説明

露光装置、洗浄方法及びデバイス製造方法

【課題】光学素子の洗浄に有利な露光装置の提供。
【解決手段】光源20と、複数の光学素子15a、15bを収容する真空容器34、35とを有する露光装置は、複数の光学素子のうち予め決められた値未満の照度で光が照射されている光学素子に酸素ガスA2を供給する酸素ガス供給手段と、記複数の光学素子のうち前記値以上の照度で光が照射されている光学素子に水蒸気A1を供給する水蒸気供給手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、洗浄方法及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光学素子を光洗浄するための洗浄光源を有し、極端紫外光(EUV光)により基板を露光する露光装置(EUV露光装置)を開示している。酸素やオゾンのような酸化性の気体、水素、水などを導入しながら光洗浄を行なうと、炭素を含む化合物がこれらの気体と反応して光学素子から除去されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−244015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光学素子に付着した炭素あるいは炭素化合物の洗浄速度は、光洗浄に用いる光の照度に依存し、照度が高いところでは洗浄速度が高く、照度の低いところでは洗浄速度が低くなると共に、光洗浄のために導入されるガス種に因っても異なる。ガスを導入しながら露光光を使って露光装置の光学素子を洗浄すると、各光学素子に照射される露光光の照度は異なるため、各光学素子の洗浄速度は異なる。洗浄速度の大きい光学素子に合わせて洗浄時間を設定すると洗浄速度の小さい光学素子の洗浄度は低くなり、洗浄速度の小さい光学素子に合わせて洗浄時間を設定すると洗浄速度の大きい光学素子は劣化(例えば酸化)しうる。
【0005】
本発明は、光学素子の洗浄に有利な露光装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の露光装置は、光源と、複数の光学素子を収容する真空容器とを有し、前記複数の光学素子を介して前記光源からの光で基板を露光する露光装置であって、前記複数の光学素子のうち予め決められた値未満の照度で前記光が照射されている光学素子に酸素を供給する酸素ガス供給手段と、前記複数の光学素子のうち前記値以上の照度で前記光が照射されている光学素子に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、光学素子の洗浄に有利な露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例の露光装置の一部を示すブロック図である。
【図2】図2は、露光光照度と炭素化合物の除去速度とのガス種に依存した関係を示すグラフである。
【図3】図3は、本実施例の洗浄方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施例の露光装置の一部を示すブロック図である。露光装置は、光源20からのEUV光(露光光14)を用い、光源側から光路に沿って順に配置された第1光学系の光学素子(第1光学素子)15aと、第2光学系の光学素子(第2光学素子)15bと、不図示の原版と、を介して、真空中で不図示の基板を露光する。
【0010】
光源20からの光は光学素子15aと光学素子15bとをこの順番で通過(反射)する。但し、光源20からの光は、極紫外光(EUV光)に限らず、X線や、(電子ビーム露光装置やイオンビーム露光装置用の)荷電粒子線であってもよい。光源20は、基板を露光するための光源と光学素子を洗浄する洗浄光を照射する光源とを兼用している。
【0011】
本実施例の光学素子15aと15bとは、EUV光を反射する多層膜ミラーであるが、露光光の照度分布を均一にするインテグレータなど多層膜ミラー以外であってもよい。また、プラズマから発生するEUV光を集光する(楕円)ミラーであってもよい。さらに、スペクトル純化(波長選択)フィルタやアパーチャーなど、光反射部材だけでなく光透過部材や光整形部材であってもよい。
【0012】
第1光学系の光学素子15aは第2光学系の光学素子15bよりも光路において前段(上流側)にある。本実施例の光学素子15aと15bとは、両者が原版を照明する照明光学系の一部を構成してもよいし、両者が原版からの光を基板に投影する投影光学系の一部を構成してもよい。あるいは、光学素子15aが照明光学系の一部を構成し、光学素子15bが投影光学系の一部を構成してもよい。
【0013】
露光装置は、図1に示すように、第1光学系の光学素子15aを収納する第1真空容器34と、第2光学系の光学素子15bを収納する第2真空容器35と、第1真空容器34と第2真空容器35との間に設けられた差動排気機構5と、を有する。図1には記載していないが、この差動排気機構5には、例えばシャッターあるいはゲートバルブのような、開閉機構が付いていてもよい。
【0014】
例えば、光学素子15aと光学素子15bとが投影光学系に含まれている場合、投影光学系が複数の真空容器で分割されることになる。
【0015】
第1真空容器34は、真空ポンプ13aによって高真空状態に維持され、第2真空容器35は、真空ポンプ13bによって高真空状態に維持される。
【0016】
また、露光装置は、第1真空容器34に水蒸気A1を供給して光源20からの光で第1光学系の光学素子15aを洗浄する第1洗浄手段と、第2真空容器35に酸素ガスA2を供給して第1光学系からの光で第2光学素子15bを洗浄する第2洗浄手段と、を有する。
【0017】
光学素子15aには光源からの露光光(洗浄光)が予め決められた値以上の照度で照射され、光学素子15bには光源からの露光光(洗浄光)が予め決められた値未満の照度で照射される。
【0018】
水蒸気A1は第1ガス供給口32から供給され、第1ガス供給口32は水蒸気A1を供給する水蒸気供給手段(水蒸気供給部)を構成する。この水蒸気供給手段は、図には詳細に示していないが、水蒸気発生部(例えば純水気化容器)、圧力および流量の少なくとも一方のコントローラ(調整部)、導入配管、バルブ等から構成されうる。
【0019】
第1ガス供給口32に不図示のノズルを取り付けてノズルの先端を光学素子15aの表面まで延ばして水蒸気A1を光学素子15aの表面に吹き付けてもよい。その際、水蒸気A1は光学素子15aの表面の照明領域(露光光(洗浄光)で照明される領域)に吹き付けられれば足りる。即ち、光学素子15aはその照明領域が洗浄されれば足りる。
【0020】
酸素ガスA2は第2ガス供給口33から供給され、第2ガス供給口33は酸素ガスA2を供給する酸素ガス供給手段(酸素ガス供給部)を構成する。この酸素ガス供給手段は、図には詳細に示していないが、不図示の酸素発生部(例えば高純度酸素ボンベ)、圧力および流量の少なくとも一方のコントローラ(調整部)、導入配管、バルブ等から構成されうる。
【0021】
第2ガス供給口33に不図示のノズルを取り付けてノズルの先端を光学素子15bの表面まで延ばして酸素A2を光学素子15bの表面に吹き付けてもよい。その際、酸素ガスA2は光学素子15bの表面の照明領域に吹き付けられれば足りる。即ち、光学素子15bはその照明領域が洗浄されれば足りる。
【0022】
なお、本実施例では、第1ガス供給口32から酸素ガスを意図的には供給せず、第2ガス供給口33から水蒸気を意図的には供給していない。しかしながら、これに限る必要はない。
【0023】
例えば、酸素と水蒸気との混合ガスまたは他の混合ガスを用いても、第1ガス供給口32から供給されるガスの主成分が水蒸気であり、第2ガス供給口32から供給されるガスの主成分が酸素であれば、本発明の目的は達成されうる。
【0024】
本実施例は、純水を気化させた水蒸気と高純度酸素(ガス)とを用いているが、第1真空容器34の中では水蒸気成分が他のガスよりも充分に多く、第2真空容器35の中では酸素成分が他のガスよりも充分に多ければよい。
【0025】
より具体的には、第1ガス供給口32から供給される水蒸気A1は、水の成分が50%以上(より好ましくは90%以上)であるようにその他のガスが含まれていてもよい。また、第2ガス供給口33から供給される酸素ガスは、酸素の成分が50%以上(より好ましくは90%以上)であるようにその他のガスが含まれていてもよい。
【0026】
露光装置を長時間使用すると、露光装置を構成する部材からのアウトガス(脱ガス)やレジストから発生する炭素化合物が原因で、光学素子の表面に炭素化合物が付着する。この炭素化合物の付着は光学素子の反射率や透過率等の光学特性を著しく低下させ、露光装置のスループットを低下させる。
【0027】
図2は、反応性ガスである水蒸気や酸素を導入しながらEUV光を照射して光学素子表面を洗浄する場合において、光学素子表面に付着した炭素化合物が除去(洗浄)される速度と(照射)光照度との関係を表すグラフである。
【0028】
図2にて示されているように、照射光がIよりも低照度の領域R1では酸素ガスを供給した方が水蒸気を供給した場合に比べて炭素化合物の除去速度が大きくなる。一方、照射光がIよりも高照度の領域R2では水蒸気を供給した方が酸素ガスを供給した場合に比べて炭素化合物の除去速度が大きくなる。
【0029】
図1において、露光光14は光学素子で反射されるたびに強度が減衰するため、一般的に上流側に配置されている光学素子15aに照射される露光光14の照度は高く、下流側の光学素子15bに照射される露光光14の照度は低くなる。本実施例は、光学素子15aの露光光の照度は領域R2にあたり、光学素子15bの露光光の照度は領域R1にあたる。
【0030】
そこで、露光光14による光学素子上の照度がI以上である(よりも高い)第1真空容器34には水蒸気を供給し、同照度がIよりも低い(以下である)第2真空容器35には酸素ガスを供給して露光光14を照射する。これにより、光学素子15a上に付着した炭素化合物は水蒸気と露光光14とによって洗浄され、光学素子15b上に付着した炭素化合物は酸素ガスと露光光14とによって洗浄される。このようにすることによって、露光装置を構成する光学素子は効果的に洗浄されることになる。
【0031】
図3は、本実施例の洗浄方法を説明するためのフローチャートであり、「S」はStep(ステップまたは工程)の略である。図3に示す各ステップ(処理)は、露光装置内のコンピュータ(プロセッサ)10による制御の下で実行されうる。また、対応する洗浄方法は、コンピュータ10によって実行されるプログラムとしても具現化されうる。
【0032】
コンピュータ(制御部)10と光源20と水蒸気供給部は、第1真空容器34に水蒸気A1を供給して露光光14で第1光学系の光学素子15aを洗浄する第1洗浄手段として機能する。また、コンピュータ10と光源20と酸素ガス供給部は、第2真空容器35に酸素ガスを供給して露光光14で第2光学系の光学素子15bを洗浄する第2洗浄手段として機能する。
【0033】
この場合、各供給部は、コンピュータ10によって開閉が制御されるように洗浄気体(水蒸気または酸素ガス)を貯蔵する不図示のタンクと第1ガス供給口32または第2ガス供給口33との間に設けられた不図示のバルブを有する。あるいは、各供給部は、当該バルブの開閉を制御するように、コンピュータ10と通信してコンピュータ10によって制御される別のコントローラを有してもよい。また、第1洗浄手段と第2洗浄手段とを別個の制御手段によって制御してもよい。
【0034】
まず、コンピュータ10は、水蒸気供給部を制御して第1真空容器34に第1ガス供給口32から水蒸気A1の導入を開始する(S101)。第1光学系の光学素子15aを洗浄するためには、第1真空容器34内の水分圧を0.0001Pa〜10Paの範囲に維持する。
【0035】
水蒸気の導入圧力は、低下するにつれて反応するための水分子が足らなくなり洗浄効率が低下する傾向であるため、下限値は0.0001Pa程度である。また、1Paを超えると水蒸気によるEUV光の吸収が顕著になる。
【0036】
但し、EUV光の吸収量は光路長に依存するため、光路長が短い場合には10Pa程度でも有効である。本例における水蒸気圧力(水分圧)は、効率良く洗浄するため、0.01Paに維持されている。
【0037】
次に、コンピュータ10は、酸素ガス供給部を制御して第2真空容器35に第2ガス供給口33から酸素ガスA2の導入を開始する(S102)。第2光学系の光学素子15bを洗浄するためには、第2真空容器35内の酸素ガス圧を0.001Pa〜10Paの範囲に維持する。
【0038】
酸素ガスの導入圧力は、0.001Paよりも小さくなると洗浄効率が著しく低下することが実験から得られている。また、1Paを超えると酸素によるEUV光の吸収が顕著になる。EUV光の吸収量は光路長に依存するため、光路長が短い場合には10Pa程度でも有効である。本実施例における酸素ガス圧力(酸素分圧)は、効率良く洗浄するため、0.01Paに維持されている。本実施例においては、第1光学系と第2光学系とを同時(並行して)洗浄するため、それぞれの真空容器に導入するガス圧は同程度であることが好ましい。
【0039】
次に、コンピュータ10は、光源20を制御して露光光14の照射を開始する(S103)。露光光14と水蒸気及び酸素とが反応して活性種を生成し、この活性種が光学素子15a及び15bに形成された炭素化合物のコンタミナントと反応することによって光学素子15a及び15bを洗浄する。
【0040】
本実施例では、洗浄時間を短縮するために光学素子15a及び15bを同時に洗浄するようにしたが、(実質的に)別々に洗浄されるようにしてもよい。第1光学系と第2光学系とで洗浄が必要となる頻度が異なる場合、そのようにし得る。
【0041】
例えば、第1光学系の汚れが少ないために第2光学系の光学素子15bのみを洗浄する場合には、第1真空容器34に水蒸気A1を導入しない。この場合、第2真空容器35に酸素ガスを0.01Pa導入し、第2光学系を洗浄する。
【0042】
このとき、第1真空容器34内には差動排気機構5を通過して第2真空容器35から酸素ガスが流入するが、第1真空容器34内の酸素ガス圧は0.001Pa程度になり、前述したように洗浄効果は小さく、第1光学系を少し洗浄するにとどまる。
【0043】
逆に、第2光学系の汚れが少ないために第1光学系の光学素子15aのみを洗浄する場合には、第1真空容器34に水蒸気を0.01Pa導入し、第1光学系を洗浄する。このとき、第2真空容器35内には差動排気機構5を通過して第1真空容器34から水蒸気が流入するが、第2光学系では照度が小さいため、図2に示すように水蒸気での除去速度は小さくなり、第2光学系を少し洗浄するにとどまる。
【0044】
なお、差動排気機構5を開閉する機構(例えば不図示のシャッター)が設けられていてもよい。この場合、開閉機構で差動排気機構5を閉じれば、第2真空容器35に光が進入することはなく、第2光学系は全く洗浄されない。
【0045】
また、例えば、第1光学系の汚れが極端に大きい場合、第2光学系での照度が極端に小さくなってしまう。そのときには、先ず第1真空容器34に水蒸気を1Pa程度導入して光を照射し、第1光学系を洗浄する。このとき、差動排気機構5を開閉する機構(例えば不図示のシャッター)を閉じて第2真空容器35に光を進入させないほうがよい。
【0046】
第1光学系の洗浄が概ね完了したら、第2真空容器35に酸素を0.01Pa程度導入し、差動排気機構5を開閉する機構を開けて光を通し、第2光学系を洗浄する。この場合のように、それぞれの真空容器に導入するガス圧が違う場合には、別々に洗浄するとよい。
【0047】
次に、コンピュータ10は、露光光14の照射を開始した後に自身のタイマで照射時間を計測し、設定時間だけ露光光14を照射し、その後、光源20を制御して露光光14の照射を停止する(S104)。S103はS102よりも先に実施してもよいが、洗浄時間を短縮するためには同時に実施することが好ましい。
【0048】
次に、コンピュータ10は、水蒸気供給部を制御して水蒸気A1の導入を停止し(S105)、酸素ガス供給部を制御して酸素ガスA2の導入を停止する(S106)。この結果、第1真空容器34が排気部13aによって排気されて第1真空容器34内の水分圧は0.00001Pa以下になり、また、第2真空容器35が排気部13bによって排気されて第2真空容器35内の酸素ガス分圧は0.00001Pa以下になる。S106はS105よりも先に実施してもよいが、洗浄時間を短縮するためには同時に実施することが好ましい。
【0049】
必要があれば、コンピュータ10は、各光学素子で反射された露光光の照度を不図示の照度計に計測させ、設定された露光光照度に達したどうかを判断し、達していなければ、再びS101から処理を繰り返すようにしてもよい。
【0050】
デバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)は、前述の露光装置を使用して感光剤を塗布した基板(ウエハ、ガラスプレート等)を露光する工程と、その基板を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される(デバイス製造方法)。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0052】
例えば、本実施例では、真空容器を2つに分割しているが、3つ以上に分割してもよい。そして、コンピュータ10は、各真空容器に導入される光の照度に応じて各真空容器に導入する気体を適宜選択すればよい。そして、3つの真空容器に光路に沿って上流側から水蒸気、酸素ガス、酸素ガスをそれぞれ供給したり、水蒸気、水蒸気、酸素ガスをそれぞれ供給したりする。
【0053】
この場合、2番目の真空容器に対しては、酸素ガスと水蒸気とを選択的に供給できるようにしておき、必要に応じて供給するガスを切り替えられる構成にしておいてもよい。あるいは、各真空容器に照度計をそれぞれ設けておき、コンピュータ10は、各照度計の計測結果としての照度に応じて、導入する気体を選択するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施例では、露光光(波長13.5nmのEUV光など)を光洗浄の光に使用している。しかし、露光光とは異なる波長の光を発する光洗浄用の光源(例えば波長185nmの紫外線光源や波長172nmのエキシマ光源等)を別途用意し、露光光と異なる波長の光を使用してもよい。
【0055】
また、本実施例では、光学素子の洗浄を基板の露光とは独立して行っている。しかし、反応性ガスの導入を行いながら基板の露光を行うようにしてもよい。この場合、炭素化合物が付着した直後に洗浄が行われるような状態としうる。この場合にも、それぞれの真空容器に照度に応じて水蒸気または酸素ガスを選択的に導入することができる。
【0056】
また、上述の例では、各真空容器内の光学素子の照度に適した洗浄気体を各真空容器内に供給するように構成している。しかしながら、そのような構成例に本発明は限定されるものではない。
【0057】
例えば、各光学素子の照度に適した洗浄気体を当該光学素子に供給するようにしてもよい。この場合、例えば、一つの真空容器内に一つの洗浄気体を供給するのではなく、一つの真空容器に収容されている複数の光学素子に対して、それらの照度に応じて異なる洗浄気体(水蒸気または酸素ガス)を選択的に供給する(吹き付ける)ようにすればよい。また、照度I以上の照度を有する光学素子と照度Iより小さい照度を有する光学素子とが一つの真空容器内に混在しないように複数の真空容器で複数の光学素子を収容し、照度に応じて選択された洗浄気体を各真空容器内に供給するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
露光装置は、デバイスの製造の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 コンピュータ
14 露光光
15a 第1光学素子
15b 第2光学素子
20 光源
34 第1真空容器
35 第2真空容器
A1 水蒸気
A2 酸素ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、複数の光学素子を収容する真空容器とを有し、前記複数の光学素子を介して前記光源からの光で基板を露光する露光装置であって、
前記複数の光学素子のうち予め決められた値未満の照度で前記光が照射されている光学素子に酸素ガスを供給する酸素ガス供給手段と、
前記複数の光学素子のうち前記値以上の照度で前記光が照射されている光学素子に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
第1光学素子を収容する第1真空容器と、第2光学素子を収容する第2真空容器とを有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子とを順に介して基板を露光する露光装置であって、
前記第1真空容器に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、
前記第2真空容器に酸素ガスを供給する酸素ガス供給手段と、
前記第1光学素子に洗浄光を照射し且つ前記第1光学素子を介して前記第2光学素子に洗浄光を照射するための光源と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項3】
極紫外光、X線、及び、荷電粒子線のいずれかで前記基板を露光する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記光源は、前記基板を露光するための光源と兼用される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項6】
第1光学素子を収容する第1真空容器と、第2光学素子を収容する第2真空容器とを有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子とを順に介して基板を露光する露光装置において、前記第1光学素子と前記第2光学素子とを洗浄する洗浄方法であって、
前記第1真空容器に水蒸気を導入する工程と、
前記第2真空容器に酸素ガスを導入する工程と、
水蒸気を導入された前記第1真空容器における前記第1光学素子に洗浄光を照射するステップと、
酸素ガスを導入された前記第2真空容器における前記第2光学素子に前記第1光学素子を介して前記洗浄光を照射するステップと、
を有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項7】
前記第1光学素子と前記第2光学素子とを並行して洗浄する、ことを特徴とする請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記第1光学素子と前記第2光学素子とを別々に洗浄する、ことを特徴とする請求項6に記載の洗浄方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−171620(P2011−171620A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35696(P2010−35696)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「極端紫外線露光システムの基盤技術開発/EUV露光装置用非球面加工技術およびコンタミネーション制御技術の研究開発(継続研究)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】