電池パック
【課題】電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供する。
【解決手段】複数の二次電池セルBTと、二次電池セルBTを収容する収納穴120と、複数のネジ受け穴110と、を備えたパックケース100と、ネジ受け穴110と連続するネジ穴220を備え、ネジ穴220およびネジ受け穴110に挿入されたネジ210によりパックケース100に固定されたカバー200と、を備え、二次電池セルBTは断面が長円形の柱形状であって、収納穴120は、二次電池セルBTと同一の断面形状を備えた柱形状であって、複数のネジ受け穴110は、収納穴120の断面の長手方向D1における両端部において、収納穴120が並ぶ方向における収納穴120の間に配置されている電池パックPCK。
【解決手段】複数の二次電池セルBTと、二次電池セルBTを収容する収納穴120と、複数のネジ受け穴110と、を備えたパックケース100と、ネジ受け穴110と連続するネジ穴220を備え、ネジ穴220およびネジ受け穴110に挿入されたネジ210によりパックケース100に固定されたカバー200と、を備え、二次電池セルBTは断面が長円形の柱形状であって、収納穴120は、二次電池セルBTと同一の断面形状を備えた柱形状であって、複数のネジ受け穴110は、収納穴120の断面の長手方向D1における両端部において、収納穴120が並ぶ方向における収納穴120の間に配置されている電池パックPCK。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池パックに関し、特に、直列あるいは並列に接続された複数の二次電池セルを備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド電気自動車、電気自動車などの車両で使われる電池装置は、高出力でかつ頻繁な出力変化に対応する必要がある。このような電池装置は、一般的に、必要な出力や容量に応じて、電気的に直列あるいは並列接続された複数の二次電池セルを備えた電池パックにより構成される。
【0003】
車両に搭載された電池パックは、車両走行時に生じる機械振動に十分耐える強度に構成する必要がある。振動により、二次電池セル等の部品が許容値以上に変位したり変形したりすると、装置の特性劣化、寿命低減、ひいては故障につながる可能性がある。そのため、電池パックを構成する部品を保持固定する部材の強度を増す等の方法により、電池パックが十分な強度を備えるように構成する必要がある。また、電池パックを搭載する車両等の設計に応じて、電池パックの体格縮小が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−163965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池セルは、通電によって熱を発生するため、電池パックに放熱機構を設けることが不可欠である。例えば、電池パックのパックケースを介して、二次電池セルから発生する熱を電池パック外部に放熱する方法や、二次電池セルの周囲に空間を設けて、この空間を通過する冷却媒体により放熱する方法が用いられる。
【0006】
しかし、上記のように二次電池セルの周囲に空間を設けたり、二次電池パックのパックケースによって放熱したりする構成は、電池パックの体格増大を招くことがあった。例えば、複数の二次電池セルをパックケースに収納し、さらに、カバー固定ネジによりカバーをパックケースに締結固定する場合、全ての二次電池セルを確実に保持固定するため、個々の二次電池セル近傍の要点をカバー固定ネジによりネジ締結することが望ましい。
【0007】
しかしながら、上述のように構成した場合、電池パックにおいては、次の課題を有することになる。第一に、パックケースの体格が大きくなることがある。パックケースは確実にカバー固定ネジを受ける必要がある。パックケースは絶縁材料で形成する場合、メネジを形成した金属カラーが必要数挿入される。金属カラーを確実に保持するため、パックケースの厚さを小さくすることが困難であった。
【0008】
また、セルフタップネジを用いる場合、金属カラーは不要になるものの、セルフタップネジ形成に耐えるのに十分な厚さを確保しておく必要がある。パックケースの厚さが十分ではない場合には、クラックが発生したり、締め付け力の低下が生じたりする可能性があった。したがって、セルフタップネジ使用の場合も、パックケースの厚さを小さくすることが困難であった。いずれの場合でも、パックケースの体格増大し、電池パックの体格増大を抑制することが困難であった。
【0009】
また、パックケースを絶縁材料で形成する場合、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法による製造方法が多用される。パックケースを射出成形で部材を形成する場合、部材の厚さは極力均等であることが望ましい。成形部材の厚さに差があると、樹脂の流動不良による製造不良や、冷却速度の差異で生じる温度差による変形量増加(同じく製造不良)が発生する可能性が高くなる。その結果、本来なら厚さを小さくできる箇所までも厚さを増加させることを余儀なくされ、ますますパックケース体格(すなわちパック体格)が増大してしまうことがあった。
【0010】
さらに、カバー固定ネジの相互間隔が増すと、カバー固定ネジのサイズ(呼び径)が小さい場合には、カバーとパックケースとの締結力が弱くなることがあった。このことを回避するために、カバー固定ネジのサイズを大きくすると、パックケースの厚さの増加を招き、パックケースの体格が増加することがあった。上記のように、電池パックの体格が増大すると、搭載される装置の設計に対応する体格縮小の要求に応えられない場合があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであって、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様による電池パックは、複数の二次電池セルと、前記二次電池セルを収容する収納穴と、複数のネジ受け穴と、を備えたパックケースと、前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、前記収納穴は、前記二次電池セルと同一の断面形状を備えた柱形状であって、前記複数のネジ受け穴は、前記収納穴の断面の長手方向における両端部において、前記収納穴が並ぶ方向における前記収納穴の間に配置されている電池パックである。
【0013】
本発明の第2態様による電池パックは、複数の二次電池セルと、底部と前記底部と略直交した壁部とに囲まれ、前記複数の二次電池セルが収納された収納穴と、前記底部から略直交する方向に延びる複数の円柱体と、前記壁部から前記収納穴側に突出する複数の柱状体と、を備え、前記複数の円柱体と前記複数の柱状体との上端部にネジ受け穴が設けられたパックケースと、前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、前記底部と略平行な断面において、前記円柱体および前記柱状体は、前記二次電池セルと外接するように配置されている電池パックである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池パックの一構成例を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電池パックの二次電池セルの一構成例を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る電池パックの一構成例を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電池パックの二次電池セルの一構成例を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る電池パックの二次電池セルとパックケースとの一構成例を説明するための図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る電池パックの二次電池セルの一構成例を説明するための図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る電池パックの二次電池セルおよびパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る電池パックの二次電池セルおよびパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る電池パックの二次電池セルおよびパックケースの一構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態について、詳細に説明する。図1および図2に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKは、複数の二次電池セルBTと、複数の二次電池セルBTが収納されるパックケース100と、パックケース100の開口を閉じるカバー200と、複数の二次電池セルBTを直列あるいは並列に接続する導電部材300を備えている。
【0017】
図2に示すように、二次電池セルBTは、アルミニウム等により形成された箱状の外装容器10と、外装容器10内に非水電解液(図示せず)と共に収納された電極体(図示せず)と、を備えている。
【0018】
外装容器10は、上端が開口した容器本体12と、容器本体12に溶接され容器本体の開口を閉塞した略矩形板状の蓋体14とを有し、気密に形成されている。容器本体12は、開口に対向する底壁(図示せず)と、開口と底壁との間に延びるとともに互いに対向する2つの主壁1と、2つの主壁1間に延びる2つの側壁3とを備える。電極体は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、断面が略楕円形状の柱形状に形成されている。
【0019】
蓋体14と容器本体12の底壁とは、フィールドトラック形状の長円形である。すなわち、蓋体14は、2つ円弧と、これら2つの円弧を接続する直線と、によって形成される形状の主面を備えた板状体である。本実施形態では、蓋体14と容器本体12の底壁との形状は、半径の等しい2つの円の円弧と、これら2つの外接線とによって形成される形状である。蓋体14および容器本体12の底壁は、容器本体12内に収容される電極体の断面形状と略相似形状となるように形成されている。
【0020】
正極端子5および負極端子4は蓋体14の長手方向(第1方向D1)両端部にそれぞれ設けられ、蓋体14から突出している。正極端子5および負極端子4は、電極体の正極板および負極板にそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
負極端子4は、蓋体14を貫通して延びている。負極端子4と蓋体14との間には、合成樹脂、ガラス等の絶縁体からなるシール材、例えば、ガスケット(図示せず)が設けられ、負極端子4と外装容器10との間を気密にシールしているとともに、電気的に絶縁している。正極端子5と負極端子4とは、蓋体14の表面から外装容器10の外側に向かって突出している。
【0022】
このような形状の外装容器10を用いる場合、略直方体形状の二次電池セルに対して外装容器の内容積は小さくなる。しかしながら、本実施形態に係る電池パックPCKの二次電池セルBTの外装容器10に収納された正極板と負極板との捲回体(電極体)は、外装容器10と同様に長円形断面を有しているため、長円形断面の外装容器10を採用しても、電極体を収納することができる。すなわち、上記のような底壁と略平行な断面が長円形の外装容器10を用いた場合であっても、二次電池セルBTの容量低減が生じることはない。
【0023】
図3に示すように、複数の二次電池セルBTは、蓋体14の長手方向(第1方向D1)および主壁1が対向する方向(第2方向D2)にマトリクス状に並んで配置されている。図3に示す場合では、9個の二次電池セルBTが第2方向D2に並び、この9個の二次電池セルBTが第1方向D1に2列配置され、18個の二次電池セルBTを備えている。
【0024】
複数の二次電池セルBTの負極端子4および正極端子5は、導電部材300によって電気的に接続されている。導電部材300は、負極端子4あるいは正極端子5が挿入される開口301を備えている。導電部材300は、開口301において負極端子4あるいは正極端子5と溶接される。
【0025】
パックケース100は絶縁材料で形成されている。本実施形態では、パックケース100は、例えば熱可塑性樹脂を用いた射出成形法により形成される。収納穴120は底面が、二次電池セルBTの底壁と同じ形状(長円形)の柱形状の穴であって、二次電池セルBTの蓋体14の主面と略直交する方向(第3方向D3)における収納穴120の幅は、二次電池セルBTの外装容器10の幅と略等しくなっている。二次電池セルBTは、パックケース100に設けられた収納穴120内に収納され、隣に配置される二次電池セルBTの外装容器10と絶縁される。
【0026】
パックケース100は、導電部材300のネジ穴303と連続する第1ネジ受け穴130と、カバー固定ネジ210が挿入される第2ネジ受け穴110と、を備えている。ネジ穴303および第1ネジ受け穴130にはネジ310が挿入され、導電部材300とパックケース100とを固定する。ネジ310は、ネジ穴303に挿入されて導電部材300と電気的に接続され、電池パックPCKの電極端子として用いられる。
【0027】
第2ネジ受け穴110は、第1方向D1における収納穴120の両端近傍であって、第2方向における収納穴120の間に配置されている。パックケース100は、第2ネジ受け穴110を囲む壁が所定の厚さ以上となるように形成されている。本実施形態では、第2ネジ受け穴110の径方向において、例えば第2ネジ受け穴110の中心を通る方向での第2ネジ受け穴110およびその周囲の壁の幅が、少なくとも第2ネジ受け穴110の直径の2.5倍以上である。なお、第2ネジ受け穴110およびその周囲の壁の幅は、パックケース100を形成する材料に応じて、適切な値に設計される。
【0028】
カバー200は、カバー固定ネジ210が挿入されるネジ穴220と、ネジ穴303および第1ネジ受け穴130に取り付けられるネジ310を露出させる開口部230と、を備えている。第1方向D1および第2方向D2において、パックケース100とカバー200との幅は略等しい。カバー200は、パックケース100の収納穴120の開口を閉じるように、複数の二次電池セルBTの蓋体14と対向してパックケース100に取り付けられる。
【0029】
ネジ穴220は、パックケース100の第2ネジ受け穴110と連続するように、カバー200の第1方向D1における端部近傍および中央部において第2方向D2に並んで配置されている。
【0030】
パックケース100とカバー200とは、ネジ穴220と第2ネジ受け穴110とが連続するとともに、開口部230からネジ310が露出するように位置合わせされ、カバー固定ネジ210を取り付けることにより固定される。
【0031】
ここで、図2および図3に示すように、本実施形態では、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、電極体の断面形状の略相似形状の長円形状としたことによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。
【0032】
このことによって、例えば4つの二次電池セルBTを、第1方向D1方向および第2方向D2に2行2列のマトリクス状に配置すると、4つの二次電池セルBTに囲まれた部分に空間が生じる。また、例えば2つの二次電池セルBTを、第3方向D3および第2方向D2と略平行な面に沿って、上記面と2つの二次電池セルBTとに囲まれた部分に空間が生じる。
【0033】
本実施形態では、上記のように二次電池セルBTに囲まれた空間、および、面と二次電池セルBTとに囲まれた空間に相当する部分が、第2ネジ受け穴110を形成する領域に用いられている。したがって、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合と比べると、蓋体14の長手方向(第1方向D1)において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。
【0034】
すなわち、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合、電池パックPCKが十分な強度を備えるために、第2ネジ受け部110の周囲に所定の厚さ以上の壁を設けると、パックケース100は二次電池セルBTを囲む厚さが一様に所定の厚さ以上に形成されることとなる。
【0035】
これに対し、本実施形態では、同様に第2ネジ受け部110の周囲に所定の厚さ以上の壁を設けた場合であっても、第1方向D1および第2方向D2において二次電池セルBTを配置する間隔を小さくすることが可能である。したがって、二次電池セルBTを配置する間隔が小さくなった分だけ、パックケース100の体格を縮小することが可能となる。
【0036】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態に係る電池パックと同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKは、二次電池セルBTの構成とパックケース100の構成とが上述の第1実施形態に係る電池パックと異なっている。本実施形態に係る電池パックPCKの二次電池セルBTは、アルミニウム等により形成された箱状の外装容器10と、外装容器10内に非水電解液(図示せず)と共に収納された電極体(図示せず)と、を備えている。
【0039】
外装容器10は、上端が開口した容器本体12と、容器本体12に溶接され容器本体の開口を閉塞した略矩形板状の蓋体14とを有し、気密に形成されている。容器本体12は、開口に対向する底壁(図示せず)と、開口と底壁との間に延びるとともに互いに対向する2つの主壁1と、2つの主壁1間に延びる2つの側壁3とを備える。電極体は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、断面が略長円形状の柱形状に形成されている。
【0040】
蓋体14と容器本体12の底壁とは、略フィールドトラック形状である。本実施形態では、第1実施形態における蓋体14および容器本体12の底壁の2つの円弧の一方が、曲率の異なる異形部分を備えている。例えば、2つの円弧の一方は、他方の円弧と同一半径の円の4分の1の円弧と、この円弧とは異なる半径の円弧、あるいは、直線を備えた異形円弧である。
【0041】
したがって、容器本体12の、蓋体14と低壁との異形円弧間に延びる側壁3は、他方の側壁3とは異なる形状となる異形部3Aを備えている。蓋体14の円弧側の端部近傍には負極端子4が配置され、異形円弧側の端部近傍には正極端子5が配置されている。
【0042】
パックケース100の収納穴120は、上記二次電池セルBTの外装容器10の形状に対応する形状となっている。すなわち、収納穴120は、底面が容器本体12の底壁と同じ形状である。すなわち、図5および図6に示すように、収納穴120は、異形部3Aと対向する曲面(あるいは平面)120Aを備えている。
【0043】
蓋体14の長手方向(第1方向D1)における、二次電池セルBTが配置される向き(負極端子4と正極端子5との位置)は、二次電池セルBTを並列接続するか直列接続するかによって決定される。
【0044】
ここで、上記の二次電池セルBTは、第1方向D1における幅の中心を通って第3方向D3に略平行な軸を中心に180度回転させると、外装容器10の2つの側壁3の形状が異なるため、回転前と回転後とでは外装容器10の形状が一致しない。したがって、側壁3の形状から二次電池セルBTの向きを判断することが可能である。
【0045】
さらに、パックケース100の収納穴120は、二次電池セルBTが収納される向きに応じて、異形部3Aに対応する位置に、異形部3Aと同じ形状の曲面(あるいは平面)120Aが設けられている。本実施形態では、図6に示すように、異形部3Aに対応する形状の曲面(あるいは平面)120Aは、正極端子5が配置された側の側壁3と対向する収納穴120に設けられている。
【0046】
そのため、本実施形態に係る電池パックPCKを組み立てる際には、予め決定された向きと逆方向に、二次電池セルBTを収納穴120に挿入することはできない。すなわち、図6に示すように、異形部3Aと収納穴120の曲面(あるいは平面)120Aとが対向するように、二次電池セルBTをパックケース100内に収納することで、二次電池セルBTの向きを予め決定された向きとすることができる。したがって、二次電池セルBTをパックケース100に挿入し、導電部材300によって端子間を電気的に接続した際に、短絡故障が発生することがなくなり、組み立て時の不良品発生率を低下させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る電池パックでは、上述の第1実施形態に係る電池パックの場合と同様に、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、略長円形状としたことによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。したがって、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合と比べると、第1方向D1および第2方向において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。
【0048】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。図7に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKは、二次電池セルBTの構成とパックケース100の構成が上記第1実施形態に係る電池パックと異なっている。本実施形態に係る電池パックPCKの二次電池セルBTは、アルミニウム等により形成された箱状の外装容器10と、外装容器10内に非水電解液(図示せず)と共に収納された電極体(図示せず)と、を備えている。
【0050】
外装容器10は、上端が開口した容器本体12と、容器本体12に溶接され容器本体の開口を閉塞した略矩形板状の蓋体14とを有し、気密に形成されている。容器本体12は、開口に対向する底壁(図示せず)と、開口と底壁との間に延びるとともに互いに対向する2つの主壁1と、2つの主壁1間に延びる2つの側壁3とを備える。電極体は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、断面が略長円形状の柱形状に形成されている。
【0051】
図7に示すように、本実施形態では、容器本体12の2つの側壁3の一方に凸部3Bが設けられている。凸部3Bは、側壁3の上端(容器本体12の開口側の端部)から底壁側に向かって、第3方向D3と略平行な方向に所定幅延びるとともに、側壁3から第1方向D1と略平行な方向に突出している。本実施形態では、凸部3Bは正極端子5側の側壁3に設けられている。
【0052】
図8に示すように、パックケース100の収納穴120には、二次電池セルBTの凸部3Bと対応する位置に凹部120Bが設けられている。凹部120Bは、収納穴120の開口から底面に向かって、第3方向D3と略平行な方向に所定の幅延びるとともに、第1方向D1と略平行な方向に凹んでいる。凹部120Bは、二次電池セルBTの正極端子5側の側壁3と対向する位置に設けられている。
【0053】
ここで、上記の二次電池セルBTは、上記の第2実施形態の場合と同様に、第1方向D1における幅の中心を通って第3方向D3と略平行な軸を中心に180度回転させると、2つの側壁3の形状が異なるため、回転前と回転後とでは外装容器10の形状が一致しない。したがって、側壁3の形状から二次電池セルBTの向きを判断することが可能である。
【0054】
さらに、本実施形態に係る電池パックPCKを組み立てる際には、予め決定された向きと逆方向に二次電池セルBTを収納穴120に挿入すると、凸部3Bと凹部120Bとの位置が一致しないため、二次電池セルBTを収納穴120に挿入することができない。
【0055】
すなわち、図9に示すように、凸部3Bが収納穴120の凹部120Bに挿入されるように、二次電池セルBTをパックケース100内に収納することで、二次電池セルBTの向きを予め決定された向きとすることができる。したがって、二次電池セルBTをパックケース100に挿入し、導電部材300によって端子間を電気的に接続した際に、短絡故障が発生することがなくなり、組み立て時の不良品発生率を低下させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る電池パックでは、上述の第1実施形態に係る電池パックの場合と同様に、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、略長円形状としたことによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。したがって、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合と比べると、第1方向D1および第2方向D2において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。
【0057】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る電池パックPCKは、パックケース100の構成が上記第1実施形態に係る電池パックと異なっている。本実施形態に係る電池パックPCKは、上記第1実施形態に係る電池パックと同様に複数の二次電池セルBTを備えている。
【0059】
図10に示すように、パックケース100は、複数の二次電池セルBTが収納される収納穴140を備えている。すなわち、パックケース100は、略矩形状の底部と、底部の4つの端辺から底部に略直交する方向に延びた4つの壁部100Aとを備え、収納穴140は底部と4つの壁部100Aとに囲まれている。
【0060】
収納穴140の第1方向D1における中央部分には、複数の円柱体110Aが第2方向D2に並んで配置されている。壁部100Aには、パックケース100の内側に突出した複数の柱状体110Bが設けられている。円柱体110Aと柱状体110Bとの上端部には、第2ネジ受け穴110が設けられている。
【0061】
本実施形態では、円柱体110Aはパックケース100と一体に形成されている。円柱体110Aは、形成される材料に応じて、その底面(第1方向D1および第2方向D2と略平行な断面)の直径が所定の以上となるように形成されることが望ましい。本実施形態では、例えば円柱体110Aの底面の直径は第2ネジ受け穴110の直径の2.5倍以上となるように形成されている。
【0062】
柱状体110Bは、第2ネジ受け穴110を囲む壁が所定の厚さ以上となるように、壁部100Aから突出している。例えば、第2ネジ受け穴110の直径を通る方向において、第2ネジ受け穴110、柱状体110Bおよび壁部100Aの幅は、第2ネジ受け穴110の直径の2.5倍以上である。
【0063】
図11に示すように、複数の二次電池セルBTは、円柱体110Aおよび柱状体110Bの間に挿入される。すなわち、円柱体110Aおよび柱状体110Bは、二次電池セルBTの側壁3に外接するように形成されている。各円柱体110Aは、4つの二次電池セルBTに接している。各柱状体110Bは2つの二次電池セルBTに接している。各二次電池セルBTは、円柱体110Aおよび柱状体110Bに4箇所において頭接して、第1方向D1および第2方向D2において固定される。
【0064】
上記のように、本実施形態では、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、略長円形状とすることによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。さらに、パックケース100に二次電池セルBTを固定する円柱体110Aおよび柱状体110Bを設けることによって、図11に示すように、パックケース100に複数の二次電池セルBT間の仕切り壁を設けることなく、二次電池セルBTの外装容器10を離間した状態で固定することができる。
【0065】
したがって、第1実施形態の場合と同様に、第1方向D1および第2方向D2において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。さらに、第1実施形態に係る電池パックよりもさらにパックケース100の構成を簡易にすることができ、電池パックPCKの軽量化を実現するとともに、電池パックPCKの製造を容易にすることができる。
【0066】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0067】
次に、本発明の第5実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る電池パックPCKは、パックケース100の構成が上記第4実施形態に係る電池パックと異なっている。図12に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKでは、パックケース100の円柱体110Aが、底部および壁部100Aと別体に形成されている。
【0068】
パックケース100の円柱体110Aは、射出成形などで一体形成する場合、底面(第1方向D1および第2方向D2と略平行な断面)の直径が細い柱状形状となり、材料によっては成形時に変形が発生することがある。そこで、本実施形態では、円柱体110Aと、底部および壁部100Aとを別に形成し、接着剤等により所定の位置に接合している。
【0069】
上記のように円柱体110Aと、底部および壁部100Aとを別に形成すると、パックケース100の構成をさらに簡易なものとすることができ、パックケース100の製造がさらに容易になる。また、パックケース100の底部および壁部100Aと、円柱体110Aとを別の材料を用いて形成することも可能である。例えば、円柱体110Aを他の部材よりも高強度の絶縁材料により形成することによって、部分的にパックケース100の強度の強化を図ることが可能になる。
【0070】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0071】
次に、本発明の第6実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る電池パックPCKは、第4実施形態に係る電池パックとパックケース100の構成が異なっている。
【0072】
図13および図14に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKのパックケース100は、複数の二次電池セルBTの間の空間と連続するように設けられた通気孔150A、150B、すなわち、円柱体110Aに設けられた通気孔150Aと、柱状体110Bおよび柱状体110Bが設けられた壁部100Aに設けられた通気孔150Bと、を備えている。
【0073】
円柱体110Aに設けられた通気孔150Aは、円柱体110Aを第1方向D1に貫通するように設けられている。柱状体110Bおよび壁部100Aに設けられた通気孔150Bは、柱状体110Bと柱状体110Bが設けられた壁部100Aとを、第1方向D1に貫通するように設けられている。
【0074】
このように通気孔150A、150Bを設け、図14に示すように複数の二次電池セルBTを収納穴140に収納すると、並んで配置された二次電池セルBTの主壁1間の空間が、通気孔150A、150Bを介して電池パックPCKの外部の空間と連続する。したがって、パックケース100の一方の通気孔150B側からパックケース100内に強制的に冷却媒体として空気を流入させると、パックケース100内に送入された空気は、二次電池セルBTの主壁1間の空間および通気孔150Aを通過し、他方の通気孔150Bから排出される。
【0075】
このように冷却媒体をパックケース100内に送入することによって、二次電池セルBTを効果的に冷却させることができ、電池パックPCKの故障を低減して、より長寿命化することができる。すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、さらに信頼性の高い電池パックPCKを提供することが可能である。
【0076】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記第2実施形態および第3実施形態では、二次電池セルBTの2つの側壁3が異形部3Aまたは凸部3Bを備えていたが、二次電池セルBTの2つの側壁3の形状は、底壁と略平行な断面において、第1方向D1および第2方向D2における中央部に対して、非点対称であればよい。その場合には、パックケース100の収納穴120を二次電池セルBTの外装容器の形状と同じ形状とすることによって、上述の第2実施形態および第3実施形態に係る電池パックと同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
PCK…電池パック、BT…二次電池セル、100…パックケース、110…ネジ受け穴、120、140…収納穴、200…カバー、210…カバー固定ネジ、220…ネジ穴。
【技術分野】
【0001】
本発明は電池パックに関し、特に、直列あるいは並列に接続された複数の二次電池セルを備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド電気自動車、電気自動車などの車両で使われる電池装置は、高出力でかつ頻繁な出力変化に対応する必要がある。このような電池装置は、一般的に、必要な出力や容量に応じて、電気的に直列あるいは並列接続された複数の二次電池セルを備えた電池パックにより構成される。
【0003】
車両に搭載された電池パックは、車両走行時に生じる機械振動に十分耐える強度に構成する必要がある。振動により、二次電池セル等の部品が許容値以上に変位したり変形したりすると、装置の特性劣化、寿命低減、ひいては故障につながる可能性がある。そのため、電池パックを構成する部品を保持固定する部材の強度を増す等の方法により、電池パックが十分な強度を備えるように構成する必要がある。また、電池パックを搭載する車両等の設計に応じて、電池パックの体格縮小が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−163965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池セルは、通電によって熱を発生するため、電池パックに放熱機構を設けることが不可欠である。例えば、電池パックのパックケースを介して、二次電池セルから発生する熱を電池パック外部に放熱する方法や、二次電池セルの周囲に空間を設けて、この空間を通過する冷却媒体により放熱する方法が用いられる。
【0006】
しかし、上記のように二次電池セルの周囲に空間を設けたり、二次電池パックのパックケースによって放熱したりする構成は、電池パックの体格増大を招くことがあった。例えば、複数の二次電池セルをパックケースに収納し、さらに、カバー固定ネジによりカバーをパックケースに締結固定する場合、全ての二次電池セルを確実に保持固定するため、個々の二次電池セル近傍の要点をカバー固定ネジによりネジ締結することが望ましい。
【0007】
しかしながら、上述のように構成した場合、電池パックにおいては、次の課題を有することになる。第一に、パックケースの体格が大きくなることがある。パックケースは確実にカバー固定ネジを受ける必要がある。パックケースは絶縁材料で形成する場合、メネジを形成した金属カラーが必要数挿入される。金属カラーを確実に保持するため、パックケースの厚さを小さくすることが困難であった。
【0008】
また、セルフタップネジを用いる場合、金属カラーは不要になるものの、セルフタップネジ形成に耐えるのに十分な厚さを確保しておく必要がある。パックケースの厚さが十分ではない場合には、クラックが発生したり、締め付け力の低下が生じたりする可能性があった。したがって、セルフタップネジ使用の場合も、パックケースの厚さを小さくすることが困難であった。いずれの場合でも、パックケースの体格増大し、電池パックの体格増大を抑制することが困難であった。
【0009】
また、パックケースを絶縁材料で形成する場合、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法による製造方法が多用される。パックケースを射出成形で部材を形成する場合、部材の厚さは極力均等であることが望ましい。成形部材の厚さに差があると、樹脂の流動不良による製造不良や、冷却速度の差異で生じる温度差による変形量増加(同じく製造不良)が発生する可能性が高くなる。その結果、本来なら厚さを小さくできる箇所までも厚さを増加させることを余儀なくされ、ますますパックケース体格(すなわちパック体格)が増大してしまうことがあった。
【0010】
さらに、カバー固定ネジの相互間隔が増すと、カバー固定ネジのサイズ(呼び径)が小さい場合には、カバーとパックケースとの締結力が弱くなることがあった。このことを回避するために、カバー固定ネジのサイズを大きくすると、パックケースの厚さの増加を招き、パックケースの体格が増加することがあった。上記のように、電池パックの体格が増大すると、搭載される装置の設計に対応する体格縮小の要求に応えられない場合があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであって、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様による電池パックは、複数の二次電池セルと、前記二次電池セルを収容する収納穴と、複数のネジ受け穴と、を備えたパックケースと、前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、前記収納穴は、前記二次電池セルと同一の断面形状を備えた柱形状であって、前記複数のネジ受け穴は、前記収納穴の断面の長手方向における両端部において、前記収納穴が並ぶ方向における前記収納穴の間に配置されている電池パックである。
【0013】
本発明の第2態様による電池パックは、複数の二次電池セルと、底部と前記底部と略直交した壁部とに囲まれ、前記複数の二次電池セルが収納された収納穴と、前記底部から略直交する方向に延びる複数の円柱体と、前記壁部から前記収納穴側に突出する複数の柱状体と、を備え、前記複数の円柱体と前記複数の柱状体との上端部にネジ受け穴が設けられたパックケースと、前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、前記底部と略平行な断面において、前記円柱体および前記柱状体は、前記二次電池セルと外接するように配置されている電池パックである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池パックの一構成例を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電池パックの二次電池セルの一構成例を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る電池パックの一構成例を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電池パックの二次電池セルの一構成例を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る電池パックの二次電池セルとパックケースとの一構成例を説明するための図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る電池パックの二次電池セルの一構成例を説明するための図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る電池パックの二次電池セルおよびパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る電池パックの二次電池セルおよびパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る電池パックのパックケースの一構成例を説明するための図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る電池パックの二次電池セルおよびパックケースの一構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態について、詳細に説明する。図1および図2に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKは、複数の二次電池セルBTと、複数の二次電池セルBTが収納されるパックケース100と、パックケース100の開口を閉じるカバー200と、複数の二次電池セルBTを直列あるいは並列に接続する導電部材300を備えている。
【0017】
図2に示すように、二次電池セルBTは、アルミニウム等により形成された箱状の外装容器10と、外装容器10内に非水電解液(図示せず)と共に収納された電極体(図示せず)と、を備えている。
【0018】
外装容器10は、上端が開口した容器本体12と、容器本体12に溶接され容器本体の開口を閉塞した略矩形板状の蓋体14とを有し、気密に形成されている。容器本体12は、開口に対向する底壁(図示せず)と、開口と底壁との間に延びるとともに互いに対向する2つの主壁1と、2つの主壁1間に延びる2つの側壁3とを備える。電極体は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、断面が略楕円形状の柱形状に形成されている。
【0019】
蓋体14と容器本体12の底壁とは、フィールドトラック形状の長円形である。すなわち、蓋体14は、2つ円弧と、これら2つの円弧を接続する直線と、によって形成される形状の主面を備えた板状体である。本実施形態では、蓋体14と容器本体12の底壁との形状は、半径の等しい2つの円の円弧と、これら2つの外接線とによって形成される形状である。蓋体14および容器本体12の底壁は、容器本体12内に収容される電極体の断面形状と略相似形状となるように形成されている。
【0020】
正極端子5および負極端子4は蓋体14の長手方向(第1方向D1)両端部にそれぞれ設けられ、蓋体14から突出している。正極端子5および負極端子4は、電極体の正極板および負極板にそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
負極端子4は、蓋体14を貫通して延びている。負極端子4と蓋体14との間には、合成樹脂、ガラス等の絶縁体からなるシール材、例えば、ガスケット(図示せず)が設けられ、負極端子4と外装容器10との間を気密にシールしているとともに、電気的に絶縁している。正極端子5と負極端子4とは、蓋体14の表面から外装容器10の外側に向かって突出している。
【0022】
このような形状の外装容器10を用いる場合、略直方体形状の二次電池セルに対して外装容器の内容積は小さくなる。しかしながら、本実施形態に係る電池パックPCKの二次電池セルBTの外装容器10に収納された正極板と負極板との捲回体(電極体)は、外装容器10と同様に長円形断面を有しているため、長円形断面の外装容器10を採用しても、電極体を収納することができる。すなわち、上記のような底壁と略平行な断面が長円形の外装容器10を用いた場合であっても、二次電池セルBTの容量低減が生じることはない。
【0023】
図3に示すように、複数の二次電池セルBTは、蓋体14の長手方向(第1方向D1)および主壁1が対向する方向(第2方向D2)にマトリクス状に並んで配置されている。図3に示す場合では、9個の二次電池セルBTが第2方向D2に並び、この9個の二次電池セルBTが第1方向D1に2列配置され、18個の二次電池セルBTを備えている。
【0024】
複数の二次電池セルBTの負極端子4および正極端子5は、導電部材300によって電気的に接続されている。導電部材300は、負極端子4あるいは正極端子5が挿入される開口301を備えている。導電部材300は、開口301において負極端子4あるいは正極端子5と溶接される。
【0025】
パックケース100は絶縁材料で形成されている。本実施形態では、パックケース100は、例えば熱可塑性樹脂を用いた射出成形法により形成される。収納穴120は底面が、二次電池セルBTの底壁と同じ形状(長円形)の柱形状の穴であって、二次電池セルBTの蓋体14の主面と略直交する方向(第3方向D3)における収納穴120の幅は、二次電池セルBTの外装容器10の幅と略等しくなっている。二次電池セルBTは、パックケース100に設けられた収納穴120内に収納され、隣に配置される二次電池セルBTの外装容器10と絶縁される。
【0026】
パックケース100は、導電部材300のネジ穴303と連続する第1ネジ受け穴130と、カバー固定ネジ210が挿入される第2ネジ受け穴110と、を備えている。ネジ穴303および第1ネジ受け穴130にはネジ310が挿入され、導電部材300とパックケース100とを固定する。ネジ310は、ネジ穴303に挿入されて導電部材300と電気的に接続され、電池パックPCKの電極端子として用いられる。
【0027】
第2ネジ受け穴110は、第1方向D1における収納穴120の両端近傍であって、第2方向における収納穴120の間に配置されている。パックケース100は、第2ネジ受け穴110を囲む壁が所定の厚さ以上となるように形成されている。本実施形態では、第2ネジ受け穴110の径方向において、例えば第2ネジ受け穴110の中心を通る方向での第2ネジ受け穴110およびその周囲の壁の幅が、少なくとも第2ネジ受け穴110の直径の2.5倍以上である。なお、第2ネジ受け穴110およびその周囲の壁の幅は、パックケース100を形成する材料に応じて、適切な値に設計される。
【0028】
カバー200は、カバー固定ネジ210が挿入されるネジ穴220と、ネジ穴303および第1ネジ受け穴130に取り付けられるネジ310を露出させる開口部230と、を備えている。第1方向D1および第2方向D2において、パックケース100とカバー200との幅は略等しい。カバー200は、パックケース100の収納穴120の開口を閉じるように、複数の二次電池セルBTの蓋体14と対向してパックケース100に取り付けられる。
【0029】
ネジ穴220は、パックケース100の第2ネジ受け穴110と連続するように、カバー200の第1方向D1における端部近傍および中央部において第2方向D2に並んで配置されている。
【0030】
パックケース100とカバー200とは、ネジ穴220と第2ネジ受け穴110とが連続するとともに、開口部230からネジ310が露出するように位置合わせされ、カバー固定ネジ210を取り付けることにより固定される。
【0031】
ここで、図2および図3に示すように、本実施形態では、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、電極体の断面形状の略相似形状の長円形状としたことによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。
【0032】
このことによって、例えば4つの二次電池セルBTを、第1方向D1方向および第2方向D2に2行2列のマトリクス状に配置すると、4つの二次電池セルBTに囲まれた部分に空間が生じる。また、例えば2つの二次電池セルBTを、第3方向D3および第2方向D2と略平行な面に沿って、上記面と2つの二次電池セルBTとに囲まれた部分に空間が生じる。
【0033】
本実施形態では、上記のように二次電池セルBTに囲まれた空間、および、面と二次電池セルBTとに囲まれた空間に相当する部分が、第2ネジ受け穴110を形成する領域に用いられている。したがって、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合と比べると、蓋体14の長手方向(第1方向D1)において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。
【0034】
すなわち、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合、電池パックPCKが十分な強度を備えるために、第2ネジ受け部110の周囲に所定の厚さ以上の壁を設けると、パックケース100は二次電池セルBTを囲む厚さが一様に所定の厚さ以上に形成されることとなる。
【0035】
これに対し、本実施形態では、同様に第2ネジ受け部110の周囲に所定の厚さ以上の壁を設けた場合であっても、第1方向D1および第2方向D2において二次電池セルBTを配置する間隔を小さくすることが可能である。したがって、二次電池セルBTを配置する間隔が小さくなった分だけ、パックケース100の体格を縮小することが可能となる。
【0036】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態に係る電池パックと同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKは、二次電池セルBTの構成とパックケース100の構成とが上述の第1実施形態に係る電池パックと異なっている。本実施形態に係る電池パックPCKの二次電池セルBTは、アルミニウム等により形成された箱状の外装容器10と、外装容器10内に非水電解液(図示せず)と共に収納された電極体(図示せず)と、を備えている。
【0039】
外装容器10は、上端が開口した容器本体12と、容器本体12に溶接され容器本体の開口を閉塞した略矩形板状の蓋体14とを有し、気密に形成されている。容器本体12は、開口に対向する底壁(図示せず)と、開口と底壁との間に延びるとともに互いに対向する2つの主壁1と、2つの主壁1間に延びる2つの側壁3とを備える。電極体は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、断面が略長円形状の柱形状に形成されている。
【0040】
蓋体14と容器本体12の底壁とは、略フィールドトラック形状である。本実施形態では、第1実施形態における蓋体14および容器本体12の底壁の2つの円弧の一方が、曲率の異なる異形部分を備えている。例えば、2つの円弧の一方は、他方の円弧と同一半径の円の4分の1の円弧と、この円弧とは異なる半径の円弧、あるいは、直線を備えた異形円弧である。
【0041】
したがって、容器本体12の、蓋体14と低壁との異形円弧間に延びる側壁3は、他方の側壁3とは異なる形状となる異形部3Aを備えている。蓋体14の円弧側の端部近傍には負極端子4が配置され、異形円弧側の端部近傍には正極端子5が配置されている。
【0042】
パックケース100の収納穴120は、上記二次電池セルBTの外装容器10の形状に対応する形状となっている。すなわち、収納穴120は、底面が容器本体12の底壁と同じ形状である。すなわち、図5および図6に示すように、収納穴120は、異形部3Aと対向する曲面(あるいは平面)120Aを備えている。
【0043】
蓋体14の長手方向(第1方向D1)における、二次電池セルBTが配置される向き(負極端子4と正極端子5との位置)は、二次電池セルBTを並列接続するか直列接続するかによって決定される。
【0044】
ここで、上記の二次電池セルBTは、第1方向D1における幅の中心を通って第3方向D3に略平行な軸を中心に180度回転させると、外装容器10の2つの側壁3の形状が異なるため、回転前と回転後とでは外装容器10の形状が一致しない。したがって、側壁3の形状から二次電池セルBTの向きを判断することが可能である。
【0045】
さらに、パックケース100の収納穴120は、二次電池セルBTが収納される向きに応じて、異形部3Aに対応する位置に、異形部3Aと同じ形状の曲面(あるいは平面)120Aが設けられている。本実施形態では、図6に示すように、異形部3Aに対応する形状の曲面(あるいは平面)120Aは、正極端子5が配置された側の側壁3と対向する収納穴120に設けられている。
【0046】
そのため、本実施形態に係る電池パックPCKを組み立てる際には、予め決定された向きと逆方向に、二次電池セルBTを収納穴120に挿入することはできない。すなわち、図6に示すように、異形部3Aと収納穴120の曲面(あるいは平面)120Aとが対向するように、二次電池セルBTをパックケース100内に収納することで、二次電池セルBTの向きを予め決定された向きとすることができる。したがって、二次電池セルBTをパックケース100に挿入し、導電部材300によって端子間を電気的に接続した際に、短絡故障が発生することがなくなり、組み立て時の不良品発生率を低下させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る電池パックでは、上述の第1実施形態に係る電池パックの場合と同様に、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、略長円形状としたことによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。したがって、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合と比べると、第1方向D1および第2方向において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。
【0048】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。図7に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKは、二次電池セルBTの構成とパックケース100の構成が上記第1実施形態に係る電池パックと異なっている。本実施形態に係る電池パックPCKの二次電池セルBTは、アルミニウム等により形成された箱状の外装容器10と、外装容器10内に非水電解液(図示せず)と共に収納された電極体(図示せず)と、を備えている。
【0050】
外装容器10は、上端が開口した容器本体12と、容器本体12に溶接され容器本体の開口を閉塞した略矩形板状の蓋体14とを有し、気密に形成されている。容器本体12は、開口に対向する底壁(図示せず)と、開口と底壁との間に延びるとともに互いに対向する2つの主壁1と、2つの主壁1間に延びる2つの側壁3とを備える。電極体は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、断面が略長円形状の柱形状に形成されている。
【0051】
図7に示すように、本実施形態では、容器本体12の2つの側壁3の一方に凸部3Bが設けられている。凸部3Bは、側壁3の上端(容器本体12の開口側の端部)から底壁側に向かって、第3方向D3と略平行な方向に所定幅延びるとともに、側壁3から第1方向D1と略平行な方向に突出している。本実施形態では、凸部3Bは正極端子5側の側壁3に設けられている。
【0052】
図8に示すように、パックケース100の収納穴120には、二次電池セルBTの凸部3Bと対応する位置に凹部120Bが設けられている。凹部120Bは、収納穴120の開口から底面に向かって、第3方向D3と略平行な方向に所定の幅延びるとともに、第1方向D1と略平行な方向に凹んでいる。凹部120Bは、二次電池セルBTの正極端子5側の側壁3と対向する位置に設けられている。
【0053】
ここで、上記の二次電池セルBTは、上記の第2実施形態の場合と同様に、第1方向D1における幅の中心を通って第3方向D3と略平行な軸を中心に180度回転させると、2つの側壁3の形状が異なるため、回転前と回転後とでは外装容器10の形状が一致しない。したがって、側壁3の形状から二次電池セルBTの向きを判断することが可能である。
【0054】
さらに、本実施形態に係る電池パックPCKを組み立てる際には、予め決定された向きと逆方向に二次電池セルBTを収納穴120に挿入すると、凸部3Bと凹部120Bとの位置が一致しないため、二次電池セルBTを収納穴120に挿入することができない。
【0055】
すなわち、図9に示すように、凸部3Bが収納穴120の凹部120Bに挿入されるように、二次電池セルBTをパックケース100内に収納することで、二次電池セルBTの向きを予め決定された向きとすることができる。したがって、二次電池セルBTをパックケース100に挿入し、導電部材300によって端子間を電気的に接続した際に、短絡故障が発生することがなくなり、組み立て時の不良品発生率を低下させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る電池パックでは、上述の第1実施形態に係る電池パックの場合と同様に、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、略長円形状としたことによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。したがって、略直方体形状の二次電池セルを用いた場合と比べると、第1方向D1および第2方向D2において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。
【0057】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る電池パックPCKは、パックケース100の構成が上記第1実施形態に係る電池パックと異なっている。本実施形態に係る電池パックPCKは、上記第1実施形態に係る電池パックと同様に複数の二次電池セルBTを備えている。
【0059】
図10に示すように、パックケース100は、複数の二次電池セルBTが収納される収納穴140を備えている。すなわち、パックケース100は、略矩形状の底部と、底部の4つの端辺から底部に略直交する方向に延びた4つの壁部100Aとを備え、収納穴140は底部と4つの壁部100Aとに囲まれている。
【0060】
収納穴140の第1方向D1における中央部分には、複数の円柱体110Aが第2方向D2に並んで配置されている。壁部100Aには、パックケース100の内側に突出した複数の柱状体110Bが設けられている。円柱体110Aと柱状体110Bとの上端部には、第2ネジ受け穴110が設けられている。
【0061】
本実施形態では、円柱体110Aはパックケース100と一体に形成されている。円柱体110Aは、形成される材料に応じて、その底面(第1方向D1および第2方向D2と略平行な断面)の直径が所定の以上となるように形成されることが望ましい。本実施形態では、例えば円柱体110Aの底面の直径は第2ネジ受け穴110の直径の2.5倍以上となるように形成されている。
【0062】
柱状体110Bは、第2ネジ受け穴110を囲む壁が所定の厚さ以上となるように、壁部100Aから突出している。例えば、第2ネジ受け穴110の直径を通る方向において、第2ネジ受け穴110、柱状体110Bおよび壁部100Aの幅は、第2ネジ受け穴110の直径の2.5倍以上である。
【0063】
図11に示すように、複数の二次電池セルBTは、円柱体110Aおよび柱状体110Bの間に挿入される。すなわち、円柱体110Aおよび柱状体110Bは、二次電池セルBTの側壁3に外接するように形成されている。各円柱体110Aは、4つの二次電池セルBTに接している。各柱状体110Bは2つの二次電池セルBTに接している。各二次電池セルBTは、円柱体110Aおよび柱状体110Bに4箇所において頭接して、第1方向D1および第2方向D2において固定される。
【0064】
上記のように、本実施形態では、二次電池セルBTの外装容器10の断面形状を、略長円形状とすることによって、二次電池セルBTの容積を小さくしている。さらに、パックケース100に二次電池セルBTを固定する円柱体110Aおよび柱状体110Bを設けることによって、図11に示すように、パックケース100に複数の二次電池セルBT間の仕切り壁を設けることなく、二次電池セルBTの外装容器10を離間した状態で固定することができる。
【0065】
したがって、第1実施形態の場合と同様に、第1方向D1および第2方向D2において、二次電池セルBTを配置する間隔を短くすることができる。さらに、第1実施形態に係る電池パックよりもさらにパックケース100の構成を簡易にすることができ、電池パックPCKの軽量化を実現するとともに、電池パックPCKの製造を容易にすることができる。
【0066】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0067】
次に、本発明の第5実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る電池パックPCKは、パックケース100の構成が上記第4実施形態に係る電池パックと異なっている。図12に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKでは、パックケース100の円柱体110Aが、底部および壁部100Aと別体に形成されている。
【0068】
パックケース100の円柱体110Aは、射出成形などで一体形成する場合、底面(第1方向D1および第2方向D2と略平行な断面)の直径が細い柱状形状となり、材料によっては成形時に変形が発生することがある。そこで、本実施形態では、円柱体110Aと、底部および壁部100Aとを別に形成し、接着剤等により所定の位置に接合している。
【0069】
上記のように円柱体110Aと、底部および壁部100Aとを別に形成すると、パックケース100の構成をさらに簡易なものとすることができ、パックケース100の製造がさらに容易になる。また、パックケース100の底部および壁部100Aと、円柱体110Aとを別の材料を用いて形成することも可能である。例えば、円柱体110Aを他の部材よりも高強度の絶縁材料により形成することによって、部分的にパックケース100の強度の強化を図ることが可能になる。
【0070】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0071】
次に、本発明の第6実施形態に係る電池パックについて図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る電池パックPCKは、第4実施形態に係る電池パックとパックケース100の構成が異なっている。
【0072】
図13および図14に示すように、本実施形態に係る電池パックPCKのパックケース100は、複数の二次電池セルBTの間の空間と連続するように設けられた通気孔150A、150B、すなわち、円柱体110Aに設けられた通気孔150Aと、柱状体110Bおよび柱状体110Bが設けられた壁部100Aに設けられた通気孔150Bと、を備えている。
【0073】
円柱体110Aに設けられた通気孔150Aは、円柱体110Aを第1方向D1に貫通するように設けられている。柱状体110Bおよび壁部100Aに設けられた通気孔150Bは、柱状体110Bと柱状体110Bが設けられた壁部100Aとを、第1方向D1に貫通するように設けられている。
【0074】
このように通気孔150A、150Bを設け、図14に示すように複数の二次電池セルBTを収納穴140に収納すると、並んで配置された二次電池セルBTの主壁1間の空間が、通気孔150A、150Bを介して電池パックPCKの外部の空間と連続する。したがって、パックケース100の一方の通気孔150B側からパックケース100内に強制的に冷却媒体として空気を流入させると、パックケース100内に送入された空気は、二次電池セルBTの主壁1間の空間および通気孔150Aを通過し、他方の通気孔150Bから排出される。
【0075】
このように冷却媒体をパックケース100内に送入することによって、二次電池セルBTを効果的に冷却させることができ、電池パックPCKの故障を低減して、より長寿命化することができる。すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、さらに信頼性の高い電池パックPCKを提供することが可能である。
【0076】
すなわち、本実施形態に係る電池パックPCKによれば、第1実施形態に係る電池パックと同様に、電池パックの機械強度を確保するとともに、体格を縮小する電池パックを提供することができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記第2実施形態および第3実施形態では、二次電池セルBTの2つの側壁3が異形部3Aまたは凸部3Bを備えていたが、二次電池セルBTの2つの側壁3の形状は、底壁と略平行な断面において、第1方向D1および第2方向D2における中央部に対して、非点対称であればよい。その場合には、パックケース100の収納穴120を二次電池セルBTの外装容器の形状と同じ形状とすることによって、上述の第2実施形態および第3実施形態に係る電池パックと同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
PCK…電池パック、BT…二次電池セル、100…パックケース、110…ネジ受け穴、120、140…収納穴、200…カバー、210…カバー固定ネジ、220…ネジ穴。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池セルと、
前記二次電池セルを収容する収納穴と、複数のネジ受け穴と、を備えたパックケースと、
前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、
前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、
前記収納穴は、前記二次電池セルと同一の断面形状を備えた柱形状であって、
前記複数のネジ受け穴は、前記収納穴の断面の長手方向における両端部において、前記収納穴が並ぶ方向における前記収納穴の間に配置されている電池パック。
【請求項2】
前記二次電池セルは、底壁と、前記底壁と対向するように配置された蓋体と、前記底壁と前記蓋体との間において互いに対向するように配置された主壁と、前記主壁間に配置された第1側壁および第2側壁と、を備え、
前記底壁および前記蓋体と略平行な前記二次電池セルの断面は、第1円弧と、前記第1円弧と同一半径の円の第2円弧と、前記第1円弧と前記第2円弧との外接線と、に囲まれた形状である請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記二次電池セルは、底壁と、前記底壁と対向するように配置された蓋体と、前記底壁と前記蓋体との間に延びるとともに互いに対向するように配置された2つの主壁と、前記主壁間に延びる第1側壁および第2側壁と、を備え、
前記底壁と略平行な断面において、前記底壁の長手方向および前記長手方向と直交する方向における中央部に対して、前記第1側壁と前記第2側壁とは非点対称な形状である請求項1記載の電池パック。
【請求項4】
前記底壁および前記蓋体と略平行な前記二次電池セルの断面は、第1円弧と、前記第1円弧と同一半径の円弧の一部と前記第1円弧とは異なる半径の円の円弧あるいは直線とを供えた異形円弧と、前記第1円弧と前記異形円弧とを接続する直線とに、に囲まれた形状である請求項3記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1側壁は、前記底壁および前記蓋体の長手方向に突出した凸部を備えている請求項3記載の電池パック。
【請求項6】
複数の二次電池セルと、
底部と、前記底部と略直交した壁部と、前記底部と前記壁部とに囲まれ前記複数の二次電池セルが収納された収納穴と、前記底部から略直交する方向に延びる複数の円柱体と、前記壁部から前記収納穴側に突出する複数の柱状体と、を備え、前記複数の円柱体と前記複数の柱状体との上端部にネジ受け穴が設けられたパックケースと、
前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、
前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、
前記底部と略平行な断面において、前記円柱体および前記柱状体は、前記二次電池セルと外接するように配置されている電池パック。
【請求項7】
前記円柱体は、前記底部および前記壁部と異なる材料によって形成されている請求項6記載の電池パック。
【請求項8】
前記円柱体、および、前記柱状体と前記柱状体が設けられた壁部とは、前記複数の二次電池セル間の空間と外部とを連続させる通気孔をさらに備えている請求項6記載の電池パック。
【請求項1】
複数の二次電池セルと、
前記二次電池セルを収容する収納穴と、複数のネジ受け穴と、を備えたパックケースと、
前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、
前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、
前記収納穴は、前記二次電池セルと同一の断面形状を備えた柱形状であって、
前記複数のネジ受け穴は、前記収納穴の断面の長手方向における両端部において、前記収納穴が並ぶ方向における前記収納穴の間に配置されている電池パック。
【請求項2】
前記二次電池セルは、底壁と、前記底壁と対向するように配置された蓋体と、前記底壁と前記蓋体との間において互いに対向するように配置された主壁と、前記主壁間に配置された第1側壁および第2側壁と、を備え、
前記底壁および前記蓋体と略平行な前記二次電池セルの断面は、第1円弧と、前記第1円弧と同一半径の円の第2円弧と、前記第1円弧と前記第2円弧との外接線と、に囲まれた形状である請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記二次電池セルは、底壁と、前記底壁と対向するように配置された蓋体と、前記底壁と前記蓋体との間に延びるとともに互いに対向するように配置された2つの主壁と、前記主壁間に延びる第1側壁および第2側壁と、を備え、
前記底壁と略平行な断面において、前記底壁の長手方向および前記長手方向と直交する方向における中央部に対して、前記第1側壁と前記第2側壁とは非点対称な形状である請求項1記載の電池パック。
【請求項4】
前記底壁および前記蓋体と略平行な前記二次電池セルの断面は、第1円弧と、前記第1円弧と同一半径の円弧の一部と前記第1円弧とは異なる半径の円の円弧あるいは直線とを供えた異形円弧と、前記第1円弧と前記異形円弧とを接続する直線とに、に囲まれた形状である請求項3記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1側壁は、前記底壁および前記蓋体の長手方向に突出した凸部を備えている請求項3記載の電池パック。
【請求項6】
複数の二次電池セルと、
底部と、前記底部と略直交した壁部と、前記底部と前記壁部とに囲まれ前記複数の二次電池セルが収納された収納穴と、前記底部から略直交する方向に延びる複数の円柱体と、前記壁部から前記収納穴側に突出する複数の柱状体と、を備え、前記複数の円柱体と前記複数の柱状体との上端部にネジ受け穴が設けられたパックケースと、
前記ネジ受け穴と連続するネジ穴を備え、前記ネジ穴および前記ネジ受け穴に挿入されたネジにより前記パックケースに固定されたカバーと、を備え、
前記二次電池セルは断面が長円形の柱形状であって、
前記底部と略平行な断面において、前記円柱体および前記柱状体は、前記二次電池セルと外接するように配置されている電池パック。
【請求項7】
前記円柱体は、前記底部および前記壁部と異なる材料によって形成されている請求項6記載の電池パック。
【請求項8】
前記円柱体、および、前記柱状体と前記柱状体が設けられた壁部とは、前記複数の二次電池セル間の空間と外部とを連続させる通気孔をさらに備えている請求項6記載の電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−171176(P2011−171176A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35031(P2010−35031)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]