説明

静電チャック部材

【課題】強い腐食性環境下で、プラズマエッチング加工が行われる半導体加工用装置内に配設される静電チャックの耐久性を向上させること。
【解決手段】電極層と電気絶縁層とからなる静電チャック部材において、この部材最外層に、元素の周期律表の3A族元素の酸化物の溶射被覆層を設けるとともに、前記溶射被覆層の表面に、高エネルギー照射処理によって形成された、孔率が5%未満で、かつ、その表面の平均粗さ(Ra)が0.8〜3.0μmになる緻密化再溶融層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン半導体、化合物半導体、液晶等のフラットパネルディスプレイ、ハードディスク、ソーフィルターその他の電子デバイスの製造プロセスにおいて好適に用いられる静電チャック部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体や液晶の製造プロセス、なかでも半導体製造プロセスでは、ドライエッチングなどの処理が、自動化ならびに公害防止の見地から、湿式法から真空もしくは減圧雰囲気下で行われる乾式法による処理へと変化している。そして、この乾式法による処理において重要なことは、パターニング時のシリコンウエハーやガラス板などの基板の位置決め精度を上げることにある。こうした要請に応えるために、従来、基板の搬送や吸着固定に際して、真空チャックや機械チャックを採用していた。しかしながら、真空チャックは、真空下での処理になることから、圧力差が小さいため吸着効果が少なく、たとえ吸着できたとしても吸着部分が局部的となるため、基板に歪が生じるという欠点があった。その上、ウエハー処理の高温化に伴うガス冷却ができないため、最近の高性能半導体製造プロセスに適用できないという不便があった。一方、機械チャックの場合、装置が複雑となるうえ、保守点検に時間を要するなどの欠点があった。
【0003】
従来技術のこのような欠点を補うため、近年、静電気を利用した静電チャックが開発され、広く採用されている。しかし、この技術は、静電チャックによって基板を吸着保持した場合、印加圧電を切ったのちにおいても、基板と静電チャックとの間の残留電荷のため、除電した後でなければ、該基板の取り外しができないという問題があった。
【0004】
その対策として、従来、該静電チャックに使用する絶縁性誘電体の材質そのものを改良する試みがなされている。例えば;
(1)高絶縁体である酸化アルミニウム中にTi2n−1で示される酸化チタンを混合した溶射皮膜(特許文献1)
(2)酸化アルミニウム中に酸化ニッケルを混合することによって高温における応答性を向上させた溶射皮膜の適用(特許文献2)、
(3)金属電極の上下に高絶縁体の酸化層を配した4層構造の静電チャック部材(特許文献3)、
などの提案がある。
【特許文献1】特開平9−069554号公報
【特許文献2】特開平10−154596号公報
【特許文献3】特開2001−203258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜3に提案されている従来の静電チャックには次のような課題がある。それは、酸化アルミニウムなどの高絶縁層を配設した静電チャックは、半導体ディバイス加工時代の初期には、その機能を発揮した。しかし、高精度で一段と緻密で微細な加工が要求される近年では、これらの静電チャックは環境のハロゲン系化合物のガスやプラズマで励起されたイオンによってかかる高絶縁層の部分が腐食されやすく、その腐食生成物が原因となって発生する微細なパーティクルが、却って環境汚染の原因となるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、高絶縁層などを備えた従来の静電チャックが抱えている上述した課題を解決できる静電チャック部材、とくに被覆層に関する新しい構成を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の高絶縁層を設けてなる静電チャックの上述した問題点を克服するために鋭意研究した結果、発明者らは、下記の要旨構成に係る本発明によれば、主としてクーロン力の作用による基材や絶縁層の化学的損傷を効果的に防ぐ効果があることを知見し、本発明を開発するに到った。なお、本発明の場合、基材や絶縁層の化学的損傷を防ぐ効果は、ジョンソン・ラーベック効果によっても生じる。
【0008】
即ち、本発明は、電極層と電気絶縁層とからなる静電チャック部材において、この部材最外層に、元素の周期律表の3A族元素(以下、周期律表の3A族元素と言う)の酸化物の溶射被覆層を設けてなり、前記溶射被覆層は、その表面に、高エネルギー照射処理によって形成された緻密化再溶融層を有し、前記緻密化再溶融層は、気孔率が5%未満で、かつ、その表面の平均粗さ(Ra)が0.8〜3.0μmであることを特徴とする静電チャック部材である。
【0009】
このような構成にすることにより、シリコンウエハーと静電チャック表面との摩耗による表面接触面積の変化が抑制され、冷却効果の経時変化が少なくなって安定する。また、この静電チャックでは、表面粗さに下限を付与したことにより、静電チャック鏡面状態の溶射被覆層にした場合の問題点、即ち、微小な異物の存在でもウエハーと静電チャックの間に隙間ができて、冷却効果が落ちるという問題点を防ぐ効果がある。
【0010】
なお、本発明においては、
a.前記緻密化再溶融層は、最大粗さ(Ry)が6〜16μmであること、
b.前記緻密化再溶融層は、この層に含まれる溶射熱源に起因する一次変態した酸化物を高エネルギー照射処理によって、二次変態させて形成した二次再結晶層であること、
c.前記緻密化再溶融層は、斜方晶系の結晶を含む多孔質層が高エネルギー照射処理によって二次変態して正方晶系の組織になった層であること、
d.前記緻密化再溶融層は、100μm以下の層厚を有すること、
e.前記高エネルギー照射処理は、電子ビーム照射またはレーザービーム照射のいずれかの方法であること
f.前記溶射被覆層は、表面の平均粗さ(Ra)が4〜8μmであり、前記高エネルギー照射処理が、該溶射被覆層の平均粗さ(Ra)の値よりも厚さ方向において深い部位まで及ぶものとすること、
がより有効な解決手段を与える。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明によれば、Siウエハーなどの半導体の吸着機能を維持しつつ、各種のハロゲン化合物による化学的腐食作用およびプラズマによって励起されたハロゲン元素を含む各種イオンによる損傷(プラズマ・エロージョン)にもよく耐え、自ら(薄膜)が半導体加工環境の汚染源とならない静電チャック部材を提供することができる。
(2)本発明の静電チャック部材は、ハロゲン化合物のガスを含む雰囲気と炭化水素系ガスを含む雰囲気とが交互に繰返されるような腐食環境下におけるプラズマエロージョン作用に対しての強抵抗力が大きく耐久性に優れている。
(3)本発明の静電チャック部材は、酸、アルカリ、有機溶剤によっても腐食することがないので、半導体加工装置全体を清浄化するために使用する高純度水や洗浄剤にも侵されず耐食性に優れ、洗浄化処理が容易で長期間にわたって安定して使用できるので、半導体製品などの生産性の向上に寄与する。
(4)本発明によれば、ハロゲンガスやハロゲン化合物による化学的腐食作用に対して優れた耐食性を発揮するため、パーティクルの発生源となる腐食生成物の発生を阻止できる。
(5)本発明の静電チャック部材は、前記腐食環境下でプラズマエッチング加工するときに発生する皮膜の構成成分等からなる微細なパーティクルの発生が少なく、環境汚染を招くことがない。従って、高品質の半導体素子等を効率よく生産することができる。
(6)本願発明によれば、再溶融した溶射皮膜の表面は、平滑で大きな突起がないので、シリコンウエハーと接触しても、これを傷付けることがなく、また、損傷に伴う損傷粉の発生がないため、長期間にわたって、安定した接触状態が維持できる。このため半導体加工条件が一定し、高精度、高品質加工品を効率よく生産できる。
(7)本発明によれば、再溶融した溶射皮膜の表面は、溶射粒子が相互に融合しているため、機械研磨面に比較して、シリコンウエハーと接触しても微粉の脱落がなく、シリコンウエハーとの安定した接触面が得られる。このため、溶射皮膜の基材側から行なわれている冷却作用が効果的かつ均等にシリコンウエハーに伝達されるので、加工条件とバラツキが少なく、高品質の加工製品が効率的に得られる。
(8)さらに、本発明によれば、上記のような効果が得られることにより、プラズマの出力を上げてエッチング効果および速度を上げることが可能になるため、装置の小型化や軽量化によって半導体生産システム全体の改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】静電チャック部材の概略を示す断面図である。
【図2】基材表面に溶射被覆層を有する部材の部分(a)、最外層に緻密化再溶融層5bを形成してなる部材(b)の部分断面図である。
【図3】この図は、溶射皮膜(多孔質層)を電子ビーム照射処理したときに生成する二次再結晶層のX線回折図である。
【図4】電子ビーム照射処理前のY溶射皮膜のX線回折図である。
【図5】電子ビーム照射処理後の二次再結晶層のX線回折図である。
【図6】実施例の緻密化再溶融層と溶射被覆層の表面を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
静電チャック部材は、一般に図1(a)および図1(b)に示す断面構造を有するものである。図示の1は、静電チャックを構成する基本となる電気導伝性の基材である。この基材1に対してはその表面に、例えば、酸化アルミニウム、窒化硼素、窒化アルミニウムあるいはサイアロンなどのセラミックの焼結体等から電気絶縁層2が被覆されており、さらにその電気絶縁層2の表面には、MoやWなどの金属製の電極3が取り付けられる。そして、これら電極3を含めた全ての外表面に対して、電気絶縁層4が被覆され、さらにその外表面には、本発明において特有の構成である緻密化再溶融層5が被覆される。
【0014】
一方、図1(b)は、電極を兼ねる電気導伝性基材1の表面に、酸化アルミニウムなどの電気絶縁層2を設け、電気絶縁層2の外表面に溶射被覆層を形成して、全体を被覆した構造例を示している。なお、それぞれの基材1には、図示しない通電用の配線が接続される。なお、これらの静電チャック部材の構成は例示であって、これらの構造のものだけに限られるものではない。本発明は、これらの部材構成の表面に形成される皮膜(緻密化再溶融層)の構造に特徴がある。
【0015】
以下、本発明に係る静電チャック部材の構成について詳細に説明する。
基材1は、とくに電極を兼ねるものの場合、電気導伝性を有することが必要であり、Al、Al合金、Ti、Ti合金、Mg合金、Ni基合金あるいはクロム系ステンレス鋼などの金属材料(以下、合金材料を含めて、このように言う)がよく、また、炭素系の材料、具体的にはグラファイト、焼結炭素などの非金属材料がよく、特に特公平3−69845号公報に開示されているような等方性炭素などが好適に用いられる。
一方、電極を兼ねない基材については、上記のものの他、石英、ガラス、酸化物、炭化物、硼化物、珪化物、窒化物およびこれらの混合物からなるセラミック、これらのセラミックと前記金属等とからなるサーメットのような無機材料、プラスチックなどを用いることができる。また、本発明で用いる基材としては、表面に、金属めっき(電気めっき、溶融めっき、化学めっき)したものや金属蒸着膜を形成したものなども用いることができる。
【0016】
電気絶縁層2は、その上に被覆する前記溶射被覆層5とともに高い電気絶縁性、具体的には10〜1013Ωcmの電気抵抗率を有する材料が好適に用いられる。具体的には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化硼素、サイアロンなどのセラミックスが好適である。
【0017】
本発明の静電チャック部材が最も有効に機能する場合とは、この部材が腐食性ガス雰囲気下でプラズマ・エッチング加工するような環境下で用いられるときである。即ち、このような環境下で使われる静電チャック部材は、腐食が激しく、とくに、部材がフッ素またはフッ素化合物を含むガス(以下、これらを「含Fガス」という)雰囲気、例えば、SF、CF、CHF、ClF、HF等のガスを含む雰囲気、もしくはC、CHなどの炭化水素系ガス(以下、これらを「含CHガス」という)雰囲気、あるいはこれらの両雰囲気が交互に繰り返されるような雰囲気で使われると、激しく腐食されるからである。
【0018】
一般に、前記含Fガス雰囲気は、主にフッ素やフッ素化合物が含まれ、またはさらに酸素(O)を含むことがある。フッ素は、ハロゲン元素の中でも特に反応性に富み(腐食性が強い)、金属はもとより酸化物や炭化物とも反応して蒸気圧の高い腐食生成物をつくるという特徴がある。そのために、この含Fガス雰囲気中にある金属や酸化物、炭化物等は、表面に腐食反応の進行を抑制するための保護膜が生成せず、腐食反応が限りなく進むこととなる。ただし、発明者らの研究では、こうした環境の中でも、周期律表3A族に属する元素、即ち、ScやY、原子番号57〜71の元素ならびにこれらの酸化物は、比較的良好な耐食性を示す。
【0019】
一方、含CHガス雰囲気は、そのCH自体に強い腐食性はないが、含Fガス雰囲気で進行する酸化反応と全く逆の還元反応が起こるという特徴がある。そのため、含Fガス雰囲気中では比較的安定な耐食性を示した金属や金属化合物も、その後、含CHガス雰囲気に接すると、化学的結合力が弱くなる。従って、含CHガスに接した部分が、再び含Fガス雰囲気に曝されると、初期の安定な化合物膜が化学的に破壊され、最終的には腐食反応が進むという現象を招く。
【0020】
特に、上記雰囲気ガスの変化に加え、プラズマが発生するような環境では、F、CHとも電離して反応性の強い原子状のF、CHが発生するため、腐食性や還元性は一段と激しくなり、腐食生成物が生成しやすくなる。このようにして生成した腐食生成物は、プラズマ環境中では蒸気化したり、また微細なパーティクルとなってプラズマ処理容器内を著しく汚染する。したがって、本発明に係る静電チャック部材は、含Fガス/含CH雰囲気が交互に繰り返されるような環境下における腐食対策として有効であり、腐食生成物の発生阻止のみならず、パーティクル発生の抑制にも役立つ。とくに、最近の静電チャックは、Siウエハーの吸着面の清浄化をはかるため、含Fガスと含CHガスの強いプラズマ・エッチング性能を利用して、エッチング処理を行うことがあるため、Siウエハーの吸着面も高度な耐プラズマ・エッチング性が要求されており、この対策として有効である。
【0021】
次に、発明者らは、まず、静電チャックの表面に形成する成膜用材料について、含Fガスや含CHガスの雰囲気中でも良好な耐食性や耐環境汚染性を示すものについて検討した。その結果、静電チャック部材の外層(外表面)、とくに前記電気絶縁層の外表面に被覆して用いる材料として、本発明では、周期律表の3A族に属する元素の酸化物を用いることが有効であるとの結論を得た。具体的には、Sc、Yあるいは原子番号が57〜71のランタノイド(La、Ce、Pr、Nb、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)の酸化物であり、中でもランタノイドについては、La、Ce、Eu、Dy、Ybの希土類酸化物が好適であることがわかった。本発明では、これらの酸化物を単独、または2種以上の混合物、複酸化物、共晶物となったものを用いることができる。本発明において、前記金属酸化物に着目した理由は、他の酸化物に比べて耐ハロゲン腐食性およびそのハロゲンガス中における耐プラズマエロージョン性に優れているからである。
【0022】
上述したところから明らかなように、本発明に係る部材の構成の特徴は、前記基材の表面に、腐食環境中において優れた耐食性、耐環境汚染性等を示す周期律表の3A族元素の酸化物を、被覆することにある。その被覆の手段として、本発明では、以下に説明するような方法を採用することが好ましい。
【0023】
即ち、本発明において、基材の表面に所定の厚さの被覆層を形成する方法として、溶射法を用いる。そのために本発明では、基材の表面に、周期律表の3A族元素の酸化物を、粉砕または造粒法等により粒径5〜80μmの粉粒体からなる溶射材料粉とし、この溶射材料粉を該基材の表面に、所定の方法で溶射して、50〜2000μm厚の多孔質な皮膜からなる溶射被覆層を形成する。
【0024】
なお、酸化物粉末を溶射する方法としては、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法が好適であるが、水プラズマ溶射法あるいは爆発溶射法なども使用条件によっては適用が可能である。
【0025】
周期律表の3A族元素の酸化物粉末を溶射して得られる溶射被覆層は、その厚さが50μm未満では、前記腐食環境下の皮膜としての性能が十分でなく、一方、この層の厚さが2000μmを超えると、溶射粒子の相互結合力が弱くなる上、成膜時に発生する応力(粒子が急冷されることによる体積の収縮が主な原因と考えられる)が大きくなって、皮膜が破壊されやすくなる。
【0026】
なお、この溶射被覆層は、基材表面の電気絶縁層の外表面に対して直接、もしくはアンダーコートなどを形成した後、そのアンダーコートの上に該酸化物の溶射皮膜を形成したものであってもよい。
【0027】
そのアンダーコートとしては、溶射法あるいは蒸着法などによって、Niおよびその合金、Coおよびその合金、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、Moおよびその合金、Wおよびその合金、Crおよびその合金等の金属質の皮膜を用いることが好ましく、その膜厚は50〜500μm程度とすることが好ましい。このアンダーコートの役割は、基材表面を腐食性環境から遮断して耐食性を向上させるとともに、基材と多孔質溶射被覆層との密着性の向上を図ることにある。従って、このアンダーコートの膜厚は50μm未満では十分な耐食性が得られないだけでなく均一な成膜が困難であり、一方でその膜厚を500μmよりも厚くしても、耐食性の効果が飽和する。
【0028】
周期律表の3A族に属する元素の酸化物からなる溶射皮膜によって形成される前記溶射被覆層は、溶射ままの状態では平均気孔率が5〜20%程度である。この気孔率は、溶射法の種類、たとえば減圧プラスマ溶射法、大気プラズマ溶射法など、どの溶射法を採用するかによっても異なる。溶射ままの平均気孔率の好ましい範囲は5〜10%程度である。この気孔率が5%未満では、皮膜に蓄積されている残留応力が大きくなって、耐熱衝撃性や密着性が劣り、一方、10%とくに20%を超えると腐食性ガスの内部侵入を容易にするとともに耐プラズマエロージョン性が劣る。
【0029】
この溶射被覆層の表面は、プラズマ溶射法を適用したときに、平均粗さ(Ra)で4〜8μm程度、最大粗さ(Ry)で16〜32μm程度の粗さを有する。
【0030】
本発明において、このような気孔率、粗さを有する溶射被覆層を形成する理由は、このような皮膜は、耐熱衝撃性に優れる他、所定の膜厚の被覆層を短時間でしかも安価に得られるからである。さらには、このような皮膜は、この皮膜にかかる熱衝撃を緩和して、皮膜全体にかかるサーマルショックを和らげる緩衝作用を担う。
【0031】
次に、本発明において最も特徴的な構成である前記溶射被覆層、即ち、周期律表の3A族元素の酸化物からなる多孔質溶射皮膜の表層部には、例えば、この溶射皮膜の最表層の部分を変質させる態様で新たな層、即ち前記周期律表の3A族元素の酸化物からなる多孔質層を二次変態させて二次再結晶層を設けた点にある。
【0032】
一般に、周期律表の3A族元素の金属酸化物、たとえば酸化イットリウム(イットリア:Y)の場合、結晶構造は正方晶系に属する立方晶である。その酸化イットリウム(以下、「イットリア」という)の粉末を、プラズマ溶射すると、溶融した粒子が基材に向って高速で飛行する間に超急冷されながら、基材表面に衝突して堆積するときに、その結晶構造が立方晶(Cubic)の他に単斜晶(monoclinic)を含む混晶からなる結晶型に一次変態をする。
【0033】
即ち、前記多孔質溶射被覆層の結晶型は、溶射の際に超急冷されることによって、一次変態して斜方晶系と正方晶系とを含む混晶からなる結晶型で構成されている。これに対し、上記二次再結晶層は、一次変態した前記混晶からなる結晶型が、正方晶系の結晶型に二次変態した層である。
【0034】
このように本発明では、主として一次変態した斜方晶系の結晶を含む混晶構造からなる周期律表の3A族酸化物の前記溶射被覆層を、高エネルギー照射処理することによって、該溶射被覆層の堆積溶射粒子を少なくとも融点以上に加熱し、このことによって、この層を再び変態(二次変態)させて、その結晶構造を正方晶系の組織に戻して結晶学的に安定化させたものである。
【0035】
それと同時に、本発明では、溶射による一次変態時に、溶射粒子堆積層に蓄積された熱歪みや機械的な歪みを解放して、その性状を物理的化学的に安定させ、かつ溶融に伴なうこの層の緻密化と平滑化をも実現することにしたものである。その結果、この周期律表の3A族の金属酸化物からなる該二次再結晶層は、溶射ままの層と比べて緻密で平滑な層に変化する。
【0036】
即ち、この二次再結晶した再溶融層は、気孔率が5%未満(溶射皮膜気孔率:5〜10%)、好ましくは2%未満の緻密化再溶融層となると共に、表面の粗度は、平均粗さ(Ra)で0.8〜3.0μm(溶射皮膜は4〜8μm)、最大粗さ(Ry)で6〜16μm(溶射皮膜は16〜32μm)、10点平均粗さ(Rz)で3〜14μm(溶射皮膜は14〜24μm)程度になり、前記溶射被覆層と比べて著しく異なった層構造に変化している。なお、この最大粗さ(Ry)の制御は、例えば、半導体加工装置の処理環境を考えて、耐環境汚染性の観点から決定される。その理由は、例えば、エッチング加工雰囲気中で励起されたプラズマイオンや電子によって、容器内部材の表面が削り取られ、パーティクルを発生する場合に、その影響は表面の最大粗さ(Ry)の値によく現われ、この値が大きいと、パーティクルの発生機会が増大するからである。
【0037】
また、本発明の静電チャック部材において、基材表面に直接、または金属質アンダーコート等を施工した上に形成される前記緻密化再溶融層は、その表面形状、即ち、表面粗さ、とくに高さ方向の粗さをどのようにするかが重要である。すなわち、たとえ溶射皮膜の表面を再溶融していても、成膜時に溶射熱源によって完全に溶融しない粒子(未溶融粒子と呼ばれる)が残留していると、再溶融処理を行っても大きな凸部が形成される。このような表面がシリコンウエハーと接触すると、ウエハーに傷が発生する一方、溶射皮膜の表面とウエハーとの接触が不十分となって、通常、皮膜の下側から実施されているガスによる冷却作用が、不均等となる。この結果、ウエハーのプラズマ・エッチング速度が変化し、高精度、高品質加工製品の生産性が低下するからである。
【0038】
なお、溶射皮膜の表面を再溶融して、所定の表面粗さに変えるためには、電子ビーム照射条件として、溶射皮膜(50〜2000μm)の厚みに応じ、下記のような条件の範囲で照射出力および照射回数を制御することが推奨される。
照射雰囲気 : 10〜0.005PaのArガス
照射出力 : 1.0〜10KeV
照射速度 : 1〜20mm/s
上記照射条件以外の照射条件を採用する他の方法として、電子銃によって電子ビームを発生させたり、また、照射雰囲気を減圧中や減圧された不活性ガス中で行うことによっても、照射層の微調整(二次再溶融)が可能である。
【0039】
二次再結晶した再溶融層を形成するために行う高エネルギー照射方法は、電子ビーム照射処理、COやYAGなどのレーザ照射処理が好適である。とくに、周期律表の3A族元素にかかる酸化物は、電子ビーム照射処理されると表面から温度が上昇して最終的には融点以上に達して溶融状態となる。この溶融現象は、電子ビーム照射出力を大きくしたり、照射回数を増加したりして調整することができる。
【0040】
なお、レーザービーム照射としては、YAG結晶を利用したYAGレーザ、また媒質がガスの場合にはCOガスレーザ等を使用することが可能である。このレーザービーム照射処理としては、次に示す条件が推奨される。
レーザ出力 :0.1〜10kW
レーザービーム面積 :0.01〜2500mm
処理速度 :5〜1000mm/s
【0041】
上記の電子ビーム照射処理やレーザービーム照射処理された層は、上述したとおり、高温変態して冷却時に二次再結晶を析出し、物理化学的に安定な結晶型に変化するので、皮膜の改質が結晶レベルの単位で進行する。例えば、大気プラズマ溶射法によって形成したY皮膜では、上述したとおり、溶射状態では斜方晶を含む混晶であるのに対し、電子ビーム照射後にはほとんどが立方晶に変化する。
【0042】
次に、発明者らは、周期律表の第3A族元素の酸化物による溶射皮膜の状態と、得られた皮膜を電子ビーム照射およびレーザービーム照射したときに形成される再溶融層の状況を調査した。なお、この調査において、供試した周期律表の3A族の酸化物としは、Sc、Y、La、CeO、Eu、DyおよびYbの7種類の酸化物粉末(平均粒径:10〜50μm)を用いた。そして、これらの粉をアルミニウム製試験片(寸法:幅50mm×長さ60mm×厚さ8mm)の片面に直接、大気プラズマ溶射(APS)および減圧プラズマ溶射(LPPS)することによって、厚さ100μmの溶射皮膜を形成した。その後、これらの皮膜の表面を、電子ビーム照射処理およびレーザービーム照射処理を行った。表1は、この試験の結果をまとめたものである。
【0043】
なお、周期律表の3A族元素の溶射法について調査したのは、これまで、原子番号57〜71のランタノイド系の金属酸化物についての溶射実績は報告されておらず、本発明の目的に適した皮膜の形成と電子ビーム照射の適用効果があるかどうか確認するためである。
【0044】
調査結果によると、供試酸化物は、表1の融点(2300〜2600℃)に示すとおり、ガスプラズマ熱源であっても十分によく溶融し、酸化物溶射皮膜特有の気孔は存在しているものの、比較的良好な皮膜となることがわかった。また、これらの皮膜表面を電子ビーム照射およびレーザビーム照射したものは、いずれの皮膜とも溶融現象によって突起物が消失し、全体に緻密で平滑な表面に変化することが確認できた。ただ、高エネルギー照射によって処理された表面には、溶融状態から凝固した際の堆積収縮に伴って発生したと思われる微細なひび割れの発生が認められた。しかし、このひび割れの幅は1μm未満のものが多く、表面粗さに影響せず、ウエハーとも接触しないので、障害原因となることはない。
【0045】
【表1】

【0046】
さらに前記の調査で作製した高エネルギー照射処理済み試験片の中から、Yの溶射皮膜について、この皮膜の電子ビーム照射処理前後における溶射皮膜断面を光学顕微鏡によって観察し、高エネルギー照射処理による皮膜のミクロ組織的変化を観察した。
【0047】
図2は、Y溶射被覆層(多孔質膜)、この溶射被覆層を電子ビーム照射処理した後の緻密化再溶融層5における表面近傍のミクロ組織変化を模式的に示したものである。図2(a)に示す非照射試験片では、皮膜を構成している溶射粒子がそれぞれ独立して存在し、表面の粗さが大きい。一方、図2(b)に示す電子ビーム照射処理によって、前記溶射皮膜上にミクロ組織の異なる新たな層が生成し、この層は、前記溶射粒子が相互に融合し、空隙の少ない緻密な層に変わったものになっている。なお、電子ビーム照射によって生成した緻密層の下には、溶射皮膜特有の気孔の多い皮膜が存在し、耐熱衝撃性に優れた層である。
【0048】
次に、図2(a)のY溶射被覆層と、下記条件で電子ビーム照射処理によって生成した図2(b)に示す二次再結晶した緻密化再溶融層をXRD測定することにより、それぞれの層の結晶構造を調べた。その結果を図3に示す。電子ビーム照射処理前のXRDパターンとして示した。また、図4は処理前の縦軸を拡大したX線回折チャートであり、図5は処理後の縦軸を拡大したX線回折チャートである。図4からわかるように、処理前のサンプルには、単斜晶を示すピークが特に30〜35°の範囲で観察され、立方晶と単斜晶が混在している様子がわかる。これに対し、図5に示すように、電子ビーム照射処理した二次再結晶層は、Y粒子を示すピークがシャープになり、単斜晶のピークは減衰し、面指数(202)、(3/0)などは確認できなくなっており、立方晶のみであることが確かめられた。なお、この試験は、理学電機社製RINT1500X線回折装置を用いて測定したものである。
X線回折条件
出力 40kV
走査速度 2°/min
【実施例】
【0049】
(実施例1)
この実施例は、Al基材(寸法:50mm×50mm×5mm)の表面に、大気プラズマ溶射法によって80mass%Ni-20mass%Crのアンダーコート(溶射皮膜)を施工し、その上にYとCeOの粉末を用い、それぞれ大気プラズマ溶射法して多孔質溶射皮膜を形成した。その後、これらの溶射皮膜表面を、電子ビーム照射とレーザービーム照射の2種類の高エネルギー照射処理した。次いで、このようにして得られた供試材の表面を下記の条件でプラズマエッチング加工を施した。そして、エッチング処理によって削られて飛散する皮膜成分のパーティクルの粒子数を測定することによって、耐プラズマエロージョン性と環境汚染特性を調査した。パーティクルは、この容器内に静置した直径8インチのシリコンウエハーの表面に付着する粒径0.2μm以上の粒子数が30個に達するまでの時間を測定することによって比較した。
【0050】
(1)雰囲気ガスと流量条件
含Fガスとして CHF/O/Ar=80/100/160(1分間当りの流量cm
含CHガスとして C/Ar=80/100(1分間当りの流量cm
(2)プラズマ照射出力
高周波電力 :1300W
圧力 :4Pa
温度 :60℃
(3)プラズマエッチング試験
a.含Fガス雰囲気での実施
b.含CHガス雰囲気での実施
c.含Fガス雰囲気1h⇔含CHガス雰囲気1hを交互に繰り返す雰囲気中での実施
【0051】
これらの試験結果を表2に示した。この表に示した結果から明らかなように、電子ビーム照射またはレーザービーム照射処理して得られる本発明に適合する供試皮膜(No.1、No.2)の場合、図6に示すように、処理前Ra=5.26μmに対し、処理後はRa=2.04μmとなり、緻密化した層になっていることがわかった。また、エロージョンによるパーティクルの発生量は、含CHガスと含Fガスの両方のガスを交互に繰り返し供給しながらプラズマエッチングした場合でも100時間を超え、しかもパーティクルの飛散量が非常に少なく、優れた耐プラズマエロージョン性を示すことが確認された。
これに対し、比較例(No.3)である溶射ままの場合、35時間でパーティクルの発生量が基準値を超えた。この状態は、皮膜表面粒子の化学的安定性が損なわれ、その結果、粒子の相互結合力が低下する一方、比較的安定な皮膜成分のフッ化物もプラズマのエッチング作用によって飛散し易くなった結果と考えられる。
【0052】
なお、シリコンウエハー表面に付着したパーティクルの主成分は、溶射成膜のまま(比較例)ではY(Ce)やF、Cであったが、この溶射皮膜をさらに電子ビーム照射またはレーザービーム照射した発明例(二次再結晶層となったもの)の場合、発生するパーティクル中には、皮膜成分は殆ど認められず、FとCのみであった。
【0053】
【表2】

【0054】
(実施例2)
この実施例は、50mm×100mm×5mm厚のAl製基材の表面に、表3に示すような成膜材料を溶射して皮膜を形成した。その後、一部については、本発明に適合する二次再結晶層を形成すべく電子ビーム照射処理を行った。次いで、得られた供試材から寸法20mm×20mm×5mmの試験片を切り出したのち、照射処理した皮膜面の10mm×10mmの範囲が露出するように他の部分をマスクし、下記に示す条件にてプラズマ照射し、プラズマエロージョンによる損傷量を電子顕微鏡などによって求めた。
(1)ガス雰囲気と流量条件
CF/Ar/O=100/1000/10ml(1分間当りの流量)
(2)プラズマ照射出力
高周波電力 :1300W
圧力 :133.3Pa
【0055】
表3は、以上の結果をまとめたものである。この表に示す結果から明らかなように、比較例の陽極酸化皮膜(No.8)、BC溶射皮膜(No.9)、石英(無処理No.10)は、いずれもプラズマエロージョンによる損耗量が大きく、実用的でないことがわかった。
【0056】
これに対して、基材表面に二次再結晶層を有する皮膜(No.1〜7)は、3A族元素を成膜材料に用いたこと、および表面平均粗さ(Ra)を電子ビーム照射によって、0.8〜3.0μmの範囲内に収まるように緻密化処理したことで、高い耐エロージョン性を示しており、とくに、電子ビーム照射処理により抵抗力が一段と向上し、プラズマエロージョン損傷量は大幅に低減することがわかった。
【0057】
【表3】

【0058】
(実施例3)
この実施例では、実施例2の方法で皮膜を形成し、電子ビーム照射処理の前後における形成皮膜の耐プラズマエロージョン性を調査した。供試材としては、Al基材上に直接、次に示すような混合酸化物を大気プラズマ溶射法によって200μmの厚さに形成したものを用いた。
(1)95%Y−5%Sc
(2)90%Y−10%Ce
(3)90%Y−10%Eu
なお、成膜後の電子ビーム照射およびガス雰囲気成分、プラズマ溶射条件などは、実施例2と同様である。
【0059】
表4は、以上の結果をプラズマエロージョン損傷量としてまとめたものである。この表に示す結果から明らかなように、本発明に適合する条件(即ち、電子照射処理によって、溶射被覆層の表面を緻密化再溶融層として形成)の下で周期律表3A族の酸化物の皮膜は、これらの酸化物を混合状態で使用しても、表3に開示した比較例のAl((陽極酸化)、BC皮膜よりも耐プラズマエロージョン性が良好であった。
【0060】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の技術は、半導体加工装置に使われる静電チャック部材およびその部品等はもとより、昨今の一段と精密・高度な加工が要求されているプラズマ処理装置用部材の表面処理技術として用いられる。また、本発明の技術は、含Fガスや含CHガスをそれぞれ単独に使用する装置またはこれらのガスを交互に繰り返して使用するような苛酷な雰囲気中においてプラズマ処理する半導体加工装置のデポシールド、バッフルプレート、フォーカスリング、アッパー・ロワーインシュレータリング、シールドリング、ベローズカバー、電極、固体誘電体などの部材、部品等への表面処理技術としてもまた応用可能である。また、本発明は、液晶デバイス製造装置用部材の表面処理技術としての適用が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 基材
2、4 電気絶縁層
3 電極
2a 溶射被覆層
2b 緻密化再溶融層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層と電気絶縁層とからなる静電チャック部材において、この部材最外層に、元素の周期律表の3A族元素の酸化物の溶射被覆層を設けてなり、
前記溶射被覆層は、その表面に、高エネルギー照射処理によって形成された緻密化再溶融層を有し、
前記緻密化再溶融層は、気孔率が5%未満で、かつ、その表面の平均粗さ(Ra)が0.8〜3.0μmであることを特徴とする静電チャック部材。
【請求項2】
前記緻密化再溶融層は、最大粗さ(Ry)が6〜16μmであることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック部材。
【請求項3】
前記緻密化再溶融層は、この層に含まれる溶射熱源に起因する一次変態した酸化物を高エネルギー照射処理によって、二次変態させて形成した二次再結晶層であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック部材。
【請求項4】
前記緻密化再溶融層は、斜方晶系の結晶を含む多孔質層が高エネルギー照射処理によって二次変態して正方晶系の組織になった層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の静電チャック部材。
【請求項5】
前記緻密化再溶融層は、100μm以下の層厚を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電チャック部材。
【請求項6】
前記高エネルギー照射処理は、電子ビーム照射またはレーザービーム照射のいずれかの方法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電チャック部材。
【請求項7】
前記溶射被覆層は、表面の平均粗さ(Ra)が4〜8μmであり、
前記高エネルギー照射処理が、該溶射被覆層の平均粗さ(Ra)の値よりも厚さ方向において深い部位まで及ぶものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電チャック部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−129549(P2012−129549A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48877(P2012−48877)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【分割の表示】特願2007−248443(P2007−248443)の分割
【原出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(000109875)トーカロ株式会社 (127)
【Fターム(参考)】