説明

電気錠システム

【課題】専用の入力端末や専門知識を必要とせず、簡易的な構成で電気錠の各種設定を行える。
【解決手段】配信サーバ10は、錠前の施解錠に必要な各種設定を電気錠装置30に行うべく携帯電話20上で実行可能な設定アプリの配信を可能とする。携帯電話20は、アクセスにより配信サーバ10から配信されてインストールされる設定用アプリを起動したときに、画面上で各種設定に関する設定用データの編集・保存を可能とし、電気錠装置30との間の非接触通信によって設定データを電気錠装置30に送信する。電気錠装置30は、携帯電話20から送信される設定データに基づいて自動セットアップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホテル客室、オフィスビル等の商業施設や公共施設の入出口、住宅玄関等の扉に内蔵された錠前を電気的に施解錠制御する電気錠装置を備えた電気錠システムに係り、特に電気錠装置との間で非接触通信可能な携帯電話を用いて電気錠装置に必要な各種設定や電気錠装置から各種ログ情報の収集が行える電気錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯対策の強化を目的として、例えばホテルやオフィスビル等の商業施設や公共施設の入出口、集合住宅や一般住宅のエントランスや玄関等には、例えば携帯電話や携帯型の無線リモコンキー、磁気カードや非接触型ICカード等のIDキーに記憶された施解錠情報を正常に認証することで錠の施解錠を行う電気錠システムが採用されている。
【0003】
しかしながら、電気錠を設置するにあたっては、電気錠に駆動電源を供給する商用電源や電気錠制御盤等の電源供給部と電気錠との間で配線工事が必要となるため設置作業が煩雑であった。そこで、このような設置時の配線工事を省くため、電池を使用して電気錠各部の駆動に必要な電源を供給する電気錠装置として、例えば下記特許文献1に開示されるものが提案されている。
【0004】
特許文献1に開示された遠隔施解錠装置100は、図6に示すように、電気錠の施錠ならびに解錠に必要な信号を送信する送信機101と、電池102から給電される制御回路103とを備えている。制御回路103は、送信機101から送信された信号を受信する受信回路103aを備え、送信機101から受信した信号に基づいて、電気錠を施解錠動作している。この制御回路103は、電池102の電圧が所定の電圧以下となり、電気錠が所定の回数施解錠動作された後、電気錠を不作動状態としている。そして、この不作動状態において、電池102から制御回路103に給電を行い、その後送信機101から解錠に必要な信号が送信されて受信回路103aが受信すると、1回のみ解錠動作を行っている。
【特許文献1】特開2005−76198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような電池式の電気錠システムでは、電池を駆動源とするため、オフライン構成であり、外部との通信手段が限られていた。このため、専用の入力端末を用いて電気錠装置の各種設定を行ったり、施解錠に関するログ情報の収集を行っていた。
【0006】
従って、従来の電池式の電気錠システムでは、電気錠装置を備えた各物件や各住居毎に、メンテナンス業者が専用の入力端末を持ち歩いて管理・維持しなければならず、メンテナンス作業が煩雑であった。しかも、専用の入力端末を用いるため、取扱いを覚えるのに抵抗を感じたり、ハードウェアを開発するための費用が嵩むという問題もあった。
【0007】
さらに、この種の電池式の電気錠システムは、通信機能を備えておらず、電気錠装置に異常が生じた場合には、電気錠装置内の各種データを専用の入力端末で一旦取り出し、パソコン等の通信機能を備えた外部端末にデータを移植した後、必要なデータを問い合わせ先にメール送信していた。
【0008】
このため、必要なデータの送受信を行う度に外部端末にデータ移動を行う必要があり、その作業が面倒であった。また、パソコンにデータを移植しても、通信環境が整っていない場合には送信できないという問題もあった。そして、この種のシステムにおいて、有線でオンラインを図るためには膨大な導入費用が発生し、また無線でオンラインを図るためには技術的に難しいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、専用の入力端末や専門知識を必要とせず、簡易的な構成で電気錠の各種設定や各種ログ情報の収集を行うことができる電気錠システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載された電気錠システムは、電池を駆動源として錠前を電気的に施解錠制御する電気錠装置を備え、該電気錠装置との間で非接触通信可能な携帯電話を用いた電気錠システムであって、
前記錠前の施解錠に必要な各種設定を前記電気錠装置に行うべく前記携帯電話上で実行可能な設定用アプリケーションソフトウェアの配信が可能な配信サーバを備え、
前記携帯電話は、前記配信サーバから配信されてインストールされる前記設定用アプリケーションソフトウェアの起動により、画面上で前記各種設定に関する設定データの編集・保存を可能とし、前記電気錠装置との間の非接触通信によって前記設定データを前記電気錠装置に送信し、
該電気錠装置は、前記携帯電話から送信される前記設定データに基づいて自動セットアップすることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載された電気錠システムは、請求項1の電気錠システムにおいて、前記配信サーバは、さらに前記電気錠装置から各種ログ情報を収集するべく前記携帯電話上で実行可能な収集用アプリケーションソフトウェアの配信を可能とし、
前記携帯電話は、前記配信サーバから配信されてインストールされる前記収集用アプリケーションソフトウェアの起動により、前記電気錠装置との間の非接触通信によって前記電気錠装置から各種ログ情報を取得し、該取得した各種ログ情報を画面上に表示することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載された電気錠システムは、請求項2の電気錠システムにおいて、前記携帯電話は、前記電気錠装置から取得した各種ログ情報をメール送信したときに、当該メール送信した相手先からの前記各種ログ情報の解析結果に基づく指示を受信可能とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電気錠システムによれば、市販の携帯電話の機能を利用して電気錠装置の各種設定やログ情報の収集に係る処理を行うことができるので、従来のような専用の入力端末を用意する必要がなく、現場への持ち忘れもなくなり、導入費用、維持・管理からも解放される。
【0014】
しかも、日常から使い慣れた携帯電話を使用するので、使用者の苦手意識を払拭することができる。さらに、携帯電話の通信機能を応用することで、問い合わせの対応が早くなるとともに、既に市場で実績のある非接触通信技術を応用するので、専用のアプリケーションソフトウェアの開発時におけるリスクも少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の最良の形態について、添付した図面を参照しながらそれぞれ詳細に説明する。図1は本発明に係る電気錠システムの概略構成を示すブロック図、図2は本発明に係る電気錠システムの設定用アプリケーションソフトウェアのインストールに関する動作フローチャート、図3は本発明に係る電気錠システムの設定に関する動作フローチャート、図4は本発明に係る電気錠システムのログ情報の収集に関する動作フローチャート、図5は本発明に係る電気錠システムの具体的な構成例を示す図である。
【0016】
本例の電気錠システム1は、例えば図1に示すように、配信サーバ10、携帯電話20、電気錠装置30、問い合わせ先端末40から構築され、電気錠装置30への各種設定や電気錠装置30からの各種ログ情報の取得に携帯電話20を用いている。以下、各構成要素について詳述する。
【0017】
なお、本例の電気錠システム1では、施解錠時に、例えばリモコンキー、携帯電話、カード状記憶媒体などで構成されるIDキー50が使用される。このIDキー50は、施解錠時に、正当なIDキー50であるか否かを認証するための施解錠情報(例えば部屋番号、機器番号などの機器情報や暗証情報など)が記憶されている。そして、このIDキー50の施解錠情報は、施解錠時に、利用者によって施解錠操作されることにより電気錠装置30に取得される。
【0018】
配信サーバ10は、携帯電話専用のアプリケーションソフトウェアを配信するサーバで構成される。配信サーバ10は、図1に示すように、データベース11を備えて構成され、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して携帯電話20と通信可能に接続されている。
【0019】
データベース11は、携帯電話20上で実行可能な各種携帯電話に対応したアプリケーションソフトウェア(例えばiアプリ、EZアプリ、S!アプリなど)を記憶している。このアプリケーションソフトウェア(以下、アプリと略称する)としては、電気錠装置30に各種設定を行うための設定用アプリケーションソフトウェア(以下、設定用アプリと略称する)、電気錠装置30から各種ログ情報を取得するための収集用アプリケーションソフトウェア(以下、収集用アプリと略称する)を記憶している。
【0020】
設定用アプリは、携帯電話20から電気錠装置30に各種設定を行うときに携帯電話20上で起動されるもので、電気錠装置30の各種設定(例えば物件コード、日時設定、使用ID登録、動作モードなど)の初期設定データを含み、この初期設定データを必要に応じて編集するためのソフトウェアで構成される。
【0021】
また、収集用アプリは、携帯電話20が電気錠装置30から各種ログ情報(例えば操作情報、エラー情報、メンテナンス情報、設定情報など)を取得するときに携帯電話20上で起動されるソフトウェアで構成される。
【0022】
この配信サーバ10は、携帯電話20から配信要求があったときに、利用者が選択希望する各種アプリ(設定用アプリ、収集用アプリ)を携帯電話20に配信している。
【0023】
次に、携帯電話20は、一般ユーザーやメンテナンス業者などが所持する市販の電話からなり、機器本体内に非接触型ICチップを内蔵したICチップ内蔵タイプ若しくは非接触型IC内蔵カードが装着可能に構成される。本例では、この携帯電話20が、電気錠装置30への各種設定や電気錠装置30からの各種ログ情報の収集を行う際の端末として利用される。この携帯電話20は、図1に示すように、操作部21、非接触通信部22、制御部23、記憶部24、表示部25、報知部26を備えて構成される。
【0024】
操作部21は、利用者が操作する例えばテンキーを含む各種操作キーからなる。操作部21は、電気錠装置30の各種設定やログ情報収集を行う際に所定操作をして各種アプリを起動させる際に操作される。また、操作部21は、電気錠装置30との間で非接触通信を行う際や、各種アプリを表示部25に表示させた状態での表示内容の編集時に操作される。
【0025】
非接触通信部22は、例えば非接触ICカード技術方式であるFeliCa(登録商標)によって電気錠装置30との間で相互に非接触通信が可能なリーダ/ライタで構成される。非接触通信部22では、設定用アプリを起動した状態で携帯電話20本体を電気錠装置30の通信エリア範囲内に近接させて設定操作を行ったときに、記憶部24に記憶された各種設定データを非接触通信によって電気錠装置30に送信している。また、非接触通信部22は、収集用アプリを起動した状態で携帯電話20本体を電気錠装置30の通信エリア範囲内に近接させて収集操作を行ったときに、電気錠装置30の各種ログ情報を電気錠装置30から非接触通信によって収集している。
【0026】
制御部23は、例えばCPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成され、携帯電話20を電話として使用するのに必要な各種制御の他、配信サーバ10から各種アプリを取得するための制御、取得した各種アプリを起動させるための制御、取得した各種アプリを記憶部24にインストールさせる制御、操作部21の操作によって起動した各種アプリに係る表示内容を選択的に表示部25の表示画面上に表示する制御、表示制御した各種アプリに係る表示内容の編集処理に伴う制御、編集後の各種情報を記憶部24に記憶させる制御などを行っている。
【0027】
ここで、起動した各種アプリに対して制御部23が行う制御内容についてそれぞれ具体的に説明する。
【0028】
まず、操作部21の操作によって設定用アプリを起動すると、制御部23は、携帯電話20のモードを、電気錠装置30の各種設定を行うための設定用モードに切り替え制御し、表示部25に電気錠装置30の初期設定データを含む設定項目を表示制御する。このとき、操作部21によって表示内容が編集されると、その編集後の表示内容を記憶部24に記憶する。また、制御部23は、携帯電話20本体を通信エリア範囲内に近接させて操作部21が操作されると、設定データを非接触通信部22から電気錠装置30に送信する制御をし、設定データの送信が完了すると、完了した旨を報知する制御をしている。
【0029】
また、操作部21の操作によって収集用アプリを起動すると、制御部23は、携帯電話20のモードを、電気錠装置30から各種ログ情報を収集するための収集用モードに切り替え制御している。さらに、制御部23は、携帯電話20本体を通信エリア範囲内に近接させて操作部21が操作されると、電気錠装置30から各種ログ情報を収集する制御をし、ログ情報の収集が完了すると、完了した旨を報知する制御をしている。また、制御部23は、収集した各種ログ情報を項目毎に表示制御したり、収集した各種ログ情報を問い合わせ先端末40に送信する制御をしている。
【0030】
記憶部24は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成され、携帯電話20を電話として使用するのに必要な各種制御情報の他、配信サーバ10から取得した各種アプリ、操作部21の操作により編集された設定データ、電気錠装置30からの各種ログ情報などを記憶している。
【0031】
表示部25は、携帯電話20を電話として使用する際に必要な表示内容の他、操作部21の操作によって起動した各種アプリ毎の表示内容、電気錠装置30の各種設定データ、電気錠装置30から収集した各種ログ情報などを表示画面上に表示している。
【0032】
報知部26は、鳴動装置やバイブレータで構成され、電気錠装置30に対して各種設定データの送信が完了したときや電気錠装置30から各種ログ情報の収集が完了したときに、鳴動装置を鳴動させたりバイブレータを振動させることで、利用者に対して各種設定データの送信若しくは各種ログ情報の収集が完了したことを報知している。
【0033】
なお、この報知方法としては、上記のような鳴動や振動に限らず、例えば表示部25に対して設定データの送信若しくはログ情報の収集が完了した旨を表示することも可能であり、上記鳴動や振動による報知方法と組み合わせても良い。
【0034】
次に、電気錠装置30は、電池を駆動源としたスタンドアロンな構成であり、IDキー50からの施解錠情報を正常認証したときに現在の錠前及び扉の状態に応じて錠前を電気的に施解錠制御するものである。この電気錠装置30は、図1に示すように、非接触通信部31、記憶部32、制御部33、報知部34、施解錠機構35、電源部36を備えて構成される。
【0035】
非接触通信部31は、携帯電話20との間で相互に非接触通信を行うリーダ/ライタで構成され、例えば扉や扉付近の所定箇所に位置して設けられる。この非接触通信部31は、設定用モード若しくは収集用モードに制御された携帯電話20が通信エリア範囲内に近接したときに、この携帯電話20との間で非接触通信が行われ、携帯電話20から送信された各種設定データを受信したり、記憶部32に記憶された電気錠装置30の各種ログ情報を携帯電話20に送信している。
【0036】
記憶部32は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成され、電気錠装置30を駆動するために必要な各種制御情報の他、施解錠時にIDキー50から送信された施解錠情報が正当な情報であるか否かを判別するための認証用施解錠情報、携帯電話20から受信した電気錠装置30の設定データ、例えば操作情報、エラー情報、メンテナンス情報、設定情報、モニタ情報としての状態信号(錠前の施解錠状態信号や扉の開閉状態信号)等の電気錠装置30に関わる各種ログ情報を記憶している。
【0037】
制御部33は、例えばCPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成され、IDキー50から取得した施解錠情報と予め記憶部32に記憶された認証用施解錠情報とを照合して正当性を判別し、正常に認証したときのみ現在の錠前の施解錠状態と扉の開閉状態に応じて錠前を電気的に解錠(又は施錠)制御するべく施解錠機構35に駆動制御信号を出力している。
【0038】
また、制御部33は、設定用モード(設定用アプリを起動した状態)の携帯電話20が非接触通信部31の通信エリア範囲内に近接したときに、非接触通信部31を介して携帯電話20から各種設定データを受信する制御をしている。そして、制御部33は、この受信した各種設定データを記憶部32に記憶させるとともに、この受信した各種設定データに基づいて電気錠装置30の各種設定の自動セットアップを行っている。また、制御部33は、携帯電話20からの各種設定データに基づく電気錠装置30の設定が完了すると、この設定が完了した旨を報知する制御をしている。
【0039】
さらに、制御部33は、収集用モード(収集用アプリを起動した状態)の携帯電話20が非接触通信部31の通信エリア範囲内に近接したときに、記憶部32に記憶された各種ログ情報を携帯電話20に対して送信し、携帯電話20に対する各種ログ情報の送信が完了すると、この完了した旨を報知する制御をしている。
【0040】
報知部34は、鳴動装置やLEDや液晶などの表示機器で構成され、電気錠装置30からの各種設定データに基づく各種設定が完了したときや携帯電話20に対する各種ログ情報の送信が完了したときに、鳴動装置を鳴動させたり表示機器を所定表示させることで、利用者に対して電気錠装置30の各種設定若しくは各種ログ情報の送信が完了した旨を報知している。
【0041】
施解錠機構35は、例えばモータやソレノイド等の駆動装置と錠前で構成され、制御部33から入力される駆動制御信号により錠前を施錠または解錠するべく駆動し、扉枠の係止穴に対してデッドボルトを突出(施錠時)又は引き込む(解錠時)ことにより錠前が施解錠される。
【0042】
電源部36は、例えばボタン電池や乾電池等の電池が着脱交換可能な電源ユニットで構成され、扉の所定箇所若しくは扉近傍に設けられる。電源部36は、制御部33の制御により、電気錠装置30の各部に必要な駆動電源を供給している。
【0043】
次に、問い合わせ先端末40は、図1に示すように、電気錠システム1の運用・保守を管理する業者の問い合わせ窓口に配設される端末装置で構成される。問い合わせ先端末40は、携帯電話20からメールにて各種ログ情報が送信されたときに、その各種ログ情報から問い合わせ内容を解析し、その解析結果に応じた指示を返信メールや電話により携帯電話20に伝達している。
【0044】
次に、上記のように構成される本例の電気錠システム1の各動作について、図2〜図4を参照しながらそれぞれ順を追って説明する。
【0045】
まず、図2を参照しながら所望のアプリ(設定用アプリ、収集用アプリ)を携帯電話20上にインストールする動作について説明する。利用者は、携帯電話20から配信サーバ10に対してアクセスし(ST1)、配信サーバ10に記憶される複数のアプリの中から必要なアプリ(設定アプリ、収集アプリ)を選択してダウンロードする(ST2)。そして、利用者は、配信サーバ10からダウンロードしたアプリを携帯電話20にインストールする(ST3)。
【0046】
次に、図3を参照しながら携帯電話20にインストールされた設定用アプリを起動して、電気錠装置30の設定を行う動作について説明する。まず、利用者は、携帯電話20上で設定用アプリを起動し、携帯電話20のモードを設定用モードに切り替える(ST11)。次に、携帯電話20上で起動した設定用アプリの各種設定項目に設定される設定データを必要に応じて表示画面上で編集設定し(ST12)、各種設定項目毎の設定データを携帯電話20上に保存する(ST13)。
【0047】
そして、各種設定データの編集が完了すると、携帯電話20を電気錠装置30の非接触通信部31にかざして、電気錠装置30に各種設定データを送信する(ST14)。携帯電話20は、各種設定データの送信が完了すると、鳴動又は振動して、設定データの送信が完了した旨を報知する(ST15)。電気錠装置30は、携帯電話20から送信された設定データに基に自動セットアップを行い(ST16)、設定が完了すると、鳴動又は所定表示をして設定データに基づく設定が完了した旨を利用者に報知する(ST17)。
【0048】
尚、ST13の各種設定項目毎の設定データの保存後に、設定用アプリを終了させた場合には、再度設定用アプリを起動し、携帯電話20のモードを設定用モードに切り替えた後、携帯電話20を電気錠装置30の非接触通信部31にかざして、電気錠装置30に各種設定データを送信する。
【0049】
次に、図4を参照しながら携帯電話20にインストールされた収集用アプリを起動して、電気錠装置30から各種ログ情報を収集し、その収集した各種ログ情報を問い合わせ先に送信する動作について説明する。まず、利用者は、携帯電話20上で収集用アプリを起動し、携帯電話20のモードを収集用モードに切り替える(ST21)。次に、携帯電話20を電気錠装置30の非接触通信部31にかざし、電気錠装置30から各種ログ情報を携帯電話20に収集する(ST22)。そして、この各種ログ情報の収集が完了すると、携帯電話20が振動又は鳴動し、電気錠装置30が鳴動又は所定表示を行い、各種ログ情報の収集が完了した旨を利用者に報知する(ST23)。
【0050】
そして、各種ログ情報の収集が完了すると、利用者は携帯電話20上で各種ログ情報を閲覧して確認し(ST24)、携帯電話20の通信機能(メール機能)を使って各種ログ情報を問い合わせ先端末40へ送信する(ST25)。
【0051】
そして、問い合わせ先端末40は、携帯電話20から送信された各種ログ情報に基づいて問い合わせ内容を解析し、その解析結果に応じた指示を返信メールや電話により携帯電話20に伝達している。
【0052】
ここで、図5は上述した電気錠システム1の具体的な構成例を示している。図5の電気錠システム1は、錠前が電気的に施解錠制御される電池式の電気錠装置30と、電気錠装置30との間で通信可能な市販の携帯電話20と、携帯電話20専用のアプリ(iアプリ)の配信が可能な配信サーバ10と、携帯電話20との間で通信可能な問い合わせ窓口の外部端末とから構築される。
【0053】
図5に示す電気錠システム1では、一般ユーザーやメンテナンス業者が必要に応じて自身が所持する携帯電話20から配信サーバ10にアプリの配信要求をし、配信サーバ10から必要なアプリ(設定用アプリ、収集用アプリ)をダウンロードして携帯電話20にインストールする。これにより、携帯電話20の画面上で電気錠装置30に設定する各種設定データを編集して保存し、携帯電話20を電気錠装置30にかざしてFeliCa(登録商標)通信を利用すれば、携帯電話20から各種設定データを電気錠装置30に送信し、この各種設定データを基に電気錠装置30を自動セットアップすることができる。また、収集用アプリを起動して携帯電話20を電気錠装置30にかざし、FeliCa(登録商標)通信を利用すれば、電気錠装置30から各種ログ情報を携帯電話20で取得することができる。
【0054】
そして、携帯電話20の画面上で電気錠装置30から取得した各種ログ情報の確認が行え、必要に応じて問い合わせ先端末40に対してメールにて各種ログ情報を送信すれば、その各種ログ情報から問い合わせ先端末40が問い合わせ内容を解析し、その後の指示が携帯電話20に伝達される。この携帯電話20に対する指示は、例えば担当者が直接携帯電話20に電話したり、メールの返信によって行うことができる。
【0055】
このように、本例の電気錠システム1では、携帯電話20のFeliCa(登録商標)通信を利用して、電気錠装置30との間で非接触通信を行い、携帯電話20の画面上で、初期設定及び設定変更を行う。また、本システムは、携帯電話専用のアプリを配信サーバ10から配信するので、市販の携帯電話20で利用できる。さらに、携帯電話20は、必要に応じて電気錠装置30から各種ログ情報の収集も行い、収集したログ情報をそのまま携帯電話20の通信機能を利用して所望のアドレス先にメール送信することができる。
【0056】
そして、本例の電気錠システム1では、日常持ち歩く携帯電話20を利用するので、従来のような専用の入力端末を用意する必要がなく、現場への持ち忘れもなくなり、導入費用、維持・管理からも解放される。しかも、日常から使い慣れた携帯電話20を使用するので、使用者の苦手意識を払拭することができる。さらに、携帯電話20の通信機能を応用することで、問い合わせの対応が早くなる。そして、既に市場で実績のあるFeliCa(登録商標)通信技術を応用するので、開発時のリスクも少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る電気錠システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電気錠システムの設定用アプリのインストールに関する動作フローチャートである。
【図3】本発明に係る電気錠システムの設定に関する動作フローチャートである。
【図4】本発明に係る電気錠システムのログ情報の収集に関する動作フローチャートである。
【図5】本発明に係る電気錠システムの具体的な構成例を示す図である。
【図6】従来の電気錠システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 電気錠システム
10 配信サーバ
11 データベース
20 携帯電話
21 操作部
22 非接触通信部
23 制御部
24 記憶部
25 表示部
26 報知部
30 電気錠装置
31 非接触通信部
32 記憶部
33 制御部
34 報知部
35 施解錠機構
36 電源部
40 問い合わせ先端末
50 IDキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を駆動源として錠前を電気的に施解錠制御する電気錠装置を備え、該電気錠装置との間で非接触通信可能な携帯電話を用いた電気錠システムであって、
前記錠前の施解錠に必要な各種設定を前記電気錠装置に行うべく前記携帯電話上で実行可能な設定用アプリケーションソフトウェアの配信が可能な配信サーバを備え、
前記携帯電話は、前記配信サーバから配信されてインストールされる前記設定用アプリケーションソフトウェアの起動により、画面上で前記各種設定に関する設定データの編集・保存を可能とし、前記電気錠装置との間の非接触通信によって前記設定データを前記電気錠装置に送信し、
該電気錠装置は、前記携帯電話から送信される前記設定データに基づいて自動セットアップすることを特徴とする電気錠システム。
【請求項2】
前記配信サーバは、さらに前記電気錠装置から各種ログを収集するべく前記携帯電話上で実行可能な収集用アプリケーションソフトウェアの配信を可能とし、
前記携帯電話は、前記配信サーバから配信されてインストールされる前記収集用アプリケーションソフトウェアの起動により、前記電気錠装置との間の非接触通信によって前記電気錠装置から各種ログ情報を取得し、該取得した各種ログ情報を画面上に表示することを特徴とする請求項1記載の電気錠システム。
【請求項3】
前記携帯電話は、前記電気錠装置から取得した各種ログをメール送信したときに、当該メール送信した相手先からの前記各種ログ情報の解析結果に基づく指示を受信可能とすることを特徴とする請求項2記載の電気錠システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−19423(P2009−19423A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183376(P2007−183376)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】