説明

電熱加熱調理器

【課題】電熱ヒータを確実にケーシングの底面上に支持し得る電熱加熱調理器を提供する。
【解決手段】ヒータ支持具30の垂下部32に、横向きに開口してヒータ支持具30の台部31と平行な方向に沿って入り込むスリット33が備えられ、底部材50に、ヒータ支持具30の垂下部32を挿通可能で、且つ、垂下部32が挿通された状態の当該ヒータ支持具30を底部材50の上面に沿って回転させることが可能な挿通孔52と、ヒータ支持具30の回転に伴ってスリット33に挿入される挿入部53と、垂下部32を受け止めてヒータ支持具30の回転を止める受け止め部とが設けられ、外周部材60に、外周部材60が底部材50に固定された状態で、底部材50の受け止め部に受け止められた状態のヒータ支持具30の垂下部32を受け止め部との間で挟む押さえ部63が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物の加熱用ケースを収容する上部が開口したケーシングと、ケーシングの底面上を巡らせるように湾曲又は屈曲された状態で底面上に配設される長尺状の電熱ヒータと、電熱ヒータをケーシングの底面上に支持するヒータ支持具と、ヒータ支持具をケーシングの底面に固定する固定手段とを備えた電熱加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電熱加熱調理器は、電熱ヒータにて加熱用ケースを加熱することにより、その加熱用ケースに収容されている被加熱物を加熱調理するものであり、具体例としては、製パン機、炊飯器、ホットプレート等が挙げられる。ちなみに、加熱用ケースとしては、外周部の立ち上がりが高いもの、低いもの、平面視形状が矩形状のもの、円形状のもの等、電熱加熱調理器の具体例に応じて、種々の形態のものが用いられる。例えば、製パン機や炊飯器では、外周部の立ち上がりが高い加熱用ケース(パンケースや炊飯釜)が用いられ、ホットプレートでは、外周部の立ち上がりが低い加熱用ケースが用いられる。
このような電熱加熱調理器では、ケーシングの底面上を巡らせるように湾曲又は屈曲成形された長尺状の電熱ヒータが、ヒータ支持具によりケーシングの底面上に支持されるが、そのヒータ支持具による電熱ヒータの支持構成として、従来、以下の構成が提案されていた。
【0003】
例えば、ヒータ支持具が、底部材に固定された状態で当該底部材の上面に対向する台部と、その台部から上方に伸びると共に、上端部に上方に開口する係合溝を有するヒータ受け部とを備えて構成されていた。そして、ヒータ支持具の台部にビス挿通孔が設けられると共に、このビス挿通孔に合わさるように、ケーシングの底部にネジ孔が設けられて、ビスを、台部のビス挿通孔を挿通させてケーシングの底部のネジ孔に締め付けることにより、ヒータ支持具がケーシングの底面に固定される構成とされていた。
つまり、ヒータ支持具をケーシングの底面に固定する固定手段が、ビスとケーシングの底部のネジ孔からなるネジ式に構成され、ヒータ支持具の係合溝にて電熱ヒータを支持するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、別の支持構成では、ヒータ支持具が、下端部に幅狭の頸部を介して係止片を備えた一対の側板と、その一対の側板の上端に跨る溝状部とを備えて構成されていた。そして、ケーシングの底部に、ヒータ支持具の一対の係止片を各別に挿通可能な一対の孔が形成されて、ヒータ支持具の一対の係止片夫々をケーシングの底部の一対の孔夫々に上方から挿通した状態で、ケーシングの底部の裏側で各係止片を捩じることにより、ヒータ支持具がケーシングの底面に固定される構成とされていた。
つまり、固定手段が、ヒータ支持具の一対の係止片とケーシングの底部の一対の孔とにより構成され、ヒータ支持具の溝状部にて電熱ヒータを支持するように構成されていた(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−237749号公報
【特許文献1】実開平5−1431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電熱加熱調理器では、経年劣化や部材の損傷等により、ヒータ支持具をケーシングの底面に固定すべき本来の機能を固定手段が発揮できなくなると、ヒータ支持具が倒れたり外れたりして、電熱ヒータをケーシングの底面上に適切に支持できなくなる虞があり、改善が望まれていた。
例えば、特許文献1の電熱加熱調理器では、経年劣化等により、ビスがケーシングの底部のネジ孔から外れたり緩んだりすると、ヒータ支持具が倒れたり外れたりするので、電熱ヒータをケーシングの底面上に適切に支持できなくなる。
又、特許文献2の電熱加熱調理器では、係止片が折損して側板から脱落すると、ヒータ支持具が倒れたり外れたりするので、電熱ヒータをケーシングの底面上に適切に支持できなくなる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電熱ヒータを確実にケーシングの底面上に支持し得る電熱加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る電熱加熱調理器は、被加熱物の加熱用ケースを収容する上部が開口したケーシングと、前記ケーシングの底面上を巡らせるように湾曲又は屈曲された状態で前記底面上に配設される長尺状の電熱ヒータと、前記電熱ヒータを前記ケーシングの底面上に支持するヒータ支持具と、前記ヒータ支持具を前記ケーシングの底面に固定する固定手段とを備えた電熱加熱調理器であって、その特徴構成は、
前記ケーシングが、前記ヒータ支持具が前記固定手段により固定される底部材と、前記底部材に固定される外周部材とを備えて構成され、
前記ヒータ支持具が、前記底部材に固定された状態で当該底部材の上面に対向する台部と、前記台部から下方に伸びる垂下部と、前記台部から上方に伸びるヒータ受け部とを備えて構成され、
前記ヒータ支持具の前記垂下部に、横向きに開口して前記台部と平行な方向に沿って入り込むスリットが備えられ、
前記底部材に、前記ヒータ支持具の前記垂下部を挿通可能で、且つ、前記垂下部が挿通された状態の当該ヒータ支持具を前記底部材の上面に沿って回転させることが可能な挿通孔と、前記ヒータ支持具の回転に伴って前記スリットに挿入される挿入部と、前記垂下部を受け止めて前記ヒータ支持具の回転を止める受け止め部とが設けられ、
前記外周部材に、前記外周部材が前記底部材に固定された状態で、前記底部材の前記受け止め部に受け止められた状態の前記ヒータ支持具の前記垂下部を前記受け止め部との間で挟む押さえ部が設けられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、垂下部を底部材の挿通孔に挿通した状態で、ヒータ支持具を底部材の上面に沿って回転させると、垂下部のスリットに底部材の挿入部が挿入される状態になると共に、そのような状態が維持されながら、垂下部が底部材の受け止め部に受け止められて、ヒータ支持具の回転が止められる。続いて、外周部材が所定の固定位置で底部材に固定される。
このように、ヒータ支持具が、その垂下部が挿通孔に挿通されて受け止め部にて受け止められた状態で底部材上に配設され、並びに、外周部材が底部材に固定されると、底部材の挿通孔に挿通されているヒータ支持具の垂下部のスリットに底部材の挿入部が挿入され、並びに、ヒータ支持具の垂下部が底部材の受け止め部と外周部材の押さえ部との間に挟まれる状態となる。この状態では、ヒータ支持具が固定手段により底部材に固定されていなくても、底部材の挿通孔に挿通されているヒータ支持具の垂下部のスリットに底部材の挿入部が挿入されていることにより、底部材の面方向に交差する方向での底部材に対するヒータ支持具の相対移動が阻止され、並びに、ヒータ支持具の垂下部が底部材の受け止め部と外周部材の押さえ部との間に挟まれていることにより、底部材の面方向に沿う方向での底部材に対するヒータ支持具の相対移動や相対回転が阻止される。
つまり、経年劣化や部材の損傷等により、ヒータ支持具をケーシングの底面に固定すべき本来の機能を固定手段が発揮できなくなっても、ヒータ支持具の抜け、傾き、底部材の面方向に沿う方向での移動や回転が阻止されて、ヒータ支持具が底部材における所定の位置に適正な姿勢で保持されているので、ヒータ支持具により、電熱ヒータをケーシングの底面上の所定位置に適切に支持することができるのである。
従って、電熱ヒータを確実にケーシングの底面上に支持し得る電熱加熱調理器を提供することができるようになった。
【0010】
本発明に係る電熱加熱調理器の更なる特徴構成は、前記外周部材が、枠状又は筒状に構成されると共に、前記ケーシングの側周面を形成するように構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、外周部材が枠状又は筒状に構成されているので、その外周部材を底部材に固定するに当たって、底部材に対する位置合わせを行い易く、しかも、単一の外周部材を底部材に固定することにより、ケーシングを構成することができるので、ケーシングの組み付け作業を簡素化することができる。
そして、そのように外周部材を底部材に組み付けると、外周部材の押さえ部が、ヒータ支持具の垂下部を底部材の受け止め部とにより挟むように位置合わせされて配設されることは勿論である。
従って、製造作業の簡略化を図りながら、ケーシングの底面上での電熱ヒータの確実な支持を可能にすることができる。
【0012】
本発明に係る電熱加熱調理器の更なる特徴構成は、前記電熱ヒータが、互いに対向する一対の対向部分を備えるように湾曲又は屈曲され、
少なくとも2個の前記ヒータ支持具が、前記電熱ヒータにおける前記一対の対向部分夫々に振り分けられた状態で前記底部材に固定され、
前記電熱ヒータを受けるヒータ受け用凹部が、各ヒータ支持具が前記一対の対向部分のうちの一方の対向部分に対応して前記底部材に固定された状態で、他方の対向部分側とは反対側の横向きに開口するように、各ヒータ支持具の前記ヒータ受け部に設けられている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、電熱ヒータにおける一対の対向部分夫々に振り分けられた状態で配置される少なくとも2個のヒータ支持具により、一対の対向部分が外側に張られた状態で電熱ヒータが支持されるので、電熱ヒータをガタツキがないように支持することができる。
しかも、電熱ヒータが通電により昇温して熱膨張しても、ヒータ受け用凹部における電熱ヒータの外側に対応する部分が開口しているので、当該熱膨張を許容し、応力発生を抑制することができ、電熱ヒータの耐久性が低下するのを防止することができる。
従って、応力発生による電熱ヒータの耐久性低下を防止しながら、電熱ヒータをガタツキがないように確実に支持することができる。
【0014】
本発明に係る電熱加熱調理器の更なる特徴構成は、平面視において、前記一方の対向部分に対応する前記底部材の前記受け止め部及び前記外周部材の前記押さえ部が、当該一方の対向部分に対して、前記他方の対向部分側の反対側に位置するように構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、外周部材が底部材に固定された状態では、外周部材の押さえ部が、電熱ヒータにおける一対の対向部分のうちの当該押さえ部に対応する対向部分に対して、他方の対向部分側の反対側、即ち、底部材の外周側に位置する。
つまり、外周部材は、底部材上に配設される電熱ヒータの外周を囲むように底部材に固定されることになるので、上述の如き押さえ部の具備形態とすることにより、押さえ部を電熱ヒータの対向部分に干渉することなく外周部材に備えさせることができて、外周部材の構成が複雑化するのを回避することができると共に、組み立ての簡素化を図ることができる。
従って、ケーシングの構成が複雑になるのを回避しながら、ケーシングの底面上での電熱ヒータの確実な支持を可能にすることができる。
【0016】
本発明に係る電熱加熱調理器の更なる特徴構成は、前記外周部材に、前記挿通孔における前記ヒータ支持具の前記垂下部が存在している領域以外の領域を覆う挿通孔覆い部が備えられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、底部材に外周部材が固定されると、その外周部材の挿通孔覆い部により、挿通孔におけるヒータ支持具の垂下部が存在している領域以外の領域が覆われる。
つまり、底部材に挿通孔を設けても、その挿通孔により外観が損なわれるのを防止することができると共に、挿通孔を通して底部材の裏側に異物が落下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】蓋体を開けた状態での製パン機の外観を示す斜視図
【図2】製パン機の縦断正面図
【図3】蓋体を開け且つパンケースを外した状態での製パン機の一部切り欠き斜視図
【図4】パンケースを取り外した状態での製パン機の要部の横断平面図
【図5】ヒータ支持具の装着手順を説明する斜視図
【図6】ヒータ支持具の装着手順を説明する斜視図
【図7】ヒータ支持具の装着手順を説明する横断平面図
【図8】ヒータ支持具の装着構造を示す分解斜視図
【図9】ヒータ支持具の装着構造を示す斜視図
【図10】図4のX−X方向での断面図
【図11】図4のXI−XI方向での断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明を電熱加熱調理器の一例としての製パン機に適用した場合の実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、この製パン機は、上部が上部開口4にて開口したケーシングCを内部に備えた本体1、その本体1のケーシングC内に着脱自在に装着されるパンケース2(加熱用ケースの一例)、ケーシングCの上部開口4を開閉自在な蓋体3等を備えて構成されている。
本体1は、平面視が概ね長方形状で、上部が開口した有底箱状に構成され、平面視において、その本体1内における長手方向の一端側に寄せて、四隅が丸みを帯びた概ね長方形状のケーシングCが設けられている。そして、本体1内が、平面視で長手方向一端側のケーシングC内に形成される加熱室5と、平面視で長手方向他端側の制御部収容室6と、それら加熱室5及び制御部収容室6の下方の伝動部収容室7との三区画に仕切られている。
【0020】
更に、この製パン機には、図3及び図4に示すように、ケーシングCの底面上を巡らせるように屈曲された状態でその底面上に配設される長尺状の電熱ヒータ8と、その電熱ヒータ8をケーシングCの底面上にその底面と離間した状態で支持するヒータ支持具30と、そのヒータ支持具30をケーシングCの底面に固定する固定手段としてのネジ式固定手段9とが備えられている。ちなみに、電熱ヒータ8としては、例えば、いわゆるシーズヒータを用いることができる。
【0021】
図1及び図2に示すように、蓋体3は、ケーシングCの上部開口4の開口縁部に、ヒンジ構造により水平方向の軸心周りに揺動自在に設けられて、その揺動によりケーシングCの上部開口4を開閉自在に構成されている。
この蓋体3は、縦断正面視及び縦断側面視で上方に膨出する概略逆U字形状に構成されると共に、耐熱性の透明ガラスから成る確認窓10、及び、蒸気抜き孔11が設けられている。
そして、ケーシングCと蓋体3とにより区画形成される内部空間が加熱室5として形成され、この加熱室5内にパンケース2が収容されることとなる。
【0022】
図1及び図2に示すように、パンケース2は、平面視で四隅が丸みを帯びた長方形状で、上部が開口した有底箱状であり、その上部開口の縁部には、その長手方向の両端側に振り分けて、一対の取手2aが設けられている。
図2に示すように、パンケース2の底部の裏面側には、パンケース2を載置支持するパンケース台20が一体的に取り付けられている。
又、パンケース2の底部には、一対の駆動軸13が、上下方向の軸心回りで回転自在に支持された状態で長手方向に並べて設けられ、各駆動軸13におけるパンケース2の底部からの突出部には、従動側連結具23が固定されている。各駆動軸13には、羽根部材18が着脱自在に装着される。
そして、図1及び図2に示すように、パンケース2は、パンケース台20に載置支持される状態で、ケーシングC内に装着される。
又、パンケース2がケーシングC内に装着された状態では、パンケース2の上部開口がケーシングCの上部開口4よりも下方に位置するように構成されている。このことにより、蓋体3が開かれても、パンケース2内からの放熱を抑制して、パンケース2内の温度低下を抑制する構成となっている。
【0023】
図2〜図4に示すように、ケーシングC内の底部には、パンケース2がパンケース台20に載置状態でケーシングC内に装着されたときに、一対の従動側連結具23夫々に係合するように、一対の駆動側連結具24が、上下方向の軸心回りで回転自在に支持された状態で、加熱室5の長手方向に並べられて設けられている。図2に示すように、制御部収容室6には、一対の駆動軸13を駆動回転するための電動モータ14、並びに、電熱ヒータ8及び電動モータ14等の作動を制御することにより製パン機の運転を制御する制御部15が設けられている。又、図1に示すように、その制御部収容室6の上部を閉じる蓋カバー16には、運転スイッチ等を備えた操作部17が設けられている。
更に、図2に示すように、伝動部収容室7には、電動モータ14と一対の駆動軸13を伝動連結する伝動部40が設けられている。
【0024】
そして、パンケース2内に製パン用材料(図示省略)を入れて、操作部17により運転開始を指令すると、制御部15により、電熱ヒータ8及び電動モータ14等の作動が制御されて、パン生地を混練する混練工程、パン生地を発酵させる発酵工程、パン生地を加熱してパンを焼き上げる焼成工程が順次実行されて、パンが焼き上げられる。
尚、混練工程、発酵工程及び焼成工程は公知であるので、各工程の運転条件等の説明は省略する。
【0025】
以下、製パン機の各部について説明を加える。
図2〜図4に示すように、ケーシングCは、その底部を形成すると共に、ヒータ支持具30がネジ式固定手段9により固定される底部材としての底板部材50と、その底板部材50に固定されて、ケーシングCの外周部を形成する外周部材としての周壁部材60とを備えて構成されている。
底板部材50は、平面視で、本体1内の略全域にわたる長方形板状に構成される。この長方形板状の底板部材50が、本体1内の底部上に、その底部との間に伝動部収容室7を形成すべく、スペーサ(図示省略)により間隔を開けて配設されている。
【0026】
周壁部材60は、平面視で四隅が丸みを帯びた概ね長方形状で、両端が開口した角筒状に構成されて、ケーシングCの側周面を形成するように構成されている。この角筒状の周壁部材60が、その平面視での長手方向を底板部材50の長手方向に沿わせた姿勢で、底板部材50の長手方向の一端側に寄せてその底板部材50上に配設される。
図4、図8〜図11に示すように、この周壁部材60の下部開口部における四辺の縁部夫々に、内方側に向けて直角に張り出す張り出し部61が設けられている。
図8及び図10に示すように、各張り出し部61には、ボルト挿通孔62が2個ずつ周方向に並べて形成され、周壁部材60を底板部材50上の所定の固定位置に配設した状態で、各張り出し部61の各ボルト挿通孔62が重なるように、底板部材50には、雌ネジが形成された周壁部材固定用ネジ孔51が形成されている。
【0027】
そして、図2〜図4に示すように、周壁部材60を底板部材50上の所定の固定位置に配設して、図8、図10に示すように、各ボルト挿通孔62を通してボルト19を各周壁部材固定用ネジ孔51に締め付けられることにより、周壁部材60が底板部材50に固定される。これにより、底板部材50上における周壁部材60内に、加熱室5が形成され、底板部材50上における周壁部材60外に、制御部収容室6が形成される。
【0028】
図2〜図4に示すように、一対の駆動側連結具24は、底板部材50における加熱室5内の部分に、夫々、回転軸部(図示省略)が底板部材50から下方に突出する状態で回転自在に支持されて設けられている。
【0029】
図2に示すように、一対の駆動側連結具24夫々における底板部材50から下方に突出する回転軸部には、互いに同径の小プーリ41が固定され、更に、一方の小プーリ41の下側に突出する回転軸部(図示省略)には、大プーリ42が固定されている。
電動モータ14の出力軸14aと大プーリ42とにわたって、第1タイミングベルト43が巻回され、各駆動軸13の小プーリ41にわたって、第2タイミングベルト44が巻回されている。そして、電動モータ14により、一対の駆動軸13が回転駆動されるように構成されている。
【0030】
つまり、電動モータ14と一対の駆動軸13を伝動連結する伝動部40が、一対の駆動軸13夫々に夫々固定された一対の小プーリ41、一方の駆動軸13に固定された大プーリ42、電動モータ14の出力軸14aと大プーリ42とにわたって巻回された第1タイミングベルト43、及び、一対の小プーリ41にわたって巻回された第2タイミングベルト44等を備えて構成されている。
【0031】
尚、上述したように、底板部材50は、パンケース2及び電動モータ14を載置状態で支持すると共に、伝動部40を吊り下げ状態で支持するものであるので、周壁部材60に比べて厚みが厚くて強度が強い金属板等の部材にて構成されている。
【0032】
図4〜図11に基づいて、本発明に係る電熱ヒータ8の支持構成について説明する。
本発明では、ヒータ支持具30が、底板部材50に固定された状態で当該底板部材50の上面に対向する台部31と、その台部31から下方に伸びる垂下部32と、その台部31から上方に伸びるヒータ受け部34とを備える。
ヒータ支持具30の垂下部32には、横向きに開口して台部31と平行な方向に沿って入り込むスリット33が備えられ、ヒータ支持具30のヒータ受け部34には、電熱ヒータ8を受けるヒータ受け用凹部35が備えられている。
又、底板部材50に、ヒータ支持具30の垂下部32を挿通可能で、且つ、その垂下部32が挿通された状態の当該ヒータ支持具30を底板部材50の上面に沿って回転させることが可能な垂下部挿通孔52(挿通孔の一例)と、そのヒータ支持具30の回転に伴ってスリット33に挿入される挿入部53と、垂下部32を受け止めてヒータ支持具30の回転を止める受け止め部54とが設けられている。
更に、周壁部材60に、その周壁部材60が底板部材50に固定された状態で、その底板部材50の受け止め部54に受け止められた状態のヒータ支持具30の垂下部32を底板部材50の受け止め部54との間で挟む押さえ部63が設けられている。
【0033】
図4に示すように、この実施形態では、電熱ヒータ8が、概ね長方形状のパンケース2の外周よりも大きい長方形枠状に屈曲成形されて、互いに対向する一対の対向部分8pを備えるように構成されている。
この概ね長方形枠状の電熱ヒータ8が、平面視で、一対の対向部分8p夫々が底板部材50上に配設される周壁部材60の下端の長方形状開口部における一対の対向する開口縁夫々に対向する形態で、底板部材50上に配設される。
そして、2個のヒータ支持具30が、電熱ヒータ8における一対の対向部分8p夫々に振り分けられた状態で底板部材50に固定される。
【0034】
尚、電熱ヒータ8における一対の対向部分8p夫々に振り分けられて設けられる2個のヒータ支持具30は、互いに面対称となるように構成されるが、図5〜図11は、2個のヒータ支持具30のうちで、図4における左右2個のうちの左側のヒータ支持具30を示す図である。
そして、図5〜図9は、ヒータ支持具30を装着する手順を説明する図である。
図5は、ヒータ支持具30の垂下部32を底板部材50の垂下部挿通孔52に挿通する状態を示す斜視図であり、(a)は、ヒータ支持具30を右手前上方から見た斜視図であり、(b)は、ヒータ支持具30を左手前上方から見た斜視図である。
図6は、垂下部32を底板部材50の垂下部挿通孔52に挿通した状態で、ヒータ支持具30を回転させる状態を示す斜視図である。
図7は、垂下部32を底板部材50の垂下部挿通孔52に挿通した状態で、ヒータ支持具30を回転させる状態を示す横断平面図であり、(a)は、ヒータ支持具30を回転させる前の状態を示す図であり、(b)は、ヒータ支持具30を回転させた後の状態を示す図である。
図8は、周壁部材60を装着する状態、及び、ヒータ支持具30をネジ式固定手段9により固定する状態を示す分解斜視図であり、図9は、ヒータ支持具30を固定した状態を示す斜視図である。
【0035】
図5〜図11に基づいて、ヒータ支持具30について説明を加える。
ヒータ支持具30は、金属製の板状材に抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより、上述の如き台部31、垂下部32、スリット33、ヒータ受け部34及びヒータ受け用凹部35等を有する形状に構成される。
ヒータ支持具30の台部31は、互いに平行に対向する一対の端縁を有する板状であり、それら一対の端縁のうちの一方に板状の垂下部32が備えられ、他方に板状のヒータ受け部34が備えられている。
【0036】
垂下部32は、台部31の端縁における一端側の部分に、台部31の端縁から下方に直角に伸びるように備えられ、その端縁における残りの部分には、垂下部32よりも伸びる長さ(台部31からの突出寸法に相当する)が短くなる形態で、台部31の端縁から垂下部32と同じ側に下方に直角に伸びる垂下部側間隔保持部36が備えられている。
スリット33は、垂下部側間隔保持部36の側からその垂下部側間隔保持部36の側とは反対側に向けて、台部31と平行な方向に入り込むように、垂下部32に備えられている。
【0037】
ヒータ受け部34は、台部31の端縁における他端側の部分に、台部31の端縁から垂下部32とは反対側の上方に直角に伸びるように備えられ、その端縁における残りの部分には、伸びる長さ(台部31からの突出寸法に相当する)が垂下部側間隔保持部36と同じになる形態で、台部31の端縁から垂下部側間隔保持部36と同じ側である下方に直角に伸びる受け部側間隔保持部37が備えられている。尚、垂下部側間隔保持部36及び受け部側間隔保持部37は、夫々に対応する台部31の端縁における互いに同じ側の端部に備えられている。
ヒータ受け用凹部35は、受け部側間隔保持部37の側とは反対側からその受け部側間隔保持部37の側に向けて、台部31と平行な方向に入り込むように、ヒータ受け部34に備えられている。
【0038】
つまり、スリット33とヒータ受け用凹部35とは、台部31の端縁に平行な方向において、互いに逆向きに開き、且つ、深さ方向(開口部と底部との並び方向)が互いに平行になるように構成されている。
又、図5〜図8に示すように、台部31には、ボルト挿通孔38が設けられている。
【0039】
底板部材50の垂下部挿通孔52について説明を加える。
図4〜図11に示すように、底板部材50には、周壁部材60の各張り出し部61を上方から嵌め込むことが可能な嵌め込み用凹部55が設けられ、垂下部挿通孔52は、この底板部材50における嵌め込み用凹部55内に相当する部分に設けられる。
そして、垂下部挿通孔52は、平面視にて、中心角が90度の概ね扇型形状の扇型状開口部分52aと、その扇型状開口部分52aの一方の直線状の開口縁に沿って扇型形状の半径方向の外方に伸びる直線状のスリット状開口部分52bとが合わさった形状に構成されている。
【0040】
主として、図6、図7及び図11に示すように、垂下部挿通孔52の扇型状開口部分52aにおいて、一対の直線状開口縁の交点と概ね円弧状の開口縁との間隔R(図7参照)は、ヒータ受け部34の垂下部32におけるスリット33が形成された残り部分の幅Wa(図7参照、以下、スリット残り幅と記載する)よりもやや大きくなるように設定される。
但し、扇型状開口部分52aにおける概ね円弧状の開口縁において、スリット状開口部分52bの側とは反対側の部分は、直線状のスリット状開口部分52bに対して概ね平行になるように構成されている。そして、扇型状開口部分52aにおけるスリット状開口部分52bに対して直交する直線状開口縁の長さRa(図7参照)は、ヒータ支持具30の垂下部32のスリット残り幅Wa(図7参照)と略同一になるように設定される。
【0041】
又、主として、図5及び図7に示すように、垂下部挿通孔52のスリット状開口部52bの幅D(図7参照)は、ヒータ支持具30の垂下部32の厚さTよりも大きくなるように設定され、並びに、垂下部挿通孔52のスリット状開口部52bの長さLは、ヒータ支持具30の垂下部32の幅Wb(図7参照)よりもやや大きくなるように設定される。
又、垂下部挿通孔52のスリット状開口部52bの長さLは、扇型状開口部分52aにおける一対の直線状開口縁の交点と概ね円弧状の開口縁との間隔Rよりも大きくなるように設定される。
【0042】
そのような形状の垂下部挿通孔52が、底板部材50における嵌め込み用凹部55内に相当する部分に、スリット状開口部分52bの長さ方向を底板部材50における当該嵌め込み用凹部55が設けられた端縁部に沿わせた状態で設けられる。
【0043】
図5及び図6に示すように、スリット33の開口部を垂下部挿通孔52のスリット状開口部52bの先端側(扇型状開口部分52aに対して反対側)に向けた姿勢で、ヒータ支持具30の垂下部32を垂下部挿通孔52のスリット状開口部52bに挿通する。
そして、図6及び図7に示すように、垂下部32を垂下部挿通孔52のスリット状開口部52bに挿通した状態で、平面視において、垂下部32の幅方向におけるスリット33が開口している側とは反対側の端部に相当する位置を回転中心Pとして、ヒータ支持具30を底板部材50の内方側に向けて回転させると、底板部材50における垂下部挿通孔52の概ね円弧状の開口縁に沿う部分が挿入部53として機能してスリット33に挿入された状態で、ヒータ支持具30を回転させることができる。
そのようにヒータ支持具30を90度回転させると、ヒータ支持具30の垂下部32が、垂下部挿通孔52の扇型状開口部分52aにおける直線状開口縁に沿う内面に当接して、ヒータ支持具30の回転が止められることになり、その内面が受け止め部54として作用する。
【0044】
このように垂下部32を垂下部挿通孔52に挿通した状態で、ヒータ支持具30を回転させている間、並びに、垂下部32が受け止め部54にて受け止められている状態では、底板部材50の挿入部53がスリット33に挿入されているので、底板部材50に対する垂下部32の長さ方向(上下方向)夫々に沿う方向でのヒータ支持具30の相対移動が規制される。
しかも、扇型状開口部分52aにおけるスリット状開口部分52bに対して直交する直線状開口縁の長さRaが、ヒータ受け部34の垂下部32のスリット残り幅Waと略同一であるため、ヒータ支持具30の垂下部32が底板部材50の受け止め部54に受け止められた状態では、スリット33の底部が底板部材50の垂下部挿通孔52の内面に当接又は近接した状態となるので、ヒータ支持具30が、垂下部32の幅方向(横方向)においてガタツキがない又は小さい状態で、底板部材50に保持されることになる。
【0045】
図6、図8、図9及び図11に示すように、ヒータ支持具30が、その垂下部32を底板部材50の受け止め部54に当接させた状態で配設されると、平面視で、ヒータ支持具30のヒータ受け部34が、底板部材50上に配設される電熱ヒータ8の対向部分8pに直交する状態となり、且つ、そのヒータ受け部34のヒータ受け用凹部35が底板部材50の外周部側に向かって開口する状態となる。
【0046】
図5及び図7に示すように、ヒータ支持具30が、その垂下部32が受け止め部54にて受け止められた状態で底板部材50上に配設されると、ヒータ支持具30の台部31に設けられたボルト挿通孔38に合わさるように、底板部材50に、雌ネジが形成されたヒータ固定用ネジ孔56が設けられている。
そして、図8及び図9に示すように、ボルト21をボルト挿通孔38に挿通してヒータ固定用ネジ孔56に締め付けると、ヒータ支持具30が底板部材50に固定されることになる。尚、ボルト挿通孔38及びヒータ固定用ネジ孔56が、ヒータ支持具30のヒータ受け用凹部35に支持される電熱ヒータ8の対向部分8pの内方側に位置するように、ボルト挿通孔38がヒータ支持具30の台部31に設けられ、ヒータ固定用ネジ孔56が底板部材50に設けられる。
つまり、ネジ式固定手段9が、ボルト21とヒータ固定用ネジ孔56とにより構成されることになる。又、このネジ式固定手段9が、垂下部32が底板部材50の垂下部挿通孔52に挿通されてその底板部材50の受け止め部54に受け止められた姿勢にて、ヒータ支持具30を底板部材50に固定可能に構成されていることになる。
【0047】
図4、図8、図9及び図10に示すように、周壁部材60の張り出し部61には、平面視において、ヒータ支持具30の台部31における底板部材50の嵌め込み用凹部55に重なる部分を嵌め込み可能なように、その重なる部分の外周に沿う形状の凹入部64が設けられている。
そして、周壁部材60を底板部材50上の固定位置に配設して、上述のようにボルト19により底板部材50に固定する。すると、図4、図9及び図10に示すように、周壁部材60の張り出し部61により、垂下部挿通孔52におけるヒータ支持具30の垂下部32が存在している領域以外の領域が覆われる。つまり、この張り出し部61が、挿通孔覆い部に相当する。
【0048】
又、図4、図9及び図10に示すように、周壁部材60の凹入部64におけるヒータ支持具30の垂下部32に対向する内面が押さえ部63として機能して、その垂下部32に当接又は近接する状態となると共に、底板部材50の垂下部挿通孔52における受け止め部54とにより、ヒータ支持具30の垂下部32を挟む状態となる。
【0049】
図9〜図11に示すように、このように、ヒータ支持具30が、その垂下部32が底板部材50の垂下部挿通孔52に挿通されて受け止め部54にて受け止められた状態で、底板部材50上に配設され、並びに、周壁部材60が底板部材50上の固定位置にボルト19により固定されると、ヒータ支持具30のスリット33に底板部材50の挿入部53が挿入され、並びに、ヒータ支持具30の垂下部32が底板部材50の受け止め部54と周壁部材60の押さえ部63とに挟まれる状態となる。このような状態では、ヒータ支持具30がボルト21により底板部材50に固定されていなくても、底板部材50の垂下部挿通孔52に挿通されているヒータ支持具30の垂下部32のスリット33に底板部材50の挿入部53が挿入されていることにより、底板部材50の面方向に交差する方向での底板部材50に対するヒータ支持具30の相対移動が阻止され、並びに、ヒータ支持具30の垂下部32が底板部材50の受け止め部54と周壁部材60押さえ部63との間に挟まれていることにより、底板部材50の面方向に沿う方向での底板部材50に対するヒータ支持具30の相対移動や相対回転が阻止される。
【0050】
又、2個のヒータ支持具30夫々が所定の位置で上述のように底板部材50に固定されて、電熱ヒータ8の対向部分8pが各ヒータ支持具30のヒータ受け用凹部35に外側から嵌め込まれた状態では、図4、図9〜図11に示すように、平面視において、ヒータ支持具30の垂下部32における底板部材50の受け止め部54と周壁部材60の押さえ部63とに挟まれる部分が、電熱ヒータ8の対向部分8pよりも底板部材50の外周部側に位置する状態となるように、ヒータ支持具30の形状が設定されている。
【0051】
上述の如きヒータ支持具30の装着構造とすることにより、この実施形態では、2個のヒータ支持具30が、電熱ヒータ8における一対の対向部分8p夫々に振り分けられた状態で底板部材50に固定され、ヒータ受け用凹部35が、各ヒータ支持具30が一対の対向部分8pのうちの一方の対向部分8pに対応して底板部材50に固定された状態で、他方の対向部分8p側とは反対側の横向きに開口するように、各ヒータ支持具30のヒータ受け部34に備えられていることになる。
又、平面視において、一対の対向部分8pのうちの一方の対向部分8pに対応する底板部材50の受け止め部54及び周壁部材60の押さえ部63が、当該一方の対向部分8pに対して、他方の対向部分8p側の反対側に位置するように構成されていることになる。
更に、周壁部材60に、垂下部挿通孔52におけるヒータ支持具30の垂下部32が存在している領域以外の領域を覆う挿通孔覆い部(即ち、張り出し部61)が備えられていることになる。
【0052】
次に、電熱ヒータ8をヒータ支持具30により支持する手順を説明する。
図5及び図6に示すように、2個のヒータ支持具30夫々を、その垂下部32を垂下部挿通孔52に挿通した状態で底板部材50上に配設する。
続いて、図6及び図7に示すように、平面視において、垂下部32の幅方向におけるスリット33が開口している側とは反対側の端部に相当する位置を回転中心Pとして、各ヒータ支持具30を底板部材50の内方側に向けて90度回転させる。
又、このように各ヒータ支持具30を回転させる際に、図8及び図9に示すように、電熱ヒータ8の一対の対向部分8p夫々を夫々に対応するヒータ支持具30のヒータ受け用凹部35に外側から嵌め込んで、電熱ヒータ8を2個のヒータ支持具30により支持する。
そして、図8に示すように、各ヒータ支持具30の台部31と底板部材50との間にリング状のスペーサ22を挿入し、ボルト21をボルト挿通孔38及びスペーサ22の孔に挿通して、底板部材50のヒータ固定用ネジ孔56に締め付けて、各ヒータ支持具30を底板部材50に固定する。
【0053】
スペーサ22は、耐熱性及び断熱性を有する材料で形成されている。そして、図10及び図11に示すように、スペーサ22の厚さは、ヒータ支持具30の垂下部側間隔保持部36や受け部側間隔保持部37における台部31からの突出寸法よりもやや大きくなるように設定されている。
このことにより、各ヒータ支持具30が底板部材50にボルト21にて固定された状態では、各ヒータ支持具30の垂下部側間隔保持部36及び受け部側間隔保持部37が底板部材50の表面から離間しているため、電熱ヒータ8からの底板部材50や周壁部材60への伝熱が抑制される。従って、製パン機の運転中において、底板部材50や周壁部材60の昇温を抑制することができ、延いては、本体1の昇温を抑制することができる。
【0054】
続いて、周壁部材60を底板部材50上の所定の固定位置に配設し、ボルト19を各ボルト挿通孔62を通して各周壁部材固定用ネジ孔51に締め付けることにより、周壁部材60を底板部材50上に固定する。
【0055】
〔別実施形態〕
(A)長尺状の電熱ヒータ8をケーシングCの底面上を巡らせるように配設する形態は、上記の実施形態において例示した形態、即ち、平面視で概ね長方形枠状に屈曲成形する形態に限定されるものではない。
例えば、平面視で概ね環状に湾曲成形する形態でも良い。
あるいは、上記の実施形態では、互いに対向する対向部分8pを一対備える形態としたが、互いに対向する対向部分8pを3個以上備える形態でも良い。
【0056】
(B)電熱ヒータ8を互いに対向する一対の対向部分8pを備えるように湾曲又は屈曲し、少なくとも2個のヒータ支持具30を、電熱ヒータ8における一対の対向部分8p夫々に振り分けた状態で底板部材50に固定する構成において、ヒータ受け用凹部35が開口する向きは、上記の実施形態において例示した向き、即ち、各ヒータ支持具30が一対の対向部分8pのうちの一方の対向部分8pに対応して底板部材50に固定された状態で、他方の対向部分8p側とは反対側の横向きに限定されるものではない。
例えば、各ヒータ支持具30が一対の対向部分8pのうちの一方の対向部分8pに対応して底板部材50に固定された状態で、他方の対向部分8p側の横向きでも良い。あるいは、上向きでも良い。
【0057】
(C)ヒータ支持具30を底板部材50に固定する固定手段9の具体構成は、上記の実施形態において例示した如きネジ式に限定されるものではない。例えば、垂下部32が底板部材50の受け止め部54に受け止められるまで、ヒータ支持具30を回転させたときに、互いに係合されるように、底板部材50、ヒータ支持具30にそれぞれ係合部、被係合部を設けて、それら係合部と被係合部とにより固定手段を構成しても良い。
【0058】
(D)垂下部32が底板部材50の受け止め部54に受け止められるように、ヒータ支持具30を底板部材50の上面に沿って回転させる角度は、上記の実施形態において例示した90度に限定されるものではなく、90度よりも小さくても大きくても良い。
この場合、ヒータ支持具30を底板部材50に適切に装着できると共に、電熱ヒータ8を適切に支持できるように、その回転角度に応じた向きで、垂下部32やヒータ受け部34をヒータ支持具30に備えさせることになる。
【0059】
(E)底板部材50に形成する垂下部挿通孔52の形状は、上記の実施形態において例示した形状、即ち、扇型状開口部分52aとスリット状開口部分52bとが合わさった形状に限定されるものではなく、ヒータ支持具30の回転に伴ってそのヒータ支持具30のスリット33に挿入させることが可能なように挿入部53を備えさせる条件で、適宜設定することができる。
【0060】
(F)ヒータ支持具30の設置数は、上記の実施形態において例示した2個に限定されるものではなく、1個でも、3個以上でもよく、長尺状の電熱ヒータ8の湾曲又は屈曲形態に応じて、電熱ヒータ8を適切に支持できる条件で適宜設定される。
【0061】
(G)ヒータ支持具30を底板部材50に固定するに当たって、スペーサ22を省略しても良い。この場合は、ヒータ支持具30が底板部材50に固定された状態では、垂下部側間隔保持部36及び受け部側間隔保持部37が底板部材50に当接するだけであり、台部31は底板部材50に当接しないので、電熱ヒータ8からの底板部材50や周壁部材60への伝熱が抑制されて、本体1の昇温を抑制することができる。
【0062】
(H)本発明を適用可能な電熱加熱調理器の具体的な例は、上記の実施形態において例示した製パン機に限定されるものではない。例えば、電熱ホットプレート、電気炊飯器、パン焼き機能を備えた電気炊飯器等、種々のものに適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、電熱ヒータを確実にケーシングの底面上に支持し得る電熱加熱調理器を提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
2 パンケース(加熱用ケース)
8 電熱ヒータ
8p 対向部分
9 ネジ式固定手段(固定手段)
30 ヒータ支持具
31 台部
32 垂下部
33 スリット
34 ヒータ受け部
35 ヒータ受け用凹部
50 底板部材(底部材)
52 垂下部挿通孔(挿通孔)
53 挿入部
54 受け止め部
60 周壁部材(外周部材)
61 張り出し部(挿通孔覆い部)
63 押さえ部
C ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物の加熱用ケースを収容する上部が開口したケーシングと、前記ケーシングの底面上を巡らせるように湾曲又は屈曲された状態で前記底面上に配設される長尺状の電熱ヒータと、前記電熱ヒータを前記ケーシングの底面上に支持するヒータ支持具と、前記ヒータ支持具を前記ケーシングの底面に固定する固定手段とを備えた電熱加熱調理器であって、
前記ケーシングが、前記ヒータ支持具が前記固定手段により固定される底部材と、前記底部材に固定される外周部材とを備えて構成され、
前記ヒータ支持具が、前記底部材に固定された状態で当該底部材の上面に対向する台部と、前記台部から下方に伸びる垂下部と、前記台部から上方に伸びるヒータ受け部とを備えて構成され、
前記ヒータ支持具の前記垂下部に、横向きに開口して前記台部と平行な方向に沿って入り込むスリットが備えられ、
前記底部材に、前記ヒータ支持具の前記垂下部を挿通可能で、且つ、前記垂下部が挿通された状態の当該ヒータ支持具を前記底部材の上面に沿って回転させることが可能な挿通孔と、前記ヒータ支持具の回転に伴って前記スリットに挿入される挿入部と、前記垂下部を受け止めて前記ヒータ支持具の回転を止める受け止め部とが設けられ、
前記外周部材に、前記外周部材が前記底部材に固定された状態で、前記底部材の前記受け止め部に受け止められた状態の前記ヒータ支持具の前記垂下部を前記受け止め部との間で挟む押さえ部が設けられている電熱加熱調理器。
【請求項2】
前記外周部材が、枠状又は筒状に構成されると共に、前記ケーシングの側周面を形成するように構成されている請求項1に記載の電熱加熱調理器。
【請求項3】
前記電熱ヒータが、互いに対向する一対の対向部分を備えるように湾曲又は屈曲され、
少なくとも2個の前記ヒータ支持具が、前記電熱ヒータにおける前記一対の対向部分夫々に振り分けられた状態で前記底部材に固定され、
前記電熱ヒータを受けるヒータ受け用凹部が、各ヒータ支持具が前記一対の対向部分のうちの一方の対向部分に対応して前記底部材に固定された状態で、他方の対向部分側とは反対側の横向きに開口するように、各ヒータ支持具の前記ヒータ受け部に設けられている請求項2に記載の電熱加熱調理器。
【請求項4】
平面視において、前記一方の対向部分に対応する前記底部材の前記受け止め部及び前記外周部材の前記押さえ部が、当該一方の対向部分に対して、前記他方の対向部分側の反対側に位置するように構成されている請求項3に記載の電熱加熱調理器。
【請求項5】
前記外周部材に、前記挿通孔における前記ヒータ支持具の前記垂下部が存在している領域以外の領域を覆う挿通孔覆い部が備えられている請求項2〜4のいずれか1項に記載の電熱加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−513(P2013−513A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137469(P2011−137469)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】