説明

電源変換装置

【課題】第1の電源を第2の電源に変換し、第2の電源を1つの負荷回路に供給する電源変換装置において、現在の負荷容量に対応して電源変換装置の消費電力を低減する。
【解決手段】電源変換装置10は、それぞれが第1の電源を第2の電源に変換可能であり、入力が第1の電源回路に出力が第2の電源回路に、それぞれ共通に接続された複数の電源変換部21〜25と、複数の電源変換部のそれぞれに対応して配設され、対応する電源変換部の前記第1の電源をオン・オフする複数のスイッチ回路11〜15と、複数の電源変換部21〜25の出力電流の和を検出する電流測定部33と、電流測定部33の検出電流に対応して各スイッチ回路のオン・オフを個別に制御する制御部32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源変換装置に関し、更に詳しくは、負荷変動が大きな負荷装置に電源を供給する際に特に好適な電源変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムなどの電子装置は、一般に直流電源で作動する。このため、近年、AC/DC変換装置が数多く利用されている。AC/DC変換装置では、地球温暖化を防止するために、省エネルギー(以下、「省エネ」と略す)が要請されている。このため、コンピュータ電源などとして利用されるAC/DC変換装置においても、一層の省エネへの移行が求められる。従来のAC/DC電源装置における省エネ制御は、例えばAC/DC変換部分の後段側をオン・オフ制御することで、負荷に対する消費電力を削減してきた。しかし、このような方式では、AC/DC変換部分には常に電力が供給され続け、その結果、AC/DC変換部分で待機電力を消費していた。
【0003】
特許文献1は、省エネを目的としたパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと呼ぶ)の電源変換装置について記載している。この電源変換装置では、負荷装置であるパソコンのDC電源系を、パソコンの作動時に必要な主電源系と、信号監視に必要な副電源系とに区分し、双方の電源系には、パソコンの起動スイッチと連動する共通の電源投入用のスイッチ、及び、各電源系に個別のリレー接点でAC電源を供給する。パソコンの起動時には、その起動スイッチをオンとする際に、電源投入用のスイッチをオンとし、パソコンの制御用LSIを動作させる。この制御用LSIにより、更にリレー接点をオンとして、主電源系及び副電源系の双方のDC電源装置を稼働させる。
【0004】
パソコンの停止時には、電源投入用のスイッチ及び双方のリレー接点をオフとして、主電源系及び副電源系の双方の電源装置を停止させるため、パソコン停止時に無駄なAC電流が流れることはない。また、パソコンの省エネ作動時には、制御用LSIによって、パソコンの省エネ状態を示す信号を生成し、主電源系のリレーの接点のみをオフとする。このようにして、主電源系を停止させ、副電源系のみによって、パソコン側にDC電源を供給する。このように、主電源系のAC/DC電源装置を停止させることで、省エネ作動を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355423号公報
【特許文献2】特開平10−288438号公報
【特許文献3】特開平1−264527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のパソコン用の電源変換装置は、パソコンの電源制御に特化した電源装置であり、このため、パソコンの省エネ作動時の信号をパソコン側で生成し、電源装置側に送っている。また、主電源系及び副電源系の双方の電源装置の電源容量は、負荷側のパソコンの主電源及び副電源の各負荷容量に合わせて選定する必要があり、汎用目的には向かなかった。また、主電源系及び副電源系の電源装置は、それぞれ別の負荷回路に供給する電源装置であり、1つの負荷回路にDC電源を供給する電源変換装置で、種々の用途や多様な負荷容量に対応可能であり、且つ、省エネ制御が可能なAC/DC変換可能な電源変換装置は知られていなかった。
【0007】
特許文献2は、2台のペルチェ冷却ユニットの制御に際して、そのペルチェ冷却ユニットにそれぞれ電源を供給する2台のAC/DC変換器について記載している。該公報では、2台のペルチェ冷却ユニットのそれぞれの停止に際して、その電源側のAC/DC変換器をオン・オフ制御して、消費電力の低減を図る旨が記載されている。しかし、この公報に記載の制御方法も、2台の電源装置はそれぞれ別の負荷回路に電源を供給する電源変換装置の制御方法に関するものである。
【0008】
特許文献3には、電源ユニットで検出した負荷電流と、その電流しきい値とを比較して、負荷電流が規定値を上回った際に、アラームを発生する電源アラーム方法が記載さている。しかし、この公報には複数台のAC/DC変換装置を有する記載もなく、また、省エネの言及もないので、仮に特許文献1や特許文献2と組み合せ得たとしても、せいぜい、AC/DC変換器の制御に際して、負荷電流値を参照する程度の構成が得られるに過ぎない。つまり、1つの負荷回路にDC電源を供給する電源変換装置で、種々の用途や多様な負荷容量に対応可能であり、且つ、省エネ制御が可能なAC/DC変換が可能な電源変換装置は得られない。
【0009】
本発明は、一般的に、第1の電源を第2の電源に変換可能な電源変換装置であって、種々の負荷装置や負荷回路の電源として使用可能であり、且つ、特定の負荷装置や負荷回路の負荷状態に適合した省エネ制御が可能な電源変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、それぞれが第1の電源を第2の電源に変換して出力可能であり、入力が第1の電源回路に、出力が第2の電源回路に、それぞれ共通に接続された複数の電源変換部と、
前記複数の電源変換部のそれぞれに対応して配設され、対応する電源変換部の入力をオン・オフするスイッチと、前記複数の電源変換部の第2の電源の出力電流の和を検出する電流検出部と、前記電流検出部の検出電流に対応して前記スイッチのオン・オフを個別に制御するスイッチ制御部と、を備える電源変換装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電源変換装置は、現在の負荷容量に見合った台数の電源変換部をオンとし、他の電源変換部をオフとすることで、無駄な電源変換部の稼働を抑え、待機電流が低減するので、省電力が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る電源変換装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電源変換装置は、その最小構成として、それぞれが第1の電源を第2の電源に変換可能な複数の電源変換部と、複数の電源変換部のそれぞれに対応して配設され、対応する電源変換部の前記第1の電源をオン・オフする複数のスイッチと、複数の電源変換部の第2の電源の出力電流の和を検出する電流検出部と、電流検出部の検出電流に対応して複数のスイッチを個別に制御するスイッチ制御部とを備える。第1及び第2の電源は任意に選定可能である。例えば、第1の電源として交流電源が、第2の電源として直流電源が採用される。或いは、例えば、第1の電源として第1の周波数の交流電源が、第2の電源として第2の周波数の交流電源が採用される。
【0014】
上記構成を採用すると、負荷装置の現在の負荷状態に対応して、各電源変換部の個別の電源投入が可能になり、電源変換部の待機電流が無駄になることがない。
【0015】
本発明の電源変換装置では、複数の電源変換部の電源容量が相互に同じである構成を採用することが出来る。この場合には、一般的な負荷装置の特定の負荷状態に容易に適合可能である。また、これに代えて、複数の電源変換部の電源容量が互いに異なる構成を採用することも出来る。この場合には、特定の負荷装置の特定の負荷状態に容易に適合させることが出来る。異なる電源容量として、各電源変換部が、最小容量の2倍の電源容量を有する構成を採用してもよい。また、電流検出部及びスイッチ制御部の一部を、1つのプロセッサで構成することが可能である。この場合、プロセッサを、これら電流検出部及びスイッチ制御部に加えて他の目的に利用してもよい。
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態の電源変換装置のブロック図である。電源変換装置10は、分電盤41から供給される第1の電源、例えばAC電源を、第2の電源、例えばDC電源に変換する。電源変換装置10は、複数のAC/DC変換部21〜25と、複数のAC/DC変換部21〜25のそれぞれに対応して配設され、対応するAC/DC変換部へのAC電源の供給を制御するリレー回路(スイッチ接点)11〜15と、AC/DC変換部21〜25の第2の電源の電流の総和を検出する電流検出機能、及び、リレー回路11〜15のオン・オフ制御機能を含み、電源変換装置10の全体の制御機能を有する電源制御部31とを有する。電源変換装置10の各AC/DC変換部21〜25の第2の電源出力はまとめて、負荷装置51に供給される。
【0017】
電源制御部31は、サービスプロセッサ32と、負荷装置51の全体の消費電流を測定する電流測定部33とを含む。電流測定部33は、例えばフェライトコア等を実装し負荷の消費電流を、誘導電流を利用して測定する電流センサーを含む。電流測定部33は、負荷装置51の消費電流を一定の時間間隔で測定する。サービスプロセッサ32は、電流測定部33から電流検出結果を受け取り、その電流検出結果と記憶部34に記憶されている複数の電流しきい値とを比較して、その比較結果を出力する。サービスプロセッサ32は、その比較結果に従って、リレー回路11〜15のオン・オフを個別に制御する。なお、リレー回路11〜15の個数、AC/DC変換部21〜25の電源容量及び個数は、負荷装置51の種別や、負荷容量、制御すべき電流値の段階数に従って選定する。サービスプロセッサ32が、スイッチ制御部を構成する。
【0018】
ここで、AC/DC変換部21〜25は、それぞれが同じ電源容量を持つものと仮定する。この場合、1台のAC/DC変換部21〜25で給電可能な電流をA、負荷装置で現在消費している電流をZとする。記憶部34は、電流測定部33が一定の時間間隔で測定した電流値を一時的に保持する。電源制御部31のサービスプロセッサ32は、電流測定部33による測定結果に基いて、リレー回路11〜15に対して以下の制御を行う。
【0019】
Z<Aの場合:リレー回路11のみに、オンになるように指示を出し、リレー回路12〜15はオフとする。その結果、AC/DC変換部21が負荷装置51に給電する。このため、AC/DC変換部22〜25の待機電流が削減される。
【0020】
A<Z<2×Aの場合:リレー回路11とリレー回路12がオンになるように指示を出し、リレー回路13〜15はオフとする。その結果、AC/DC変換部21とAC/DC変換部22とが、負荷装置51に給電し、他のAC/DC変換部23〜25は停止する。この場合には、AC/DC変換部23〜25の待機電流が削減される。以下、負荷電流とAC/DC変換部21〜25の給電可能な電流値Aとを比較して、必要な数のAC/DC変換部が稼働して、負荷装置51に給電する。
【0021】
なお、上記実施形態では、AC/DC変換部21〜25の電源容量が相互に同じである例を示したが、電源容量は互いに異なっていてもよい。例えば、ここのAC/DC変換部の電源容量が最小の電源容量を有するAC/DC変換部の電源容量の2(n=2,3,.....)倍であってもよい。この場合には、より大きな負荷容量の変動に適合可能である。
【0022】
電源制御部31は、電流測定部及びスイッチ制御機能の他に、負荷装置の電源電圧などの制御機能や、電源変換装置全体の制御機能を有していてもよい。
【0023】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
10:電源変換装置
11〜15:リレー回路(スイッチ接点)
21〜25:AC/DC変換部
31:電源制御部
32:サービスプロセッサ
33:電流測定部
34:記憶部
41:分電盤
51:負荷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第1の電源を第2の電源に変換して出力可能であり、入力が第1の電源回路に、出力が第2の電源回路に、それぞれ共通に接続された複数の電源変換部と、
前記複数の電源変換部のそれぞれに対応して配設され、対応する電源変換部の入力をオン・オフするスイッチと、前記複数の電源変換部の第2の電源の出力電流の和を検出する電流検出部と、前記電流検出部の検出電流に対応して前記スイッチのオン・オフを個別に制御するスイッチ制御部と、を備える電源変換装置。
【請求項2】
前記複数の電源変換部の電源容量が相互に同じである、請求項1に記載の電源変換装置。
【請求項3】
前記複数の電源変換部の電源容量が相互に異なる、請求項1に記載の電源変換装置。
【請求項4】
前記電流検出部及びスイッチ制御部が、プログラムで制御される共通のプロセッサで構成される、請求項1〜3の何れか一に記載の電源変換装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−206913(P2010−206913A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48932(P2009−48932)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】