説明

電流検出回路

【課題】過電流検出を精度良く行う電流検出回路の提供。
【解決手段】電流検出回路は、電源端子101にドレインが接続され、ソースが出力端子102に接続されたトランジスタ103と、ソースがトランジスタ103のソース及び出力端子102に接続されたトランジスタ104と、トランジスタ104のドレインと電源端子101との間に設けられた抵抗105と、トランジスタ104のドレインと抵抗105との接続点の電圧が与えられるアンプ110と、ゲートがアンプ110の出力端子に接続されたトランジスタ109と、トランジスタ109と電源端子101との間に設けられた抵抗106と、一端がトランジスタ109に接続され、他端が接地された抵抗107と、基準電圧Vrefとを比較する比較器111と、を備え、トランジスタ103及び104は、比較器111から出力される比較結果に応じた信号がゲートに与えられ、オンオフ制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MOSトランジスタに対するカレントミラー型の過電流保護装置として、特開2002−26707号公報の図4に示されるような構成が知られている。しかし、この構成では、MOSトランジスタ11とカレントミラーMOSトランジスタ13とでゲートソース間電圧が異なるため、カレントミラーMOSトランジスタ13を流れる電流を用いて、MOSトランジスタ11を流れる電流を検出する際の検出精度が低下するという問題があった。また、カレントミラーMOSトランジスタ13にはセンス抵抗70が接続されているため、短絡電流がある程度大きな値にならないとコンパレータ回路30によって過電流を検出できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−26707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、過電流を精度良く検出できる電流検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による電流検出回路は、電源電圧が与えられる第1端子にドレインが接続され、ソースが第2端子に接続された第1トランジスタと、ゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続され、ソースが前記第1トランジスタのソース及び前記第2端子に接続された第2トランジスタと、前記第2トランジスタのドレインと前記第1端子との間に設けられた第1抵抗と、前記第2トランジスタのドレインと前記第1抵抗との接続点の電圧が与えられるアンプと、ゲートが前記アンプの出力端子に接続された第3トランジスタと、前記第3トランジスタのソースと前記第1端子との間に設けられた第2抵抗と、一端が前記第3トランジスタのドレインに接続され、他端が接地された第3抵抗と、前記第3抵抗の前記一端に発生する電圧と基準電圧とを比較する比較器と、を備え、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記比較器から出力される比較結果に応じた信号がゲートに与えられ、オンオフ制御されるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、過電流を精度良く検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
【図2】同実施形態に係る電流検出回路の概略構成図である。
【図3】変形例による電流検出回路の概略構成図である。
【図4】変形例による電流検出回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る電流検出回路10は、電源回路20と負荷回路30との間に設けられ、電源回路20からの電力を負荷回路30へ供給する出力ドライバである。電源回路20は例えば車載用バッテリーであり、負荷回路30はオーディオ装置やモータ、ソレノイド等である。負荷回路30が短絡した場合、電流検出回路10には数100mA〜数Aの大電流(過電流)が流れる。電流検出回路10は過電流を検出し、デバイス破壊を防止するものである。
【0010】
図2を用いて、電流検出回路10の構成を説明する。電流検出回路10の電源端子101は電源回路10に接続され、出力端子102は負荷回路30に接続される。トランジスタ103は、NチャネルパワーMOSトランジスタであり、ドレインが電源端子101に接続され、ソースが出力端子102に接続される。
【0011】
トランジスタ104は、トランジスタ103とペア性が取れたNチャネルMOSトランジスタであり、ゲート及びソースがそれぞれトランジスタ103のゲート及びソースに接続される。トランジスタ104はトランジスタ103よりサイズが小さい。トランジスタ103及び104は、制御信号CSがバッファ108を介してゲートに与えられ、オン/オフ制御される。
【0012】
トランジスタ104のドレインは抵抗105を介して電源端子101に接続される。また、トランジスタ104のドレインはアンプ110の反転入力端子に接続される。アンプ110の出力端子はトランジスタ109のゲートに接続される。トランジスタ109はPMOSトランジスタであり、ソースが抵抗106及びアンプ110の非反転入力端子に接続され、ドレインが抵抗107に接続される。
【0013】
抵抗106は、一端がトランジスタ109のソースに接続され、他端が電源端子101に接続される。抵抗107は、一端がトランジスタ109のドレインに接続され、他端は接地される。
【0014】
コンパレータ111は、トランジスタ109と抵抗107との接続点における電圧と、電源120による基準電圧Vrefが与えられ、比較結果を出力する。基準電圧Vrefは、電流検出回路10が搭載される装置の内部の基準電源を用いて作成してもよいし、ツェナーダイオードやバンドギャップ基準電圧回路により作成してもよい。
【0015】
コンパレータ111から出力された比較結果はマイコン等により構成される制御部130に与えられる。制御部130は受け取った比較結果に基づいて制御信号CSを出力する。なお、制御部130は電流検出回路10の外部に設けられていてもよい。
【0016】
次に、電流検出回路10の動作について説明する。ここでは、抵抗105の抵抗値をR2、抵抗106の抵抗値をR1、抵抗107の抵抗値をR3とする。
【0017】
制御信号CSによりトランジスタ103及び104がオンすると、トランジスタ103には電流Id1が流れ、トランジスタ104には電流Id2が流れる。通常、トランジスタ104はトランジスタ103よりもサイズが小さいものを使用する。電流Id2は、電流Id1とトランジスタ103、104のサイズ比により決まり、例えば数十μA〜数mA程度である。
【0018】
アンプ110、トランジスタ109、及び抵抗106によって構成されるV/I変換回路は、Id2×R2の電圧値を持つ電圧をV/I変換し、抵抗106に電流を流す。この電流により、抵抗107に電圧が発生する。
【0019】
コンパレータ111は、抵抗107に発生した電圧と基準電圧Vrefとを比較し、比較結果を出力する。電流Id1が電流検出値(過電流検出の閾値となる電流値)Ioutを超えると、抵抗107に発生した電圧が基準電圧Vrefより大きくなる。制御部130は、コンパレータ111から出力される比較結果から、トランジスタ103に過電流が流れているか否かを検出できる。
【0020】
電流検出値Ioutは以下の数式で表すことができる。なお、M1/M2はトランジスタ103のサイズ(M1)とトランジスタ104のサイズ(M2)との比を示す。
【数1】

【0021】
上記の数式から、電流検出値Ioutは、トランジスタ103、104のサイズ比や、抵抗105〜107の抵抗値を変更することで、容易に変えられることが分かる。
【0022】
制御部130は、コンパレータ111の出力から、トランジスタ103に電流検出値Ioutを超える過電流が流れていることを検出すると、制御信号CSによりトランジスタ103をオフさせる。これにより、トランジスタ103の破壊を防止することができる。
【0023】
本実施形態に係る電流検出回路10においては、電流検出のための抵抗がトランジスタ104に直列接続されており、出力トランジスタ(トランジスタ103)に直列に接続されていないため、トランジスタ103のオン抵抗を小さくできる。また、基準電圧Vrefが接地電位に対して作成されるため、電源120の回路を容易に構成できる。また、トランジスタのサイズや抵抗値を変更することで、電流検出値Ioutを所望の値に設定することができ、出力トランジスタを流れる過電流を精度よく検出できる。
【0024】
上記実施形態において抵抗107の抵抗値R3は抵抗106の抵抗値R1より大きいことが好ましい。抵抗値R3を大きくすることで、基準電圧Vrefを大きい値にすることができ、コンパレータ111のオフセットの影響を小さくでき、過電流の検出精度を向上できる。
【0025】
上記実施形態では制御部130がコンパレータ111の出力に基づいて制御信号CSを生成していたが、図3に示すように、コンパレータ111の出力信号をバッファ108に与えて、トランジスタ103のオンオフ制御を行っても良い。
【0026】
また、図4に示すように、ゲートにコンパレータ111の出力信号が与えられるトランジスタ140を、トランジスタ103及び104のゲート−ソース間に設けるような構成にしてもよい。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 電流検出回路
20 電源回路
30 負荷回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が与えられる第1端子にドレインが接続され、ソースが第2端子に接続された第1トランジスタと、
ゲートが前記第1トランジスタのゲートに接続され、ソースが前記第1トランジスタのソース及び前記第2端子に接続された第2トランジスタと、
前記第2トランジスタのドレインと前記第1端子との間に設けられた第1抵抗と、
前記第2トランジスタのドレインと前記第1抵抗との接続点の電圧が与えられるアンプと、
ゲートが前記アンプの出力端子に接続された第3トランジスタと、
前記第3トランジスタのソースと前記第1端子との間に設けられた第2抵抗と、
一端が前記第3トランジスタのドレインに接続され、他端が接地された第3抵抗と、
前記第3抵抗の前記一端に発生する電圧と基準電圧とを比較する比較器と、
を備え、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記比較器から出力される比較結果に応じた信号がゲートに与えられ、オンオフ制御されることを特徴とする電流検出回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートには前記比較結果が与えられることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートとソースとの間に設けられ、ゲートに前記比較結果が与えられる第4トランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項4】
前記第3抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値より大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電流検出回路。
【請求項5】
前記基準電圧は、接地電位に対して作成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電流検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−205180(P2011−205180A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67747(P2010−67747)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】