説明

電磁アクチュエータ及びカメラ用羽根駆動装置

【課題】電磁アクチュエータのロータを休止位置に確実に保持できるようにする。
【解決手段】休止位置と最大回転位置の間を回動するロータ110、ロータの外周面との間で磁気的吸引力及び反発力を生じ得る第1ヨーク120、第1ヨークに巻回された励磁用の第1コイル130、ロータの外周面との間で磁気的吸引力及び反発力を生じ得る第2ヨーク140、第2ヨークに巻回された励磁用の第2コイル150を備え、第1ヨーク120は、第1コイル130の非通電時にロータを休止位置に保持する保持力を生じ、第1コイル130の通電時にロータを最大回転位置に回転させる駆動力を生じ、第2ヨーク140は、第2コイル150の非通電時にロータを休止位置に保持する保持力を生じ、第2コイル150の通電時に保持力を小さくする。これにより、ロータが衝撃等により休止位置から勝手に回転するのを防止でき、ロータの起動時は円滑に回転動作できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力により駆動力を発生する電磁アクチュエータに関し、特に、カメラのシャッタ羽根あるいは絞り羽根等を駆動する際に適用される電磁アクチュエータ及びこれを用いたカメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのシャッタ装置あるいは絞り装置等に搭載される従来の電磁アクチュエータとしては、露光用の開口部を有する基板に対して回動自在に支持されると共に外周面が周方向に二分されてN極及びS極に着磁された円柱状のロータ、ロータの外周面に対向するように配置される2つの磁極部をそれぞれ有する略U字状の第1ヨーク及び第2ヨーク、第1ヨークの周りに巻回された励磁用の第1コイル、第2ヨークの周りに巻回された励磁用の第2コイル等を備え、第1ヨーク及び第1コイルと第2ヨーク及び第2コイルによりそれぞれ形成される2つの磁気回路を設け、2つの磁気回路にて生じる磁力によりロータを回転駆動し、又、非通電時においてロータの保持力を高めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この電磁アクチュエータでシャッタ羽根(すなわちロータ)を起動させる場合、保持力に打ち勝つために2つのコイルが同時に通電されるため、消費電力が増大する。すなわち、動作直前に保持力を軽減する手法がないため、ロータを起動させるにはその保持力に対応した電力消費を必要とする上に、大きな保持力から動き出すため、加速し難い。
また、この電磁アクチュエータにおいては、休止位置から通電により他方向にロータを回転させても、非通電にするとロータが元の休止位置に戻る(片側吸引である)ため、動作中において常に通電する必要があり、消費電力がさらに増大する。
【0003】
また、他の電磁アクチュエータとしては、シャッタ羽根を駆動するために適用されるものとして、外周面が周方向に二分されてN極及びS極に着磁された円板状のロータ、ロータの外周面に対向する第1磁極部をもつ板状の第1ヨーク、ロータの外周面に対向する第2磁極部をもつ板状の第2ヨーク、これらのヨークの2つの接続領域に巻回された第1コイル及び第2コイル等を備え、第1ヨーク及び第2ヨークの半分及び第1コイルと第1ヨーク及び第2ヨークの残りの半分及び第2コイルによりそれぞれ形成される2つの磁気回路にて生じる磁力によりロータを回転駆動するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この電磁アクチュエータにおいては、前述同様に、ロータを起動させる場合、2つのコイルが同時に通電されるため、消費電力が増大する。また、動作直前に保持力を軽減する手法がないため、ロータを起動させるにはその保持力に対応した電力消費を必要とする上に、大きな保持力から動き出すため、加速し難い。
【0004】
【特許文献1】特開2001−327143号公報
【特許文献2】国際公開WO2002/043227号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デジタルカメラ、携帯電話機、携帯情報端末等に搭載されるシャッタ装置あるいは絞り装置等のカメラ用羽根駆動装置を駆動する電磁アクチュエータは、従来の構成のままで単に小型化を図ると、特に、非通電時の磁気的保持力(ディテントトルク)が十分確保されなくなる。したがって、この電磁アクチュエータがシャッタ羽根あるいは絞り羽根等を所定の休止位置に安定して保持することが困難になり、特に外部から衝撃力等を受けるとシャッタ羽根あるいは絞り羽根が勝手に移動してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、小型化、軽量化、消費電力の低減等を図りつつ、例えば、カメラのシャッタ羽根あるいは絞り羽根等を駆動する駆動源として適用する場合に、外部から衝撃力等を受けても、これらの羽根が勝手に移動するのを防止して所定位置に保持することができ、又、本来の動作時には所望のシャッタ動作あるいは絞り動作を素早く行うように駆動力を発生し得る電磁アクチュエータ及びこれを用いたカメラ用羽根駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電磁アクチュエータは、N極及びS極に着磁された外周面を有し休止位置と最大回転位置の角度範囲を回動するロータと、ロータの外周面との間で磁気的吸引力及び反発力を生じ得る第1ヨークと、第1ヨークに巻回された励磁用の第1コイルと、ロータの外周面との間で磁気的吸引力及び反発力を生じ得る第2ヨークと、第2ヨークに巻回された励磁用の第2コイルを備えた電磁アクチュエータであって、上記第1ヨークは、第1コイルを非通電とするときロータを休止位置に保持する保持力を生じ、かつ、第1コイルを一方向に通電するときロータを最大回転位置に向けて回転駆動する駆動力を生じるように形成され、上記第2ヨークは、第2コイルを非通電とするときロータを休止位置に保持する保持力を生じ、かつ、第2コイルを一方向に通電するときその保持力を小さくするように形成されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、第1ヨーク及び第1コイルからなる磁気回路が、ロータを回転駆動するための駆動力を生じるために適用され、第2ヨーク及び第2コイルからなる磁気回路が、ロータを休止位置に保持する保持力を生じるために適用される。
このように、一方の磁気回路をロータの駆動用に、他方の磁気回路をロータの保持用に設けたことにより、ロータを休止位置に停止させる場合は、第1コイル及び第2コイルを非通電とした状態で強力な保持力(ディテントトルク)が得られ、一方、ロータを最大回転位置に向けて起動させる場合は、第1コイルを通電することで休止位置にてあるいは休止位置から僅かにずれた位置であっても回転駆動力が得られ、さらには、第2コイルを通電することで保持力が弱められてロータを素早く回転させることができる。
したがって、ロータが衝撃等により休止位置から勝手に回転するのを防止でき、又、ロータを起動させるときは円滑に回転動作を行わせることができる。また、保持力を小さくするために第2コイルに通電することによって消費する電力は少ないため、従来のように両方のコイルに駆動のための通電を行う場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0008】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1ヨークは、第1コイルを非通電とするとき、ロータを最大回転位置に保持する保持力を生じるように形成され、第2ヨークは、第2コイルを非通電とするとき、ロータを最大回転位置に保持する保持力を生じるように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1ヨーク及び第1コイルにより形成される磁気回路及び第2ヨーク及び第2コイルにより形成される磁気回路は共に、非通電の状態でロータを最大回転位置に保持する保持力を生じるため、通電により最大回転位置に保持する場合(片側吸引)に比べて、消費電力を低減することができる。
【0009】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1コイル及び第2コイルへの通電を制御する制御手段を含み、制御手段は、第1ヨークがロータを休止位置に向けて回転付勢した後に最大回転位置に向けて起動させるべく第1コイルを通電制御すると共に、ロータを起動させる前に第2ヨークがロータを休止位置に保持する保持力を小さくするように第2コイルを通電制御する、構成を採用することができる。
この構成によれば、ロータを回転駆動する際に、先ず、第1ヨーク及び第1コイルからなる磁気回路が生じる付勢力によりロータを休止位置に位置決めした後に、第2ヨーク及び第2コイルからなる磁気回路が生じる保持力を小さくし、その後、第1ヨーク及び第1コイルからなる磁気回路で回転駆動力を生じるようにするため、ロータが仮に休止位置から僅かにずれていても、ロータは所定の休止位置に位置決めされた状態から素早く起動することができる。
【0010】
また、上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1コイル及び第2コイルへの通電を制御する制御手段を含み、制御手段は、第2ヨークがロータを休止位置に保持する保持力を小さくするように第2コイルを通電制御した後に、第1ヨークがロータを最大回転位置に向けて起動させるべく第1コイルを通電制御する、構成を採用することができる。
この構成によれば、ロータを回転駆動する際に、先ず、第2ヨーク及び第2コイルからなる磁気回路が生じる保持力を小さくした後に、第1ヨーク及び第1コイルからなる磁気回路で回転駆動力を生じるようにするため、ロータは起動の指令に対して即座にかつ素早く起動して回転することができる。
【0011】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1ヨーク及び第2ヨークは、互いに異なる形状に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1ヨーク及び第2ヨークを組付ける際に、誤組付けを防止することができる。
【0012】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1ヨークは、第1コイルを巻回する略U字状の腕部と、腕部の両端領域に形成されてロータの外周面に対向すると共に第1コイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる2つの磁極部を有し、第2ヨークは、第2コイルを巻回する略U字状の腕部と、腕部の両端領域に形成されてロータの外周面に対向すると共に第2コイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる2つの磁極部を有し、第1ヨークの磁極部と第2ヨークの磁極部は、ロータの回転軸方向において重なるように配置されている、構成を採用することも可能である。
この構成によれば、第1ヨーク及び第2ヨークが共に略U字形状をなすように形成され、それらの端部領域に形成される磁極部同士が、ロータの外周面の重なる領域に対して磁気的吸引力及び反発力を生じるように配置されるため、第1ヨークが生じる磁力(非通電による磁気的保持力、通電による磁気的吸引力及び反発力)及び第2ヨークが生じる磁力(非通電による磁気的保持力、通電による磁気的吸引力及び反発力)を、それぞれ十分(所定レベル以上)に確保することができる。
【0013】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1ヨーク及び第2ヨークは、第1コイルを巻回した腕部と第2コイルを巻回した腕部がロータを挟んで両側に配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1ヨーク及び第2ヨークがロータの径方向に並ぶように配置されるため、ロータの回転軸方向において電磁アクチュエータを薄型化することができる。
【0014】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1ヨーク及び第2ヨークは、第1コイルを巻回した腕部と第2コイルを巻回した腕部がロータの回転軸方向において略同一の高さに位置するように、それらの一方が屈曲して形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1ヨーク及び第2ヨークがロータの径方向に並ぶように配置されると共に第1ヨークの腕部と第2ヨークの腕部をロータの回転軸方向において略同一の高さに配置するため、それぞれの腕部に巻回される第1コイル及び第2コイルの高さをロータの回転軸方向において共に低くすることができる。これにより、ロータの回転軸方向において電磁アクチュエータをさらに薄型化することができる。
【0015】
上記構成の電磁アクチュエータにおいて、第1ヨーク及び第2ヨークは、第1コイルを巻回した腕部と第2コイルを巻回した腕部がロータの回転軸方向において重なるように配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1ヨーク及び第2ヨークを重なるように配置することで、ロータの近傍に部品を集約することができ、ロータの回転軸に垂直な面方向において電磁アクチュエータの占有面積を小さくすることができる。
【0016】
本発明のカメラ用羽根駆動装置は、露光用の開口部を有する基板と、開口部を開閉又は所定の口径に絞って光量を調整するべく基板に回動自在に支持された羽根と、羽根を駆動する駆動源とを備え、駆動源として、上記構成をなす電磁アクチュエータのいずれか一つを採用する、ことを特徴としている。
この構成によれば、駆動源として上述の電磁アクチュエータを採用するが故に、装置の小型化を図りつつも、十分な保持力(ディテントトルク)がロータに作用するため、シャッタ動作あるいは絞り動作等を行う羽根を所定の休止位置(例えば、開口部を全開した開き位置)に確実に位置決めして保持することができ、又、シャッタ動作又は絞り動作を行う場合は、ロータを素早く駆動させて所望のタイミングでシャッタ動作又は絞り動作を円滑に行わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
上記構成をなす本発明の電磁アクチュエータによれば、小型化、軽量化、消費電力の低減等を達成しつつ、例えば、カメラのシャッタ羽根あるいは絞り羽根等を駆動する駆動源として適用する場合に、外部から衝撃力等を受けても、これらの羽根が勝手に移動するのを防止して所定位置に保持することができ、又、本来の動作時には所望のシャッタ動作あるいは絞り動作を素早く行うように駆動力を発生し得る電磁アクチュエータを得ることができる。
また、本発明のカメラ用羽根駆動装置によれば、駆動源として上述の電磁アクチュエータを採用するが故に、装置の小型化を図りつつも、シャッタ動作あるいは絞り動作等を行う羽根を、確実に作動させつつ、所望の休止位置(例えば、全開位置あるいは非絞り位置)に確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図8は、本発明に係る電磁アクチュエータをカメラ用羽根駆動装置(ここでは、カメラ用シャッタ装置)に適用した一実施形態を示すものである。尚、図1及び図2は説明の便宜上羽根室の構造についても実線で示した装置の平面図、図3は装置の一部を示す展開断面図、図4は装置に搭載される電磁アクチュエータの平面図、図5は電磁アクチュエータに含まれる第1ヨーク,第1コイル,及びロータを示す平面図、図6は電磁アクチュエータに含まれる第2ヨーク,第2コイル,及びロータを示す平面図、図7は装置の駆動制御を示すタイムチャート、図8は電磁アクチュエータの動作を説明するための動作図である。
【0019】
このカメラ用シャッタ装置は、図1ないし図3に示すように、露光用の開口部11,21を有する基板としての地板10及び裏板20、開口部11,21を開閉するべく地板10に回動自在に支持された羽根としての一対のシャッタ羽根31,32、シャッタ羽根31,32を駆動する駆動源としての電磁アクチュエータ100等を備えている。
【0020】
地板10は、図1ないし図3に示すように、露光用の円形をなす開口部11、ロータ110を回動自在に支持する支軸12、略扇状の貫通孔13、第1ヨーク120を位置決めする位置決め部14、第2ヨーク140を位置決めする位置決め部15、シャッタ羽根31,32を回動自在にそれぞれ支持する支軸16,17、シャッタ羽根31,32を全開位置に停止させる全開ストッパ18、シャッタ羽根31,32を全閉位置に停止させる全閉ストッパ19等を備えている。
裏板20は、図3に示すように、露光用の円形をなす開口部21、略扇状の貫通孔22、支軸16,17を嵌合させる嵌合孔23,24等を備えるように形成されており、地板10の裏側端面と所定の間隔をおいてネジ等により連結されてシャッタ羽根31,32を回動自在に収容する羽根室Wを画定するようになっている。
【0021】
シャッタ羽根31,32は、図1及び図2に示すように、それぞれ、支軸16,17が挿入される円孔31a,32a、後述するロータ110の駆動ピン112が挿入される長孔31b,32bを備えるように形成されている。そして、ロータ110が回動(駆動ピン112が往復動)することにより、シャッタ羽根31,32は、図2に示すようにお互いに近づいて開口部11,21を全閉する閉じ動作を行い、一方、図1に示すようにお互いに遠ざかって開口部11,21を全開する開き動作を行うようになっている。
【0022】
電磁アクチュエータ100は、図1ないし図4に示すように、地板10に回動自在に支持されるロータ110、地板10に固定される第1ヨーク120、第1ヨーク120に嵌合されたボビン130aに巻回される励磁用の第1コイル130、地板10に固定される第2ヨーク140、第2ヨーク140に嵌合されたボビン150aに巻回される励磁用の第2コイル150等により形成されている。
【0023】
ロータ110は、図3及び図4に示すように、円柱状に形成され、支軸12が通される貫通孔111a、回転軸Lを通る磁極境界面を境に二分されて異なる磁極(N極、S極)に着磁されたN極外周面111b及びS極外周面111cを画定するロータ部111、ロータ部111から径方向外側に向かって突出しさらに下方に伸長する駆動ピン112を備えている。
駆動ピン112は、ロータ110の回転駆動力を外部に伝達するものであり、シャッタ羽根31,32の長孔31b,32bに挿入されるように形成されている。
【0024】
第1ヨーク120は、図4及び図5に示すように、平板状でかつ略U字状に湾曲して形成された腕部121、その両端領域においてお互いに異なる磁極を生じ得る2つの磁極部122,123を備えている。
腕部121には、第1コイル130を巻回したボビン130aが嵌合されている。
磁極部122は、ロータ110のN極外周面111b及びS極外周面111cと対向する円弧面122aを画定するように形成されている。
磁極部123は、ロータ110のN極外周面111b及びS極外周面111cと対向する円弧面123aを画定するように形成されている。
尚、円弧面122a,123aは、ロータ110の外径よりも大きい内径をなす寸法に形成されて、ロータ110のN極外周面111b及びS極外周面111cと所定の間隙をあけて対向している。
【0025】
また、第1ヨーク120は、第1コイル130を非通電とするとき、図5(a)に示すように、磁極部122(円弧面122a)がS極外周面111cとの間で磁気的吸引力を及ぼしかつ磁極部123(円弧面123a)がN極外周面111bとの間で磁気的吸引力を及ぼして、ロータ110を時計回りに回転付勢して休止位置θo(ストッパSoに駆動ピン112が当接する位置)に保持する保持力を生じように形成され、又、第1コイル130を一方向に通電するとき、図5(b)に示すように、磁極部122(円弧面122a)がN極外周面111bとの間で磁気的吸引力を及ぼしかつ磁極部123(円弧面123a)がS極外周面111cとの間で磁気的吸引力を及ぼして、ロータ110を反時計回りに回転付勢して最大回転位置θmax(ストッパSmに駆動ピン112が当接する位置)に向けて回転駆動する駆動力を生じるように形成されている。
さらに、第1ヨーク120は、ロータ110が最大回転位置θmaxに位置するとき、第1コイル130を非通電としても、ロータ110を最大回転位置θmaxに保持する保持力を生じるように形成されている。
第1ヨーク120及び第1コイル130からなる磁気回路は、主としてロータ110を回転駆動するための駆動力を生じるために適用されるものである。
【0026】
第2ヨーク140は、図4及び図6に示すように、平板状でかつ略U字状に湾曲して形成された腕部141、その両端領域においてお互いに異なる磁極を生じ得る2つの磁極部142,143を備えている。
腕部141には、第2コイル150を巻回したボビン150aが嵌合されている。
磁極部142は、ロータ110のN極外周面111b及びS極外周面111cと対向する円弧面142aを画定するように形成されている。
磁極部143は、ロータ110のN極外周面111b及びS極外周面111cと対向する円弧面143aを画定するように形成されている。
尚、円弧面142a,143aは、ロータ110の外径よりも大きい円弧面をなす寸法に形成されて、ロータ110のN極外周面111b及びS極外周面111cと所定の間隙をあけて対向している。ここで、円弧面142a,143aの内径は、円弧面122a,123aと同一でもよいが、第2コイル150のターン数や通電の際の電圧値又は電流値に応じて小さくしてもあるいは大きくしてもよい。
【0027】
また、第2ヨーク140は、第2コイル150を非通電とするとき、図6(a)に示すように、磁極部142(円弧面142a)がS極外周面111cとの間で磁気的吸引力を及ぼしかつ磁極部143(円弧面143a)がN極外周面111bとの間で磁気的吸引力を及ぼして、ロータ110を時計回りに回転付勢して休止位置θo(ストッパSoに駆動ピン112が当接する位置)に保持する保持力を生じように形成され、又、第2コイル150を一方向に通電するとき、図6(b)に示すように、磁極部142(円弧面142a)がN極外周面111bとの間で磁気的吸引力を及ぼしかつ磁極部143(円弧面143a)がS極外周面111cとの間で磁気的吸引力を及ぼしてその保持力を小さくするように形成されている。
さらに、第2ヨーク140は、ロータ110が最大回転位置θmaxに位置するとき、第2コイル150を非通電としても、ロータ110を最大回転位置θmaxに保持する保持力を生じるように形成されているが、第2ヨーク140及び第2コイル150からなる磁気回路は、主としてロータ110を休止位置θoに保持する保持力を生じるために適用されるものである。
【0028】
ここで、第1ヨーク120及び第2ヨーク140は、互いに異なる形状に形成することも可能であり、第1ヨーク120及び第2ヨーク140を地板10に組付ける際に、誤組付けを防止することができる。
そして、第1ヨーク120及び第2ヨーク140は、図3及び図4に示すように、第1ヨーク120の2つの磁極部122,123と第2ヨーク140の2つの磁極部142,143が、ロータ110の回転軸方向Lにおいて重なるように(接触しないように所定の隙間をおいて)配置されると共に、第1ヨーク120の腕部121と第2ヨーク140の腕部141が、ロータ110を両側から挟みこむように(向かい合うように)配置されている。
【0029】
すなわち、第1ヨーク120及び第2ヨーク140が共に略U字形状をなすように形成され、それらの端部領域に形成される磁極部122,123及び磁極部142,143が、ロータ110の外周面111b,111cの重なる領域に対して磁気的吸引力及び反発力を生じるように配置されるため、第1ヨーク120が生じる磁力(非通電による磁気的保持力、通電による磁気的吸引力及び反発力)及び第2ヨーク140が生じる磁力(非通電による磁気的保持力、通電による磁気的吸引力及び反発力)を、それぞれ十分(所定レベル以上)に確保することができる。
さらに、第1ヨーク120及び第2ヨーク140は、第1コイル130を巻回した腕部121と第2コイル150を巻回した腕部141がロータ110を挟んで両側に配置されているため、第1ヨーク120及び第2ヨーク140がロータ110の径方向に並ぶように配置されて、ロータ110の回転軸方向Lにおいて電磁アクチュエータを薄型化することができる。
【0030】
上記のように、一方の磁気回路(第1ヨーク120及び第1コイル130)をロータ110の駆動用に、他方の磁気回路(第2ヨーク140及び第2コイル150)をロータ110の保持用に設けたことにより、ロータ110を休止位置θoに停止させる場合は、第1コイル130及び第2コイル150を非通電とした状態で強力な保持力(ディテントトルク)が得られ、一方、ロータ110を最大回転位置θmaxに向けて起動させる場合は、第1コイル130を一方向に通電することで休止位置から起動する回転駆動力が得られ、さらには、第2コイル150を一方向に通電することでその保持力を弱めることができ、それ故にロータ110を素早く回転させることができる。
したがって、ロータ110が衝撃等により休止位置θoから勝手に回転するのを防止でき、又、ロータ110を起動させるときは円滑に回転動作を行わせることができる。また、保持力を小さくするために第2コイル150に通電することによって消費する電力は少ないため、従来のように両方のコイルに駆動のための通電を行う場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0031】
次に、上記構成をなす電磁アクチュエータ100を備えたカメラ用シャッタ装置の動作について、図1、図7及び図8を参照しつつ説明する。尚、装置の全体の駆動制御及び第1コイル130及び第2コイル150の通電制御は、装置に搭載された制御手段(コントロールユニット)が司る。
ここで、第1コイル130及び第2コイル150を通電制御する際に、シャッタ羽根31,32が開口部11,21を開く向きに(ロータ110を時計回りに回転させるように)通電を行う場合を「開き通電」とし、シャッタ羽根31,32が開口部11,21を閉じる向きに(ロータ110を反時計回りに回転させるように)通電を行う場合を「閉じ通電」とする。
【0032】
先ず、第1コイル130及び第2コイル150を非通電とした状態(図7中のA点)において、図1に示すように、シャッタ羽根31,32は開口部11,21を全開にした状態にあり、ロータ110は休止位置θoに停止している。
このとき、図8中の(A)に示すように、磁極部122,142はS極外周面111cとの間で磁気的吸引力を生じ、かつ、磁極部123,143はN極外周面111bとの間で磁気的吸引力を生じて、ロータ110は時計回りの回転端である休止位置θoに停止し、強力な保持力(ディテントトルク)により保持されている。
【0033】
ここで、シャッタ羽根31,32に閉じ動作(シャッタ動作)を行わせる場合、先ず、第1コイル130に開き通電(図7中のB点)を行う。すると、図8中の(B)に示すように、第1ヨーク120には、磁極部122にN極及び磁極部123にS極がそれぞれ生じ、ロータ110は、休止位置θoに向けてさらに大きな回転付勢力で時計回りに回転付勢されて、休止位置θoに確実に位置決めされる。
【0034】
続いて、第2コイル150に所定レベル(第1コイル130の閉じ通電よりも小さい電流又は電圧)の閉じ通電(図7中のC点)を行う。すると、図8中の(C)に示すように、第2ヨーク140には、磁極部142にS極及び磁極部143にN極がそれぞれ生じ、ロータ110を休止位置θoに向けて付勢する保持力が小さくなる。
【0035】
続いて、第1コイル130に閉じ通電(図7中のD点)を行う。すると、図8中の(D)に示すように、第1ヨーク120には、磁極部122にS極及び磁極部123にN極がそれぞれ生じ、ロータ110は、最大回転位置θmaxに向けて回転し始める。このとき、第2ヨーク140による保持力は既に弱められているので、ロータ110は円滑に素早く起動することができる。これにより、ロータ110は、図8中の(E)に示すように、最大回転位置θmaxまで移動し、シャッタ羽根31,32は、図2に示すように、全閉位置まで移動して開口部11,21を閉鎖する。
【0036】
そして、シャッタ羽根31,32が開口部11,21を全閉した後に、第2コイル150を非通電とする(図7中のE点)。これにより、第2ヨーク140においては、図8中の(E)に示すように、磁極部142,143において電磁力により発生したS極,N極が消滅し、通常の静的な磁気的吸引力により、ロータ110を最大回転位置θmaxに付勢する保持力が生じる。
その後、さらに第1コイル130を非通電とする(図7中のF点)。すると、第1ヨーク120においては、図8中の(F)に示すように、磁極部122,123において電磁力により発生したS極,N極が消滅し、通常の静的な磁気的吸引力により、ロータ110を最大回転位置θmaxに付勢する保持力が生じる。尚、E点とF点を同一点とし、第1コイル130と第2コイル150を同時に非通電としてもよい。
このように、第1ヨーク120及び第1コイル130により形成される磁気回路及び第2ヨーク140及び第2コイル150により形成される磁気回路は共に、非通電の状態でロータ110を最大回転位置θmaxに保持する保持力を生じるため、通電により最大回転位置θmaxに保持する場合(片側吸引)に比べて、消費電力を低減できる。
【0037】
そして、所定の時間に亘って全閉状態が維持された後、第1コイル120及び第2コイル150に他方向の開き通電を行う(図7中のG点)。すると、図8中の(G)に示すように、第1ヨーク120には、磁極部122にN極及び磁極部123にS極がそれぞれ生じ、又、第2ヨーク140には、磁極部142にN極及び磁極部143にS極がそれぞれ生じて、ロータ110は休止位置θoに向けて回転し始める。そして、シャッタ羽根31,32は、図1に示すように、元の休止位置である全開位置に戻る。また、G点を2点に分け、第2コイル150に通電後、第1コイル130に通電してもよい。
【0038】
上記のように、制御手段は、第1ヨーク120がロータ110を休止位置θoに向けて回転付勢した後に最大回転位置θmaxに向けて起動させるべく第1コイル130を通電制御すると共に、ロータ110を起動させる前に第2ヨーク140がロータ110を休止位置θoに保持する保持力を小さくするように第2コイル150を通電制御する。
すなわち、ロータ110を回転駆動する際に、先ず、第1ヨーク120及び第1コイル130からなる磁気回路が生じる付勢力によりロータ110を休止位置θoに位置決めした後に、第2ヨーク140及び第2コイル150からなる磁気回路が生じる保持力を小さくし、その後、第1ヨーク120及び第1コイル130からなる磁気回路で回転駆動力を生じるようにするため、ロータ110が仮に休止位置θoから僅かにずれていても、ロータ110は所定の休止位置θoに位置決めされた状態から素早く起動させられる。
【0039】
以上述べたように、一方の磁気回路(第1ヨーク120及び第1コイル130)をロータ110の駆動用に、他方の磁気回路(第2ヨーク140及び第2コイル150)をロータ110の保持用に設けたことにより、ロータ110を休止位置θoに停止させる場合は、第1コイル130及び第2コイル150を非通電とした状態で強力な保持力(ディテントトルク)が得られ、一方、ロータ110を最大回転位置θmaxに向けて起動させる場合は、第1コイル130を一方向に通電することで休止位置から起動する回転駆動力が得られ、さらには、第2コイル150を一方向に通電することで保持力を小さくしてロータ110を素早く回転させることができる。
したがって、ロータ110が衝撃等により休止位置θoから勝手に回転するのを防止でき、又、ロータ110を起動させるときは円滑に回転動作を行わせることができる。また、保持力を小さくするために第2コイル150に通電することによって消費する電力は少ないため、従来のように両方のコイルに駆動のための通電を行う場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0040】
図9及び図10は、上記電磁アクチュエータ100を備えたカメラ用シャッタ装置の駆動制御の他の実施形態を示すものである。尚、装置の全体の駆動制御及び第1コイル130及び第2コイル150の通電制御は、前述同様に、装置に搭載された制御手段(コントロールユニット)が司る。
【0041】
すなわち、この実施形態においては、先ず、第1コイル130及び第2コイル150を非通電とした状態(図9中のA点)において、図1に示すように、シャッタ羽根31,32は開口部11,21を全開にした状態にあり、ロータ110は休止位置θoに停止している。このとき、図10中の(A)に示すように、磁極部122,142はS極外周面111cとの間で磁気的吸引力を生じ、かつ、磁極部123,143はN極外周面111bとの間で磁気的吸引力を生じて、ロータ110は時計回りの回転端である休止位置θoに停止し、強力な保持力(ディテントトルク)により保持されている。
【0042】
ここで、シャッタ羽根31,32に閉じ動作(シャッタ動作)を行わせる場合、先ず、第2コイル150に所定レベル(第1コイル130の閉じ通電よりも小さい電流又は電圧)の閉じ通電(図9中のB点)を行う。すると、図10中の(B)に示すように、第2ヨーク140には、磁極部142にS極及び磁極部143にN極がそれぞれ生じ、ロータ110を休止位置θoに向けて付勢する保持力が小さくなる。
【0043】
続いて、第1コイル130に閉じ通電(図9中のC点)を行う。すると、図10中の(C)に示すように、第1ヨーク120には、磁極部122にS極及び磁極部123にN極がそれぞれ生じ、ロータ110は、最大回転位置θmaxに向けて回転し始める。このとき、第2ヨーク140による保持力は既に弱められているので、ロータ110は円滑に素早く起動することができる。
これにより、ロータ110は、図10中の(D)に示すように、最大回転位置θmaxまで移動し、シャッタ羽根31,32は、図2に示すように、全閉位置まで移動して開口部11,21を閉鎖する。
【0044】
そして、シャッタ羽根31,32が開口部11,21を全閉した後に、第2コイル150を非通電とする(図9中のD点)。これにより、第2ヨーク140においては、図10中の(D)に示すように、磁極部142,143において電磁力により発生したS極,N極が消滅し、通常の静的な磁気的吸引力により、ロータ110を最大回転位置θmaxに付勢する保持力が生じる。
その後、さらに第1コイル130を非通電とする(図9中のE点)。すると、第1ヨーク120においては、図10中の(E)に示すように、磁極部122,123において電磁力により発生したS極,N極が消滅し、通常の静的な磁気的吸引力により、ロータ110を最大回転位置θmaxに付勢する保持力が生じる。尚、図9中のD点とE点を同一点とし、第1コイル130と第2コイル150を同時に非通電としてもよい。
【0045】
このように、第1ヨーク120及び第1コイル130により形成される磁気回路及び第2ヨーク140及び第2コイル150により形成される磁気回路は共に、非通電の状態でロータ110を最大回転位置θmaxに保持する保持力を生じるため、通電により最大回転位置θmaxに保持する場合(片側吸引)に比べて、消費電力を低減できる。
【0046】
そして、所定の時間に亘って全閉状態が維持された後、第1コイル130及び第2コイル150に他方向の開き通電を行う(図9中のF点)。すると、図10中の(F)に示すように、第1ヨーク120には、磁極部122にN極及び磁極部123にS極がそれぞれ生じ、又、第2ヨーク140には、磁極部142にN極及び磁極部143にS極がそれぞれ生じて、ロータ110は休止位置θoに向けて回転し始める。そして、シャッタ羽根31,32は、図1に示すように、元の休止位置である全開位置に戻る。また、G点を2点に分け、第2コイル150に通電後、第1コイル130に通電してもよい。
【0047】
上記のように、制御手段は、第2ヨーク140がロータ110を休止位置θoに保持する保持力を小さくするように第2コイル150を通電制御した後に、第1ヨーク120がロータ110を最大回転位置θmaxに向けて起動させるべく第1コイル130を通電制御する。
すなわち、ロータ110を回転駆動する際に、先ず、第2ヨーク140及び第2コイル150からなる磁気回路が生じる保持力を小さくした後に、第1ヨーク120及び第1コイル130からなる磁気回路で回転駆動力を生じるようにするため、ロータ110は起動の指令に対して即座にかつ素早く起動することができる。
【0048】
図11は、本発明に係る電磁アクチュエータの他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、この実施形態において、電磁アクチュエータ100は、図11に示すように、ロータ110、第1ヨーク120´、第1コイル130、第2ヨーク140、第2コイル150等により形成されている。
【0049】
第1ヨーク120´は、第1コイル130を巻回した腕部121´が屈曲して形成されており、この第1コイル130を巻回した腕部121´と第2コイル150を巻回した腕部141が、ロータ110の回転軸方向Lにおいて略同一の高さに位置するように形成されている。
したがって、第1ヨーク120´及び第2ヨーク140のそれぞれの腕部121´,141に巻回される第1コイル130及び第2コイル150の高さをロータ110の回転軸方向Lにおいて共に低くすることができる。これにより、ロータ110の回転軸方向Lにおいて電磁アクチュエータ100をさらに薄型化することができる。
尚、図11においては、第1ヨーク120´に屈曲部を設けたが、第2ヨークに屈曲部を設けてもよい。
【0050】
図12は、本発明に係る電磁アクチュエータのさらに他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、この実施形態において、電磁アクチュエータ100は、図12に示すように、ロータ110´´、第1ヨーク120´´、第1コイル130、第2ヨーク140´´、第2コイル150等により形成されている。
ロータ110´´は、図12に示すように、ロータ部111´´が前述のロータ部111よりも回転軸方向Lに長めに形成されている。
第1ヨーク120´´及び第2ヨーク140´´は、第1コイル130を巻回した腕部121と第2コイル150を巻回した腕部141が、ロータ110の回転軸方向Lにおいて重なるように(所定の隙間をおいて)配置されている。
このように、第1ヨーク120´´及び第2ヨーク140´´を重なるように配置することで、ロータ110´´の近傍に部品を集約することができ、ロータ110´´の回転軸Lに垂直な面方向において電磁アクチュエータ100の占有面積を小さくすることができる。
【0051】
上記実施形態においては、本発明に係る電磁アクチュエータ100を駆動源として採用するカメラ用羽根駆動装置として、デジタルカメラ、銀塩フィルム式カメラ等に適用されるシャッタ羽根31,32をもつカメラ用シャッタ装置を示したが、これに限定されるものではなく、デジタルカメラ、銀塩フィルム式カメラ等に適用され、露光用の開口部11,21を所定の口径に絞る絞り羽根を駆動する駆動源として本発明に係る電磁アクチュエータ100を採用したカメラ用絞り装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上述べたように、本発明の電磁アクチュエータは、小型化、軽量化を達成しつつ、所望の回転駆動力が得られると共に、特に強力な磁気的保持力(ディテントトルク)が得られて、外部からの衝撃力等に対してもロータを所定の休止位置に安定して保持することができるため、通常の駆動源として適用できるのは勿論のこと、特に、携帯電話機、携帯型パーソナルコンピュータ等の携帯情報端末機に搭載される機器あるいはデジタルカメラのシャッタ羽根あるいは絞り羽根等の駆動源として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る電磁アクチュエータを備えたカメラ用シャッタ装置を便宜上羽根室側の構造も実線で示した平面図である。
【図2】本発明に係る電磁アクチュエータを備えたカメラ用シャッタ装置を便宜上羽根室側の構造も実線で示した平面図である。
【図3】図1及び図2に示すカメラ用シャッタ装置の一部を示す展開断面図である。
【図4】本発明に係る電磁アクチュエータの一実施形態を示す平面図である。
【図5】図4に示す電磁アクチュエータの一部をなす第1ヨーク及び第1コイルとロータを示すものであり、(a)はロータが休止位置に停止した平面図、(b)はロータが最大回転位置に停止した平面図である。
【図6】図4に示す電磁アクチュエータの一部をなす第2ヨーク及び第2コイルとロータを示すものであり、(a)はロータが休止位置に停止した平面図、(b)はロータが最大回転位置に停止した平面図である。
【図7】カメラ用シャッタ装置(及び電磁アクチュエータ)の駆動制御を示すタイムチャートである。
【図8】図7に示すタイムチャートに基づいて駆動されるロータ及び第1ヨーク及び第2ヨークの状態を示す動作図である。
【図9】カメラ用シャッタ装置(及び電磁アクチュエータ)の他の駆動制御を示すタイムチャートである。
【図10】図9に示すタイムチャートに基づいて駆動されるロータ及び第1ヨーク及び第2ヨークの状態を示す動作図である。
【図11】本発明に係るカメラ用シャッタ装置及び電磁アクチュエータの他の実施形態を示す展開断面図である。
【図12】本発明に係るカメラ用シャッタ装置及び電磁アクチュエータのさらに他の実施形態を示す展開断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 地板(基板)
20 裏板(基板)
11,21 露光用の開口部
12 支軸
13 貫通孔
14,15 位置決め部
16,17 支軸
18 全開ストッパ
19 全閉ストッパ
22 貫通孔
23 嵌合孔
24 嵌合孔
31,32 シャッタ羽根
31a 円孔
31b 長孔
32a 円孔
32b 長孔
100 電磁アクチュエータ(駆動源)
110,110´´ ロータ
111,111´´ ロータ部
111a 貫通孔
111b N極外周面
111c S極外周面
112 駆動ピン
120,120´,120´´ 第1ヨーク
121,121´ 腕部
122,123 2つの磁極部
122a,123a 円弧面
130 第1コイル
130a ボビン
140,140´´ 第2ヨーク
141 腕部
142,143 2つの磁極部
142a,143a 円弧面
150 第2コイル
150a ボビン
θo 休止位置
θmax 最大回転位置
L ロータの回転軸方向
So ストッパ
Sm ストッパ
W 羽根室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N極及びS極に着磁された外周面を有し休止位置と最大回転位置の角度範囲を回動するロータと、前記ロータの外周面との間で磁気的吸引力及び反発力を生じ得る第1ヨークと、前記第1ヨークに巻回された励磁用の第1コイルと、前記ロータの外周面との間で磁気的吸引力及び反発力を生じ得る第2ヨークと、前記第2ヨークに巻回された励磁用の第2コイルを備えた電磁アクチュエータであって、
前記第1ヨークは、前記第1コイルを非通電とするとき前記ロータを休止位置に保持する保持力を生じ、かつ、前記第1コイルを一方向に通電するとき前記ロータを最大回転位置に向けて回転駆動する駆動力を生じるように形成され、
前記第2ヨークは、前記第2コイルを非通電とするとき前記ロータを休止位置に保持する保持力を生じ、かつ、前記第2コイルを一方向に通電するとき前記保持力を小さくするように形成されている、
ことを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1ヨークは、前記第1コイルを非通電とするとき、前記ロータを最大回転位置に保持する保持力を生じるように形成され、
前記第2ヨークは、前記第2コイルを非通電とするとき、前記ロータを最大回転位置に保持する保持力を生じるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1コイル及び第2コイルへの通電を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、前記第1ヨークが前記ロータを休止位置に向けて回転付勢した後に最大回転位置に向けて起動させるべく前記第1コイルを通電制御すると共に、前記ロータを起動させる前に前記第2ヨークが前記ロータを休止位置に保持する保持力を小さくするように前記第2コイルを通電制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1コイル及び第2コイルへの通電を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、前記第2ヨークが前記ロータを休止位置に保持する保持力を小さくするように前記第2コイルを通電制御した後に、前記第1ヨークが前記ロータを最大回転位置に向けて起動させるべく前記第1コイルを通電制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1ヨーク及び第2ヨークは、互いに異なる形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1ヨークは、前記第1コイルを巻回する略U字状の腕部と、前記腕部の両端領域に形成されて前記ロータの外周面に対向すると共に前記第1コイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる2つの磁極部を有し、
前記第2ヨークは、前記第2コイルを巻回する略U字状の腕部と、前記腕部の両端領域に形成されて前記ロータの外周面に対向すると共に前記第2コイルへの通電により互いに異なる磁極を生じる2つの磁極部を有し、
前記第1ヨークの磁極部と前記第2ヨークの磁極部は、前記ロータの回転軸方向において重なるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1ヨーク及び第2ヨークは、前記第1コイルを巻回した腕部と前記第2コイルを巻回した腕部が前記ロータを挟んで両側に配置されている、
ことを特徴とする請求項6記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記第1ヨーク及び第2ヨークは、前記第1コイルを巻回した腕部と前記第2コイルを巻回した腕部が前記ロータの回転軸方向において略同一の高さに位置するように、それらの一方が屈曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載の電磁アクチュエータ。
【請求項9】
前記第1ヨーク及び第2ヨークは、前記第1コイルを巻回した腕部と前記第2コイルを巻回した腕部が前記ロータの回転軸方向において重なるように配置されている、
ことを特徴とする請求項6記載の電磁アクチュエータ。
【請求項10】
露光用の開口部を有する基板と、前記開口部を開閉又は所定の口径に絞って光量を調整するべく前記基板に回動自在に支持された羽根と、前記羽根を駆動する駆動源とを備え、
前記駆動源は、請求項1ないし8いずれか一つに記載の電磁アクチュエータである、
ことを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−278568(P2008−278568A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116320(P2007−116320)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】