露光装置
【課題】離散配置されてなるレーザーダイオードのいくつかが破損等の理由によって発光しない状態が生じても、継続的に使用可能なCTP装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一部のチャンネルが非発光状態である場合には、正常時に露光ヘッドを移動させる基準区間の前後に設けられた補完区間においても露光ヘッドを移動させるようにしながら、非発光状態のチャンネルの存在位置に基づいて定められた、発光状態にある特定のチャンネルを用いて露光を行うように、チャンネル別露光データを生成し、移動手段によって、基準区間および補完区間において露光ヘッドを移動させつつ、露光制御手段がチャンネル別露光データに従って前記特定のチャンネルから露光用光を出射させることによって被露光領域を形成する。
【解決手段】一部のチャンネルが非発光状態である場合には、正常時に露光ヘッドを移動させる基準区間の前後に設けられた補完区間においても露光ヘッドを移動させるようにしながら、非発光状態のチャンネルの存在位置に基づいて定められた、発光状態にある特定のチャンネルを用いて露光を行うように、チャンネル別露光データを生成し、移動手段によって、基準区間および補完区間において露光ヘッドを移動させつつ、露光制御手段がチャンネル別露光データに従って前記特定のチャンネルから露光用光を出射させることによって被露光領域を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザー光源が離散的に配置された露光装置における露光処理に関する。
【背景技術】
【0002】
刷版に対して直接に画像を形成するCTP(Computer To Plate)装置として、露光ヘッド(光源)にレーザーダイオード(LD)を用いたCTP装置が従来より広く知られている。CTP装置の露光方式としては、複数のレーザーダイオードから同時に光を照射して露光を行うマルチビーム方式が広く採用されている。
【0003】
例えば、一方向に連設された複数のレーザーダイオードと、これら複数のレーザーダイオードから照射されたレーザー光を露光位置に結像させるレンズとを備える露光ヘッド(マルチチャンネル光学ヘッド)を有し、刷版を設けたドラム(版胴)を回転させた状態で、露光ヘッドをドラムの軸方向に移動させつつレーザーダイオードからレーザー光を照射することで刷版の略全面を露光する、スパイラル露光方式のCTP装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数のレーザーダイオードを等間隔で離散的に配置した露光ヘッドを有し、刷版を設けたドラム(版胴)を回転させた状態で、該露光ヘッドをドラムの軸方向にレーザーダイオードの間隔に相当する距離だけ移動させつつそれぞれのレーザーダイオードからレーザー光を刷版に直接に照射するようにすることで、同時並行的に複数の部分領域の露光を行い、最終的に刷版の略全面を露光するCTP装置も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−43317号公報
【特許文献2】特開2003−89180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、レーザーダイオードを前半部と後半部の2つにグルーピングし、前半部もしくは後半部のいずれかに属するレーザーダイオードが、破損により発光(点灯)しなくなった場合、それぞれ後半部もしくは前半部に属するレーザーダイオードのみを用いて露光を行うようにすることで、たとえ破損が生じても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに露光を継続的に行える技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、この方式の場合、前半部と後半部のそれぞれに属するレーザーダイオードが点灯しなくなった場合には露光を行うことができないという問題がある。
【0008】
また、そもそも係る方式は、特許文献1に開示されているような、スパイラル露光方式のCTP装置を対象とするものである。特許文献2に開示されているような、複数のレーザーダイオードが離散配置されてなるCTP装置においては、露光の際の個々のレーザーダイオードの移動範囲が制限されているために、例えば前半部のレーザーダイオードで後半部のレーザーダイオードが本来露光するべき領域まで露光するといった、特許文献1に開示されているような手法を適用することが出来ない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のレーザーダイオードが離散配置されてなるCTP装置であって、レーザーダイオードのいくつかが破損等の理由によって発光しない状態が生じても、継続的に使用可能なCTP装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被露光体を露光する露光装置であって、被露光体を保持する保持体と、露光用光を同時に出射可能な複数の光源と、前記複数の光源を前記被露光体に沿う配置方向に等間隔に離散配置してなる露光ヘッドと、前記露光ヘッドを前記被露光体に沿って移動させる移動手段と、被露光体に対する露光の内容を記述した全体露光データを取得する露光データ入力手段と、前記全体露光データに基づき、前記複数の光源のそれぞれにおける露光内容を記述したチャンネル別露光データを生成するチャンネル別露光データ生成手段と、前記チャンネル別露光データの記述内容に従って露光用光を出射するように前記複数の光源を制御する露光制御手段と、を備え、前記複数の光源が全て発光状態にある場合には、前記複数の光源の全てから出射される前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって前記複数の光源の間隔に略一致する距離の基準区間の間でのみ前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記複数の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成し、前記複数の光源の一部が非発光状態である場合には、前記基準区間に加えて、前記基準区間の前後の少なくとも一方において前記基準区間に連続的に設けられ、前記基準区間の自然数倍の距離を有する補完区間においても前記露光ヘッドを移動させるようにしながら、前記非発光状態である光源の存在位置に基づいて前記複数の光源の中から定められた発光状態にある特定の光源からの前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって、前記基準区間および前記補完区間において前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記特定の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の露光装置において、前記複数の光源が非発光状態にあることを検知する非発光検知手段、をさらに備え、前記非発光検知手段の検知内容に基づいて、前記露光ヘッドの移動範囲と露光に使用する前記特定の光源とが定められる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の露光装置において、前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、前記複数の光源のうち非発光状態にある光源が前記配置方向における配置順が奇数番目もしくは偶数番目の光源のみである場合には、非発光状態にある光源と配置順における偶奇が反対の光源のみを用いて露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の露光装置において、前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれの光源も隣接しない場合には、前記非発光状態にある光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源に隣接するいずれかの光源によって露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の露光装置において、前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれか2つの光源が隣接する場合には、前記非発光状態にある隣接した光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間にそれぞれの前記非発光状態にある光源に隣接する発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の露光装置において、前記基準区間の後の前記補完区間の距離を、前記基準区間の距離よりも長くしてなる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1または請求項2に記載の露光装置において、前記基準区間の後に前記補完区間が設定されてなり、非発光状態にある光源が存在する場合に、非発光状態の光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源の直近の発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし請求項7の発明によれば、複数の光源のうちの一部に破損等の理由により非発光状態のものがあったとしても、交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係るCTP装置100の主たる動作部分を示す斜視図である。
【図2】CTP装置100の動作制御に係る要素を模式的に示すブロック図である。
【図3】CTP装置100における画像記録の際の基本的動作を説明する図である。
【図4】CTP装置100における画像記録の際の基本的動作を説明する図である。
【図5】露光ヘッド5の位置と、露光によって記録される小画像との関係を示す図である。
【図6】正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【図7】非発光状態のチャンネルがある第1の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図8】非発光状態のチャンネルがある第2の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図9】非発光状態のチャンネルがある第2の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図10】非発光状態のチャンネルがある第3の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図11】非発光状態のチャンネルがある第3の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図12】変形例を示す図である。
【図13】第2の実施形態の正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【図14】非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図15】第3の実施形態の正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【図16】第3の実施形態に特徴的なパターンで非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
<装置概要>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るCTP装置100の主たる動作部分を示す斜視図である。CTP装置100は、ドラム1の側面に配設された被露光体としての刷版Pの表面に、露光ヘッド5に備わるレーザー光源から、所定の露光データに基づく画素単位でのon/offを行いつつレーザー光を照射することによって、被露光体としての刷版Pの表面の感光材料を感光させて、露光画像を形成する装置である。すなわち、CTP装置100は、露光装置としての機能を有する装置である。特に、本実施の形態に係るCTP装置100は、後述するように、等間隔で離散的に配置したN個(Nは自然数)のレーザーダイオード31から同時にレーザー光を照射することで、同時並行的に複数の部分領域(小画像)の露光を行い、最終的に刷版の略全面に一の露光画像(大画像)を露光するように構成されてなる。
【0020】
ドラム1は、ドラム駆動手段6(例えば駆動モーター)によって駆動されることで回転軸AXを中心に回転する円筒形の部材である。
【0021】
露光ヘッド5は、N個のLDユニット30が回転軸AXに平行な方向に沿って一定の間隔wで離散的に配置された構造を有する。それぞれのLDユニット30はレーザー光源としてのレーザーダイオード(LD)31を備えている。すなわち、露光ヘッド5には、N個のレーザーダイオード31が設けられてなる。なお、本実施の形態に係るCTP装置100では、レーザーダイオード31とドラム1(あるいはその側面に配設される刷版P)との間にレンズやキャリブレーションセンサーは設けられてはいない。すなわち、レーザーダイオード31から出射した光が直接に刷版Pに照射されるようになっている。
【0022】
また、露光ヘッド5は、ヘッド移動用ボールネジ3およびヘッド移動用モーター4の動作によって、図示しない露光ヘッドガイドに沿って回転軸AXと平行な方向(副走査方向)に案内されるようになっている。
【0023】
なお、本実施の形態に係るCTP装置100においては、露光ヘッド5の移動範囲として、レーザーダイオード31同士の間隔wのk倍(kは2以上の自然数)の距離kyが確保される。ここで、kの値は、後述する、レーザーダイオード31が非発光状態にあるときの処理態様に応じて適宜に定められてよいが、現実的な値としては、k=3かあるいはk=4である。
【0024】
なお、本実施の形態においては、露光ヘッド5に設けられたN個のレーザーダイオード31を、露光ヘッド5の一方端側に設けられたものから順に、1チャンネル(1ch)のレーザーダイオード31、2チャンネル(2ch)のレーザーダイオード31、・・・Nチャンネル(Nch)のレーザーダイオード31などと称するか、あるいは単に、1ch、2ch、・・・Nchなどと称することとする。また、各チャンネル(各ch)のレーザーダイオードが発光/非発光状態にあることを単に、各チャンネルが発光/非発光状態にある、とも称することがある。
【0025】
図2は、CTP装置100の動作制御に係る要素を模式的に示すブロック図である。主制御手段11と、露光データ入力手段12と、ドラム駆動制御手段13と、ヘッド駆動制御手段14と、チャンネル別露光データ生成手段15と、LD制御手段16と、LD駆動手段17と、非発光検知手段18とを、さらに備える。
【0026】
主制御手段11は、例えば図示しないCPU、ROM、RAMなどから構成され、CTP装置100の全体の動作を統括制御する。露光データ入力手段12は、露光の際のレーザー光のon/off情報(つまりは露光画像の2値化情報に相当)を画素単位で記述した露光データを取得する。通常は、1枚の刷版Pに形成すべき露光画像(大画像)ごとに1つの露光データが与えられる。ドラム駆動制御手段13は、ドラム駆動手段6によるドラムの回転動作を制御する。ヘッド駆動制御手段14は、ヘッド移動用ボールネジ3やヘッド移動用モーター4の動作を制御する。チャンネル別露光データ生成手段15は、露光データ入力手段12によって取得された露光データの記述内容に基づいて、各chのレーザーダイオード31によるレーザー光のon/off動作内容を記述したチャンネル別露光データを生成する。つまりは、N個のチャンネルに露光データの内容を振り分ける。LD制御手段16は、チャンネル別露光データに基づいて所定の電圧値のパワー電圧をLD駆動手段17に印加することにより、LD駆動手段17によるレーザーダイオード31の発光を制御する。LD駆動手段17は、LD制御手段16によって印加されるパワー電圧に応じた所定の電流値のオペレーション電流をレーザーダイオード31に与えることによって、レーザーダイオード31を発光させる。
【0027】
係るCTP装置100においては、チャンネル別露光データをあらかじめ保持した主制御手段11が、ドラム駆動制御手段13、ヘッド駆動制御手段14、LD制御手段16に所定の制御指示を与えることによって、ドラム1の回転に同期させて露光ヘッド5を副走査方向に移動させるとともに、チャンネル別露光データの記述内容に応じたon/offタイミングで各レーザーダイオード31におけるレーザー光の発光を生じさせることで、ドラム1が保持する刷版Pへの露光画像の形成が実現される。
【0028】
また、CTP装置100においては、非発光検知手段18が、各レーザーダイオード31の発光状態を監視し、あるレーザーダイオード31が発光していないと判断されるときに、これを特定する信号を主制御手段11に伝達する。CTP装置100においては、レーザーダイオード31に対してオペレーション電流を所定値以上流した時点でレーザーダイオード31の発光が所定光量に達しない場合に、レーザーダイオード31が非発光状態にあると判断するものとする。具体的には、非発光検知手段18がLD駆動手段17からレーザーダイオード31に出力されるオペレーション電流の電流値を監視し、該電流値が所定の値以上に達したときに、所定の検知信号を主制御手段11に与える。
【0029】
<画像記録の基本的動作>
図3および図4は、CTP装置100における画像記録の際の基本的動作を説明する図である。図3および図4においては、説明の簡単のため、露光ヘッド5にa1チャンネル〜a4チャンネルの4個のレーザーダイオード31が回転軸AXに平行に等間隔wで設けられているとする場合(N=4の場合)を例として説明する。また、主制御手段11があらかじめ、露光データ入力手段12が取得した露光データに基づいて、チャンネル別露光データ生成手段15に、チャンネル別露光データを生成させ、これを保持しているものとする。なお、ここで説明する内容は、後述する基準画像記録に相当する。
【0030】
まず、ドラム駆動制御手段13がドラム駆動手段6を駆動させてドラム1を回転軸AXを中心としてX1方向(主走査方向)に所定の速度で回転させるとともに、係る回転に同期させながら、ヘッド駆動制御手段14が、ドラム1が1回転する間に距離yだけ移動するような速度で、露光ヘッド5が回転軸AXに平行な副走査方向(Y方向)に移動させる。ただし、w=myなる関係をみたすものとする(mは2以上の自然数)。
【0031】
LD制御手段16は、チャンネル別露光データの記述内容に基づくon/offタイミングで所定の電圧値のパワー電圧をLD駆動手段17に印加することにより、露光に必要な光量でのレーザー発光が生じるだけの所定の電流値のオペレーション電流をa1チャンネルないしa4チャンネルの各レーザーダイオード31に与え、それぞれのレーザーダイオード31から、光ビーム(露光用光)b1ないしb4を出射させる。
【0032】
これにより、ドラム1が1回転するたびに、a1チャンネルないしa4チャンネルのそれぞれのレーザーダイオード31から出射されたレーザー光によって、ピッチ(副走査方向における解像度の逆数に相当)がyのチャンネル別露光データに従った露光画像が形成される。ドラム1の回転、露光ヘッド5の移動、およびレーザー光の照射を継続することで、図4に示すように、小画像領域im1ないしim4に露光画像(小画像)がそれぞれ形成されていく。露光ヘッド5が副走査方向に原点位置Y0から距離(m−1)y=w−yだけ移動したときに、画像記録を終了する。この時点では、副走査方向であるY方向に並んだ小画像領域im1ないしim4のそれぞれに形成された小画像が順に隣接した状態が実現されている。すなわち、全体として、1つの露光画像IMの画像記録が完了したことになる。
【0033】
なお、w=myなる関係をみたすようにされてなるので、異なるレーザーダイオード31からのレーザー光によって形成されたものも含め、全ての走査線のピッチはyで一定である。従って、小画像領域im1ないしim4に形成された小画像同士の隙間が認識されることはなく、1つの露光画像(大画像)IMが複数の小画像から構成されていると判別されることはない。
【0034】
<画像記録処理>
次に、CTP装置100において実行される具体的な画像記録処理の態様について説明する。本実施の形態においては、露光ヘッド5に備わるレーザーダイオード31のいくつかが非発光状態になったとしても、所定範囲であれば継続的に画像記録処理が実行可能とされてなる点で特徴的である。
【0035】
図5は、露光ヘッド5の位置と、露光によって記録される小画像との関係を示す図である。以下においては、k=3の場合、つまりは、露光ヘッド5がレーザーダイオード31同士の間隔wの3倍の距離を移動可能であるように構成されてなる場合を対象として説明を行う。より具体的には、図5に示すように、露光ヘッド5が、いずれも距離wで等距離の区間0、区間1、および区間2を移動可能であるとする。これにより、露光ヘッド5は、合計で3wの距離を移動可能とされてなる。
【0036】
また、以下においては、N=6の場合、すなわち、1ch〜6chの6個のレーザーダイオード31が設けられてなる場合であって、かつ、6つの小画像領域im1〜im6のそれぞれに形成される小画像を構成部分として露光画像の全体(大画像)が記録される場合を例として説明する。
【0037】
さらに、図5は、露光ヘッド5の移動区間と、各chからのレーザー光の発光によってそれぞれに小画像が形成される小画像領域との対応関係(チャンネル−小画像領域対応関係)を表している。
【0038】
本実施の形態においては、レーザーダイオード31が全て正常に発光する状態であれば、露光ヘッド5が区間1のみを移動すれば画像記録が完了するようにされてなるものとする。以下、係る区間1を基準区間と称し、基準区間において行う画像記録を基準画像記録と称することがある。
【0039】
すなわち、露光ヘッド5が区間1を移動する間において、1chのレーザーダイオード31が小画像領域im1に、2chのレーザーダイオード31が小画像領域im2に、3chのレーザーダイオード31が小画像領域im3に、4chのレーザーダイオード31が小画像領域im4に、5chのレーザーダイオード31が小画像領域im5に、6chのレーザーダイオード31が小画像領域im6にそれぞれ画像記録を行う態様が、基準画像記録に相当する。換言すれば、基準画像記録とは、基準区間において各チャンネルのレーザーダイオード31が行う画像記録は、同じ番号が付された小画像領域を対象として行われるものであるともいえる。
【0040】
一方、区間0や区間2は、後述するように、非発光状態のレーザーダイオード31が存在する場合に、使用されることになる。例えば、露光ヘッドが区間2を移動する場合についてみれば、1chのレーザーダイオード31が小画像領域im2に画像記録を行い、5chのレーザーダイオード31が小画像領域im6に画像記録を行うことができるようになっている。なお、区間0は露光ヘッド5が基準区間である区間1を移動する前に移動する区間であるので、前補完区間と称し、区間2は露光ヘッド5が基準区間である区間1を移動した後に移動する区間であるので、後補完区間と称することがある。これらの補完区間は、基準区間の前後において、基準区間に対して連続的に設けられているということもできる。
【0041】
(正常態様)
まず、露光ヘッド5に備わるレーザーダイオード31が全て正常に発光する状態における態様(正常態様)について説明する。図6は、係る場合のヘッド移動区間と、1ch〜6chの各レーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。図6および以降の各図において、ヘッド移動区間という項目中の矢印は、当該区間において露光ヘッド5が移動することを示しており、×印は、露光ヘッド5が移動しないことを示している。また、各チャンネルの記録対象という項目中に小画像領域の符号im1などを四角で囲んだものは、当該チャンネルのレーザーダイオード31によって該小画像領域に対する画像記録が行われることを示しており、×印は、画像記録が行われないことを示している。
【0042】
この正常態様においては、全chが発光状態にあるので、非発光検知手段18から非発光状態にあるレーザーダイオード31を特定する検知信号は主制御手段11に与えられない。この場合、上述の基準画像記録のみが行われればよいので、チャンネル別露光データ生成手段15は、露光データに基づき、基準画像記録が行われるように各chに画像記録内容を割り当てた、チャンネル別露光データを生成する。主制御手段11が、係るチャンネル露光別データに従った画像記録が行われるように、ドラム駆動制御手段13、ヘッド駆動制御手段14、LD制御手段16に所定の制御指示を与え、各制御手段が、これに応答してそれぞれの制御対象を制御することで、画像記録が実現される。
【0043】
(非発光チャンネルがある場合の態様1)
次に、いずれかのレーザーダイオード31が非発光状態にある場合(非発光状態のチャンネルがある場合)の処理態様について、該当するチャンネルの存在位置のパターンごとに順次に説明する。
【0044】
いずれの場合も、チャンネル別露光データ生成手段15によってそれぞれのパターンに対応したチャンネル露光別データが生成され、主制御手段11が、該チャンネル露光別データに従った画像記録が行われるように、ドラム駆動制御手段13、ヘッド駆動制御手段14、LD制御手段16に所定の制御指示を与え、各制御手段が、これに応答してそれぞれの制御対象を制御することで、画像記録が実現される。
【0045】
図7は、そのうちの、まず第1の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。なお、図7および以降の各図においては、各chのレーザーダイオード31が基準区間以外で画像記録を行う小画像領域については、二重線で囲んで示している。
【0046】
図7(a)は、ある1つの偶数chのみ(図7においては2ch)が非発光状態にある場合を示している。この場合、奇数chのみを用いて画像記録を行うようにする。
【0047】
具体的には、露光ヘッド5が区間1および区間2を移動するとともに、奇数chのレーザーダイオード31が連続する2つの小画像領域への画像記録を行うようにする。すなわち、図7(a)に示す場合であれば、1ch、3ch、5chのレーザーダイオード31が、露光ヘッド5が基準区間である区間1を移動する間に小画像領域im1、im3、im5への画像記録(基準画像記録)をそれぞれ行い、引き続き露光ヘッド5が後補完区間である区間2を移動する間に小画像領域im2、im4、im6への画像記録を行うように、チャンネル別露光データ生成手段15はチャンネル別露光データを生成する。これは、チャンネル別露光データ生成手段15が、正常態様であれば2ch、4ch、6chのレーザーダイオードが担うべき小画像領域im2、im4、im6への画像記録の内容を、1ch、3ch、5ch、に振り分けていることに相当する。
【0048】
なお、厳密にいえば、各区間においては露光ヘッド5が距離w−yだけ移動すれば該区間に対応する画像記録は終了するが、さらに次の区間に移動するには、あと距離yだけ移動して次の区間の始点位置に達する必要がある。以降においては、簡単のために各区間において距離wだけ移動することによって画像記録が行われるものとみなして説明する。
【0049】
図示は省略するが、ある1つの奇数chのみが非発光状態にある場合であれば、露光ヘッド5が前補完区間である区間0および基準区間である区間1を連続して移動する間に、偶数chのレーザーダイオード31が連続する2つの小画像領域への画像記録を行うようにすればよい。
【0050】
さらに、図7(b)および(c)に示すように、非発光状態のレーザーダイオード31が奇数chのみ、あるいは偶数chのみであれば、その数に関係なく(仮に全て非発光となっても)、上述と同様の態様で画像記録を行うことが出来る。
【0051】
すなわち、非発光検知手段18による検知の結果、偶数chもしくは奇数chのみが非発光状態である場合には、チャンネル別露光データ生成手段15が、それぞれ、奇数chあるいは偶数chのみで露光を行うように、チャンネル別露光データを生成する。
【0052】
該チャンネル露光別データに従って、露光ヘッドを基準区間のみならず前補完区間あるいは後補完区間の一方においても移動させつつ画像記録が行われることで、上述のような位置パターンで非発光状態のレーザーダイオード31があっても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【0053】
(非発光チャンネルがある場合の態様2)
図8および図9は、非発光状態のチャンネルがある第2の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。図8および図9は、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれも隣接しない場合を例示している。
【0054】
係る場合、原則的には、非発光状態にあるチャンネルのレーザーダイオード31が本来(正常態様であれば)、画像記録を行うはずの小画像領域については、該チャンネルよりもチャンネル数が1つ小さい(図8においては左隣の)チャンネルのレーザーダイオード31が、露光ヘッド5が後補完区間である区間2を移動している間に画像記録を行うようにする。
【0055】
例えば、図8(a)に示すように、2chと5chが非発光状態にある場合であれば、まず、露光ヘッド5が区間1を移動している間に1ch、3ch、4ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im3、im4、im6にそれぞれ画像記録を行い、引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に1chと4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2とim5とに画像記録を行うようにする。
【0056】
ただし、図8(b)に示すように、1chが非発光状態にある場合には、この原則では対応できないので、この場合には、非発光状態にあるチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うはずの小画像領域については、該チャンネルよりもチャンネル数が1つ大きい(図8においては右隣の)チャンネルのレーザーダイオード31が、露光ヘッド5が前補完区間である区間0を移動している間に画像記録を行うようにする。
【0057】
例えば、図8(b)に示すように、1chと4chが非発光状態にある場合であれば、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に2chと5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1とim4に画像記録を行い、引き続き露光ヘッド5を区間1において移動させ、その間に2ch、3ch、5ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im3、im5、im6にそれぞれ画像記録を行うようにする。
【0058】
なお、図9に示すように、1chとNch(図9においては6ch)という露光ヘッド5の両端のチャンネルのみが非発光状態にある場合は、両チャンネルについては、左右一方隣のみのチャンネルによる画像記録を行うことはできない。この場合は、さらに例外的に、まず、露光ヘッド5を前補完区間である区間0において移動させ、その間に2chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1に画像記録を行い、引き続き露光ヘッド5を区間1において移動させ、その間に2ch、3ch、4ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im3、im4、im5にそれぞれ画像記録を行う。さらに引き続き後補完区間である区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im6に画像記録を行うようにする。
【0059】
いずれにせよ、非発光検知手段18による検知の結果、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれも隣接しない場合には、チャンネル別露光データ生成手段15は、非発光状態にあるチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うはずの小画像領域について、隣接するいずれかのチャンネルのレーザーダイオード31によって画像記録を行うように、チャンネル別露光データを生成する。
【0060】
該チャンネル露光別データに従って、露光ヘッドを基準区間のみならず前補完区間あるいは後補完区間の少なくとも一方においても移動させつつ画像記録が行われることで、上述のような位置パターンで非発光状態のレーザーダイオード31があっても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【0061】
(非発光チャンネルがある場合の態様3)
図10および図11は、非発光状態のチャンネルがある第3の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。図10および図11は、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれか2つのチャンネルが隣接する場合を例示している。
【0062】
係る場合、非発光状態であって、かつ隣にも非発光状態のチャンネルがあるレーザーダイオード31が本来(正常態様であれば)、画像記録を行うはずの小画像領域については、逆隣の発光状態にあるレーザーダイオード31が画像記録を行うようにする。
【0063】
例えば、図10(a)に示すように、2chと3chが非発光状態にある場合であれば、それぞれに隣接する1chと4chのレーザーダイオード31が、小画像領域im2とim3の画像記録をそれぞれ行うようにする。
【0064】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、4ch、5ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im4、im5、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、1chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2に画像記録を行うようにする。
【0065】
同様に、図10(b)に示すように、3chと4chが非発光状態にある場合であれば、それぞれに隣接する2chと5chのレーザーダイオード31が、小画像領域im3とim4に対する画像記録をそれぞれ行うようにする。
【0066】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im4に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、2ch、5ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im2、im5、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、2chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行うようにする。
【0067】
なお、図10(c)、(d)、および図11に示すように、隣接し合う非発光状態のチャンネルに加えて、隣に非発光状態のチャンネルがない非発光状態のチャンネルがある場合には、それらのチャンネルが本来、画像記録を行うべき小画像領域については、上述した(態様2)と同様の処理を行えばよい。
【0068】
例えば図10(c)に示すように、隣接する2ch、3chに加えて、5chが非発光状態にある場合であれば、4chのレーザーダイオード31が小画像領域im5に対する画像記録を行うようにする。
【0069】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、4ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im4、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、1ch、4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im5にそれぞれ画像記録を行うようにする。
【0070】
また、図10(d)に示すように、隣接する4ch、5chに加えて、1chが非発光状態にある場合には、2chのレーザーダイオード31が、小画像領域im1に対する画像記録を行うようにする。
【0071】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に2ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im5にそれぞれ画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に2ch、3ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im3、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、3chのレーザーダイオード31によって小画像領域im4に画像記録を行うようにする。
【0072】
さらに、図11に示すように、隣接する2つのチャンネル(3ch、4ch)が非発光状態にあり、かつ露光ヘッド5の両端のチャンネル(1ch、6ch=Nch)も非発光状態にある場合には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im4にそれぞれ画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に同じく2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im5のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、三たび2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3、im6にそれぞれ画像記録を行うようにする。
【0073】
いずれにせよ、非発光検知手段18による検知の結果、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれか2つのチャンネルが隣接する場合には、チャンネル別露光データ生成手段15は、非発光状態であって、かつ隣にも非発光状態のチャンネルがあるレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うはずの小画像領域については、逆隣の発光状態にあるレーザーダイオード31が画像記録を行うように、チャンネル別露光データを生成する。
【0074】
さらに、隣接し合う非発光状態のチャンネルに加えて、隣に非発光状態のチャンネルがない非発光状態のチャンネルがある場合には、上述の(態様2)と同様の処理が行われるようにチャンネル別露光データを生成する。
【0075】
該チャンネル露光別データに従って、露光ヘッドを基準区間のみならず前補完区間あるいは後補完区間の両方においても移動させつつ画像記録が行われることで、上述のような位置パターンで非発光状態のレーザーダイオード31があっても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【0076】
(態様3の変形例)
非発光状態のチャンネルが図10(a)や(b)のようなパターンで検知された場合、より少ないチャンネルのみを用いて画像記録を行うことが可能である。図12は、これを説明する図である。
【0077】
図12(a)は、図10(a)と同じく、2chと3chとが非発光状態と検知された場合の、異なる画像記録処理の態様を示している。
【0078】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、4ch、6chのレーザーダイオード31によって基準画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、1ch、4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im5に画像記録を行うようにする。
【0079】
係る場合、画像記録に使用できる5chのレーザーダイオード31を使用しない点で、図10(a)と相違する。図12(a)の例は、1chが小画像領域im2に対して画像記録を行うために、露光ヘッド5が後補完区間である区間2をも移動する必要があることを利用して、区間0、区間1を移動する間に小画像領域im3、im4に対する画像記録を行った4chのレーザーダイオード31を、区間2においてそのまま小画像領域im5における形成にも使用したものである。
【0080】
同様に、図12(b)は、図10(b)と同じく、3chと4chとが非発光状態と検知された場合の、異なる画像記録処理の態様を示している。
【0081】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im4に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、2ch、5chのレーザーダイオード31によって基準画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3、im6に画像記録を行うようにする。
【0082】
係る場合、画像記録に使用できる6chのレーザーダイオード31を使用しない点で、図10(b)と相違する。図12(b)の例は、2chが小画像領域im3に対して画像記録を行うために、露光ヘッド5が後補完区間である区間2をも移動する必要があることを利用して、区間0、区間1を移動する間に小画像領域im4、im5に対する画像記録に用いていた5chのレーザーダイオード31を、区間2においてそのまま小画像領域im6における形成にも使用したものである。
【0083】
これらの態様の場合、図10(a)、(b)の場合と露光ヘッド5の移動距離自体は同じであるが、発光させるレーザーダイオード31の個数は、少なくて済む、という利点がある。
【0084】
(画像記録が継続できない場合)
上述したように、非発光状態のチャンネルが2つ隣接している場合であっても、それぞれに隣り合う発光状態のチャンネルのレーザーダイオード31を利用することによって、画像記録を行うことが出来る。換言すれば、本実施の形態において、画像記録が出来なくなるのは、原則として、3つ以上のチャンネルが隣接して非発光状態となる場合のみである。ただし、例外的に、露光ヘッド5の両端については、2つのチャンネルが隣接している場合でも画像記録は出来なくなる。
【0085】
しかしながら、このような態様で非発光状態が出現することは、実際には数十個から百個のオーダーでレーザーダイオードを備えるCTP装置においてきわめてレアなケースであるので、本実施の形態によれば、通常の使用態様で非発光状態となるチャンネルが生じたとしても、上記いずれかの態様によって、画像記録を継続することが出来る。
【0086】
<第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態においては、区間1を基準区間として画像記録を行うことを前提としているが、CTP装置100における画像記録の態様はこれに限られるものではない。
【0087】
図13は、本実施の形態における正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【0088】
すなわち、本実施の形態に係るCTP装置100においては、正常態様の場合に、露光ヘッド5が区間0のみを移動して画像記録を行うように、露光ヘッド5の移動可能範囲が定められてなるものとする。すなわち、区間0が基準区間とされ、露光ヘッド5が区間0を移動する間に行う画像記録が、基準画像記録であるものとする。従って、区間1および区間2が後補完区間ということになる。
【0089】
図14は、本実施の形態において、非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【0090】
本実施の形態においては、原則として、非発光状態のチャンネルが存在する場合、該チャンネルよりもチャンネル数が小さく、かつ直近のチャンネルのレーザーダイオードが、非発光状態のチャネルのレーザーダイオードが本来、画像記録を行うべき小画像領域に対して画像記録を行うように、チャンネル別露光データが生成されるようにする。
【0091】
例えば、図14(a)に示す場合であれば、2chが非発光状態にあるので、露光ヘッドが基準区間である区間0を移動している間に1ch、3ch、4ch、5ch、6chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間1においても移動させ、2chよりも1つチャンネル数の小さい1chのレーザーダイオードが小画像領域im2の画像記録を行うようにする。
【0092】
また、図14(b)に示す場合であれば、3chと5chとが非発光状態にあるので、露光ヘッドが基準区間である区間0を移動している間に1ch、2ch、4ch、6chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間1においても移動させ、2chと4chのレーザーダイオードが小画像領域im3とim5の画像記録をそれぞれ行うようにする。
【0093】
あるいは、図14(c)に示す場合であれば、5chと6chとが隣接して非発光状態にあるので、露光ヘッドが基準区間である区間0を移動している間に1ch、2ch、3ch、4chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間1さらには区間2においても移動させ、4chのレーザーダイオードに小画像領域im5、im6の画像記録を連続して行わせる。本実施の形態では後補完区間が区間1と区間2の2区間あるので、係る態様での画像記録を行うことができる。
【0094】
すなわち、本実施の形態においても、非発光状態のチャンネルが2つ隣接している場合であっても、画像記録を行うことが出来る。本実施の形態において、画像記録が出来なくなるのは、原則として、3つ以上のチャンネルが隣接して非発光状態となる場合のみである。ただし、例外的に、1chが非発光状態にある場合でも画像記録は出来なくなる。
【0095】
しかしながら、このような態様で非発光状態が出現することは、実際のCTP装置においてはきわめてレアなケースであるので、本実施の形態の場合も、通常の使用態様で非発光状態となるチャンネルが生じたとしても、上記いずれかの態様によって、画像記録を継続することが出来る。
【0096】
<第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態においては、露光ヘッド5が区間0、区間1、区間2の3区間(距離3w)の範囲内を移動するようになっており、かつ、区間1を基準区間として画像記録を行うことを前提としているが、CTP装置100における露光ヘッド5の移動態様はこれに限られるものではない。
【0097】
図15は、本実施の形態の正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【0098】
図15に示すように、本実施の形態に係るCTP装置100おいては、区間1を基準区間として画像記録を行われる点は第1の実施の形態と同様であるが、後補完区間において区間2の先にさらに区間3が設けられてなる点で相違する。すなわち、本実施の形態に係るCTP装置100においては、k=4、つまりは露光ヘッド5が距離4wの範囲内を移動するようになっている。
【0099】
なお、上述のように、本実施の形態においても、区間1を基準区間とし、さらに区間0および区間2を含むことから、第1の実施の形態と同様に、これらの区間のみを用いた画像記録は可能である。従って、それらについての説明は省略する。
【0100】
図16は、本実施の形態に特徴的なパターンで非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【0101】
まず、図16(a)に示すのは、第1の実施の形態における図10(c)の場合と同様のパターンで非発光状態のチャンネルが存在する場合である。
【0102】
本実施の形態においては、図16(a)のように隣接する2つのチャンネルが非発光状態にある場合(図16(a)においては2chと3ch)、これらよりもチャンネル数が小さくかつ直近のチャンネル(図16(a)においては1ch)のレーザーダイオード31が、非発光状態のチャネルのレーザーダイオードが本来、画像記録を行うべき小画像領域に対して画像記録を行うように、チャンネル別露光データが生成されるようにする。
【0103】
図16(a)に示す例であれば、2ch、3chに加えて、5chも非発光状態であるので、露光ヘッドが基準区間である区間1を移動している間に1chと4chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間2さらには区間3においても移動させ、1chのレーザーダイオードに小画像領域im2、im3の画像記録を連続して行わせ、4chのレーザーダイオードに小画像領域im5、im6の画像記録を連続して行わせる。
【0104】
なお、図16(a)に示す例では6chは発光状態であるので、6chについても、基準画像記録を行わせてもよいが、そもそも1chに小画像領域im3の画像記録を行わせるべく露光ヘッド5を区間3において移動させる必要があり、6chの使用にかかわらず露光ヘッド5の移動距離は変わらないことから、発光させるレーザーダイオードの数が少ない、図16(a)に示す態様の方が好ましいといえる。
【0105】
また、本実施の形態においては、第1の実施の形態においては画像記録を継続できなかった、非発光状態のチャンネルが3つ連続する場合であっても、画像記録を行うことが出来る。図16(b)、(c)がこれを示す図である。
【0106】
係る場合、連続した3つの非発光状態のチャンネルのうち、チャンネル数が小さい2つのチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うべき小画像領域に対しては、これらよりもチャンネル数が小さくかつ直近のチャンネルのレーザーダイオード31が画像記録を行うようにする。さらに、残る1つの、チャンネル数が最も大きい非発光状態のチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うべき小画像領域に対しては、該非発光状態のチャンネルよりも1つチャンネル数が大きいチャンネルのレーザーダイオード31が画像記録を行うようにする。
【0107】
図16(b)に示す例であれば、2ch、3ch、4chが連続して非発光状態にあるので、1chのレーザーダイオードが小画像領域im2とim3の画像記録を行い、5chのレーザーダイオードが小画像領域im4の画像記録を行うようにする。
【0108】
具体的には、まず、露光ヘッドが区間0を移動している間に5chのレーザーダイオード31が小画像領域im4の画像記録を行い、引き続いて基準区間である区間1を露光ヘッド5が移動している間に1chと5chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行う。さらに、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間2さらには区間3においても移動させ、1chのレーザーダイオードに小画像領域im2、im3の画像記録を連続して行わせ、5chのレーザーダイオードに小画像領域im6の画像記録を行わせる。
【0109】
図16(c)に示す例であれば、3ch、4ch、5chが連続して非発光状態にあるので、2chのレーザーダイオードが小画像領域im3とim4の画像記録を行い、6chのレーザーダイオードが小画像領域im5の画像記録を行うようにする。
【0110】
具体的には、まず、露光ヘッドが区間0を移動している間に2chと6chのレーザーダイオード31が小画像領域im1とim5の画像記録を行い、引き続いて基準区間である区間1を露光ヘッド5が移動している間に2chと6chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行う。さらに、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間2さらには区間3においても移動させ、2chのレーザーダイオードに小画像領域im3、im4の画像記録を連続して行わせる。
【0111】
すなわち、本実施の形態では、非発光状態のチャンネルが3つ隣接している場合であっても、それらの両端に隣接する発光状態のチャンネルのレーザーダイオード31を利用することによって、画像記録を行うことが出来る。換言すれば、本実施の形態において、画像記録が出来なくなるのは、原則として、4つ以上のチャンネルが隣接して非発光状態となる場合のみである。ただし、例外的に、1chと2chがともに非発光である場合でも画像記録は出来なくなる。
【0112】
しかしながら、このような態様で非発光状態が出現することは、実際には数十個から百個のオーダーでレーザーダイオードを備えるCTP装置においてきわめてレアなケースであるので、本実施の形態によれば、通常の使用態様で非発光状態となるチャンネルが生じたとしても、上記いずれかの態様によって、画像記録を継続することが出来る。
【0113】
<変形例>
上述の実施の形態において、非発光検知手段18はオペレーション電流の電流値に基づいて非発光状態を判定しているが、これに代わり、それぞれのLDユニット30にフォトダイオードを設け、該フォトダイオードが検知した光の光量値に基づいて非発光状態を判定する態様であってもよい。
【0114】
あるいは、非発光検知手段18が非発光状態を検知する態様に代えて、所定のオペレーション電流が各レーザーダイオードに印加されている状態でそれぞれの発光状態を目視で監視あるいは点検し、その結果を図示しない所定の入力手段によって主制御手段11に与え、これに基づいてチャンネル別露光データが生成される態様であってもよい。
【0115】
上述の実施の形態においては、ドラム1の表面に設けた刷版Pが露光対象となっているが、これに代わり、ドラム1の表面自体が被露光体とされ、該表面に形成された像が所定の被転写物に転写されることで像形成が行える態様であってもよい。
【0116】
なお、CTP装置100への刷版Pの搬入・搬出、およびドラム1への刷版Pの着脱などが、図示しない所定の装置によって行われる態様であってもよい。係る場合、これらの処理を制御する制御手段も別途備わることになる。
【符号の説明】
【0117】
1 ドラム
3 ヘッド移動用ボールネジ
4 ヘッド移動用モーター
5 露光ヘッド
6 ドラム駆動手段
11 主制御手段
12 露光データ入力手段
13 ドラム駆動制御手段
14 ヘッド駆動制御手段
15 チャンネル別露光データ生成手段
16 LD制御手段
17 LD駆動手段
18 非発光検知手段
30 LDユニット
31 レーザーダイオード
100 CTP装置
AX 回転軸
IM 露光画像
P 刷版
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザー光源が離散的に配置された露光装置における露光処理に関する。
【背景技術】
【0002】
刷版に対して直接に画像を形成するCTP(Computer To Plate)装置として、露光ヘッド(光源)にレーザーダイオード(LD)を用いたCTP装置が従来より広く知られている。CTP装置の露光方式としては、複数のレーザーダイオードから同時に光を照射して露光を行うマルチビーム方式が広く採用されている。
【0003】
例えば、一方向に連設された複数のレーザーダイオードと、これら複数のレーザーダイオードから照射されたレーザー光を露光位置に結像させるレンズとを備える露光ヘッド(マルチチャンネル光学ヘッド)を有し、刷版を設けたドラム(版胴)を回転させた状態で、露光ヘッドをドラムの軸方向に移動させつつレーザーダイオードからレーザー光を照射することで刷版の略全面を露光する、スパイラル露光方式のCTP装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数のレーザーダイオードを等間隔で離散的に配置した露光ヘッドを有し、刷版を設けたドラム(版胴)を回転させた状態で、該露光ヘッドをドラムの軸方向にレーザーダイオードの間隔に相当する距離だけ移動させつつそれぞれのレーザーダイオードからレーザー光を刷版に直接に照射するようにすることで、同時並行的に複数の部分領域の露光を行い、最終的に刷版の略全面を露光するCTP装置も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−43317号公報
【特許文献2】特開2003−89180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、レーザーダイオードを前半部と後半部の2つにグルーピングし、前半部もしくは後半部のいずれかに属するレーザーダイオードが、破損により発光(点灯)しなくなった場合、それぞれ後半部もしくは前半部に属するレーザーダイオードのみを用いて露光を行うようにすることで、たとえ破損が生じても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに露光を継続的に行える技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、この方式の場合、前半部と後半部のそれぞれに属するレーザーダイオードが点灯しなくなった場合には露光を行うことができないという問題がある。
【0008】
また、そもそも係る方式は、特許文献1に開示されているような、スパイラル露光方式のCTP装置を対象とするものである。特許文献2に開示されているような、複数のレーザーダイオードが離散配置されてなるCTP装置においては、露光の際の個々のレーザーダイオードの移動範囲が制限されているために、例えば前半部のレーザーダイオードで後半部のレーザーダイオードが本来露光するべき領域まで露光するといった、特許文献1に開示されているような手法を適用することが出来ない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のレーザーダイオードが離散配置されてなるCTP装置であって、レーザーダイオードのいくつかが破損等の理由によって発光しない状態が生じても、継続的に使用可能なCTP装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被露光体を露光する露光装置であって、被露光体を保持する保持体と、露光用光を同時に出射可能な複数の光源と、前記複数の光源を前記被露光体に沿う配置方向に等間隔に離散配置してなる露光ヘッドと、前記露光ヘッドを前記被露光体に沿って移動させる移動手段と、被露光体に対する露光の内容を記述した全体露光データを取得する露光データ入力手段と、前記全体露光データに基づき、前記複数の光源のそれぞれにおける露光内容を記述したチャンネル別露光データを生成するチャンネル別露光データ生成手段と、前記チャンネル別露光データの記述内容に従って露光用光を出射するように前記複数の光源を制御する露光制御手段と、を備え、前記複数の光源が全て発光状態にある場合には、前記複数の光源の全てから出射される前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって前記複数の光源の間隔に略一致する距離の基準区間の間でのみ前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記複数の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成し、前記複数の光源の一部が非発光状態である場合には、前記基準区間に加えて、前記基準区間の前後の少なくとも一方において前記基準区間に連続的に設けられ、前記基準区間の自然数倍の距離を有する補完区間においても前記露光ヘッドを移動させるようにしながら、前記非発光状態である光源の存在位置に基づいて前記複数の光源の中から定められた発光状態にある特定の光源からの前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって、前記基準区間および前記補完区間において前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記特定の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の露光装置において、前記複数の光源が非発光状態にあることを検知する非発光検知手段、をさらに備え、前記非発光検知手段の検知内容に基づいて、前記露光ヘッドの移動範囲と露光に使用する前記特定の光源とが定められる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の露光装置において、前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、前記複数の光源のうち非発光状態にある光源が前記配置方向における配置順が奇数番目もしくは偶数番目の光源のみである場合には、非発光状態にある光源と配置順における偶奇が反対の光源のみを用いて露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の露光装置において、前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれの光源も隣接しない場合には、前記非発光状態にある光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源に隣接するいずれかの光源によって露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の露光装置において、前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれか2つの光源が隣接する場合には、前記非発光状態にある隣接した光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間にそれぞれの前記非発光状態にある光源に隣接する発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の露光装置において、前記基準区間の後の前記補完区間の距離を、前記基準区間の距離よりも長くしてなる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1または請求項2に記載の露光装置において、前記基準区間の後に前記補完区間が設定されてなり、非発光状態にある光源が存在する場合に、非発光状態の光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源の直近の発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし請求項7の発明によれば、複数の光源のうちの一部に破損等の理由により非発光状態のものがあったとしても、交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係るCTP装置100の主たる動作部分を示す斜視図である。
【図2】CTP装置100の動作制御に係る要素を模式的に示すブロック図である。
【図3】CTP装置100における画像記録の際の基本的動作を説明する図である。
【図4】CTP装置100における画像記録の際の基本的動作を説明する図である。
【図5】露光ヘッド5の位置と、露光によって記録される小画像との関係を示す図である。
【図6】正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【図7】非発光状態のチャンネルがある第1の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図8】非発光状態のチャンネルがある第2の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図9】非発光状態のチャンネルがある第2の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図10】非発光状態のチャンネルがある第3の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図11】非発光状態のチャンネルがある第3の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図12】変形例を示す図である。
【図13】第2の実施形態の正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【図14】非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【図15】第3の実施形態の正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【図16】第3の実施形態に特徴的なパターンで非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
<装置概要>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るCTP装置100の主たる動作部分を示す斜視図である。CTP装置100は、ドラム1の側面に配設された被露光体としての刷版Pの表面に、露光ヘッド5に備わるレーザー光源から、所定の露光データに基づく画素単位でのon/offを行いつつレーザー光を照射することによって、被露光体としての刷版Pの表面の感光材料を感光させて、露光画像を形成する装置である。すなわち、CTP装置100は、露光装置としての機能を有する装置である。特に、本実施の形態に係るCTP装置100は、後述するように、等間隔で離散的に配置したN個(Nは自然数)のレーザーダイオード31から同時にレーザー光を照射することで、同時並行的に複数の部分領域(小画像)の露光を行い、最終的に刷版の略全面に一の露光画像(大画像)を露光するように構成されてなる。
【0020】
ドラム1は、ドラム駆動手段6(例えば駆動モーター)によって駆動されることで回転軸AXを中心に回転する円筒形の部材である。
【0021】
露光ヘッド5は、N個のLDユニット30が回転軸AXに平行な方向に沿って一定の間隔wで離散的に配置された構造を有する。それぞれのLDユニット30はレーザー光源としてのレーザーダイオード(LD)31を備えている。すなわち、露光ヘッド5には、N個のレーザーダイオード31が設けられてなる。なお、本実施の形態に係るCTP装置100では、レーザーダイオード31とドラム1(あるいはその側面に配設される刷版P)との間にレンズやキャリブレーションセンサーは設けられてはいない。すなわち、レーザーダイオード31から出射した光が直接に刷版Pに照射されるようになっている。
【0022】
また、露光ヘッド5は、ヘッド移動用ボールネジ3およびヘッド移動用モーター4の動作によって、図示しない露光ヘッドガイドに沿って回転軸AXと平行な方向(副走査方向)に案内されるようになっている。
【0023】
なお、本実施の形態に係るCTP装置100においては、露光ヘッド5の移動範囲として、レーザーダイオード31同士の間隔wのk倍(kは2以上の自然数)の距離kyが確保される。ここで、kの値は、後述する、レーザーダイオード31が非発光状態にあるときの処理態様に応じて適宜に定められてよいが、現実的な値としては、k=3かあるいはk=4である。
【0024】
なお、本実施の形態においては、露光ヘッド5に設けられたN個のレーザーダイオード31を、露光ヘッド5の一方端側に設けられたものから順に、1チャンネル(1ch)のレーザーダイオード31、2チャンネル(2ch)のレーザーダイオード31、・・・Nチャンネル(Nch)のレーザーダイオード31などと称するか、あるいは単に、1ch、2ch、・・・Nchなどと称することとする。また、各チャンネル(各ch)のレーザーダイオードが発光/非発光状態にあることを単に、各チャンネルが発光/非発光状態にある、とも称することがある。
【0025】
図2は、CTP装置100の動作制御に係る要素を模式的に示すブロック図である。主制御手段11と、露光データ入力手段12と、ドラム駆動制御手段13と、ヘッド駆動制御手段14と、チャンネル別露光データ生成手段15と、LD制御手段16と、LD駆動手段17と、非発光検知手段18とを、さらに備える。
【0026】
主制御手段11は、例えば図示しないCPU、ROM、RAMなどから構成され、CTP装置100の全体の動作を統括制御する。露光データ入力手段12は、露光の際のレーザー光のon/off情報(つまりは露光画像の2値化情報に相当)を画素単位で記述した露光データを取得する。通常は、1枚の刷版Pに形成すべき露光画像(大画像)ごとに1つの露光データが与えられる。ドラム駆動制御手段13は、ドラム駆動手段6によるドラムの回転動作を制御する。ヘッド駆動制御手段14は、ヘッド移動用ボールネジ3やヘッド移動用モーター4の動作を制御する。チャンネル別露光データ生成手段15は、露光データ入力手段12によって取得された露光データの記述内容に基づいて、各chのレーザーダイオード31によるレーザー光のon/off動作内容を記述したチャンネル別露光データを生成する。つまりは、N個のチャンネルに露光データの内容を振り分ける。LD制御手段16は、チャンネル別露光データに基づいて所定の電圧値のパワー電圧をLD駆動手段17に印加することにより、LD駆動手段17によるレーザーダイオード31の発光を制御する。LD駆動手段17は、LD制御手段16によって印加されるパワー電圧に応じた所定の電流値のオペレーション電流をレーザーダイオード31に与えることによって、レーザーダイオード31を発光させる。
【0027】
係るCTP装置100においては、チャンネル別露光データをあらかじめ保持した主制御手段11が、ドラム駆動制御手段13、ヘッド駆動制御手段14、LD制御手段16に所定の制御指示を与えることによって、ドラム1の回転に同期させて露光ヘッド5を副走査方向に移動させるとともに、チャンネル別露光データの記述内容に応じたon/offタイミングで各レーザーダイオード31におけるレーザー光の発光を生じさせることで、ドラム1が保持する刷版Pへの露光画像の形成が実現される。
【0028】
また、CTP装置100においては、非発光検知手段18が、各レーザーダイオード31の発光状態を監視し、あるレーザーダイオード31が発光していないと判断されるときに、これを特定する信号を主制御手段11に伝達する。CTP装置100においては、レーザーダイオード31に対してオペレーション電流を所定値以上流した時点でレーザーダイオード31の発光が所定光量に達しない場合に、レーザーダイオード31が非発光状態にあると判断するものとする。具体的には、非発光検知手段18がLD駆動手段17からレーザーダイオード31に出力されるオペレーション電流の電流値を監視し、該電流値が所定の値以上に達したときに、所定の検知信号を主制御手段11に与える。
【0029】
<画像記録の基本的動作>
図3および図4は、CTP装置100における画像記録の際の基本的動作を説明する図である。図3および図4においては、説明の簡単のため、露光ヘッド5にa1チャンネル〜a4チャンネルの4個のレーザーダイオード31が回転軸AXに平行に等間隔wで設けられているとする場合(N=4の場合)を例として説明する。また、主制御手段11があらかじめ、露光データ入力手段12が取得した露光データに基づいて、チャンネル別露光データ生成手段15に、チャンネル別露光データを生成させ、これを保持しているものとする。なお、ここで説明する内容は、後述する基準画像記録に相当する。
【0030】
まず、ドラム駆動制御手段13がドラム駆動手段6を駆動させてドラム1を回転軸AXを中心としてX1方向(主走査方向)に所定の速度で回転させるとともに、係る回転に同期させながら、ヘッド駆動制御手段14が、ドラム1が1回転する間に距離yだけ移動するような速度で、露光ヘッド5が回転軸AXに平行な副走査方向(Y方向)に移動させる。ただし、w=myなる関係をみたすものとする(mは2以上の自然数)。
【0031】
LD制御手段16は、チャンネル別露光データの記述内容に基づくon/offタイミングで所定の電圧値のパワー電圧をLD駆動手段17に印加することにより、露光に必要な光量でのレーザー発光が生じるだけの所定の電流値のオペレーション電流をa1チャンネルないしa4チャンネルの各レーザーダイオード31に与え、それぞれのレーザーダイオード31から、光ビーム(露光用光)b1ないしb4を出射させる。
【0032】
これにより、ドラム1が1回転するたびに、a1チャンネルないしa4チャンネルのそれぞれのレーザーダイオード31から出射されたレーザー光によって、ピッチ(副走査方向における解像度の逆数に相当)がyのチャンネル別露光データに従った露光画像が形成される。ドラム1の回転、露光ヘッド5の移動、およびレーザー光の照射を継続することで、図4に示すように、小画像領域im1ないしim4に露光画像(小画像)がそれぞれ形成されていく。露光ヘッド5が副走査方向に原点位置Y0から距離(m−1)y=w−yだけ移動したときに、画像記録を終了する。この時点では、副走査方向であるY方向に並んだ小画像領域im1ないしim4のそれぞれに形成された小画像が順に隣接した状態が実現されている。すなわち、全体として、1つの露光画像IMの画像記録が完了したことになる。
【0033】
なお、w=myなる関係をみたすようにされてなるので、異なるレーザーダイオード31からのレーザー光によって形成されたものも含め、全ての走査線のピッチはyで一定である。従って、小画像領域im1ないしim4に形成された小画像同士の隙間が認識されることはなく、1つの露光画像(大画像)IMが複数の小画像から構成されていると判別されることはない。
【0034】
<画像記録処理>
次に、CTP装置100において実行される具体的な画像記録処理の態様について説明する。本実施の形態においては、露光ヘッド5に備わるレーザーダイオード31のいくつかが非発光状態になったとしても、所定範囲であれば継続的に画像記録処理が実行可能とされてなる点で特徴的である。
【0035】
図5は、露光ヘッド5の位置と、露光によって記録される小画像との関係を示す図である。以下においては、k=3の場合、つまりは、露光ヘッド5がレーザーダイオード31同士の間隔wの3倍の距離を移動可能であるように構成されてなる場合を対象として説明を行う。より具体的には、図5に示すように、露光ヘッド5が、いずれも距離wで等距離の区間0、区間1、および区間2を移動可能であるとする。これにより、露光ヘッド5は、合計で3wの距離を移動可能とされてなる。
【0036】
また、以下においては、N=6の場合、すなわち、1ch〜6chの6個のレーザーダイオード31が設けられてなる場合であって、かつ、6つの小画像領域im1〜im6のそれぞれに形成される小画像を構成部分として露光画像の全体(大画像)が記録される場合を例として説明する。
【0037】
さらに、図5は、露光ヘッド5の移動区間と、各chからのレーザー光の発光によってそれぞれに小画像が形成される小画像領域との対応関係(チャンネル−小画像領域対応関係)を表している。
【0038】
本実施の形態においては、レーザーダイオード31が全て正常に発光する状態であれば、露光ヘッド5が区間1のみを移動すれば画像記録が完了するようにされてなるものとする。以下、係る区間1を基準区間と称し、基準区間において行う画像記録を基準画像記録と称することがある。
【0039】
すなわち、露光ヘッド5が区間1を移動する間において、1chのレーザーダイオード31が小画像領域im1に、2chのレーザーダイオード31が小画像領域im2に、3chのレーザーダイオード31が小画像領域im3に、4chのレーザーダイオード31が小画像領域im4に、5chのレーザーダイオード31が小画像領域im5に、6chのレーザーダイオード31が小画像領域im6にそれぞれ画像記録を行う態様が、基準画像記録に相当する。換言すれば、基準画像記録とは、基準区間において各チャンネルのレーザーダイオード31が行う画像記録は、同じ番号が付された小画像領域を対象として行われるものであるともいえる。
【0040】
一方、区間0や区間2は、後述するように、非発光状態のレーザーダイオード31が存在する場合に、使用されることになる。例えば、露光ヘッドが区間2を移動する場合についてみれば、1chのレーザーダイオード31が小画像領域im2に画像記録を行い、5chのレーザーダイオード31が小画像領域im6に画像記録を行うことができるようになっている。なお、区間0は露光ヘッド5が基準区間である区間1を移動する前に移動する区間であるので、前補完区間と称し、区間2は露光ヘッド5が基準区間である区間1を移動した後に移動する区間であるので、後補完区間と称することがある。これらの補完区間は、基準区間の前後において、基準区間に対して連続的に設けられているということもできる。
【0041】
(正常態様)
まず、露光ヘッド5に備わるレーザーダイオード31が全て正常に発光する状態における態様(正常態様)について説明する。図6は、係る場合のヘッド移動区間と、1ch〜6chの各レーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。図6および以降の各図において、ヘッド移動区間という項目中の矢印は、当該区間において露光ヘッド5が移動することを示しており、×印は、露光ヘッド5が移動しないことを示している。また、各チャンネルの記録対象という項目中に小画像領域の符号im1などを四角で囲んだものは、当該チャンネルのレーザーダイオード31によって該小画像領域に対する画像記録が行われることを示しており、×印は、画像記録が行われないことを示している。
【0042】
この正常態様においては、全chが発光状態にあるので、非発光検知手段18から非発光状態にあるレーザーダイオード31を特定する検知信号は主制御手段11に与えられない。この場合、上述の基準画像記録のみが行われればよいので、チャンネル別露光データ生成手段15は、露光データに基づき、基準画像記録が行われるように各chに画像記録内容を割り当てた、チャンネル別露光データを生成する。主制御手段11が、係るチャンネル露光別データに従った画像記録が行われるように、ドラム駆動制御手段13、ヘッド駆動制御手段14、LD制御手段16に所定の制御指示を与え、各制御手段が、これに応答してそれぞれの制御対象を制御することで、画像記録が実現される。
【0043】
(非発光チャンネルがある場合の態様1)
次に、いずれかのレーザーダイオード31が非発光状態にある場合(非発光状態のチャンネルがある場合)の処理態様について、該当するチャンネルの存在位置のパターンごとに順次に説明する。
【0044】
いずれの場合も、チャンネル別露光データ生成手段15によってそれぞれのパターンに対応したチャンネル露光別データが生成され、主制御手段11が、該チャンネル露光別データに従った画像記録が行われるように、ドラム駆動制御手段13、ヘッド駆動制御手段14、LD制御手段16に所定の制御指示を与え、各制御手段が、これに応答してそれぞれの制御対象を制御することで、画像記録が実現される。
【0045】
図7は、そのうちの、まず第1の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。なお、図7および以降の各図においては、各chのレーザーダイオード31が基準区間以外で画像記録を行う小画像領域については、二重線で囲んで示している。
【0046】
図7(a)は、ある1つの偶数chのみ(図7においては2ch)が非発光状態にある場合を示している。この場合、奇数chのみを用いて画像記録を行うようにする。
【0047】
具体的には、露光ヘッド5が区間1および区間2を移動するとともに、奇数chのレーザーダイオード31が連続する2つの小画像領域への画像記録を行うようにする。すなわち、図7(a)に示す場合であれば、1ch、3ch、5chのレーザーダイオード31が、露光ヘッド5が基準区間である区間1を移動する間に小画像領域im1、im3、im5への画像記録(基準画像記録)をそれぞれ行い、引き続き露光ヘッド5が後補完区間である区間2を移動する間に小画像領域im2、im4、im6への画像記録を行うように、チャンネル別露光データ生成手段15はチャンネル別露光データを生成する。これは、チャンネル別露光データ生成手段15が、正常態様であれば2ch、4ch、6chのレーザーダイオードが担うべき小画像領域im2、im4、im6への画像記録の内容を、1ch、3ch、5ch、に振り分けていることに相当する。
【0048】
なお、厳密にいえば、各区間においては露光ヘッド5が距離w−yだけ移動すれば該区間に対応する画像記録は終了するが、さらに次の区間に移動するには、あと距離yだけ移動して次の区間の始点位置に達する必要がある。以降においては、簡単のために各区間において距離wだけ移動することによって画像記録が行われるものとみなして説明する。
【0049】
図示は省略するが、ある1つの奇数chのみが非発光状態にある場合であれば、露光ヘッド5が前補完区間である区間0および基準区間である区間1を連続して移動する間に、偶数chのレーザーダイオード31が連続する2つの小画像領域への画像記録を行うようにすればよい。
【0050】
さらに、図7(b)および(c)に示すように、非発光状態のレーザーダイオード31が奇数chのみ、あるいは偶数chのみであれば、その数に関係なく(仮に全て非発光となっても)、上述と同様の態様で画像記録を行うことが出来る。
【0051】
すなわち、非発光検知手段18による検知の結果、偶数chもしくは奇数chのみが非発光状態である場合には、チャンネル別露光データ生成手段15が、それぞれ、奇数chあるいは偶数chのみで露光を行うように、チャンネル別露光データを生成する。
【0052】
該チャンネル露光別データに従って、露光ヘッドを基準区間のみならず前補完区間あるいは後補完区間の一方においても移動させつつ画像記録が行われることで、上述のような位置パターンで非発光状態のレーザーダイオード31があっても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【0053】
(非発光チャンネルがある場合の態様2)
図8および図9は、非発光状態のチャンネルがある第2の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。図8および図9は、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれも隣接しない場合を例示している。
【0054】
係る場合、原則的には、非発光状態にあるチャンネルのレーザーダイオード31が本来(正常態様であれば)、画像記録を行うはずの小画像領域については、該チャンネルよりもチャンネル数が1つ小さい(図8においては左隣の)チャンネルのレーザーダイオード31が、露光ヘッド5が後補完区間である区間2を移動している間に画像記録を行うようにする。
【0055】
例えば、図8(a)に示すように、2chと5chが非発光状態にある場合であれば、まず、露光ヘッド5が区間1を移動している間に1ch、3ch、4ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im3、im4、im6にそれぞれ画像記録を行い、引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に1chと4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2とim5とに画像記録を行うようにする。
【0056】
ただし、図8(b)に示すように、1chが非発光状態にある場合には、この原則では対応できないので、この場合には、非発光状態にあるチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うはずの小画像領域については、該チャンネルよりもチャンネル数が1つ大きい(図8においては右隣の)チャンネルのレーザーダイオード31が、露光ヘッド5が前補完区間である区間0を移動している間に画像記録を行うようにする。
【0057】
例えば、図8(b)に示すように、1chと4chが非発光状態にある場合であれば、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に2chと5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1とim4に画像記録を行い、引き続き露光ヘッド5を区間1において移動させ、その間に2ch、3ch、5ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im3、im5、im6にそれぞれ画像記録を行うようにする。
【0058】
なお、図9に示すように、1chとNch(図9においては6ch)という露光ヘッド5の両端のチャンネルのみが非発光状態にある場合は、両チャンネルについては、左右一方隣のみのチャンネルによる画像記録を行うことはできない。この場合は、さらに例外的に、まず、露光ヘッド5を前補完区間である区間0において移動させ、その間に2chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1に画像記録を行い、引き続き露光ヘッド5を区間1において移動させ、その間に2ch、3ch、4ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im3、im4、im5にそれぞれ画像記録を行う。さらに引き続き後補完区間である区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im6に画像記録を行うようにする。
【0059】
いずれにせよ、非発光検知手段18による検知の結果、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれも隣接しない場合には、チャンネル別露光データ生成手段15は、非発光状態にあるチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うはずの小画像領域について、隣接するいずれかのチャンネルのレーザーダイオード31によって画像記録を行うように、チャンネル別露光データを生成する。
【0060】
該チャンネル露光別データに従って、露光ヘッドを基準区間のみならず前補完区間あるいは後補完区間の少なくとも一方においても移動させつつ画像記録が行われることで、上述のような位置パターンで非発光状態のレーザーダイオード31があっても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【0061】
(非発光チャンネルがある場合の態様3)
図10および図11は、非発光状態のチャンネルがある第3の場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。図10および図11は、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれか2つのチャンネルが隣接する場合を例示している。
【0062】
係る場合、非発光状態であって、かつ隣にも非発光状態のチャンネルがあるレーザーダイオード31が本来(正常態様であれば)、画像記録を行うはずの小画像領域については、逆隣の発光状態にあるレーザーダイオード31が画像記録を行うようにする。
【0063】
例えば、図10(a)に示すように、2chと3chが非発光状態にある場合であれば、それぞれに隣接する1chと4chのレーザーダイオード31が、小画像領域im2とim3の画像記録をそれぞれ行うようにする。
【0064】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、4ch、5ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im4、im5、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、1chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2に画像記録を行うようにする。
【0065】
同様に、図10(b)に示すように、3chと4chが非発光状態にある場合であれば、それぞれに隣接する2chと5chのレーザーダイオード31が、小画像領域im3とim4に対する画像記録をそれぞれ行うようにする。
【0066】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im4に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、2ch、5ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im2、im5、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、2chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行うようにする。
【0067】
なお、図10(c)、(d)、および図11に示すように、隣接し合う非発光状態のチャンネルに加えて、隣に非発光状態のチャンネルがない非発光状態のチャンネルがある場合には、それらのチャンネルが本来、画像記録を行うべき小画像領域については、上述した(態様2)と同様の処理を行えばよい。
【0068】
例えば図10(c)に示すように、隣接する2ch、3chに加えて、5chが非発光状態にある場合であれば、4chのレーザーダイオード31が小画像領域im5に対する画像記録を行うようにする。
【0069】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、4ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im4、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、1ch、4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im5にそれぞれ画像記録を行うようにする。
【0070】
また、図10(d)に示すように、隣接する4ch、5chに加えて、1chが非発光状態にある場合には、2chのレーザーダイオード31が、小画像領域im1に対する画像記録を行うようにする。
【0071】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に2ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im5にそれぞれ画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に2ch、3ch、6chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im3、im6のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、3chのレーザーダイオード31によって小画像領域im4に画像記録を行うようにする。
【0072】
さらに、図11に示すように、隣接する2つのチャンネル(3ch、4ch)が非発光状態にあり、かつ露光ヘッド5の両端のチャンネル(1ch、6ch=Nch)も非発光状態にある場合には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im1、im4にそれぞれ画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に同じく2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im5のそれぞれに対する画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、三たび2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3、im6にそれぞれ画像記録を行うようにする。
【0073】
いずれにせよ、非発光検知手段18による検知の結果、非発光状態のレーザーダイオード31に偶数chのものと奇数chのものとが混在し、かついずれか2つのチャンネルが隣接する場合には、チャンネル別露光データ生成手段15は、非発光状態であって、かつ隣にも非発光状態のチャンネルがあるレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うはずの小画像領域については、逆隣の発光状態にあるレーザーダイオード31が画像記録を行うように、チャンネル別露光データを生成する。
【0074】
さらに、隣接し合う非発光状態のチャンネルに加えて、隣に非発光状態のチャンネルがない非発光状態のチャンネルがある場合には、上述の(態様2)と同様の処理が行われるようにチャンネル別露光データを生成する。
【0075】
該チャンネル露光別データに従って、露光ヘッドを基準区間のみならず前補完区間あるいは後補完区間の両方においても移動させつつ画像記録が行われることで、上述のような位置パターンで非発光状態のレーザーダイオード31があっても、レーザーダイオードの交換時まで装置を停止させずに画像記録処理を継続的に行うことが出来る。
【0076】
(態様3の変形例)
非発光状態のチャンネルが図10(a)や(b)のようなパターンで検知された場合、より少ないチャンネルのみを用いて画像記録を行うことが可能である。図12は、これを説明する図である。
【0077】
図12(a)は、図10(a)と同じく、2chと3chとが非発光状態と検知された場合の、異なる画像記録処理の態様を示している。
【0078】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、4ch、6chのレーザーダイオード31によって基準画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、1ch、4chのレーザーダイオード31によって小画像領域im2、im5に画像記録を行うようにする。
【0079】
係る場合、画像記録に使用できる5chのレーザーダイオード31を使用しない点で、図10(a)と相違する。図12(a)の例は、1chが小画像領域im2に対して画像記録を行うために、露光ヘッド5が後補完区間である区間2をも移動する必要があることを利用して、区間0、区間1を移動する間に小画像領域im3、im4に対する画像記録を行った4chのレーザーダイオード31を、区間2においてそのまま小画像領域im5における形成にも使用したものである。
【0080】
同様に、図12(b)は、図10(b)と同じく、3chと4chとが非発光状態と検知された場合の、異なる画像記録処理の態様を示している。
【0081】
具体的には、まず、露光ヘッド5を区間0において移動させ、その間に5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im4に画像記録を行い、引き続き区間1において露光ヘッド5を移動させ、その間に1ch、2ch、5chのレーザーダイオード31によって基準画像記録を行うようにする。さらに引き続き区間2においても露光ヘッド5を移動させ、その間に、2ch、5chのレーザーダイオード31によって小画像領域im3、im6に画像記録を行うようにする。
【0082】
係る場合、画像記録に使用できる6chのレーザーダイオード31を使用しない点で、図10(b)と相違する。図12(b)の例は、2chが小画像領域im3に対して画像記録を行うために、露光ヘッド5が後補完区間である区間2をも移動する必要があることを利用して、区間0、区間1を移動する間に小画像領域im4、im5に対する画像記録に用いていた5chのレーザーダイオード31を、区間2においてそのまま小画像領域im6における形成にも使用したものである。
【0083】
これらの態様の場合、図10(a)、(b)の場合と露光ヘッド5の移動距離自体は同じであるが、発光させるレーザーダイオード31の個数は、少なくて済む、という利点がある。
【0084】
(画像記録が継続できない場合)
上述したように、非発光状態のチャンネルが2つ隣接している場合であっても、それぞれに隣り合う発光状態のチャンネルのレーザーダイオード31を利用することによって、画像記録を行うことが出来る。換言すれば、本実施の形態において、画像記録が出来なくなるのは、原則として、3つ以上のチャンネルが隣接して非発光状態となる場合のみである。ただし、例外的に、露光ヘッド5の両端については、2つのチャンネルが隣接している場合でも画像記録は出来なくなる。
【0085】
しかしながら、このような態様で非発光状態が出現することは、実際には数十個から百個のオーダーでレーザーダイオードを備えるCTP装置においてきわめてレアなケースであるので、本実施の形態によれば、通常の使用態様で非発光状態となるチャンネルが生じたとしても、上記いずれかの態様によって、画像記録を継続することが出来る。
【0086】
<第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態においては、区間1を基準区間として画像記録を行うことを前提としているが、CTP装置100における画像記録の態様はこれに限られるものではない。
【0087】
図13は、本実施の形態における正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【0088】
すなわち、本実施の形態に係るCTP装置100においては、正常態様の場合に、露光ヘッド5が区間0のみを移動して画像記録を行うように、露光ヘッド5の移動可能範囲が定められてなるものとする。すなわち、区間0が基準区間とされ、露光ヘッド5が区間0を移動する間に行う画像記録が、基準画像記録であるものとする。従って、区間1および区間2が後補完区間ということになる。
【0089】
図14は、本実施の形態において、非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【0090】
本実施の形態においては、原則として、非発光状態のチャンネルが存在する場合、該チャンネルよりもチャンネル数が小さく、かつ直近のチャンネルのレーザーダイオードが、非発光状態のチャネルのレーザーダイオードが本来、画像記録を行うべき小画像領域に対して画像記録を行うように、チャンネル別露光データが生成されるようにする。
【0091】
例えば、図14(a)に示す場合であれば、2chが非発光状態にあるので、露光ヘッドが基準区間である区間0を移動している間に1ch、3ch、4ch、5ch、6chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間1においても移動させ、2chよりも1つチャンネル数の小さい1chのレーザーダイオードが小画像領域im2の画像記録を行うようにする。
【0092】
また、図14(b)に示す場合であれば、3chと5chとが非発光状態にあるので、露光ヘッドが基準区間である区間0を移動している間に1ch、2ch、4ch、6chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間1においても移動させ、2chと4chのレーザーダイオードが小画像領域im3とim5の画像記録をそれぞれ行うようにする。
【0093】
あるいは、図14(c)に示す場合であれば、5chと6chとが隣接して非発光状態にあるので、露光ヘッドが基準区間である区間0を移動している間に1ch、2ch、3ch、4chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間1さらには区間2においても移動させ、4chのレーザーダイオードに小画像領域im5、im6の画像記録を連続して行わせる。本実施の形態では後補完区間が区間1と区間2の2区間あるので、係る態様での画像記録を行うことができる。
【0094】
すなわち、本実施の形態においても、非発光状態のチャンネルが2つ隣接している場合であっても、画像記録を行うことが出来る。本実施の形態において、画像記録が出来なくなるのは、原則として、3つ以上のチャンネルが隣接して非発光状態となる場合のみである。ただし、例外的に、1chが非発光状態にある場合でも画像記録は出来なくなる。
【0095】
しかしながら、このような態様で非発光状態が出現することは、実際のCTP装置においてはきわめてレアなケースであるので、本実施の形態の場合も、通常の使用態様で非発光状態となるチャンネルが生じたとしても、上記いずれかの態様によって、画像記録を継続することが出来る。
【0096】
<第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態においては、露光ヘッド5が区間0、区間1、区間2の3区間(距離3w)の範囲内を移動するようになっており、かつ、区間1を基準区間として画像記録を行うことを前提としているが、CTP装置100における露光ヘッド5の移動態様はこれに限られるものではない。
【0097】
図15は、本実施の形態の正常態様における、ヘッド移動区間と、各chのレーザーダイオード31の発光/非発光状態と、各chにおける画像記録内容との関係を表す図である。
【0098】
図15に示すように、本実施の形態に係るCTP装置100おいては、区間1を基準区間として画像記録を行われる点は第1の実施の形態と同様であるが、後補完区間において区間2の先にさらに区間3が設けられてなる点で相違する。すなわち、本実施の形態に係るCTP装置100においては、k=4、つまりは露光ヘッド5が距離4wの範囲内を移動するようになっている。
【0099】
なお、上述のように、本実施の形態においても、区間1を基準区間とし、さらに区間0および区間2を含むことから、第1の実施の形態と同様に、これらの区間のみを用いた画像記録は可能である。従って、それらについての説明は省略する。
【0100】
図16は、本実施の形態に特徴的なパターンで非発光状態のチャンネルがある場合における、各chの発光状態と各chにおける画像記録内容との関係を例示する図である。
【0101】
まず、図16(a)に示すのは、第1の実施の形態における図10(c)の場合と同様のパターンで非発光状態のチャンネルが存在する場合である。
【0102】
本実施の形態においては、図16(a)のように隣接する2つのチャンネルが非発光状態にある場合(図16(a)においては2chと3ch)、これらよりもチャンネル数が小さくかつ直近のチャンネル(図16(a)においては1ch)のレーザーダイオード31が、非発光状態のチャネルのレーザーダイオードが本来、画像記録を行うべき小画像領域に対して画像記録を行うように、チャンネル別露光データが生成されるようにする。
【0103】
図16(a)に示す例であれば、2ch、3chに加えて、5chも非発光状態であるので、露光ヘッドが基準区間である区間1を移動している間に1chと4chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行った後、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間2さらには区間3においても移動させ、1chのレーザーダイオードに小画像領域im2、im3の画像記録を連続して行わせ、4chのレーザーダイオードに小画像領域im5、im6の画像記録を連続して行わせる。
【0104】
なお、図16(a)に示す例では6chは発光状態であるので、6chについても、基準画像記録を行わせてもよいが、そもそも1chに小画像領域im3の画像記録を行わせるべく露光ヘッド5を区間3において移動させる必要があり、6chの使用にかかわらず露光ヘッド5の移動距離は変わらないことから、発光させるレーザーダイオードの数が少ない、図16(a)に示す態様の方が好ましいといえる。
【0105】
また、本実施の形態においては、第1の実施の形態においては画像記録を継続できなかった、非発光状態のチャンネルが3つ連続する場合であっても、画像記録を行うことが出来る。図16(b)、(c)がこれを示す図である。
【0106】
係る場合、連続した3つの非発光状態のチャンネルのうち、チャンネル数が小さい2つのチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うべき小画像領域に対しては、これらよりもチャンネル数が小さくかつ直近のチャンネルのレーザーダイオード31が画像記録を行うようにする。さらに、残る1つの、チャンネル数が最も大きい非発光状態のチャンネルのレーザーダイオード31が本来、画像記録を行うべき小画像領域に対しては、該非発光状態のチャンネルよりも1つチャンネル数が大きいチャンネルのレーザーダイオード31が画像記録を行うようにする。
【0107】
図16(b)に示す例であれば、2ch、3ch、4chが連続して非発光状態にあるので、1chのレーザーダイオードが小画像領域im2とim3の画像記録を行い、5chのレーザーダイオードが小画像領域im4の画像記録を行うようにする。
【0108】
具体的には、まず、露光ヘッドが区間0を移動している間に5chのレーザーダイオード31が小画像領域im4の画像記録を行い、引き続いて基準区間である区間1を露光ヘッド5が移動している間に1chと5chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行う。さらに、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間2さらには区間3においても移動させ、1chのレーザーダイオードに小画像領域im2、im3の画像記録を連続して行わせ、5chのレーザーダイオードに小画像領域im6の画像記録を行わせる。
【0109】
図16(c)に示す例であれば、3ch、4ch、5chが連続して非発光状態にあるので、2chのレーザーダイオードが小画像領域im3とim4の画像記録を行い、6chのレーザーダイオードが小画像領域im5の画像記録を行うようにする。
【0110】
具体的には、まず、露光ヘッドが区間0を移動している間に2chと6chのレーザーダイオード31が小画像領域im1とim5の画像記録を行い、引き続いて基準区間である区間1を露光ヘッド5が移動している間に2chと6chのレーザーダイオード31がそれぞれ基準画像記録を行う。さらに、露光ヘッド5をさらに後補完区間である区間2さらには区間3においても移動させ、2chのレーザーダイオードに小画像領域im3、im4の画像記録を連続して行わせる。
【0111】
すなわち、本実施の形態では、非発光状態のチャンネルが3つ隣接している場合であっても、それらの両端に隣接する発光状態のチャンネルのレーザーダイオード31を利用することによって、画像記録を行うことが出来る。換言すれば、本実施の形態において、画像記録が出来なくなるのは、原則として、4つ以上のチャンネルが隣接して非発光状態となる場合のみである。ただし、例外的に、1chと2chがともに非発光である場合でも画像記録は出来なくなる。
【0112】
しかしながら、このような態様で非発光状態が出現することは、実際には数十個から百個のオーダーでレーザーダイオードを備えるCTP装置においてきわめてレアなケースであるので、本実施の形態によれば、通常の使用態様で非発光状態となるチャンネルが生じたとしても、上記いずれかの態様によって、画像記録を継続することが出来る。
【0113】
<変形例>
上述の実施の形態において、非発光検知手段18はオペレーション電流の電流値に基づいて非発光状態を判定しているが、これに代わり、それぞれのLDユニット30にフォトダイオードを設け、該フォトダイオードが検知した光の光量値に基づいて非発光状態を判定する態様であってもよい。
【0114】
あるいは、非発光検知手段18が非発光状態を検知する態様に代えて、所定のオペレーション電流が各レーザーダイオードに印加されている状態でそれぞれの発光状態を目視で監視あるいは点検し、その結果を図示しない所定の入力手段によって主制御手段11に与え、これに基づいてチャンネル別露光データが生成される態様であってもよい。
【0115】
上述の実施の形態においては、ドラム1の表面に設けた刷版Pが露光対象となっているが、これに代わり、ドラム1の表面自体が被露光体とされ、該表面に形成された像が所定の被転写物に転写されることで像形成が行える態様であってもよい。
【0116】
なお、CTP装置100への刷版Pの搬入・搬出、およびドラム1への刷版Pの着脱などが、図示しない所定の装置によって行われる態様であってもよい。係る場合、これらの処理を制御する制御手段も別途備わることになる。
【符号の説明】
【0117】
1 ドラム
3 ヘッド移動用ボールネジ
4 ヘッド移動用モーター
5 露光ヘッド
6 ドラム駆動手段
11 主制御手段
12 露光データ入力手段
13 ドラム駆動制御手段
14 ヘッド駆動制御手段
15 チャンネル別露光データ生成手段
16 LD制御手段
17 LD駆動手段
18 非発光検知手段
30 LDユニット
31 レーザーダイオード
100 CTP装置
AX 回転軸
IM 露光画像
P 刷版
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被露光体を露光する露光装置であって、
被露光体を保持する保持体と、
露光用光を同時に出射可能な複数の光源と、
前記複数の光源を前記被露光体に沿う配置方向に等間隔に離散配置してなる露光ヘッドと、
前記露光ヘッドを前記被露光体に沿って移動させる移動手段と、
被露光体に対する露光の内容を記述した全体露光データを取得する露光データ入力手段と、
前記全体露光データに基づき、前記複数の光源のそれぞれにおける露光内容を記述したチャンネル別露光データを生成するチャンネル別露光データ生成手段と、
前記チャンネル別露光データの記述内容に従って露光用光を出射するように前記複数の光源を制御する露光制御手段と、
を備え、
前記複数の光源が全て発光状態にある場合には、前記複数の光源の全てから出射される前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって前記複数の光源の間隔に略一致する距離の基準区間の間でのみ前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記複数の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成し、
前記複数の光源の一部が非発光状態である場合には、前記基準区間に加えて、前記基準区間の前後の少なくとも一方において前記基準区間に連続的に設けられ、前記基準区間の自然数倍の距離を有する補完区間においても前記露光ヘッドを移動させるようにしながら、前記非発光状態である光源の存在位置に基づいて前記複数の光源の中から定められた発光状態にある特定の光源からの前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって、前記基準区間および前記補完区間において前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記特定の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成する、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記複数の光源が非発光状態にあることを検知する非発光検知手段、
をさらに備え、
前記非発光検知手段の検知内容に基づいて、前記露光ヘッドの移動範囲と露光に使用する前記特定の光源とが定められる、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の露光装置において、
前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、
前記複数の光源のうち非発光状態にある光源が前記配置方向における配置順が奇数番目もしくは偶数番目の光源のみである場合には、非発光状態にある光源と配置順における偶奇が反対の光源のみを用いて露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の露光装置において、
前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、
非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれの光源も隣接しない場合には、前記非発光状態にある光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源に隣接するいずれかの光源によって露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の露光装置において、
前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、
非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれか2つの光源が隣接する場合には、前記非発光状態にある隣接した光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間にそれぞれの前記非発光状態にある光源に隣接する発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の露光装置において、
前記基準区間の後の前記補完区間の距離を、前記基準区間の距離よりも長くしてなる、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の露光装置において、
前記基準区間の後に前記補完区間が設定されてなり、
非発光状態にある光源が存在する場合に、非発光状態の光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源の直近の発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項1】
被露光体を露光する露光装置であって、
被露光体を保持する保持体と、
露光用光を同時に出射可能な複数の光源と、
前記複数の光源を前記被露光体に沿う配置方向に等間隔に離散配置してなる露光ヘッドと、
前記露光ヘッドを前記被露光体に沿って移動させる移動手段と、
被露光体に対する露光の内容を記述した全体露光データを取得する露光データ入力手段と、
前記全体露光データに基づき、前記複数の光源のそれぞれにおける露光内容を記述したチャンネル別露光データを生成するチャンネル別露光データ生成手段と、
前記チャンネル別露光データの記述内容に従って露光用光を出射するように前記複数の光源を制御する露光制御手段と、
を備え、
前記複数の光源が全て発光状態にある場合には、前記複数の光源の全てから出射される前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって前記複数の光源の間隔に略一致する距離の基準区間の間でのみ前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記複数の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成し、
前記複数の光源の一部が非発光状態である場合には、前記基準区間に加えて、前記基準区間の前後の少なくとも一方において前記基準区間に連続的に設けられ、前記基準区間の自然数倍の距離を有する補完区間においても前記露光ヘッドを移動させるようにしながら、前記非発光状態である光源の存在位置に基づいて前記複数の光源の中から定められた発光状態にある特定の光源からの前記露光用光を用いて前記被露光領域を形成するように前記チャンネル別露光データが生成され、前記移動手段によって、前記基準区間および前記補完区間において前記露光ヘッドを移動させつつ、前記露光制御手段が前記チャンネル別露光データに従って前記特定の光源から露光用光を出射させることによって前記被露光領域を形成する、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記複数の光源が非発光状態にあることを検知する非発光検知手段、
をさらに備え、
前記非発光検知手段の検知内容に基づいて、前記露光ヘッドの移動範囲と露光に使用する前記特定の光源とが定められる、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の露光装置において、
前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、
前記複数の光源のうち非発光状態にある光源が前記配置方向における配置順が奇数番目もしくは偶数番目の光源のみである場合には、非発光状態にある光源と配置順における偶奇が反対の光源のみを用いて露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の露光装置において、
前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、
非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれの光源も隣接しない場合には、前記非発光状態にある光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源に隣接するいずれかの光源によって露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の露光装置において、
前記基準区間の前後に前記補完区間が設定されてなり、
非発光状態にある光源の前記配置順に偶数番目のものと奇数番目のものとが混在し、かついずれか2つの光源が隣接する場合には、前記非発光状態にある隣接した光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間にそれぞれの前記非発光状態にある光源に隣接する発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の露光装置において、
前記基準区間の後の前記補完区間の距離を、前記基準区間の距離よりも長くしてなる、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の露光装置において、
前記基準区間の後に前記補完区間が設定されてなり、
非発光状態にある光源が存在する場合に、非発光状態の光源が本来、露光を行うべき領域については、前記露光ヘッドが前記補完区間を移動している間に前記非発光状態にある光源の直近の発光状態の光源が露光を行うように、前記チャンネル別露光データが生成される、
ことを特徴とする露光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−152368(P2010−152368A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8362(P2010−8362)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【分割の表示】特願2007−111683(P2007−111683)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【分割の表示】特願2007−111683(P2007−111683)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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