説明

電池およびその使用のための電極

本発明は、概して、電池または他の電気化学的デバイスと、これらでの使用のためのシステムおよび材料とに関し、新規電極材料および設計を含む。一部の実施形態では、本発明は、小型電池またはマイクロ電池に関する。例えば、本発明の一側面では、電池は、約5mm以下の体積を有する一方、少なくとも約400Wh/lのエネルギー密度を有し得る。ある場合には、電池は、多孔性電気活性化合物を備える電極を含み得る。一部の実施形態では、多孔性電極の細孔は、液体電解質等の液体によって、少なくとも部分的に充填され得る。電極は、繰り返される充電および放電に耐えることが可能であり得る。ある場合には、電極は、複数の突起および/または壁(存在する場合、突起を囲み得る)を有し得るが、しかしながら、他の場合には、突起または壁がなくてもよい。電極は、単一材料から形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府による資金)
本発明の様々な局面につながる研究は、少なくとも一部は米国国防省による出資を受けた(助成番号6895558)。米国政府は本発明における一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/931,819号(2007年5月25日出願、Chiang、他)の利益を主張する。この仮出願は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、電池または他の電気化学的デバイスと、これらでの使用のためのシステムおよび材料とに関し、新規電極材料および設計を含む。一部の実施形態では、本発明は、小型電池またはマイクロ電池に関する。
【背景技術】
【0004】
ボルタ電池の時代から、電池および他の電気化学的デバイスが、必須構成要素の手作業による組み立てによって加工されてきた。非常に小型かつ高エネルギー密度電源を必要とする分散型自動電子機器の出現だけではなく、より大型の電池における低コストエネルギーおよび電力に対する継続的要求は、電池等のための完全に新しい設計および加工手法の必要性を生み出している。現在のデバイスは、マイクロメートル厚の薄膜電池から、巻装積層膜を基材とする再充電可能リチウム電池、一般的アルカリおよび鉛酸電池内で使用されるマイクロアセンブリまで、長さに幅がある。しかしながら、現在の高エネルギー密度電池(例えば、リチウムイオン電池)の積層構造技術は、現在、その工学技術上の限界に近づきつつあり、非効率的質量および体積の利用がされており、利用可能なデバイス体積のわずか30%乃至40%がイオン貯蔵のために使用されている。電力密度を増加させる、例えば、より薄型の電極を使用することによる試みは、典型的には、エネルギー密度を犠牲にして成り立っている。さらに、動力デバイスのサイズ規模が縮小するにつれ、同等のサイズ規模の分散型高エネルギー密度電源の必要性が高まりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、概して、電池または他の電気化学的デバイスと、これらでの使用のためのシステムおよび材料とに関し、新規電極材料および設計を含む。一部の実施形態では、本発明は、小型電池またはマイクロ電池に関する。本発明の主題は、ある場合には、相関生成物、特定の問題に対する代替解決策、ならびに/あるいは1つ以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面では、本発明は、物品を対象とする。ある一式の実施形態では、物品は、アノード全体と、電解質と、カソード全体とを備え、約5mmまたは約10mm以下の体積および少なくとも約200Wh/lまたは少なくとも約400Wh/lのエネルギー密度を有する、電池を含む。別の一式の実施形態では、物品は、少なくとも約1000Wh/lのエネルギー密度を有する、再充電可能電池を含む。
【0007】
物品は、さらに別の一式の実施形態では、焼結セラミックおよび/またはセラミック複合体から形成され、約50%以下の多孔率を有する電極を含む。ある場合には、電極の細孔の少なくとも一部は、液体、ゲル、固体ポリマー、および/または固体無機化合物である、電解質によって充填される。さらに別の一式の実施形態では、物品は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能である、焼結セラミックおよび/またはセラミック複合体から形成される、電極を含む。
【0008】
ある一式の実施形態では、焼結電極は、100ミクロン乃至2000ミクロンの厚さおよび10乃至70体積%の多孔率、より好ましくは、300ミクロン乃至1000ミクロンの厚さおよび15乃至50体積%の多孔率を有する。
【0009】
さらに別の一式の実施形態では、物品は、焼結セラミックまたはセラミック複合体から形成される電極を含む。電極の化合物または複数の化合物は、ある場合には、約30%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満のセルの充電と放電状態との間のモル体積差を有する場合がある。一部の実施形態では、電極の化合物または複数の化合物は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満のセルの充電と放電状態との間の線形または体積ひずみを有する。一部の実施形態では、電極の化合物は、使用の際、少なくとも一部の組成においてモル体積が増加する少なくとも1つの化合物と、使用の際、少なくとも一部の組成においてモル体積が減少する少なくとも1つの化合物とを含む。一部の実施形態では、電池の充電と放電状態との間の電極の正味の体積の変化は、電池の充電と放電状態との間の正味の正の体積変化を有する少なくとも1つの化合物と、充電と放電状態との間の正味の負の体積変化を有する少なくとも1つの化合物とを組み合わせることによって低減する。
【0010】
ある一式の実施形態では、物品は、焼結セラミックおよび/またはセラミック複合体から形成される電極を含む。電極は、ある場合には、マイクロ加工され得る。一部の実施形態では、セラミックは、リチウム金属酸化物LiMOを備え、ここで、Mは、少なくとも1つの遷移金属またはオリビン型リチウム遷移金属リン酸塩である。一部の実施形態では、焼結セラミックは、LiCoOおよび/またはLiFePOである。別の一式の実施形態では、物品は、多孔性焼結セラミックおよび/またはセラミック複合体から形成されるマイクロ加工電極を含む。さらに別の一式の実施形態では、物品は、焼結セラミックおよび/またはセラミック複合体から形成されるマイクロ加工電極を含み、セラミックは、約20%未満、約10%未満、約3%未満、あるいは約2%未満の線形または体積ひずみ差を有する。
【0011】
物品は、別の一式の実施形態によると、基部と、電極の基部から離れて少なくとも約50マイクロメートル延在する複数の突起とを有し、突起の少なくとも一部は、LiCoOを備え、突起の実質的に全部が、表面およびバルクを有し、バルクの実質的に全部が、約25マイクロメートル以下、表面から離れるように作られる、電極を含む。電極は、非多孔性(高密度)または多孔性であり得る。また、ある場合には、物品は、突起の表面上に配置される非多孔性電解質を含み得る。
【0012】
さらに別の一式の実施形態によると、物品は、基部および基部から延在する複数の突起と基部から延在し複数の突起を囲む壁とを備える電極を含む。ある場合には、突起および壁は、単一材料から形成される。別の一式の実施形態では、物品は、一表面上に、複数の突起と、複数の突起を囲む壁とを備える、電極を含む。ある場合には、電極は、レーザマイクロマシニングを使用して形成可能である。
【0013】
さらに別の一式の実施形態によると、物品は、固体相のみを備える電池を含む。別の一式の実施形態では、物品は、液体電解質を備える電池を含む。別の一式の実施形態では、物品は、固体電解質および液体電解質の両方を備える電池を含む。
【0014】
ある一式の実施形態では、物品は、複数の突起を有する電極を含む。ある場合には、突起は、少なくとも約3:1のアスペクト比と、少なくとも約2:1のピッチとを有する。一実施形態では、電極は、レーザマイクロマシニングを使用して形成される。別の実施形態では、電極は、単一材料から形成される。
【0015】
別の一式の実施形態によると、物品は、リチウム金属電極と、リチウム金属電極と接触する非多孔性電解質と、リチウム金属電極と接触する多孔性焼結電極とを含む。
【0016】
本発明の別の側面は、方法へと導かれる。ある一式の実施形態では、本方法は、単一材料から電極を加工するステップを含む。ある場合には、電極は、一表面上に、複数の突起と、複数の突起を囲む壁と、を備える。
【0017】
別の一式の実施形態では、本方法は、Li金属が湿潤しないLi含有基板を提供するステップと、金属層を基板上に堆積するステップと、Li金属を金属層に添加するステップとを含む。ある場合には、Liは、金属層と反応し、表面を湿潤させる。
【0018】
別の側面では、本発明は、本明細書に記載の実施形態の1つ以上、例えば、小型電池またはマイクロ電池を作製する方法を対象とする。別の側面では、本発明は、本明細書に記載の実施形態の1つ以上、例えば、小型電池またはマイクロ電池を使用する方法を対象とする。
【0019】
本発明の他の利点および新規の特徴は、添付図面を参照して考慮することによって、本発明の種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明白となるであろう。本明細書および参照することによって組み込まれる文書が矛盾および/または非一貫性の開示を含む場合、本明細書が優先されるものとする。参照することによって組み込まれる2つ以上の文書が、互いに矛盾および/非一貫性の開示を含む場合、より最近の発効日を有する文書が優先されるものとする。
【0020】
本発明の非限定的実施形態は、添付図面を参照して、一例として記載されるものであり、添付図面は、概略図であって、一定の比率で描画されることを意図したものではない。図面中、図示される同一または略同一の各構成要素は、典型的には、単一数字で表される。明確にすることを目的とし、当業者が本発明を理解するために図示が必要ではない場合、全図面内において全構成要素が標識されず、また、本発明の各実施形態の全構成要素が示されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態による、突起を有する電極を示す。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態による、突起を有する電極を示す。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施形態による、突起を有する電極を示す。
【図1D】図1Dは、本発明の一実施形態による、突起を有する電極を示す。
【図2A】図2Aは、リブを有する電極を示す、本発明の実施形態の顕微鏡写真である。
【図2B】図2Bは、リブを有する電極を示す、本発明の実施形態の顕微鏡写真である。
【図2C】図2Cは、リブを有する電極を示す、本発明の実施形態の顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による、傾斜突起を示す。
【図4A】図4Aは、傾斜突起を有する、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図4B】図4Bは、傾斜突起を有する、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図4C】図4Cは、傾斜突起を有する、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図5A】図5Aは、本発明の別の実施形態による、壁を有する電極を示す。
【図5B】図5Bは、本発明の別の実施形態による、壁を有する電極を示す。
【図6A】図6Aは、壁を有する電極を示す、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図6B】図6Bは、壁を有する電極を示す、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図6C】図6Cは、壁を有する電極を示す、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図6D】図6Dは、壁を有する電極を示す、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図6E】図6Eは、壁を有する電極を示す、本発明の種々の実施形態の顕微鏡写真である。
【図7A】図7Aは、壁を有する電極を示す、本発明の別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図7B】図7Bは、壁を有する電極を示す、本発明の別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図7C】図7Cは、壁を有する電極を示す、本発明の別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図7D】図7Dは、壁を有する電極を示す、本発明の別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図8A】図8Aは、実質的平面表面を有する電極を示す、本発明のさらに別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図8B】図8Bは、実質的平面表面を有する電極を示す、本発明のさらに別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図9A】図9Aは、いかなる顕著な劣化または亀裂も見られない電極を示す、本発明のさらに別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図9B】図9Bは、いかなる顕著な劣化または亀裂も見られない電極を示す、本発明のさらに別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図9C】図9Cは、いかなる顕著な劣化または亀裂も見られない電極を示す、本発明のさらに別の実施形態の顕微鏡写真である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態の概略図である。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態による、電池を加工する方法の概略図である。
【図12A】図12Aは、コロイド規模の自己組織化を使用して、電極を生成する、本発明の実施形態を示す。
【図12B】図12Bは、コロイド規模の自己組織化を使用して、電極を生成する、本発明の実施形態を示す。
【図12C】図12Cは、コロイド規模の自己組織化を使用して、電極を生成する、本発明の実施形態を示す。
【図12D】図12Dは、コロイド規模の自己組織化を使用して、電極を生成する、本発明の実施形態を示す。
【図13A】図13Aは、本発明のある実施形態による、種々の材料を使用する、電池のエネルギー密度を示す。
【図13B】図13Bは、本発明のある実施形態による、種々の材料を使用する、電池のエネルギー密度を示す。
【図14】図14は、本発明のさらに別の実施形態における、種々の電池の体積の関数としてのエネルギー密度を示す。
【図15A】図15Aは、本発明のさらに別の実施形態による、湿潤酸化物表面上への液体リチウムの堆積を示す。
【図15B】図15Bは、本発明のさらに別の実施形態による、湿潤酸化物表面上への液体リチウムの堆積を示す。
【図16A】図16Aは、本発明のある実施形態によって調製される、多孔性LiCoO電極の電気化学的試験結果を示す。
【図16B】図16Bは、本発明のある実施形態によって調製される、多孔性LiCoO電極の電気化学的試験結果を示す。
【図17A】図17Aは、本発明の一実施形態によって生成される、焼結ドープオリビン型リン酸塩カソードの40サイクルにわたる定電流循環によって測定された比容量を示す。
【図17B】図17Bは、本発明の一実施形態によって生成される、焼結ドープオリビン型リン酸塩カソードの40サイクルにわたる定電流循環によって測定された比容量を示す。
【図18A】図18Aは、本発明の別の実施形態による、多孔性焼結LiCoOカソード上にスパッタされたコンフォーマルなリチウムリン酸窒化物層を示す。
【図18B】図18Bは、本発明の別の実施形態による、多孔性焼結LiCoOカソード上にスパッタされたコンフォーマルなリチウムリン酸窒化物層を示す。
【図19】図19は、本発明のさらに別の実施形態における、リチウムリン酸窒化物の約〜0.5マイクロメートル厚膜によってコンフォーマルにコーティングされる、多孔性焼結LiCoOカソードの定電流試験を示す。
【図20A】図20Aは、本発明のさらに別の実施形態における、電鋳金缶と、銅箔蓋と、を備える、マイクロ電池のパッケージングを示す。
【図20B】図20Bは、本発明のさらに別の実施形態における、電鋳金缶と、銅箔蓋と、を備える、マイクロ電池のパッケージングを示す。
【図21】図21は、本発明の一実施形態において、焼結電極を使用して作製される2つのマイクロ電池の最初の充電曲線を示す。
【図22】図22は、本発明の別の実施形態によって生成される、2つのマイクロ電池の最初の放電曲線を示す。
【図23】図23は、本発明のさらに別の実施形態において生成されるマイクロ電池の最初の4つの放電曲線であって、焼結LiCoOカソードの電圧対比容量を示す。
【図24A】図24A−24Cは、本発明のさらに別の実施形態において、焼結LiCoOカソードを使用して加工されたバイセルと、バイセルを使用した試験結果を示す。
【図24B】図24A−24Cは、本発明のさらに別の実施形態において、焼結LiCoOカソードを使用して加工されたバイセルと、バイセルを使用した試験結果を示す。
【図24C】図24A−24Cは、本発明のさらに別の実施形態において、焼結LiCoOカソードを使用して加工されたバイセルと、バイセルを使用した試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、概して、電池または他の電気化学的デバイスと、これらでの使用のためのシステムおよび材料とに関し、新規電極材料および設計を含む。一部の実施形態では、本発明は、小型電池またはマイクロ電池に関する。例えば、本発明の一側面では、電池は、約5mmまたは約10mm以下の体積を有する一方、少なくとも約200Wh/lのエネルギー密度または少なくとも約400Wh/lのエネルギー密度を有し得る。ある場合には、電池は、ある場合には、粒子成形体の焼結を含むが、それに限定されない、プロセスによって形成され得る、多孔性電気活性化合物、例えば、LiCoOを備える、電極を含み得る。一部の実施形態では、多孔性電極の細孔は、炭酸アルキルおよび/またはLiPF等のリチウム塩を備える液体電解質等の液体、ポリエチレンオキシドおよび/またはリチウム塩を備えるポリマー電解質等のポリマー、ブロックコポリマーリチウム伝導性電解質、および/またはリチウムリン酸窒化物化合物、ヨウ化リチウム、および同等物等の無機電解質によって、少なくとも部分的に充填され得る。電極は、繰り返される充電および放電に耐えることが可能であり得る。ある場合には、電極は、複数の突起および/または壁(存在する場合、突起を囲み得る)を有し得るが、しかしながら、他の場合には、突起または壁がなくてもよい。電極は、例えば、レーザマイクロマシニング、プラズマまたは反応性イオンエッチング等の乾式エッチングプロセス、湿式化学エッチング、あるいは類似技術等を使用して、単一材料から形成され得る。一部の事例では、電極は、テープキャスティング、断続テープキャスティング、スリップキャスティング、加圧成形、およびエンボス加工等の方法を使用して、粉末または粉末懸濁液から、所望の形状に形成され得、形成後、焼成され、焼結材料を得てもよい。ある実施形態では、リチウムリン酸窒化物、ポリエチレンオキシドおよび/またはリチウム塩を基材とするもの等のポリマー電解質、ブロックコポリマーリチウム伝導性電解質、および/または高分子電解質多層膜(層毎の堆積プロセスによって形成され得る)等の非多孔性電解質が、極上に配置され得る。そのような電解質は、(例えば、リチウムイオンの)イオン輸送を可能にする一方、細孔の欠如により樹枝状形成を防止し得る。ある実施形態では、多孔性電極は、その内部よりも高密度表面を有する。高密度の表面は、レーザ処理、急速熱アニーリング、焼結前のより高い粉末粒子充填密度による表面層の形成、より微細な粒子による表面の充填、気相蒸着またはゾルゲルコーティングプロセスによる表面コーティングの適用、あるいは他のそのような方法によって、形成され得る。本発明の他の側面は、そのような電極または電池を作製する技術、そのような電池との電気接続の形成およびそのパッケージングの技術、そのような電極または電池を使用する技術等を対象とする。
【0023】
本発明の種々の側面は、電池または他の電気化学的デバイスを対象とする。概して、電池は、アノードと、カソードと、アノードとカソードとを分離する電解質とを含む。電流コレクタは、アノードおよびカソードに電気的に接続され、電流コレクタを使用して、電池から電流が引き込まれ得る。典型的には、電流は、例えば、光、モータ、電気回路、センサ、送信機、電気デバイス等の負荷を通して、電流コレクタが互いに電気通信状態になると、電池によって生成される。電池内では、放電の際、イオンが、アノードとカソードとの間の電解質を通って流動する。電解質は、固体、液体、ゲル等であり得、電解質は、有機、無機、または組み合わせであり得る。本発明の一側面では、電池は、リチウムイオン(Li)電池であって、すなわち、電池は、電解質内の電荷担体(単独または他の電荷担体と組み合わせて)として、Liを使用する。
【0024】
一部の実施形態では、電池は、「乾式」であって、液体またはゲル成分が実質的にないことを意味する。しかしながら、他の実施形態では、電池は、電池セルの内部を充填または部分的に充填し得る、1つ以上の液体またはゲル電解質を含む。一部の実施形態では、電池は、固体および液体電解質の両方を含む。例えば、ある場合には、固体電解質は、電極の表面をコーティングするコンフォーマルな膜として、および/または電極間の分離体として、使用可能である。
【0025】
ある場合には、電池は、1回放電されると、使い捨て可能である。しかしながら、他の場合には、電池は、再充電可能であって、すなわち、電池は、1回を超えて充電および放電可能である。例えば、電池は、少なくとも3サイクル、少なくとも6サイクル、または少なくとも10サイクルの充電および放電(例えば、C/20の率で(1C=280mA/g))に耐えることが可能であって、その最初の完全充電後の電池の初期充電に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の初期貯蔵容量(例えば、Whで測定される)を保有し得る。再充電可能リチウム電池は、典型的には、充電および放電の際、リチウムを交換する電極を有する。カソードまたは正極材料の場合、Liおよび電子は、電池の放電の際に吸収され、本プロセスは、充電の際に反転する。本発明は、カソードに限定されないが、本明細書で使用されるように、「充電」とは、正極からのリチウムの除去を示し、「放電」とは、正極内へのリチウムの挿入を指す。
【0026】
本発明の一部の実施形態では、電池は、「マイクロ電池」、すなわち、約10mm未満の体積を有し、アノードと、カソードと、電解質と、電流コレクタと、電池を形成する外部パッケージングとの全体を含む、電池である。ある場合には、電池の体積は、約5mm未満、約3mm未満、または約1mm未満であり得る。例えば、電池は、概して、約3mm未満、約2.5mm未満、約2mm未満、約1.5mm未満、または約1mm未満の各側寸法を有する立方体形状であり得る。当然ながら、また、本発明の他の実施形態では、他の形状、例えば、直方体、円盤、棒、板、または球形状も可能である。本発明の一部の実施形態では、電池は、少なくとも約0.2mm、ある場合には、少なくとも約0.4mm、少なくとも約0.6mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.5mm、または少なくとも約2.0mmの最小寸法を有する電極を含み得る。
【0027】
一部の実施形態では、電池は、無線ヘッドセット(例えば、Bluetooth)等の携帯用電子機器、携充電話、ラップトップパソコン、コードレス動力工具または他の電気器具、自動車、予備電力設備、または大型エネルギー貯蔵システム等内での使用に好適な、体積、質量、エネルギー、および/または電力を有し得る。
【0028】
ある一式の実施形態では、電池は、少なくとも約200Wh/lのエネルギー密度を有し、すなわち、電池は、電池(アノードと、カソードと、電池を形成する電解質との全体を含む)の体積の1リットル当たり200Whのエネルギーを生成可能である。一部の実施形態では、例えば、少なくとも約300Wh/l、少なくとも約400Wh/l、少なくとも約800Wh/l、少なくとも約1000Wh/l、少なくとも約1200Wh/l、少なくとも約1400Wh/l、または少なくとも約1600Wh/lと、さらに高いエネルギー密度を得ることが可能である。他のそのような実施形態では、そのようなエネルギー密度は、電流コレクタおよびセルのパッケージングが電池体積内に含まれる場合でも、得ることが可能である。
【0029】
本発明の一側面では、そのようなエネルギー密度は、カソードの実質的に全部が、例えば、充電または放電の際の電解質とのリチウムイオン交換に関与可能であり得るような形状を有するカソードを使用することによって、達成され得る。例えば、一部の実施形態では、電極は、電極と、電極と接触する電解質との間の比較的高露出度を可能にする形状、および/または電極内へならびに電極からのイオンの輸送を促進し得る比較的薄い断面寸法を有する。ある一式の実施形態では、電極は、例えば、側面図における図1Aに見られるように、基部および複数の突起の形状を有し得る。本図では、電極10は、基部15と、基部の表面から離れて延在する複数の突起18とを含む。本明細書で使用されるように、電極の基部は、概して、平坦で連続的な単調表面として画定され、突起は、それぞれ基部から離れて延在する一連の延在部として画定されるが、基部および突起は、一部の実施形態では、後述されるように、単一材料から形成される。
【0030】
図1に示されるように、突起はそれぞれ、概して、長方形として示されるが、しかしながら、他の実施形態では、突起は、円筒形、円錐形、不整形、長方形、ピラミッド形等であり得、任意の態様、例えば、規則的またはランダム配列等で基部の表面上に分布され得る。基部上の突起はそれぞれ、図1Aに見られるように、実質的に同一形状および/またはサイズであり得、あるいは突起は、異なるサイズを有し得る。
【0031】
図1Bは、2次元配列の突起を有する1つの電極の実施例を示す。本図では、突起の断面は、概して、正方形であるが、他の実施形態では、他の形状、例えば、四角形または円形も可能である。図1Cおよび1Dは、分解図(図1C)および組み立て時(図1D)における、カソードおよびアノードとして使用されるそのような2次元配列の突起を含む、電池を示し、それぞれ、アノードおよびカソードと電気通信する上下電流コレクタを含む。図1Cでは、電池20は、アノード12と、カソード14と、電解質13とを含む。図1Dでは、電池は、組み立てられた状態で示され、アノード12と電気通信する上側電流コレクタ17と、カソード14と電気通信する下側電流コレクタ19とを伴う。加えて、図1Dでは、非限定的実施例として、そのような電極を使用して形成され得るマイクロ電池の寸法が示される。
【0032】
しかしながら、ある場合には、突起は、電極の1次元に沿って延在し、それによって、断面から見ると、図1Aに示されるものと類似する外観を有する、「リブ」の外観を提供する。そのような一連の延在突起を有する電極の実施例は、異なる倍率において、図2A−2Cに示される。電極は、本実施例では、多孔性焼結LiCoO材料からレーザ加工されるが、また、他の材料および他の形成プロセスも使用可能である。
【0033】
一部の実施形態では、突起は、電極の基部から少なくとも約25マイクロメートルの距離分離れて延在し得、すなわち、電極基部の表面から離れた突起の端部の最大分離は、約25マイクロメートルである。他の場合には、突起は、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約75マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル等、電極の基部からの距離分離れて延在し得る。上述のように、突起の全部が、基部の表面から同一差異分離れて延在しなくてもよい。ある場合には、突起は、少なくとも約3:1、ある場合には、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1等のアスペクト比(すなわち、基部から離れて延在する突起の距離と、突起の最大厚との比)を有し得る。
【0034】
ある場合には、突起は、傾斜辺、すなわち、基部の表面に直角ではない辺を有する。例えば、突起は、少なくとも約2:1のピッチを有し得、一部の実施形態では、ピッチは、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、または少なくとも約10:1であり得る。突起の「ピッチ」は、本明細書で使用される場合、突起の傾斜、またはその「ライズ(rise)」と「ラン(run)」の比である。突起の辺はすべて、同一ピッチを有する必要はない。図3に示されるように、突起は、傾斜辺を有し得、ピッチは、突起の傾斜22のライズとそのラン24との比である。そのような傾斜突起の顕微鏡写真は、図4A−4Cに示される。図4Aは、多結晶黒鉛から形成される、傾斜突起を示し、図4Bは、アルミナ上のポリグラファイトから形成される傾斜突起を示し、図4Cは、アルミナ上のHOPG(高秩配向分解黒鉛)から形成される傾斜突起を示す。電極および/または突起を形成するために使用可能な材料は、以下に詳述される。
【0035】
ある場合には、突起は、突起または少なくとも実質的にわずかな突起が、突起の表面からある距離以下分離れるような形状および/またはサイズを有し得る。そのような突起は、例えば、表面または電解質に到達する前に、電極内で輸送されるリチウムイオンに対し、限られた距離を提供し得、したがって、ある場合には、突起の実質的に全部が、電極の充電または放電の際のリチウムイオン交換に関与し、それによって、電極の効率性および/または電力密度を増加させ得る。例えば、突起は、表面およびバルクを有し得、突起は、バルクの実質的に全部が、突起の表面から約5マイクロメートル、約10マイクロメートル、約15マイクロメートル、約20マイクロメートル、約25マイクロメートル、約50マイクロメートル、約75マイクロメートル、または約100マイクロメートル以下離れるような形状および/またはサイズを有する。
【0036】
ある実施形態では、電極の基部上の突起は、壁または「缶」によって、少なくとも部分的に囲まれ得る。例えば、断面図における図5Aに見られるように、電極10は、基部15と、基部の表面から離れて延在する複数の突起18と、突起を囲む壁11とを含む。3次元図は、図5Bに見ることができ、そのような電極の顕微鏡写真は、図6A−6Eに示される。図6Aおよび6Bでは、壁および突起の高さは、約0.5mmであって、突起の幅は、約100マイクロメートルである。図6C−6Eでは、突起は、100マイクロメートルのピッチと、80マイクロメートルのフィーチャー幅と、を有する。壁は、本実施例に示されるように、正方形または長方形の配列を有するが、他の実施形態では、他の形状、例えば、円形、六角形、三角形等も可能である。
【0037】
壁は、突起と同一厚または異なる厚さであり得る。例えば、壁は、約200マイクロメートル未満、約175マイクロメートル未満、約150マイクロメートル未満、約125マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約75マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、または約25マイクロメートル未満の厚さを有し得、壁厚は、均一または非均一であり得る。また、壁は、基部に直角であり得、またはある場合には、壁は、傾斜またはテーパ辺を有し得る。テーパ壁を有する電極の非限定的実施例は、図7A−7Dに示される。加えて、図7A−7Dから分かるように、本発明のある実施形態では、電極は、必ずしも任意の突起を有することなく、基部上に壁を有し得る。
【0038】
壁は、本発明のある実施形態では、電解質および/または電極内の他の材料を収容するために、すなわち、それが電極の突起と接触したままであるように、有用であり得る。また、壁は、外部要因、例えば、突起を変形または破壊し得る要因から保護し得る。ある場合には、壁は、例えば、マイクロ電池用途のための集積電極配列の構築を促進し得る。ある場合には、後述されるように、壁は、基部および任意に突起とともに、単一材料から形成される。単一材料から壁および基部を形成することによって、壁と基部との間の気密または密封シールが自然に形成され、電池へまたは電池からの漏出、例えば、電極内に収容される電解質の漏出を防止する。ある一式の実施形態では、壁および突起は、以下に詳述されるように、単一セラミック材料からマイクロ加工される。
【0039】
本発明の全実施形態は、必ずしも、突起および/または壁を含まなければならないわけではないことに留意されたい。例えば、一部の実施形態では、電極は、例えば、焼結LiCoOから一体型形状に形成され、電極の実施例として、図8Aおよび8Bに見られるように、実質的平坦表面を有し、約85%の密度を有する。したがって、本発明の別の側面によると、電極の多孔性により、電極の形状にかかわらず(すなわち、電極が平面である、または突起、壁等を有するかどうかにかかわらず)、比較的高エネルギー密度が達成され得る。ある場合には、後述されるように、電極の電解質充填多孔性のため、電極の実質的に全部が、例えば、充電または放電の際の電解質とのリチウムイオン交換に関与可能であり得る。
【0040】
ある場合には、電極は、少なくとも約0.2mm、ある場合には、少なくとも約0.4mm、少なくとも約0.6mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.5mm、または少なくとも約2.0mmである、最小寸法を有し得る。
【0041】
本明細書で使用されるように、「多孔性」とは、複数の開口部を含むことを意味し、本定義は、規則的および不規則な開口部の両方だけではなく、概して、構造を貫通して延在する開口部、ならびにそうではない(例えば、少なくとも部分的に非接続または「閉鎖」細孔とは対照的に、相互接続または「開放」細孔)開口部を含む。多孔性電極は、任意の好適な多孔率を有し得る。例えば、多孔性電極は、最大約15%、最大約20%、最大約25%、最大約30%、最大約40%、または最大約50%(パーセンテージは、電極内の空隙体積を示す)の多孔率を有し得る。同等に、多孔性電極は、少なくとも約50%、および最大約70%、最大約75%、最大約80%、最大約85%、最大約90%、または最大約95%の密度を有し得、密度は、電極材料内に存在する非空隙体積の量である。ある場合には、多孔性電極は、約300マイクロメートル未満、例えば、約100マイクロメートル未満、約1マイクロメートル乃至約300マイクロメートル、約50マイクロメートル乃至約200マイクロメートル、または約100マイクロメートル乃至約200マイクロメートルの平均細孔サイズを有し得る。平均細孔サイズは、例えば、密度測定、光学および/または電子顕微鏡画像、あるいはポロシメータから、例えば、高圧による材料内への非湿潤液体(水銀等)の挿入によって、判定され得、通常、材料内に存在する細孔の数平均サイズとして考えられる。試料の多孔率を判定するためのそのような技術は、当業者には周知である。例えば、ポロシメータ測定を使用して、試料の細孔内に水銀等の液体を付勢するために必要な圧力に基づいて、材料の外部に開放する、多孔率の平均細孔サイズを判定可能である。一部の実施形態では、多孔率の一部または全部は、例えば、電解質による細孔の充填を促進する開放多孔率である。多孔性電極を形成するための技術は、以下に詳述される。
【0042】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、細孔は、電極から電解質へのLiまたは他のイオンの輸送を促進すると考えられる。多孔性構造を有する材料では、細孔の一部は、電解質(後述のような)によって充填され得、Liまたは他のイオンは、電極から電解質に進行する、およびその逆の距離が短く、それによって、エネルギー貯蔵に関与する電極の能力を増大させ、および/または電極のエネルギー密度を増加させる。加えて、後述されるように、一部の実施形態では、多孔性電極は、充電および放電の際、比較的小さなひずみを有するように加工され得、そのような材料は、驚くほど多数の充電または放電サイクルに耐えることが可能である。
【0043】
ある場合には、電極の体積分率多孔率は、電極を通して一定ではなく、可変である。例えば、電極の表面の多孔率は、電極のバルクよりも低くてもよく、電極の一端は、電極の他端等よりも高いまたは小さい多孔率を有し得る。一実施形態では、表面は、非多孔性であるが、電極のバルクは、多孔性である。ある場合には、電極内の多孔率差は、例えば、セラミックを形成するための粉末成形体の焼成の際、多孔性電極を生成するプロセスの間に生じ得る。しかしながら、他の場合には、多孔率差は、例えば、表面のレーザ処理、セラミックの急速熱アニーリング、物理的気相または化学気相蒸着、電極表面への粒子または他の材料の添加、ゾルゲル材料等の材料により電極をコーティングすること等によって、意図的に制御あるいは変更され得る。表面の多孔率および表面からの距離に伴う多孔率の変化は、電子顕微鏡等の技術ならびに試料の平面および断面図の画像分析を使用して、容易に観察され、定量化される。
【0044】
上述のような電極(例えば、多孔性であって、突起および/または壁等を有する)は、本発明の別の側面によると、セラミックまたはセラミック複合体から形成され得る。セラミックは、典型的には、無機非金属材料であるが、セラミックは、その構造内に、金属イオン、例えば、後述されるように、遷移金属、または、Li、またはNa、あるいはK等のアルカリイオンを含むことが可能である。セラミック複合体は、典型的には、1つ以上のセラミック材料、例えば、異なるセラミック相の混合物、あるいはセラミックと金属またはセラミックとポリマーの混合物を含む、混合物であって、セラミック単独と比較して、向上した特性を有し得る。例えば、セラミック/セラミック複合体は、高速イオン伝導性セラミックと組み合わされ、より高いイオン伝導率を合成物に付与する一方、依然として、イオン貯蔵機能を保有する、イオン貯蔵セラミックを有し得る。セラミック/金属合成物は、純セラミックと比較して、向上した電子伝導率と、向上した機械的強度または破壊強さとを有し得る。セラミック/ポリマー合成物は、セラミックよりも高いイオン伝導率を有する電解質である場合、向上したイオン伝導率を有するだけでなく、向上した破壊強さまたは強度を有し得る。また、これらのおよび/または他の合成物の組み合わせも企図される。一部の実施形態では、電極は、本質的に、セラミックから成り、ある場合には、電極は、単一セラミック材料から形成される。一部の実施形態では、より低い電子伝導率を有する電極材料は、単一セラミックまたはセラミック複合体から形成され、それらは、電池の使用の際の電極へおよび電極からの電子輸送を向上させ得る。好適なセラミック材料の非限定的実施例として、充電/放電の際、リチウムイオンを輸送可能なものを含む。セラミックは、リチウムイオンが充電の際に除去され得るもの(「Li抽出」セラミック)であり得、すなわち、セラミックは、除去され、組成を限定する材料を形成可能であるリチウムイオンを含むものである(例えば、リチウムイオンは、Li0.5CoOを生成するためにLiCoOから、Li0.3NiOを生成するためにLiNiOから抽出可能である等)。Liを備える潜在的に好適なセラミック材料の実施例として、LiCoO、LiNiO、LiMn、あるいはLiMnスピネル、斜方晶系多形または単斜晶系多形のLiMnO、LiMPOオリビンを含むが、それらに限定されない(Mは、Ni、Co、Mn、ならびにFeの1つ以上、LiTi12、これらの化合物の誘導体または修飾組成、および/またはこれらの化合物の1つ以上の物理的混合物等であり得る)。ある場合には、後述されるように、セラミックは、イオンの挿入および除去の際、比較的小さい体積または線形ひずみ差を有する。そのようなセラミックの実施例として、LiCoO、LiNiO、LiFePO、およびLiTi12、ならびにそれらの誘導体組成および構造だけではなく、そのような酸化物の混合物を含む。
【0045】
概して、電極は、セラミックの単独の単一「ブロック」から、例えば、何らかの方法、例えば、マイクロマシニング、またはエッチング技術、あるいは同等物を通して、セラミックを「彫刻し」、電極の最終形状を生成することによって、形成され得る。また、電極は、一部の実施形態では、任意の好適な技術、例えば、テープキャスティング、断続テープキャスティング、スリップキャスティング、加圧成形、およびエンボス加工等の技術を使用して、粉末または粉末懸濁液から所望の形状に形成され得、粉末または粉末懸濁液は、その形成後、焼成され、焼結材料を得てもよい。
【0046】
上述のようなプロセスの際、単一出発材料の一部は、何らかの方法で除去され、電極の最終形状を生成する。したがって、単一出発材料は、出発材料から「彫刻」される最終電極よりも大きなサイズである。後述されるように、そのような単一セラミック材料は、より小さいひずみ差、応力集中特徴が無いこと、あるいはイオン、流体、または気体が通過し得る接合部もしくは継目が無いことを含む、いくつかの利点を有し得る。本明細書で使用される場合、用語「単一」は、別個の個々の単位として形成され、その後、何らかの方法でともに凝集され最終構造を形成する、接合された個々の粒子等の構造を含むことを意味しない。代わりに、単一材料とは、材料を形成するために使用される任意の個々の粒子が、個々の粒子として容易に分離可能ではなくなるように処理(例えば、焼結によって)されるものである。
【0047】
例えば、単一材料は、セラミック前駆体、例えば、粉末から、焼結プロセスを通して形成され得る。例えば、セラミック前駆体は、粉末粒子がともに結合され、単一完全体を形成するように、加圧および/または加熱され得る。多孔率は、例えば、初期粉末粒子サイズ分布、粉末充填密度、焼成温度および時間、焼成プロセスの種々の段階の際の加熱速度、および/または焼成気圧を制御することによって、焼結セラミック材料内に生成され得る。粉末系材料内の多孔率の収縮(緻密化)および進展を制御し、所望の密度または多孔率を生成する方法は、当業者に周知である。
【0048】
一部の事例では、単一材料を備える電極は、粉末混合物または粉末懸濁液から、テープキャスティング、断続テープキャスティング、スリップキャスティング、加圧成形、圧延、押出加工、エンボス加工等のプロセス、あるいは他のそのようなプロセスを使用して、その所望の形状に形成され得る。
【0049】
電極の化合物または複数の化合物は、ある場合には、約30%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満のセルの充電と放電状態との間のモル体積差を有し得る。一部の実施形態では、電極の化合物または複数の化合物は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満のセルの充電と放電状態との間の線形または体積ひずみを有する。一部の実施形態では、電極の化合物は、使用の際、少なくとも一部の組成におけるモル体積が増加する少なくとも1つの化合物と、使用の際、少なくとも一部の組成におけるモル体積が減少する少なくとも1つの化合物と、を含む。一部の実施形態では、電池の充電と放電状態との間の正味の体積変化は、電池の充電と放電状態との間の正味の正体積変化を有する少なくとも1つの化合物と、充電と放電状態との間の正味の負体積変化を有する少なくとも1つの化合物とを組み合わせることによって、減少する。ある一式の実施形態では、電極は、電極がリチウムイオンによって浸潤される際、比較的小さい線形または体積ひずみ差を有するセラミック材料から加工される。
【0050】
そのような材料の非限定的実施例として、LiCoO(約Li0.5CoOの組成への脱リチウムに応じて、約+0.6%の全結晶方位に沿って平均化された線形ひずみ差を有する)と、LiNiO(約Li0.3NiOの組成への脱リチウムに応じて、約−0.9%の線形ひずみ差を有する)とを含む。そのような材料は、比較的多数の充電または放電サイクルに耐えることが可能である一方、充電または放電の際、材料が大幅に拡張または収縮しないため、亀裂または他の劣化がないままであり得る。線形ひずみは、概して、初期長に対する材料の長さの変化(ΔL/L)として定義され、体積ひずみも、同様に定義されるが、初期体積に対するものである。例えば、本発明の材料は、完全充電および放電(例えば、C/20の率で)の少なくとも6サイクル、少なくとも10サイクル、少なくとも15サイクル、または少なくとも20サイクルに耐えることが可能であり得る一方、走査電子顕微鏡下で観察され得る識別可能な亀裂または他の劣化(例えば、傷、剥離等)がないままである。実施例として、図9A−9Cでは、電極として使用されるセラミック材料は、C/20の率で6回、完全に充電および放電され(すなわち、「循環され」)、次いで、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して検討された。したがって、別の一式の実施形態では、電極は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも50%を保有可能である。これらの図から分かるように(尺度バーによって示されるように、異なる倍率で)、セラミック材料の顕著な劣化または亀裂は観察されなかった。対照的に、多く従来技術の材料は、そのような条件に耐えることはできない。
【0051】
本明細書に記載の焼結セラミック電極が、機械的破壊の実質的証拠を伴わずに、電気化学的に繰り返し循環可能であったことは予想外である。第1に、リチウム遷移金属酸化物等の層間化合物は、典型的には、とりわけ、岩塩または規則岩塩構造、スピネル構造、オリビン構造、あるいはルチル構造を有する。これらは、典型的には、高弾性係数および低破壊強さを有し、脆性である。そのような化合物の場合、破壊に対する線形ひずみは、典型的には、約1%未満、すなわち、充電および放電によって誘発される典型的線形ひずみを上回る量である。また、いくつかの研究は、再充電可能リチウム電池内で使用される層間化合物の粒子は、充電および放電される際、その結晶構造内における破砕および欠陥ならびに瑕疵形成を被ることが示されている。加えて、充電および放電によって誘発されるひずみは、ある場合には、典型的には、ガラス体の熱衝撃等の破砕につながる熱衝撃の際にセラミック部分内に誘発される熱ひずみよりも大きい場合がある。したがって、電極が、電極の異なる部分は、イオンが反対側電極から添加されると、異なる程度の拡張または収縮を受けるため、必然的にひずみおよび応力勾配を誘発する、充電および放電の際のひずみの差に耐え得ることは予想外である。実施例として、表1は、充電および放電によって誘発されるいくつかの実施例化合物の破壊に対する線形ひずみを示す。また、表1は、いくつかの周知のリチウム貯蔵化合物と、充電および放電の際のその体積および平均線形ひずみのリストとを示す。
【0052】
【表1】

以下の実施例に示されるように、充電および放電の際にかなりのひずみを伴う層状酸化物の高密度焼結電極は、従来技術と対照的に、有害な機械的破壊を経験することなく、電気化学的に循環可能である。有害な機械的破壊は、電極全体に伝播する破砕または複数の破砕、粒子間の伝導性の損失を生じさせる焼結粒子の崩壊または粉砕、あるいはそのような事象による電気化学的貯蔵能力の大幅な損失を誘発するであろう。これは、LiCoO等の化合物内で観察され、充電および放電の際のひずみの差は、脆性セラミックの破壊に対するひずみに近く、同様に、ナノスケールドープオリビン等の化合物内でも観察され、ひずみの差は、破壊を引き起こすことが予測されるものよりも上回る。
【0053】
いかなる特定の科学的解釈にも拘束されることを望むものではないが、本発明の種々の電極の電気化学的循環の際、粒子のマイクロ亀裂および粒子間の粒界におけるマイクロ亀裂が生じ得るが、そのような損傷は、局在性のままであって、電極全体に伝播し、同じひずみを受ける類似の物理特性および焼結密度の典型的焼結セラミック内で生じるような破壊を生じさせることはないと考えられる。代わりに、電気化学的循環の際に誘発されるひずみは、結晶レベルにおいて異方性であり得、および/または材料全体に広く拡散されるマイクロ亀裂に対応可能であり得、粒子サイズよりも非常に大きい長さの破壊を生じさせることなく、蓄えられた弾性エネルギーを消散させ得る。そのようなセラミックは、同等密度および粒子ならびに細孔サイズの他のセラミックと比較して、高強度を示さないが、ある場合には、耐損傷性であり得る。そのように検討すると、本発明の種々の電極は、充電および放電の際のひずみの差、ひずみにおける結晶の異方性、結晶サイズ、凝集サイズ、焼結密度、ならびにセラミック材料の処理における当業者に周知の他のマイクロ構造および処理的配慮を考慮することによって、耐損傷性にすることが可能である。例えば、LiCoOと比較して結晶ひずみが大きいLiFePOは、密度、粒子サイズ分布、および細孔サイズ分布等のあらゆる他の要因は一定のまま、有害な破砕事象を回避するために、より小さな粒子サイズを必要とする。
【0054】
したがって、一部の実施形態では、機械的強さを提供する付加的靱性相を備えない本発明の多孔性電極は、充電と放電状態との間で、約20%未満、約15%未満、または約10%未満の体積変化の差を有し得る。一部の実施形態では、粒子サイズ、粒子形状、粒子サイズ分布、細孔体積、開放および閉鎖多孔率の相対的分率、細孔サイズ分布、または細孔トポロジー等の周知の尺度によって特徴付けられるような焼結電極のマイクロ構造は、比較的低容量損失での可逆的循環を可能にするように調整される。一部の実施形態では、粒子サイズを減少させ、例えば、約500nm未満、200nm未満、または約100nm未満の主要(単結晶)サイズを有する粒子を使用して、耐損傷性を向上させ得る。一部の実施形態では、粒子は、棒または板の形状を含む、異方性形状を有し、アスペクト比(最長寸法と最短寸法との比)は、少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍であって、ある場合には、耐損傷性を向上させ得る。
【0055】
さらに別の一式の実施形態では、電極は、電池の充電および放電によって、所望の体積または線形のひずみの差を達成するように選択される化合物等、化合物の混合物を備え得る。このように化合物を選択することによって、電極は、電気化学的循環によって誘発される機械的損傷に対する向上した耐性を達成し得、および/またはアノードとカソードの両方を含む、循環の際のセル成分の総体積変化が低減され得る。非限定的実施例として、表1を参照すると、LiCoOは、組成Li0.5CoOへの、充電時、約1.9%の正味の体積収縮を経験し、LiFePO、LiMn、およびLiNiOはすべて、充電時、体積拡張を示したことが分かる。後者3つの化合物の1つ以上を伴うLiCoOの混合物の場合、電圧と電流の比および時間等の特定の充電条件下、成分材料はそれぞれ、特定のリチウム濃度、したがって、開始放電状態と比較して、特定の体積変化に到達する。故に、一実施形態では、電極は、化合物の混合物を備えるように選択され、そのような化合物は、電池の充電および放電によって、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の体積または線形ひずみの差を達成するように選択される。
【0056】
これらの体積変化は、当業者に周知である、充電電極のX線回折等の方法によって、容易に判定される。例えば、任意の特定の充電状態における電極の正味の体積の変化は、計算または実験によって容易に判定されるある比率にある成分を混合することによって、選択され得る。実施例として、LiCoOおよびLiNiOの混合物は、充電と放電状態との間の正味のゼロ拡張を提供するように選択され得る。
【0057】
一部の実施形態では、多孔性焼結電極は、電子的に低電導性のカソードおよびアノード材料を備えるように選択される。多孔性焼結電極構造は、連続相互接続材料を提供し、および/または、例えば、焼結されていない成形された粉末と比較して、イオン貯蔵材料網状組織の電子伝導率を向上させ得る。したがって、焼結多孔性電極の電子伝導率は、典型的には、活性材料の粉末、カーボンブラック等の伝導性添加剤、およびポリマー接着剤を備える一方、より少ない添加相を有する、または全く添加相を有さず、より高い体積分率の添加材料を有する、従来のリチウムイオン電池電極と同等あるいはより優れた電子伝導率であり得る。実施例に示されるように、焼結LiCoOまたはオリビン型焼結リチウム金属リン酸塩カソードは、非常に高い体積充填密度、例えば、70−85%の密度を有することが可能であって、電極内に任意の伝導性添加剤または結合剤を組み込むことなく、電気化学的に循環可能である。
【0058】
一部の実施形態では、焼結電極は、アルカリイオンが化合物から除去、または化合物内に挿入されると、電子またはイオン伝導率を増加させる、リチウム貯蔵化合物を備える。非限定的実施例として、Li1−xCoOは、xの増加に伴って、増加電子伝導率を示し得、x〜0.03において半導体金属遷移を受け得る。したがって、本発明の一実施形態では、ある条件下、LiCoOまたは電池内でそのような挙動を示す他の化合物を利用することによって、利点が提供され得る。電池が充電され、リチウムがLiCoOから抽出されると、電極のインピーダンスが減少し、電極の電気化学的使用を促進し得る。さらなる利点は、ある場合には、リチウム再充電可能セルの典型的挙動に基づいて、実現され得、副反応物の形成による、リチウムの第1のサイクルの不可逆的損失が存在する。リチウムの不可逆的消耗は、ある場合には、セルの放電状態であっても、その後LiCoOをリチウム欠損状態のままにさせ得、それによって、本発明の一部の実施形態では、焼結カソードに高電子伝導率を保有させ得る。
【0059】
一部の実施形態では、本発明の多孔性電極は、多孔性電極の細孔内に電解質を含み得る。電解質は、ある場合には、炭酸アルキルおよびLiPF等のリチウム塩の混合物等の液体電解質、あるいはポリエチレンオキシドまたはブロックコポリマー等のポリマー電解質であり得る。また、電解質は、例えば、ゲルまたは無機化合物であり得る。無機電解質の非限定的実施例として、リチウムリン酸窒化物化合物、ヨウ化リチウム等を含む。ある場合には、電解質は、これらのおよび/または他の材料の任意の組み合わせを備えることが可能である。
【0060】
ある場合には、電解質および/または電極は、リチウム塩を含有し、リチウムイオン伝導性を付与し得る。他の特質の中でもとりわけ、安全性、サイクル寿命、および/またはカレンダー寿命を向上させるための添加剤を含む、そのような電解質の配合は、当業者に周知であって、任意のそのような配合は、特定の用途のための電池の所望の特質に基づいて、使用され得ることを理解されたい。電極内に含まれる電解質は、反対側電極から電極を分離する(すなわち、電池内のカソードおよびアノードを分離する)電解質と同一濃度または組成を有しても、または有していなくてもよい。液体電解質は、例えば、多孔性電極内外へのリチウムイオンの流動を促進するために有用であり得る。ある場合には、液体電解質は、リチウムイオンを備え得る。そのような電解質の実施例は、リチウム塩としてLiPFを使用するものである。電極の多孔率に応じて、液体電解質は、例えば、後述されるように、液体電解質に細孔を露出することによって、電極の細孔内に導入され得る。また、電解質は、ある場合には、電極の突起を囲み得る(突起が存在する場合)。例えば、電解質は、電極内(例えば、壁が存在する場合、電極の壁内)に収容され、突起を電解質中に浸漬し得る。
【0061】
本発明の別の側面は、分離体を対象とする。電池または他の電気化学的デバイス内のアノードおよびカソードは、概して、互いから電子的に絶縁される一方、電解質にイオン交換を可能にさせる。イオン伝導性電解質を注入された多孔性「分離体」材料は、本機能を果たすことが可能である。ある一式の実施形態によると、分離体は、多孔性ポリマー膜および/または多孔性セラミック層を備える、電池内で使用される。ある場合には、膜または層は、10乃至70体積%または25乃至75体積%の細孔分率と、約5マイクロメートル乃至約500マイクロメートル、約100マイクロメートル乃至約2000マイクロメートル、約300マイクロメートル乃至約1000マイクロメートル等の厚さと、を有し得る。また、膜または層は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%の多孔率を有し得、および/または多孔率は、約60%、約65%、約70%、または約75%以下であり得る。また、厚さは、約300マイクロメートル未満、あるいは約100マイクロメートル未満、および/または10マイクロメートル超、30マイクロメートル超、あるいは約50マイクロメートル超であり得る。一部の実施形態では、比較的厚い多孔性セラミック分離体は、リチウム樹枝状形成による、内部短絡の発生頻度を減少させる際に有用であり得る。
【0062】
別の一式の実施形態によると、電解質は、非多孔性(すなわち、固体)であって、すなわち、電解質は、充電または放電の数十回、数百回、または数千回サイクル後であっても、短絡につながるLi樹枝状形成が生じ得る、「針穴」あるいは欠陥(細孔または亀裂等)を含まない。ある場合には、電解質は、隣接する電極内外へのリチウムイオンの流動を促進するために有用であり得る、リチウムイオンを備える。数多くの可能な選択肢の中でもとりわけ、そのような電解質の一実施例は、LiPON(リチウムリン酸窒化物)、すなわち、典型的には、スパッタリングによって、薄膜の形状に作製される無機材料である。電解質の別の実施例は、ヨウ化リチウム(LiI)である。ある一式の実施形態では、電解質は、スパッタリングまたは他の物理的気相または化学気相方法によって蒸着可能な、膜として存在する。ある場合には、電解質は、層毎の堆積を使用して、電極表面上に形成されるコンフォーマルな膜であって、すなわち、電解質材料の個々の分子層は、好適な厚さの層の電解質が構築されるまで、電極に添加される。当業者は、典型的には、湿式化学溶液からの交互正負電荷の分子層の適用を伴う、好適な層毎の堆積技術を認識するであろう。
【0063】
非多孔性電解質は、一部の実施形態では、電極表面をシールするために、ある場合には、シールされた区画内に、電極と、液体またはポリマー電解質等の電解質とを収容する、密閉区画を生成するために使用され得る。したがって、密閉区画は、セルの壁と、電極の基部と、非多孔性電極によって形成される蓋とによって画定され得る。そのような非多孔性電解質を有する電池の非限定的実施例は、図10に示され、非多孔性電解質層16は、電極15の壁によって形成され、電解質が存在する、その下の区画をシールする。また、本区画外のセルの体積は、電解質によって充填されても、またはされなくてもよい。非多孔性電解質は、任意の好適なサイズおよび/または形状を有し得る。例えば、電解質の一部は、電極の内部空間内に延在し得、または電解質は、例えば、図10におけるように、本質的に、実質的に平面層または電極の壁の上方の「蓋」を画定し得る。例えば、非多孔性電解質は、少なくとも約1マイクロメートル、少なくとも約3マイクロメートル、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約20マイクロメートル、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル等の厚さを有し得る。
【0064】
本発明のさらに別の側面は、そのような電極と、電池またはマイクロ電池とを作製するための技術を対象とする。ある一式の実施形態では、単一セラミック材料が使用され、全部ではないが、一部の実施形態では、材料は、何らかの方法で、例えば、レーザマイクロマシニング等のマイクロマシニング技術、あるいは微小電気機械システム(MEMS)を加工する当業者に周知の乾式エッチングまたは湿式化学エッチング方法を使用して、エッチングされ得る。そのような機械加工プロセスを使用して、電極基部の表面上に壁および/または突起を形成し得る。別の一式の実施形態では、電極の突起または壁は、出発粉末または合成物混合物を形成することによって、所望の最終幾何学形状の逆のものを有する金型を使用して、圧力下、直接生成される。したがって、形成される電極は、直接使用され得、または形成後、焼結され得る。
【0065】
図10に示される完成された電池の非限定的実施例では、カソード14は、壁11によって囲まれるカソードの基部15の表面から離れて延在する、複数の突起18を有する。加えて、電池は、図10に見られるように、パッケージング材料27内に収容され得る。電池のためのパッケージング材料は、当業者に周知である。リチウム電池の場合、非限定的実施例として、ポリマー、ポリマー金属積層、薄壁金属コンテナ、ポリマーによってシールされた金属コンテナ、およびレーザ溶接金属コンテナを含む。本発明の電池の場合、一実施形態は、パッケージング材料として、絶縁酸化物等の無機化合物を使用する。そのような化合物は、湿式化学溶液または粒子懸濁液から、物理的気相蒸着あるいはコーティングによって、電池の外部に適用され得、もしくはパッケージは、事前成形され、電池がその中に挿入され得る。
【0066】
カソードは、レーザマイクロ加工され得、図10における特定の実施例では、約500マイクロメートルの高さを有する。カソードは、金の電流コレクタ等の電流コレクタ19と電気通信し、順に、例えば、アルミナ基板等の基板23上に位置付けられる。コレクタは、任意の好適な厚さ、例えば、約25マイクロメートル、約50マイクロメートル、約75マイクロメートル、約100マイクロメートル等を有し得る。ある場合には、電極は、約100マイクロメートル乃至約2000マイクロメートル、または約300マイクロメートル乃至約1000マイクロメートルの厚さを有し得る。同様に、基板は、カソードに応じて、任意の好適な形状および/または寸法を有し得る。例えば、基部は、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.75mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm等の厚さを有し得る。
【0067】
一部の実施形態では、多孔性であり得る、カソード15の壁内は、例えば、約1.0M乃至約1.5Mの液体電解質13であって、例えば、有機および/または炭酸アルキルの混合物内に溶解される約1.33MのLiPFである。そのような液体電解質は、非水電池の当業者に周知であって、ある場合には、電極と電解質との間の固体/電解質界面(SEI)を安定化させ、電池が使用され得る温度範囲を広げ、難燃性を提供し、気体生成を抑制し、および/またはリチウム樹枝状の成長を妨害する、添加化合物を含み得る。液体電解質は、非多孔性電解質16、例えば、固体無機またはポリマー電解質を介して、電極内に収容される。また、非多孔性電解質は、カソード15の表面をコンフォーマルに被覆し得る。非多孔性電解質は、カソードとアノードとの間の電子および/またはイオンの往復伝導を可能にし得、任意の好適な厚さまたは形状、例えば、少なくとも約1マイクロメートル、少なくとも約3マイクロメートル、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約20マイクロメートル、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル等の厚さを有し得る。
【0068】
図10の実施例では、非多孔性電極に隣接して位置付けられるアノード12は、金属電流コレクタ(例えば、Cu)等のアノード電流コレクタ17と電気通信する。アノード電流コレクタは、任意の好適な厚さ、例えば、少なくとも約1マイクロメートル、少なくとも約3マイクロメートル、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約25マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約75マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル等を有し得、実施形態および用途に応じて、同一厚を有しても、または有していなくてもよく、および/またはカソード電流コレクタと同一材料を備えていても、または備えていなくてもよい。非多孔性電解質16が電極15の表面をコンフォーマルにコーティングする事例では、また、ある場合には、アノード12は、電解質16の膜をコンフォーマルにコーティングし得、あるいは、ある実施形態では、コンフォーマルな電解質膜によって至る所で電極15から分離されて、電極15の突起間の空間を充填する。一部の実施形態では、電極15は、電および放電の際に電極内に貯蔵されるアルカリイオンの初期源であって、アノードは使用されないが、単に、負電流コレクタが使用される。
【0069】
ある場合には、リチウム等のアルカリイオンは、電池の充電によって、アルカリ金属として負電流コレクタに堆積され、および/または放電によって除去され、正極内に堆積される。一部の実施形態では、負電流コレクタ上には、電池の充電の際のアルカリ金属のさらなる堆積を促進させるための材料が配置される。本材料は、リチウム金属等のアルカリ金属であり得、あるいは金属リチウムを沈殿させることなく、リチウム金属を介在させるかまたはリチウム金属と合金になる、リチウムイオン電池のためのアノード活性化合物であり得る。そのような化合物は、黒鉛または硬質炭素等の炭素材料、LiTi12等の層状酸化物、B、Al、Ag、Au、Bi、Ge、Sn、Si、Zn等の金属および半金属、そのような金属および半金属の1つ以上を備える合金、ならびにそのような金属または半金属あるいはそれらの合金の混合物を含む。一部の実施形態では、そのようなアノード活性材料の量は、従来のリチウムイオン電池の場合のように、充電の際、少なくとも、カソード活性材料によって供給されるリチウムを完全に吸収するために十分なものである。しかしながら、他の実施形態では、そのような材料の量は、より少なく、材料は、電池が充電される際、アルカリ性金属によって飽和させるとともに、アルカリ金属のさらなる堆積のための場所を提供し得る。
【0070】
上述のように、セラミック電極は、例えば、粒子をともに焼結することによって、例えば、単一材料を形成することによって、形成され得る。しかしながら、本発明は、焼結セラミックに限定されず、例えば、他のセラミック材料または合成物が使用され得る。粒子を焼結し、セラミックを形成するための技術は、当業者に周知であって、例えば、前駆体を加圧および/または加熱して、セラミックを形成することによって焼結セラミックを形成するものである。ある一式の実施形態では、そのような焼結を使用して、多孔性単一構造を形成し得る。議論されるように、多孔率は、例えば、焼結温度および圧力を制御することによって、焼結セラミック材料内に生成され得、そのようなプロセス条件は、当業者に周知の日常的最適化技術を使用して、最適化され、所望の密度または多孔率を生じさせることが可能である。
【0071】
一部の実施形態では、多孔率は、出発粉末と、その後除去可能な成分とを組み合わせることによって、焼結電極内に導入され、したがって、いくつかの条件下、細孔を残し得る。そのような成分は、「一過性材料」と称され得る。例えば、焼結電極になる、圧縮された粉末内に組み込まれる一過性材料は、任意の好適な技術、例えば、化学溶解、融解および融解された液体の排出、昇華、酸化、および/または熱分解によって除去される一方、焼結電極の材料は残され得る。そのような一過性材料の実施例として、融解または昇華によって移動され得る氷、昇華され得るナフタレン、化学的に溶解、融解、および/または熱分解され得るラテックス球またはポリマー繊維等のポリマー成分、ならびに高温酸化によって除去され得る炭素質粒子または小板あるいは繊維を含むが、それらに限定されない。そのような炭素質粒子は、例えば、炭素または黒鉛球状粒子、黒鉛小板、黒鉛または炭素繊維、気相成長炭素繊維(VGCF)、および炭素ナノ繊維または炭素ナノチューブであり得る。特定の実施例として、LiCoOは、典型的には、空気または酸素等の酸化気体雰囲気中で焼成される。LiCoO粉末から作製された成形体内に炭素繊維を含め、酸化雰囲気中での焼成によって、炭素繊維を熱分解することによって、細長い細孔チャネルが、焼結LiCoO成形体内に残され得、電解質によって充填されると、イオン輸送、したがって、電池の電力およびエネルギー利用に有用となり得る。
【0072】
電極の所望の形状は、レーザマイクロマシニング、深堀反応性イオンエッチング、イオンミリング等のマイクロマシニング技術を使用して、構築され得る。当業者は、そのような技術に精通しているであろう。例えば、レーザマイクロマシニングでは、レーザは、単一セラミック材料を対象とする。レーザ光は、セラミック材料と相互作用すると、材料を融解、切除、または蒸発させ、最終電極の形状を制御するために使用され得る。したがって、レーザマイクロマシニングは、レーザを使用して何らかの方法で、最終形状に属さない全てのものを除去することによって、所望の形状を有する物体を生成することが可能である。レーザは、電池または他の電気化学的デバイス内での使用のための最終構造を生成するために、そのようなセラミック材料を破壊または別様に除去可能な任意の好適な周波数(波長)および/または電力を有し得る。
【0073】
以下は、本発明の実施形態を製造するための方法の非限定的実施例である。ここで図11を参照すると、経路Aでは、複数の突起と、複数の突起を囲む壁とを有する、マイクロ電池であり得る、電池の生成が示される。単一セラミック材料は、レーザマイクロマシニング等の技術を使用して、複数の突起と、複数の突起を囲む壁とを有する電極に形成される。また、電極は、例えば、金または銀等の別の金属を備える、電流コレクタを含み得る。
【0074】
ある技術では、LiPONおよび/またはポリマーあるいは有機電解質を備える、分離体または電解質層が、最初に、電極に添加される。図10に示されるように、LiPONは、電極上にスパッタされ得、あるいはポリマーまたは有機分離体は、何らかの方法で、例えば、ゾルゲル溶液からのコーティング、電着技術、または層毎の組み立てを使用して、電極上に堆積され得る。
【0075】
次に、他方の電極が添加され、残りの空間を実質的に充填する。ある技術では、電極の壁によって画定される内部空間は、コロイド懸濁液、負極材料であるコロイド粒子、および任意に、伝導性添加剤または結合剤等の添加粒子によって、充填される。しかしながら、別の技術では、「フラックスおよびはんだ」手法が使用され、Auが、最初に、分離体上にスパッタされ、次いで、Li(例えば、Liはんだ)が、Au上に融解される。そのような技術は、Li金属が液体状態にある時、「湿潤」または実質的に粘着しない材料を電極および/または電解質が収容する場合に有用であり得る。そのような場合、Liが液体状態にある時、Liが「湿潤」する金または別の同等金属が使用され、接着を促進する。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、Liは、金属と反応し、表面を湿潤させることが可能であると考えられる。次いで、上側電流コレクタ(例えば、Cu等の金属)が添加され、任意に、電池がシールされる。次いで、電池は、例えば、パリレンおよび/または金属密閉酸化物あるいは厚膜を電池上に堆積することによって、パッケージ化可能である。
【0076】
別の一式の実施形態では、複数の突起と、複数の突起を囲む壁と、を有するマイクロ電池等の電池は、以下のように生成可能である。再び図11を参照すると、経路Bでは、電池の生成は、他方の電極および分離体の自己組織化を生じさせることによって進行し得る。本手法では、電極と他方の電極との間の斥力が使用され、分離体または電解質材料によって自発的に充填される分離を生じさせる。互いに2つの電極を自己組織化するために使用される斥力は、ファンデルワールス力、ステリック力、塩基相互作用、および静電力を含むが、それらに限定されない。その後、上述のように、次いで、上側電流コレクタ(例えば、Cu等の金属)が添加され、任意に、電池がシールされる。次いで、電池は、例えば、パリレンおよび/または金属密閉酸化物あるいは厚膜を電池上に堆積することによって、パッケージ化可能である。
【0077】
米国特許出願公開第2003/0082446号として2003年5月1日公開のChiangらによる2001年10月22日出願米国特許出願第10/021,740号「Reticulated and Controlled Porosity Battery Structures」、および米国特許出願公開第2003/0099884号として2003年5月29日公開のChiangらによる2002年7月26日出願米国特許出願第10/206,662号「Battery Structures, Self−Organizing structures, and Related Methods」は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。また、Chiangらによる2007年5月25日出願米国仮特許出願第60/931,819号、Marinisらによる2008年2月12日出願米国仮特許出願第61/027,842号、および米国特許出願公開第2004/00055265号として2004年1月8日に公開のChiangらによる2002年12月23日出願米国特許出願第10/329,046号「Conductive Lithium Strage Electrode」が、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0078】
以下の実施例は、本発明のある実施形態を例証することを意図するものであるが、本発明の完全な範囲を例示するものではない。
【0079】
(実施例1)
本実施例は、本発明の一実施形態による、3次元相互貫入電極内部構造を伴う、一体的にパッケージ化される固体状態リチウム再充電可能マイクロ電池を示す。そのようなマイクロ電池は、最大対最小寸法に対し(例えば)5:1未満の外側パッケージアスペクト比(すなわち、薄平面構成に制限されない)、体積1mm中>75%の活性材料パッケージング分率の能力を有し得、そのような条件下、200Wh/lの初期エネルギー密度標的を3乃至7倍上回る。手法は、本実施例では、現在利用可能かつ立証済みのカソードおよびアノード材料を使用するが、将来的高エネルギーまたは高速活性材料を排除するものではない。
【0080】
マイクロ電池は、本実施例では、後述されるように、使用される電気化学的電対および特定の設計パラメータに応じて、約200Wh/l乃至約1500Wh/Lのエネルギー密度を達成可能にするであろう。本形状のマイクロ電池を使用して、単純センサから集積超高密度パッケージングを伴うシステムまで、幅広い小型システムに電力を供給可能である。
【0081】
3D電極配列のマイクロ加工構造は、例えば、図6A−6Eに示されるように、一体型密閉パッケージによって、共加工される。本特定の実証は、加工方法として、黒鉛およびレーザマイクロマシニングを使用する。約200マイクロメートルの半減厚にレーザ加工された高配向性熱分解黒鉛(HOPG)を使用して、約C/20の循環速度が、リチウム半電池において実証された。黒鉛では、2Cまで速度を10倍増加させるには、断面寸法を101/2=3.2倍減少させることが必要となるであろう(例えば、拡散時間t=x/D、式中、xは、拡散距離であって、Dは、拡散係数である)。これらの寸法は、レーザマイクロマシニング技術によって達成可能である。エネルギー密度を最大限にするために、電極断面寸法は、可能な限り大きくあるべきである一方、依然として、所望の速度能力を供給するものである(不活性材料分率は、フィーチャーサイズの減少に伴って増加するため)。いくつかのマイクロ電池用途では、マイクロメートル乃至数十マイクロメートルの寸法を有する電極が十分であり得る。
【0082】
図6Aは、レーザマイクロマシニングが、約50マイクロメートルの半減厚および若干(制御可能)テーパのついた高さ0.5mmを有し、3mmx3mmの配列(体積4.5mm)を形成する、黒鉛における個々の電極フィーチャーを生成可能であることを示す。さらに、レーザマシニングにおける方位分解能および切り口のテーパは、機械加工される材料の熱伝導率によって大きく影響を受け、高熱伝導率は、分解能を減少させ、テーパを増加させる。黒鉛と比較して低熱伝導率のリチウム層状酸化物では、約10乃至約20マイクロメートルの全幅の密集したフィーチャーが、約0.5mm乃至約1mmのフィーチャー高において可能であることが予測される。本実施例では、類似形状であるが、より小さい断面を有する3次元(3D)電極は、例えば、多くのデバイスの同時加工を扱いやすいレーザマイクロマシニングまたは他のマイクロ加工プロセスによって、リチウム貯蔵化合物から加工可能である。これらの連続的かつ高密度3D電極配列は、電子分極を減少させ、最終デバイスの速度能力を増加させるために、より低い電子伝導率の活性材料、通常、カソードから加工可能である。
【0083】
後述されるように、図11を参照して、出発テンプレートとして、マイクロ加工された電極/パッケージ構造を使用して、完成された電池の加工の3つの例示的手順を実証する。
【0084】
一手順では、固体無機電解質膜(例えば、LiPON)のコンフォーマルな堆積が、スパッタリングによって行なわれ、上向き表面を被覆し得る1マイクロメートル乃至3マイクロメートルの厚さの電子的絶縁層が生成され得る。これらの電極フィーチャーのテーパは、機器パラメータを通して「調整」され得、コンフォーマルなコーティングを可能にする。そのような厚さでは、電池としてのその後の使用の際の電解質膜のインピーダンスは、速度能力が主に電極によって判定可能であるほど低いものであり得る。電解質堆積後、セル内の残存空き体積は、他方の電極によって充電可能である。他方の電極は、一事例では、上述のように、高表面張力液体リチウムが酸化物表面を湿潤することを可能にし、「フラックスおよびはんだ」プロセスを使用してコーティングされた電極配列内に融解浸潤(約180°C)される、LiまたはLi合金であろう。リチウム金属を使用する利点は、その高体積容量によって、LiCoOが使用される場合、負極を小体積、例えば、正極の約4分の1にすることが可能であることである。したがって、電極配列の細孔空間を充填するわずか数マイクロメートル寸法の負極膜が、セル均衡化のために必要とされ得る。代替として、他方の電極は、固体ポリマー電解質(例えば、PEO系)が、配合の中に含まれ、完全固体状態デバイスを提供する、粉末懸濁液の形態で適用可能である。その後、上側電流コレクタは、物理的気相蒸着または厚膜ペースト技術によって適用可能であって、その後、スパッタされた酸化物またはCVD適用ポリマー層(パリレン)を含む密閉シーリング層が使用され、パッケージングを完了する。
【0085】
別の手順では、上述の手順と同様に、電解質膜は、固体ポリマー電解質の電着層である。電子的絶縁ポリマー膜の電着のための方法を本プロジェクトに適用し、電解質層を形成可能である。代替として、層毎の堆積手法が使用され得る。Li合金の適度の融解温度であっても、ポリマー電解質を損傷し得るため、他方の電極は、粉末懸濁液系であり得る。その後のパッケージングステップは、上述と同様である。
【0086】
さらに別の手順では、コロイド規模の自己組織化手法が適用され得る。好適な溶媒中に浸漬されたLiCoOおよび黒鉛は、短距離拡散および静電力のため、相互に反発し得る。図12A−12Dは、焼結高密度LiCoOとMCMB(メソカーボンマイクロビーズ)懸濁液との間の相互反発によって、表面力の影響下、再充電可能リチウム電池が形成されたという重要な結果を示す。固体ポリマー電解質の成分は、粒子間力に負の影響を及ぼすことなく、溶媒中で溶解された。図12Aは、セルの概略図を示す。図12Bは、付勢接触時のLiCoOとMCMBとの間の開路電位(OCP)であって、アセトニトリルの場合、接触時に電気的短絡を示すが、MEK(メチルエチルケトン)の場合、反発表面力のため開回路を示す。図12Cは、電解質としてMEKおよび0.1M LiClOを使用して自己組織化された電池の可逆的定電流循環を示す。図12Dは、MEKおよび0.1M LiClOならびに1重量%PEG1500(ポリ(エチレングリコール))内で伝導される、チタン酸リチウム基準電極とLiCoO作用(W)電極およびMCMBの他方の(C)電極との間の電位差の測定値を示す。全電位は、Li/Liを基準とする。試験の各段階の際に観察される電位は、誘導電流活性を実証し、LiCoOは、脱リチウム化され、MCMBは、リチウム化される。本構成では、MCMB懸濁液を使用して、LiCoOおよび乾燥時に得られる自己形成分離体から形成される、一体型コンテナを充填可能である。上側電流コレクタおよび外側パッケージングのその後の適用は、上述と同様に実行されるであろう。
【0087】
エネルギー密度は、セル内に存在する活性材料の体積分率と、それらの材料の電気化学的利用度とによって、これらのデバイスにおいて判定される。図13Aおよび13Bでは、本加工手法を使用する5つの異なる電気化学的電対から作製されるマイクロ電池の予測されるエネルギー密度のプロットが、体積5mm(図13A)および1mm(図13B)の場合の電解質層、一体型パッケージ壁、電流コレクタ、ならびに外側パッケージングによる、パッケージ化されたセル内の不活性材料の体積分率に対して座標化されている。それぞれの場合において、正および負極の相対的体積は、電荷平衡セルに対して必要とされるものである。これらのシステムの理論的エネルギー密度(0%不活性材料における)は、350Wh/Lの2.3乃至5倍上回る。本実施例における構成の5mmマイクロ電池の結果は、現実的構成要素寸法(100マイクロメートルまたは60マイクロメートルの一体型パッケージ壁厚を伴う50マイクロメートルの電極直径、2マイクロメートルの電解質層厚、および10マイクロメートル厚の電流コレクタ)を想定して計算される。外側パッケージングの厚さは、25マイクロメートル乃至150マイクロメートル厚の範囲において可変であるとして処理される。また、図13Aには、実験的データ点(21として識別)が示され、LiCoOの実質的に全部が利用されたことを示す。
【0088】
図14は、図13Aおよび13Bの結果を、市販の小型電池の最近のデータ、ならびに種々の放電率における本発明の種々の実施形態のデータと比較したものである。本図に基づいて、本手法によって表される性能包絡線は、小型電池の性能における大幅な改善を表すと考えられる。
【0089】
(実施例2)
本実施例では、その電子伝導率は、典型的には、電池材料内のイオン伝導率よりも高いため、周期的または非周期的相互貫入電極を有する3D電池が使用される。高アスペクト比の相互貫入電極は、電極間のより短いイオン拡散距離を有する一方、依然として、電極に沿ってより高い電子伝導率を利用して、電流を抽出可能である。固体状態拡散限界内では、電池容量の利用を判定し得る寸法は、電極フィーチャーの半減幅xであって、放電時間は、t=x/DLiである。
【0090】
最大2C放電率(t=1800秒)、約6乃至約30マイクロメートルの半減厚の場合、1×10−9cm/秒乃至5x10−9cm/秒の範囲となる、スピネルおよび層化構造の層状酸化物に対して表にされた室温リチウム化学拡散係数(DLi)の使用は、有用である。これらの動力学およびその粒子寸法の制限は、電池分野において周知であって、LiCoOは、典型的には、5乃至10マイクロメートル寸法の粒子として使用される一方、LiMnは、より高く、また、等方性のリチウム拡散係数を有し、約25マイクロメートルの粒子の使用が可能となる。一方、LiFePOは、高エネルギーおよび電力に対し、<100nmの粒子寸法を必要とする非常に低いリチウム拡散係数を有する。LiTiOiは、この点に関して、LiFePOと類似する。そのような材料は、好適な電解質によって充填される、微細規模の多孔性材料として使用され得る。LiCoOおよびLiMn、ならびに関連層化酸化物およびスピネル化合物の場合、10マイクロメートル乃至30マイクロメートルの総電極寸法が望ましい場合がある。また、任意の網状化構造の場合、フィーチャーサイズが小さいほど、電解質/分離体、結合剤および/または伝導性添加剤によって占有される不活性体積が大きくなる。図13および14に座標化された結果は、これらの材料が、Li金属、Li合金、または炭素系電極等の低リチウム電位アノードと組み合わせて、提案された電極寸法において所望のエネルギー密度を有することを示す。
【0091】
非平面形状因子の場合、マイクロ電池の加工の際の第2の問題は、電極アスペクト比またはフィーチャー高である。最近、種々のリソグラフィ系プロセスを使用して、3D電極が加工されているが、これらの実験は、制御されたテーパを伴う、高アスペクト比フィーチャーを加工するためのその適合性のため、レーザマイクロマシニングに焦点を当てている。図4は、これらの2つの幾何学的パラメータ、ならびに他方の電極に対して制御された細孔分率における設計能力を示す。図4Aは、200マイクロメートル乃至250マイクロメートルのフィーチャー幅における1.2mmの高さを示し、図4Bおよび4Cは、テーパを制御する能力を示す。上述のように、レーザマイクロマシニングの空間分解能は、材料の熱伝導率によって、判定可能である。一実施例として、緻密化されたLiMnに関する予備レーザマシニング結果は、所望の断面寸法において、5:1乃至20:1のアスペクト比を有する3D電極を加工可能であることを示す。
【0092】
高過ぎるアスペクト比は、電子分極(電極に沿った電圧降下)の観点から、ある場合には、例えば、薄断面の非常に網状化された電極においては、望ましくない場合がある。室温において電子伝導率>10−3S/cmを有する、LiCoOおよびLiMnならびに関連組成の場合、これらのアスペクト比における電圧降下は、無視可能である(<0.1V)。
【0093】
単一集束光線によるレーザマシニングは、手法の1つであって、個々に加工されたデバイスをもたらすが、また、酸化物「ウエハ」(例えば、熱間加圧成形によって生成される)から多くの同時デバイスを生成可能な加工方法への拡張も可能である。レーザマシニングは、例えば、拡散光線および物理的マスクを使用することによって、拡張の1つの選択肢として残る。しかしながら、また、深堀反応性イオンエッチング等のMEMS加工において使用される他の方法も可能である。
【0094】
電解質層は、LiPONであり得る。LiPONは、薄膜電解質であって、1マイクロメートル乃至2マイクロメートル厚において、低インピーダンス、高速、低自己放電電解質を提供する。加工された3D電極構造は、LiPONによってスパッタ可能である。LiPON被覆率の均一性は、他方の電極の堆積後、電子顕微鏡および電気試験によって、評価可能である。
【0095】
LiPONの代替例は、PEO系組成等の固体ポリマー電解質(SPE)の電着または高分子電解質多層手法である。電気泳動的に形成された電池に関する最近の研究は、電着がPEO系電解質のための効果的なコンフォーマルな堆積技術であることを示す。10−5S/cm乃至10−4S/cmの典型的室温伝導率の場合、電解質は、限定されるわけではないが、数マイクロメートル厚である。
【0096】
他方の電極の選択および堆積は、以下のように行なわれてもよい。3Dマイクロ加工構造は、上述の電子伝導率の理由から、正極から形成され得る。セル均衡を達成するように設計されるセル構造に電解質膜の堆積後に細孔空間を充填する負極の場合、リチウム合金LiAl等のリチウム金属、または黒鉛系懸濁液が使用可能である。MCMB等の黒鉛系アノードは、従来のリチウムイオンアノードと同様に配合され得るが、液体電解質の不在下では、SPEは、結合剤相として使用可能である。これらの懸濁液を使用して、電解質コーティング3D構造内の細孔空間を浸潤可能である。
【0097】
0.5mm乃至1mm厚のリチウム金属の堆積の場合、リチウム金属の低融解点(181°C)を考慮すると、液体金属浸潤を使用して、3D構造を充填することは興味深いであろう。困難点は、他の液体金属同様、リチウムは、高表面張力を有し、容易に、酸化物またはポリマーを湿潤させないことである。したがって、本実施例では、「フラックスおよびはんだ」方法が使用され、それによって、液体リチウムは、酸化物表面を湿潤することが可能である。最初に、Au等のLiと合金となる金属の薄層をスパッタリングすることによって、スパッタされた表面の反応性湿潤が容易に生じる。これは、種々の構成および種々の放電率とともに図15に示されるように、ガラス表面上で実証された。したがって、電解質表面に適用されるスパッタされた金属層を使用して、リチウム金属によるその後の浸潤を可能にし、3D電極構造を充填する(図11)。堆積されるリチウム金属の量を制御するために、液体リチウムは、シリンジを通してか、または表面リン酸塩層によって不動態化され、空気およびある有機溶媒中での処理を可能にする、FMC corporationから利用可能な固体リチウム金属粉末(SLMP)を分注し、次いで融解するように、分注され得る。
【0098】
また、他方の電極の選択および堆積のために、組み立て方法として、自己組織化が使用され得る。双極デバイスのためのコロイド規模の自己組み立て方法が使用され得、異種材料間の斥力が使用され、電気化学的接合を形成するのと同時に、同種材料間の引力を使用して、単一電極材料の浸透性伝導性網状組織を形成する。本手法の実証は、図12に示され、浸透性網状組織は、MCMBである。本3Dは、低伝導性材料から高密度かつ連続的3D電極を形成する。
【0099】
薄膜電池を含む、マイクロ電池技術における困難点の1つは、最小の寄与体積の有効な密閉パッケージングの開発である。本実施例の3D設計は、上表面以外の全部で密閉シーリングのために緻密化酸化物を使用する(図11)。したがって、電池の最終シーリングは、好適なパッケージング材料の上側からの堆積によって、達成可能である。パリレン系パッケージング材料(その上側は、典型的には、密封のために、金属膜がスパッタされる)が使用され得、または物理的気相方法による高密度絶縁酸化物コーティングが使用され得る。
【0100】
(実施例3)
本実施例では、液体電解質が注入される、0.5mmを上回る最小断面寸法のLiCoOの多孔性焼結電極は、驚くことに、かつ予想外に、電気化学的に循環される一方、最小容量低下および電極への明白な有害な機械的損傷がなく、C/20の速度で、少なくとも20サイクルにわたって、利用可能なイオン貯蔵容量のほぼ全部を得ることが可能であることが示される。これは、そのような電極が、本発明のある電池内で効果的に使用可能なことを示す。
【0101】
10.7マイクロメートルd50粒子サイズを有するSeimi Corporation(日本)から市販の電池級LiCoO粉末を、空気中1100°Cで加圧および焼成し、LiCoOの理論密度の約85%を有する多孔性焼結セラミックを形成した。一事例では、図8Aおよび8Bに示されるように、0.66mm厚を有する本電極の板が調製された。本電極板は、金箔電流コレクタに付着され、他方の電極としてのリチウム金属箔、負極における銅電流コレクタ、20マイクロメートル厚の多孔性ポリマー分離体、および炭酸アルキルの混合物中1.33M濃度のLiPFを有する液体電解質を使用して、シールされたポリマーパウチセル内での試験のために組み立てられた。
【0102】
図16Aは、本セルの6回および7回目の充電/放電サイクルを示す。充電プロトコルとして、4.3Vの上限電圧までのC/20の速度における定電流を使用し、その後、電流がC/100の速度まで減衰するまで定電圧保持を続け、その後、開回路休止し、その後、2.5Vまでの定電流放電を続けた。図16Bは、C/20放電率、その後、C/5および1Cの速度における放電における、20サイクルにわたって観察された充電および放電容量を示す。C/20の放電容量は、約130mAh/gであって、本質的に、標準化試験における本電圧範囲にわたって、本LiCoOに対して観察された値と同一であった。これは、本多孔性電極が、C/20の速度において、リチウム貯蔵容量のほぼ全部を受容および放電可能であったことを示す。C/5の速度においてさえ、容量は、90mAh/gを上回った。さらに、C/20の速度での20サイクルにわたって、容量低下はほとんどなかった。本電極が、上述の構造および方法に従って、マイクロ電池として完全にパッケージ化される場合、体積は、6.4mmであって、測定されたカソード性能に基づいて推定されるエネルギー密度は、954Wh/Lである。
【0103】
驚くことに、図9に示されるように、本試料は、本電気化学的試験後、機械的破壊の明白な兆候を示さなかったことが認められた。
【0104】
他の事例では、図2および7に示される電極は、レーザマイクロマシニングを使用して、同じ出発焼結セラミックから生成され、試験セル内に組み込まれ、同様に、電気化学的に試験された。これらの試験電極は、図16の電極と類似電気化学的性能を示した。完全にパッケージ化された形状におけるこれらの電極のそれぞれの電気化学的試験に基づいて、図2の電極は、5.72mmの体積および1022Wh/Lのエネルギー密度の電池を生成する一方、図7の電極は、5.74mmの体積および1300Wh/Lの電池を生成する。
【0105】
(実施例4)
本実施例では、液体電解質が注入される、オリビン型リチウム遷移金属リン酸塩の多孔性焼結電極は、驚くことに、かつ予想外に、電気化学的に循環される一方、最小容量低下とともに、C/10の速度で、少なくとも30サイクルにわたって、利用可能なイオン貯蔵容量のほぼ全部を得ることが可能であることが示される。これは、そのような電極が、本発明のある電池内で効果的に使用可能なことを示す。
【0106】
Nbドープナノスケールリン酸鉄リチウム材料の粉末を、米国特許出願公開第2004/00055265号として2004年1月8日に公開されたChiangらによる2002年12月23日出願の米国特許出願第10/329,046号「Conductive Lithium Storage Electrode」(参照することによって、本明細書に組み込まれる)に記載のように、20,000psi(1psi=6.89475キロパスカル)の圧力で、1/2インチの円盤に一軸的に加圧し、Ar雰囲気中で2時間、775°Cの環状炉内で焼結した。
【0107】
焼結後、走査電子顕微鏡を使用して材料を観察すると、100−200nmの主要粒子サイズを有していた。円盤の密度をアルキメデス法によって測定すると、72%であった。円盤を、5ミクロンの砂粒サイズの炭化ケイ素研磨紙を使用して、0.305mm厚に研磨し、ダイヤモンドワイヤーソーを使用して、3.48mm×2.93mm×0.305mmの長方形寸法に切断した。試料重量は、7.3mgであった。試料を、他方の電極および基準電極の両方として、150マイクロメートルLi箔(直径7/16″インチ)を使用するSwagelok継手を使用して作製された電気化学的試験セル内に、正極として組み立てた。Celgard 2320(直径1/2″インチ)は、分離体として使用した。炭酸アルキルの混合物中1.33M濃度のLiPFを有する液体電解質が使用された。セルは、最初のサイクルではC/20で、その後の全サイクルではC/10で、定電流的に充電された。全放電率は、別途指示がない限り、C/10である。電圧窓は、2Vと4.2Vとの間であった。
【0108】
図17Aは、焼結ドープオリビン型リン酸塩を備える、カソードに対するサイクル数の関数として、比容量を示し、40サイクルにわたって、容量低下がほとんどなかったことを示す。図17Bは、カソードの30回目の定電流充電/放電サイクルの電圧対時間を示す。カソードは、72%の密度を有し、0.305mm厚であった。これらの結果は、本発明の焼結カソードは、本発明の電池内で有用に採用可能であることを実証する。
【0109】
(実施例5)
本実施例は、その上に高密度固体電解質膜がコンフォーマルに堆積される焼結多孔性電極と、それが本発明のある実施形態の電池内の電極として使用可能であることを実証する。10−11マイクロメートルの平均粒子サイズを伴うLiCoO粉末は、商業ベンダから購入した。35gの粉末を、ジルコニア粉砕ボールを使用して、ジルコニアジャーミル内で5日間、粉砕した。粉砕後、平均粒子直径は、4−5マイクロメートルとなった。3.5gの粉砕された粉末を、一軸加圧器内で、100MPaの圧力下、1/2インチの直径の小球(約1.27cm)に加圧した。小球をアルミナ板上に載置し、遊離LiCoO粉末で覆い、反転されたアルミナジャーで覆い、950°Cで1.5時間、空気下で焼結した。緻密化円筒形小球を回収し、0.8mm厚の円盤にスライスした。
【0110】
LiCoO円盤の1つは、同時に、0.4−0.5mm厚まで薄くし、1.0マイクロメートルまで、炭化ケイ素研磨パッドを使用して、さらに細かい砂粒サイズの鏡状の仕上げになるまで研磨した。円盤をアルミナ板上に付着させ、2.2mm×2.2mmの正方形にさいの目に切断した。正方形を金属固定具内に装填し、特注真空蒸着チャンバ内に載置した。数時間以内に、各正方形の露出上表面を、その虹色によって肉眼でも見える〜0.5マイクロメートル厚のリチウムリン酸窒化物(LiPON)コーティングでコーティングした。コーティングされた電極を組み立て、実施例4に記載のような電気化学的セル内で試験した。
【0111】
図18は、走査電子顕微鏡画像であって、連続的コンフォーマルなLiPONコーティングを示す。図19は、定電流循環において、そのような膜は、コーティングされていない電極と比較して、ほとんど付加的抵抗を示さないことを示す。
【0112】
(実施例6)
本実施例は、本発明のある焼結多孔性電極を使用して作製された、高エネルギー密度パッケージ化マイクロ電池を実証する。本特定の実施例では、以下の手技を使用して作製された2つのマイクロ電池について記載する。焼結多孔性LiCoO電極(2.20mm×2.20mm×0.37mm)を、実施例3に記載のように作製され、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、気相成長炭素繊維(VGCF)、および高表面積カーボンブラックから成る伝導性ペーストを使用して、図20に示される電鋳金缶(2.5mm×2.5mm×0.7mm)内に配置した。Celgard 2320分離体を、可視光硬化糊Loctite 3972を使用して、缶のフランジの3辺に糊付した。Liの小片を、缶の上側に適合するように切断された10マイクロメートル厚の銅箔蓋上に配置し、100°Cで20分間加熱した。小型の針を使用して、Liの周囲に4つの孔を穿刺し、液体電解質によるその後の浸潤を可能にした。銅箔蓋を、リチウム金属負極が缶の開放上側に向くような状態で、Loctite 3972を使用して、分離体の同3辺に糊付した。セル全体を実施例3に記載の種類の液体電解質中に24時間浸漬し、次いで、定電流的に、C/12の速度で4.6Vまで充電し、C/2.7の速度で3Vまで放電した。
【0113】
図21は、両セルが4.6Vまで円滑に充電可能であることを示す。図22は、最初の放電において、両セルが、約200W/Lの電力で、それぞれ、676Wh/Lおよび658Wh/Lの高エネルギー密度を示したことを示す。第1のサイクル後、過剰電解質をセルの表面から洗浄し、電解質浸潤孔をLoctite 3972を使用してシールした。次いで、セルの全表面をHardman高速3分硬化エポキシ樹脂によってシールし、さらに試験を行った。図23は、セルのうちの1つの最初の4サイクルの間のカソードの比容量を示す。最初のサイクルと同一電流下における第2および第3回目の放電では、容量およびエネルギーが減少したが、依然として、非常に高いままであった。4回目のサイクルは、C/12の速度で行なわれ、約100mAh/gにセルの容量が減少したことを示す。本挙動は、4.6Vに充電されたLiCoOの文献内で報告された挙動に対応し、本発明のマイクロ電池内の焼結カソードが、高エネルギー密度マイクロ電池を調製するために使用可能であることを示す。
【0114】
(実施例7)
本実施例は、本発明のある実施形態に従って作製された高エネルギー密度バイセル電池を実証する。焼結LiCoO電極は、実施例5の方法に従って作製され、2つの0.8mm厚の円盤にスライスし、次いで、0.4mm厚まで薄くし、3マイクロメートルまで、炭化ケイ素研磨パッドを使用して、さらに細かい砂粒サイズの鏡状の仕上げになるまで研磨した。
【0115】
円形のLiCoOに一致して幅広端部サイズのアルミニウム電流コレクタ細片を、35マイクロメートル厚のアルミニウム箔から切り出した。幅広端部を、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、気相成長炭素繊維(VGCF)、および高表面積カーボンブラックから成る伝導性ペーストの薄層によってコーティングした。伝導性ペーストを使用して、LiCoO円盤を電流コレクタ細片に付着させた。最初に、細片を1時間空気乾燥し、次いで、90℃で12時間真空乾燥させた。乾燥後、LiCoO円盤は、アルミニウム細片にしっかりと結合されていることが認められた。付着されたLiCoO円盤を伴う細片の一端を、液体電解質混合物中に12時間浸漬し、浸潤を確保した。
【0116】
リチウム負極を150マイクロメートル厚のリチウムシートから切り出し、円盤カソードのサイズに一致させた。これらのリチウム片を、負電流コレクタとして作用する10 m厚の銅箔の両辺上に圧接した。
【0117】
図24A−24Cに示される電気化学的バイセルは、正極および負極(その2つを分離するCelgard 2320分離体の層を伴う)と、電極アセンブリの周囲に加熱シールされたポリマーパッケージングとから構築した。いくつかの付加的液体電解質が、真空シーリングの前に、セルに追加された。図24は、バイセルが、4.3V乃至2.5Vで充電および放電され得るが、同等サイズ(例えば、体積約0.5cm)の他のリチウムイオンセルと比較して、それぞれ、275Wh/Lおよび213Wh/kgの高エネルギー密度および特定のエネルギーを呈したことを示す。
【0118】
本願明細書では、本発明のいくつかの実施形態が説明および図示されたが、当業者は、本願明細書に記載の機能を実行するため、ならびに/あるいは結果および/または1つ以上の利点を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想定されるであろうが、そのような変形例および/または修正例はそれぞれ、本発明の範囲内にあるものとみなされる。より一般的には、当業者は、本願明細書に記載の全パラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される単一または複数の特定の用途に依存するものであることを容易に理解されよう。当業者は、単にルーチン実験を使用して、本願明細書に記載の本発明の特定の実施形態には多くの同等物があることを認識または確認することが可能であろう。したがって、上述の実施形態は、一例として示されたものに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内において、本発明が特に記載および主張されたものとは異なって実行される場合もあると理解されたい。本発明は、本願明細書に記載の個々のフィーチャー、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、そのようなフィーチャー、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾していなければ、2つ以上のこのようなフィーチャー、システム、物品、材料、キット、および/または方法のあらゆる組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【0119】
本願明細書において定義および使用される全定義は、辞書的定義、参照することにより組み込まれた文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されたい。
【0120】
本願明細書および請求項に使用される単数形(不定冠詞:「a」および「an」)は、特に明示されている場合を除き、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されたい。
【0121】
本願明細書および請求項で使用する場合、「および/または」という成句は、そのように結合した要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合では結合的に存在し、他の場合では分離的に存在することを意味するものと理解されたい。「および/または」とともに羅列された複数の要素は、同じように解釈、すなわち、要素の「1つ以上」がそのように結合しているものとして解釈されたい。特に定義された要素に関係するかしないかに関わらず、「および/または」の節によって特に識別された要素以外に、状況に応じて他の要素が存在する場合がある。したがって、非限定的な例として、「〜を含む」のようなオープンエンドの語と関連して使用される場合、「Aおよび/またはB」という記述は、一実施形態では、Aのみ(状況に応じてB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(状況に応じてA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AとBの両方(状況に応じて、他の要素を含む)等を指すことができる。
【0122】
明細書および請求項で使用する場合、「または」は、上記で定義した「および/または」と同じ意味を有するものと理解されたい。例えば、アイテムをリストに分類したときに、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、複数の要素またはリスト内の要素の少なくとも1つを含むだけでなく、2つ以上を含み、状況に応じて、リストされていないアイテムも含むものと解釈されたい。「〜の1つ」または「〜の1つだけ」、明細書で使用されるときは「〜から成る」のような明確な指示のある用語のみが、複数の要素またはリスト内の要素の1つだけを含むことを示すことになる。一般的に、本願明細書で使用される場合、「または」という用語は、「いずれか」、「〜の1つ」、「〜の1つのみ」、「〜の1つだけ」のような排他的な用語が後にあるときには、排他的な選択肢(すなわち、「両方ではなくどちらか一方」)を示すものとしてのみ解釈されたい。請求項で使用されるときには、「〜のみから実質的に成る」は、特許法の分野において使用されるような一般的な意味を有するものとする。
【0123】
明細書および請求項で使用する場合、1つ以上の要素のリストを参照したときの「少なくとも1つの」という成句は、要素リスト内のいずれか1つ以上から選択した少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素リスト内に具体的に羅列されたあらゆる要素の少なくとも1つを含むとは限らず、また、要素リスト内の要素のあらゆる組み合わせを除外しないものと理解されたい。本定義は、特に定義された要素に関係するかしないかに関わらず、「少なくとも1つの」という成句が参照する要素リスト内に特に識別された要素以外の要素が、状況に応じて存在する場合があることも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも1つ」、あるいは「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、状況に応じて1つ以上を含む、A、Bが存在しない(および状況に応じてB以外の要素を含む)こと、別の実施形態では、少なくとも1つ、状況に応じて1つ以上を含む、B、Aが存在しない(および状況に応じてA以外の要素を含む)こと、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、状況に応じて1つ以上を含む、A、および少なくとも1つ、状況に応じて1つ以上を含む、B(および状況に応じて他の要素を含む)こと等を指すことができる。
【0124】
また、特に明示されている場合を除き、2つ以上のステップまたは動作を含む、本願明細書に請求されたあらゆる方法において、本方法のステップまたは動作の順序は、必ずしも本方法のステップまたは動作が列挙された順序に限定されるものではないと理解されたい。
【0125】
上述の請求項および明細書において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「包含する」、「伴う」、「保持する」、「〜から成る(composed of)」等のような全ての移行句は、オープンエンドであり、すなわち、それらを含むがそれらに限定されないことを意味するものと理解されたい。米国特許庁の米国特許審査手続便覧(セクション2111.03)に記載されているように、「〜から成る(consisting of)」、「〜から実質的に成る(consisting essentially of)」という移行句のみ、それぞれクローズドまたはセミクローズド移行句とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結セラミックから形成され、約50%以下の多孔率を有し、細孔の少なくとも一部は、液体またはポリマーである電解質によって充填される、電極
を備える、物品。
【請求項2】
セラミック複合体から形成され、約50%以下の多孔率を有し、細孔の少なくとも一部は、液体またはポリマーである電解質によって充填される、電極
を備える、物品。
【請求項3】
前記ポリマーは、ブロックコポリマーである、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーは、リチウム伝導性である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記電極は、リチウムイオンによって浸潤されると、約20%未満の線形ひずみ差を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項6】
前記電極は、リチウムイオンによって浸潤されると、約2%未満の線形ひずみ差を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項7】
前記電極は、線形ひずみ差約1%未満を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項8】
前記電極上に配置される非多孔性電解質をさらに備える、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項9】
前記多孔率は、約30%以下である、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項10】
前記多孔率は、約20%以下である、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記多孔率は、15%以下である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記セラミックは、LiCoOを備える、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項13】
前記セラミックは、本質的に、LiCoOから成る、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記細孔を充填する電解質は、LiPFを備える、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
前記細孔を充填する電解質は、ポリエチレンオキシドを備える、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項16】
前記非多孔性電解質は、LiPONを備える、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項17】
前記物品は、電池である、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項18】
前記電池は、少なくとも約200Wh/lの貯蔵密度を有する、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記電池は、少なくとも約400Wh/lの貯蔵密度を有する、請求項17に記載の物品。
【請求項20】
前記物品は、約10mm以下の体積を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項21】
前記物品は、約5mm以下の体積を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項22】
前記電解質は、ポリマー電解質である、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項23】
前記電解質は、堆積された膜である、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項24】
前記電解質は、無機電解質である、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項25】
前記セラミックは、表面およびバルクを有し、該表面は、該バルクよりも小さい多孔率を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項26】
前記セラミックは、少なくとも約0.2mmである最小寸法を有する、請求項1または2のいずれかに記載の物品。
【請求項27】
前記セラミックは、少なくとも約0.4mmである最小寸法を有する、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記セラミックは、少なくとも約0.6mmである最小寸法を有する、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記セラミックは、少なくとも約0.8mmである最小寸法を有する、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
前記セラミックは、少なくとも約1.0mmである最小寸法を有する、請求項29に記載の物品。
【請求項31】
前記セラミックは、少なくとも約1.5mmである最小寸法を有する、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記セラミックは、少なくとも約2.0mmである最小寸法を有する、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
アノード全体と、電解質と、カソード全体とを備え、約10mm以下の体積および少なくとも約200Wh/lのエネルギー密度を有する、電池
を備える、物品。
【請求項34】
前記電池は、約5mm以下の体積を有する、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
前記電池は、少なくとも約400Wh/lの体積を有する、請求項33に記載の物品。
【請求項36】
前記エネルギー密度は、少なくとも約800Wh/lである、請求項33に記載の物品。
【請求項37】
前記エネルギー密度は、少なくとも約1200Wh/lである、請求項36に記載の物品。
【請求項38】
前記エネルギー密度は、少なくとも約1600Wh/lである、請求項37に記載の物品。
【請求項39】
前記カソードは、セラミックである、請求項33に記載の物品。
【請求項40】
前記カソードは、焼結セラミックである、請求項39に記載の物品。
【請求項41】
前記焼結セラミックは、表面およびバルクを有し、該表面は、該バルクよりも小さい多孔率を有する、請求項40に記載の物品。
【請求項42】
前記焼結セラミックは、少なくとも約0.2mmである最小寸法を有する、請求項40に記載の物品。
【請求項43】
前記カソードは、セラミック複合体である、請求項33に記載の物品。
【請求項44】
前記カソードは、LiCoOを備える、請求項33に記載の物品。
【請求項45】
前記カソードは、本質的に、LiCoOから成る、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
前記電解質は、非多孔性である、請求項33に記載の物品。
【請求項47】
前記電解質は、LiPONを備える、請求項33に記載の物品。
【請求項48】
前記電池は、約1mm以下の体積を有する、請求項33に記載の物品。
【請求項49】
少なくとも約1000Wh/lのエネルギー密度を有する、再充電可能電池
を備える、物品。
【請求項50】
前記エネルギー密度は、少なくとも約1200Wh/lである、請求項49に記載の物品。
【請求項51】
前記エネルギー密度は、少なくとも約1600Wh/lである、請求項50に記載の物品。
【請求項52】
前記電池は、アノード全体と、電解質と、カソード全体とを備え、約10mm以下の体積を有する、請求項49に記載の物品。
【請求項53】
前記カソードは、セラミックである、請求項52に記載の物品。
【請求項54】
前記カソードは、焼結セラミックである、請求項53に記載の物品。
【請求項55】
前記焼結セラミックは、表面およびバルクを有し、該表面は、該バルクよりも小さい多孔率を有する、請求項54に記載の物品。
【請求項56】
前記焼結セラミックは、少なくとも約0.2mmである最小寸法を有する、請求項54に記載の物品。
【請求項57】
前記カソードは、セラミック複合体である、請求項52に記載の物品。
【請求項58】
前記カソードは、LiCoOを備える、請求項52に記載の物品。
【請求項59】
前記カソードは、本質的に、LiCoOから成る、請求項58に記載の物品。
【請求項60】
前記電解質は、非多孔性である、請求項52に記載の物品。
【請求項61】
前記電解質は、LiPONを備える、請求項52に記載の物品。
【請求項62】
前記電池は、約1mm以下の体積を有する、請求項52に記載の物品。
【請求項63】
C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能な焼結セラミックから形成される、電極
を備える、物品。
【請求項64】
C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能なセラミック複合体から形成される、電極
を備える、物品。
【請求項65】
C/20の放電の少なくとも20サイクル後も、前記電極は、亀裂が無いままであることが可能である、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項66】
前記セラミックは、約20%未満の線形ひずみ差を有する、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項67】
前記セラミックは、約2%未満の線形ひずみ差を有する、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項68】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項69】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項70】
前記電極は、実質的に平面である、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項71】
前記電極は、複数の突起を備える、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項72】
前記電極は、壁を備える、請求項63または64のいずれかに記載の物品。
【請求項73】
LiCoOを備える焼結セラミックから形成される、マイクロ加工電極
を備える、物品。
【請求項74】
LiCoOを備えるセラミック複合体から形成される、マイクロ加工電極
を備える、物品。
【請求項75】
前記電極は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能である、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項76】
前記セラミックは、約20%未満の線形ひずみ差を有する、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項77】
前記セラミックは、約2%未満の線形ひずみ差を有する、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項78】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項79】
前記電極は、実質的に平面である、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項80】
前記電極は、複数の突起を備える、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項81】
前記電極は、壁を備える、請求項73または74のいずれかに記載の物品。
【請求項82】
多孔性焼結セラミックから形成される、マイクロ加工電極を備える
物品。
【請求項83】
多孔性セラミック複合体から形成される、マイクロ加工電極を備える
物品。
【請求項84】
前記電極は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能である、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項85】
前記セラミックは、約20%未満の線形ひずみ差を有する、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項86】
前記セラミックは、約2%未満の線形ひずみ差を有する、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項87】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項88】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項89】
前記電極は、実質的に平面である、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項90】
前記電極は、複数の突起を備える、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項91】
前記電極は、壁を備える、請求項82または83のいずれかに記載の物品。
【請求項92】
約20%未満の線形ひずみ差を有する焼結セラミックから形成される、マイクロ加工電極
を備える、物品。
【請求項93】
約20%未満の線形ひずみ差を有するセラミック複合体から形成される、マイクロ加工電極
を備える、物品。
【請求項94】
前記線形ひずみ差は、約15%未満である、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項95】
前記線形ひずみ差は、約10%未満である、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項96】
前記線形ひずみ差は、約5%未満である、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項97】
前記線形ひずみ差は、約3%未満である、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項98】
前記電極は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能である、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項99】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項100】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項101】
前記電極は、実質的に平面である、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項102】
前記電極は、複数の突起を備える、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項103】
前記電極は、壁を備える、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項104】
前記セラミックは、約20%未満の線形ひずみ差を有する、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項105】
前記セラミックは、約2%未満の線形ひずみ差を有する、請求項92または93のいずれかに記載の物品。
【請求項106】
基部と、該基部から離れて少なくとも約50マイクロメートル延在する複数の突起とを有し、
該突起の少なくとも一部は、LiCoOを備え、該突起の実質的に全部が、表面およびバルクを有し、該バルクの実質的に全部が約25マイクロメートル以下該表面から離れるように作られる、
電極と、
該突起の表面上に配置される非多孔性電解質と
を備える、物品。
【請求項107】
前記突起の少なくとも一部は、本質的に、LiCoOから成る、請求項106に記載の物品。
【請求項108】
前記突起の実質的に全部は、前記バルクの実質的に全部が約10マイクロメートル以下前記表面から離れるように作られる、請求項106に記載の物品。
【請求項109】
前記電極は、多孔性である、請求項106に記載の物品。
【請求項110】
基部および該基部から延在する複数の突起と、
該基部から延在し該複数の突起を囲む壁と
を備える電極、を備え、
該突起および該壁は、単一材料から形成される、物品。
【請求項111】
前記電極は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能である、請求項110に記載の物品。
【請求項112】
前記セラミックは、約20%未満の線形ひずみ差を有する、請求項110に記載の物品。
【請求項113】
前記セラミックは、約2%未満の線形ひずみ差を有する、請求項110に記載の物品。
【請求項114】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項110に記載の物品。
【請求項115】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項110に記載の物品。
【請求項116】
前記電極は、多孔性である、請求項110に記載の物品。
【請求項117】
一表面上に、複数の突起と、該複数の突起を囲む壁とを備え、レーザマイクロマシニングを使用して形成される、電極
を備える、物品。
【請求項118】
前記電極は、C/20の速度で、少なくとも6充電/放電サイクル後も、その初期貯蔵容量の少なくとも約50%を保有可能である、請求項117に記載の物品。
【請求項119】
前記セラミックは、約1%未満の線形ひずみ差を有する、請求項117に記載の物品。
【請求項120】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項117に記載の物品。
【請求項121】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項117に記載の物品。
【請求項122】
前記電極は、多孔性である、請求項117に記載の物品。
【請求項123】
一表面上に、複数の突起と、該複数の突起を囲む壁とを備える電極を、単一材料から加工するステップ
を含む、方法。
【請求項124】
電極を加工するステップは、マイクロマシニングを使用するステップを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
電極を加工するステップは、レーザマイクロマシニングを使用するステップを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
前記単一材料は、LiCoOを備える、請求項123に記載の方法。
【請求項127】
前記単一材料は、本質的に、LiCoOから成る、請求項123に記載の方法。
【請求項128】
少なくとも約3:1のアスペクト比および少なくとも約2:1のピッチを有する、複数の突起を有し、レーザマイクロマシニングを使用して形成される、電極
を備える、物品。
【請求項129】
前記電極および前記基部は、単一である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
前記アスペクト比は、少なくとも約5:1である、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
前記ピッチは、少なくとも約3:1である、請求項128に記載の方法。
【請求項134】
少なくとも約3:1のアスペクト比および少なくとも約2:1のピッチを有する、複数の突起を有し、単一材料から形成される、電極
を備える、物品。
【請求項135】
前記電極は、LiCoOを備える、請求項134に記載の物品。
【請求項136】
前記電極は、本質的に、LiCoOから成る、請求項134に記載の物品。
【請求項137】
前記アスペクト比は、少なくとも約5:1である、請求項134に記載の物品。
【請求項138】
前記ピッチは、少なくとも約3:1である、請求項134に記載の物品。
【請求項139】
Li金属が湿潤しないLi含有基板を提供するステップと、
金属層を該基板上に堆積するステップと、
Li金属を該金属層に添加するステップであって、該Liは、該金属層と反応し、該表面を湿潤させる、ステップと
を含む、方法。
【請求項140】
前記基板は、セラミックである、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記基板は、LiCoOを備える、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
前記金属層は、金を備える、請求項139に記載の方法。
【請求項143】
前記金属層は、本質的に、金から成る、請求項139に記載の方法。
【請求項144】
前記Li金属は、電池用電極である、請求項139に記載の方法。
【請求項145】
前記電池は、焼結された他方の電極をさらに備える、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記基板は、網状化される、請求項139に記載の方法。
【請求項147】
前記基板は、リチウム伝導性電解質である、請求項139に記載の方法。
【請求項148】
金属または半金属電極と、
該リチウム金属電極と接触する非多孔性電解質と、
該非多孔性電解質と接触する多孔性焼結電極と
を備える、物品。
【請求項149】
前記電極は、リチウムを備える、請求項148に記載の物品。
【請求項150】
前記電極は、本質的に、リチウムから成る、請求項148に記載の物品。
【請求項151】
前記電極は、多孔性である、請求項148に記載の物品。
【請求項152】
前記電極は、非多孔性である、請求項148に記載の物品。
【請求項153】
前記電極は、B、Al、Ag、Au、Bi、Ge、Sn、Si、および/またはZnから成る群から選択される、1つ以上の半金属を備える、請求項148に記載の物品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【公表番号】特表2010−528424(P2010−528424A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509394(P2010−509394)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/006604
【国際公開番号】WO2008/153749
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】