説明

電源制御装置及び電源制御方法

【課題】周辺装置に接続されたサーバ及び周辺装置の電源制御に関し、電源制御機能に周辺装置の状態情報の送受機能を関係付け、状態情報の通報機能を強化し、電源制御の信頼性を高める。
【解決手段】周辺装置(周辺装置群44、TVC20)がサーバ(PLP24)に接続され、情報の授受を行う。電源制御手段(PCU30)は、サーバの給電状態を監視し、サーバが非給電状態にある場合に周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を周辺装置から取得し、サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に周辺装置の前記状態情報をサーバに付与する。周辺装置の状態情報はサーバの給電を監視している電源制御手段からサーバに確実に送られ、サーバ側はその状態情報を正確に認識して周辺装置との連携が構築され、状態情報の喪失等の不都合の回避、電源制御の信頼性の向上、情報処理の円滑化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録テープ以外の記憶装置を用いるバーチャルテープライブラリを備える情報処理システム等の電源制御に関し、特に、周辺装置に接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御に用いられる電源制御装置及び電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の記憶システム等、各種の情報処理システムでは、複数の周辺装置を備えており、電源制御と情報処理に伴う状態制御とは密接な関係がある。電源遮断中に情報を伝送しても、情報を授受することはできない等、情報処理は相手装置の状態に支配される。
【0003】
このような装置間の情報授受を伴う情報処理に関し、特許文献1には、コミュニケーション管理サーバ、イベント発信サイト、イベント受信サイトの3つのソフトウェアコンポーネントによりワークフローを管理するシステムについて、コミュニケーション管理サーバは、イベント受信サイトから、特定イベントの発生の通知依頼としてイベント通知リクエストを受け、イベント発信サイトに対し、イベントの発生監視依頼としてイベント監視リクエストを送信し、イベント発生を検出した場合には、イベント発信サイトからイベント発生メッセージを受け、イベント受信サーバにイベント通知メッセージを送信してイベントの発生を知らせることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、二重化された監視/制御プロセッサ間相互で通信を行うための通信手段を設け、発生した事象を監視/制御プロセッサ間で相互に通知し、互いに相互の状態を把握し、また、二重化された監視/制御プロセッサ間で一定時間毎に所定の通知事象を交換することにより、互いに監視/制御プロセッサの動作を監視し、データ送信の際に、送信されたシーケンス番号により受信エラー発生時の再送処理を行う等が開示されている。
【特許文献1】特開2002−109170号公報(要約、図1等)
【特許文献2】特開平10−154085号公報(要約、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、監視サーバで監視される複数の周辺装置を備える情報処理システムにおいて、バーチャル磁気テープ・ライブラリシステム100では、図10に示すように、監視(制御)サーバ(PLP:Physical Library Processor))102が周辺装置であるテープライブラリ装置(LT)104、106、LANハブ(LAN−Hub)108、ファイバーチャネルスイッチ(FC−SW)110、モデム(SIR)112、レイド(RAID)114、電源制御部(PCU:Power Control Unit)116等の電源情報(TRAP)を一括して受信し、上位サーバ(VLP:Virtual Library Processor )118にエラー情報を報告する。この場合、LT106、LAN−Hub108、FC−SW110、SIR112は、リモメン(REMCS:REMote Customer Support system)機能の未サポートの装置群120であり、これら装置群120の各REMCS通報もPLP102からVLP118に送信される。REMCS通報は、遠隔保守のためのサービスであって、遠隔集中監視センター、この場合、VLP118に付与され、トラブルの予兆やトラブルの発生を察知し、必要な対応の契機となる。この場合、バーチャル磁気テープ・ライブラリシステム100の電源投入/切断処理は、PCU116で実行され、PLP102の起動前に障害が発生し、TRAP通知されても、そのTRAP受信やREMCS通報は実行されない。図10において、Tr1、Tr2、Tr3、Tr4、Tr5、Tr6・・・TrmはTRAP通知であり、Trem1、Trem2・・・TremmはREMCS通報である。
【0006】
このように監視サーバが立ち上がっていない場合に周辺装置に電源遮断が生じていても、監視サーバでは、周辺装置の電源遮断が通知されていないため、電源遮断を表す通知情報(TRAP情報)の喪失となり、TRAP喪失を防止することができない。
【0007】
斯かる要求や課題について、特許文献1、2にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、周辺装置に接続されたサーバ及び周辺装置の電源制御に関し、電源制御機能に周辺装置の状態情報の送受機能を関係付け、状態情報の通報機能を強化し、電源制御の信頼性を高めることにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、周辺装置から取得した状態情報をサーバに確実に通報し、情報処理の円滑化に寄与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、磁気記録テープ以外の記憶装置を用いるバーチャルテープライブラリを構成する記憶システム等の各種システムの電源制御に関し、ホストコンピュータや上位サーバ等と連携されるサーバは周辺装置に接続され、情報の授受を行う。電源制御手段は、サーバの給電状態を監視し、サーバが非給電状態にある場合に周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を周辺装置から取得し、サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に周辺装置の前記状態情報をサーバに付与する。斯かる構成により、周辺装置の状態情報はサーバの給電を監視している電源制御手段からサーバに確実に送られ、サーバ側はその状態情報を正確に認識して周辺装置との連携が構築され、状態情報の喪失等の不都合が回避され、電源制御の信頼性が高められ、情報処理の円滑化が図られる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御装置であって、前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得し、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与する電源制御手段を備えることである。斯かる構成によれば、サーバの給電を監視する電源制御手段にサーバが非給電状態にある場合に、周辺装置から取得した状態情報を保持し、その状態情報を給電状態に移行したサーバに付与することができ、サーバには周辺装置の状態情報が付与されるので、電源制御の信頼性が高められ、情報処理の円滑化が図られる。
【0012】
上記目的を達成するためには、上記電源制御装置において、好ましくは、前記電源制御手段は、前記周辺装置に対する給電を制御するとともに、前記周辺装置のエラー監視を行う構成としてもよく、また、前記電源制御手段は、前記状態情報を格納する記憶手段と、前記サーバの給電を監視する監視部とを備え、前記サーバに対する給電が解除されたことを契機に、前記周辺装置の前記状態情報を前記記憶手段に格納する構成としてもよく、また、前記電源制御手段は、前記サーバと情報の送受を行う情報送受手段を備え、前記サーバが非給電状態にある場合に前記周辺装置から取得した前記状態情報を、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行したことを契機に前記サーバに付与する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御方法であって、前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得するステップと、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与するステップとを含むことことである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0015】
(1) 電源制御装置によれば、周辺装置に接続されたサーバの給電状態を監視し、サーバが非給電状態にある場合に、周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を周辺装置から取得して保持し、この状態情報をサーバが非給電状態から給電状態に移行した場合にサーバに付与するので、周辺装置の状態情報の通報機能が強化されるとともに、電源制御の信頼性が高められ、情報処理の信頼性及び円滑化を向上させることができる。
【0016】
(2) 電源制御方法によれば、周辺装置に接続されたサーバの給電状態を監視し、サーバが非給電状態にある場合に、周辺装置が正常に動作しているか否かを表す状態情報を周辺装置から取得して保持し、その状態情報をサーバが非給電状態から給電状態に移行した場合にサーバに付与することができ、サーバに対する周辺装置の状態情報の通報機能が強化されるとともに、電源制御の信頼性が高められ、情報処理の信頼性及び円滑化を図ることができる。
【0017】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔第1の実施の形態〕
【0019】
第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係るバーチャルテープシステムを示す図である。図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0020】
このバーチャルテープシステム2は、情報処理装置、電源制御装置及びその方法の一例であって、磁気記録テープ以外の記憶手段を用いて構成されるバーチャルテープライブラリ4を備え、この実施の形態では、バックエンドテープライブラリ装置6が設置されている。バーチャルテープライブラリ4は、ハードディスク装置等、磁気テープ以外の記憶装置を記憶手段に用いて磁気記録テープライブラリと同様の情報記憶を実現するものである。バックエンドテープライブラリ装置6はバーチャルテープライブラリ4のバックアップ手段を構成し、必要に応じて設置される記憶手段である。バーチャルテープシステム2にはグローバルサーバ8が接続され、このグローバルサーバ8は主装置即ち、ホストコンピュータであって、バーチャルテープライブラリ4は、グローバルサーバ8に含まれるハードウェアと、グローバルサーバ8によって実行されるソフトウェアとによって構成される。このバーチャルテープライブラリ4は、グローバルサーバ8側から見れば、従来の磁気テープライブラリと同様に記憶システムを構成している。
【0021】
グローバルサーバ8には、バーチャルテープライブラリ4を構成し、且つ機能させるためのソフトウェアとしてバーチャルテープ制御ソフトウェア10が搭載され、このソフトウェア10はプログラム記憶部に格納され、実行に当たっては図示しないワークメモリに展開される。図示しないが、実行手段であるプロセッサが設置されている。この実施の形態では、バーチャルテープライブラリ4に対して制御情報等を付与するための手段として、制御インタフェース部12、バーチャルテープライブラリ4に対する情報の書込み及び/又は読出し用ドライブを駆動するための手段として、ドライブインタフェース部14が設置されている。
【0022】
バーチャルテープライブラリ4には、ICP(Integrated Channel Processor)群16、IDP(Integrated Device Processor )群18、TVC(Tape Volume Cache )20、第1のサーバとして複数のVLP(Virtual Library Processor )22、第2のサーバとしてPLP(Physical Library Processor)24、LAN−Hub26、複数のFC−SW28、複数の電源制御部(PCU:Power Control Unit)30を備えている。
【0023】
ICP群16は、グローバルサーバ8のドライブインタフェース部14と連携されてホストインタフェース制御、バーチャルテープドライブ群160のエミュレーションや圧縮処理を実行する処理手段であって、複数のICP161・・16Nを備え、各ICP161・・16Nには複数のバーチャルテープドライブ群160が備えられている。この実施の形態では、36トラックエミュレートと、圧縮処理とを実行している。
【0024】
IDP群18は、バックエンドテープライブラリ装置6の実ドライブの制御手段であって、複数のIDP181・・・18Nを備えている。各IDP181・・・18Nは、バックエンドテープライブラリ装置6の複数のテープライブラリ61・・・6Nに対応している。
【0025】
TVC20は磁気テープ以外の記憶手段であって、テープボリュームキャッシュ用のレイド(RAID)ストレージと、ファイルシステムを構成し、複数の論理ボリューム群200を備えている。
【0026】
VLP22は、LAN−Hub26を介してグローバルサーバ8との制御情報の授受を行うとともに、論理ボリューム及び/又は物理ボリュームの管理と、マウント/アンマウントの制御を実行する処理手段即ち、上位サーバであり、FC−SW28を切り替える手段である。
【0027】
PLP24は、バックエンドテープライブラリ装置6のロボットのマウント及びアンマウントを制御する制御サーバ等の制御手段であって、ロボット制御用ソフトウェア32を備えている。
【0028】
LAN−Hub26はLAN等の配線用の集線装置であって、グローバルサーバ8の制御インタフェース部12にLAN−Hub26を介してVLP22、PLP24、PCU30、バックエンドテープライブラリ装置6のテープライブラリ61・・・6N、運用コンソール34が接続される。運用コンソール34は、バーチャルテープライブラリ4の処理に人的に介入するための制御盤である。
【0029】
FC−SW28は、VLP22の制御により、ICP群16にあるICP161・・・16N、IDP群18にあるIDP181・・・18Nや、TVC20を選択する選択手段である。
【0030】
PCU30は、バーチャルテープライブラリ4及び/又はバックエンドテープライブラリ装置6の各種機能装置の給電のON/OFF、給電状態の監視等の給電制御手段、VLP22、PLP24のシャットダウン処理の処理手段であるとともに、LAN−Hub26、FC−SW28等の周辺装置の状態情報(TRAP情報)を取得し、その状態情報をPLP24に付与する処理手段即ち、制御サーバを構成する。ここで、状態情報とは、LAN−Hub26、FC−SW28等の周辺装置が正常に動作しているか否かを示す情報である。PCU30は、PLP24に対する給電監視を行うので、PLP24が非給電状態にある場合に周辺装置から取得した状態情報を、給電状態に移行したPLP24に付与する給電制御に対応した情報授受の機能を備えている。従って、PCU30、電源制御対象であるVLP22、PLP24等の各種機能部、状態情報を取得する対象である周辺装置を備えることにより、電源制御に対応した状態情報の授受を行う電源制御装置40(図2)が構成される。
【0031】
バックエンドテープライブラリ装置6には、テープライブラリ61・・・6N、ロボットインタフェース36、ドライブインタフェース381・・・38Nが備えられている。テープライブラリ61・・・6Nは、記憶手段として磁気テープを用いたライブラリである。ロボットインタフェース36は、磁気テープをカートリッジ単位でカートリッジロッカとドライブとの間を搬送するロボットの駆動、テープカートリッジの把持及びその解除等の制御信号の授受に用いられる。また、ドライブインタフェース381・・・38Nは、磁気テープの書込み又は読出しに用いる書込み又は読出し用ドライブの読出しデータ又は書込みデータの授受に用いられる。
【0032】
このようなバーチャルテープシステム2では、バーチャルテープライブラリ4及び/又はバックエンドテープライブラリ装置6を記憶手段に用いて、グローバルサーバ8の情報処理に用いる情報の格納や読出し等の情報処理が行われる。バックエンドテープライブラリ装置6は、バーチャルテープライブラリ4の情報記憶のバックアップを行い、処理の信頼性を高めている。
【0033】
そして、このようなバーチャルテープシステム2では、PCU30が周辺装置であるテープライブラリ61・・・6N、LAN−Hub26、FC−SW28、モデム42(図2)、TVC20等の状態情報(例えば、TRAP情報)を一括で受信し、制御サーバであるPLP24に通報し、これを上位サーバであるVLP22にエラー情報として通報する。この場合、トラブル情報やトラブル予兆情報等の情報(REMCS)もVLP22に一括して送信する。この場合、PCU30が電源投入及び切断処理を実行し、PLP24の起動前に生じた障害情報はPCU30で取得し、これをTRAP通知としてPLP24の起動後に通報する。
【0034】
次に、電源制御装置について、図2、図3、図4及び図5を参照する。図2は、電源制御装置を示す図、図3は、PCUを示す図、図4は、TRAP情報テーブルを示す図、図5は、TRAP情報の評価処理を示す図である。図2、図3、図4及び図5に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図2及び図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0035】
この電源制御装置40は、既述のバーチャルテープシステム2に搭載された電源制御システムであって、グローバルサーバ8を最上位サーバ、VLP22を上位サーバとして構成され、VLP22の下位にあるPLP24と周辺装置との間にPCU30が設置されている。
【0036】
PCU30には、バーチャルテープライブラリ4の周辺装置として、テープライブラリ61、TVC20、LAN−Hub26、FC−SW28、モデム42、テープライブラリ62・・・が接続され、LAN−Hub26、FC−SW28、モデム42、テープライブラリ62は周辺装置群44を構成し、テープライブラリ61、TVC20、LAN−Hub26、FC−SW28、モデム42、テープライブラリ62の状態情報であるTRAP情報45が取得される。この場合、テープライブラリ61、TVC20から発せられた管理情報(例えば、REMCS)46は、VLP22に通報される。
【0037】
このPCU30は、図3に示すように、プロセッサ48、プログラム部50、RAM(Random-Access Memory)52、送信バッファ54、通信部56を備えている。プロセッサ48は、電源制御及び状態情報の取得、その保持、通報等の制御を実行する制御手段であって、プログラム部50にある電源制御プログラムを実行し、PLP24の他、各種周辺装置群44からTRAP情報の取得、その保持、その通報等の制御を実行する。
【0038】
プログラム部50は既述の電源制御プログラムを格納し、RAM52はワークメモリを構成する。送信バッファ54は、取得した状態情報等を記憶する記憶手段であって、TRAP情報テーブル58(図4)を備えている。通信部56は他の機能部とのデータ通信を行う通信手段であって、PLP24、テープライブラリ61、TVC20、周辺装置群44等の周辺装置とのTRAP情報の受信や電源制御信号の送信に用いられる。
【0039】
TRAP情報テーブル58は、送信バッファ54(図3)に設置され、図4に示すように、周辺装置に対して識別情報であるIPアドレスを付与し、周辺装置から取得したTRAP情報45が格納されている。
【0040】
また、TRAP情報45の評価と電源制御の関係について、図5を参照すると、TRAP情報45が電源制御の基準レベルであるエラーレベルLeに到達すれば、給電停止(電源OFF)、エラーレベルLe以下であれば、給電継続(電源ON)とする。
【0041】
以上の構成において、PCU30が電源切断時又は電源投入処理中(即ち、非給電状態)である場合にはPLP24は活性状態にないので、PCU30では、給電状態の監視とともに、TRAP情報45を保持する。電源が投入され、PLP24が給電状態に移行し、活性状態となった場合に、PCU30に保持されているTRAP情報45がPLP24に送信される。即ち、PCU30による給電制御に基づき、PLP24が非活性状態(ハングアップ)の場合にPCU30に保持させたTRAP情報45が、PLP24が復旧した場合、即ち、活性状態に移行した場合にPLP24に送信されるので、TRAP情報の喪失という不都合を回避でき、状態情報の伝達精度が高められる。
【0042】
次に、電源投入について、図6を参照する。図6は、電源投入の処理手順を示すフローチャートである。図6に示す処理手順は一例であって、図6の処理手順に本発明が限定されるものではない。
【0043】
この処理手順は、電源制御方法又は電源制御プログラムの一例であって、PCU30の交流(AC)電源を投入すると(ステップS11)、周辺装置である例えば、LAN−Hub26、FC−SW28、モデム42の順にAC電源を投入し(ステップS12)、これらのエラー監視(Idle)を行う(ステップS13)。
【0044】
このエラー監視において、電源ONの指示を監視し(ステップS14)、電源ONの指示がなければ(ステップS14のNO)、電源ONの指示の監視を継続する。電源ONの指示があれば(ステップS14のYES)、運用コンソール34やセレクタのAC電源を投入する(ステップS15)。続いて、TVC20及びテープライブラリ61・・・6Nの電源投入の指示を発行し(ステップS16)、PLP24、VLP22等の順にAC電源を投入する(ステップS17)。この場合、下位にあるPLP24から、ICP161・・・16N、IDP181・・・18Nを経て上位のサーバであるVLP22の電源を投入する。このような電源投入の後、エラー監視を行い(ステップS18)、この電源投入の処理の実行を完了させる。
【0045】
次に、電源切断(遮断)について、図7を参照する。図7は、電源切断の処理手順を示すフローチャートである。図7に示す処理手順は一例であって、図7の処理手順に本発明が限定されるものではない。
【0046】
この処理手順は、電源制御方法又は電源制御プログラムの一例であって、電源供給の継続中、エラー監視が実行され(ステップS21)、電源OFFの指示を監視し(ステップS22)、電源OFFの指示がなければ(ステップS22のNO)、電源OFFの指示の監視を継続する。
【0047】
また、電源OFFの指示があれば(ステップS22のYES)、VLP22、PLP24のシャットダウン処理を実行し(ステップS23)、続いて、TVC20、テープライブラリ61・・・6Nの電源切断の指示を発行し(ステップS24)、続いて、運用コンソール34のAC電源を切断する(ステップS25)。この場合、セレクタが設置されていれば、セレクタのAC電源を切断する。
【0048】
これらの電源切断の後、VLP22、PLP24等の順に電源を切断する(ステップS26)。この場合、上位にあるVLP22から、PLP24、IDP181・・・18N、ICP161・・・16Nの順に電源を切断する。このような電源切断の後、エラー監視を行い(ステップS27)、この電源切断の処理の実行を完了させる。
【0049】
次に、電源制御について、図8を参照する。図8は、電源制御の処理手順を示すフローチャートである。図8に示す処理手順は一例であって、図8の処理手順に本発明が限定されるものではない。
【0050】
この処理手順は、電源制御方法又は電源制御プログラムの一例であって、LAN−Hub26、FC−SW28、テープライブラリ62、モデム42等の周辺装置群44のTRAP送信先のIPアドレスに電源制御のIPアドレスを追加する(ステップS31)。PCU30は、周辺装置群44からのTRAP情報受信の監視を継続し(ステップS32)、TRAP情報の受信があれば(ステップS32のYES)、TRAP情報の内容がエラーレベルにあるか否かを判定し(ステップS33)、TRAP情報の内容がエラーレベルに到達していなければ(ステップS33のNO)、ステップS32に戻り、TRAP受信の監視を継続する。また、TRAP情報の内容がエラーレベルに達していれば(ステップS33のYES)、PLP24が電源OFFか否かを判定し(ステップS34)、電源OFFでなければ(ステップS34のNO)、ステップS32に戻り、TRAP情報受信の監視を継続する。
【0051】
PLP24が電源OFFであれば(ステップS34のYES)、TRAP情報をPCU30の送信バッファ54に格納し(ステップS35)、PLP24が電源ONか否かを判定し(ステップS36)、電源ONでなければ(ステップS36のNO)、電源ONになるまで待機し、電源ONであれば(ステップS36のYES)、送信バッファ54に格納されているTRAP情報をPLP24に送信し(ステップS37)、TRAP情報の電源に関する制御を完了する。
【0052】
〔第2の実施の形態〕
【0053】
第1の実施の形態では、管理情報46をVLP22に直接通報する構成としたが、TRAP情報45と同様に、PCU30の送信バッファ54(図3)に格納し、この送信バッファ54の管理情報46を通信部56を通してVLP22に通報する構成としてもよい。斯かる構成とすれば、PLP24が非給電状態にある場合でも、管理情報46を上位サーバであるVLP22を通してグローバルサーバ8側に伝達でき、迅速且つ適切な保守管理に寄与することができる。図9において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
〔他の実施の形態〕
【0055】
上記実施の形態では、情報処理装置としてバーチャルテープシステム2を例示して説明したが、本発明は、周辺機器を備えるサーバや、制御装置における電源制御と状態情報による制御を伴う各種の情報処理装置に適用できるものであって、上記実施の形態のバーチャルテープシステム2やバーチャルテープシステム2を含む情報処理に限定されるものではない。
【0056】
次に、以上述べた本発明の実施の形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0057】
(付記1) 周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御装置であって、
前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得し、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与する電源制御手段を備えることを特徴とする電源制御装置。
【0058】
(付記2) 付記1記載の電源制御装置において、
前記電源制御手段は、前記周辺装置に対する給電を制御するとともに、前記周辺装置のエラー監視を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0059】
(付記3) 付記1記載の電源制御装置において、
前記電源制御手段は、前記状態情報を格納する記憶手段と、前記サーバの給電を監視する監視部とを備え、前記サーバに対する給電が解除されたことを契機に、前記周辺装置の前記状態情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする電源制御装置。
【0060】
(付記4) 付記1記載の電源制御装置において、
前記電源制御手段は、前記サーバと情報の送受を行う情報送受手段を備え、前記サーバが非給電状態にある場合に前記周辺装置から取得した前記状態情報を、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行したことを契機に前記サーバに付与することを特徴とする電源制御装置。
【0061】
(付記5) 付記1記載の電源制御装置において、
前記周辺装置は、ストレージ装置、ハブ又はモデムの何れか1つ又は複数であることを特徴とする電源制御装置。
【0062】
(付記6) 周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御プログラムであって、
前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得するステップと、
前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与するステップと、
を含むことを特徴とする電源制御プログラム。
【0063】
(付記7) 付記6記載の電源制御プログラムにおいて、
前記周辺装置に対する給電を制御するステップと、
前記周辺装置のエラー監視を行うステップと、
を含むことを特徴とする電源制御プログラム。
【0064】
(付記8) 付記6記載の電源制御プログラムにおいて、
前記サーバが非給電状態にある場合、前記周辺装置から取得した前記状態情報を記憶手段に格納するステップを含むことを特徴とする電源制御プログラム。
【0065】
(付記9) 周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御プログラムをコンピュータに読取り可能に格納した記録媒体であって、
前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得するステップと、
前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与するステップと、
を含む電源制御プログラムをコンピュータに読取り可能に格納したことを特徴とする記録媒体。
【0066】
(付記10) 付記9記載の記録媒体において、
前記周辺装置に対する給電を制御するステップと、
前記周辺装置のエラー監視を行うステップと、
を含むことを特徴とする記録媒体。
【0067】
(付記11) 付記9記載の記録媒体において、
前記サーバが非給電状態にある場合、前記周辺装置から取得した前記状態情報を記憶手段に格納するステップを含むことを特徴とする記録媒体。
【0068】
(付記12) 周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御方法であって、
前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得するステップと、
前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与するステップと、
を含むことを特徴とする電源制御方法。
【0069】
(付記13) 付記12記載の電源制御方法において、
前記周辺装置に対する給電を制御するステップと、
前記周辺装置のエラー監視を行うステップと、
を含むことを特徴とする電源制御方法。
【0070】
(付記14) 付記12記載の電源制御方法において、
前記サーバが非給電状態にある場合、前記周辺装置から取得した前記状態情報を記憶手段に格納するステップを含むことを特徴とする電源制御方法。
【0071】
(付記15) 磁気記録テープ以外の記憶手段を用いてバーチャルテープライブラリを構成し、複数の周辺装置を備える記憶システムであって、
ホストコンピュータと接続されて情報の授受を実行する第1のサーバと、
前記第1のサーバと情報の授受を行うとともに、前記周辺装置に接続されて情報の授受を行う第2のサーバと、
前記第2のサーバの給電状態を監視し、前記第2のサーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得し、前記第2のサーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記第2のサーバに付与する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする記憶システム。
【0072】
(付記16) 付記15記載の記憶システムにおいて、前記電源制御手段は、前記周辺装置に対する給電を制御するとともに、前記周辺装置のエラー監視を行うことを特徴とする記憶システム。
【0073】
(付記17) 付記15記載の記憶システムにおいて、前記電源制御手段は、前記状態情報を格納する記憶手段と、前記第2のサーバの給電を監視する監視部とを備え、前記第2のサーバに対する給電が解除されたことを契機に、前記周辺装置の前記状態情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする記憶システム。
【0074】
(付記18) 付記15記載の記憶システムにおいて、 前記電源制御手段は、前記第2のサーバと情報の送受を行う情報送受手段を備え、前記第2のサーバが非給電状態にある場合に前記周辺装置から取得した前記状態情報を、前記第2のサーバが非給電状態から給電状態に移行したことを契機に前記第2のサーバに付与することを特徴とする記憶システム。
【0075】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、周辺装置が接続されたサーバ及び周辺装置を備える電源制御装置及び電源制御方法に関し、周辺装置に接続されたサーバの給電状態を監視し、サーバが非給電状態にある場合に、周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得し、サーバが給電状態に復帰した場合に前記状態情報を付与するので、サーバの給電制御に関係付けて周辺装置の状態をサーバ側で的確に把握でき、状態情報の通報機能を強化し、電源制御の信頼性を向上させ、情報処理の信頼性及び円滑化の向上に寄与し、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施の形態に係るバーチャルテープシステムを示す図である。
【図2】電源制御装置の構成例を示す図である。
【図3】電源制御部の構成例を示す図である。
【図4】送信バッファのTRAP情報テーブルの構成例を示す図である。
【図5】TRAP情報レベルに応じた電源制御を示す図である。
【図6】電源投入の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】電源切断の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】電源制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る電源制御装置の構成例を示す図である。
【図10】従来のバーチャルテープシステムを示す図である。
【符号の説明】
【0078】
2 バーチャルテープシステム
4 バーチャルテープライブラリ
6 バックエンドテープライブラリ装置
8 グローバルサーバ
20 TVC
22 VLP
24 PLP
26 LAN−Hub
28 FC−SW
30 PCU
40 電源制御装置
42 モデム
44 周辺装置群
61〜6N テープライブラリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御装置であって、
前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得し、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与する電源制御手段を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源制御装置において、
前記電源制御手段は、前記周辺装置に対する給電を制御するとともに、前記周辺装置のエラー監視を行うことを特徴とする電源制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の電源制御装置において、
前記電源制御手段は、前記状態情報を格納する記憶手段と、前記サーバの給電を監視する監視部とを備え、前記サーバに対する給電が解除されたことを契機に、前記周辺装置の前記状態情報を前記記憶手段に格納することを特徴とする電源制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の電源制御装置において、
前記電源制御手段は、前記サーバと情報の送受を行う情報送受手段を備え、前記サーバが非給電状態にある場合に前記周辺装置から取得した前記状態情報を、前記サーバが非給電状態から給電状態に移行したことを契機に前記サーバに付与することを特徴とする電源制御装置。
【請求項5】
周辺装置が接続されたサーバ及び前記周辺装置の電源制御を行う電源制御方法であって、
前記サーバの給電状態を監視し、前記サーバが非給電状態にある場合には前記周辺装置から前記周辺装置が正常に動作しているか否かを示す状態情報を取得するステップと、
前記サーバが非給電状態から給電状態に移行した場合に前記周辺装置の前記状態情報を前記サーバに付与するステップと、
を含むことを特徴とする電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−181239(P2009−181239A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18316(P2008−18316)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(592019877)富士通周辺機株式会社 (149)
【Fターム(参考)】