説明

電源装置及びカメラ

【課題】不活性状態にある電池についても正確に残容量を判定することができる電源装置及びカメラを提供する。
【解決手段】本発明に係わる電源装置(80)は、電池(81)に対して電流負荷となる少なくとも一つの負荷回路と、前記負荷回路に通電したときの電池(81)の出力電圧を検出する電圧検出手段(84)と、この電圧検出手段(84)により検出された出力電圧に基づいて電池(81)の使用可能容量を判定する容量判定手段(85)と、電池(81)の使用可能容量を判定する際に、前記負荷回路に通電することにより電池(81)を活性化させる活性化処理を実施する制御手段(86)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置とこの電源装置を備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの電子機器では、電源として、繰り返し充電可能な二次電池のほか、アルカリ、ニッケル水素、リチウム、ニッケル・マンガンなどの単三電池が使用可能となっている。また、ほとんどの機種では、装着された電池の使用可能容量(以下、適宜に残容量という)を検出して撮影者に通知する、いわゆる電池チェック機能を備えている。
【0003】
一般的な電池チェックでは、電池に負荷をかけて通電したときの端子間電圧を測定し、その大きさと消費電流値に基づいて残容量を判定するようにしている。しかしながら、単三電池はその組成によって放電時の電圧降下特性、いわゆる放電特性が異なるため、電圧降下の大きさですべての電池の残容量を正しく判定することは難しい。例えば、電源オフの状態が長時間続いた後、再びカメラの電源スイッチを入れると、内部の容量は減っているにも係わらず、電圧値が元に戻ることがある。この場合、見かけ上は残容量があるように見えるが、実際にカメラを使用し始めるとすぐに残容量不足となり、カメラの操作や撮影に支障をきたしてしまうことになる。
【0004】
そこで、一回の電池チェックにおいて、負荷条件の異なる2つの状態(軽負荷と重負荷)で通電を行い、各通電で得られた出力電圧に基づいて電池の容量を判定する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−162402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、電池は低温状態に放置された場合や、常温であっても長期間に亘って放置された場合などでは、一時的に電極部が不活性状態となっている。このような不活性状態では、比較的大きな電流を取り出しにくくなっているため、軽負荷状態で検出された出力電圧に対して、重負荷時状態で検出される出力電圧では電圧降下が大きくなってしまう。このため、残容量が十分あるにもかかわらず、残容量無しと誤判定されてしまうことがある。したがって、電池が不活性状態にあるのか、それとも残容量が少ないのかを正確に判別できるようにすることが望まれていた。
【0007】
本発明の課題は、不活性状態にある電池についても正確に残容量を判定することができる電源装置及びカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、装填された電池(81)の電力を電子機器に供給する電源装置(80)であって、前記電池に対して電流負荷となる少なくとも一つの負荷回路と、前記負荷回路に通電したときの当該電池の出力電圧を検出する電圧検出手段(84)と、前記電圧検出手段により検出された前記出力電圧に基づいて前記電池の使用可能容量を判定する容量判定手段(85)と、前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記負荷回路に通電することにより前記電池を活性化させる活性化処理を実施する制御手段(86)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置(80)であって、前記制御手段(86)は、前記電池(81)の使用可能容量を判定する際に、前記活性化処理を実施した後に、前記電圧検出手段(84)による前記電池の出力電圧の検出を実施させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置(80)であって、前記制御手段(86)は、前記電池(81)の使用可能容量を判定する際に、前記活性化処理での前記負荷回路への通電時の前記電池の出力電圧を前記電圧検出手段(84)に検出させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源装置(80)であって、フラグ情報としてフラグセット又はフラグリセットのいずれかを保持する記憶手段(50)を更に備え、前記制御手段(86)は、前記電池(81)の使用可能容量を判定する際に、前記記憶手段にフラグリセットが保持されているときはフラグセットに書き換える処理と、前記活性化処理が完了した時点以降に前記記憶手段をフラグリセットに書き換える処理と、前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記記憶手段にフラグセットが保持されているときは、前記活性化処理を実施しないことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電源装置(80)であって、ユーザに対してシステムの状態を通知する通知手段(60)を更に備え、前記制御手段(86)は、前記電池(81)の使用可能容量を判定する際に、前記記憶手段(50)にフラグセットが保持されているときは、前記活性化処理を実施せずに、前記通知手段により前記電池の残容量に関する警告を通知することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源装置(80)であって、前記制御手段(86)は、前記電池(81)の使用可能容量を判定する際に、前記負荷回路を用いて前記電池に通電したときの出力電圧を前記電圧検出手段(84)に検出させ、当該検出された出力電圧に基づいて前記容量判定手段(85)により前記電池の使用可能容量を判定させるとともに、当該判定された使用可能容量が基準値未満であった場合に前記活性化処理を実施することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電源装置(80)であって、前記電圧検出手段(84)によって用いる負荷回路と、前記活性化処理で用いられる負荷回路とでは負荷が異なることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電源装置(80)を備えることを特徴とするカメラ(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不活性状態にある電池についても正確に残容量を判定することができる電源装置及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態のカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(d)は電池の残容量を液晶モニタにアイコン表示したときの具体例を示す説明図である。
【図3】電源部において電池の残容量を判定する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係わる電源装置及びカメラの実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係わるカメラ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のカメラ1は、撮像部10、レンズ/機構部20、操作部30、カード40、メモリ50、液晶モニタ60、発光部70、電源部80、カメラ制御部90を備えている。
【0012】
撮像部10は、撮像素子11及び画像処理部12を備えている。撮像素子11は、レンズ/機構部20の撮影レンズ21を通過した被写体光を電気信号に変換して出力する光−電気変換素子である。撮像素子11から出力された電気信号は、画像処理部12においてノイズ除去、A/D変換、色補正処理、サイズ変更、符号化などのアナログ処理及びデジタル処理が施され、画像データとしてカメラ制御部90に出力される。
【0013】
レンズ/機構部20は、撮影レンズ21、絞り機構22、シャッタ23、駆動部24を備えている。撮影レンズ21に入射した被写体光は、絞り値の大きさに開かれた絞り機構22、所定の露光時間で開口されたシャッタ23を経て撮像部10の撮像素子11に導かれる。絞り機構22は、被写体光の光量を調節するものであり、図示しない複数の絞り羽根を備えている。シャッタ23は、被写体光の露光時間を調節するものであり、撮影時に所定の速度で開閉動作を行う。駆動部24は、例えば、焦点調節のために撮影レンズ21を光軸方向に駆動するアクチュエータや、絞り機構22及びシャッタ23を駆動するアクチュエータ等により構成されている。
【0014】
操作部30は、ユーザである撮影者がカメラ制御部90に対して各種の入力指示を行う際に操作するものである。例えば、図示しない電源スイッチは、撮影者の押圧操作によりカメラ1の電源のオン/オフを切り替えるものである。また、図示しないレリーズボタンは、半押し操作及び全押し操作の2段階の操作が可能であり、撮影者がレリーズボタンを半押し操作することにより、カメラ制御部90に対してオートフォーカス(AF)動作の実行信号が送信される。これにより、カメラ制御部90は撮像部10の出力に基づいて、自動的に主要な被写体にピント合わせを行うAF制御や、自動的に露出を合わせるAE(自動露出)制御を行う。そして、撮影者がレリーズボタンを全押し操作することにより、カメラ制御部90に対して撮影開始信号が送信され、絞り機構22、シャッタ23が所定のタイミングで駆動されることにより、撮像部10において被写体光が撮像される。
【0015】
カード40は、撮影済みの画像とそのデータを記録するフラッシュメモリ等からなる不揮発性記憶媒体である。カード40は、カメラ1の不図示のカードスロットに着脱可能に装着される。またカメラ1には、カード40に対してデータの書き込みを行うための不図示の記録装置が設けられている。
【0016】
メモリ50は、EEPROM、ROM、DRAMなどで構成されている。EEPROMは、カメラ1の電源がオフしても、記憶している情報を保持する不揮発性メモリであり、撮影者が操作入力した設定情報などが記憶される。また、EEPROMのフラグ記憶エリアには、電池81の残容量を判定している間のフラグ情報(電池残容量判定中フラグ)として、フラグセット、フラグリセットのいずれかの値が書き換え可能な状態で記憶される。なお、フラグ情報を記憶するメモリは、後述する電源部80に設けられていてもよい。ROMは、カメラ1の動作や制御に必要なプログラムのほか、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などが記憶されるメモリである。DRAMは、カメラ1の電源がオフしたときに、記憶している情報が消去される揮発性メモリであり、撮像部10から出力された画像データや、画像処理部12、カメラ制御部90などが演算処理を行う際に用いるデータが一時的に記憶される。
【0017】
液晶モニタ60は、液晶ディスプレイからなり、撮影済み画像やメニュー画面のほか、シャッタスピードや絞り値等の撮影条件が表示される。また液晶モニタ60には、撮影時における被写体像や撮影条件等の情報や、使用中している電池の残容量がアイコン表示される。更に液晶モニタ60は、電池81の残容量を判定している間にシステムダウンが発生した後に、再び電源がオンされたときは、前回の残容量の判定中にシステムダウンしたことをメッセージにより撮影者に通知する機能を有する。
【0018】
本実施形態では、残容量の判定中にシステムダウンが発生した場合には、後述するように、残容量「なし」のアイコン表示をすることで撮影者へのメッセージとしている。ただし、撮影者へのメッセージとして、液晶モニタ60に「撮影できません。電池を交換してください」などの文字列を表示するようにしてもよいし、その他、撮影者へのメッセージとして、ランプなどの点滅表示やアラームを鳴らすようにしてもよい。
【0019】
発光部70は、カメラ1の正面に設けられた図示しない内蔵フラッシュ(又は、図示しないアクセサリシューに取り付けられた外部フラッシュ)により、被写体に対して閃光を照射する照明装置である。
【0020】
電源部80は、カメラ1の内部に配置されている各カメラ回路部(電子機器)に対して電力を供給する電源装置である。以下、各部について説明する。
【0021】
電池81は、カメラ1の図示しない電池ホルダに着脱自在に装填されるカメラ電源であり、アルカリ、ニッケル水素、リチウム、ニッケル・マンガンなどの単三電池が使用される。また、上記電池ホルダには、電池81の入れ替えの有無を検出する図示しない装填検出部が設けられている。装填検出部は、電池81の入れ替えを検出すると、検出信号を電源制御部86に送信する。
【0022】
軽負荷回路82は、カメラ電源である電池81に対して軽電流負荷となる回路である。本実施形態では、カメラ1の動作には関係のない回路として、電池81に対し電流負荷となり得る図示しない抵抗とスイッチ素子とにより構成されている。この軽負荷回路82におけるスイッチ素子のオン/オフは後述する電源制御部86により制御されている。以下、電池81に軽負荷回路82を用いて通電した状態を軽負荷状態という。
【0023】
なお、カメラ1においては、電源をオンした状態で撮影者によるレリーズスイッチの操作を待っている状態、いわゆる待機状態がある。この状態におけるカメラ1は、撮像素子11及びその周辺回路を除いて、図示しないAE用センサやAF用センサのほか、カメラ制御部90などに代表されるカメラ回路部のすべてに電源部80から電力が供給されており、比較的安定した低い消費電流で動作している。この待機状態は、電池81にとって軽負荷状態であると考えられる。したがって、軽負荷回路82の代わりに、カメラ1を待機状態とすることによっても、実質的に電池81に軽負荷回路82を接続したのと同じ電流負荷を与えることができる。このような構成とした場合は、カメラ内部に専用の軽負荷回路82を実装する必要がないので、回路構成を簡素化することができる。
【0024】
重負荷回路83は、カメラ電源である電池81に対して軽負荷回路82よりも大きな電流負荷となる回路である。本実施形態では、カメラ1の動作に関係のない回路として、電池81に対し電流負荷となり得る抵抗とスイッチ素子とにより構成されている。この重負荷回路83におけるスイッチ素子のオン/オフは後述する電源制御部86により制御されている。以下、電池81に重負荷回路83を用いて通電した状態を重負荷状態という。
【0025】
なお、軽負荷回路82として、カメラ1を待機状態とすることにより電池81を軽負荷状態とするようにした場合は、重負荷回路83は低抵抗とスイッチ素子とにより構成することができる。この場合は、上記のような待機状態(軽負荷状態)に加えて、重負荷回路83の低抵抗の電流負荷を加えることにより、重負荷状態とすることができる。
【0026】
電圧検出部84は、電池81の残容量を判定するために、軽負荷回路82又は重負荷回路83を用いて電池81に通電したときの電池81の出力電圧を検出する回路である。本実施形態の電圧検出部84では、軽負荷回路82を用いて通電したときの第1出力電圧と、重負荷回路83を用いて通電したときの第2出力電圧とを検出している。なお、後述するように、電池81を活性化させるための通電では、電圧検出部84による出力電圧の検出は行われないが、この活性化のための通電時に電圧検出部84により出力電圧を検出するようにしてもよい。
【0027】
容量判定部85は、電圧検出部84により検出された第1出力電圧と第2出力電圧とに基づいて、電池81の残容量を判定する回路である。本実施形態では、電池81の残容量を「充分」、「中程度」、「少ない」、「なし」の4段階で判定している。ただし、残容量を判定する段階は、少なくとも「充分」、「少ない」の2段階の判定があればよい。なお、検出された出力電圧に基づいて電池81の残容量を判定する演算には既存の手法を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
電源制御部86は、電源部80を構成する上記各部を統括的に制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。この電源制御部86では、カメラ1の電源がオンしたとき、或いは電池81が装填された時に、電池81を活性化させるための活性化処理としての通電と、電池81の残容量を判定するための通電とを実施している。このうち、電池81を活性化するための通電では、重負荷回路83を用いて電池81に対して、5msec間の通電、1msecの休止を1回とする通電動作を5回行うようにしている。このような電池81を活性化するための通電では、電圧検出部84による出力電圧の検出は行われない、いわゆるダミー通電となる。
【0029】
また、電池81の残容量を判定するための通電では、最初に軽負荷回路82を用いて電池81に通電し、続いて重負荷回路83を用いて電池81に通電するようにしている。このときは、それぞれの通電時において、電圧検出部84により出力電圧が検出されることになる。この電圧検出部84により検出された第1出力電圧と第2出力電圧は容量判定部85に送信され、電池81の残容量の判定が行われる。この判定結果は電源制御部86に送信される。
【0030】
また、電源制御部86は、電池81の残容量の判定に伴い、メモリ50のフラグ記憶エリアに、フラグセット、フラグリセットのいずれかの値を記憶する。すなわち、残容量の判定を開始したときにフラグセットとし、活性化のための通電が正常に終了した場合には、フラグ記憶エリアをフラグリセットとする。また、電池81を活性化するための通電中にシステムダウンが発生して正常に終了しなかった場合には、フラグ記憶エリアをフラグセットのままとする。このフラグセットの状態は、再び電源がオンした場合も保持される。ただし、電池ホルダの装填検出部から電池81が入れ替えられたことを示す検出信号を受信したときは、フラグ記憶エリアをフラグリセットとする。したがって、電池81を活性化するための通電中にシステムダウンが発生した場合には、電池81の入れ替えが行われない限り、フラグ記憶エリアにはフラグリセットが保持されることになる。
【0031】
また、電源制御部86は、容量判定部85の判定結果を後述するカメラ制御部90に送信して、液晶モニタ60の画面上に電池81の残容量を表示させるようにしている。図2(a)〜(d)は、電池81の残容量を液晶モニタ60にアイコン表示したときの具体例を示す説明図である。本実施形態の電源制御部86では、電池81の残容量を「充分」(図2(a))、「中程度」(図2(b))、「少ない」(図2(c))、「なし」(図2(d))の4段階で判定している。このうち、図2(d)のアイコン表示は、「撮影ができないので、電池を交換してください」という意味になる。したがって、このアイコン表示を見た撮影者は、電池81を新品に入れ替えることで撮影を再開することができる。
【0032】
なお、残容量を判定する段階は、少なくとも「充分」、「少ない」の2段階の判定があればよく、更に細かい段階を設定するようにしてもよい。また、図2に示すアイコン表示は液晶モニタ60でなく、電源部80に設けた図示しない表示パネルに表示するようにしてもよい。
【0033】
また、電源制御部86は図示しないA/Dコンバータを備えている。このA/Dコンバータは、電池81の給電ラインに接続されており、電源制御部86は、電池81の出力電圧をデジタル値として検出できる構成となっている。
【0034】
カメラ制御部(カメラCPU)90は、上述したカメラ1を構成する各要素を統括的に制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。すなわち、カメラ制御部90は、カメラ1の基本的な制御として、撮像部10の出力に基づいて測光や測距を行い、AE制御やAF制御のほか、発光部70の発光量を決定する発光制御などを実行している。
【0035】
また、カメラ制御部90は、電源部80から送信されてきた電池81の残容量の判定結果に基づいて、液晶モニタ60に図2(a)〜(d)に示すようなアイコン表示を行う処理を実行している。また、カメラ制御部90には、電池81からの給電ラインに接続された電源回路部91が設けられている。電池81から出力された電力は、この電源回路部91を介して各部に供給されることになる。なお、上述した電源制御部86による電源部80の制御は、カメラ制御部90で実行するようにしてもよい。
【0036】
次に、上記のように構成されたカメラ1の電源部80において、電池81の残容量を判定する場合の処理手順を図3のフローチャートにより説明する。本フローチャートの処理は、カメラ1の電源がオンしたとき、或いは電池81が装填された時にスタートする。また、メモリ50への書き込み/読み出しや液晶モニタ60への表示などの処理はカメラ制御部90を介して実行されるものとする。
【0037】
まず、電源制御部86は、メモリ50のフラグ記憶エリアをチェックして(ステップS101)、フラグセットかどうかを判定する(ステップS102)。ここで、NOであれば、電源制御部86は、メモリ50のフラグ記憶エリアをフラグセットに書き換える(ステップS103)。次に、電源制御部86は、電池81を活性化するための通電として、重負荷回路83を用いて電池81に対して、5msec間の通電、1msecの休止を1回とする通電動作を5回実行する(ステップS104)。この活性化のための通電の後、電源制御部86は、メモリ50のフラグ記憶エリアをフラグリセットに書き換える(ステップS105)。先に説明したように、電池81を活性化するための通電が正常に終了した場合は、電池81の残容量の判定を開始したときに、メモリ50のフラグ記憶エリアはフラグリセットとなるが、電池81を活性化するための通電中にシステムダウンが発生して正常に終了しなかった場合には、メモリ50のフラグ記憶エリアはフラグセットのままとなる。
【0038】
次に、電源制御部86は、電池81の残容量を判定するための通電として、軽負荷回路82を用いて電池81に通電し、このときの出力電圧を電圧検出部84に検出させる(ステップS106)。続いて、重負荷回路83を用いて電池81に通電し、このときの出力電圧を電圧検出部84に検出させる(ステップS107)。次に、電源制御部86は、電圧検出部84により検出された第1出力電圧と第2出力電圧とに基づいて、容量判定部85により電池81の残容量を判定させる(ステップS108)。そして、電源制御部86は、判定結果が「充分」であるかどうかを判定する(ステップS109)。ここで、YESであれば、電源制御部86は、液晶モニタ60に、図2(a)に示すような残容量「充分」のアイコンを表示させる(ステップS110)。
【0039】
また、ステップS109でNOであれば、電源制御部86は、判定結果が「中程度」であるかどうかを判定する(ステップS111)。ここで、YESであれば、電源制御部86は、液晶モニタ60に、図2(b)に示すような残容量「中程度」のアイコンを表示させる(ステップS112)。また、ステップS111でNOであれば、電源制御部86は、判定結果が「少ない」であるかどうかを判定する(ステップS113)。ここで、YESであれば、電源制御部86は、液晶モニタ60に、図2(c)に示すような残容量「少ない」のアイコンを表示させる(ステップS114)。また、ステップS113でNOであれば、電源制御部86は、残容量「なし」と判定して、液晶モニタ60に、図2(d)に示すような残容量「なし」のアイコンを表示させる(ステップS115)。
【0040】
一方、ステップS102の判定でYESであれば、電源制御部86は、ステップS115へ移行する。このように、電池81の残容量の判定を開始したときに、メモリ50のフラグ記憶エリアがフラグセットである場合には、電池81を活性化するための通電中にシステムダウンが発生したと考えられるため、残容量「なし」のアイコン表示が継続することになり、電池81を活性化するための通電は行われない。ただし、電源がオフの間に電池81が入れ替えられた場合は、電池ホルダの装填検出部から電池81が入れ替えられたことを示す検出信号が送信されるので、電源制御部86はフラグ記憶エリアをフラグリセットに書き換える。この場合は、ステップS102の判定でNOとなるため、ステップS104で電池81を活性化するための通電が行われことになる。
【0041】
なお、本実施形態では、カメラ1の電源がオンしたとき、或いは電池81が装填された時に、重負荷回路83を用いて電池81を活性化するための通電を行うようにしているが、これに先立って、軽負荷回路82と重負荷回路83とを用いて電池81の残容量の判定のための通電を行い、ここで残容量「なし」の判定された場合のみ重負荷回路83を用いて電池81を活性化するための通電を行うようにしてもよい。このような制御を行うことにより、残容量を判定する際に消費される電池81の電力をより少なくすることができる。
【0042】
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電池81の残容量を判定する際に、重負荷回路83を用いて電池81に通電し、不活性状態にある電池81を活性化させた後に電池81の出力電圧を検出するようにしたので、不活性状態にある電池についても正確に残容量を判定することができる。
(2)残容量の判定を開始したときにフラグセットとし、活性化のための通電が完了した時点でフラグリセットに書き換え、残容量の判定を開始したときにフラグリセットであれば、活性化のための通電を行うことなしに、活性化のための通電中にシステムダウンが発生したことを撮影者に通知するようにしたので、残容量がほとんどない電池81に対して重負荷による通電を過剰に繰り返すことがなく、電池81に対してより安全な状態で残容量の判定を行うことができる。
(3)重負荷回路83を用いて電池81を活性化するのに先立って、軽負荷回路82と重負荷回路83を用いて電池81の残容量の判定のための通電を行い、残容量「なし」の判定された場合のみ重負荷回路83を用いて電池81を活性化するための通電を行うようにした場合は、残容量を判定する際に消費される電池81の電力をより少なくすることができる。
(変形形態)
【0043】
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、重負荷回路83を用いて電池81に通電することにより電池81を活性化する例について示したが、軽負荷回路82と重負荷回路83とを用いて電池81に交互に通電することにより電池81を活性化するようにしてもよい。また、重負荷回路83を用いた通電において、重負荷回路83に供給する電圧値を1回ごとに徐々に上げるようにしてもよい。
(2)本実施形態では、電池81の残容量を判定する際に、最初に電池81を活性化するための通電を行い、その後に電池81の残容量を判定するための通電を行うようにしているが、電池81を活性化するための通電時に検出した出力電圧を残容量の判定に用いるようにしてもよい。例えば、軽負荷回路82を用いた通電時に出力電圧を検出し、続いて重負荷回路83を用いた通電時に出力電圧を検出する動作を複数回繰り返し行い、1回ごとに残容量の判定を行う。そして、複数回のすべての判定において残容量「少ない」の判定がなされたときのみ液晶モニタ60に残容量「少ない」のアイコン表示を行い、それ以外であれば、残容量「充分」のアイコン表示を行うというものである。この場合は、電池81を活性化しながら、同時に電池81に通電したときの出力電圧を検出することができるため、電池81の残容量の判定に要する時間を短縮することができる。
(3)本実施形態では、フラグ記憶エリアのフラグリセットを、電池81を活性化のための通電の直後に行うようにしているが、フラグリセットはこの例に限らず、電池81を活性化のための通電が完了した時点以降であればどのタイミングで実施してもよい。例えば、ステップS107、或いはステップS115の直後で実施するようにしてもよい。
(4)本実施形態では、本発明に係わる電源装置をカメラに適用した例について示したが、本発明に係わる電源装置はこれに限らず、ビデオカメラやオーディオプレーヤなどの単三電池を電源とする電子機器一般に適用することができる。
【0044】
また、上記実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0045】
1:カメラ、10:撮像部、20:レンズ/機構部、30:操作部、50:メモリ、60:液晶モニタ、80:電源部、81:電池、82:軽負荷回路、83:重負荷回路、84:電圧検出部、85:容量判定部、86:電源制御部、90:カメラ制御部、91:電源回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填された電池の電力を電子機器に供給する電源装置であって、
前記電池に対して電流負荷となる少なくとも一つの負荷回路と、
前記負荷回路に通電したときの当該電池の出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された前記出力電圧に基づいて前記電池の使用可能容量を判定する容量判定手段と、
前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記負荷回路に通電することにより前記電池を活性化させる活性化処理を実施する制御手段と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記制御手段は、
前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記活性化処理を実施した後に、前記電圧検出手段による前記電池の出力電圧の検出を実施させること、
を特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記制御手段は、
前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記活性化処理での前記負荷回路への通電時の前記電池の出力電圧を前記電圧検出手段に検出させること、
を特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源装置であって、
フラグ情報としてフラグセット又はフラグリセットのいずれかを保持する記憶手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記記憶手段にフラグリセットが保持されているときはフラグセットに書き換える処理と、前記活性化処理が完了した時点以降に前記記憶手段をフラグリセットに書き換える処理と、前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記記憶手段にフラグセットが保持されているときは、前記活性化処理を実施しないこと、
を特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
ユーザに対してシステムの状態を通知する通知手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記記憶手段にフラグセットが保持されているときは、前記活性化処理を実施せずに、前記通知手段により前記電池の残容量に関する警告を通知することを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記制御手段は、
前記電池の使用可能容量を判定する際に、前記負荷回路を用いて前記電池に通電したときの出力電圧を前記電圧検出手段に検出させ、当該検出された出力電圧に基づいて前記容量判定手段により前記電池の使用可能容量を判定させるとともに、当該判定された使用可能容量が基準値未満であった場合に前記活性化処理を実施すること、
を特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記電圧検出手段によって用いる負荷回路と、前記活性化処理で用いられる負荷回路とでは負荷が異なることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電源装置を備えることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−197231(P2010−197231A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42800(P2009−42800)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】