説明

静力学的なミクロミキサーを有する多成分包装

本発明は、使用の直前に少なくとも2つの成分から成る組成物の製造を可能とする静力学的なミクロミキサーを含む包装システムに関する。当該静力学的なミクロミキサーは、プレート形状の構成部材を含み、このプレート(1)は、少なくとも一つの液体流をプレート面に位置する連絡チャネル(3)へと導き入れるための少なくとも1個の引入口(2)、および混合ゾーン(5)に液体流を送出するための少なくとも1個の流出口(4)を備えており、この際に引入口(2)は、プレート面に位置する連絡チャネル(4)により流出口(4)と繋がっており、連絡チャンネルは混合ゾーン(5)への出口の手前で微細構造ユニット(6)により2以上の分配チャネル(7)に分割されており、分配チャネルの幅はミリメートルからサブミリメートル範囲で設けられて混合ゾーン(5)の幅よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、使用まで互いに隔離されて保存された少なくとも2つの成分からなる組成物を適用場所で調製するための少なくとも2つの隔離された貯蔵室を有する包装システム、および特殊なプレート形状のミキサー部材を有する一体化された静力学的ミクロミキサーである。
【背景技術】
【0002】
複数の原料からなる使用製品には、内容物原料の幾つかが互いに不都合な反応を起こしうるゆえに、製品が長時間にわたって安定に存在しないという危険がしばしば存在する。この理由から、製品は多種多様な添加物を含有する。添加物は製品の価格を引き上げ、使用特性に不都合な影響を及ぼしうるし、とくに副作用を引き起こしうるという欠点を有する。これらの問題を回避するために、製品は相容れない内容物原料を異なる成分に含有する多成分調合物として存在してもよく、これら成分は使用の直前にはじめて混合される。多成分調合物はまた、本来の作用物質の適当な誘導体または前駆物質を第一の組成物に含有し、第二の組成物と混合されてはじめて作用物質が遊離または形成されるという別の使用にも利用される。このような使用はたとえば、薬理作用物質もしくは香粧品作用物質の遊離または形成を遅らせ、染料前駆物質および酸化剤からなる毛髪酸化染色を形成し、あるいは適当な硬化剤の添加の後において粘着物質または充填剤の硬化を遅らせる。
【0003】
多成分調合物の使用は、隔離された包装または隔離された貯蔵室から個々の包装を取り出し、手による振とうまたは撹拌によって混合されてしばしば行われる。あるいは隔離された組成物が、適当な送出システムを経由して、成分の混合のための適当な装置を有する共通の排出口に供給されることも可能である。システムは、混合物の質、粘性または有効性が不十分であるという欠点を有することがある。粘性のある溶媒の場合は不均一となりうるし、流動性のある粘性のない溶媒の場合はとくに、エマルションまたはマイクロエマルションのような微細分散な混合物の形成が多くの場合に不可能である。
【0004】
WO00/54890、WO00/54735、およびSOEFW‐ジャーナルの第128巻、2002年11月刊の55頁以降において、香粧品組成物または薬剤組成物を使用の直前に適用場所で混合するための静力学的ミクロミキサーを組み込むことが記載されている。組み込まれうるミクロミキサーシステムは、DE19511603(WO96/30113)、DE19746583(WO99/20379)、DE19746584(WO99/20382)、DE19746585(WO599120906)、およびDE19854096(WO00/31422)に記載されている。この混合工程は、成分が繰り返し交差するチャネルに導かれ、ミクロミキサー内で連結しているチャネルの多数な剪断条件にさらされることに基づいて行われる。ここでは混合されうる溶媒の粘性の格差が決定的である。すなわち粘性が大きいほどエマルション化工程がより悪化する。とくに粘性の高い油類を使用する場合に良好なエマルションを得ることは困難である。記載されている混合システムは、相対的に長い混合距離を有し、そこに不完全または部分的にしか混合されていない成分が静止位置において残留し、このことが相容れない成分にとって具合が悪い。さらに、相対的に長いミクロチャネルは相対的に大きな圧力低下を招き、このことは成分の送出の際に混合システムにより高めた圧力によって補正されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、2以上の成分を使用の直前に混合するための改良されたシステムを提供することがとりわけまた望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、使用まで互いに隔離されて保存された少なくとも2つの成分からなる組成物を適用場所で調製するための少なくとも2つの隔離された貯蔵室を有する包装システムによって解消される。この包装システムは、プレートの形状の構成部材を少なくとも1つ有する静力学的ミクロミキサーを少なくとも1つ有し、この際に当該プレートは、
‐少なくとも1つの遊離体流を、プレート面に位置する連結チャネルへと導き入れるための引入口の少なくとも1つと、遊離体流をプレート面に位置する混合ゾーンへと排出するための流出口の少なくとも1つを有し、
‐この際に前記引入口は、プレート面に位置する連結チャネルによって前記流出口と連結しており、さらに
‐この際に前記連結チャネルは、混合ゾーンへの出口の手前で微細構造ユニットによって2以上の分配チャネルに分割され、この際に当該分配チャネルの幅はミリメートルないしサブミリメートルの範囲にあって混合ゾーン(5)の幅よりも小さい。
【0007】
以降において、「流体」の概念のもとでは、気体物質もしくは液体物質またはこの物質の混合物と理解され、これは固体、液体または気体状物質を溶解、または分散させて含有することができる。混合の概念は、前記物質の溶解、分散および乳化がさらに含まれる。それゆえ混合物の概念は、溶液、液体‐液体‐エマルション、気体‐液体分散物、および固体‐液体分散物を含む。
【0008】
「分配チャネル」の概念は、混合ゾーンへの出口の直前で微細構造ユニットによって遊離体流を分割流に分割することをも含む。この構成部材のサイズ、詳細には長さおよび幅は、ミリメートルの範囲に存在してもよく、また好ましくは1mmより小さくてもよい。分配チャネルは、流れの調整に絶対必要な長さにまで短縮されることが好ましく、それゆえ一定輸送量用に相対的に小さな圧力を必要とする。ここで、分配チャネルが交差しないことが望ましい。分配チャネルの長さと幅の比率は、1:1ないし20:1の範囲にあることが好ましく、とくに8:1ないし12:1、特に好ましくは約10:1である。微細構造ユニットは、混合ゾーンへの出口における遊離体流の流速が連結チャネルへの入口における流速と同じく大きくなるように、また好ましくは混合ゾーンを通る製品流の流速より速くなるように仕上げられることが好ましい。
【0009】
プレート上に設けられた連結チャネルおよび分配チャネルは自由な形に実施可能である。異なる溶媒および量を輸送しうるために、プレートもプレートにそれぞれ設けられた個々のチャネルについても、高さ、幅および太さにおいて異なっていてもよい。プレートの基本形は任意であり、たとえば円形または楕円形のような丸みのある形状、または矩形または正方形のような角張った形状でもよい。プレート形状は、可能な限り単純な製造に基づいて最適化されてもよいし、あるいは可能な限り軽量で可能な限り小さな未利用平面に基づいて最適化されてもよい。分配チャネルの出口はそれぞれ任意に配置されることができ、直線から任意の幾何学形状にわたってもよい。流出口はたとえば、とくにプレート面の混合ゾーンが完全に取り囲まれて存在している場合には円形状の線にしたがって配置されることもできる。2以上の成分(A,B,Cなど)は円板へと導かれ、それぞれが同じまたは異なる分量比率にて混合される。分配チャネルは、混合ゾーンへ出口に沿った線に対向または従って任意の角度で延びることができる。それぞれにたとえば成分Aの流れる複数の分配チャネルが並行して配置されて、同じプレートの隣接する区域において、それぞれにたとえば成分Bの流れる複数の分配チャネルが並行して配置されることもできる。しかしまた構成部材は、分配チャネルから分配チャネルへと成分A、Bなどが同じプレート上を交互するように追加の打ち抜き部および追加の分配チャネルを用いてプレート上で配置されることもできる。
【0010】
分配チャネルは、混合ゾーンへの出口で1μmないし2mmの範囲の幅、ならびに10μmないし10mmの範囲の深さを有することが好ましく、さらに5μmないし250μm範囲の幅ならびに250μmないし5mmの範囲の深さを有することがとくに好ましい。
【0011】
連結チャネルは種々の幅を有することができる。連結チャネルの最大幅および/または引入口の幅の、混合ゾーンへの出口での分配チャネルの幅に対する比率が、2より大きく、とくに5より大きいことが好ましい。分配チャネルの幅に対する混合ゾーンの幅の比率が2より大きいことが好ましく、5より大きいことがとくに好ましい。
【0012】
プレート上の構成部材は、10ないし1000μmの厚さを有することができる。チャネルの高さは1000μmより小さいことが好ましく、とくに250μmより小さいことが好ましい。微細構造組み込み部およびチャネル底の壁厚さは100μmより小さいことが好ましく、70μmより小さいことがとくに好ましい。
【0013】
特に優れた実施態様は、引入口または流出口または混合ゾーンの少なくとも一つがプレート面で完全に閉じ込められ(取り囲まれ)ている。この場合に開口部は、たとえば丸みを帯びた、あるいはたとえば矩形状の角張ったくり抜きとして存在する。取り囲まれた混合ゾーンの場合、これが楕円または円形の形態であることが好ましい。分配チャネルは、混合ゾーンの方向へ次第に細くなる噴出口の形態にもできる。分配チャネルは直線的にまたはらせん状に曲げられることもできる。分配チャネルは、混合ゾーンの周囲線に対して直角に混合ゾーンへ通じていてもよいし、あるいは90°と異なる角度にて通じていてもよい。
【0014】
直角でない通路の場合は、複数の混合プレートからなる積み重ねの形成において、それぞれが直角に向き合ってずれているプレートが隣り合うことが好ましい。らせん状の分配チャネルが延びる場合でも同様に、複数の混合プレートからなる積み重ねの形成において、それぞれがらせんの逆回転向きであるプレートが隣り合うことが好ましい。
【0015】
開口部の間の連結チャネルは、掘り下げによって形成されることが好ましい。しかしまた引入口および/もしくは流出口または混合ゾーンは、プレート周縁に配置されてもよいし、プレート周縁の切り欠き部により配置されてもよい。
【0016】
さらに優れた実施形態においては、少なくとも2つの異なる遊離体のための引入口が少なくとも2つ存在し、それぞれの引入口はそれぞれの連結チャネルを通じて混合ゾーンに連結している。2つの異なる遊離体のための2つの流出口が混合ゾーンの対向する側に存在するのが好ましく、混合ゾーンはプレート面内に完全に閉じ込められて位置するのが好ましい。
【0017】
構成部材の原料として、たとえば金属、とくに特殊鋼などの耐食性の金属、ならびにガラス、セラミックまたは合成物質が適している。構成部材は、表面に微細構造を形成するためのよく知られた技術を用いて、たとえば金属のエッチングまたはフライス加工によって、または合成物質の型押しまたは絞り出しによって製造されうる。
【0018】
本発明で使用されうる静力学的ミクロミキサーは、少なくとも2個の流体供給部および少なくとも1個の流体送出部を含むケースを有する。このケース内には、積み重ねに配置されたプレート状のミクロミキサー部材が1個または少なくとも2個以上存在する。積み重ねは任意数のプレートから形成されることができ、この積み重ね高さに相当する流入を実現させる。ミキサーのいかなる位置でも同じ圧力を確保するために、長めの長さにおいて流体供給は複数の位置で行うことができる。たとえばプレート上の切り込み溝またはブリッジは、積み重ねおよび調節を可能とする。引入口が副チャネルによるそれぞれの遊離体流の供給を成立させて、流出口もしくは混合ゾーンが一緒に主チャネルによる製品流の送出を成立させるように、また主チャネルおよび副チャネルが積み重ねを通って延びるように、プレートは互いに積み重なる。引入口がプレート周縁に切り欠き部として配置されている場合、ケース壁はそれぞれの副チャネルを外向きに閉鎖する副チャネル壁部分を形成することができる。混合ゾーンがプレート周縁に切り欠き部として配置されている場合、ケース壁は主チャネルを外向きに閉鎖する主チャネル壁部分を形成することができる。ミクロミキサーは少なくともたとえば5、10、100もしくは1000以上の分配チャネルを全部で有してもよいし、複数の分配チャネルを有している個々のプレートによる積み重ねから構成される。
【0019】
この包装システムは、隔離されて保存される成分をミクロミキサーに給送するのに適当な装置を有することができる。これは手または電気で操作されうるポンプ装置でもよい。しかしまた噴射剤または超過圧力により操作される輸送装置でもよい。
【0020】
プレートの流出口から混合ゾーンへ流れ出る第1遊離体Aの部分流はそれぞれ、隣接するプレートの流出口から混合ゾーンへ流れ出す第2遊離体Bの部分流のすぐ隣りにあり、混合ゾーンに到達して拡散および/または乱流により混合物となることが好ましい。
【0021】
ミクロミキサーの一の実施態様において、プレートの連結チャネルは掘り下げ加工により形成され、連結チャネルは混合ゾーンへの出口の手前でプレートに設けられた微細構造ユニットによって分配チャネルに分割される。別の実施態様では、プレートの連結チャネルはプレートの掘り出し加工(Ausnehmung)によって形成され、この場合にプレートはそれぞれの上階プレートと下階プレートの間に挟まれるプレートとして配置され、混合ゾーンへの出口の手前で連結チャネルは上階プレートおよび/または下階プレートに設けられた微細構造ユニットによって分配チャネルに分割される。
【0022】
本発明は、少なくとも2つの好ましくは液状の成分からなる組成物を使用の直前に適用場所で製造する方法についても対象とする。初めに隔離されて保存された少なくとも2つの液状の遊離体流は互いに混合され、この混合は上記の本発明の構成部材、静力学的ミクロミキサーもしくは包装システムの少なくとも1つを用いて引き起こされる。ここで、遊離体流または混合ゾーンへの遊離体流の流速が混合ゾーン内の製品混合物の流速よりも大きいことが好ましい。混合ゾーン内で乱流を発生し、混合ゾーン内での混合が乱流によって少なくとも部分的に行われるようなミキサーの配置ならびに流速がとくに好ましい。
【0023】
本発明の混合方法は、詳細にはホモジナイズのための方法、分散物、エマルションまたは溶液の製造ための方法、ならびに液状物のガス処理または発泡のための方法も含む。このために連続液体相は、本発明の構成部材または本発明の静力学的ミクロミキサーの少なくとも1つを用いて、少なくとも1種の非溶解性の分散用液体相と、または少なくとも1種の溶解性液体相と混合される。2つの相は異なる副チャネルを通って供給されてもよいし、あるいは一方の相(連続相が好ましい)が主チャネルを通り他方の相が副チャネルを通って供給されてもよい。
【0024】
別の実施態様は、化学的に反応性のある内容物原料のための混合方法に関し、この際に
‐初めに隔離されて保存され少なくとも2つの液状の遊離体流は互いに混合され、この遊離体流は反応性の高い成分を含有するあるいは当該成分から構成されるものであり、さらに
‐混合中または混合後に、自発的またはエネルギー供給によりもしくは適当な触媒により誘発されて成分の化学反応が進行し、この際にこの混合が、少なくとも本発明の構成部材または少なくとも本発明の静力学的ミクロミキサーの使用下で行われる。
【0025】
本発明の方法の能力を向上させるために、プレートにおけるチャネルの数を増加させることができるし、あるいはミクロミキサーにおいて上下に積層されたプレートの数を増加させることもできる。2個以上のミクロミキサーを、一列に順番に切り替えて操作することもできるし、並行して同時に切り替えて操作することもできる。この際にまず、より大きなチャネル直径を有するミクロミキサーを用いて大まかな予備混合が行われ、それに続くミクロミキサーがいっそう小さなチャネル直径を有することがとくに好ましい。
【0026】
別の実施態様においては、個々の成分のための包装部材の少なくとも1個が分離可能で交換可能である。このことにより、異なる作用物質調合物を互いに個別に組み合わせることが使用者に可能となる。第1成分が未着香の場合、たとえば第2の着香された成分を単純な方法で交換することによって、個別の必要に応じた個別の製品着香を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の構成部材およびミクロミキサーの典型的な実施態様を図面に基づいて説明する。
【0028】
実施態様の一つが図1aおよび図1bに表されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた引入口(2)を有する。それぞれの引入口(2)は、掘り下げ加工によって各プレート面に形成されている連結チャネル(3)と連結している。へこみ状チャネル(3)はそれぞれ、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割される。分配チャネル(7)は、流出口(4)によって取り囲まれた混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)はプレート上に打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、一例としてらせん状に曲げられて形成され、図1aおよび図1bにおけるらせんは反対向きの回転を有する。しかしまた微細構造ユニットは直線的で曲げられずに形成されてもいてもよい。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切り欠き部(8)を有するのが好ましい。しかしまたプレートは角張った、好ましくは矩形(たとえば正方形)に形成されてもよい。この場合は切り欠き部および固定要素を無くすことができる。2個の引入口(2)によって2つの異なる遊離体流が混合ゾーン(5)の面に供給され、この場合、2つの異なる遊離体流の割り当てられうる流出口が互いに対向して位置することが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図1aに記載のプレートと図1bに記載のプレートとが交互し、たとえば層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。引入口が副チャネルによるそれぞれの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるように、プレートは互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0029】
別の実施態様が図1cに示されている。プレート(1)は1個の取り囲まれた引入口(2)を有し、これはプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)と連結している。へこみ状チャネル(3)は多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割される。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)に流出口(4)によって通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)はプレート上に打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、一例としてらせん状に曲げられて形成される。しかしまた微細構造ユニットは直線的に、曲げられずにまたは他の任意な幾何学形状にて形成されてもいてもよい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましい。積み重ねにおいて、引入口が副チャネルによるそれぞれの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるようにプレートは互いに積み重なる。主チャネルには、混合されうる成分のひとつ、好ましくは混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。この実施態様は、たとえば液体のガス化、気体を用いた液体の発泡処理、または分散物を作製するのにとくに好適である。この場合、ガス化するための液体もしくは分散媒体は中央の主チャネルを通って供給され、気体もしくは分散化剤は副チャネルを通って供給される。プレートの積み重なりは、交互する積層構造の構築を有することが好ましく、この場合に逆方向の回転方向のらせん状の微細構造ユニット(6)を有するプレートが互いの上に交互に重なる。しかしまた単一のプレート型だけでもよい。この場合、微細構造ユニットは直線的に形成され、分配チャネルが噴射口を形成するように成形されることが好ましい。
【0030】
別の実施例が図1dに示されている。プレート(1)は1個の取り囲まれた引入口(2)、1個の取り囲まれた混合ゾーン(5)および1個の取り囲まれた通過口(9)を有する。引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)と連結し、これは多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)に流出口(4)によって通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)、引入口(2)、および通過口(9)はプレート上に打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、一例としてらせん状に曲げられて形成される。しかしまた微細構造ユニットは直線的に、曲げられずにまたは他の任意な幾何学形状にて形成されてもいてもよい。連結チャネルにおける追加の組み込み部(10)によって、連結チャネル(3)内での流通条件が最適化される。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切り欠き部(8)を有するのが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この場合図1dに記載のプレートを180°回転させたものが交互に上下に重なり合う。これにより、2つの異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。引入口(2)および通過口(9)が交互して2個の副チャネルによる2つの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。しかしまた主チャネルには、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。プレートの積み重なりは、交互する積層構造の構築を有することが好ましく、この場合に逆方向の回転方向のらせん状の微細構造ユニット(6)を有するプレートが互いの上に交互に重なる。しかしまた単一のプレート型が使用されるだけでもよい。この場合、微細構造ユニットは直線的に形成され、分配チャネルが噴出口を形成するように成形されることが好ましい。
【0031】
別の実施態様が図2aないし2cに示されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた3個の引入口(2)を有する。各引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各へこみ状チャネル(3)は、少なくとも1個の微細構造ユニット(6)により少なくとも2個の分配チャネル(7)に分割される。より多数の微細構造ユニットを用いて、より相当多数の分配チャネルに分割することができる。分配チャネル(7)は、流出口(4)によって混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)はプレートに打ち抜きとして形成される。微細構造ユニットは、異なる回転方向を有するらせん状に形成されていてもよいし、直線的に形成されていてもよい。3個の引入口(2)によって、同じまたは3つまでの異なる遊離体流が混合ゾーン(5)平面へと供給される。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図2a、2bおよび2cに記載の異なったプレート型が交互し、たとえば層構造ABCABCを有する交互の構築を生じる。これにより、2つの異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。積み重ねにおいてプレートは、引入口が副チャネルによるそれぞれの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0032】
別の実施態様が図3aおよび3bに示されている。プレート(1)はプレート端にそれぞれ位置する2個の引入口(2)を有する。各引入口(2)はプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各へこみ状チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)へと流出口(4)によって通じる。流出口は直線上に配置されている。混合ゾーン(5)はたとえば矩形状の打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは一例として流れの方向に対して斜めに形成され、この傾斜は図1aおよび1bにおいて逆方向を示す。しかしまた微細構造ユニットは同じまたは小さな傾斜にそれぞれ形成されることもできる。プレートはほぼ正方形の基本形を有するが、他の任意な基本形(角張った、丸みを帯びた、楕円状など)を有してもよい。2個の引入口(2)によって、2つの異なる遊離体流が混合ゾーン(5)平面へと供給され、この場合に2つの異なる遊離体流の割り当てられた流出口が互いに対向して位置することが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図3aに記載のプレートと図3bに記載のプレートとが交互し、交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。積み重ねにおいてプレートは、引入口がミキサー縁のミキサーケースと共に、副チャネルによるそれぞれの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンがミキサー内部の主チャネルによる製品流の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0033】
別の実施態様が図3cおよび3dに示されている。プレート(1)はそれぞれのプレート端に位置する4個の引入口(2)を有する。各引入口(2)はプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各へこみ状チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、取り囲まれた混合ゾーン(5)へと流出口(4)によって通じる。流出口は円線上に配置されている。連結チャネルはらせん状に曲げられており、図3cと図3dにおけるらせんの回転は逆向きである。混合ゾーン(5)はたとえば矩形状の打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは一例として直線的に形成されているが斜めまたはらせん形状に曲げられていてもよい。プレートはほぼ正方形の基本形を有するが、他の任意な基本形(角張った、丸みを帯びた、楕円状など)を有してもよい。4個の引入口(2)によって、同じまたは4つまでの異なる遊離体流が混合ゾーン(5)平面へと供給され、この場合に異なる遊離体流の割り当てられた流出口が互いに対向して位置することが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際にらせん状に曲がった連結チャネルの回転方向が逆向きである図3cに記載のプレートと図3dに記載のプレートとが交互し、交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。積み重ねにおいてプレートは、引入口がミキサー縁のミキサーケースと共に、副チャネルによるそれぞれの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンがミキサー内部の主チャネルによる製品流の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。
【0034】
別の実施態様が図4aないし4fに示されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた引入口(2)および取り囲まれた通過口(9)を有する。各引入口(2)はプレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各連結チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、プレート端に配置された流出口(4)よって、プレート面の外側に位置する混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は直線上に配置されてもよいし(図4e、4f)、湾曲線上に配置されてもよく、湾曲線は凸部(図4a、4b)または凹部(図4c、4d)でもよい。引入口(2)および通過口(9)は打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは、連結チャネルによって設定される流れ方向に対して並行または異なる角度で用いられることができる。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切り欠き部(8)を有するのが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図4aに記載のプレートと図4bに記載のプレートもしくは図4cに記載のプレートと図4dに記載のプレート、もしくは図4eに記載のプレートと図4fに記載のプレートとが交互し、交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。混合ゾーンへの出口における分配チャネルの角度は、隣接するプレートにおける混合ゾーンの開始ラインに関して異なっていることが好ましく、とくに逆に90°偏向するのが好ましい。引入口(2)および通過口(9)が交互してミキサー内部に位置する2個の副チャネルによる2つの遊離体流の供給を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。混合ゾーンはケースと共に、主チャネルによる製品流の供給を成立させることができるが、単に周囲に開放していてもよい。外に開放する構造様式は、混合物を噴霧または泡として放出する必要がある場合、とりわけガスにより噴射または発泡される場合にはとくに好ましい。
【0035】
別の実施態様が図5aおよび図5bに示されている。プレート(1)はそれぞれ取り囲まれた引入口(2)および取り囲まれた2個の通過口(9)を有する。各引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結している。各連結チャネル(3)は、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、プレート端に配置された流出口(4)よって、プレート面の外側に位置する混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は直線上に配置されても(図5a)、湾曲線上に配置されて(図5b)もよく、湾曲線は凸曲線または凹曲線でもよい。引入口(2)および通過口(9)は打ち抜きとしてプレートに形成されている。微細構造ユニットは、連結チャネルによって設定される流れ方向に対して並行または異なる角度で用いられることができる。プレートが円板に形成されている場合、プレートの回転および位置ずれを防止するために、その周縁にケース(11)内で固定要素(14)と協働できる切り欠き部(8)を有するのが好ましい。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図5a、または図5bに記載の3つの異なる型のプレートが交互し、交互の層構造ABCABCを有する構築を生じる。これにより、それぞれ異なる遊離体流を真上と真下で隣接して混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。混合ゾーンへの出口における分配チャネルの角度は、隣接するプレートにおける混合ゾーンの開始ラインに関して異なっていることが好ましく、とくに逆に90°偏向するのが好ましい。引入口(2)および通過口(9)が交互して、ミキサー内部に位置する3個の副チャネルによる3つの遊離体流の供給を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。混合ゾーン(5)はケースと共に、主チャネルによる製品流の供給を成立させることができるが、単に周囲に開放していてもよい。外に開放する構造様式は、混合物を噴霧または泡として放出する必要がある場合、とりわけガスにより噴射または発泡される場合にはとくに好ましい。
【0036】
図6aには静力学的ミクロミキサーの実施態様の概略構造の縦断面が示されている。ケース(11)は流体供給部(12a)を有する。ケース(11)内には、多数の本発明の混合プレート(1)からなる積み重ねを含む。プレートの引入口および通過口は、プレート面に垂直に可動な閉鎖装置(13a)によって密閉・開放されることが好ましい。閉鎖装置により、流速も調整されうる。混合物はケース内部に位置する混合ゾーンから適切な流体送出を経て放出されることができ、またはケース外部に位置する混合ゾーンにて直接放出されることもできる。
【0037】
図6bには静力学的ミクロミキサーの横断面が示されている。ケース(11)内には切り欠き部(8)および固定要素(14)によって位置保持される混合プレート(1)が組み込まれている。混合プレートとしての一例として図5a記載のプレートを示した。
【0038】
別の好適な実施態様が図7a−bおよび図8a−cに示されている。これら実施態様では、異なる遊離体流が交互して通過するのを可能にする隣り合う分配チャネル(7)および(13)を有し、これにより異なる遊離体流を混合ゾーン(5)すぐ隣の平面へと供給できることとなる。
【0039】
図7aに示されたプレート(1)は、それぞれ取り囲まれた引入口(2)、取り囲まれた混合ゾーン(5)および取り囲まれた通過口(9)を有する。引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結しており、各連結チャネルは、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、流出口(4)よって混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)および通過口(9)は、プレートに打ち抜きとして形成される。微細構造ユニット(6)内には、掘り下げて形成された別の分配チャネル(13)が一体化しており、これは連結チャネル(3)から遮られて混合ゾーンへと通じる。分配チャネル(7)およびこの別の分配チャネル(13)は交互に隣り合って配置されている。プレートは追加の打ち抜き(12)を有し、この際に打ち抜き(12)の数および追加の分配チャネル(13)の数は同数である。打ち抜き(12)は、プレート(1)が180°回転させて第2のプレート上に置かれた場合に下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)の上方にそれぞれ存在するように配置されている。引入口(2)を通って連結チャネル(3)に流れる遊離体流は、打ち抜き(12)を通ってその下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)へと流れる。隣り合う分配チャネル(7)および(13)の角度は、互いに混合ゾーンの開始ラインに対して異なっていてもよい。図7aにおいて、分配チャネル(7)の角度は、混合ゾーン(5)の開始ラインに対する追加の分配チャネル(13)の角度について90°対向する偏向を示す。これにより流出口にはそれぞれ2個の分配チャネルが互いに向かって対であてがわれる。これにより2つの異なる遊離体流がお互い向かって供給される。しかしまた分配チャネルは混合ゾーンに対して直角並行にまたは斜めに走ることもできる。図7aは、周りに180°回転させた2個の同じプレート(1)を横に並べて示す。図7bは、周りに180°回転させて重ね合わせた2個のプレートの概略を示す。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に周りに180°回転させた図7aに記載のプレートが交互し重なり合う。これにより、2つの異なる遊離体流を互いに真上と真下でかつ真横どうしで混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。引入口(2)および通過口(9)が交互して2個の副チャネルによる2つの遊離体流の供給を成立させ、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるように互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物が供給されてもよい。またさらにプレートは、プレートの追加の打ち抜き(12)がそれぞれ隣のプレートに付属する追加の分配チャネル(13)と連絡して連結するように重なり合って位置する。
【0040】
図8aには、図7aと類似の実施態様が示されており、相違は分配チャネル(7)および追加の分配チャネル(13)が同じ混合ゾーン(5)の角度にて並行に斜めに供給されることである。図8aの左のプレートは、混合ゾーン(5)の開始ラインに対する分配チャネル(7)および(13)の角度が90°対向する偏向を有する点で右のプレートと相違する。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図8aに記載の左プレートおよび右プレートが入れ替わりして交互の層構造ABABを有する構築を生じる。これにより、2つの異なる遊離体流を互いに真上と真下で隣接し対向する角度にて混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。
【0041】
図8cには図8aと類似の実施態様が示されており、相違は分配チャネル(7)および追加の分配チャネル(13)が並行に混合ゾーン(5)に対して直角で供給されることである。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図8cに記載の左プレートおよび右プレートが入れ替わりして交互の層構造ABABを有する構築を生じる。引入口(2)および通過口(9)が交互して2個の副チャネルによる2つの遊離体流の供給を成立させるように、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。またさらにプレートは、プレートの追加の打ち抜き(12)がそれぞれ隣のプレートに付属する追加の分配チャネル(13)と連結するように重なり合って位置する。これにより、2つの異なる遊離体流を互いに真上と真下でかつ真横どうしで混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。
【0042】
別の実施態様が図8bに示されている。プレート(1)は1個の取り囲まれた引入口(2)、3個の取り囲まれた通過口(9)および1個の取り囲まれた混合ゾーン(5)を有する。引入口(2)は、プレート面に掘り下げ加工によって形成された連結チャネル(3)とそれぞれ連結しており、各連結チャネルは、多数の微細構造ユニット(6)により多数の分配チャネル(7)に分割されている。分配チャネル(7)は、プレート端に配置された流出口(4)よって、プレート面の外側に位置する混合ゾーン(5)へと通じる。流出口(4)は混合ゾーン(5)の周りを囲んだ円形ライン上に配置される。混合ゾーン(5)および引入口(2)および通過口(9)は、プレートに打ち抜きとして形成される。微細構造ユニット(6)内には、掘り下げて形成された別の分配チャネル(13)が一体化しており、これは連結チャネル(3)から遮られて混合ゾーンへと通じる。分配チャネル(7)および別の分配チャネル(13)は交互に隣り合って配置されている。プレートは追加の打ち抜き(12)を有し、この際に打ち抜き(12)の数および追加の分配チャネル(13)の数は同数である。打ち抜き(12)は、プレート(1)が90°回転させて第2のプレート上に置かれた場合に下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)の上方にそれぞれ存在するように配置されている。引入口(2)を通って連結チャネル(3)に流れる遊離体流は、打ち抜き(12)を通ってその下に位置するプレートの追加の分配チャネル(13)へと流れる。隣り合う分配チャネル(7)および(13)の角度は、互いに混合ゾーンの開始ラインに対して異なっていてもよい。図8bにおいて、分配チャネル(7)の角度は、混合ゾーン(5)の開始ラインに対する追加の分配チャネル(13)の角度について90°対向する偏向を有する。これにより流出口はそれぞれ2個の分配チャネルが対となってあてがわれる。これにより2つの異なる遊離体流がお互いに供給される。しかしまた分配チャネルは並行に直角にまたは傾斜して混合ゾーンに流れることもできる。ミクロミキサーは、複数の重なり合って位置する構成部材の積み重ねを有することが好ましく、この際に図8bに記載のプレートが周りに任意の順に90°、180°または270°回転させて重なり合う。これにより、2つの異なる遊離体流を互いに真上と真下でかつ真横どうしで混合ゾーン(5)に供給可能にすることが達成される。全部で4つまでの異なる遊離体がミクロミキサーにより混合されうる。引入口(2)および通過口(9)が交互して全部で4個の副チャネルによる4つまでの遊離体流の供給を成立させるように、かつ混合ゾーンが主チャネルによる製品流の送出を成立させるように、積み重ねにおいてプレートは互いに積み重なる。しかしまた主チャネルは、混合物を後に連続相に形成する液状物を供給することもできる。またさらにプレートは、プレートの追加の打ち抜き(12)がそれぞれ隣のプレートに付属する追加の分配チャネル(13)と連結するように重なり合って位置する。
【0043】
図9には、本発明により適用可能なミクロミキサーの実施可能な実施態様が一例として分解図にて示されている。ケース(11)は、プレート(1)の形態における本発明の構成部材からなる積み重ねを含む。一例として図8aに記載の複数のプレートからなる積み重ねを示すが、本発明の他のプレートを使用することも可能であり、この際に必要に応じてケース形状、流体供給部および流体送出部の数および位置などを適合させる。プレート(1)は、切り欠き部(8)が固定要素(14)と協働してプレートの回転を防止するようにはめ込まれる。ケースは遊離体の供給のための2個の流体供給部(12a)を有する。ケースは、流体送出部(16)を有する1個のキャップ(15)により閉鎖されることができる。
【0044】
図10は、別の実施態様を示し、ここでは混合ゾーン(5)もしくは複数のプレート形状構成部材(1)の混合ゾーンにより形成された混合空間が、静止位置において、流出口(4)の封鎖可能な閉鎖装置(13a)によって、成形体の形状にて塞がれている(図10a,c,e,g)。適当なメカニズム、たとえば包装システムの放出装置の操作により、成形体(13a)は混合ゾーン(5)から完全にまたは部分的に遠ざけられ、流出口(4)は完全にまたは部分的に開放される(図10b、d、f、h)。開放は、予め選択された圧力、および/または機械的な強制執行により行われることができる。成形体は、配分工程および混合工程の間に圧力構築および/または幾何学的な難所によってより優れたな混合性質を有する増幅された乱流を発生させるように形成される。配分工程の後に成形体は混合空間を再び完全に封鎖することができる。これにより、さもなければ消散して劣化が進むであろう混合物の滞留を免れられることが可能となる。成形体は静止位置において外向きに確固と封鎖し、滑らかなで清潔を維持できる表面を生じるように包装システム内に一体化されうる(図10a,b)。しかしまた成形体は、静止位置においていくらか外側に飛び出すこともできる(図10c)。張り付いた場合には、ケース内に押し込むことで簡単に解除することができる。成形体は混合ゾーン(5)に適合する任意な形態を有することができ、たとえば積み重ねの内部に連続する開口部(図10a−f)を有する混合ゾーンの場合はシリンダー状または円柱状でもよいし、あるいは製品放出口へと幅が狭くなる開口部を積み重ねの内部に有する混合ゾーンの場合は先が円錐形のもの(図10g,h)でもよい。
【0045】
図11は、一体化されたミクロミキサープレートの積み重ねを有する2成分保存容器を示す。キャップ15で封鎖可能な外容器17の内部には2個の内容器18a、18bが存在し、混合される2つの調合物は使用まで隔離して保管されることができる。適当な放出システムの操作によって、調合物は流体供給部12aを通ってプレート状の混合構成部材1の積み重ねに供給され混合される。使用の準備のできた混合物は流体送出部16を通って噴出する。
【0046】
本発明の包装システムの長所は、異なる粘性を有する成分でも良好に混合できることにある。それゆえに実施態様の一つは、異なる粘性を有し、隔離されて保存される少なくとも2つの液状成分を含む包装システムに関し、ここでそれら成分の粘性の低粘度に対する高粘度の比率が、1より大きく、好ましくは1.5より大きく、とくに1ないし100であることが特に好ましい(25℃における測定)。
【0047】
当該包装システムはとりわけ、完成した混合物(エマルション、分散物、着香物、ジェルなどの増粘系、完成したエマルションの長期安定性が劣る場合での薬理作用物質を含むエマルションなど)としては化学的または物理的に不安定な成分を使用の直前に混合するための工程において使用するのに適している。使用の短い時間の間では、作製された混合物はそれぞれの使用必要性に関して充分に安定である。個々の成分は、隔離されて保存されるかぎり、適当なpH値の選択または他の有効な安定化剤によって安定化されてもよい。
【0048】
香粧品調合物のための使用可能性として、たとえば以下が挙げられる。
‐シャンプー、ヘアケア剤、毛髪用乳液または皮膚用乳液の適用場所での調製
‐毛髪染色のための染料前駆物質および酸化剤の混合物:この完成した混合物は、アプリケーターによって毛髪に直接塗布されることができ、これにより人の手による一般的な容器内での混合は不要となる。
‐反応性溶液と増粘物との混合物、とくに毛髪のブロンド化およびパーマ固定化のための酸化剤と増粘物を含有する粘性調合物、
‐ガス(たとえば、炭酸塩または炭化水素を含有する成分および酸性成分からのCOなど)の化学的遊離による泡の発生
‐界面活性剤を含有する液状およびガス状の成分からなる毛髪または皮膚処理用の泡
‐たとえば変色反応(混合の後に遅れて化学的変色反応が発生する)などの特殊な効果を達成するための最終生成物の混合:この際に時間的遅延は、たとえば毛髪ケアなどの製品に最適な使用時間に適合するように調整される
‐水っぽい開始成分からのジェルの調製
【0049】
薬剤調合物のための使用可能性として、たとえば以下が挙げられる。
‐無水成分と水含有成分を使用の瞬間にはじめて混合する水反応性系
‐使用の瞬間に調製したばかりの軟膏、エマルション、乳液など:これにより長時間のエマルション安定性のために必要な一般的な乳化剤を減量または節約することができて、それゆえに適合性を高めて副作用を低減させることができる。
【0050】
接着技術における使用可能性としてたとえば以下が挙げられる。
‐硬化可能な第1成分Aと硬化剤を含有する第2成分の混合が人の手により行えない場合の、使用の瞬間における多成分系の製造:混合工程の終了後に混合空間が成形体によって好ましく封鎖されることで硬化可能な混合物残留物から隔離される。
【0051】
食材のための使用可能性としてたとえば以下が挙げられる。
‐使用の瞬間におけるマヨネーズ、マスタードなどの調製
‐牛乳、乳製品などのホモジナイズ
‐機械的な振とうを行わない生クリームの調製
【0052】
本発明の方法では一般的に、混合されうる相の1つは液状で、第2相および場合によりそれ以降の相は液体、固体または気体でもよい。混合されうる2つの相は、成分が供給チャネルの出口にある混合ゾーンで混合されるようにミクロミキサー内で一緒にされる。本発明の方法はとくに、染色剤、粘着剤、食材、薬剤、香粧品製剤または建設材料を使用の直前に製造するのに適しており、少なくとも毛髪・皮膚ケア用の香粧品作用物質、皮膚科学作用物質または薬理作用物質を含有するエマルション状調合物、毛髪固定剤、毛髪染色剤またはパーマ剤にとりわけ適している。香粧品的な使用では、毛髪または皮膚の香粧品内容物原料の少なくとも1つを、少なくとも1つの成分内に含む。この内容物原料には、たとえば毛髪保護物質、毛髪染色物質、毛髪固定物質、皮膚および/または毛髪光保護作用物質、香料物質、皮膚保護物質、抗フケ作用物質、毛髪および/または皮膚洗浄物質など、または保存料などを含むことができる。この場合での一般的な作用物質の量は、0.005ないし20重量%、好ましくは0.14ないし10重量%である。
【0053】
混合される成分の一つが水性の液体相で、もう一方の成分が疎水性の液体相もしくは水反応性物質を含有する相、または成分が接触すると互いに化学反応もしくは混合物の物理的粘性を変化するような物質を含有することが好ましい。
【0054】
分散化において、完成したエマルションまたはサスペンションのためにホモジナイズされうる相の割合は、作製されうる最終製品の要求に応じて調整される。毛髪ケア剤用の脂肪親和性の相は、たとえば2ないし10重量%でもよく、また毛髪染色クリームなどのクリーム用の場合は、約50重量%まででもよい。ホモジナイズは乳化剤なしで行われることもできる。しかしまた分散化助剤として乳化剤または界面活性剤を含むこともできる。分散化助剤は完成した調合物の0.5ないし30重量%の量にて存在することができる。乳化剤として、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性または両性イオン性の乳化剤が適している。好適な乳化剤としてたとえば「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」第7版、第2巻の「界面活性剤」の章、詳細にはその中「界面活性剤・乳化剤」の章において記載された乳化剤が挙げられる。非イオン性の乳化剤にはたとえば、オキシエチル化脂肪アルコール、オキシエチル化ノニルフェノール、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、エトキシル化および水添もしくは非水添のヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、オキシエチル化脂肪酸エステルが挙げられる。カチオン性乳化剤にはたとえば、CTFA名「Quaternium」としてよく知られている長鎖の第四アンモニウム化合物、たとえばC8‐〜C22‐アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩またはジアルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられる。アニオン性乳化剤にはたとえば、脂肪アルコールスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネートなどが挙げられる。両性乳化剤にはたとえば、脂肪酸アミドアルキルベタインおよびスルホベタインおよびC8‐〜C22‐アルキルベタインなどのベタインが挙げられる。
【0055】
分散された相の粒子直径は1μm未満が好ましく、とりわけ0.2μm未満が好ましい。別の実施態様において、ミクロミキサーのミクロ構成部材のチャネル直径ならびに流動と圧力関係は、水性および疎水性の相の乳化によりミクロオーダーまたはナノオーダーのエマルションが生じるように、いいかえれば粒子サイズが100nm以下となるように選択される。
【0056】
水性の相と混合不能な疎水性の相とを分散化は、乳化剤を用いてあるいは用いないで本発明に記載の方法を行うことでできる。この方法の優れた長所は、エマルションまたは分散物が一定の粘性を達成するために、乳化剤を全くあるいは僅かしか使用する必要がないことであり、ほんの短時間すなわち使用の時間の間だけ安定であればよい。これにより、刺激ポテンシャルが低減されて皮膚適合性が向上される。まったく乳化剤を使用しない場合、従来方法で製造された分散物に比べて優れた安定性を有する準安定な分散物を調製することができる。それゆえ本発明の別の対象は、ミクロミキサーにおいて疎水性の相が乳化剤なしで使用の直前に水性の相と混合される分散物状の調合物の製造方法である。
【0057】
本発明の別の対象は、調合物が少なくとも洗浄活性のある界面活性剤の1種を含有する洗浄剤、とくに毛髪、皮膚または布の洗浄剤を製造するための方法である。毛髪または皮膚洗浄剤調合物には、シャンプー、シャワー剤、シャワージェル、入浴調合物などが含まれる。好適な実施態様は、第1成分がアニオン性の洗浄活性な界面活性剤の少なくとも1種を水性の相に含有し、第2成分が第1成分と一緒では長時間相容れない保護作用物質(たとえば油類またはカチオン性の保護物質など)の少なくとも1種を含有するものである。「水性の相」の概念は、水、ならびにたとえばエタノールまたはイソプロパノールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコールまたはグリセリンなどのポリオール類などの水溶性の溶剤を有する水を含むが、水が好ましい。好適なアニオン性界面活性剤は、アルキルエーテルスルフェートである。適当なアリキルエーテルスルフェートは8ないし22個、好ましくは10ないし16個の炭素原子を有するアルキル基を有し、1ないし20のエトキシル化度、好ましくは1ないし4のエトキシル化度を有する。とりわけラウリルエーテルスルフェートが好ましい。適当な対イオンはアルカリイオンまたはアルカリ土類イオンであり、たとえばナトリウムイオン、マグネシウムイオンまたはアンモニウムイオンである。適当なアルキルエーテルスルフェートは、たとえば「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」第7版、第2巻の章「アルキルエーテルスルフェート」に記載の界面活性剤である。
【0058】
洗浄剤の第2成分に添加可能なカチオン性の保護物質は、カチオン性またはカチオン化可能な基、より詳細にはプロトン化アミン基または第四アンモニウム基に基づいて物質特性をヒトの毛髪に呈示する物質である。カチオン性またはカチオン活性毛髪保護物質はたとえば、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、カチオン性シリコーン化合物、カチオン性誘導体化プロテイン、カチオン性誘導体化プロテイン加水分解物、およびカチオン性もしくはカチオン活性の基の少なくとも1個を有するベタインなどから選択されるのが好ましい。少なくとも1種のカチオン性ポリマーと少なくとも1種のカチオン性界面活性剤とを組み合わせた場合に、良好な毛髪保護作用が得られる。さらに追加で少なくとも1種のカチオン性シリコーン化合物、より詳細には末端ジ第四ポリジメチルシロキサンを含有することもできる。
【0059】
適したカチオン性界面活性剤は、第四アンモニウム基を有する界面活性剤である。好適なカチオン性活性剤は、詳細には下記の一般式(I)によって表すことができる。
・ N(+)(−)
上式にて、R1〜R4 は、独立して互いに1ないし22個の炭素原子を有する脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基又はアルカリール基を示し、但し残基R1〜R4の少なくとも1つは少なくとも8個の炭素原子であり、X(−)はアニオンを示し、例えばハロゲン、アセテート、ホスフェート、ニトレート又はアルキルスルフェートであり、クロリドが好ましい。脂肪族基は、炭素原子及び水素原子の他に更に、交差結合やこの他の基(例えば更に別のアミノ基など)を含有してもよい。適したカチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩のクロリド又はブロミド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド又は‐ブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド又は‐ブロミド、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又は‐ブロミド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド又は‐ブロミドなど、アルキルピリジニウム塩、例えばラウリル‐又はセチルピリジニウムクロリドなど、アルキルアミドエチルトリメチルアンモニウムエーテルスルフェート、並びにアミン酸化物のようなカチオン特性を有した化合物、例えばアルキルメチルアミノキシド又はアルキルアミノエチルジメチルアミノキシドなどである。特に好ましいものは、セチルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0060】
カチオン性またはカチオン活性なポリマーに関し、毛髪保護ポリマーもしくは毛髪コンディショニングポリマーが重要である。適したカチオン性ポリマーは好ましくは、4級アミン基を含む。カチオン性ポリマーはホモポリマーでもコポリマーでもよく、この際に4級窒素基がポリマー鎖に、または好ましくは1個もしくはそれ以上のモノマーに置換基として含有されている。アンモニウム基を含有するモノマーは非カチオン性モノマーと共重合することができる。適当なカチオン性モノマーは、少なくとも1個のカチオン基を運ぶ不飽和でラジカル重合可能な化合物であり、特にアンモニウム置換ビニルモノマー、例えばピリジニウム、イミダゾリウムまたは第四ピロリドンのような環状のカチオン性窒素を含む基、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウムまたはアルキルビニルピロリドン塩をもつトリアルキルメタクリロキシアルキルアンモニウム、トリアルキルアクリロキシアルキルアンモニウム、ジアルキルジアリルアンモニウムおよび第四ビニルアンモニウムモノマーである。これらのモノマーのアルキル基は、好ましくは低級アルキル基、例えばC1‐〜C7‐アルキル基、特に好ましくはC1‐〜C3‐アルキル基である。このモノマーのアルキル基は、たとえばC1‐〜C7‐アルキル基などの低級アルキル基であることが好ましく、とくにC1‐〜C3‐アルキル基が好ましい。アンモニウム基を含有するモノマー類は、非カチオン性のモノマーと共重合されることもできる。適当なコモノマーには、たとえばアクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル‐およびジアルキルアクリルアミド、アルキル‐およびジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルエステル(たとえばビニルアセテート、ビニルアルコール、プロピレングリコールまたはエチレングリコールなど)があり、この際にこれらモノマーのアルキル基がC1‐〜C7‐アルキル基であることが好ましく、とくにC1‐〜C3‐アルキル基であることが好ましい。
【0061】
4級アミン基を有するカチオン性ポリマーには、たとえばCTFA化粧品原料辞典にポリクオタニウムの名称で記載されているポリマー類、たとえばメチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー(ポリクオタニウム‐16)または四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(ポリクオタニウム‐11)ならびに第四シリコーンポリマーもしくは‐オリゴマー、たとえば第四末端基を有するシリコーンポリマー(クオタニウム‐80)などがある。カチオン性ポリマーからは、たとえば商品名 Gafquats(登録商標)755 NおよびGafquats(登録商標)734が代表されるビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートメトスルフェートコポリマーが好適であり、このうちGafquats(登録商標)755 Nがとくに好ましい。別のカチオン性ポリマーには、たとえばLUVIQUAT(登録商標) HM 550の商品名にて販売されるポリビニルピロリドンとイミダゾリミンメトクロリドからのコポリマー、Merquat(登録商標)Plus 3300の商品名にて販売されるジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリル酸ナトリウムおよびアクリルアミドからのターポリマー、Gaffix(登録商標)VC 713の商品名にて販売されるビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびビニルカプロラクトムからなるターポリマー、Gafquat(登録商標)HS 100の商品名にて販売されるビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマーがある。
【0062】
天然ポリマーから派生した好適なカチオン性ポリマーは、たとえばセルロース、デンプンまたはグアーのカチオン性誘導体などのポリサッカライドのカチオン性誘導体である。さらにキトサンおよびキトサン誘導体も適している。カチオン性ポリサッカライドは下記の一般式を有する。
. G‐O‐B‐N
式中、Gはたとえばデンプンまたはセルロースのアンヒドログルコースなどのアンヒドログルコース残基であり、Bは、たとえばアルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンなどの2価の化合物基であり、
R5,R6およびR7は独立して別々に、18個までのC原子をそれぞれ有するアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシアリールであり、但しR5,R6およびR7のC原子の総数が好ましくは最大20であり、
Xは前述と同様の意味を有する通常の対イオンであり好ましくは塩素である。
カチオン性セルロースは、アマコール社よりPolymer JRの名称にて販売されており、Polyquaternium-10のINCI名を有する。別のカチオン性セルロースは、Polyquaternium-24のINCI名を有し、アマコール社より商品名Polymer LM-200にて販売されている。好適なカチオン性グアー誘導体は、商品名Jaguars(登録商標)にて販売されており、Guar Hydroxypropyltrimonium ChlorideのINCI名を有する。特に好適なカチオン活性物質はキトサン、キトサン塩、およびキトサン誘導体である。本発明に使用されうるキトサン類は、完全または部分的に脱アセチル化されたキチンが重要である。キトサンの分子量は、幅広いスペクトルに分布していてもよく、たとえば20,000ないし約5,000,000g/molにある。一例として、30,000ないし70,000g/molの分子量の低分子のキトサンが適している。しかしながら100,000g/molを超える分子量、とくに200,000ないし700,000g/molの分子量でも好ましい。脱アセチル化度は10ないし99%が好ましく、とくに60ないし99%が好ましい。適したキトサンの一例として、キョウワ オイルアンドファット社(日本)の商品名Flonac(登録商標)が挙げられる。これは300,000ないし700,000g/molの分子量を有し、70ないし80%まで脱アセチル化されている。好適なキトサン塩として、たとえばアマコール社(米国)の商品名Kytamer(登録商標) PCにて販売されているキトソニウムピロリドンカルボキシレートが挙げられる。含有されるキトサンは約200,000ないし300,000g/molの分子量を有し、70ないし85%まで脱アセチル化されている。キトサン誘導体として、たとえばヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、またはヒドロキシブチルキトサンなどの四級化のアルキル化またはヒドロキシアルキル化誘導体が挙げられる。キトサンまたはキトサン誘導体は、中和された形態または部分中和された形態にあることが好ましい。キトサンまたはキトサン誘導体の中和度は、フリーの塩基群に基づいて少なくとも50%、とくに70と100%の間にあることが好ましい。中和剤として原理的にあらゆる香粧品用の温和な無機酸もしくは有機酸、たとえばギ酸、リンゴ酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、塩酸などの酸を使用することができるが、これらの中でもピロリドンカルボン酸および乳酸がとくに好ましい。
【0063】
本発明の親水性の相において完全溶解した形をとるために、ポリマーは充分に高い水溶性または水/アルコール混合液に対する充分に高い溶解性を有することが好ましい。カチオン性の電荷密度は0.2ないし7meq/gまたは0.4ないし5meq/g、とくに0.6ないし2meq/gであることが好ましい。従来のケアシャンプーには一般的に、小さなカチオン性電荷密度(たとえば3meq/g以下)を有するカチオンポリマーを僅かな量しか安定的に配合できなかった。これに対し本発明では、前記の低いカチオン化ポリマーまたは高いカチオン化度(たとえば3meq/gを超える)を有するポリマーを、より多く添加することができる。
【0064】
好適なカチオン活性シリコーン化合物は、少なくとも1個のアミノ基または少なくとも1個のアンモニウム基を有することが好ましい。アミノ基を有する好適なシリコーンポリマーは、INCI名Amodimethiconeがよく知られている。これは、アミノアルキル基を有するポリジメチルシロキサンに関する。アミノアルキル基は側部または末端に存在することができる。好適なアミノシリコーンは以下の一般式で示されるものである。
. R10Si‐(OSiR1112‐(OSiR13Q)‐OSiR141516
式中、R8,R9,R14およびR15は独立して別々に、同一または異なって、C1‐〜C10‐アルキル、フェニル、ヒドロキシ、水素、C1〜C10‐アルコキシまたはアセトキシ、好ましくはC1‐〜C4‐アルキル、より好ましくはメチルを意味し、
R10およびR16は独立して別々に、同一または異なって‐(CH‐NHを意味し、但しaは1〜6、C1‐〜C10‐アルキル、フェニル、ヒドロキシ、水素、C1〜C10‐アルコキシまたはアセトキシ、好ましくはC1‐〜C4‐アルキル、より好ましくはメチルを意味し、
R11,R12およびR13は独立して別々に、同一または異なって、水素、O原子およびN原子を含むことができるC1‐〜C20‐炭化水素を意味し、好ましくはC1‐〜C10‐アルキルまたはフェニルで、とくに好ましくはC1‐〜C4‐アルキル、より好ましくはメチルであり、
Qは‐A‐NR1718または‐A‐N171819を意味し、但しAはO原子およびN原子ならびにOH‐基をも含むことができる二価のC1‐〜C20‐アルキレン化合物基であり、R17、R18およびR19は独立して別々に、同一または異なって水素、C1‐〜C22‐炭化水素、好ましくはC1‐〜C4‐アルキルまたはフェニルを意味する。
Qとして好ましい残基は、-(CH)-NH、 -(CH)NHCHCHNH,、-(CH)OCHCHOHCHNH および-(CH)N(CHCHOH)、-(CH)-NH および -(CH)OCHCHOHCH(CH)R20であり、但しR20はOH‐基を有することもできるC1‐〜C22‐アルキル基であり、xは1と10,000の間の数であり、好ましくは1と1,000の間の数であり
yは1と500の間の数であり、好ましくは1と50の間の数である。
【0065】
アミノシリコーンの分子量は500と100,000の間にあることが好ましい。アミン部分(meq/g)は0.05ないし2.3の範囲にあることが好ましく、0.1ないし0.5の範囲がとくに好ましい。特に好ましいのは2個の末端第四アンモニウム基を有するシリコーンポリマーである。この化合物はINCI名Quaternium-80でよく知られている。ここでは2個の末端アルキルアンモニウム基を有するポリジメチルシロキサンに関する。適当な第四アミノシリコーンは下記の一般式で表される。
. R21R22R23N-A-SiR8R9- (OSiR11R12)n-OSiR8R9-A-NR21R22R23 2X
Aは上記と同じ内容を意味し、好ましくは-(CH2)3OCH2CHOHCH2N+(CH3)2R20であり、但しR20はOH‐基を有することもできるC1‐〜C22‐アルキル基であり、
R8,R9,R11およびR12は上記と同じ内容を意味し、好ましくはメチルであり、
R21,R22およびR23は独立して別々に、ヒドロキシ基を有することのできるC1‐〜C22‐アルキル基であり、但し好ましくは残基のうち少なくとも1つは少なくとも10個のC原子を有し、残りの残基が1ないし4個のC原子を有し、
nは0ないし200の数であり好ましくは10ないし100である。このようなジ第四ポリジメチルシロキサンはGOLDSCHMIDT社(ドイツ)より商品名Abil(登録商標)Quat 3270、3272 および 3274にて販売されている。
【0066】
別の好適なカチオン活性な毛髪ケア化合物はカチオン性修飾プロテイン誘導体またはカチオン性修飾プロテイン加水分解物であり、たとえばINCI名ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパクまたはヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギ、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コメヌカタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ヤサイタンパクなどである。
好適なカチオン性誘導体タンパク加水分解物は、たとえばアルカリ、酸または酵素で加水分解されたタンパクをグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または3‐ハロ‐2‐ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を用いて変換することで得られうる物質混合物である。タンパク加水分解の出発物質として供されるタンパクは植物由来のものでも動物由来のものでもよい。一般的な出発物質にはたとえば、ケラチン、コラーゲン、エラスチン、ダイズタンパク、コメタンパク、乳タンパク、コムギタンパク、シルクタンパクまたはアーモンドタンパクが挙げられる。加水分解によって、約100ないし約50,000の範囲の分子量を有する物質混合物が生じる。一般的な中間分子量は約500ないし約1000の範囲にある。カチオン性誘導体タンパク加水分解物は、1または2個の長いC8‐〜C22‐アルキル鎖およびこれと対応する2または1個の短いC1‐〜C4‐アルキル鎖を含むことが好ましい。長いアルキル鎖を有する化合物が好ましい。
【0067】
洗浄剤の第2の成分中に保護作用物質として配合されうる油は、室温(25℃)で液体の疎水性物質である。含有量は0.1ないし20重量%でもよいし、1ないし10重量%となるのがとくに好ましい。第2成分は油の予備エマルションとして水中に存在することもできる。疎水性物質に関し、易揮発性物質または難揮発性物質を含むことができる。易揮発性疎水性物質は室温で液状であり、好ましくは30ないし250℃の範囲、より好ましくは60ないし220℃の沸点を有する。たとえば液状の炭化水素、液状の環状または線状シリコーン(ジメチルポリシロキサン)またはこれら物質の混合物が適している。好適な炭化水素は5ないし14個のC原子、好ましくは8ないし12個のC原子を有するパラフィンまたはイソパラフィンであり、ドデカンまたはイソドデカンがとくに好ましい。好適な液状の易揮発性シリコーンは、3ないし8個の、好ましくは4ないし6個のSi原子を有する環状ジメチルシロキサンであり、シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサンまたはシクロヘキサジメチルシロキサンがとくに好ましい。さらに好適なものは、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン シクロコポリマーであり、たとえばジメチルシロキサン/メチルオクチルシロキサン シクロコポリマーであるユニオンカーバイド社のSilicone FZ 3109がある。好適な液状の線状シリコーンは2ないし9個のSi原子を有する。
【0068】
好適なものとして、たとえばヘキサメチルジシロキサンまたはヘキシルヘプタメチルトリシロキサンもしくはオクチルヘプタメチルトリシロキサンなどのアルキルトリシロキサンが挙げられる。液状でない疎水性の油類は25℃以下の融点および250℃を超す沸点、好ましくは300℃を超す沸点を有する。これにより当業者に一般的に知られるあらゆる油を原理的に添加することができる。植物性もしくは動物性の油、鉱油、シリコーン油またはこれらの混合物が挙げられる。好適なシリコーン油は、ポリジメチルシロキサン、フェニル化シリコーン、ポリフェニルメチルシロキサン、フェニルトリメチコーン、ポリ(C1〜C20)-アルキルシロキサン、アルキルメチルシロキサンである。さらに好適なものとしてたとえば、パラフィン油もしくはイソパラフィン油、スクアランなどの炭化水素油、脂肪酸とポリオールからなる油、詳細にはC10‐〜C30‐脂肪酸のトリグリセライドがある。好適な植物性油には、たとえばヒマワリ油、ココヤシ油、ヒマシ油、ラノリン油、ホホバ油、トウモロコシ油、ダイズ油がある。とくに好ましいのは炭化水素油類であり、詳細には鉱油(流動パラフィン)ならびに植物性油および脂肪酸トリグリセライドである。
【0069】
本発明の実施態様は、シリコーン含有2成分ケアシャンプー(ツーインワンシャンプー)である。シリコーンシャンプーおよびその製造は、たとえばWO98/05296およびここで引用される文献に記載されている。従来のシリコーンシャンプーは非溶解性シリコーンの長期安定な分散化が必要であり、一定の粒子サイズに調整するための製造方法について高い要求を生じる。あるいは安定化のために、分離を防止する降伏点を組成物に与える増粘剤などの添加剤を必要とする。本発明によれば、使用の直前での分散化の場合に分散物の堅牢な安定性に左右されないので、このような措置を放棄することができる。本発明の2成分シャンプーの成分の一つは、アニオン性、非イオン性、両イオン性または両性界面活性剤から選択される少なくとも1種の洗浄活性な界面活性剤を有する水性の組成物を含有する。第2の成分は、非水溶性の揮発性もしくは非揮発性のシリコーン化合物を純粋物質もしくは適当な溶剤中にて、または水性の予備エマルションとして含有する。二つの成分のどちらか少なくとも一方に、毛髪上へのシリコーンの沈着を支援するためのこの場合によく知られたカチオン性ポリマーの少なくとも1種を追加的に含むことが好ましい。適当な界面活性剤、シリコーンおよびカチオン性ポリマーは、上述のものの他にとくにWO98/05296において挙げられている。
【0070】
本発明により製造可能な毛髪ケア組成物は、親水性および疎水性成分から形成されており、C10‐〜C30脂肪アルコール、前述の油類および前述のカチオン性保護物質から選択される少なくとも1種の作用物質を含んでいる。 ここで完成した混合物は脂肪アルコール分散物であることが好ましい。脂肪アルコールは0.1ないし20重量%、好ましくは0.5ないし10重量%、より好ましくは1ないし8重量%の量にて存在する。好適な脂肪アルコールは、一級アルコール、とくに6ないし26個、好ましくは12ないし22個のC原子を有する1‐アルカノールである。とくにオクタノール、デカノール、ドデカノール、もしくはラウリンアルコール、テトラデカノール、もしくはミリスチンアルコール、ヘキサデカノール、もしくはセチルアルコール、オクタデカノール、もしくはステアリンアルコール、またはこれら脂肪アルコールの混合物の使用が好ましいものとして挙げられる。とりわけ好ましい脂肪アルコールはセチルアルコールである。脂肪アルコールは、たとえば室温にて固体の場合には適当な溶剤もしくは分散剤における溶液または分散物の形態にて、たとえば水性予備エマルションとして適当な液状組成物に添加されることができる。カチオン性保護物質は先述したものであり、完成した混合物中に0.01ないし10、とくに好ましくは0.05ないし5重量%の量にて含まれている。
【0071】
一実施例において、好ましくは使用後にすすぎ流されるクリーム状の高粘性な毛髪ケア剤(リンス製品)が挙げられる。脂肪アルコールは0.01ないし20重量%となることが好ましく、とくに1ないし10重量%が好ましい。DIN53019(SV‐DIN)の検査具および50s−1での剪断速度による、HAAKE回転粘度測定器VT550を用いた25℃の温度での動的粘弾性測定で測定された粘度は1000ないし10000が好ましく、とくに1500ないし8000mPa sが好ましい。さらに別の実施態様は、スプレー可能なリーブインヘアケア剤である。これは、ミクロミキサーで分散化される親水性および疎水性相から構成される。基本的に前述のヘアケア剤と同じ内容物原料が含まれる。疎水性相の含有量は、クリーム状のすすぎ流されるヘアケア剤よりも明らかに少量であり、粘性もしくは液晶構造を形成しないようになっている。粘度は明らかに低く抑えられ、製品がスプレー可能となる。リーブイン製品における脂肪アルコール含有量は、好ましくは0.01ないし3重量%、より好ましくは0.1ないし1重量%である。DIN53019(SV‐DIN)の検査具および50s−1での剪断速度による、HAAKE回転粘度測定器VT550を用いた25℃の温度での動的粘弾性測定で測定されたリーブイン製品の粘度は、好ましくは100ないし2000、とくに好ましくは300ないし1500mPa sである。従来の方法で製造されたスプレーケア剤に対して、スプレー性能が明らかに改善されている。
【0072】
本発明により製造可能な毛髪染色剤は、第1成分に毛髪染色物質の少なくとも1種または酸化性の毛髪染料に変換されうる酸化染料前産物の少なくとも1種を含み、第2成分に酸化剤、毛髪保護物質および粘度向上物質から選択される少なくとも1種の物質を含む。非酸化性の毛髪染色物質の場合、毛髪染色用の無機顔料または溶解性の有機的な毛髪上で直接発色する染料が挙げられる。
【0073】
本発明の方法は酸化染色剤の調製に特に都合がよい。一般的に酸化染色剤は2つの成分、(i)染料前駆物質を含有する染料キャリア物質、および(ii)酸化剤調製物からなり、これらは使用の直前に互いに混合されたのちに染色する毛髪に塗布される。二つの成分の粘度および混合比率に応じて粘度の高いまたは低い混合物が生じる。ここで染色剤の良好な付着は、とくに染色剤の高い粘度により達成される。高い粘度は、美容師がたとえば特殊な毛束テクニックまたはホイルテクニックなどの施術の際に、ならびに染色ブラシまたはアクセントブラシを用いて目的とする作業を遂行可能とするためにしばしば必要とする。本発明に記載の方法によって、良好な付着特性および染色特性を有する高粘度な混合物をより簡単な方法で作製することができる。
【0074】
染色を発生させるための酸化剤として、主に過酸化水素、またはその尿素、メラミンまたはホウ酸ナトリウムによる付加化合物で1ないし12パーセント、好ましくは1.5ないし6%の水溶液のかたちを挙げられる。染色剤料と酸化剤の混合比率は酸化剤の濃度に依存し、一般的に約5:1ないし1:2、好ましくは1:1であり、この際に使用準備のできた混合物の酸化剤の含有量は、好ましくは約0.5ないし8重量%、とくに1ないし4重量%である。
【0075】
毛髪染色剤は、エマルション形状のクリームベースに基づくことができる。好ましい毛髪染色剤は、一定量の(a)水、(b)室温(25℃)において硬いワックス状または固体脂状の油状物質または室温において液状の油状物質の少なくとも1種、(c)界面活性剤の少なくとも1種、および(d)少なくとも1種の直接染料または少なくとも1種の染料前駆物質を示す。染料または染料前駆物質の総量は、約0.01ないし10重量%が好ましく、とくに約0.2ないし7重量%が好ましい。好適な直接染料は、例えばトリフェニルメタン染料、芳香族ニトロ染料、アゾ染料、キノン染料、カチオン性又はアニオン性染料である。ニトロ染料(青色)、ニトロ染料(赤)、ニトロ染料(黄)、塩基性染料、中性染料、酸性染料が好適である。
【0076】
染料前駆物質として少なくとも1種のカップラー物質および少なくとも1種の顕色物質を添加することができる。顕色物質は、たとえば1,4‐ジアミノ‐ベンゾール(p‐フェニレンジアミン)、1,4‐ジアミノ‐2‐メチル‐ベンゾール(p‐トルイレンジアミン)、1,4‐ジアミノ‐2‐(チオフェン‐2‐イル)ベンゾール、1,4‐ジアミノ‐2‐(チオフェン‐3‐イル)ベンゾール、1,4‐ジアミノ‐2‐(ピリジン‐3‐イル)ベンゾール、2,5‐ジアミノビフェニル、1,4‐ジアミノ‐2‐メトキシメチル‐ベンゾール、1,4‐ジアミノ‐2‐アミノメチル‐ベンゾール、1,4‐ジアミノ‐2‐ヒドロキシメチル‐ベンゾール、4‐〔ジ(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐2‐メチル‐アニリン、1,4‐ジアミノ‐2‐(1‐ヒドロキシエチル)‐ベンゾール、1,4‐ジアミノ‐2‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ベンゾール、1,3‐ビス〔(4‐アミノフェニル)(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐2‐プロパノール、1,8‐ビス〔(2,5‐ジアミノフェノキシ)‐3,6‐ジオクサオクタン、2,5‐ジアミノ‐4`‐ヒドロキシ‐1,1`‐ビフェニル、2,5‐ジアミノ‐2`‐トリフルオル‐メチル‐1,1`‐ビフェニル、2,4`,5‐トリアミノ‐1,1`‐ビフェニル、4‐アミノ‐フェノール、4‐アミノ‐3‐メチル‐フェノール、4‐メチルアミノ‐フェノール、4‐アミノ‐2‐(アミノメチル)‐フェノール、4‐アミノ‐2‐〔(2‐ヒドロキシエチル)‐アミノ〕メチル‐フェノール、4‐アミノ‐2‐(メトキシメチル)‐フェノール、5‐アミノ‐サリチル酸、2,4,5,6‐テトラアミノ‐ピリミジン、2,5,6‐トリアミノ‐4‐(1H)‐ピリミドン、4,5‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐ペンチル‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐(フェニルメチル)‐1H‐ピラゾール、4,5‐ジアミノ‐1‐((4‐メトキシフェニル)‐メチル‐1H‐ピラゾール、2‐アミノ‐フェノール、2‐アミノ‐6‐メチル‐フェノール、2‐アミノ‐5‐メチル‐フェノール、1,2,4‐トリヒドロキシ‐ベンゾール、2,4‐ジアミノフェノール、1,4‐ジヒドロキシベンゾール、2‐(((アミノフェニル)アミノ)‐メチル)‐1,4‐ジアミノベンゾールである。
【0077】
カップラー物質は、たとえばN‐(3‐ジメチルアミノ‐フェニル)‐尿素、2,6‐ジアミノ‐ピリジン、2‐アミノ‐4‐〔(2‐ヒドロキシエチル)アミノ〕‐アニソール、2,4‐ジアミノ‐1‐フルオル‐5‐メチル‐ベンゾール、2,4‐ジアミノ‐1‐エトキシ‐5‐メチル‐ベンゾール、2,4‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐5‐メチル‐ベンゾール、3‐アミノ‐6‐メトキシ‐2‐(メチルアミノ)‐ピリジン、3,5‐ジアミノ‐2,6‐ジメトキシ‐ピリジン、1,3‐ジアミノ‐ベンゾール、2,4‐ジアミノ‐1‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐ベンゾール、1,3‐ジアミノ‐4‐(3‐ヒドロキシプロポキシ)‐ベンゾール、1,3,‐ジアミノ‐4‐(2‐メトキシエトキシ)‐ベンゾール、1,3‐ジ(2,4‐ジアミノフェノキシ)‐プロパン、2,6‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)アミノ‐トルオール、5‐アミノ‐2‐メチル‐フェノール、5‐アミノ‐4‐フルオル‐2‐メチル‐フェノール、3‐アミノ‐2,4‐ジクロル‐フェノール、3‐アミノ‐2‐クロル‐6‐メチル‐フェノール、3‐アミノ‐フェノール、5‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐2‐メチル‐フェノール、2‐アミノ‐3‐ヒドロキシ‐ピリジン、2,6‐ジヒドロキシ‐3,4‐ジメチルピリジン、5‐アミノ‐4‐クロル‐2‐メチル‐フェノール、1‐ナフトール、1,5‐ジヒドロキシ‐ナフタリン、1,7‐ジヒドロキシ‐ナフタリン、2,7‐ジヒドロキシ‐ナフタリン、2‐メチル‐1‐ナフトール‐アセテート、1,3‐ジヒドロキシ‐ベンゾール、1‐クロル‐2,4‐ジヒドロキシ‐ベンゾール、1,3‐ジヒドロキシ‐2‐メチル‐ベンゾール、5‐[(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐1,3‐ベンゾジオキソール、3,4‐ジアミノ‐安息香酸、3,4‐ジヒドロ‐6‐ヒドロキシ‐1,4(2H)‐ベンゾキサジン、3‐メチル‐1‐フェニル‐5‐ピラゾロン、5,6‐ジヒドロキシ‐インドール、5,6‐ジヒドロキシ‐インドリン、5‐ヒドロキシ‐インドール、2,3‐インドリンジオンである。
【0078】
毛髪染色のために含有できる公知で一般的な染料は、たとえばE.サガリン、"Cosmetics,Science and Technology"、インターサイエンス出版社、ニューヨーク(1957年)第503頁以降、ならびにH.ジャニスティン、"Handbuch der Kosmetika und Riechstoffe"、第3巻(1973年)第388頁以降、および、K.シュラーデル、"Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika"、第2版(1989年)第782〜815頁に記載されているものである。
【0079】
適した毛髪染色顔料は、使用媒質中において実際に溶解しない染料であり、無機系のものであっても有機系のものであっても良い。無機‐有機系の混合顔料もまた可能である。この顔料は、好ましくはナノ顔料ではない。好ましい微粒子径は1ないし200μmであり、特に3ないし150μmであり、10ないし100μmが特に好ましい。好ましいものは無機系顔料である。この無機系顔料は天然由来物であってもよく、例えば炭酸石灰、黄土、アンバー、緑土、焼シエナ土又はグラファイトから製造することができる。この顔料としては、例えば酸化チタン又は酸化亜鉛などの白色顔料、例えば酸化鉄黒などの黒色顔料、例えばウルトラマリン又は酸化鉄赤などの色彩のある顔料、光沢顔料、金属効果‐顔料、パール光沢顔料、並びに蛍光性‐又はリン光性顔料が挙げられ、この際、顔料の少なくとも1種は、色彩があって白色でない顔料であることが好ましい。適したものは、金属酸化物、金属水酸化物及び金属酸化水和物、混合相顔料、硫黄含有珪酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、金属クロム酸塩及び金属モリブデン酸塩、並びに金属自体(青銅顔料)である。好適なものは特に、二酸化チタン(CI77891)、黒色の酸化鉄(CI77499)、黄色の酸化鉄(CI77492)、赤色及び茶色の酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、CI77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI77289)、藍鉄土(フェロシアン化鉄、CI77510)、カルミン(コチニール)である。特に好ましいものは、マイカ‐又は雲母を基剤とする顔料であり、この顔料は、二酸化チタン又は酸塩化蒼鉛(Wismutoxychlorid)などの酸化金属又は金属オキシ塩化物、並びに必要に応じて更に別の着色材料(例えば酸化鉄、藍鉄土、ウルトラマリン、カルミンなど)によって積層されており、しかも、この際、この着色は積層厚みの変動によって決定される。このような顔料は、例えばドイツのメルク社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Dichrona(登録商標)及びTimiron(登録商標)という商品名にて市販されている。有機顔料は、例えば天然の顔料セピア、雌黄(Gummigutt)、骨灰、カッセラーブラウン(Kasseler Braun)、インジゴ、クロロフィル及び、この他の植物性顔料である。合成有機顔料は、例えばアゾ顔料、アントラキノイド、インジゴイド、ジオキサジン‐、キナクリドン‐、フタロシアニン‐、イソインドリノン‐、ペリレン‐及びペリノン‐、金属錯体‐、アルカリ青‐及びジケトピロロピロール顔料である。
【0080】
本発明の染色剤のpH値は、直接染料を主剤とする非酸化性の染色剤については、約5ないし10、好ましくは6ないし9の範囲にあり、また酸化染料前駆体を主剤とする酸化性の染色剤については、pH値が約6ないし12、好ましくは9ないし11の範囲にあり、但し、使用の準備のできた毛髪酸化染色剤(すなわち本発明の毛髪染色剤と酸化剤との混合物)のpH値は、約5.5ないし10、好ましくは6ないし9である。調合物および所望の染色剤のpH値に応じて、pH値の調整は、アンモニアまたは、例えばグルカミン、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどの有機アミン、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは水酸化カルシウムなどの無機塩基、または例えば乳酸、クエン酸、酢酸またはリン酸などのような有機酸または無機酸を用いて行われるのが好ましい。
【0081】
本発明の方法によれば、化粧品日焼け予防剤についても使用の直前に調製することができ、この混合物は少なくとも1種の光防御作用物質を含有する。とくに好ましいのは非溶解性の光防御作用物質を微細な分散形状で含有する分散型の日焼け予防剤、あるいは油相もしくは脂質相および水相からなる分散型の日焼け予防剤である。これにはO/WエマルションまたはW/Oエマルションが挙げられる。従来の日焼け予防クリームは、長期安定性に対する高い要求を満たすための安定化が難しく、特別に適合化された乳化剤混合物の選択を必要とする。分散化が使用の直前に行われる本発明の2成分‐日焼け予防剤は、乳化剤系に対する要求が本質的に低下すること、さらにとくに肌に優しい乳化剤を添加できること、乳化剤の量を低減し、あるいは乳化剤を完全にもしくは部分的に添加しなようにできることなどの長所を有する。光予防作用物質は、UV光吸収無機顔料、無機ナノ顔料および油溶性または水溶性の有機UVA‐、UVB‐またはUVA/UVB‐フィルター物質から選択されうる。好適なフィルター物質は、たとえば2‐フェニル‐ベンジミダゾール‐5‐スルホン酸およびこの塩類、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β‐ジフェニルアクリレート誘導体、p‐アミノ安息香酸誘導体、メンチル‐アントラニレート、光防御作用を有するポリマー、および光防御作用を有するシリコーンである。本発明により製造された日焼け予防剤は、改良された光防御ファクターにより特徴づけることができる。
【0082】
本発明の方法によれば、化粧品、皮膚科学的または薬理的な皮膚クリームも使用の直前に調製可能となり、この製品は親水相および疎水相から形成されるエマルションであって、皮膚保護、皮膚科学的または薬理的な作用物質の少なくとも1種を含むもので、これらの相を分散化はミクロミキサー内で行われる。皮膚クリームは一般的に、水、固体脂またはワックス、乳化剤および作用物質を含有する。作用物質には、化粧品油、湿潤剤、ビタミン、ビタミン誘導体、プロビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴリピッド、ホスフォリピッド、セラミド、ベタイン、パンテノール、薬剤などを挙げることができる。本発明により製造された皮膚クリームは、改良された皮膚感触、改良された作用物質の分散、皮膚上への作用物質の改良された適用、および必要添加量の低減に関して特徴づけられる。さらに乳化剤の量が低減できて、皮膚炎症および皮膚刺激が低減される。
【0083】
本発明の方法により、粉末状の固体の少なくとも1種を微細な分散化状態で含有し、固体の分散化がミクロミキサー内で行われる、毛髪または皮膚化粧品的な調合物が調製可能となる。好適な固体は、たとえば顔料、パール光沢顔料、タルク、グリマー、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、必要に応じて炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムもしくは炭酸水素マグネシウム、ケイ酸、ガラス粒子、セラミック粒子、粉末状ポリマーなどがある。固体は適当な予備サスペンションに存在するのが好ましい。
【0084】
本発明の方法によれば、香料油および芳香物質を含有する作用物質調合物も使用の直前に調製することができる。この場合に第1成分は非着香の作用物質調合物を含有し、第2成分は香料油または芳香物質の少なくとも1種を含有する。これにより、作用物質との組合せされた場合に長時間安定ではいられないであろう芳香物質についての種類および量での添加が可能となる。またさらに使用者にとって、個々の成分用の交換可能なパッケージ部分を使用することにより、異なる作用物質調合物と異なる香料物とを個別に組み合わせることが可能となる。
【0085】
成分はすでに言及しないかぎり、他の作用物質および添加物質を含有することができる。作用物質および添加物質として、たとえば以下が挙げられる。他の洗浄活性なアニオン性、非イオン性または両性の界面活性剤、抗フケ物質、四級アルキルアミンなどの毛髪および皮膚保護物質、天然由来または合成由来のカチオン性ポリマー、タンパクおよびこの誘導体、たとえばコラーゲン‐、ケラチン‐、シルクプロテイン‐およびコムギプロテインの加水分解物など、ならびにシリコーン化合物。この他に以下のものも添加されることができる。香料油、染料、グリコールジステアレートなどの乳濁剤、合成もしくは天然のホスフォリピッドまたはデンプンもしくはセルロースの第四級誘導体などの毛髪コンディショニング剤、たとえばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはグリコール(ブチレングリコール、プロピルグリコールなど)のような短鎖アルコールなどの溶媒、たとえはヒスチジン、グリシン、アラニン、スレオニン、アルギニン、システインおよびこれらの誘導体(脂肪酸縮合生成物または第四級生成物など)などのアミノ酸、植物抽出物、ビタミン、アラントイン、キトサン、保存剤のような他の作用物質など。
【0086】
本発明により製造された混合製品の長所は、ホモジナイズされた粒子の最適な粒子サイズ分布、外相における分散相の最適な分散、大きな有効表面積、乳化剤量に対する低い必要性およびこれにより改良された皮膚適合性、化粧品作用物質および補助物質の改良された有効性、改良された結晶化挙動、および改良されたレオロジー特性にある。本発明により製造された毛髪‐および皮膚処理剤は、従来法で製造された製品と比べて、毛髪上または皮膚上への作用物質の均等な沈着を可能にするという長所を有する。より狭い粒子サイズ分布は毛髪への適用性を改良する。
【0087】
実施例
以下の処方の例は、本発明の包装単位と組み合わせて使用されることができる。
【0088】
実施例1:2つのさらさら状の相からなるヘアスタイリング剤
成分1:
カーボマー(架橋されたポリアクリル酸、Carbopol(登録商標)980) 0.5g
水 40g
成分2:
ポリビニルピロリドン(PVP K90) 2g
グリセリン 3g
アミノメチルプロパノール 0.4g
PEG‐40硬化ひまし油(Cremophor(登録商標)CO410) 0.4g
香料 0.2g
エタノール 15g
水 添加して50g
【0089】
実施例2: 毛髪酸化染色剤
成分1:
セテアリルアルコール 17g
ラウリル硫酸ナトリウム 1.9g
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 1.4g
ラノリンアルコール 2.1g
グリセリルステアレート 6.1g
ココイルイソエチオネートナトリウム 0.4g
アンモニア 1.4g
イソプロパノール 6 g
亜硫酸ナトリウム 0.6g
EDTA 0.3g
p−アミノフェノールヒドロクロリド 0.06g
p−トルイレンジアミンスルフェート 0.65g
レゾルシノール 0.26g
香料油 0.3g
水 添加して100 g
成分2:
6%の過酸化水素溶液または過酸化水素エマルション
セチルステアリルアルコール 10.0g
コレステリン 1.5g
ラウリルアルコールジグリコールエーテル硫酸ナトリウムの28%水溶液 4.0g
35%過酸化水素水溶液 35.0g
香料油 0.3g
水 添加して100.0 g
【0090】
実施例3: シャンプー
成分1:
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 30g
ココアミドプロピルベタイン 8g
グリコールジステアレート 3g
安息香酸ナトリウム 0.35g
ギ酸ナトリウム 0.15g
塩化ナトリウム 0.2g
水 添加して100g
成分2:
適当な溶剤中の、または水性の予備エマルションとしてのカチオン性ポリマーおよび/または香料および/またはシリコーン油
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1a−bは、引入口および流出口が取り囲まれている、2つの遊離体流のための2個の引入口を有する混合プレート、図1cは、引入口および流出口が取り囲まれている、1個の引入口を有する混合プレート、図1dは、それぞれ取り囲まれている引入口、通過口および流出口を有する混合プレートを示す。
【図2】図2a−cは、引入口および流出口が取り囲まれている、3つまでの異なる遊離体流のための3個の引入口を有する混合プレートを示す。
【図3】図3a−bは、2つの遊離体流のための2個の引入口をプレート端に有し、取り囲まれた流出口を有する混合プレート、図3c−dは、4つまでの異なる遊離体流のための4個の引入口をプレート端に有し、取り囲まれた流出口を有する混合プレートを示す。
【図4】図4a−fは、2つの遊離体流のためのそれぞれ取り囲まれた引入口および通過口、およびプレート端に流出口を有する混合プレートを示す。
【図5】図5a−bは、3つまでの異なる遊離体流のためのそれぞれ取り囲まれた引入口および2個の取り囲まれた通過口、およびプレート端に流出口を有する混合プレートを示す。
【図6】図6aは、静力学的ミクロミキサーの概略構造の断面図を、図6bは、開放されたケース内のミキサー円板を示す。
【図7】図7a−bは、取り囲まれた引入口および通過口および追加の分配チャネルを有し、隣の分配チャネルが異なる遊離体の通過を可能にする混合プレートを示す。
【図8】図8a及びcは、取り囲まれた引入口および通過口および追加の分配チャネルを有し、隣の分配チャネルが異なる遊離体の通過を可能にする混合プレートを、図8bは、取り囲まれた引入口および3個の取り囲まれた通過口および追加の分配チャネルを有し、隣の分配チャネルが異なる遊離体の通過を可能にする混合プレートを示す。
【図9】図9は、ケースよび複数の混合プレートからなる積み重ねを有するミクロミキサーを示す。
【図10】図10は、混合ゾーンの封鎖可能な成形体を有する混合プレートの積み重ねの横断面を示す。
【図11】図11は、一体化されたミクロミキサープレートの積み重ねを有する2成分保存容器を示す。
【符号の説明】
【0097】
1 プレート
2 引入口
3 連結チャネル
4 流出口
5 混合ゾーン
6 微細構造ユニット
7 分配チャネル
8 切り欠き部
9 通過口
10 構成部材
11 ケース
12 打ち抜き
12a 流体供給部
13 追加の分配チャネル
13a 閉鎖装置
14 固定要素
15 キャップ
16 流体送出部
17 外容器
18a,b 内容器
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図3a】

【図3b】

【図3c】

【図3d】

【図4a】

【図4b】

【図4c】

【図4d】

【図4e】

【図4f】

【図5a】

【図5b】

【図6a】

【図6b】

【図7a】

【図7b】

【図8a】

【図8b】

【図8c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用まで互いに隔離されて保存された少なくとも2つの成分からなる組成物を適用場所で製造するための少なくとも2つの隔離された貯蔵室を有する包装システムで、プレート(1)形状の構成部材を少なくとも1つ有する静力学的ミクロミキサーを少なくとも1つ有することで特徴づけられ、この際に当該プレート(1)は、
‐少なくとも1つの遊離体流を、プレート面に位置する連結チャネル(3)へと導き入れるための引入口(2)の少なくとも1つ、および遊離体流をプレート面に位置する混合ゾーン(5)へと送出するための流出口(4)の少なくとも1つを有し、
‐この際に引入口(2)は、プレート面に位置する連結チャネル(3)によって流出口(4)と連結しており、さらに
‐この際に連結チャネル(3)は、混合ゾーン(5)への出口の手前で微細構造ユニット(6)によって2以上の分配チャネル(7)に分割され、この際に当該分配チャネルの幅はミリメートルないしサブミリメートルの範囲にあって混合ゾーン(5)の幅よりも小さいことを特徴とする包装システム。
【請求項2】
隔離されて保存されている成分をミクロミキサーを通って送出するための装置を有し、当該ミクロミキサーが少なくとも2つの遊離体供給部および少なくとも1つの製品送出部を伴うケースを有することを特徴とする請求項1に記載の包装システム。
【請求項3】
ミクロミキサーがケース内に積み重ねとなるように配置された2枚以上のプレート(1)を有し、この際に引入口(2)が遊離体供給部と連結されている副チャネルと共に混合されうる遊離体それぞれの供給を成立させて、混合ゾーン(5)が製品送出部に連結されている主チャネルと共に混合された製品の送出を成立させるように、さらに主チャネルおよび副チャネルが積み重ねを通って延びるように、プレートが互いに積み重なることを特徴とする請求項1または2に記載の包装システム。
【請求項4】
プレート(1)の混合ゾーン(5)への出口での分配チャネル(7)の幅が1μm〜2mmであり、
かつ/また、プレート(1)の分配チャネル(7)に対する連結チャネル(3)の最大幅の割合および/または引入口(2)の幅の割合は2より大きく、
かつまた、プレート(1)の分配チャネル(7)の長さと幅の比率が1:1〜20:1であり、
かつ/また、プレート(1)の分配チャネル(7)の幅に対する混合ゾーン(5)の幅の割合が2よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項5】
プレート(1)が追加的に少なくとも1個の通過口(9)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項6】
プレート(1)の引入口(2)または通過口(9)または混合ゾーン(5)の少なくとも1つがプレート面で取り囲まれており、連結チャネル(3)が掘り下げ加工により形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項7】
プレート(1)の引入口(2)または通過口(9)または混合ゾーン(5)の少なくとも1つがプレート周縁または切り欠き部によりプレート周縁に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項8】
プレート(1)が、少なくとも2つの異なる液体流のための引入口(2)を少なくとも2つ有し、この際に各引入口(2)は各連結チャネル(3)により混合ゾーン(5)と連結されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項9】
プレート(1)の流出口(4)が円形状の線上に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項10】
プレート(1)が追加の打ち抜き(12)、および微細構造ユニット(6)内に一体化され分配チャネル(7)から分離した追加の分配チャネル(13)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項11】
プレート(1)の連結チャネル(3)は、掘り下げ加工により形成され、この連結チャネル(3)は混合ゾーン(5)への出口の手前でプレート(1)に設けられた微細構造ユニット(6)によって分配チャネル(7)に分割されること、またはプレート(1)の連結チャネル(3)はプレートにおける掘り出し加工により形成され、この場合にプレートはそれぞれの上階プレートと下階プレートの間に挟まれるプレートとして配置され、混合ゾーン(5)への出口の手前で連結チャネル(3)が上階プレートおよび/または下階プレートに設けられた微細構造ユニットによって分配チャネルに分割されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項12】
静止位置における混合ゾーン(5)が、流出口(4)の封鎖可能な成形体により塞がれており、この成形体が操作により混合ゾーン(5)から完全にまたは部分的に遠ざけられて流出口(4)が完全にまたは部分的に開放されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項13】
少なくとも2つの成分からなる組成物を適用場所で製造する方法であり、隔離された貯蔵容器に存在する成分が請求項1〜12に記載の包装システムにより組成物の使用の直前に互いに混合される方法。
【請求項14】
混合ゾーン(5)への遊離体流の流入速度が混合ゾーン(5)内の製品流の流速よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組成物がマイクロエマルションまたはナノエマルションであることを特徴とする請求項13〜14に記載の方法。
【請求項16】
一つの成分が水性の液状相であり、他方の成分が疎水性の液状相または水反応性物質を含有する相であること、またはそれらの成分が接触により互いに化学反応するか混合物の物理的粘性を変化させる物質を含有することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
染色剤、接着剤、食材、薬剤、香粧品製剤、建設部材または洗浄剤の製造のための請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
エマルション状の、毛髪または皮膚を保護する化粧品用、皮膚科学的または薬理的作用物質の少なくとも1種を含有する調合物、毛髪固定剤、毛髪染色剤またはパーマ剤を製造するための請求項17に記載の方法。
【請求項19】
2以上の成分をその使用の直前に混合するための静力学的ミクロミキサーの使用であって、当該ミクロミキサーはプレート(1)形状の構成部材の少なくとも1個を有し、当該プレート(1)が、
‐少なくとも1つの遊離体流を、プレート面に位置する連結チャネル(3)へと導き入れるための引入口(2)の少なくとも1つ、および遊離体流をプレート面に位置する混合ゾーン(5)へと送出するための流出口(4)の少なくとも1つを有し、
‐この際に引入口(2)は、プレート面に位置する連結チャネル(3)によって流出口(4)と連結しており、さらに
‐この際に連結チャネル(3)は、混合ゾーン(5)への出口の手前で微細構造ユニット(6)によって2以上の分配チャネル(7)に分割され、この際に当該分配チャネルの幅はミリメートルないしサブミリメートルの範囲にあって混合ゾーン(5)の幅よりも小さいことを特徴とする使用。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−528586(P2006−528586A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520682(P2006−520682)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006041
【国際公開番号】WO2005/018785
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591011627)ウエラ アクチェンゲゼルシャフト (64)
【氏名又は名称原語表記】WELLA AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】