説明

電池モジュール及び配線モジュール

【課題】配線モジュールを小型化する。
【解決手段】正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する複数の単電池11からなる単電池群13と、隣り合う電極端子12A,12B間を接続する接続部材15と、単電池群13に組み付けられる配線モジュール20とを備え、配線モジュール20は、単電池11の状態を検知するために設けられ複数の電線Wの端末部に接続された複数の電圧検知端子21と、各検知端子を保持する複数の保持部29と、隣り合う複数の保持部29間に設けられ保持部29間の間隔を調整する間隔調整手段40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール及び配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並んで配列されており、隣り合う単電池の電極端子間がバスバー(接続部材)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続される。
【0003】
下記特許文献1では、合成樹脂製の複数の単位ユニットに電極端子間を接続する接続部材及びこの接続部材に重ねられる電圧検知端子が収容されており、隣り合う単位ユニットを連結することで電池接続アセンブリ(配線モジュール)が形成されている。この電池接続アセンブリ(配線モジュール)の電圧検知端子に接続された電線は、溝部を通って電池ECUに延びており、電池ECUにて単電池の電圧が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−175928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1では、電圧検知端子を接続部材における電極端子間を連ねる領域に重ねているが、電圧検知端子を電極端子間を連ねる領域とは異なる位置に配置したい場合が考えられる。例えば、単電池において接続部材で接続される電極端子とは異なる位置に設けられた電圧検知用の電極に接続するための電圧検知端子である場合や、電圧検知端子に連なる電線の配策径路を簡素化するために電圧検知端子の位置を変える場合等などが考えられる。
【0006】
このように接続部材における電極端子間を連ねる領域外に配された電圧検知端子が配線モジュール内に備えられる場合には、接続部材のスペースに加えて、配線モジュール内に電圧検知端子のみを収容するためのスペースを設ける必要があり、配線モジュールの小型化の障害となるという問題がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、配線モジュールを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池からなる単電池群と、隣り合う前記電極端子間を接続する接続部材と、前記単電池群に組み付けられる配線モジュールとを備え、前記配線モジュールは、単電池の状態を検知するために設けられ複数の電線の端末部に接続された複数の検知端子と、前記各検知端子を保持する複数の保持部と、隣り合う前記複数の保持部間に設けられ前記保持部間の間隔を調整する間隔調整手段と、を備える構成としたところに特徴を有する。
【0009】
本構成によれば、接続部材が配線モジュールとは別に構成されるため、配線モジュールを小型化することが可能になる。
また、隣り合う単電池間の寸法公差に対しては、隣り合う保持部間に間隔調整手段を設けたため、隣り合う単電池間の寸法公差による不具合を防止することが可能になる。
【0010】
上記構成の実施態様として以下の構成を有すれば好ましい。
・前記接続部材は、隣り合う前記電極端子間を接続する電極間接続部と、前記検知端子に重ねられて前記検知端子と接続される検知接続部とを備える。
このようにすれば、接続部材を配線モジュールとは別に構成したとしても、簡素な構成で、検知端子により電極端子間の状態を検知することが可能になる。
【0011】
・前記間隔調整手段は、前記保持部の並び方向に対して傾斜した方向に延出されることにより、前記保持部の並び方向に弾性変形可能に構成された撓み部である。
このようにすれば、簡素な構成で単電池間の寸法公差を吸収することが可能になる。
【0012】
・前記撓み部は、前記配線モジュールの前記単電池群への組み付け方向に厚肉の形状である。
このようにすれば配線モジュールにおける組み付け方向の剛性を高めることが可能になる。
【0013】
・前記単電池群は、前記電極端子が2列に並んで設けられており、前記配線モジュールは、前記複数の保持部及び前記間隔調整手段を有する樹脂プロテクタを備え、前記樹脂プロテクタは、前記電極端子の各列にそれぞれ組み付けられる第1プロテクタと第2プロテクタとを備え、前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタは、共に、前記検知端子に接続された電線が配される溝部が設けられており、前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタの前記溝部は、互いに交互に連なって一列の電線収容溝を構成している。
このようにすれば、1列の電線収容溝に電線を配策することができるため、電線を配策する構成を簡素化することができる。
【0014】
本発明に係る配線モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池からなる単電池群の隣り合う電極端子間が接続部材により接続された前記単電池群に組み付け可能な配線モジュールであって、単電池の状態を検知するために設けられ複数の電線の端末部に接続された複数の検知端子と、前記各検知端子を保持する複数の保持部と、隣り合う前記複数の保持部間に設けられ前記保持部間の間隔を調整する間隔調整手段と、を備えるところに特徴を有する。
【0015】
本構成によれば、接続部材が配線モジュールとは別に構成されるため、配線モジュールを小型化することが可能になる。
また、隣り合う単電池間の寸法公差に対しては、隣り合う保持部間に間隔調整手段を設けたため、隣り合う単電池間の寸法公差による不具合を防止することが可能になる。
【0016】
上記構成の実施態様として以下の構成を有すれば好ましい。
・前記接続部材は、隣り合う前記電極端子間を接続する電極間接続部と、前記検知端子に重ねられて前記検知端子と接続される検知接続部とを備える。
このようにすれば、接続部材を配線モジュールとは別に構成したとしても、簡素な構成で、検知端子により電極端子間の状態を検知することが可能になる。
【0017】
・前記間隔調整手段は、前記保持部の並び方向に対して傾斜した方向に延出されることにより、前記保持部の並び方向に弾性変形可能に構成された撓み部である。
このようにすれば、簡素な構成で単電池間の寸法公差を吸収することが可能になる。
【0018】
・前記撓み部は、前記配線モジュールの前記単電池群への組み付け方向に厚肉の形状である。
このようにすれば配線モジュールにおける組み付け方向の剛性を高めることが可能になる。
【0019】
・前記単電池群は、前記電極端子が2列に並んで設けられており、前記配線モジュールは、前記複数の保持部及び前記間隔調整手段を有する樹脂プロテクタを備え、前記樹脂プロテクタは、前記電極端子の各列にそれぞれ組み付けられる第1プロテクタと第2プロテクタとを備え、前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタは、共に、前記検知端子に接続された電線が配される溝部が設けられており、前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタの前記溝部は、互いに交互に連なって一列の電線収容溝を構成している。
このようにすれば、1列の電線収容溝に電線を配策することができるため、電線を配策する構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配線モジュールを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る電池モジュールを示す斜視図
【図2】電池モジュールを示す平面図
【図3】電池モジュールを示す正面図
【図4】接続部材を示す平面図
【図5】配線モジュールを示す平面図
【図6】電圧検知端子を示す斜視図
【図7】樹脂プロテクタを示す平面図
【図8】樹脂プロテクタを示す背面図
【図9】樹脂プロテクタを示す側面図
【図10】樹脂プロテクタを示す底面図
【図11】単電池群に接続部材を組み付けた状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
本発明の一実施形態を、図1ないし図12を参照しつつ説明する。
本実施形態の電池モジュール10は、図1に示すように、複数の単電池11を並べて構成された単電池群13に配線モジュール20を取付けて構成されるものであり、この電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。以下では、上下方向については、図3を基準とし、前後方向については、図2の下方を前方、上方を後方として説明する。
【0023】
(電池モジュール)
電池モジュール10は、図2に示すように、横並びに配列された複数個の単電池11からなる単電池群13と、隣り合う電極端子12A,12B間を接続する接続部材15と、単電池群13の上面に組み付けられる配線モジュール20とを備えて構成されている。
【0024】
各単電池11は、内部に図示しない発電要素が収容された直方体状の本体部の上面から垂直に突出する一対の電極端子12A,12Bを有する。
電極端子12A,12B(正極を12A,負極を12Bとして図示)は、ボルトであって、本体部の前部及び後部に設けられており、外周にネジ溝を有する。
【0025】
各単電池11の極性(正負)の向きは、互いに隣り合う単電池11が逆向きになるように配置されており、これにより、互いに異極の電極端子12A,12Bが隣り合うように構成されている。これら複数の単電池11は図示しない保持板によって固定されている。
このように構成された単電池群13は電極端子12A,12Bが前後2列に並んでおり、接続部材15を組み付けることにより、複数の単電池11が直列に接続される。
【0026】
(接続部材)
接続部材15は、銅、銅合金、アルミニウム等の金属板材からなり、図4に示すように、T字状であって、左右方向に延びて隣り合う電極端子12A,12B間を接続する電極間接続部16と、前後方向に延びて電圧検知端子21と接続される検知接続部18とを有する。
【0027】
電極間接続部16には、左右一対の通し孔17,17が貫通形成されている。通し孔17,17は、やや左右方向に長い長円形状をなす。
検知接続部18は、左右方向(電極間接続部16の延出方向)の中間部から前後方向(延出方向と直交する方向)に延びており、その幅寸法が電極間接続部16の幅寸法よりも細径である。
検知接続部18の先端部には、円形状の端子固定孔19が形成されている。端子固定孔19は、接続部材15と電圧検知端子21との間を固定部材(図示しない)により固定するためのものである。
【0028】
なお、固定部材による固定は、例えば、端子固定孔19の部分に、バーリング加工を施してその内面にネジ溝を形成したり、ナットのネジ孔が端子固定孔19に連なるようにナットを検知接続部18の裏面に溶接等で固定することにより端子固定孔19の内面に連なるネジ溝を形成し、ボルト等の固定部材で締結するようにすればよい。
【0029】
(配線モジュール)
配線モジュール20は、図5に示すように、電線Wの端末部に接続されて単電池11の電圧を検知する複数の電圧検知端子21(本発明の構成である「検知端子」の一例)と、複数の電圧検知端子21が収容される合成樹脂製の樹脂プロテクタ28と、を備えて構成されている。
【0030】
(電圧検知端子)
電圧検知端子21は、図6に示すように、単電池11の電圧を検知するために設けられており、板状部22と、電線Wの端末に接続される電線接続部25とを備える。
板状部22は、矩形状であって、中心部に円形状の接続部材固定孔23が形成されている。この接続部材固定孔23は、接続部材15の検知接続部18に設けられた端子固定孔19に連なるようになっており、接続部材固定孔23及び端子固定孔19に固定部材(図示しない)を通して電圧検知端子21と接続部材15との間の電気的接続及び相対的位置の固定を行う。
板状部22の先端側の一方の角部には、矩形状の係止片24が前方に突出して設けられている。
【0031】
電線接続部25は、電線Wの導体部が接続されるワイヤバレル部26と、電線W被覆(絶縁層)の上から保持するインシュレーションバレル部27とを備える。
電線Wは、被覆電線であって、端末部において絶縁被覆(絶縁層)を剥ぎ取り露出させた導体が電圧検知端子21に接続されている。
電線Wは、後述する電線収容溝43に集められて電池ECU(図示しない)に導かれる。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0032】
(樹脂プロテクタ)
樹脂プロテクタ28は、合成樹脂製であって、図7に示すように、前方側に配される第1プロテクタ28Aと、後方側に配されて第1プロテクタ28Aとは別体で形成された第2プロテクタ28Bとを有し、共に、各電圧検知端子21を保持する複数の保持部29と、各電圧検知端子21に接続された電線Wが通される溝部34と、左右に隣り合う保持部29間を接続するとともに隣り合う保持部29間の間隔を調整可能な間隔調整手段40と、を備える。
【0033】
保持部29は、電圧検知端子21が載置される矩形状の底板30と、底板30の周縁部から立ち上がる仕切り壁32と、を備えている。
底板30には、矩形状の開口部31が底板30を貫通して設けられており、この開口部31を電圧検知端子21と接続部材15とを接続する固定部材が貫通するようになっている。
【0034】
仕切り壁32は、工具等が電圧検知端子21に接触して短絡することを防止するために、工具等の接触が防止される高さで設けられるものであり、電圧検知端子21を包囲するように立設されている。
仕切り壁32は、板状部22の前後から挟み込むことにより板状部22を保持部29に保持している。板状部22と左右の仕切り壁32との間には、底板30の上に板状部22が配されない部分が形成されている。なお、仕切り壁32の内面に、例えば仕切り壁32を切欠いて内方側に爪状に突出する撓み片を設け、この撓み片の爪の下に板状部22の周縁部を配することで、電圧検知端子21の保持部29からの離脱を規制するようにしてもよい。
【0035】
仕切り壁32のうち溝部34とは反対側には、電圧検知端子の係止片24が挿通される係止片挿通孔(図示しない)が設けられている。
係止片挿通孔は、左右方向に延びるスリット状であって、係止片の先端部が係止片挿通孔からわずかに突き出る。なお、底板30には、図10に示すように係止片挿通孔を形成するための金型の抜き孔33Aが係止片挿通孔に連なるように設けられている。
仕切り壁32における係止片挿通孔の外方側の面には、図7に示すように、係止片挿通孔を覆う補助壁33Bが設けられている。
【0036】
溝部34は、保持部29のうち、接続部材15とは反対側の端部に通し溝35を介して接続されている。
通し溝35は、その溝内に電圧検知端子21の電線接続部25が収容可能に形成されている。
【0037】
溝部34は、通し溝35の溝底に連なる溝底と、この溝底の前後の端縁から立ち上がる溝壁とを有し、溝壁における通し溝35に連なる部分は、溝壁が分断されて電圧検知端子21の端末に連なる電線Wを通し溝35から溝部34内に導くことができるようになっている。
【0038】
第1プロテクタ28A及び第2プロテクタ28Bにおける各保持部29に対応して設けられた溝部34は、溝部34の延出方向に間隔を空けて設けられており、第1プロテクタ28Aと第2プロテクタ28Bについて互いに間隔を空けた部分に他方側の溝部34が嵌まり込むことにより、第1プロテクタ28Aと第2プロテクタ28Bの各溝部34が左右に一列状に連なって電線収容溝43を構成している。
【0039】
間隔調整手段40は、隣り合う保持部29間を連結するとともに、単電池群13への組み付けの際の寸法公差に対して隣り合う保持部29間の間隔を調整することで組み付けの際の寸法公差を吸収するものであり、仕切り壁32の角部から左右方向(保持部29の並び方向)に対して傾斜した方向に延びる一対の撓み部41と、左右方向に延びて左右に隣り合う撓み部41間を連結する一対の連結部42とを備える。
一対の撓み部41は、互いに近づく方向(撓み部間の間隔を狭くする方向)に所定の角度(本実施形態では、左右方向に対して概ね55度の角度)で傾斜している。
【0040】
一対の撓み部41は、上下方向(配線モジュールの単電池群への組み付け方向)の寸法が、仕切り壁32の高さ寸法にほぼ等しい厚肉の寸法である。また、厚み寸法(図7に表されている撓み部の厚み)は、仕切り壁32の厚み寸法にほぼ等しい薄肉の寸法とされている。
なお、撓み部41の左右方向に対する傾斜角度、上下方向の寸法、及び、厚み寸法は、上記した値に限らず、単電池群13への組み付けの際の寸法公差を吸収できる程度の値に適宜設定することができる。
連結部42は、撓み部41と同一の高さ及び厚み寸法で撓み部41に連なるように形成されている。
【0041】
次に、配線モジュール20の組み付けについて説明する。
第1プロテクタ28A及び第2プロテクタ28Bを互いの溝部34が電線収容溝43として連なるように配置して樹脂プロテクタ28を形成する(図7)。また、複数の電線Wの端末に接続された複数の電圧検知端子21を各保持部29に保持させ、電線Wを通し溝35から電線収容溝43に通す。
これにより、配線モジュール20が形成される(図5)。
【0042】
次に複数の接続部材15の各通し孔17,17を単電池群13の隣り合う電極端子12A,12Bに挿通して接続部材15を単電池群13に組み付ける(図11)。
接続部材15の端子固定孔19及び電圧検知端子21の接続部材固定孔23が連通するように単電池群13の上に、配線モジュール20を装着する(図2)。このとき電極端子12A,12B間の寸法公差に伴って電圧検知端子21の接続部材固定孔23の位置が接続部材15の端子固定孔19の位置に対してずれている場合には、配線モジュール20の間隔調整手段40の一対の撓み部41を撓ませる(弾性変形させる)ことにより電極端子12A,12B間の寸法公差を吸収させて接続部材固定孔23と端子固定孔19の位置を合わせる(連通させる)。
【0043】
そして、接続部材固定孔23及び端子固定孔19に固定部材を通して接続部材15と電圧検知端子21との間をネジ留めして固定する。なお、これとは異なり、接続部材15と電圧検知端子21との間を固定部材により固定した後に、単電池群13に組み付けるようにすることも可能である。
次に、電極端子12A,12Bをナットで締結して各接続部材15を単電池群13に固定する。これにより、単電池群13に配線モジュール20が組み付けられた電池モジュール10が形成される。このとき、接続部材15が単電池群13に固定されることで、接続部材15に固定された電圧検知端子21の位置が(単電池群13に対して)固定されるとともに、電圧検知端子21を保持する樹脂プロテクタ28についても電圧検知端子21が固定されることで(単電池群13に対する)相対的位置が固定される。
【0044】
上記実施形態の構成によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)電池モジュール10は、正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する複数の単電池11からなる単電池群13と、隣り合う電極端子12A,12B間を接続する接続部材15と、単電池群13に組み付けられる配線モジュール20とを備え、配線モジュール20は、単電池11の状態を検知するために設けられ複数の電線Wの端末部に接続された複数の電圧検知端子21(検知端子)と、各電圧検知端子21を保持する複数の保持部29と、隣り合う複数の保持部29間に設けられ保持部29間の間隔を調整する間隔調整手段40と、を備える。
【0045】
本実施形態によれば、接続部材15が配線モジュール20とは別に構成されるため、配線モジュール20を小型化することが可能になる。
また、隣り合う単電池11間の寸法公差に対しては、隣り合う保持部29間に間隔調整手段40を設けたため、隣り合う単電池11間の寸法公差による不具合を防止することが可能になる。
【0046】
(2)接続部材15は、隣り合う電極端子12A,12B間を接続する電極間接続部16と、電圧検知端子21(検知端子)に重ねられて電圧検知端子21と接続される検知接続部18とを備える。
このようにすれば、接続部材15を配線モジュール20とは別に構成したとしても、簡素な構成で、電圧検知端子21により電極端子12A,12B間の電圧(状態)を検知することが可能になる。
【0047】
(3)間隔調整手段40は、電圧検知端子21(検知端子)の並び方向に対して傾斜した方向に延出されることにより、電圧検知端子21の並び方向に弾性変形可能に構成された撓み部41である。
このようにすれば、簡素な構成で単電池11間の寸法公差を吸収することが可能になる。
【0048】
(4)撓み部41は、配線モジュール20の単電池群13への組み付け方向に厚肉の形状である。
このようにすれば配線モジュール20における組み付け方向の剛性を高めることが可能になる。
【0049】
(5)単電池群13は、電極端子12A,12Bが2列に並んで設けられており、配線モジュール20は、複数の保持部29及び間隔調整手段40を有する樹脂プロテクタ28を備え、樹脂プロテクタ28は、電極端子12A,12Bの各列にそれぞれ組み付けられる第1プロテクタ28Aと第2プロテクタ28Bとを備え、第1プロテクタ28A及び第2プロテクタ28Bは、共に、電圧検知端子21(検知端子)に接続された電線が配される溝部34が設けられており、第1プロテクタ及び第2プロテクタの溝部34は、互いに交互に連なって一列の電線収容溝43を構成している。
このようにすれば、1列の電線収容溝43に電線Wを配策することができるため、電線Wを配策する構成を簡素化することができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、樹脂プロテクタ28は、プレート状であったが、これに限らず、樹脂プロテクタを複数の別体の(同一形状の)連結ユニットを左右に連結して構成したものに本発明の構成を適用してもよい。この場合、例えば、検知端子が保持される各連結ユニットに被係合部と、隣り合う連結ユニットの被係合部に係合する係合部を設け、係合部と被係合部とで連結ユニット間を接続するとともに連結ユニット間の間隔を調整する間隔調整手段を構成するようにすることができる。
【0051】
(2)上記実施形態では、間隔調整手段40として、一対の撓み部41を設けたが、間隔調整手段としては、これに限られない。例えば、左右方向に弾性変形可能な弾性部材を用いて隣り合う保持部29間の間隔を調整する構成としてもよい。また、例えば、一対の撓み部41のうちの一方の撓み部のみによって、間隔調整手段を構成するようにしてもよい。
(3)電池モジュール10を構成する単電池11の数については、上記実施形態の個数に限られない。また、保持部29や間隔調整手段40の数についても単電池11の数に応じて適宜変更することができる。
【0052】
(4)上記実施形態では、電極端子12A,12Bに接続部材15を挿通してナットで締結する構成であったが、これに限らず、単電池11がナット型の電極端子を備える構成とし、ボルトをナット型の電極端子に締結するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、保持部29には単電池11の電圧を検知する電圧検知端子21が保持される構成としたが、電圧を検知する電圧検知端子21に限らず、単電池11の状態(例えば電流や温度等)を検知する検知端子が保持部29に保持されるようにしてもよい。
【0053】
(6)接続部材15については、配線モジュール20(樹脂プロテクタ28)とは別体で仕切り壁を有する収容部材に収容して接続部材15を外部と絶縁するようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、接続部材15は、異極の電極端子12A,12Bを接続(直列接続)するものとしたが、これに限られず、同極の電極端子12A(12B)を接続(並列接続)するものでもよい。例えば、上記実施形態の電池モジュール10に更に別の単電池11を並列接続し、この並列接続における同極の電極端子12A(12B)を複数の接続部材15で接続するようにしてもよい。
【0054】
(8)上記実施形態では、電圧検知端子21は、接続部材15に接続される構成としたが、これに限られない。例えば、単電池に接続部材に接続される電極端子とは別に電圧検知用の電極を設け、配線モジュールの電圧検知端子21を、接続部材15に接続せずに、単電池の電圧検知用の電極に接続して、単電池の電圧(状態)を検知するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…電池モジュール
11…単電池
12A,12B…電極端子
13…単電池群
15…接続部材
16…電極間接続部
18…検知接続部
19…端子固定孔
20…配線モジュール
21…電圧検知端子(検知端子)
22…板状部
23…接続部材固定孔
28…樹脂プロテクタ
28A…第1プロテクタ
28B…第2プロテクタ
29…保持部
30…底板
32…仕切り壁
34…溝部
40…間隔調整手段
41…撓み部
42…連結部
43…電線収容溝
W…電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池からなる単電池群と、
隣り合う前記電極端子間を接続する接続部材と、
前記単電池群に組み付けられる配線モジュールとを備え、
前記配線モジュールは、
単電池の状態を検知するために設けられ複数の電線の端末部に接続された複数の検知端子と、
前記各検知端子を保持する複数の保持部と、
隣り合う前記複数の保持部間に設けられ前記保持部間の間隔を調整する間隔調整手段と、を備える電池モジュール。
【請求項2】
前記接続部材は、隣り合う前記電極端子間を接続する電極間接続部と、前記検知端子に重ねられて前記検知端子と接続される検知接続部とを備える請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記間隔調整手段は、前記保持部の並び方向に対して傾斜した方向に延出されることにより、前記保持部の並び方向に弾性変形可能に構成された撓み部である請求項1又は請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記撓み部は、前記配線モジュールの前記単電池群への組み付け方向に厚肉の形状である請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記単電池群は、前記電極端子が2列に並んで設けられており、前記配線モジュールは、前記複数の保持部及び前記間隔調整手段を有する樹脂プロテクタを備え、
前記樹脂プロテクタは、前記電極端子の各列にそれぞれ組み付けられる第1プロテクタと第2プロテクタとを備え、
前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタは、共に、前記検知端子に接続された電線が配される溝部が設けられており、
前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタの前記溝部は、互いに交互に連なって一列の電線収容溝を構成している請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池からなる単電池群の隣り合う電極端子間が接続部材により接続された前記単電池群に組み付け可能な配線モジュールであって、
単電池の状態を検知するために設けられ複数の電線の端末部に接続された複数の検知端子と、
前記各検知端子を保持する複数の保持部と、
隣り合う前記複数の保持部間に設けられ前記保持部間の間隔を調整する間隔調整手段と、を備える配線モジュール。
【請求項7】
前記接続部材は、隣り合う前記電極端子間を接続する電極間接続部と、前記検知端子に重ねられて前記検知端子と接続される検知接続部とを備える請求項6に記載の配線モジュール。
【請求項8】
前記間隔調整手段は、前記保持部の並び方向に対して傾斜した方向に延出されることにより、前記保持部の並び方向に弾性変形可能に構成された撓み部である請求項6又は請求項7に記載の配線モジュール。
【請求項9】
前記撓み部は、前記配線モジュールの前記単電池群への組み付け方向に厚肉の形状である請求項8に記載の配線モジュール。
【請求項10】
前記単電池群は、前記電極端子が2列に並んで設けられており、前記配線モジュールは、前記複数の保持部及び前記間隔調整手段を有する樹脂プロテクタを備え、
前記樹脂プロテクタは、前記電極端子の各列にそれぞれ組み付けられる第1プロテクタと第2プロテクタとを備え、
前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタは、共に、前記検知端子に接続された電線が配される溝部が設けられており、
前記第1プロテクタ及び前記第2プロテクタの前記溝部は、互いに交互に連なって一列の電線収容溝を構成している請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−93163(P2013−93163A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233811(P2011−233811)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】