説明

電池接続アセンブリ

【課題】本発明は、製造コストを低減しつつ複数の接続部材の取り付け作業を簡略化できる電池接続アセンブリを提供する。
【解決手段】電池接続アセンブリ13は、導体21の外周を絶縁樹脂22で包囲してなり導体21の端部には電極端子14に接続される電池接続端子19が配されると共に絶縁樹脂22には係合部が設けられた電力線15と、係合部と係合可能な被係合部を有して電力線15に取り付けられると共に隣り合う電極端子14間を接続するための接続部材29を有する複数の接続ユニット16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が横並びに複数個配置されている。そして、隣り合う単電池の電極端子間を接続部材(バスバー)で接続することにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−067184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成では、複数箇所の電極端子間を接続部材で接続する必要があるため、電極端子間に接続部材を接続する作業を繰り返すという煩雑な作業が必要になる。
【0005】
そこで、接続する電極端子間の数に応じて、インサート成形等により金型内に配置した複数の接続部材を樹脂内に一体成形した電池接続プレートを形成することが考えられる。
【0006】
このようにすれば、複数の単電池から突出する複数の電極端子に1つの電池接続プレートを取り付けるだけで、隣り合う単電池の電極端子間を複数箇所についてまとめて接続することができ、作業効率を向上させることが可能になる。
【0007】
しかしながら、複数の接続部材を一体成形した電池接続プレートを用いる場合には、単電池の数が多くなると、電池接続プレートを成形するための金型が大型化し、そのためのコストが大きくなってしまう。また、単電池の数を変更する場合には、単電池の数に応じた長さの別の金型を新たに用意して、異なる長さの電池接続プレートを成形する必要が生じ、金型の形成等のコストが大きくなってしまう。そのため、製造コストを低減することが課題となっていた。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造コストを低減しつつ複数の接続部材の取り付け作業を簡略化できる電池接続アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べた単電池群を有する電池モジュールにおいて前記単電池群を接続するための電池接続アセンブリであって、導体の外周を絶縁樹脂で包囲してなり前記導体の端部には前記電極端子に接続される電池接続端子が配されると共に前記絶縁樹脂には係合部が設けられた電力線と、前記係合部と係合可能な被係合部を有して前記電力線に取り付けられると共に隣り合う前記電極端子間を接続するための接続部材を有する複数の接続ユニットと、を備える。
【0010】
上記の発明によれば、複数箇所の電極端子間を接続する際に、電池接続アセンブリを単電池群に取り付ければよいから、電極端子間を接続する際の取り付け作業を簡略化することができる。
【0011】
また、電池接続アセンブリは、複数の接続ユニットにより電極端子間が接続される。そのため、単電池の接続個数が変わる場合には、接続ユニットの数を変更すればよい。即ち、1つの接続ユニットを作成するための1つの金型を用意すれば複数の接続ユニットを製造することが可能になる。よって、一体化された電池接続プレートを製造する場合のように単電池の接続個数が多くなって金型等が大型化したり、単電池の接続個数に応じてその都度、電池接続プレートを形成するための金型等を別に用意したりする必要がなくなる。よって、製造コストを低減することができる。
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記導体は複数本の芯線を互いに接触した状態で並列させてなるフラット導体であって、前記電線は前記フラット導体を前記絶縁樹脂でフラット形状に覆ったフラットケーブルであることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、フラットケーブルは、送電特性が良く、また、外気に触れる面積が大きいため放熱性が良い。更に、フラット形状であることから折り曲げが容易であるため、電線の配索が容易になる。
【0014】
前記係合部は、所定個数の前記単電池毎に、前記単電池の並び方向に沿って複数並んで設けられていることが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、接続ユニットの被係合部を、電力線の係合部と係合させることにより、単電池の並び方向に沿って所定個数の単電池毎に接続ユニットを容易に配設することができる。
【0016】
前記絶縁樹脂は、前記導体を包囲する包囲領域と、前記包囲領域から外方に突出して前記導体の延びる方向に延びて形成されると共に前記係合部が形成された係合領域と、を備えることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、導体の外周に絶縁樹脂を押し出し成形する工程と同時に、係合領域も形成することができるから、製造工程を削減することができる。
【0018】
前記係合領域のうち前記包囲領域と反対側の端部寄りの位置には金属線が埋設されていることが好ましい。
【0019】
上記の態様によれば、金属線によって係合領域が補強される。
【0020】
前記係合領域のうち前記包囲領域と反対側の端部寄りの位置には補助導体が埋設されており、前記補助導体は前記電池接続端子に接続されていることが好ましい。
【0021】
上記の態様によれば、補助導体によって係合領域が補強される。また、導体に加えて補助導体にも単電池群からの電流を流すことができる。
【0022】
前記係合部は前記係合領域を貫通して形成された係合孔の孔縁部であり、前記被係合部は前記係合孔の内部に嵌入して前記孔縁部と係合する係合突部であることが好ましい。
【0023】
上記の態様によれば、係合突部を係合孔の内部に嵌入させるという簡易な構成により、係合部と被係合部とを係合させることができる。
【0024】
前記接続ユニットは、側壁を有して前記接続部材を収容可能な箱状をなしており、前記側壁の外側面には断面形状が略C字状をなして拡開変形可能な保持部が外方に突出して形成されており、前記保持部の内側面には前記係合突部が形成されていることが好ましい。
【0025】
上記の態様において接続ユニットは以下のようにして電力線に取り付けられる。まず、接続ユニットの保持部の先端部を電力線の係合領域に向けた姿勢で接続ユニットを電力線の係合領域に接近させる。すると、保持部の先端部が電力線の係合領域と当接することにより保持部が拡開変形する。更に保持部を係合領域側に押し込むと、保持部が復帰変形し、保持部の内側面に形成された係合突部が係合領域に形成された係合孔内に嵌り込む。これにより係合孔の孔縁部と係合突部とが係合し、接続ユニットが電力線に取り付けられる。
【0026】
前記電力線には前記接続部材に接続された電圧検知線が配設されていることが好ましい。
【0027】
上記の態様によれば、電圧検知線を容易に配索できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電池接続アセンブリの製造コストを低減させつつ、複数の接続部材の取り付け作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明の実施形態1に係る電池接続アセンブリが組み付けられた電池モジュールを示す平面図である。
【図2】図2は接続ユニットを示す斜視図である。
【図3】図3は電力線を示す斜視図である。
【図4】図4は電力線を示す平面図である。
【図5】図5は電池接続アセンブリを示す斜視図である。
【図6】図6は電池接続アセンブリを示す斜視図である。
【図7】図7は接続ユニットと電力線との係合状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】図8は単電池群に電池接続アセンブリを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図9】図9は単電池群に電池接続アセンブリを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図10】図10は実施形態2に係る接続ユニットと電力線との係合状態を示す要部拡大断面図である。
【図11】図11は実施形態3に係る接続ユニットと電力線との係合状態を示す要部拡大断面図である。
【図12】図12は実施形態4に係る接続ユニットと電力線との係合状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】図13は係合孔を示す要部拡大平面図である。
【図14】図14は他の実施形態に係る電力線の構造を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池モジュール10は、例えば電気自動車又はハイブリッド自動車等に搭載されて、これらの駆動源として使用される。電池モジュール10は、複数(本実施形態では18個)の単電池11を図1における左右方向に並べて配置した単電池群12と、この単電池群12を接続するための電池接続アセンブリ13と、を備える。
【0031】
(単電池11)
単電池11の内部には図示しない発電要素が収容されている。図1に示すように、単電池11の端縁からは、発電要素と電気的に接続された一対の電極端子14が、紙面を貫通する方向手前側、及び奥側に突出して形成されている(図1では手前側のみ図示)。電極端子14の極性は、紙面を貫通する方向手前側と、奥側とで逆になっている。電極端子14は概ね円柱形状をなしており、その外周面にはねじ山が形成されている。
【0032】
また、各単電池11は、隣り合う単電池11から突出する電極端子14の極性が逆向きになるように配置されている。このため、図1に示すように、電極端子14を構成する正極端子14Aと負極端子14Bとは、隣り合うように配されている。単電池群12を構成する単電池11は、図示しない固定部材によって固定されている。
【0033】
(電池接続アセンブリ13)
図1に示すように、隣り合う単電池11の電極端子14間は、単電池群12に電池接続アセンブリ13を取り付けることによって直列に接続されている。電池接続アセンブリ13は、単電池11の並び方向に延びると共に電極端子14に接続される電力線15と、この電力線15に取り付けられる複数(本実施形態では8個)の接続ユニット16と、を備える。各接続ユニット16は同形、同大に形成されている。
【0034】
なお、電池モジュール10は単電池11を直列に接続してなるものであるため、図示はしないが、電池モジュール10のうち図1における紙面を貫通する方向奥側の面にも隣り合う異極の電極端子14を接続するように電池接続アセンブリ13が取り付けられている。
【0035】
(電力線15)
図1に示すように、電力線15は単電池11の並び方向(図1における左右方向)に延びて配されている。電力線15の左端部には、図示しない相手側端子と接続される接続端子17が配されている。接続端子17の先端は板状をなすと共に端子接続孔18Aが貫通して形成されている。
【0036】
また、図4に示すように、図4における電力線15の右端部には、電極端子14と接続される電池接続端子19が配されている。電池接続端子19は、電力線15の延びる方向(図4における左右方向)に対して直角に曲げ形成されている。電池接続端子19の先端は板状をなすと共に端子接続孔18Bが貫通して形成されている。図1に示すように、この端子接続孔18Bには電極端子14が貫通されている。電池接続端子19を貫通した電極端子14にはナット20が螺合されている。これにより、電極端子14と電池接続端子19とが電気的に接続される。
【0037】
図7に示すように、電力線15は、導体21の外周を絶縁樹脂22で包囲してなる。導体21の端部には、上記した接続端子17、及び電池接続端子19がそれぞれ接続されている。本実施形態においては、導体21は、複数本(本実施形態では6本)の芯線23を図7における左右方向に並列させてなるフラット導体とされる。本実施形態においては、芯線23は、複数の金属細線(図示せず)を撚り合わせてなる撚り線とされる。金属細線としては、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、芯線23は左右方向に1列に並んで配される構成としたが、これに限られず、上下方向に複数段に並んで配する構成としてもよい。
【0038】
本実施形態に係る電力線15は、上記の導体21(フラット導体)を、絶縁樹脂22で、図7における上下方向についてフラット形状に覆ったフラットケーブルとされる。
【0039】
絶縁樹脂22のうち、図7における略右半分の領域は、芯線23が絶縁樹脂22で包囲されてなる包囲領域24とされる。包囲領域24においては、芯線23は、図7における左右方向に1列に並んで配されている。
【0040】
また、絶縁樹脂22のうち、図7における略左半分の領域は、上記した包囲領域24から芯線23の並列方向(図7における左右方向)について外方(図7における左方)に延びて形成されて、図7における上下方向に貫通する係合孔25が形成された係合領域26とされる。この係合領域26には、図4に示すように、電線の延びる方向(図4における左右方向)について所定のピッチ間隔を空けて間欠的に、複数(本実施形態では8つ)の係合孔25が並んで形成されている。係合孔25は、電力線15の延びる方向について細長い形状に形成されている。係合孔25には、後に詳細に説明するが、接続ユニット16が係合するようになっている。この係合孔25の孔縁部27が、特許請求の範囲に記載の係合部に相当する。
【0041】
係合領域26のうち、包囲領域24と反対側(図7における左側)の端部寄りの位置には、1本の金属線28が埋設されている。この金属線28は、電力線15の延びる方向(紙面を貫通する方向)に延びて配されている。
【0042】
(接続ユニット16)
図2に示すように、接続ユニット16は合成樹脂製であって、図2における上方に開口する箱状をなしている。接続ユニット16の内部には金属板材を所定形状にプレス成形してなる接続部材29が収容される。接続部材29は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等、必要に応じて任意の金属材料により形成することができる。また、接続部材29の表面にはスズメッキ、ニッケルメッキ等、必要に応じて任意の金属メッキを形成することができる。
【0043】
接続部材29は長方形状をなしている。図1に示すように、接続部材29の、図1における左右方向の長さ寸法は、単電池11を2つ並べた状態における幅寸法(図1における左右方向の長さ寸法)よりも小さく設定されている。接続部材29には、電極端子14が挿通される一対の端子接続孔18Cが、図2における左手前側から右奥側に向かう方向について並んで形成されている。
【0044】
接続部材29の端子接続孔18C内に電極端子14が挿通されて、電極端子14にナット20が螺合されることにより、隣り合う電極端子14が接続部材29により電気的に接続される。
【0045】
接続ユニット16は、上述したように箱状をなしており、底部と、この底部の側縁から立ち上がる側壁30と、を有する。底部は、上述した接続部材29を収容可能な寸法に設定されている。詳細には図示しないが、底部には、電極端子14が挿通される一対の端子挿通孔が、接続部材29の端子接続孔18Cと対応する位置に形成されている。
【0046】
接続ユニット16の側壁30のうち、図2における右手前側に位置する側壁30には、右手前側に突出する保持部31が形成されている。この保持部31は接続ユニット16の側壁30と一体に形成されている。図7に示すように、保持部31は、断面形状が略C字状をなしており、接続ユニット16側を支点として拡開変形可能に形成されている。保持部31の先端の内側面にはそれぞれ、内方(図7における上下方向)に突出する一対の係合突部32が形成されている。この係合突部32は、上述した電力線15の係合孔25の内部に嵌入して、係合孔25の孔縁部27と係合するようになっている。これにより、接続ユニット16は、電力線15に組み付けられるようになっている。上記の係合突部32が、特許請求の範囲に記載の被係合部に相当する。
【0047】
本実施形態においては、図7に示すように、係合突部32の断面形状は半円形状をなしているが、これに限られず、四角形状、三角形状、長円形状等、必要に応じて任意の形状を採用しうる。
【0048】
(電圧検知線35)
図1に示すように、接続部材29によって接続された電極端子14の一方には、電圧検知端子33が接続されている。この電圧検知端子33は金属板状の先端部を貫通する端子接続孔18Cが形成されており、この端子接続孔18C内に電極端子14が挿通された状態で、上述したナット20によって、電極端子14及び接続部材29に対して共締めされる。これにより、電圧検知端子33と電極端子14とが電気的に接続される。
【0049】
電圧検知端子33には圧着部34が設けられている。この圧着部34には電圧検知線35が圧着されている。なお、電圧検知端子33と電圧検知線35との接続には、圧着の他に、半田付け、溶接等、必要に応じて任意の手法を用いることができる。
【0050】
図2に示すように、接続ユニット16の側壁30のうち、図2における右手前側に位置する側壁30には、電圧検知端子33の圧着部34が導出される導出溝36が形成されている。図1に示すように、電圧検知端子33の圧着部34は、導出溝36内に挿通されて、接続ユニット16の外部に導出される。この圧着部34に圧着された電圧検知線35は、電力線15の表面(図1において紙面を貫通する方向手前側の面)に並べられた状態で配索される。電圧検知線35は、電力線15の表面に並べられた状態で、例えば粘着テープで覆うことによって固定してもよく、また、電力線15の表面に貼着された両面テープに並べて固定してもよい。電圧検知線35を電力線15に対して固定する手段としては、必要に応じて任意の手段を用いることができる。
【0051】
図1に示すように、電圧検知線35は、電力線15の左端部寄りの位置までは電力線15の表面に配索された後、電力線15から離間して配索される。電圧検知線35のうち電極端子14と接続された側と反対側の端部には、コネクタ37が接続されている。このコネクタ37は、図示しない電池ECUに接続される。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0052】
(組み付け方法)
次に、電池接続アセンブリ13の組み立て及び取り付け方法について説明する。本実施形態では、図1に示すように、18個の単電池11が直列に接続されて単電池群12が構成される。この単電池群12の一方の面には、8個の接続ユニット16が取り付けられる。
【0053】
まず、図3及び図4に示すように、係合領域26に8つの係合孔25が形成された電力線15の一方の端部に接続端子17を接続し、他方の端部には電池接続端子19を接続する。
【0054】
続いて、接続ユニット16の保持部31を、その先端部を電力線15側に向けた姿勢で、電力線15の係合領域26に接近させる。すると、保持部31の先端部が電力線15の係合領域26と当接することにより保持部31が拡開変形する。更に保持部31を係合領域26側に押し込むと、保持部31が復帰変形し、保持部31の内側面に形成された係合突部32が係合領域26に形成された係合孔25内に嵌り込む。これにより係合孔25の孔縁部27と係合突部32とが係合し、接続ユニット16が電力線15に取り付けられる(図7参照)。
【0055】
上記の工程を各接続ユニット16に対して行うことにより、図5及び図6に示すように、1つの電力線15に対して8個の接続ユニット16を組み付ける。
【0056】
この後、各接続ユニット16内に接続部材29を収容する。なお、接続ユニット16を電力線15に取り付ける工程の前に、接続ユニット16に接続部材29を収容してもよい。
【0057】
次いで、図9に示すように、図9における右端部に位置する電極端子14を電力線15の電池接続端子19に形成された端子接続孔18Bに挿通させると共に、右から2つ目の電極端子14から左から2つ目までの電極端子14を、接続ユニット16に収容された接続部材29の端子接続孔18Cに挿通させる。
【0058】
電圧検知線35の端部を電圧検知端子33の圧着部34に圧着する。その後、電圧検知端子33の圧着部34を接続ユニット16の導出溝36内に収容すると共に、電圧検知端子33の端子接続孔18D内に電極端子14を挿通させる。これにより、電圧検知端子33が接続ユニット16内に収容される。
【0059】
その後、端子接続孔18B、18C、18Dから突き出た電極端子14にナット20を螺合させる。これにより、電極端子14と、電圧検知端子33とが共締めされて、電極端子14と電圧検知端子33とが電気的に接続される。
【0060】
その後、電力線15の表面(図1における紙面を貫通する方向手前側の面)に電圧検知線35を並べて配索した後、例えば図示しない粘着テープで、電力線15と電圧検知線35とを固定する。単電池群12の他方の面に対しても、上記と同様の手法により電池接続アセンブリ13を組み付ける。これにより電池モジュール10が完成する。
【0061】
なお、電池接続アセンブリ13の組み付け工程は、上記した工程に限定されず、例えば、以下のようにしてもよい。まず、上記と同様にして電力線15に8個の接続ユニット16を組み付ける。その後、電圧検知線35に接続された電圧検知端子33の圧着部34を、接続ユニット16の導出溝36内に収容する。次いで、電圧検知線35を電力線15の表面に配索して電力線15に固定する。その後、電力線15の電池接続端子19に形成された端子接続孔18B、接続ユニット16に収容された接続部材29の端子接続孔18C、及び電圧検知端子33の端子接続孔18D内に、それぞれ、対応する電極端子14を挿通させる。その後、端子接続孔18B、18C、18Dから突き出た電極端子14にナット20を螺合させる。このようにして単電池群12に電池接続アセンブリ13を組み付けてもよい。
【0062】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、複数箇所の電極端子14間を接続する際に、対応する個数(本実施形態では8個)の接続ユニット16が取り付けられた電池接続アセンブリ13を単電池群12に取り付ければよいから、電極端子14間を接続する際の取り付け作業を簡略化することができる。
【0063】
また、電池接続アセンブリ13は、複数の接続ユニット16により電極端子14間が接続される。そのため、単電池11の接続個数が変わる場合には、接続ユニット16の数を変更すればよい。即ち、1つの接続ユニット16を作成するための1つの金型を用意すれば複数の接続ユニット16を製造することが可能になる。よって、一体化された電池接続プレートを製造する場合のように単電池11の接続個数が多くなって金型等が大型化したり、単電池11の接続個数に応じてその都度、電池接続プレートを形成するための金型等を別に用意したりする必要がなくなる。よって、製造コストを低減することができる。
【0064】
また、本実施形態においては、電力線15としてフラットケーブルを用いた。このフラットケーブルは、フラットケーブルは、送電特性が良く、また、外気に触れる面積が大きいため放熱性が良い。更に、フラット形状であることから折り曲げが容易であるため、電線の配索が容易になる。
【0065】
また、本実施形態においては、係合孔25は、所定個数の単電池11毎に、単電池11の並び方向に沿って複数並んで設けられている。これにより、接続ユニット16の保持部31に設けられた係合突部32を、電力線15の係合孔25内に嵌入させることにより、単電池11の並び方向に沿って所定個数の単電池11毎に接続ユニット16を容易に配設することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、絶縁樹脂22は、導体21を包囲する包囲領域24と、包囲領域24から外方に突出して導体21の延びる方向に延びて形成されると共に係合孔25が形成された係合領域26と、を備える。これにより、導体21の外周に絶縁樹脂22を押し出し成形する工程と同時に、係合領域26も形成することができるから、製造工程を削減することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、係合領域26のうち包囲領域24と反対側の端部寄りの位置には金属線28が埋設されている。この金属線28によって係合領域26が補強される。
【0068】
また、本実施形態によれば、係合突部32を係合孔25の内部に嵌入させるという簡易な構成により、係合部と被係合部とを係合させることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、接続ユニット16は、側壁30を有して接続部材29を収容可能な箱状をなしており、側壁30の外側面には断面形状が略C字状をなして拡開変形可能な保持部31が外方に突出して形成されており、保持部31の内側面には係合突部32が形成されている。
【0070】
これにより、接続ユニット16は以下のようにして電力線15に取り付けられる。まず、接続ユニット16の保持部31の先端部を電力線15の係合領域26に向けた姿勢で接続ユニット16を電力線15の係合領域26に接近させる。すると、保持部31の先端部が電力線15の係合領域26と当接することにより保持部31が拡開変形する。更に保持部31を係合領域26側に押し込むと、保持部31が復帰変形し、保持部31の内側面に形成された係合突部32が係合領域26に形成された係合孔25内に嵌り込む。これにより係合孔25の孔縁部27と係合突部32とが係合し、接続ユニット16が電力線15に取り付けられる。
【0071】
また、本実施形態によれば、電力線15には接続部材29に接続された電圧検知線35が配設されている。これにより、電圧検知線35を容易に配索できる。
【0072】
<実施形態2>
続いて、本発明の実施形態2について図10を参照しつつ説明する。本実施形態においては、電力線15の係合領域26のうち、包囲領域24と反対側の端部寄りの位置には、補助導体40が埋設されている。この補助導体40は、接続端子17、及び電池接続端子19と接続されている。補助導体40としては、金属棒材又は金属板材からなる単芯線でもよく、また、金属細線を撚り合わせてなる撚り線であってもよく、必要に応じて任意の形状を採用しうる。
【0073】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
本実施形態によれば、補助導体40によって係合領域26を補強することができる。また、導体21に加えて補助導体40にも単電池群12からの電流を流すことができる。これにより、電力線15の電気抵抗値を小さくすることができるので、電力線15の放熱性を全体として向上させることができる。
【0075】
<実施形態3>
続いて、本発明の実施形態3について図11を参照しつつ説明する。本実施形態においては、実施形態1に係る電力線15において、金属線28が省略されている。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0076】
本実施形態によれば、金属線28を埋設する場合に比べて、電力線15を軽量化することができる。
【0077】
<実施形態4>
続いて、本発明の実施形態4について図12及び図13を参照しつつ説明する。本実施形態に係る接続ユニット51の側壁30からは、側壁30の肉厚方向外方(図12における右方)に突出する板状の基部50が形成されている。この基部50の先端部には、基部50の肉厚方向と交差する方向に突出する係合突部52が形成されている。本実施形態においては、係合突部52は、図12における上方に突出して形成されている。係合突部52は、軸部53と、この軸部53の先端に形成されると共に軸部53の径方向外方に膨出する膨出部54と、を備える。
【0078】
他方、図13に示すように、係合孔55には、上記した軸部53が挿通されると共に断面形状が円形状をなした軸挿通部56が形成される。軸挿通部56の内径寸法は、軸部53の外径寸法と同じか、やや大きく設定されている。
【0079】
図12に示すように、膨出部54の最大径寸法は、電力線15に形成された軸挿通部56の内径寸法よりも大きく設定されている。この膨出部54が係合孔55の孔縁部57と係合することにより、係合突部52が抜け止めされるようになっている。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
本実施形態においては、接続ユニット51は以下のようにして電力線58に組み付けられる。まず、接続ユニット51に形成された係合突部52の先端を、電力線58に形成された係合孔55の軸挿通部56内に挿入する。すると、係合突部52の膨出部54に押圧されて、係合孔55の孔縁部57が拡開変形する。更に、係合突部52を挿入して、膨出部54が係合孔55を貫通すると、係合孔55の孔縁部57が復帰変形する。このとき、係合突部52の軸部53は、係合孔55の軸挿通部56内に配される。この結果、膨出部54と、係合孔55の孔縁部57とが係合して、係合突部52が係合孔55から抜け止めされるようになる。このようにして、接続ユニット51は電力線58に取り付けられる。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態における芯線23は複数の金属細線を撚り合わせてなる撚り線を用いたが、これに限られず、金属棒材、又は金属板材からなる単芯線としてもよい。
(2)係合部は、絶縁樹脂22の係合領域26に陥没形成された凹部の開口縁部としてもよい。また、係合部は係合領域26に形成した突部とし、被係合部は接続ユニット16に形成した凹部の開口縁部又は係合孔の孔縁部としてもよい。このように係合部及び被係合部については、必要に応じて任意の形状を採用しうる。
(3)実施形態1においては、係合領域26に埋設される金属線28は1本である構成としたが、これに限られず、係合領域26に複数本の金属線28が埋設される構成としてもよい。この金属線28は金属棒材又は金属板材からなる単芯線でもよく、また、金属細線を撚り合わせてなる撚り線であってもよく、必要に応じて任意の形状の金属線28を用いることができる。
(4)本実施形態においては、係合部は係合領域26に形成される構成としたが、これに限られず、導体21を包囲する包囲領域24に設けられる構成としてもよい。
(5)本実施形態では、接続部材29は、異極の電極端子14を接続(単電池11を直列接続)するものとしたが、これに限られず、同極の電極端子14を接続(単電池11を並列接続)するものでもよい。例えば、本実施形態の電池モジュール10に更に別の単電池11を並列接続し、この並列接続における同極の電極端子14を複数の接続部材29(電池接続アセンブリ13)で接続するようにしたものでもよい。
(6)本実施形態では、接続ユニット16を連結してから、電池モジュール10に取り付けることとしたが、各接続ユニット16を電極端子14に取り付ける際に係合部及び被係合部を連結する作業を順番に繰り返し行うことで電池接続アセンブリ13が電池モジュール10に取り付けられるようにしてもよい。
(7)単電池11の数(接続する個数)については、本実施形態の個数に限られない。したがって、接続ユニット16の個数についても上記した8個に限らず、例えば、2〜7個ないし9個以上の接続ユニット16を備えて構成される電池接続アセンブリ13としてもよい。
(8)本実施形態においては、電力線15としてフラット電線を用いる構成としたが、これに限られず、例えば、図14に示すように、電力線65として断面形状が円形状をなすいわゆる丸電線を用いてもよい。本実施形態においては、導体21は芯線23を束ねて形成される。芯線23は撚り合わされていてもよい。この場合、係合領域66は、電力線65の径方向について外方(図14における左方)に延出された形状としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…電池モジュール
11…単電池
12…単電池群
13…電池接続アセンブリ
14A…正極端子(電極端子14)
14B…負極端子(電極端子14)
15…電力線
16…接続ユニット
19…電池接続端子
21…導体
22…絶縁樹脂
23…芯線
24…包囲領域
25…係合孔
26…係合領域
27,57…孔縁部(係合部)
28…金属線
29…接続部材
31…保持部
32,52…係合突部(被係合部)
40…補助導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べた単電池群を有する電池モジュールにおいて前記単電池群を接続するための電池接続アセンブリであって、
導体の外周を絶縁樹脂で包囲してなり前記導体の端部には前記電極端子に接続される電池接続端子が配されると共に前記絶縁樹脂には係合部が設けられた電力線と、前記係合部と係合可能な被係合部を有して前記電力線に取り付けられると共に隣り合う前記電極端子間を接続するための接続部材を有する複数の接続ユニットと、を備えた電池接続アセンブリ。
【請求項2】
前記導体は複数本の芯線を互いに接触した状態で並列させてなるフラット導体であって、前記電線は前記フラット導体を前記絶縁樹脂でフラット形状に覆ったフラットケーブルである請求項1に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項3】
前記係合部は、所定個数の前記単電池毎に、前記単電池の並び方向に沿って複数並んで設けられている請求項1または請求項2に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項4】
前記絶縁樹脂は、前記導体を包囲する包囲領域と、前記包囲領域から外方に突出して前記導体の延びる方向に延びて形成されると共に前記係合部が形成された係合領域と、を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項5】
前記係合領域のうち前記包囲領域と反対側の端部寄りの位置には金属線が埋設されている請求項4に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項6】
前記係合領域のうち前記包囲領域と反対側の端部寄りの位置には補助導体が埋設されており、前記補助導体は前記電池接続端子に接続されている請求項4に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項7】
前記係合部は前記係合領域を貫通して形成された係合孔の孔縁部であり、前記被係合部は前記係合孔の内部に嵌入して前記孔縁部と係合する係合突部である請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項8】
前記接続ユニットは、側壁を有して前記接続部材を収容可能な箱状をなしており、前記側壁の外側面には断面形状が略C字状をなして拡開変形可能な保持部が外方に突出して形成されており、前記保持部の内側面には前記係合突部が形成されている請求項7に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項9】
前記電力線には前記接続部材に接続された電圧検知線が配設されている請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−18473(P2011−18473A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160946(P2009−160946)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】