説明

電気接点およびその製造方法

【課題】本発明の目的は、遮断性能と低サージ性とを兼ね備え、かつ、多数回遮断による性能劣化の小さい、電気接点とその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の電気接点は、CrとCuとCr窒化物からなることを特徴とするものであって、前記Crを12.5〜50重量%、前記Cr窒化物を0.5〜5重量%含むことが好ましく、前記Cr窒化物と前記Crとの重量比が1:10〜1:25の範囲にあること有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空遮断器,真空開閉器等に用いられる新規な真空バルブ用電気接点及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空遮断器,真空開閉器等に内蔵される真空バルブ内には、一対の開閉可能な電気接点が設けられる。電気接点に求められる要件の一つに、裁断電流値が小さいことが挙げられる。これは、真空バルブを誘導性回路に用いて電流を遮断すると、異常サージ電圧が発生して負荷機器の絶縁破壊などを引き起こす恐れがあるためであり、異常サージ電圧を抑制するために、裁断電流値を小さくする必要がある。裁断電流値の小さい低サージ型の電気接点としては、例えば、特許文献1に記載されるように、Co−Ag−Se系などが挙げられる。
【0003】
また、裁断電流値の小さい低サージ型の電気接点としては、一般に、Ag−WC系などが使用される場合もある。
【0004】
【特許文献1】特開平9−171746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、低サージ性と遮断性能は相反する関係にあるため、低サージ性に優れるCo−Ag−Se系やAg−WC系などの電気接点は遮断性能が不足する。
【0006】
また、多数回遮断後はアーク加熱による揮散・分解などにより構成成分が変化するため、低サージ性が劣化し、所望性能の維持が困難である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、遮断性能と低サージ性とを兼ね備え、かつ、多数回遮断による性能劣化の小さい、電気接点とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気接点は、CrとCuとCr窒化物からなることを特徴とする。
【0009】
そして、この電気接点は、Crを12.5〜50重量%、Cr窒化物を0.5〜5重量%含み、残部がCuであることが好ましい。
【0010】
これら電気接点は、Cr窒化物とCrとの重量比が1:10〜1:25の範囲にあることが好ましい。
【0011】
このようなCr窒化物は、昇華点または分解点が1200℃以上であることが好ましく、CrNまたはCr2Nのうちの一方あるいは両方であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の電気接点の製造方法は、Cr,CuおよびCr窒化物の粉末を混合して混合粉末とし、混合粉末を加圧成形した後に焼結してもよく、表面を窒化処理したCrと、Cuの粉末とを混合して混合粉末とし、混合粉末を加圧成形した後に焼結してもよい。
【0013】
ここでの焼結は、高周波加熱炉などによる常圧焼結のほか、ホットプレスなどの加圧焼結や、マイクロ波などによる誘導加熱焼結を含むものである。
【0014】
また、加圧成形圧力が120〜500MPaであり、この成形圧力で加圧成形することが好ましく、焼結の雰囲気は、真空中,不活性雰囲気中,水素雰囲気中、または窒素雰囲気中であり、Cuの融点以下の温度で行うことが好ましい。
【0015】
このようなCr,CuおよびCr窒化物の粉末は、粒径が75μm以下であることが好ましく、より好ましくは、30〜70μmである。
【0016】
また、本発明の電極は、このような電気接点を用いるものであり、円盤形状を有し、円盤形状の円中心に形成された中心孔と、中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有するものである。
【0017】
さらに、本発明の電極は、円盤状部材と、円盤状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒とを有し、円盤状部材に本発明の電気接点を用いたものである。
【0018】
また、本発明の真空バルブは、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えたものであって、固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が、本発明の電極を用いるものである。
【0019】
また、本発明の真空遮断器は、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブと、真空バルブ内の固定側電極及び可動側電極の各々に真空バルブ外から接続される導体端子と、可動側電極を駆動する開閉手段とを備えたものであって、真空バルブに本発明の真空バルブを用いたものである。
【発明の効果】
【0020】
したがって、本発明によって、遮断性能と低サージ性とを兼ね備え、かつ、多数回遮断による性能劣化の小さい、電気接点とその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、発明を実施するための最良の形態を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
Cuのマトリックス中にCr粒子とCr2N 粒子とが分散する組織をなす電気接点を作製し、これを用いて電極を作製した。
【0023】
図1は、作製した電極の構造を示す図である。図1において、1は電気接点、2はアークに駆動力を与えて停滞させないようにするためのスパイラル溝、3はステンレス製の補強板、4は電極棒、5はろう材、51は電極中央にアークを生じさせないようにするための凹部を形成する中央孔である。電気接点とは、電気的に入り切りする部分に使用される部材である。
【0024】
電気接点1の作製方法は次のとおりである。
【0025】
まず、最大粒径が75μmのCu粉末,Cr粉末およびCr2N 粉末とを、後述する表1の接点組成となるような配合比でV型混合器により混合した。
【0026】
【表1】

【0027】
次に、この混合粉末を、貫通したスパイラル溝2及び中央孔51を形成して、所望の電気接点形状を形作ることのできる金型に充填し、油圧プレスにより400MPaの圧力で加圧成形した。成形体の密度は、およそ73%であった。
【0028】
これを真空中で、1000〜1050℃×2時間加熱して焼結し、電気接点1を作製した。得られた電気接点1の相対密度は、およそ94%であった。
【0029】
さらに、電極の作製方法は次の通りである。
【0030】
電極棒4を無酸素銅で、また、補強板3をSUS304であらかじめ機械加工により作製しておき、前述の焼結で得られた電気接点1の中央孔51及び補強板3の中央孔に電極棒4の凸部を挿入し、ろう材5を介して嵌め合わせ、また電気接点1と補強板3との間にもろう材5を載置し、これを8.2×10-4Pa 以下の真空中で970℃×10分間加熱し、図1に示す電極を作製した。
【0031】
この電極は定格電圧7.2kV ,定格電流600A,定格遮断電流20kA用の真空バルブに用いられる電極である。なお、電気接点1の強度が十分であれば、補強板3は省いてもよい。
【0032】
前述以外に、Cr窒化物がCr2N 以外にCrNである場合にも、あるいはそれら両方からなる場合にも、前述の方法によって電気接点1を作製することができる。
【0033】
本発明の電気接点は、CrとCuとCr窒化物からなることにより、つまり他の窒化物が混入されていないことにより、電流遮断時におけるCr窒化物の分解によって放出するガス成分が裁断電流を小さくするとともに、アーク駆動を促進し、優れた遮断性能を発揮することができる。このCr窒化物の分解生成物は、電流遮断後の冷却過程において速やかに固体に戻るため、多数回の遮断を繰り返しても、前述の裁断電流低減効果を持続できる。
【0034】
このCr窒化物は、CrとNとに分解され、Nが遮断を遅らせ、低サージ性を発現すると共に、冷却後、NはCrと結合しCr窒化物になる。こうしたメカニズムにより繰り返し遮断にも有効であると考えている。
【0035】
また、電気接点は、Crの量は、12.5 〜50重量%が望ましい。Crの量が、これより少ないと耐電圧性能が不足し、これより多いと通電性能が低下する。Cr窒化物の量は、0.5 〜5重量%が望ましい。Cr窒化物の量がこれより少ないと前述の裁断電流低減効果が得られず、これより多いと電気接点の材料密度が低下するとともに、電流遮断時の分解生成ガス成分が多くなり、耐電圧性能及び遮断性能が低下する。
【0036】
電気接点におけるCr窒化物とCrとの重量比は、1:10〜1:25の範囲にあることが望ましい。これにより、電流遮断時に分解生成した窒素は、遮断後にCrと反応してCr窒化物となり、多数回遮断を繰り返しても前述の裁断電流低減効果を持続できる。
【0037】
電気接点に用いられるCr窒化物は、昇華点または分解点が1200℃以上で、CrNまたはCr2N のうちの一方あるいは両方からなるものである。これにより、電流遮断時に生ずるアークによってCr窒化物が分解してガス成分を生成し、裁断電流を小さくすることができる。
【0038】
電気接点の製造方法は、Cr,CuおよびCr窒化物の粉末を混合して混合粉末とするか、あるいは表面を窒化処理したCrと、Cuの粉末を混合して混合粉末とし、この混合粉末を加圧成形した後に焼結するもので、焼結は真空中,不活性雰囲気中,水素雰囲気中、または窒素雰囲気中において、Cuの融点以下の温度でなされることが望ましい。
【0039】
なお、Cr,CuおよびCr窒化物の粉末を混合して混合粉末とする場合は、Crと
Cr窒化物とがCuに分散している状態を示す。また、表面を窒化処理したCrと、Cuの粉末を混合して混合粉末する場合は、Crの表面にCr窒化物が形成されたものがCuに分散している状態を示す。
【0040】
これにより、最終形状のニアネット成形が可能となり、後加工が不要で、安価な電気接点を得ることができる。なお、焼結には高周波加熱炉などによる常圧焼結のほか、ホットプレスなどの加圧焼結や、マイクロ波などによる誘導加熱焼結を用いることで、より緻密な電気接点を得ることができる。
【0041】
また、これらの原料粉末の粒径を75μm以下とすることで、成形性に優れ、均一な組織が得られる。
【0042】
さらに、混合粉末の加圧成形圧力は120〜500MPaが望ましい。成形圧力が、
120MPaより低いと成形体のハンドリングが困難で、500MPaより高いと原料粉末が金型に凝着しやすく、金型寿命が短縮するとともに生産性が低下する。
【0043】
電気接点を用いた電極は、円盤形状を有し、円盤の円中心に形成された中心孔と、この中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有するもので、スリット溝によって分離された羽根型の平面形状をなす。これにより、電極中心にアークが発生するのを防ぐとともに、スリット溝によってアークを外周方向へ駆動し、アーク停滞による遮断不能を防止することができる。
【0044】
また、電気接点を用いた電極は、円盤状部材と、この円盤状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒とを有し、円盤状部材がこの電気接点からなるものである。これにより、所望の性能を有する電極が得られる。
【0045】
真空バルブは、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備え、その少なくとも一方が、この電気接点を用いた電極からなるものである。
【0046】
また、真空遮断器は、少なくとも一方に本発明の電気接点を用いた固定側電極及び可動側電極を真空容器内に備えた真空バルブと、この真空バルブ内の固定側電極及び可動側電極の各々に真空バルブ外に接続された導体端子と、可動側電極を駆動する開閉手段とを備えたものである。
【0047】
これにより、優れた遮断性能と低サージ性を兼ね備えた真空遮断器、さらには各種真空開閉装置が得られる。
【0048】
前述で作製した電気接点を電極に用いて、真空バルブを作製した。真空バルブの仕様は、定格電圧7.2kV ,定格電流600A,定格遮断電流20kAである。
【0049】
図2は、真空バルブの構造を示す図である。
【0050】
図2において、1a,1bはそれぞれ固定側電気接点,可動側電気接点、3a,3bは補強板、4a,4bはそれぞれ固定側電極棒,可動側電極棒で、これらをもってそれぞれ固定側電極6a,可動側電極6bを構成する。
【0051】
可動側電極6bは、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐ可動側シールド8を介して可動側ホルダー12にろう付け接合される。これらは、固定側端板9a,可動側端板9b、及び絶縁筒13によって高真空にろう付け封止され、固定側電極6a及び可動側ホルダー12のネジ部をもって外部導体と接続される。絶縁筒13の内面には、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐシールド7が設けられ、また、可動側端板9bと可動側ホルダー12との間には摺動部分を支えるためのガイド11が設けられる。可動側シールド8と可動側端板9bとの間にはべローズ10が設けられ、真空バルブ内を真空に保ったまま可動側ホルダー
12を上下させ、固定側電極6aと可動側電極6bとを開閉させることができる。
【0052】
このように、前述で作製した電気接点を図2に示す電気接点1a,1bに用いて、真空バルブを作製した。
【0053】
前述で作製した真空バルブを搭載した真空遮断器を作製した。
【0054】
図3は、真空バルブ14とその操作機構を示す真空遮断器の構成図である。
【0055】
真空遮断器は、操作機構部を前面に配置し、背面に真空バルブ14を支持する3相一括型の3組のエポキシ筒15を配置した構造である。真空バルブ14は、絶縁操作ロッド
16を介して、操作機構によって開閉される。
【0056】
遮断器が閉路状態の場合、電流は上部端子17、電気接点1a,1b、集電子18、下部端子19を流れる。電極間の接触力は、絶縁操作ロッド16に装着された接触バネ20によって保たれている。電極間の接触力および短絡電流による電磁力は、支えレバー21およびプロップ22で保持されている。投入コイル30を励磁すると開路状態からプランジャ23がノッキングロッド24を介してローラ25を押し上げ、主レバー26を回して電極間を閉じたあと、支えレバー21で保持している。
【0057】
遮断器が引き外し自由状態では、引き外しコイル27が励磁され、引き外しレバー28がプロップ22の係合を外し、主レバー26が回って電極間が開かれる。
【0058】
遮断器が開路状態では、電極間が開かれたあと、リセットバネ29によってリンクが復帰し、同時にプロップ22が係合する。この状態で投入コイル30を励磁すると閉路状態になる。なお、31は排気筒である。
【0059】
前述した電気接点を先に示した定格電圧7.2kV ,定格電流600A,定格遮断電流20kAの真空バルブに用い、先に示した真空遮断器に搭載して遮断試験を行った。
【0060】
表1は、接点組成及び電極径と遮断試験結果を示すもので、No.1〜No.4が本発明材、No.5〜No.9が比較材である。
【0061】
Cr2N を含まない場合(No.9)、最大遮断電流値は30kAと大きく、遮断性能に優れるが、裁断電流値は7A程度でサージアブソーバが必要となるレベルである。
【0062】
これに対し、Cr2N の含有量が0.5 〜5重量%で、かつ、Cr2N とCrの重量比が1:10〜1:25の範囲では(No.1〜No.4)、Cr2N の分解によって裁断電流値は比較的小さくなり、1(kA)の電流を100回遮断した後も裁断電流値が大幅に変化することはなく、低サージ性が維持できる。
【0063】
一方、Cr量が12.5 重量%未満の場合は(No.5)、耐電圧性能の低下に伴い最大遮断電流値が小さくなり、Cr量が50重量%を超える場合には(No.6)、通電性能が低下することにより最大遮断電流値が小さくなる。
【0064】
また、Cr2N 量が0.5重量%未満の場合には(No.7)、Cr2N の分解による低サージ効果が小さくなり、Cr2N 量が5重量%より多くなると(No.8)、ガス成分が遮断後にCr2N として固化し難く、遮断性能が低下するとともに、繰り返し遮断によって裁断電流値は増加する。
【0065】
以上から、本形態にかかわる電気接点によって、優れた遮断性能と低サージ性を兼ね備え、かつ、裁断電流低減効果の持続性に優れた電極性能を得ることができる。なお、Cr窒化物がCr2N 以外にCrNである場合にも、あるいはそれら両方からなる場合にも同様の効果が得られる。
【0066】
先に作製した真空バルブを、真空遮断器以外の真空開閉装置に搭載した。
【0067】
図4は、前述で作製した真空バルブ14を搭載した、路肩設置変圧器用の負荷開閉器である。
【0068】
この負荷開閉器は、主回路開閉部に相当する真空バルブ14が、真空封止された外側真空容器32内に複数対収納されたものである。外側真空容器32は、上部板材33と下部板材34及び側部板材35を備え、各板材の周囲(縁)が互いに溶接によって接合されているとともに、設備本体とともに設置されている。
【0069】
上部板材33には、上部貫通孔36が形成されており、各上部貫通孔36の縁には環状の絶縁性上部ベース37が各上部貫通孔36を覆うように固定されている。そして、各上部ベース37の中央に形成された円形空間部には、円柱状の可動側電極棒4bが往復動
(上下動)自在に挿入されている。すなわち、各上部貫通孔36は上部ベース37と可動側電極棒4bによって閉塞されている。
【0070】
可動側電極棒4bの軸方向端部(上部側)は、外側真空容器32の外部に設置される操作器(電磁操作器)に連結されるようになっている。
【0071】
また、上部板材33の下部側には、各上部貫通孔36の縁に沿って外側ベローズ38が往復動(上下動)自在に配置されており、各外側ベローズ38は、軸方向の一端側が上部板材33の下部側に固定され、軸方向の他端側が各可動側電極棒4bの外周面に装着されている。
【0072】
すなわち、外側真空容器32を密閉構造とするために、各上部貫通孔36の縁には各可動側電極棒4bの軸方向に沿って外側ベローズ38が配置されている。
【0073】
また、上部板材33には排気管(図示省略)が連結され、この排気管を介して外側真空容器32内が真空排気されるようになっている。
【0074】
一方、下部板材34には下部貫通孔39が形成されており、各下部貫通孔39の縁には絶縁性ブッシング40が各下部貫通孔39を覆うように固定されている。
【0075】
各絶縁性ブッシング40の底部には、環状の絶縁性下部ベース41が固定されている。そして、各下部ベース41の中央の円形空間部には、円柱状の固定側電極棒4aが挿入されている。
【0076】
すなわち、下部板材34に形成された下部貫通孔39は、それぞれ絶縁性ブッシング
40,下部ベース41、及び固定側電極棒4aによって閉塞されている。
【0077】
そして、固定側電極棒4aの軸方向の一端側(下部側)は、外側真空容器32の外部に配置されたケーブル(配電線)に連結されるようになっている。
【0078】
外側真空容器32の内部には、負荷開閉器の主回路開閉部に相当する真空バルブ14が収納されており、各可動側電極棒4bは、2つの湾曲部を有するフレキシブル導体(可撓性導体)42を介して互いに連結されている。
【0079】
このフレキシブル導体42は、軸方向において2つの湾曲部を有する導電性板材としての銅板とステンレス板を交互に複数枚積層して構成されている。フレキシブル導体42には貫通孔43が形成されており、各貫通孔43に各可動側電極棒4bを挿入して互いに連結される。
【0080】
以上のように、前述で作製した真空バルブは、路肩設置変圧器用の負荷開閉器にも適用可能であり、これ以外の真空絶縁スイッチギアなどの各種真空開閉装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、こうした新規な真空バルブ用電気接点及びその製造方法を提供することにより、真空遮断器,真空開閉器等の産業分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例に係わる電極の構造を表す図。
【図2】本発明の実施例に係わる真空バルブの構造を表す図。
【図3】本発明の実施例に係わる真空遮断器の構造を表す図。
【図4】本発明の実施例に係わる路肩設置変圧器用負荷開閉器の構造を表す図。
【符号の説明】
【0083】
1…電気接点、1a…固定側電気接点、1b…可動側電気接点、2…スパイラル溝、3,3a,3b…補強板、4,4a,4b…電極棒、5…ろう材、6a…固定側電極、6b…可動側電極、7…シールド、8…可動側シールド、9a…固定側端板、9b…可動側端板、10…ベローズ、11…ガイド、12…可動側ホルダー、13…絶縁筒、14…真空バルブ、15…エポキシ筒、16…絶縁操作ロッド、17…上部端子、18…集電子、
19…下部端子、20…接触バネ、21…支えレバー、22…プロップ、23…プランジャ、24…ノッキングロッド、25…ローラ、26…主レバー、27…引き外しコイル、28…引き外しレバー、29…リセットバネ、30…投入コイル、31…排気筒、32…外側真空容器、33…上部板材、34…下部板材、35…側部板材、36…上部貫通孔、37…上部ベース、38…外側ベローズ、39…下部貫通孔、40…絶縁性ブッシング、41…下部ベース、42…フレキシブル導体、43…フレキシブル導体貫通孔、51…中央孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CrとCuとCr窒化物からなることを特徴とする電気接点。
【請求項2】
前記Crを12.5〜50重量%、前記Cr窒化物を0.5〜5重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の電気接点。
【請求項3】
前記Cr窒化物と前記Crとの重量比が1:10〜1:25の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の電気接点。
【請求項4】
前記Cr窒化物と前記Crとの重量比が1:10〜1:25の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の電気接点。
【請求項5】
前記Cr窒化物は、昇華点または分解点が1200℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の電気接点。
【請求項6】
前記Cr窒化物は、CrNまたはCr2N のうちの一方あるいは両方であることを特徴とする請求項2に記載の電気接点。
【請求項7】
Cr,CuおよびCr窒化物の粉末を混合して混合粉末とし、前記混合粉末を加圧成形した後に焼結することを特徴とする電気接点の製造方法。
【請求項8】
表面を窒化処理したCrと、Cuの粉末とを混合して混合粉末とし、前記混合粉末を加圧成形した後に焼結することを特徴とする電気接点の製造方法。
【請求項9】
前記Cr,CuおよびCr窒化物の粉末は、粒径が75μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の電気接点の製造方法。
【請求項10】
前記Cr,CuおよびCr窒化物の粉末は、粒径が75μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の電気接点の製造方法。
【請求項11】
請求項2の電気接点からなり、円盤形状を有し、前記円盤形状の円中心に形成された中心孔と、前記中心孔に対して非接触で前記円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有することを特徴とする電極。
【請求項12】
円盤状部材と、前記円盤状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒とを有し、前記円盤状部材が請求項2に記載の電気接点からなることを特徴とする電極。
【請求項13】
真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブにおいて、
前記固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が、請求項12に記載の電極からなることを特徴とする真空バルブ。
【請求項14】
真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブと、前記真空バルブ内の前記固定側電極及び前記可動側電極の各々に前記真空バルブ外から接続される導体端子と、前記可動側電極を駆動する開閉手段とを備えた真空遮断器において、
前記真空バルブが請求項13に記載の真空バルブからなることを特徴とする真空遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−213813(P2007−213813A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29110(P2006−29110)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】