説明

電池システム

【課題】絶縁を図るとともに、複数の電池セルからなる組電池の冷却等を実施できる電池システムを提供する。
【解決手段】電池システム100は、電極端子2,3間がバスパー4を介して通電可能に接続される複数個の電池セル1からなる集合電池10,20を少なくとも2個含み、複数個の集合電池10,20がさらに電気的に直列接続されて構成される組電池30と、各集合電池における複数個のバスパー4に対して熱の授受を行える空気を供給する送風機40と、集合電池毎に個別に設けられる通路であって、各集合電池の複数個のバスパー4に向けて送風機40によって供給される空気が通る個別の通路11,21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを電気的に接続して構成される組電池を冷却または加温する電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池を冷却する電池システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。この電池システムは、複数の電池セルからなる集合電池と、集合電池に対して送風する送風機と、を備え、大電流によって発熱したときに各電池セルを冷却することができる。各電池セルには、その表面から突出するように正極端子部と負極端子部が設けられている。複数の電池セルは、隣り合う電池セル同士の正極端子部と負極端子部とをバスパーによって電気的に接続することによって直列につながっており、電力密度が大きく、車両走行用のモータ等に高電圧を供給する集合電池を構成する。そして、送風機から吹き出された空気は、送風機のケーシングと集合電池を覆うバッテリカバーとによって囲まれる通風路および集合電池の外面を流れるため、バスパーに空気が当たってバスパーから放熱が起こり、各電池セルが冷却されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−346759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電池システムにおいては、その集合電池は高電圧体であるため、高電位側のバスパーと低電位側のバスパーとでは電位差が大きくなる。そして、このように電位差が大きいバスパー間では、十分な絶縁を確保する必要がある。しかしながら、例えば埃、塵等が浮遊する状態で送風機による送風が行われた場合には、高電位側と低電位側のバスパー間の絶縁が十分に確保できない状況になることがある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁を図るとともに複数の電池セルからなる組電池の冷却等を実施できる電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。なお、特許請求の範囲および下記各手段に記載の括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0007】
請求項1に記載の電池システムに係る発明は、電極端子(2,3)間がバスパー(4)を介して通電可能に接続される複数個の電池セル(1)からなる集合電池(10,20)を少なくとも2個含み、複数個の集合電池がさらに電気的に直列接続されて構成される組電池(30)と、
各集合電池における複数個のバスパーに対して熱の授受を行える流体を供給する流体供給手段(40)と、
集合電池毎に個別に設けられる通路であって、各集合電池の複数個のバスパーに向けて流体供給手段によって供給される流体が通る個別の通路(11,21)と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、集合電池毎に個別の通路を備えるため、集合電池毎に対応する個別の通路に流体を流すことにより各集合電池の冷却または加温を促すことができる。このように個別の通路であるがゆえに、ある集合電池に対して供給された流体が、同時に他の集合電池に供給されることやさらに下流で他の集合電池に対して供給されることを防ぐことができる。これにより、流体とともに搬送される埃、塵等の通電を助長する因子によって、組電池に要求される絶縁性が損なわれることを抑制することができる。したがって、絶縁を確保しつつ複数の電池セルからなる組電池の冷却等を実施できる電池システムが得られる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、個別の通路は、絶縁材質で構成される仕切り部(14,24,15)によって形成されていることを特徴とする。この発明によれば、各個別の通路が絶縁材質の仕切り部で形成されるため、通路間の絶縁性能のさらなる向上が図れる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、すべての個別の通路における流体の流入部(12,22)は、組電池の一方側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、すべての個別の通路における流体の流入部が組電池の一方側に集まっているため、流体供給手段のメンテナンス性の向上が図れる。また、流体供給手段と個別の通路とを接続するためのダクト等の引き回しを不要にできるため、部品点数の低減、電池システムの小型化および搭載性向上が図れる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、複数個の集合電池は、組電池の一方側から他方側に向かって並ぶように配置されており、
すべての個別の通路は、流体の流入部において複数段を形成するように配置されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、流体供給手段からすべての個別の通路に向かう通路を組電池の一方側から他方側に向かって束ねるように形成することができるため、システムの小型化が図れ、また電池システムを搭載性に有利な単純な形状に形成することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、個別の通路における流体の流入部(12A,22A)は、組電池の一方側と他方側の両方に配されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、個別の通路における流体の流入部が組電池の一方側と他方側の両方に亘って配されているため、各集合電池のメンテナンスが行い易くなり、集合電池毎のメンテンナンス向上が図れる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、複数個の集合電池は組電池の一方側から他方側に向かって並ぶように配置されており、すべての個別の通路の流体の流入部は同じ高さに位置していることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、すべての個別の通路の流体の流入部が同じ高さにあることにより、電池システムを搭載性に有利な凹凸の少ない形状に形成することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、仕切り部は、隣り合う集合電池間を絶縁する仕切り壁(15)を含むことを特徴とする。この発明によれば、隣り合う集合電池の間が絶縁材質からなる仕切り壁によって仕切られるため、電位差が生じる集合電池間の電気的導通が遮断され、集合電池間の絶縁の向上が図れる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発明において、さらにバスパーには、流体との接触面積を増加させる接触面積拡大部材(5)が設けられ、接触面積拡大部材は個別の通路に配置されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、接触面積拡大部材を個別の通路に配置するように備えることにより、電池セルから発生する熱の放熱面積および流体からの受熱面積を拡大することができ、さらに冷却性能および加温性能を向上させることができる。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の接触面積拡大部材は、各集合電池において流体の流れ方向に複数個並ぶように配置されており、流体の下流側に位置する接触面積拡大部材は、流体の上流側に位置する接触面積拡大部材よりも表面積が大きくなっていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、例えば冷却風が供給される場合に、上流側の接触面積拡大部材を通過することによって冷却風の温度が上昇しても、下流側の接触面積拡大部材における放熱量が低下しないように構成することができる。これによって下流側における冷却性能および加温性能が上流側より劣ることを防止することができる。したがって、電池セル毎の温度のばらつきを改善でき、安定した電池性能を提供することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の発明において、流体供給手段は、ファン(42)と、収納されているファンの回転によって流体を吸入し吐出するケーシング(43)と、を備えており、
すべての個別の通路はケーシングの吹出口(45)に接続されており、ケーシングは組電池と一体に配置されていることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、ファンを収容したケーシングがすべての個別の通路に接続されることにより、流体供給手段と組電池が一体になって電池システムを構成するので、システム全体の小型化が図れる。また、すべての個別の通路に対して流体を供給するための流体供給手段を簡単な構造の部品で実現することができ、流体供給手段のメンテナンス性の向上、部品点数の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の電池システムの構成を説明するための側面図である。
【図2】第1実施形態における個別の通路を説明するために筐体内部を通路入口から見た断面図である。
【図3】第1実施形態における個別の通路を説明するために筐体内部を上方から見た平面図である。
【図4】第2実施形態の電池システムの構成を説明するための側面図である。
【図5】第2実施形態における個別の通路を説明するために筐体内部を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0027】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態の電池システム100は、内燃機関と電池駆動モータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられ、走行用モータの駆動電源等となる二次電池を冷却または加温するシステムである。この電池は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、有機ラジカル電池であり、複数個の電池セル1を通電可能に接続した組電池30として、筐体内に収納された状態で自動車の座席下の空間、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間等に配置される。
【0028】
二次電池を構成する電池セル1は、電流によるジュール熱や充放電時の化学反応に伴って発熱する。この発熱は電池セル1の発電要素である電極端子で主に生じる。そこで、電池システム100は、この発生した熱を放熱するために、電極端子と直接接続されているバスパー4やフィン5を伝熱経路として活用し、空気などの冷却媒体に対して放熱する機能を有している。
【0029】
第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。図1は本実施形態に係る電池システム100の構成を説明するための側面図である。図2は集合電池毎に個別に設けられる個別の通路(例えば第1の通路11、第2の通路21)を説明するために、筐体内部を通路入口から見た断面図である。図3は個別の通路を説明するために筐体内部を上方から見た平面図である。なお、図3では、理解を容易にするために、図1で示した送風機40を図示せず、組電池30のみを図示している。また、各図において、直方体状の各電池セル1の細長く延びる方向を長手方向Y(以下、送風方向Yともいう)とし、長手方向Yに直交する方向を電池セル1が積層される積層方向Xとし、長手方向Yと積層方向Xの両方に垂直な方向を高さ方向Z(上下方向Zともいう)とする。
【0030】
図1に示すように、電池システム100は、組電池30と、組電池30に対して流体を供給する流体供給手段と、を備えている。組電池30は、電極端子2,3間がバスパー4を介して通電可能に接続される複数個の電池セル1からなる集合電池を少なくとも2個含み、この複数個の集合電池がさらに電気的に直列接続されて構成されている。流体供給手段は、各集合電池10,20における複数個のバスパー4、フィン5、電極端子2,3等に対して熱の授受を行える流体を供給する手段である。流体供給手段は、組電池30に一体的に設けられる流体機械、ダクト等の通路を介して流体を供給する流体機械のいずれあってもよい。本実施形態では、空気を送風する送風機40によって流体供給手段を実現している。
【0031】
各電池セル1は、電気絶縁性樹脂の外装ケースによってその外周面を被覆された扁平状直方体である。各電池セル1には、正極端子2および負極端子3が長手方向両端側に離れて配置されており、この両端子は外装ケースから露出している。電池セル1は、その厚み方向(積層方向X)に複数個積層するように配置されて一つの塊である集合電池を構成する。組電池は、このような集合電池の少なくとも2個を直列接続することによって構成される。本実施形態では、組電池30は、電池セル1の長手方向Yに並んで配置された2個の集合電池10,20を直列接続することによって実現されている。
【0032】
各集合電池10,20は、複数個の電池セル1をその長手方向Yの側面を対向させるように並べて配置し、隣り合う電池セル1の異極の電極端子同士をバスパー4によって電気的に直列接続して一体化した電池セル1の集合体である。各集合電池10,20は、図示しないプレート等によって積層方向の両側端部から拘束されることにより固定されている。積層方向Xに隣り合う電池セル1の間には、図2に示すように、絶縁材質からなる仕切り板16を備えるようにしてもよい。仕切り板16を構成する材質は、所定の絶縁性が確保された樹脂、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、あるいはフェノール樹脂等である。
【0033】
図3に示すように、各集合電池10,20を構成する各電池セル1は、一側面、例えば上面から突出する電極端子(正極端子2と負極端子3)を備えている。隣り合う電池セル1間の異極の電極端子同士は、導電性に優れた金属板であるバスパー4によって接続されている。1つの集合電池を構成する複数個の電池セル1は、対応する数量のバスパー4によって通電可能に接続されることになる。さらに、隣り合う集合電池10と集合電池20は、集合電池10,20間の異極の電極端子同士をバスパー4によって接続することで直列接続されている。バスパー4と電極端子との接続は、例えばねじ締めや、超音波溶接により行われる。したがって、組電池30において、バスパー4によって直列接続された複数個の電池セル1の両端に配された総端子部(組電池の正電極部6と組電池の負電極部7)から電力の授受が行われる。
【0034】
集合電池10を構成する5個の電池セル1は、図3の積層方向XのX2側であって長手方向YのY2側である左下隅の第1の電池セル1aにおける正極端子2から始まって、電池セル1間を接続するバスパー4によって筐体31内を長手方向Yに往復しながら積層方向XのX1側(以下、X1側ともいう)に位置する第5の電池セル1eの負極端子3に至るまで通電可能に接続されている。第1の電池セル1aの正極端子2は、組電池の正電極部6に接続されており、第5の電池セル1eの負極端子3は、集合電池20における第1の電池セル1fの正極端子2にバスパー4によって接続されている。
【0035】
第1の電池セル1aの長手方向YのY1側(以下、Y1側ともいう)の負極端子3は、第2の電池セル1bのY1側の正極端子2にバスパー4によって接続されて両者は通電する。さらに、第2の電池セル1bの長手方向YのY2側(以下、Y2側ともいう)の負極端子3は、X1側に隣接する第3の電池セル1cのY2側の正極端子2にバスパー4によって接続されて、両者は通電する。第3の電池セル1cのX1側に隣接する第4の電池セル1dの正極端子2は、第3の電池セル1cのY1側の負極端子3にバスパー4によって接続される。さらに、第4の電池セル1dのX1側に隣接する第5の電池セル1eの正極端子2は、第4の電池セル1dのY2側の負極端子3にバスパー4によって接続される。換言すれば、集合電池10のすべての電池セル1a〜1eは、第1の電池セル1aのY2側の正極端子2から第5の電池セル1eのY1側の負極端子3に至るまで、電流がジグザク状または蛇行状に流れるようにバスパー4を介して電気的に直列接続されている。
【0036】
集合電池20についても、集合電池10と同様に、集合電池20のすべての電池セル1f,1g,1h,1i,1jは、第1の電池セル1fのY1側の負極端子3から第5の電池セル1jのY1側の負極端子3に至るまで、電流がジグザク状または蛇行状に流れるようにバスパー4を介して電気的に直列接続されている。第5の電池セル1jの負極端子3は、組電池の負電極部7に接続されている。
【0037】
組電池の正電極部6および負電極部7は、走行用モータ等の電力供給先の装置に接続されている。正電極部6および負電極部7は、ともにリレー装置に接続されている。両電極部とリレー装置との間には組電池30の電流を検出する電流センサが設けられている。電流センサで検出された電流信号は、充電電流、放電電流として制御回路ユニットに出力される。
【0038】
また、各バスパー4の上には、各電池セル1からの熱が伝わるフィン5a〜5j(以下、不特定のフィンを示すときにはフィン5として示す)が設けられる。フィン5は、筐体31内で電池セル1における正極端子2および負極端子3の上方向Z1に各端子について設けられている。フィン5は、送風機40によって供給される空気との接触面積を増加する接触面積拡大部材である。フィン5は、熱伝導率に優れたアルミニウム材、アルミニウム合金等で構成される周知の波形状フィンであり、山部および谷部が積層方向Xに交互に繰り返され、山部と谷部の間を供給される空気が流れるように山部および谷部が長手方向Yに伸長するように形成されている。
【0039】
まず、各集合電池10,20には、送風空気が個別に供給されるため、各集合電池10,20に送風される冷却風の入口温度は同じにすることができる。これにより、各集合電池10,20における放熱量をより均一にすることができ、集合電池10と集合電池20との温度差を小さくすることができる。
【0040】
さらに、集合電池10において、送風空気(図1および図3に示す実線の矢印方向)の下流側に位置するフィン5b,5dは、送風空気の上流側に位置するフィン5c,5eよりも、積層方向Xの単位長さ当たりの表面積が大きくなるようになっている。本実施形態では下流側のフィン5b,5dの送風方向Yの長さL2は、下流側のフィン5a,5c,5eの送風方向Yの長さL1よりも長くなっている。また好ましくは、送風空気の下流側に位置するフィン5b,5dと、フィン5b,5dよりも下流側に位置するフィン5c,5eとは、送風空気からの吸熱量および送風空気への放熱量が略等しく(この「略等しい」は等しいを含むものとする)なるように構成される。積層方向Xに並んでいる、フィン5cとフィン5eの組み合わせおよびフィン5bとフィン5dの組み合わせは、ともに表面積が略等しくなっている。
【0041】
送風空気によって電池セル1を冷却する場合には、フィン5の冷却風への放熱量は、フィン5と冷却風の温度差と、フィン5の表面積との積算値に比例する。送風空気の温度は、上流側より下流側の方がフィン5との熱交換によって上昇するが、各フィン5は、このように温度が上昇した空気であっても放熱量が略等しくなるように構成されている。換言すると、各フィン5は、同じ温度の空気が通過したと仮定すると、放熱量は最もY2側に位置するフィン5が最も小さく、Y2側に向かうにつれてフィン5の放熱量が大きくなる。
【0042】
集合電池20についても、集合電池10と同様に、送風空気(図1および図3に示す破線の矢印方向)の下流側に位置するフィン5f,5hは、送風空気の上流側に位置するフィン5g,5iよりも、積層方向Xの単位長さ当たりの表面積が大きくなっており、上記と同様の作用効果を奏する。本実施形態では下流側のフィン5f,5h,5jの送風方向Yの長さL4は、下流側のフィン5g,5iの送風方向Yの長さL3よりも長くなっている。
【0043】
次に、集合電池毎に設けられる個別の通路について説明する。各集合電池10,20には、その上面から突出するように配置される複数個のバスパー4、フィン5、電極端子2,3等に向け、送風機40によって供給される空気が通る個別の通路が設けられている。集合電池10には個別の通路である第1の通路11が設けられ、集合電池20には個別の通路である第2の通路21が設けられている。つまり、各集合電池に対応する個別の通路は、他の個別の通路とは仕切られ、区画されている通路であり、その通路断面形状が積層方向Xに細長く、上下方向長さを抑えた矩形状の通路である。第1の通路11および第2の通路21は、その積層方向Xの長さが組電池30とほぼ同じになるようになっており、両通路によって組電池30の上方が覆われるようになっている。第1の通路11には、集合電池10に設けられた複数個のバスパー4、フィン5、電極端子2,3等が配置されている。第2の通路21には、集合電池20に設けられた複数個のバスパー4、フィン5、電極端子2,3等が配置されている。第1の通路11と第2の通路21とは、それぞれの通路入口から通路出口までの範囲で、互いに独立した通路となっており、通路を流れる空気が混合しないようになっている。また、第1の通路11と第2の通路21は、両者を流れる流体流量が同等となるように形成されている。
【0044】
第1の通路11および第2の通路21のそれぞれは、絶縁材質で構成される仕切り部によって形成されている。この仕切り部を構成する材質は、所定の絶縁性が確保された樹脂、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、あるいはフェノール樹脂等である。
仕切り部14は、通路入口12から通路出口(下流側のフィン5b,5dの後端部付近)に至るまで、第2の通路21から独立した第1の通路11を形成するように、集合電池10の上方空間を区画している。仕切り部24は、通路入口22から通路出口(下流側のフィン5f,5h,5jの後端部付近)に至るまで、第1の通路11から独立した第2の通路21を形成するように、組電池30の上方空間を区画している。
【0045】
すべての個別の通路(第1の通路11および第2の通路21)における流体の流入部(通路入口12および通路入口22)は、組電池30の一方側(Y2側)に配置されている。さらに、このすべての個別の通路は、流体の流入部において複数段を形成するように接続されている(以上、図1および図2参照)。本実施形態では、第2の通路21は、流体の流入部および集合電池10の上方において第1の通路11の上に重なるように設けられる。
【0046】
第1の通路11は、通路出口付近から下方Z2に延びる仕切り壁15によって下方に延長される通路としてもよい。この下方への通路延長の構造を採用した場合には、第1の通路11を流れてきた空気は、組電池30の外部に排出されるまで途中で第2の通路21の空気と混じり合うことなく、下端部出口13から外部に排出されるようになる。この仕切り壁15は、仕切り部14と一体に形成される絶縁体であり、集合電池10と集合電池20との間を仕切り、流体通路を形成するとともに、2つの集合電池間の表面接触を防ぐよう電池の筐体表面を分離し、両者の絶縁向上に寄与する。また、仕切り壁15を構成する材質は、所定の絶縁性が確保された樹脂、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、あるいはフェノール樹脂等である。
【0047】
また、第2の通路21は、通路出口付近から下方Z2に延びる縦壁25によって下方に延長される通路としてもよい。この下方への通路延長の構造を採用した場合には、第2の通路21を流れてきた空気は、集合電池20の上面に沿うように流れた後、下端部出口23から外部に排出されるようになる。
【0048】
このように構成された組電池30は筐体31内に収納されている。筐体31は、メンテナンスのために少なくとも一面を取り外し可能に構成された直方体状のケースであり、樹脂または鋼板で形成されている。筐体31は、仕切り部24、仕切り壁15および縦壁25と一体に構成されてもよい。また、筐体31には、車両側に筐体31をボルト締め等により固定するための取付部(図示せず)が設けられている。
【0049】
次に、流体供給手段の一例である送風機40について説明する。送風機40は、組電池30の長手方向Yの一方側端部(以下、Y2側の端部ともいう)に隣接して一体的に設けられている。送風機40は、モータ等によって駆動される回転数制御の可能なシロッコファン42と、収納されるシロッコファン42の回転によって流体を吸入し吐出するケーシング43と、を備えている。送風機40は、組電池30のY2側の端部の積層方向Xの長さにわたる吹出口45を有し、組電池30に対して送風を提供する。送風機40のケーシング43は、組電池30のY2側の端部側面に略平行な方向(積層方向X)に空気を吸い込む吸込口44が形成されており、吸込口44から吹出口45に向けて末広がりとなる流路を内部に形成している。
【0050】
シロッコファン42は略水平に配されたモータの回転軸41に固定されている。回転軸41は、対向する組電池30の上下方向の高さの間にその軸心が含まれるように配置されている。ケーシング43は、シロッコファン42の周囲を囲むスロール部有するケーシングであり、軸方向の両側面に開口する2個の吸込口43を備えている。ケーシング43は一体に形成された取付脚をボルト等の締結手段により締め付けることにより車両側部品または機器収納ボックス(図示せず)に固定されている。
【0051】
ケーシング43の内壁面とシロッコファン42の前向きブレードとの間に形成される通路から吹出口45に至る通路には、吹出口45側に末広がりとなる流路が設けられている。当該末広がりの通風路はシロッコファン42の上方に配され、吹出口45は筐体31内の上部に臨むように配置され、個別の通路における通路入口12および通路入口22に接続されている。吹出口45の積層方向Xの長さは、組電池30の積層方向Xの長さ寸法に略等しい。
【0052】
吹出口45から吹き出される空気は、組電池30の上部に向かって流れ、分岐する流れとなり、第1の通路11に流入して集合電池10の上面や、第2の通路21に流入して集合電池20の上面に達する。この分岐した送風空気は、集合電池10の上面および集合電池20の上面のそれぞれを流れるときに、複数の電極端子2,3、バスパー4,フィン5等に接触して吸熱し、各電池セル1を冷却する。第1の通路11および第2の通路21のそれぞれで奪われた各電池セル1の熱は、送風空気とともに下端部出口13、下端部出口23から外部に排出される。
【0053】
機器収納ボックスには電池監視ユニットが収納されている。電池監視ユニットは、電池状態(例えば電圧、温度等)を監視する各種センサからの検出結果が入力されるようになっている。機器収納ボックスには、さらに、送風機40を駆動するモータの駆動制御や電池制御を行う制御回路を備える制御回路ユニット、各機器を接続するワイヤハーネス等が収納されている。制御回路ユニットは、電池監視ユニットと通信して組電池30の状態を監視する電池ECUでもあり、組電池30と多数の配線にて接続されている。制御回路ユニットは外部の電子制御装置と通信するようになっている。また、制御回路ユニットが組電池30の電子制御回路に必要な指令を発するように構成してもよい。
【0054】
制御回路ユニットは、送風機40のファンの回転数を検出し、ファンが吸い込む空気の温度を吸気温度センサによって検出する。制御回路ユニットは、吸気温度センサで検出された吸気温度、各種センサで検出した電池温度、および予め記憶された制御プログラムに基づいて演算を行い、電池温度が適正な温度範囲となるようにファンの回転数を制御して電池冷却を適切に調整する。また、モータの駆動は制御回路ユニットにより制御されている。制御回路ユニットは、例えば電圧のパルス波のデューティー比を変化させて変調するPWM制御を行う。例えば、制御回路ユニットは、PWM制御によりファンの回転数を目標とする冷却能力に応じて可変制御し、温度センサ等で検出される電池セル1の温度を制御している。
【0055】
電池監視ユニットが電池を冷却する必要があると判定すると、送風機40のモータに対して駆動電圧が供給されてファンが回転する。これにより、電池システム100外部の空気(流体)が送風機40に吸い込まれ、第1の通路11および第2の通路21のそれぞれに供給される。両通路に分岐した空気は、第1の通路11を流通しながら集合電池10から熱を奪って冷却し、第2の通路21を流通しながら集合電池20から熱を奪って冷却し、互いの通路の途中で混ざり合うことなく、外部に流出される。
【0056】
本実施形態の電池システム100がもたらす作用効果について述べる。電池システム100は、電極端子2,3間がバスパー4を介して通電可能に接続される複数個の電池セル1からなる集合電池10,20を少なくとも2個含み、複数個の集合電池10,20がさらに電気的に直列接続されて構成される組電池30と、各集合電池における複数個のバスパー4に対して熱の授受を行える空気(流体)を供給する流体供給手段としての送風機40と、集合電池毎に個別に設けられる通路であって、各集合電池の複数個のバスパー4に向けて送風機40によって供給される空気が通る個別の通路11,21と、を備える。
【0057】
この構成によれば、互いに混ざり合わない個別の通路を集合電池毎に備えていることにより、集合電池10の導電部分に対して供給された空気が、同時に集合電池20の導電部分に供給されることや、さらに一方の集合電池の導電部分に接触してきた空気が、その後、他方の集合電池の導電部分に接触して冷却するような空気流れの形成を防ぐことができる。これにより、高い電位差が生じている集合電池間の絶縁性能が、空気とともに搬送される埃、塵等によって損なわれ、電池の劣化等を引き起こすことを抑制することができる。
【0058】
また、第1の通路11、第2の通路21は、絶縁材質で構成される仕切り部14,24によって形成されて、両通路は区画されている。この構成によれば、各個別の通路が絶縁体で仕切られているため、通路間の絶縁性能がさらに向上する。
【0059】
また、すべての個別の通路における通路入口12,22は、組電池30の一方側に配置されている。これによれば、すべての個別の通路の入口部が組電池30の一方側に集まっているため、送風機40等の流体供給手段のメンテナンスを容易に行うことができる。また、通路の入口部が集まっているため、流体を通すダクト等の引き回しを不要にでき、流体供給手段の各構成部品の設置スペースを低減でき、搭載性向上が図れる。
【0060】
また、集合電池10、集合電池20は、組電池30の一方側から他方側に向かって並ぶように配置され、すべての個別の通路は通路入口12,22において複数段を形成するように配置されている。これによれば、電池システム100の小型化が図れ、また搭載性に有利な単純な形状にすることができる。
【0061】
また、バスパー4には、個別の通路に配置されているフィン5が設けられている。これによれば、電池セル1から発生する熱の放熱面積および流体からの受熱面積を拡大することができ、冷却性能および加温性能をさらに向上させることができる。
【0062】
さらにフィン5は、各集合電池10,20において空気の流れ方向に複数個並ぶように配置されており、空気流れの下流側に位置するフィン5b,5dは、上流側に位置するフィン5c,5eよりも表面積が大きくなっている。
【0063】
これによれば、例えば冷却風が供給される場合に、上流側のフィン5c,5eを通過することによって冷却風の温度が上昇しても、下流側のフィン5b,5dにおける放熱量が低下しないように構成することができる。これによって、電池セル1毎の温度のばらつきを改善でき、集合電池を構成する複数の電池セルの均一な温度管理が図れ、特定の電池セルの劣化が著しく進むことを防止できる。
【0064】
また、送風機40はファンと、収納されるファンの回転によって流体を吸入し吐出するケーシング43と、を備えている。ケーシング43の吹出口45は、第1の通路11および第2の通路21に接続されており、ケーシング43は組電池30の一方側で組電池30と一体に設けられている。
【0065】
この構成によれば、送風機40は吸込口44から吸い込んだ空気を、吹出口45を通じて第1の通路11と第2の通路21とに分配し、各集合電池10,20における電極端子2,3、バスパー4,フィン5に供給する。このため、組電池の一方側に配された送風機40によって複数の通路に空気を供給することができ、電池システム100の小型化、流体供給手段の簡単化が図れる。
【0066】
また、第1の通路11および第2の通路21は、通路の断面形状が扁平状であることにより、小風量でも流速の速い冷却風を提供できるので、低騒音化を満たしつつも電池セル1の冷却する能力を確保することができる。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の電池システムの他の形態について図4および図5にしたがって説明する。図4は、本実施形態の電池システムの構成を説明するための側面図である。図5は本実施形態における個別の通路を説明するために筐体内部を上方から見た平面図である。図4および図5において前述の第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成部品は、同様の構成部品であり、同様の作用効果を奏するものである。なお、図4および図5では、理解を容易にするために、送風機40等の流体供給手段を図示せず、組電池30Aのみを図示している。
【0068】
図4および図5に示すように、第1の通路11における流体の流入部である通路入口12Aは、第1実施形態の通路入口12と同様に、組電池30Aの一方側(Y2側)に配置されている。しかしながら、第2の通路21における流体の流入部である通路入口22Aは、第1実施形態の通路入口22と異なり、組電池30の他方側(Y1側)に配置されている。そして、第1の通路11の通路出口および第2の通路21の通路出口は、組電池30Aの長手方向Yの中央部に配置されている。これにより、両方の個別の通路に流入した空気は、組電池30Aの長手方向Yの両側から中央部に集まるようにそれぞれの通路を流れ、そこから、下方に延びるように形成された通路(集合電池10と集合電池20との間に形成された通路)を流下して、筐体31Aの外部に排出されるようになる。
【0069】
本実施形態では、第1の通路11と第2の通路21は、流体の流入部の高さ位置が同じであり、両者は第1実施形態のように複数段の通路を形成しない。流体供給手段によって組電池30内に導入される空気は、組電池30Aの側断面を見ると、T字状を形成する流れとなる。また、組電池30内に導入される空気は、単一の流体供給手段によって生成してもよいし、個々の通路に対応する複数の流体供給手段によって生成してもよい。
【0070】
集合電池10と集合電池20との間には、筐体31Aの上端部から下端部まで延び、筐体31Aの内部全体を長手方向Yに二分する仕切り壁15Aが設けられる。この仕切り壁15Aは、絶縁材質で形成されている。この仕切り壁15は、仕切り部14および仕切り部24と一体に形成される絶縁体であり、集合電池10と集合電池20との間を仕切り、両者間の絶縁向上に寄与する。仕切り壁15Aを構成する材質は、所定の絶縁性が確保された樹脂、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、あるいはフェノール樹脂等である。
【0071】
この下方へ延設される仕切り壁15を採用した場合には、第1の通路11を流れてきた空気は、第1の通路11の通路出口(フィン5b,5dの後端部付近)から下方に流下し、組電池30の外部に排出されるまで途中で第2の通路21の空気と混じり合うことなく、仕切り壁15Aと集合電池10との間に形成された下端部出口13Aから外部に排出されるようになる。一方、第2の通路21を流れてきた空気は、第2の通路21の通路出口(フィン5g,5iの後端部付近)から下方に流下し、組電池30の外部に排出されるまで途中で第1の通路11の空気と混じり合うことなく、仕切り壁15Aと集合電池20との間に形成された下端部出口23Aから外部に排出される。
【0072】
このような個別の通路の形態を採用することに伴い、第1実施形態と異なり、集合電池20において、送風空気(図4および図5に示す破線の矢印方向)の下流側に位置するフィン5g,5iは、送風空気の上流側に位置するフィン5f,5hよりも、積層方向Xの単位長さ当たりの表面積が大きくなるようになっている。本実施形態では下流側のフィン5g,5iの送風方向Yの長さL4は、下流側のフィン5f,5h,5jの送風方向Yの長さL3よりも長くなっている。また好ましくは、送風空気の下流側に位置するフィン5h,5jと、これよりも下流側に位置するフィン5f,5hとは、送風空気からの吸熱量および送風空気への放熱量が略等しく(この「略等しい」は等しいを含むものとする)なるように構成される。
【0073】
また、各集合電池10,20に供給する送風方向は、上記とは逆向きにしてもよい。この場合には、送風空気は、仕切り壁15Aによって分配されて下端部出口23A,13Aから流入し、仕切り壁15Aに沿って上昇して各集合電池10,20の上面に沿って流れ、それぞれ通路入口12A,22Aから排出される。これにより、流入口である下端部出口23A,13Aが同一箇所に設けられているため、一つの送風機を共有することができる。
【0074】
本実施形態の電池システムがもたらす作用効果について述べる。電池システムは、第1の通路11および第2の通路21(個別の通路)における通路入口12A,22Aは、組電池の一方側と他方側の両方に配されている。これによれば、第1の通路11の通路入口12Aが組電池30の一方側に配され、第2の通路21の通路入口22Aが組電池30の他方側に配されているため、不具合があった方の集合電池に関わる部分だけを部品交換等すればよいので、電池システムの保守管理を集合電池毎のメンテンナンスによって簡単化できる。
【0075】
また、集合電池10,20は組電池30の一方側から他方側に向かって並ぶように配置されており、第1の通路11および第2の通路21(個別の通路)における通路入口12A,22Aは同じ高さに設定されている。
【0076】
これによれば、すべての個別の通路の流体の流入部が同じ高さにあることにより、電池システムの外郭上面をフラットに近い形状にでき、電池システムを搭載性に有利な形状に形成することができる。
【0077】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0078】
上記実施形態の電池システム100において、電気式ヒータ部材等の発熱手段を設け、発熱手段によって加熱した流体を流体供給手段によって個別の通路に供給するようにしてもよい。これによれば、電池セル1の温度の低下時に、電池を暖気して放電効率および充電効率を向上させる暖機運転を実施できる。
【0079】
上記実施形態で説明した電池システム100は、集合電池を冷却する流体が流れる少なくとも2つの通路(第1の通路11と第2の通路21)が組電池30の上面に沿うように配されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、第1の通路11と第2の通路21は、組電池30の上面以外の側面に沿うように配されていてもよく、この場合、冷却対象物体となる各集合電池10,20の電極端子2,3、バスパー4,フィン5等は、対応する第1の通路11および第2の通路21に配置されている。
【0080】
上記実施形態で説明した電池システム100は、集合電池の上面に上記冷却対象物体(電極端子、バスパー、フィン等)が位置する姿勢で配置されているが、この姿勢に限定されるものではない。例えば、電池システム100を自動車等に設置するときに、複数個の個別の通路が集合電池の上方と下方の両方に位置するように設置してもよいし、あるいは、複数個の個別の通路の延びる方向が上下方向となるように設置してもよい。
【0081】
上記実施形態において、送風空気の下流側に位置するフィンを、送風空気の上流側に位置するフィンよりも表面積が大きくなるようにする手段は、以下のようなものであってもよい。例えば、下流側のフィンにおける山部間のピッチを短くしたり、下流側のフィンの形状を複雑化したり、下流側のフィンに切り起こし部を形成したりしてもよい。
【0082】
上記実施形態では、集合電池10,20を送風方向Yに2個並べるようにして組電池30を構成して自動車等に搭載しているが、他の形態として、集合電池10,20を積層方向Xに複数個並べるように配置して自動車等に搭載するように使用してもよい。また、並べられる集合電池の個数は、2個以上であればその数量は限定するものではない。
【0083】
上記実施形態において、複数個の電池セル1は、筐体31内でその積層方向Xに所定の隙間をあけて並べて配置するようにしてもよいし、電池セル間には絶縁部材を設けないようにしてもよい。また、各電池セル1は、角形の直方体形状を呈するものであるが、この形状に限定されるものではなく、例えば丸棒状の形状を呈し、その軸方向の両端面から電極端子部を突出する形態であってもよい。
【0084】
上記実施形態では、第1の通路11または第2の通路21を流れてきた空気は、組電池30の下端に開口された出口から排出するようにしているが、この出口を通路入口12,22と略同じ高さに開口するようにしてもよい。これによれば、通路がほぼ直線的に形成されるため、通路抵抗を小さくできるので、低風量化が図れて低騒音に寄与できる。
【0085】
流体供給手段をでる送風機のファンは、送風機40のようにシロッコファンに限定するものではなく、他の形態のファンを採用することができる。例えばファンは、軸流式ファン、斜流式ファン、他の遠心式ファン(ラジアルファン、ターボファン等)で構成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…電池セル
2…正極端子(電極端子)
3…負極端子(電極端子)
4…バスパー
5…フィン(接触面積拡大部材)
10…第1の集合電池
11…第1の通路
12,12A,22,22A…通路入口(流体の流入部)
14,24…仕切り部
15…仕切り壁(仕切り部)
20,20A…第2の集合電池
21…第2の通路
30,30A…組電池
40…送風機(流体供給手段)
42…シロッコファン(ファン)
43…ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子(2,3)間がバスパー(4)を介して通電可能に接続される複数個の電池セル(1)からなる集合電池(10,20)を少なくとも2個含み、前記複数個の集合電池がさらに電気的に直列接続されて構成される組電池(30)と、
前記各集合電池における複数個の前記バスパーに対して熱の授受を行える流体を供給する流体供給手段(40)と、
前記集合電池毎に個別に設けられる通路であって、前記各集合電池の前記複数個のバスパーに向けて前記流体供給手段によって供給される前記流体が通る個別の通路(11,21)と、
を備えることを特徴とする電池システム。
【請求項2】
前記個別の通路は、絶縁材質で構成される仕切り部(14,24,15)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
すべての前記個別の通路における前記流体の流入部(12,22)は、前記組電池の一方側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池システム。
【請求項4】
前記複数個の集合電池は、前記組電池の一方側から他方側に向かって並ぶように配置されており、
前記すべての個別の通路は、前記流体の流入部において複数段を形成するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電池システム。
【請求項5】
前記個別の通路における前記流体の流入部(12A,22A)は、前記組電池の一方側と他方側の両方に配されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池システム。
【請求項6】
前記複数個の集合電池は、前記組電池の一方側から他方側に向かって並ぶように配置されており、
前記すべての個別の通路における前記流体の流入部は、同じ高さに位置していることを特徴とする請求項5に記載の電池システム。
【請求項7】
前記仕切り部は、隣り合う前記集合電池間を絶縁する仕切り壁(15)を含むことを特徴とする請求項2に記載の電池システム。
【請求項8】
さらに前記バスパーには、前記流体との接触面積を増加させる接触面積拡大部材(5)が設けられており、
前記接触面積拡大部材は前記個別の通路に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項9】
前記接触面積拡大部材は、前記各集合電池において前記流体の流れ方向に複数個並ぶように配置されており、
前記流体の下流側に位置する前記接触面積拡大部材は、前記流体の上流側に位置する前記接触面積拡大部材よりも表面積が大きくなっていることを特徴とする請求項8に記載の電池システム。
【請求項10】
前記流体供給手段は、ファン(42)と、収納されている前記ファンの回転によって前記流体を吸入し吐出するケーシング(43)と、を備えており、
前記すべての個別の通路は前記ケーシングの吹出口(45)に接続されており、前記ケーシングは前記組電池と一体に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−198930(P2010−198930A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42901(P2009−42901)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】