露光装置及び画像形成装置
【課題】露光装置を小型化することができるようにする。
【解決手段】直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有する。該投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有する。前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされる。露光像の光量を少なくすることなく、発光点の配列方向、及び配列方向に対して直交する方向のいずれにおいても、露光装置の寸法を小さくすることができる。
【解決手段】直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有する。該投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有する。前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされる。露光像の光量を少なくすることなく、発光点の配列方向、及び配列方向に対して直交する方向のいずれにおいても、露光装置の寸法を小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、露光装置としてのLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化されたトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成されるようになっている。そして、該トナー像が、転写ローラによって用紙に転写され、定着器において定着させられて画像が形成される。
【0003】
前記LEDヘッドは、複数のLED素子を直線状に配列することによって形成されたLEDアレイを備え、各LED素子を選択的に発光させることによって前記静電潜像を形成することができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭62−264075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいて、LED素子が配列されるピッチを短くすることによってLEDアレイを小型化することはできるが、各LED素子の光線を感光体ドラムの表面上に結像させるために、感光体ドラムの長さとほぼ等しい長さのレンズを使用する必要があり、露光装置を小型化することができない。
【0005】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、小型化することができる露光装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有する。
【0007】
そして、該投影部材を構成する複数のレンズのうちの少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を備える。
【0008】
また、前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置においては、直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有する。
【0010】
そして、該投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有する。
【0011】
また、前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされる。
【0012】
この場合、投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有し、前記投影部材において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされるので、露光像の光量を少なくすることなく、発光点の配列方向、及び配列方向に対して直交する方向のいずれにおいても、露光装置の寸法を小さくすることができ、露光装置を小型化することができる。その結果、画像形成装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としての、電子写真方式のカラーのプリンタについて説明する。
【0014】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0015】
図に示されるように、プリンタ60は、画像データに基づいてブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色ごとの現像剤像としてのトナー像を形成する画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61C、該各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cと対向させて配設され、各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cとの間に各色の転写領域を形成し、各色のトナー像を媒体としての用紙Pに転写するベルト式の転写ユニット12、媒体収容部としての給紙カセット64、該給紙カセット64から用紙Pを繰り出し、前記各転写領域に給紙するための媒体供給ローラとしての給紙ローラ71、前記給紙カセット64から給紙された用紙Pを、画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cにおける画像の形成のタイミングに合わせて前記各転写領域に供給するレジストローラ72、用紙Pを搬送する搬送ローラ73、77、用紙Pを排出部79に排出する排出ローラ78、並びに前記各転写領域において転写された後のカラーのトナー像を用紙Pに定着させる定着装置としての定着器80を有する。
【0016】
前記転写ユニット12は、図示されない転写用の駆動部としてのモータと接続され、該モータの回転を受けて回転させられる第1のローラとしての駆動ローラ13、該駆動ローラ13の回転に従動して回転させられる第2のローラとしてのアイドルローラ14、前記駆動ローラ13とアイドルローラ14との間に張設され、走行させられるベルトとしての、かつ、転写ベルトとしての無端ベルト16、該無端ベルト16の内側において、前記各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cに配設された像担持体としての感光体ドラム65と対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ75、及びアイドルローラ14の近傍において、無端ベルト16の外周面に当接させて配設された第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード18を備える。
【0017】
また、前記各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cは、いずれも同じ構造を有し、回転自在に配設された前記感光体ドラム65、帯電装置としての帯電ローラ67、現像器66、該現像器66に、色材としての顔料を含有する樹脂から成る現像剤としてのトナーを供給する現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ76、第2のクリーニング部材としてのクリーニングブレード68等から成る。そして、前記帯電ローラ67と現像器66との間に露光装置としてのLEDヘッド69が前記各感光体ドラム65と対向させて配設され、感光体ドラム65の表面を照射するようになっている。
【0018】
そして、前記定着器80は、第1のローラとしての加熱ローラ83及び第2のローラとしての加圧ローラ84を備える。
【0019】
なお、前記無端ベルト16、感光体ドラム65等は、それぞれ図示されない駆動部としての図示されないモータから回転伝達系としての図示されないギヤ等を介して伝達された回転を受け、走行させられ、回転させられる。また、前記帯電ローラ67、現像器66、LEDヘッド69、定着器80等には、それぞれ図示されない電源が接続される。
【0020】
次に、前記構成のプリンタ60の動作について説明する。
【0021】
まず、プリンタ60の図示されない電源が投入され、操作者が所定の操作部において画像の形成、すなわち、印刷を開始する操作を行うと、感光体ドラム65は、回転させられ、回転させられるのに伴って帯電ローラ67によって帯電させられる。続いて、前記感光体ドラム65は、LEDヘッド69によって表面が照射されて露光され、表面に画像データに基づいた静電潜像を形成する。そして、現像器66によって感光体ドラム65に前記トナーが付着させられ、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0022】
そして、前記無端ベルト16が走行させられるのに伴って、用紙Pにブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像が順に転写され、カラーのトナー像が形成される。続いて、前記用紙Pは、定着器80に送られ、該定着器80において、用紙P上のカラーのトナー像が、加熱され、加圧されて定着させられる。トナーが定着させられた用紙Pは、搬送ローラ77及び排出ローラ78を介して排出部79に排出され、画像形成の動作が終了する。
【0023】
なお、トナー像の転写後に感光体ドラム65上に残留しているトナーは、クリーニングブレード68によって掻き取られて除去される。また、トナー像の定着後の無端ベルト16上に付着しているトナー等は、クリーニングブレード18によって掻き取られる。
【0024】
前記トナーとしては、スチレン−アクリル共重合体を主構成組成とし、パラフィンワックスを9〔重量部〕乳化重合法によって内包するものが使用され、平均粒径は7〔μm〕であり、真球度は0.95である。この種のトナーを使用することによって、定着器80において離型剤を使用する必要性をなくし、転写効率を向上させ、ドット再現性を良好にすることができる。その結果、解像度が高い現像を行うことができ、画像をシャープ化し、画像品位を高くすることができる。
【0025】
また、クリーニングブレード18としては、ゴム材料、本実施の形態においては、ゴム硬度がJIS Aで83〔°〕であり、厚さが1.5〔mm〕のウレタンゴムが使用され、線圧が4.3〔g/mm〕になるように無端ベルト16に対して押し付けられる。ウレタンゴム等のような弾性材を使用することによって、無端ベルト16に残留したトナーのほかに、異物等を除去することができ、また、構造を簡素化することができ、プリンタを小型化することができ、かつ、プリンタのコストを低くすることができる。さらに、ゴム材料として前記ウレタンゴムが使用されるので、クリーニングブレード18の硬度、耐摩耗耗性、耐油性、耐オゾン性等を高くすることができ、機械的な強度を大きくすることができる。
【0026】
次に、各LEDヘッド69の動作について説明する。
【0027】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。なお、各LEDヘッド69の構成は同じであるので、画像形成ユニット61Bkの感光体ドラム65と対向させて配設されたLEDヘッド69についてだけ説明する。
【0028】
図において、41は上位装置としての外部端末に、直接、又はネットワークを介して接続されたインタフェース等の入出力装置、42は各LEDヘッド69を駆動する画像処理部、43は記憶装置である。前記入出力装置41、画像処理部42等によって制御部が構成される。
【0029】
この場合、入出力装置41を介して入力された画像データは、記憶装置43に一旦記録された後、画像処理部42において、LEDヘッド69の制御データとしてのページデータに変換される。そして、ブラックの単色の画像データは、ブラックのページデータに、カラー画像の画像データは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のページデータに変換される。
【0030】
前記画像処理部42によって変換された各色のページデータは、各色のLEDヘッド69に送られる。そして、LEDヘッド69においては、例えば、ブラックのページデータは、1ライン分の画像データごとのシリアル信号として、シフトレジスタ35に記録される。そして、1ライン分の画像データは、ラッチ信号によってラッチ回路36に送られ、画像データを構成する個々の出力信号は、トランジスタによって構成される駆動回路37を介してLEDヘッド69の発光点アレイとしてのLEDアレイ30の発光点としての、かつ、発光素子としての複数のLED素子を駆動し、発光させる。
【0031】
同様に、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のページデータは、各色のLEDヘッド69に送られ、LEDアレイ30のLED素子を駆動し、発光させる。
【0032】
次に、前記LEDヘッド69の光学系について説明する。
【0033】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの分解斜視図である。
【0034】
図において、30はLEDアレイであり、該LEDアレイ30は、前記各LED素子を直線状に配列することによって形成される。本実施の形態において、LED素子が配列されるピッチは、0.0106〔mm〕にされ、LEDアレイ30においてLED素子が配列される領域の長さは、55〔mm〕にされる。
【0035】
また、31はLEDアレイ30によって形成される像(以下「LEDアレイの像」という。)を拡大し投影する投影部材としてのレンズ、32はLEDアレイの像の形成に寄与しない光線、すなわち、迷光を遮光する絞り、33は反射部材としてのミラー、65は表面に静電潜像が形成される感光体ドラムである。本実施の形態において、レンズ31の拡大倍率は4倍にされる。
【0036】
この場合、前記LEDアレイ30からの光線は、ミラー33によって反射され、光路が曲折させられて感光体ドラム65の表面に照射される。
【0037】
前記LEDヘッド69においては、前記各LED素子を選択的に発光させることによって、前記LEDアレイ30の像が形成され、LEDアレイ30の像は、レンズ31によって4倍に拡大されることによって、解像度が600〔dpi〕であり、長さが220〔mm〕の直線状の露光像になる。
【0038】
次に、前記レンズ31について説明する。
【0039】
該レンズ31は、3枚で構成され(図4においては便宜上2枚で構成されるように示されている。)、LEDアレイ30側から感光体ドラム65側にかけて第1〜第3のレンズとしたとき、第1のレンズは凹レンズとされ、第2、第3のレンズは凸レンズとされる。そして、第1、第2のレンズ間の上縁及び下縁に絞り32が、第2、第3のレンズ間の左縁及び右縁に絞り32が配設される。
【0040】
本実施の形態において、レンズ31には、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名:ZEONEX(ゼオネックス)E48R)を使用し、射出成形によって成形した。
【0041】
また、本実施の形態においては、発光点アレイとしてLEDアレイ30が使用されるようになっているが、発光点アレイとして、有機EL、レーザ素子等を複数配列することによって形成された有機ELアレイ、レーザ素子アレイ等を使用することができる。
【0042】
前記LEDアレイ30、レンズ31及び感光体ドラム65によって形成される光学系の仕様を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
この場合、LEDアレイ30における第1のレンズと対向する面の番号、すなわち、面番号をS1とし、第1のレンズにおけるLEDアレイ30と対向する面の面番号をS2とし、第1のレンズにおける第2のレンズと対向する面の面番号をS3とし、第2のレンズにおける第1のレンズと対向する面の面番号をS4とし、第2のレンズにおける第3のレンズと対向する面の面番号をS5とし、絞り32の面の面番号をS6とし、第3のレンズにおける第2のレンズと対向する面の面番号をS7とし、第3のレンズにおける感光体ドラム65と対向する面の面番号をS8とし、感光体ドラム65における第3のレンズと対向する面の面番号をS9(図5には示されていない。)とする。
【0045】
また、LEDアレイ30上のLED素子の配列方向をY軸で、レンズ31の光軸方向をZ軸で、LEDアレイ30上のLED素子の配列方向と直交する方向をX軸で示したとき、CX、CYはそれぞれX軸方向及びY軸方向の曲率半径、AR及びBRは非球面係数、AP及びBPは非回転対称部の係数を表す。
【0046】
また、表2において、各面のX軸方向の半径(寸法)RX〔mm〕、Y軸方向の半径(寸法)RY、及び面間隔TH〔mm〕を示す。なお、面間隔THは、その面と、隣接する面との間の距離を表す。
【0047】
【表2】
【0048】
そして、面番号S4、S5、S7、S8の面の面形状は、非球面にされ、面形状は次の式で表すことができる。
【0049】
【数1】
【0050】
なお、x、y及びzは、それぞれX軸方向の座標、Y軸方向の座標及びZ軸方向の座標を表す。この場合、X軸方向とY軸方向とで同じ形状を有し、曲率半径CX、CYは互いに等しく、非回転対称部の係数AP及びBPはいずれも0である(AP=BP=0)。
【0051】
また、前記面番号S2及びS3の面の面形状は、アナモルフィック非球面であり、次の式で表すことができる。
【0052】
【数2】
【0053】
このように、第1〜第3のレンズのうちの第1のレンズの面形状は、X軸方向とY軸方向とで異なり、曲率半径CX、CYは互いに異なり、非回転対称部の係数AP及びBPも互いに異なる。また、第2、第3のレンズの面形状は、X軸方向とY軸方向とで等しく、曲率半径CX、CYは互いに等しく、非回転対称部の係数AP及びBPはいずれも0である(AP=BP=0)。
【0054】
さらに、表3に、比較例の光学系の仕様を示す。この場合、拡大倍率は4倍にされる。第1〜第3のレンズの面形状は、非球面形状であり、X軸方向とY軸方向とで同じ形状を有する。
【0055】
【表3】
【0056】
この場合、表2における各面のX軸方向の半径RX〔mm〕と表3における半径RX〔mm〕はほぼ等しく、表2における各面のY軸方向の半径RYは、表3における半径RX〔mm〕より大きい。
【0057】
本実施の形態において、第1のレンズの面番号S2及びS3の面の面形状は、アナモルフィック非球面にされるが、第1のレンズに代えて、第2、第3のレンズの一方の面形状をアナモルフィック非球面にしたり、第1〜第3のレンズの面形状をアナモルフィック非球面にしたりすることができる。また、アナモルフィック非球面に代えて、一方向の面形状に対して他方向の面形状が異なるトロイダル面、シリンダ面等にすることができ、また、公知の自由曲面にすることもできる。なお、トロイダル面は、光軸に垂直な一方向が非球面形状であり、他方向は球面形状であるので、比較的収差が大きく、光学特性は低下するが、容易に、かつ、精度よく作成することができるので、生産性が高い。
【0058】
次に、光学系の特性について説明する。
【0059】
図1は本発明の第1の実施の形態における光学系を示す第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの光学系を示す第2の図である。この場合、LEDアレイ30上の各LED素子は、図1における上下方向に配列され、図6における奥行き方向(紙面の表側−裏側方向)に配列される。
【0060】
図1においては、LEDアレイ30上の図示されないLED素子からの光線のうち、レンズ31の光軸上のLED素子、及びLEDアレイ30の端部のLED素子によって放射された光線だけを示し、ミラー33によって曲折させられた光線の光路は省略した。また、図6においては、LEDアレイ30上の図示されないLED素子からの光線のうち、レンズ31の光軸上のLED素子によって放射された光線だけを示し、ミラー33によって曲折させらせれた光線の光路は省略した。
【0061】
ところで、レンズ31が取り込む光線の開口角は、レンズ31が取り込む光線の最大円錐における頂角の半分と定義される。
【0062】
この場合、図1において、発光点をa、レンズ31が取り込む光線のうちの最も外側の光線のレンズ31との交点をc、c’とし、発光点a及び交点c、c’が成す角を2等分する線とレンズ31との交点をbとしたとき、LED素子からの光線のうち、レンズ31が取り込む光線の最大円錐の頂角は交点c、発光点a及び交点c’が成す角度によって表される。したがって、開口角をAYとすると、該開口角AYは、交点c、発光点a及び交点bが成す角度によって表され、
AY=12〔°〕
になる。
【0063】
また、図6において、開口角AXは、
AX=6〔°〕
になる。すなわち、LEDアレイ30上の各LED素子の配列方向に対して直交する方向の開口角AXは、各LED素子の配列方向の開口角AYより小さい。一方、比較例の開口角は、
AX=AY
=6〔°〕
である。
【0064】
ところで、LED素子が発光させられると、光線は、レンズ31を通過して、ミラー33によって反射され、曲折させられて感光体ドラム65に投影され、露光像を形成して感光体ドラム65の表面上で結像させられる。この場合、露光像の形成に寄与しない光線は、絞り32によって遮断される。なお、感光体ドラム65の表面によって結像部が構成される。
【0065】
本実施の形態及び比較例において露光像の光量を比較した結果を表4に示す。本実施の形態及び比較例のLEDヘッド69のそれぞれにおいて、LED素子を発光させ、感光体ドラム65の位置に焦点位置を合わせたディジタル顕微鏡を使用して露光像を取り込み、ディジタル顕微鏡の輝度分布から各露光像の光量を解析した。この場合、レンズ31の光軸との交点にあるLEDアレイ30上の発光点(y座標:0〔mm〕)及びLEDアレイ30の端部の発光点(y座標:27.5〔mm〕)の二つの発光点、及び二つの発光点間の四つの発光点(y座標:5.5/11/16.5/22〔mm〕)について、測定及び解析を行った。なお、露光像の光量の単位は任意であり、比は比較例における露光像の光量に対する実施例における露光像の光量の比を表す。
【0066】
【表4】
【0067】
表4において、本実施の形態における露光像の光量は、比較例における露光像の光量に対して、3.2〜3.7倍である。これは、一般的に、レンズ31の開口角を大きくするほど、発光点から多くの光線が取り込まれることになり、露光像が多くの光線によって形成されるからである。
【0068】
前述されたように、本実施の形態において、開口角AX、AYは、
AX=6〔°〕
AY=12〔°〕
であり、比較例において、開口角AX、AYは、
AX=AY
=6〔°〕
であり、本実施の形態においては、Y軸方向(LED素子の配列方向)において開口角AYが大きい。したがって、実施例における露光像の光量が多くなる。
【0069】
さらに、本実施の形態においては、前記LEDヘッド69が搭載されたプリンタ60で印刷を行った場合、鮮明な画像を形成することができた。
【0070】
このように、前記LEDヘッド69において、LED素子の配列方向の面形状と、LED素子の配列方向に対して直交する方向の面形状とが異なる第1のレンズを使用し、LED素子の配列方向の開口角AYを小さくすることなく、LED素子の配列方向に対して直交する方向の開口角AXだけを小さくすることによって、レンズ31における、LED素子の配列方向と直交する方向の寸法を大きくすることなく光量を増やすことができ、LEDヘッド69を小型化することができる。その結果、プリンタ60を小型化することができる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0072】
図7は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの概念図、図8は本発明の第2の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図、図9は本発明の第2の実施の形態におけるLEDアレイの構造を示す図である。
【0073】
図において、91は露光装置としてのLEDヘッドであり、該LEDヘッド91においては、画像データに基づいて複数の露光像が形成され、複数の感光体ドラム65上に結像され、静電潜像が形成される。
【0074】
92はLEDヘッド91に複数、本実施の形態においては、2個配設された発光点アレイとしてのLEDアレイ、93は発光点マトリクスとしてのLEDマトリクス、95は各LEDアレイ92に直線状に配設された発光点としての、かつ、発光素子としてのLED素子であり、前記各LEDアレイ92は、LED素子95の配列方向に対して直交する方向に配列される。
【0075】
本実施の形態において、LED素子95が配列されるピッチは、0.0106〔mm〕にされ、LEDアレイ30においてLED素子95が配列される領域の長さは、55〔mm〕にされる。
【0076】
前記LEDヘッド91においては、複数のLED素子95を選択的に発光させることによって、前記LEDアレイ92の像が形成され、該LEDアレイ92の像は、投影部材としてのレンズ31によって4倍に拡大されることによって、解像度が600〔dpi〕であり、長さが220〔mm〕の直線状の露光像になる。
【0077】
このように、LEDヘッド91に対してLEDアレイ92を2個配設し、レンズ31を使用して各LEDアレイ92の像を二つ形成することができる。
【0078】
また、94は各LEDアレイ92の光線を分離させる光線分離部材としてのミラーであり、該ミラー94によって分離されたLEDアレイ92の光線は、反射部材としてのミラー96によって反射させられ、光路が曲折させらせれた光線は、像担持体としての感光体ドラム65の表面の互いに異なる箇所に照射される。
【0079】
次に、前記LEDヘッド91の動作について説明する。
【0080】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。なお、各LEDヘッド91の構成は同じであるので、画像形成ユニット61Bk、61Y(図7)と対向させて配設されたLEDヘッド91についてだけ説明する。
【0081】
この場合、入出力装置41を介して入力された画像データは、記憶装置43に一旦記録された後、画像処理部42において、LEDヘッド91の制御データとしてのページデータに変換される。そして、ブラックの単色の画像データは、ブラックのページデータに、カラー画像の画像データは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のページデータに変換され、各色のLEDヘッド91に送られる。
【0082】
例えば、ブラック及びイエローのページデータは、それぞれ1ライン分の画像データごとのシリアル信号として、ブラック及びイエローに対応する各シフトレジスタ35に記録される。そして、各1ライン分の画像データは、ラッチ信号によってブラック及びイエローに対応する各ラッチ回路36に送られ、各画像データを構成する個々の出力信号は、トランジスタによって構成され、ブラック及びイエローに対応する各駆動回路37を介してLEDマトリクス93を構成するブラック及びイエローに対応する各LEDアレイ92の各LED素子95を駆動し、発光させる。
【0083】
同様に、マゼンタ及びシアンの各色のページデータは、対応するLEDヘッド91に送られ、マゼンタ及びシアンに対応するLEDアレイ92のLED素子95を駆動し、発光させる。
【0084】
該LED素子95が発光させられると、LEDアレイ92の像はレンズ31によって拡大され、ミラー94によって分離させられ、ミラー96によって反射され、曲折させられて各対応する感光体ドラム65に投影され、露光像を形成して感光体ドラム65上で結像させられる。この場合、露光像の形成に寄与しない光線は、絞り32によって遮断される。
【0085】
このように、本実施の形態においては、前記LEDヘッド91において、1組のレンズ31を使用して、複数の露光像を形成することができる。したがって、部品点数を少なくすることができ、プリンタ60を小型化することができる。
【0086】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0087】
図11は本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第1の図、図12は本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第2の図、図13はLEDヘッドの光学系の特性を示す図である。
【0088】
この場合、LEDヘッド91に複数、本実施の形態においては、2個配設された発光点アレイとしてのLEDアレイ92に直線状に配設された発光点としての、かつ、発光素子としての各LED素子95は、図11における上下方向に配列され、図12における奥行き方向(紙面の表側−裏側方向)に配列される。
【0089】
図11においては、LEDアレイ92上のLED素子95(図9)からの光線のうち、一つのLEDアレイ92について、投影部材としてのレンズ31の光軸上のLED素子95、及びLEDアレイ92の端部のLED素子95によって放射された光線だけを示し、ミラー33(図4)によって曲折させられた光線の光路は省略した。また、図12においては、各LEDアレイ92について、LEDアレイ92上のLED素子95からの光線のうち、レンズ31の光軸上のLED素子95によって放射された光線だけを示し、ミラー33によって折り返された光線の光路は省略した。
【0090】
この場合、図11における各LED素子95の配列方向の開口角をAY2とし、図12における各LEDアレイ92の配列方向の開口角をAX2としたとき、開口角AX2、AY2は、
AX2<AY2
であり、各LEDアレイ92上の各LED素子95の配列方向に対して直交する方向の開口角AX2は、各LED素子95の配列方向の開口角AY2より小さい。
【0091】
図13において、比較例のLEDヘッド98は、本実施の形態のLEDヘッド91と比べて、LEDアレイ92の配列方向の開口角が大きい。また、比較例のLEDヘッド91は、LEDアレイ92の配列方向の開口角を大きくするために、レンズ31及び絞り32の寸法が大きくされる。なお、レンズ31の面形状、並びにLEDアレイ92、レンズ31、絞り32及び感光体ドラム65の各面間隔は等しくされる。
【0092】
レンズ31によって取り込まれる光線の範囲を表す光束d 1、d2を比較(レンズ31と感光体ドラム65との間の所定の位置で比較)すると、比較例のLEDヘッド98の光束の外径d2は、本実施の形態のLEDヘッド91の光束の外径d1より大きい。この場合、比較例のLEDヘッド98は、2個のLEDアレイ92からの光線がそれぞれ重なり合う領域が右側(感光体ドラム65側)方向に広くなっていて、各LEDアレイ92の光線を分離するミラー33(図4)を配設することが可能な領域AR1が狭くなる。
【0093】
また、一般的に、レンズ31の開口角を大きくするほど、発光点から多くの光線が取り込まれることになり、露光像が多くの光線によって形成され、露光像の光量は多くなる。したがって、本実施の形態においては、LED素子95の配列方向の開口角AY2(図11)を小さくすることなく、LEDアレイ92の配列方向の開口角AX2(図12)だけを小さくすることによって、光量を少なくすることなく、ミラー94をレンズ31の近傍に配設することができるので、LEDヘッド91を小型化することができる。
【0094】
本実施の形態においては、LEDヘッド91によって光量が少なくなるのを抑制しながら、複数のLEDアレイ92からの光線を分離するレンズ31の配置の自由度を向上させることができので、LEDヘッド91を小型化することができるとともに、プリンタ60を小型化することができる。
【0095】
なお、前記各実施の形態においては、画像形成装置としてプリンタ60について説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ、複合機等等に適用することができる。
【0096】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光学系を示す第1の図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの分解斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの光学系を示す第2の図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるLEDアレイの構造を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第1の図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第2の図である。
【図13】LEDヘッドの光学系の特性を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
30、92 LEDアレイ
31 レンズ
60 プリンタ
95 LED素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、露光装置としてのLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化されたトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成されるようになっている。そして、該トナー像が、転写ローラによって用紙に転写され、定着器において定着させられて画像が形成される。
【0003】
前記LEDヘッドは、複数のLED素子を直線状に配列することによって形成されたLEDアレイを備え、各LED素子を選択的に発光させることによって前記静電潜像を形成することができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭62−264075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいて、LED素子が配列されるピッチを短くすることによってLEDアレイを小型化することはできるが、各LED素子の光線を感光体ドラムの表面上に結像させるために、感光体ドラムの長さとほぼ等しい長さのレンズを使用する必要があり、露光装置を小型化することができない。
【0005】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、小型化することができる露光装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有する。
【0007】
そして、該投影部材を構成する複数のレンズのうちの少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を備える。
【0008】
また、前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置においては、直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有する。
【0010】
そして、該投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有する。
【0011】
また、前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされる。
【0012】
この場合、投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有し、前記投影部材において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされるので、露光像の光量を少なくすることなく、発光点の配列方向、及び配列方向に対して直交する方向のいずれにおいても、露光装置の寸法を小さくすることができ、露光装置を小型化することができる。その結果、画像形成装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としての、電子写真方式のカラーのプリンタについて説明する。
【0014】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0015】
図に示されるように、プリンタ60は、画像データに基づいてブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色ごとの現像剤像としてのトナー像を形成する画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61C、該各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cと対向させて配設され、各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cとの間に各色の転写領域を形成し、各色のトナー像を媒体としての用紙Pに転写するベルト式の転写ユニット12、媒体収容部としての給紙カセット64、該給紙カセット64から用紙Pを繰り出し、前記各転写領域に給紙するための媒体供給ローラとしての給紙ローラ71、前記給紙カセット64から給紙された用紙Pを、画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cにおける画像の形成のタイミングに合わせて前記各転写領域に供給するレジストローラ72、用紙Pを搬送する搬送ローラ73、77、用紙Pを排出部79に排出する排出ローラ78、並びに前記各転写領域において転写された後のカラーのトナー像を用紙Pに定着させる定着装置としての定着器80を有する。
【0016】
前記転写ユニット12は、図示されない転写用の駆動部としてのモータと接続され、該モータの回転を受けて回転させられる第1のローラとしての駆動ローラ13、該駆動ローラ13の回転に従動して回転させられる第2のローラとしてのアイドルローラ14、前記駆動ローラ13とアイドルローラ14との間に張設され、走行させられるベルトとしての、かつ、転写ベルトとしての無端ベルト16、該無端ベルト16の内側において、前記各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cに配設された像担持体としての感光体ドラム65と対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ75、及びアイドルローラ14の近傍において、無端ベルト16の外周面に当接させて配設された第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード18を備える。
【0017】
また、前記各画像形成ユニット61Bk、61Y、61M、61Cは、いずれも同じ構造を有し、回転自在に配設された前記感光体ドラム65、帯電装置としての帯電ローラ67、現像器66、該現像器66に、色材としての顔料を含有する樹脂から成る現像剤としてのトナーを供給する現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ76、第2のクリーニング部材としてのクリーニングブレード68等から成る。そして、前記帯電ローラ67と現像器66との間に露光装置としてのLEDヘッド69が前記各感光体ドラム65と対向させて配設され、感光体ドラム65の表面を照射するようになっている。
【0018】
そして、前記定着器80は、第1のローラとしての加熱ローラ83及び第2のローラとしての加圧ローラ84を備える。
【0019】
なお、前記無端ベルト16、感光体ドラム65等は、それぞれ図示されない駆動部としての図示されないモータから回転伝達系としての図示されないギヤ等を介して伝達された回転を受け、走行させられ、回転させられる。また、前記帯電ローラ67、現像器66、LEDヘッド69、定着器80等には、それぞれ図示されない電源が接続される。
【0020】
次に、前記構成のプリンタ60の動作について説明する。
【0021】
まず、プリンタ60の図示されない電源が投入され、操作者が所定の操作部において画像の形成、すなわち、印刷を開始する操作を行うと、感光体ドラム65は、回転させられ、回転させられるのに伴って帯電ローラ67によって帯電させられる。続いて、前記感光体ドラム65は、LEDヘッド69によって表面が照射されて露光され、表面に画像データに基づいた静電潜像を形成する。そして、現像器66によって感光体ドラム65に前記トナーが付着させられ、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0022】
そして、前記無端ベルト16が走行させられるのに伴って、用紙Pにブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像が順に転写され、カラーのトナー像が形成される。続いて、前記用紙Pは、定着器80に送られ、該定着器80において、用紙P上のカラーのトナー像が、加熱され、加圧されて定着させられる。トナーが定着させられた用紙Pは、搬送ローラ77及び排出ローラ78を介して排出部79に排出され、画像形成の動作が終了する。
【0023】
なお、トナー像の転写後に感光体ドラム65上に残留しているトナーは、クリーニングブレード68によって掻き取られて除去される。また、トナー像の定着後の無端ベルト16上に付着しているトナー等は、クリーニングブレード18によって掻き取られる。
【0024】
前記トナーとしては、スチレン−アクリル共重合体を主構成組成とし、パラフィンワックスを9〔重量部〕乳化重合法によって内包するものが使用され、平均粒径は7〔μm〕であり、真球度は0.95である。この種のトナーを使用することによって、定着器80において離型剤を使用する必要性をなくし、転写効率を向上させ、ドット再現性を良好にすることができる。その結果、解像度が高い現像を行うことができ、画像をシャープ化し、画像品位を高くすることができる。
【0025】
また、クリーニングブレード18としては、ゴム材料、本実施の形態においては、ゴム硬度がJIS Aで83〔°〕であり、厚さが1.5〔mm〕のウレタンゴムが使用され、線圧が4.3〔g/mm〕になるように無端ベルト16に対して押し付けられる。ウレタンゴム等のような弾性材を使用することによって、無端ベルト16に残留したトナーのほかに、異物等を除去することができ、また、構造を簡素化することができ、プリンタを小型化することができ、かつ、プリンタのコストを低くすることができる。さらに、ゴム材料として前記ウレタンゴムが使用されるので、クリーニングブレード18の硬度、耐摩耗耗性、耐油性、耐オゾン性等を高くすることができ、機械的な強度を大きくすることができる。
【0026】
次に、各LEDヘッド69の動作について説明する。
【0027】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。なお、各LEDヘッド69の構成は同じであるので、画像形成ユニット61Bkの感光体ドラム65と対向させて配設されたLEDヘッド69についてだけ説明する。
【0028】
図において、41は上位装置としての外部端末に、直接、又はネットワークを介して接続されたインタフェース等の入出力装置、42は各LEDヘッド69を駆動する画像処理部、43は記憶装置である。前記入出力装置41、画像処理部42等によって制御部が構成される。
【0029】
この場合、入出力装置41を介して入力された画像データは、記憶装置43に一旦記録された後、画像処理部42において、LEDヘッド69の制御データとしてのページデータに変換される。そして、ブラックの単色の画像データは、ブラックのページデータに、カラー画像の画像データは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のページデータに変換される。
【0030】
前記画像処理部42によって変換された各色のページデータは、各色のLEDヘッド69に送られる。そして、LEDヘッド69においては、例えば、ブラックのページデータは、1ライン分の画像データごとのシリアル信号として、シフトレジスタ35に記録される。そして、1ライン分の画像データは、ラッチ信号によってラッチ回路36に送られ、画像データを構成する個々の出力信号は、トランジスタによって構成される駆動回路37を介してLEDヘッド69の発光点アレイとしてのLEDアレイ30の発光点としての、かつ、発光素子としての複数のLED素子を駆動し、発光させる。
【0031】
同様に、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のページデータは、各色のLEDヘッド69に送られ、LEDアレイ30のLED素子を駆動し、発光させる。
【0032】
次に、前記LEDヘッド69の光学系について説明する。
【0033】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの分解斜視図である。
【0034】
図において、30はLEDアレイであり、該LEDアレイ30は、前記各LED素子を直線状に配列することによって形成される。本実施の形態において、LED素子が配列されるピッチは、0.0106〔mm〕にされ、LEDアレイ30においてLED素子が配列される領域の長さは、55〔mm〕にされる。
【0035】
また、31はLEDアレイ30によって形成される像(以下「LEDアレイの像」という。)を拡大し投影する投影部材としてのレンズ、32はLEDアレイの像の形成に寄与しない光線、すなわち、迷光を遮光する絞り、33は反射部材としてのミラー、65は表面に静電潜像が形成される感光体ドラムである。本実施の形態において、レンズ31の拡大倍率は4倍にされる。
【0036】
この場合、前記LEDアレイ30からの光線は、ミラー33によって反射され、光路が曲折させられて感光体ドラム65の表面に照射される。
【0037】
前記LEDヘッド69においては、前記各LED素子を選択的に発光させることによって、前記LEDアレイ30の像が形成され、LEDアレイ30の像は、レンズ31によって4倍に拡大されることによって、解像度が600〔dpi〕であり、長さが220〔mm〕の直線状の露光像になる。
【0038】
次に、前記レンズ31について説明する。
【0039】
該レンズ31は、3枚で構成され(図4においては便宜上2枚で構成されるように示されている。)、LEDアレイ30側から感光体ドラム65側にかけて第1〜第3のレンズとしたとき、第1のレンズは凹レンズとされ、第2、第3のレンズは凸レンズとされる。そして、第1、第2のレンズ間の上縁及び下縁に絞り32が、第2、第3のレンズ間の左縁及び右縁に絞り32が配設される。
【0040】
本実施の形態において、レンズ31には、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名:ZEONEX(ゼオネックス)E48R)を使用し、射出成形によって成形した。
【0041】
また、本実施の形態においては、発光点アレイとしてLEDアレイ30が使用されるようになっているが、発光点アレイとして、有機EL、レーザ素子等を複数配列することによって形成された有機ELアレイ、レーザ素子アレイ等を使用することができる。
【0042】
前記LEDアレイ30、レンズ31及び感光体ドラム65によって形成される光学系の仕様を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
この場合、LEDアレイ30における第1のレンズと対向する面の番号、すなわち、面番号をS1とし、第1のレンズにおけるLEDアレイ30と対向する面の面番号をS2とし、第1のレンズにおける第2のレンズと対向する面の面番号をS3とし、第2のレンズにおける第1のレンズと対向する面の面番号をS4とし、第2のレンズにおける第3のレンズと対向する面の面番号をS5とし、絞り32の面の面番号をS6とし、第3のレンズにおける第2のレンズと対向する面の面番号をS7とし、第3のレンズにおける感光体ドラム65と対向する面の面番号をS8とし、感光体ドラム65における第3のレンズと対向する面の面番号をS9(図5には示されていない。)とする。
【0045】
また、LEDアレイ30上のLED素子の配列方向をY軸で、レンズ31の光軸方向をZ軸で、LEDアレイ30上のLED素子の配列方向と直交する方向をX軸で示したとき、CX、CYはそれぞれX軸方向及びY軸方向の曲率半径、AR及びBRは非球面係数、AP及びBPは非回転対称部の係数を表す。
【0046】
また、表2において、各面のX軸方向の半径(寸法)RX〔mm〕、Y軸方向の半径(寸法)RY、及び面間隔TH〔mm〕を示す。なお、面間隔THは、その面と、隣接する面との間の距離を表す。
【0047】
【表2】
【0048】
そして、面番号S4、S5、S7、S8の面の面形状は、非球面にされ、面形状は次の式で表すことができる。
【0049】
【数1】
【0050】
なお、x、y及びzは、それぞれX軸方向の座標、Y軸方向の座標及びZ軸方向の座標を表す。この場合、X軸方向とY軸方向とで同じ形状を有し、曲率半径CX、CYは互いに等しく、非回転対称部の係数AP及びBPはいずれも0である(AP=BP=0)。
【0051】
また、前記面番号S2及びS3の面の面形状は、アナモルフィック非球面であり、次の式で表すことができる。
【0052】
【数2】
【0053】
このように、第1〜第3のレンズのうちの第1のレンズの面形状は、X軸方向とY軸方向とで異なり、曲率半径CX、CYは互いに異なり、非回転対称部の係数AP及びBPも互いに異なる。また、第2、第3のレンズの面形状は、X軸方向とY軸方向とで等しく、曲率半径CX、CYは互いに等しく、非回転対称部の係数AP及びBPはいずれも0である(AP=BP=0)。
【0054】
さらに、表3に、比較例の光学系の仕様を示す。この場合、拡大倍率は4倍にされる。第1〜第3のレンズの面形状は、非球面形状であり、X軸方向とY軸方向とで同じ形状を有する。
【0055】
【表3】
【0056】
この場合、表2における各面のX軸方向の半径RX〔mm〕と表3における半径RX〔mm〕はほぼ等しく、表2における各面のY軸方向の半径RYは、表3における半径RX〔mm〕より大きい。
【0057】
本実施の形態において、第1のレンズの面番号S2及びS3の面の面形状は、アナモルフィック非球面にされるが、第1のレンズに代えて、第2、第3のレンズの一方の面形状をアナモルフィック非球面にしたり、第1〜第3のレンズの面形状をアナモルフィック非球面にしたりすることができる。また、アナモルフィック非球面に代えて、一方向の面形状に対して他方向の面形状が異なるトロイダル面、シリンダ面等にすることができ、また、公知の自由曲面にすることもできる。なお、トロイダル面は、光軸に垂直な一方向が非球面形状であり、他方向は球面形状であるので、比較的収差が大きく、光学特性は低下するが、容易に、かつ、精度よく作成することができるので、生産性が高い。
【0058】
次に、光学系の特性について説明する。
【0059】
図1は本発明の第1の実施の形態における光学系を示す第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの光学系を示す第2の図である。この場合、LEDアレイ30上の各LED素子は、図1における上下方向に配列され、図6における奥行き方向(紙面の表側−裏側方向)に配列される。
【0060】
図1においては、LEDアレイ30上の図示されないLED素子からの光線のうち、レンズ31の光軸上のLED素子、及びLEDアレイ30の端部のLED素子によって放射された光線だけを示し、ミラー33によって曲折させられた光線の光路は省略した。また、図6においては、LEDアレイ30上の図示されないLED素子からの光線のうち、レンズ31の光軸上のLED素子によって放射された光線だけを示し、ミラー33によって曲折させらせれた光線の光路は省略した。
【0061】
ところで、レンズ31が取り込む光線の開口角は、レンズ31が取り込む光線の最大円錐における頂角の半分と定義される。
【0062】
この場合、図1において、発光点をa、レンズ31が取り込む光線のうちの最も外側の光線のレンズ31との交点をc、c’とし、発光点a及び交点c、c’が成す角を2等分する線とレンズ31との交点をbとしたとき、LED素子からの光線のうち、レンズ31が取り込む光線の最大円錐の頂角は交点c、発光点a及び交点c’が成す角度によって表される。したがって、開口角をAYとすると、該開口角AYは、交点c、発光点a及び交点bが成す角度によって表され、
AY=12〔°〕
になる。
【0063】
また、図6において、開口角AXは、
AX=6〔°〕
になる。すなわち、LEDアレイ30上の各LED素子の配列方向に対して直交する方向の開口角AXは、各LED素子の配列方向の開口角AYより小さい。一方、比較例の開口角は、
AX=AY
=6〔°〕
である。
【0064】
ところで、LED素子が発光させられると、光線は、レンズ31を通過して、ミラー33によって反射され、曲折させられて感光体ドラム65に投影され、露光像を形成して感光体ドラム65の表面上で結像させられる。この場合、露光像の形成に寄与しない光線は、絞り32によって遮断される。なお、感光体ドラム65の表面によって結像部が構成される。
【0065】
本実施の形態及び比較例において露光像の光量を比較した結果を表4に示す。本実施の形態及び比較例のLEDヘッド69のそれぞれにおいて、LED素子を発光させ、感光体ドラム65の位置に焦点位置を合わせたディジタル顕微鏡を使用して露光像を取り込み、ディジタル顕微鏡の輝度分布から各露光像の光量を解析した。この場合、レンズ31の光軸との交点にあるLEDアレイ30上の発光点(y座標:0〔mm〕)及びLEDアレイ30の端部の発光点(y座標:27.5〔mm〕)の二つの発光点、及び二つの発光点間の四つの発光点(y座標:5.5/11/16.5/22〔mm〕)について、測定及び解析を行った。なお、露光像の光量の単位は任意であり、比は比較例における露光像の光量に対する実施例における露光像の光量の比を表す。
【0066】
【表4】
【0067】
表4において、本実施の形態における露光像の光量は、比較例における露光像の光量に対して、3.2〜3.7倍である。これは、一般的に、レンズ31の開口角を大きくするほど、発光点から多くの光線が取り込まれることになり、露光像が多くの光線によって形成されるからである。
【0068】
前述されたように、本実施の形態において、開口角AX、AYは、
AX=6〔°〕
AY=12〔°〕
であり、比較例において、開口角AX、AYは、
AX=AY
=6〔°〕
であり、本実施の形態においては、Y軸方向(LED素子の配列方向)において開口角AYが大きい。したがって、実施例における露光像の光量が多くなる。
【0069】
さらに、本実施の形態においては、前記LEDヘッド69が搭載されたプリンタ60で印刷を行った場合、鮮明な画像を形成することができた。
【0070】
このように、前記LEDヘッド69において、LED素子の配列方向の面形状と、LED素子の配列方向に対して直交する方向の面形状とが異なる第1のレンズを使用し、LED素子の配列方向の開口角AYを小さくすることなく、LED素子の配列方向に対して直交する方向の開口角AXだけを小さくすることによって、レンズ31における、LED素子の配列方向と直交する方向の寸法を大きくすることなく光量を増やすことができ、LEDヘッド69を小型化することができる。その結果、プリンタ60を小型化することができる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0072】
図7は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの概念図、図8は本発明の第2の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図、図9は本発明の第2の実施の形態におけるLEDアレイの構造を示す図である。
【0073】
図において、91は露光装置としてのLEDヘッドであり、該LEDヘッド91においては、画像データに基づいて複数の露光像が形成され、複数の感光体ドラム65上に結像され、静電潜像が形成される。
【0074】
92はLEDヘッド91に複数、本実施の形態においては、2個配設された発光点アレイとしてのLEDアレイ、93は発光点マトリクスとしてのLEDマトリクス、95は各LEDアレイ92に直線状に配設された発光点としての、かつ、発光素子としてのLED素子であり、前記各LEDアレイ92は、LED素子95の配列方向に対して直交する方向に配列される。
【0075】
本実施の形態において、LED素子95が配列されるピッチは、0.0106〔mm〕にされ、LEDアレイ30においてLED素子95が配列される領域の長さは、55〔mm〕にされる。
【0076】
前記LEDヘッド91においては、複数のLED素子95を選択的に発光させることによって、前記LEDアレイ92の像が形成され、該LEDアレイ92の像は、投影部材としてのレンズ31によって4倍に拡大されることによって、解像度が600〔dpi〕であり、長さが220〔mm〕の直線状の露光像になる。
【0077】
このように、LEDヘッド91に対してLEDアレイ92を2個配設し、レンズ31を使用して各LEDアレイ92の像を二つ形成することができる。
【0078】
また、94は各LEDアレイ92の光線を分離させる光線分離部材としてのミラーであり、該ミラー94によって分離されたLEDアレイ92の光線は、反射部材としてのミラー96によって反射させられ、光路が曲折させらせれた光線は、像担持体としての感光体ドラム65の表面の互いに異なる箇所に照射される。
【0079】
次に、前記LEDヘッド91の動作について説明する。
【0080】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。なお、各LEDヘッド91の構成は同じであるので、画像形成ユニット61Bk、61Y(図7)と対向させて配設されたLEDヘッド91についてだけ説明する。
【0081】
この場合、入出力装置41を介して入力された画像データは、記憶装置43に一旦記録された後、画像処理部42において、LEDヘッド91の制御データとしてのページデータに変換される。そして、ブラックの単色の画像データは、ブラックのページデータに、カラー画像の画像データは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のページデータに変換され、各色のLEDヘッド91に送られる。
【0082】
例えば、ブラック及びイエローのページデータは、それぞれ1ライン分の画像データごとのシリアル信号として、ブラック及びイエローに対応する各シフトレジスタ35に記録される。そして、各1ライン分の画像データは、ラッチ信号によってブラック及びイエローに対応する各ラッチ回路36に送られ、各画像データを構成する個々の出力信号は、トランジスタによって構成され、ブラック及びイエローに対応する各駆動回路37を介してLEDマトリクス93を構成するブラック及びイエローに対応する各LEDアレイ92の各LED素子95を駆動し、発光させる。
【0083】
同様に、マゼンタ及びシアンの各色のページデータは、対応するLEDヘッド91に送られ、マゼンタ及びシアンに対応するLEDアレイ92のLED素子95を駆動し、発光させる。
【0084】
該LED素子95が発光させられると、LEDアレイ92の像はレンズ31によって拡大され、ミラー94によって分離させられ、ミラー96によって反射され、曲折させられて各対応する感光体ドラム65に投影され、露光像を形成して感光体ドラム65上で結像させられる。この場合、露光像の形成に寄与しない光線は、絞り32によって遮断される。
【0085】
このように、本実施の形態においては、前記LEDヘッド91において、1組のレンズ31を使用して、複数の露光像を形成することができる。したがって、部品点数を少なくすることができ、プリンタ60を小型化することができる。
【0086】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0087】
図11は本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第1の図、図12は本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第2の図、図13はLEDヘッドの光学系の特性を示す図である。
【0088】
この場合、LEDヘッド91に複数、本実施の形態においては、2個配設された発光点アレイとしてのLEDアレイ92に直線状に配設された発光点としての、かつ、発光素子としての各LED素子95は、図11における上下方向に配列され、図12における奥行き方向(紙面の表側−裏側方向)に配列される。
【0089】
図11においては、LEDアレイ92上のLED素子95(図9)からの光線のうち、一つのLEDアレイ92について、投影部材としてのレンズ31の光軸上のLED素子95、及びLEDアレイ92の端部のLED素子95によって放射された光線だけを示し、ミラー33(図4)によって曲折させられた光線の光路は省略した。また、図12においては、各LEDアレイ92について、LEDアレイ92上のLED素子95からの光線のうち、レンズ31の光軸上のLED素子95によって放射された光線だけを示し、ミラー33によって折り返された光線の光路は省略した。
【0090】
この場合、図11における各LED素子95の配列方向の開口角をAY2とし、図12における各LEDアレイ92の配列方向の開口角をAX2としたとき、開口角AX2、AY2は、
AX2<AY2
であり、各LEDアレイ92上の各LED素子95の配列方向に対して直交する方向の開口角AX2は、各LED素子95の配列方向の開口角AY2より小さい。
【0091】
図13において、比較例のLEDヘッド98は、本実施の形態のLEDヘッド91と比べて、LEDアレイ92の配列方向の開口角が大きい。また、比較例のLEDヘッド91は、LEDアレイ92の配列方向の開口角を大きくするために、レンズ31及び絞り32の寸法が大きくされる。なお、レンズ31の面形状、並びにLEDアレイ92、レンズ31、絞り32及び感光体ドラム65の各面間隔は等しくされる。
【0092】
レンズ31によって取り込まれる光線の範囲を表す光束d 1、d2を比較(レンズ31と感光体ドラム65との間の所定の位置で比較)すると、比較例のLEDヘッド98の光束の外径d2は、本実施の形態のLEDヘッド91の光束の外径d1より大きい。この場合、比較例のLEDヘッド98は、2個のLEDアレイ92からの光線がそれぞれ重なり合う領域が右側(感光体ドラム65側)方向に広くなっていて、各LEDアレイ92の光線を分離するミラー33(図4)を配設することが可能な領域AR1が狭くなる。
【0093】
また、一般的に、レンズ31の開口角を大きくするほど、発光点から多くの光線が取り込まれることになり、露光像が多くの光線によって形成され、露光像の光量は多くなる。したがって、本実施の形態においては、LED素子95の配列方向の開口角AY2(図11)を小さくすることなく、LEDアレイ92の配列方向の開口角AX2(図12)だけを小さくすることによって、光量を少なくすることなく、ミラー94をレンズ31の近傍に配設することができるので、LEDヘッド91を小型化することができる。
【0094】
本実施の形態においては、LEDヘッド91によって光量が少なくなるのを抑制しながら、複数のLEDアレイ92からの光線を分離するレンズ31の配置の自由度を向上させることができので、LEDヘッド91を小型化することができるとともに、プリンタ60を小型化することができる。
【0095】
なお、前記各実施の形態においては、画像形成装置としてプリンタ60について説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ、複合機等等に適用することができる。
【0096】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光学系を示す第1の図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの分解斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの光学系を示す第2の図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるLEDアレイの構造を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第1の図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における光学系を示す第2の図である。
【図13】LEDヘッドの光学系の特性を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
30、92 LEDアレイ
31 レンズ
60 プリンタ
95 LED素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、
(b)該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有するとともに、
(c)該投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有し、
(d)前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記複数のレンズにおける少なくとも一つの面の面形状はアナモルフィック非球面にされる請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記複数のレンズにおける少なくとも一つの面の面形状はトロイダル面にされる請求項1に記載の露光装置。
【請求項4】
前記発光点アレイは、前記発光点の配列方向に対して直交する方向に複数配設され、発光点マトリクスを形成する請求項1に記載の露光装置。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の露光装置が搭載された画像形成装置。
【請求項1】
(a)直線状に配列された複数の発光点を備えた発光点アレイと、
(b)該発光点アレイの像を拡大して露光像を形成する投影部材とを有するとともに、
(c)該投影部材を構成する複数のレンズにおける少なくとも一つの面は、発光点の配列方向と、発光点の配列方向に対して直交する方向とで異なる面形状を有し、
(d)前記投影部材が取り込む光線において、発光点の配列方向に対して直交する方向の開口角は、発光点の配列方向の開口角より小さくされることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記複数のレンズにおける少なくとも一つの面の面形状はアナモルフィック非球面にされる請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記複数のレンズにおける少なくとも一つの面の面形状はトロイダル面にされる請求項1に記載の露光装置。
【請求項4】
前記発光点アレイは、前記発光点の配列方向に対して直交する方向に複数配設され、発光点マトリクスを形成する請求項1に記載の露光装置。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の露光装置が搭載された画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−75492(P2009−75492A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246547(P2007−246547)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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