説明

電気錠システム

【課題】電気錠システムには、タグリーダが、通常モードと登録モードとを有し、登録モード期間中にタグからタグ識別子を含む信号を受信した場合に、その信号に含まれるタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶するものがある。
しかしながら、UHF帯による通信距離内に、タグリーダにタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶させることを意図しないタグが存在する場合に、タグリーダは、その意図しないタグから送信されたタグ識別子を含む信号を受信してしまうことがある。そして、このことによって、タグリーダは、この意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう。
【解決手段】タグリーダは、タグ識別子と登録要求情報とを含む登録要求信号をタグから受信した場合に限って、そのタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグとタグリーダと電気錠とを備える電気錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タグと、タグからタグ識別子を読み取るタグリーダと、タグリーダが読み取ったタグ識別子が、タグリーダが記憶する照合用タグ識別子と一致する場合に、扉等の解錠を行う電気錠とからなる電気錠システムがある。
従来の電気錠システムの一例として、例えば、特許文献1に記載されているロッカー管理システムがある。
【0003】
このロッカー管理システムの例では、電池を内蔵せずに、外部から供給される電磁エネルギーによって動作するタイプのいわゆるパッシブタグと呼ばれるタグが用いられている。一方で、タグには、電池を内蔵するタイプのいわゆるアクティブタグと呼ばれるものもある。アクティブタグを用いる電気錠システムには、タグリーダがLF(Low Frequency)帯の信号を送信し、タグがUHF(Ultra High Frequency)帯の信号を送信するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−346241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電気錠システムには、タグリーダが、通常モードと登録モードとを有し、登録モード期間中にタグからタグ識別子を含む信号を受信した場合に、その信号に含まれるタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶するものがある。これにより、この電気錠システムを利用するユーザは、比較的簡単な手続きで、タグリーダに照合用タグ識別子を記憶させることができる。
【0006】
UHF帯の信号を送信するタグを用いた電気錠システムにおいて、上述の手続きでタグリーダに照合用タグ識別子を記憶させる場合に、タグリーダは、UHF帯による通信距離内に存在するタグから、照合用タグ識別子を含むUHF帯の信号を受信することとなる。
しかしながら、UHF帯による通信距離内に、タグリーダにタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶させることを意図しないタグが存在する場合に、タグリーダは、その意図しないタグから送信されたタグ識別子を含む信号を受信してしまうことがある。この現象は、例えば、その意図しないタグが、近くに存在する別のタグリーダに対してタグ識別子を含む信号を送信する場合等に発生する。そして、このことによって、タグリーダは、その意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう。
【0007】
そこで本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、タグリーダが、意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性を、従来よりも低減することができる電気錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る電気錠システムは、1以上のタグと、タグリーダと、照合用情報を用いた照合により解錠される電気錠とからなる電気錠システムであって、前記タグリーダは、タグ識別子と登録要求情報とを含む登録要求信号を前記タグから受信した場合に限って、当該タグ識別子を、前記照合用情報として記憶することを特徴とする。
【0009】
また、前記タグリーダは、さらに、自機が登録モードである登録モード期間中に、登録許可情報を含むLF帯の登録許可信号を送信し、登録要求信号は、UHF帯の信号であり、前記タグは、前記タグリーダから送信された登録許可信号を受信した場合に限って登録要求信号を送信し、前記タグリーダは、前記記憶を、登録要求信号の受信が、前記登録モード期間中になされた場合に限って行うことを特徴とするとしても構わない。
【0010】
また、前記タグリーダは、ユーザからの所定の操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が、前記所定の操作を受け付けた場合に、当該所定の操作を受け付けた時点から所定の期間、前記タグリーダを前記登録モードにするモード変更部とを有し、前記登録許可信号の送信を、前記モード変更部によって前記登録モードにされた場合に行うことを特徴とするとしても構わない。
【0011】
また、前記タグは、ユーザからの押下操作を受け付けるタグボタンを有し、前記登録要求信号の送信を、前記タグリーダから送信された登録許可信号を受信した後に、前記タグボタンによって前記押下操作が受け付けられた場合に限って行うことを特徴とするとしても構わない。
また、前記タグは、前記登録要求信号の送信を、前記登録要求情報として、前記タグリーダから送信された登録許可信号に含まれる登録許可情報を用いて行うことを特徴とするとしても構わない。
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る電気錠システムは、1以上のタグと、タグリーダと、照合用情報を用いた照合により解錠される電気錠とからなる電気錠システムであって、前記タグリーダは、自機が登録モードとなる登録モード期間中に、登録許可情報を含むLF帯の登録許可信号を送信し、前記タグは、前記タグリーダから、登録許可信号を受信した場合に、当該受信によって得られた電磁エネルギーを利用して、自機のタグ識別子を含むLF帯の登録要求信号を送信し、前記タグリーダは、登録要求信号をタグから受信した場合に、当該登録要求信号に含まれるタグ識別子を、前記照合用情報として記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の構成を備える本発明に係る電気錠システムによれば、タグリーダは、タグからタグ識別子を含む信号を受信した場合であっても、その信号が、登録情報を含む登録要求信号でなければ、その信号に含まれるタグ識別子を照合用情報として記憶しない。
従って、タグリーダにタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶させようと意図するタグに限って登録要求信号を送信させることで、タグリーダが意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性を、従来よりも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電気錠システム100の主要な構成要素を示す構成図
【図2】タグリーダ110と電気錠131と電気錠132との主要な回路構成を示す回路図
【図3】タグ121の主要な回路構成を示す回路図
【図4】通信信号の構成図
【図5】解錠処理のフローチャート
【図6】解錠処理における具体的動作例の模式図
【図7】登録処理のフローチャート
【図8】登録処理における具体的動作例の模式図
【図9】通信信号の構成図
【図10】変形解錠処理のフローチャート
【図11】第1変形登録処理のフローチャート
【図12】タグリーダ1210の主要な回路構成を示す回路図
【図13】タグ1321の主要な回路構成を示す回路図
【図14】通信信号の構成図
【図15】第2変形登録処理のフローチャート
【図16】第2変形登録処理における具体的動作例の模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
<概要>
以下、本発明に係る電気錠システムの一実施形態として、複数のタグと、タグと通信するタグリーダと、ドアの施解錠を行う電気錠とからなる電気錠システムについて説明する。
【0016】
この電気錠システムにおいて、タグリーダからタグへの送信は、LF帯の無線信号を用いてなされ、タグからタグリーダへの送信は、UHF帯の無線信号を用いてなされる。
タグリーダは、通常モードと登録モードとを有し、照合用タグ識別子を記憶する。そして、通常モード期間中にタグからタグ識別信号を含む応答信号(後述)を受信した場合において、そのタグ識別信号が、記憶する照合用タグ識別子と一致するときに、電気錠に、有線で解錠コマンドを送信する。電気錠は、タグリーダから解錠コマンドを受信すると、ドアの解錠を行う。
【0017】
また、タグリーダは、登録モード期間中に、タグから、タグ識別信号と登録要求フラグ(後述)とを含む登録要求信号(後述)を受信した場合に、そのタグ識別信号を、照合用タグ識別子として記憶する。
以下、本実施の形態1に係る電気錠システムの構成について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<構成>
図1は、電気錠システム100の主要な構成要素を示す構成図である。
同図に示されるように、電気錠システム100は、タグリーダ110とタグ121〜タグ123と電気錠131と電気錠132とドア140とから構成される。
タグリーダ110は、ドア140に設置され、電気錠131と電気錠132とに接続され、内蔵する電池で動作し、以下の5つの機能を有する。
【0019】
通常モード設定機能:起動時に動作モードを通常モードに設定する機能。
質問信号送信機能:通常モード期間中に、所定時間T1(例えば360ms)毎に、繰り返しLF帯の質問信号(後述)を外部に出力する機能。
解錠機能:通常モード期間中に、タグから、タグ識別信号を含むUHF帯の応答信号を受信した場合において、そのタグ識別子が記憶する照合用タグ識別子と一致するとき、電気錠131と電気錠132とに、解錠コマンドを送る機能。
【0020】
モード変更機能:通常モード期間中に、操作スイッチ212(後述)が押下操作されると、所定時間T2(例えば30s)の期間、モードを登録モードに変更し、LF帯の登録許可信号(後述)を送信する機能。
照合用タグ識別子記憶機能:登録モード期間中に、タグから、タグ識別子と登録要求フラグとを含むUHF帯の登録要求信号を受信した場合に限って、そのタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する機能。
【0021】
図2は、タグリーダ110と電気錠131と電気錠132との主要な回路構成を示す回路図である。
同図に示されるように、タグリーダ110は、CPU(Central Processing Unit)200とLF帯送信回路210とUHF帯受信回路211と操作スイッチ212とLED(Light Emitting Diode)213とメモリ214とタイマ215と電気錠駆動回路216と電気錠駆動回路217とLF帯アンテナ221とUHF帯アンテナ222と電池230とから構成される。
【0022】
LF帯アンテナ221は、LF帯送信回路210に接続される、例えばコイルであって、LF帯信号の送信に利用される。
LF帯送信回路210は、CPU200とLF帯アンテナ221とに接続され、CPU200によって制御され、以下の2つの機能を有する。
機能1:CPU200から送られてくる信号を、LF帯の信号に変調する機能。
【0023】
機能2:変調したLF帯の信号を、LF帯アンテナ221を用いて外部に出力する機能。
UHF帯アンテナ222は、UHF帯受信回路211に接続される、例えば微小ループアンテナであって、UHF帯信号の受信に利用される。
UHF帯受信回路211は、CPU200とUHF帯アンテナ222とに接続され、CPU200によって制御され、以下の2つの機能を有する。
【0024】
機能1:UHF帯アンテナ222を用いて、UHF帯の信号を受信する機能。
機能2:受信したUHF帯の信号を復調して、CPU200へ送る機能。
操作スイッチ212は、CPU200に接続される、例えば押下式スイッチであって、ユーザからの操作を電気信号に変換して、CPU200へ送る機能を有する。
LED213は、CPU200に接続され、CPU200によって点灯状態を制御される。
【0025】
メモリ214は、CPU200に接続され、RAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とフラッシュメモリとからなり、CPU200の動作を規定するプログラムとCPU200が利用するデータとを記憶する。
また、メモリ214は、タグリーダ110のタグリーダ識別子を記憶し、さらに、タグ121〜タグ123のうち、扉の解錠を許可されているタグのタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶している。
【0026】
タイマ215は、CPU200に接続され、CPU200によって制御され、時間を計測する機能を有する。
電池230は、タグリーダ110を構成する電子部品に電力を供給する。
電気錠駆動回路216は、CPU200と電気錠132とに接続され、CPU200によって制御され、電気錠132に、電気錠132の操作コマンドを送信する機能と、電気錠132に、電力を供給する機能とを有する。
【0027】
電気錠駆動回路217は、CPU200と電気錠131とに接続され、電気錠駆動回路216と同様の機能を有する。
CPU200は、LF帯送信回路210とUHF帯受信回路211と操作スイッチ212とLED213とメモリ214とタイマ215と電気錠駆動回路216と電気錠駆動回路217とに接続され、メモリ214が記憶するプログラムを実行することで、LF帯送信回路210とUHF帯受信回路211と操作スイッチ212とLED213とメモリ214とタイマ215と電気錠駆動回路216と電気錠駆動回路217とを制御して、タグリーダ110に様々な機能(例えば、通常モード設定機能、質問信号送信機能、解錠機能、モード変更機能、照合用タグ識別子記憶機能等)を実現させる。
【0028】
電気錠131と電気錠132とは、互いに同等の構成であって、互いに同等の機能を有している。よって、ここでは、電気錠131を用いて電気錠の説明を行う。
電気錠131は、ドア140に設置され、タグリーダ110に接続され、タグリーダ110から送信される操作コマンドに従って動作する電動式の錠であって、ドア140を施錠する機能とドア140を解錠する機能とを有する。
【0029】
図2に示されるように、電気錠131は、モータ241と錠242と施解錠センサ243とから構成される。
錠242は、ドア140を施錠するためのものであって、モータ241によって駆動される。
施解錠センサ243は、電気錠駆動回路217とモータ241とに接続され、電気錠駆動回路217から供給される電力によって動作し、ドア140が施錠されている状態であるか、解錠されている状態であるかを検知して、モータ241に通知する機能を有する。
【0030】
モータ241は、電気錠駆動回路217と施解錠センサ243とに接続され、電気錠駆動回路216から供給される電力によって動作し、以下の機能を有する。
機能1:施解錠センサ243から、ドア140が施錠されている状態であることを通知されている場合において、電気錠駆動回路217から解錠コマンドが送信されるときに、錠242を駆動してドア140を解錠する機能。
【0031】
機能2:施解錠センサ243から、ドア140が解錠されている状態であることを通知されている場合において、電気錠駆動回路217から施錠コマンドが送信されるときに、錠242を駆動してドア140を施錠する機能。
タグ121〜タグ123のそれぞれは、互いに同等の構成であって、互いに同等の機能を有するものである。よって、ここでは、タグ121を用いてタグの説明を行う。
【0032】
タグ121は、内蔵する電池で動作し、以下の2つの機能を有する。
応答信号送信機能:タグリーダ110からLF帯の質問信号を受信すると、質問信号を受信してから所定時間(例えば10ms)以内に、UHF帯の応答信号(後述)を外部に出力する機能。
登録要求機能:タグリーダ110からLF帯の登録許可信号を受信した場合において、ユーザからボタン312(後述)の押下操作を受けたときに、UHF帯の登録要求信号を外部に出力する機能。
【0033】
図3は、タグ121の主要な回路構成を示す回路図である。
同図に示されるように、タグ121は、CPU300とLF帯受信回路310とUHF帯送信回路311とボタン312とLED313とメモリ314とLF帯アンテナ321とUHF帯アンテナ322と電池330とから構成されている。
LF帯アンテナ321は、LF帯受信回路310に接続される、例えば、互いにコイル軸が直交する3つのコイルによって構成され、LF帯信号の受信に利用される。
【0034】
LF帯受信回路310は、CPU300とLF帯アンテナ321とに接続され、CPU300によって制御され、以下の2つの機能を有する。
機能1:LF帯アンテナ321を用いて、LF帯の信号を受信する機能。
機能2:受信したLF帯の信号を復調して、CPU300へ送る機能。
UHF帯アンテナ322は、UHF帯送信回路311に接続される、例えば微小ループアンテナであって、UHF帯信号の送信に利用される。
【0035】
UHF帯送信回路311は、CPU300とUHF帯アンテナ322とに接続され、CPU300によって制御され、以下の2つの機能を有する。
機能1:CPU300から送られてくる信号を、UHF帯の信号に変調する機能。
機能2:変調したUHF帯の信号を、UHF帯アンテナ322を用いて外部に出力する機能。
【0036】
ボタン312は、CPU300に接続される、例えば押下式ボタン型スイッチであって、ユーザからの操作を電気信号に変換して、CPU300へ送る機能を有する。
LED313は、CPU300に接続され、CPU300によって点灯状態を制御される。
メモリ314は、CPU300に接続され、RAMとROMとフラッシュメモリとからなり、CPU300の動作を規定するプログラムとCPU300が利用するデータとを記憶する。
【0037】
また、メモリ314は、タグ121のタグ識別子を記憶している。
電池330は、タグ121を構成する電子部品に電力を供給する。
CPU300は、LF帯受信回路310とUHF帯送信回路311とボタン312とLED313とメモリ314とに接続され、メモリ314が記憶するプログラムを実行することで、LF帯受信回路310とUHF帯送信回路311とを制御して、タグ121に様々な機能(例えば、応答信号送信機能、登録要求機能等)を実現させる。
【0038】
以下、上記構成の電気錠システム100において、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との通信に使用される通信信号について説明する。
<通信信号>
図4は、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との通信に使用される通信信号の構成を示す図である。
【0039】
同図に示されるように、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との通信に使用される通信信号には、質問信号410と応答信号420と登録許可信号430と登録要求信号440とがある。
質問信号410は、タグリーダ110からタグ121〜タグ123へ送信されるLF帯の信号であって、PR(PReamble)411とタグリーダ識別子412とCRC(Cyclic Redundancy Check)413とから構成される。
【0040】
PR411は、質問信号410の始まりを示す同期信号であり、CRC413は、質問信号410に誤りが発生しているか否かを検出するための信号である。
タグリーダ識別子412は、質問信号410を送信するタグリーダ(ここでは、タグリーダ110)が記憶している、自装置のタグリーダ識別子である。
なお、LF帯送信回路210の送信強度とLF帯受信回路310の受信感度とは、質問信号410を用いて行う通信可能距離が1.5m程度となるように、予め設定されている。
【0041】
応答信号420は、タグ121〜タグ123からタグリーダ110へ送信されるUHF帯の信号であって、PR421とタグ識別子422とCRC423とから構成される。
PR421は、応答信号420の始まりを示す同期信号であり、CRC423は、応答信号420に誤りが発生しているか否かを検出するための信号である。
タグ識別子422は、応答信号420を送信するタグが記憶している、自装置のタグ識別子である。
【0042】
なお、UHF帯送信回路311の送信強度とUHF帯受信回路211の受信感度とは、応答信号420を用いて行う通信可能距離が20m程度となるように、予め設定されている。
登録許可信号430は、タグリーダ110からタグ121〜タグ123へ送信されるLF帯の信号であって、PR431とタグリーダ識別子432と登録許可フラグ433とCRC434とから構成される。
【0043】
PR431は、登録許可信号430の始まりを示す同期信号であり、CRC434は、登録許可信号430に誤りが発生しているか否かを検出するための信号である。
タグリーダ識別子432は、登録許可信号430を送信するタグリーダ(ここでは、タグリーダ110)が記憶している、自装置のタグリーダ識別子である。
登録許可フラグ433は、このフラグを含む信号が、登録許可信号430である旨を示す、例えば、0b1となる1ビットの信号である。
【0044】
なお、LF帯送信回路210の送信強度とLF帯受信回路310の受信感度とは、登録許可信号430を用いて行う通信可能距離が1.5m程度となるように、予め設定されている。
登録要求信号440は、タグ121〜タグ123からタグリーダ110へ送信されるUHF帯の信号であって、PR441とタグ識別子442と登録要求フラグ443とCRC444とから構成される。
【0045】
PR441は、登録要求信号440の始まりを示す同期信号であり、CRC444は、登録要求信号440に誤りが発生しているか否かを検出するための信号である。
タグ識別子442は、登録要求信号440を送信するタグが記憶している、自装置のタグ識別子である。
登録要求フラグ443は、このフラグを含む信号が、登録要求信号440である旨を示す、例えば、0b1となる1ビットの信号である。
【0046】
なお、UHF帯送信回路311の送信強度とUHF帯受信回路211の受信感度とは、登録要求信号420を用いて行う通信可能距離が20m程度となるように、予め設定されている。
以下、図面を参照しながら、上記構成の電気錠システム100が行う動作について説明する。
【0047】
<動作>
ここでは、電気錠システム100が行う動作のうち、特徴的な動作である、解錠処理と登録処理とについて説明する。
<解錠処理>
解錠処理は、タグリーダ110がタグ121〜タグ123のいずれかからタグ識別子を読み取って、読み取ったタグ識別子が記憶する照合用タグ識別子に一致する場合に、ドア140を解錠状態にするという処理である。
【0048】
図5は、解錠処理のフローチャートである。
解錠処理は、ドア140が、電気錠131と電気錠132とによって施錠されている状態において、タグリーダが起動されて、タグリーダ110の動作モードが通常モードに設定されることで開始される。
解錠処理が開始されると、タグリーダ110は、タイマ215を初期化して(ステップS500)時間の計測を開始し、LF帯送信回路210から外部にLF帯の質問信号を送信する(ステップS510)。
【0049】
質問信号を送信すると、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T1(例えば360ms)の経過を上限として、送信した質問信号に呼応していずれかのタグから送信される応答信号の受信を待つ(ステップS520)。
タグリーダ110から送信されるLF帯の質問信号の通信距離(例えば1.5m)内にタグが存在する場合には、そのタグはその質問信号を受信して、UHF帯の応答信号を送信する。逆に、タグリーダ110から送信されるLF帯の質問信号の通信距離内にタグが存在しない場合には、UHF帯の応答信号が送信されることはない。
【0050】
ステップS520の処理において、タグリーダ110が応答信号を受信した場合には(ステップS520:Yes)、タグリーダ110は、受信した応答信号に含まれるタグ識別子が、記憶する解錠許可タグ識別子と一致するか否かを調べる(ステップS530)。
ステップS530の処理において、受信した応答信号に含まれるタグ識別子が、解錠許可タグ識別子と一致する場合に(ステップS530:Yes)、タグリーダ110は、電気錠駆動回路216と電気錠駆動回路217とから、それぞれ、電気錠131と電気錠132とに、解錠コマンドを送信する(ステップS540)。すると、電気錠131と電気錠132とのそれぞれは、タグリーダ110から解錠コマンドを受信し、ドア140を解錠する。
【0051】
解錠コマンドを送信すると、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T2(例えば30s:T2>T1)経過するまで待機する(ステップS550)。
タイマ215の初期化後所定時間T2経過すると、タグリーダ110は、電気錠駆動回路216と電気錠駆動回路217とから、それぞれ、電気錠131と電気錠132とに、施錠コマンドを送信する(ステップS560)。すると、電気錠131と電気錠132とのそれぞれは、タグリーダ110から施錠コマンドを受信し、ドア140を施錠する。
【0052】
ステップS530の処理において、受信した応答信号に含まれるタグ識別子が、解錠許可タグ識別子と一致しない場合に(ステップS530:No)、再びステップS520の処理に戻って、ステップS520以下の処理を続ける。
ステップS520の処理において、タグリーダ110が応答信号を受信なかった場合(ステップS520:No)、又はステップS560の処理が終わった場合には、再びステップS500の処理に戻って、ステップS500以下の処理を行う。
【0053】
図6は、電気錠システム100の行う解錠処理における、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との具体的動作例を模式的に示した模式図である。
以下、図6を用いて、電気錠システム100の行う解錠処理について、説明を補足する。
(1)タグリーダ110から送信されるLF帯の質問信号の通信距離内に、タグリーダ110の記憶する解錠許可タグ識別子と一致するタグ識別子を記憶するタグAが存在する場合の例(時刻t0〜時刻t1の期間)。
【0054】
時刻t0に、タグリーダ110は、タイマ215を初期化して(ステップS500)時間の計測を開始し、LF帯送信回路210から外部にLF帯の質問信号を送信する(ステップS510)。
タグリーダ110から送信されるLF帯の質問信号の通信距離内にタグAが存在するため、タグAは、その質問信号を受信して、例えば10ms以内に、UHF帯の応答信号を送信する。
【0055】
すると、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T1以内にそのUHF帯の応答信号を受信することとなる(ステップS520:Yes)。そして、受信した応答信号に含まれるタグ識別子が、記憶する解錠許可タグ識別子と一致するため(ステップS530:Yes)、タグリーダ110は、電気錠131と電気錠132とに、解錠コマンドを送信する(ステップS540)。すると、電気錠131と電気錠132とのそれぞれは、ドア140を解錠する。
【0056】
その後、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T2経過するまで待って(ステップS550)、電気錠131と電気錠132とに、施錠コマンドを送信する(ステップS560)。すると、電気錠131と電気錠132とのそれぞれは、ドア140を施錠する。
(2)タグリーダ110から送信されるLF帯の質問信号の通信距離内に、タグリーダ110の記憶する解錠許可タグ識別子と一致するタグ識別子を記憶するタグが存在しない場合の例(時刻t2〜時刻t3の期間)。
【0057】
時刻t2に、タグリーダ110は、タイマ215を初期化して(ステップS500)時間の計測を開始し、LF帯送信回路210から外部にLF帯の質問信号を送信する(ステップS510)。
タグリーダ110から送信されるLF帯の質問信号の通信距離内にタグが存在しないため、タイマ215の初期化後所定時間T1以内に、タグからUHF帯の応答信号が送信されることはない。
【0058】
従って、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T1以内に、タグからUHF帯の応答信号を受信しない(ステップS520:No)こととなるため、電気錠131と電気錠132とに、解錠コマンドを送信しない。よって、ドア140は解錠されない。
<登録処理>
登録処理は、タグリーダ110が、照合用タグ識別子として記憶させたいタグ識別子を記憶しているタグから、そのタグ識別子を読み取って、照合用タグ識別子として記憶するという処理である。
【0059】
図7は、登録処理のフローチャートである。
登録処理は、タグリーダ110の動作モードが通常モードである期間中に、操作スイッチ212が押下操作されることで開始される。
登録処理が開始されると、タグリーダ110は、動作モードを登録モードに変更する(ステップS700)。そして、タグリーダ110は、自機が登録モードである旨を示すためにLED213を点灯し、タイマ215を初期化して(ステップS710)時間の計測を開始し、LF帯送信回路210から外部にLF帯の登録許可信号を送信する(ステップS720)。
【0060】
登録許可信号を送信すると、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T3(例えば30s)の経過を上限として、送信した登録許可信号に呼応していずれかのタグから送信される登録要求信号の受信を待つ(ステップS730)。
タグリーダ110から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内にタグが存在する場合には、そのタグはその登録許可信号を受信する。そして、登録許可信号を受信したタグにおいてボタン312が押下された場合に、そのタグは、UHF帯の登録要求信号を送信する。
【0061】
タグリーダ110から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内にタグが存在しない場合、又は、登録許可信号を受信したタグにおいてタイマ215の初期化後所定時間T3以内にボタン312が押下されなかった場合には、UHF帯の登録要求信号が送信されることはない。
なお、所有するタグのタグ識別子を、照合用タグ識別子としてタグリーダ110に記憶させようと意図するユーザは、そのタグからタグリーダ110へ登録要求信号を送信させるために、次の3つの操作を行う必要がある。
【0062】
すなわち、(1)まず、タグリーダ110の操作スイッチ212を押下操作する。(2)そのタグ識別子を有するタグを、タグリーダ110の近傍(例えば1.5m以内の範囲)に近接させる。(3)さらに、タグリーダ110の操作スイッチ212を押下操作してから所定時間T3以内に、そのタグのボタン312を押下する。
ステップS730の処理において、タイマ215の初期化後所定時間T3以内に登録要求信号を受信した場合に(ステップS730:Yes)、タグリーダ110は、受信した登録要求信号に登録要求フラグが含まれているか否かを調べる(ステップS740)。
【0063】
ステップS740の処理において、受信した登録要求信号に登録要求フラグが含まれている場合に(ステップS740:Yes)、タグリーダ110は、受信した登録要求信号に含まれているタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する(ステップS750)。
ステップS740の処理において、受信した登録要求信号に登録要求フラグが含まれていない場合(ステップS740:No)、又は、ステップS750の処理が終了した場合に、タグリーダ110は、タイマ215の初期化後所定時間T3内であるか否かを調べる(ステップS760)。
【0064】
ステップS760の処理において、タイマ215の初期化後所定時間T3内である場合に(ステップS760:Yes)、再びステップS730の処理に戻って、ステップS730以下の処理を行う。
ステップS730の処理において、タイマ215の初期化後所定時間T3以内に登録要求信号を受信しなかった場合(ステップS730:No)、又は、ステップS760の処理において、タイマ215の初期化後所定時間T3内でない場合に(ステップS760:No)、タグリーダ110は、LED213を消灯し(ステップS770)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS780)。
【0065】
ステップS780の処理が終わると、電気錠システム100は、その登録処理を終了する。
図8は、電気錠システム100の行う登録処理における、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との具体的動作例を模式的に示した模式図である。
以下、図8を用いて、電気錠システム100の行う登録処理について、説明を補足する。
【0066】
(1)タグリーダ110から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内に存在するタグが登録許可信号を受信し、例えば10s後にそのタグのボタン312が押下された場合の例(時刻t4〜時刻t5の期間)。
時刻t4に、通常モードのタグリーダ110の操作スイッチ212が押下操作されると、タグリーダ110は、動作モードを登録モードに変更する(ステップS700)。そして、タグリーダ110は、LED213を点灯し、タイマ215を初期化して(ステップS710)時間の計測を開始し、LF帯送信回路210から外部にLF帯の登録許可信号を送信する(ステップS720)。
【0067】
タグリーダ110から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内にタグAが存在するため、タグAはその登録許可信号を受信する。その10s後にタグAは、ボタン312が押下され、UHF帯の登録要求信号を送信する。
すると、タグリーダ110は、所定時間T3以内にそのUHF帯の登録要求信号を受信することとなる(ステップS730:Yes)。そして、受信した登録要求信号に登録要求フラグが含まれているため(ステップS740:Yes)、タグリーダ110は、受信した登録要求信号に含まれるタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する(ステップS750)。
【0068】
その後、タグリーダ110は、所定時間T3経過するまでに、新たな登録要求信号を受信しない(ステップS760:Yes〜ステップS730:No)。そのため、タグリーダ110は、LED213を消灯し(ステップS770)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS780)。
(2)タグリーダ110から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内に存在するタグが登録許可信号を受信するが、そのタグのボタン312が押下されない場合の例(時刻t6〜時刻t7)。
【0069】
時刻t4に、通常モードのタグリーダ110の操作スイッチ212が押下操作されると、タグリーダ110は、動作モードを登録モードに変更する(ステップS700)。そして、タグリーダ110は、LED213を点灯し、タイマ215を初期化して(ステップS710)時間の計測を開始し、LF帯送信回路210から外部にLF帯の登録許可信号を送信する(ステップS720)。
【0070】
タグリーダ110から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内にタグAが存在するため、タグAはその登録許可信号を受信する。しかし、タグAは、ボタン312が押下されないため、UHF帯の登録要求信号を送信しない。
タグリーダ110は、所定時間T3以内にUHF帯の登録要求信号を受信しない(ステップS730:No)ため、タグ識別子を照合用タグ識別子として記憶しない。
【0071】
そして、タグリーダ110は、LED213を消灯し(ステップS770)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS780)。
<考察>
電気錠システム100によると、タグリーダ110は、登録モード期間中において、タグ識別子と登録要求フラグとを含む登録要求信号を受信した場合に限って、そのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶する。
【0072】
そして、登録モード期間中のタグリーダ110が、意図しないタグからタグ識別子を含む信号を受信することとなったとしても、その信号が登録要求フラグを含む登録要求信号でない限り、タグリーダ110は、そのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶しない。
従って、タグリーダ110が、意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性は、従来の電気錠システムよりも低減される。
<実施の形態2>
<概要>
以下、本発明に係る電気錠システムの一例として、実施の形態1に係る電気錠システム100の一部を変形した第1変形電気錠システムについて説明する。
【0073】
実施の形態2に係る第1変形電気錠システムは、そのハードウエア構成が、実施の形態1に係る電気錠システム100と同様のものとなっているが、実行されるソフトウエアの一部が、実施の形態1に係る電気錠システム100から変形されている。
実施の形態1に係る電気錠システム100は、タグの送信する応答信号420と登録許可信号430とが、通信対象とするタグリーダのタグリーダ識別子を含まない構成の例であった。これに対して、実施の形態2に係る第1変形電気錠システムは、タグの送信する応答信号と登録許可信号とが、通信対象とするタグリーダのタグリーダ識別子を含む構成の例である。
【0074】
以下、本実施の形態2に係る第1変形電気錠システムの構成について、実施の形態1に係る電気錠システム100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
<構成>
第1変形電気錠システムは、実施の形態1に係る電気錠システム100と同様のハードウエア構成となっている。よって、ここでは説明を省略する。また、以下では、第1変形電気錠システムのハードウエアを構成する構成要素に係る説明は、実施の形態1に係る電気錠システム100のハードウエアを構成する各構成要素と同じ符号を用いて行う。
【0075】
<通信信号>
図9は、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との通信に使用される通信信号の構成を示す図である。
同図に示されるように、タグリーダ110とタグ121〜タグ123との通信に使用される通信信号には、質問信号910と応答信号920と登録許可信号930と登録要求信号940とがある。
【0076】
これらのうち、質問信号910と登録許可信号930とのそれぞれは、実施の形態1に係る質問信号410と登録許可信号430とのそれぞれと同じものである。よって、ここでは説明を省略する。
応答信号920は、実施の形態1に係る応答信号420(図4参照)に対して、タグリーダ識別子950が追加されるように変形されたものである。
【0077】
タグリーダ識別子950は、応答信号920を送信するタグが、応答信号920の送信に先立って受信した質問信号に含まれるタグリーダ識別子である。
登録要求信号940は、実施の形態1に係る登録要求信号440に対して、タグリーダ識別子960が追加されるように変形されたものである。
タグリーダ識別子960は、登録要求信号940を送信するタグが、登録要求信号940の送信に先立って受信した登録許可信号に含まれるタグリーダ識別子である。
【0078】
<動作>
第1変形電気錠システムは、実施の形態1に係る電気錠システム100の行う解錠処理から一部の処理が変形された変形解錠処理と、電気錠システム100の行う登録処理から一部の処理が変形された第1変形登録処理とを行う。
以下、図面を参照しながら、変形解錠処理と第1変形登録処理とについて説明する。
【0079】
<変形解錠処理>
変形解錠処理は、実施の形態1に係る解錠処理と同様に、タグリーダ110がタグ121〜タグ123のいずれかからタグ識別子を読み取って、読み取ったタグ識別子が記憶する照合用タグ識別子に一致する場合に、ドア140を解錠状態にするという処理である。
図10は、変形解錠処理のフローチャートである。
【0080】
変形解錠処理は、実施の形態1に係る解錠処理に、ステップS1035の処理(後述)が追加されたものとなっている。
ステップS1000〜ステップS1030の処理は、実施の形態1に係る解錠処理におけるステップS500〜ステップS530の処理(図5参照)と同等の処理である。そして、ステップS1040〜ステップS1060の処理は、実施の形態1に係る解錠処理におけるステップS540〜ステップS560の処理と同等の処理である。よって、ここではこれらの処理についての説明を省略する。
【0081】
変形解錠処理は、ステップS1030の処理とステップS1040の処理との間に、以下のステップS1035の処理が挿入されている。
ステップS1030の処理において、受信した応答信号に含まれるタグ識別子が、解錠許可タグ識別子と一致する場合(ステップS1030:Yes)に、タグリーダ110は、受信した応答信号に含まれるタグリーダ識別子が、自装置の記憶するタグリーダ識別子と一致するか否かを調べる(ステップS1035)。
【0082】
ステップS1035の処理において、自装置の記憶するタグリーダ識別子と一致する場合に(ステップS1035:Yes)、ステップS1040の処理を開始する。
ステップS1035の処理において、自装置の記憶するタグリーダ識別子と一致しない場合に(ステップS1035:No)、再びステップS1020の処理に戻って、ステップS1020以下の処理を続ける。
【0083】
<第1変形登録処理>
第1変形登録処理は、実施の形態1係る登録処理と同様に、タグリーダ110が、照合用タグ識別子として記憶させたいタグ識別子を記憶しているタグから、そのタグ識別子を読み取って、照合用タグ識別子として記憶するという処理である。
図11は、第1変形登録処理のフローチャートである。
【0084】
第1変形登録処理は、実施の形態1に係る登録処理に、ステップS1135の処理(後述)が追加されたものとなっている。
ステップS1100〜ステップS1130の処理は、実施の形態1に係る登録処理におけるステップS700〜ステップS730の処理(図7参照)と同等の処理である。そして、ステップS1140〜ステップS1180の処理は、実施の形態1に係る登録処理におけるステップS740〜ステップS780の処理と同等の処理である。よって、ここではこれらの処理についての説明を省略する。
【0085】
第1変形登録処理は、ステップS1130の処理とステップS1140の処理との間に、以下のステップS1135の処理が挿入されている。
ステップS1130の処理において、タイマ215の初期化後所定時間T3以内に登録要求信号を受信した場合に(ステップS1130:Yes)、タグリーダ110は、受信した登録要求信号に含まれるタグリーダ識別子が、自装置の記憶するタグリーダ識別子と一致するか否かを調べる(ステップS1135)。
【0086】
ステップS1135の処理において、自装置の記憶するタグリーダ識別子と一致する場合に(ステップS1135:Yes)、ステップS1140の処理を開始する。
ステップS1135の処理において、自装置の記憶するタグリーダ識別子と一致しない場合に(ステップS1135:No)、ステップS1160の処理を開始する。
<実施の形態3>
<概要>
以下、本発明に係る電気錠システムの一例として、実施の形態1に係る電気錠システム100の一部を変形した第2変形電気錠システムについて説明する。
【0087】
実施の形態3に係る第2変形電気錠システムは、そのハードウエア構成の一部が、実施の形態1に係る電気錠システム100から変形され、また、実行されるソフトウエアの一部が、実施の形態1に係る電気錠システム100から変形されている。
実施の形態1に係る電気錠システム100は、タグの送信する登録要求信号がUHF帯の信号となる構成の例であった。これに対して、実施の形態3に係る第2変形電気錠システムは、タグの送信する登録要求信号が、送信に先立って受信したLF帯の登録許可信号の電磁エネルギーを利用して生成されるLF帯の信号となる構成の例である。
【0088】
以下、本実施の形態3に係る第2変形電気錠システムの構成について、実施の形態1に係る電気錠システム100との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
<構成>
第2変形電気錠システムは、実施の形態1に係る電気錠システム100から、タグリーダ110がタグリーダ1210に変形され、タグ121〜タグ123が、それぞれ、タグ1321〜タグ1323に変形されている。
【0089】
図12は、タグリーダ1210の主要な回路構成を示す回路図である。
同図に示されるように、タグリーダ1210は、実施の形態1に係るタグリーダ110(図2参照)から、LF帯送信回路210がLF帯送受信回路1211に変形されたものである。
LF帯送受信回路1211は、タグリーダ110の有する2つの機能に加えて、さらに以下の2つの機能を有する。
【0090】
機能3:LF帯アンテナ221を用いて、LF帯の信号を受信する機能。
機能4:受信したLF帯の信号を復調して、CPU200へ送る機能。
また、メモリ214に記憶されている、CPU200が実行するプログラムのうち、一部が変形されている。そして、タグリーダ1210は、タグリーダ110の有する、通常モード設定機能、質問信号送信機能、モード変更機能、解錠機能に加えて、さらに、照合用タグ識別子記憶機能の一部の機能が変形された、以下の変形照合用タグ識別子記憶機能を有する。
【0091】
変形照合用タグ識別機能:登録モード期間中に、タグから、タグ識別子を含むLF帯のLF登録要求信号(後述)を受信した場合に限って、そのタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する機能。
タグ1321〜タグ1323のそれぞれは、互いに同等の構成であって、互いに同等の機能を有するものである。よって、ここでは、タグ1321を用いてタグの説明を行う。
【0092】
図13はタグ1321の主要な回路構成を示す回路図である。
同図に示されるように、タグ1321は、実施の形態1に係るタグ121(図3参照)から、LF帯送信回路1310と起電回路1320とが追加されるように変形されたものである。
起電回路1320は、LF帯受信回路310とLF帯送信回路1310とに接続され、以下の機能を有する。
【0093】
機能:LF帯受信回路310が、LF帯アンテナ321を用いてLF帯の信号を受信した場合に、受信したLF帯の信号の電磁エネルギーを利用して電力を起こし、起こした電力をLF帯送信回路1310に供給する機能。
LF帯送信回路1310は、CPU300と起電回路1320とLF帯アンテナ321とに接続され、起電回路1320から供給される電力で動作し、CPU300によって制御され、以下の2つの機能を有する。
【0094】
機能1:CPU300から送られてくる信号を、LF帯の信号に変調する機能。
機能2:変調したLF帯の信号を、LF帯アンテナ321を用いて外部に出力する機能。
ここで、LF帯送信回路1310が送信するLF帯の信号は、LF帯送信回路1310が、起電回路1320によって起こされた、比較的少ない電力によって動作するため、その通信可能距離が2cm程度という比較的短い距離になっている。
【0095】
また、メモリ314に記憶されている、CPU300が実行するプログラムのうち、一部が変形されている。そして、タグ1321は、実施の形態1に係るタグ121から、その機能の一部が変形され、通常モードと登録モードとを有し、以下の3つの機能を有する。
変形応答信号送信機能:通常モード期間中に、タグリーダ1210からLF帯の質問信号を受信すると、質問信号を受信してから所定時間(例えば10ms)以内に、UHF帯の応答信号を外部に出力する機能。
【0096】
モード変換機能:通常モード期間中に、ユーザからボタン312に所定の操作(例えばボタン312のダブルクリック操作)を受けると、所定時間T4(例えば60s)に限って、動作モードを登録モードとする機能。
変形登録要求機能:登録モード期間中に、タグリーダ1210からLF帯のLF登録許可信号を受信した場合にLF帯のLF登録要求信号を外部に出力する機能。
【0097】
<通信信号>
図14は、タグリーダ1210とタグ1321〜タグ1323との通信に利用される通信信号の構成を示す図である。
同図に示されるように、タグリーダ1210とタグ1321〜タグ1323との通信に利用される通信信号には、質問信号1410と応答信号1420と登録許可信号1430とLF登録要求信号1440とがある。
【0098】
これらのうち、質問信号1410と応答信号1420とのそれぞれは、実施の形態1に係る質問信号410と応答信号420とのそれぞれと同じものである。よってここでは説明を省略する。
登録許可信号1430は、実施の形態1に係る登録許可信号430(図4参照)に対して、登録許可フラグ433が削除されるように変形されたものである。
【0099】
LF登録要求信号1440は、実施の形態1に係る登録要求信号440に対して、登録要求フラグ443が削除されるように変形され、さらに、搬送波の周波数帯が、UHF帯からLF帯へと変形されたものである。
なお、LF帯送信回路1310の送信強度とLF帯送受信回路1211の受信感度とは、LF登録要求信号1440を用いて行う通信可能距離が2cm程度となるように、予め設定されている。
【0100】
<動作>
第2変形電気錠システムは、実施の形態1に係る電気錠システム100の行う解錠処理と同様の処理と、電気錠システム100の行う登録処理から一部の処理が変形された第2変形登録処理とを行う。
以下、図面を参照しながら、第2変形登録処理について説明する。
【0101】
<第2変形登録処理>
第2変形登録処理は、実施の形態1係る登録処理と同様に、タグリーダ1210がタグ1321〜タグ1323のいずれかからタグ識別子を読み取って、読み取ったタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶するという処理である。
図15は、第2変形登録処理のフローチャートである。
【0102】
第2変形登録処理は、タグリーダ1210の動作モードが通常モードである期間中に、操作スイッチ212が押下操作されることで開始される。
登録処理が開始されると、タグリーダ1210は、動作モードを登録モードに変更する(ステップS1500)。そして、タグリーダ1210は、自機が登録モードである旨を示すためにLED213を点灯し、タイマ215を初期化して、所定時間T5(例えば30s)の時間の計測を開始する(ステップS1510)。さらに、タグリーダ1210は、新たに所定時間T6(例えば50ms)の時間の計測を開始する(ステップS1520)。
【0103】
ステップS1520の処理が終わると、タグリーダ1210は、LF帯送信回路210から外部にLF帯の登録許可信号を送信する(ステップS1530)。
登録許可信号を送信すると、タグリーダ1210は、新たな所定時間T6の計測開始後所定時間T6の経過を上限として、送信した登録許可信号に呼応していずれかのタグから送信されるLF登録要求信号の受信を待つ(ステップS1540)。
【0104】
タグリーダ1210から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離(例えば1.5m)内に登録モードのタグが存在する場合には、そのタグはその登録許可信号を受信して、LF帯のLF登録要求信号を送信する。
ここで、LF登録要求信号は、起電回路1320で起こされる電力によって動作するLF帯送信回路1310によって送信される。このため、その通信距離が2cm程度となっている。従って、タグリーダ1210は、タグリーダ1210の近傍(約2cm以内)にかざされているタグから送信されるLF登録要求信号に限って受信する。
【0105】
タグリーダ1210から送信されるLF帯の登録許可信号の通信距離内に登録モードのタグが存在しない場合、又は、登録許可信号を受信したタグがタグリーダ1210の近傍(約2cm以内)にかざされていない場合には、タグリーダ1210は、タグからのLF登録要求信号を受信しない。
なお、所有するタグのタグ識別子を、照合用タグ識別子としてタグリーダ1210に記憶させようと意図するユーザは、そのタグから送信されるLF登録要求信号を、タグリーダ1210に受信させるために、次の3つの操作を行う必要がある。
【0106】
すなわち、(1)所有するタグのボタン312をダブルクリック操作する。(2)タグリーダ1210の操作スイッチ212を押下操作する。(3)ボタン312のダブルクリック操から所定時間T4以内、かつ、タグのボタン312をダブルクリック操作してから所定時間T5以内に、タグをタグリーダ1210の近傍(約2cm以内)にかざす。
ステップS1540の処理において、新たな所定時間T6の計測開始後所定時間T6以内にLF登録要求信号を受信した場合(ステップS1540:Yes)に、そのLF登録要求信号に含まれるタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する(ステップS1550)。
【0107】
ステップS1540の処理において、新たな所定時間T6の計測開始後所定時間T6以内にLF登録要求信号を受信しなかった場合(ステップS1540:No)、又は、ステップS1550の処理が終了した場合に、タグリーダ1210は、所定時間T5計測開始後所定時間T5内であるか否かを調べる(ステップS1560)。
ステップS1560の処理において、所定時間T5計測開始後所定時間T5内である場合に(ステップS1560:Yes)、再びステップS730の処理に戻って、ステップS730以下の処理を行う。
【0108】
ステップS1560の処理において、所定時間T5計測開始後所定時間T5内でない場合に(ステップS1560:No)、タグリーダ1210は、LED213を消灯し(ステップS1570)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS1580)。
ステップS1580の処理が終わると、第2変形電気錠システムは、その第2変形登録処理を終了する。
【0109】
図16は、第2変形電気錠システムの行う第2変形登録処理における、タグリーダ1210とタグ1321〜タグ1323との具体的動作例を模式的に示した模式図である。
以下、図16を用いて、第2変形電気錠システムの行う第2変形登録処理について、説明を補足する。
(1)タグリーダ1210が操作スイッチ212の押下操作をなされてから所定時間T5以内に、登録モードのタグが、タグリーダ1210にかざされた場合の例(時刻t8〜時刻t9の期間)。
【0110】
時刻t8に、通常モードのタグリーダ1210の操作スイッチ212が押下操作されると、タグリーダ1210は、動作モードを登録モードに変更する(ステップS1500)。そして、タグリーダ1210は、LED213を点灯し、所定時間T5の時間の計測を開始する(ステップS1510)。その後、タグリーダ1210は、所定時間T6毎に繰り返し登録許可信号を送信する(ステップS1520〜ステップS1540:No〜ステップS1560:Yesを繰り返す)。
【0111】
タグリーダ1210が繰り返し登録許可信号を送信している間に、登録モードのタグが、タグリーダ1210にかざされるので、タグリーダ1210は、そのタグから送信されるLF登録要求信号を受信し(ステップS1540:Yes)する。そしてタグリーダは、そのLF登録要求信号に含まれるタグ識別子を、照合用タグ識別子として記憶する(ステップS1550)。
【0112】
その後、タグリーダ1210は、所定時間T5経過すると(ステップS1560:No)、LED213を消灯し(ステップS1570)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS1580)。
(2)タグリーダ1210が操作スイッチ212の押下操作をなされてから所定時間T5以内に、登録モードのタグが、タグリーダ1210にかざされなかった場合の例(時刻t10〜時刻t11の期間)。
【0113】
時刻t10に、通常モードのタグリーダ1210の操作スイッチ212が押下操作されると、タグリーダ1210は、動作モードを登録モードに変更する(ステップS1500)。そして、タグリーダ1210は、LED213を点灯し、所定時間T5の時間の計測を開始する(ステップS1510)。その後、タグリーダ1210は、所定時間T6毎に繰り返し登録許可信号を送信する(ステップS1520〜ステップS1540:No〜ステップS1560:Yesを繰り返す)。
【0114】
タグリーダ1210が繰り返し登録許可信号を送信している間に、登録モードのタグが、タグリーダ1210にかざされることがないため、タグリーダ1210は、LF登録要求信号を受信することがない。
タグリーダは、所定時間T5経過すると(ステップS1560:No)、照合用タグ識別子を記憶することなく、LED213を消灯し(ステップS1570)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS1580)。
【0115】
<考察>
第2変形電気錠システムによると、タグリーダ1210は、タグから送信される登録要求信号の受信を、ユーザが、タグ識別子を記憶させようと意図してタグリーダにかざしたタグからの登録要求信号に限って行うこととなる。
従って、タグリーダ1210が、意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性は、従来の電気錠システムよりも低減される。
<補足>
以下、本発明に係る電気錠システムの一実施形態として、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3において、3つの電気錠システムの例について説明したが、以下のように変形することも可能である。本発明は上述した実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3で示した通りの電気錠システムに限られないことはもちろんである。
(1)実施の形態1において、電気錠システム100は、質問信号410と登録許可信号430とがLF帯の信号である構成の例であったが、無線信号であれば、必ずしもLF帯の信号に限られる必要はない。
【0116】
但し、これらの信号がLF帯の信号であることで、これらの信号の通信可能距離の絞り込みを比較的容易に実現することができる。
また、実施の形態1において、電気錠システム100は、応答信号420と登録要求信号440とがUHF帯の信号である構成の例であったが、無線信号であれば、必ずしもUHF帯の信号に限られる必要はない。
【0117】
ただし、これらの信号がUHF帯の信号であることで、送信回路、受信回路、アンテナ等を、比較的容易に実現することができる。
(2)実施の形態1において、登録許可フラグ433は、登録許可信号である旨を示す、例えば、0b1となる1ビットの信号となる構成の例であった。しかしながら、登録許可信号である旨を示す信号であれば、必ずしも1ビットの信号に限られる必要はなく、例えば、予め定められた複数ビットからなる信号であっても構わない。
(3)実施の形態1において、登録要求フラグ443は、登録要求信号である旨を示す、例えば、0b1となる1ビットの信号となる構成の例であった。しかしながら、登録要求信号である旨を示す信号であれば、必ずしも1ビットの信号に限られる必要はなく、例えば、予め定められた複数ビットからなる信号であっても構わない。
(4)さらに、実施の形態1において、登録許可フラグ433が、登録許可信号が送信される毎に値がランダムに設定されるビット列であり、登録要求フラグ443が、登録要求信号の送信に先立って受信された登録要求信号に含まれていた登録許可フラグに一致するビット列であるとしても構わない。
【0118】
このような構成とすることで、もし、タグリーダが複数存在したとしても、タグリーダのそれぞれは、タグから登録要求信号を受信したときに、自装置から送信した登録要求信号に対して応答された登録許可信号であるか否かを区別することができるようになる。
(5)実施の形態3において、起電回路1320は、起こした電力をLF帯送信回路1310に供給する構成の例であった。しかしながら、起こした電力を少なくともLF帯送信回路1310に供給することができれば、電力の供給先はLF帯送信回路1310に限られる必要はない。例えば、電力の供給先が、LF帯送信回路1310とCPU300とメモリ314となる構成の例等が考えられる。そして、このような構成においては、LF帯送信回路1310から電力が供給されることとなる回路は、電池330から電力は供給されないこととなる。
(6)実施の形態1において、タグリーダ110は、ユーザからの操作を電気信号に変換する操作スイッチ212を備える構成の例であった。しかしながら、操作スイッチ212は、ユーザからの操作を電気信号に変換する機能があれば、必ずしもスイッチというインターフェースに限られる必要はなく、例えば、タッチパッド等であっても構わない。
【0119】
また、実施の形態1において、タグ121は、ユーザからの操作を電気信号に変換するボタン312を備える構成の例であった。しかしながら、ボタン312は、ユーザからの操作を電気信号に変換する機能があれば、必ずしもボタンというインターフェースに限られる必要はなく、例えば、タッチパッド等であっても構わない。
(7)以下、さらに本発明の一実施形態に係る電気錠システムの構成及びその変形例と各効果について説明する。
【0120】
(a)本発明の一実施形態に係る電気錠システムは、1以上のタグと、タグリーダと、照合用情報を用いた照合により解錠される電気錠とからなる電気錠システムであって、前記タグリーダは、タグ識別子と登録要求情報とを含む登録要求信号を前記タグから受信した場合に限って、当該タグ識別子を、前記照合用情報として記憶することを特徴とする。
上述の構成を備える本実施の形態に係る電気錠システムによれば、タグリーダは、タグからタグ識別子を含む信号を受信した場合であっても、その信号が、登録情報を含む登録要求信号でなければ、その信号に含まれるタグ識別子を照合用情報として記憶しない。
【0121】
従って、タグリーダにタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶させようと意図するタグに限って登録要求信号を送信させることで、タグリーダが意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性を、従来よりも低減することができる。
(b)また、前記タグリーダは、さらに、自機が登録モードである登録モード期間中に、登録許可情報を含むLF帯の登録許可信号を送信し、登録要求信号は、UHF帯の信号であり、前記タグは、前記タグリーダから送信された登録許可信号を受信した場合に限って登録要求信号を送信し、前記タグリーダは、前記記憶を、登録要求信号の受信が、前記登録モード期間中になされた場合に限って行うことを特徴とするとしてもよい。
【0122】
このような構成にすることによって、登録モード期間中のタグリーダから送信されるLF帯の信号を受信する範囲内に存在するタグのみが、登録要求信号を送信することとなる。
従って、タグリーダが意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性を、さらに低減することができる。
【0123】
(c)また、前記タグリーダは、ユーザからの所定の操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が、前記所定の操作を受け付けた場合に、当該所定の操作を受け付けた時点から所定の期間、前記タグリーダを前記登録モードにするモード変更部とを有し、前記登録許可信号の送信を、前記モード変更部によって前記登録モードにされた場合に行うことを特徴とするとしてもよい。
【0124】
このような構成にすることによって、タグリーダは、ユーザが意図する期間に限って登録モードとなる。
従って、タグリーダが意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性を、さらに低減することができる。
(d)また、前記タグは、ユーザからの押下操作を受け付けるタグボタンを有し、前記登録要求信号の送信を、前記タグリーダから送信された登録許可信号を受信した後に、前記タグボタンによって前記押下操作が受け付けられた場合に限って行うことを特徴とするとしてもよい。
【0125】
このような構成にすることによって、タグは、登録許可信号を受信した場合であっても、ユーザが意図するときに限って登録要求信号を送信する。
従って、タグリーダが意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性を、さらに低減することができる。
(e)また、前記タグは、前記登録要求信号の送信を、前記登録要求情報として、前記タグリーダから送信された登録許可信号に含まれる登録許可情報を用いて行うことを特徴とするとしてもよい。
【0126】
このような構成にすることによって、タグリーダは、タグから受信する登録許可信号に含まれる登録要求情報を、自装置が送信する登録許可信号に含ませる登録許可情報とすることとなる。
従って、もし、タグリーダが複数存在する場合であっても、タグリーダのそれぞれは、タグから登録要求信号を受信したときに、自装置から送信した登録要求信号に対して応答された登録許可信号であるか否かを区別することができるようになる。
【0127】
(f)本発明の一実施形態に係る電気錠システムは、1以上のタグと、タグリーダと、照合用情報を用いた照合により解錠される電気錠とからなる電気錠システムであって、前記タグリーダは、自機が登録モードとなる登録モード期間中に、登録許可情報を含むLF帯の登録許可信号を送信し、前記タグは、前記タグリーダから、登録許可信号を受信した場合に、当該受信によって得られた電磁エネルギーを利用して、自機のタグ識別子を含むLF帯の登録要求信号を送信し、前記タグリーダは、登録要求信号をタグから受信した場合に、当該登録要求信号に含まれるタグ識別子を、前記照合用情報として記憶することを特徴とする。
【0128】
上述の構成を備える本実施の形態に係る電気錠システムによれば、タグが送信する登録要求信号の伝播範囲は、比較的短く(数cm程度)なる。
従って、タグリーダは、タグから送信される登録要求信号の受信を、ユーザが、タグ識別子を記憶させようと意図してタグリーダにかざしたタグからの登録要求信号に限って行うこととなる。このことによって、タグリーダが意図しないタグのタグ識別子を照合用タグ識別子として記憶してしまう可能性は、従来よりも低減される。
【符号の説明】
【0129】
100 電気錠システム
110 タグリーダ
121〜123 タグ
131、132 電気錠
140 ドア
200 CPU
210 LF帯送信回路
211 UHF帯受信回路
212 操作スイッチ
213 LED
214 メモリ
215 タイマ
216〜217 電気錠駆動回路
221 LF帯アンテナ
222 UHF帯アンテナ
230 電池
241、251 モータ
242、252 錠
243、253 施解錠センサ
300 CPU
310 LF帯受信回路
311 UHF帯送信回路
312 ボタン
313 LED
314 メモリ
321 LF帯アンテナ
322 UHF帯アンテナ
330 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のタグと、タグリーダと、照合用情報を用いた照合により解錠される電気錠とからなる電気錠システムであって、
前記タグリーダは、タグ識別子と登録要求情報とを含む登録要求信号を前記タグから受信した場合に限って、当該タグ識別子を、前記照合用情報として記憶する
ことを特徴とする電気錠システム。
【請求項2】
前記タグリーダは、さらに、自機が登録モードである登録モード期間中に、登録許可情報を含むLF帯の登録許可信号を送信し、
登録要求信号は、UHF帯の信号であり、
前記タグは、前記タグリーダから送信された登録許可信号を受信した場合に限って登録要求信号を送信し、
前記タグリーダは、前記記憶を、登録要求信号の受信が、前記登録モード期間中になされた場合に限って行う
ことを特徴とする請求項1記載の電気錠システム。
【請求項3】
前記タグリーダは、
ユーザからの所定の操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が、前記所定の操作を受け付けた場合に、当該所定の操作を受け付けた時点から所定の期間、前記タグリーダを前記登録モードにするモード変更部とを有し、
前記登録許可信号の送信を、前記モード変更部によって前記登録モードにされた場合に行う
ことを特徴とする請求項2記載の電気錠システム。
【請求項4】
前記タグは、
ユーザからの押下操作を受け付けるタグボタンを有し、
前記登録要求信号の送信を、前記タグリーダから送信された登録許可信号を受信した後に、前記タグボタンによって前記押下操作が受け付けられた場合に限って行う
ことを特徴とする請求項3記載の電気錠システム。
【請求項5】
前記タグリーダは、前記登録許可信号の送信を、前記登録許可情報として前記登録要求情報を用いて行い、
前記タグは、前記登録要求信号の送信を、前記登録要求情報として、前記タグリーダから送信された登録許可信号に含まれる登録許可情報を用いて行う
ことを特徴とする請求項2記載の電気錠システム。
【請求項6】
1以上のタグと、タグリーダと、照合用情報を用いた照合により解錠される電気錠とからなる電気錠システムであって、
前記タグリーダは、自機が登録モードとなる登録モード期間中に、登録許可情報を含むLF帯の登録許可信号を送信し、
前記タグは、前記タグリーダから、登録許可信号を受信した場合に、当該受信によって得られた電磁エネルギーを利用して、自機のタグ識別子を含むLF帯の登録要求信号を送信し、
前記タグリーダは、登録要求信号をタグから受信した場合に、当該登録要求信号に含まれるタグ識別子を、前記照合用情報として記憶する
ことを特徴とする電気錠システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−44157(P2013−44157A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182587(P2011−182587)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】