説明

露光装置及び半導体装置の製造方法

【課題】レチクルが有するTEG用パターンとチップ用パターンの間隔を小さくすることができる露光装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る露光装置は、光源12と、半導体ウェハ1を載置するステージ22と、光源12とステージ22の間に位置するレチクル20と、光源12とレチクル20の間に位置し、レチクル20に入射する光を部分的に遮光するレチクルブラインド17と、レチクル20とステージ22の間に位置し、レチクル20及びレチクルブラインド17の重なりを示す撮像データを生成する撮像部30と、撮像データを演算処理することにより、レチクル20に対するレチクルブラインド17の位置が予め定められた位置になったことを算出する撮像データ処理部33と、撮像データ処理部33の算出結果に基づいてレチクルブラインド17の位置を制御するレチクルブラインド制御部34とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び半導体装置の製造方法に関する。特に本発明は、レチクルが有する第1パターンと第2パターンの間隔を小さくして一枚の半導体ウェハから製造することが出来る半導体チップの数を増やすことができる露光装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来の露光装置の構成を説明するための概略図である。水銀ランプ102から放射された光は、楕円鏡101によって一方向に集光され、シャッター103、反射鏡104、干渉フィルター105、フライアイレンズ106、レチクルブラインド107、反射鏡108、及びコンデンサレンズ109を介してレチクル110に入射する。このとき、集光された光の一部はレチクルブラインド107によって遮光されるため、レチクル110には必要な部分のみ光が入射する。レチクル110を透過した光は、縮小投影レンズ111を介してステージ112上の半導体ウェハ100に入射する。このようにしてレチクル110上のパターンは半導体ウェハ100に縮小投影される。
【0003】
図11(A)は、レチクル110上のパターンを説明するための図である。レチクル110にはチップ用パターン110a及びTEG用パターン110bが、隙間110cを介して配置されている。チップ用パターン110aは、半導体ウェハ100に長方形の半導体チップを形成する為のパターンであり、一つの半導体チップを形成する為の長方形のパターン110dを複数上下に並べた構成である。TEG用パターン110bは、半導体ウェハ100にTEGを形成する為のパターンである。チップ用パターン110a及びTEG用パターン110bを同時に露光する場合、レチクルブラインド107は露光時にチップ用パターン110a及びTEG用パターン110bのいずれも覆う必要がない。
【0004】
図11(B)は、半導体ウェハ100にTEG用パターン110bのみを露光する場合における、レチクル110及びレチクルブラインド107の位置関係を説明するための図である。レチクルブラインド107はチップ用パターン110aを覆っている。この場合、レチクルブラインド107の端部107aは隙間110c上に位置している。
【0005】
図11(C)は、半導体ウェハ100にチップ用パターン110aのみを露光する場合における、レチクル110及びレチクルブラインド107の位置関係を説明するための図である。レチクルブラインド107はTEG用パターン110bを覆っている。この場合、レチクルブラインド107の端部107aは隙間110c上に位置している。
なお、図11(B),(C)に類似する技術が、特許文献1に開示されている。
【0006】
TEGがスクライブラインに入りきらない場合、TEGは半導体ウェハ内のスクライブライン以外の位置に形成される。この場合、TEGを形成する為の領域を、チップとチップの間に設ける必要がある。このような場合、TEG用パターンとチップ用パターンは同時に露光される。
【0007】
【特許文献1】特開平10−312049号公報(第4段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、レチクルにおいてチップ用パターンとTEG用パターンの間には、レチクルブラインドの端部を位置させるためにある程度の幅を有する隙間が設けられている。従来のレチクルブラインドは、予め設定された位置情報に従って退避位置から直接所望の位置に配置される構成であった為、上記した隙間を2mm程度確保する必要があった。このため、チップ用パターンとTEG用パターンを同時に半導体ウェハ上に露光した場合、形成された半導体チップとTEGの間にもある程度の幅を有する隙間が生じる。
【0009】
しかし、近年は半導体チップの幅が小さくなっており、製品によっては従来の半導体チップとTEGの間の隙間よりもその幅が小さい場合がある。このような場合、レチクルにおいてチップ用パターンとTEG用パターンの間の隙間を小さくできると、一枚の半導体ウェハから製造できる半導体チップの数が増加する。
【0010】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、レチクルが有する第1パターン(例えばTEG用パターン)と第2パターン(例えばチップ用パターン)の間隔を小さくすることができる露光装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る露光装置は、光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
前記光源から射出した光が前記ステージに入射するまでの光路において、前記光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
前記光路において前記光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第1のレチクルブラインドと、
前記光路において前記レチクルと前記ステージの間に位置し、前記レチクルの像及び前記第1のレチクルブラインドの像が重なった像を示す撮像データを生成する撮像部と、
前記撮像データを演算処理することにより、前記レチクルに対する前記第1のレチクルブラインドの位置が予め定められた位置になったことを判断する撮像データ処理部と、
前記撮像データ処理部の判断結果に基づいて前記第1のレチクルブラインドの位置を制御するレチクルブラインド制御部とを具備する。
【0012】
本発明に係る他の露光装置は、露光用の光源である第1光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
前記第1の光源から射出した光が前記ステージに入射するまでの光路において、前記第1光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
前記光路において前記第1光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第1のレチクルブラインドと、
前記光路において前記第1光源と前記第1のレチクルブラインドの間に位置し、前記レチクルの像及び前記第1のレチクルブラインドの像が重なった像を示す撮像データを生成する撮像部と、
前記撮像データを演算処理することにより、前記レチクルに対する前記第1のレチクルブラインドの位置が予め定められた位置になったことを判断する撮像データ処理部と、
前記撮像データ処理部の判断結果に基づいて前記第1のレチクルブラインドの位置を制御するレチクルブラインド制御部とを具備する。
【0013】
これらの露光装置によれば、前記レチクルブラインド制御部は、前記撮像データ処理部の算出結果に基づいて前記レチクルブラインドの位置を制御するため、従来と比較して高い精度で前記レチクルブラインドの位置を制御することができる。従って、レチクルが有する第1パターンと第2パターンの間隔を小さくすることができる。
【0014】
後者の露光装置において、前記光路において前記レチクルと前記ステージの間に位置する第2光源を更に具備してもよい。この場合、前記撮像部は、前記第2光源を光源として前記撮像データを生成することができる。また前記光路において前記第1光源と前記第1のレチクルブラインドの間に設けられたフライアイレンズを具備する場合、前記撮像部は、前記第1のレチクルブラインドと前記フライアイレンズの間に位置するのが好ましい。
【0015】
前記レチクルブラインドに形成された第1マークと、前記レチクルに形成された第2マークとを更に具備してもよい。そして、前記撮像データ処理部は、前記第2マークの像に対する前記第1マークの像の重なりを演算することにより、前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置が前記予め定められた位置になったことを判断してもよい。
この場合、前記レチクルブラインド制御部は、前記第2マークに対する前記第1マークの位置が予め定められた位置になるように前記レチクルブラインドを制御することにより、前記レチクルブラインドを所望の位置である前記予め定められた位置に配置してもよい。また前記レチクルブラインド制御部は、前記第2マークに対する前記第1マークの位置を予め定められた位置にすることにより、前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置を基準位置である前記予め定められた位置に配置した後、前記レチクルブラインドをさらに所望する距離ほど移動させることにより、前記レチクルブラインドを所望の位置に配置させてもよい。
【0016】
前記レチクルには第1のパターン及び第2のパターンが形成されている場合、前記レチクルブラインドが前記所望の位置に配置された場合に、前記第2のパターンのみが前記レチクルブラインドにより覆われる。
【0017】
前記第1のレチクルブラインドと部分的に重なり、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第2のレチクルブラインドを具備する場合、前記第1マークは、前記第2のレチクルブラインドにより隠されることができる位置にあるのが好ましい。また、前記第2マークは、前記第2のレチクルブラインドにより隠されることができる位置にあるのが好ましい。このようにすると、前記第1マーク及び前記第2マークが前記半導体ウェハに露光されることを防止できる。
【0018】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、
光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
光路において前記光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
光路において前記光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光するレチクルブラインドと、
を具備する露光装置を準備し、
光路における前記レチクルと前記ステージの間、又は光路における前記レチクルブラインドと前記光源の間に撮像部を配置し、該撮像部を用いて前記レチクル及び前記レチクルブラインドの重なり示す撮像データを生成しつつ前記レチクルブラインドを移動させ、
前記レチクルブラインドを移動させつつ前記撮像データを演算処理することにより、前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置が所望の位置になったことを算出し、該所定の位置になった場合に前記レチクルブラインドの移動を停止させ、
その後、前記撮像部を退避させ、前記半導体ウェハを露光するものである。
【0019】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
光路において前記光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
光路において前記光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光するレチクルブラインドと、
を具備する露光装置を準備し、
光路における前記レチクルと前記ステージの間、又は光路における前記レチクルブラインドと前記光源の間に撮像部を配置し、該撮像部を用いて前記レチクル及び前記レチクルブラインドの重なり示す撮像データを生成しつつ前記レチクルブラインドを移動させ、
前記レチクルブラインドを移動しつつ前記撮像データを演算処理して前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置が基準位置になったことを算出し、
その後、前記レチクルブラインドを予め定められた距離ほど移動させることにより、前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置を所望の位置に配置にさせ、
その後、前記撮像部を退避させ、前記半導体ウェハを露光するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を説明するための図である。本図に示した露光装置において、水銀ランプ12から放射された光は、楕円鏡11によって一方向に集光され、シャッター13、反射鏡14、干渉フィルター15、フライアイレンズ16、複数のレチクルブラインド17、反射鏡18、及びコンデンサレンズ19を介してレチクル20に入射する。このとき、集光された光の一部はレチクルブラインド17によって遮光され、レチクル20には必要な部分のみ光が入射する。レチクル20を透過した光は縮小投影レンズ21を介してステージ22上の半導体ウェハ1に入射する。このようにしてレチクル20上のパターンは半導体ウェハ1に縮小投影される。なお、レチクルブラインド17の位置は、レチクルブラインド制御部34によって制御される。
【0021】
また図1に示す露光装置は、撮像カメラ30、マーク位置データ記憶部31、撮像カメラ制御部32、及び撮像データ処理部33を有する。本実施形態においてレチクルブラインド17及びレチクル20それぞれには、遮光膜を開口したマークが形成されている。マーク位置データ記憶部31は、レチクルブラインド17上のマークの位置、及びレチクル20上のマークの位置を記憶している。撮像カメラ制御部32は、撮像カメラの位置を制御し、撮像カメラ30を、露光用の光の光路におけるレチクル20と縮小投影レンズ21の間に位置させる。レチクル20と縮小投影レンズ21の間に配置された撮像カメラ30は、レチクル20の投影像にレチクルブラインド17の投影像が重なった像を示す撮像データを生成する。この撮像データを生成するときの光源は、水銀ランプ12でもよいし、他の光源を別に設けても良い。後者の場合、光源はフライアイレンズ16とレチクルブラインド17の間に配置されるのが好ましい。撮像データ処理部33は、撮像データを処理して2つのマークの相対位置を算出し、レチクル20に対するレチクルブラインド17の相対位置を算出する。そしてレチクルブラインド制御部34は、撮像データ処理部33が算出した相対位置に基づいて、レチクルブラインド17の位置を制御する。なお、上記した露光装置の動作の詳細は、フローチャートを用いて後述する。
【0022】
図2は、レチクル20に対するレチクルブラインド17の位置を説明するための斜視概略図である。露光装置には4枚の長方形のレチクルブラインド17が設けられている。4枚のレチクルブラインド17それぞれは、長方形のレチクル20の上下左右それぞれの辺からレチクル20の中央に向けて移動し、隣接するレチクルブラインド17同士が部分的に重なり合う。なお、4枚のレチクルブラインド17それぞれには、上記した位置合わせ用のマークが形成されており、レチクル20には、4枚のレチクルブラインド17それぞれに対応した位置合わせ用のマークが形成されている。
【0023】
レチクル20にはチップ用パターン20a及びTEG用パターン20bが、隙間20eを介して配置されている。チップ用パターン20aは、半導体ウェハ1に長方形の半導体チップを形成する為のパターンであり、一つの半導体チップを形成する為の長方形のパターン(図示せず)を複数上下に並べた構成である。TEG用パターン20bは、半導体ウェハ1にTEGを形成する為のパターンである。隙間20eは、一つの半導体チップのパターンを形成する為の長方形のパターンより小さく、例えば200μm以下である。
【0024】
チップ用パターン20a及びTEG用パターン20bを同時に半導体ウェハ1に露光する場合、レチクルブラインド17は露光時にチップ用パターン20a及びTEG用パターン20bのいずれも覆う必要がない。半導体ウェハ1にTEG用パターン20bのみを露光する場合、図中上側のレチクルブラインド17がチップ用パターン20aのみを覆う。この場合、図中上側のレチクルブラインド17の下辺は隙間20e上に位置する。また半導体ウェハ1にチップ用パターン20aのみを露光する場合、図中下側のレチクルブラインド17がTEG用パターン20bのみを覆う。この場合、図中下側のレチクルブラインド17の上辺は隙間20e上に位置する。
【0025】
図3(A)は、レチクル20に形成されたマーク20c及びレチクルブラインド17に形成されたマーク17aの配置を説明するための斜視図である。本図は、図2中下側のレチクルブラインド17がTEG用パターン20bを覆う場合を示している。マーク20c及びマーク17aが互いに重なったときに、レチクルブラインド17の上辺が隙間20e上に位置し、TEG用パターン110bがレチクルブラインド17に覆われる。レチクルブラインド制御部34は、マーク20c及びマーク17aが互いに重なるように下側のレチクルブラインド17の位置を制御する。
【0026】
図2中上側のレチクルブラインド17がチップ用パターン20aを覆う場合も、上側のレチクルブラインド17に設けられたマーク20c及びこれに対応するマーク17a(図示せず)が互いに重なったときに、レチクルブラインド17の下辺が隙間20e上に位置し、チップ用パターン20aがレチクルブラインド17に覆われる。この場合もレチクルブラインド制御部34は、マーク20c及びこれに対応するマーク17aが互いに重なるように、上側のレチクルブラインド17の位置を制御する。
【0027】
また、図2中右側又は左側のレチクルブラインド17がレチクル20上に形成されたパターンを覆う場合もあるが、この場合も、レチクルブラインド17に設けられたマーク17a及びこれに対応するマーク20c(図示せず)が互いに重なるように、レチクルブラインド17の位置が制御される。
【0028】
なお、レチクルブラインド17に形成されたマーク17a、及びこのマーク17aに対応するマーク20cは、露光時には、このレチクルブラインド17(例えば図2中下側のレチクルブラインド)に隣接する他のレチクルブラインド17(例えば図2中右側のレチクルブラインド)によって覆われる。このため、マーク17a,20cは半導体ウェハ1に露光されない。
【0029】
図3(B)は、マーク17a,20cそれぞれの開口パターンの一例を示す図であり、図3(C)は撮像カメラ30による撮像データの信号強度の一例を模式的に示す図である。マーク17a,20cは、それぞれ遮光膜に形成された開口パターンである。マーク17aは一本の遮光ラインを有するパターンであり、マーク20cは互いに平行な二本の遮光ラインを有するパターンである。そしてマーク20cが有する二本の遮光ラインの間にマーク17aの遮光ラインが位置した場合に、マーク17a,20cが重なったと判断される。
【0030】
図4は、本実施形態に係る露光装置の動作、すなわち本実施形態に係る露光装置を用いて半導体ウェハ1を露光する方法を説明するフローチャートである。本フローチャートは、レチクル20が有するチップ用パターン20aのみを半導体チップ1に露光する場合を示している。まず撮像カメラ制御部32は、マーク位置データ記憶部31からレチクル20のマーク20cの位置を読み出し、読み出した位置の下方に撮像カメラ30を配置する(S2)。次いで撮像カメラ30は撮像データの生成を開始し、撮像データ処理部33は、撮像データを処理してレチクルブラインドのマーク17aがマーク20cに重なっているか否かを判断し始める(S4)。
【0031】
次いでレチクルブラインド制御部34は、第1のレチクルブラインド17(本例では図2中下側のレチクルブラインド17)を、マーク17aがマーク20cに重なるまでレチクル20の中央部に向けて移動させる(S6,S8)。
【0032】
マーク17aがマーク20cに重なった場合(S8:Yes)、レチクルブラインド制御部34は、第1のレチクルブラインド17によってTEG用パターン20bのみが覆われたと判断し、第1のレチクルブラインド17の移動を停止させる。また撮像データ処理部33は撮像データの処理を終了する(S10)。次いで撮像カメラ制御部32は、撮像カメラ30をレチクル20の下方以外の領域に退避させる(S12)。その後レチクルブラインド制御部34は、第1のレチクルブラインド17以外のレチクルブラインド17をレチクル20の中央に向けて所定の距離ほど移動させる。このとき、レチクルブラインド17それぞれが有するマーク17a、及びこれらそれぞれに対応するマーク20cは、隣接するレチクルブラインド17によって覆われる(S14)。次いでレチクル20が有するチップ用パターン20aを半導体ウェハ1に露光する(S16)。
【0033】
なお、レチクル20が有するTEG用パターン20bのみを半導体チップ1に露光する場合も、S6によって移動されるレチクルブラインド17が替わる(例えば図2中上側のレチクルブラインド17)ことを除いて、図4に示したフローチャートに従って処理が行われる。またレチクル20が有するチップ用パターン20a及びTEG用パターン20bを同時に半導体チップ1に露光する場合、すべてのレチクルブラインド17をチップ用パターン20a及びTEG用パターン20bに重ならない程度に移動した後、露光を行う。
【0034】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、撮像カメラ30による撮像データを撮像データ処理部33が処理することにより、レチクル20に対するレチクルブラインド17の位置が所望の位置になったことを算出する。従って、レチクル20が有するTEG用パターン20bとチップ用パターン20aの間隔を小さくしても、確実にTEG用パターン20bのみをレチクルブラインド17により覆うことができ、又はチップ用パターン20aのみをレチクルブラインド17により覆うことができる。この結果、一枚の半導体ウェハ1から製造できる半導体チップの数を増やすことができる。
【0035】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る露光装置の構成を説明するための図である。本実施形態に係る露光装置は、マーク17a、20cが重なることによりレチクル20に対するレチクルブラインド17の位置が基準位置になったことを検出し、その後、レチクルブラインド17を予め定められた距離ほど移動させることにより、レチクル20に対してレチクルブラインド17を所望の位置に配置させるものである。本図に示す露光装置の構成は、レチクルブラインド制御部34にブラインド位置データ記憶部34aが設けられている点を除いて、第1の実施形態で示した露光装置の構成と同一である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図6(A),(B)は、本実施形態におけるマーク17a,20cの位置を説明するための斜視図である。図6(A)に示すようにマーク17a,20cが重なった場合、レチクルブラインド17のうちレチクル20の中心側に位置する辺17b(図6中は上辺)は、基準位置20d(例えばレチクル20のチップ用パターン20aの中心)に位置する。その後、図6(B)に示すように距離Lほど戻ることにより、レチクルブラインド17の辺17bはチップ用パターン20aとTEG用パターン20bの隙間20e上に配置される。この距離Lは、ブラインド位置データ記憶部34aに予め記憶されている。
【0037】
図7は、本実施形態に係る露光装置の動作、すなわち本実施形態に係る露光装置を用いて半導体ウェハ1を露光する方法を説明するフローチャートである。まず撮像カメラ制御部32は、マーク位置データ記憶部31からレチクル20のマーク20cの位置を読み出し、読み出した位置の下方に撮像カメラ30を配置する(S2)。またレチクルブラインド制御部34は、レチクルブラインド17を基準位置からどの程度戻せばよいかを示す情報を、ブラインド位置データ記憶部34aから読み出す(S3)。
【0038】
その後、S4,S6に示した処理を行う。これらの処理は図4に示した第1の実施形態と同様である為、説明を省略する。そしてマーク17aがマーク20cに重なった場合(S8:Yes)、レチクルブラインド制御部34は、第1のレチクルブラインド17が基準位置に配置されたと判断し、第1のレチクルブラインド17の移動を停止させる。また撮像データ処理部33は撮像データの処理を終了する(S10)。次いで撮像カメラ制御部32は、撮像カメラ30をレチクル20の下方以外の領域に退避させる(S12)。
【0039】
次いでレチクルブラインド制御部34は、第1のレチクルブラインド17を、S3で読み出した距離ほど戻す。これにより、第1のレチクルブラインド17によってTEG用パターン20bのみが覆われる(S13)。その後の処理(S14,S16)は、図4に示した第1の実施形態と同様である為、説明を省略する。
以上、本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る露光装置の構成を説明するための図である。本実施形態に係る露光装置は、撮像カメラ30が光路においてフライアイレンズ16とレチクルブラインド17の間に配置される点、及びレチクル20と縮小投影レンズ21の間に撮像用の第2光源35が配置された点を除いて、第1の実施形態に係る露光装置と同様である。
【0041】
本実施形態に係る露光装置の動作は、第2光源35がレチクル20と縮小投影レンズ21の間に配置される工程が撮像カメラ30が撮像データを開始する前に加わる点、撮像カメラ30が第2光源35を光源として撮像データを生成する点、及び、レチクルブラインド17を所望する位置に配置した後かつ露光開始前に第2光源35をレチクル20の下方以外の領域に退避させる工程が加わる点を除いて、第1の実施形態に係る露光装置の動作と同様である。
【0042】
以上、本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2の実施形態に係る露光装置において、撮像カメラ30が光路においてフライアイレンズ16とレチクルブラインド17の間に配置し、かつ第2光源35をレチクル20と縮小投影レンズ21の間に配置してもよい。この場合の露光装置の動作は、第2の実施形態に係る露光装置の動作と同様である。なお、第2光源35を設けなくても撮像カメラ30が撮像データを生成することができる場合、第2光源35を設けなくてもよい。
【0043】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えばマーク20cは図3(B)に示した例に限定されない。例えば図9(A)に示すように一本の遮光ラインであっても良い。この場合、撮像データ処理部33は、マーク20cの遮光ラインとマーク17aの遮光ラインが重なった場合に、マーク17a,20cが重なったと判断する。また図9(B)に示すように、マーク20cは十字型の遮光パターンであっても良い。この場合、一つのマーク20cで2つのレチクルブラインド17(例えば図2中下側のレチクルブラインド17と右側のレチクルブラインド17)に対応することができる。
【0044】
また、上記した実施形態では、隣接するレチクルブラインド17同士がマーク17a及びこれに対応するマーク20cを覆う構成としたが、マーク17a,20cを覆う第2のレチクルブラインド及びその駆動機構を設けても良い。
【0045】
また、例えばマークを形成せずに、撮像データ処理部33がレチクルブラインド17とTEG用パターン20bの重なり、又はレチクルブラインド17とチップ用パターン20aの重なりを直接検出し、この検出結果を用いてレチクルブラインド制御部34がレチクルブラインド17を制御してもよい。この場合、撮像データ処理部33は、例えばTEG用パターン20bからの光の漏れが検出されず、かつチップ用パターン20aのいずれの部分からも正常に光が漏れている場合に、レチクルブラインド17がTEG用パターン20bを覆っていると判断する。同様に、撮像データ処理部33は、例えばチップ用パターン20aからの光の漏れが検出されず、かつTEG用パターン20bのいずれの部分からも正常に光が漏れている場合に、レチクルブラインド17がチップ用パターン20aを覆っていると判断する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置の構成を説明するための図。
【図2】レチクル20に対するレチクルブラインド17の位置を説明する斜視概略図。
【図3】(A)はレチクル20に形成されたマーク20c及びレチクルブラインド17に形成されたマーク17aの配置を説明するための斜視図、(B)はマーク17a,20cそれぞれの開口パターンの一例を示す図、(C)は撮像カメラ30による撮像データの信号強度の一例を模式的に示す図。
【図4】第1の実施形態において半導体ウェハ1を露光する方法を示すフローチャート。
【図5】第2の実施形態に係る露光装置の構成を説明するための図。
【図6】(A),(B)は、本実施形態におけるマーク17a,20cの位置を説明するための斜視図。
【図7】第2の実施形態において半導体ウェハ1を露光する方法を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態に係る露光装置の構成を説明するための図。
【図9】(A)及び(B)はマーク20cの変形例を示す図。
【図10】従来の露光装置の構成を説明するための概略図
【図11】(A)はレチクル110上のパターンを説明するための図、(B)はレチクル110及びレチクルブラインド107の位置関係を説明するための図。
【符号の説明】
【0047】
1,100…半導体ウェハ、11,101…楕円鏡、12,102…水銀ランプ、13,103…シャッター、14,104…反射鏡、15,105…干渉フィルター、16,106…フライアイレンズ、17,107…レチクルブラインド、17a,20c…マーク、17b…辺、18,108…反射鏡、19,109…コンデンサレンズ、20,110…レチクル、20a,110a…チップ用パターン、20b,110b…TEG用パターン、20d…基準位置、20e,110c…隙間、21,111…縮小投影レンズ、22,112…ステージ、30…撮像カメラ、31…マーク位置データ記憶部、32…撮像カメラ制御部、33…撮像データ処理部、34…レチクルブラインド制御部、34a…ブラインド位置データ記憶部、35…第2光源、110d…一つの半導体チップに対応するパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
前記光源から射出した光が前記ステージに入射するまでの光路において、前記光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
前記光路において前記光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第1のレチクルブラインドと、
前記光路において前記レチクルと前記ステージの間に位置し、前記レチクルの像及び前記第1のレチクルブラインドの像が重なった像を示す撮像データを生成する撮像部と、
前記撮像データを演算処理することにより、前記レチクルに対する前記第1のレチクルブラインドの位置が予め定められた位置になったことを判断する撮像データ処理部と、
前記撮像データ処理部の判断結果に基づいて前記第1のレチクルブラインドの位置を制御するレチクルブラインド制御部と、
を具備する露光装置。
【請求項2】
露光用の光源である第1光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
前記第1の光源から射出した光が前記ステージに入射するまでの光路において、前記第1光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
前記光路において前記第1光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第1のレチクルブラインドと、
前記光路において前記第1光源と前記第1のレチクルブラインドの間に位置し、前記レチクルの像及び前記第1のレチクルブラインドの像が重なった像を示す撮像データを生成する撮像部と、
前記撮像データを演算処理することにより、前記レチクルに対する前記第1のレチクルブラインドの位置が予め定められた位置になったことを判断する撮像データ処理部と、
前記撮像データ処理部の判断結果に基づいて前記第1のレチクルブラインドの位置を制御するレチクルブラインド制御部と、
を具備する露光装置。
【請求項3】
前記光路において前記レチクルと前記ステージの間に位置する第2光源を更に具備し、
前記撮像部は、前記第2光源を光源として前記撮像データを生成する請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記光路において前記第1光源と前記第1のレチクルブラインドの間に設けられたフライアイレンズを具備し、
前記撮像部は、前記第1のレチクルブラインドと前記フライアイレンズの間に位置する請求項2又は3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1のレチクルブラインドに形成された第1マークと、前記レチクルに形成された第2マークとを更に具備し、
前記撮像データ処理部は、前記第2マークの像に対する前記第1マークの像の重なりを演算することにより、前記レチクルに対する前記第1のレチクルブラインドの位置が前記予め定められた位置になったことを判断する請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記レチクルブラインド制御部は、前記第2マークの像に対する前記第1マークの像の位置が予め定められた位置になるように前記第1のレチクルブラインドを制御することにより、前記第1のレチクルブラインドを所望の位置である前記予め定められた位置に配置する請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記レチクルブラインド制御部は、前記第2マークの像に対する前記第1マークの像の位置を予め定められた位置にすることにより、前記レチクルに対する前記第1のレチクルブラインドの位置を基準位置である前記予め定められた位置に配置した後、前記第1のレチクルブラインドをさらに所望する距離ほど移動させることにより、前記第1のレチクルブラインドを所望の位置に配置させる請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記レチクルには第1のパターン及び第2のパターンが形成されており、
前記第1のレチクルブラインドが前記所望の位置に配置された場合に、前記第2のパターンのみが前記第1のレチクルブラインドにより覆われる請求項6又は7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記第1のレチクルブラインドと部分的に重なり、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第2のレチクルブラインドを具備し、
前記第1マークは、前記第2のレチクルブラインドにより隠されることができる位置にある請求項5〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項10】
前記第1のレチクルブラインドと部分的に重なり、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光する第2のレチクルブラインドを具備し、
前記第2マークは、前記第2のレチクルブラインドにより隠されることができる位置にある請求項5〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項11】
光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
光路において前記光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
光路において前記光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光するレチクルブラインドと、
を具備する露光装置を準備し、
光路における前記レチクルと前記ステージの間、又は光路における前記レチクルブラインドと前記光源の間に撮像部を配置し、該撮像部を用いて前記レチクル及び前記レチクルブラインドの重なり示す撮像データを生成しつつ前記レチクルブラインドを移動させ、
前記レチクルブラインドを移動させつつ前記撮像データを演算処理することにより、前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置が所望の位置になったことを算出し、該所定の位置になった場合に前記レチクルブラインドの移動を停止させ、
その後、前記撮像部を退避させ、前記半導体ウェハを露光する、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
光源と、
半導体ウェハを載置するステージと、
光路において前記光源と前記ステージの間に位置するレチクルと、
光路において前記光源と前記レチクルの間に位置し、前記レチクルに入射する光を部分的に遮光するレチクルブラインドと、
を具備する露光装置を準備し、
光路における前記レチクルと前記ステージの間、又は光路における前記レチクルブラインドと前記光源の間に撮像部を配置し、該撮像部を用いて前記レチクル及び前記レチクルブラインドの重なり示す撮像データを生成しつつ前記レチクルブラインドを移動させ、
前記レチクルブラインドを移動しつつ前記撮像データを演算処理して前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置が基準位置になったことを算出し、
その後、前記レチクルブラインドを予め定められた距離ほど移動させることにより、前記レチクルに対する前記レチクルブラインドの位置を所望の位置に配置にさせ、
その後、前記撮像部を退避させ、前記半導体ウェハを露光する、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−135614(P2008−135614A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321382(P2006−321382)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】