説明

電気部品もしくは電子部品の間の機械的にフレキシブルな導電性の接合部

本発明は、第1の熱膨張係数(α1)が影響を与える第1の電気部品もしくは電子部品と、第2の熱膨張係数(α2)が影響を与える第2の電気部品もしくは電子部品との間の、機械的にフレキシブルな導電性の接合部(V)であって、この場合、第1の熱膨張係数(α1)と第2の熱膨張係数(α2)との差(D)が、D>〜10E−6/Kの範囲内にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
特に、電気回路もしくは電子回路の製造時には、部品サイズは小型化への恒常的な要求を免れない。これにより、個々の電気的もしくは電子的な構成素子間の接触面も減じられ、その結果、個々の構成素子のこの接触面の間の接合部の重要さはますます大きくなっている。
【0002】
このような接合部は、良好な導電性に関する要求を満たす、つまり可能な限り僅かな比抵抗を有していることが望まれる一方で、この接合部は可能な限り頑丈であることが望ましく、その結果、接触特性は、ラフな使用条件においても可能な限り長期にわたって、可能な限り不変のままである。
【0003】
特に、ラフな運転条件は、激しい温度変動によりもたらされ、たとえば車両領域、特にエンジンルームでの使用時に発生する。この場合、−40〜+150℃間の温度変動は、完全に普通の運転条件である。
【0004】
組込み密度の向上のために、この種の電子部品または電子回路は、よく差込み接合部等のケーシング内に直に組み込まれもする。しかし差込み接合部等のケーシングは、熱膨張係数αが、電気的もしくは電子的な構成素子の熱膨張係数αとはっきりと異なっている材料から形成されている。これにより、熱により引き起こされた応力が、運転温度範囲の変遷時に、2つの電気部品もしくは電子部品の間の接触個所に生じる。
【0005】
たとえば、ノイズ除去コンデンサが挙げられる。この抑制コンデンサは、コネクタの2つのコンタクトラグの間で、この種の接合部を介して配置されている。コンデンサは、たとえばSMD部品(Surface Mounted Device)であって、2つのコンタクトラグを位置固定しているケーシングの材料の長さ膨張係数αよりも実質的に小さな長さ膨張係数αを有している。しかしこの大きな差Δαにより、ケーシングの膨張時に、コンデンサと、たとえば打抜き格子体として形成されたコネクタ接続ラグとの間の接触個所に、大きな機械的な負荷がかかる。
【0006】
これまでに公知のこの種の接合部の構成は、たとえばはんだ接合部または、接着接合部でもある。はんだ接合部は、最大で特定の温度範囲、有利には125℃までしか使用することができない。なぜならばそれ以上では、2つの電気部品もしくは電子部品の間の電気的に正常な接合部を、もはや保証することができないからである。主としてはんだ接合部は、α=(6,5−10)×10E−6/Kの熱膨張係数を有するセラミックス製のチップ構成素子を、α=16×10E−6/Kのプリント配線板材料(たとえばFR4)に位置固定する領域において使用される。これにより生じる差はΔα<9,5×10E−6/Kである。
【0007】
α=(6,5〜10)×10E−6/Kを有するセラミックス製のチップ構成素子の、Al(膨張係数α=6,5×10E−6/Kを有するセラミックス回路支持体)への接着は、同様に公知である。この場合、ここでもたらされる差はΔα<3,5×10E−6/Kである。この場合、有利には、伸び率A<2%を有するエポキシド導電性接着剤を使用する。
【0008】
別の構造コンセプトは、セラミックスSMD構成素子を、たとえば被覆された銅路の形式の打抜き格子体に、硬質エポキシド接着剤によって貼り付けることである。接着に続いてこの種の複合体は、射出成形によって硬質の熱硬化性樹脂で取り囲まれ、これによって十分に機械的な安定性をもった確実な接触接続が得られる。この場合、熱硬化性樹脂は機械的な応力を阻むので、接合部の電気的な特性は、全温度範囲にわたって可能な限り保持されたままである。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3837206号明細書から、電気的な切換機器が公知である。この切換機器では、導電性材料を充填された接着剤または適切なペーストが、2つの電気的な線路間の容量的な連結部を実現する。連結部は、確かにフレキシブルな導電性の接合部であるが、接合部の弾性と導電度とは、前記試料領域において使用することができるには低すぎる。
【0010】
接着剤は、その機械的な特性に基づき、原則的に3つの部類に分類することができる。つまり、
−全使用温度範囲において硬質脆性接着剤である。たとえば最大で2〜3%の伸び率を有するエポキシ樹脂。
−使用温度範囲において硬質/軟質遷移を有する接着剤である。たとえば最大で10%の伸び率を有する、柔軟化されたエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂シリコーンコポリマ。
−全使用温度範囲においてフレキシブルな接着剤である。たとえば、明らかに10%以下から、優に150%を越えて伸びることができる伸び率範囲を有するシリコーン。
【0011】
硬質脆性接着剤は、確かに良好な導電性を提供するが、使用範囲は限られている。この使用範囲で機械的に僅かな応力が、2つの異なる長さ膨張係数αの僅かな差により接合部に発生する。
【0012】
硬質/軟質遷移を有する第2の接着剤群から成る接着剤は、確かに第1の接着剤群から成る接着剤よりも機械的に高い負荷を掛けられる使用に適してはいるが、それに対して、伸び率の悪化を有していて、従って、120℃より上の温度において、電気的な特性の低下またはそれどころか欠落の原因となる恐れがある。
【0013】
第3の群、つまり全使用範囲にわってフレキシブルな接着剤は確かに、部分的にそれどころか極端な伸長性を有しているが、この伸長性が掛ける導電性への負担は極めて著しいものであるので、接着剤の使用範囲はこれによりやはり極めて著しく制限されている。
【0014】
本発明の課題および利点
従って、本発明の課題は、2つの電気的もしくは電子的な構成素子の間の接合部を改良することである。
【0015】
この課題は、冒頭で述べた形式の機械的にフレキシブルな導電性の接合部から出発して、請求項1記載の特徴部により解決される。
【0016】
従属請求項記載の手段により、本発明の有利な構成と改良形とが可能である。
【0017】
従って本発明は、第1の熱膨張係数α1が影響を与える第1の電気部品もしくは電子部品と、第2の熱膨張係数α2が影響を与える第2の電気部品もしくは電子部品との間の機械的にフレキシブルな導電性の接合部であって、第1の熱膨張係数α1と第2の熱膨張係数α2との間の差Dが、D>約10×10E−6/Kの範囲内にあることを特徴とする。
【0018】
有利な構成では、それどころか差Dは、D>約20×10E−6/Kの範囲内にする。この種の接合部の構成においては、有利には、接合材料の熱膨張係数αVは、αV約420×10E−6/Kの範囲内にあるようになっている。接合材料Vの熱膨張係数αVは、αV<約250×10E−6/Kの範囲内にあると、接合材料Vは接合部に特に有利に作用する。
【0019】
さらに、接合部Vの接合材料Vの熱膨張係数αVの伸び率Bが、B>約15%の範囲内にあると、有利であると見なされる。従って、この種の部品接合を硬質の熱硬化性樹脂によって、これまで必要とされていた付加的な射出成形で取り囲むことは省くことができ、これによって、こうして実現された接触接続部は、変動する運転温度に基づく機械的な負荷に対して保護される。
【0020】
それどころか接合部の接合材料Vの伸び率Bが、B>30%の範囲内にあると、特に有利であると見なされる。この場合、伸び率は、原則的に接合部の耐用年数範囲全体にわたっていると理解することができる。これにより、構成素子間の相対運動を調整することが可能であり、この相対運動は、当該接合部Vの電気的もしくは機械的特性にネガティブな作用を及ぼすことはない。
【0021】
従ってたとえば、α=(6,5〜10)×10E−6/Kを備えたセラミックス製のチップ構成素子は、ほぼα=(6,5〜100)×10E−6/Kを備えた長さ膨張係数を備えた、熱可塑性樹脂によって射出成形で取り囲まれた打抜き格子体に載置接触することができる。この場合、セラミックス製の構成素子も、接合部Vも、熱的な長さ膨張により引き起こされる最大限に許容可能な機械的な負荷下に明らかに留まることが、通常運転による温度使用範囲に関連して保証されている。従って、本発明によれば、熱膨張係数の差Δαは、90×10E−6/Kの範囲内で、2つの電子部品の接触接続時に問題なく取扱い可能である。それどころか原則的に、この範囲は接合材料Vの個別の成分に関連して、さらに明らかに拡張することができる。
【0022】
セラミックス製のチップ構成素子と、たとえばコネクタラグとして働く、熱可塑性樹脂によって射出成形で取り囲まれた、被覆された銅から成る打抜き格子体との間の十分に電気的な接合部を保証するために、接合材料のVの比抵抗RSpが、室温において、RSp<約1×10E−2Ohm×cmの範囲内にあると有利である。特に有利な構成では、それどころか接合材料Vの比抵抗RSpは、室温において、RSp<約1×10E−3Ohm×cmの範囲内にある。
【0023】
このような値は、接合材料に関して、G>50質量%の範囲の所定の質量割合Gを有する接合材料Vである銀(AG)を使用することにより可能である。有利には、このために接合材料の基本材料は、機械的にフレキシブルなポリママトリックスに基づいている、接着剤である。ポリママトリックスは、たとえばフレーク、球状体等々の銀粒子で充填されている。この高い充填度により、接合材料Vが大きく伸長する際にも、前記低い比抵抗を全温度使用範囲にわって保持できることが保証されている。
【0024】
確かに比較的高い銀割合を有する接着剤が公知であるが、この接着剤は、約2〜3%の伸び率を有する脆性の接着剤である。この接着剤のバインダはエポキシドである。この種の接着剤の場合には、有利には銀メッキされた銅粒子であるが、銀でもある導電性の充填材での濃縮は良好に取扱い可能である。しかしこの接着剤には弾性が不足している。
【0025】
これとは異なり全使用温度範囲にわたって、たとえば明らかに10%以下から、優に150%を越えることができる所定の伸び率範囲を有しているシリコーン接着剤のように、弾性な接着剤においては、これまで重い導電性の充填材の沈降特性に基づき可能ではなかった。特に抜群の導電性を有する銀においては、これまで個々の粒子の不変の配置が、機械的にフレキシブルなポリママトリックスにおいて可能ではなかった。しかし種々異なる一連の試験に基づき、今や適切にフレキシブルなポリママトリックスが発見された。このポリママトリックスによって、前記値が可能であり、それどころかさらに高い充填度が、たとえば接合材料の90質量%以上の範囲まで可能である。これに付随して極端に改良された導電特性がもたらされ、その結果、今や本発明により前記パラメータを備えた2つの電気部品もしくは電子部品の間の、電気的に確実な接合部を有することができる。従って、本発明により、背景技術でこれまで公知であった欠点、つまり比較的良好な導電性でありながら接合部の柔軟性が低い、または接合部の弾性が適切に高いが導電性が低いという欠点を明らかに減じることが可能である。
【0026】
最新の使用試験は、銀割合は、検査した使用事例では約50%で始めて、特に75〜85%の間で、たとえば全温度使用範囲にわたって30%の伸び率といった十分に良好な電気的および機械的特性を、室温でRSp<1×10E−3Ohm×cmから、RSp<400×10E−3Ohm×cmの所定の比抵抗において提供するということを確かに示した。しかし、導電性の粒子、特に銀でさらに高い充填度を実現する、ということも一貫して考慮可能である。
【0027】
本発明による、機械的にフレキシブルな導電性の接合部は、つまり有利には、小型化された電気部品(SMD部品)の形をした第1の電気部品もしくは電子部品を、第2の電気部品もしくは電子部品に接合するために使用することができる。この場合、第2の部品は、回路支持体または第3の電気部品もしくは電子部品のためのライン接合部、またはこの種の回路支持体等々の一部分である。
【0028】
本発明に係る機械的にフレキシブルな導電性の接合部は、第1の熱膨張係数α1が影響を与える第1の電気部品もしくは電子部品と、第2の熱膨張係数α2が影響を与える第2の電気部品もしくは電子部品との間の、機械的にフレキシブルな導電性の接合部Vであって、第1の熱膨張係数α1と第2の熱膨張係数α2との差Dが、D>約10×10E−6/Kの範囲内にあることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る接合部は、有利には、差Dが、D>約20×10E−6/Kの範囲内にある。
【0030】
本発明に係る接合部は、有利には、接合材料Vの熱膨張係数αVが、αV<約450×10E−6/Kの範囲内にある。
【0031】
本発明に係る接合部は、有利には、接合材料Vの熱膨張係数αVが、αV<約250×10E−6/Kの範囲内にある。
【0032】
本発明に係る接合部は、有利には、接合部Vの接合材料Vの伸び率Bが、B>約15%の範囲内にある。
【0033】
本発明に係る接合部は、有利には、接合部Vの接合材料Vの伸び率Bが、B>約30%の範囲内にある。
【0034】
本発明に係る接合部は、有利には、室温での接合材料Vの比抵抗RSpが、RSp<約1×10E−2Ohmの範囲内にある。
【0035】
本発明に係る接合部は、有利には、室温での接合材料Vの比抵抗RSpが、RSp<約1×10E−3Ohmの範囲内にある。
【0036】
本発明に係る接合部は、有利には、接合材料Vが、G>約50質量%の範囲内における所定の質量割合Gで、銀AGを有している。
【0037】
本発明に係る接合部は、有利には、接合材料Vが、G>約75質量%の範囲内における所定の質量割合Gで、銀AGを有している。
【0038】
本発明に係る接合部は、有利には、接合材料Vが、シリコーンポリマである接着剤成分Kを有している。
【0039】
本発明に係る接合部は、有利には、第1の電気部品もしくは電子部品B1が、小型化された電子部品であり、好ましくはSMD部品である。
【0040】
本発明に係る接合部は、有利には、第2の電気部品もしくは電子部品B2が、この種の回路支持体Sまたは第3の電気部品もしくは電子部品B3に対するライン接合部Lであるか、またはこの種の回路支持体Sの一部分等である。
【0041】
本発明の実施例を図示し、添付の図面につき詳細に説明する。
【0042】
今や、図1には、機械的にフレキシブルな導電性の接合部1を上から見た図が詳細に示されている。この接合部1は、比較的僅かな熱膨張係数α1=6,5×10E−6/Kを有するSMD(Surface Mounted Device)部品と、射出成形により熱可塑性樹脂によって取り囲まれたコネクタ接続路3の形をした、SMD部品に比べて比較的高い熱膨張係数α2(60〜100)×10E−6/Kを有する第2の構成素子3との間に形成されている。
【0043】
この機械的にフレキシブルな導電性の接合部1は、本発明による接合材料4によって実現されている。この接合材料4によって、第1の熱膨張係数α1と、第2の熱膨張係数α2との差Dを、D>約10×10E−6/Kの範囲で、使用温度範囲全体と使用耐用年数とにわたって保証することが可能である。このことは、本発明による接合部1の必要な電気的な特性にも、機械的な特性にも有効である。
【0044】
それどころか本発明による接合部1の特に有利な構成では、差Dは、D>約20×10E−6/Kの範囲にあるので、最初に記載された実施例と比べてさらに大きな機械的な応力が、異なる熱膨張係数に基づき確実に制御可能である。この場合、有利には、接合材料Vの熱膨張係数αVは第1実施例では、αV<約450×10E−6/Kの範囲にあり、それどころか第2実施例では、αV<約250×10E−6/Kの範囲にある。
【0045】
この場合、接合材料4の伸び率Bは、第1の実施例では、B>約15%の範囲にある。伸び率Bは、有利にはシリコーンである使用するバインダに関係していて、且つバインダに混合された充填材料およびこの充填材料の充填度に関係している。従って、伸び率Bを変えることもできる。さらにフレキシブルな接合部を形成するために、接合材料4の伸び率Bは、有利な第2の実施例ではそれどころか、B>約30%の範囲であってよい。
【0046】
接合材料4の電気抵抗率RSpに関して、第1の実施例では、電気抵抗率が、RSp<約1×10E−2の範囲、それどころか特に、RSp<約1×10E−3の範囲にあると有利である。これにより、第1の実施例において既に著しく低減した寄生的な電気作用、たとえばコンデンサ作用をさらに低減することができる。
【0047】
この場合、第1の実施例の接合材料に関しては、接合材料Vの、特に有利には銀(AG)である充填材料は、G>50質量%の範囲における所定の質量割合Gで所定の役割を果たす。それどころか、これに対して第2の実施例では、質量割合GはG>約75質量%の範囲にある。
【0048】
実施された複数の試みにおいては、実験は接合材料の所定の充填度で行われた。所定の充填度では質量割合Gは、たとえば75〜85%の間であった。全ての試みは、極めて良好な機械特性との組合せにおいて、極めて良好な電気特性をもたらした。特に有利な特性を本発明による接合材料4は、質量割合G約81,5%+/−1%の範囲でもたらす。
【0049】
この質量割合Gの増加は、一方では、確かに電気的な特性をさらに改良したが、他方では、伸び率Bの低減による機械的な柔軟性に関する損失を認めなければならなかった。質量割合Gの低減は、相反する効果を認める場合があった。
【0050】
この場合、接合材料4の導電性の成分である銀AGは、粒子形状で挿入されていて、有利にはフレーク、球状体等々の形状である。
【0051】
接合材料に必要とされる高い弾性は、特に接着剤成分であるシリコーンポリマを使用することにより得ることができる。シリコーンポリマは、機械的にフレキシブルなポリママトリックスである。このポリママトリックス内に導電性の充填材を配置することができる。この場合、導電性の充填材が、ポリママトリックスにおいて充填材に対応配置された場所を、硬化されていない状態で長時間にわたって維持するということが重要である。これにより、接合材料4の導電性の成分の均等な配分が、基本骨格として働いているポリママトリックスにおいて保証されている。ポリママトリックス自体は、本発明による接合材料4のやはり良好な電気特性を形成する。
【0052】
質量割合Gに対する前記数値を備えた高い充填度は、シリコーンポリマである接着剤成分Kを新たに適切に構成することにより、達成することができたので、これまで実質的な欠点であった接着剤成分Kにおける充填材の沈降は、少なくとも著しく減じることができた。良好な電気特性に関する第2の実質的な観点は、接合材料4において銀を高い割合で使用するという点と、銀に付随している極めて良好な電気特性という点にある。
【0053】
G<約20質量%の範囲、それどころか特にG<約10質量%の範囲の質量割合を有する接着剤成分Kの他に、G<約2質量%の範囲、それどころか特にG<0,5質量%の範囲でさらに別の助剤が設けられている。この場合、助剤Hは、定着剤、触媒、抑制剤等々であってよい。
【0054】
図1および図2に示してあるように、本発明による、機械的にフレキシブルな導電性の接合部1に接合されている第1の部品は、有利には、たとえばSMD部分B1である小型化された電子部品2であってよい。第2の電気部品もしくは電子部品3として、ライン接合部Lを、回路支持体Sまたは第3の電気部品もしくは電子部品B3のために設けることができるか、または一部分、たとえばこの種の回路支持体S等々の導体路Lbを設けることができる。この場合、特に第2の電気部品もしくは電子部品3もしくはB2は、熱膨張係数α2を備えた材料を有するコネクタケーシング5に位置固定されている。熱膨張係数α2は、第1の電子部品2の熱膨張係数α1と比べて、実施的に高く設定されている(前記参照)。
【0055】
第2の電気部品もしくは電子部品3を、図3に示してあるように、たとえば熱可塑性樹脂から成るコネクタケーシング5に固定することにより、運転温度範囲の変遷時に比較的大きな応力が、第1の部品2(B1)と第2の部品3(B2)との間の接合材料4に生じる。しかし今や、接合部1の極めて良好な電気特性と同時に本発明の高い弾性に基づき、当該接合部1は、この機械的な応力を調整することができる。この場合、接合部1が損傷を被ることはない。この場合、同時に極めて良好な電気的な導電性を、少なくとも広幅な領域にわたって保持することができる。
【0056】
さらに図3では例示的に示したノイズ除去コンデンサの他に、別の構成素子の接続のための接続ラグ3も良く認識可能である。この構成素子は、コネクタケーシング5に同様に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】電子的な構成素子(SMD)と、コネクタケーシング内に位置固定された2つのコネクタコンタクトパスとの接合部を上から見た図である。
【図2】図1の接合部の縦断面図である。
【図3】コネクタケーシングを上から見た図であり、この場合、コネクタケーシングに、第1の電子的な構成素子が、本発明により第2の構成素子に取り付けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱膨張係数(α1)が影響を与える第1の電気部品もしくは電子部品と、第2の熱膨張係数(α2)が影響を与える第2の電気部品もしくは電子部品との間の、機械的にフレキシブルな導電性の接合部(V)であって、
第1の熱膨張係数(α1)と第2の熱膨張係数(α2)との差(D)が、D>約10×10E−6/Kの範囲内にあることを特徴とする、機械的にフレキシブルな導電性の接合部。
【請求項2】
差(D)が、D>約20×10E−6/Kの範囲内にある、請求項1記載の接合部。
【請求項3】
接合材料(V)の熱膨張係数(αV)が、αV<約450×10E−6/Kの範囲内にある、請求項1または2記載の接合部。
【請求項4】
接合材料(V)の熱膨張係数(αV)が、αV<約250×10E−6/Kの範囲内にある、請求項1から3までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項5】
接合部(V)の接合材料(V)の伸び率(B)が、B>約15%の範囲内にある、請求項1から4までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項6】
接合部(V)の接合材料(V)の伸び率(B)が、B>約30%の範囲内にある、請求項1から5までにいずれか一項記載の接合部。
【請求項7】
室温での接合材料(V)の比抵抗(RSp)が、RSp<約1×10E−2Ohmの範囲内にある、請求項1から6までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項8】
室温での接合材料(V)の比抵抗(RSp)が、RSp<約1×10E−3Ohmの範囲内にある、請求項1から7までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項9】
接合材料(V)が、G>約50質量%の範囲内における所定の質量割合(G)で、銀(AG)を有している、請求項1から8までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項10】
接合材料(V)が、G>約75質量%の範囲内における所定の質量割合(G)で、銀(AG)を有している、請求項1から9までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項11】
接合材料(V)が、シリコーンポリマである接着剤成分(K)を有している、請求項1から10までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項12】
第1の電気部品もしくは電子部品(B1)が、小型化された電子部品であり、好ましくはSMD部品である、請求項1から11までのいずれか一項記載の接合部。
【請求項13】
第2の電気部品もしくは電子部品(B2)が、この種の回路支持体(S)または第3の電気部品もしくは電子部品(B3)に対するライン接合部(L)であるか、またはこの種の回路支持体(S)の一部分等である、請求項1から12までのいずれか一項記載の接合部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−544508(P2008−544508A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516264(P2008−516264)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062188
【国際公開番号】WO2006/134006
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】