説明

霧化装置、滅菌物質発生装置

【課題】液体を安定に霧化することができる霧化装置を提供する。
【解決手段】霧化装置は、底面に振動板が取り付けられ、液体を貯留する第1貯留部と、超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2貯留部と、第2貯留部の底面に設置され、伝播水に超音波振動を与える超音波振動子と、を備え、伝播水に超音波振動が与えられていないときの伝播水の水位は、伝播水に超音波振動が与えられて生じる水柱が振動板に接触して液体が霧化される水位に設定されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化装置、滅菌物質発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌ガス発生装置や薬剤吸入器等には、貯留部に貯留した霧化対象となる液体を超音波振動させて霧化させるダブルチャンバ式の霧化装置が設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。図10は、ダブルチャンバ式の霧化装置500の一例を示す図である。
【0003】
霧化装置500では、霧化対象の液体を貯留するカップ510の底面に振動板511が取り付けられている。また、超音波を伝播させる伝播水の水位は、カップ510の底面の位置よりも高いため、カップ510の底面は伝播水に浸かった状態となっている。このような状態で超音波振動子512が振動すると、超音波振動が伝播水を伝わり、振動板511を透過してカップ510の液体の水面に達してエネルギーを伝えるので、水面が波立って水柱が立ちカップ510内の液体は霧化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−172692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カップ510の底面が伝播水に浸かった状態では、カップ510内の液体を霧化できるものの、例えば所定量の液体を霧化させる時間がばらつくことがあり、液体を安定に霧化できないことがある。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、液体を安定に霧化することができる霧化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係る霧化装置は、底面に振動板が取り付けられ、液体を貯留する第1貯留部と、超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2貯留部と、前記第2貯留部の底面に設置され、前記伝播水に超音波振動を与える超音波振動子と、を備え、前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位は、前記伝播水に超音波振動が与えられて生じる水柱が前記振動板に接触して前記液体が霧化される水位に設定されてなる。
【発明の効果】
【0008】
液体を安定に霧化することができる霧化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態であるアイソレータ10の構成を示す図である。
【図2】滅菌ガス発生装置33の側面図である。
【図3】霧化装置100の概要を示す図である。
【図4】超音波振動子120を振動させた際の伝播水の変化について説明するための図である。
【図5】距離Dを変化させた際のカップ110の残量液の時間変化を示す図である。
【図6】距離D=6mmの際のカップ110の残量液の時間変化を示す図である。
【図7】水位Hが振動板115の底面より高い場合の残量液の時間変化を示す図である。
【図8】マイコン73に実現される機能ブロックを示す図である。
【図9】マイコン73が実施する処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】一般的な霧化装置500の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態であるアイソレータ10の構成を示す図である。アイソレータ10は、作業者が滅菌された環境で細胞の作業等を行うための装置であり、滅菌ガス発生ユニット20、供給装置21、作業室22、排出装置23、及び制御装置24を含んで構成される。滅菌とは微生物を殺滅して限りなく無菌に近くすることであるが、本明細書ではいわゆる除染、除菌、殺菌なども含めるものとする。また、無菌環境とは限りなく無菌に近い環境であって、除染処理とはその無菌環境を実現するための処理をいい、除染処理に用いる物質を除染物質という。
【0012】
滅菌ガス発生ユニット20は、タンク30、ポンプ31、パイプ32、及び滅菌ガス発生装置33を含んで構成される。
【0013】
タンク30は、過酸化水素水(過酸化水素(H2O2)が溶解した水溶液)を貯蔵する。
ポンプ31は、タンク30から過酸化水素水を汲み上げ、パイプ32を介して滅菌ガス発生装置33に供給する。
滅菌ガス発生装置33は、供給される過酸化水素水から滅菌ガスである過酸化水素ガスを発生し、キャリアガスである空気とともに供給装置21へと供給する。なお、滅菌ガス発生装置33の詳細については後述する。
【0014】
供給装置21は、供給される過酸化水素ガス、またはアイソレータ10の外部の空気を作業室22へと供給する装置であり、電磁バルブ40、及びファン41を含んで構成される。
【0015】
電磁バルブ40は、制御装置24の制御に基づいて、過酸化水素ガス、または外部の空気をファン41に供給する。ファン41は、電磁バルブ40から供給される過酸化水素ガス、または空気を作業室22へと供給する。
【0016】
作業室22は、細胞の作業を行う空間であり、作業室22には、エアフィルタ50,51、扉52、及び作業用グローブ53が設けられている。
【0017】
エアフィルタ50は、ファン41から供給される過酸化水素ガス、または空気に含まれる塵等を除去するためのフィルタである。エアフィルタ51は、作業室22から排出されるガス等に含まれる塵等を除去するためのフィルタである。なお、エアフィルタ50,51には、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが用いられる。
【0018】
扉52は、細胞等を作業室10に搬入するために作業室10の前面に開閉可能に設けられている。
【0019】
作業用グローブ53は、扉52が閉じられた状態で作業者が作業室22内の細胞等を作業できるよう、扉52に設けられた開口部(不図示)に取り付けられている。なお、扉52が閉じられた状態では、作業室22は密閉される。
【0020】
排出装置23は、作業室22から過酸化水素ガスや空気等のガスを排出するための装置であり、電磁バルブ60、及び滅菌処理装置61を含んで構成される。
【0021】
電磁バルブ60は、制御装置24からの制御に基づいて、エアフィルタ51から出力されるガスを、滅菌処理装置61、または滅菌ガス発生装置33の何れかに供給する。なお、電磁バルブ60からの出力が滅菌ガス発生装置33へと供給される場合、作業室22のガスは循環されることになる。
滅菌処理装置61は触媒を備え、電磁バルブ60から出力されるガスを無害化および滅菌処理をしてアイソレータ10の外部へと出力する。
【0022】
制御装置24は、アイソレータ10の各ブロックを制御する装置であり、操作部70、表示部71、記憶装置72、及びマイコン73を含んで構成される。
【0023】
操作部70は、利用者がアイソレータ10の動作を設定するための操作パネル等である。なお、操作部70の操作結果はマイコン73へと送信される。
表示部71は、操作部70の操作結果や、アイソレータ10の各ブロックの状態等を表示する表示パネルである。
記憶装置72は、マイコン73が実行するプログラムデータや、各種データを記憶する。
【0024】
マイコン73は、記憶装置72に記憶されたプログラムデータを実行することにより、各種機能を実現する。例えば、操作部70から、滅菌ガスを発生させるため指示が出力されると、マイコン74は、滅菌ガスを発生させるための所定のプログラムを実行し、ポンプ31等を制御する。なお、マイコン73の詳細は後述する。
【0025】
==滅菌ガス発生装置33の詳細==
図2は、滅菌ガス発生装置33の側面図である。なお、図2において、一部のブロックは断面図で描かれている。滅菌ガス発生装置33は、過酸化水素水(液体)を霧化させる霧化装置100を備えている。また、霧化装置100は、過酸化水素水を貯留するカップ110、伝播水を貯留する貯留容器111、蓋部材112を備えている。
【0026】
カップ110(第1貯留部)には、上側(+Z方向)と下側(−Z方向)に開口部が設けられている。カップ110の下側の開口部200には、開口部200をふさぐように振動板115が、パッキンを挟んでボルト等で水密的に固定されている。また、振動板115は、底面(−Z方向の面)が水平になるよう、カップ110に取り付けられている。
【0027】
貯留容器111の底面には、伝播水に超音波振動を与えるための超音波振動子120が、その放射方向が垂直上向き水平方向から所定の角度(例えば、7度)傾いた状態となるように設けられている。
【0028】
また、貯留容器111の内部に設けられた水位センサ121(水位検出装置)は、伝播水の水位が所定の水位より低いか否かを検出するためのセンサであり、例えば、フロートスイッチ(不図示)及びリレー(不図示)を含んで構成される。なお、水位センサ121及びマイコン73は警告装置に相当する。また、便宜上、詳細な構成は省略するが、水位センサ121は検出結果を示す信号を、ケーブル(不図示)を介してマイコン73へと出力する。
【0029】
蓋部材112には、カップ110が挿入される開口部210と、伝播水が注入される注入口220とが設けられている。カップ110は、開口部210を塞ぐように、上側から開口部210に挿入される。なお、カップ110は開口部210に挿入された後、ボルト(不図示)等で蓋部材に取り付けられる。注入口220には、注入口220を開放または閉塞する栓部材113が挿入されている。また、開口部210にカップ110が挿入され、開口部220に栓部材113が挿入された状態の蓋部材112が貯留容器111に取り付けられると、貯留容器111の伝播水が貯留された空間は密閉される。なお、貯留容器111及び蓋部材112は、第2貯留部に相当する。
【0030】
蓋部材112の上側には、過酸化水素ガスを外部へ供給するための供給管140と、供給管140を支持する支持部材150が設けられている。支持部材150は、蓋部材112の上面に設置された筒状部材151と、筒状部材151の上面に設けられたフランジ152を含む。
【0031】
筒状部材151の径は、円筒状の供給管140の径よりも大きく、筒状部材151の−X側の側面には、キャリアガス(作業室22を循環する空気)が供給されるポート153が設けられている。フランジ152は、筒状部材151の上面の開口部を閉じつつ、中心に供給管140が貫通されている。また、フランジ152の上面には、過酸化水素水が供給されるパイプ32を通すためのポート154が設けられている。なお、パイプ32は、ポート154と、供給管140の側面に設けられた開口部を介して、カップ110に過酸化水素水等が供給できるよう、供給管140の側面に固定されている。
【0032】
また、カップ110の上側には、霧化された過酸化水素水を加熱し、気化するためのヒーター130が設けられている。ヒーター130で加熱され、ガス化した過酸化水素ガスは、供給されるキャリアガスとともに供給管140に設けられたポート141から出力される。ポート141は、前述の供給装置21の電磁バルブ40にパイプを介して接続される。このように、カップ110で霧化された過酸化水素水は、過酸化水素ガスとしてポート141から供給装置21へと供給される。なお、制御装置24、霧化装置100は霧化装置に相当し、ヒーター130、供給管140は気化部に相当する。
【0033】
==カップ110の残液量の時間変化について==
図3〜5を参照しつつ、伝播水の水位を変化させて霧化装置100を動作させた場合に、カップ110の残液量がどのように変化するかを説明する。
【0034】
なお、ここで、伝播水の水位Hは、図3に示すように、貯留容器111の底面(基準面)から、超音波振動子120が振動していないときの伝播水の水面までの高さである。また、超音波振動子120が振動していないときの伝播水の水面から、振動板115の底面までの距離を距離Dとする。さらに、貯留容器111の底面(基準面)から、振動板115の底面までの距離を距離X(X=D+H)とする。なお、霧化装置100において、距離Xは、例えば、20mm(ミリメートル)である。そして、貯留容器111は、例えば500mL(ミリリットル)の伝播水が注入されると、水位Hが20mm(H=X、D=0)となるような容積を有している。また、超音波振動子120は、例えば48Vの交流電圧が供給されると、30Wの電力を消費し、1.6〜1.7MHzの周波数(超音波周波数)で振動する。
【0035】
図4は、振動板115の底面と伝播水の水面との間に隙間がある場合に、超音波振動子120を振動させた際の伝播水の変化(実験結果)について説明するための図である。超音波振動子120が振動すると伝播水には超音波振動が与えられるため、伝播水の水面は隆起し、水柱が発生する。本実施形態では、この水柱の高さは障害物が何もない状態で30mmから50mmに達する。そして、発生した水柱は振動板115に接触するため、超音波振動がカップ110に伝播され、カップ110に貯留された液体は霧化される。
【0036】
図5は、振動板115の底面と伝播水の水面との間に隙間、すなわち、距離Dを変化させた場合のカップ110の残液量の時間変化を示す図である。なお、ここでは、カップ110に例えば25gの純水(以下、単に水と言う)を予め投入し、0分のタイミングで超音波振動子120の振動を開始させている。図5に示すように、D=4,6,8mmのそれぞれの場合は、残液量はほぼ同じように減少する。また、D=10mmの残液量は、約4分まではD=4mmの残液量より多い。しかしながら、4分以降のD=10mmの残液量は、D=4mmの残液量とほぼ同量まで低下する。一方、D=12mmの残液量は、D=4mm,10mmの残液量と比較すると、経過時間によらず多い。したがって、例えば、D=4〜10mmの範囲では、カップ110の水は安定に霧化されていることが分かる。なお、例えば、D=2mm以下の場合、超音波振動子120が振動していなくても伝播水の表面張力により、わずかのきっかけで伝播水の水面が隆起して振動板115の底面と接触する。このため、図5では、D=4mm以上の実験結果を示している。
【0037】
また、図6は、D=6mmとして25gの水を5回霧化させた場合の残液量の測定結果を示す図であり、図7は、伝播水の水位Hを振動板115の底面より高くして、25gの水を5回霧化させ場合の残液量の変化を示す図である。なお、図7は、従来から実施されていた条件で水を霧化させた際の結果に相当する。
【0038】
D=4mmの場合は、従来の条件で霧化された場合よりも、5回のそれぞれの波形が良く一致し、波形のバラツキが少ない。さらに、D=4mmの場合、従来の条件で霧化された場合よりも、より多くの水が霧化されている傾向がある。なお、ここでは、例えばD=4mmの場合を例に説明したが、D=6〜10mmの場合も同様である。このように、振動板115の底面と伝播水の水面との間に隙間を空けることによって、より安定に水を霧化させることができる。また、水柱の本来の高さのおよそ10%から30%の高さで振動板115に接触させると、より効率よく霧化させることができる。
【0039】
==マイコン73の詳細について==
ここで、マイコン73により実現される機能ブロックについて説明する。マイコン73は、操作部70から、過酸化水素ガスを発生させるための開始指示が入力されると、所定のプログラムを実行し、図8に示すような、警告部300、制御部301の機能を実現する。
【0040】
警告部300(警告信号出力部)は、開始指示が入力されると、水位センサ121の出力を取得する。そして、水位センサ121が、伝播水の水位Hが所定の水位より低いことを検出している場合、警告部300は、警告信号を表示部71に出力する。また、警告部300は、水位センサ121が、伝播水の水位Hが所定の水位より高いことを検出している場合、制御部301に霧化を開始させる制御を実行させる。
制御部301は、警告部300の制御に基づいて、霧化を開始すべく滅菌ガス発生ユニット20を制御する。
【0041】
図9は、過酸化水素ガスを発生させる場合において、マイコン73が実施する処理の一例である。また、水位センサ121は、伝播水の水位Hが、例えば、D=10mmとなる際の水位H(H=10mm)より低いか否かを検出することとする。なお、D=10mmとなる際の水位Hでは、図5に例示したように、霧化装置100は、カップ110の液体を安定に霧化できる。
【0042】
まず、警告部300は、水位センサ121の検出結果を取得する(S100)。そして、伝播水の水位Hが、所定の水位(H=10mm)より高い場合(S100:NO)、制御部301は、霧化を開始すべく滅菌ガス発生ユニット20を制御する(S101)。
【0043】
一方、伝播水の水位Hが、所定の水位(H=10mm)より低い場合(S100:YES)、警告部300は、表示部71に水位Hが低下していることを示す警告を表示させ、制御部301に霧化の動作を停止させる(S102)。
【0044】
以上、本実施形態のアイソレータ10及び霧化装置100について説明した。霧化装置100では、水位Hが、例えばD=6mmとなる際の水位に設定されている。このような場合、振動板115には水柱が接触するため、過酸化水素水は霧化される。したがって、例えば、伝播水の水位が振動板115の底面より高く、振動板115の底面が伝播水に浸かっている場合と比較すると、霧化装置100は、過酸化水素水(液体)を安定に霧化することができる。
【0045】
また、図5に例示するように、伝播水の水位Hが大きく低下すると(距離Dが大きくなると)、過酸化水素水を霧化させて減少させるための時間が長くなる傾向がある。ただし、マイコン73は、伝播水の水位Hが、残液量の変化に基づいて定められた所定の水位(例えば、D=10mmとなる際の水位H)となると、警告信号を出力する。したがって、利用者は、警告信号(例えば、アラーム)が出力されると、伝播水を貯留容器111に注入し水位Hを上昇させることができる。この結果、霧化装置100は、再度安定に過酸化水素水を霧化することができる。
【0046】
また、伝播水の水位Hが所定の水位より低いか否かを検出する際には、例えば、水位計を用いても良い。具体的には、水位計の出力をマイコン73がリアルタイムに取得し、水位Hが所定の水位より低いか否かを判定しても良い。ただし、本実施形態のように、水位センサ121を用いる方が、水位計を用いる場合よりも安価に霧化装置100を構成できる。
【0047】
また、表示部71は、警告信号が出力されると、伝播水の水位Hが所定の水位より低いことを示す警告(情報)を表示する。このため、利用者は、確実に伝播水の水位Hが低下したことを把握することができる。
【0048】
また、利用者は、伝播水の水位Hが所定の水位より低い場合、栓部材113を取り外し、注入口220から伝播水を注入することができる。この結果、伝播水の水位Hは上昇することとなるため、霧化装置100は、過酸化水素水を安定に霧化することができる。なお、前述のように、貯留容器111は、500mLの伝播水が注入されると、水位Hが20mmとなる。つまり、貯留容器111は、50mLの伝播水が注入される度に、水位Hが2mmだけ上昇する。したがって、利用者は、注入口220から所定量の伝播水を注入することにより、水位Hを所望の値にすることができる。
【0049】
また、滅菌ガス発生装置33は、霧化装置10を用いることにより安定に過酸化水素ガスを発生させることができる。
【0050】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0051】
例えば、振動板115はカップ110に水平に取り付けられていたが、これに限られるものでは無い。振動板115の底面が、超音波振動子120が超音波を発生する面と平行になるように取り付けられていても、霧化対象となる液体を安定に霧化することができる。
【0052】
また、注入口220は、蓋部材112に設けられているが、例えば、貯留容器111の側面にあっても良い。特に霧化装置100では、伝播水の水位Hが振動板115の底面より低いため、振動板115の底面より高い位置に注入口を設ければ、伝播水を注入する際の伝播水の漏れを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0053】
10 アイソレータ
20 滅菌ガス発生ユニット
21 供給装置
22 作業室
23 排出装置
24 制御装置
30 タンク
31 ポンプ
32 パイプ
33 滅菌ガス発生装置
40,60 電磁バルブ
41 ファン
50,51 エアフィルタ
52 扉
53 グローブ
61 滅菌処理装置
70 操作部
71 表示部
72 記憶装置
73 マイコン
100 霧化装置
110 カップ
111 貯留容器
112 蓋部材
113 栓部材
115 振動板
120 超音波振動子
130 ヒーター
140 供給管
141,153,154 ポート
150 支持部材
151 筒状部材
152 フランジ
200,210 開口部
220 注入口
300 警告部
301 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に振動板が取り付けられ、液体を貯留する第1貯留部と、
超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2貯留部と、
前記第2貯留部の底面に設置され、前記伝播水に超音波振動を与える超音波振動子と、
を備え、
前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位は、
前記伝播水に超音波振動が与えられて生じる水柱が前記振動板に接触して前記液体が霧化される水位に設定されてなること、
を特徴とする霧化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の霧化装置であって、
前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位が、前記水柱が前記振動板に接触して前記液体が霧化される際の前記液体の量の変化に基づいて定まる所定の水位より低くなると、警告信号を出力する警告装置を更に備えること、
を特徴とする霧化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の霧化装置であって、
前記警告装置は、
前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位が、前記所定の水位より低いか否かを検出する水位検出装置と、
前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位が、前記所定の水位より低いことが検出されると、前記警告信号を出力する警告信号出力部と、
を備えることを特徴とする霧化装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の霧化装置であって、
前記警告信号が出力されると、前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位が、前記所定の水位より低いことを示す情報を表示する表示部を更に備えること、
を特徴とする霧化装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の霧化装置であって、
第2貯留部は、
底面に前記超音波振動子が設置され、前記伝播水が貯留される貯留容器と、
前記第1貯留部が挿入される開口部を有し、前記開口部に前記第1貯留部が挿入された状態で前記貯留容器に取り付けられると、前記伝播水が貯留される空間を密閉する蓋部材と、
を含み、
前記貯留容器または前記蓋部材には、
前記伝播水を前記貯留容器に注入する際に開放される注入口が設けられていること、
を特徴とする霧化装置。
【請求項6】
底面に振動板が取り付けられ、過酸化水素水を貯留する第1貯留部と、
超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2貯留部と、
前記第2貯留部の底面に設置され、前記伝播水に超音波振動を与える超音波振動子と、
霧化された前記過酸化水素水を加熱して気化させ、供給されるキャリアガスとともに出力する気化部と、
を備え、
前記伝播水に超音波振動が与えられていないときの前記伝播水の水位は、
前記伝播水に超音波振動が与えられて生じる水柱が前記振動板に接触して前記過酸化水素水が霧化される水位に設定されてなること、
を特徴とする滅菌物質発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−213472(P2012−213472A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79954(P2011−79954)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(592031097)パナソニックヘルスケア株式会社 (28)
【Fターム(参考)】