電池パック
【課題】たとえ片持ち支持等によって車両に搭載される場合であれ、不要な重量増加を招くことのない簡素な構造にて必要十分な剛性を確保することのできる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パック100は、車両に搭載された電動モータに電力を供給する二次電池群が収容ケース101に収容、固定された状態で車両の車体又は車台に搭載される。収容ケース101は、相互に開口が向かい合わされて連結されると共に箱状からなるロアケース110及びアッパケース120と、それらロアケース110及びアッパケース120の少なくとも一方に固定されて収容ケース101を車両フレームFrに直接支持させるようにするブラケットとを備える。
【解決手段】電池パック100は、車両に搭載された電動モータに電力を供給する二次電池群が収容ケース101に収容、固定された状態で車両の車体又は車台に搭載される。収容ケース101は、相互に開口が向かい合わされて連結されると共に箱状からなるロアケース110及びアッパケース120と、それらロアケース110及びアッパケース120の少なくとも一方に固定されて収容ケース101を車両フレームFrに直接支持させるようにするブラケットとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型二次電池からなる電池モジュールが複数連結されて構成される電池スタックを収容する電池パックに関し、特に、車両などの移動体に支持される電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気自動車やハイブリッド自動車では、動力源もしくは補助動力源として電動モータが用いられている。そして、この電動モータの電力源としては、複数の電池モジュールが直列接続された電池スタックが、電池パックに収納された状態で用いられることが多い。
【0003】
ここで、電池パックは通常、収容している電池スタックを保護したり、同電池スタックの空冷に用いる空冷用チャンバを構成したりする外装カバーを有している。そしてこのような電池パックは、自動車等の車室内に配置される場合、電池スタックを外装カバーで覆った状態で車室内の床に配置されている。
【0004】
一方、車室空間が制限されるトラック等の車両にあっては、電池パックを車外に配置することも提案されており、例えば車両フレームに片持ち支持によって搭載される電池パックの例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の電池パックの搭載構造では、図11に示すように、車両外側部の車両フレーム4にブラケット3を介して連結される電池収容棚2に電池パック1が載置されるとともに、この搭載された電池パック1が電池収容棚2に取り付けられる上部カバー6によって覆われる構造となっている。そして、電池パック1には、上部カバー6の開口部12から吸気ダクト5の吸気口11を介して吸入された空冷用の空気が供給されることによって、電池パック1に収納されている電池スタックの冷却が行われる。なお、上記電池収容棚2の下方には側板8によって覆われる下棚7が設けられており、この下棚7に、電源装置としての周辺機器であるインバータ14、制御回路箱15、及びラジエータ13が収容されている。このように、この搭載構造では、電池パック1が電池収容棚2に搭載される態様で、上部カバー6等と共々、車両外側部の車両フレーム4に片持ち支持される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されている上記電池パック1は、車両に搭載されるために電池収容棚2やこれを支えるブラケット3を必要とするため、電池パック1自体とその支持構造や保護構造を含む電源装置全体としての部品点数や重量の増加が避けられない。また、電池パック1自体が複数の電池モジュールを有する重量物であることから、これを片持ち支持する電池収容棚2やブラケット3にも剛性を確保すべく頑丈な構造が必要とされ、このことがさらに電源装置としての重量増加を助長する要因ともなっている。このように、車両に電池パックを片持ち支持によって搭載しようとすると、部品点数はもとより、重量の増加に伴う剛性の確保等、多くの課題を抱える実情にあるものの、未だにその有効な解決策は見出されていない。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえ片持ち支
持等によって車両に搭載される場合であれ、不要な重量増加を招くことのない簡素な構造にて必要十分な剛性を確保することのできる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両に搭載された電動モータに電力を供給する二次電池群が収容ケースに収容、固定された状態で車両に搭載される電池パックであって、前記収容ケースは、相互に開口が向かい合わされて連結されると共に箱状からなる第1のケース及び第2のケースと、それら第1及び第2のケースの少なくとも一方に固定されて当該収容ケースを前記車両の車体又は車台に直接支持させるようにする支持部材とを備えることを要旨とする。
【0009】
このような構成によれば、二次電池群を収容した殻体状(箱状)の収容ケースが車体又は車台に支持部材により直接支持されるため、二次電池群を支持する構造としては、従来のように、二次電池群を載置するための棚及び当該棚を覆うためのカバーなどが不要となる。またこのような収容ケースは、第1のケース及び第2のケースとが連結(締結)されることにより二次電池群を支持することのできる剛性を有する構造体、いわゆるモノコック構造を有する構造体ともなる。周知のように、モノコック構造は、筐体を構成する外板に応力耐性を持たせることから、構造体の骨格等が省略できるようになり、剛性を確保するにあたり、その他の構造よりも軽量化、簡素化されるようになる。すなわち、この収容ケースによれば、従来のように二次電池を棚により支持する場合に比べて、棚の剛性を確保する骨格や、棚を覆うカバーなどが不要となるため、二次電池を支持する電池パックとしてその構造を軽量化、簡素化することができるようになる。
【0010】
また、片持ち支持等、いかなる態様で車体又は車台に搭載される場合であれ、高い剛性を維持した状態での搭載が可能となる。なお、収容ケース自体の構造が、上記条件を満足するものであれば、同ケースの車体又は車台への支持態様は片持ち支持に限られることなく任意であり、例えば第1のケースあるいは第2のケース、あるいはそれら両ケースを介しての平面支持等でもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池パックにおいて、前記第1及び第2のケースには、前記連結に際して互いに面対向されるように相互の開口から外周に沿って延出された環状のフランジが設けられており、それらフランジ同士の連結によって前記第1及び第2のケースが連結されることを要旨とする。
【0012】
このような構成によれば、第1のケースや第2のケースにはそれぞれフランジが設けられるため、それらフランジにより第1のケースや第2のケースの剛性が向上されるようになる。また、第1のケースと第2のケースとがフランジを介して連結されることで、第1のケースと第2のケースとの間の連結面積が広くなり、ひいては第1のケースと第2のケースとの間の結合力も高められるようになる。すなわち、連結後の収容ケースとしても、その剛性のさらなる向上が図られるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電池パックにおいて、前記第1及び第2のケースは、長側面及び短側面を有する箱状のケースであり、前記支持部材は、前記第1及び第2のケースのいずれか一方の各短側面に固定されて前記収容ケースを前記車体又は車台に片持ち支持する一対のブラケットであるとともに、前記一対のブラケットには、前記第1及び第2のケースのうちの当該ブラケットが固定される各側面に対応する部位に延出されているフランジの連結面裏面に面接触されるフランジが設けられており、該ブラケットのフランジが、前記第1及び第2のケースの連結時、それらケースのフランジと共締めされることを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、第1及び第2のケースのいずれか一方の各短側面に設けられたフランジに、ブラケットのフランジが共締めされるため、収容ケースの剛性がさらに向上するようになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電池パックにおいて、前記第1のケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときに鉛直方向下方となるロアケースであって、前記二次電池群はこのロアケースに載置固定されており、前記一対のブラケットは、前記ロアケースの各短側面に固定されることを要旨とする。
【0016】
このような構成によれば、二次電池が載置される第1のケースである片持ち支持されるロアケースにブラケットが結合されるため、第2のケースが連結されていない状態でも、二次電池の載置されたロアケースを車体又は車台に取り付けたり、車体又は車台に取り付けられた状態の収容ケースから第2のケースだけを取り外したりすることができるなど、電池パックの取り付けに係る作業性が向上する。
【0017】
また、二次電池が載置されるため重い側であるロアケースを支持することで収容ケースの車体又は車台への取り付け状態も安定するようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電池パックにおいて、前記ロアケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときの鉛直方向に対する深さが、車体又は車台に対向する側よりも車体又は車台から離間する側で浅くなっており、前記ロアケースのフランジは、同ロアケースの車体又は車台から離間する側に傾斜する上辺の外周に沿って延出されていることを要旨とする。
【0018】
このような構成によれば、ロアケースの上辺が傾斜するためフランジの長さが長くなるとともに、それに連結される第2のケースのフランジの長さも長くなる。これによりロアケース(第1のケース)及び第2のケースの各フランジの連結面の面積が増えることによって両フランジ間の結合力が大きくなり、収容ケースの剛性をより高くすることができる。
【0019】
また、第1のケースは、車両の外側となる離間する側の側面の高さが低くなるので、電池パックに対してメンテナンス等の作業を行う際、電池パックを車両に取り付けたままであれ、第2のケースを取り外すことで、二次電池等に対する作業が容易に行えるようになる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電池パックにおいて、前記ブラケットは、前記ロアケースの前記車体又は車台から離間する側に傾斜するフランジに面接触されるフランジを有するとともに、前記ロアケースの短側面の形状に対応して、車体又は車台から離間する方向に高さが連続的に低くなる先細り形状に形成されていることを要旨とする。
【0021】
このような構成によれば、車体又は車台から離間する方向に深さが浅くなるロアケースの短側面の形状にブラケットの形状を対応させることにより、ブラケットをできるだけ高い剛性を確保することのできる形状とすることができるようになる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池パックにおいて、前記収容ケースの一側面には、該収容ケース内で前記二次電池群の出力電力を遮断する遮断器に装着されるサービスプラグが貫通される貫通孔が設けられていることを要旨とする。
【0023】
従来の二次電池には、通常使用時には取り付けられているが、作業時には安全性を確保するため取り外すことでその出力電力を遮断するサービスプラグが設けられている。
このような構成によれば、この電池パックにも収容ケース外から操作可能なサービスプラグを設けることができるようになる。例えば、作業前にサービスプラグを外す操作をすることで二次電池の出力電力を遮断するようにすることなどにより、作業の安全性を向上を図ることができるようになる。これにより、電池パックとしての作業性や、安全性などの向上が図られるようになる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電池パックにおいて、前記装着されたサービスプラグを覆った状態で前記貫通孔を封鎖するプラグカバーを有し、前記プラグカバーは、前記サービスプラグが前記遮断器に正しく装着されていない状態では、同サービスプラグによる干渉によって前記収容ケースへの装着が不能となる形状に形成されていることを要旨とする。
【0025】
通常、電池パックにサービスプラグが正しく装着されていない場合、電池パックが正常に動作しなかったり、走行中にサービスプラグが外れて不都合を生じたりするおそれがある。
【0026】
このような構成によれば、サービスプラグが正しく装着されていない場合、プラグカバーの装着が不能となるため、プラグカバーの取り付けの際、サービスプラグが正しく装着されているか否かが確認されるようになり、電池パックに対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0027】
また、サービスプラグをプラグカバーで覆うことにより、サービスプラグを汚れや不要な操作などから保護することができるようにもなる。さらに、収容ケースを開けることなく、プラグカバーを外すことのみでサービスプラグの操作が可能になることから、収容ケースに対するメンテナンス等の作業に先立ち、二次電池が収容ケース内に隔離収納されている状態で、サービスプラグを操作することができるようにもなる。これによっても、電池パックとしての操作性や、作業性や、安全性などの向上が図られるようになる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の電池パックにおいて、前記貫通孔は、前記ロアケースである第1のケースに対してアッパケースとなる前記第2のケースに、前記サービスプラグのケース外部に突出する部分が通過できない大きさを有して形成されていることを要旨とする。
【0029】
このような構成によれば、サービスプラグが操作されていない、いわゆる取り付けてある状態、例えば電池パックから電力が出力されているような状態で、収容ケースにあって蓋に対応する第2のケースは貫通孔がサービスプラグに干渉するため収容ケースから取り外すことができないこととなる。すなわちサービスプラグが取り付けられている場合、収容ケースを開けることが防止されるようになる。これにより、サービスプラグが取り外されるなどの操作により作業等の安全性が高められた状態でのみ第2のケースを取り外すことができるため、電池パックに対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池パックにおいて、前記第1のケースに対して鉛直方向上方に位置する前記第2のケースの一側面には、前記収容ケースに収容された二次電池群を空冷するための空気を吸入する吸気口が設けられており、前記第2のケースから延出されたフランジは、少なくとも前記吸気口の下方に配置される部分が前記第1のケースから延出されたフランジの先端を覆う態様でその先端部が鉛直方向下方に曲げ加工されていることを要旨とする。
【0031】
このような構成によれば、吸気口に向かって下方から飛散してくる水しぶきや塵などが吸気口に到達することを、第1のケースのフランジよりも延出された第2のケースのフラ
ンジによりより一層防ぐことができるようになる。また、第2のケースのフランジはその先端部が下方に曲げられていることから上側の水や埃も排出されやすくもなる。これらにより、吸気口から吸入される空気に混入する水や塵を少なくすることができるようになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる電池パックによれば、たとえ片持ち支持等によって車両に搭載される場合であれ、不要な重量増加を招くことのない簡素な構造にて必要十分な剛性を確保することのできる電池パックを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の電池パックを具体化した一実施形態について、その設置態様を示す斜視図。
【図2】同電池パックの分解構造を示す斜視図。
【図3】同電池パックを構成するロアケースの構成を示す斜視図。
【図4】同電池パックを構成するアッパケースの構成を示す斜視図。
【図5】同電池パックの部分断面構造を示す断面図。
【図6】同電池パックを構成するトレイの構成を示す斜視図。
【図7】同アッパケースに設けられるプラグカバーの構成を示す斜視図。
【図8】同アッパケースを貫通するサービスプラグの態様を示す斜視図。
【図9】同プラグカバーに覆われたサービスプラグを示す図であって、(a)はアッパケースに取り付けられたプラグカバーの正面図、(b)は(a)の9b−9b線における水平断面構造を示す断面図、(c)は(a)の9c−9c線における垂直断面構造を示す断面図。
【図10】同プラグカバーとサービスプラグの解除位置と固定位置との関係を示す模式図。
【図11】従来の電池パックとその支持構造を具体化した形態について、その分解構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかる電池パックを具体化した一実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
本実施形態の電池パック100は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車としてのトラックの動力源もしくは補助動力源となる電動モータに電力を供給する電力源である電力ユニットとして用いられる。図1に示すように、電池パック100は、前記トラックの車体側面に対して左右に伸びる態様で同トラックの車台の一部である車両フレームFrに、同左右方向を長手方向とする横長の箱形状の装置として設置されている。電池パック100は、その外装として第1のケースとしてのロアケース110と第2のケースとしてのアッパケース120とから構成される収容ケース101を備えている。すなわち収容ケース101は、直方体状、いわゆる開口を有さない横長の箱形状に形成されており、その一側面として、車両フレームFrに対向する側面であるフレーム側側面を備える。
【0035】
図2に示すように、ロアケース110とアッパケース120とから構成される収容ケース101は、複数の二次電池としての電池モジュール210から構成される二次電池群としての電池スタック200を内部に収容する収容体である。収容ケース101は、ロアケース110(図2の下側)の上側にアッパケース120(図2の上側)が重ね合わせられることにより構成されている。ロアケース110は上側の面がないため上部に開口する横長の箱形に形成されている一方、アッパケース120は下側の面がないため下部に開口する横長の箱形に形成されている。このことから、ロアケース110の上側の開口にアッパケース120の下側の開口が組み合わせられることにより、収容ケース101としては、
開口を有さない横長の箱形状に構成される。本実施形態では、ロアケース110及びアッパケース120はそれぞれモノコック構造をなしており、ロアケース110及びアッパケース120の外板が応力に対する剛性体としての機能を有している。このようにロアケース110及びアッパケース120が結合されて構成される収容ケース101は、車両フレームFrから走行中の振動を受けた場合であれ、その内部に収容した電池スタック200を保持できる程度の剛性を有する構造体、モノコック構造の構造体となる。
【0036】
図3に示すように、ロアケース110は、金属材料を加工することにより、高い剛性を有するとともに上部に開口を有する横長の箱形状に形成される。なお金属材料としては、板厚が1.2mmの金属板が用いられるが、剛性を確保することができるのであれば、板厚が1.2mm以外の金属材料が用いられてもよい。また、ロアケース110は、一体形成されてなるのが好ましい。これにより、外部からの異物(雨水や埃)混入を防止することができ、また曲げ形成よりもコスト面で有利となる。ロアケース110は、収容ケース101のフレーム側側面に対応する側面であり長側面としての後側面110cと、その後側面110cの下端から車両フレームFrに対して車台の外方向(車台から離間する方向)へ水平に延出される底面110aと、底面110aの先端から上方向に延出される長側面としての前側面110bとを備える。なお、鉛直方向における前側面110bの上下方向に対する高さは、後側面110cの上下方向に対する高さよりも低くされている。
【0037】
またロアケース110は、その長手方向両端に、それぞれ短側面としての第1側面110d又は第2側面110eを備える。すなわち第1側面110d及び第2側面110eはそれぞれ、後側面110cの長手方向端部と、底面110aの同長手方向端部と、前側面110bの同長手方向端部とにより囲まれる部分に設けられる。このことから第1側面110d及び第2側面110eはそれぞれ、後側面110cと、底面110aと、前側面110bとに接続される。なお本実施形態では、第1側面110dは、ロアケース110の長手方向にあって、図2及び3において左側に設けられている一方、第2側面110eは、ロアケース110の長手方向にあって、図2及び3において右側に設けられている。ところで、鉛直方向における上下方向に対する前側面110bの高さが、後側面110cの高さよりも低いことから、第1側面110d及び第2側面110eは、それらの平面形状が、鉛直方向おける上下方向に対して後側面110cに接続される側が高く、前側面110bに接続される側が低い形状に形成されている。換言すると、第1側面110d及び第2側面110eは、車両フレームFrから水平に離間する方向である、車両の外方向に水平に突出する方向に先細りする形状に形成されている。これにより、ロアケース110は、上方かつ車両フレームFrに対して反対方向に開口を向けた箱形状に形成される。
【0038】
底面110aと後側面110cとの接続部は、底面110aと後側面110cの剛性がそれぞれ高められるように、例えば底面110aと後側面110cとを連続平面とする断面弧状に形成されている。また、底面110aと前側面110bとの接続部は図示しないが、これも底面110aと前側面110bの剛性がそれぞれ高められるように、例えば底面110aと前側面110bとを連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、底面110aと第1側面110dの接続部、及び、底面110aと第2側面110eの接続部は、これらも、底面110a、第1側面110d、及び第2側面110eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。また、第1側面110d及び第2側面110eと前側面110bとのそれぞれの接続部についても、前側面110b、第1側面110d及び第2側面110eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、第1側面110d及び第2側面110eと後側面110cとのそれぞれの接続部についても、後側面110c、第1側面110d及び第2側面110eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。これにより、ロアケース110は、高い剛性を有するようになり、
応力外皮構造、すなわちモノコック構造となるように形成される。なお、各接続部の有する弧の半径は、それぞれ各別に定めることができるため、それぞれ異なっていてもよいし、2つ以上が同じであってもよい。
【0039】
また、ロアケース110内部は、電池スタック200の状態を制御・管理するための管理機器300が収容される収容空間を形成する機器エリア100aと、電池スタック200が収容される収容空間を形成する電池エリア100bとが設けられている。さらに、電池エリア100b側にあって後側面110cの上側には、電池スタック200の冷却に用いられた空気を電池パック100の外部に排出する排気口113が3つ形成されている。
【0040】
ロアケース110の上部に形成される開口の全周には、ロアケース110の各側面に対して外側に延出される環状のフランジ部115が開口から外周に沿って延出されている。フランジ部115には、同ロアケース110にアッパケース120をボルトとナットを用いて取付けるための取付け穴114が複数形成されている。フランジ部115は、前側面110bの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された前フランジ115bと、後側面110cの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された後フランジ115cとを備えている。またフランジ部115は、第1側面110dの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された左フランジ115dと、第2側面110eの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された右フランジ115eとを備えている。これにより、前フランジ115bは前側面110bの剛性を、後フランジ115cは後側面110cの剛性を、左フランジ115dは第1側面110dの剛性を、右フランジ115eは第2側面110eの剛性をそれぞれ向上させるようになることから、ロアケース110としては、より高い剛性を有するモノコック構造となる。
【0041】
なお、各フランジ115b〜115eは、各側面110b〜110eの先端がロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成されたことから、各フランジ115b〜115eの間には隙間が形成される。このため、各フランジ115b〜115eの間に形成された隙間には、隣接する2つのフランジを接続する接続部材117が、各フランジ115b〜115eにおいてアッパケース120に対向しない面である下面に溶接などにより固定配置されている。またこのことにより、接続部材117の上面は、各フランジ115b〜115eと間にフランジの板厚に相当する段差を有することとなるため、接続部材117の上側には、各フランジ115b〜115eと間に生じる隙間を封止するための弾性部材118がそれぞれ配置される。
【0042】
フランジ部115には、3つのピン116が上方に突出されている。このピン116は、斜めに形成されたロアケース110のフランジ部115に載置されたアッパケース120が滑り落ちることを防止する。すなわち、アッパケース120において、各ピン116に対応する位置に各ピン116を挿通させることのできるピン孔を設けることで、アッパケース120をロアケース110上に置いたときに各ピン116がアッパケース120を係止するようになっている。
【0043】
ロアケース110は、第1側面110d及び第2側面110eに、それぞれ外側に突出するねじ119が複数設けられているとともに、ロアケース110には、当該ねじ119に締結される態様でそれぞれ支持部材としてのキャリアブラケット111,112が結合される。これらのキャリアブラケット111,112は対をなし、一対でロアケース110、すなわち収容ケース101を車両フレームFrに垂直に片持ち支持可能に取り付けるものである。一対のキャリアブラケット111,112は、金属材料から収容ケース101を車両フレームFrに支持可能な剛性を有する形状に形成されている。ここで、片持ち支持とは、支持部材(キャリアブラケット111,112)の一側面のみが車両フレーム
Frと連結されて支持する態様をいう。なお、金属材料としては、板厚2.0mmの金属板が用いられるが、剛性を確保することができるのであれば、板厚が2.0mm以外の金属材料が用いられてもよい。
【0044】
キャリアブラケット111には、第1側面110dに面接触される接合面111aが設けられている。接合面111aは、第1側面110dに面接触することができるように、第1側面110dと同様の接合面111aを有している。すなわち接合面111aは、車両フレームFrから水平に離間する側である、車両の外方向に水平に突出する方向に先細りする形状に形成されている。また、キャリアブラケット111には、左フランジ115dの裏面(下面)に面接触するように接合面111aの上端から第1側面110dから離間する方向である左方向に折り曲げられるように延出形成された上フランジ111bが設けられている。さらに、キャリアブラケット111には、接合面111aの下端からこれも第1側面110dから離間する方向である左方向に折り曲げられるように延出形成された下フランジ111cとが設けられている。また、キャリアブラケット111には、同キャリアブラケット111を車両フレームFrに締結させるために、接合面111aの車両フレームFr側の先端から第1側面110dから離間する方向である左方向に折り曲げられるように形成されたフレーム連結部111dが設けられている。フレーム連結部111dは、車両フレームFrに当接するために、後フランジ115cよりも車両フレームFr側にまで延出される接合面111aの先端部に設けられている。そしてこのフレーム連結部111dは、接合面111aの車両フレームFr側の端部と、上フランジ111bの車両フレームFr側の端部と、下フランジ111cの車両フレームFr側の端部とにそれぞれ接合される状態で接合面111aに対してフランジ状に配置される。すなわち、キャリアブラケット111は、接合面111aを取り囲むように設けられている上フランジ111bと、下フランジ111cと、フレーム連結部111dとにより、収容ケース101を車両フレームFrに支持可能な剛性を有するものとなっている。そして、キャリアブラケット111は、そのフレーム連結部111dが車両フレームFrにボルト等で結合されることにより、キャリアブラケット111に結合される収容ケース101を車両フレームFrに支持させる。
【0045】
また、キャリアブラケット112には、キャリアブラケット111の接合面111aと同様に、第2側面110eに面接触する接合面112aが設けられている。また、キャリアブラケット112には、右フランジ115eの裏面(下面)に面接触するように接合面112aの上端から第2側面110eから離間する方向である右方向に折り曲げられるように延出形成された上フランジ112bが設けられている。なお、キャリアブラケット112の構造は、キャリアブラケット111を鏡像した構造であることから、キャリアブラケット112の構造についてはその詳細な説明を割愛する。
【0046】
図4に示すように、アッパケース120は、金属材料としての金属板をプレス加工することなどにより、高い剛性を有するとともに下部に開口を有する横長の箱形状に形成される。なお金属材料としては、板厚が1.6mmの金属板が用いられるが、剛性を確保することができるのであれば、板厚が1.6mm以外の金属材料が用いられてもよい。また、アッパケース120も、ロアケース110と同様に、一体形成されてなるのが好ましい。これにより、外部からの異物混入を防止することができ、また曲げ形成よりもコスト面で有利となる。アッパケース120は、収容ケース101のフレーム側側面に対応する面であり長側面としての後側面120cと、その後側面120cの上側から車両フレームFrに対して車台の外方向(車台から離間する方向)へ水平に延出される天面120aと、天面120aの先端から下方向に延出される長側面としての前側面120bとを備える。なお、アッパケース120は、ロアケース110に組み合わされたとき、ロアケース110に搭載された電池スタック200に天面120aが接触しないようにするため、前側面120bの鉛直方向における上下方向に対する高さが、後側面120cの高さよりも高くさ
れている。すなわちアッパケース120をロアケース110に組み合わせたとき、高さの高いアッパケース120の前側面120bが高さの低いロアケース110の前側面110bに組み合わされるとともに、高さの低いアッパケース120の後側面120cが高さの高いロアケース110の後側面110cに組み合わされるようになる。これにより、アッパケース120の天面120aと、ロアケース110の底面110aとが所定の間隔を有し相対向するようになることから、天面120aと底面110aとの間に、電池スタック200が配置される空間が確保されるようになっている。
【0047】
またアッパケース120は、その長手方向両端に、それぞれ短側面としての第1側面120d又は第2側面120eが設けられる。すなわち第1側面120d及び第2側面120eはそれぞれ、後側面120cの長手方向端部と、天面120aの同長手方向端部と、前側面120bの同長手方向端部とにより囲まれる部分に設けられる。このことから第1側面120d及び第2側面120eはそれぞれ、後側面120cと、天面120aと、前側面120bとに接続される。なお本実施形態では、第1側面120dは、アッパケース120の長手方向にあって図2及び4において左側に設けられている一方、第2側面120eは、アッパケース120の長手方向にあって図2及び4において右側に設けられている。ところで、鉛直方向における上下方向に対する前側面120bの高さが、後側面120cの高さよりも高いことから、第1側面120d及び第2側面120eは、それらの平面形状が、鉛直方向に対して後側面120cに接続される側が上下方向に低く、前側面120bに接続される側が上下方向に高い形状に形成されている。換言すると、第1側面120d及び第2側面120eは、車両フレームFrに対して離間する方向である、車両外側に水平に突出する方向に先太りする形状に形成されている。これにより、アッパケース120は、下方かつ車両フレームFrの方向に開口を向けた箱形状に形成される。
【0048】
天面120aと後側面120cとの接続部は、天面120aと後側面120cの剛性がそれぞれ高められるように、例えば天面120aと後側面120cとを連続平面とする断面弧状に形成されている。また、天面120aと前側面120bとの接続部は、これも天面120aと前側面120bの剛性がそれぞれ高められるように、例えば天面120aと前側面120bとを連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、天面120aと第1側面120dの接続部、及び、天面120aと第2側面120eの接続部は、これらも、天面120a、第1側面120d、及び第2側面120eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。また、第1側面120d及び第2側面120eと前側面120bとのそれぞれの接続部についても、前側面120b、第1側面120d及び第2側面120eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、第1側面120d及び第2側面120eと後側面120cとのそれぞれの接続部についても、後側面120c、第1側面120d及び第2側面120eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。これにより、アッパケース120は、高い剛性を有するようになり、応力外皮構造、すなわちモノコック構造となるように形成される。なお、各接続部の有する弧の半径は、それぞれ各別に定めることができるため、それぞれ異なっていても、2つ以上が同じであってもよい。
【0049】
また、アッパケース120の前側面120bには、電池スタック200の冷却に用いられる空気を電池パック100の外部から取り込むための2つの吸気口121,122が設けられているとともに、サービスプラグ128を貫通させる貫通孔125Aが設けられている。
【0050】
アッパケース120の下部に設けられる開口の全周には、ロアケース110のフランジ部115に対向する環状のフランジ部124が開口から外周に沿って延出されており、同
フランジ部124にはロアケース110の各取付け穴114に対応するそれぞれの位置にそれぞれ、ボルトを通すことのできる取付け穴123が形成されている。フランジ部124は、前側面120bの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された前フランジ124bと、後側面120cの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された後フランジ124cとを備えている。またフランジ部124は、第1側面120dの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された左フランジ124dと、第2側面120eの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された右フランジ124eとを備えている。これにより、前フランジ124bは前側面120bの剛性を、後フランジ124cは後側面120cの剛性を、左フランジ124dは第1側面120dの剛性を、右フランジ124eは第2側面120eの剛性をそれぞれ向上させるようになることから、アッパケース120としては、より高い剛性を有するモノコック構造となる。
【0051】
なお、アッパケース120がプレス成形されることから、各フランジ124b〜124eもプレス成形により各面120b〜120eの先端から外側に延出形成されている。すなわち、各フランジ124b〜124eは、隣接する各フランジ124b〜124eと相互に連続される。またアッパケース120のフランジ部124は、重ね合わせられるロアケース110のフランジ部115よりも外周方向に延出されているとともに、さらにその先端が下方に曲げ加工されて同フランジ部115を覆うように湾曲している。例えば、電池パック100の断面図として図5に示すように、前フランジ124bは、ロアケース110の前フランジ115bよりも外側に延出されており、その延出された先端部124pが前フランジ115bを覆うように下方に湾曲されている。これにより、アッパケース120のフランジ部124が、ロアケース110のフランジ部115に重ね合わされたとき、収容ケース101の下方から飛散する水分や埃などがアッパケース120側に到達することが抑制されるようになる。
【0052】
図5に示すように、ロアケース110とアッパケース120とをそれぞれの開口を向き合わせて、それらの間に図示しないガスケット等を介して重ね合わせることにより、ロアケース110のフランジ部115とアッパケース120のフランジ部124とがガスケット等を介して重なり合うようになる。また、重なり合ったロアケース110のフランジ部115の取付け穴114と、アッパケース120のフランジ部124の取付け穴123とが一致するように配置形成されているため、それらケースが重ね合わされることでフランジ部115とフランジ部124とを共に貫通する締結用取付け穴123Aが形成される。このことから、この締結用取付け穴123Aに挿通させたボルト123Bをナット123Nで締結することができる。このようにロアケース110とアッパケース120とが締結により連結されることで開口を有さない箱形状で、いわゆる殻体状の筐体となるモノコック構造を有する収容ケース101が構成される。さらに、ロアケース110の左フランジ115dにあっては、表面(上側)にはアッパケース120の左フランジ124dが、裏面(下側)にはキャリアブラケット111の上フランジ111bがそれぞれ重ね合わされる。これにより、これら3つのフランジ、すなわち左フランジ115dと、左フランジ124dと、上フランジ111bとがボルトとナットにより共締めされることとなる。また、ロアケース110の右フランジ115eにあっては、表側(上側)にはアッパケース120の右フランジ124eが、裏面(下側)にはキャリアブラケット112の上フランジ112bが重ね合わされる。これにより、これら3つのフランジ、すなわち右フランジ115eと、右フランジ124eと、上フランジ112bとがボルトとナットにより共締めされることとなる。
【0053】
車両フレームFrに支持された各キャリアブラケット111,112には、車両からの外力が伝わりやすい。その一方、各キャリアブラケット111,112はアッパケース120とロアケース110にそれぞれ連結されているため、各キャリアブラケット111,
112に加わった外力がそれぞれ、電池パック1の特定部分に限られず、電池パック1の全体に分散し、電池パック全体としての強度を維持することができる。
【0054】
図2に示すように、電池スタック200は、上述した電池モジュール210を複数備えている。各電池モジュール210はそれぞれ密閉型二次電池であることから、発電要素が角形の箱体により構成されるモジュール容器に収容されている。各電池モジュール210は、所定の間隙を介して配列配置されることで1つの電池スタック200を構成する。詳述すると、電池スタック200の両端にはそれぞれエンドプレート221又は222が配置されている。エンドプレート221及び222は2つで対をなしている。このことから、エンドプレート221及び222には、電池モジュール210の配列方向に延びる上側(アッパケース120側)、及び下側(ロアケース110側)のそれぞれに1対ずつ設けられた拘束ロッド223に固定される1対のブラケット224がそれぞれ上側及び下側に突き出すかたちでそれぞれ設けられている。こうした各エンドプレート221及び222により、それらエンドプレート221及び222の間に配列配置された各電池モジュール210が保持されることで電池スタック200が構成される。そして、このように構成される電池スタック200は、電池パック100の組み付け時においては上記電池エリア100bに収容される。
【0055】
また、電池パック100は、先の図2に示すように、ロアケース110及びアッパケース120に収容される構造体として、電池スタック200を固定するフレーム130と、電池スタック200の下部に配置されるトレイ140と、電池スタック200を空冷する空気を吸気するダクト150とをそれぞれ備えている。
【0056】
このうちフレーム130は、電池スタック200をロアケース110に固定するための部材としてロアケース110に収容される。フレーム130は、長手方向左側に、管理機器300が設置される機器設置部が、長手方向右側に、電池スタック200が設置される電池スタック設置部が設けられている。こうしたフレーム130は、ロアケース110の前側面110b側である前側に配される第1フレーム材131と、ロアケース110の後側面110c側である後側に配される第2フレーム材132とが連結部材133により連結されて構成されている。第1フレーム材131は、長手方向に対する断面が台形状に形成されている一方、第2フレーム材132は、長手方向に対する断面が後側を上方に折れ曲げる形状に形成されている。また、フレーム130の右部分である電池スタック設置部には、トレイ140を収容するためのトレイ収容部134が上記2つのフレーム材131及び132と連結部材133とにより形成されている。すなわち、トレイ収容部134は、トレイ140を2つのフレーム材131、132の間に挟むとともに、トレイ140左側の一部を連結部材133の上部に載置させるように形成されている。電池スタック設置部において各フレーム材131、132の上面には、電池スタック200を固定するための複数のボルト135が長手方向には配列配置されている。フレーム130のフレーム材131は、車両フレームFrから離間する方向である前側にサービスプラグ128の差し込まれる遮断器や、ダクト150などを支持する支持部136が設けられている。
【0057】
こうしたフレーム130のトレイ収容部134に収容されるトレイ140は、図6に示すように、同トレイ140の長手方向においてフレーム130の機器設置部側である一端としての左端に上記ダクト150からの空気が供給される供給ダクト141を有している。また、トレイ140は、供給ダクト141を介して供給された空気を上記電池スタック200の下側に供給する供給チャンバ142を、供給ダクト141に対して機器設置部から離間する側である長手方向右側に有している。すなわち、このように構成されるトレイ140は、電池パック100が組み立てられた状態においては、供給ダクト141が形成される部位が上記機器エリア100a側に収容されるとともに供給チャンバ142が上記電池エリア100bに収容される。
【0058】
供給ダクト141は、そこに空気の供給される機器設置部側の入り口から、空気を供給する出口である供給チャンバ142に向けて広がる形に形成された筒形状の案内通路を構成している。供給ダクト141には、その入り口にまとめて供給される冷却用の空気を供給チャンバ142の長手方向に対して直交する短手方向である幅方向に広げるための複数の仕切143が筒内において長手方向に延出形成されている。すなわち供給ダクト141には、入り口から出口に向かって長手方向に延びる3つの仕切143が設けられるとともに、3つの仕切143が供給ダクト141に4つの分割通路144を形成している。このように各分割通路144は、トレイ140において幅方向に対して前方向から後方向にかけて4つの形成されている。各分割通路144の大きさは、入り口から出口である供給チャンバ142までの距離等に応じて異なる空気抵抗などを考慮して、各分割通路144から供給チャンバ142に供給される空気量がそれぞれ同様の空気量になるように調整されている。すなわち各仕切143は、各分割通路144の大きさを適切にするように供給ダクト141内に配置される。
【0059】
供給チャンバ142には、各分割通路144から供給された冷却用空気を案内するためのフィン145が長手方向に適宜設けられるとともに、供給チャンバ142の底面の長手方向左側には、図示しない逆止弁の取り付けられる水抜き穴146が設けられている。また、水抜き穴146を幅方向前後において挟むように長手方向に延びる複数のフィン145には、隣接するフィン145との間に所定の隙間147が設けられている。隙間147は、水がフィン145を横切って水抜き穴146に流れることができるようにするためのものであり、これにより冷却用の空気に混じって吸入されてトレイ140に落ちた水が隙間147を通るなどして水抜き穴146へ流れ込むことができる。なお本実施形態では、トレイ140は収容ケース101に組み込まれたとき、鉛直方向に対して機器設置部側である長手方向左側の高さが、長手方向右側の高さよりも相対的に低くなるため、トレイ140に落ちた水が水抜き穴146へ流れ込むようになる。
【0060】
ダクト150は、図2に示すように、車両フレームFrの長手方向に沿って延びる横長の筒形状をしている。ダクト150は、支持部136等を介してフレーム130に対して車両フレームFrから離間する方向である前側に固定されることで、フレーム130に固定される電池スタック200とアッパケース120の前側面120bとの間に配置されるようになっている。ダクト150は、アッパケース120の前側面120bに対向する側面に、アッパケース120の吸気口121及び122に対応する2つのダクト吸気口151及び152を有している。またダクト150は、その長手方向の右側に設けられる空気案内部150bが電池エリア100bに配置される一方、その長手方向の左側のファン取付部150aが機器エリア100aに配置される。ファン取付部150aには、電池スタック200を冷却するための空気を電池エリア100b内に強制流通させるための冷却ファンFaが取り付けられている。冷却ファンFaの内部には、電池パック100が組み立てられたとき、ファン取付部150aと上記トレイ140の供給ダクト141の入り口とを繋ぐ空気流路が形成されている。冷却ファンFaは、その空気流路の途中に設けられた回転翼が回転することでファン取付部150aからトレイ140の供給ダクト141へと空気を強制的に送り出す。また、空気案内部150bには、冷却ファンFaが駆動することによりダクト吸気口151及び152を介して取り込まれた外気をファン取付部150aまで案内するUターン状の空気流路が形成されている。空気流路は、ダクト吸気口151及び152を介して取り込まれた外気を長手方向に対してファン取付部150aとは逆方向である右方向の一端に案内してから、ファン取付部150aの方向である左方向にUターンさせてファン取付部150aまで案内するUターン状に形成されている。本実施形態では、こうした空気流路を経由して外気が取り込まれることにより、外気が空気流路を通過する途中で外気に含まれている埃や水分が取り除かれるようになる。そして、こうしたダクト150から取り込まれた空気は、冷却ファンFaを介して上記トレイ140の供
給ダクト141へと送り出される。
【0061】
このように構成される電池パック100では、同電池パック100が組み付けられた状態において上記冷却ファンFaが駆動すると、電池パック100外部の空気がアッパケース120の吸気口121及び121、ダクト150、冷却ファンFa、トレイ140の供給ダクト141を順に介して上記供給チャンバ142に適宜取り込まれる。そして、この供給チャンバ142に取り込まれた空気は、電池モジュール210間の間隙を介して電池モジュール210の下方から上方へと案内され、その際に電池モジュール210の冷却が行われる。その後、電池モジュール210の上方に案内された空気は、上記ロアケース110の排気口113を介して電池パック100の外部へと排出される。
【0062】
次に、サービスプラグ128を中心とした構造について、図7〜図10に従って説明する。
図2や図4に示したように、アッパケース120の前側面120bにはサービスプラグ128を貫通させるための貫通孔125Aが設けられている。ところで、この貫通孔125Aは通常、図7に示すように、前側面120bに複数のねじ126にて留められるプラグカバー125により覆われている。プラグカバー125は、プラグカバー125の周囲に配される当接部125aと、プラグカバー125の中央部に配されるドーム状のプラグ収容部125bとを有している。当接部125aは、アッパケース120の前側面120bに図示しないパッキン等を介して当接するように形成されており、前側面120bに複数のねじ126にてねじ留めされることによって前側面120bに密着して、アッパケース120内に貫通孔125Aを通じて水や埃が侵入することを防ぐことができるようになっている。プラグ収容部125bは、アッパケース120の前側面120bに対して突出する方向に膨らむドーム状に形成されている。
【0063】
図8に示すように、プラグカバー125の後ろには、ねじ126が螺合される雌ねじの形成されたねじ孔127と、フレーム130の支持部136に固定された遮断器137に差し込み固定されたサービスプラグ128が貫通孔125Aを貫通配置されている。すなわち、サービスプラグ128は、前側面120bに対して突出される部分がプラグカバー125のプラグ収容部125bに収納される。サービスプラグ128は、遮断器137に差し込まれることにより遮断器137の回路を閉じて電池スタック200からの電力の出力を可能とする一方、遮断器137から抜き取られることにより遮断器137の回路を開いて電池スタック200からの出力電力を遮断する。サービスプラグ128には、遮断器137に挿抜可能なプラグ基部128bと、サービスプラグ128の遮断器137への挿抜操作及び固定/解除操作を行うためのプラグ操作部128aが設けられている。サービスプラグ128が遮断器137に差し込まれているとき、プラグ基部128bは、アッパケース120の内側に配置される一方、プラグ操作部128aは、アッパケース120の外側に配置される。すなわちプラグ操作部128aが、プラグカバー125のプラグ収容部125bに収容される。
【0064】
すなわち、図9(a)に示すように、アッパケース120の前側面120bにプラグカバー125がねじ126で留められている場合、図9(b)及び(c)に示すように、プラグカバー125のプラグ収容部125bの内側にサービスプラグ128が収容される。このとき上述のように、サービスプラグ128のプラグ操作部128aは、アッパケース120の前側面120bの外側に配置され、プラグ基部128bは、アッパケース120の前側面120bの内側に配置される。なお、本実施形態では、貫通孔125Aの長手方向の長さL1よりも、サービスプラグ128のプラグ操作部128aの長手方向の長さL2が長く形成されている一方、プラグ基部128bの長手方向の長さは短く形成されている。また、鉛直方向に置いて上下方向(短手方向)には、貫通孔125Aの高さ(長さ)よりも、プラグ操作部128a及びプラグ基部128bの高さが低く(長さが短く)なっ
ているが、プラグ操作部128aの長さは長くてもよい。これにより、プラグ基部128bは貫通孔125Aを挿通して遮断器137に挿抜可能になる一方、プラグ操作部128aは、貫通孔125Aを挿通できないようになっている。そのため、サービスプラグ128が遮断器137に挿入支持されている状態では、貫通孔125Aが設けられた前側面120bは、遮断器137とサービスプラグ128のプラグ操作部128aの間に挟まれている。このことからアッパケース120は、遮断器137側にもプラグ操作部128a側にも抜けないようになっている。これにより、遮断器137からサービスプラグ128が抜き取られている状態でなければ、アッパケース120をロアケース110から取り外すことができないこととなっている。
【0065】
また図10に示すように、サービスプラグ128はプラグ操作部128aが、遮断器137に正しく装着される前の解除位置と、遮断器137に固定される固定位置との間で、遮断器137に対して水平移動(前側面120bに沿って水平方向)するようになっている。なお、解除位置は、図10において実線にて示される位置であり、固定位置は、図10において二点鎖線にて示される位置である。固定位置は、電池パック100を通常使用するためにサービスプラグ128を配置させる位置であり、遮断器137にサービスプラグ128が正しく装着されている状態としての位置である。解除位置は、電池パック100にメンテナンス等を行う等のために遮断器137からサービスプラグ128を抜き取ったり、電池パック100へのメンテナンス等の後にサービスプラグ128を遮断器137に配置させる操作途中の一時的な位置である。そのため、解除位置では、サービスプラグ128が遮断器137に挿入されているものの、電池パック100を通常使用するための位置とは異なり、この状態での電池パック100の使用は不都合を招くおそれがある。
【0066】
そこで、本実施形態では、サービスプラグ128が解除位置にある場合、プラグ操作部128aがプラグカバー125の当接部125aに干渉するようにプラグ操作部128aが形成及び配置される。すなわち、サービスプラグ128が遮断器に正しく装着されていない状態である解除位置にある場合、サービスプラグ128による干渉によってプラグカバー125が収容ケース101への装着が不能となる。このため、サービスプラグ128が遮断器に正しく装着されていない状態でプラグカバー125がアッパケース120に留められてしまうようなおそれが防止される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の電池パックによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)電池スタック200を収容した殻体状(箱状)の収容ケース101が車両フレームFrにキャリアブラケット111,112により直接支持されるため、電池スタック200を支持する構造としては、従来のように、電池スタック200を載置するための棚及び当該棚を覆うためのカバーなどが不要となる。またこのような収容ケース101は、ロアケース110及びアッパケース120とが連結(締結)されることにより電池スタック200を支持することのできる剛性を有する構造体、いわゆるモノコック構造を有する構造体ともなる。周知のように、モノコック構造は、筐体を構成する外板に応力耐性を持たせることから、構造体の骨格等が省略できるようになり、剛性を確保するにあたり、その他の構造よりも軽量化、簡素化されるようになる。すなわち、この収容ケース101によれば、従来のように電池スタック200を棚により支持する場合に比べて、棚の剛性を確保する骨格や、棚を覆うカバーなどが不要となるため、電池スタック200を支持する電池パック100としてその構造を軽量化、簡素化することができるようになる。
【0068】
(2)ロアケース110やアッパケース120にはそれぞれフランジ部115,124が設けられるため、それらフランジ部115,124によりロアケース110やアッパケース120の剛性が向上されるようになる。また、ロアケース110とアッパケース120とがフランジ部115,124を介して連結されることで、ロアケース110とアッパ
ケース120との間の連結面積が広くなり、ひいてはロアケース110とアッパケース120との間の結合力も高められるようになる。すなわち、連結後の収容ケース101としても、その剛性のさらなる向上が図られるようになる。
【0069】
(3)ロアケース110の第1側面110dに設けられた左フランジ115dに、キャリアブラケット111の上フランジ111bが共締めするとともに、ロアケース110の第2側面110eに設けられた右フランジ115eに、キャリアブラケット112の上フランジ112bが共締めするようにした。これにより、収容ケース101の剛性がさらに向上するようになる。
【0070】
(4)電池スタック200が載置される片持ち支持されるロアケース110にキャリアブラケット111,112が結合される。このため、アッパケース120が連結されていない状態でも、電池スタック200の載置されたロアケース110を車両フレームFrに取り付けたり、車両フレームFrに取り付けられた状態の収容ケース101からアッパケース120だけを取り外したりすることができる。これにより、電池パック100の取り付けに係る作業性が向上する。
【0071】
また、電池スタック200が載置されるため重い側であるロアケース110を支持することで収容ケース101の車両フレームFrへの取り付け状態も安定するようになる。
(5)ロアケース110の上辺が傾斜するためフランジ部115の長さ(周長)が長くなるとともに、それに接合されるアッパケース120のフランジ部124の長さ(周長)も長くなる。これによりロアケース110及びアッパケース120の各フランジ部115,124の連結面の面積が増えることによって両フランジ部115,124間の結合力が大きくなり、収容ケース101の剛性をより高くすることができる。
【0072】
また、ロアケース110は、車両フレームFrから離間する側、すなわち車両の外側に離間する側の側面の高さが低くなるので、電池パック100に対してメンテナンス等の作業を行う際、電池パック100を車両に取り付けたままであれ、アッパケース120を取り外すことで、電池スタック200等に対する作業が容易に行えるようになる。
【0073】
(6)車両フレームFrから離間する方向に深さが浅くなるロアケース110の第1及び第2側面110d,110eの形状に各キャリアブラケット111,112の各接合面111a,112a形状を対応させることにより、キャリアブラケット111,112をできるだけ高い剛性を確保することのできる形状とすることができるようになる。
【0074】
(7)従来の二次電池(電池パック)には、通常使用時には取り付けられているが、作業時には安全性を確保するため取り外すことでその出力電力を遮断するサービスプラグが設けられている。
【0075】
そこで、この電池パック100にも収容ケース101外から操作可能なサービスプラグ128を設けるようにした。これにより例えば、作業前にサービスプラグ128を外す操作をすることで電池スタック200の出力電力を遮断するようにすることなどにより、作業の安全性の向上を図ることができるようになる。また、サービスプラグ128をプラグカバー125で覆うことにより、サービスプラグ128を汚れや不要な操作などから保護することができるようにもなる。さらに、収容ケース101を開けることなく、プラグカバー125を外すことのみでサービスプラグ128の操作が可能になることから、収容ケース101に対するメンテナンス等の作業に先立ち、電池スタック200が収容ケース101内に隔離収納されている状態で、サービスプラグ128を操作することができるようにもなる。これにより、電池パック100としての操作性や、作業性や、安全性などの向上が図られるようになる。
【0076】
(8)電池パック100にサービスプラグ128が正しく装着されていない場合、電池パック100が正常に動作しなかったり、走行中にサービスプラグ128が外れて不都合を生じたりするおそれがある。
【0077】
そこでサービスプラグ128が正しく装着されていない場合、プラグカバー125の装着が不能となるようにしたことから、プラグカバー125の取り付けの際、サービスプラグ128が正しく装着されているか否かが確認されるようになり、電池パック100に対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0078】
(9)サービスプラグ128が操作されていない、いわゆる取り付けてある状態、例えば電池パック100から電力が出力されているような状態で、収容ケース101にあって蓋に対応するアッパケース120は貫通孔125Aがサービスプラグ128に干渉するため収容ケース101から取り外すことができないようにした。すなわちサービスプラグ128が取り付けられている場合、収容ケース101を開けることが防止されるようになる。これにより、サービスプラグ128が取り外されるなどの操作により作業等の安全性が高められた状態でのみアッパケース120を取り外すことができるため、電池パック100に対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0079】
(10)ダクト吸気口151,152に向かって下方から飛散してくる水しぶきや塵などがダクト吸気口151,152に到達することを、ロアケース110のフランジ部115よりも延出されたアッパケース120のフランジ部124によりより一層防ぐことができるようにした。また、アッパケース120のフランジ部124はその先端部124pが下方に曲げられていることから上側の水や埃も排出されやすくもなる。これらにより、ダクト吸気口151,152から吸入される空気に混入する水や塵を少なくすることができるようになる。
【0080】
(11)トレイ140を設けることにより、冷却用の空気がロアケース110の特に底面110aに接することなく電池スタック200に供給するようにしたので、冷却用の空気の温度がロアケース110の温度により変化することが抑制されるようになる。特に車外に配置された電池パック100は、ロアケース110の温度が、路面や車体などからの放射熱などにより上昇することもあるため、トレイ140を介在させることにより冷却用の空気がロアケース110により加熱されることを抑制して、電池スタック200に対する冷却性能を高く維持させることができるようになる。
【0081】
また、トレイ140は、応力を受け持つ外板であるロアケース110に比べて形成の自由度が高いことから、トレイ140に溜まる水分を排出する形状や、冷却用の空気を流す流路の形成なども容易になる。
【0082】
(12)トレイ140に供給される空気が仕切143にしたがってトレイ140の供給チャンバ142を分配するようにしたため、電池スタック200に冷却用の空気を適切に分配することができる。空冷用の空気を適切に分配することで、電池スタック200をできるだけ均等に冷却するようにすることにより、電池パック100としての信頼性や性能などを高く維持することができるようになる。
【0083】
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、キャリアブラケット111,112の各接合面111a,112aの形状が対応するロアケース110の第1側面110d又は第2側面110eの形状と同様である場合について例示した。しかしこれに限らず、キャリアブラケットの形状は、収容ケースをフランジを介して支持できるのであれば、その形状を自由な形状にすること
ができる。
【0084】
・上記実施形態では、ロアケース110の後側面110cの高さが前側面110bの高さよりも高い場合について例示した。しかしこれに限らず、ロアケースの後側面の高さが前側面の高さと同じであったり、ロアケースの後側面の高さが前側面の高さよりも高くてもよい。また、ロアケースの形状に応じてアッパケースの後側面や前側面の高さを変更してもよい。これにより、ロアケースとアッパケースとを組み合わせて構成される収納ケースの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0085】
・上記実施形態では、電池パック100が車両外の車両フレームFrに搭載される場合について例示した。しかしこれに限らず、電池パックは車両フレーム以外のものである車体などに搭載されてもよいし、車外に限らず車室内に配置されてもよい。これによっても、電池パックの利用可能性が向上されるようになる。
【0086】
・上記実施形態では、電池パック100が片持ち支持される場合について例示した。しかしこれに限らず、電池パックは、ロアケース110あるいはアッパケース120、あるいはそれら両ケースを介しての吊り下げ支持されてもよいし、平面支持等されてもよい。いずれにせよ、モノコック構造の収容ケースであれば、いかなる態様で車体や車台に搭載される場合であれ、高い剛性を維持した状態での搭載が可能となる。これらにより、電池パックの利用可能性が向上されるようになる。
【0087】
・上記実施形態では、電池パック100は、トラックの電動モータに電力を供給する場合について例示したが、これに限らず、電池パックは、電動モータ以外の電気機器や電子機器であって車両に搭載されている機器に電力を供給するものでもよい。これにより、電池パックの利用可能性が向上するようになる。
【0088】
・上記実施形態では、収容ケース101は、直方体状の、横長の箱形状であったが、これに限らず、収容ケースは、内部に電池スタックや、空冷装置及び管理機器が収容可能であれば、その形状が側面楕円形状でも、円柱形状でも多角柱形状でもよい。これにより、電池パックの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0089】
・上記実施形態では、ロアケース110とアッパケース120との連結や、それらに対するキャリアブラケット111,112の連結がボルトなどのねじによる締結によりなされる場合について例示した。しかしこれに限らず、ロアケースとアッパケースとの連結や、それらに対するキャリアブラケットの連結は、ねじによる締結に限定されるわけではなく、それぞれの部材を連結できるのであれば、連結方法は特に限定されない。
【符号の説明】
【0090】
100…電池パック、101…収容ケース、110…ロアケース、110a…底面、110b…前側面、110c…後側面、110d…第1側面、110e…第2側面、111…キャリアブラケット、111a…接合面、111b…上フランジ、111c…下フランジ、111d…フレーム連結部、112…キャリアブラケット、112a…接合面、112b…上フランジ、113…排気口、114…取付け穴、115…フランジ部、115b…前フランジ、115c…後フランジ、115d…左フランジ、115e…右フランジ、116…ピン、117…接続部材、118…弾性部材、119…ねじ、120…アッパケース、120a…天面、120b…前側面、120c…後側面、120d…第1側面、120e…第2側面、121,122…吸気口、123…取付け穴、123A…締結用取付け穴、123B…ボルト、123N…ナット、124…フランジ部、124b…前フランジ、124c…後フランジ、124d…左フランジ、124e…右フランジ、124p…先端部、125…プラグカバー、125a…当接部、125A…貫通孔、125b…プラ
グ収容部、126…ねじ、127…ねじ孔、128…サービスプラグ、128a…プラグ操作部、128b…プラグ基部、130…フレーム、131…第1フレーム材、132…第2フレーム材、133…連結部材、134…トレイ収容部、135…ボルト、136…支持部、137…遮断器、140…トレイ、141…供給ダクト、142…供給チャンバ、143…仕切、144…分割通路、145…フィン、146…水抜き穴、147…隙間、150…ダクト、150a…ファン取付部、150b…空気案内部、151…ダクト吸気口、152…ダクト吸気口、200…電池スタック、210…電池モジュール、221…エンドプレート、223…拘束ロッド、224…ブラケット、300…管理機器、Fa…冷却ファン、Fr…車両フレーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型二次電池からなる電池モジュールが複数連結されて構成される電池スタックを収容する電池パックに関し、特に、車両などの移動体に支持される電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気自動車やハイブリッド自動車では、動力源もしくは補助動力源として電動モータが用いられている。そして、この電動モータの電力源としては、複数の電池モジュールが直列接続された電池スタックが、電池パックに収納された状態で用いられることが多い。
【0003】
ここで、電池パックは通常、収容している電池スタックを保護したり、同電池スタックの空冷に用いる空冷用チャンバを構成したりする外装カバーを有している。そしてこのような電池パックは、自動車等の車室内に配置される場合、電池スタックを外装カバーで覆った状態で車室内の床に配置されている。
【0004】
一方、車室空間が制限されるトラック等の車両にあっては、電池パックを車外に配置することも提案されており、例えば車両フレームに片持ち支持によって搭載される電池パックの例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載の電池パックの搭載構造では、図11に示すように、車両外側部の車両フレーム4にブラケット3を介して連結される電池収容棚2に電池パック1が載置されるとともに、この搭載された電池パック1が電池収容棚2に取り付けられる上部カバー6によって覆われる構造となっている。そして、電池パック1には、上部カバー6の開口部12から吸気ダクト5の吸気口11を介して吸入された空冷用の空気が供給されることによって、電池パック1に収納されている電池スタックの冷却が行われる。なお、上記電池収容棚2の下方には側板8によって覆われる下棚7が設けられており、この下棚7に、電源装置としての周辺機器であるインバータ14、制御回路箱15、及びラジエータ13が収容されている。このように、この搭載構造では、電池パック1が電池収容棚2に搭載される態様で、上部カバー6等と共々、車両外側部の車両フレーム4に片持ち支持される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されている上記電池パック1は、車両に搭載されるために電池収容棚2やこれを支えるブラケット3を必要とするため、電池パック1自体とその支持構造や保護構造を含む電源装置全体としての部品点数や重量の増加が避けられない。また、電池パック1自体が複数の電池モジュールを有する重量物であることから、これを片持ち支持する電池収容棚2やブラケット3にも剛性を確保すべく頑丈な構造が必要とされ、このことがさらに電源装置としての重量増加を助長する要因ともなっている。このように、車両に電池パックを片持ち支持によって搭載しようとすると、部品点数はもとより、重量の増加に伴う剛性の確保等、多くの課題を抱える実情にあるものの、未だにその有効な解決策は見出されていない。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえ片持ち支
持等によって車両に搭載される場合であれ、不要な重量増加を招くことのない簡素な構造にて必要十分な剛性を確保することのできる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両に搭載された電動モータに電力を供給する二次電池群が収容ケースに収容、固定された状態で車両に搭載される電池パックであって、前記収容ケースは、相互に開口が向かい合わされて連結されると共に箱状からなる第1のケース及び第2のケースと、それら第1及び第2のケースの少なくとも一方に固定されて当該収容ケースを前記車両の車体又は車台に直接支持させるようにする支持部材とを備えることを要旨とする。
【0009】
このような構成によれば、二次電池群を収容した殻体状(箱状)の収容ケースが車体又は車台に支持部材により直接支持されるため、二次電池群を支持する構造としては、従来のように、二次電池群を載置するための棚及び当該棚を覆うためのカバーなどが不要となる。またこのような収容ケースは、第1のケース及び第2のケースとが連結(締結)されることにより二次電池群を支持することのできる剛性を有する構造体、いわゆるモノコック構造を有する構造体ともなる。周知のように、モノコック構造は、筐体を構成する外板に応力耐性を持たせることから、構造体の骨格等が省略できるようになり、剛性を確保するにあたり、その他の構造よりも軽量化、簡素化されるようになる。すなわち、この収容ケースによれば、従来のように二次電池を棚により支持する場合に比べて、棚の剛性を確保する骨格や、棚を覆うカバーなどが不要となるため、二次電池を支持する電池パックとしてその構造を軽量化、簡素化することができるようになる。
【0010】
また、片持ち支持等、いかなる態様で車体又は車台に搭載される場合であれ、高い剛性を維持した状態での搭載が可能となる。なお、収容ケース自体の構造が、上記条件を満足するものであれば、同ケースの車体又は車台への支持態様は片持ち支持に限られることなく任意であり、例えば第1のケースあるいは第2のケース、あるいはそれら両ケースを介しての平面支持等でもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池パックにおいて、前記第1及び第2のケースには、前記連結に際して互いに面対向されるように相互の開口から外周に沿って延出された環状のフランジが設けられており、それらフランジ同士の連結によって前記第1及び第2のケースが連結されることを要旨とする。
【0012】
このような構成によれば、第1のケースや第2のケースにはそれぞれフランジが設けられるため、それらフランジにより第1のケースや第2のケースの剛性が向上されるようになる。また、第1のケースと第2のケースとがフランジを介して連結されることで、第1のケースと第2のケースとの間の連結面積が広くなり、ひいては第1のケースと第2のケースとの間の結合力も高められるようになる。すなわち、連結後の収容ケースとしても、その剛性のさらなる向上が図られるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電池パックにおいて、前記第1及び第2のケースは、長側面及び短側面を有する箱状のケースであり、前記支持部材は、前記第1及び第2のケースのいずれか一方の各短側面に固定されて前記収容ケースを前記車体又は車台に片持ち支持する一対のブラケットであるとともに、前記一対のブラケットには、前記第1及び第2のケースのうちの当該ブラケットが固定される各側面に対応する部位に延出されているフランジの連結面裏面に面接触されるフランジが設けられており、該ブラケットのフランジが、前記第1及び第2のケースの連結時、それらケースのフランジと共締めされることを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、第1及び第2のケースのいずれか一方の各短側面に設けられたフランジに、ブラケットのフランジが共締めされるため、収容ケースの剛性がさらに向上するようになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電池パックにおいて、前記第1のケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときに鉛直方向下方となるロアケースであって、前記二次電池群はこのロアケースに載置固定されており、前記一対のブラケットは、前記ロアケースの各短側面に固定されることを要旨とする。
【0016】
このような構成によれば、二次電池が載置される第1のケースである片持ち支持されるロアケースにブラケットが結合されるため、第2のケースが連結されていない状態でも、二次電池の載置されたロアケースを車体又は車台に取り付けたり、車体又は車台に取り付けられた状態の収容ケースから第2のケースだけを取り外したりすることができるなど、電池パックの取り付けに係る作業性が向上する。
【0017】
また、二次電池が載置されるため重い側であるロアケースを支持することで収容ケースの車体又は車台への取り付け状態も安定するようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電池パックにおいて、前記ロアケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときの鉛直方向に対する深さが、車体又は車台に対向する側よりも車体又は車台から離間する側で浅くなっており、前記ロアケースのフランジは、同ロアケースの車体又は車台から離間する側に傾斜する上辺の外周に沿って延出されていることを要旨とする。
【0018】
このような構成によれば、ロアケースの上辺が傾斜するためフランジの長さが長くなるとともに、それに連結される第2のケースのフランジの長さも長くなる。これによりロアケース(第1のケース)及び第2のケースの各フランジの連結面の面積が増えることによって両フランジ間の結合力が大きくなり、収容ケースの剛性をより高くすることができる。
【0019】
また、第1のケースは、車両の外側となる離間する側の側面の高さが低くなるので、電池パックに対してメンテナンス等の作業を行う際、電池パックを車両に取り付けたままであれ、第2のケースを取り外すことで、二次電池等に対する作業が容易に行えるようになる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電池パックにおいて、前記ブラケットは、前記ロアケースの前記車体又は車台から離間する側に傾斜するフランジに面接触されるフランジを有するとともに、前記ロアケースの短側面の形状に対応して、車体又は車台から離間する方向に高さが連続的に低くなる先細り形状に形成されていることを要旨とする。
【0021】
このような構成によれば、車体又は車台から離間する方向に深さが浅くなるロアケースの短側面の形状にブラケットの形状を対応させることにより、ブラケットをできるだけ高い剛性を確保することのできる形状とすることができるようになる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池パックにおいて、前記収容ケースの一側面には、該収容ケース内で前記二次電池群の出力電力を遮断する遮断器に装着されるサービスプラグが貫通される貫通孔が設けられていることを要旨とする。
【0023】
従来の二次電池には、通常使用時には取り付けられているが、作業時には安全性を確保するため取り外すことでその出力電力を遮断するサービスプラグが設けられている。
このような構成によれば、この電池パックにも収容ケース外から操作可能なサービスプラグを設けることができるようになる。例えば、作業前にサービスプラグを外す操作をすることで二次電池の出力電力を遮断するようにすることなどにより、作業の安全性を向上を図ることができるようになる。これにより、電池パックとしての作業性や、安全性などの向上が図られるようになる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電池パックにおいて、前記装着されたサービスプラグを覆った状態で前記貫通孔を封鎖するプラグカバーを有し、前記プラグカバーは、前記サービスプラグが前記遮断器に正しく装着されていない状態では、同サービスプラグによる干渉によって前記収容ケースへの装着が不能となる形状に形成されていることを要旨とする。
【0025】
通常、電池パックにサービスプラグが正しく装着されていない場合、電池パックが正常に動作しなかったり、走行中にサービスプラグが外れて不都合を生じたりするおそれがある。
【0026】
このような構成によれば、サービスプラグが正しく装着されていない場合、プラグカバーの装着が不能となるため、プラグカバーの取り付けの際、サービスプラグが正しく装着されているか否かが確認されるようになり、電池パックに対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0027】
また、サービスプラグをプラグカバーで覆うことにより、サービスプラグを汚れや不要な操作などから保護することができるようにもなる。さらに、収容ケースを開けることなく、プラグカバーを外すことのみでサービスプラグの操作が可能になることから、収容ケースに対するメンテナンス等の作業に先立ち、二次電池が収容ケース内に隔離収納されている状態で、サービスプラグを操作することができるようにもなる。これによっても、電池パックとしての操作性や、作業性や、安全性などの向上が図られるようになる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の電池パックにおいて、前記貫通孔は、前記ロアケースである第1のケースに対してアッパケースとなる前記第2のケースに、前記サービスプラグのケース外部に突出する部分が通過できない大きさを有して形成されていることを要旨とする。
【0029】
このような構成によれば、サービスプラグが操作されていない、いわゆる取り付けてある状態、例えば電池パックから電力が出力されているような状態で、収容ケースにあって蓋に対応する第2のケースは貫通孔がサービスプラグに干渉するため収容ケースから取り外すことができないこととなる。すなわちサービスプラグが取り付けられている場合、収容ケースを開けることが防止されるようになる。これにより、サービスプラグが取り外されるなどの操作により作業等の安全性が高められた状態でのみ第2のケースを取り外すことができるため、電池パックに対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池パックにおいて、前記第1のケースに対して鉛直方向上方に位置する前記第2のケースの一側面には、前記収容ケースに収容された二次電池群を空冷するための空気を吸入する吸気口が設けられており、前記第2のケースから延出されたフランジは、少なくとも前記吸気口の下方に配置される部分が前記第1のケースから延出されたフランジの先端を覆う態様でその先端部が鉛直方向下方に曲げ加工されていることを要旨とする。
【0031】
このような構成によれば、吸気口に向かって下方から飛散してくる水しぶきや塵などが吸気口に到達することを、第1のケースのフランジよりも延出された第2のケースのフラ
ンジによりより一層防ぐことができるようになる。また、第2のケースのフランジはその先端部が下方に曲げられていることから上側の水や埃も排出されやすくもなる。これらにより、吸気口から吸入される空気に混入する水や塵を少なくすることができるようになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる電池パックによれば、たとえ片持ち支持等によって車両に搭載される場合であれ、不要な重量増加を招くことのない簡素な構造にて必要十分な剛性を確保することのできる電池パックを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の電池パックを具体化した一実施形態について、その設置態様を示す斜視図。
【図2】同電池パックの分解構造を示す斜視図。
【図3】同電池パックを構成するロアケースの構成を示す斜視図。
【図4】同電池パックを構成するアッパケースの構成を示す斜視図。
【図5】同電池パックの部分断面構造を示す断面図。
【図6】同電池パックを構成するトレイの構成を示す斜視図。
【図7】同アッパケースに設けられるプラグカバーの構成を示す斜視図。
【図8】同アッパケースを貫通するサービスプラグの態様を示す斜視図。
【図9】同プラグカバーに覆われたサービスプラグを示す図であって、(a)はアッパケースに取り付けられたプラグカバーの正面図、(b)は(a)の9b−9b線における水平断面構造を示す断面図、(c)は(a)の9c−9c線における垂直断面構造を示す断面図。
【図10】同プラグカバーとサービスプラグの解除位置と固定位置との関係を示す模式図。
【図11】従来の電池パックとその支持構造を具体化した形態について、その分解構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかる電池パックを具体化した一実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
本実施形態の電池パック100は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車としてのトラックの動力源もしくは補助動力源となる電動モータに電力を供給する電力源である電力ユニットとして用いられる。図1に示すように、電池パック100は、前記トラックの車体側面に対して左右に伸びる態様で同トラックの車台の一部である車両フレームFrに、同左右方向を長手方向とする横長の箱形状の装置として設置されている。電池パック100は、その外装として第1のケースとしてのロアケース110と第2のケースとしてのアッパケース120とから構成される収容ケース101を備えている。すなわち収容ケース101は、直方体状、いわゆる開口を有さない横長の箱形状に形成されており、その一側面として、車両フレームFrに対向する側面であるフレーム側側面を備える。
【0035】
図2に示すように、ロアケース110とアッパケース120とから構成される収容ケース101は、複数の二次電池としての電池モジュール210から構成される二次電池群としての電池スタック200を内部に収容する収容体である。収容ケース101は、ロアケース110(図2の下側)の上側にアッパケース120(図2の上側)が重ね合わせられることにより構成されている。ロアケース110は上側の面がないため上部に開口する横長の箱形に形成されている一方、アッパケース120は下側の面がないため下部に開口する横長の箱形に形成されている。このことから、ロアケース110の上側の開口にアッパケース120の下側の開口が組み合わせられることにより、収容ケース101としては、
開口を有さない横長の箱形状に構成される。本実施形態では、ロアケース110及びアッパケース120はそれぞれモノコック構造をなしており、ロアケース110及びアッパケース120の外板が応力に対する剛性体としての機能を有している。このようにロアケース110及びアッパケース120が結合されて構成される収容ケース101は、車両フレームFrから走行中の振動を受けた場合であれ、その内部に収容した電池スタック200を保持できる程度の剛性を有する構造体、モノコック構造の構造体となる。
【0036】
図3に示すように、ロアケース110は、金属材料を加工することにより、高い剛性を有するとともに上部に開口を有する横長の箱形状に形成される。なお金属材料としては、板厚が1.2mmの金属板が用いられるが、剛性を確保することができるのであれば、板厚が1.2mm以外の金属材料が用いられてもよい。また、ロアケース110は、一体形成されてなるのが好ましい。これにより、外部からの異物(雨水や埃)混入を防止することができ、また曲げ形成よりもコスト面で有利となる。ロアケース110は、収容ケース101のフレーム側側面に対応する側面であり長側面としての後側面110cと、その後側面110cの下端から車両フレームFrに対して車台の外方向(車台から離間する方向)へ水平に延出される底面110aと、底面110aの先端から上方向に延出される長側面としての前側面110bとを備える。なお、鉛直方向における前側面110bの上下方向に対する高さは、後側面110cの上下方向に対する高さよりも低くされている。
【0037】
またロアケース110は、その長手方向両端に、それぞれ短側面としての第1側面110d又は第2側面110eを備える。すなわち第1側面110d及び第2側面110eはそれぞれ、後側面110cの長手方向端部と、底面110aの同長手方向端部と、前側面110bの同長手方向端部とにより囲まれる部分に設けられる。このことから第1側面110d及び第2側面110eはそれぞれ、後側面110cと、底面110aと、前側面110bとに接続される。なお本実施形態では、第1側面110dは、ロアケース110の長手方向にあって、図2及び3において左側に設けられている一方、第2側面110eは、ロアケース110の長手方向にあって、図2及び3において右側に設けられている。ところで、鉛直方向における上下方向に対する前側面110bの高さが、後側面110cの高さよりも低いことから、第1側面110d及び第2側面110eは、それらの平面形状が、鉛直方向おける上下方向に対して後側面110cに接続される側が高く、前側面110bに接続される側が低い形状に形成されている。換言すると、第1側面110d及び第2側面110eは、車両フレームFrから水平に離間する方向である、車両の外方向に水平に突出する方向に先細りする形状に形成されている。これにより、ロアケース110は、上方かつ車両フレームFrに対して反対方向に開口を向けた箱形状に形成される。
【0038】
底面110aと後側面110cとの接続部は、底面110aと後側面110cの剛性がそれぞれ高められるように、例えば底面110aと後側面110cとを連続平面とする断面弧状に形成されている。また、底面110aと前側面110bとの接続部は図示しないが、これも底面110aと前側面110bの剛性がそれぞれ高められるように、例えば底面110aと前側面110bとを連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、底面110aと第1側面110dの接続部、及び、底面110aと第2側面110eの接続部は、これらも、底面110a、第1側面110d、及び第2側面110eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。また、第1側面110d及び第2側面110eと前側面110bとのそれぞれの接続部についても、前側面110b、第1側面110d及び第2側面110eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、第1側面110d及び第2側面110eと後側面110cとのそれぞれの接続部についても、後側面110c、第1側面110d及び第2側面110eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。これにより、ロアケース110は、高い剛性を有するようになり、
応力外皮構造、すなわちモノコック構造となるように形成される。なお、各接続部の有する弧の半径は、それぞれ各別に定めることができるため、それぞれ異なっていてもよいし、2つ以上が同じであってもよい。
【0039】
また、ロアケース110内部は、電池スタック200の状態を制御・管理するための管理機器300が収容される収容空間を形成する機器エリア100aと、電池スタック200が収容される収容空間を形成する電池エリア100bとが設けられている。さらに、電池エリア100b側にあって後側面110cの上側には、電池スタック200の冷却に用いられた空気を電池パック100の外部に排出する排気口113が3つ形成されている。
【0040】
ロアケース110の上部に形成される開口の全周には、ロアケース110の各側面に対して外側に延出される環状のフランジ部115が開口から外周に沿って延出されている。フランジ部115には、同ロアケース110にアッパケース120をボルトとナットを用いて取付けるための取付け穴114が複数形成されている。フランジ部115は、前側面110bの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された前フランジ115bと、後側面110cの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された後フランジ115cとを備えている。またフランジ部115は、第1側面110dの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された左フランジ115dと、第2側面110eの先端からロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成された右フランジ115eとを備えている。これにより、前フランジ115bは前側面110bの剛性を、後フランジ115cは後側面110cの剛性を、左フランジ115dは第1側面110dの剛性を、右フランジ115eは第2側面110eの剛性をそれぞれ向上させるようになることから、ロアケース110としては、より高い剛性を有するモノコック構造となる。
【0041】
なお、各フランジ115b〜115eは、各側面110b〜110eの先端がロアケース110の外側方向に折り曲げられるように延出形成されたことから、各フランジ115b〜115eの間には隙間が形成される。このため、各フランジ115b〜115eの間に形成された隙間には、隣接する2つのフランジを接続する接続部材117が、各フランジ115b〜115eにおいてアッパケース120に対向しない面である下面に溶接などにより固定配置されている。またこのことにより、接続部材117の上面は、各フランジ115b〜115eと間にフランジの板厚に相当する段差を有することとなるため、接続部材117の上側には、各フランジ115b〜115eと間に生じる隙間を封止するための弾性部材118がそれぞれ配置される。
【0042】
フランジ部115には、3つのピン116が上方に突出されている。このピン116は、斜めに形成されたロアケース110のフランジ部115に載置されたアッパケース120が滑り落ちることを防止する。すなわち、アッパケース120において、各ピン116に対応する位置に各ピン116を挿通させることのできるピン孔を設けることで、アッパケース120をロアケース110上に置いたときに各ピン116がアッパケース120を係止するようになっている。
【0043】
ロアケース110は、第1側面110d及び第2側面110eに、それぞれ外側に突出するねじ119が複数設けられているとともに、ロアケース110には、当該ねじ119に締結される態様でそれぞれ支持部材としてのキャリアブラケット111,112が結合される。これらのキャリアブラケット111,112は対をなし、一対でロアケース110、すなわち収容ケース101を車両フレームFrに垂直に片持ち支持可能に取り付けるものである。一対のキャリアブラケット111,112は、金属材料から収容ケース101を車両フレームFrに支持可能な剛性を有する形状に形成されている。ここで、片持ち支持とは、支持部材(キャリアブラケット111,112)の一側面のみが車両フレーム
Frと連結されて支持する態様をいう。なお、金属材料としては、板厚2.0mmの金属板が用いられるが、剛性を確保することができるのであれば、板厚が2.0mm以外の金属材料が用いられてもよい。
【0044】
キャリアブラケット111には、第1側面110dに面接触される接合面111aが設けられている。接合面111aは、第1側面110dに面接触することができるように、第1側面110dと同様の接合面111aを有している。すなわち接合面111aは、車両フレームFrから水平に離間する側である、車両の外方向に水平に突出する方向に先細りする形状に形成されている。また、キャリアブラケット111には、左フランジ115dの裏面(下面)に面接触するように接合面111aの上端から第1側面110dから離間する方向である左方向に折り曲げられるように延出形成された上フランジ111bが設けられている。さらに、キャリアブラケット111には、接合面111aの下端からこれも第1側面110dから離間する方向である左方向に折り曲げられるように延出形成された下フランジ111cとが設けられている。また、キャリアブラケット111には、同キャリアブラケット111を車両フレームFrに締結させるために、接合面111aの車両フレームFr側の先端から第1側面110dから離間する方向である左方向に折り曲げられるように形成されたフレーム連結部111dが設けられている。フレーム連結部111dは、車両フレームFrに当接するために、後フランジ115cよりも車両フレームFr側にまで延出される接合面111aの先端部に設けられている。そしてこのフレーム連結部111dは、接合面111aの車両フレームFr側の端部と、上フランジ111bの車両フレームFr側の端部と、下フランジ111cの車両フレームFr側の端部とにそれぞれ接合される状態で接合面111aに対してフランジ状に配置される。すなわち、キャリアブラケット111は、接合面111aを取り囲むように設けられている上フランジ111bと、下フランジ111cと、フレーム連結部111dとにより、収容ケース101を車両フレームFrに支持可能な剛性を有するものとなっている。そして、キャリアブラケット111は、そのフレーム連結部111dが車両フレームFrにボルト等で結合されることにより、キャリアブラケット111に結合される収容ケース101を車両フレームFrに支持させる。
【0045】
また、キャリアブラケット112には、キャリアブラケット111の接合面111aと同様に、第2側面110eに面接触する接合面112aが設けられている。また、キャリアブラケット112には、右フランジ115eの裏面(下面)に面接触するように接合面112aの上端から第2側面110eから離間する方向である右方向に折り曲げられるように延出形成された上フランジ112bが設けられている。なお、キャリアブラケット112の構造は、キャリアブラケット111を鏡像した構造であることから、キャリアブラケット112の構造についてはその詳細な説明を割愛する。
【0046】
図4に示すように、アッパケース120は、金属材料としての金属板をプレス加工することなどにより、高い剛性を有するとともに下部に開口を有する横長の箱形状に形成される。なお金属材料としては、板厚が1.6mmの金属板が用いられるが、剛性を確保することができるのであれば、板厚が1.6mm以外の金属材料が用いられてもよい。また、アッパケース120も、ロアケース110と同様に、一体形成されてなるのが好ましい。これにより、外部からの異物混入を防止することができ、また曲げ形成よりもコスト面で有利となる。アッパケース120は、収容ケース101のフレーム側側面に対応する面であり長側面としての後側面120cと、その後側面120cの上側から車両フレームFrに対して車台の外方向(車台から離間する方向)へ水平に延出される天面120aと、天面120aの先端から下方向に延出される長側面としての前側面120bとを備える。なお、アッパケース120は、ロアケース110に組み合わされたとき、ロアケース110に搭載された電池スタック200に天面120aが接触しないようにするため、前側面120bの鉛直方向における上下方向に対する高さが、後側面120cの高さよりも高くさ
れている。すなわちアッパケース120をロアケース110に組み合わせたとき、高さの高いアッパケース120の前側面120bが高さの低いロアケース110の前側面110bに組み合わされるとともに、高さの低いアッパケース120の後側面120cが高さの高いロアケース110の後側面110cに組み合わされるようになる。これにより、アッパケース120の天面120aと、ロアケース110の底面110aとが所定の間隔を有し相対向するようになることから、天面120aと底面110aとの間に、電池スタック200が配置される空間が確保されるようになっている。
【0047】
またアッパケース120は、その長手方向両端に、それぞれ短側面としての第1側面120d又は第2側面120eが設けられる。すなわち第1側面120d及び第2側面120eはそれぞれ、後側面120cの長手方向端部と、天面120aの同長手方向端部と、前側面120bの同長手方向端部とにより囲まれる部分に設けられる。このことから第1側面120d及び第2側面120eはそれぞれ、後側面120cと、天面120aと、前側面120bとに接続される。なお本実施形態では、第1側面120dは、アッパケース120の長手方向にあって図2及び4において左側に設けられている一方、第2側面120eは、アッパケース120の長手方向にあって図2及び4において右側に設けられている。ところで、鉛直方向における上下方向に対する前側面120bの高さが、後側面120cの高さよりも高いことから、第1側面120d及び第2側面120eは、それらの平面形状が、鉛直方向に対して後側面120cに接続される側が上下方向に低く、前側面120bに接続される側が上下方向に高い形状に形成されている。換言すると、第1側面120d及び第2側面120eは、車両フレームFrに対して離間する方向である、車両外側に水平に突出する方向に先太りする形状に形成されている。これにより、アッパケース120は、下方かつ車両フレームFrの方向に開口を向けた箱形状に形成される。
【0048】
天面120aと後側面120cとの接続部は、天面120aと後側面120cの剛性がそれぞれ高められるように、例えば天面120aと後側面120cとを連続平面とする断面弧状に形成されている。また、天面120aと前側面120bとの接続部は、これも天面120aと前側面120bの剛性がそれぞれ高められるように、例えば天面120aと前側面120bとを連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、天面120aと第1側面120dの接続部、及び、天面120aと第2側面120eの接続部は、これらも、天面120a、第1側面120d、及び第2側面120eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。また、第1側面120d及び第2側面120eと前側面120bとのそれぞれの接続部についても、前側面120b、第1側面120d及び第2側面120eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。さらに、第1側面120d及び第2側面120eと後側面120cとのそれぞれの接続部についても、後側面120c、第1側面120d及び第2側面120eの剛性がそれぞれ高められるように、例えば隣接するそれぞれの面を連続平面とする断面弧状に形成されている。これにより、アッパケース120は、高い剛性を有するようになり、応力外皮構造、すなわちモノコック構造となるように形成される。なお、各接続部の有する弧の半径は、それぞれ各別に定めることができるため、それぞれ異なっていても、2つ以上が同じであってもよい。
【0049】
また、アッパケース120の前側面120bには、電池スタック200の冷却に用いられる空気を電池パック100の外部から取り込むための2つの吸気口121,122が設けられているとともに、サービスプラグ128を貫通させる貫通孔125Aが設けられている。
【0050】
アッパケース120の下部に設けられる開口の全周には、ロアケース110のフランジ部115に対向する環状のフランジ部124が開口から外周に沿って延出されており、同
フランジ部124にはロアケース110の各取付け穴114に対応するそれぞれの位置にそれぞれ、ボルトを通すことのできる取付け穴123が形成されている。フランジ部124は、前側面120bの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された前フランジ124bと、後側面120cの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された後フランジ124cとを備えている。またフランジ部124は、第1側面120dの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された左フランジ124dと、第2側面120eの先端からアッパケース120の外側方向に折り曲げられるように延出形成された右フランジ124eとを備えている。これにより、前フランジ124bは前側面120bの剛性を、後フランジ124cは後側面120cの剛性を、左フランジ124dは第1側面120dの剛性を、右フランジ124eは第2側面120eの剛性をそれぞれ向上させるようになることから、アッパケース120としては、より高い剛性を有するモノコック構造となる。
【0051】
なお、アッパケース120がプレス成形されることから、各フランジ124b〜124eもプレス成形により各面120b〜120eの先端から外側に延出形成されている。すなわち、各フランジ124b〜124eは、隣接する各フランジ124b〜124eと相互に連続される。またアッパケース120のフランジ部124は、重ね合わせられるロアケース110のフランジ部115よりも外周方向に延出されているとともに、さらにその先端が下方に曲げ加工されて同フランジ部115を覆うように湾曲している。例えば、電池パック100の断面図として図5に示すように、前フランジ124bは、ロアケース110の前フランジ115bよりも外側に延出されており、その延出された先端部124pが前フランジ115bを覆うように下方に湾曲されている。これにより、アッパケース120のフランジ部124が、ロアケース110のフランジ部115に重ね合わされたとき、収容ケース101の下方から飛散する水分や埃などがアッパケース120側に到達することが抑制されるようになる。
【0052】
図5に示すように、ロアケース110とアッパケース120とをそれぞれの開口を向き合わせて、それらの間に図示しないガスケット等を介して重ね合わせることにより、ロアケース110のフランジ部115とアッパケース120のフランジ部124とがガスケット等を介して重なり合うようになる。また、重なり合ったロアケース110のフランジ部115の取付け穴114と、アッパケース120のフランジ部124の取付け穴123とが一致するように配置形成されているため、それらケースが重ね合わされることでフランジ部115とフランジ部124とを共に貫通する締結用取付け穴123Aが形成される。このことから、この締結用取付け穴123Aに挿通させたボルト123Bをナット123Nで締結することができる。このようにロアケース110とアッパケース120とが締結により連結されることで開口を有さない箱形状で、いわゆる殻体状の筐体となるモノコック構造を有する収容ケース101が構成される。さらに、ロアケース110の左フランジ115dにあっては、表面(上側)にはアッパケース120の左フランジ124dが、裏面(下側)にはキャリアブラケット111の上フランジ111bがそれぞれ重ね合わされる。これにより、これら3つのフランジ、すなわち左フランジ115dと、左フランジ124dと、上フランジ111bとがボルトとナットにより共締めされることとなる。また、ロアケース110の右フランジ115eにあっては、表側(上側)にはアッパケース120の右フランジ124eが、裏面(下側)にはキャリアブラケット112の上フランジ112bが重ね合わされる。これにより、これら3つのフランジ、すなわち右フランジ115eと、右フランジ124eと、上フランジ112bとがボルトとナットにより共締めされることとなる。
【0053】
車両フレームFrに支持された各キャリアブラケット111,112には、車両からの外力が伝わりやすい。その一方、各キャリアブラケット111,112はアッパケース120とロアケース110にそれぞれ連結されているため、各キャリアブラケット111,
112に加わった外力がそれぞれ、電池パック1の特定部分に限られず、電池パック1の全体に分散し、電池パック全体としての強度を維持することができる。
【0054】
図2に示すように、電池スタック200は、上述した電池モジュール210を複数備えている。各電池モジュール210はそれぞれ密閉型二次電池であることから、発電要素が角形の箱体により構成されるモジュール容器に収容されている。各電池モジュール210は、所定の間隙を介して配列配置されることで1つの電池スタック200を構成する。詳述すると、電池スタック200の両端にはそれぞれエンドプレート221又は222が配置されている。エンドプレート221及び222は2つで対をなしている。このことから、エンドプレート221及び222には、電池モジュール210の配列方向に延びる上側(アッパケース120側)、及び下側(ロアケース110側)のそれぞれに1対ずつ設けられた拘束ロッド223に固定される1対のブラケット224がそれぞれ上側及び下側に突き出すかたちでそれぞれ設けられている。こうした各エンドプレート221及び222により、それらエンドプレート221及び222の間に配列配置された各電池モジュール210が保持されることで電池スタック200が構成される。そして、このように構成される電池スタック200は、電池パック100の組み付け時においては上記電池エリア100bに収容される。
【0055】
また、電池パック100は、先の図2に示すように、ロアケース110及びアッパケース120に収容される構造体として、電池スタック200を固定するフレーム130と、電池スタック200の下部に配置されるトレイ140と、電池スタック200を空冷する空気を吸気するダクト150とをそれぞれ備えている。
【0056】
このうちフレーム130は、電池スタック200をロアケース110に固定するための部材としてロアケース110に収容される。フレーム130は、長手方向左側に、管理機器300が設置される機器設置部が、長手方向右側に、電池スタック200が設置される電池スタック設置部が設けられている。こうしたフレーム130は、ロアケース110の前側面110b側である前側に配される第1フレーム材131と、ロアケース110の後側面110c側である後側に配される第2フレーム材132とが連結部材133により連結されて構成されている。第1フレーム材131は、長手方向に対する断面が台形状に形成されている一方、第2フレーム材132は、長手方向に対する断面が後側を上方に折れ曲げる形状に形成されている。また、フレーム130の右部分である電池スタック設置部には、トレイ140を収容するためのトレイ収容部134が上記2つのフレーム材131及び132と連結部材133とにより形成されている。すなわち、トレイ収容部134は、トレイ140を2つのフレーム材131、132の間に挟むとともに、トレイ140左側の一部を連結部材133の上部に載置させるように形成されている。電池スタック設置部において各フレーム材131、132の上面には、電池スタック200を固定するための複数のボルト135が長手方向には配列配置されている。フレーム130のフレーム材131は、車両フレームFrから離間する方向である前側にサービスプラグ128の差し込まれる遮断器や、ダクト150などを支持する支持部136が設けられている。
【0057】
こうしたフレーム130のトレイ収容部134に収容されるトレイ140は、図6に示すように、同トレイ140の長手方向においてフレーム130の機器設置部側である一端としての左端に上記ダクト150からの空気が供給される供給ダクト141を有している。また、トレイ140は、供給ダクト141を介して供給された空気を上記電池スタック200の下側に供給する供給チャンバ142を、供給ダクト141に対して機器設置部から離間する側である長手方向右側に有している。すなわち、このように構成されるトレイ140は、電池パック100が組み立てられた状態においては、供給ダクト141が形成される部位が上記機器エリア100a側に収容されるとともに供給チャンバ142が上記電池エリア100bに収容される。
【0058】
供給ダクト141は、そこに空気の供給される機器設置部側の入り口から、空気を供給する出口である供給チャンバ142に向けて広がる形に形成された筒形状の案内通路を構成している。供給ダクト141には、その入り口にまとめて供給される冷却用の空気を供給チャンバ142の長手方向に対して直交する短手方向である幅方向に広げるための複数の仕切143が筒内において長手方向に延出形成されている。すなわち供給ダクト141には、入り口から出口に向かって長手方向に延びる3つの仕切143が設けられるとともに、3つの仕切143が供給ダクト141に4つの分割通路144を形成している。このように各分割通路144は、トレイ140において幅方向に対して前方向から後方向にかけて4つの形成されている。各分割通路144の大きさは、入り口から出口である供給チャンバ142までの距離等に応じて異なる空気抵抗などを考慮して、各分割通路144から供給チャンバ142に供給される空気量がそれぞれ同様の空気量になるように調整されている。すなわち各仕切143は、各分割通路144の大きさを適切にするように供給ダクト141内に配置される。
【0059】
供給チャンバ142には、各分割通路144から供給された冷却用空気を案内するためのフィン145が長手方向に適宜設けられるとともに、供給チャンバ142の底面の長手方向左側には、図示しない逆止弁の取り付けられる水抜き穴146が設けられている。また、水抜き穴146を幅方向前後において挟むように長手方向に延びる複数のフィン145には、隣接するフィン145との間に所定の隙間147が設けられている。隙間147は、水がフィン145を横切って水抜き穴146に流れることができるようにするためのものであり、これにより冷却用の空気に混じって吸入されてトレイ140に落ちた水が隙間147を通るなどして水抜き穴146へ流れ込むことができる。なお本実施形態では、トレイ140は収容ケース101に組み込まれたとき、鉛直方向に対して機器設置部側である長手方向左側の高さが、長手方向右側の高さよりも相対的に低くなるため、トレイ140に落ちた水が水抜き穴146へ流れ込むようになる。
【0060】
ダクト150は、図2に示すように、車両フレームFrの長手方向に沿って延びる横長の筒形状をしている。ダクト150は、支持部136等を介してフレーム130に対して車両フレームFrから離間する方向である前側に固定されることで、フレーム130に固定される電池スタック200とアッパケース120の前側面120bとの間に配置されるようになっている。ダクト150は、アッパケース120の前側面120bに対向する側面に、アッパケース120の吸気口121及び122に対応する2つのダクト吸気口151及び152を有している。またダクト150は、その長手方向の右側に設けられる空気案内部150bが電池エリア100bに配置される一方、その長手方向の左側のファン取付部150aが機器エリア100aに配置される。ファン取付部150aには、電池スタック200を冷却するための空気を電池エリア100b内に強制流通させるための冷却ファンFaが取り付けられている。冷却ファンFaの内部には、電池パック100が組み立てられたとき、ファン取付部150aと上記トレイ140の供給ダクト141の入り口とを繋ぐ空気流路が形成されている。冷却ファンFaは、その空気流路の途中に設けられた回転翼が回転することでファン取付部150aからトレイ140の供給ダクト141へと空気を強制的に送り出す。また、空気案内部150bには、冷却ファンFaが駆動することによりダクト吸気口151及び152を介して取り込まれた外気をファン取付部150aまで案内するUターン状の空気流路が形成されている。空気流路は、ダクト吸気口151及び152を介して取り込まれた外気を長手方向に対してファン取付部150aとは逆方向である右方向の一端に案内してから、ファン取付部150aの方向である左方向にUターンさせてファン取付部150aまで案内するUターン状に形成されている。本実施形態では、こうした空気流路を経由して外気が取り込まれることにより、外気が空気流路を通過する途中で外気に含まれている埃や水分が取り除かれるようになる。そして、こうしたダクト150から取り込まれた空気は、冷却ファンFaを介して上記トレイ140の供
給ダクト141へと送り出される。
【0061】
このように構成される電池パック100では、同電池パック100が組み付けられた状態において上記冷却ファンFaが駆動すると、電池パック100外部の空気がアッパケース120の吸気口121及び121、ダクト150、冷却ファンFa、トレイ140の供給ダクト141を順に介して上記供給チャンバ142に適宜取り込まれる。そして、この供給チャンバ142に取り込まれた空気は、電池モジュール210間の間隙を介して電池モジュール210の下方から上方へと案内され、その際に電池モジュール210の冷却が行われる。その後、電池モジュール210の上方に案内された空気は、上記ロアケース110の排気口113を介して電池パック100の外部へと排出される。
【0062】
次に、サービスプラグ128を中心とした構造について、図7〜図10に従って説明する。
図2や図4に示したように、アッパケース120の前側面120bにはサービスプラグ128を貫通させるための貫通孔125Aが設けられている。ところで、この貫通孔125Aは通常、図7に示すように、前側面120bに複数のねじ126にて留められるプラグカバー125により覆われている。プラグカバー125は、プラグカバー125の周囲に配される当接部125aと、プラグカバー125の中央部に配されるドーム状のプラグ収容部125bとを有している。当接部125aは、アッパケース120の前側面120bに図示しないパッキン等を介して当接するように形成されており、前側面120bに複数のねじ126にてねじ留めされることによって前側面120bに密着して、アッパケース120内に貫通孔125Aを通じて水や埃が侵入することを防ぐことができるようになっている。プラグ収容部125bは、アッパケース120の前側面120bに対して突出する方向に膨らむドーム状に形成されている。
【0063】
図8に示すように、プラグカバー125の後ろには、ねじ126が螺合される雌ねじの形成されたねじ孔127と、フレーム130の支持部136に固定された遮断器137に差し込み固定されたサービスプラグ128が貫通孔125Aを貫通配置されている。すなわち、サービスプラグ128は、前側面120bに対して突出される部分がプラグカバー125のプラグ収容部125bに収納される。サービスプラグ128は、遮断器137に差し込まれることにより遮断器137の回路を閉じて電池スタック200からの電力の出力を可能とする一方、遮断器137から抜き取られることにより遮断器137の回路を開いて電池スタック200からの出力電力を遮断する。サービスプラグ128には、遮断器137に挿抜可能なプラグ基部128bと、サービスプラグ128の遮断器137への挿抜操作及び固定/解除操作を行うためのプラグ操作部128aが設けられている。サービスプラグ128が遮断器137に差し込まれているとき、プラグ基部128bは、アッパケース120の内側に配置される一方、プラグ操作部128aは、アッパケース120の外側に配置される。すなわちプラグ操作部128aが、プラグカバー125のプラグ収容部125bに収容される。
【0064】
すなわち、図9(a)に示すように、アッパケース120の前側面120bにプラグカバー125がねじ126で留められている場合、図9(b)及び(c)に示すように、プラグカバー125のプラグ収容部125bの内側にサービスプラグ128が収容される。このとき上述のように、サービスプラグ128のプラグ操作部128aは、アッパケース120の前側面120bの外側に配置され、プラグ基部128bは、アッパケース120の前側面120bの内側に配置される。なお、本実施形態では、貫通孔125Aの長手方向の長さL1よりも、サービスプラグ128のプラグ操作部128aの長手方向の長さL2が長く形成されている一方、プラグ基部128bの長手方向の長さは短く形成されている。また、鉛直方向に置いて上下方向(短手方向)には、貫通孔125Aの高さ(長さ)よりも、プラグ操作部128a及びプラグ基部128bの高さが低く(長さが短く)なっ
ているが、プラグ操作部128aの長さは長くてもよい。これにより、プラグ基部128bは貫通孔125Aを挿通して遮断器137に挿抜可能になる一方、プラグ操作部128aは、貫通孔125Aを挿通できないようになっている。そのため、サービスプラグ128が遮断器137に挿入支持されている状態では、貫通孔125Aが設けられた前側面120bは、遮断器137とサービスプラグ128のプラグ操作部128aの間に挟まれている。このことからアッパケース120は、遮断器137側にもプラグ操作部128a側にも抜けないようになっている。これにより、遮断器137からサービスプラグ128が抜き取られている状態でなければ、アッパケース120をロアケース110から取り外すことができないこととなっている。
【0065】
また図10に示すように、サービスプラグ128はプラグ操作部128aが、遮断器137に正しく装着される前の解除位置と、遮断器137に固定される固定位置との間で、遮断器137に対して水平移動(前側面120bに沿って水平方向)するようになっている。なお、解除位置は、図10において実線にて示される位置であり、固定位置は、図10において二点鎖線にて示される位置である。固定位置は、電池パック100を通常使用するためにサービスプラグ128を配置させる位置であり、遮断器137にサービスプラグ128が正しく装着されている状態としての位置である。解除位置は、電池パック100にメンテナンス等を行う等のために遮断器137からサービスプラグ128を抜き取ったり、電池パック100へのメンテナンス等の後にサービスプラグ128を遮断器137に配置させる操作途中の一時的な位置である。そのため、解除位置では、サービスプラグ128が遮断器137に挿入されているものの、電池パック100を通常使用するための位置とは異なり、この状態での電池パック100の使用は不都合を招くおそれがある。
【0066】
そこで、本実施形態では、サービスプラグ128が解除位置にある場合、プラグ操作部128aがプラグカバー125の当接部125aに干渉するようにプラグ操作部128aが形成及び配置される。すなわち、サービスプラグ128が遮断器に正しく装着されていない状態である解除位置にある場合、サービスプラグ128による干渉によってプラグカバー125が収容ケース101への装着が不能となる。このため、サービスプラグ128が遮断器に正しく装着されていない状態でプラグカバー125がアッパケース120に留められてしまうようなおそれが防止される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の電池パックによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)電池スタック200を収容した殻体状(箱状)の収容ケース101が車両フレームFrにキャリアブラケット111,112により直接支持されるため、電池スタック200を支持する構造としては、従来のように、電池スタック200を載置するための棚及び当該棚を覆うためのカバーなどが不要となる。またこのような収容ケース101は、ロアケース110及びアッパケース120とが連結(締結)されることにより電池スタック200を支持することのできる剛性を有する構造体、いわゆるモノコック構造を有する構造体ともなる。周知のように、モノコック構造は、筐体を構成する外板に応力耐性を持たせることから、構造体の骨格等が省略できるようになり、剛性を確保するにあたり、その他の構造よりも軽量化、簡素化されるようになる。すなわち、この収容ケース101によれば、従来のように電池スタック200を棚により支持する場合に比べて、棚の剛性を確保する骨格や、棚を覆うカバーなどが不要となるため、電池スタック200を支持する電池パック100としてその構造を軽量化、簡素化することができるようになる。
【0068】
(2)ロアケース110やアッパケース120にはそれぞれフランジ部115,124が設けられるため、それらフランジ部115,124によりロアケース110やアッパケース120の剛性が向上されるようになる。また、ロアケース110とアッパケース120とがフランジ部115,124を介して連結されることで、ロアケース110とアッパ
ケース120との間の連結面積が広くなり、ひいてはロアケース110とアッパケース120との間の結合力も高められるようになる。すなわち、連結後の収容ケース101としても、その剛性のさらなる向上が図られるようになる。
【0069】
(3)ロアケース110の第1側面110dに設けられた左フランジ115dに、キャリアブラケット111の上フランジ111bが共締めするとともに、ロアケース110の第2側面110eに設けられた右フランジ115eに、キャリアブラケット112の上フランジ112bが共締めするようにした。これにより、収容ケース101の剛性がさらに向上するようになる。
【0070】
(4)電池スタック200が載置される片持ち支持されるロアケース110にキャリアブラケット111,112が結合される。このため、アッパケース120が連結されていない状態でも、電池スタック200の載置されたロアケース110を車両フレームFrに取り付けたり、車両フレームFrに取り付けられた状態の収容ケース101からアッパケース120だけを取り外したりすることができる。これにより、電池パック100の取り付けに係る作業性が向上する。
【0071】
また、電池スタック200が載置されるため重い側であるロアケース110を支持することで収容ケース101の車両フレームFrへの取り付け状態も安定するようになる。
(5)ロアケース110の上辺が傾斜するためフランジ部115の長さ(周長)が長くなるとともに、それに接合されるアッパケース120のフランジ部124の長さ(周長)も長くなる。これによりロアケース110及びアッパケース120の各フランジ部115,124の連結面の面積が増えることによって両フランジ部115,124間の結合力が大きくなり、収容ケース101の剛性をより高くすることができる。
【0072】
また、ロアケース110は、車両フレームFrから離間する側、すなわち車両の外側に離間する側の側面の高さが低くなるので、電池パック100に対してメンテナンス等の作業を行う際、電池パック100を車両に取り付けたままであれ、アッパケース120を取り外すことで、電池スタック200等に対する作業が容易に行えるようになる。
【0073】
(6)車両フレームFrから離間する方向に深さが浅くなるロアケース110の第1及び第2側面110d,110eの形状に各キャリアブラケット111,112の各接合面111a,112a形状を対応させることにより、キャリアブラケット111,112をできるだけ高い剛性を確保することのできる形状とすることができるようになる。
【0074】
(7)従来の二次電池(電池パック)には、通常使用時には取り付けられているが、作業時には安全性を確保するため取り外すことでその出力電力を遮断するサービスプラグが設けられている。
【0075】
そこで、この電池パック100にも収容ケース101外から操作可能なサービスプラグ128を設けるようにした。これにより例えば、作業前にサービスプラグ128を外す操作をすることで電池スタック200の出力電力を遮断するようにすることなどにより、作業の安全性の向上を図ることができるようになる。また、サービスプラグ128をプラグカバー125で覆うことにより、サービスプラグ128を汚れや不要な操作などから保護することができるようにもなる。さらに、収容ケース101を開けることなく、プラグカバー125を外すことのみでサービスプラグ128の操作が可能になることから、収容ケース101に対するメンテナンス等の作業に先立ち、電池スタック200が収容ケース101内に隔離収納されている状態で、サービスプラグ128を操作することができるようにもなる。これにより、電池パック100としての操作性や、作業性や、安全性などの向上が図られるようになる。
【0076】
(8)電池パック100にサービスプラグ128が正しく装着されていない場合、電池パック100が正常に動作しなかったり、走行中にサービスプラグ128が外れて不都合を生じたりするおそれがある。
【0077】
そこでサービスプラグ128が正しく装着されていない場合、プラグカバー125の装着が不能となるようにしたことから、プラグカバー125の取り付けの際、サービスプラグ128が正しく装着されているか否かが確認されるようになり、電池パック100に対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0078】
(9)サービスプラグ128が操作されていない、いわゆる取り付けてある状態、例えば電池パック100から電力が出力されているような状態で、収容ケース101にあって蓋に対応するアッパケース120は貫通孔125Aがサービスプラグ128に干渉するため収容ケース101から取り外すことができないようにした。すなわちサービスプラグ128が取り付けられている場合、収容ケース101を開けることが防止されるようになる。これにより、サービスプラグ128が取り外されるなどの操作により作業等の安全性が高められた状態でのみアッパケース120を取り外すことができるため、電池パック100に対する作業の確実性や安全性がより向上するようになる。
【0079】
(10)ダクト吸気口151,152に向かって下方から飛散してくる水しぶきや塵などがダクト吸気口151,152に到達することを、ロアケース110のフランジ部115よりも延出されたアッパケース120のフランジ部124によりより一層防ぐことができるようにした。また、アッパケース120のフランジ部124はその先端部124pが下方に曲げられていることから上側の水や埃も排出されやすくもなる。これらにより、ダクト吸気口151,152から吸入される空気に混入する水や塵を少なくすることができるようになる。
【0080】
(11)トレイ140を設けることにより、冷却用の空気がロアケース110の特に底面110aに接することなく電池スタック200に供給するようにしたので、冷却用の空気の温度がロアケース110の温度により変化することが抑制されるようになる。特に車外に配置された電池パック100は、ロアケース110の温度が、路面や車体などからの放射熱などにより上昇することもあるため、トレイ140を介在させることにより冷却用の空気がロアケース110により加熱されることを抑制して、電池スタック200に対する冷却性能を高く維持させることができるようになる。
【0081】
また、トレイ140は、応力を受け持つ外板であるロアケース110に比べて形成の自由度が高いことから、トレイ140に溜まる水分を排出する形状や、冷却用の空気を流す流路の形成なども容易になる。
【0082】
(12)トレイ140に供給される空気が仕切143にしたがってトレイ140の供給チャンバ142を分配するようにしたため、電池スタック200に冷却用の空気を適切に分配することができる。空冷用の空気を適切に分配することで、電池スタック200をできるだけ均等に冷却するようにすることにより、電池パック100としての信頼性や性能などを高く維持することができるようになる。
【0083】
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、キャリアブラケット111,112の各接合面111a,112aの形状が対応するロアケース110の第1側面110d又は第2側面110eの形状と同様である場合について例示した。しかしこれに限らず、キャリアブラケットの形状は、収容ケースをフランジを介して支持できるのであれば、その形状を自由な形状にすること
ができる。
【0084】
・上記実施形態では、ロアケース110の後側面110cの高さが前側面110bの高さよりも高い場合について例示した。しかしこれに限らず、ロアケースの後側面の高さが前側面の高さと同じであったり、ロアケースの後側面の高さが前側面の高さよりも高くてもよい。また、ロアケースの形状に応じてアッパケースの後側面や前側面の高さを変更してもよい。これにより、ロアケースとアッパケースとを組み合わせて構成される収納ケースの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0085】
・上記実施形態では、電池パック100が車両外の車両フレームFrに搭載される場合について例示した。しかしこれに限らず、電池パックは車両フレーム以外のものである車体などに搭載されてもよいし、車外に限らず車室内に配置されてもよい。これによっても、電池パックの利用可能性が向上されるようになる。
【0086】
・上記実施形態では、電池パック100が片持ち支持される場合について例示した。しかしこれに限らず、電池パックは、ロアケース110あるいはアッパケース120、あるいはそれら両ケースを介しての吊り下げ支持されてもよいし、平面支持等されてもよい。いずれにせよ、モノコック構造の収容ケースであれば、いかなる態様で車体や車台に搭載される場合であれ、高い剛性を維持した状態での搭載が可能となる。これらにより、電池パックの利用可能性が向上されるようになる。
【0087】
・上記実施形態では、電池パック100は、トラックの電動モータに電力を供給する場合について例示したが、これに限らず、電池パックは、電動モータ以外の電気機器や電子機器であって車両に搭載されている機器に電力を供給するものでもよい。これにより、電池パックの利用可能性が向上するようになる。
【0088】
・上記実施形態では、収容ケース101は、直方体状の、横長の箱形状であったが、これに限らず、収容ケースは、内部に電池スタックや、空冷装置及び管理機器が収容可能であれば、その形状が側面楕円形状でも、円柱形状でも多角柱形状でもよい。これにより、電池パックの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0089】
・上記実施形態では、ロアケース110とアッパケース120との連結や、それらに対するキャリアブラケット111,112の連結がボルトなどのねじによる締結によりなされる場合について例示した。しかしこれに限らず、ロアケースとアッパケースとの連結や、それらに対するキャリアブラケットの連結は、ねじによる締結に限定されるわけではなく、それぞれの部材を連結できるのであれば、連結方法は特に限定されない。
【符号の説明】
【0090】
100…電池パック、101…収容ケース、110…ロアケース、110a…底面、110b…前側面、110c…後側面、110d…第1側面、110e…第2側面、111…キャリアブラケット、111a…接合面、111b…上フランジ、111c…下フランジ、111d…フレーム連結部、112…キャリアブラケット、112a…接合面、112b…上フランジ、113…排気口、114…取付け穴、115…フランジ部、115b…前フランジ、115c…後フランジ、115d…左フランジ、115e…右フランジ、116…ピン、117…接続部材、118…弾性部材、119…ねじ、120…アッパケース、120a…天面、120b…前側面、120c…後側面、120d…第1側面、120e…第2側面、121,122…吸気口、123…取付け穴、123A…締結用取付け穴、123B…ボルト、123N…ナット、124…フランジ部、124b…前フランジ、124c…後フランジ、124d…左フランジ、124e…右フランジ、124p…先端部、125…プラグカバー、125a…当接部、125A…貫通孔、125b…プラ
グ収容部、126…ねじ、127…ねじ孔、128…サービスプラグ、128a…プラグ操作部、128b…プラグ基部、130…フレーム、131…第1フレーム材、132…第2フレーム材、133…連結部材、134…トレイ収容部、135…ボルト、136…支持部、137…遮断器、140…トレイ、141…供給ダクト、142…供給チャンバ、143…仕切、144…分割通路、145…フィン、146…水抜き穴、147…隙間、150…ダクト、150a…ファン取付部、150b…空気案内部、151…ダクト吸気口、152…ダクト吸気口、200…電池スタック、210…電池モジュール、221…エンドプレート、223…拘束ロッド、224…ブラケット、300…管理機器、Fa…冷却ファン、Fr…車両フレーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電動モータに電力を供給する二次電池群が収容ケースに収容、固定された状態で車両に搭載される電池パックであって、
前記収容ケースは、相互に開口が向かい合わされて連結されると共に箱状からなる第1のケース及び第2のケースと、それら第1及び第2のケースの少なくとも一方に固定されて当該収容ケースを前記車両の車体又は車台に直接支持させるようにする支持部材とを備える
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記第1及び第2のケースには、前記連結に際して互いに面対向されるように相互の開口から外周に沿って延出された環状のフランジが設けられており、それらフランジ同士の連結によって前記第1及び第2のケースが連結される
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1及び第2のケースは、長側面及び短側面を有する箱状のケースであり、
前記支持部材は、前記第1及び第2のケースのいずれか一方の各短側面に固定されて前記収容ケースを前記車体又は車台に片持ち支持する一対のブラケットであるとともに、
前記一対のブラケットには、前記第1及び第2のケースのうちの当該ブラケットが固定される各側面に対応する部位に延出されているフランジの連結面裏面に面接触されるフランジが設けられており、該ブラケットのフランジが、前記第1及び第2のケースの連結時、それらケースのフランジと共締めされる
請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1のケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときに鉛直方向下方となるロアケースであって、前記二次電池群はこのロアケースに載置固定されており、前記一対のブラケットは、前記ロアケースの各短側面に固定される
請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記ロアケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときの鉛直方向に対する深さが、車体又は車台に対向する側よりも車体又は車台から離間する側で浅くなっており、
前記ロアケースのフランジは、同ロアケースの車体又は車台から離間する側に傾斜する上辺の外周に沿って延出されている
請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記ロアケースの前記車体又は車台から離間する側に傾斜するフランジに面接触されるフランジを有するとともに、前記ロアケースの短側面の形状に対応して、車体又は車台から離間する方向に高さが連続的に低くなる先細り形状に形成されている
請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記収容ケースの一側面には、該収容ケース内で前記二次電池群の出力電力を遮断する遮断器に装着されるサービスプラグが貫通される貫通孔が設けられている
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記装着されたサービスプラグを覆った状態で前記貫通孔を封鎖するプラグカバーを有し、
前記プラグカバーは、前記サービスプラグが前記遮断器に正しく装着されていない状態では、同サービスプラグによる干渉によって前記収容ケースへの装着が不能となる形状に
形成されている
請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記ロアケースである第1のケースに対してアッパケースとなる前記第2のケースに、前記サービスプラグのケース外部に突出する部分が通過できない大きさを有して形成されている
請求項7又は8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記第1のケースに対して鉛直方向上方に位置する前記第2のケースの一側面には、前記収容ケースに収容された二次電池群を空冷するための空気を吸入する吸気口が設けられており、
前記第2のケースから延出されたフランジは、少なくとも前記吸気口の下方に配置される部分が前記第1のケースから延出されたフランジの先端を覆う態様でその先端部が鉛直方向下方に曲げ加工されている
請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項1】
車両に搭載された電動モータに電力を供給する二次電池群が収容ケースに収容、固定された状態で車両に搭載される電池パックであって、
前記収容ケースは、相互に開口が向かい合わされて連結されると共に箱状からなる第1のケース及び第2のケースと、それら第1及び第2のケースの少なくとも一方に固定されて当該収容ケースを前記車両の車体又は車台に直接支持させるようにする支持部材とを備える
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記第1及び第2のケースには、前記連結に際して互いに面対向されるように相互の開口から外周に沿って延出された環状のフランジが設けられており、それらフランジ同士の連結によって前記第1及び第2のケースが連結される
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1及び第2のケースは、長側面及び短側面を有する箱状のケースであり、
前記支持部材は、前記第1及び第2のケースのいずれか一方の各短側面に固定されて前記収容ケースを前記車体又は車台に片持ち支持する一対のブラケットであるとともに、
前記一対のブラケットには、前記第1及び第2のケースのうちの当該ブラケットが固定される各側面に対応する部位に延出されているフランジの連結面裏面に面接触されるフランジが設けられており、該ブラケットのフランジが、前記第1及び第2のケースの連結時、それらケースのフランジと共締めされる
請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1のケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときに鉛直方向下方となるロアケースであって、前記二次電池群はこのロアケースに載置固定されており、前記一対のブラケットは、前記ロアケースの各短側面に固定される
請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記ロアケースは、前記収容ケースが前記車体又は車台に片持ち支持されたときの鉛直方向に対する深さが、車体又は車台に対向する側よりも車体又は車台から離間する側で浅くなっており、
前記ロアケースのフランジは、同ロアケースの車体又は車台から離間する側に傾斜する上辺の外周に沿って延出されている
請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記ロアケースの前記車体又は車台から離間する側に傾斜するフランジに面接触されるフランジを有するとともに、前記ロアケースの短側面の形状に対応して、車体又は車台から離間する方向に高さが連続的に低くなる先細り形状に形成されている
請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記収容ケースの一側面には、該収容ケース内で前記二次電池群の出力電力を遮断する遮断器に装着されるサービスプラグが貫通される貫通孔が設けられている
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記装着されたサービスプラグを覆った状態で前記貫通孔を封鎖するプラグカバーを有し、
前記プラグカバーは、前記サービスプラグが前記遮断器に正しく装着されていない状態では、同サービスプラグによる干渉によって前記収容ケースへの装着が不能となる形状に
形成されている
請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記ロアケースである第1のケースに対してアッパケースとなる前記第2のケースに、前記サービスプラグのケース外部に突出する部分が通過できない大きさを有して形成されている
請求項7又は8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記第1のケースに対して鉛直方向上方に位置する前記第2のケースの一側面には、前記収容ケースに収容された二次電池群を空冷するための空気を吸入する吸気口が設けられており、
前記第2のケースから延出されたフランジは、少なくとも前記吸気口の下方に配置される部分が前記第1のケースから延出されたフランジの先端を覆う態様でその先端部が鉛直方向下方に曲げ加工されている
請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−84340(P2012−84340A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228817(P2010−228817)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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