説明

電池配線モジュール

【課題】本発明は、電極端子間のピッチのずれを吸収可能であって、且つ単電池群への組み付け作業性に優れた電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】正極及び負極の電極端子11を有する単電池12が複数個並べられた単電池群13に取り付けられて電極端子11間を接続する電池配線モジュール14であって、複数の連結ユニット16を単電池12の並び方向に連結して構成され、連結ユニット16はそれぞれ、複数の単電池12のうち一の単電池12の電極端子11と他の単電池12の電極端子11とを接続するバスバー17と、バスバー17が収容されるバスバー収容部19と、を備え、バスバー17には電極端子11が挿通される一対の端子貫通孔18が形成されており、一対の端子貫通孔18は単電池12の並び方向に細長く延びた形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の単電池を接続する電池配線モジュールとして、特許文献1に記載のものが知られている。この電池配線モジュールは、隣り合う単電池の電極端子を接続する複数のバスバーを、合成樹脂によって形成された1つのプレートに配設してなる。この電池配線モジュールを、複数の単電池が並べられた単電池群に組み付けることにより、複数の単電池の電極端子間が、バスバーによって接続されるようになっている。単電池に電池配線モジュールが組み付けられた電池モジュールは、電気自動車や、ハイブリッド車等の車両において駆動源として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−120987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、電池配線モジュールは1つの合成樹脂製のプレートとして形成されているので、全体として撓みにくくなっている。このため、電池配線モジュールを単電池群に組み付ける際に、例えば電池配線モジュールを電極端子への組み付け方向について撓ませながら、個々の電極端子に対してバスバーを個別に接続させることができない。換言すると、従来技術に係る電池配線モジュールにおいては、全ての電極端子に対して、全てのバスバーが、同時に接続されるようになっている。
【0005】
しかしながら、電極端子については、各単電池の製造公差や、並べられた複数の単電池の組み付け公差によって、電極端子間のピッチにずれが生じる場合がある。このため、従来技術においては、電池配線モジュールを構成する合成樹脂製のプレートにスリットが形成されている。このスリット部分を拡大又は縮小させることにより、電極端子間のピッチのずれが吸収されるようになっている。
【0006】
上記した従来技術に係る電池配線モジュールを単電池群に接続する作業について説明する。まず、単電池群の電極端子の上方に電池配線モジュールを配し、次いで、電極端子間のピッチのずれを、スリットを拡大又は縮小させることによって調節する。その後、電池配線モジュール全体を下方に移動させ、全ての電極端子に対して全てのバスバーを同時に接続する。
【0007】
このように従来技術に係る電池配線モジュールを取り付ける際には、各スリットを、電極端子間のピッチのずれに対応させて拡大又は縮小させる必要があるので面倒である。しかも、合成樹脂製のプレートに形成されたスリットを拡大又は縮小させなければならないので、比較的に大きな力が必要となる。
【0008】
更に、上記したように電池配線モジュールは全体として撓みにくくなっているので、1箇所でも電極端子間のピッチのずれが吸収されていない場合には、他の部分において電極端子間のピッチのずれが吸収されていても、単電池群に電池配線モジュールを組み付けることができないのである。
【0009】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電極端子間のピッチのずれを吸収可能であって、且つ単電池群への組み付け作業性に優れた電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並べられた単電池群に取り付けられて前記電極端子間を接続する電池配線モジュールであって、複数の連結ユニットを前記単電池の並び方向に連結して構成され、前記連結ユニットはそれぞれ、前記複数の単電池のうち一の単電池の電極端子と他の単電池の電極端子とを接続するバスバーと、前記バスバーが収容されるバスバー収容部と、を備え、前記バスバーには前記電極端子が挿通される一対の端子貫通孔が形成されており、前記一対の端子貫通孔は前記単電池の並び方向に細長く延びた形状に形成されている。
【0011】
本発明によれば、電池配線モジュールは、複数の連結ユニットが連結されて構成されているので、全体として撓み易くなっている。これにより、電池配線モジュールを全体として撓ませながら、各電極端子に対して、各連結ユニットに収容されたバスバーを、連結ユニット毎に接続させることができる。この結果、電池配線モジュールを単電池群に組み付ける作業の効率を向上させることができる。
【0012】
また、バスバーに形成された一対の端子貫通孔は単電池の並び方向に細長く延びて形成されているので、電極端子間のピッチのずれを端子貫通孔によって吸収することができる。
【0013】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記連結ユニットの前記バスバー収容部には前記バスバーの縁部を囲う複数の絶縁壁が設けられており、前記複数の絶縁壁のうち前記単電池の並び方向と交差する一対の絶縁壁は一対の側壁部とされており、前記複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットには、前記一対の側壁部のうち一の側壁部に、前記一の側壁部の少なくとも一部を切り欠いた切欠部が形成されており、前記複数の連結ユニットのうち前記一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニットには、前記一対の側壁部のうち他の側壁部に、前記一の連結ユニットに形成された前記切欠部の内部に嵌入する嵌入部が形成されていることが好ましい。
【0014】
複数の単電池が並べられた単電池群においては、電極端子の製造公差、及び単電池を並べる際の組み付け公差が単電池毎に足し合わされることにより、単電池群の両端部における電極端子間のピッチのずれが比較的に大きくなる。このピッチのずれをバスバーに形成された一対の端子貫通孔を細長く形成することによって吸収しようとすると、端子貫通孔は比較的に細長くしなければならない。この結果、単電池の並び方向についてのバスバーの長さ寸法も、比較的に細長く形成する必要がある。
【0015】
上記のバスバーは、連結ユニットのバスバー収容部内に収容される。バスバーには比較的に大きな電流が流れるので、バスバー収容部に形成された絶縁壁によって絶縁されることが好ましい。各連結ユニットの収容部に、比較的に細長く形成されたバスバーを囲うように絶縁壁を形成すると、各連結ユニットが、単電池の並び方向に大型化することが懸念される。すると、各連結ユニットが連結された電池配線モジュールについても大型化することが懸念される。
【0016】
そこで、本態様においては、絶縁壁のうち単電池の並び方向と交差する一対の絶縁壁は一対の側壁部とされており、複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットには、一対の側壁部のうち一の側壁部に、一の側壁部の少なくとも一部を切り欠いた切欠部が形成されており、複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニットには、一対の側壁部のうち他の側壁部に、一の連結ユニットに形成された切欠部の内部に嵌入する嵌入部が形成されている。これにより、一の連結ユニットに形成された一の側壁部の切欠部内に、一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニットに形成された他の側壁部の嵌入部が嵌入することによって、バスバーを絶縁することができる。この結果、各連結ユニットに絶縁壁を設ける場合に比べて、単電池の並び方向について電池配線モジュールを小型化できる。
【0017】
また、複数の連結ユニットのうち前記一の連結ユニットには、前記一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニットに向かって延びる係合部が形成されており、前記係合部が、前記他の連結ユニットに形成された係合受け部に係合することにより、前記一の連結ユニットと前記他の連結ユニットとが連結されることが好ましい。
【0018】
上記の態様によれば、係合部と係合受け部とを係合させることにより連結ユニットを連結させることができるので、電池配線モジュールの組み付け作業性を向上させることができる。
【0019】
前記バスバー収容部内には、前記電極端子に接続されて前記電極端子の電圧を検知する電圧検知端子が収容されており、前記電圧検知端子には電圧検知線の端部が接続されるバレル部が形成されており、前記バレル部は、前記単電池の並び方向における前記バスバー収容部の略中央位置から前記バスバー収容部の外方に突出されていることが好ましい。
【0020】
単電池の電極端子はバスバーに形成された一対の端子貫通孔内に挿通される。このため、電極端子に接続される電圧検知端子も、バスバーの端子貫通孔の近傍に配される。端子貫通孔はバスバーの端部寄りの位置に形成されるので、電圧検知端子もバスバーの端部寄りの位置に配される。電圧検知端子に電圧検知線を接続するためのバレル部は、バスバーが収容されるバスバー収容部から外方に突出させる必要がある。このため、バスバーの端部寄りの位置に配された電圧検知端子からバレル部をバスバー収容部の外方に突出させようとすると、バスバー収容部の端部寄りの位置からバレル部を外方に突出させることになる。バスバー収容部の端部寄りの位置に、バレル部を外方に突出させるための構造を設けると、連結ユニットが単電池の並び方向について大型化することが懸念される。
【0021】
上記の態様によれば、電圧検知端子のバレル部は単電池の並び方向におけるバスバー収容部の略中央位置からバスバー収容部の外方に突出されているので、バスバー収容部の端部寄りの位置からバレル部を外方に突出させる場合に比べて、連結ユニットを小型化できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電池配線モジュールにおいて、電極端子間のピッチのずれを吸収することができると共に、単電池群への組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池モジュールを示す一部拡大斜視図
【図2】電池モジュールを示す一部拡大平面図
【図3】電池配線モジュールを示す一部拡大斜視図
【図4】電池配線モジュールを示す一部拡大平面図
【図5】図4におけるA−A線断面図
【図6】電池配線モジュールを示す一部拡大底面図
【図7】連結ユニットを示す斜視図
【図8】連結ユニットを示す平面図
【図9】連結ユニットを示す右側面図
【図10】連結ユニットを示す左側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態>
本発明を電池モジュール10に適用した一実施形態を、図1ないし図10を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池モジュール10は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための電源として使用される。電池モジュール10は、電極端子11を備えた複数の単電池12が並べて配された単電池群13を有する。複数の電極端子11間は、電池配線モジュール14によって電気的に接続されている。
【0025】
なお、以下の説明では、図1における矢線OXのX側を右方とし、O側を左方とする。また、図1における矢線OYのY側を後方とし、O側を前方とする。また、図1における矢線OZのZ側を上方とし、O側を下方とする。
【0026】
また、以下の説明において、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0027】
(単電池12)
単電池12は扁平な略直方体形状をなしている。単電池12の内部には図示しない発電要素が収容されている。単電池12の上面には、前後方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子11,11が上方に突出して形成されている。電極端子11の一方は正極端子であり、他方は負極端子である。正極端子を構成する電極端子11と、負極端子を構成する電極端子11とは同形、同大である。電極端子11は、金属製の端子台50と、端子台50から上方に突出する電極ポスト51とを備える。電極ポスト51の外面にはねじ山が形成されている。単電池12は、隣り合う電極端子11が異なる極性となるように配置されている。複数の単電池12は左右方向に並べられて単電池群13を構成している。
【0028】
(電池配線モジュール14)
単電池群13の上面には、電池配線モジュール14が取り付けられている。図1には、単電池群13の後ろ側に位置する複数の電極端子11間が、電池配線モジュール14によって電気的に接続されている。単電池群13の前側に位置する複数の電極端子11に接続された電池配線モジュール14は省略されている。
【0029】
図2に示すように、電池配線モジュール14は、左右方向に連結された複数の連結ユニット16を備える。連結ユニット16の並び方向は単電池群13における単電池12の並び方向と一致している。
【0030】
(連結ユニット16)
各連結ユニット16は、複数の単電池12のうち、一の単電池12の電極端子11と、一の単電池に隣り合う他の単電池12の電極端子11とを接続するバスバー17を有する。バスバー17は、銅、銅合金、SUS等からなる金属板材が所定の形状にプレス加工されてなる。バスバー17は上方から見て左右方向に細長く延びた形状をなしている。バスバー17には、電極端子11の電極ポスト51が挿通される一対の端子貫通孔18,18が、バスバー17を貫通して形成されている。
【0031】
各連結ユニット16は、バスバー17が収容される合成樹脂製のバスバー収容部19を備える。バスバー収容部19は上方から見て略長方形状をなしており、バスバー17よりもやや大きな形状とされている。バスバー収容部19には上方に開口する開口部20が形成されており、この開口部20からバスバー17がバスバー収容部19内に収容されるようになっている。
【0032】
電極ポスト51がバスバー17の端子貫通孔18内に貫通された状態でナット21が螺合されて、ナット21と端子台50との間にバスバー17が挟まれることにより、電極端子11とバスバー17とが電気的に接続される。
【0033】
図2に示すように、一対の端子貫通孔18,18の双方は、単電池12が並ぶ方向(図2における左右方向)に細長く延びた形状に形成されている。
【0034】
図3に示すように、バスバー収容部19には、バスバー17の縁部を囲う複数(本実施形態では4つ)の絶縁壁52が形成されている。4つの絶縁壁52のうち、単電池12の並び方向(図3における矢線OXで示す方向)と交差する一対の絶縁壁52,52は一対の側壁部53,53とされる。
【0035】
図7に示すように、一対の側壁部53,53は、図7における左側に位置する第1側壁部53A(一の側壁部に相当)と、図7における右側に位置する第2側壁部53B(他の側壁部に相当)とからなる。
【0036】
図7及び図10に示すように、第1側壁部53Aは、第1側壁部53Aの上端部が切り欠かれた切欠部54が形成されている。図10に示すように、切欠部54は前後方向(図10における矢線OYで示す方向)に細長い略長方形状に形成されている。切欠部54は、第1側壁部53Aの上端部において、前後方向の略全域に亘って形成されている。
【0037】
また、図7及び図9に示すように、第2側壁部53Bには、第2側壁部53Bの上端部寄りの位置に、嵌入部55が形成されている。図4に示すように、複数の連結ユニット16を連結した状態で、一の連結ユニット16に形成された切欠部54の内部に、一の連結ユニット16の隣に位置する他の連結ユニット16に形成された嵌入部55が嵌入するようになっている。
【0038】
図4に示すように、複数の連結ユニット16が連結された状態で、第1側壁部53Aと、嵌入部55とは、上下方向について重なって配されるようになっている。換言すると、第1側壁部53Aと、この第1側壁部53Aに形成された切欠部54内に嵌入された嵌入部55とで、一枚分の厚さ寸法を有する絶縁壁52が形成された状態になっている。
【0039】
また、バスバー収容部19には、電極端子11に接続されて電極端子11の電圧を検知する電圧検知端子22が収容されている。電圧検知端子22には、電極端子11の電極ポスト51が挿通される端子貫通孔56が形成されている。電圧検知端子22は、バスバー17によって接続される隣り合う電極端子11の一方において、ナット21とバスバー17の間に挟まれることにより、電極端子11に電気的に接続されている。本実施形態においては、図2における左側に位置する電極ポスト51が、電圧検知端子22の端子貫通孔56に挿通されている。電圧検知端子22のバレル部57には電圧検知線23の一方の端部が圧着されている。電圧検知線23の他方の端部は図示しないECUに接続されている。
【0040】
図4に示すように、バスバー収容部19には、バスバー収容部19の長手方向の略中央位置に、バレル部57をバスバー収容部19の外方(本実施形態では前方)に突出させるためのバレル部収容部58が、前方(図4における下方)に延びて形成されている。図8に示すように、バレル部収容部58は上方に開口する溝状に形成されている。
【0041】
連結ユニット16には、電圧検知線23が収容されて左右方向に配索される合成樹脂製の電線配索部24が形成されている。電線配索部24は、バレル部57収容溝を介してバスバー収容部19と連結されている。電線配索部24は左右方向から見て概ね溝状をなしており、複数の電圧検知線23が収容可能になっている。
【0042】
図8ないし図9に示すように、バスバー収容部19の後側面には、ヒンジ26を介して合成樹脂製のカバー27が一体に形成されている。カバー27は、ヒンジ26を中心として回動可能になっている。カバー27は上方から見て概ね長方形状をなしている。カバー27は、バスバー収容部19、バレル部収容部58、及び電線配索部24を覆うことができる大きさに設定されている。カバー27は、カバー27に形成されたカバーロック部(図示せず)と、電線配索部24に形成されたカバーロック受け部(図示せず)とが弾性的に係合することにより、バスバー収容部19、バレル部収容部58、及び電線配索部24を覆った状態で保持されるようになっている。
【0043】
(連結ユニット16の係合構造)
図4に示すように、連結ユニット16の左側縁には、左方に突出するユニット係合部(係合部に相当)31が形成されている。ユニット係合部31は、図4に示すように、ユニット係合部31の先端には下方に突出するユニット係合爪32が形成されている。
【0044】
図7及び図9に示すように、連結ユニット16の右側縁には、ユニット係合部31と係合するユニット係合受け部(係合受け部に相当)33が形成されている。ユニット係合部31がユニット係合受け部33に対して弾性的に係合することにより、各連結ユニット16が連結されるようになっている。
【0045】
図5に示すように、ユニット係合部31のユニット係合爪32が、ユニット係合受け部33に対して左方から当接することにより、各連結ユニット16が左右方向に連結されるようになっている。
【0046】
図4に示すように、連結ユニット16の左側縁には、ユニット係合部31と前後方向に並ぶと共に左方に突出するガイド部36が形成されている。図8及び図10に示すように、ガイド部36は前後方向に扁平な板状をなしている。
【0047】
図8及び図9に示すように、連結ユニット16の右側縁には、ガイド部36が係合されるガイド受け部37が形成されている。ガイド受け部37は、ガイド部36が貫通可能な、左右方向に貫通された貫通孔とされている。
【0048】
(カバー27の連結構造)
図4に示すように、カバー27の左側縁には、左方に突出するカバー係合部(係合部に相当)38が形成されている。カバー係合部38は、二股に分かれて形成されており、各先端部には、カバー係合爪39が外方にそれぞれ突出して形成されている。
【0049】
図8及び図9に示すように、連結ユニット16の右側縁には、カバー係合部38と係合するカバー係合受け部(係合受け部に相当)40が形成されている。カバー係合受け部40には、カバー係合爪39が貫通されるカバー係合孔41が左右方向に貫通して形成されている。
【0050】
図4に示すように、カバー係合爪39が、カバー係合孔41の内部を貫通してカバー係合孔41の孔縁部に、左方から当接することにより、各カバー27が左右方向に連結されるようになっている。
【0051】
図4に示すように、電池配線モジュール14は、ユニット係合部31とユニット係合受け部33とが係合すると共に、カバー係合部38とカバー係合受け部40とが係合することにより、複数の連結ユニット16が左右方向に連結して形成される。
【0052】
(組み立て方法及び取り付け方法について)
続いて、電池配線モジュール14の組み立て方法、及び単電池群13への取り付け方法の一例について、以下に説明する。まず、複数の連結ユニット16を用意し、一の連結ユニット16のユニット係合部31と、他の連結ユニット16のユニット係合受け部33とを左右方向から順に係合させると共に、一の連結ユニット16のカバー係合部38と、他の連結ユニット16のカバー係合受け部40とを左右方向から順に係合させる。これにより、各連結ユニット16が左右方向に連結される。次いで、各連結ユニット16のバスバー収容部19内に、バスバー17を収容する。
【0053】
続いて、電圧検知線23の一方の端部に電圧検知端子22を圧着し、電圧検知線23と電圧検知端子22とを接続する。電圧検知線23を、連結された連結ユニット16の電線配索部24に配索し、各電圧検知端子22を各バスバー収容部19内に配置する。これにより、図4に示すように、電池配線モジュール14が完成する。
【0054】
続いて、複数の単電池12を、電極端子11が形成された面を上にして並べる。単電池12は、単電池12の一対の電極端子11が前後方向に並ぶ姿勢で、左右方向に12個並べて配する。次いで、単電池群13の電極端子11に、上方から電池配線モジュール14を取り付ける。このとき、電極端子11が、バスバー17の端子貫通孔18に貫通されるようにする。
【0055】
その後、各電極端子11にナット21を螺合する。これにより、複数の単電池12が直列に接続される。
【0056】
続いて、連結された複数のカバー27を、ヒンジ26を中心に回動させ、バスバー収容部19、バレル部収容部58、及び電線配索部24を覆うようにして閉じる。このとき、カバーロック部と、カバーロック受け部とが弾性的に係合することにより、カバー27が閉じられた状態で保持される。これにより電池モジュール10が完成する。
【0057】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、電池配線モジュール14は、複数の連結ユニット16が連結して形成されている。これにより、電池配線モジュール14は、各連結ユニット16の連結部分において折れ曲がることにより、全体として撓み可能になっている。これにより、電池配線モジュール14を単電池群13に組み付ける際には、電池配線モジュール14を全体として撓ませながら、各電極端子11に対して、各連結ユニット16に収容されたバスバー17を、連結ユニット16毎に接続させることができる。この結果、電池配線モジュール14を単電池群13に組み付ける作業の効率を向上させることができる。
【0058】
また、バスバー17に形成された一対の端子貫通孔18は、複数の単電池12の並び方向に細長く延びて形成されているので、電極端子11間のピッチのずれを端子貫通孔18によって吸収することができる。
【0059】
また、複数の単電池12が並べられた単電池群13においては、電極端子11の製造公差、及び単電池12を並べる際の組み付け公差が単電池12毎に足し合わされることにより、単電池群13の両端部における電極端子11間のピッチのずれが比較的に大きくなる。このピッチのずれをバスバー17に形成された一対の端子貫通孔18を細長く形成することによって吸収しようとすると、端子貫通孔18は比較的に細長くしなければならない。この結果、単電池12の並び方向についてのバスバー17の長さ寸法も、比較的に細長く形成する必要がある。
【0060】
上記のバスバー17は、連結ユニット16のバスバー収容部19内に収容される。バスバー17には比較的に大きな電流が流れるので、バスバー収容部19に形成された絶縁壁52によって絶縁されることが好ましい。各連結ユニット16のバスバー収容部19に、比較的に細長く形成されたバスバー17を囲うように絶縁壁52を形成すると、各連結ユニット16が、単電池12の並び方向に大型化することが懸念される。すると、各連結ユニット16が連結された電池配線モジュール14についても大型化することが懸念される。
【0061】
そこで、本実施形態においては、複数の連結ユニット16のうち、一の連結ユニット16には第1側壁部53Aに切欠部54が形成されており、複数の連結ユニット16のうち、一の連結ユニット16の隣に位置する他の連結ユニット16には第2側壁部53Bに一の連結ユニット16に形成された切欠部54の内部に嵌入する嵌入部55が形成されている。これにより、一の連結ユニット16の第1側壁部53Aに形成された切欠部54内に、一の連結ユニット16の隣に位置する他の連結ユニット16の第2側壁部53Bに形成された嵌入部55が嵌入することによって、バスバー17を絶縁することができる。この結果、第1側壁部53Aと、この第1側壁部53Aに形成された切欠部54内に嵌入された嵌入部55とで、一枚分の厚さ寸法を有する絶縁壁52が形成された状態になっている。これにより、各連結ユニット16に絶縁壁52を設ける場合に比べて、単電池12の並び方向について電池配線モジュール14を小型化できる。
【0062】
また、本実施形態においては、複数の連結ユニット16のうち一の連結ユニット16には、一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニット16に向かって延びるユニット係合部31が形成されており、このユニット係合部31が、他の連結ユニット16に形成されたユニット係合受け部33に係合することにより、一の連結ユニット16と他の連結ユニット16とが連結されるようになっている。また、複数の連結ユニット16のうち一の連結ユニット16には、一の連結ユニット16の隣に位置する他の連結ユニット16に向かって延びるカバー係合部38が形成されており、このカバー係合部38が、他の連結ユニット16に形成されたカバー係合受け部40に係合することにより、一の連結ユニット16のカバー27と他の連結ユニット16のカバー27とが連結されるようになっている。これにより、ユニット係合部31とユニット係合受け部33とを係合させると共に、カバー係合部38とカバー係合受け部40とを係合させることにより複数の連結ユニット16を連結させることができるので、電池配線モジュール14の組み付け作業性を向上させることができる。
【0063】
また、単電池12の電極端子11はバスバー17に形成された一対の端子貫通孔18,18内に挿通される。このため、電極端子11に接続される電圧検知端子22も、バスバー17の端子貫通孔18の近傍に配される。端子貫通孔18はバスバー17の端部寄りの位置に形成されているので、電圧検知端子22もバスバー17の端部寄りの位置に配される。電圧検知端子22に電圧検知線23を接続するためのバレル部57は、バスバー17が収容されるバスバー収容部19から外方に突出させる必要がある。このため、バスバー17の端部寄りの位置に配された電圧検知端子22からバレル部57をバスバー収容部19の外方に突出させようとすると、バスバー収容部19の端部寄りの位置からバレル部57を外方に突出させることになる。バスバー収容部19の端部寄りの位置に、バレル部57を外方に突出させるための構造を設けると、連結ユニット16が単電池12の並び方向について大型化することが懸念される。
【0064】
本実施形態によれば、電圧検知端子22のバレル部57は単電池12の並び方向におけるバスバー収容部19の略中央位置からバスバー収容部19の外方に突出されているので、バスバー収容部19の端部寄りの位置からバレル部57を外方に突出させる場合に比べて、連結ユニット16を小型化できる。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、第1側壁部53Aには切欠部54が形成されており、第2側壁部53Bには嵌入部55が形成される構成としたが、これに限られず、絶縁壁52には切欠部54及び嵌入部55が形成されない構成としてもよい。
(2)本実施形態においては、電圧検知端子22のバレル部57はバスバー収容部19の略中央付近から外方に突出される構成としたが、これに限られず、バレル部57はバスバー収容部19の端部寄りの位置から外方に突出される構成としてもよい。
(3)本実施形態に係る単電池12は、上面に一対の電極端子11が形成される構成としたが、これに限られず、上面に1つの電極端子11が形成され、下面に1つの電極端子11が形成される構成としてもよい。
(4)本実施形態においては、複数の単電池12が直列に接続される構成としたが、これに限られず、複数の単電池12が並列に接続される構成としてもよい。
(5)1つの電池配線モジュール14に含まれる連結ユニット16の個数は本実施形態に記載された構成に限定されず、必要に応じて、任意の個数の連結ユニット16を連結することにより電池配線モジュール14を形成することができる。
(6)本実施形態においては、電極端子11は端子台50と電極ポスト51とを備えてなり、電極ポスト51にナット21を螺合することにより、端子台50とナット21との間にバスバー17を挟んで電極端子11とバスバー17とを接続する構成としたが、これに限られず、電極端子11は端子台50にねじ孔が形成された構成とし、このねじ孔にボルトを螺合することにより、端子台50とボルトの頭部との間にバスバー17を挟んで電極端子11とバスバー17とを接続する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
11...電極端子
12...単電池
13...単電池群
14...電池配線モジュール
16...連結ユニット
17...バスバー
18...端子貫通孔
19...バスバー収容部
22...電圧検知端子
23...電圧検知線
31...ユニット係合部(係合部)
33...ユニット係合受け部(係合受け部)
38...カバー係合部(係合部)
40...カバー係合受け部(係合受け部)
52...絶縁壁
53A...第1側壁部(一の側壁部)
53B...第2側壁部(他の側壁部)
54...切欠部
55...嵌入部
57...バレル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並べられた単電池群に取り付けられて前記電極端子間を接続する電池配線モジュールであって、
複数の連結ユニットを前記単電池の並び方向に連結して構成され、
前記連結ユニットはそれぞれ、
前記複数の単電池のうち一の単電池の電極端子と他の単電池の電極端子とを接続するバスバーと、
前記バスバーが収容されるバスバー収容部と、を備え、
前記バスバーには前記電極端子が挿通される一対の端子貫通孔が形成されており、前記一対の端子貫通孔は前記単電池の並び方向に細長く延びた形状に形成されている電池配線モジュール。
【請求項2】
前記連結ユニットの前記バスバー収容部には前記バスバーの縁部を囲う複数の絶縁壁が設けられており、前記複数の絶縁壁のうち前記単電池の並び方向と交差する一対の絶縁壁は一対の側壁部とされており、
前記複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットには、前記一対の側壁部のうち一の側壁部に、前記一の側壁部の少なくとも一部を切り欠いた切欠部が形成されており、
前記複数の連結ユニットのうち前記一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニットには、前記一対の側壁部のうち他の側壁部に、前記一の連結ユニットに形成された前記切欠部の内部に嵌入する嵌入部が形成されている請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
複数の連結ユニットのうち前記一の連結ユニットには、前記一の連結ユニットの隣に位置する他の連結ユニットに向かって延びる係合部が形成されており、前記係合部が、前記他の連結ユニットに形成された係合受け部に係合することにより、前記一の連結ユニットと前記他の連結ユニットとが連結される請求項1または請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記バスバー収容部内には、前記電極端子に接続されて前記電極端子の電圧を検知する電圧検知端子が収容されており、前記電圧検知端子には電圧検知線の端部が接続されるバレル部が形成されており、前記バレル部は、前記単電池の並び方向における前記バスバー収容部の略中央位置から前記バスバー収容部の外方に突出されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−33710(P2013−33710A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29694(P2012−29694)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】