説明

電気湯沸し器

【課題】自分の好みに合ったコーヒーを自動で手軽に淹れることができる電気湯沸し器を提供することを目的とする。
【解決手段】出湯手段4と加熱手段2の動作を制御する制御手段6と、使用者が出湯スイッチ5を操作した動作を記憶するようにした記憶手段7と、抽出専用の出湯を開始させる抽出スイッチ8とを備え、制御手段6は抽出スイッチ8の操作により予め記憶手段7に記憶させた出湯スイッチ5の操作動作を自動で再現させるようにしたものである。これによって、一度淹れ方を記憶させれば次回より出湯スイッチ5を押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで自動で出湯させることができる。さらに、使用者自身が淹れた通りに出湯させることができるため、出湯量や出湯間隔、蒸らし時間など使用者の好み通りのコーヒーを淹れることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯沸し容器内の湯を使用してコーヒーを自動で抽出することができるコーヒー抽出機能付きの電気湯沸し器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペーパーフィルターを使用したドリップ式のレギュラーコーヒー抽出器にお湯を注ぎ易いように考慮されたコーヒー抽出機能付きの電気湯沸し器が提案されている。この種の電気湯沸し器によれば、出湯スイッチを押下した時の出湯流量を通常より少なくしてコーヒー粉が飛び散らないようにしたものや、自動で一定量出湯するようにして湯の入れ過ぎを防止するというものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−111327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、コーヒーが全て抽出し終わるまで出湯スイッチを長時間押し続けなくてはならず、手が疲れるため使い辛い。また、自動で一定量出湯するものにおいては、蒸らしを行なうことまでは自動で行われておらず、また粉の膨らみに応じた出湯量の加減もできない。すなわち、使用者の好みに応じたコーヒーの淹れ方を自動で行なうようなことができないという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、自分の好みに合ったコーヒーを自動で手軽に淹れることができる電気湯沸し器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気湯沸し器は、出湯手段と加熱手段の動作を制御する制御手段と、使用者が出湯スイッチを操作した動作を記憶するようにした記憶手段と、抽出専用の出湯を開始させる抽出スイッチとを備え、制御手段は抽出スイッチの操作により予め記憶手段に記憶させた出湯スイッチの操作動作を自動で再現させるようにしたものである。
【0006】
これによって、一度淹れ方を記憶させれば次回より出湯スイッチを押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで自動で出湯させることができる。さらに、使用者自身が淹れた通りに出湯させることができるため、出湯量や出湯間隔、蒸らし時間など使用者の好み通りのコーヒーを淹れることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気湯沸し器は、使用者が一度淹れ方を記憶させれば次回より出湯スイッチを押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで使用者自身が淹れた通りに自動で出湯させることができるため、出湯量や出湯間隔、蒸らし時間など使用者の好み通りのコーヒーを自動で淹れることができる使い勝手のよい電気湯沸し器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、湯沸し容器と、湯沸し容器内の水を加熱する加熱手段と、湯沸し容器内の湯を出湯口から出湯させる出湯手段と、出湯手段を動作させる出湯スイッチと、出湯手段と加熱手段の動作を制御する制御手段と、使用者が出湯スイッチを操作した動作を記憶するようにした記憶手段と、抽出専用の出湯を開始させる抽出スイッチとを備え、前記制御手段は、抽出スイッチの操作により予め記憶手段に記憶させた出湯スイッチの操作動作を自動で再現させるようにした電気湯沸し器とするものである。これにより、一度淹れ方を記憶させれば次回より出湯スイッチを押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで自動で出湯させることができる。さらに、使用者自身が淹れた通りに出湯させることができるため、出湯量や出湯間隔、蒸らし時間など使用者の好み通りのコーヒーを淹れることができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、湯沸し容器内の湯温を検知する温度検知手段を設け、記憶手段は前記温度検知手段による湯温を記憶し、制御手段は抽出スイッチによる操作再現時の湯沸し容器内の湯温が記憶手段に記憶した湯温より所定温度以上低い場合は、記憶した湯温まで加熱手段で湯沸しした後に出湯スイッチによる再現動作を開始する構成としたことにより、登録した通りの湯温と同じ温度でコーヒーを入れることができるため、濃度、酸味、苦味などの味覚もより忠実に再現させることができる。また、再現時の湯温が登録時の湯温より所定温度以上低い場合は直ぐにコーヒー抽出動作を再現させないため、間違って冷水をコーヒー粉に注いでしまいコーヒー粉を無駄にしてしまうことも防止することができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第2の発明において、制御手段は抽出スイッチを操作した時の湯温と記憶した湯温の温度差が所定温度以上ある時に湯沸し中の表示を行なうようにしたことにより、コーヒー抽出が直ぐに開始できない理由を使用者が直ぐに知ることができるためコーヒーが出来上がるまでの待ち時間が延びることを容易に知ることができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、制御手段は、出湯スイッチの再現動作が完了後に報知手段により報知するようにしたことにより、使用者が離れていても抽出完了が直ぐに分かるため、淹れたての熱いコーヒーを冷めさせてしまうことを防止できる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態)
図は、本発明の実施の形態における電気湯沸し器を示すものである。
【0014】
図1に示すように、湯沸し容器1は湯を沸して保温する有底の容器である。加熱手段2は1kWの消費電力のヒータであり、湯沸し容器1内の水を加熱する。湯沸し容器1内の湯を出湯口3から出湯させる出湯手段4は、出湯モータ4aと出湯ポンプ4bから構成されている。出湯スイッチ5は、出湯手段4を動作させ湯沸し容器1の湯を出湯口3から出湯させるために操作するスイッチである。出湯手段4と加熱手段2の動作を制御する制御手段6は、入出力制御を行なうマイクロコンピュータである。使用者が出湯スイッチを操作した動作を記憶するようにした記憶手段7は、EEPROMからなる記憶素子である。抽出専用の出湯を開始させる抽出スイッチ8は、出湯口3の直下に設置したコーヒー抽出器10に湯を注ぐ場合に操作する。コーヒー抽出器10はコーヒー粉末を収納する収納部とコーヒー抽出液を貯める容器よりなっている。温度検知手段9は湯沸し容器1の底部に取り付けたサーミスター素子であり、制御手段6に温度情報を伝達する。
【0015】
そして、制御手段6は、抽出スイッチ8の操作により予め記憶手段7に記憶させた出湯スイッチ5の操作動作を自動で再現させるようにしている。
【0016】
次に、図2に示すように、抽出スイッチ8は、抽出スタートスイッチ8aとメモリー再生スイッチ8bとメモリー登録スイッチ8cから構成している。メモリーランプ11は、記憶手段7に記憶された抽出出湯パターンの番号(図では1番〜3番)を表示するランプである。沸騰ランプ12は、加熱手段2による湯沸し中に点灯するランプである。
【0017】
以上のように構成された電気湯沸し器について、以下その動作、作用を説明する。
【0018】
まず、使用者はメモリー登録スイッチ8cを押してメモリーランプ11の1番ランプを点滅させる。次にコーヒー抽出器10を設置した状態で抽出スタートスイッチ8aを一回押すと、メモリー登録が開始されるため、改めて出湯スイッチ5を操作して自分でコーヒーを最後まで淹れてみる。途中の蒸らし時間は好みに応じて増減させるようにする。また、コーヒー粉の膨らみ状態を確認しつつ溢れないように調整しながら出湯スイッチ5を操作する。コーヒーが淹れ終わると抽出スタートスイッチ8aをもう一度押す。以上の操作でコーヒーを淹れた時に出湯スイッチ5を操作した通りの動作とその時の温度検知手段9による湯温が記憶手段7に記憶される。
【0019】
メモリーランプ11は1番ランプから3番ランプまで用意されているので、同様に3種類のパターンを登録することができる。よって、使用者は1カップ用や3カップ用、または、蒸らし時間を長めにして濃く淹れるパターンなど好みの操作パターンを登録することができる。
【0020】
次に、使用者が登録した淹れ方でコーヒーを淹れたい場合は、まずメモリー再生スイッチ8bを押してメモリーランプ11の1番ランプを点灯させる。そして、抽出スタートスイッチ8aを押すと、登録された出湯スイッチ5の操作通りに制御手段6は出湯手段4の出湯モータ4aを駆動する。
【0021】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段6は抽出スイッチ8の操作により予め記憶手段7に記憶させた出湯スイッチ5の操作動作を自動で再現させるようにしたことにより、使用者が一度淹れ方を記憶させれば次回より出湯スイッチ5を押し続けなくてもコーヒーが全て抽出し終わるまで使用者自身が淹れた通りに自動で出湯させることができるため、出湯量や出湯間隔、蒸らし時間など使用者の好み通りのコーヒーを自動で淹れることができる。
【0022】
また、本実施の形態では、湯沸し容器1内の湯温を検知する温度検知手段9を設け、記憶手段7は温度検出手段9による湯温を記憶させるようにしており、制御手段6は抽出スタートスイッチ8aを操作した時の湯沸し容器1内の湯温が記憶した湯温より3℃以上低い場合は、記憶した湯温まで加熱手段2で湯沸しした後に出湯スイッチ5の再現動作を開始する構成としている。
【0023】
以上のように、登録した通りの湯温と同じ温度でコーヒーを入れることができるため、濃度、酸味、苦味などの味覚もより忠実に再現させることができる。また、再現時の湯温が登録時の湯温より所定温度以上低い場合は直ぐにコーヒー抽出動作を再現させないため、間違って冷水をコーヒー粉に注いでしまいコーヒー粉を無駄にしてしまうことも防止することができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、抽出スタートスイッチ8aを操作した時の湯温が記憶した湯温より3℃以上低い場合は、加熱手段2による加熱開始と同時に沸騰ランプ12を点灯させて湯沸し中の表示を行なうようにしている。
【0025】
以上のように、コーヒー抽出が直ぐに開始できない理由を使用者が直ぐに知ることができるため、コーヒーが出来上がるまでの待ち時間が延びることを容易に知ることができる。
【0026】
また、本実施の形態においては、出湯スイッチ5の再現動作が完了後に、ブザー、音声、光、あるいはこれらの組み合わせなどによる報知手段により報知するようにしている。これにより、使用者が離れたところに居ても抽出完了が直ぐに分かるため淹れ忘れてコーヒーが冷めてしまうことを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかる電気湯沸し器は、使用者が実際に行なった通りのコーヒーの淹れ方を自動で再現することができるため、飲料用の加熱抽出器などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態における電気湯沸し器の構成を示す断面図
【図2】同電気湯沸し器の操作表示部を示す平面図
【符号の説明】
【0029】
1 湯沸し容器
2 加熱手段
3 出湯口
4 出湯手段
5 出湯スイッチ
6 制御手段
7 記憶手段
8 抽出スイッチ
9 温度検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯沸し容器と、湯沸し容器内の水を加熱する加熱手段と、湯沸し容器内の湯を出湯口から出湯させる出湯手段と、出湯手段を動作させる出湯スイッチと、出湯手段と加熱手段の動作を制御する制御手段と、使用者が出湯スイッチを操作した動作を記憶するようにした記憶手段と、抽出専用の出湯を開始させる抽出スイッチとを備え、前記制御手段は、抽出スイッチの操作により予め記憶手段に記憶させた出湯スイッチの操作動作を自動で再現させるようにした電気湯沸し器。
【請求項2】
湯沸し容器内の湯温を検知する温度検知手段を設け、記憶手段は前記温度検知手段による湯温を記憶し、制御手段は抽出スイッチによる操作再現時の湯沸し容器内の湯温が記憶手段に記憶した湯温より所定温度以上低い場合は、記憶した湯温まで加熱手段で湯沸しした後に出湯スイッチによる再現動作を開始する構成とした請求項1に記載の電気湯沸し器。
【請求項3】
制御手段は抽出スイッチを操作した時の湯温と記憶した湯温の温度差が所定温度以上ある時に湯沸し中の表示を行なうようにした請求項2に記載の電気湯沸し器。
【請求項4】
制御手段は、出湯スイッチの再現動作が完了後に報知手段により報知するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気湯沸し器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−289311(P2007−289311A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118904(P2006−118904)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】