジスタ(薄膜トランジスタ)、
20 メカニカルスイッチ、22 支点電極、24 移動接点、26,28 固定接点、
30 第1の電極、32 第2の電極、34 ストッパ、40 電気光学素子(液晶)、
50,70,100 電気光学装置(液晶装置)、52 画素マトリクス領域、
54 走査線ドライバ(Yドライバ)、56 データ線ドライバ(Xドライバ)、
58 メカニカルスイッチ駆動回路、110 アクティブマトリクス基板、
113 貫通孔、114 画素電極、120 対向基板、130 液晶層、
140 メカニカルスイッチボックス、142 空洞部、144 ベース基板、
150 揺動部、152 トーションバー、154 導体の自由端部、
156 可動接点、C1 保持容量、C2 補助容量、CL1 第1の制御線、
CL2 第2の制御線、DL データ線、F/F フリップフロップ、WL 走査線
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素回路、それを用いた電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置例えば液晶装置では、画素選択トランジスタとして使用される薄膜トランジスタに光が入射すると、薄膜トランジスタのチャネル中にキャリアが発生する。N型トランジスタであれば電子が、P型トランジスタであれば正孔が、それぞれキャリアとして発生する。このキャリアは、薄膜トランジスタのゲート電圧がたとえオフ電圧であったとしても、ソース−ドレイン間の電圧によってチャネル内を移動して、ソース−ドレイン間に電流が流れてしまう。この現象が光リークと呼ばれている。
【0003】
アクティブマトリクス液晶の表示原理は、画素の選択期間に液晶に表示電圧を印加し、画素の非選択期間にて液晶容量にて電圧を保持して階調を維持するというものである。しかし、光リークによって、薄膜トランジスタのオフ期間である非選択期間中に液晶印加電圧が低減し、画質が劣化してしまう。各画素にて、液晶に印加される表示電圧を保持する保持容量を設けているが、薄膜トランジスタへの光入射の有無でリーク量は二桁以上も異なり、光リークが支配的となって画質が劣化している。この種の光リーク電流発生のメカニズムは明らかになっている(例えば特許文献1)。
【0004】
薄膜トランジスタへの光入射を物理的に低減するために、走査線等の形状を改善したものが提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、電気光学装置では反射などによって様々な角度から光が入射するので、薄膜トランジスタを完全に遮光することは不可能である。
【0006】
このような物理的な遮光以外に、例えば薄膜トランジスタのチャネルドーズ量を調整することにより、電子−正孔対を積極的に再結合させて光リークを低減する提案もなされている(特許文献3)。
【0007】
しかし、チャネルドーズ量の調整により薄膜トランジスタの特性が変化し、例えば薄膜トランジスタの電流駆動能力が低下してしまう。このため、画素数が多い例えば大型画面のパネルのように、書き込み時間が短時間となる高速駆動では、薄膜トランジスタの電流駆動能力が低いもの不向きである。
【0008】
なお、本発明者が課題解決のために着目したメカニカルスイッチは、電子回路を一つのシリコン基板上に集積化したデバイスを構築するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術の一つとして実用化に至っている(特許文献4)。
【0009】
さらに、本出願人もこの種のメカニカルスイッチを利用したデバイスを開発している(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−100245号公報
【特許文献2】特開2001−158360号公報
【特許文献3】特開平7−181519号公報
【特許文献4】特開平5−150173号公報
【特許文献5】特開平9−159937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遮光やトランジスタ特性の改良に頼らずに、たとえと画素選択トランジスタにて光リークが生じたとしても、電気光学素子の階調が劣化しない画素回路、それを用いた電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る画素回路は、一端にデータ線が接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間に設けられたメカニカルスイッチと、
を有し、
前記メカニカルスイッチは、前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間の導通経路上の固定接点と、前記固定接点に対して接離される可動接点とを備え、前記可動接点を機械的に開閉して、前記可動接点の閉鎖時に前記表示電圧を前記電気光学素子に印加し、前記可動接点の開放時に前記導通経路を完全に遮断することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様は、その画素回路を用いた電気光学装置を定義している。
【0014】
本発明の一態様及び他の態様によれば、画素選択トランジスタと電気光学素子との間はメカニカルスイッチによって導通経路を遮断でき、電気光学素子をフローティング状態とすることができ。よって、画素選択トランジスタのオフ時に光リークが生じたとしても、電気光学素子への悪影響はない。
【0015】
本発明の一態様及び他の態様では、前記画素選択トランジスタと前記メカニカルスイッチとの間に、前記表示電圧を記憶するメモリ回路をさらに有することができる。
【0016】
メモリ回路とメカニカルススイッチとを用いることで、メモリ回路への電圧書き込みと、電気光学素子への電圧書き込みとを分離できる。よって、メモリ回路に順次書き込まれた電圧を、メカニカルスイッチを介して全画素の電気光学素子に同時に印加する面順次駆動法を採用することができる。また、メモリ回路は、トランスファーゲートとして機能する画素選択トランジスタとは異なり、例えばフリップフッロプのように電流駆動能力を持つため、電気光学素子への書き込み電圧の劣化を防止できる。
【0017】
本発明の一態様及び他の態様では、前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量をさらに有することができる。電気光学素子の容量値が少ない場合や、電気光学素子自体が容量を待たない場合に保持容量は有効である。
【0018】
本発明の一態様及び他の態様では、前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量と、前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、さらに有することができる。
【0019】
例えば、極性反転駆動のように、メモリ回路に今回書き込まれた電圧の極性と、保持容量に前回書き込まれた電圧の極性が異なるので、メカニカルスイッチのオン時の初期吸引力を高めることができる。この他、メモリ回路と保持容量の保持電圧が同一である再書き込みを、メカニカルスイッチに作用する反発力によって防止できる効果がある。
【0020】
本発明の一態様及び他の態様では、前記メカニカルスイッチは、前記可動接点と対向して配置される電極を含み、前記電極にオフ電圧とオン電圧とが切り換えて印加されることで、前記可動接点をクーロン力によって開閉することができる。この種のメカニカルスイッチはMEMS技術で確立されているので信頼性が高い。
【0021】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記複数の走査線の各々には、前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と、前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、前記複数の制御線の各々には、前記選択期間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることで、マトリクス駆動が実現できる。つまり、同一走査線上の全画素を同時に駆動する線順次駆動や、一画素ずつ駆動する点順次駆動や、複数画素を1ブロックとしてブロック単位で駆動するブロック順次駆動が可能となる。
【0022】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記複数の走査線の各々には、1フィールド中にて前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、
前記複数の制御線の各々には、前記選択期間外の所定時間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることでも、マトリクス駆動が可能である。
【0023】
メモリ回路を有する場合には、メモリ回路への電圧書き込みと、その後の電気光学素子への電圧書き込みとを、メカニカルスイッチによって分離できる。従って、メモリ回路への電圧書き込みが行なわれる選択期間外にて、電気光学素子への電圧書き込みを実施できる。
【0024】
上述した線順次駆動などの場合、前記少なくとも1本の制御線を、前記複数の走査線と平行に複数本配置することできる。同一走査線上の全画素に、同一の制御電圧を印加すれば良いからである。
【0025】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記複数の制御線に供給される前記制御信号は、前記1フィールド中にて、前記複数の走査線の全てに対して前記選択期間が設定された後の非選択期間内に、前記オン電圧を供給することができる。つまり、面順次駆動法が可能である。メモリ回路を有する場合には、メモリ回路への電圧書き込みと、その後の電気光学素子への電圧書き込みとを、メカニカルスイッチによって分離できるからである。
【0026】
面順次駆動法を採用する場合には、前記少なくとも1本の制御線を、前記複数の画素回路の全てに共用できる。従って、この場合には制御線は1本あれば足りる。
【0027】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充放電する保持容量と、前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、さらに有することができる。
【0028】
メモリ回路に書き込まれた電圧を補助容量に保持することで、メカニカルスイッチのオン時に保持容量が急激に充放電されても、それに起因してメモリ回路がデータ破壊することを防止できる。
【0029】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記画素選択トランジスタが形成されるアクティブマトリクス基板を有し、
前記アクティブマトリクス基板の表面側に前記電気光学素子が配置され、前記アクティブマトリクス基板の裏面側に前記メカニカルスイッチが配置され、
前記アクティブマトリクス基板に複数の貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔の1つを介して前記メカニカルスイッチと前記電気光学素子とを電気的に導通することができる。
【0030】
このようにすれば、アクティブマトリクス基板外にメカニカルスイッチをMEMS技術で製造しても、そのメカニカルスイッチと電気光学素子とを電気的に導通させることができる。
【0031】
本発明の他の態様にかかる電気光学装置では、前記メカニカルスイッチの前記可動接点が配置される空間は密閉され、かつ、密閉空間を非酸素雰囲気に設定することができる。これにより、可動接点と固定接点との酸化に起因した接触不良を防止でき、信頼性が向上する。
【0032】
本発明のさらに他の態様に係る電子機器は、上述に記載の電気光学装置を有することを定義している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画素回路を示す図である。
【図2】図1の画素回路を用いた液晶装置を示す図である。
【図3】図2に示す液晶装置での線順次駆動を示す図である。
【図4】走査信号を示す図である。
【図5】図1に示す画素回路の動作タイミングチャートである。
【図6】比較例の画素回路を示す図である。
【図7】図3に示す薄膜トランジスタでの光リークを説明する図である。
【図8】図3に示す画素回路の動作タイミングチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画素回路を示す図である。
【図10】図10(A)は図9に示す画素回路の動作タイミングチャート、図10(B)はノーマリホワイトの場合の液晶への印加電圧を示す特性図である。
【図11】図9中のフリップフロップの回路図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る液晶装置を示す図である。
【図13】図12に示す画素回路の動作タイミングチャートである。
【図14】図12の動作に基づく面順次駆動での表示例を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る画素回路を示す図である。
【図16】電気光学装置の構造例を示す図である。
【図17】図16に示す構造の一部の断面図である。
【図18】トーションバーで連結された揺動部を有するメカニカルスイッチの斜視図である。
【図19】図18に示すメカニカルスイッチを使用した画素回路を示す図である。
【図20】本発明に係る電子機器の一例であるプロジェクタの概略説明図である。
【図21】本発明に係る電子機器の他の一例であるパーソナルコンピュータの概略図である。
【図22】本発明に係る電子機器のさらに他の一例である携帯電話機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0035】
1.第1実施形態
1.1.画素回路
図1は、本実施形態に係る画素回路を示している。図1に示す画素回路10は、走査線WLと、データ線DLと、例えば2本の第1,第2の制御線CL1,CL2とによって駆動される。なお、制御線は必ずしも2本必要でなく、後述する通り少なくとも1本あればよい。
【0036】
この画素回路10は、例えばアクティブマトリクス型液晶装置に用いられる。画素回路10を選択するための画素選択トランジスタ例えば薄膜トランジスタ(TFT)12は、ゲートが走査線WLに接続され、例えばソースがデータ線DLに接続されている。このTFT12の例えばドレインは、通常は液晶40の一端、つまり液晶40と接する画素電極に接続される。本実施形態では、TFT12のドレインと液晶40の一端(画素電極)との間に、メカニカルスイッチ20を設けている。
【0037】
このメカニカルススイッチ20は、後述する通りシーソーのように揺動することができる。TFT12のドレインに接続される固定接点としての電極、例えばメカニカルスイッチ20の揺動支点となる位置に支点電極22を有する。TFT12のドレインに常時接続される固定接点は、後述するように支点以外の位置に設けることもできる。メカニカルスイッチ20の自由端部が可動接点24である。この可動接点24は、液晶40の一端と接続される固定接点26に対して接離可能である。固定接点26は、揺動されるメカニカルスイッチ20の一方位置でのストッパとしても機能する。
【0038】
メカニカルスイッチ20を支点電極20を支点として揺動させるために、例えば2つの第1,第2の電極30,32を有する。この電極も必ずしも2つ必要でなく、1本の制御線に対応して一つの電極を設けるものでも良い。また、揺動されるメカニカルスイッチ20の他方位置でのストッパ34が設けられている。
【0039】
メカニカルスイッチ20は、特許文献5に記載されている微小ミラーと同じく、例えばシリコンにて形成され、そのシリコンに不純物をドープすることで導電体とすることができる。よって、第1,第2の電極30,32に、第1,第2の制御線CL1,CL2を介して所定の電圧を供給することで、メカニカルスイッチ20と第1,第2の電極30,32との間にクーロン力が発生する。従って、第1の電極30に対して反発し、第2の電極32に対して吸引される電圧(以下、オン電圧と称する)を第1,第2の電極30,32に印加すると、メカニカルスイッチ20は図1の実線で示すニュートラル一(無印加状態)から、図1の破線で示すように揺動する。このときに、これにより、可動接点24と固定接点26とをショートさせて、TFT12のドレインと液晶40の一端とを導通させることができる。従って、走査線WLによりTFT12がオンされた時、データ線DLから書き込まれる表示電圧は、TFT12のソース−ドレインと、メカニカルスイッチ20の可動接点24−固定接点26それぞれ経由して液晶40の一端に印加される。これにより、液晶40は表示電圧に基づいて光透過率が変化する。
【0040】
一方、メカニカルスイッチ20は、可動接点24と固定接点26との接触を解除することができる。この際、図1に実線で示すように、第1,第2の電極30,32を電圧の無印加状態としても良い。ただし、確実な切断のためには、第1の電極30に対して吸引され、第2の電極32に対して反発する電圧(以下、オフ電圧と称する)を第1,第2の電極30,32に印加すると、メカニカルスイッチ20は図1のストッパ34側に揺動する。このオフ電圧により、TFT12と液晶40との間の導通経路は完全に遮断される。
【0041】
このように、メカニカルスイッチ20によってTFT12と液晶40との間の導通経路は完全に遮断することで、メカニカルスイッチ20により導通経路を遮断した後にTFT12側にて電気的状況が変化しても、液晶40には影響がない。つまり、TFT12にて光リークが生じても、電気的にフローティング状態である液晶40に全く影響を及ぼさない。これにより本発明の課題が解決できる。
【0042】
1.2.電気光学装置
図2は、図1に示す画素回路10を用いた電気光学装置、例えば液晶装置50の一例を示している。
【0043】
液晶装置50は、図2のように、画素回路10がマトリクス状に配置されたマトリクス領域52と、走査線ドライバ(Yドライバ)54と、データ線ドライバ(Xドライバ)56と、メカニカルスイッチ駆動回路58とを有する。本実施形態では、走査線WL(WL1,WL2,…)及び第1,第2の制御線CL1,CL2(CL11,CL21,CL21,CL22,…)はX方向に沿って延び、データ線DL(DL1,DL2,…)はY方向に延びている。
【0044】
走査線ドライバ54はX方向の一端位置に、メカニカルスイッチ駆動回路58はX方向の他端位置に、データ線ドライバ56はY方向の一端位置にそれぞれは位置されている。なお、メカニカルスイッチ駆動回路58は走査線ドライバ54の中に配置しても良い。
【0045】
図3は、図2の液晶装置50にて採用される駆動方法の一つである線順次駆動を示している。線順次駆動とは、図3に示すように、一走査線、例えば走査線WL1に接続された全ての画素回路10を、図4に示す一水平走査期間(1H)である選択期間内に同時に選択する駆動法である。図3及び図4に示すように、次の一水平選択期間(1H)に対応する選択期間では走査線WL2に接続された全ての画素回路10を同時に選択し、さらに次の一水平選択期間(1H)に対応する選択期間では走査線WL2に接続された全ての画素回路10を同時に選択する。そして、一フィールド(または一サブフィールド)内にて全走査線に対する水平走査が終了したら(一垂直走査期間の終了)、次のフィールド(またはサブフィールド)に移行して走査線WL1から順次選択する操作が繰り返される。
【0046】
なお、図2の液晶装置50では、線順次駆動に限らず、一水平走査期間(1H)内に一走査線上の画素回路10を一つずつ順次選択する点順次駆動、あるいは一水平走査期間(1H)内に一走査線上の複数の画素回路10を位置ブロックとして一ブロックずつ順次選択するブロック順次駆動を採用しても良い。
【0047】
図5は、走査線WL1及びデータ線DL1に接続された画素回路10の動作タイミングチャートである。なお、本実施形態では1フィールドが、時間軸上でn(nは2以上の整数)個のサブフィールドSf1−Sfnに分割されている。つまり、1フィールド中に液晶40に印加される電圧パルスの印加時間を、各サブフィールドにて印加されるニ値電圧にて制御して、液晶40を階調駆動している。このため、データ線ドライバ56から供給されるデータ電位は、VDD(3Vまたは5V)かVSS(0V)の一方である。なお、以下の説明ではサブフィールドをフィールドと略記する。
【0048】
図5において、期間T2が一水平走査期間(1H)に対応する選択期間である。期間T2の前期間T1は、前のフィールドから引き続く非選択期間である。期間T2の後期間T3は本フィールドでの非選択期間である。
【0049】
図5に示すように、走査線WL1は、選択期間T2にて選択電圧VWLが印加される。選択電圧VWLは、(表示電圧VDD)+(TFT12のしきい値電圧Vth)+αであり、αは基板効果や設計マージンを考慮して決定される。
【0050】
選択期間T2では、メカニカルスイッチ20も同時に閉鎖駆動される。このため、第1,第2の制御線CL11,CL21にオン電圧(VA,VB)が供給される。なお、選択期間T2以前では、メカニカルスイッチ20は開放駆動するため、第1,第2の制御線CL11,CL21にオフ電圧(VB,VA)が供給される。ここで、本実施形態では、たとえばVA=+20V、VB=−15Vに設定している。オン電圧印加時には、図1において、表示電圧である0VまたはVDD(3Vまたは5V)に設定されるメカニカルスイッチ20は、VB=−15Vに設定された第2の電極32には吸引される一方で、VA=+20Vに設定された第1の電極30とは反発するので、図1の破線に示す位置に揺動する。これにより、TFT12と液晶40とは導通する。
【0051】
選択期間T2の当初の期間T21は、前フィールドに液晶40に印加された表示電圧を放電させる期間である。この期間T21では、データ線DL1がデータ電位でなく、前回選択時の表示電圧(例えば0V)のとなっている。期間T21では、上記の通りTFT12及びメカニカルスイッチ20が共にオンしているので、液晶40はデータ線DL1との間で充放電される。なお、図5の例では、期間T21でのデータ線DL1の電位と液晶40の電位VLIQは共に0Vなので充放電はない。
【0052】
期間T21が終了すると、選択期間T2の残り期間T22にて、データ線DL1が表示電圧例えば電位VDDに設定される。この電位VDDは、共にオンされたTFT12及びメカニカルスイッチ20を介して液晶40の一端に印加される。これにより、液晶40の透過率が変化する。
【0053】
選択期間T2が終了すると、走査線W1の電位は非選択電位(例えば0V)となり、第1,第2の制御線CL11,CL12の電位はオフ電圧(VB,VA)となる。よって、TFT12及びメカニカルスイッチ20は共にオフする。なお、メカニカルスイッチ20のオン・オフタイミングは必ずしも選択期間T2に一致させる必要はなく、メカニカルスイッチ20を介して液晶40を充放電させられるように選択期間T2と一部一致する期間が設定されれば良い。
【0054】
メカニカルスイッチ20がオフされると、液晶40とTFT12との導通経路は完全に遮断されてフローティング状態となる。このため、TFT12に光リークが生じても液晶40の光透過率には全く悪影響がない。その意味で、本実施形態では、液晶40に印加される表示電圧を保持容量を設けていない。保持容量は、主として光リークによる液晶40の電圧変動を低減するために設けられた経緯があるからである。液晶40そのものの容量のみを利用して、光学的表示が可能となる。
【0055】
ただし、図1の画素回路10に保持容量を追加しても良い。この際、追加される保持容量は、メカニカルスイッチ20の支点電極22ではなく固定接点26に接続される(図9参照)。保持容量を、TFT12とメカニカルスイッチ20との間に設けても、メカニカルスイッチ20がオフされる非選択期間中に、液晶40の電圧を保持できず意味をなさないからである。なお、保持容量を追加する利点については後述する。
【0056】
1.3.比較例
図6は、比較例の画素回路を示している。図6に示すように、TFT12のドレインには、液晶40に印加される表示電圧を保持する保持容量C1の一端が接続され、その他端には共通電圧VCOMが供給される。
【0057】
図6の例では、図7に示すようにN型トランジスタにて形成されたTFT12に光が照射されると、キャリアである電子がチャネル内を移動して、リーク電流が発生する。この現象は図1の実施形態でも同様であるが、図6では保持容量C1及び液晶40の一端電圧が変化するので、画質が劣化してしまう。
【0058】
図7がその様子を示している。図7において、非選択期間T1では保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQが、データ線DL1の電位(0V)よりも高いので、充放電期間T21にて放電が生じている。この後、期間T22にて保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQが、表示電圧(VDD)まで充電される。なお、選択期間Tの終了直後にて走査線WL1の電圧が立ち下がると、保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQが少し低下している(矢印A)。これは、TFT12のゲート−ドレイン(またはソース)間寄生容量Cgd(またはCgs)により、走査線WL1の立下り時に保持容量C1で保持している電圧がカップリングにより低下するからである。
【0059】
比較例の画素回路での問題は、非選択期間T3にて、例えば矢印Bのタイミングで光リークが生じると、保持容量C1の一端電圧Vcapと液晶40の一端電圧VLIQはさらに低下することである。
【0060】
本実施形態では、比較例では実現し得なかった、非洗濯期間T3での光リークに伴う液晶40の光透過率特性への影響を完全に回避することができる。
【0061】
2.第2実施形態
図9に示す第2実施形態では、図1の画素回路10に、メモリ回路例えばフリップフロップF/Fと、保持容量C1とが追加された画素回路60が示されている。なお、保持容量C1については必須ではなく、第1実施形態にて説明した理由により削除することも可能である。
【0062】
フリップフロップF/Fは、2つのインバータIV1,IV2を直列接続した閉回路にて形成され、インバータIV1の入力端がTFT12のドレインに接続され、その出力端がメカニカルスイッチ20の支点電極22に接続されている。保持容量C1は、その一端がメカニカルスイッチ20の固定接点26に接続され、その他端には共通電圧VCOMが供給される。
【0063】
この画素回路60の動作について、図10(A)を参照して説明する。図10(A)は、図2に示す液晶装置50中の画素回路10を図9に示す画素回路60に置き換え、第1実施形態と同じ線順次にて駆動した時の動作タイミングチャートである。図10(A)中で図5に示す同一符号は、図5と同じ意味を有するので、説明は省略する。図10(A)に示すように、データ線DL1の電位は、図5とは反転している。この理由は、液晶40への電位が、データ線DL1の電位をフリップフロップF/FのインバータIV1にて反転されるからである。
【0064】
図9の画素回路60にフリップフロップF/Fを設けた一つの理由は、TFT12よりも高いフリップフロップF/Fの電流駆動能力である。TFT12は一種のトランスファースイッチであるから電流を増幅することができない。フリップフロップF/Fを構成するインバータIV1,IV2は、図11に示すように電源電圧VDD−VSS間に直列接続されたCMOSで構成されるので、電源電圧VDDに基づいて電流を供給できるからである。このため、配線負荷など起因して生ずる液晶40への印加電圧ロスは低減できる。
【0065】
図9の画素回路60にフリップフロップF/Fを設けた他の理由は、選択期間T2を短縮できることである。図9の画素回路60では、選択期間T2が、保持容量C1や液晶40を充放電するに足る時間を要しない。つまり、フリップフロップF/F内でロジックが決定するに足る時間が選択期間T2に確保されればよいからである。
【0066】
図9の画素回路60にフリップフロップF/Fを設けたさらに他の理由は、選択期間T2とは切り離して、液晶40を充放電できることである。なぜなら、選択期間T2外であっても、データ線DL1から供給された表示電圧を、フリップフロップF/Fにて保持できるからである。
【0067】
つまり、図3と比較して図10(A)が異なる点は、メカニカルスイッチ20のオン期間T31である。図3では、メカニカルスイッチ20のオン期間は選択期間T2の期間と一致させる必要があった。
【0068】
しかし、図9に示す画素回路60は、表示電圧を記憶できるフリップフロップF/Fを有するので、図10(A)に示すように、メカニカルスイッチ20のオン期間T31は、選択期間T2と必ずしも一致させる必要はなく、非選択期間T3中に設けることができる。ただし、線順次駆動ではあまり意味がないが、次の第3実施形態に説明する面順次駆動が実現可能となる。
【0069】
図10(B)は、一例として、ノーマリホワイトでの駆動での液晶40への印加電圧を示している。液晶40は後述する例えば図16のようにアクティブマトリクス基板110と対向基板120との間に封入される。よって、液晶40の一端の電圧VLIQは画素毎に印加されると共に、他端の電圧は対向基板120への印加される電圧となり、液晶40の両端への各印加電圧の差電圧が液晶40に印加される。ここで、図10(B)は、ノーマリーホワイトタイプ(電圧を印加しない場合に光を透過するタイプ)のYN液晶の駆動例である。図10(B)では、対向基板120の電圧が、全画素に共通の固定電圧VCOM(例えば0V)となっている。
【0070】
液晶40の焼き付きを防止する観点から、遮光時に液晶40に印加される電圧は、対向基板120の電圧VCOMを中心として正負に反転した±VDDが交互に印加される。極性反転タイミングとしては、1フィールド(または1サブフィールド)毎に画素毎の液晶印加電圧VLIQを反転させても良いし(図10(B)の上側の図)、1フィールド(または1サブフィールド)内の所定期間毎にて反転させても良い(図10(B)の下側の図)。
【0071】
次に、保持容量C1を設けた利点について言及する。保持容量C1の存在により、メカニカルスイッチ20の可動接点24を固定接点26に対して開閉するための補助的な吸引力また反発力として利用できる利点がある。極性反転駆動では、今回のフィールドにてフリップフロップF/Fに保持された電圧と、前回のフィールドにて保持容量C1に保持された電圧とは、極性が異なる。よって、この極性差は可動接点24と固定説点26との間に吸引力を生じさせる。この吸引力を、メカニカルスイッチ20のオン駆動の初期に利用できる。なお、オン駆動後はフリップフロップF/Fと保持容量C1とはショートされるので吸引力は消滅する。よって、吸引力を維持する電極30,32の駆動は不可欠である。また逆に、メカニカルスイッチ20に反発力を付与することもできる。この場合とは、リップフロップF/Fと保持容量C1とが同電圧を保持しているときである。よって、同じ電圧を補助容量C1に再書き込みすることを防止できる。同一電圧を再書き込みすると、液晶40への印加電圧が微妙に変化して光透過特性に変化をきたすので、この意味で効果的である。
【0072】
3.第3実施形態
図12は、面順次駆動に液晶装置70を示している。図2の液晶装置と比較して相違する点は、画素回路が図12に示す画素回路60である点と、第1,第2の制御線CL1,CL2の配線である。図12では、第1,第2の制御線CL1,CL2を1本の線で簡略して示しているが、要は、全ての画素回路60に接続される第1の制御線CL1はショートして共用され、同様に、全ての画素回路60に接続される第1の制御線CL1はショートして共用されていることである。
【0073】
なお、図12では説明の便宜上、X方向に4列(第1列〜第4列)、Y方向に4行(A行〜D行)の4×4=16個の画素回路60を示している。
【0074】
面順次駆動について、図13を参照して説明する。4本の走査線WLA〜WLDは、図4と同様に、一水平走査期間(1H)に相当する選択期間が順次ずれており、各選択期間にて選択電位VWLとなり、それ以外の非選択期間では非選択電位(例えば0V)となる。
【0075】
従って、先頭の第A列の走査線WLAに接続された4つの画素A0−A3の各画素回路60では、各選択期間内にTFT12がオンして、データ線DL0〜DL3の各表示電圧(VDDまたはVSS)が各フリップフッロプF/Fに順次保持される。図13では、フリップフロップF/Fの出力電圧は電圧VPIXA〜VPIXDにて示されている。
【0076】
1フィールド(または1サブフィールド)にて4本の走査線WLA〜WLDにて選択期間が設定された後に、第1,第2の制御線CL1,CL2は、オフ電圧(VB,VA)からオン電圧(VA,VB)に変化する。これにより、16個の全画素(A0−D3)の画素回路60にて、メカニカルスイッチ20が一斉にオンする。したがって、図13に示すように、今回のフィールド(またはサブフィールド)の各選択期間毎にデータ線DL0〜DL3に供給された各表示電圧が、対応する画素の液晶40に一斉に印加される。
【0077】
このように、画素回路60にフリップフロップF/Fとメカニカルスイッチ20を設けることで、各画素のフリップフロップF/Fへの線順次での書き込みタイミングと、液晶40に表示電圧を一斉印加するタイミングとを完全に分離でき、面順次駆動方が実現できる。
【0078】
この面順次駆動を図14に示す。フリップフロップF/Fへの表示電圧書き込み期間中は前フィールドの表示が維持され、メカニカルスイッチ20が一斉にオンすることで、今回のフィールドにて書き込まれた表示電圧に基づく画像が表示される。
【0079】
なお、図2に示す液晶装置において、画素回路10を画素回路60に置き換えれば、線順次駆動と面順次駆動とを切り換えて実施することが可能である。この際、面順次駆動を行なうには、図2に示す複数の第1の制御線CL11,CL12,…と、複数の第2の制御線CL21,CL22,…を、図13の通りに一斉にオン電圧に切り換えれば良い。
【0080】
4.第4実施形態
図15は、第4実施形態に係る画素回路80を示している。図15の画素回路80が図9の画素回路60と相違する点は、フリップフロップF/Fとメカニカルスイッチ20との間に、保持容量C1の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量C2を設けた点である。補助容量C2の一端はフリップフッロプF/Fの出力端に接続され、他端は例えば接地電位(GND)となっている。
【0081】
図9の画素回路60では、メカニカルスイッチ20がオンされた瞬間に、保持容量C1にて急激な充放電が発生する虞がある。この時、保持容量C1での充放電の影響が、メカニカルスイッチ20を介してフリップフッロプF/Fに悪影響を与えることが懸念される。最悪の場合、フリップフロップF/Fに既に書き込まれた表示電圧(VDDまたは0V)が反転し、データ破壊となることも配慮しなければならない。
【0082】
フリップフロップF/Fの出力段に補助容量C2が接続されると、フリップフロップF/Fに書き込みが終了さえすれば、フリップフロップF/Fでのデータ破壊は生じない。なぜなら、フリップフッロプF/Fの特性である双安定性により、時間経過と共に補助容量C2にも表示電圧を充電できるからである。したがって、もし保持容量C1での充放電の影響がフリップフロップF/Fに作用しても、補助容量C2に充電された表示電圧によりデータ破壊は生じ得ない。このため、補助容量C2の容量値としては、保持容量C1の容量値より大きくする必要はなく、それと同等以下であれば良い。
【0083】
5.電気光学装置の構造
第1〜第4実施例にて用いたメカニカルスイッチ20は、上述の通り、電子回路を一つのシリコン基板上に集積化したデバイスを構築するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術の一つとして実用化に至っている(特許文献4,5参照)。
【0084】
よって、MEMS技術を用いれば、アクティブマトリクス基板との一体化は可能である。一例として、図16に反射型液晶装置100を示す。この反射型液晶装置100は、アクティブマトリクス基板110と透明な対向基板(ガラス基板)120との間に液晶40が封入された液晶層130を有する。アクティブマトリクス基板120の裏側には、メカニカルスイッチ20をMEMS技術にて製造したメカニカルスイッチボックス140が配置される。
【0085】
メカニカルスイッチボックス140は、例えば特許文献5に記載のように、陽極接合や接着などで複数部材を張り合わせることで、メカニカルスイッチボックス140の内部は密閉された空洞部142とされる。これにより、空洞部142内にてメカニカルスイッチ20の揺動が可能とる。また、この空洞部142は、真空または不活性ガス雰囲気などの非酸素雰囲気とされる。これにより、メカニカルスイッチ20の可動接点24と固定接点26の電気的接触面が酸化されることが防止される。
【0086】
アクティブマトリクス基板110に、画素回路10,60,80の構成要素のうち、メカニカルスイッチ20及び液晶40以外の要素を搭載できることは、従来技術と同様である。ただし、アクティブマトリクス基板110に搭載される要素のうち、例えばフリップフロップF/F等のメモリ回路をメカニカルスイッチボックス140に搭載しても良い。メカニカルスイッチボックス140のうち、アクティブマトリクス基板110と接合されるベース板142をシリコン基板とすれば、そのシリコン基板142にフリップフロップF/F等の半導体回路を搭載可能である。さらには、メカニカルスイッチボックス140のベース板142をアクティブマトリクス基板110で兼用してもよい。
【0087】
図16に示す構造例の場合、メカニカルスイッチ20の固定接点26とアクティブマトリクス基板110上の少なくとも液晶40の画素電極とを電気的に接続しなければならない。アクティブマトリクス基板110上にフリップフロップF/Fを搭載する場合や、フッリプフロップF/Fを使用しない場合も、メカニカルスイッチ20の支点電極22を、アクティブマトリクス基板110上のフリップフロップF/Fや画素選択トランジスタ12に接続しなければならない。
【0088】
この接続の一例を図17に示す。図17に示すように、アクティブマトリクス基板110のベースとなるシリコン基板111とその上の積層部112には、表裏に貫通する貫通孔113か形成される。アクティブマトリクス基板110の最上層にて露出している画素電極114は、貫通孔113に埋め込まれた金属層115と接続される。この金属層115はシリコン基板111の裏面に露出するので、この金属層115をメカニカルスイッチボックス140のベース板142側に形成される固定接点26に接続することができる。他の部位の電気的導通も、貫通孔113を用いて同様に接続すれば良い。
【0089】
また、特許文献4の構造には、メカニカルスイッチ20の支点電極22に相当する箇所があるが、特許文献5に開示された構造は図18の通りであり、メカニカルスイッチ20となる揺動部位150はトーションバー152にて連結されている。そこで、このようにトーションバー152で連結された揺動部位150をメカニカルスイッチ20として利用するには、図19の通りとすれば良い。
【0090】
図19では、揺動部位150のうち固定接点26側の自由端部154にのみ不純物ドープして導体とし、他の部位はノンドープシリコンとする。また、上述のような支点電極22の代わりに、固定説点26に加えて他の固定接点28を設ける。自由端部154には、可動接点24の他に、固定接点28に接離される可動接点156を設ける。こうすると、揺動部152がトーションバー152で他の画素の揺動部位152と連結していても、各揺動部位150の自由端部154に画素固有の導通経路を確保できる。
【0091】
6.電子機器
本実施形態では、本発明の電気光学装置を搭載した電子機器の例について説明する。
【0092】
(プロジェクタ)
まず、本発明の電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図20は、本発明の電気光学装置(反射型液晶装置)を搭載したプロジェクタの全体構成を示す図である。図示されるように、プロジェクタ1100内部には、偏光照明装置1110がシステム光軸PLに沿って配置されている。この偏光照明装置1110において、ランプ1112からの出射光は、リフレクタ1114による反射で略平行な光束となって、第1のインテグレータレンズ1120に入射する。これにより、ランプ1112からの出射光は、複数の中間光束に分割される。この分割された中間光束は、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130によって、偏光方向が略々揃った一種類の偏光光束(s偏光光束)に変換されて、偏光照明装置1110から出射される。
【0093】
偏光照明装置1110から出射されたs偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のs偏光光束反射面1141によって反射される。この反射光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1151の青色光反射層にて反射され、反射型の電気光学装置10Bによって変調される。また、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層にて反射され、反射型の液電気光学装置1000Rによって変調される。
【0094】
一方、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、緑色光(G)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層を透過して、反射型の電気光学装置100Gによって変調される。
【0095】
このようにして、電気光学装置1000R、1000G、1000Bによってそれぞれ色光変調された赤色、緑色、青色の光は、ダイクロイックミラー1152、1151、偏光ビームスプリッタ1140によって順次合成された後、投射光学系1160によって、スクリーン1170に投射されることとなる。なお、電気光学装置1000R、1000Bおよび1000Gには、ダイクロイックミラー1151、1152によって、R、G、Bの各原色に対応する光束が入射するので、カラーフィルタは必要ない。
【0096】
上述のとおり、本発明の電気光学装置(1000R、1000G、1000B)は、サブフィールド数を増加させることなく、より細かな階調表現が可能である。よって、図20のプロジェクタは、低消費電力性を維持しつつ、より高精細な画像表示が可能であり、例えば、ホームシアター用のプロジェクタとして有用である。
【0097】
なお、上述の例では反射型の電気光学装置を用いたが、透過型表示の電気光学装置を用いたプロジェクタとすることもできる。
【0098】
(モバイル型コンピュータ)
次に、本発明の電気光学装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図21は、本発明の電気光学機器を搭載したパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0099】
図21において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、表示ユニット1206とから構成されている。この表示ユニット1206は、上述した実施形態が適用される電気光学装置1000の前面にフロントライトを付加することにより構成されている。なお、この構成では、電気光学装置1000を反射直視型として用いることになるので、画素電極118において、反射光が様々な方向に散乱するように、凹凸が形成される構成が望ましい。
【0100】
(携帯電話端末)
図22は、本発明の電気光学装置1000を搭載した携帯電話端末の概観を示す斜視図である。携帯電話端末1300は、複数の操作キー1302と、スピーカ1304と、マイク1306と、本発明の電気光学装置1000と、を備える。
【0101】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0102】
例えば、上述した実施形態では2本の第1,第2の制御線CL1,CL2と2つの電極30,32を必要としたが、これに限定されない。第1の制御線1CL1と電極30を排除しても良い。つまり、図1などに図示された固定接点26側の電極32のみで、メカニカルスイッチ20を揺動駆動してもよい。MENS技術の進歩によりメカニカル部の微細化が進んでいるのでメカニカルスイッチ20を薄型化でき、駆動に要するクーロン力は片側だけで付与できるからである。特に、保持容量C1を使用する場合には、上述したようにオン時の吸引力を利用できるので、起動時に電極32によって付与するクーロン力は少なくてもよいからである。
【0103】
従って、各画素回路には1本の制御線のみを接続すれば足りる。特に、面順次駆動の場合には電気光学装置全体として1本の制御線CL2のみで駆動できる。線順次駆動の場合には、走査線と同じ本数分だけ制御線を設ければよい。
【0104】
また、本発明が適用される電気光学素子は液晶に限らず、印加電圧によって光学的特性が変化する素子であればよい。
【0105】
なお、上述した実施形態では画素選択トランジスタをTFTとしたが、反射型液晶などの場合にはシリコン基板上に画素選択トランジスタを形成することができる。
【符号の説明】
【0106】
10,60,80 画素回路、12 画素選択トランジスタ(薄膜トランジスタ)、
20 メカニカルスイッチ、22 支点電極、24 移動接点、26,28 固定接点、
30 第1の電極、32 第2の電極、34 ストッパ、40 電気光学素子(液晶)、
50,70,100 電気光学装置(液晶装置)、52 画素マトリクス領域、
54 走査線ドライバ(Yドライバ)、56 データ線ドライバ(Xドライバ)、
58 メカニカルスイッチ駆動回路、110 アクティブマトリクス基板、
113 貫通孔、114 画素電極、120 対向基板、130 液晶層、
140 メカニカルスイッチボックス、142 空洞部、144 ベース基板、
150 揺動部、152 トーションバー、154 導体の自由端部、
156 可動接点、C1 保持容量、C2 補助容量、CL1 第1の制御線、
CL2 第2の制御線、DL データ線、F/F フリップフロップ、WL 走査線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にデータ線が接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間に設けられたメカニカルスイッチと、
を有し、
前記メカニカルスイッチは、前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間の導通経路上の固定接点と、前記固定接点に対して接離される可動接点とを備え、前記可動接点を機械的に開閉して、前記可動接点の閉鎖時に前記表示電圧を前記電気光学素子に印加し、前記可動接点の開放時に前記導通経路を完全に遮断することを特徴とする画素回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記画素選択トランジスタと前記メカニカルスイッチとの間に、前記表示電圧を記憶するメモリ回路をさらに有することを特徴とする画素回路。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量をさらに有することを特徴とする画素回路。
【請求項4】
請求項2において、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量と、
前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、
をさらに有することを特徴とする画素回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記メカニカルスイッチは、前記可動接点と対向して配置される電極を含み、前記電極にオフ電圧とオン電圧とが切り換えて印加されることで、前記可動接点がクーロン力によって開閉されることを特徴とする画素回路。
【請求項6】
複数の走査線と、
複数のデータ線と、
少なくとも1本の制御線と、
複数の画素回路と、
を有し、
前記複数の画素回路の各々は、
一端に前記複数のデータ線の1本が接続され、かつ前記複数の走査線の1本によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間に設けられたメカニカルスイッチと、
を有し、
前記メカニカルスイッチは、前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間の導通経路上の固定接点と、前記固定接点に対して接離される可動接点とを備え、前記少なくとも1本の制御線によって、前記可動接点を機械的に開閉して、前記可動接点の閉鎖時に前記表示電圧を前記電気光学素子に印加し、前記可動接点の開放時に前記導通経路を完全に遮断することを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数の走査線の各々には、前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と、前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、
前記複数の制御線の各々には、前記選択期間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記画素選択トランジスタと前記メカニカルスイッチとの間に、前記表示電圧を記憶するメモリ回路をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記複数の走査線の各々には、1フィールド中にて前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、
前記複数の制御線の各々には、前記選択期間外の所定時間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項7または9において、
前記少なくとも1本の制御線は、前記複数の走査線と平行に複数本配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記複数の制御線に供給される前記制御信号は、前記1フィールド中にて、前記複数の走査線の全てに対して前記選択期間が設定された後の非選択期間内に、前記オン電圧を供給することを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記少なくとも1本の制御線は、前記複数の画素回路の全てに共用されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項6乃至12のいずれかにおいて、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項8乃至12のいずれかにおいて、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充放電する保持容量と、
前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、
をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項15】
請求項6乃至14のいずれかにおいて、
前記メカニカルスイッチは、前記可動接点と対向して配置される電極を含み、前記電極に前記オフ電圧と前記オン電圧とが切り換えて印加されることで、前記可動接点がクーロン力によって開閉されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項16】
請求項6乃至15のいずれかにおいて、
前記画素選択トランジスタが形成されるアクティブマトリクス基板を有し、
前記アクティブマトリクス基板の表面側に前記電気光学素子が配置され、前記アクティブマトリクス基板の裏面側に前記メカニカルスイッチが配置され、
前記アクティブマトリクス基板に複数の貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔の一つを介して前記メカニカルスイッチと前記電気光学素子とが電気的に導通されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記メカニカルスイッチの前記可動接点が配置される空間は密閉され、かつ、密閉空間は非酸素雰囲気に設定されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項18】
請求項6乃至17のいずれかに記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
一端にデータ線が接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間に設けられたメカニカルスイッチと、
を有し、
前記メカニカルスイッチは、前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間の導通経路上の固定接点と、前記固定接点に対して接離される可動接点とを備え、前記可動接点を機械的に開閉して、前記可動接点の閉鎖時に前記表示電圧を前記電気光学素子に印加し、前記可動接点の開放時に前記導通経路を完全に遮断することを特徴とする画素回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記画素選択トランジスタと前記メカニカルスイッチとの間に、前記表示電圧を記憶するメモリ回路をさらに有することを特徴とする画素回路。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量をさらに有することを特徴とする画素回路。
【請求項4】
請求項2において、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量と、
前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、
をさらに有することを特徴とする画素回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記メカニカルスイッチは、前記可動接点と対向して配置される電極を含み、前記電極にオフ電圧とオン電圧とが切り換えて印加されることで、前記可動接点がクーロン力によって開閉されることを特徴とする画素回路。
【請求項6】
複数の走査線と、
複数のデータ線と、
少なくとも1本の制御線と、
複数の画素回路と、
を有し、
前記複数の画素回路の各々は、
一端に前記複数のデータ線の1本が接続され、かつ前記複数の走査線の1本によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間に設けられたメカニカルスイッチと、
を有し、
前記メカニカルスイッチは、前記画素選択トランジスタと前記電気光学素子との間の導通経路上の固定接点と、前記固定接点に対して接離される可動接点とを備え、前記少なくとも1本の制御線によって、前記可動接点を機械的に開閉して、前記可動接点の閉鎖時に前記表示電圧を前記電気光学素子に印加し、前記可動接点の開放時に前記導通経路を完全に遮断することを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数の走査線の各々には、前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と、前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、
前記複数の制御線の各々には、前記選択期間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記画素選択トランジスタと前記メカニカルスイッチとの間に、前記表示電圧を記憶するメモリ回路をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記複数の走査線の各々には、1フィールド中にて前記画素選択トランジスタをオンさせる選択期間と前記画素選択トランジスタをオフさせる非選択期間とが設定された走査信号が供給され、
前記複数の制御線の各々には、前記選択期間外の所定時間内に前記メカニカルスイッチの前記可動接点を閉鎖駆動するオン電圧と、前記メカニカルスイッチの前記可動接点を開放駆動させるオフ電圧とが交互に供給される制御信号が供給されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項7または9において、
前記少なくとも1本の制御線は、前記複数の走査線と平行に複数本配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記複数の制御線に供給される前記制御信号は、前記1フィールド中にて、前記複数の走査線の全てに対して前記選択期間が設定された後の非選択期間内に、前記オン電圧を供給することを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記少なくとも1本の制御線は、前記複数の画素回路の全てに共用されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項6乃至12のいずれかにおいて、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充電する保持容量をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項8乃至12のいずれかにおいて、
前記可動接点閉鎖時に前記表示電圧を充放電する保持容量と、
前記メモリ回路と前記メカニカルスイッチとの間に、前記保持容量の容量値と同等以下の容量値を持つ補助容量と、
をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項15】
請求項6乃至14のいずれかにおいて、
前記メカニカルスイッチは、前記可動接点と対向して配置される電極を含み、前記電極に前記オフ電圧と前記オン電圧とが切り換えて印加されることで、前記可動接点がクーロン力によって開閉されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項16】
請求項6乃至15のいずれかにおいて、
前記画素選択トランジスタが形成されるアクティブマトリクス基板を有し、
前記アクティブマトリクス基板の表面側に前記電気光学素子が配置され、前記アクティブマトリクス基板の裏面側に前記メカニカルスイッチが配置され、
前記アクティブマトリクス基板に複数の貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔の一つを介して前記メカニカルスイッチと前記電気光学素子とが電気的に導通されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記メカニカルスイッチの前記可動接点が配置される空間は密閉され、かつ、密閉空間は非酸素雰囲気に設定されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項18】
請求項6乃至17のいずれかに記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−123407(P2012−123407A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15773(P2012−15773)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2006−336634(P2006−336634)の分割
【原出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2006−336634(P2006−336634)の分割
【原出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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