説明

電源回路及び電子機器

【課題】外部電源との接触状態が不安定な場合でも所定の電圧を安定して出力することができる電源回路及び電子機器を提供する。
【解決手段】電源回路1において、入力端子11と出力端子12との間にnMOS13を接続する。また、エラーアンプ20を設け、その出力部20cをnMOS13のゲート電極13gに接続し、負極側入力部20aを抵抗14を介して出力端子12に接続し、正極側入力部20bを配線24を介して参照端子23に接続する。参照端子23には参照電位Vrefが入力され、配線24には抵抗R及び容量Cが付加されている。そして、入力端子11に供給電位Vspplyが供給されているときは、配線24を接地電位GNDから絶縁し、入力端子11に供給電位Vspplyが供給されないときは、配線24を接地電位GNDに接続するリセット用スイッチ部26を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び電子機器に関し、特に、未知の入力電位を所定の出力電位に変換する電源回路及びこの電源回路を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯用の電子機器においては、電源として二次電池が内蔵されており、この二次電池を繰り返し充電して使用する。二次電池を充電する際には、通常、専用のアダプタを用いて、電子機器に所定の充電用電圧を供給する。しかしながら、例えば、外国等においては、所定の充電用電圧が得られないことがある。この場合、所定の充電用電圧よりも高い電圧を電子機器に印加してしまうと、電子機器が破壊される虞がある。
【0003】
この対策として、電子機器の充電用端子と二次電池との間に電源回路を設け、充電用端子に所定の充電用電圧よりも高い電圧が印加された場合には、電源回路をオフ状態とする技術が知られている。これにより、電子機器が破壊されることを回避できる。しかし、この技術によると、安定的に所定の充電用電圧が得られず、所定の充電用電圧よりも高い電圧が不安定に印加されるような国や地域では二次電池を充電することができず、その国や地域ではその電子機器を使用できないという問題がある。
【0004】
一方、充電用端子に供給される電圧によって電流経路を切り分け、供給電圧が所定値よりも高い場合にはレギュレータに通電させて電圧を降下した上で二次電池に供給し、供給電圧が所定値よりも低い場合にはレギュレータを介さずに二次電池に供給する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、供給される電圧が所定の充電用電圧よりも高い場合でも、電子機器を破壊することなく、充電することができる。
【0005】
しかしながら、電子機器を充電するときには、使用者が手動で電子機器をアダプタに接続する。例えば、電子機器を充電用の台座に載置することにより、電子機器の充電用電極を台座の電極に接触させたり、アダプタのプラグを電子機器の充電用端子に差し込んだりする。しかし、これらの作業の際にはアダプタと電子機器との間の接続状態が不安定になり、電子機器に電圧が断続的に入力されてしまう。これにより、電子機器の内部でラッシュ電圧が発生し、過渡的に高電圧が印加されてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−178196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、外部電源との接触状態が不安定な場合でも所定の電圧を安定して出力することができる電源回路及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、入力端子と出力端子の間に接続され、入力される制御電位に応じて抵抗値が変化するパワースイッチ部と、一方の入力部が前記出力端子に接続され、他方の入力部に印加される電位に対して前記一方の入力部に印加される電位が高いほど、出力部から前記パワースイッチ部の抵抗値を大きくするような前記制御電位を出力するエラーアンプと、参照電位が印加される参照端子を前記他方の入力部に接続する配線と、前記入力端子に電位が供給されているときは、前記配線を基準電位から絶縁し、前記入力端子に前記電位が供給されないときは、前記配線を前記基準電位に接続するリセット用スイッチ部と、を備えたことを特徴とする電源回路が提供される。
【0009】
本発明の他の一態様によれば、前記電源回路と、前記出力端子に接続された二次電池と、を備えたことを特徴とする電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部電源との接触状態が不安定な場合でも所定の電圧を安定して出力することができる電源回路及び電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電源回路を例示する回路図である。
【図2】横軸に時間をとり、縦軸に各部の電位をとって、各電位の変化を例示するタイミングチャートである。
【図3】第1の実施形態の第1の具体例におけるスイッチ回路を例示する回路図である。
【図4】第1の実施形態の第2の具体例におけるスイッチ回路を例示する回路図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電源回路のソフトスタート回路及びエラーアンプを例示する回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る電源回路を例示する回路図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る携帯電話機を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電源回路を例示する回路図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電源回路1は、未知又は不定の入力電位Vinが入力されて、所定の出力電位Voutを出力する電源回路であり、例えば、携帯電話機に搭載される電源回路である。一例では、出力電位Voutの設定電位Vsetは例えば5Vである。入力電位Vinとして外部から供給される供給電位Vspplyは、設定電位Vsetよりも高い電位であればよく、例えば10Vである。
【0013】
図1に示すように、電源回路1においては、入力電位Vinが入力される入力端子11と、出力電位Voutを出力する出力端子12とが設けられている。そして、入力端子11と出力端子12との間に、パワースイッチ部として、nチャネル型電界効果トランジスタ(nMOS)13が接続されている。すなわち、nMOS13のドレイン電極13dが入力端子11に接続され、ソース電極13sが出力端子12に接続されている。nMOS13からなるパワースイッチ部は、ゲート電極13gに入力される制御電位に応じて抵抗値が変化するものである。なお、本明細書において「接続されている」と記載したときは、配線等によって固定的・短絡的に接続されている場合の他に、スイッチ素子、抵抗素子等を介して接続されている場合も含む。
【0014】
出力端子12と基準電位、例えば、接地電位GNDとの間には、2つの抵抗14及び抵抗15がこの順に直列に接続されている。nMOS13のゲート電極13gと基準電位、例えば、接地電位GNDとの間には、2つの抵抗16及び抵抗17がこの順に直列に接続されている。なお、本実施形態においては、基準電位が接地電位GNDである例を示しているが、基準電位は接地電位には限定されない。
【0015】
また、電源回路1においては、エラーアンプ20が設けられている。エラーアンプ20には、負極側入力部20a、正極側入力部20b、出力部20cが設けられている。エラーアンプ20は、負極側入力部20aに入力された電位と正極側入力部20bに入力された電位とを比較して、その差を増幅して出力部20cから出力する誤差増幅器であり、負極側入力部20aに入力された電位に対して、正極側入力部20bに入力された電位が高いほど、出力部20cから出力する電位を高くする。エラーアンプ20の負極側入力部20aは、抵抗14と抵抗15との間の接続点18に接続されている。出力部20cは、抵抗16と抵抗17との間の接続点19に接続されている。すなわち、負極側入力部20aは抵抗14を介して出力端子12に接続されており、出力部20cは抵抗16を介してnMOS13のゲート電極13gに接続されている。
【0016】
更に、電源回路1においては、ソフトスタート回路22が設けられている。後述するように、ソフトスタート回路22は、nMOS13の起動を制御する回路であり、入力端子11に供給電位Vspplyが供給されなくなったときに、リセット動作を実行する機能も備えている。ソフトスタート回路22においては、参照電位Vrefが入力される参照端子23が設けられている。参照電位Vrefは、電源回路1に供給電位Vspplyが供給されると生成される一定の電位であり、供給電位Vspply及び設定電位Vsetよりも低い電位である。一例では、参照電位Vrefは0.9Vである。
【0017】
ソフトスタート回路22には配線24が設けられており、参照端子23は配線24によってエラーアンプ20の正極側入力部20bに接続されている。配線24には抵抗Rが付加されている。抵抗Rには、意図的に設けた抵抗と、不可避的に発生する配線抵抗とが含まれている。また、配線24には、接地電位GNDとの間に容量Cが付加されている。容量Cには、意図的に設けた容量と、不可避的に発生する寄生容量とが含まれている。配線24の電位を配線電位Vとする。
【0018】
ソフトスタート回路22には、リセット用スイッチ部26が設けられている。リセット用スイッチ部26においては、バッファ27と、スイッチ回路28とが設けられている。バッファ27の入力端は入力端子11に接続されており、バッファ27の出力端はスイッチ回路28に接続されている。バッファ27には、例えば電源電位及び接地電位が供給されており、入力端に印加された電位が所定値よりも高いときに出力端から外部入力信号VとしてハイレベルH(電源電位)の信号を出力し、入力端に印加された電位が所定値よりも低いときに出力端から外部入力信号VとしてロウレベルL(接地電位)の信号を出力する。これにより、バッファ27は、入力端子11に入力電位Vinとして供給電位Vspplyが供給されているときはハイレベルを出力し、入力端子11に供給電位Vspplyが供給されていないときはロウレベルを出力する。
【0019】
スイッチ回路28の一方の端子28aは配線24に接続されており、他方の端子28bは接地電位GNDに接続されている。そして、スイッチ回路28は、バッファ27からハイレベルの外部入力信号Vが入力されたときは、端子28aと端子28bとの間を非導通状態(オフ状態)とし、ロウレベルの外部入力信号Vが入力されたときは、端子28aと端子28bとの間を導通状態(オン状態)とする。
【0020】
次に、本実施形態に係る電源回路の動作について説明する。
図2は、横軸に時間をとり、縦軸に各部の電位をとって、各電位の変化を例示するタイミングチャートである。
なお、図2には、本実施形態に係る電源回路の各電位の他に、比較例に係る電源回路の各電位も示している。比較例に係る電源回路とは、図1に示す電源回路1からリセット用スイッチ部26を除いた回路である。図2において、(a)は入力電位Vinを示し、(b)は外部入力信号Vを示し、(c)は比較例の配線電位Vを示し、(d)は本実施形態の配線電位Vを示し、(e)は比較例の出力電位Voutを示し、(f)は本実施形態の出力電位Voutを示す。以下、図1及び図2を参照して、電源回路1の動作を説明する。
【0021】
先ず、電源回路1の入力端子11に供給電位Vspplyが供給されていないとき、すなわち、入力端子11の入力電位Vinが0Vであるか、入力端子11が浮遊状態であるときの電源回路1の状態について説明する。
図2の期間tに示すように、この場合には、バッファ27の入力端の電位も0V又は浮遊状態となるため、バッファ27の出力端からは、外部入力信号VとしてロウレベルLの信号が出力される。これにより、スイッチ回路28は導通状態(ON)となり、端子28aが端子28bに接続される。但し、電源回路1に供給電位Vspplyが供給されていない状態では、参照端子23にも参照電位Vrefが供給されないため、配線24及びスイッチ回路28には電流が流れず、配線24の配線電位Vは接地電位(0V)である。
【0022】
一方、nMOS13のゲート電極13gには接地電位GNDが印加されているため、nMOS13は非導通状態にある。また、出力端子12は抵抗14及び抵抗15を介して接地電位に接続されているため、出力端子12及び接続点18の電位も接地電位である。従って、接続点18に接続されたエラーアンプ20の負極側入力部20aには接地電位が印加されており、配線24に接続されたエラーアンプ20の正極側入力部20bにも接地電位が印加されており、エラーアンプ20の出力部20cからは電位が出力されていない。
【0023】
次に、電源回路1の入力端子11に供給電位Vspplyが断続的に供給される場合について説明する。例えば、電源回路1が搭載された携帯電話機の使用者が、携帯電話機を充電しようとしてアダプタのプラグを携帯電話機の充電用端子に差し込む場合を想定する。この場合、差込作業中においては、プラグと充電用端子との間の接続状態が不安定になるため、電源回路1の入力端子11には供給電位Vspplyが断続的に入力される。
【0024】
図2の期間tに示すように、アダプタのプラグが携帯電話機の充電用端子に接触すると、入力端子11に入力電位Vinとして供給電位Vspplyが供給される。これにより、バッファ27の入力端にも供給電位Vspplyが供給され、バッファ27の出力端からは外部入力信号VとしてハイレベルHの信号が出力される。この結果、スイッチ回路28は非導通状態(OFF)となり、端子28aが端子28bから絶縁される。
【0025】
また、参照端子23には参照電位Vrefが供給される。このとき、配線24には抵抗R及び容量Cが付加されているため、配線24の配線電位Vは、抵抗R及び容量Cによって決定される時定数Δtに従い、接地電位から参照電位Vrefに向かってなだらかに上昇する。そして、エラーアンプ20の負極側入力部20aに入力される接続点18の電位に対して、正極側入力部20bに入力される配線電位Vが徐々に高くなると、出力部20cから出力される電位が徐々に上昇する。これにより、nMOS13のゲート電極13gに入力される制御電位が高くなるため、nMOS13が徐々に導通状態に移行し、nMOS13のソース・ドレイン間の抵抗値が徐々に低下する。この結果、出力端子12の出力電位Voutも徐々に上昇する。これに伴い、接続点18の電位も上昇し、これがエラーアンプ20の負極側入力部20aにフィードバックされる。
【0026】
すなわち、エラーアンプ20の正極側入力部20bに入力される配線電位Vも、負極側入力部20aに入力される出力電位Voutに連動した電位も、共になだらかに上昇する。このとき、配線電位Vの上昇に対して出力電位Voutの上昇が遅れると、エラーアンプ20の正極側入力部20bの電位に対する負極側入力部20aの電位が低くなるため、出力部20cから出力される電位が高くなり、nMOS13の抵抗値が低くなり、出力端子12の出力電位Voutの電位上昇が加速される。
【0027】
一方、配線電位Vの上昇に対して出力電位Voutの上昇が先行すると、エラーアンプ20の正極側入力部20bの電位に対する負極側入力部20aの電位が高くなるため、出力部20cから出力される電位が低くなり、nMOS13の抵抗値が高くなり、出力端子12の出力電位Voutの電位上昇が抑制される。このように、エラーアンプ20は、正極側入力部20bに印加される電位に対して負極側入力部20aに印加される電位が高いほど、nMOS13のソース・ドレイン間の抵抗値を大きくするような電位を出力部20cから出力する。この結果、出力電位Voutに対して配線電位Vを基準とした負のフィードバックが働き、出力電位Voutは時定数Δtに基づいてなだらかに上昇する。このため、期間tにおいては、電源装置1内でラッシュ電圧が発生することはない。
【0028】
その後、図2の期間tに示すように、アダプタのプラグと携帯電話機の充電用端子とが非接触となり、入力端子11に対する供給電位Vspplyの供給が中断されると、出力電位Voutは接地電位(0V)に戻り、エラーアンプ20の負極側入力部20aに入力される電位も接地電位に戻る。また、参照電位Vrefの供給も停止する。更に、供給電位Vspplyの供給が中断される直前の時点では、容量Cにある程度の電荷が蓄積されている。ここまでの動作は、リセット用スイッチ部26が設けられている本実施形態と、リセット用スイッチ部26が設けられていない比較例とで、同じである。
【0029】
しかしながら、比較例においては、参照電位Vrefの供給が停止しても、容量Cに電荷が蓄積されているため、配線24の配線電位Vはすぐには接地電位に戻らず、容量Cの自然放電により、ゆっくりと減少する。そして、図2の期間tに示すように、配線電位Vが接地電位に戻る前に、再び入力端子11に供給電位Vspplyが供給されると、配線電位Vは接地電位よりも高い電位から電位上昇が開始されることになる。一方、接続点18の電位は接地電位となっている。このため、エラーアンプ20の負極側入力部20aの電位に対して正極側入力部20bの電位が著しく高くなり、出力部20cから出力される電位も高くなり、nMOS13が急激に導通状態に移行する。これにより、nMOS13に過剰な電流が流れ、出力端子12にラッシュ電圧が発生し、出力電位Voutが一時的に設定電位Vsetを超えてしまう。この結果、出力端子12に接続された二次電池(図示せず)に損傷を与えてしまう。
【0030】
これに対して、本実施形態においては、リセット用スイッチ部26が設けられているため、図2の期間tに示すように、アダプタのプラグと携帯電話機の充電用端子とが非接触となり、入力端子11に対する供給電位Vspplyの供給が中断されると、バッファ27の出力端からロウレベルLの外部入力信号Vが出力され、スイッチ回路28が導通状態となる。これにより、配線24がスイッチ回路28を介して接地電位GNDに接続され、容量Cに蓄積された電荷が配線24及びスイッチ回路28を介して接地電位GNDに急速に放電されて、配線電位Vが速やかに接地電位に戻る。この結果、図2の期間tに示すように、その後再び入力端子11に供給電位Vspplyが供給されても、配線電位Vの電位上昇は期間tと同様に接地電位から開始されるため、ラッシュ電圧が発生することはない。そして、期間tに示すように、その後、供給電位Vspplyが継続的に供給されると、出力電位Voutが設定電位Vsetに達したところで電源回路1の状態は定常状態になり、出力電位Voutは設定電位Vsetに固定される。
【0031】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、ソフトスタート回路22及びエラーアンプ20により、供給電位Vspplyが未知であっても、出力電位Voutを設定電位Vsetに調整することができる。また、抵抗R及び容量Cによって決定される時定数Δtにより、nMOS13の起動を制御して、ソフトスタートさせることができる。
【0032】
また上述の如く、リセット用スイッチ部26が設けられていない比較例においては、入力端子11に対して供給電位Vspplyが断続的に供給された場合に、容量Cの自然放電が終了する前に供給電位Vspplyが新たに印加されると、ラッシュ電圧が発生してしまう。これに対して、本実施形態においては、供給電位Vspplyの供給が停止すると、リセット用スイッチ部26が導通状態となって、容量Cに蓄積された電荷を強制的に放電するため、配線電位Vは毎回リセットされる。このため、再び供給電位Vspplyが供給されても、ラッシュ電圧は発生しない。この結果、アダプタのプラグと携帯電話機の充電用端子との間の接続状態が不安定になるような状況においても、携帯電話機の内部に損傷を与えることがない。更に、本実施形態によれば、上述の出力電位Voutの調整及び配線電位Vのリセットを、使用者による操作を要さず自動的に行うことができる。
【0033】
次に、本実施形態の具体例について説明する。
先ず、第1の具体例について説明する。
図3は、本具体例におけるスイッチ回路を例示する回路図である。
図3に示すように、本具体例においては、スイッチ回路28がプルダウンされたpチャネル型電界効果トランジスタ(pMOS)31によって構成されている。pMOS31のソース電極31sは端子28aとして配線24(図1参照)に接続され、ドレイン電極31dは端子28bとして接地電位GNDに接続され、ゲート電極31gはバッファ27(図1参照)の出力端に接続されている。また、pMOS31のゲート電極31gは抵抗32を介してドレイン電極31dに接続されている。
【0034】
本具体例においては、バッファ27の出力端から出力された外部入力信号VがpMOS31のゲート電極31gに印加されるため、外部入力信号Vがハイレベルであるときは、pMOS31は非導通状態となる。一方、外部入力信号Vがロウレベルであるときは、pMOS31は導通状態となる。また、電源回路に外部から電位が供給されていないときは、pMOS31のゲート電極31gには抵抗32を介して接地電位が印加されるため、pMOS31は導通状態となる。これにより、スイッチ回路28を実現できる。
【0035】
次に、第2の具体例について説明する。
図4は、本具体例におけるスイッチ回路を例示する回路図である。
図4に示すように、本具体例においては、スイッチ回路28が、nMOS41、pMOS42、及び信号スイッチ駆動回路43によって構成されている。すなわち、nMOS41のドレイン電極とpMOS42のソース電極は端子28aに共通接続されており、nMOS41のソース電極とpMOS42のドレイン電極は端子28bに共通接続されている。また、信号スイッチ駆動回路43には外部入力信号Vが入力されるようになっており、信号スイッチ駆動回路43の出力信号は、nMOS41のゲート電極及びpMOS42のゲート電極に対してそれぞれ独立に出力されるようになっている。信号スイッチ駆動回路43は、ハイレベルの外部入力信号Vが入力されたときには、nMOS41のゲート電極に対して負電位を印加すると共にpMOS42のゲート電極に対して正電位を印加し、ロウレベルの外部入力信号Vが入力されたときには、nMOS41のゲート電極に対して正電位を印加すると共にpMOS42のゲート電極に対して負電位を印加する論理回路である。
【0036】
本具体例においては、バッファ27の出力端からハイレベルの外部入力信号Vが出力されたときは、信号スイッチ駆動回路43はnMOS41のゲート電極に対して負電位を印加すると共にpMOS42のゲート電極に対して正電位を印加して、nMOS41及びpMOS42を共に非導通状態とする。これにより、端子28aが端子28bから電気的に遮断される。一方、ロウレベルの外部入力信号Vが出力されたときは、信号スイッチ駆動回路43はnMOS41のゲート電極に対して正電位を印加すると共にpMOS42のゲート電極に対して負電位を印加して、nMOS41及びpMOS42を共に導通状態とする。これにより、端子28aを端子28bに接続する。このようにして、スイッチ回路28を実現できる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る電源回路のソフトスタート回路及びエラーアンプを例示する回路図である。
図5に示すように、本実施形態に係る電源回路は、前述の第1の実施形態に係る電源回路1(図1参照)において、ソフトスタート回路22がソフトスタート回路52に置き換えられたものである。
【0038】
ソフトスタート回路52においては、スイッチ回路28(図1参照)の替わりに、スイッチ回路58が設けられている。スイッチ回路58は配線24とエラーアンプ20の正極側入力部20bとの間に介在し、配線24を正極側入力部20bに接続するか、接地電位GNDに接続するかを切り替えるアナログスイッチである。スイッチ回路58は、バッファ27からハイレベルの外部入力信号Vが入力されると、配線24を正極側入力部20bに接続し、バッファ27からロウレベルの外部入力信号Vが入力されると、配線24を接地電位GNDに接続する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0039】
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
本実施形態においても、入力端子11(図1参照)に供給電位Vspplyが供給されなくなると、バッファ27の出力端からロウレベルの外部入力信号Vが出力される。これにより、スイッチ回路58が配線24を正極側入力部20bから遮断して、接地電位GNDに接続する。この結果、容量Cに蓄積された電荷が接地電位に放電され、配線24の配線電位Vが速やかに接地電位に戻される。このようにして、供給電位Vspplyの供給が途切れる度に、配線電位Vがリセットされて、前述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0040】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る電源回路を例示する回路図である。
図6に示すように、本実施形態に係る電源回路2は、前述の第1の実施形態に係る電源回路1(図1参照)と比較して、nMOS13の替わりにpMOS63が設けられており、pMOS63のソース電極63sとゲート電極63gとの間に抵抗64が接続されており、エラーアンプ20の負極側入力部20a及び正極側入力部20bの接続が逆になっている点が異なっている。すなわち、pMOS63のソース電極63sは入力端子11に接続され、ドレイン電極63dは出力端子12に接続され、エラーアンプ20の負極側入力部20aは配線24に接続され、正極側入力部20bは接続点18に接続されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0041】
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
本実施形態においては、入力端子11に入力電位Vinとして供給電位Vspplyが供給されると、pMOS63のゲート電極63gにも抵抗64を介して供給電位Vspplyが印加されるため、当初pMOS63は非導通状態となる。一方、参照端子23には参照電位Vrefが供給されるため、配線24の配線電位Vは、抵抗R及び容量Cによって決定される時定数Δtに従い、なだらかに上昇する。
【0042】
このとき、配線電位Vの上昇に対して出力電位Voutの上昇が遅れ、エラーアンプ20の負極側入力部20aに入力される電位に対して正極側入力部20bに入力される電位が低くなるため、出力部20cから出力される電位が低くなり、pMOS63の抵抗が低減する。これにより、出力電位Voutの電位上昇が開始される。また、配線電位Vの上昇に対して出力電位Voutの上昇が先行すると、エラーアンプ20の負極側入力部20aに入力される電位に対して正極側入力部20bに入力される電位が高くなるため、出力部20cから出力される電位が高くなり、pMOS63の抵抗値が高くなる。これにより、出力電位Voutの電位上昇が抑制される。このようにして、出力電位Voutの上昇速度を制御しつつ、出力電位Voutをなだらかに上昇させる。
【0043】
そして、本実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、ソフトスタート回路22にリセット用スイッチ部26が設けられているため、供給電位Vspplyの供給が停止したときに容量Cに蓄積された電荷を強制的に排出し、ラッシュ電圧の発生を防止することができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0044】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態は電子機器、より具体的には携帯電話機の実施形態である。
図7は、本実施形態に係る携帯電話機を例示するブロック図である。
図7に示すように、本実施形態に係る携帯電話機100においては、電源回路1及び二次電池101が設けられている。電源回路1の構成は、前述の第1の実施形態に係る電源回路1と同様である。電源回路1の入力端子11は、携帯電話機100の筐体に設けられた充電用端子102に接続されており、電源回路1の出力端子12は二次電池101に接続されている。二次電池101は、携帯電話機100の電源である。一方、外部電源のプラグ110には供給電位Vspplyが供給されている。
【0045】
本実施形態においては、外部電源のプラグ110を充電用端子102に差し込むことにより、プラグ110が充電用端子102に接続されて、二次電池101が充電される。本実施形態によれば、携帯電話機100に電源回路1を設けることにより、外部から供給される供給電位Vspplyが所定の設定電位Vsetより高くても、自動的に設定電位Vsetに変換して二次電池101に供給し、二次電池101を充電することができる。また、プラグ110と充電用端子102との接続状態が不安定になっても、第1の実施形態において説明した動作により、二次電池101をラッシュ電圧から保護することができる。なお、携帯電話機100には、前述の第2又は第3の実施形態に係る電源回路を搭載してもよい。
【0046】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。例えば、前述の第4の実施形態においては、電子機器が携帯電話機である例を示したが、本発明はこれに限定されず、外部から電源電圧が供給される電子機器であれば適用可能である。特に、二次電池が搭載された電子機器、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、オーディオデバイス等の携帯用電子機器に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1、2 電源回路、11 入力端子、12 出力端子、13 nMOS、13d ドレイン電極、13g ゲート電極、13s ソース電極、14、15、16、17 抵抗、18、19 接続点、20 エラーアンプ、20a 負極側入力部、20b 正極側入力部、20c 出力部、22 ソフトスタート回路、23 参照端子、24 配線、26 リセット用スイッチ部、27 バッファ、28 スイッチ回路、28a、28b 端子、31 pMOS、31d ドレイン電極、31g ゲート電極、31s ソース電極、32 抵抗、41 nMOS、42 pMOS、43 信号スイッチ駆動回路、52 ソフトスタート回路、58 スイッチ回路、63 pMOS、63d ドレイン電極、63g ゲート電極、63s ソース電極、64 抵抗、100 携帯電話機、101 二次電池、102 充電用端子、110 プラグ、C 容量、GND 接地電位、R 抵抗、V 外部入力信号、Vin 入力電位、Vout 出力電位、Vref 参照電位、Vset 設定電位、Vspply 供給電位、V 配線電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子の間に接続され、入力される制御電位に応じて抵抗値が変化するパワースイッチ部と、
一方の入力部が前記出力端子に接続され、他方の入力部に印加される電位に対して前記一方の入力部に印加される電位が高いほど、出力部から前記パワースイッチ部の抵抗値を大きくするような前記制御電位を出力するエラーアンプと、
参照電位が印加される参照端子を前記他方の入力部に接続する配線と、
前記入力端子に電位が供給されているときは、前記配線を基準電位から絶縁し、前記入力端子に前記電位が供給されないときは、前記配線を前記基準電位に接続するリセット用スイッチ部と、
を備えたことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記リセット用スイッチ部は、
入力端が前記入力端子に接続され、前記入力端に印加された電位が所定値よりも高いときに出力端から第1の電位を出力し、前記入力端に印加された電位が前記所定値よりも低いときに前記出力端から第2の電位を出力するバッファと、
一方の端子が前記配線に接続され、他方の端子が前記基準電位に接続され、前記バッファの出力端から前記第1の電位が入力されたときに、前記一方の端子と前記他方の端子との間を非導通状態とし、前記バッファの出力端から前記第2の電位が入力されたときに、前記一方の端子と前記他方の端子との間を導通状態とするスイッチ回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の電源回路。
【請求項3】
前記リセット用スイッチ部は、
入力端が前記入力端子に接続され、前記入力端に印加された電位が所定値よりも高いときに出力端から第1の電位を出力し、前記入力端に印加された電位が前記所定値よりも低いときに前記出力端から第2の電位を出力するバッファと、
前記バッファの出力端から前記第1の電位が入力されたときに、前記配線を前記他方の入力部に接続し、前記バッファの出力端から前記第2の電位が入力されたときに、前記配線を前記基準電位に接続するスイッチ回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の電源回路。
【請求項4】
前記パワースイッチ部は、前記入力端子と前記出力端子の間に接続されたnチャネル型電界効果トランジスタを有し、
前記エラーアンプの出力部は前記nチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極に接続されており、
前記エラーアンプは、前記他方の入力部に入力される電位に対して前記一方の入力部に入力される電位が高いほど、前記出力部から出力する電位を低くすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電源回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の電源回路と、
前記出力端子に接続された二次電池と、
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−18195(P2011−18195A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162371(P2009−162371)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】