説明

非ステロイド系グルココルチコイド受容体リガンドとしてのピラゾール誘導体

本発明は、式(I)で表される化合物、その調製方法を提供するものであり、該化合物を含んでなる医薬組成物及びそのような組成物の調製、中間体、さらには治療薬による治療用(特に炎症の治療用)医薬を製造するための該化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド系グルココルチコイド受容体結合性化合物及びその調製方法、該化合物を含んでなる医薬組成物及びそのような組成物の調製、中間体、さらには治療薬による治療用(特に炎症の治療用)医薬を製造するための該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
核内受容体は、遺伝子発現の調節に関与する構造的に類似したタンパク質の群である。ステロイド系ホルモン受容体は、このファミリーのサブセットであり、これの天然のリガンドには、代表的には、エストラジオール(エストロゲン受容体)、プロゲステロン(プロゲステロン受容体)及びコルチゾール(グルココルチコイド受容体)のような内生のステロイドが挙げられる。人間が作出したこれらの受容体に対するリガンドはヒトの健康で重要な役割を演じており、特に、グルココルチコイドアゴニストが、さまざまな炎症性の病態を治療するのに用いられている。
【0003】
現在知られているグルココルチコイド系薬は、炎症、組織拒否反応、自己免疫反応、さまざまな悪性腫瘍(例えば白血病やリンパ腫)、クッシング症候群、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、肉芽腫性多発動脈炎、骨髄細胞系抑制、免疫増殖/アポトーシス、下部・下垂体・副腎軸(HPA axis)抑制・調節、副腎皮質機能亢進、Th1/Th2サイトカインバランスのモジュレーション、慢性腎臓疾患、脊髄損傷と発作、高カルシウム血症、高グリセリン血症、急性アドレナリン欠乏症、慢性原発性アドレナリン欠乏症、二次性アドレナリン欠乏症、先天性アドレナリン過形成、脳浮腫、血小板減少症及びリトル症候群の治療で有用なことが判明している。
【0004】
グルココルチコイド系薬は、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、慢性関節リウマチ、変形性関節症、季節性鼻炎、アレルギー性鼻炎、血管神経性鼻炎、蕁麻疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性活動性慢性肝炎、臓器移植症、肝炎及び肝硬変のような全身性の炎症が伴う疾患状態において特に有用である。グルココルチコイド系薬は、免疫賦活剤、免疫抑制剤として、さらには創傷治癒剤、組織修復剤としても使われてきた。
【0005】
グルココルチコイド系薬は、炎症性頭皮脱毛症、皮下脂肪炎、乾癬、円板状紅斑性狼瘡、嚢胞炎症、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、水泡性類天疱瘡、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、妊娠性疱疹、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性血管炎、類肉腫症、スウィート病、1型反応性らい病、毛細血管性血管腫、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、挫創、多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑及び皮膚T細胞リンパ腫のような疾患の治療でも使えることが見出されている。
【0006】
病気の主な原因が中枢神経系(CNS)内での炎症である病態の多くは、現在、高い用量のグルココルチコイド剤で治療されている。この高い用量が必要とされるのは、主に、ステロイド剤は、特異的トランスポーターによって脳から積極的に除去されるので、CNS内に治療薬としての用量をもたらすためには、したがって、高い全身的な濃度が保たれなければならないからであることは、理解されるところである。より高く脳内に分配していく傾向を呈する薬剤があれば、全身的なグルココルチコイド負荷を相当に低減しながらCNS内にそのような治療薬としての濃度が保たれることを可能にするだろうし、結果として、グルココルチコイドの知られている全身的な影響(例えば骨粗鬆症、糖尿病、筋障害、皮膚菲薄化及び体重増加)のリスクの低減ももたらされるであろう。
【0007】
そのようなアプローチが価値あるものとされ得る神経系の炎症性又は自己免疫性病態としては、限定するものではないが、多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患(髄膜腫、リンパ腫及び悪性髄膜炎も含めて)、さらには神経系の外傷性障害及び感染性疾患例えば結核が挙げられる。他の病態としては、脳外傷(例えば梗塞後外傷(発作))が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
グルココルチコイド受容体に結合するさらなる化合物を見つけようとするニーズは依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(I):
【化1】

【0010】
[式中、
は、
【化2】

【0011】
から選択され;
は、メチル、エチル及び2−フルオロエチルから選択され;
、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCHF及び−C(O)CHから選択され;
Yは、窒素及びCHから選択され;
nは、0、1及び2から選択される整数であり、
nが1である場合は、Xは塩素及びフッ素から選択され、さらには
nが2である場合は、各Xはフッ素である]
で表される化合物及びその塩(本明細書以下「本発明の化合物」)を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
さらなる実施形態において、本発明は、式(IA):
【化3】

【0013】
[式中、
は、
【化4】

【0014】
から選択され;
は、メチル、エチル及び2−フルオロエチルから選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCHF及び−C(O)CHから選択され;
Yは、窒素及びCHから選択され;
nは、0、1及び2から選択される整数であり、
nが1である場合は、Xは塩素及びフッ素から選択され、さらには
nが2である場合は、各Xはフッ素である]
で表される化合物及びその塩を提供する。
【0015】
一実施形態においては、Rは、
【化5】

【0016】
である。
【0017】
さらなる実施形態においてRは、
【化6】

【0018】
である。
【0019】
一実施形態においてRは、エチル及び2−フルオロエチルから選択される。もう1つの実施形態においてRはエチルである。もう1つの実施形態においてRは2−フルオロエチルである。さらなる実施形態においてRはメチルである。
【0020】
一実施形態においてRは、水素、フッ素、塩素、−CF、−OCHF及び−C(O)CHから選択される。もう1つの実施形態においてRは、フッ素、塩素、−CF、−OCHF及び−C(O)CHから選択される。さらなる実施形態においてRは、水素、フッ素及び塩素から選択される。
【0021】
一実施形態においてRは水素及びフッ素から選択される。もう1つの実施形態においてRは水素である。さらなる実施形態においてRはフッ素である。
【0022】
一実施形態においてRは水素である。
【0023】
一実施形態においてRは、水素及び塩素から選択される。さらなる実施形態においてRは水素である。
【0024】
一実施形態においてYは窒素である。さらなる実施形態においてYはCHである。
【0025】
一実施形態においてnは1である。もう1つの実施形態においてnは2である。
【0026】
一実施形態においてはnが1である場合は、Xはフッ素である。さらなる実施形態においてはこのフッ素はフェニル環のパラ位にある。
【0027】
一実施形態においてはnが2である場合は、Xはフッ素である。さらなる実施形態においては1つのフッ素はフェニル環のパラ位にあり、2つ目のフッ素はメタ位にある。
【0028】
本発明は、本明細書上記で述べた置換基群のあらゆる組み合わせを保護していることを理解すべきである。
【0029】
「本発明の化合物」としては、実施例1〜46のそれぞれ及びそれらの塩が挙げられる。
【0030】
一実施形態において、式(I)の化合物は、
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド(エナンチオマー1);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[[(2−フルオロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−N−エチル−8−キノリンカルボキサミド;
5−アミノ−N−{2−[(エチル{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−{2−[(エチル{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−{2−[(エチル{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{3,3,3−トリフルオロ−2−[((2−フルオロエチル){[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−2−ヒドロキシプロピル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[({2−[(ジフルオロメチル)オキシ]フェニル}カルボニル)(2−フルオロエチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[({2−[(ジフルオロメチル)オキシ]フェニル}カルボニル)(エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−{[[(2−アセチルフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](2−フルオロエチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(3−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロ−3−フルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(4−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−{2−[(エチル{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(3,4−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−{[[(3−アセチルフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−{[メチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}プロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[(メチル{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]プロピル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−{[[(2−アセチルフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[(メチル{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]プロピル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−フルオロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3,5−ジクロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3,5−ジフルオロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド;又は
これらの塩;である。
【0031】
もう1つの実施形態においては式(I)の化合物は、
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−{2−[(エチル{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−{2−[(エチル{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{3,3,3−トリフルオロ−2−[((2−フルオロエチル){[2−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)メチル]−2−ヒドロキシプロピル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[({2−[(ジフルオロメチル)オキシ]フェニル}カルボニル)(エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−(2−{[[(2−アセチルフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;又はこれらの塩である。
【0032】
もう1つの実施形態においては式(I)の化合物は、
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−N−エチル−8−キノリンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−N−エチル−8−キノリンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;又はこれらの塩である。
【0033】
さらなる実施形態においては式(I)の化合物は、
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−N−エチル−8−キノリンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;又はこれらの塩である。
【0034】
「本発明の化合物」の範囲内には、式(I)の化合物並びにその塩のあらゆる溶媒和物、水和物、錯体及び多形体も包含される。
【0035】
式(I)の化合物はそれぞれキラル中心を含むので、式(I)のそれぞれの化合物には2つの考えられるエナンチオマーがある。
【0036】
用語エナンチオマー1とエナンチオマー2は、本明細書では、本明細書に記載されているキラルクロマトグラフィー法を用いたのその溶離の順序を基準にして式(I)の化合物のエナンチオマーを言及するために使われている。エナンチオマー1は、最初に溶離してくるエナンチオマーを言及しており、エナンチオマー2はその次に溶離してくるエナンチオマーを言及している。
【0037】
ラセミ混合物のようなエナンチオマー同士の混合物も好ましくあり得る。つまり、本発明の一実施形態においては、式(I)の化合物はラセミ混合物(ラセミ体)である。
【0038】
別の形態として、単一のエナンチオマー、例えばエナンチオマー1も、好ましくあり得る。つまり、本発明の一実施形態においては、式(I)の化合物は、エナンチオマー1である。本発明のさらなる実施形態においては、式(I)の化合物はエナンチオマー2である。
【0039】
当業者であれば、C(O)−R結合の回転の滑らかさがその芳香族環上のオルト置換のためにより低くなると、アトロプ異性(配座異性)が観測され得る、つまり4つの異性体、すなわち、アトロプ異性体1、エナンチオマー1(A1E1);アトロプ異性体1、エナンチオマー2(A1E2);アトロプ異性体2、エナンチオマー1(A2E1);及びアトロプ異性体2、エナンチオマー2(A2E2)の可能性が生まれることは解ると思われる。異性体つまり立体異性体の生物学的活性に関するいずれの記載にも、このようなアトロプ異性体も含まれるととるべきである。当業者なら、1:1でないアトロプ異性体比が存在する場合は、この比は相互変換の半減期に応じて変化し得ることは、理解されよう。
【0040】
さらに、当業者であれば、アミドが置換されているために(例えばRがエチル又は2−フルオロエチルである場合)回転がC(O)−NR結合の回りに制限されている式(I)の化合物に対しては、回転異性体が観測され得ることは理解されよう。異性体つまり立体異性体の生物学的活性に関するいずれの記載にも、このような回転異性体も含まれるととるべきである。当業者なら、回転異性体比は相互変換の半減期に応じて変化し得るので、1:1比の回転異性体は存在しないかも知れないことは、理解されよう。
【0041】
本明細書で使われている用語「立体異性体」及び「異性体」には、エナンチオマー、アトロプ異性体及び/又は回転異性体が包含される。
【0042】
式(I)の化合物群のそれぞれの考えられる立体異性体群の少なくとも1つはグルココルチコイド受容体に結合し得る。さらに、式(I)の化合物群のそれぞれの考えられる立体異性体群の少なくとも1つはグルココルチコイド受容体アゴニスト活性を有し得る。
【0043】
したがって、式(I)のそれぞれの化合物の考えられる立体異性体群の少なくとも1つはグルココルチコイド受容体をモジュレートする。本明細書で使われている用語「モジュレーター」とは、グルココルチコイド受容体に結合し、グルココルチコイド受容体のアゴニストか、半アゴニストか、又はアンタゴニストとして作用する化合物を指している。
【0044】
本発明の化合物は、グルココルチコイド受容体のアゴニズム(作動)をもたらし得る。
【0045】
本発明の化合物のいくつかは、脳内に分配していく傾向を呈すものもある。より高く脳内に分配していく傾向を呈する薬剤は、治療薬としての濃度が、CNS内に、その全身的なグルココルチコイド負荷を相当に低減しながら保たれることを可能にするので、結果として、グルココルチコイドの知られている全身的な影響(例えば骨粗鬆症、糖尿病、筋障害、皮膚菲薄化及び体重増加)のリスクの低減がもたらされ得る。
【0046】
当業者なら、少なくとも1つの異性体(例えばラセミ体の1つのエナンチオマー)が記載した活性を有し得ることは、理解されよう。他の異性体は、官能アッセイで、同じような活性、より低い活性、まったくない活性を有し得る。あるいはいくらかのアンタゴニスト活性を有し得る。
【0047】
本発明の一実施形態では式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物が包含される。本発明のもう一つの実施形態では式(I)の化合物及びその塩が包含される。本発明のもう一つの実施形態では式(I)の化合物及びその溶媒和物が包含される。本発明のさらなる実施形態では式(I)の化合物が遊離塩基として包含される。
【0048】
医療で使用するのに適している式(I)の化合物の塩は、その対イオン又は会合している溶媒が薬学的に許容されるものである。しかしながら、薬学的に許容されない対イオンを有している塩又は薬学的に許容されない会合している溶媒も、例えば、式(I)の他の化合物及びその薬学的に許容される塩の調製における中間体として使用されるので、本発明の範囲内に入る。
【0049】
本発明によれば、適している塩としては、有機酸又は有機塩基と形成される塩、及び無機酸又は無機塩基と形成される塩のいずれもが挙げられる。薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びアリールスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はナフタレンジスルホン酸)から形成されるものが挙げられ得る。薬学的に許容される塩基塩としては、アルカリ金属塩例えばナトリウムの塩及びカリウムの塩さらにはアルカリ土類金属塩例えばカルシウムの塩が挙げられ得る。したがって、本発明の一実施形態には、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩が包含される。
【0050】
本発明の化合物は、2つ以上の形態に結晶化する能力を有していることがある。これは、多形と呼ばれる特性であって、そのような多形形態(「多形体」)も本発明の範囲内に入ることは理解されるところである。多形は、一般に、温度又は圧若しくはその両者における変化への応答として起こり得、また結晶化工程における変動からも起こり得る。多形体は、X線回折パターン、溶解度、さらには融点のような当技術分野で知られているさまざまな物理特性によって識別され得る。
【0051】
本発明の化合物は、特に経口投与されると、例えば、グルココルチコイド受容体に結合し、その受容体を介して応答を引き出すというその能力によって実証される有効な抗炎症効果を有している可能性があることが期待されている。つまり、本発明の化合物は、炎症性障害及び/又は自己免疫障害の治療で用いられ得る。
【0052】
本発明の化合物は、また、特に経口投与されると、例えば、グルココルチコイド受容体に結合し、その受容体を介して応答を引き出すというその能力によって実証される有効な抗アレルギー効果を有している可能性があり得る。つまり、本発明の化合物は、アレルギー性障害の治療で用いられ得る。
【0053】
本発明の化合物が有効であると期待される疾患状態の例としては、多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患(髄膜腫、リンパ腫及び悪性髄膜炎も含めて)、さらには神経系の外傷性障害及び感染性疾患例えば結核が挙げられる。他の病態としては、脳外傷(例えば梗塞後外傷(発作))が挙げられる。
【0054】
グルココルチコイド受容体活性が関連するさらなる疾患状態の例としては、皮膚疾患例えば湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症、剥脱性皮膚炎、天疱瘡及び過敏性反応;鼻、喉又は肺の炎症状態例えば喘息(アレルゲン誘発喘息反応も含めて)、鼻炎(季節性鼻炎(花粉症)、アレルギー性鼻炎及び血管運動神経性鼻炎も含めて)、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患、及び線維症;炎症性の腸病態例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病;自己免疫疾患例えば慢性関節リウマチ、側頭動脈炎、結節性多発動脈炎、多発性筋炎、強直性脊椎炎、類肉腫症、自己免疫肝炎;癌例えば急性及びリンパ性白血病、骨髄腫、リンパ腫;腎炎症候群;敗血症性ショック;副腎機能障害;眼の炎症及びアレルギー性結膜炎;肥満症;糖尿病;筋骨格疼痛も含めた慢性炎症性疼痛;腰痛及び頸痛;捻挫及び挫傷;神経障害性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌が関連する痛み及び線維筋肉痛;片頭痛が関連する痛み;インフルエンザ又は他のウイルス感染(例えば普通の風邪)が関連する痛み;リウマチ熱;機能性腸障害例えば非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛及び過敏性腸症候群が関連する痛み;心筋虚血が関連する痛み;術後痛み;頭痛;歯痛;並びに月経困難症;精神疾患例えば統合失調症、鬱病(この用語は、本明細書では、精神病性特徴、緊張性特徴、メランコリー性特徴、非定型特徴又は産後発病を伴う又は伴わない双極性鬱病、単極性鬱病、単発性大鬱病又は反復性大鬱病、季節性気分障害、早期又は後期発病を伴い非定型特徴を伴う又は伴わない気分変調性障害、神経症性鬱病及び対人恐怖症、例えばアルツハイマー型の痴呆を伴う鬱病、分裂病性感情障害又は鬱型感情障害、さらには、限定するものではないが、心筋梗塞、糖尿病、流産や中絶などを含めた一般的な病気状態から生じる抑鬱性障害を含めて使われている)、不安障害(全般性不安障害及び社会不安障害も含めて)、パニック障害、広所恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害及び心的外傷後ストレス障害、記憶障害(痴呆症も含めて)、記憶消失障害及び加齢関連記憶機能障害、食行動障害(拒食症及び過食症も含めて)、睡眠障害(日周期リズム障害、睡眠不全、不眠症、睡眠時無呼吸症及び睡眠発作も含めて)、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジン(フェンシクリジン様化合物)、アヘン(例えばマリファナ、ヘロイン、モルヒネ)、アンフェタミン又はアンフェタミン類似薬物(例えばデクストロアンフェタミン、メチルアンフェタミン)あるいはこれらの組み合わせのような薬物の乱用からの禁断症状が挙げられる。グルココルチコイド受容体活性を有する化合物は、臓器移植の間、急性移植拒絶、上部呼吸気道の血管性浮腫及びアナフィラキシーショックに免疫系の抑制を誘導するのにも有用性であり得る。
【0055】
当業者なら、本明細書で治療と言う場合、それは確立された病態の治療のみならず予防にも及ぶことは、理解されよう。
【0056】
上述したように、本発明の化合物は、ヒト又は動物の医療で、特に抗炎症剤として用いられることが期待されている。
【0057】
つまり、本発明のさらなる態様として、ヒト又は動物の医療で用いられるための、特に炎症性及び/又はアレルギー性及び/又は自己免疫性病態を患っている患者の治療で用いられるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0058】
つまり、本発明のさらなる態様として、ヒト又は動物の医療で用いられるための、特に、中枢神経系内での炎症が関連している病態のような炎症性及び/又は自己免疫性病態を患っている患者の治療で用いられるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0059】
本発明のもう一つの態様では、多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患(髄膜腫、リンパ腫及び悪性髄膜炎も含めて)、結核のような神経系の外傷性障害又は感染性疾患、又は梗塞後(発作)のような脳外傷を患っている患者の治療で用いられるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0060】
本発明のもう一つの態様では、神経サルコイドーシスを患っている患者の治療で用いられるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0061】
本発明のもう一つの態様では、慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギー及び/又は鼻炎を患っている患者の治療で用いられるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0062】
本発明のもう一つの態様では、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症及び/又は過敏性反応のような皮膚疾患を患っている患者の治療で用いられるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0063】
本発明のもう一つの態様により、炎症性及び/又はアレルギー性及び/又は自己免疫性病態を患っている患者を治療するための医薬、を製造するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0064】
本発明のもう一つの態様により、中枢神経系内での炎症が関連している病態のような炎症性及び/又は自己免疫性病態を患っている患者を治療するための医薬、を製造するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0065】
本発明のもう一つの態様により、多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患(髄膜腫、リンパ腫及び悪性髄膜炎も含めて)、結核のような神経系の外傷性障害又は感染性疾患、又は梗塞後(発作)のような脳外傷を患っている患者を治療するための医薬、を製造するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0066】
本発明のなおもう一つの態様により神経サルコイドーシスを患っている患者を治療するための医薬を製造するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0067】
本発明のなおもう一つの態様により慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギー及び/又は鼻炎を患っている患者を治療するための医薬を製造するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0068】
本発明のなおもう一つの態様により湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症及び/又は過敏性反応のような皮膚疾患を患っている患者を治療するための医薬を製造するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0069】
さらなる別の態様では、炎症性及び/又はアレルギー性及び/又は自己免疫性病態を患っているヒト又は動物対象の治療方法が提供され、該方法には、そのようなヒト又は動物対象に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することが含まれる。
【0070】
さらなる別の態様では、炎症性及び/又は自己免疫性病態を患っているヒト又は動物対象の治療方法が提供され、該方法には、そのようなヒト又は動物対象に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することが含まれる。
【0071】
さらなる別の態様では、多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患(髄膜腫、リンパ腫及び悪性髄膜炎も含めて)、結核のような神経系の外傷性障害又は感染性疾患、又は梗塞後(発作)のような脳外傷を患っているヒト又は動物対象の治療方法が提供され、該方法には、そのようなヒト又は動物対象に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することが含まれる。
【0072】
なおさらなる別の態様では、神経サルコイドーシスを患っているヒト又は動物対象の治療方法が提供され、該方法には、そのようなヒト又は動物対象に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することが含まれる。
【0073】
なおさらなる別の態様では、慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギー及び/又は鼻炎を患っているヒト又は動物対象の治療方法が提供され、該方法には、そのようなヒト又は動物対象に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することが含まれる。
【0074】
なおさらなる別の態様では、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症及び/又は過敏性反応のような皮膚疾患を患っているヒト又は動物対象の治療方法が提供され、該方法には、そのようなヒト又は動物対象に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することが含まれる。
【0075】
本発明の化合物は任意の都合のよい方法での投与用に製剤化され得るので、本発明には、したがって、その範囲内に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、所望なら1又は複数種の生理学的に許容される希釈剤又は担体と、混合で、一緒に含んでなる医薬組成物も含まれる。
【0076】
生理学的に許容される希釈剤又は担体の例としては、限定するものではないが、水性又は非水性媒体、増粘剤、等張性調整剤、抗酸化剤及び/又は防腐剤が挙げられる。
【0077】
さらに、そのような医薬組成物の調製方法も提供され、該方法には、各成分を混合することが含まれる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物は、例えば、周囲温度、大気圧で混合することにより調製され得る。
【0078】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、例えば、経口、経鼻、経頬、舌下、非経口、経直腸投与あるいは他の局所投与用に製剤化され得る。
【0079】
全身投与用には式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、例えば、経口、非経口又は経直腸投与用の通常の方法で製剤化され得る。経口投与用の製剤としては、典型的には、結合剤、フィラー、潤剤、崩壊剤、湿潤化剤、懸濁化剤、乳化剤、防腐剤、緩衝塩、香味剤、着色剤及び/又は甘味剤などの通常の賦形剤を適宜含有している溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、粉剤、粒剤、タブレット剤及びカプセル剤が挙げられる。以下に述べるように投与単位形態が好ましくあり得る。
【0080】
例えば、タブレット又はカプセルの形態での経口投与には、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などのような経口用、無害の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせられ得る。タブレット剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム及びグリシンのような賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、ナトリウムデンプングリコラート、クロスカルメロースナトリウム及びある種の錯体シリケートのような崩壊剤、さらにはポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアカシアのような粒状物結合剤も含有し得る。さらには、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルベヘナート及びタルクのような潤滑剤が含まれていてもよい。
【0081】
同じようなタイプの固形物組成物は、ゼラチンカプセル剤のフィラーとしても用いられ得る。この点での賦形剤の例としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖あるいは高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液剤及び/又はエリキシル剤では、薬剤は、さまざまな甘味又は香味剤、着色物質又は染料と、乳化及び/又は懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンのような希釈剤と、さらにはこれらの組み合わせと組み合わせられ得る。
【0082】
粉剤は、化合物を適している微細なサイズに粉砕し、例えば、デンプン又はマンニトールのような可食炭水化物の、同様に粉砕された医薬用担体と混合することによって調製される。香味、防腐、分散、着色用の添加剤が存在していてもよい。
【0083】
カプセル剤は、上述したようにして粉末混合物を調製して、それを成形されたゼラチンシースに充填することで製造され得る。この粉末混合物には、充填操作の前に、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体ポリエチレングリコールのような滑剤及び潤滑剤を加えてもよい。カプセル剤が摂取されたときのその医薬のアベイラビリティーを良くするために、カンテン、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムのような崩壊又は可溶化用の添加剤を加えてもよい。
【0084】
さらには、望ましい場合又は必要である場合は、混合物には、適している結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤を組み込んでもよい。適している結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベータ−ラクトースのような天然の糖類、トウモロコシスウィートナー、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウムのような天然のガム及び合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。このような投与形態に用いられる潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、カンテン、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0085】
タブレット剤は、例えば、粉末混合物を調製し、粒状化又はスラグ化し、潤滑剤及び崩壊剤を加え、タブレットにプレス加工することで製剤される。粉末混合物は、適切に粉砕された化合物を、先に述べた希釈剤つまり基剤と、さらには場合により、カルボキシメチルセルロース、アリギナート、ゼラチン、又はポリビニルピロリドンのような結合剤、パラフィンのような溶液遅流化剤、四級塩のような吸収促進剤及び/又はベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムのような吸収剤と混合することで調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカディア粘液あるいはセルロース又は高分子物質の溶液のようなバインダーで湿らせ、スクリーンに通すことで粒状化され得る。粒状化に代わるものとして、粉末混合物は、タブレット成形機に流すこともでき、結果として細粒に粉砕された不完全成形スラグが得られる。細粒は、タブレット成形ダイスに付着するのを防ぐために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又はミネラルオイルを加えることにより、潤滑化され得る。潤滑化された混合物はこのあとタブレットに圧縮成形される。式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、また、粒状化又はスラグ化工程を経ることなく、易流動性不活性担体と組み合せられて、直接タブレットに圧縮成形され得る。シェラックのシールコート、糖又は高分子物質のコーティング、及びワックスの光沢コーティングからなる透明又は不透明保護コーティングも付けられ得る。これらのコーティングには、異なる単位投与体を区別するために、染料も加えられ得る。
【0086】
溶液剤、シロップ剤及びエリキシル剤のような経口液剤は、所与の量が化合物の所定量を含有するよう、投与単位形態に調製され得る。シロップ剤は、適切に香味化された水性溶液に化合物を溶解させることによって調製され得、エリキシル剤は、無毒のアルコール性媒体を用いることで調製される。懸濁液剤は、化合物を無毒の媒体中に分散させることで製剤化され得る。エトキシル化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテルのような可溶化剤及び乳化剤、防腐剤、ペパーミントオイルのような香味添加剤、あるいはサッカリンなども加えられ得る。適切であれば、経口投与用の投与単位製剤は、マイクロカプセル化され得る。製剤は、例えば、コーティングすることによって、又は粒子状物質をポリマーやワックスなどに包埋することによって、その放出を遅延する又は持続させるようにも調製され得る。
【0087】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、小1枚膜ベシクル、大1枚膜ベシクル及び多重膜ベシクルのようなリポソームエマルジョン送達システムの形態でも投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンあるいはホスファチジルコリンのような各種のリン脂質から形成され得る。
【0088】
一実施形態では式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、神経サルコイドーシスを治療するための経口投与用のタブレット又はカプセルの形態にある。
【0089】
一実施形態では式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、神経サルコイドーシスを治療するための経口投与用の溶液、シロップ又はエリキシルの形態にある。
【0090】
本発明で用いられる局所投与には、吹き入れ及び吸入による投与も含まれる。各種タイプの局所投与用の調製物の例としては、軟膏、ローション、クリーム、ジェル、フォーム、経皮パッチによる送達用調製物、粉末、スプレー、エアロゾル、吸入器又は吹き入れ器で使用するためのカプセル又はカートリッジあるいは滴(例えば点眼滴や点鼻滴)、噴霧療法用溶液/懸濁液、坐剤、ペッサリー、停留浣腸及び噛み砕ける又は飲み込めるタブレット又はペレット(例えばアフタ性潰瘍の治療用)やリポソーム又はマイクロカプセル調製物が挙げられる。
【0091】
軟膏剤、クリーム剤及びジェル剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はジェル化剤及び/又は溶媒が加えてある水性又は油性基剤で製剤化され得る。そのような基剤には、したがって、例えば、水及び/又は液体パラフィンのような油又は落花生油やひまし油のような植物油、あるいはポリエチレングリコールのような溶媒が含まれ得る。基剤の特質に応じて用いられ得る増粘剤及びジェル化剤としては、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜蝋、カルボキシポリメチレン及びセルロース誘導体、及び/又はモノステアリン酸グリセリル及び/又は非イオン性乳化剤が挙げられる。
【0092】
ローション剤は水性又は油性基剤で製剤化され得、一般には、1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤又は増粘剤も含有しているものである。
【0093】
外部用途用の粉末剤は、適切ないずれの粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース又はデンプンを用いても形成され得る。滴剤は、1種以上の分散剤、可溶化剤、懸濁化剤又は防腐剤も含んでいる水性又は非水性基剤で製剤化され得る。
【0094】
式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩は、鼻内送達用に製剤化され得る。本発明の1つの態様により、式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩の水性懸濁液/溶液と、場合により、1種以上の懸濁化剤;1種以上の防腐剤;1種以上の湿潤化剤;緩衝剤;1種以上の等張性調整剤;及び1種以上の味覚マスク剤とを含んでなる医薬組成物が提供される。鼻内投与に適している組成物は、場合により、さらに、酸化防止剤(例えばメタビスルフィット)のような他の賦形剤を含み得る。
【0095】
懸濁化剤の例としては、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ビーガム、トラガカント、ベントナイト、メチルセルロース及びポリエチレングリコールが挙げられる。一実施形態ではこの懸濁化剤は、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム[例えばブランド製品AvicelRC591(これは、典型的には、87〜91%の微結晶セルロースと9〜13%のカルボキシメチルセルロースナトリウムとを含む)又はAvicel CL611として用いられているもの]であろう。
【0096】
安定化の目的のためには、本発明の組成物は、防腐剤を含ませることにより微生物の汚染及び増殖から保護され得る。組成物中に用いられ得る薬学的に許容される抗微生物剤又は防腐剤の例としては、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化セチルピリジニウム及び塩化ミリスチルピコリニウム)、アルコール剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール及びベンジルアルコール)、抗菌エステル(例えば、パラヒドロキシ安息香酸のエステル)、ジナトリウムエデタート(エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム)(EDTA)のようなキレート剤、さらにはクロロヘキシジン(例えば酢酸塩又はグルコン酸塩の形態にあるもの)、ソルビン酸カリウム、クロロクレゾール、ソルビン酸及びその塩、ポリミキシン、メチルパラベン及びプロピルパラベンのような他の抗菌剤が挙げられ得る。
【0097】
粒子を湿潤化するのに効果があり且つ薬学的に許容される添加剤はいずれも用いられ得ることは理解されよう。用いられ得る湿潤化剤の例は、脂肪アルコール、エステル及びエーテルである。一実施形態ではこの湿潤化剤は、親水性の非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ブランド製品Polysorbate 80として提供されている)である。
【0098】
組成物のpH値を調整するための緩衝剤物質の例としては、クエン酸/硫酸水素ナトリウムホウ酸塩緩衝剤、クエン酸/クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩(オルトリン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム)、トロメタモール(trometamol)や等価の慣用の緩衝剤が挙げられる。
【0099】
等張性調整剤の存在は、体液(例えば鼻腔の流体)との等張性を保つためであり、多くの鼻用組成物に伴う刺激レベルの低下をもたらす。適している等張性調整剤の例は、グルコース、グリセリン、ソルビトール、塩化ナトリウム、デキストロース及び塩化カルシウムである。一実施形態ではこの等張性調整剤は、デキストロース、例えば、無水デキストロースであり得る。
【0100】
味覚マスク剤の例としては、スクラロース、スクロース、サッカリン又はその塩、フルクトース、デキストロース、コーンシロップ、アスパルテーム、アセスルファム−K、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、アンモニウムグリシルリジナート、タウマチン、ネオテーム、マンニトール、メントール、ユーカリ油、カンフォール、天然香味剤、人工香味剤、さらにはこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態ではこの味覚マスク剤はスクラロース及び/又はメントールである。
【0101】
例えば、鼻炎を治療するために鼻又は肺に局所的に投与するための組成物としては、加圧式エアゾール組成物、及び加圧式ポンプにより鼻腔に送達される水性組成物が挙げられる。非加圧式であり且つ局所的に鼻腔に投与されるように適応されている組成物は、特に、関心のあるところである。この目的のためには、適している組成物は、水を希釈剤又は担体として含んでいる。肺又は鼻に投与するための水性組成物には、緩衝剤、等張性調整剤などのような慣用の賦形剤が入っていてもよい。水性組成物は、鼻に、噴霧によっても投与され得る。
【0102】
鼻腔に流体組成物を送達させるためには流体ディスペンサーが、典型的には、用いられ得る。流体組成物は水性又は非水性であり得るが、典型的には、水性である。そのような流体ディスペンサーは放出ノズル又は放出オリフィスを有し得、そこから、この流体ディスペンサーのポンプ機構にユーザーが加える力が加えられると、流体組成物の計量された用量が放出される。そのような流体ディスペンサーには、一般に、流体組成物の複数計量用量の貯槽が具備されており、続けてポンプを起動するとその用量が放出可能となっている。放出ノズル又はオリフィスは、流体組成物を鼻腔の中にスプレー放出するために、ユーザーの鼻孔に挿入する形体になっていてもよい。上記したタイプの流体ディスペンサーは国際公開第05/044354号パンフレット(これの全内容をここにおいて本明細書に参照により組み込む)に記載・説明されている。このディスペンサーは、流体組成物を入れるための容器に取り付けられた圧縮ポンプを有している流体吐出装置を収容するハウジングを有している。ハウジングは少なくとも1本の指で操作できるサイドレバーを有しており、このサイドレバーはハウジングに対して中の方へ移動可能となっていて、容器を上の方へハウジングの中をカム移動させ、これによって、ポンプが、組成物の計量用量を、ポンプステムから出てハウジングの鼻ノズルまで、圧縮・吐出できるようになっている。一実施形態では、流体ディスペンサーは、国際公開第05/044354号パンフレットの図30〜40に例示されている一般的なタイプのものである。
【0103】
一実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる鼻内組成物が提供される。もう1つの実施形態においては、そのような鼻内組成物は、塩化ベンザルコニウムを含まないものである。
【0104】
典型的には、医師が、個々の対象者に最も適しているであろう現実の投与を決定するだろう。特定の個人のための具体的な用量レベル及び投与の頻度は変わり得るものであり、用いる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性と作用の時間長さ、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与の方式と回数、排泄の速度、薬物組み合わせ、その特定の病態の重症度、さらにはその個々の行われている治療法を含めたさまざまなファクターによって左右される。
【0105】
ヒトへの経口投与には、薬剤の1日あたりの投与は、1回の用量又は分割された用量であり得る。
【0106】
全身投与には、成体ヒト治療に用いられる1日あたりの用量は、0.05〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜60mg/kg体重であろう。これは、投与の経路及び患者の病態に応じて、1日あたり1〜4の用量で投与され得る。組成物が複数の投与単位体からなる場合は、各単位体は、好ましくは、1mg〜1gの活性成分を含有しているものである。治療の期間は、随意的な日数によるよりもむしろ応答の速度によって決定づけられるものである。
【0107】
全身的グルココルチコイド受容体アゴニスト治療が指示されているケースでは本発明の化合物は一般に内的投与で与えられ得るだろう。特に炎症性腸障害の治療には、徐放性又は腸溶性製剤が有利であり得る。
【0108】
一実施形態では、本発明の化合物は、経口的に投与されるだろう。
【0109】
本発明による化合物及び医薬組成物は、1種以上の他の治療用薬剤、例えば抗炎症剤、抗コリン剤(特にM/M/M受容体アンタゴニスト)、β−アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染症薬例えば抗生剤や抗ウイルス剤、又は抗ヒスタミン剤から選択されるものとの組み合わせで用いられ得る、又はそれらも含み得る。本発明はしたがって、さらなる態様で、1種以上の他の治療的に活性な薬剤、例えばコルチコステロイドやNSAIDのような抗炎症剤、抗コリン剤、βーアドレナリン受容体アゴニスト、抗生剤や抗ウイルス剤のような抗感染症薬、又は抗ヒスタミン剤から選択されるものと一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む組み合わせを提供する。本発明の一実施形態には、β−アドレナリン受容体アゴニスト、及び/又は抗コリン剤、及び/又はPDE−4阻害薬、及び/又は抗ヒスタミン薬と一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む組み合わせが包含される。
【0110】
本発明の一実施形態には、1又は2種の他の治療用薬剤を含む組み合わせが包含される。
【0111】
適切なら、この他の治療薬成分は、その治療薬成分の活性及び/又は安定性及び/又は物理特性(例えば溶解度)を至適化するために、塩の形態で、例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩として又は酸付加塩として(つまりプロドラッグの形態で)、又はエステル(例えば低級アルキルエステル)として、又は溶媒和物(例えば水和物)として用いられ得ることは、当業者には明らかであろう。適切なら、治療薬成分は、光学的に純粋な形態で用いられ得ることも明らかであろう。
【0112】
β−アドレナリン受容体アゴニストの例としては、サルメテロール(これはラセミ化合物又は単一エナンチオマー例えばR−エナンチオマーであり得る)、サルブタモール(これはラセミ化合物又は単一エナンチオマー例えばR−エナンチオマーであり得る)、ホルモテロール(これはラセミ化合物又は単一ジアステレオマー例えばR,R−ジアステレオマーであり得る)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フルエルブテロール、レプロテロール、バムブテロール、インダカテロール、テルブタリン、並びにこれらの塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸(1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸)塩、サルブタモールの硫酸塩若しくは遊離塩基、又はホルモテロールのフマル酸塩、が挙げられる。一実施形態においては、このβ−アドレナリン受容体アゴニストは、長期作用性β−アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、約12時間以上の気管支拡張効果をもたらす化合物)である。
【0113】
他のβ−アドレナリン受容体アゴニストとしては、国際公開第02/066422号パンフレット、国際公開第02/070490号パンフレット、国際公開第02/076933号パンフレット、国際公開第03/024439号パンフレット、国際公開第03/072539号パンフレット、国際公開第03/091204号パンフレット、国際公開第04/016578号パンフレット、国際公開第04/022547号パンフレット、国際公開第04/037807号パンフレット、国際公開第04/037773号パンフレット、国際公開第04/037768号パンフレット、国際公開第04/039762号パンフレット、国際公開第04/039766号パンフレット、国際公開第01/42193号パンフレット及び国際公開第03/042160号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
【0114】
β−アドレナリン受容体アゴニストの例としては:
3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−{[7−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}−アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシルメチル)フェノール;
4−{(1R)−2−[(6−{4−[3−(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシルメチル)フェノール;
N−[2−ヒドロキシl−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[2−4−[[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N−2{2−[4−(3−フェニル−4−メトキシシフェニル)アミノフェニル]エチル}−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン−5−イル)エチルアミン;及び
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノ−2−メチル−プロポキシ)−フェニルアミノ]−フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
が挙げられる。
【0115】
β−アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1−又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、シンナム酸、置換されたシンナム酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4−メトキシ安息香酸、2−又は4−ヒドロキシ安息香酸、4−クロロ安息香酸及び4−フェニル安息香酸から選択される薬学的に許容される酸と形成される塩の形態にあってもよい。
【0116】
適している抗炎症剤としてはコルチコステロイドが挙げられる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩との組み合わせで用いられ得るコルチコステロイドの例は、抗炎症活性を有している経口用及び吸入用のコルチコステロイド及びそのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、フルチカゾンプロピオネート、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾンフロエート)、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17β−(2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−シアノメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17β−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンエステル(例えばその17−プロピオン酸エステル又はその17,21−ジプロピオン酸エステル)、ブデゾニド、フルニゾリド、モメタゾンエステル(例えばモメタゾンフロエート)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17−[[(R)−シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)、ブチキソコルトプロピオネート、RPR−106541、さらにはST−126が挙げられる。一実施形態ではコルチコステロイドとしては、フルチカゾンプロピオネート、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−(2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−シアノメチルエステル及び6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルが挙げられ得る。一実施形態ではこのコルチコステロイドは6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルである。
【0117】
コルチコステロイドの例としては、国際公開第02/088167号パンフレット、国際公開第02/100879号パンフレット、国際公開第02/12265号パンフレット、国際公開第02/12266号パンフレット、国際公開第05/005451号パンフレット、国際公開第05/005452号パンフレット、国際公開第06/072599号パンフレット及び国際公開第06/072600号パンフレットに記載されているものも挙げられる。
【0118】
転写促進よりも転写抑制に選択性を保有し、組み合わせ療法で有用であり得る、グルココルチコイド作動性を有している非ステロイド系化合物としては、以下の公開されている特許出願並びに特許:国際公開第03/082827号パンフレット、国際公開第98/54159号パンフレット、国際公開第04/005229号パンフレット、国際公開第04/009017号パンフレット、国際公開第04/018429号パンフレット、国際公開第03/104195号パンフレット、国際公開第03/082787号パンフレット、国際公開第03/082280号パンフレット、国際公開第03/059899号パンフレット、国際公開第03/101932号パンフレット、国際公開第02/02565号パンフレット、国際公開第01/16128号パンフレット、国際公開第00/66590号パンフレット、国際公開第03/086294号パンフレット、国際公開第04/026248号パンフレット、国際公開第03/061651号パンフレット、国際公開第03/08277号パンフレット、国際公開第06/000401号パンフレット、国際公開第06/000398号パンフレット、国際公開第06/015870号パンフレット、国際公開第06/108699号パンフレット、国際公開第07/000334号パンフレット及び国際公開第07/054294号パンフレットで保護されているものが挙げられる。
【0119】
抗炎症剤の例としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。
【0120】
NSAIDの例としては、ナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えば、テオフィリン、PDE4阻害薬、又は混合型PDE3/PDE4阻害薬)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害薬(例えばモンテルカスト)、iNOS阻害薬、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害薬、ベータ−2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(例えばアデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えばケモカインアンタゴニスト、例えばCCR3アンタゴニスト)又はサイトカイン合成の阻害薬、又は5−リポキシゲナーゼ阻害薬が挙げられる。iNOS阻害薬(inducible nitric oxide synthase inhibitor:誘導性酸化窒素シンターゼ阻害薬)は好ましくは経口投与用である。iNOS阻害薬の例としては、国際公開第93/13055号パンフレット、国際公開第98/30537号パンフレット、国際公開第02/50021号パンフレット、国際公開第95/34534号パンフレット及び国際公開第99/62875号パンフレットに開示されているものが挙げられる。CCR3阻害薬の例としては、国際公開第02/26722号パンフレットに開示されているものが挙げられる。
【0121】
一実施形態で本発明は、特に吸入に適合化されている組成物のケースで、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬との組み合わせでの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。本発明のこの態様で有用なPDE4特異的阻害薬は、PDE4酵素を阻害すると知られている、又はPDE4阻害薬として作用することが見出されている、且つPDE4のみの阻害薬であって、PDE3及びPDE5のようなPDEファミリーの他のメンバーをPDE4と同じように阻害する化合物ではない、任意の化合物であり得る。
【0122】
化合物としては、シス−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシシ−4−ジフルオロメトキシシフェニル)シクロヘキサン−1−オン及びシス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシシ−4−ジフルオロメトキシシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]が挙げられる。また、シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸(シロミラストとも呼ばれる)及びその塩、エステル、プロドラッグ又は物理形態も挙げられ、これは1996年9月3日発行の米国特許第5552438号明細書に記載されている(この特許及びそれが開示している化合物を本明細書に参照により全部を組み込む)。
【0123】
他の化合物としては、Elbion社が提供のAWD−12−281(Hofgen,N. et al. 15th EFMC Int Symp Med Chem(Sept 6-10,Edinburgh)1998,Abst P.98;CAS reference No. 247584020-9);9−ベンジルアデニン誘導体指定NCS−613(INSERM社);Chiroscience and Schering−Plough社が提供のD−4418;CI−1018(PD−168787)と識別され、Pfizer社のものであるとされるベンゾジアゼピンPDE4阻害薬;Kyowa Hakko社が国際公開第99/16766号パンフレットに開示しているベンゾジオキソール誘導体;Kyowa Hakko社が提供のK−34;Napp社が提供のV−11294A(Landells,L.J. et al.,Eur. Resp. J. [Ann. Cong. Eur. Resp. Soc.(Sept 19-23,Geneva)1998] 1998,12(Suppl. 28):Abst P2393);Byk−Gulden社が提供のロフルミラスト[roflumilast](CAS reference No 162401-32-3)及びプタラジノン[pthalazinone](国際公開第99/47505号パンフレット、この開示内容を本明細書に参照により組み込む);プマフェントリン[Pumafentrine]、Byk−Gulden社(現在はAltana社)によって調製され、公表されている、混合型PDE3/PDE4阻害薬である(−)−p−[(4aR,10bS)−9−エトキシシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−8−メトキシシ−2−メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル]−N,N−ジイソプロピルベンザミド;Almirall−Prodesfarma社が開発中のアロフィリン[arofylline];Vernalis社が提供のVM554/UM565;又はT−440(Tanabe Seiyaku;Fuji,K. et al.,J. Pharmacol Exp Ther,1998,284(1):162)、さらにはT2585が挙げられる。
【0124】
さらなる化合物が、公開された国際特許出願である国際公開第04/024728号パンフレット(Glaxo Group Ltd)、国際公開第04/056823号パンフレット(Glaxo Group Ltd)及び国際公開第04/103998号パンフレット(Glaxo Group Ltd)に開示されている。
【0125】
抗コリン剤の例は、ムスカリン性受容体のところでアンタゴニストとして作用する化合物、特にM又はM受容体のアンタゴニスト、M/M又はM/M受容体のデュアルアンタゴニスト、又はM/M/M受容体のパン(汎)アンタゴニストである化合物である。吸入による投与用の例示的な化合物としては、イプラトロピウム(例えば、その臭化物として、CAS 22254-24-6、商品名「Atrovent」で販売されている)、オキシトロピウム(例えば、その臭化物として、CAS 30286-75-0)、及びチオトロピウム(例えば、その臭化物として、CAS 136310-93-5、商品名「Spiriva」で販売されている)が挙げられる。また、レバトロペート(例えば、その臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)及び国際公開第01/04118号パンフレットに開示されているLAS−34273も関心のもてるところである。経口投与用の例示的な化合物としては、ピレンゼピン(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又は商品名「Enablex」で販売されているその臭化水素酸塩のCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、商品名「Ditropan」で販売されている)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又はその酒石酸塩のCAS 124937-52-6、商品名「Detrol」で販売されている)、オチロニウム(例えば、その臭化物として、CAS 26095-59-0、商品名「Spasmomen」で販売されている)、トロスピウムクロリド(CAS 10405-02-4)及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又はYM−905とも呼ばれ、商品名「Vesicare」で販売されているそのコハク酸塩のCAS 242478-38-2)が挙げられる。
【0126】
他の抗コリン剤としては、米国特許出願第60/487981号明細書に開示されている化合物が挙げられ、例えば:
(3−エンド)−3−(2,2−ジ−2−チエニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−(2,2−ジフェニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−(2,2−ジフェニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン4−メチルベンゼンスルホネート;
(3−エンド)−8,8−ジメチル−3−[2−フェニル−2−(2−チエニル)エテニル]−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;及び/又は
(3−エンド)−8,8−ジメチル−3−[2−フェニル−2−(2−ピリジニル)エテニル]−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
が挙げられる。
【0127】
さらなる抗コリン剤としては、米国特許出願第60/511009号明細書に開示されている化合物が挙げられ、例えば:
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル;
(エンド)−8−メチル−3−(2,2,2−トリフェニル−エチル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロパン−1−オール;
N−ベンジル−3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1−ベンジル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
1−エチル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−アセトアミド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンズアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−プロピオニトリル;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド;
[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−メタンスルホンアミド;及び/又は
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
が挙げられる。
【0128】
さらなる化合物としては、
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;及び/又は
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
が挙げられる。
【0129】
一実施形態において本発明は、H1アゴニストと一緒に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。H1アゴニストの例としては、限定するものではないが、アメレキサノキス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロンフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリルアミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレンアミン、テメラスチン、トリメプラジン及びトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン及びフェキソフェナジンが挙げられる。さらなる実施形態において本発明は、H3アンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)と一緒に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。H3アンタゴニストの例としては、例えば、国際公開第2004/035556号パンフレットに開示されている化合物、及び国際公開第2006/045416号パンフレットに開示されている化合物が挙げられる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩との組み合わせで用いられ得る他のヒスタミン受容体アンタゴニストとしては、そのH4受容体のアンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)、例えば、Jablonowski et al.,J. Med. Chem. 46:3957-3960(2003)に開示されている化合物が挙げられる。
【0130】
本発明はしたがって、もう一つの態様で、PDE4阻害薬と一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0131】
本発明はしたがって、もう一つの態様で、β−アドレナリン受容体アゴニストと一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0132】
本発明はしたがって、もう一つの態様で、コルチコステロイドと一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0133】
本発明はしたがって、もう一つの態様で、もう一つの非ステロイド系GRアゴニストと一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0134】
本発明はしたがって、もう一つの態様で、抗コリン剤と一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0135】
本発明はしたがって、もう一つの態様で、抗ヒスタミン剤と一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0136】
本発明はしたがって、さらなる態様で、PDE4阻害薬及びβ−アドレナリン受容体アゴニストと一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0137】
本発明はしたがって、さらなる態様で、抗コリン薬及びPDE−4阻害薬と一緒に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含んでなる組み合わせを提供する。
【0138】
そのような組み合わせの個々の化合物は、別々の又は組み合わせの医薬組成物に入れて順次にか又は同時に投与され得る。一実施形態においては、個々の化合物は、組み合わせた医薬組成物で同時に投与されるだろう。当業者なら公知の治療用薬剤の適切な用量は容易に解るだろう。
【0139】
上で述べた組み合わせは、医薬組成物の形態での使用用に都合よく提供され得る、つまり薬学的に許容される希釈剤又は担体と一緒に、上で規定した組み合せを含んでなる医薬組成物は本発明のさらなる態様を形成する。
【0140】
本発明はしたがって、さらなる態様で、もう一つの治療的に有効な薬剤と一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0141】
本発明はしたがって、さらなる態様で、PDE4阻害薬と一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0142】
本発明はしたがって、さらなる態様で、β−アドレナリン受容体アゴニストと一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0143】
本発明はしたがって、さらなる態様で、コルチコステロイドと一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0144】
本発明はしたがって、さらなる態様で、もう一つの非ステロイド系GRアゴニストと一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0145】
本発明はしたがって、さらなる態様で、抗コリン薬と一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0146】
本発明はしたがって、さらなる態様で、抗ヒスタミン剤と一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0147】
本発明はしたがって、さらなる態様で、PDE4阻害薬及びβ−アドレナリン受容体アゴニストと一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0148】
本発明はしたがって、さらなる態様で、抗コリン薬及びPDE4阻害薬と一緒の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0149】
本発明による式(I)の化合物の調製方法には、式(II)
【化7】

【0150】
[式中、R、X及びnは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりある]
で表されるアミンを式(III)
【化8】

【0151】
[式中、Rは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりであり、Zは、塩素又はヒドロキシである]
で表される化合物と反応させることが含まれる。
【0152】
Zが塩素である場合は、この反応は、通常の有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で、塩基(例えば炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン又はジイソプロピルエチルアミン)の存在下に行われ得る。一実施形態においては、この反応は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下に行われる。反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。
【0153】
あるいは、Zがヒドロキシルである場合は、この反応は、通常の有機溶媒(例えばジメチルホルムアミド)中で、Tetrahedron 2005,61,10827に記載されているようなカップリング剤(例えばO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU))及び塩基(例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)の存在下に行われ得る。一実施形態においては、この反応は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下に行われる。反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。
【0154】
式中のRがメチル、エチル又は2−フルオロエチルを表す式(II)の化合物は、式(IV)
【化9】

【0155】
[式中X及びnは先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表される化合物をメチルアミン、エチルアミン又は2−フルオロエチルアミンと反応させることで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えばアセトニトリル又はテトラヒドロフラン)中、−10℃〜100℃の温度(例えば室温)で行われ得る。2−フルオロエチルアミンは、2−フルオロエチルアミンヒドロクロリド及び塩基(例えばトリエチルアミン)からインシチューで生成され得る。
【0156】
式(IV)の化合物は、式(V)
【化10】

【0157】
[式中、X及びnは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表される化合物をポリマー担持カーボネート樹脂で処理することで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で行われ得る。反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。
【0158】
式(V)の化合物は、式(VI)
【化11】

【0159】
[式中、X及びnは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表される化合物を4−メチルベンゼンスルホニルクロリドで処理することで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えばジクロロメタン)中で、有機塩基(例えばピリジン)の存在下に行われ得る。反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。
【0160】
式(VI)の化合物は、式(VII)
【化12】

【0161】
[式中、X及びnは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表される化合物を式(VIII)
【化13】

【0162】
で表される化合物と反応させることで調製され得る。
【0163】
この反応は、通常の有機溶媒(例えばジメチルホルムアミド)中で、Tetrahedron 2005,61,10827に記載されているようなカップリング剤(例えばO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU))及び塩基(例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)の存在下に行われ得る。一実施形態においては、この反応は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下に行われる。反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。
【0164】
このカップリング反応で用いられ得る、式(VII)で表される酸の例としては、
5−アミノ−1−(2−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(3−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(3−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(2,3−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(2,6−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
5−アミノ−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;及び
5−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
が挙げられる。
【0165】
式(VII)の酸は、例えば、適しているアリールヒドラジンをエチル2−シアノ−3−エトキシアクリラートと反応させ、そのあと得られたエチルエステルをその対応する酸に、例えば、溶媒(例えばエタノール水溶液)中水酸化リチウムで処理することにより変換することで調製され得る。
【0166】
式(VIII)の化合物は、式(IX)
【化14】

【0167】
で表される化合物を、水素雰囲気の存在下に、遷移金属触媒(例えば水酸化パラジウム/炭素)で処理することで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えばエタノール)中で行われ得る。反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。
【0168】
式(IX)の化合物は、式(X)
【化15】

【0169】
で表される化合物をベンジルアミンで処理し、そのあと塩基(例えば水酸化ナトリウム)で処理することで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えば1,4−ジオキサン)中で行われ得る。ベンジルアミンでの処理は、−10℃〜100℃の温度で行われ得(例えば室温で)、また塩基での処理は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば約90℃で)。
【0170】
式(X)の化合物は、式(XI)
【化16】

【0171】
で表される化合物をポリマー担持カーボネート樹脂で処理することで調製され得る。この反応は、通常の溶媒(例えばジクロロメタン)中で行われ得る。このシクロ除去反応にはバッチプロセス又はフロープロセスが適している。反応は−10℃〜100℃の温度で、例えばバッチプロセスでは室温で、またフロープロセスでは約50℃で行われ得る。
【0172】
式(XI)の化合物は、式(XII)
【化17】

【0173】
で表される化合物を、有機塩基(例えばピリジン)の存在下に4−メチルベンゼンスルホニルクロリドで処理することで調製され得る。この反応は、−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温で)。あるいは、フロープロセスが用いられる場合は、式(XII)の化合物は、室温にて、有機塩基(例えばN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン)/ジクロロメタンの存在下に4−メチルベンゼンスルホニルクロリドで処理され得る。この反応にはバッチプロセス及びフロープロセスのいずれもが適している。
【0174】
式(XII)の化合物は、水素雰囲気の存在下に、式(XIII)
【化18】

【0175】
で表される化合物を遷移金属触媒(例えば5%パラジウム/炭素)で処理することで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えばエタノール)中で行われ得る。反応は−10℃〜100℃の温度で、例えばバッチプロセスでは室温で、またフロープロセスでは約80℃で行われ得る。この水素化にはバッチプロセスもフロープロセスも適している。
【0176】
式(XIII)の化合物は、式(XIV)
【化19】

【0177】
で表される化合物をトリメチル(トリフルオロメチル)シラン及びテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドで処理することで調製され得る。この反応は、通常の有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン又はジクロロメタン)中で行われ得る。反応は−10℃〜100℃の温度で行われ得る(例えば室温まで上がる0℃で)。この変換にはバッチプロセスもフロープロセスも適している。
【0178】
式(XIV)の化合物は1,3−ジベンジルグリセリンを酸化することで調製され得る。一実施形態では、この酸化は、0℃〜還流にある(例えば室温にある)3Aモレキュラーシーブ、N−メチルモルホリンN−オキシド及びテトラプロピルアンモニウムペルルテナート/ジクロロメタンを用いて行われ得る。もう一つの実施形態においては、この酸化は、0℃〜50℃にある(例えば室温にある)次亜塩素酸ナトリウム水溶液、飽和重炭酸ナトリウム溶液及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離ラジカル/トルエンを用いて行われ得る。さらなる実施形態においては、この酸化は、10℃〜50℃にある(例えば室温にある)ジメチルスルホキシド中で塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下に三酸化イオウ−ピリジン錯体を用いて行われ得る。この酸化にはバッチプロセスもフロープロセスも適している。
【0179】
別の方法として、式(I)の化合物は、上記で定義した式(VII)の化合物を、式(XV)
【化20】

【0180】
[式中、R及びRは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表される化合物とカップリングさせることによっても調製され得る。
【0181】
この反応は、先に式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物の反応に対して記載した条件と同じような条件を用いて行われ得る。
【0182】
式(XV)の化合物は、式(XVI)
【化21】

【0183】
[式中、R及びRは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりであり、Phは、フェニルである]
で表される化合物を水素化することで調製され得る。
【0184】
この反応は、酸(例えば2M塩酸)及び触媒(例えば水酸化パラジウム/炭素)の存在下の有機溶媒(例えばエタノール)中で行われ得る。この反応は0℃〜60℃の温度で(例えば室温で)行われ得る。
【0185】
式(XVI)の化合物は、ベンジルアミンを式(XVII)
【化22】

【0186】
[式中、R及びRは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表されるエポキシドと反応させることで調製され得る。この反応は、0℃〜65℃の温度にある(例えば室温にある)有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で行われ得る。
【0187】
式(XVII)の化合物は、式(XVIII)
【化23】

【0188】
[式中、R及びRは、先に式(I)の化合物に対して定義したとおりである]
で表される化合物を、先に定義されている式(X)の化合物と反応させることで調製され得る。この反応は、強塩基(例えば水素化ナトリウム)の存在下にある極性溶媒例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はジメトキシエタン(好ましくはジメトキシエタン)中で行われ得る。この反応は−70℃〜+65℃の温度で(例えば室温で)行われ得る。
【0189】
式(XVIII)の化合物は、対応するアミン及び酸又は酸塩化物から標準的な方法で調製され得る。
【0190】
式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XIII)、(XV)、(XVI)、(XVII)及び(XVIII)で表される化合物の一部は新規であり得、本発明の態様を形成し得る。
【0191】
式(I)の化合物の合成における中間体として異性体の混合物が用いられる場合は、それは、エナンチオマーの混合物の形態で調製され得る。例えば、エナンチオマーのラセミ混合物として式(II)の化合物を用いると、最終生成物中にエナンチオマーの混合物をもたらすだろう。この異性体は、所望なら、通常の方法(例えばキラルカラムでのHPLC)により分離され得る。
【0192】
別の方法として、異性体の分離は合成のもっと初期に行ってもよく、例えば式(II)の化合物の個々の異性体あるいはもっと初期段階の中間体が用いられ得、これは、合成における最終段階としての異性体の分離を行うことの必要性をなくし得る。理論では、後者の方法がより効率的であり、したがって、好ましい。
【0193】
追加的なこととして、1又は複数種の式(I)の化合物が含まれている製剤の調製方法も本発明の態様を成す。
【0194】
本発明の化合物を含んでなる組成物も本発明の態様を構成する。
【0195】
生理学的に許容されない式(I)の化合物(又はその塩)の溶媒和物は、式(I)の他の化合物、塩又はそれらの溶媒和物の調製で中間体として有用であり得る。
【0196】
本発明の化合物は、良好な抗炎症特性を示すことが期待され得る。本発明の化合物は、また、例えばプロゲステロン受容体に対するよりもグルココルチコイド受容体に対する選択性が増大されていることにより示される、興味をそそる副作用プロファイルを有していることが期待され得、またヒト患者での治療における使いやすい投薬計画と適合性がある。
【実施例】
【0197】
次に本発明を以下の非限定的実施例により説明する。
【0198】
以下の非限定的実施例は本発明を説明するものである。
【0199】
全般的事項
【表1】

【0200】
(クロマトグラフィー)
クロマトグラフィーによる精製は、Varian社から購入可能な予め充填されているBond Elutシリカゲルカートリッジを用いて行った。
【0201】
Flashmaster 2は自動化されたマルチユーザー・フラッシュクロマトグラフィー装置であり、使い捨てのSPEカートリッジ(2g〜100g)が用いられている。この装置は、勾配法を行うことを可能にするための四つのオンライン溶媒混合部を具備している。流量、勾配プロファイル及びコレクション条件を管理する多機能オープンアクセス・ソフトウエアを用いてサンプルは待ち行列に入れられる。この装置にはKnauer可変波長uv検出器及び2つのGilson FC204フラクションコレクターが装着されており、自動化されたピークカッティング、コレクション及びトラッキングが可能となっている。
【0202】
(質量直結自動分取HPLC(MDAP))
Agilent 1100シリーズLC/MSDハードウエア、chemstation 32精製ソフトウエアで動作されるエレクトロスプレー・ポジティブモード(ES +ve)を用いている。
【0203】
カラム:Zorbax Eclipse XDB−C18 prep HT(寸法212×100mm、5μmパッキング)、20ml/分の溶媒速度。
【0204】
水性溶媒=水+0.1%TFA
有機溶媒=MeCN+0.1%TFA
【0205】
用いた具体的な勾配:
勾配1(uv/質量イオントリガーに回収)
1分 70%水(0.1%TFA):30%MeCN(0.1%TFA)から9minsかけて5%水(0.1%TFA):95%MeCN(0.1%TFA)まで上げて化合物を溶離。
【0206】
勾配2(uvのみに回収)
1分 70%水(0.1%TFA):30%MeCN(0.1%TFA)から9minsかけて5%水(0.1%TFA):95%MeCN(0.1%TFA)に上げて化合物を溶離。
【0207】
CAT MDAP装置
Column詳細:Zorbax Eclipse XDB−C18 prep HT(寸法212×100mm、5μmパッキング)
【0208】
Cat norm法、uv/Massイオントリガーに回収
【0209】
Agilent 1100シリーズLC/MSDハードウエア、chemstation 32精製ソフトウエアで動作
【0210】
20ml/分の溶媒速度、勾配溶離:
1分 90%水(0.1%TFA):10%MeCN(0.1%TFA)から9minsかけて5%水(0.1%TFA):95%MeCN(0.1%TFA)まで上げて化合物を溶離。
【0211】
Cat gr法、uv/massイオントリガーに回収
【0212】
1分 70%水(0.1%TFA):30%MeCN(0.1%TFA)から9minsかけて5%水(0.1%TFA):95%MeCN(0.1%TFA)まで上げて化合物を溶離。
【0213】
Cat lipo uv法はCat grと同じで、uvのみに回収
【0214】
(LCMS装置)
用いたLCMS装置は以下のとおりであった:
・カラム:3.3cm×4.6mm ID、3μm ABZ+PLUS(Supelco社製)
・流量:3ml/分
・注入体積:5μl
・温度:RT
・UV検出範囲:215〜330nm
【0215】
溶媒:
A:0.1%ギ酸+10mモル酢酸アンモニウム
B:95%アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0216】
勾配:
【表2】

【0217】
(NMR)
H NMRスペクトルは、DMSO−d又はCHLOROFORM−d又はCDOD中、Bruker DPX 400、400MHzで動作するBruker AV 400、又は250MHzで動作するBruker DPX 250で記録した。用いた内部標準は、テトラメチルシランか、又はDMSO−dについては2.50ppmの若しくはCHLOROFORM−dについては7.27ppmの若しくはCDODについては3.35ppmのその残留プロトン化溶媒であった。
【0218】
(円二色性)
200〜350nmでの円二色性を、溶媒としてアセトニトリルを用いて室温にあるApplied Photophysics Chirascan分光測光器で測定した。
【0219】
中間体1:1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノン
【化24】

【0220】
3Aモレキュラーシーブ粉末(50g)を真空オーブン中100℃で乾燥させた。このシーブ及びN−メチルモルホリンN−オキシド(35.1g、300mmol)を乾燥ジクロロメタン(700ml)に懸濁させ、そのあと1,3−ジベンジルオキシ−2−プロパノール(41ml、165mmol)/ジクロロメタン(100ml)をこの撹拌懸濁液に加えた。この混合物を窒素の雰囲気下で90mins撹拌し、そのあとテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(3g、8.53mmol)を加えた(この反応は相当に発熱してジクロロメタンの沸騰を引き起こしたので、還流凝縮器を取り付けた)。反応を21℃で23hr撹拌し、そのあとセライトに通して濾過した。これをこのあと2M塩酸(400ml)及び飽和ブライン(500ml)で洗浄した。合わせた水洗浄液をセライトに通して濾過し、ジクロロメタン(500ml)で再抽出し、このあとこれを飽和ブライン(200ml)で洗浄した。この有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、暗色の油状物(43.6g)を得た。ジエチルエーテル(およそ200ml)を加え、得られた黒色の固形物を濾過除去した。この濾液を減圧下で濃縮して、表題の化合物(42g)を灰白色の固形物として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 7.31−7.40(m,10H)4.59(s,4H)4.26(s,4H)。
LC−MS保持時間3.27mins,MNH 288。
【0221】
中間体1の代替の調製A
次亜塩素酸ナトリウム(100ml、13%w/v)+飽和重炭酸ナトリウム(25ml)の混合物を、1,3−ジベンジルオキシ−2−プロパノール(10g)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(フリーラジカル)(TEMPO)(0.3g)/トルエン(40ml)の撹拌溶液に1回の投入で加えた。この二相混合物を20〜25℃で15mins撹拌し、このときHPLC分析を行ったところ反応は完了であることを示した。この反応混合物を23℃にて全部で25mins撹拌した。反応混合物を分離させ、その有機抽出物を5%w/vチオ硫酸ナトリウム溶液(40ml)で洗浄し、取り出した。この有機抽出物を1%w/v塩化ナトリウム溶液(2×25ml)で洗浄した。この有機抽出物をこのあと真空で濃縮して油状物を得た。これを静置しておくと結晶化して、8.8gの1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノンを88.7%での収率で得た。この生成物のNMRスペクトルは参照サンプルと一致するものであった。
【0222】
中間体1の代替の調製B
三酸化硫黄/ピリジン錯体(2.33g、4当量)+トリエチルアミン(2.05ml、4当量)のDMSO(3ml)中混合物を撹拌して淡黄色の溶液を得た。これに1,3−ジベンジルオキシ−2−プロパノール(1g)のDMSO(1ml)溶液を2minsかけて加えた(この反応混合物はウォーターバス中に保持しておいた)。反応混合物の温度は30℃まで到達した。10mins後ウォーターバスを取り外し、反応混合物を室温(およそ20〜25℃)にて3hr撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(15ml)及び水(15ml)で希釈し、撹拌し、その有機抽出物を取り出した。この有機抽出物を5%w/v塩化ナトリウム(2×10ml)及び水(10ml)で洗浄した。取り出した有機抽出物を真空で濃縮して油状物を得た。これは固化して、0.75gの1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノンを75.8%理論収率でもたらした。生成物のNMRスペクトルは参照サンプルと一致するものであった。
【0223】
中間体1の代替の調製C
以下の出発物質及び溶媒を用いて表題の化合物を「フロー」プロセスにより調製した。
【0224】
2台のJasco PU−2080Plus HPLCポンプを有する47ml反応器ブロックから構成されるCPC Cytos Lab Systemにより表題の化合物を調製した。Huber Unistat 360加温器により反応温度を60℃に維持した。
【0225】
2つの溶液を調製した。溶液A−1,3−ジベンジルオキシ−2−プロパノール(120g、440mmol)/アセトニトリル(489ml)。溶液B−テトラプロピルアンモニウムペルルテナート(7.72g、22mmol、5mol%)+N−メチルモルホリンN−オキシド(87.5g、748mmol)/アセトニトリル(611ml)。全体流量が7.8ml/分で溶液A対溶液Bの比が1:1.25及び6分の滞留時間で溶液A及びBをCytos Lab systemにポンプ送りした。これにより2hr 21minsの全体反応時間が得られた。反応した溶液全体を2つのバッチに等しく分け、それぞれを真空で濃縮した。ジエチルエーテル(250ml)を加え、そのあと亜硫酸ナトリウム、ブライン、硫酸第2銅で洗浄し、このあとセライトに通して濾過し、乾燥させ、蒸発させた。バッチを合わせ戻し、真空で蒸発させて、表題の化合物(71.64g)を得た。
【0226】
中間体2:1,1,1−トリフルオロ−3−[(ベンジル)オキシ]−2−{[(ベンジル)オキシ]メチル}−2−プロパノール
【化25】

【0227】
1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノン(42g、155mmol)の無水テトラヒドロフラン(600ml)溶液にトリメチル(トリフルオロメチル)シラン(35ml、236mmol)を加えた。この混合物をこのあとアイス/エタノールバス中で−3℃まで冷却し、そのあとテトラブチルアンモニウムフルオリド(1M/THF、180ml、180mmol)を滴下で加えた(最初10mlを加えたところ若干の発熱をもたらし、温度が9℃まで上昇したので、そのあと6℃まで冷却し、このあと添加を再開した;温度は−1℃〜+3℃に降下した)。30mins後添加は完了した。この混合物をさらに4hr撹拌し、(この間は、ガスが常時発生していた)、このあと2M塩酸(750ml)を撹拌しながら加えた。ジエチルエーテル(600ml)を加え、その取り出した水相をジエチルエーテル(1×600ml、1×300ml)で再抽出し、その合わせた有機抽出物を飽和ブライン(1×300ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、油状物(52.9g)を得た。この油状物を、溶離液としてシクロヘキサン:酢酸エチル(9:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(Silica、800g)により精製した。これから、表題の化合物を黄色の油状物(39.5g)として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 7.29−7.39(m,10H)4.60(s,4H)3.72(s,4H)3.38(s,1H)。
LC−MS保持時間3.69mins,MNH 358。
【0228】
中間体2の代替の調製A
1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノン(2g)+(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(2.56ml、2.3当量)のジクロロメタン(20ml)中混合物を撹拌して0℃まで冷却した。1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド/THF(4ml)溶液を3minsかけて滴下で加えた。最初に数滴加えたところ10℃の発熱をもたらした。添加の最初から終りまでバッチ温度は10℃以下に維持した。添加が完了したあとこの黒茶色の混合物を+5℃で5mins撹拌し、そのときHPLC分析を行ったところ反応は完了していたことを示した。反応混合物をさらに5mins撹拌し、このあと1M塩酸水溶液(2×15ml)、飽和重炭酸ナトリウム(15ml)及び1%w/v塩化ナトリウム水溶液(2×15ml)で洗浄した。この有機抽出物を真空で濃縮して、2.5gの所望生成物を暗色の油状物として99.3%の理論収率で得た。その生成物のNMRスペクトルは参照サンプルと一致するものであった。
【0229】
中間体2の代替の調製B
テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物(TBAF・3HO)(2.9g、0.5当量)をTHF(5ml)に溶解させた。これを、注意しながら、トルエン中1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノン(24.65g、5gのそのケトンに相当)+(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(7.5ml)の撹拌・冷却(+15℃)溶液に加えた。最初に1mlのTBAF溶液を加えると発熱があり、ガスが多く発生した。温度は18℃から40℃に上昇した。このTBAF添加は3minsかけて行い、このあとこの混合物を15〜30℃でさらに2mins撹拌し、このあとHPLC分析を行いながら+10℃まで冷却した。反応混合物を、1N塩酸水溶液(50ml)、1%塩化ナトリウム水溶液(2×25ml)、1%塩化ナトリウム溶液(25ml)と飽和重炭酸ナトリウム溶液(5ml)の混合物で、順次、洗浄した。取り出した有機抽出物を真空で濃縮して、6.41gの所望生成物を黒茶色の油状物として101.8%の収率で得た。NMRスペクトルは、残留のトルエン(8.8%)及び出発物質(およそ3%)の存在を示した。
【0230】
中間体2の代替の調製C
以下の出発物質及び溶媒を用いて表題の化合物を「フロー」プロセスにより調製した。
【0231】
2台のJasco PU−2080Plus HPLCポンプを有する32ml反応器ブロックから構成されるCPC Cytos Lab Systemにより表題の化合物を調製した。Huber Unistat 360加温器により反応温度を22℃に維持した。反応器出口には100psi逆流調圧弁を取り付けた。
【0232】
2つの溶液を調製した。溶液A−1,3−ビス[(ベンジル)オキシ]−2−プロパノン(71.64g、265mmol)+トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(86.67g、96ml、609.5mmol)/テトラヒドロフラン(99ml)。溶液B−テトラブチルアンモニウムフルオリド(1M/THF、265ml、132.5mmol)。
【0233】
流量が6.4ml/分及び5minの滞留時間で溶液A及びBをCytos Lab systemにポンプ送りして、82minsの全体反応時間を得た。この反応混合物を2M塩酸(30ml)でクエンチし、このあと2つの等しいバッチに分けた。ジエチルエーテル(100ml)を加え、抽出して、ブライン(2×100ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、残留物(82.99g)を得た。残留物の一部をジクロロメタン中に取り込み、SPEシリカカートリッジに適用した。溶離液として10%ヘキサン/ジクロロメタンを用い、その適切な15mlフラクションを濃縮し、表題の化合物を得た。この粗製のサンプルの大半をCombiflash Companion XLで精製した。溶離液としての10%〜70%ジクロロメタン/ヘキサンの勾配を有する120gカラムに8gの物質を流した。各ランからの混合フラクションをすべて合わせ、同じ方法で再精製した。不純物を含まないフラクションをすべて合わせ、蒸発させて、表題の化合物(68.68g)を得た。
【0234】
中間体3:2−(トリフルオロメチル)−1,2,3−プロパントリオール
【化26】

【0235】
1,1,1−トリフルオロ−3−[(ベンジル)オキシ]−2−{[(ベンジル)オキシ]メチル}−2−プロパノール(98.9g、290.9mmol)のエタノール(1750ml)溶液を5%パラジウム/炭素(9.73g、湿潤、Degussa、E101 No/W)に窒素下で加えた。この混合物をこのあと5リットル水素化ベッセル中でWrightバルブを用いて水素の雰囲気下で撹拌した。およそ3hr後には大半の水素の理論体積は取り込まれていた(およそさらなる1リットルの水素が一晩で取り込まれていた)。水素下で一晩撹拌した後、触媒をセライトのパッドに通して濾過除去し、パッドをエタノールで洗浄した。この濾液及び洗浄液をこのあと減圧下で濃縮し、その残留物をジクロロメタンで共沸(×2)させた。この間に残留物は固形物になった。この物質を真空ポンプに一晩40℃にて入れておいて、表題の化合物(48.56g)を灰色がかった白色の固形物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 5.65(s,1H)4.89(t,2H)3.54(d,J=5.8Hz,4H)。
LC−MS保持時間0.42mins,ES MH 159。
【0236】
中間体3の代替の調製A
Thales H−Cube水素化装置及びmilligatポンプを全水素モードで用いて表題の化合物を調製した。1,1,1−トリフルオロ−3−[(ベンジル)オキシ]−2−{[(ベンジル)オキシ]メチル}−2−プロパノール(58g)のエタノール(580ml)溶液を調製した。流量は1.3ml/分であり、温度は80℃に設定し、用いたカートリッジは10%Pd/C Cat Cart 70(これは2hr毎に交換した)であった。出発物質及びモノベンジル中間体をなお含有していたフラクションはいずれも再処理した。不純物を含まないフラクションをすべて合わせ、蒸発させて、表題の化合物(26.48g)を得た。
【0237】
中間体4:3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)プロピル4−メチルベンゼンスルホナート
【化27】

【0238】
アイスバス中で冷却しておいた2−(トリフルオロメチル)−1,2,3−プロパントリオール(18.9g、118mmol)のピリジン(200ml)撹拌溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(67g、351mmol)を加えてオレンジ色の溶液を得た。アイスバスを45mins後に取り除き、撹拌を21hr続けた。この間に固形物が生成した。ピリジンの大半を減圧下で除去し、その残留物を酢酸エチル(500ml)と水(300ml)とに分配させた。この取り出した水相をさらに酢酸エチル(1×250ml)で抽出し、その合わせた有機抽出物を2M塩酸(1×200ml)、水(1×200ml)、飽和重炭酸ナトリウム(1×200ml)、水(1×200ml)及び飽和ブライン(1×200ml)で洗浄し、そのあと硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、油状物(72.8g)を得た。この油状物をシクロヘキサン:酢酸エチル(5:1)でのFlashシリカカラム(800g)で精製して、表題の生成物(49g、95%)を油状物として得た。これは静置しておいたら結晶化した。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 7.78(d,J=8.3Hz,4H)7.38(d,J=8.3Hz,4H)4.18(s,4H)3.66(s,1H)2.48(s,6H)。
LC−MS保持時間3.62mins、MNH 486。
【0239】
中間体4の代替の調製A
以下の出発物質及び溶媒を用いてフロープロセスにより表題の化合物を調製した。
【0240】
2つの溶液を調製した。溶液A−2−(トリフルオロメチル)−1,2,3−プロパントリオール(4.5gm,27.8mmol)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(30ml、139mmol)、ジクロロメタン(550ml)。溶液B−p−トルエンスルホニルクロリド(21.4g、111mmol)、ジクロロメタン(550ml)。
【0241】
溶液A及びBをそれぞれの流量でCPC Cytos反応器(反応器容積47ml)にポンプ送りした。溶液Bが入っているポンプの圧が上下しているのが認められた。110mins後、ポンプが1:1で動作していないことが明らかであったのでこの反応をここで止めた。回収した物質をジクロロメタン(x3)で抽出し、そのあとブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して残留物を得、これを廃棄した。ポンプを交換し、試薬の残っている部分を反応させた。回収した物質をジクロロメタン(x3)で抽出し、そのあとブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して残留物を得た。シリカにこれを吸着させ、ジクロロメタン:ヘキサン(1:1)でのシリカカラム(12g)で溶離した。4つのフラクションを溶離し、フラクション4により表題の化合物(2.31g)を得た。
【0242】
中間体5:[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル4−メチルベンゼンスルホナート
【化28】

【0243】
ビストシラート(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)プロピル4−メチルベンゼンスルホナート)(186.5g、398.5mmol)のジクロロメタン(2500ml)溶液を窒素下で撹拌しながらポリマー担持カルボナート樹脂(例えばFluka、およそ3.5ミリモルカルボナート/g樹脂)(232g)を加えた。この混合物を室温にて一晩撹拌した。樹脂を濾過除去し、その残留物をジクロロメタンで洗浄した。合わせた濾液及び洗浄液を減圧下で濃縮して、表題の化合物(116.2g)を茶色の油状物として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 7.80(d,J=8.3Hz,2H)7.38(d,J=8.0Hz,2H)4.41(d,J=11.9Hz,1H)4.29(d,J=11.9Hz,1H)3.14(d,J=4.8Hz,1H)3.01(dd,J=4.5,1.5Hz,1H)2.47(s,3H)。
LC−MS保持時間3.2mins、MNH 314。
【0244】
中間体5の代替の調製A
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)プロピル4−メチルベンゼンスルホナート(14.29g、29mmol)/ジクロロメタン(75ml)をPS−カルボナート樹脂(予め膨潤されていない)(3mmol/g、25g、75mmol)が入っているカートリッジに675マイクロリットル/分でポンプ送りした。カートリッジの周りにWhatman薄膜ヒーターを巻くことによって温度をおよそ50℃に設定した。圧は40psiに調節した。試薬をすべて吸い出した後、カラムをジクロロメタンで全体を洗浄した(この時点でカラムは少し漏れ始め、BPRを取り外して圧を下げなければならなかった)。回収した溶液を真空で濃縮して、表題化合物(7.24g)を得た。
【0245】
中間体6:3,3,3−トリフルオロ−2−{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}−1,2−プロパンジオール
【化29】

【0246】
アイスバス中で冷却された[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル4−メチルベンゼンスルホナート(10.07g、34mmol)の無水1,4−ジオキサン(70ml)撹拌溶液にベンジルアミン(4.1ml、37.4mmol)を少しずつ10minsかけて加えた。この混合物をアイスバス温度でさらなる1時間撹拌し、そのあと21℃まで昇温させ、このあと18hr撹拌した。2M水酸化ナトリウム(50ml)及び1,4−ジオキサン(50ml)を加え、2hr室温にて撹拌し、そのあと90℃で22hr加熱した。混合物を冷却させ、そのあと低体積に濃縮し、酢酸エチル(250ml)と水(100ml)とに分配させた。取り出した水層をさらに酢酸エチル(1×250ml)で抽出し、その合わせた有機抽出物を水(1×100ml)、飽和ブライン(1×100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、油状物(9.4g)を得た。これを0〜100%シクロヘキサン−酢酸エチル勾配を用いる3×100g SPEカートリッジで60minsかけて精製した。これから、その適切なフラクションを減圧下で濃縮して、表題の化合物(5.09g)を油状物として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 7.30−7.35(m,2H)7.23−7.29(m,3H)3.75−3.86(m,4H)3.57(d,J=11.6Hz,1H)3.06(d,J=13.1Hz,1H)2.86(d,J=13.1Hz,1H),OH’s & NHは非常にブロードであり 2.5−3.0ppm。
LC−MS保持時間1.45mins、MH 250。
【0247】
中間体7:2−(アミノメチル)−3,3,3−トリフルオロ−1,2−プロパンジオール
【化30】

【0248】
水酸化パラジウム/炭素(20%、800mg)含有3,3,3−トリフルオロ−2−{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}−1,2−プロパンジオール(8.33g、33.4mmol)のエタノール(550ml)溶液を水素の雰囲気下で24hr撹拌した。セライトのパッドにより触媒を濾過除去し、その濾液を減圧下で濃縮し、トルエンを加え、この溶液を減圧下で再度蒸発させて、表題の化合物(5.06g)を油状物として得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δppm 3.69−3.69(m,2H)2.96(d,J=13.5Hz,1H)2.87(d,J=13.5Hz,2H)。
LC−MS保持時間0.32mins、MH 160。
【0249】
中間体8:エチル5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート
【化31】

【0250】
4−フルオロフェニルヒドラジンヒドロクロリド(9.76g、60mmol)のエタノール(250ml)撹拌懸濁液にトリエチルアミン(9.2ml、62mmol)を加え、得られたこのアンバー色の溶液にエチル2−シアノ−3−エトオキシアクリラート(10.15g、60mmol)を加えた。この溶液を還流温度で3.5hr加熱した。溶液を室温まで冷却させ、一晩静置したあと得られた固形物を濾過で取り出し、少量のエタノールそのあとエーテルで洗浄し、そのあと真空下で乾燥させて、表題の化合物を灰色がかった白色の固形物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 7.70(s,1H)7.55(s,J=5.0Hz,2H)7.34−7.41(m,2H)6.34(br.s.,2H)4.21(q,J=7.0,7.0Hz,2H)1.26(t,J=7.0Hz,3H)。
【0251】
中間体9:5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸
【化32】

【0252】
エチル5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート(12.1g、48.5mmol)のエタノール(250ml)懸濁液に水酸化リチウム(5.8g、242mmol)の水(100ml)溶液を加えた。この混合物を還流で2.5hr撹拌した。これを冷却させ、その体積の50%まで濃縮し、そのあと5M塩酸(47ml)を加えた。15mins撹拌した後、得られた白色の固形物を濾過で取り出し、さらなる5M塩酸(3ml)を加えた。これを濾過し、その合わせた固形物を水及びジエチルエーテルで洗浄し、そのあと真空下で乾燥させて、表題の化合物(10.27g)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 12.09(br.s.,1H)7.67(s,1H)7.54−7.60(m,2H)7.34−7.41(m,2H)6.29(br.s.,2H)。
LC−MS保持時間2.20mins、MH 222。
【0253】
中間体10:5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化33】

【0254】
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(5.86g、26.5mmol)の無水ジメチルホルムアミド(60ml)溶液及びジイソプロピルエチルアミン(17.5ml、100mmol)をアイスバス中で5mins冷却し、そのあとO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)(11.1g、29.2mmol)を加えた。5mins後、この溶液をアイスバスから取り出し、窒素下で20mins撹拌した。この撹拌混合物をアイス中で5mins冷却し、そのあとアミン、2−(アミノメチル)−3,3,3−トリフルオロ−1,2−プロパンジオール(5g、31.4mmol)の無水ジメチルホルムアミド(20ml)溶液を加えた。アイスバスを、再度、取り除き、撹拌を2.5hr続けた。この混合物をこのあと酢酸エチル(500ml)と水(500ml)とに分配させ、取り出した水相を酢酸エチル(300ml)で再抽出した。合わせた有機抽出物を水(1×500ml、1×300ml)、1M塩酸(1×400ml)、塩化リチウム水溶液(2×200ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(1×200ml)、水(200ml)及び飽和ブライン(2×200ml)で洗浄し、そのあと硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空下で濃縮して、泡状物(9.5g)を得た。酢酸エチル(5ml)、続いてジクロロメタン(50ml)を加え、この混合物を渦流させて結晶化を開始させた。これを冷蔵庫に15hr静置させて置き、得られた固形物を濾過除去し、少量のジクロロメタン及びヘプタンで洗浄し、そのあと真空下で乾燥させて、表題の化合物(7.0g、73%)を白色の固形物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 8.17(t,J=6.1Hz,1H)7.99(s,1H)7.54−7.60(m,2H)7.33−7.40(m,2H)6.37(br.s.,2H)6.30(s,1H)5.19(t,J=6.4Hz,1H)3.51−3.69(m,2H)3.38−3.50(m,2H)。
LC−MS保持時間2.20mins、MH363。
【0255】
中間体11:2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル4−メチルベンゼンスルホナート
【化34】

【0256】
窒素雰囲気下のアイスバス中で冷却した5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(2.47g、6.82mmol)の無水ジクロロメタン(20ml)+無水ピリジン(20ml)溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(1.7g、8.9mmol)を加えた。この混合物を6hrアイスバス温度で撹拌し、そのあと室温まで加温し、一晩撹拌した。この溶液を真空下で蒸発させ、その残留物を酢酸エチル(100ml)と水(30ml)とに分配させた。取り出した有機相を2M塩酸(2×30ml)、水(30ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(30ml)、水(30ml)及び飽和ブライン(50ml)で洗浄し、そのあと硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、泡状物(3.45g)を得た。この泡状物を0〜100%酢酸エチル/シクロヘキサン勾配を用いるシリカ(100g)のFlashmasterカラムで1hrかけて精製した。これにより、表題の化合物(2.8g、79%)を泡状物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 8.04(t,J=6.3Hz,1H)7.90(s,1H)7.78(d,J=8.1Hz,2H)7.55−7.60(m,2H)7.45(d,J=8.1Hz,2H)7.34−7.41(m,2H)3.97−4.06(m,2H)3.63(dd,J=14.7,6.6Hz,1H)3.45(dd,1H)2.38(s,3H)。
LC−MS保持時間3.41mins、MH 517。
【0257】
中間体12:5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化35】

【0258】
2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル4−メチルベンゼンスルホナート(2.8g、5.4mmol)の無水テトラヒドロフラン(150ml)溶液を、予めテトラヒドロフラン(5x)で洗浄しておいたポリマー担持カルボナート樹脂(例えばFluka、5g、3.5mmol/g、17.5mmol)と一緒に震盪した。15hr震盪した後、樹脂を濾過除去し、その濾液を減圧下で蒸発させて、半固形物(1.986g)を得た。ジエチルエーテル(およそ10ml)を加え、3hr静置した後、得られた結晶化した固形物(1g)を濾過で取り出し、ヘプタンで洗浄した。濾液及び沈殿していた固形物を減圧下で蒸発させ、その残留物(ジクロロメタンに溶解)を、0〜100%酢酸エチル/シクロヘキサンで溶離するFlashmasterシリカカラム(100g)で精製して、クリーム状の固形物(0.46g)を得た。これを上記結晶化した固形物と合わせて、表題の化合物(1.46g)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 8.15(t,J=6.1Hz,1H)7.94(s,1H)7.53−7.60(m,2H)7.36(t,J=8.8Hz,2H)6.38(s,2H)3.88(dd,J=14.9,6.1Hz,1H)3.69(dd,J=14.8,6.0Hz,1H)3.17(d,J=4.3Hz,1H)2.90−2.98(m,J=4.0Hz,1H)。
LC−MS保持時間2.83mins、MH 345。
【0259】
中間体13:5−アミノ−N−{2−[(エチルアミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化36】

【0260】
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(2g、5.8mmol)のアセトニトリル(25ml)溶液にエチルアミン(5ml、23mmol)を加えた。この溶液を窒素下の室温にて24hr撹拌し、そのあとさらなるエチルアミン(2ml)を加えた。この溶液を減圧下で濃縮して、表題の化合物(2.289g)を得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 7.64(s,1H)7.50−7.56(m,2H)7.19−7.25(m,2H)6.29(br.s.,1H)5.46(s,2H)3.83(dd,J=14.4,7.6Hz,1H)3.60(dd,J=14.3,4.7Hz,1H)3.08(d,J=13.4Hz,1H)2.63−2.84(m,3H)1.13(t,3H)。
LC−MS保持時間2.06mins、MH 390。
【0261】
中間体13の代替の調製A
5−アミノ−N−(2−{[エチル(フェニルメチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(0.39g、0.813mmol)のエタノール(35ml)溶液をパールマン触媒(45mg)上、水素の雰囲気下で撹拌した(32mlの水素が取り込まれた)。触媒を濾過除去し、その濾液を蒸発させて、表題の化合物(0.313g)を白色の固形物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 8.10(t,1H)7.94(s,1H)7.54−7.61(m,2H)7.33−7.40(m,2H)6.37(br.s.,2H)3.65(dd,J=6.3Hz,1H)3.46(dd,J=14.0,5.7Hz,1H)2.72(dd,J=5.6Hz,2H)2.52−2.62(m,2H)1.01(t,J=7.1Hz,3H)。
LC−MS保持時間2.00mins、MH 390。
【0262】
中間体14:5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化37】

【0263】
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−{[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(1.03g、3mmol)の無水アセトニトリル(10ml)溶液に2−フルオロエチルアミンヒドロクロリド(650mg、6mmol、およそ90%純度)及びトリエチルアミン(0.98ml、7mmol)を加え、得られた懸濁液を4日震盪した。これを酢酸エチル(70ml)と水(20ml)とに分配させ,飽和ブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、ガム状物(1.57g)を得た。溶離液として0〜100%酢酸エチル/シクロヘキサン(60mins勾配)を用いるFlashmaster 2を用いた100g SiOで精製した。これにより表題の化合物(924mg)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 7.98−8.08(m,1H)7.94(s,1H)7.53−7.61(m,2H)7.32−7.40(m,2H)6.37(s,2H)4.53(t,1H)4.41(t,1H)3.61−3.72(m,1H)3.43−3.53(m,1H)2.74−2.92(m,4H)。
LC−MS保持時間2.12mins,MH 408。
【0264】
中間体15:3−アミノ−2−{[エチル(フェニルメチル)アミノ]メチル}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール
【化38】

【0265】
[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル4−メチルベンゼンスルホナート(4.15g、14mmol)の無水ジオキサン(35ml)溶液にN−エチルベンジルアミン(2.4ml、16.1mmol)を加えた。この混合物を窒素下の21℃で24hr撹拌した。0.5Mアンモニア/ジオキサン(200ml、100mmol)を加え、30分撹拌し、このあと100℃で24hr撹拌した。これを冷却させ、その固形物を濾過除去し、この濾液を減圧下で蒸発させて、残留物(4.7g)を得た。0〜25%メタノール/ジクロロメタンの勾配を用いるFlashmaster(3×100gシリカカートリッジ)でこれを60minsかけて精製して、表題の化合物(2.64g)を油状物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 7.17−7.38(m,5H)3.84(d,J=13.8Hz,1H)3.56(d,J=13.8Hz,1H)2.79(s,2H)2.62−2.76(m,2H)2.53−2.61(m,1H)2.38−2.48(m,J=13.4,6.9,6.8Hz,1H)0.94(t,J=7.0Hz,3H)。
LC−MS保持時間2.18mins、MH 277。
【0266】
中間体16:5−アミノ−N−(2−{[エチル(フェニルメチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化39】

【0267】
ジイソプロピルエチルアミン(0.175ml、1mmol)を5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(0.119g、0.54mmol)+O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)(0.205g、0.54mmol)のジメチルホルムアミド(1ml)中混合物に加えた。得られた混合物を室温にて20mins撹拌し、このあと3−アミノ−2−{[エチル(フェニルメチル)アミノ]メチル}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール(0.296g、1.07mmol)のジメチルホルムアミド(1ml)溶液を加えた。この反応混合物を室温にて4hr撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(30ml)と水(30ml)とに分配させ、取り出した有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。この残留物を0〜100%酢酸エチル/シクロヘキサン勾配を用いるシリカ(10g)でのクロマトグラフィーにより15minsかけて精製して、表題の化合物(0.39g)を得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 7.50−7.55(m,2H)7.49(s,1H)7.25−7.36(m,5H)7.19−7.24(m,2H)5.83−5.89(m,1H)5.71(br.s.,1H)5.46(br.s.,2H)3.78−3.87(m,2H)3.63(d,J=13.4Hz,1H)3.48(dd,J=14.1,4.5Hz,1H)2.98(d,J=14.9Hz,1H)2.77(d,J=15.2Hz,1H)2.56−2.72(m,2H)1.06(t,J=7.1Hz,3H)。
LC−MS保持時間2.58mins、MH 480。
【0268】
中間体17:N−エチル−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}プロピル)ベンズアミド
【化40】

【0269】
N−エチルベンズアミドヒドロクロリド(0.894g、6mmol)のDMF(2.5ml)溶液に水素化ナトリウム(0.160g、6.6mmol)を加えた。20minsの撹拌後[2−(トリフルオロメチル)−2−オキシラニル]メチル4−メチルベンゼンスルホナート(1.776g、6mmol)を加え、撹拌を一晩続けた。2hr後ベンジルアミン(8.27ml)を加え、撹拌を続けた。24hr後この反応混合物をEtOAc(50ml)に溶解させ、このあと水(50ml)、NaHCO(40ml)、塩化ナトリウム(2×20ml)、水(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、このあとMgSOで乾燥させ、濃縮して黄色の油状物を得た。0〜100%酢酸エチル/シクロヘキサン勾配を用いるシリカ(100g)でのクロマトグラフィーによりこの油状物を40minsかけて精製して、表題の化合物(730mg)を得た。
LC−MS保持時間2.16mins,MH 381。
【0270】
中間体18:N−[2−(アミノメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−N−エチルベンズアミド
【化41】

【0271】
N−エチル−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}プロピル)ベンズアミド(730mg、1.92mmol)をEtOH(10ml)に溶解させ、4M HCl/ジオキサン(2ml)を加え、これをこのあと真空下で蒸発させた。生成した固形物をこのあとEtOHに溶解させ、50bar・25℃にあるH cubeに入れて水素化した。生成物のほんの一部が存在していることがLCMSにより明らかになったので、基質を60bar・40℃にあるH cubeに入れ戻した。この溶液を真空下で10mins蒸発させてから、エーテル(10ml)を加えて、白色の固形物(536mg)を製造した。
LC−MS保持時間1.71mins、MH 291。
【0272】
実施例1:5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化42】

【0273】
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(160mg、0.39mmol)の無水ジクロロメタン(5ml)溶液にジイソプロピルエチルアミン(174μl、1mmol)続いて塩化ベンゾイル(51μl、0.44mmol)を加えた。これを21℃で18hrそのままにして置き、そのあと2M塩酸(2ml)及び水(3ml)で洗浄し、吹き飛ばして、黄色の固形物を得た。ジクロロメタン(およそ1ml)を加えて、白色の固形物を得、これを濾過で取り出し、少量のジクロロメタンそのあとエーテルで洗浄して、表題の化合物(140mg)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 7.99−8.09(m,1H)7.89(s,1H)7.52−7.62(m,2H)7.43−7.50(m,3H)7.33−7.43(m,4H)6.33−6.43(m,2H)4.51−4.61(m,1H)4.40−4.49(m,1H)4.02−4.13(m,1H)3.79−3.86(m,2H)3.44−3.55(m,1H)3.30−3.38(m,1H)。
LC−MS保持時間3.12mins,MH 512。
【0274】
75ml/分の流量の70%エタノール/ヘプタンで溶離する5cm×20cm Chiralcel ODカラムを用いて実施例1のサンプルをさらにそのエナンチオマー(エナンチオマー1及びエナンチオマー2)に分離した。
【0275】
エナンチオマー1
Analytical Chiral HPLC(25cm Chiralcel ODカラム、1ml/分で溶離する60%エタノール/ヘプタン)−保持時間5.02mins。
円二極性(MeCN、RT、0.000146M、ν=350〜190nm、セル長さ=0.2cm)
201.4nm(de=7.41)。
264.0nm(de=3.27)。
【0276】
エナンチオマー2
Analytical Chiral HPLC(25cm Chiralcel ODカラム、1ml/分で溶離する60%エタノール/ヘプタン)−保持時間11.77mins。
円二極性(MeCN、RT、0.000127M、ν=350〜190nm、セル長さ=0.2cm)
201.4nm(de=−6.66)。
262.0nm(de=−3.73)。
【0277】
実施例2:5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化43】

【0278】
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(41mg、0.1mmol)を2−フルオロ塩化ベンゾイル(17mg、0.11mmol)のジクロロメタン(400μl)溶液に加えた。ジイソプロピルエチルアミン(40μl、0.3mmol)を加え、この溶液を5mins震盪した。これをこのあと室温に一晩静置しておいた。溶媒をGenevacで除去した。この残留物をCat lipo uv法を用いるCAT MDAPにより精製した。溶媒をGenevacで除去して、表題の化合物(18.8mg)を得た。
1H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 8.04(s,1H)7.88(t,1H)7.55−7.61(m,2H)7.48−7.55(m,1H)7.27−7.43(m,5H)4.35−4.77(m,1H)3.65−3.91(m,6H)。
LC−MS保持時間3.13mins、MH 512。
【0279】
15ml/分の流量の60%エタノール/ヘプタンで溶離する5cm×20cm Chiralcel ODカラムを用いて実施例2のサンプルをさらにそのエナンチオマー(エナンチオマー1及びエナンチオマー2)に分離した。
【0280】
エナンチオマー1
Analytical Chiral HPLC(流量1ml/分の60%エタノール/ヘプタンで溶離する25cm Chiralcel ODカラム)−保持時間4.4mins。
【0281】
エナンチオマー2
Analytical Chiral HPLC(流量1ml/分の60%エタノール/ヘプタンで溶離する25cm Chiralcel ODカラム)−保持時間9mins。
【0282】
実施例3:N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド
【化44】

【0283】
O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(HATU)(316mg、0.832mmol)のジメチルホルムアミド溶液に3−クロロピリジン−2−カルボン酸(131.1mg、0.832mmol)を加えた。およそ10mins後にジイソプロピルエチルアミン(292.6mg,2.27mmol)+5−アミノ−N−{2−[(エチルアミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(294mg、0.756mmol)/ジメチルホルムアミドを加えた。この溶液を窒素下の室温にて撹拌した。2.5hr後にこの反応混合物を真空で濃縮した。反応混合物をジクロロメタンと水とに分配させ、その有機相を疎水フリットを用いることにより取り出した。この有機層をこのあと真空で濃縮した。0〜25%メタノール:ジクロロメタン勾配を用いるFlashmasterを用いたシリカ(50g)で40minsかけて精製し、その適切なフラクションを合わせ、濃縮して、不純物を含む生成物(700mg)を得た。これをエーテルと水とに分配させ、その有機層を真空で濃縮した。0〜100%酢酸エチル:シクロヘキサン勾配で溶離するFlashmaster 2を用いたシリカ(50g)で30minsかけてさらに精製した。その適切なフラクションを合わせ、真空で濃縮して、表題の化合物(152mg)を得た。
1H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 8.61(d,1H)8.12(d,1H)8.04(t,1H)7.85(s,1H)7.55−7.61(m,3H)7.33−7.39(m,2H)6.35(br.s.,2H)4.16−4.23(m,1H)3.92−3.98(m,1H)3.47−3.55(m,3H)3.18−3.26(m,1H)1.02−1.08(m,3H)。
LC−MS保持時間3.07mins,MH 529。
【0284】
15ml/分の流量の60%イソプロパノール/ヘプタンで溶離するChiralpak ADカラムを用いて実施例3のサンプルをさらにそのエナンチオマー(エナンチオマー1及びエナンチオマー2)に分離した。
【0285】
エナンチオマー1
Analytical Chiral HPLC(25cm Chiralpak ADカラム、1ml/分で溶離する60%エタノール/ヘプタン)−保持時間5.0mins。
円二極性(MeCN、RT、0.000140M、ν=350〜200nm、セル長さ=0.2cm)
215.2nm(de=−3.79)。
271.0nm(de=−5.09)。
【0286】
エナンチオマー2
Analytical Chiral HPLC(25cm Chiralpak ADカラム、1ml/分で溶離する60%エタノール/ヘプタン)−保持時間8.3mins。
円二極性(MeCN、RT、0.000149M、ν=350〜200nm、セル長さ=0.2cm)
214.0nm(de=3.82)。
271.0nm(de=4.97)。
【0287】
実施例4:5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化45】

【0288】
5−アミノ−N−{2−[(エチルアミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(0.1mmol)の無水ジクロロメタン(0.5ml)+無水ピリジン(0.5ml)溶液に2−フルオロ塩化ベンゾイル(23.8μl、0.2mmol)を加えた。24hr後、この混合物をジクロロメタン(5ml)で希釈し、2M塩酸(3×3ml)、水(1×3ml)及び飽和ブライン(5ml)で洗浄し、吹き飛ばした。MDAPにより表題の生成物を単離して、(20.5mg)を得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δppm 7.81−7.91(m,1H)7.49−7.59(m,4H)7.38−7.47(m,1H)7.22−7.33(m,5H)4.20−4.39(m,1H)3.96−4.10(m,1H)3.56−3.68(m,2H)3.39−3.51(m,2H)1.01−1.12(m,3H)。
LC−MS保持時間3.2mins,MH 512。
【0289】
75ml/分の流量の20%エタノール/ヘプタンで溶離する5cm×20cm Chiralcel ODカラムを用いて実施例4のサンプルをさらにそのエナンチオマー(エナンチオマー1及びエナンチオマー2)に分離した。
【0290】
エナンチオマー1
Analytical Chiral HPLC(25cm Chiralcel ODカラム、1ml/分で溶離する20%エタノール/ヘプタン)−保持時間13.1mins。
【0291】
エナンチオマー2
Analytical Chiral HPLC(25cm Chiralcel ODカラム、1ml/分で溶離する20%エタノール/ヘプタン)−保持時間17.2mins。
【0292】
実施例5:5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化46】

【0293】
2,3−ジフルオロ安息香酸(0.088mmol)+O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)(0.088mmol)のジメチルホルムアミド(0.2ml)+N,N−ジイソプロピルエチルアミン(30μl)溶液を1分震盪し、そのあと5−アミノ−N−{2−[(エチルアミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(0.07mmol)のジメチルホルムアミド(0.1ml)溶液を加え、このあとさらに1分震盪した。室温に18hrs静置した後、ジメチルスルホキシド(0.3ml)を加え、この溶液をCAT MDAP(2回、cat gr法により、そのあとcat lipo uv法により)により精製して、表題の化合物(10.5mg)を得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 7.71−7.75(m,1H)7.49−7.55(m,2H)7.25−7.30(m,2H)7.17−7.25(m,4H)7.06−7.11(m,1H)5.47(br.s.,2H)3.98−4.10(m,2H)3.62−3.72(m,1H)3.51−3.57(m,1H)3.43−3.49(m,1H)3.25−3.36(m,1H)1.07(t,3H)。
LC−MS保持時間3.25mins,MH 530。
【0294】
15ml/分の流量の70%エタノール/ヘプタンで溶離するChiralpak ADカラムを用いて実施例5のサンプルをさらにそのエナンチオマー(エナンチオマー1及びエナンチオマー2)に分離した。
【0295】
エナンチオマー1
Analytical Chiral HPLC(1ml/分の流量の70%エタノール/ヘプタンで溶離する25cm Chiralpak ADカラム)−保持時間5.2mins。
【0296】
エナンチオマー2
Analytical Chiral HPLC(1ml/分の流量の70%エタノール/ヘプタンで溶離する25cm Chiralpak ADカラム)−保持時間12mins。
【0297】
以下の化合物を同様にして調製した。
【表3】








【0298】
以下に記載する配列中の化合物を調製した。
【表4】

【0299】
O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)(0.54mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.2ml)溶液を以下の表に示されている各酸(0.9mmol)のそれぞれに加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.1ml)を加え、5mins後にこの溶液をN−[2−(アミノメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−N−エチルベンズアミドヒドロクロリド(0.69mmol)に加え、一晩そのままにしておいた。その生成物を実施例5にあると同じようにして単離し、精製した。
【表5】

【0300】
以下の化合物:
【表6】

【0301】
を以下の酸:
【表7】

【0302】
を用いて同様にして調製した。
【0303】
(生物学実施例)
【0304】
(グルココルチコイド受容体結合アッセイ)
グルココルチコイド受容体に結合する化合物の能力をAlexa 555蛍光標識化デキサメタゾン誘導体と競合するその化合物の能力を評価することにより測定した。化合物をDMSO中に溶媒和化して希釈し、そして直接アッセイプレートに移した。このプレートに、蛍光性デキサメタゾン及び部分精製された完全長グルココルチコイド受容体を、GR蛋白を安定化させるための緩衝液成分と一緒に加え、室温で2時間、暗でインキュベートした。各化合物の結合は、その混合物からの蛍光偏光シグナルの低下を測定することによって蛍光性リガンドの置き換えを解析することで評価した。
【0305】
このアッセイでは、実施例1(ラセミ体)、実施例1エナンチオマー1、実施例1エナンチオマー2、実施例2(ラセミ体)、実施例2エナンチオマー1、実施例2エナンチオマー2、実施例3(ラセミ体)、実施例4(ラセミ体)、実施例4エナンチオマー1、実施例4エナンチオマー2、実施例5(ラセミ体)、実施例5エナンチオマー1、実施例5エナンチオマー2、実施例6(ラセミ体)、実施例7(ラセミ体)、実施例7エナンチオマー1、実施例7エナンチオマー2、実施例8エナンチオマー1、実施例8エナンチオマー2、実施例9(ラセミ体)、実施例9エナンチオマー1、実施例9エナンチオマー2、実施例10(ラセミ体)、実施例12(ラセミ体)、実施例13(ラセミ体)、実施例14(ラセミ体)、実施例14エナンチオマー1、実施例14エナンチオマー2、実施例15(ラセミ体)、実施例16(ラセミ体)、実施例17(ラセミ体)、実施例18(ラセミ体)、実施例19(ラセミ体)、実施例20(ラセミ体)、実施例21(ラセミ体)、実施例22(ラセミ体)、実施例23(ラセミ体)、実施例24(ラセミ体)、実施例25(ラセミ体)、実施例26(ラセミ体)、実施例27(ラセミ体)、実施例28(ラセミ体)、実施例32(ラセミ体)、実施例33(ラセミ体)、実施例34(ラセミ体)、実施例35(ラセミ体)、実施例36(ラセミ体)、実施例37(ラセミ体)、実施例38(ラセミ体)、実施例39(ラセミ体)、実施例40(ラセミ体)、実施例43(ラセミ体)、実施例45(ラセミ体)、実施例45エナンチオマー1、実施例45エナンチオマー2及び実施例46(ラセミ体)が、少なくとも1回、pIC50>6のグルココルチコイド結合性を示した。
【0306】
(A549 SPAP細胞)
実験室内で、ヒト白人肺癌A549細胞株(ECACC No. 86012804)を、配列内にNFκB応答エレメントを有するELAMプロモーター配列を含有しているプラスミドで安定にトランスフェクトしておいた。TNFαでこの細胞株を刺激すると細胞内シグナル伝達が起こり、最終的には核内へのNFκBの転座が起こる。これが、挿入されているDNA配列を活性化して、組み込まれているSPAP遺伝子の転写をもたらす。これを、比色計アッセイを用いて定量するのである。このアッセイでは、GRアゴニスト化合物はNFκB誘導転写を阻害し、シグナルの減少をもたらす。この安定にトランスフェクトされた細胞株を、FCS−HI(10%)、非必須アミノ酸(1%)、L−グルタミン(2mM)、Pen/Strep(1%)及びGeneticin(50mg/ml)が補充されたDMEM中で単層として増殖させた。
【0307】
(GR官能アッセイ−NFκBアッセイ)
5分間200gでの遠心分離により70%コンフルーエントT225フラスコのA549 SPAP細胞を収穫し、アッセイ緩衝液(10%FCS 2xHI、2mM L−グルタミン、1%Pen/Strep及び非必須アミノ酸が補充されたDMEM)に再懸濁させ、0.16×10/mlまで希釈した。必要な濃度で化合物を含有している透明Nunc 384−ウェルプレートの各ウェルに60μlの細胞溶液を分配した。37℃、95%湿度、5%COで1時間プレートをインキュベートし、そのあと10μlのTNFαを3.2ng/mlの最終濃度で加え、次いで上記細胞インキュベーターに15時間戻した。プレートを室温に1時間平衡化させてから、25μlのpNPP緩衝液(1M ジエタノールアミンpH9.8、0.5mM MgCl、0.28M NaCl、2mg/ml pNPP)をアッセイプレートの各ウェルに加えた。試薬を光から保護するためにプレートを覆い、次いで室温にておよそ1時間インキュベートし、そのあと405nm単一フィルターを用いるAscentでそれらを読み取った。
【0308】
このNFkBアッセイでは、実施例1(ラセミ体)、実施例1エナンチオマー1、実施例1エナンチオマー2、実施例2(ラセミ体)、実施例2エナンチオマー1、実施例2エナンチオマー2、実施例3(ラセミ体)、実施例3エナンチオマー1、実施例3エナンチオマー2、実施例4(ラセミ体)、実施例4エナンチオマー1、実施例4エナンチオマー2、実施例5(ラセミ体)、実施例5エナンチオマー1、実施例5エナンチオマー2、実施例6(ラセミ体)、実施例7(ラセミ体)、実施例7エナンチオマー1、実施例8(ラセミ体)、実施例8エナンチオマー1、実施例8エナンチオマー2、実施例9(ラセミ体)、実施例9エナンチオマー1、実施例9エナンチオマー2、実施例10〜13(ラセミ体)、実施例14(ラセミ体)、実施例14エナンチオマー2、実施例15(ラセミ体)、実施例16(ラセミ体)、実施例16エナンチオマー1、実施例16エナンチオマー2、実施例17(ラセミ体)、実施例18(ラセミ体)、実施例20(ラセミ体)、実施例21(ラセミ体)、実施例23(ラセミ体)、実施例24(ラセミ体)、実施例25(ラセミ体)、実施例27(ラセミ体)、実施例28(ラセミ体)、実施例29(ラセミ体)実施例32〜44(ラセミ体)、実施例45(ラセミ体)、実施例45エナンチオマー1、実施例45エナンチオマー2、及び実施例46が、少なくとも1回、>6.0のpIC50値を示した。
【0309】
(A549 MMTV細胞)
実験室内で、ヒト白人肺癌A549細胞株(ECACC No. 86012804)を、MMTVプロモーターを有するレニラレシフェラーゼレポーターを含有しているプラスミドで安定にトランスフェクトしておいた。GRアゴニストでこの細胞株を刺激すると細胞内シグナル伝達が起こり、最終的には核内へのGRの転座が起こる。これが、挿入されているDNA配列を活性化して、組み込まれているルシフェラーゼ遺伝子の転写をもたらす。これを、光放射を用いて定量するのである。この安定にトランスフェクトされた細胞株を、FCS−HI(10%)、非必須アミノ酸(1%)、L−グルタミン(2mM)、Pen/Strep(1%)及びGeneticin(50mg/ml)が補充されたDMEM中で単一層として増殖させた。
【0310】
(GRアゴニストアッセイ−MMTVアッセイ)
5分間200gでの遠心分離により90%コンフルーエントT175フラスコのA549 MMTV細胞を収穫し、アッセイ緩衝液(10%FCS 2xHI、2mM Glutamax、非必須アミノ酸及び25mM HEPESが補充されたDMEM)に再懸濁させ、0.1×10/mlまで希釈した。必要な濃度で化合物を含有している白色Nunc 384−ウェルプレートの各ウェルに70μlの細胞溶液を分配した。37℃、95%湿度、5%COで6時間プレートをインキュベートした。プレートを室温に1時間平衡化させてから、10μlのレニラ基質をアッセイプレートの各ウェルに加えた。試薬を光から保護するためにプレートを覆い、次いで室温にておよそ15分間インキュベートし、そのあとViewluxでそれらを読み取った。
【0311】
以下の実施例は、NFkBアゴニストアッセイ及びMMTVアゴニストアッセイでアゴニストであるものであり(すなわち≧40%の平均最大無症候を有している)且つNFKBアッセイで、少なくとも1回、pIC50>6.5の効力を示したものである:
【0312】
実施例1(ラセミ体)、実施例1エナンチオマー2、実施例2(ラセミ体)、実施例2エナンチオマー1、実施例2エナンチオマー2、実施例3(ラセミ体)、実施例3エナンチオマー1、実施例4(ラセミ体)、実施例4エナンチオマー1、実施例4エナンチオマー2、実施例5(ラセミ体)、実施例5エナンチオマー1、実施例6(ラセミ体)、実施例7(ラセミ体)、実施例7エナンチオマー1、実施例8(ラセミ体)、実施例8エナンチオマー1、実施例9(ラセミ体)、実施例9エナンチオマー1、実施例9エナンチオマー2、実施例10(ラセミ体)、実施例11(ラセミ体)、実施例12(ラセミ体)、実施例13(ラセミ体)、実施例14(ラセミ体)、実施例14エナンチオマー2、実施例15(ラセミ体)、実施例16(ラセミ体)、実施例16エナンチオマー1、実施例16エナンチオマー2、実施例17(ラセミ体)、実施例18(ラセミ体)、実施例20(ラセミ体)、実施例23(ラセミ体)、実施例24(ラセミ体)、実施例27(ラセミ体)、実施例28(ラセミ体)、実施例32(ラセミ体)、実施例33(ラセミ体)、実施例34(ラセミ体)、実施例35(ラセミ体)、実施例37(ラセミ体)、実施例38(ラセミ体)、実施例39(ラセミ体)、実施例40(ラセミ体)、実施例42(ラセミ体)、実施例43(ラセミ体)、実施例45(ラセミ体)、実施例45エナンチオマー1、実施例45エナンチオマー2及び実施例46(ラセミ体)。
【0313】
(プロゲステロン受容体アゴニスト活性アッセイ)
80%コンフルーエンシーの密度でCV−1細胞が付いているT225フラスコをPBSで洗浄し、0.25%トリプシンを用いてフラスコから引き剥がし、Sysmex KX−21Nを用いてカウントした。細胞を、10%Hyclone、2mM L−Glutamate及び1%Pen/Strep含有のDMEMに140細胞/μlで希釈し、10%PRb−BacMam及び10%MMTV−BacMamで形質導入した。必要な濃度で化合物を含有している白色Nunc 384−ウェルプレートの各ウェルに懸濁細胞70mlを分配した。24時間後、プレートの各ウェルに10μlのSteadyliteを加えた。プレートを暗で10分間インキュベートし、そのあとViewlux読み取り機で読み取った。用量応答曲線を作成し、これからpEC50値を推算した。
【0314】
このアッセイでは、実施例1(ラセミ体)、実施例1エナンチオマー1、実施例1エナンチオマー2、実施例2(ラセミ体)、実施例2エナンチオマー1、実施例2エナンチオマー2、実施例3(ラセミ体)、実施例3エナンチオマー1、実施例4(ラセミ体)、実施例4エナンチオマー1、実施例4エナンチオマー2、実施例5(ラセミ体)、実施例5エナンチオマー1、実施例5エナンチオマー2、実施例6(ラセミ体)、実施例7(ラセミ体)、実施例7エナンチオマー1、実施例7エナンチオマー2、実施例8(ラセミ体)、実施例8エナンチオマー1、実施例8エナンチオマー2、実施例9(ラセミ体)、実施例9エナンチオマー1、実施例9エナンチオマー2、実施例11〜13(ラセミ体)、実施例14(ラセミ体)、実施例14エナンチオマー1、実施例14エナンチオマー2、実施例15(ラセミ体)、実施例16(ラセミ体)、実施例16エナンチオマー1、実施例16エナンチオマー2、実施例17〜28(ラセミ体)、実施例32〜36(ラセミ体)、実施例38〜40(ラセミ体)、実施例42〜44(ラセミ体)、実施例45(ラセミ体)、実施例45エナンチオマー1、実施例45エナンチオマー2及び実施例46が、少なくとも1回、pEC50<6を示した。
【0315】
(脳浸透についてのアッセイ)
各ラットに1mg/kgの濃度で1回の静脈内投与を与えた。この投与は、10%DMSO/50%PEG200/40%滅菌水中に製剤化されていた。投与のあと5分又は15分に、イソフルオランで麻酔したあとの心臓穿刺により終末血液サンプルを採取した。同じ時間点において脳を取り出した。
【0316】
血漿20μLから、内部標準として類似化合物を含有している120μLアセトニトリルを用いる蛋白沈降により化合物を抽出した。濾過した抽出物を96ウェルプレートに採集し、等体積の含0.1%ギ酸10%アセトニトリル/水(v/v)で希釈した。プレートをこのあとプレートシェーカーで少なくとも5分間混合し、そのあと、LC−MS/MSにより、対照血漿中で調製した検量線と比較して分析した。
【0317】
各脳を秤量し、そのあと3mlのアセトニトリル:水(10:90v/v)中にホモジナイズした。この得られたホモジネート200μLから、内部標準として類似化合物を含有している600μLアセトニトリルを用いる蛋白沈降により化合物を抽出した。この抽出物を遠心分離し、それぞれの150μlを濾過し、96ウェルプレートに移した。このアリコートを、10%含0.1%ギ酸アセトニトリル/水(v/v)で希釈した。プレートをプレートシェーカーで少なくとも5分間混合し、そのあと、LC−MS/MSにより、対照脳ホモジネート中で調製した検量線と比較して分析した。
【0318】
このアッセイでは、実施例1(ラセミ体)、実施例2(ラセミ体)、実施例3エナンチオマー1、実施例4(ラセミ体)、実施例5(ラセミ体)及び実施例24(ラセミ体)が、このアッセイでの5分における脳対血漿比0.1以上を示した。
【0319】
上記したアッセイでの化合物の活性により実施例化合物を記述する場合、少なくとも1つの異性体、例えば、異性体混合物(例えばラセミ体)中の1エナンチオマーは、記述した活性を有していることは理解されよう。官能アッセイのケースでは、他のエナンチオマーは、同程度の活性、より少ない活性、まったくない活性を有し得る。あるいはいくらかのアンタゴニスト活性を有し得る。
【0320】
本明細書及び後にある特許請求の範囲をとおして、その記載内容がそうでないと要求していない限り、文言「含む」、さらには「含んでいる」及び「含んでなる」のような変形体は、述べられている単一体若しくはステップ又は単一体の群の包含を意味するものであって、他の単一体若しくはステップ又は単一体若しくはステップの群のいかなる排除も意味するものではないことは理解されると思われる。
【0321】
この説明及び特許請求の範囲がその一部を形成している本出願は、後続の出願についての優先権主張の基礎として使われ得る。そのような後続の出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載されているいずれの特徴又は特徴の組み合わせにも指向され得る。それらは、生成物クレーム、組成物クレーム、方法クレーム、あるいは使用クレームの形態をとり得、一例としてまた限定するものではないが、後にある特許請求の範囲を含み得る。
【0322】
この出願に記載されている特許及び特許出願は、本明細書に、参照により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、
【化2】

から選択され;
は、メチル、エチル及び2−フルオロエチルから選択され;
、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、−CF、−CHF、−OCHF及び−C(O)CHから選択され;
Yは、窒素及びCHから選択され;
nは、0、1及び2から選択される整数であり、
nが1である場合は、Xは塩素及びフッ素から選択され、また
nが2である場合は、各Xはフッ素である]
で表される化合物又はその塩。
【請求項2】

【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、エチル及び2−フルオロエチルから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、フッ素及び塩素から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素及びフッ素から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Yが窒素である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
YがCHである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
nが1である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
nが2である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Xがフッ素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Xがフッ素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
フッ素がフェニル環のパラ位にある、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
1つのフッ素がフェニル環のパラ位にあり、2つ目のフッ素がメタ位にある、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
実施例1〜46のいずれか1つに実質的に記載されている化合物、又はその塩。
【請求項17】
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−(3,3,3−トリフルオロ−2−{[(2−フルオロエチル)(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−N−[3,3,3−トリフルオロ−2−({(2−フルオロエチル)[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−2−ヒドロキシプロピル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−3−クロロ−N−エチル−2−ピリジンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−[2−({エチル[(2−フルオロフェニル)カルボニル]アミノ}メチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー2);
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2,3−ジフルオロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](メチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−N−エチル−8−キノリンカルボキサミド;
N−{2−[({[5−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル}−N−エチル−8−キノリンカルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
5−アミノ−N−(2−{[[(2−クロロフェニル)カルボニル](エチル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(エナンチオマー1);
5−アミノ−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−{[エチル(フェニルカルボニル)アミノ]メチル}−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
である化合物又はこれらの塩。
【請求項18】
ヒト又は動物用医薬において使用するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
炎症性及び/又は自己免疫性病態にある患者の治療において使用するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患、神経系の外傷性又は感染性疾患、又は脳外傷を患っている患者の治療において使用するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
炎症性及び/又は自己免疫性病態にある患者の治療用医薬を製造するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項22】
多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患、神経系の外傷性又は感染性疾患、又は脳外傷を患っている患者の治療用医薬を製造するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項23】
炎症性及び/又は自己免疫性病態にあるヒト又は動物対象の治療方法であって、そのようなヒト又は動物対象に、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、治療方法。
【請求項24】
多発性硬化症、脳血管炎、神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、急性又は慢性炎症性多発神経根障害、アルツハイマー病、神経系の腫瘍性疾患、神経系の外傷性又は感染性疾患、又は脳外傷を患っているヒト又は動物対象の治療方法であって、そのようなヒト又は動物対象に、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、治療方法。
【請求項25】
1種以上の生理学的に許容される希釈剤又は担体との混合状態で、請求項1〜17のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含んでなる、医薬組成物。
【請求項26】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその塩の調製方法であって、式(II)
【化4】

[式中、R、X及びnは、請求項1に定義されているとおりである]
で表されるアミンを式(III)
【化5】

[式中、Rは、請求項1に定義されているとおりであり、Zは、塩素又はヒドロキシである]
で表される化合物と反応させることを含む、調製方法。
【請求項27】
式(III)
【化6】

[式中、Rは、請求項1に定義されているとおりであり、Zは、塩素又はヒドロキシである]
で表される化合物。
【請求項28】
式(XV)
【化7】

[式中、R及びRは、請求項1に定義されているとおりである]
で表される化合物。
【請求項29】
式(XVI)
【化8】

[式中、R及びRは、請求項1に定義されているとおりであり、Phはフェニルである]
で表される化合物。
【請求項30】
式(XVII)
【化9】

[式中、R及びRは、請求項1に定義されているとおりである]
で表される化合物。

【公表番号】特表2010−513394(P2010−513394A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542037(P2009−542037)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064167
【国際公開番号】WO2008/074814
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】