電池およびセンターピン
【課題】外力に押し潰された場合に、より確実に電極間を短絡させることができる、安全性の向上した電池を提供する。
【解決手段】正極と負極とをセパレータを介して積層し、渦巻き状に巻くことにより作製された巻回体の中心に、センターピン30が挿入されている。センターピン30は、長手方向に二つ以上、好ましくは二つまたは三つの分割部31を有している。各分割部31は円筒状であり、長手方向に切れ目32を有している。外部からの力で押し潰された場合に、分割部31の端部31A,切れ目32および端部31Aと切れ目32との交差する角部31Cなどが突出し、確実に短絡を発生させる。
【解決手段】正極と負極とをセパレータを介して積層し、渦巻き状に巻くことにより作製された巻回体の中心に、センターピン30が挿入されている。センターピン30は、長手方向に二つ以上、好ましくは二つまたは三つの分割部31を有している。各分割部31は円筒状であり、長手方向に切れ目32を有している。外部からの力で押し潰された場合に、分割部31の端部31A,切れ目32および端部31Aと切れ目32との交差する角部31Cなどが突出し、確実に短絡を発生させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の正極、セパレータおよび負極を含む渦巻き状の巻回体の中心にセンターピンを備えた電池、およびこの電池に用いられるセンターピンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これらの電子機器のポータブル電源として用いられている電池、特に二次電池はキーデバイスとして、エネルギー密度の向上を図る研究開発が活発に進められている。中でも、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるので、その改良に関する検討が各方面で行われている。
【0003】
リチウムイオン二次電池には様々な形状のものが開発されているが、その一つに、正極と負極とをセパレータを間にして積層して渦巻き状に巻き、その巻回中心に金属よりなるセンターピンを挿入したものがある(例えば、特許文献1参照。)。従来、このセンターピンは、例えば図23に示したような管状の本体131の軸方向に切れ目132を有している。電池に外力が加わると、本体131が押し潰され、その結果切れ目132の縁が外側に開き、その開いた部分がセパレータを貫通して正極と負極との間を短絡させる。これにより、電池反応を阻止して、発電機能を安全に喪失させようとするものである。
【0004】
従来では、どのような方向から力が加わっても電極間の短絡が生じるように、例えば、センターピンに対して切れ目と平行に複数の溝を設けたり、あるいは切れ目の縁を波形にしたものがある(例えば特許文献2参照)。また、センターピンの表面に螺旋状に凹部を設けたり、センターピンをコイルバネにより構成することにより、広範囲にわたって短絡を発生しやすくすることなども提案されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平4−332481号公報
【特許文献2】特開平8−255631号公報
【特許文献3】特許第3178586号明細書
【特許文献4】特開平8−273697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来構造のセンターピンを用いた二次電池では、外力により押し潰された場合の切れ目部分での変形が十分ではなく、正極と負極とを確実に短絡させることができないという問題があり、より確実に電極間を短絡させて安全性を確保するための有効な手段が望まれている。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外力に押し潰された場合に、より確実に電極間を短絡させることができる、安全性の向上した電池、およびこの電池に用いられるセンターピンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電池は、帯状の正極集電体の面上に正極活物質層を有する正極と、帯状の負極集電体の面上に負極活物質層を有する負極とをセパレータを間にして積層し、巻回した巻回体と、巻回体の巻回中心に配置され、長手方向に二つ以上の分割部を有する管状のセンターピンとを備えたものである。
【0008】
本発明によるセンターピンは、巻回構造を有する電池の巻回中心に設けられる管状のものであって、長手方向に二つ以上の分割部を有するものである。
【0009】
本発明による電池、または本発明によるセンターピンでは、長手方向に二つ以上の分割部を有するので、外部から電池に力がかかった場合には、センターピンが押し潰されて、分割部の端部などが外側に反りかえって突出し、セパレータを貫通することにより正極と負極とが確実に短絡される。
【0010】
特に、このとき、正極に、正極集電体の巻回中心側の端部に、両面に正極活物質層が存在しない正極露出領域を設ける一方、負極に、負極集電体の巻回中心側の端部に、両面に負極活物質層が存在しない負極露出領域を設ける構成とした場合には、抵抗値の低い正極集電体と負極集電体の露出領域同士が直接に短絡されることとなり、抵抗値の高い正極活物質層を介しての短絡が生ずることがなく、正極活物質層での昇温が抑制される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池、もしくは本発明のセンターピンによれば、長手方向に二つ以上の分割部を設けたので、外部からの力で押し潰されたり折れたりした場合において正極と負極とを確実に短絡させることができ、安全性が向上する。
【0012】
特に、負極が、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含む場合には、電池のエネルギー密度が大きく、より高い安全性が求められるので、より高い効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図において各構成要素は本発明が理解できる程度の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示したものであり、実寸とは異なっている。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、巻回体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0015】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0016】
巻回体20は、正極21と負極22とをセパレータ23を間にして積層し、渦巻き状に巻回したものであり、中心にはセンターピン30が挿入されている。巻回体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード24が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード25が接続されている。正極リード24は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード25は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0017】
図2は図1に示した正極21の巻回前の断面構成を表すものである。この正極21は、帯状の正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを設けたものである。具体的には、正極集電体21Aの外周面側および内周面側に正極活物質層21Bが存在する正極被覆領域21Cを有している。加えて、この正極21では、巻回中心側の端部が正極露出領域21D、すなわち、正極集電体21Aの両面とも正極活物質層21Bが存在せずに露出している領域となっている。
【0018】
正極集電体21Aは、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0019】
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 O5 )などのリチウムを含有しない金属硫化物,金属セレン化物あるいは金属酸化物など、またはリチウムを含有するリチウム含有化合物が挙げられる。
【0020】
中でも、リチウム含有化合物は、高電圧および高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特にコバルト(Co),ニッケルおよびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧を得ることができるからである。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
【0021】
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz O2 (z<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 O4 )などが挙げられる。中でも、ニッケルを含む複合酸化物が好ましい。高い容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性も得ることができるからである。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-v Mnv PO4 (v<1))が挙げられる。
【0022】
図3は、負極22の構成を表したものである。この負極22は、帯状の負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを設けたものである。具体的には、負極集電体22Aの外周面側および内周面側に負極活物質層22Bが存在する負極被覆領域22Cと、巻回中心側の端部に、負極集電体22Aの両面とも負極活物質層22Bが存在せずに露出している負極露出領域22Dとを有している。
【0023】
負極集電体22Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。この負極集電体22Aの厚みは、例えば5μm〜50μmである。
【0024】
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じて導電材および結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。負極活物質としては、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料が挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0025】
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えばリチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。
【0026】
中でも、この負極材料としては、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。具体的には、例えば、ケイ素の単体,合金,あるいは化合物、またはスズの単体,合金,あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
【0027】
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄(Fe),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),インジウム(In),銀(Ag),チタン(Ti),ゲルマニウム(Ge),ビスマス(Bi),アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0028】
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0029】
中でも、この負極材料としては、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
【0030】
このCoSnC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素,鉄,ニッケル,クロム,インジウム,ニオブ(Nb),ゲルマニウム,チタン,モリブデン(Mo),アルミニウム(Al),リン(P),ガリウム(Ga)またはビスマスが好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
【0031】
なお、このCoSnC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このCoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
【0032】
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
【0033】
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
【0034】
負極活物質としては、また、天然黒鉛,人造黒鉛,難黒鉛化炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料を用いてもよい。炭素材料を用いれば優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。また、負極活物質としては、リチウム金属も挙げられる。負極活物質はこれらの1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
図1に示したセパレータ23は、例えばポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0036】
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、電解質塩であるリチウム塩とを含んで構成されている。溶媒は、電解質塩を溶解し解離させるものである。溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1, 2−ジメトキシエタン、1, 2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1, 3−ジオキソラン、4メチル1, 3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステルあるいはプロピオン酸エステルなどが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
リチウム塩としては、例えば、LiClO4 ,LiAsF6 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiB(C6 H5 )4 ,CH3 SO3 Li,CF3 SO3 Li,LiClあるいはLiBrが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
図4は図1に示したセンターピン30の構成を表すものであり、図5はその断面構成を表すものである。このセンターピン30は、長手方向に二つ以上の管状の分割部31を有しており、外部からの力で電池が押し潰されたり折れたりした場合において正極21と負極22とを確実に短絡させることができ、安全性を向上させることができるようになっている。
【0039】
特に、負極22が、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含む場合には、電池のエネルギー密度が大きく、より高い安全性が求められるので、より高い効果を得ることができる。
【0040】
分割部31は、例えば、薄い帯状の板を丸めて管状に成形したものであり、直径が例えば3.0mmの円筒状となっている。分割部31は互いに完全に切り離されている。各分割部31の両側の端部31Aには、後述する製造工程において上記巻回体20の中心に挿入しやすくするため傾斜部31Bが設けられている。なお、隣接する分割部31どうしは接していても離れていてもよく、巻回体20の内部に納まっていればよい。分割部31相互間の距離は特に限定されないが、必要以上に広すぎないことが望ましい。
【0041】
また、分割部31は、長手方向の一方の端部から他方の端部にかけて切れ目32を有している。この切れ目32は、例えば、後述する製造工程において薄い帯状の板を管状に丸めて分割部31を作製する際に、対向する長辺の間に隙間をあけることにより設けられたものである。切れ目32の幅は、例えば0.5mmである。
【0042】
分割部31の材質、厚みは、通常時は所定の強度を保持し、一方、外力により電池が押し潰された場合にはそれと共に潰れ、または折れる程度のものとする。具体的には、分割部31の構成材料として、例えばステンレス鋼が挙げられる。分割部31の厚みは、例えば0.05mm以上5mm以下であることが好ましい。0.05mm未満では強度が弱くなるおそれがあり、5mmよりも厚いと管状に丸めることが難しくなってしまうからである。
【0043】
センターピン30は、このような分割部31を、例えば図4または図6に示したように二つ、または図7に示したように三つ有していることが好ましい。四つ以上では生産性が低下するおそれがあるからである。
【0044】
なお、切れ目32は必ずしも図4または図7に示したように円周方向において一致した位置関係、すなわち同一直線L上に揃っている必要はない。例えば、切れ目32は、図6または図8に示したように、円周方向においてランダムに配置されていることが好ましい。切れ目32が円周方向において分散して配置されているので、外部からの力がどのような方向から加えられても確実に正極21と負極22とを短絡させることができるからである。切れ目32どうしの円周方向におけるずれ量は特に限定されない。
【0045】
センターピン30の長さすなわち分割部31の合計長さは、二次電池の寸法により異なるが、例えば2.5cm以上8.0cm以下であることが好ましい。
【0046】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0047】
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
【0048】
次いで、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機により圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製する。ロールプレス機は加熱して用いてもよい。また、目的の物性値になるまで複数回圧縮成型してもよい。更に、ロールプレス機以外のプレス機を用いてもよい。
【0049】
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を間にして積層し図2および図3に示した巻回方向に多数回巻回して巻回体20を作製する。
【0050】
一方、例えばステンレス鋼よりなる薄い帯状の板を2枚用意する。板の寸法は、例えばセンターピン30を二つの分割部31により構成する場合には分割部31の長さが二次電池の高さの約2分の1となるように、三つの分割部31により構成する場合には約3分の1となるようにする。この板を丸めて筒状に成形することにより、管状の分割部31を形成し、各分割部31の両側の端部31Aにテーパーをつけて傾斜部31Bを設ける。
【0051】
そののち、分割部31を巻回体20の中心に挿入する。この挿入工程は、センターピン30を二つの分割部31により構成する場合には2回繰り返して行い、三つの分割部31により構成する場合は3回繰り返して行う。その際、切れ目32を図4または図7に示したように円周方向において一致した位置関係となるようにしてもよいし、あるいは、例えば図6または図8に示したように切れ目32が円周方向においてランダムに配置されるようにしてもよい。
【0052】
分割部31を挿入したのち、巻回体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード25を電池缶11に溶接すると共に、正極リード24を安全弁機構15に溶接して、巻回体20を電池缶11の内部に収容し、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
【0053】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。そして、この二次電池では、センターピン30が長手方向に二つ以上の分割部31を有しているので、外力が加わると、分割部31が押し潰され、または折れて、端部31Aが外側に反りかえって突出し、セパレータ23を貫通することにより、正極21と負極22とが確実に短絡する。
【0054】
また、分割部31に切れ目32が設けられている場合には、図9に示したように、切れ目32が外側に開くと共に、切れ目32と端部31Aとが交差する尖った角部31Cが外側に突出する。この切れ目32または角部31Cがセパレータ23を貫通することにより、正極21と負極22とが更に確実に短絡する。
【0055】
更に、この二次電池では、正極21の巻回中心側に両面とも正極活物質層21Bの存在しない正極露出領域21Dが設けられると共に、負極22の巻回中心側にも両面とも負極活物質層22Bの存在しない負極露出領域22Dが設けられているので、端部31A,切れ目32または角部31Cがセパレータ23を貫通すると比較的抵抗値の低い正極集電体21Aと負極集電体22Aとの間が直接短絡する。すなわち、本実施の形態では、正極21の正極露出領域21Dと負極22の負極露出領域22Dとの間が分割部31の端部31A,切れ目32または角部31Cにより短絡し、抵抗値の高い正極活物質層21Bを介して短絡することがなくなり、正極活物質層21Bでの昇温が抑制される。
【0056】
このように本実施の形態では、センターピン30の長手方向に二つ以上の分割部31を設けたので、外力が加わった場合に、分割部31の端部31Aが外方に突出し、正極21と負極22との間を確実に短絡させることができる。また、巻回体20の特に巻回中心側に、正極21では、両面とも正極活物質層21Bの存在しない正極露出領域21D、また、負極22では、両面とも負極活物質層22Bの存在しない負極露出領域22Dが設けられているので、端部31Aがセパレータ23を貫通すると比較的抵抗値の低い正極集電体21Aと負極集電体22Aとの間が直接短絡する。よって、正極活物質層21Bの昇温を抑えつつ、正極21と負極22との間を確実に短絡させることができ、安全性が向上する。
【0057】
特に、負極22が、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含むようにした場合には、電池のエネルギー密度が大きく、より高い安全性が求められるので、より高い効果を得ることができる。
【0058】
(変形例)
図10は、本発明の変形例に係る二次電池のセンターピン30の構成を表したものである。この二次電池は、センターピン30の分割部31が、周方向に設けられた薄肉溝31Dにより互いに区画されていると共に連続した一体をなしていることを除いては、第1の実施の形態と同様の構成を有している。よって、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0059】
この二次電池は、センターピン30を作製するための板に、分割部31の境界線となる位置に薄肉溝31Dを設けたのち丸めて筒状に成形することを除いては、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0060】
この二次電池では、外部から二次電池に力がかかった場合には、センターピン30が押し潰されて薄肉溝31Dで折れ曲がり、その折れ目が外側に突出し、セパレータ23を貫通することにより正極21と負極22とが確実に短絡される。
【0061】
このように本変形例では、センターピン30の分割部31が、周方向に設けられた薄肉溝31Dにより互いに区画されていると共に連続した一体をなしているようにしたので、第1の実施の形態と同様に正極21と負極22との間を確実に短絡させることができ、安全性を向上させることができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池のセンターピン30の構成を表すものである。この二次電池は、センターピン30に、屈曲した形状の切込み33を設けたことを除き、他は第1の実施の形態と同様の構成を有している。よって、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0063】
切込み33は、直線状の第1部分33Aと、この第1部分33Aの端部から第1部分33Aと異なる方向、例えば直角に延びる直線状の第2部分33Bとを有している。すなわち、切込み33は所謂L字形をなし、屈曲した部分に凸部33Cを有している。これにより、この二次電池では、外力で押し潰された場合に、切込み33が外側に突出し、屈曲した凸部33Cがセパレータ23を貫通して正極21と負極22とをより確実に短絡させることができるようになっている。なお、切込み33の隅の角は必ずしも直角でなくてもよく、角が丸めてあってもよい。
【0064】
第1部分33Aおよび第2部分33Bの長さ、すなわち延長方向における寸法は、確実に切込み33を突出させることのできる程度であることが好ましく、例えばセンターピン30の半周分程度とされている。第1部分33Aおよび第2部分33Bの幅、すなわち延長方向に直交する方向における寸法は、例えば0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、第1部分33Aと第2部分33Bとは必ずしも同じ長さでなくてもよい。
【0065】
第1部分33Aはセンターピン30の長手方向に平行であり、第2部分33Bは第1部分33Aの端部から垂直に延びていることが好ましい。生産性を良くすることができるからである。
【0066】
このような切込み33の相互間の距離Dは、例えば0.1mm以上であることが好ましい。生産性を良くすることができるからである。
【0067】
この二次電池は、センターピン30となる板に切込み33を設けたのち丸めて成形することを除いては、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0068】
この二次電池では、外部から二次電池に力がかかった場合には、センターピン30が押し潰されて、切込み33が外側に突出する。この切込み33の凸部33Cがセパレータ23を貫通することにより正極21と負極22とが更に確実に短絡される。
【0069】
このように本実施の形態では、センターピン30に切込み33を設けるようにしたので、外部からの力で押し潰されたり折れたりした場合において正極21と負極22とを更に確実に短絡させることができ、安全性が向上する。
【0070】
(第2の実施の形態の変形例)
なお、図11では、切れ目32が同一直線L上に揃い、円周方向において一致した位置関係にある場合を例として表しているが、切れ目32は、例えば図12に示したように円周方向においてランダムに配置されていてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、切込み33が規則的な間隔で配置されている場合について説明したが、切込み33は不規則な間隔で配置されていてもよい。また、本実施の形態では、第1部分33Aはセンターピン30の長手方向に平行であり、第2部分33Bは第1部分33Aに垂直である場合について説明したが、図13に示したように、第1部分33Aおよび第2部分33Bがセンターピン30の長手方向に対して斜めに配置されていてもよい。
【0072】
更に、本実施の形態では、第2部分33Bが第1部分33Aの端部から直角の方向に延びている場合について説明したが、第2部分33Bは、図14に示したように、第1部分33Aの端部から鋭角の方向に延びていてもよい。更に、第2部分33Bが第1部分33Aの端部から鋭角の方向に延びており、かつ第1部分33Aと第2部分33Bとがセンターピン30の長手方向に対して斜めに配置されていてもよい。
【0073】
加えて、切込み33は、直線状の第1部分33Aと、この第1部分33Aに対して交差する直線状の第2部分33Bとを有していてもよい。その際、第2部分33Bは、第1部分33Aに対して、例えば、図15に示したような十字形に交差していてもよいし、図16に示したようなT字形に交差していてもよい。また、第1部分33Aと第2部分33Bとの交差角度は必ずしも直角でなくてもよく、鋭角あるいは鈍角をなしていてもよい。
【0074】
更にまた、切込み33は、必ずしも直線により構成されたものに限られず、例えば図17に示したように丸く屈曲した形状であってもよい。
【0075】
加えてまた、センターピン30において、図11に示したような切込み33に加えて、図18に示したように、切れ目32に交差する切欠部34を設けるようにしてもよい。切欠部34と切れ目32との交差部分に形成される角により、切込み33の凸部33Cと同様に、正極21と負極22とを更に確実に短絡させることができ、安全性をより高めることができる。
【0076】
なお、切欠部34を設ける位置などは特に限定されず、必ずしも図18に示したように切欠部34と切込み33とが切れ目32を挟んで対向する位置に設けられている必要はない。その場合、切欠部34は切れ目32の両側にわたって設けられていてもよい。
【0077】
切欠部34と併用される切込み33の形状は特に限定されず、第2の実施の形態の変形例で説明した他の形状の切込み33を設けてもよい。例えば図19に示したように、図15に示した十字形の切込み33を設けるようにしてもよい。
【0078】
切欠部34の切れ目32に対する交差角度は、特に限定されず、切れ目32に対して斜めに交差していてもよい。
【0079】
更にまた、切込み33は、必ずしもセンターピン30を厚さ方向に貫通する孔である必要はなく、図20に示したように、貫通することなく周囲領域よりも厚さ方向の一部を薄くした薄肉溝であってもよい。切欠部34についても同様である。
【0080】
なお、上記第2の実施の形態およびその変形例では、センターピン30が二つの分割部31を有する場合を例として図示したが、第2の実施の形態は、図21に示したように、センターピン30が三つの分割部31を有する場合にも適用可能である。この場合も、切れ目32は必ずしも図21に示したように同一直線L上に揃っている必要はなく、例えば図22に示したように円周方向においてランダムに配置されていてもよい。
【実施例】
【0081】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0082】
(実施例1〜3)
第1の実施の形態で説明した二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO3 :CoCO3 =0.5:1(モル比)の割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、このリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤であるグラファイト6質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。続いて、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード24を取り付けた。
【0083】
また、負極活物質としてCoSnC含有材料を作製した。まず、原料としてコバルト粉末とスズ粉末と炭素粉末とを用意し、コバルト粉末とスズ粉末とを合金化してコバルト・スズ合金粉末を作製したのち、この合金粉末に炭素粉末を加えて乾式混合した。続いて、この混合物を遊星ボールミルを用いてメカノケミカル反応を利用して合成し、CoSnC含有材料を得た。
【0084】
得られたCoSnC含有材料について組成の分析を行ったところ、コバルトの含有量は29.3質量%、スズの含有量は49.9質量%、炭素の含有量は19.8質量%であった。なお、炭素の含有量は、炭素・硫黄分析装置により測定し、コバルトおよびスズの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析により測定した。また、得られたCoSnC含有材料についてX線回折を行ったところ、回折角2θ=20°〜50°の間に、回折角2θが1.0°以上の広い半値幅を有する回折ピークが観察された。更に、このCoSnC含有材料についてXPSを行ったところ、CoSnC含有材料中におけるC1sのピークは284.5eVよりも低い領域に得られた。すなわち、CoSnC含有材料中の炭素が他の元素と結合していることが確認された。
【0085】
次いで、このCoSnC含有材料60質量部と、導電剤および負極活物質である人造黒鉛28質量部およびカーボンブラック2質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合し、負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層22Bを形成した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード25を取り付けた。
【0086】
続いて、厚み25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ23を用意し、正極21,セパレータ23,負極22,セパレータ23の順に積層して積層体を形成したのち、この積層体を渦巻状に多数回巻回し、巻回体20を作製した。巻回体20の胴部の最大径は13.5mmとした。
【0087】
巻回体20を作製したのち、分割部31の材料として上述した寸法のステンレス鋼よりなる薄い帯状の板を用意し、丸めて筒状に成形したのち、両側の端部31Aに傾斜部31Bを設けることにより、分割部31を作製し、この分割部31を巻回体20の中心に挿入してセンターピン30を構成した。その際、センターピン30を構成する分割部31の数を、実施例1では二つ、実施例2では三つ、実施例3では四つとした。また、分割部31を挿入する際には、切れ目32を同一直線上に揃え、円周方向において一致した位置関係にするようにした。
【0088】
そののち、巻回体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード25を電池缶11に溶接すると共に、正極リード24を安全弁機構15に溶接して、巻回体20を内径14.0mmの電池缶11の内部に収容した。そののち、電池缶11の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレン50体積%と炭酸ジエチル50体積%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の含有量で溶解させたものを用いた。
【0089】
電池缶11の内部に電解液を注入したのち、ガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより、外径14mm、高さ43mmの円筒型の二次電池を得た。
【0090】
(実施例4〜6)
第2の実施の形態で説明した二次電池を作製した。すなわち、図9に示したように、センターピン30に切込み33を設けたことを除き、他は実施例4は実施例1と同様に、実施例5は実施例2と同様に、実施例6は実施例3と同様にして二次電池を作製した。
【0091】
(実施例7〜12)
分割部31を巻回耐20の巻回中心に挿入する際に、切れ目32が円周方向においてランダムな配置となるようにしたことを除き、他は実施例7は実施例1と同様に、実施例8は実施例2と同様に、実施例9は実施例3と同様に、実施例10は実施例4と同様に、実施例11は実施例5と同様に、実施例12は実施例6と同様にして二次電池を作製した。
【0092】
実施例1〜12に対する比較例1として、図23に示したような本体131に切れ目132のみを有する従来のセンターピンを用いたことを除き、他は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
【0093】
このようにして得られた実施例1〜12および比較例1の二次電池をそれぞれ5個(電池1〜電池5)作製し、圧壊試験を行って発火や破裂の有無を調べた。また、実施例1,4,7,10については、ショートスピード(短絡までにかかった時間)も調べた。ショートスピードは、5個の電池の各々について計測し、その平均をとることにより求めた。得られた結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
表1からわかるように、センターピン30の長手方向に二つ以上の分割部31を設けた実施例1〜12によれば破裂が著しく少なくなったのに対して、分割部を設けない比較例1では5個の二次電池のすべてで破裂が生じた。すなわち、センターピン30の長手方向に二つ以上の分割部31を設けるようにすれば、電池が押し潰されたり折れたりして短絡が発生した場合にも安全性を向上させることができることが分かった。
【0096】
また、実施例1,2,4,5,7,8,10,11と実施例3,6,9,12とを比較すると、二つまたは三つの分割部31を設けた実施例1,2,4,5,7,8,10,11では、四つの分割部31を設けた実施例3,6,9,12に比べて破裂が更に少なくなった。すなわち、センターピン30の長手方向に二つまたは三つの分割部31を設けるようにすれば、安全性を更に向上させることができることが分かった。
【0097】
更に、実施例1と実施例4との比較、および実施例7と実施例10との比較から、センターピン30に切込み33を設けた実施例4,10では、切込み33を設けない実施例1,7に比べて早い段階でショートが起こっていた。すなわち、センターピン30に切込み33を設けるようにすれば、より迅速に正極21と負極22とを短絡させることができ、更に安全性を向上させることができることが分かった。
【0098】
加えて、実施例1と実施例7との比較、および実施例4と実施例10との比較から、切れ目32を円周方向においてランダムに配置した実施例7,10では、切れ目32を円周方向において一致した位置関係とした実施例1,4に比べて早い段階でショートが起こっていた。すなわち、切れ目32を円周方向においてランダムに配置するようにすれば、切れ目32の円周方向に分散して配置することができ、外部からの力がどのような方向から加えられても確実に正極21と負極22とを短絡させることができ、更に安全性を向上させることができることが分かった。
【0099】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、分割部31は、上記実施の形態および実施例で説明した円筒状のものに限られず、楕円形または多角形など他の断面形状を有していてもよい。
【0100】
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、溶媒に液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、電解液に代えて、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0101】
なお、ゲル状の電解質には電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子化合物を用いることができる。そのような高分子化合物としては、例えば、ポリビニリデンフルオロライドあるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、またはポリアクリロニトリルなどが挙げられる。特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が望ましい。
【0102】
固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた有機固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。このとき、高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または分子中に共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウムなどを用いることができる。
【0103】
更に、上記実施の形態および実施例では、巻回構造を有する円筒型の二次電池について説明したが、本発明は、巻回構造を有する二次電池であればどのような形状のものでも適用することができる。また、本発明は一次電池への適用も可能である。
【0104】
加えて、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質、正極活物質あるいは溶媒などは、その電極反応物質に応じて選択される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した正極の巻回前の構成を表す断面図である。
【図3】図1に示した負極の巻回前の構成を表す断面図である。
【図4】センターピンの構成の一例を表す斜視図である。
【図5】図4に示したセンターピンの断面図である。
【図6】図4に示したセンターピンの変形例を表す斜視図である。
【図7】図4に示したセンターピンの他の変形例を表す平面図である。
【図8】図7に示したセンターピンの更に他の変形例を表す平面図である。
【図9】図1に示した二次電池が押し潰された場合におけるセンターピンの作用を説明するための図であり、図1のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】本発明の変形例に係る二次電池のセンターピンの構成を表す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池のセンターピンの構成を表す平面図である。
【図12】センターピンの他の構成例を表す平面図である。
【図13】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図14】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図15】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図16】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図17】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図18】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図19】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図20】センターピンの更に他の構成例を表す断面図である。
【図21】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図22】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図23】従来のセンターピンの一例を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0106】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20…巻回体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、21C…正極被覆領域、21D…正極露出領域、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、22C…負極被覆領域、22D…負極露出領域、23…セパレータ、24…正極リード、25…負極リード、30…センターピン、31…分割部、31A…端部、31B…傾斜部、31C…角部、31D…薄肉溝、32…切れ目、33…切込み、34…切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の正極、セパレータおよび負極を含む渦巻き状の巻回体の中心にセンターピンを備えた電池、およびこの電池に用いられるセンターピンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これらの電子機器のポータブル電源として用いられている電池、特に二次電池はキーデバイスとして、エネルギー密度の向上を図る研究開発が活発に進められている。中でも、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるので、その改良に関する検討が各方面で行われている。
【0003】
リチウムイオン二次電池には様々な形状のものが開発されているが、その一つに、正極と負極とをセパレータを間にして積層して渦巻き状に巻き、その巻回中心に金属よりなるセンターピンを挿入したものがある(例えば、特許文献1参照。)。従来、このセンターピンは、例えば図23に示したような管状の本体131の軸方向に切れ目132を有している。電池に外力が加わると、本体131が押し潰され、その結果切れ目132の縁が外側に開き、その開いた部分がセパレータを貫通して正極と負極との間を短絡させる。これにより、電池反応を阻止して、発電機能を安全に喪失させようとするものである。
【0004】
従来では、どのような方向から力が加わっても電極間の短絡が生じるように、例えば、センターピンに対して切れ目と平行に複数の溝を設けたり、あるいは切れ目の縁を波形にしたものがある(例えば特許文献2参照)。また、センターピンの表面に螺旋状に凹部を設けたり、センターピンをコイルバネにより構成することにより、広範囲にわたって短絡を発生しやすくすることなども提案されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平4−332481号公報
【特許文献2】特開平8−255631号公報
【特許文献3】特許第3178586号明細書
【特許文献4】特開平8−273697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来構造のセンターピンを用いた二次電池では、外力により押し潰された場合の切れ目部分での変形が十分ではなく、正極と負極とを確実に短絡させることができないという問題があり、より確実に電極間を短絡させて安全性を確保するための有効な手段が望まれている。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外力に押し潰された場合に、より確実に電極間を短絡させることができる、安全性の向上した電池、およびこの電池に用いられるセンターピンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電池は、帯状の正極集電体の面上に正極活物質層を有する正極と、帯状の負極集電体の面上に負極活物質層を有する負極とをセパレータを間にして積層し、巻回した巻回体と、巻回体の巻回中心に配置され、長手方向に二つ以上の分割部を有する管状のセンターピンとを備えたものである。
【0008】
本発明によるセンターピンは、巻回構造を有する電池の巻回中心に設けられる管状のものであって、長手方向に二つ以上の分割部を有するものである。
【0009】
本発明による電池、または本発明によるセンターピンでは、長手方向に二つ以上の分割部を有するので、外部から電池に力がかかった場合には、センターピンが押し潰されて、分割部の端部などが外側に反りかえって突出し、セパレータを貫通することにより正極と負極とが確実に短絡される。
【0010】
特に、このとき、正極に、正極集電体の巻回中心側の端部に、両面に正極活物質層が存在しない正極露出領域を設ける一方、負極に、負極集電体の巻回中心側の端部に、両面に負極活物質層が存在しない負極露出領域を設ける構成とした場合には、抵抗値の低い正極集電体と負極集電体の露出領域同士が直接に短絡されることとなり、抵抗値の高い正極活物質層を介しての短絡が生ずることがなく、正極活物質層での昇温が抑制される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池、もしくは本発明のセンターピンによれば、長手方向に二つ以上の分割部を設けたので、外部からの力で押し潰されたり折れたりした場合において正極と負極とを確実に短絡させることができ、安全性が向上する。
【0012】
特に、負極が、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含む場合には、電池のエネルギー密度が大きく、より高い安全性が求められるので、より高い効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図において各構成要素は本発明が理解できる程度の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示したものであり、実寸とは異なっている。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、巻回体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0015】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0016】
巻回体20は、正極21と負極22とをセパレータ23を間にして積層し、渦巻き状に巻回したものであり、中心にはセンターピン30が挿入されている。巻回体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード24が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード25が接続されている。正極リード24は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード25は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0017】
図2は図1に示した正極21の巻回前の断面構成を表すものである。この正極21は、帯状の正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを設けたものである。具体的には、正極集電体21Aの外周面側および内周面側に正極活物質層21Bが存在する正極被覆領域21Cを有している。加えて、この正極21では、巻回中心側の端部が正極露出領域21D、すなわち、正極集電体21Aの両面とも正極活物質層21Bが存在せずに露出している領域となっている。
【0018】
正極集電体21Aは、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0019】
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 O5 )などのリチウムを含有しない金属硫化物,金属セレン化物あるいは金属酸化物など、またはリチウムを含有するリチウム含有化合物が挙げられる。
【0020】
中でも、リチウム含有化合物は、高電圧および高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特にコバルト(Co),ニッケルおよびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧を得ることができるからである。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
【0021】
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz O2 (z<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 O4 )などが挙げられる。中でも、ニッケルを含む複合酸化物が好ましい。高い容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性も得ることができるからである。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-v Mnv PO4 (v<1))が挙げられる。
【0022】
図3は、負極22の構成を表したものである。この負極22は、帯状の負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを設けたものである。具体的には、負極集電体22Aの外周面側および内周面側に負極活物質層22Bが存在する負極被覆領域22Cと、巻回中心側の端部に、負極集電体22Aの両面とも負極活物質層22Bが存在せずに露出している負極露出領域22Dとを有している。
【0023】
負極集電体22Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。この負極集電体22Aの厚みは、例えば5μm〜50μmである。
【0024】
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じて導電材および結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。負極活物質としては、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料が挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0025】
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えばリチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。
【0026】
中でも、この負極材料としては、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。具体的には、例えば、ケイ素の単体,合金,あるいは化合物、またはスズの単体,合金,あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
【0027】
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄(Fe),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),インジウム(In),銀(Ag),チタン(Ti),ゲルマニウム(Ge),ビスマス(Bi),アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0028】
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0029】
中でも、この負極材料としては、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
【0030】
このCoSnC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素,鉄,ニッケル,クロム,インジウム,ニオブ(Nb),ゲルマニウム,チタン,モリブデン(Mo),アルミニウム(Al),リン(P),ガリウム(Ga)またはビスマスが好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
【0031】
なお、このCoSnC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このCoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
【0032】
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
【0033】
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
【0034】
負極活物質としては、また、天然黒鉛,人造黒鉛,難黒鉛化炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料を用いてもよい。炭素材料を用いれば優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。また、負極活物質としては、リチウム金属も挙げられる。負極活物質はこれらの1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
図1に示したセパレータ23は、例えばポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0036】
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、電解質塩であるリチウム塩とを含んで構成されている。溶媒は、電解質塩を溶解し解離させるものである。溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1, 2−ジメトキシエタン、1, 2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1, 3−ジオキソラン、4メチル1, 3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステルあるいはプロピオン酸エステルなどが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
リチウム塩としては、例えば、LiClO4 ,LiAsF6 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiB(C6 H5 )4 ,CH3 SO3 Li,CF3 SO3 Li,LiClあるいはLiBrが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
図4は図1に示したセンターピン30の構成を表すものであり、図5はその断面構成を表すものである。このセンターピン30は、長手方向に二つ以上の管状の分割部31を有しており、外部からの力で電池が押し潰されたり折れたりした場合において正極21と負極22とを確実に短絡させることができ、安全性を向上させることができるようになっている。
【0039】
特に、負極22が、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含む場合には、電池のエネルギー密度が大きく、より高い安全性が求められるので、より高い効果を得ることができる。
【0040】
分割部31は、例えば、薄い帯状の板を丸めて管状に成形したものであり、直径が例えば3.0mmの円筒状となっている。分割部31は互いに完全に切り離されている。各分割部31の両側の端部31Aには、後述する製造工程において上記巻回体20の中心に挿入しやすくするため傾斜部31Bが設けられている。なお、隣接する分割部31どうしは接していても離れていてもよく、巻回体20の内部に納まっていればよい。分割部31相互間の距離は特に限定されないが、必要以上に広すぎないことが望ましい。
【0041】
また、分割部31は、長手方向の一方の端部から他方の端部にかけて切れ目32を有している。この切れ目32は、例えば、後述する製造工程において薄い帯状の板を管状に丸めて分割部31を作製する際に、対向する長辺の間に隙間をあけることにより設けられたものである。切れ目32の幅は、例えば0.5mmである。
【0042】
分割部31の材質、厚みは、通常時は所定の強度を保持し、一方、外力により電池が押し潰された場合にはそれと共に潰れ、または折れる程度のものとする。具体的には、分割部31の構成材料として、例えばステンレス鋼が挙げられる。分割部31の厚みは、例えば0.05mm以上5mm以下であることが好ましい。0.05mm未満では強度が弱くなるおそれがあり、5mmよりも厚いと管状に丸めることが難しくなってしまうからである。
【0043】
センターピン30は、このような分割部31を、例えば図4または図6に示したように二つ、または図7に示したように三つ有していることが好ましい。四つ以上では生産性が低下するおそれがあるからである。
【0044】
なお、切れ目32は必ずしも図4または図7に示したように円周方向において一致した位置関係、すなわち同一直線L上に揃っている必要はない。例えば、切れ目32は、図6または図8に示したように、円周方向においてランダムに配置されていることが好ましい。切れ目32が円周方向において分散して配置されているので、外部からの力がどのような方向から加えられても確実に正極21と負極22とを短絡させることができるからである。切れ目32どうしの円周方向におけるずれ量は特に限定されない。
【0045】
センターピン30の長さすなわち分割部31の合計長さは、二次電池の寸法により異なるが、例えば2.5cm以上8.0cm以下であることが好ましい。
【0046】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0047】
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
【0048】
次いで、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機により圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製する。ロールプレス機は加熱して用いてもよい。また、目的の物性値になるまで複数回圧縮成型してもよい。更に、ロールプレス機以外のプレス機を用いてもよい。
【0049】
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を間にして積層し図2および図3に示した巻回方向に多数回巻回して巻回体20を作製する。
【0050】
一方、例えばステンレス鋼よりなる薄い帯状の板を2枚用意する。板の寸法は、例えばセンターピン30を二つの分割部31により構成する場合には分割部31の長さが二次電池の高さの約2分の1となるように、三つの分割部31により構成する場合には約3分の1となるようにする。この板を丸めて筒状に成形することにより、管状の分割部31を形成し、各分割部31の両側の端部31Aにテーパーをつけて傾斜部31Bを設ける。
【0051】
そののち、分割部31を巻回体20の中心に挿入する。この挿入工程は、センターピン30を二つの分割部31により構成する場合には2回繰り返して行い、三つの分割部31により構成する場合は3回繰り返して行う。その際、切れ目32を図4または図7に示したように円周方向において一致した位置関係となるようにしてもよいし、あるいは、例えば図6または図8に示したように切れ目32が円周方向においてランダムに配置されるようにしてもよい。
【0052】
分割部31を挿入したのち、巻回体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード25を電池缶11に溶接すると共に、正極リード24を安全弁機構15に溶接して、巻回体20を電池缶11の内部に収容し、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
【0053】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。そして、この二次電池では、センターピン30が長手方向に二つ以上の分割部31を有しているので、外力が加わると、分割部31が押し潰され、または折れて、端部31Aが外側に反りかえって突出し、セパレータ23を貫通することにより、正極21と負極22とが確実に短絡する。
【0054】
また、分割部31に切れ目32が設けられている場合には、図9に示したように、切れ目32が外側に開くと共に、切れ目32と端部31Aとが交差する尖った角部31Cが外側に突出する。この切れ目32または角部31Cがセパレータ23を貫通することにより、正極21と負極22とが更に確実に短絡する。
【0055】
更に、この二次電池では、正極21の巻回中心側に両面とも正極活物質層21Bの存在しない正極露出領域21Dが設けられると共に、負極22の巻回中心側にも両面とも負極活物質層22Bの存在しない負極露出領域22Dが設けられているので、端部31A,切れ目32または角部31Cがセパレータ23を貫通すると比較的抵抗値の低い正極集電体21Aと負極集電体22Aとの間が直接短絡する。すなわち、本実施の形態では、正極21の正極露出領域21Dと負極22の負極露出領域22Dとの間が分割部31の端部31A,切れ目32または角部31Cにより短絡し、抵抗値の高い正極活物質層21Bを介して短絡することがなくなり、正極活物質層21Bでの昇温が抑制される。
【0056】
このように本実施の形態では、センターピン30の長手方向に二つ以上の分割部31を設けたので、外力が加わった場合に、分割部31の端部31Aが外方に突出し、正極21と負極22との間を確実に短絡させることができる。また、巻回体20の特に巻回中心側に、正極21では、両面とも正極活物質層21Bの存在しない正極露出領域21D、また、負極22では、両面とも負極活物質層22Bの存在しない負極露出領域22Dが設けられているので、端部31Aがセパレータ23を貫通すると比較的抵抗値の低い正極集電体21Aと負極集電体22Aとの間が直接短絡する。よって、正極活物質層21Bの昇温を抑えつつ、正極21と負極22との間を確実に短絡させることができ、安全性が向上する。
【0057】
特に、負極22が、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含むようにした場合には、電池のエネルギー密度が大きく、より高い安全性が求められるので、より高い効果を得ることができる。
【0058】
(変形例)
図10は、本発明の変形例に係る二次電池のセンターピン30の構成を表したものである。この二次電池は、センターピン30の分割部31が、周方向に設けられた薄肉溝31Dにより互いに区画されていると共に連続した一体をなしていることを除いては、第1の実施の形態と同様の構成を有している。よって、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0059】
この二次電池は、センターピン30を作製するための板に、分割部31の境界線となる位置に薄肉溝31Dを設けたのち丸めて筒状に成形することを除いては、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0060】
この二次電池では、外部から二次電池に力がかかった場合には、センターピン30が押し潰されて薄肉溝31Dで折れ曲がり、その折れ目が外側に突出し、セパレータ23を貫通することにより正極21と負極22とが確実に短絡される。
【0061】
このように本変形例では、センターピン30の分割部31が、周方向に設けられた薄肉溝31Dにより互いに区画されていると共に連続した一体をなしているようにしたので、第1の実施の形態と同様に正極21と負極22との間を確実に短絡させることができ、安全性を向上させることができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池のセンターピン30の構成を表すものである。この二次電池は、センターピン30に、屈曲した形状の切込み33を設けたことを除き、他は第1の実施の形態と同様の構成を有している。よって、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0063】
切込み33は、直線状の第1部分33Aと、この第1部分33Aの端部から第1部分33Aと異なる方向、例えば直角に延びる直線状の第2部分33Bとを有している。すなわち、切込み33は所謂L字形をなし、屈曲した部分に凸部33Cを有している。これにより、この二次電池では、外力で押し潰された場合に、切込み33が外側に突出し、屈曲した凸部33Cがセパレータ23を貫通して正極21と負極22とをより確実に短絡させることができるようになっている。なお、切込み33の隅の角は必ずしも直角でなくてもよく、角が丸めてあってもよい。
【0064】
第1部分33Aおよび第2部分33Bの長さ、すなわち延長方向における寸法は、確実に切込み33を突出させることのできる程度であることが好ましく、例えばセンターピン30の半周分程度とされている。第1部分33Aおよび第2部分33Bの幅、すなわち延長方向に直交する方向における寸法は、例えば0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、第1部分33Aと第2部分33Bとは必ずしも同じ長さでなくてもよい。
【0065】
第1部分33Aはセンターピン30の長手方向に平行であり、第2部分33Bは第1部分33Aの端部から垂直に延びていることが好ましい。生産性を良くすることができるからである。
【0066】
このような切込み33の相互間の距離Dは、例えば0.1mm以上であることが好ましい。生産性を良くすることができるからである。
【0067】
この二次電池は、センターピン30となる板に切込み33を設けたのち丸めて成形することを除いては、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0068】
この二次電池では、外部から二次電池に力がかかった場合には、センターピン30が押し潰されて、切込み33が外側に突出する。この切込み33の凸部33Cがセパレータ23を貫通することにより正極21と負極22とが更に確実に短絡される。
【0069】
このように本実施の形態では、センターピン30に切込み33を設けるようにしたので、外部からの力で押し潰されたり折れたりした場合において正極21と負極22とを更に確実に短絡させることができ、安全性が向上する。
【0070】
(第2の実施の形態の変形例)
なお、図11では、切れ目32が同一直線L上に揃い、円周方向において一致した位置関係にある場合を例として表しているが、切れ目32は、例えば図12に示したように円周方向においてランダムに配置されていてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、切込み33が規則的な間隔で配置されている場合について説明したが、切込み33は不規則な間隔で配置されていてもよい。また、本実施の形態では、第1部分33Aはセンターピン30の長手方向に平行であり、第2部分33Bは第1部分33Aに垂直である場合について説明したが、図13に示したように、第1部分33Aおよび第2部分33Bがセンターピン30の長手方向に対して斜めに配置されていてもよい。
【0072】
更に、本実施の形態では、第2部分33Bが第1部分33Aの端部から直角の方向に延びている場合について説明したが、第2部分33Bは、図14に示したように、第1部分33Aの端部から鋭角の方向に延びていてもよい。更に、第2部分33Bが第1部分33Aの端部から鋭角の方向に延びており、かつ第1部分33Aと第2部分33Bとがセンターピン30の長手方向に対して斜めに配置されていてもよい。
【0073】
加えて、切込み33は、直線状の第1部分33Aと、この第1部分33Aに対して交差する直線状の第2部分33Bとを有していてもよい。その際、第2部分33Bは、第1部分33Aに対して、例えば、図15に示したような十字形に交差していてもよいし、図16に示したようなT字形に交差していてもよい。また、第1部分33Aと第2部分33Bとの交差角度は必ずしも直角でなくてもよく、鋭角あるいは鈍角をなしていてもよい。
【0074】
更にまた、切込み33は、必ずしも直線により構成されたものに限られず、例えば図17に示したように丸く屈曲した形状であってもよい。
【0075】
加えてまた、センターピン30において、図11に示したような切込み33に加えて、図18に示したように、切れ目32に交差する切欠部34を設けるようにしてもよい。切欠部34と切れ目32との交差部分に形成される角により、切込み33の凸部33Cと同様に、正極21と負極22とを更に確実に短絡させることができ、安全性をより高めることができる。
【0076】
なお、切欠部34を設ける位置などは特に限定されず、必ずしも図18に示したように切欠部34と切込み33とが切れ目32を挟んで対向する位置に設けられている必要はない。その場合、切欠部34は切れ目32の両側にわたって設けられていてもよい。
【0077】
切欠部34と併用される切込み33の形状は特に限定されず、第2の実施の形態の変形例で説明した他の形状の切込み33を設けてもよい。例えば図19に示したように、図15に示した十字形の切込み33を設けるようにしてもよい。
【0078】
切欠部34の切れ目32に対する交差角度は、特に限定されず、切れ目32に対して斜めに交差していてもよい。
【0079】
更にまた、切込み33は、必ずしもセンターピン30を厚さ方向に貫通する孔である必要はなく、図20に示したように、貫通することなく周囲領域よりも厚さ方向の一部を薄くした薄肉溝であってもよい。切欠部34についても同様である。
【0080】
なお、上記第2の実施の形態およびその変形例では、センターピン30が二つの分割部31を有する場合を例として図示したが、第2の実施の形態は、図21に示したように、センターピン30が三つの分割部31を有する場合にも適用可能である。この場合も、切れ目32は必ずしも図21に示したように同一直線L上に揃っている必要はなく、例えば図22に示したように円周方向においてランダムに配置されていてもよい。
【実施例】
【0081】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0082】
(実施例1〜3)
第1の実施の形態で説明した二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO3 :CoCO3 =0.5:1(モル比)の割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、このリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤であるグラファイト6質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。続いて、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード24を取り付けた。
【0083】
また、負極活物質としてCoSnC含有材料を作製した。まず、原料としてコバルト粉末とスズ粉末と炭素粉末とを用意し、コバルト粉末とスズ粉末とを合金化してコバルト・スズ合金粉末を作製したのち、この合金粉末に炭素粉末を加えて乾式混合した。続いて、この混合物を遊星ボールミルを用いてメカノケミカル反応を利用して合成し、CoSnC含有材料を得た。
【0084】
得られたCoSnC含有材料について組成の分析を行ったところ、コバルトの含有量は29.3質量%、スズの含有量は49.9質量%、炭素の含有量は19.8質量%であった。なお、炭素の含有量は、炭素・硫黄分析装置により測定し、コバルトおよびスズの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析により測定した。また、得られたCoSnC含有材料についてX線回折を行ったところ、回折角2θ=20°〜50°の間に、回折角2θが1.0°以上の広い半値幅を有する回折ピークが観察された。更に、このCoSnC含有材料についてXPSを行ったところ、CoSnC含有材料中におけるC1sのピークは284.5eVよりも低い領域に得られた。すなわち、CoSnC含有材料中の炭素が他の元素と結合していることが確認された。
【0085】
次いで、このCoSnC含有材料60質量部と、導電剤および負極活物質である人造黒鉛28質量部およびカーボンブラック2質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合し、負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層22Bを形成した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード25を取り付けた。
【0086】
続いて、厚み25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ23を用意し、正極21,セパレータ23,負極22,セパレータ23の順に積層して積層体を形成したのち、この積層体を渦巻状に多数回巻回し、巻回体20を作製した。巻回体20の胴部の最大径は13.5mmとした。
【0087】
巻回体20を作製したのち、分割部31の材料として上述した寸法のステンレス鋼よりなる薄い帯状の板を用意し、丸めて筒状に成形したのち、両側の端部31Aに傾斜部31Bを設けることにより、分割部31を作製し、この分割部31を巻回体20の中心に挿入してセンターピン30を構成した。その際、センターピン30を構成する分割部31の数を、実施例1では二つ、実施例2では三つ、実施例3では四つとした。また、分割部31を挿入する際には、切れ目32を同一直線上に揃え、円周方向において一致した位置関係にするようにした。
【0088】
そののち、巻回体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード25を電池缶11に溶接すると共に、正極リード24を安全弁機構15に溶接して、巻回体20を内径14.0mmの電池缶11の内部に収容した。そののち、電池缶11の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレン50体積%と炭酸ジエチル50体積%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の含有量で溶解させたものを用いた。
【0089】
電池缶11の内部に電解液を注入したのち、ガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより、外径14mm、高さ43mmの円筒型の二次電池を得た。
【0090】
(実施例4〜6)
第2の実施の形態で説明した二次電池を作製した。すなわち、図9に示したように、センターピン30に切込み33を設けたことを除き、他は実施例4は実施例1と同様に、実施例5は実施例2と同様に、実施例6は実施例3と同様にして二次電池を作製した。
【0091】
(実施例7〜12)
分割部31を巻回耐20の巻回中心に挿入する際に、切れ目32が円周方向においてランダムな配置となるようにしたことを除き、他は実施例7は実施例1と同様に、実施例8は実施例2と同様に、実施例9は実施例3と同様に、実施例10は実施例4と同様に、実施例11は実施例5と同様に、実施例12は実施例6と同様にして二次電池を作製した。
【0092】
実施例1〜12に対する比較例1として、図23に示したような本体131に切れ目132のみを有する従来のセンターピンを用いたことを除き、他は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
【0093】
このようにして得られた実施例1〜12および比較例1の二次電池をそれぞれ5個(電池1〜電池5)作製し、圧壊試験を行って発火や破裂の有無を調べた。また、実施例1,4,7,10については、ショートスピード(短絡までにかかった時間)も調べた。ショートスピードは、5個の電池の各々について計測し、その平均をとることにより求めた。得られた結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
表1からわかるように、センターピン30の長手方向に二つ以上の分割部31を設けた実施例1〜12によれば破裂が著しく少なくなったのに対して、分割部を設けない比較例1では5個の二次電池のすべてで破裂が生じた。すなわち、センターピン30の長手方向に二つ以上の分割部31を設けるようにすれば、電池が押し潰されたり折れたりして短絡が発生した場合にも安全性を向上させることができることが分かった。
【0096】
また、実施例1,2,4,5,7,8,10,11と実施例3,6,9,12とを比較すると、二つまたは三つの分割部31を設けた実施例1,2,4,5,7,8,10,11では、四つの分割部31を設けた実施例3,6,9,12に比べて破裂が更に少なくなった。すなわち、センターピン30の長手方向に二つまたは三つの分割部31を設けるようにすれば、安全性を更に向上させることができることが分かった。
【0097】
更に、実施例1と実施例4との比較、および実施例7と実施例10との比較から、センターピン30に切込み33を設けた実施例4,10では、切込み33を設けない実施例1,7に比べて早い段階でショートが起こっていた。すなわち、センターピン30に切込み33を設けるようにすれば、より迅速に正極21と負極22とを短絡させることができ、更に安全性を向上させることができることが分かった。
【0098】
加えて、実施例1と実施例7との比較、および実施例4と実施例10との比較から、切れ目32を円周方向においてランダムに配置した実施例7,10では、切れ目32を円周方向において一致した位置関係とした実施例1,4に比べて早い段階でショートが起こっていた。すなわち、切れ目32を円周方向においてランダムに配置するようにすれば、切れ目32の円周方向に分散して配置することができ、外部からの力がどのような方向から加えられても確実に正極21と負極22とを短絡させることができ、更に安全性を向上させることができることが分かった。
【0099】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、分割部31は、上記実施の形態および実施例で説明した円筒状のものに限られず、楕円形または多角形など他の断面形状を有していてもよい。
【0100】
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、溶媒に液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、電解液に代えて、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0101】
なお、ゲル状の電解質には電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子化合物を用いることができる。そのような高分子化合物としては、例えば、ポリビニリデンフルオロライドあるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、またはポリアクリロニトリルなどが挙げられる。特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が望ましい。
【0102】
固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた有機固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。このとき、高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または分子中に共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウムなどを用いることができる。
【0103】
更に、上記実施の形態および実施例では、巻回構造を有する円筒型の二次電池について説明したが、本発明は、巻回構造を有する二次電池であればどのような形状のものでも適用することができる。また、本発明は一次電池への適用も可能である。
【0104】
加えて、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質、正極活物質あるいは溶媒などは、その電極反応物質に応じて選択される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した正極の巻回前の構成を表す断面図である。
【図3】図1に示した負極の巻回前の構成を表す断面図である。
【図4】センターピンの構成の一例を表す斜視図である。
【図5】図4に示したセンターピンの断面図である。
【図6】図4に示したセンターピンの変形例を表す斜視図である。
【図7】図4に示したセンターピンの他の変形例を表す平面図である。
【図8】図7に示したセンターピンの更に他の変形例を表す平面図である。
【図9】図1に示した二次電池が押し潰された場合におけるセンターピンの作用を説明するための図であり、図1のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】本発明の変形例に係る二次電池のセンターピンの構成を表す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池のセンターピンの構成を表す平面図である。
【図12】センターピンの他の構成例を表す平面図である。
【図13】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図14】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図15】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図16】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図17】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図18】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図19】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図20】センターピンの更に他の構成例を表す断面図である。
【図21】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図22】センターピンの更に他の構成例を表す平面図である。
【図23】従来のセンターピンの一例を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0106】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20…巻回体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、21C…正極被覆領域、21D…正極露出領域、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、22C…負極被覆領域、22D…負極露出領域、23…セパレータ、24…正極リード、25…負極リード、30…センターピン、31…分割部、31A…端部、31B…傾斜部、31C…角部、31D…薄肉溝、32…切れ目、33…切込み、34…切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極集電体の面上に正極活物質層を有する正極と、帯状の負極集電体の面上に負極活物質層を有する負極とをセパレータを間にして積層し、巻回した巻回体と、
前記巻回体の巻回中心に配置され、長手方向に二つ以上の分割部を有する管状のセンターピンと
を備えたことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記センターピンは前記分割部を二つ有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記センターピンは前記分割部を三つ有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項4】
前記二つ以上の分割部は、互いに完全に切り離されていることを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項5】
前記センターピンは、屈曲した形状の切込みを有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項6】
前記正極は、前記正極集電体の巻回中心側の端部に、両面に前記正極活物質層が存在しない正極露出領域を有し、前記負極は、前記負極集電体の巻回中心側の端部に、両面に前記負極活物質層が存在しない負極露出領域を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項7】
前記負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項8】
前記負極は、前記負極活物質として、スズ(Sn)およびケイ素(Si)のうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料を含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
【請求項9】
前記負極は、前記負極活物質として、スズと、コバルト(Co)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料を含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
【請求項10】
巻回構造を有する電池の巻回中心に設けられる管状のセンターピンであって、
長手方向に二つ以上の分割部を有することを特徴とするセンターピン。
【請求項11】
前記分割部を二つ有することを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項12】
前記分割部を三つ有することを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項13】
前記二つ以上の分割部は、互いに完全に切り離されていることを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項14】
前記センターピンは、屈曲した形状の切込みを有することを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項1】
帯状の正極集電体の面上に正極活物質層を有する正極と、帯状の負極集電体の面上に負極活物質層を有する負極とをセパレータを間にして積層し、巻回した巻回体と、
前記巻回体の巻回中心に配置され、長手方向に二つ以上の分割部を有する管状のセンターピンと
を備えたことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記センターピンは前記分割部を二つ有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記センターピンは前記分割部を三つ有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項4】
前記二つ以上の分割部は、互いに完全に切り離されていることを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項5】
前記センターピンは、屈曲した形状の切込みを有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項6】
前記正極は、前記正極集電体の巻回中心側の端部に、両面に前記正極活物質層が存在しない正極露出領域を有し、前記負極は、前記負極集電体の巻回中心側の端部に、両面に前記負極活物質層が存在しない負極露出領域を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項7】
前記負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極活物質を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項8】
前記負極は、前記負極活物質として、スズ(Sn)およびケイ素(Si)のうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料を含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
【請求項9】
前記負極は、前記負極活物質として、スズと、コバルト(Co)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料を含むことを特徴とする請求項7記載の電池。
【請求項10】
巻回構造を有する電池の巻回中心に設けられる管状のセンターピンであって、
長手方向に二つ以上の分割部を有することを特徴とするセンターピン。
【請求項11】
前記分割部を二つ有することを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項12】
前記分割部を三つ有することを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項13】
前記二つ以上の分割部は、互いに完全に切り離されていることを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【請求項14】
前記センターピンは、屈曲した形状の切込みを有することを特徴とする請求項10記載のセンターピン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−188859(P2007−188859A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178075(P2006−178075)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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