説明

電気粘性流体ブレーキ又はアクチュエータ装置及びそれを使用した矯正装置

電気粘性流体ブレーキ又はアクチュエータ装置は、手動又はコンピュータ制御下で、いずれかの回転方向の能動トルク出力を有するか有しない制御可能な抵抗を与える。このブレーキ及びアクチュエータ装置は、膝又は肘のような関節用の矯正装置で使用されるのに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
この出願は、2004年11月9日に出願された米国仮出願第60/626,256号及び2004年11月9日に出願された米国仮出願第60/626,365号の35U.S.C.第199条(e)の利益を主張し、ここにそれらの開示を完全に参照によって組み入れる。
[連邦補助研究または開発に関する表明]
適用なし
【0002】
[発明の背景]
種々のタイプのアクチュエータ及びブレーキが知られている。例えば、DCモータは、アクチュエータとして使用され、出力トルクを制御することができる。そのようなモータは、ある種の応用については制御することが困難であり、しかも大型で重い。出力トルクを増加するには、一般にモータのサイズを増加することを要する。DCモータは、これら及び他の理由から、抵抗制御を与えるか制動するための多くの場合、理想的ではない。もう1つの例として、摩擦ブレーキは、抵抗制御用には使用できるが、出力トルクを与えることには使用できない。それは熱を発生し、着用及び信頼性問題を受けやすく、汚染によって損傷される欠点がある。磁気ブレーキは既知であって、抵抗制御用に使用されているが、出力トルクを与えることには使用できない。それらは熱を発生し、“ジャーキー”係合を制御し且つ与えることは難しい。MRFブレーキも同様に、出力トルクを与えることには使用できない。それはまた過剰な熱発生を受けやすく、重く大型である。かくして、これら既知のタイプのアクチュエータは、出力トルクを制御するか、入力トルクを調整することはできるが、両機能を果たすことはできない。
【0003】
負傷した関節、例えば膝又は肘のリハビリは、種々のアプローチを使用することができる。1つのアプローチでは、受動矯正装置又は補助具が個人によって外部に着用され、関節に対して一定の支持又は抵抗を与える。受動矯正装置では、それらが供給する矯正又はバイアス力は一定であるか、リアルタイムで変化され得ないかのいずれかである。これらの矯正装置は広く普及しており、またそれらの比較的低いコスト、利用可能性及び単純性は、それらの有用性に寄与している。
【0004】
もう1つのカテゴリーのリハビリ装置は、通常はある形態の電子制御を通して、抵抗又は適用力をリアルタイムで変化させることが可能である。これらの装置のいくつかは着用可能であって、能動矯正装置として説明することができる。例えば、そのような1つの装置は、膝の位置をロックして、過伸展を回避すると共に運動の範囲を制限することが可能である。もう1つの装置は、アクチュエータを使用して、可動性を強化又は援助することが可能である。一般的に、これらの装置は、自然な歩行運動を再教育すること、並びに筋肉強化に限定されている。これらの装置は、嵩張る上、扱いにくい傾向にあり、それらの用途を妨げる。また能動要素の包含は、全体のサイズ、コスト及び重量を増加する。
【0005】
最も効果的なリハビリ用ツールは、アイソキネテック及びCMP機のようなリハビリ機械である。これらの機械は一般に、身体的治療、運動訓練、又は研究設備で見られる。それらは、高い抵抗性の、時には補助的な力を与える一方で、ほぼどのような個人に対してもリハビリ管理形態を独得に仕立てる。それらの幅広い能力は、それらのリハビリツールとしての進歩を増加する。
【0006】
[発明の要約]
本発明は、電気粘性流体(ERF)装置に関する。この装置は、電気粘性流体の制御機能性と小型ブレーキ及び/又はアクチュエータの起動能力を組み合わせたものである。ここで使用されるように、“起動”という用語は、運動に関連した特性又は運動を起こすことを指す。ブレーキ又はダンパー装置は、手動又はコンピュータ制御下で、いずれかの回転方向に制御可能な抵抗を与えることが可能である。ERFアクチュエータ装置は、能動的な力の出力を与えることが可能である。
【0007】
本発明はまた、矯正装置を提供する。この装置は、携帯用であって、上述したようにERFブレーキ/ダンパー又はアクチュエータを使用して、可変抵抗及び/又は作動機能性を与えることができる起動装置によって制御可能であることが好ましい。1つの実施形態では、この発明に係る矯正ERFブレーキ/ダンパー装置は、小型、軽量であって、強力で、高度に調整可能なトルク能力を持ち、完全に携帯可能であると共に搭載されたセンサ、電力及び制御回路と共に着用可能であり、更に使用中にリハビリ訓練を最適化するための閉ループコンピュータ制御用のリアルタイム能力を有する。別の実施形態では、この発明に係る矯正装置は、アクチュエータを能動的特徴として有する。この補助具は、抵抗装置の全ての特徴と、追加的能力とを呈して、膝の運動を強制し、筋肉強化を行い、力のフィードバックを与える。
【0008】
かくして、1つの形態では、この発明は、トルク又は力の出力を発生するための及びトルク又は力の入力に対する抵抗を与えるための電気粘性流体アクチュエータに関する。このアクチュエータは、絶縁性ケースを有して、このケース内に入力/出力シャフトが回転可能に実装されたハウジングと、前記ケース内にアーク形に配設されると共に前記シャフトに結合された複数の回転可能な部材と、シリンダのセグメントとして形成され、各々が関連した回転可能な部材に搭載されてそれと共に回転する複数の回転可能な電極と、この回転可能な電極と同心的に前記ケースに固定され、回転可能な電極との間にギャップが配設された円筒形アース電極と、前記ギャップ内に配設された電気粘性流体と、関連した回転可能な部材内に配設されて、前記関連した回転可能な部材の回転を作動させる複数の線形アクチュエータ要素とを備える。線形アクチュエータは、回転可能な部材のステップ状回転を与えるように順次動作すること、また回転可能な電極と関連して動作することが好ましい。この場合、これら電極の一部の回転は、電気粘性流体の作動によってロックされ、そして1つの回転可能な電極の回転は、回転可能な部材のステップ状回転を与えることが可能にされている。
【0009】
更に、電気粘性流体は、回転可能な電極上の剪断応力を介してシャフト上の入力トルクに対する抵抗を与えるように作動可能であることが好ましい。また、アクチュエータは、回転可能な電極に対し、アース電極に対し、そして線形アクチュエータに対し電力をもたらすように動作する複数の転動接点を更に備える。この場合、転動接点は、シャフトから半径方向に延びた駆動軸上に整列され、転動接点は、回転可能な部材の表面の接点上を転動可能である。このアクチュエータは、線形アクチュエータ要素の回転の方向を制御するように動作するラチェット機構を更に備えることが更に好ましい。この場合、ラチェット機構は、2列の対向する歯を持ってシャフトに取り付けられたラチェットギヤと、時計回りモードでは1列の歯に係合し、また反時計回りモードではもう1列の歯に係合するように動作するラチェットカムとを有する。または、ラチェット機構は、ニュートラルの自由輪転モードで動作する。ラチェットカムは更に、弾性シャフトによる旋回運動用に実装されることができ、この弾性シャフトは、カムフォロワー要素内に実装されて、ラチェットカムの旋回を起こす。カムフォロワー要素は、回転の方向を調整するために外部要素によって作動されたシヌソイド状経路を移動するように動作することができる。線形アクチュエータ要素は、電磁石、ソレノイド、圧電アクチュエータ及び/又は電場応答性ポリマーを備えることができる。
【0010】
もう1つの形態において、この発明は、トルク又は力の入力に対する抵抗を与えるための電気粘性流体ブレーキ装置に関する。このブレーキ装置は、絶縁性ケースを有して、このケース内にシャフトが回転可能に実装されたハウジングと、前記シャフトに実装されてそれと共に回転する1以上の回転可能な円筒形電極と、前記ケース内に固定され、且つ前記回転可能な電極に対向して同心的に配設され、回転可能な電極との間にギャップが配設された1以上の円筒形アース電極と、前記ギャップ内に配設された電気粘性流体とを備える。回転可能な円筒形電極は、単一の一体的部分からなり、また円筒形アース電極は、単一の一体的部分からなることが好ましい。
【0011】
もう1つの形態において、この発明は、トルク又は力の入力に対する抵抗を与えるための電気粘性流体ブレーキ装置に関する。このブレーキ装置は、絶縁性ケースを有して、このケース内にシャフトが回転可能に実装されたハウジングと、前記シャフトに実装されてそれと共に回転する1以上の回転可能な円筒形電極と、前記ケース内に固定され、且つ前記回転可能な電極に対向して配設され、回転可能な電極との間にギャップが配設された1以上の円筒形アース電極と、アース電極と回転可能な電極との間の前記ギャップ内に配設された電気粘性流体とを備え、回転可能な電極は、シャフトに取り付けられた中央回転マウントに内周面が固定された円形板を備え、アース電極は、外周面がインサートに固定された円形板を備え、回転可能な電極とアース電極は、挟み合わされ、ユニットとしてケースに挿入可能である。このブレーキ装置は、回転電極とアース電極との間のギャップサイズを調整するように動作する整列機構を更に備えることが好ましい。この場合、整列機構は、ケースの外部から接近可能である。回転電極は、回転電極上のキー付きスロット内に適合するロックによって中央回転マウントに固定されていることが更に好ましい。
【0012】
別の形態では、この発明は、関節用矯正装置に関する。この矯正装置は、手足の関節に処置可能なヒンジアセンブリを有して、ユーザの手足に取り外し可能に固定できるフレームと、ここで説明中の電気粘性アクチュエータと、電気粘性流体アクチュエータのシャフトに取り付けられて、入力又は出力の力又はトルクをヒンジアセンブリに結合するギヤアセンブリとを備える。その代わりに、この発明に係る矯正装置は、ここで説明中の電気粘性流体ブレーキ装置のいずれかを備えることができる。好ましくは、この発明に係る矯正装置は、ニーブレースであり、フレームは、脚への取り付け用に構成されている。その代わりに、矯正装置は、エルボーブレースであり、フレームは、腕への取り付け用に構成されている。より好ましくは、矯正装置は、関節の角度、速度、及び加速度を測定するように動作するセンサアセンブリを有したセンサシステムを更に備える。この場合、センサアセンブリは、装置の閉ループ制御を与えるように動作する。このセンサアセンブリはまた、シャフト上のトルクを測定して、装置の閉ループ制御を与えるように動作することができる。この発明に係る矯正装置のどれでもが、関節の逆側に配設された第2の電気粘性流体装置を更に備えることができる。好ましい矯正装置は、電気粘性流体装置を制御するように動作するコントローラアセンブリを更に備える。この場合、コントロールアセンブリは、リモート通信を与えるように動作する。更に好ましくは、矯正装置は、装置内又は外部に配設されることが可能な1以上の電池を備える電池電力によって動作可能である。
【0013】
より一般的な形態では、この発明は、関節用矯正装置に関する。この矯正装置は、手足の関節に処置可能なヒンジアセンブリを有して、ユーザの手足に取り外し可能に固定できるフレームと、このフレームのヒンジアセンブリに実装され、出力の力又はトルクを発生するか、入力の力又はトルクに抵抗するように動作する起動装置と、この起動装置のシャフトに取り付けられて、入力又は出力の力又はトルクをヒンジアセンブリに結合するギヤアセンブリとを備える。起動装置は、電気粘性流体ブレーキ装置及び/又は電気粘性流体アクチュエータを備えることができる。特別な実施形態において、起動装置は、DCモータ、磁気流動流体装置、摩擦装置、電空装置、電磁装置、ヒステリシス装置、渦電流装置、空気装置、液圧装置、ボイスコイル装置、電場応答性ポリマー装置、超音波モータ及び圧電装置からなる群から選択されたブレーキ又はアクチュエータ装置である。
【0014】
この発明は、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明から、より十分に理解されるであろう。
【0015】
[発明の詳細な説明]
電気粘性流体は、粘性特性、例えば粘度の変化を電界の存在下で経験する。これらの流体は、絶縁性基剤流体、例えば油内での0.01〜0.1μmオーダーのサイズの粒子の懸濁によって作られている。これら粒子の体積部分は、一般に20%と60%の間にある。時折ウインスロー効果と呼ばれる電気粘性効果は、電気粘性流体(ERF)内における流体と粒子の比誘電率の差から起こると考えられている。電界の存在下で、粒子は、誘導双極子モーメントに起因して、電界線に沿った鎖を形成する。この誘導構造は、ERFの粘度、降伏応力、及び他の特性を変化させて、ERFがミリ秒のオーダーの応答時間で、軟度を、液体のそれからゲルのような粘弾性のものに変化させることを可能にする。ERFは、非常に高い電気的に制御された抵抗力を加えることができる一方で、それらのサイズ(重量及び幾何学的パラメータ)を非常に小さくすることができる。ERFは、粗くなく、毒性もなく、汚染もしないので、健康及び安全面の要請に一致する。
【0016】
電界の影響下で、ERFの状態は、ニュートン流体から非ニュートン性のビンガムプラスチックへ変更される。ビンガムプラスチックとして、ERFは、ニュートン流体のように、応力と歪率の間に線形の関係を呈する。これは、最低必要降伏応力が超過された後だけである。その点より以前は、ERFは、固体として振る舞う。この最低降伏応力より高い応力では、流体は流れ、そして剪断応力は、剪断歪率に比例して増加し続ける。
【0017】
【数1】

ここで、τは剪断応力、τは降伏応力、μは動的粘度、γは剪断歪みである。剪断歪み上のドットは、その時間導関数、即ち剪断率を示す。これは、ビンガムモデルと呼ばれる。
【0018】
十分に高い電界で、流体の動的粘度は、負になる。この現象は、少ないか弱い結合が高い剪断率で形成され、かくして小さな合計降伏応力と、負の動的粘度の効果を与える、と仮定することによって説明できる。
【0019】
降伏応力τと動的粘度μは、本ERFベースのブレーキ又はアクチュエータ装置又は矯正装置の設計に影響する2つの重要なパラメータである。動的粘度μは、ビンガムモデルを使用するときにしばしば無視される程度の電界依存性を持つ基剤流体によって一般に決定される。電界誘導降伏応力τは、一般に電界強度に依存し、そして剪断率とは独立していると考えられる。この依存性に対して、いくつかの理論的モデルが求められているが、これらの関係を確実に反映するものはない。経験則として、降伏応力は、電界強度によって二次曲線的に増加すると仮定することができる。
【0020】
降伏応力について2つの重要な値がある。静的降伏応力τy,sと動的降伏応力τy,dである。静的降伏応力は、流れを開始するに必要な応力、即ち固体から液体に変化するに必要な応力の値として定義される。動的降伏応力は、ゼロ歪率条件で液体から固体になるに必要な応力の値として定義される。どちらが大きいかは、流体毎に異なる。殆どの時間、静的降伏応力は動的降伏応力よりも高い。“静止摩擦”と呼ばれるこの現象は、流体のサイズと形状に高度に依存にしている。
【0021】
ERFについて知られる必要があるもう1つの重要なパラメータは、電流密度Jであり、これは単位電極面積当たりの電流として定義される。このパラメータは、ERFベースの装置の消費電力を評価することに必要とされる。ERF材料を通る電流の測定は、粒子間の電荷漏洩の結果であると信じられている。
【0022】
ERF特性は、ERFベースの装置の性能に有意な効果を持つ温度によって変化する。好ましくは、ERFは、広範囲の温度にわたって一定の特性を示すべきである。ERFのパラメータの温度依存性を説明する統一モデルはない。この温度依存性は、流体毎に変化する。ERFに対する最大の温度問題は、増加する温度による電流密度の大きな増加から生ずる。このことは、消費電力を増加させるが、ERF装置の人的オペレータに対する安全性も増加させる。
【0023】
本発明に好適な1つのERFは、スマート・テクノロジー社によって製造されるLID3354Sである。このERFは、シリコン/フロロルーブ基剤オイルに35体積%のポリマー粒子を含ませたものである。それは、1.46×10kg/mの密度と、30℃で110mPa.secの粘度と、200℃より高い沸点と、150℃より高い引火点と、−20℃より低い凝固点とを持つ。それは、水に不溶性である。
【0024】
本発明の第1の形態では、ブレーキ又はダンパー装置が提供される。この装置は、ERFの特徴を最適使用して、抵抗性トルク又は力を加える。そのような装置は、運動や作用を緩やかにしたり、停止させたりすることが可能である。(簡単にするために、この装置は、ここではブレーキ装置と呼ばれる。)1以上の回転電極が1以上の静止電極と交互に配置される。これらの電極は、ERFの薄層によって充填されたギャップによって分離されている。これらのギャップを横切って電界を加えると、流体の特性が変更される。より具体的には、流体の降伏応力が増加される。回転電極が運動中であるとき、より高い降伏応力は、電極の表面上の増加された剪断応力に対応する。電界の強度は、電極間のギャップの幅及び電圧に比例して次のように変化する。
【0025】
【数2】

ここで、Eは電界、Vは電圧、gは電極間のギャップ幅である。電界が強くなると、流体の降伏応力は増加し、且つ剪断応力は増加する。電極表面上の力(剪断力)は、剪断応力に比例する。
【0026】
【数3】

ここで、Fは力、τは剪断応力、Aは電極表面の面積である。この力は、装置の構成に依存して、直線的又は回転的な抵抗制御用に使用できる。上記で論じたビンガムモデルと半径rの電極板を使用すると、式1及び5は組み合わせられ、そして電極半径rを乗じられて、ERFに起因した抵抗性トルクを与えることができる。
【0027】
【数4】

【0028】
図1〜4に描かれた実施形態を特に参照すると、2組の導電性電極板14,16が交互に向きを変えられている。この場合、一方の組14は、ハウジング又はケース18に堅固に取り付けられて移動を阻止し、また他方の組16は、回転入力シャフト20に取り付けられている。これら交互の板は、正及び負の電極として機能して、電界を発生し、板間のギャップ22を充填するERFを作動させる。この電極アセンブリは、絶縁性ハウジング又はケース内に配置され、ERF24を充填され、蓋アセンブリ26で閉じられ、ERFの漏洩を防止するために、例えばテフロン(登録商標)シール28によって封止される。
【0029】
固定電極板14は、装置のケースに対し堅固に取り付けられ(アースされ)ている。それらは、軽量の導電性材料、例えばアルミニウムで構成されている。それらのエッジ回りに離れて配置された小さなタブ30は、ケース内に滑入するインサート32と噛み合って、これらの板をケース内で確実に定位置に保持する。(図3も参照)回転電極板16は、回転中央マウント34に実装されている。両組の板のエッジは丸められて、アークを生じさせる“避雷針効果”を最小化している。
【0030】
任意の好適な非導電性軽量材料、例えば複合プラスチックで構成される回転中央マウント34は、回転電極板を支持する。この中央マウントは中空にされ、装置の重量を低減することができる。入力シャフト20もまた回転中央マウントに取り付けられる。回転マウントはまた、整列機構36を通して板整列を調整するためのプラットフォームを与える。
【0031】
整列機構36は、電極板間の距離の調整を可能にする。何故ならば、ギャップサイズは、装置の適正動作に対し決定的だからである。例えば、入力シャフト20の一端のセットネジ40は、バネ38によって回転マウント34の頂部へ加えられる力をバランスする。このセットネジを調整すると、回転マウント及び回転電極をシフトし、それらを固定電極間で適正に中心に置く。外部から調整可能な整列機構は、アセンブリ中の詰め金挿入に対する必要性を低減する。この詰め金挿入は、時間集中的プロセスであって、調整用のディスアセンブリを必要とする。外部整列機構は、ケース内でのアセンブリ後の迅速且つ正確な電極の整列に備え、またユニットが流体で充填された後の調整を可能にする。
【0032】
移動電極16は、図2及び4に最も良く示されているように、スロットロックシステムによって、中央回転マウント34に実装される。このロックシステムでは、板ロック42が電極上のキー付きスロット43に適合する。この実装法は、電極板を定位置にロックして、板設置スロットを横切る堅固な結合を与える。このため、回転マウントは、トルクが加えられたときに強度及び堅固性を維持する。アセンブリ時に、移動電極は、マウント34に実装され、そしてインサート32と噛み合わされた固定電極に挟み合わされる。これらの部品は、ユニットとして容易にケースに挿入できる。
【0033】
回転電極に電力をもたらすために、回転接点が設けられている。図示の実施形態では、ブラシ整流子又はブッシング整流子機構が設けられている。整流子44は、好適なベアリング又はブッシングであって、回転中央マウント34に取り付けられる。この場合、整流子44は、回転入力シャフト20と接触するようにバイアスされている。整流子構成は、銀導電性グリースを使用して、接点を通る抵抗を安定化する。作動信号を搬送するブラシは、バネを介して整流子と接触させられている。
【0034】
動作時に、粘性流体25の作動は、回転入力シャフト20上に抵抗性トルクを発生する。粘性流体を通して移動する表面積を最大化すると、ブレーキ装置から出力されるトルク又は力が増加される。それ故、複式の平行回転電極板が使用されることが好ましい。このことにより、最大剪断表面積が可能にされる一方で、ブレーキ装置用の小型な総体積が維持される。
【0035】
ブレーキ装置の性能は、3つの要因に直接関係させられている。これらは、ブレーキ装置の幾何学的構造と、電極に送られる入力電圧と、ERF自体の特性である。作動モデルの幾何学的成分は、平板電極の全パラメータである。これらは、電極板の内半径(r)と、電極板の外半径(r)と、板の数と、板間ギャップ幅(d)である。これらの変数と特定の流体特性を使用する平板ブレーキ装置のトルク出力の式は、以下の通りである。
【0036】
【数5】

ここで、Nは移動板の数、τは流体の降伏応力、μは流体の粘度、そしてωは板の角速度である。全てのタイプのERFは、流体基剤中に懸濁された粒子の異なる組成からなり、かくしてそれ自身の独得な挙動と特性を持つ。それ故、各ERFは、それ自身の特徴的関係を2つの間に有する。そして、ブレーキ装置用の完全且つ正確なモデルを導くために、それは知られなくてはならない。LID3354S型ERFをテストし、その特性(上記で論じられた)を決定した後に、この流体を使用するブレーキ装置用の最終モデル化の式は、次のようになる。
【0037】
【数6】

ここで、τは各特定ブレーキ装置に特徴的な無電界摩擦降伏応力項であり、μは流体の動的粘度であって187cPに等しく、Eは次の関係によって決定される電界である。
【0038】
【数7】

制御可能なERFブレーキ装置は、かくして抵抗性トルクの精密な調整を可能にする一方で一貫して安定した動作を与える制動又は減衰装置として動作する。この装置は、特に機械的システムの制御に好適である。それはまた、安全装置としても機能する。
【0039】
この装置は、現在の装置を超えるいくつかの利点を提供する。この装置は、容易に交換可能な電気接点及び主シール以外に、内部的な摩耗が無い。ERFの挙動は、精密にモデル化できるので、精密な制御は可能である。ERFは、非常に低い電流の高電圧を使用して作動されるので、消費電力は非常に低い。電極は、二重の機能、即ち流体応力を利用する機能と、電界を作る機能とを果たす。このことにより、小型で軽量の設計が可能になる。この装置の抵抗性強度は、電極板のサイズと数に比例するので、それは各応用に対して非常に適用性がある。
【0040】
ERFブレーキ装置のもう1つの実施形態が図5及び6に描かれている。この実施形態では、1以上の静止電極60と1以上の回転電極62は、交互の同心的円筒として構成されている。例えば、1つ回転円筒形電極は、2つの静止円筒形電極間に同心的に配置されている。円筒形電極は、ERFが充填されたギャップ68によって分離されている。このギャップを横切って電界をかけると、上記で論じられたように、ERFの特性が変更される。粘性流体を通して移動する表面積を最大化してトルク又は力の出力を増加するために、複数の同心回転円筒形電極板が使用されることが好ましい。このことにより、最大剪断表面積が可能にされる一方で、抵抗性要素用の小型な全体積が維持される。
【0041】
静止電極60は、封止されたケース64内に任意の好適な手法で固定されている。回転電極62は、延長板部分70によって入力シャフト68に固定されている。静止電極は、単一の一体的又は一元的部分として形成できる。同様に、回転電極は、単一の一体的又は一元的部分として形成できる。好適なベアリング72とシール74が設けられる。電化されたブッシング又はベアリング66が使用されて、装置内に電力をもたらす。
【0042】
この実施形態が有利なのは、より大きな表面積の電極が、シャフトよりも半径方向遠方に配置されて、抵抗性トルクを増加する点である。
【0043】
本発明のもう1つの形態では、ERFブレーキ装置は、アクチュエータ、例えば電磁石式、空気式、又は電気機械式アクチュエータと組み合わされて、トルク又は力に抵抗すること及びそれを加えることの双方が可能なハイブリッド型アクチュエータ装置を与える。
【0044】
図7〜18Bを参照すると、固定電極102は、特に図18Aに示されているように、ハウジング又はケース104に実装され、また可動電極106は、入力/出力シャフト108と共に回転するために、回転可能な部材又は応力リング110を介して実装されている。これらの電極は、1つのシリンダのアーク形セグメント(ここで説明中の実施形態では3つ)に設けられている。これらセグメントは、以下で更に論じられるように、個別に作動可能である。これらの電極は、軽量な導電性材料で構成されている。全ての電極エッジは丸められて、端効果アークを低減することが好ましい。固定電極と可動電極との間のギャップ112は、ERFによって充填されている。この装置は、同心円筒形電極に関連して上述したと同様の手法でブレーキ装置として動作する。ERFが作動された場合の固定及び可動電極間のギャップは決定的なものであって、1.0〜1.5mmの範囲にある。このアクチュエータの他の部分では、ギャップは増加させられて、ゼロ電界流体剪断に起因する不必要な力を減少する。
【0045】
加えて、複数の独立した作動可能な線形アクチュエータが、この装置内のアーク形セグメントに設けられている。図示の実施形態では、3つの電磁石式アクチュエータが設けられている。1つの電磁石式アクチュエータが図8に描かれている。各電磁石式アクチュエータは、互いに接続された2つの磁石116を備える。コアは、中心部118と、逆向きの巻線とに分離されている。この構成は、各電磁石アセンブリの各端120,122に同様の極を与える。各電磁石は、関連したアーク形応力リング110内に任意の好適な手法で固定される。このリングに対しては、可動電極106の関連したものが取り付けられる。
【0046】
ケース104は、全ての通電される部品を収容する。それは絶縁体で、内部機構用の堅固な構造を提供して、それに抗して作用する。任意の好適な形状的特徴103が、アプリケーション、例えば矯正装置用のフレーム(以下で論じられる)の実装又はインターフェース用に設けられる。主シール124は、シャフトシールであって、ERFが漏出したり、汚染が入ることがないようにする。固定電極102は、応力リング110上に搭載された3つの電極全てに対する共通高電圧アースとして作用する。
【0047】
動作時に、線形アクチュエータを、回転可能な部材、即ち応力リング110上に独立して搭載し、応力リング110をERFで順次ロック及びアンロックすることによって、アクチュエータの線形作用は不連続な回転運動に変換される。一例として、各作動ステップは、約1〜2mm(0.5〜2°回転)であり、それらは毎秒60回まで起こる。この装置は、高電力密度及び低エネルギ要件で動作する。
【0048】
内部動作シーケンスの詳細を示す図が図9に示されている。上列は1サイクルの開始を描き、また下列はそのサイクルの終了を描いている。各応力リング110’,110’’,110’’’は、独立した線形アクチュエータ、即ち電磁石を包囲している。外側のリングは、ERF回転電極106’,106’’,106’’’を表す。中央の円126は、応力リングの運動を入力/出力シャフト108に結合するラチェット機構を模式的に表している。このラチェット機構は、以下で更に説明される。中央の円上の白いドット128は、ラチェット機構の、そしてその結果生ずる入力/出力シャフトの移動を模式的に示している。
【0049】
サイクル1では、ステップ1aにおいて、作動されたERFを使用して、リング110’,110’’がケースにロックされる。リング110’’’は、シャフトを駆動する能動リングである。応力リング110’及び110’’’の電磁石間の逆極性は、装置を、ステップ1bに描かれているように、1ステップ駆動する。ステップ2aでは、リング110’及び110’’’は、ケースにロックされる。リング110’’’ の電磁石の極性は逆転され、能動リング110’’の電磁石を、ステップ2bに描かれているように、能動リング110’’’の電磁石へ向けて駆動する。運動は、このように継続する。
【0050】
示されたように、作動は、3つの独立した応力リングに順番に起こる。このシーケンシャルな運動は、ラチェット機構を使用して、出力軸に伝達される。この機構は、トルク発生モードで使用中に、一方向にラチェットすることが可能であり、また抵抗性モードでは、全ての応力リングをロックすることが可能である。それ故、入力トルクは、全ての応力リングに対して均一に分布される。
【0051】
図7及び10〜14を参照すると、ラチェットギヤ132がシャフト108に固定されている。このラチェットギヤは、一方向の回転を可能にするが逆方向の回転をロックする対向したギヤ歯の上側及び下側の列136,138を有する。少なくとも1つのラチェットカム134が各応力リングに関連付けられている。各ラチェットカムは、2つのロック面、即ちラチェットギヤの上側の歯に接してロックするための上面142と、ラチェットギヤの下側の歯に接してロックするための下面144とを有する。このカムは、一方向の運動を可能にする1つの位置と逆方向の運動を可能にするもう1つの位置との間を旋回可能である。このカムはまた、シャフトの自由回転を可能にする中間的なニュートラル位置に位置決めされ得る。
【0052】
能動トルクを発生する動作時に、運動中の応力リングのラチェットカム134は、ラチェットギヤ132上にロックしてそれを強制的に回転させる。他のラチェットカム(ERF結合を使用してケースにアースされた他の2つの応力リング上にある)は、この回転を無抵抗で可能にするように方位付けされる。このラチェット機構の分解能を増加するために、各応力リング内の2つのカムは、1/2ギヤ歯だけオフセットされている。これにより、ラチェットギヤに対する分解能は、実効的に2倍にされる。
【0053】
各ラチェットカム134は、弾性ロッド146に取り付けられている。このロッドは、カムフォロワー部品152内のカム表面148を規定する開口部を通して延びている。カムフォロワー部品が上下動すると、弾性ロッドは、ラチェットカムを旋回させるように、カム表面に沿って移動する。カムフォロワー部品は、非粘着性の材料、例えばテフロン(登録商標)又は同様のもので形成されて、円滑なスライド行動を容易にする。カムフォロワー部品が上下動できるように、一対の脚部として示されている方向性スライダ154は、カムフォロワー部品から延びて、2つのシヌソイド表面158,162を持つシヌソイド表面アセンブリ156に接触する。一方の表面158は、ケースに固定されている。他方の2自由度の(DOF)シヌソイド表面162は回転可能であって、図13A〜Cに描かれているように、スライダ154が移動するときに、それを上昇させる。バネ164は、方向性スライダの上向き力をオフセットする。シヌソイド表面アセンブリの制御は、ピニオン166と内部ギヤ168によって与えられる。
【0054】
ピニオンは、コンピュータ制御によって自動的に、あるいは外部ノブ172によって手操作で駆動される。スライダ制御システムの低トルク要求は、軽量小型な装置、例えば超音波モータ、サーボモータ、DCモータの使用を容易にする。その代わりに、自動化された方向性制御が必要とされない場合には、単純なノブがアクチュエータの代わりになる。この場合、ギザギザがスライダ制御システムの内部位置決めを伝達することができる。
【0055】
電気部品は、各応力リング用の2つの独立したチャネルと、1つのアースにアクセスする。各応力リングに対して、1つのチャネルは高電圧制御用(電極106用)であり、また1つは低電圧制御用(電磁石114用)であり、最後は低電圧アース用である。図7,15及び16を参照すると、環状接点の組182が応力リング上に配置されて、それと共に移動する。環状接点の対応する組184は、ケースに固定されている。環状接点は、1組のローラ接点だけがあるときは(以下で論じられる)、柔軟なバネ又はリボン導体(図示せず)によって、応力リングの間を延びている。図15及び16の実施形態を参照すると、接点182aは、アースである。接点182b,182c及び182dは、各応力リング内の3つの電磁石にそれぞれ、例えば応力リングを通るワイヤ又は他の導電体(図示せず)を介して接続する。接点182e,182f及び182gは、高電圧電極106に、例えば応力リングを通るワイヤ又は他の導電体(図示せず)を介して接続する。
【0056】
半径方向の転動接点システムは、電力を固定接点から移動接点へ伝達することに使用される。各固定接点及び各移動接点の間に導電性ローラ186が設けられ、これは、応力リングが移動するに従い、各環状接点に沿って移動する。これら導電性ローラは、半径方向外側に延びる駆動軸188上に配置されている。このシステムは、回転軸から半径方向に延びる電気チャネルを持つ小型空間内に複数の接点を提供する。この設計に対しては、単一組のローラが含まれているが、より大きな電流要求に適応することに、複数のローラ組が使用され得る。各バンドの厚さは、スリップに起因する電気的雑音が問題となる点まで調整できる。この点に留意されたい。スペーサ190も設けられる。これは、ケース内の空間を満たして、必要とされるERFの量を最小化するためである。
【0057】
ローラ/回転接点186は、薄い導電性の外側層192と、それから弾性的な中間層194と、低摩擦回転用のハードブッシング196とによって構成されている。図17を参照されたい。薄い外側層は変形して、より大きな接点パッチを形成する。回転接点は、それら自体の軸回りを自転しながら、中心アクチュエータ軸の回りを公転する。弾性的室内もまた、応力リング間の容易な転送を可能にする。
【0058】
この装置は、動作の5モードを持つ。即ち、それぞれが各方向用である回転減衰/制動の2モードと、それぞれが各方向用である作動の2モードと、ニュートラル/自由輪転モードとである。この場合、装置は、入力に対して僅かな効果だけを持つ(ラチェットの運動量だけ)。このことは、安全性と産業的使用にとって重要である。何故ならば、それは装置を離脱させる追加のクラッチに対する必要性を消去するからである。
【0059】
上述したように、応力リングは、線形アクチュエータ/磁石を収容し、電極を支持し、そしてラチェットシステム及び方向性スライダを収容する。それらはまた、非反応性の弾性材料、例えば圧縮性の独立気泡で満たされた圧力解放チャンバ198を有する。図18Bを参照されたい。これらのチャンバは、ERFが温度変化に起因して拡張すること、流体を通して伝播するエネルギ波を吸収して振動を減衰させること、そして迅速に移動する室内成分によって発生される内部圧力差の安定化を助けることを可能にする。リング移動の振動及び衝撃を減衰する減衰チャネル202(図18Bを参照)は、半径方向に整列された各応力リングの端部上に形成され得る。応力リングは、いくつかのタイプの線形アクチュエータ、例えば圧電スタック、ソレノイド、EAPアクチュエータに加えて、図示のコア付き電磁石に適応するように構成され得る。
【0060】
任意の好適なトルク増倍/低減式歯車装置は、応用に依存して、入力/出力シャフト108に結合され得る。任意の組み合わせのギヤをアクチュエータに加えて、アクチュエータの出力、抵抗性トルク、及び各応用の要件に対する速度をバランスさせることができる。標準的な薄いセクションベアリング208が装置全体を通して使用され、無摩擦で信頼性の高い動作を確実にする。
【0061】
振動を制御するために、減衰用釣合錘(図示せず)が用いられる。それは、入力/出力シャフトに結合され、そして応力リングの運動とは逆方向に動作して、それらの回転慣性力をオフセットする。
【0062】
種々のタイプの内部アクチュエータは、本発明で使用可能である。上述した実施形態では、電磁石が設けられた。電磁石は、磁気的に活性なコアを囲むワイヤの複数ターンを流れる電流によって発生された起磁力(EMF)を利用する電流制御型部品である。その代わりに、ソレノイド式アクチュエータが使用できる。ソレノイドは、自給式の電磁石型線形アクチュエータであって、電磁石と、可動軟鉄コア(プランジャ)とを有する。本流体アクチュエータは、プランジャの力と変位を使用することができる。別の変形例では、圧電式アクチュエータは、電圧の印加に応答して変形する圧電材料を使用する。多層の材料を直列に使用することによって、使用可能な量の歪みを生じさせる。もう1つの変形例では、電場応答性ポリマー(EAP)が、電界下で形状を変える材料である。それらは、シート又はテープ形に構成され得る。
【0063】
アクチュエータとして、この装置は制御することが容易であり、小型であり、軽量である。この装置の効率は高く、その全電力消費は良好である。それはまた予測可能な手法で良く比例する。抵抗性制御装置、ダンパー又はブレーキとして、この装置は、低電力消費で動作する。それは、ERF成分に関して本質的に摩耗を呈しない。出力トルク及び抵抗性トルクは、容易に調節される。
【0064】
本発明のERFブレーキ及びアクチュエータ装置は、矯正装置用のブレーキ及びアクチュエータとして特に有用である。矯正装置又は補助具は、通常は膝や肘のような関節を横切って身体に力を加える外部着用装置である。この装置が着用された場合、これらの力は、身体の領域を支持し、制御し、修正し、又はそれに関する問題から回復することに使用される。本発明のERFブレーキ又はアクチュエータ装置312を使用するニーブレースの形態の矯正装置が図19〜21Aに示されている。この矯正装置は、手足に取り付け可能であって膝の両側で蝶番止めされた支持フレーム314を有する。ERFブレーキ又はアクチュエータ装置は、ヒンジアセンブリ316のいずれか一方の側か両方の側に搭載されている。このERFベースの装置は、所望の応用に依存して、単独で抵抗性要素であるか、その代わりに、トルク発生を与えることもできる。各ERFブレーキ又はアクチュエータ装置に関連したギヤボックス318は、ERFブレーキ又はアクチュエータ装置312とヒンジアセンブリ316との間にインターフェースを与える。このERFブレーキ又はアクチュエータ装置は、モジュール式であり得る。この場合、矯正装置は、ブレーキ又はアクチュエータ装置を切り換えることによって、抵抗性だけの構成から単にトルク発生を含むプラットフォームへ切り換えられる。
【0065】
支持フレーム314は、上側フレーム322と、下側フレーム324とを有し、これらはヒンジアセンブリ316によって接続されている。ヒンジアセンブリは、例えば、上側フレームに取り付けられた回転可能な要素317と、下側フレームに取り付けられた回転可能な要素319とを有することがあり、これらは要素321を介して互いに結合されている。図21Bを参照されたい。各フレームは、1つを関節の上に、そして1つを関節の下にして、手足に取り付け可能である。このフレームは、例えばアルミニウムのような金属や、強化プラスチックや、炭素繊維複合材料のような複合材料によって構成される。フレームは、フレームが手足の上をシフトしないようにする任意の好適な手法で、手足に取り付けることができる。例えば、手足の回りに巻き付けられるストラップ326は、フック及びループ締結具を有し、そして泡を詰められて、患者の手足に順応する。上側及び下側フレーム間のヒンジアセンブリは、ブレースの両側で同じであることが好ましい。このことは、同じ矯正装置が左右いずれの手足でも使用されることを可能にする。力は、着用者からストラップ及びフレームを通して伝達され、ヒンジアセンブリ上のトルクへ導かれる。
【0066】
ギヤボックス318は、ブレーキ又はアクチュエータ装置のトルク出力を伝達すると共に倍増する。ERFブレーキ又はアクチュエータ装置の入力/出力シャフト330は、ギヤボックス内でギヤアセンブリ332に接続する。図示の実施形態では、発生されたトルクは、ヒンジアセンブリ316に含まれた遊星ギヤシステムを使用して増倍される。図22〜24を参照されたい。1つの例示的実施形態では、トルクは、6.2:1で増倍される。シャフト330は、一対のキー溝336を介してピニオンギヤ334に接続する。このピニオンギヤは、下地のリング又はフレーム342に固定されたリングギヤ340によって囲まれている3つの遊星歯車338と噛合する。下地のリングは、ヒンジアセンブリ316に取り付けられて、それと共に回転する。ギヤボックスは、好適なハウジングを有する。このギヤボックスは、ブレーキ又はアクチュエータ装置用マウントとして、またヒンジ安定器として機能する。
【0067】
ギヤボックスシステムは、センサシステム用のプラットフォームとしても機能する。好ましくは、この装置に、3つのセンサ又はセンサアセンブリが実装される。第1のセンサアセンブリは、膝の角度、速度、及び加速度を測定するもので、これはERFブレーキ又はアクチュエータ装置の閉ループ制御用に使用できる。光学エンコーダ352、例えば標準的な回転式絶対光学エンコーダ、又はホール効果センサが使用できる。第2のセンサアセンブリは、患者によって発生されたトルクを測定するためのトルクセンサであって、これもまたERFブレーキ又はアクチュエータ装置の閉ループ制御用に使用できる。図示の実施形態では、2つの小型コンプレッサーセンサ354がリングギヤ340の延長部356と下地リング342の間に逆向きに配置されている。これは、屈曲及び伸長双方のモーメントアームからの力を介してトルクを測定するためである。トルクがヒンジに与えられると、リングギヤ延長部は、運動の方向に依存して、センサの一方を押す。この力の測度は、既知の寸法値(シャフトからセンサまでの距離)と組み合わされて、トルクを計算する。その代わりに、力センサは、歪みゲージを有することができる。このゲージは、フレーム上に搭載されて、下側フレームに加わった歪みを測定するもので、単純な梁としてモデル化できる。トルクは実質的に計算される。その代わりに、トルクセンサがヒンジ継ぎ目中に一体化され、加えられたトルクを直接測定することができる。別の変形例では、圧力センサがストラップに取り付けられ、そして与えられた領域に基づいて、力及びトルクが計算される。
【0068】
第3のセンサアセンブリ(図示せず)は、足と地面との相互作用をモニタする力検知抵抗体のアレイである。このアレイは、脳卒中の患者用のニーブレースに付加することが可能な踝−足アッタチメントに一体化され得る。これは、蝶番止めされた踝−足補助具のような内外側方向の安定性を与えるためである。健康な患者の場合、このアレイは、患者が自らの靴の中で着用するインソール内に配置され得る。このアレイは、圧力中心の前後方向の移動を追跡すること、かくして歩行サイクルの異なる位相を識別する能力を可能にする。この能力は、膝補助具用の制御戦略の実施を可能にする。
【0069】
もう1つの実施形態では、多心性ヒンジ機構362が使用される。図26A及び26Bを参照されたい。このヒンジ機構は、連結した上側及び下側の楕円ギヤを有する。これら楕円ギヤは、人の膝の自然な運動へ追従することにそれ自身を加える偏心運動を生じる。ERFブレーキ又はアクチュエータ装置364の入力/出力シャフトは、ギヤの1つに取り付けられる。
【0070】
矯正装置用の基板搭載型電子回路は、センサからのデータ取得、コンピュータロジック、及びERFブレーキ又はアクチュエータ装置用の作動信号を含む。これら電子回路は、任意の好適な手法で、例えば小型な手持ち装置内に含まれた電池により給電される。フラッシュメモリは、オペレーティングソフトウエアを格納しておくことに、また患者データを記録することに使用できる。ワイヤレス通信は、例えばWI−FI経由で実施され、装置のコードレス使用を可能にする。可視的な出力は、含まれ得る。これは、例えば関節の角度及びトルクのリアルタイム表示を与えることによって、装置の使用を容易にするためである。
【0071】
図27は、電子回路の模式的表現を示している。ワイヤレス通信リンクは、基板からのデータのコードレス式収集を可能にする。それはまた、基板搭載型コントローラの動的プログラミングを可能にする。このシステムは、独立型モードのみならず、パーソナルコンピュータへのデータ結合でも動作することが可能である。ワイヤレス周波数帯域は、産業、科学及び医学目的用にISMバンドと呼ばれる2.4〜2.5GHzの範囲内にあり得る。それは、50メータ以上に及び、625kビット/秒の最大未符号化データ率で伝送できる。このリンク用の送受信器モジュールは、サイズが小さく、低消費電力である。基板搭載型ユーザインターフェースは、ユーザがコンピュータまで行くことなく、特異な制御モードを選択できるようにする。この装置は、その扱い方を追跡する記録能力を有する。データは、この装置から遠方へダウンロードされ、そして患者が医療施設を再訪問する必要なしに、医者や理学療法士によって解析され得る。
【0072】
本発明のERFブレーキ又はアクチュエータ装置を使用して、矯正装置は、リアルタイムの機能性を果たすことができる。この装置は、流体依存性のトルク出力に起因して容易に制御可能であって、ミリ秒のオーダーで作用することができる。そのような制御可能性によって、各患者の個人的必要性に対してリハビリ管理形態を仕立てることができる。閉ループ制御によって、センサからのフィードバックは、コンピュータが各特異な訓練の効率を計算すること、従って訓練をリアルタイムで変更して最適レベルのリハビリを達成することを可能にする。
【0073】
基板搭載型電子システム用の電源は、例えばラップトップ用のリチウムイオン電池であり得る。しかしながら、ERFブレーキ又はアクチュエータ電力は、別システムとすべきであって、それらは装置の電池寿命における限定的要因となる。3000〜4000mAhで24Vのニッケル水素金属電池は、約500〜600gの重さであって、ERFブレーキ装置が連続して最大容量で1.5〜2時間動くことを可能にする。この装置の通常動作により、電池寿命は、少なくとも4〜5時間であると評価される。これらの電池は、形状及びサイズが広く選択される。例えば、AA,C及びD電池サイズや、小型ブロック形状である。20AAサイズのニッケル水素金属電池の500gパックは、数時間の作動に必要な電源の代表的集団である。これらの電池は、装置内に配置されたり、例えばベルト上に着用されたパック内に置かれる。
【0074】
ERF電力増幅器は、高度に専門化されていて、標準的在庫品の解消は典型的には好適でない。何故ならば、それらは要求される高速応答が可能でないからである。ERFシステムは、しばしば1kHzを超える帯域幅を要求する。しかしながら、トランスコア材料及び低抵抗MOSFETトランジスタの領域における最近の技術的改良は、以前に利用可能であった高電圧電源よりも有意に小さく且つ効率が高い設計を可能にする。小さな機械的設置面積と低重量を維持しながら高い電源出力を生ずることが可能な種々のマイクロコントローラベースのスイッチモード電力システムは、現在例えばスマート・テクノロジー社から市販されている。これらのシステムは、ERFの制御用に具体的に設計されている。しかも、それらは、当業者によって容易に決定できるように、矯正装置の要件についてカスタマイズされている。カスタマイズ化は、装置の電力要求に対して最小の解決を与えること、及び最適形状の包囲体を使用することを伴う。
【0075】
ERFブレーキ及びアクチュエータ装置は、人によって着用されたり操作される装置に使用されているので、安全性が熟慮されるべきである。LID3354型ERFを用いて現在設計されている複式同心円筒形ERFブレーキ装置は、推定最大5000ボルトDC、電流1mAで動作可能である。低電流且つ低電力特性は、必要とされる電圧が高い場合でも、人によって操作される装置の安全動作マージンの範囲内にある。全てのブレーキ及びアクチュエータ部品は、アースされた金属包囲体内に包囲されて、事故による接触を防止する。加えて、全ての高電圧配線、スイッチ、及び金属部分は、十分な絶縁性を持ち、しかもオペレータに接近することは不可能である。高速作用式緊急カットアウトが設けられている。これは、この技術分野では知られているように、電流が定格最大電流を超えて上昇した場合に動作して、電圧をゼロに低減する。更に負傷を防止するために、ブレーキ及びアクチュエータ装置と、関連した装置又は機構とは、ユーザとの金属接触を持たず、また全ての電気的能動部品は、比誘電率が高い材料によって絶縁されている。ERFの漏洩は、バネ装荷された例外的な摩耗特徴を持つテフロン(登録商標)シールを利用することによって最小化又は防止されている。これらシールは、それらが摩耗されるに従い、自動調整して、長い使用期間にわたり一貫した性能を与える。蓋とケースの間の漏洩は、Oリングを使用して防止される。シールのいずれかが故障した場合でも、ERFは非毒性であって、標準的な石鹸やクリーナーで清潔になる。
【0076】
矯正装置は、小型且つ携帯可能であり、しかもリハビリの着用可能な形である。ユーザは、この矯正装置を、平均的な椅子で、又は立ちながら、あるいは歩行運動中でさえも使用できる。この装置の使用は、ユーザの能力によってのみ制限される。かくして、弱い患者は、それを抵抗性訓練用に使用でき、そして強い患者は、それをウエイトトレーニング及び適正な歩行トレーニングの双方に使用できる。ユーザは、この装置を携帯して、自らの時間に、家庭又は仕事場で、あるいは日々のルーチン中に練習することができる。
【0077】
加えて、本発明の矯正装置の形態は、ここに示された指針を与えられて、当業者には周知の原理に従う他のブレーキ又はアクチュエータ装置、例えばDCモータ、磁気粘性流体ブレーキ装置、摩擦ブレーキ装置、電空アクチュエータ、電磁ブレーキ装置、ヒステリシスブレーキ装置、渦電流ブレーキ装置、空気アクチュエータ装置、液圧アクチュエータ装置、ボイスコイルアクチュエータ装置、電場応答性ポリマーアクチュエータ装置、超音波モータ及び圧電アクチュエータ装置と共に使用できる。
【0078】
特に膝に関連して説明されたが、本発明の矯正装置は、身体の任意の関節、例えば肘に使用できる。図28を参照されたい。この矯正関節を使用して、全又は部分ボディスーツが組立てられる。これは、筋肉疲労を低減したり筋肉移動を強化する仮想現実に、そして微少重力状態補償(例えば、長い宇宙滞在時に筋肉及び骨の消耗を低減することを助ける)に応用を持つ。
この発明は、添付された請求の範囲によって指示される以外は、特に図示され説明されたものに制限されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のブレーキ又はダンパー装置の第1の実施形態の断面図である。
【図2】図1のブレーキ又はダンパー装置の部分図である。
【図3】図1の静止電極の平面図である。
【図4】図1の回転電極の平面図である。
【図5】本発明のブレーキ又はダンパー装置の別の実施形態の等角図である。
【図6】図1のブレーキ又はダンパー装置の側面図である。
【図7】本発明の抵抗及びトルク発生アクチュエータの一実施形態の切断等角図である。
【図8】図7のアクチュエータの電磁石の等角図である。
【図9】図7のアクチュエータのトルク発生モードの動作を模式的に描いている。
【図10】図7のアクチュエータの底部等角図である。
【図11】図7のアクチュエータのラチェットカム及びラチェットギヤの一部を示す部分図である。
【図12】図7のアクチュエータの方向制御機構を示す部分図である。
【図13A】図12の方向制御機構の種々の位置を描いている。
【図13B】図12の方向制御機構の種々の位置を描いている。
【図13C】図12の方向制御機構の種々の位置を描いている。
【図14】図7のアクチュエータの等角図である。
【図15】図7のアクチュエータの部分断面図である。
【図16】図7のアクチュエータの転動接点の部分図である。
【図17】単一の転動接点を描いている。
【図18A】図7のアクチュエータのケースの等角図である。
【図18B】図7のアクチュエータの応力リングの等角図である。
【図19】本発明のブレーキ又はダンパー装置及び/又はアクチュエータ装置を組み入れた脚用矯正装置の等角図である。
【図20】図19の矯正装置の等角図である。
【図21A】図19の矯正装置の等角図であり、ブレーキ又はダンパー装置又はアクチュエータ装置は取り除かれている。
【図21B】図19の矯正装置のギヤボックス及びヒンジアセンブリの部分等角図である。
【図22】図19の矯正ブレースに使用されるギヤアセンブリの等角図である。
【図23】図22のギヤアセンブリの上面図である。
【図24】図22のギヤアセンブリの底面図である。
【図25】本発明の2つのブレーキ又はダンパー装置又は2つのアクチュエータ装置を組み入れた脚用矯正装置の別の実施形態である。
【図26A】図25の矯正装置のヒンジアセンブリの部分図である。
【図26B】図26Aのヒンジアセンブリの模式図である。
【図27】本発明の矯正装置用制御システムの図である。
【図28】本発明のブレーキ又はダンパー装置又はアクチュエータ装置を組み入れた肘用矯正装置の等角図である。
【符号の説明】
【0080】
310 アクチュエーター装置
312 ヒンジアセンブリー
326 ストラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク又は力の出力を発生するための及びトルク又は力の入力に対する抵抗を与えるための電気粘性流体アクチュエータであって、
絶縁性ケースを有して、このケース内に入力/出力シャフトが回転可能に実装されたハウジングと、
前記ケース内にアーク形に配設されると共に前記シャフトに結合された複数の回転可能な部材と、
シリンダのセグメントとして形成され、各々が関連した回転可能な部材に搭載されてそれと共に回転する複数の回転可能な電極と、
この回転可能な電極と同心的に前記ケースに固定され、回転可能な電極との間にギャップが配設された円筒形アース電極と、
前記ギャップ内に配設された電気粘性流体と、
関連した回転可能な部材内に配設されて、前記関連した回転可能な部材の回転を作動させる複数の線形アクチュエータ要素と
を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
線形アクチュエータは、回転可能な部材のステップ状回転を与えるように順次動作する請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
線形アクチュエータは、回転可能な電極と関連して動作するものであり、これら電極の一部の回転は、電気粘性流体の作動によってロックされ、そして1つの回転可能な電極の回転は、回転可能な部材のステップ状回転を与えることが可能にされている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
電気粘性流体は、回転可能な電極上の剪断応力を介してシャフト上の入力トルクに対する抵抗を与えるように作動可能である請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
回転可能な電極に対し、アース電極に対し、そして線形アクチュエータに対し電力をもたらすように動作する複数の転動接点を更に備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
転動接点は、シャフトから半径方向に延びた駆動軸上に整列され、転動接点は、回転可能な部材の表面の接点上を転動可能である請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
線形アクチュエータ要素の回転の方向を制御するように動作するラチェット機構を更に備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
ラチェット機構は、2列の対向する歯を持ってシャフトに取り付けられたラチェットギヤと、時計回りモードでは1列の歯に係合し、また反時計回りモードではもう1列の歯に係合するように動作するラチェットカムとを有する請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
ラチェット機構は、ニュートラルの自由輪転モードで動作する請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
ラチェットカムは、弾性シャフトによる旋回運動用に実装され、この弾性シャフトは、カムフォロワー要素内に実装されて、ラチェットカムの旋回を起こす請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
カムフォロワー要素は、回転の方向を調整するために外部要素によって作動されたシヌソイド状経路を移動するように動作する請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
線形アクチュエータ要素は、電磁石を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
線形アクチュエータ要素は、ソレノイドを備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
線形アクチュエータ要素は、圧電アクチュエータを備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
線形アクチュエータ要素は、電場応答性ポリマーを備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
トルク又は力の入力に対する抵抗を与えるための電気粘性流体ブレーキ装置であって、
絶縁性ケースを有して、このケース内にシャフトが回転可能に実装されたハウジングと、
前記シャフトに実装されてそれと共に回転する1以上の回転可能な円筒形電極と、
前記ケース内に固定され、且つ前記回転可能な電極に対向して同心的に配設され、回転可能な電極との間にギャップが配設された1以上の円筒形アース電極と、
前記ギャップ内に配設された電気粘性流体と
を備えることを特徴とする流体ブレーキ装置。
【請求項17】
回転可能な円筒形電極は、単一の一体的部分からなる請求項16に記載の流体ブレーキ装置。
【請求項18】
円筒形アース電極は、単一の一体的部分からなる請求項16に記載の流体ブレーキ装置。
【請求項19】
トルク又は力の入力に対する抵抗を与えるための電気粘性流体ブレーキ装置であって、
絶縁性ケースを有して、このケース内にシャフトが回転可能に実装されたハウジングと、
前記シャフトに実装されてそれと共に回転する1以上の回転可能な円筒形電極と、
前記ケース内に固定され、且つ前記回転可能な電極に対向して配設され、回転可能な電極との間にギャップが配設された1以上の円筒形アース電極と、
アース電極と回転可能な電極との間の前記ギャップ内に配設された電気粘性流体とを備え、
回転可能な電極は、シャフトに取り付けられた中央回転マウントに内周面が固定された円形板を備え、アース電極は、外周面がインサートに固定された円形板を備え、回転可能な電極とアース電極は、挟み合わされ、ユニットとしてケースに挿入可能であることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項20】
回転電極とアース電極との間のギャップサイズを調整するように動作する整列機構を更に備える請求項19に記載のブレーキ装置。
【請求項21】
整列機構は、ケースの外部から接近可能である請求項20に記載のブレーキ装置。
【請求項22】
回転電極は、回転電極上のキー付きスロット内に適合するロックによって中央回転マウントに固定されている請求項19に記載のブレーキ装置。
【請求項23】
関節用矯正装置であって、
手足の関節に処置可能なヒンジアセンブリを有して、ユーザの手足に取り外し可能に固定できるフレームと、
請求項1の電気粘性アクチュエータと、
電気粘性流体アクチュエータのシャフトに取り付けられて、入力又は出力の力又はトルクをヒンジアセンブリに結合するギヤアセンブリと
を備えることを特徴とする矯正装置。
【請求項24】
関節用矯正装置であって、
手足の関節に処置可能なヒンジアセンブリを有して、ユーザの手足に取り外し可能に固定できるフレームと、
請求項16の電気粘性流体ブレーキ装置と、
電気粘性流体ブレーキ装置のシャフトに取り付けられて、シャフト上の入力の力又はトルクに抵抗するギヤアセンブリと
を備えることを特徴とする矯正装置。
【請求項25】
関節用矯正装置であって、
手足の関節に処置可能なヒンジアセンブリを有して、ユーザの手足に取り外し可能に固定できるフレームと、
請求項19の電気粘性流体ブレーキ装置と、
電気粘性流体ブレーキ装置のシャフトに取り付けられて、シャフト上の入力の力又はトルクに抵抗するギヤアセンブリと
を備えることを特徴とする矯正装置。
【請求項26】
装置は、ニーブレースであり、フレームは、脚への取り付け用に構成されている請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項27】
装置は、エルボーブレースであり、フレームは、腕への取り付け用に構成されている請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項28】
関節の角度、速度、及び加速度を測定するように動作するセンサアセンブリを有したセンサシステムを更に備える請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項29】
センサアセンブリは、装置の閉ループ制御を与えるように動作する請求項28に記載の矯正装置。
【請求項30】
シャフト上のトルクを測定するように動作するセンサアセンブリを有したセンサシステムを更に備える請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項31】
センサアセンブリは、装置の閉ループ制御を与えるように動作する請求項30に記載の矯正装置。
【請求項32】
関節の逆側に配設された第2の電気粘性流体装置を更に備える請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項33】
電気粘性流体装置を制御するように動作するコントローラアセンブリを更に備える請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項34】
コントロールアセンブリは、リモート通信を与えるように動作する請求項33に記載の矯正装置。
【請求項35】
装置は、電池電力によって動作可能である請求項23,24又は25に記載の矯正装置。
【請求項36】
1以上の電池が装置内に配設されている請求項35に記載の矯正装置。
【請求項37】
1以上の電池は、装置の外部に配設されている請求項35に記載の矯正装置。
【請求項38】
関節用矯正装置であって、
手足の関節に処置可能なヒンジアセンブリを有して、ユーザの手足に取り外し可能に固定できるフレームと、
このフレームのヒンジアセンブリに実装され、出力の力又はトルクを発生するか、入力の力又はトルクに抵抗するように動作する起動装置と、
この起動装置のシャフトに取り付けられて、入力又は出力の力又はトルクをヒンジアセンブリに結合するギヤアセンブリと
を備えることを特徴とする矯正装置。
【請求項39】
起動装置は、電気粘性流体ブレーキ装置を備える請求項38に記載の矯正装置。
【請求項40】
起動装置は、電気粘性流体アクチュエータを備える請求項38に記載の矯正装置。
【請求項41】
起動装置は、電気粘性流体アクチュエータを更に備える請求項39に記載の矯正装置。
【請求項42】
起動装置は、電気粘性流体ブレーキ装置を更に備える請求項40に記載の矯正装置。
【請求項43】
起動装置は、DCモータ、磁気粘性流体装置、摩擦装置、電空装置、電磁装置、ヒステリシス装置、渦電流装置、空気装置、液圧装置、ボイスコイル装置、電場応答性ポリマー装置、超音波モータ及び圧電装置からなる群から選択されたブレーキ又はアクチュエータ装置である請求項38に記載の矯正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2008−519941(P2008−519941A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540159(P2007−540159)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/040404
【国際公開番号】WO2006/052954
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(592233750)ノースイースタン ユニバーシティ (7)
【Fターム(参考)】