説明

電池集合体

【課題】小型化し、部品点数が削減でき、低コストの電池集合体を提供すること。
【解決手段】平板状の冷却基板12を挟み、冷却基板12の両面にそれぞれ単電池16を組み付けて電池集合体10を構成した。冷却基板12は、冷媒による冷却方式が好ましく、冷却基板12の両面を冷却面とする。単電池16は、単電池16の一面に正負両端子が設けられており、端子面19に対向した面(「端子逆面21」とする。)を、冷却基板12との熱伝達面として形成し、端子面19を電池集合体10の外方に向けて配置し、端子逆面21を冷却基板12に近接させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機構を備えた車両用の電池集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車などには、比較的容量が大きい二次電池からなる電池装置が搭載されている。通常電池装置は、複数の単電池を集合させた電池集合体をいくつか組み合わせて構成し、組み付け作業や取り扱いを容易にするとともに所望の電圧にしている。
【0003】
二次電池は、補充電や走行などの放電作用により発熱し、温度が上昇する。一般に二次電池は、温度が高くなると電池性能は向上するが、所定温度を超えると効率が低下したり、電池の劣化を招くおそれがある。
【0004】
従来から電池集合体や各単電池の間に空気通路を形成し、空気通路に導入させた外気により電池を冷却する空冷方式や、冷媒を通した冷却手段に電池を接触させ、電池を冷却させる水冷方式などが知られている。また特許文献1には、ペルチェ素子を用いた冷却手段に電池を接触させ、電池を冷却させる発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−192207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、空冷では電池間に空気通路を形成させたり、送風装置を組み入れるため、電池装置が大型化することがある。また空間を設けて電池を固定させるため、部品点数が増加し、コストが上昇することがあった。
【0007】
また特許文献1に記載の発明では、冷却手段上面に載置できる電池の数量が限られており、多数の電池を冷却するためには、多くの冷却手段を必要としコストがかかるという問題があった。本発明は、小型化し、部品点数が削減でき、低コストの電池集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、電池集合体を次のように構成した。
【0009】
平板状の冷却基板を挟み、冷却基板の両面にそれぞれ単電池を組み付けて電池集合体を構成した。冷却基板は、冷媒による冷却方式が好ましく、冷却基板の両面で冷却可能となっている。
【0010】
単電池は、単電池の一面に正負両端子が設けられており、端子が設けられている端子面に対向した面(「端子逆面」とする。)を、冷却基板との熱伝達面として形成し、端子面を電池集合体の外方に向けて配置し、端子逆面を冷却基板に近接させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる電池集合体は、次の効果を奏する。
【0012】
冷却基板の両面に単電池を設けることから、冷却基板の冷却面を有効に利用でき、電池集合体の構造を小型化し、部品点数を低減できる。単電池の端子を、電池集合体の外方に揃えることができ、取り扱いや結線作業等が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電池集合体を示す一部破断斜視図である。
【図2】同電池集合体を示す分解斜視図である。
【図3】電池集合体を示す部分断面図である。
【図4】電池集合体を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態にかかる電池集合体10について説明する。
【0015】
電池集合体10は、図1に示すように、直方体形状で、内部に冷却基板12と、保持体14と、単電池16(図2参照。)などが収納されている。電池集合体10の外側には、外枠体18と、蓋体24などが設けられ、電池集合体10の外郭を形成している。蓋体24の上部左右には、切欠きが設けてあり、切欠きを通して端子17(出力端子である。)が露出している。端子17は、車両の入力端や他の電池集合体10などに接続され、単独で、あるいは複数の電池集合体10を組み合わせて車両用の電池装置を構成する。
【0016】
電池集合体10は、図2に示すように冷却基板12を中央に備え、冷却基板12を挟み、冷却基板12の両側にほぼ対称に構成されている。冷却基板12を挟んで両側に設けられた保持体14と単電池16と外枠体18と絶縁板20と固定部材22と蓋体24は、同一、あるいは対称形をなしている部材である。以下、電池集合体10の冷却基板12を挟んで一方について説明し、他方の側の詳しい説明は省略する。
【0017】
冷却基板12は、平板状で、冷媒を出入りさせる接続管30を有し、接続管30に連続して冷媒を通す通路32(図3参照。)が内部に設けられている。冷却基板12の接続管30には、冷却機構が接続されている。冷却機構は、熱交換機等を備え、冷却した冷媒を接続管30から通路32内を通し、冷却基板12を冷却させる。尚、冷却機構はこれに限るものではない。
【0018】
単電池16は、ほぼ直方体で、長手方向の端面の一方に正負の両端子17が設けられている。以下、端子17が設けられている面を端子面19とし、端子面19に対向した逆側の面を端子逆面21とする。端子逆面21は、金属表面が露出しており、単電池16の内部の熱が端子逆面21から外部に伝達される熱伝達面として形成されている。
【0019】
保持体14は、樹脂製で、図3、図4にも示すように基板40と支持材42などから形成されている。基板40には、電池集合体10に組み付けられる各単電池16に対応した位置に開口部44が形成されている。開口部44は、単電池16の端子逆面21とほぼ等しい形状に形成されている。
【0020】
支持材42は、開口部44の周囲に、基板40からほぼ直角に立ち上げてあり、複数の支持材42で単電池16の端子逆面21と端子逆面21に連続した側面23を収納する枠46を形成している。
【0021】
更に支持材42には、図4に示すように単電池16を枠内に収納した際単電池16の側面23に当接する傾斜面48が形成してある。傾斜面48は、単電池16を枠46内に収納させると、単電池16の側面23で変形され、枠46内の適宜な位置で単電池16を保持するように形成されている。尚、枠46内の任意の位置で単電池16が保持されれば、支持材42には傾斜面48でなく、他の形状のものを設けてもよい。
【0022】
冷却基板12と単電池16の間には、伝熱部材31が設けられている。伝熱部材31は、熱伝導率が高く、かつ適度な弾性を有している、例えばジェル状の物質などである。物質は特に限定しない。伝熱部材31は、保持体14に単電池16を組み付けると、単電池16の固定位置によらず冷却基板12と端子逆面21との間に隙間なく充填され、冷却基板12と端子逆面21との間での熱を効率よく伝達させる。
【0023】
外枠体18は、方形の枠体で、金属板から形成されている。外枠体18の一方の端面には、周縁の4箇所にボルト50が設けられている。また、かかる外枠体18に対向する他の外枠体18の合わせ端面には、周縁の4箇所にボルト孔52を有する耳片54が設けられている。ボルト孔52は、ボルト50に対応しており、一対の外枠体18を組み合わせるとボルト50がボルト孔52を貫通する。
【0024】
絶縁板20は、樹脂製で、上下左右合わせて4枚あり、単電池16の外周面に取り付けると、絶縁板20の外周形状が外枠体18の内周形状とほぼ等しくなる。また絶縁板20には内側に突出する段差が設けてあり、絶縁板20を単電池16に取り付けると、段差が単電池16の間に入り、単電池16間に形成される間隙を保持する。
【0025】
固定部材22は、外枠体18の外側端面にねじなどで固定する。固定部材22は、格子状に形成され、外枠体18に取り付けると単電池16の端子17を露出させ、かつ端子面19を押さえる。
【0026】
固定部材22から露出した各端子17にはバスバー56が取り付けられ、単電池16を直列、あるいは並列の所定の順序で接続させる。蓋体24は、固定部材22の外方に取り付けられ、端子17などを覆う。
【0027】
上記保持体14と単電池16と外枠体18と絶縁板20と固定部材22と蓋体24は、上述したように冷却基板12を挟んでほぼ対称に設けられており、一方の外枠体18のボルト50を、対向するボルト孔52に通してねじ止めすることで、全体を固定している。
【0028】
次に、電池集合体10の作用について説明する。
【0029】
冷却基板12の両面にそれぞれ保持体14を配置する。各単電池16の端子逆面21側の端部を保持体14の枠46内に組み入れる。保持体14は、単電池16が組み入れられると、傾斜面48が塑性変形し、押し込んだ位置で単電池16を保持する。これにより各単電池16の端子面19を同一面上に整列させる。また保持体14と冷却基板12の間に設けられた伝熱部材31が、単電池16を押し込んだ位置に対応して適宜変形し、冷却基板12と単電池16の端子逆面21との間を密着させ、高い伝熱効率で接続させる。
【0030】
外枠体18を単電池16の外周に嵌め、一対の外枠体18をボルト締めする。固定部材22が単電池16を固定する。また固定部材22の格子の間から露出した各端子17にバスバー56を取り付け、電気的に連結させる。端子17(出力端子である。)に、外部電線を連結させる。
【0031】
冷媒を冷却基板12に送り、冷却面を冷却する。単電池16で発生した熱は端子逆面21から伝熱部材31を通して冷却面に伝達され、単電池16が冷却される。単電池16の冷却は、冷却基板12の両面で行われるので、電池集合体10に組み付けられた全ての単電池16が冷却基板12で冷却される。
【0032】
また電池集合体10は、端子17が電池集合体10の外方に向き、しかも端子面19が同一の平面内に整列されるので、バスバー56の端子17への取り付け作業が容易、かつ正確に行える。冷却基板12が電池集合体10の中央部分に設けられるので、単電池16を対向させて組み付けた場合に熱が蓄積されやすい電池集合体10の中心部分を冷却でき、電池集合体10の温度上昇を効果的に防止することができる。
【0033】
冷却基板12に接続される冷媒の接続管30を、電池集合体10の側面に沿って配管することにより、必要なスペースを縮小でき、電池集合体10を小さい空間に搭載できる。また冷却基板12が電池集合体10の中央に配置されるので、接続管30の先端が電池集合体10の外方に突出せず、接続管30を含めた電池集合体10の設置スペースを小さくできる。
【0034】
端子面19を電池集合体10の外方に向けて、単電池16を積層しているので、電池集合体10の高さ幅を、積層させる単電池16の数により調整でき、例えば高さ幅の小さい箇所に搭載可能な、冷却機能を有する電池集合体を提供できる。また、単電池を横に2列に並べたが、これに限るものではない。
【0035】
尚、単電池16は、端子逆面21でなく、端子面19と端子逆面21とを結ぶ単電池16の側面23を熱伝達面として形成し、この側面23を冷却基板12に近接させてもよい。
【0036】
また、正負両端子は、単電池16の同一の面になく、単電池16の異なる面に個別に設けられていてもよい。冷却基板12は、冷媒でなく、他の冷却手段による冷却方法を用いたものであってもよい。電池集合体10は、単独で車両などに組み付けても、他の電池集合体10と接続させて複数の電池集合体10で車両用の電池装置を構成してもよい。更に電池集合体10は、車両用に限らず、他の用途に用いるものでもよい。また、単電池16は電力走行可能な電気自動車、いわゆるEVやハイブリッド車の二次電池としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、単電池を複数組み合わせた電池集合体に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
10…電池集合体 12…冷却基板 14…保持体 16…単電池 17…端子 18…外枠体 19…端子面 20…絶縁板 21…端子逆面 22…固定部材 23…側面 24…蓋体 30…接続管 31…伝熱部材 40…基板 42…支持材 44…開口部 46…枠 48…傾斜面 50…ボルト 52…ボルト孔 54…耳片 56…バスバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を組み合わせた電池集合体であり、
前記単電池は、冷却基板を挟むように配置され、かつ前記単電池の端子が設けられた端子面以外の面を前記冷却基板の冷却面に、該冷却面との間で熱伝達可能な状態に組み付けられていることを特徴とする電池集合体。
【請求項2】
前記冷却基板を挟み該冷却基板の両側にそれぞれ配置された少なくとも一対の単電池は、該単電池の端子が設けられた端子面を前記電池集合体の外方とし、前記端子面に対向した端子逆面を前記冷却基板の冷却面に熱伝達可能な状態で組み付けてあることを特徴とする請求項1に記載の電池集合体。
【請求項3】
前記単電池の端子逆面側の端部が組み付けられる組付部を備えた保持部材を、前記冷却基板と前記単電池との間に配置し、
前記端子逆面と前記冷却基板の間に熱伝達部材を介在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池集合体。
【請求項4】
前記保持部材は保持片を備え、該保持片は、前記端子逆面と連続する側面に当接し、該単電池の前記端子逆面側の端部を保持する外方に広がる傾斜部を形成していることを特徴とする請求項3に記載の電池集合体。
【請求項5】
複数の単電池を組み合わせた電池集合体であり、
表裏両面に冷却面を備えた冷却基板と、
一面に正負両端子を有した端子面と、前記端子面に対向した端子逆面を備えた少なくとも一対の単電池と、
前記単電池の端子逆面側の端部を保持する保持部材と、
前記電池集合体の外郭を囲う外枠体と、を具備し、
前記冷却基板を挟み、該冷却基板の冷却面の両側に、前記保持部材を配置し、
前記端子面を前記電池集合体の外方にし、前記保持部において前記端子逆面と前記冷却基板の間に変形可能な熱伝達部材を介在させ、前記端子逆面と前記冷却基板の冷却面とを熱伝達可能とし、更に前記単電池を前記保持部材に任意の位置で保持可能とし、前記端子面を同一面に設定したことを特徴とする電池集合体。
【請求項6】
前記単電池は、自動車の駆動用電力を蓄電する二次電池としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226995(P2012−226995A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93874(P2011−93874)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】